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伊藤顕道君 これは
むしろ日・満の場合、いわゆる
本人の
意思に反して、
命令または
勧奨でというのはごく一部の
特例にすぎないわけです。
先ほども申し上げたように、
要請あるいは
勧奨のあったのは実例で申し上げると、
電気関係者とか
機関士、これはもう
日本内地でも非常に
希望者が
募集者に及ばない、
内地でもいわゆる
人手不足で苦慮しておったわけです。そういう人をあちらにやろうとするのと
——それはほんの一部の
職種に限られておるわけですね。
むしろ、言うなれば
特例であったわけです。大
部分は一言にして言えば、
先ほど申し上げたような
満州に渡ったほうが待遇がいいから、その
内容は
先ほども申し上げましたから一々申し上げません。そこで、
希望者は殺到したわけですが、結局その中から選んで渡満さしたと、これが
実態なんです。これはもうあらゆる
資料をひとつ御
検討いただいて、そのことの
認識不足をひとつ是正していただかないと、
論議が進まないと思うわけですね。ほんの一部の
特例だけを引き出して、こういうたてまえになっておったからでは、納得できないと思うのです。これはもう
特例中の
特例を引き出されたのでは問題にならぬわけです。繰り返し申し上げるように、
恩給局長は、
区別の
根拠はいま言った
本人の
意思で満鉄、
満州国に入ったか、
政府の
要請で行ったかということにあるわけですけれども、これは日・満・日と日・満の者は
政府の
要請、
勧奨によって行った者だということをまあ繰り返し言っておるわけですが、このことはひとついま繰り返し申し上げたように、事実
誤認に基づくということをここで確認していただいて、また満・日の
ケースの者といえども、戦後
満州から引き揚げて
公務員となった者は
公務員として
適格者であり、日・
満日とか日・満と何ら選ぶところはないわけですね。
公務員としての
適格性、あるいは
職務の
国家的性格等、全く
同一であったわけですから、ここに差異を設けるべき
根拠は何もないわけです。この問題についてはここで要約して申し上げると、ここ数年にわたって本
委員会で
論議してきたところであるわけです。
政府は、
恩給支給上
公務員でない
期間を
公務員に準じて扱うかいなかの基準は、いままでのことをまとめて申し上げると、その
機関が
国家機関に準じたものであるかどうかということ、それと
政府と
人事交流があったかどうかにあるということ、こういうことを再三議論してきた結果、その結果満鉄の本質は
政府機関であることは
政府も確認してきたわけです。従来。また、
日本政府は国策として必要な際には
命令によって大量に
朝鮮の
総督府
官吏——朝鮮の
総督府
官吏はこれは言うなれば
日本官吏であるわけですから、それと
人事交流を行なってきたのであるから、この点も
解決済みであろうと思うわけです。このことについては前から具体的に幾つかの例で申し上げてきたところです。また
政府は、
擬制だから厳格に取り扱わねばならない、こういうことも言ってきたわけですね。満・日、日・満・日、日・満も
擬制であることは全く
同一であったわけです。その両者の間には
最後の
論点であった、
満州転出の
政府の
要請に基づくか
自由意思で行ったか、いま御
指摘申し上げた点ですが、こういう点が最終的な
論点になってきたわけです。しかし、このことはいま私は強く御
指摘申し上げておるように、事実
誤認に基づく
判断であって、
判断の誤った
結論であることを御
指摘申し上げてきたわけです。このことは御了解いただいたものと思うわけです。そうだとすると、
現行法規内においてこの
均衡、不
均衡を是正するのは理の当然であって、日・満あるいは日・満・日と満・日との
区別をこのまま続けるべき
根拠は何もないわけです。そこでこの前もお伺いしたわけですが、よくわかったと、わかって不合理であると、しかし、
予算の
関係もあっていますぐここで御
答弁するわけにはいかぬが、前向きの
姿勢で緊急にこの問題と取り組んでひとつ
解決のめどをつけたいとか、そういう前向きの御
答弁があるとこちらも
理解ができるわけです。言ってみれば、やっぱり
予算を伴いますからたいした
予算ではないにしても、
予算を伴うという事実については変わりないわけです。そこで
恩給局長から、それならここでそういうふうにいたしますという御
答弁を期待しておるわけではないのです。いろいろ
事情もあるからひとつ前向きの
姿勢で早急にその線に沿うて
解決すべく最大限の努力をしたい、そういう
意味の御
答弁があってしかるべきだと思うのですね、この時点では。この点についてさらにお伺いしておきたいと思うのです。