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1966-06-07 第51回国会 参議院 内閣委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月七日(火曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      古池 信三君     船田  譲君  六月七日     辞任         補欠選任      林屋亀次郎君     塩見 俊二君      大河原一次君     山本伊三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 山本伊三郎君                 多田 省吾君    国務大臣        労 働 大 臣  小平 久雄君        国 務 大 臣  松野 頼三君    政府委員        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部会計課長    大浜 用正君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        労働省大臣官房        労働統計調査部        長        大宮 五郎君        労働省労働基準        局賃金部長    渡辺 健二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛施設週辺の整備等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日、大河原一次君及び林屋亀次郎君が辞任され、その補欠として山本伊三郎君及び塩見俊二君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 防衛施設周辺整備等に関する法律案を議題といたします。  本案は、去る五月二十七日衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。なお、本案提案理由説明は、去る四月二十七日に聴取いたしました。  それでは、これより質疑に入ります。  なお、関係当局の御出席は、松野防衛庁長官小幡防衛施設庁長官沼尻防衛施設庁次長財満施設部長大浜会計課長、以上の方々であります。  御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、この防衛施設周辺整備等に関する法律に関連して、以下若干質問申し上げたいと思いますが、最初に本論に入る前に、まずお伺いしておきたいのは、同じく基地問題である太田大泉米軍飛行場返還問題について、その後の見通しについてこの機会にただしておきたいと思います。松野防衛庁長官は、三月十七日であったと思いますが、当委員会で私の質問お答えになって、今国会会期中に返還めどをつけたい意味の御答弁があったわけです。返還めどは一体どのようになったか、そういうことをまずお伺いしたい。
  5. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 目下この国会中に解決めどを得たいと努力しております。三月以来いろいろ状況も変わり、変化もありました。変化もありながら、解決方向には努力しております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 三月十七日の当委員会で、そのときのことばで、今国会会期中ということになると、五月十八日で一応会期は切れたわけですね。その三月十七日の時点で論議されたわけですから、三月十七日の時点で今国会会期中というと、一応そのときは会期が大幅四十日延長になるということは、まだ毛頭どなたも考えていなかったわけですから、そういうことになると、もう期間が過ぎてしまったということにも一応なるわけですね。そこでお伺いするわけですが、この三月十七日から防衛庁長官としては、一体どのように努力せられたのか。また、当面の責任者である施設庁長官としてはどのように努力をなすってきたか、それぞれ具体的にひとつお答えいただきたいと思います。
  7. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 三月十七日以来候補地を二カ所以上、複数で移転先候補地の内定をしながら交渉を進めております。もちろん、そのときの模様は五月十七日までには国会が一応終了する、私ども関係法案も一応終了するという前提お話をしたことは事実であります。しかし、法案関係もその後延び延びになってまいりまして、やっと本法案が参議院において審議されるというわけで、国会延長になりましたが、私どもの予定もそういうわけでずっとおくれております。したがって、その後の見通しとして、本日お話しするまでにはまだ的確に結論を得ておりません。
  8. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 大臣からも御指示を受けまして、私も対米折衝を一段と強化してやっております。現在のところではまだ正式な返事はございません。そう遠くない期間目鼻をつけるように努力をし、また期待もし、成算も現在のところでは持っております。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいまも御指摘申し上げたように、この会期は大幅四十日延長されて、したがって、六月二十七日までとなったわけです。そこで、法案審議もおくれておるから、私の約束もおくれておる、これは何も結びついた問題ではないと思うのですね。これは基地返還問題と法案審議とはおのずから別個のもので、いまの長官の御答弁では理解しがたいわけです。そこで、そういう論議はとにもかくにも、六月二十七日まで会期延長されたんだから、この会期中にはぜひひとつ返還めどをつけてもらいたいということをここで要請しても、私は少しも無理ではないと思うのですね。決して無理なことを要求しておるわけでないわけです。こういう意味で、その決意でこの延長国会会期中にぜひひとつ目鼻をつけてもらいたい、こういう要諦を申し上げ太いと思います。これに対する長官としての御決意のほどをひとつ伺っておきたい。
  10. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この前、当委員会お答えしましたのは、移転先候補地をきめて、そしてそれに移転が可能であるように、この国会中にはイエスノー返事がある——要するに、この解決焦点移転先の問題であります。移転先の回答は、この国会中にはイエスノー見通しがつくでありましょう、そうすれば、おのずから解決がつくでありましょう、というお話を私はいたしました。それはその全部の解決というわけではない。移転先の問題が一番問題であります。移転先地元関係が円満にいくならば、それは非常に進むでありましょう。それはいつまでに見通しがつくか。この会期中にはイエスノーかはわかるでありましょう。なるべくイエスということ、いわゆる解決方向努力いたしますというわけで、全部の解決会期中に私がきめるというよりも、移転先の問題が焦点だったと私は記憶いたします。今日でも、その移転先の問題の解決は、六月中には私は大体その返事が来ると思っております。したがって、会期が延びましたけれども、私たちもやはり現地の方に会ったり、ある場合には現地を見たり、またお話をしたりしなければなりません。そういうことで、やはり法案をかかえておりますと、その作業が、あるいは私自身が動けないということがあって、非常にむずかしくなる。また、それで結局延び延びになった。そういうことで、私はこれは関係があると思います。いずれにいたしましても、近々のうちには移転先の問題の解決、そういう返事は来ると私は考えております。それによって段階は一段階進み得るのではなかろうか。もちろん、私は、期待としては、なるべくいいほうを期待したいわけですが、これはまだきまらないうちにだいじょうぶだという見通しはなかなかっきません。まあ何とか有望であるということについては、私はいまでもちっとも変わっておりません。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 おことばによると、移転先イエスノーかきまるのが今会期中である。しかしながら、移転先ことばをかえて、占うと、代替地の問題が解決すればあとはもうおのずから結論が出るわけで、問題は、代替地が完全にきまるかどうかという問題にかかってくると思うわけですね。したがって、そこにめどがあろうと思うのです。そういうことから言うと、在日米軍肢帯司令官であるプレストン中将は約三カ年の任期を終えて大体八月一日付で更迭になるというふうに聞いておるわけですが、この機会こそ、なお具体的に言えば、この最高司令官在任中に問題を解決しないと、新任の最高司令官が来て、また情勢の報告から、また白紙に戻って、いろいろ事情説明しなければならないので、そこに相当のまた時間が空費されると思うのですね。こういう意味から言うと、最高司令官在任中にぜひひとつ、どうしてもめどをつけべきである、こういうふうにわれわれとしては観測できるわけです。こういうことをも踏まえて、ひとつぜひその機会を逸しないように、さらに一段と御努力をしてもらいたい、こういうふうに要請するわけです。このことについてひとつお考えをいただきたいと思います。
  12. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 在日米軍の移動のお話内報は受けております。しかし、いずれにしても、この六月中には在日米軍の意向はそれはもう十分了察できます。ただ、問題は関係地元であります。したがって、焦点関係地元のほうに重点が今日置かれているのじゃないか。在日米軍のほうの了解は大体私は見通しはあると思います。問題は、国内地元民関係のほうが重点が多いと思います。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先日、地元の代表が早期返還について防衛庁長官を訪問していろいろと早期返還についての陳情があったと思うのですが、その際、長官から代替地が内定したという意味のことを私は聞いたわけですけれども、なおかつ、このことは、ここにも別物がございますが、昨日の地元の群馬県の地方新聞上毛新聞に、一面に大きく報道されておるわけです。したがって、こういうことが新聞などで報道されておるので、県民としても今度こそ早期返還が実現されるであろうというふうに解して、着々返還後の準備を進めておる、これが実情のわけであります。  そこでお伺いするわけですが、これは長官から、私は直接聞いたわけじゃない。この際、その陳情団に対して長官としてはどのようにお答えになったのか。出題は、ここで真相を確かめておきたいと思う。その点はいかがですか。
  14. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいまお示しの新聞記事は、私も拝見しましたが、この内容は、やはり新聞がある程度見通しを書かれたように思います。こういうふうなことじゃなしに、代替地を二、三今日見つけておりますと、米軍関係は大体了解を得られると思いますと。問題は、地元の方にこれを了解し、納得させながらやらなければ基地問題は円満にまいりませんと。したがって、関東地区の中においてなるべく民有地を避けて、新たに施設を設けずに、現在の防衛庁あるいは米軍の使用のところを候補地の中から選びながらやっていきますと。したがって、場所はどこということは言えません。この記事を見ますとある程度何か書いてあるようですが、これは私は推察であろうと思います。したがって、もうしばらく待ってもらいたい。あるいは移転先の方が、太田大泉に児に来られるかもしれません。そのときに、非常に危険なものであるという印象を持たれるならば、移転先であっても同じように危険はいやだとおっしゃるでしょう。そういうときはあなた方も協力して、危険だからというふうなことばじゃなしに、市街地がこれほど密集してきたから、なるべく移転をわれわれは希望しているのだという真相を見せていただきたいというふうな話をして、円満に、けっこうですという円満な話だったわけです。場所は私は何とも言いません、まあ関東地区ということは言ったかもしれませんけれども。そんなふうな話をしまして、まあ私を信頼してお帰りいただいたと理解しております。もちろん新聞記事はある程度推測的な、解説的な面も入っているようであります。そういうふうな話をいたしました。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、その陳情団に対して、新聞にはまあ「年度内解決のメド」とあるのですが、年度内年内といういずれかがはっきりしないのですが、いずれにしても、年内にしても年度内にしても、めどがつくということと、国会の場で私にお答えになっておるのは、どうもこの国会会期中と。そこのところをそういうふうに比較してみると相当のズレがあるのです。その点をどういうふうに解釈したらいいのか、その点を聞かせていただきたい。
  16. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 移転先の問題、米軍関係返事は、年内に、この国会中に私は見通しはつくのじゃないかと思います。ただ、その返還とか諸般のすべてが完了するには年内くらいはかかるでありましょうという話をしたわけです。手続上の問題もありますから、その余裕を見て私は年内というふうにお話をいたしました。それは、当委員会でこの国会中にはある程度の見通しがつきますという話を前提にすると、年内には円満解決見通しがつくでありましょうと、そういう、ふうな話を二つ合わせて私は申し上げたのです。これは必ずしも、まず一番問題は、この国会中にその移転先の問題が解決すること、これが第一前提であります。そうすれば、年内にはおそらくすべての手続は済むでありましょうと、この話と二つの話であります。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう情勢なので、明るい展望も持たれるわけですけれども、もうきょうは詳しいことは繰り返しませんが、ただ一つこの問題は、昭和三十四年、赤城さんが当時防衛庁長官のときから始まったわけです。そこで赤城さん時代も、三十四年のときのことばで、三十五年三月ごろまでにすると、そのあと江崎長官も、三十五年中には、それぞれ期日を明確にして返還できるようにするとお答えになっている。だから数えて松野長官は八代目だ。光栄ある八代目の長官であります。そこでひとつぜひ、もう大体七年かかって八代の長官にわたっておる。この辺でひとつもう解決しても早過ぎないと思う。早きに失することは毛頭ないことです。そこでぜひこまかいことはもう繰り返しませんから、ひとつ幸いそういう方向に行っておるようですから、今後会期中をめどにひとつ代替地めどをつけて、諸般の問題をも含めて、年内には完全に返還できるよう、一大決意をもって、八代目でこの問題は、ようやく松野長官のときに解決したと、そういうひとつ終止符を打ってしまうよう、そういう心がまえでやってもらいたいと思うのですが、この点に対する決意のほどをひとつ伺って、この問題に関する私の質問を終わります。
  18. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ぜひ実現できるよう最大の努力をいたします。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは一応この問題を置いて、次に、法案自体について、以下順を追うてお伺いしたいと思いますが、まずお伺いしたいのは、本法律案提案経緯について、まず順序としてお伺いしたいと思います。  この基地基本法制定を要望する声は、私は、従来から関係地域住民あるいは関係地方公共団体側から強く政府に働きかけてきておるところです。この法案立案についても、かかる要望にこたえて、基地周辺の民生安定ということで、その基本となるべきものとして作成されたと思うのであります。ただ、ここで指摘しなければならないのは、その内容が問題だと思う。内容を見ると、まことに基本法の名に値しないものだと断定せざるを得ないわけです。問題は内容です。この立案経緯はそういうことで了解できるわけですけれども、大事な内容がどうもお粗末に失するのではなかろうか、こういうふうに指摘せざるを得ないわけですが、この点をひとつお聞かせいただきたい。
  20. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今回のこの法案制定の経過は、御承知のごとく、多年関係基地周辺住民の方から非常な希望があり、国会においても常に希望が出ておりました。今日まで延び延びになりましたのは、さて法案制定するとなると、多種多様で、しかもその行政が多岐にわたりますので、いままでは要するに幹事会とか、行政措置をもって今日までやってまいりました。今回思い切って基地周辺立法をいたしまして、私も驚きましたが、各省にまたがるものが非常に多いと。はたしてこれは防衛施設庁で担当するのが妥当であるかどうかという議論さえ実は出てまいらなかった次第であります。しかし、各省の協力を得まして、いずれにしましても、行政横割りじゃなくて縦割りでいけば、防衛施設庁であるというふうな実は議論さえ出たくらいむずかしい法案であります。そのために、特徴としては政令事項が非常に多くなっております。法律に書くには当てはまらない、または確定するよりも政令的にその場その場における判断が必要であるという意味で、この法案特徴政令事項が非常に多いということが第一に指摘されます。  第二番目には、行政でやっておったのだから、行政でやればいいじゃないかという議論も出てまいります。しかし、行政措置は常に予算に制約をされる、したがって、そのものが常に陳情によってあるいは予算の編成によって入ったり入らなかったりする、公平、不公平が生まれてくるということが、今回立法する特徴だと私は思います。  もう一つは、いままで米軍にこういう特損法、自衛隊にはこれがなかったじゃないかという均衡論も出てまいります。そういう問題を今回特に書き抜いて、公平な行政と必要な権利、必要な義務を明確にすることが、基地問題の解決一つ基本じゃなかろうかということから立法いたしまして、あらゆる場面においていろいろ御不満もあるかもしれません。私のほうからいくと、あらゆる場面を実は想定して、この政令ということばにある意味においてはゆだねたことによって、いろいろな運営が、逆に言うなら地元民の思わざる事件、いままでかつて経験のなかった新たなものも、政令によって救われるという特徴を生かすならば、この法案は、私は手の届く、かゆいところに手の届くような運営ができるという自信を持って今回提案をいたしました。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昭和三十七年に自民党でつくられたいわゆる赤澤試案ですか、これを見ると、この法案に比較して、はるかに基本法としての体をなしておった、そういうふうに見受けられるわけです。この点、長官としてはどうお考えでしょうか。
  22. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私も赤澤試案を、明確にはまだ法律事項として出ておりませんが、赤澤試案の思想よりも、ある意味においてはもっとひいでておると思います。赤澤試案でものめなかった点を今回の法案は実はのみ得る道を開いておる、赤澤試案のときにはなかなかのみにくかったところがたくさんあります。それを今回は政令という道でのみ得るような道を逆に開いておる、私は基本的にいって、赤澤試案よりもあるいはある意味においては前進しておるのではないか、赤澤試案の、当時の試案を発表した赤澤自身が、今回の法案はよくあそこまで踏み切ったと、私は、おほめのことばを実は個人的にわざわざ喜んできてくれました。しかし、ここには私よく覚えておりませんが、その意味においても、赤澤試案よりもある意味においては前進しておるのではないかと思います。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もし長官、ほんとうに心から赤澤試案よりも進歩したものだというふうに考えておるのだとすると、これはたいへんな間違いをおかしておるのではなかろうかと思うのです。この三十七年の暮れに赤澤試案を検討した際に、これはだめだ、基地行政立法措置をとらないで、いわゆる従来どおり行政措置ケースバイケースでいくのだ、こういう線をその当時はきめられたわけでしょう。この赤澤試案がいいとか悪いとかということもさることながら、この時点ではとにかくケースバイケースでいくのだ、行政措置でいくのだ、そういう基本方針内閣はあったわけです。ところが、昨年になってから急に態度が変更して、立法化の線に踏み切ったわけですね。したがって、この赤澤試案内容を比較するとまことに中途半端なもので、どうも一歩前進どころか、数歩後退しているのではないかと私どもが見て指摘せざるを得ないわけです。赤澤試案が採用されなかったのはそういう事情もあったわけですね、ケースバイケース行政措置でいこう、こういう内閣基本方針があったから取り入れられなかった、こういうことを指摘しているのですが、赤澤自体からおほめのことばをいただいたというのはどうも納得できないわけです。
  24. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 赤澤さんは赤澤試案基本として立法しようとして努力されました。しかし、その当時はその成案を得なかったのです。赤澤さん非常に努力されたけれども、その当時としては立法措置まで前進をしませんでした。したがって、赤澤さんとしては試案の発表のままで実は成案を得なかった、その点について今回成案を得て、赤澤試案で非常に苦労した点が今回救われたという意味の実はおほめのおことばであったと私は思う。赤澤試案と今回の立法と、かりに赤澤試案法律として制定された場合、今回の法律とこの二つを比較されればまた別の意見が出ましょうが、ただ、あれは試案成案は得ませんでした。それで長い間赤澤さんは赤澤試案を抱えて苦労された。それで、今回そこまで踏み切れなかったものまでよく入れてくれたとおほめのおことばをいただいた。しかし、赤澤試案と今回の立法と比較すれば批判は出ましょうが、しかし、赤澤さんは試案よりもその成案を縛るために努力されて、しかし成案を得ませんでした。その意味で今回立法化に成功したことについては、赤澤試案が非常に功績があり、また、本人も非常に喜んでおられた。その意味で、私には激励と喜びのことばを寄せられた。多少私の答弁質問が食い違っております。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでお伺いしておきたいのは、この赤澤試案の欠点は一体どういう点にあるのかということです。これは三十七年の十二月に基地問題等閣僚懇談会があったようですが、そこで決定になったのかどうか、その反対理由としては膨大な予算を要することになるので、反対でいれられなかったのか、それとも各省反対が強かったために取り上げなかったのか、いろいろ観測できるわけですが、この点を明確にしていただきたい。
  26. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) その当時の印象は、赤津試案はやっぱり行政が非常に各省にまたがり過ぎておる、そのために各省意見か必ずしも一致しなかったというのが基本的であります。  もう一つは、問題が非常に変化がある、固定された問題じゃない、その基地その基地における状況が非常に違う。したがって、これを立法化して明文化するにはよしあしがある、拾われたところと拾われないところが出てくるのじゃないか、この二つ赤津試案が実は成案を得なかったので、その当時としては、それでは行政措置でやろうじゃないか、ケースバイケースでやろうじゃないかというふうに私は方向がきまっておると記憶しております。  そういうものが非常に今回参考になりまして、各省もわりにいろいろな問題を大きな意味で含めて、政令事項というものがその中に入ったのはその結果であります。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしておきたいのは、昭和四十年——昨年ですか、昨年になって立法化に踏み切るということに変わったのですが、これは、そういう政府の態度は何ゆえそういう基本的な態度が変わったのか、その点を明らかにしていただきたいと思いますが、池田内閣から佐藤内閣にかわったためというのか、それとも政府ことばをかりるというと、関係地方公共団体の要望が強くなったからということを言うておるようですが、この地方公共団体の要望は、前から依然として変わりなく続けられておると思うのです。昨年になって要望が強くなったということでなく、三十七年、むしろそれ以前から変わりなく続けられてきておる。したがって、ここには意味はないと思う。したがって、ここでお伺いしたいのは、こういうことよりも、他に政治的理由があったのかどうか、もしあったとすればどういう事情なのか、この点を明らかにしていただきたい。
  28. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 基本的には当然情勢がそこにも熟してきたということが第一点です。その根拠としては、米軍施設というものが、自然に、自衛隊の要するに使用転換、自衛隊の使用転換というものが非常にふえておる。また、共用的なものがふえておる。特損法米軍に対して適用されて、同じ性質の自衛隊に適用されないということが一つの問題点となりまして、今回もそれが大きな私は情勢が熟した原因だと思います。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この赤澤試案と本法案とを試みに比較してみますると、赤澤試案のほうが基地周辺対策地域の指定、そういうこととか、基地周辺対策計画の決定あるいは基地周辺対策審議会の設置、こういうことを義務づけておって、はるかにこの法案よりは強力なものとなると解せられるわけです。この点はいかがですか。
  30. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) ただいま赤津試案の中でお述べになりました基地周辺の特定地域の決定という点につきましては、赤津先生のほうでは、飛行場とか演習場という具体的に特定地域を指定するわけでございますが、本法では障害施設というものを障害を中心に政令で原則的にきめるということでございまして、先ほど松野長官からもお答えになりましたように、この政令を弾力的に適用することによりまして赤澤試案よりはこの点はフレキシブルな形がとれるんじゃないかというふうに考えております。  それから都道府県知事の計画の調整という点につきましては、われわれのほうで十数年基地関係の要望はいろいろと承ってきておりまして、大体もう自衛隊、米駐留軍施設を通じまして、飛行場の基地についてはこういう要望、あるいは射爆場についてはこういう要望というふうなものは、その基地の性質に応じて大体もう定型化してまいっておりまして、個々に例外はございますけれども、ほとんどその要望というものは八割ないし九割までは、突発的なものは例外としまして、定型化しております。したがいまして、そういうものを列挙して法律に盛り込み得るものは法律に盛り込みたい、また、政令に盛り込み得るものは政令に盛り込む、なお、将来起こるかもしれぬ新しいものにつきましては、フレキシブルな余地を政令に残しております。  最後に審議会の問題、これにつきましては、赤澤試案では、審議会をつくりまして内閣が強力にやるという点では非常に価値のある一つ提案と思いますが、一気にそこまで行政機構の中でこの問題をやるということにつきましては、たとえば経済企画庁が各省経済を統制するというところまでいく前に、現在すでに基地閣僚懇談会とかあるいは特別幹事会とかいう次官会議のメンバーをもって構成するいろいろな行政的な機関が基地問題でございますので、そういうところで十分利害の異なった各省意見を反映する場がございますので、防衛施設庁あるいは防衛庁が幹事役になりまして、利害の違った各省意見を十分聞くということで調整できるものという確信を持ちまして、赤澤試案にある審議会というものを本法では特に採用しなかった次第でございまして、赤澤試案とのこのおもな差異は、そういうふうに、十分赤澤氏の意図も尊重しながら調整した結果でございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいま私がお伺いしたのは、赤澤試案のほうが本法案に比べてはるかに強力であるということを申し上げたわけですが、今度は逆に本法案を見るに、赤澤試案に比べて非常に大事ないいところは、みんな骨抜きになっているのではないか、こういうふうにわれわれとしては考えるわけです。たとえばいままで行政措置でやってきたことを法文化しただけではないか、まあ新しいものとしては全然ないわけではない、四条の規定があるわけです。これはいままでになかった新しいものと見られるわけです。それにしても、どうしてこういうことになったのか、対策地域の指定、いま施設庁長官から御答弁がございましたが、対策計画の決定、審議会の設置、こういう構想が捨てられたということは、どうも一歩前進どころか、数歩後退ではないかと思うわけです。こういう構想は取り入れてしかるべきだと思うのですが、いま施設庁長官からそういうことについても御指摘があったわけですけれども、どうもこういう点をなぜ取り入れなかったのか、こういう点をさらに御説明いただきたいと思います。
  32. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 同じようなことを繰り返すことになりますが、赤澤試案というものを十分われわれも検討いたしまして、それが何回となく各省の特別幹事会でも論議の対象になりました。その結論といたしまして、先ほど申しましたように、周辺地域の特定というものにつきましてはどこどこというふうに、具体的に特定せずに、障害のある施設という幅のある表現でフレキシブルに運用するように、むしろその点は改善したということが一つ。それから都道府県の知事の計画の調整というものも、これも申しましたように、もう非常にたくさんの御要求も承っております。定型化しておりますので、政令にうたい込めるというものが大部分でございます。うたい込めないものは若干政令で伸縮の余地を残して規定するということでございまして、十分に調整がとれるということが第二点であります。それから審議会につきましては、先ほど申しましたように、各省の次官をもって構成される特別幹事会と、閣僚懇談会と、いろいろ建設省は建設省、農林省は農林省、厚生省は厚生省というそれぞれ出先の意見を反映された意見がその場所で述べられますので、行政部内におきましては、相当高い行政的な政治性のもとで、基地の施策があやまちないように、十分論議し尽くされるという保証がございましたものですから、特に審議会というものは、今回は法案として採用しなかったというのが実情でございます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案については、昨年九月以降、いま御指摘のあった基地問題閣僚協議会、特別幹事会ですか、あるいはその下の小委員会、こういうところもあるようですが、こういうところで本年三月まで検討してきたとのことでございますけれども、その検討段階の問題点、あるいは経過等の点について、ひとつさらにお伺いしたいと思いますが、その間に関係の都道府県市町村、あるいは関係住民、こういうものの意見をどういう形式で、どういうルートで聞いて、そうしてこれを本法に反映さしてきたのか、こういう点が明確でないのですが、この点はいかがですか。
  34. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 地元意見を実はもう十数年来承っておりまするのに加えまして、法案を提出する直前の約一年というものは、非常にたくさんの御意見を聞いております。ことに渉外関係都道府県の会長でありまする神奈川県あたりからは、それを代表する意見も出ておりますし、また、私自身も各地の基地を持っておられる市町村長方と一堂に会しまして、いろいろの御要望を承りました。その席でいろいろ考えさせられまして、法案制定の段階で考えて考慮した事情もございます。そういったことも反映いたしまして、また、各省各省なりに、それぞれ地元意見も聞いておられまして、特別幹事会でわれわれの意見のみならず、建設省は建設省の筋を立てての地元陳情、あるいは農林省は農林省の筋を立てての地元陳情、自治省も同じく地方自治の要望というようなものを十分に反映されまして、実に特別幹事会も十数回にわたりまして開催されまして、ほとんど一つ法案で、私の経験ではこれほど各省が一堂に会してたくさんの意見を持ち寄って調査した例は数少ないと思われるくらい真剣に検討された法案でございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、神奈川県知事を責任者とする関係都道府県、市町村、こういう意見等については、どの程度取り入れたかはこれは別として、ある程度意見を聞いておったということは理解できるわけです。ただ、その地域の住民意見としては別に聞いていないのでしょうか、その点にも触れて御答弁いただきたい。
  36. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 地域の住民の方の御意見はこれは非常に多種多彩でございます。一番主たるものにつきましては、おそらく都道府県連合会はその集約した集中的な要求を持ってきておられると考えております。第二に、直接、地方の市町村長につきましても、私先ほど申しておりますように、基地を持っておられる近辺の地元の市町村長あるいは県会議長というような方々と一堂に会しまして、数十名、北から九州まで、全部この法案についてのディスカッスをしたことがございまして、またそれ以外でも、散発でございますけれども、個々の問題につきましてそれぞれ直接訴えがございました。そういった御意見をほとんど聞きまして、そのうちの採用するものは採用したというのが実際の経緯でございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしたいのは、この法案をつくられる過程において、各省意見調整をやってきたと思うのですが、その経緯、その過程において、最も難航した問題点というのは一体どういう点であったか、そういう点をお聞かせいただきたい。
  38. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) その最も代表的なものは、自治省の地方交付金というものを私たちの考えております第四条の周辺整備の助成の補助とどういう関連で扱うかという問題が一つの典型的なものであっただろうと思います。それ以外はこまかい問題ですが、おもなものは、補助率につきまして、大蔵省当然のことながら、補助率につきましては、具体的事案についてそれぞれ意見があるということは当然でございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここに具体的な問題を一つお伺いしておきたいのですが、この基地交付金がこの法案からはずされておるわけですね。これは一体どういう理由ではずされてしまったのか、その点をお聞かせいただきたい。
  40. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 当初は、われわれの原案では、基地交付金もこの法案に一緒に入れまして、周辺整備助成補助と両輪のごとく運営するのが最もいいと事務的に考えたのでありますが、自治省あるいは各省意見もいろいろ推しはかった結果、地方交付金は本来どちらかと言いますと、その施設の存在する場所を管轄する市町村に対しまして実際の運用の姿を見ておりますと、固定資産の評価の見合いである程度の基準を設けて自治省が交付金を配分していくというのが実情でございます。その施設がどういう迷惑をその周辺に及ぼすかということは一応考えずに、原則としてその施設にある固定資産というものを対象としてその見合いの結果を一つの算式で出しまして交付しているというのが実情でございます。ところが、私ども考えております周辺整備の助成補助は施設をそういった静的につかまえるのではなくして、もっと動的にその施設が飛行場であるか、射爆場であるか、つまりどの程度周辺地区に迷惑を及ぼしているかという点を中心につかまえたものでございます。したがいまして、迷惑がその施設を管轄しておる市町村以外のところに及ぶ場合も考えて、相当広範囲に考えるという前提に立っておりまして、まあ一言にして言いますならば、自治省の交付金のほうは静的に考えて、その施設の所在地だけの市町村に出す。私のほうは動的に考えて、その施設の迷惑を及ぼしておる周辺市町村にまで範囲を広げて出すという差がございます。そういう点もいろいろ勘案いたしまして、今回はそういう差異もあることでありますので、地方交付金はそのままにしまして、周辺整備のほうだけをこちらに入れまして、両省の協議によりまして政府全体としては運営に支障のないようにやっていくということで話がきまりまして、こういうふうに落ちついたのであります。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお関連してお伺いしますが、特損法がございますが、この特損法とは別建てとして、特損法は現行のまま残しておくことになったようですが、これは一体どういうわけなのか。別建てとしておけば、従来から問題となっておる米軍基地と自衛隊基地との取り扱いの差が依然として残ることになろうと思うのです。まあ本法の第二章に同趣旨の規定があるわけですけれども、それを認めながらもなお依然として取り扱いの差が残ることになろうと思うのですね。この点についてひとつ御説明いただきたい。
  42. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) ただいまのお話のように、この機会米軍特損法と自衛隊のやはり特損的な系統を一緒にして入れるべしという意見もございました。しかし、いろいろ審議しております過程におきまして、米軍特損法というものは一つの歴史的な存在になっておりまして、今日あのような法律をつくるとすればこうなるといういろいろな意見はございますけれども、今日から見ますと実体を伴わないような規定も法律にございますけれども、ひとまず、そういうものを法律にきめて住民にそういう権利を与えておるという歴史的事実は、やはり法律技術的な理由をもっては直ちにくつがえすことは妥当でないという意見に従いまして、自衛隊のほうは法律政令等を整理いたしまして、実質においてはそう変わりございませんけれども法律政令とあわせてお読みいただければそう変わりありませんが、たとえば特損法法律にあるものが自衛隊のほうでは政令に入ったりしておりまして、実質は変わりございませんが、そういったふうに今日つくればこのほうが法律的に正しいというものを本法に盛り込んだわけでございまして、特損法を残しましたのは、それなりに歴史的な意義があって、たとえ実体が非常に薄くなっておりましても、国民一般が権利というふうに思い込んでおるものを法律的に不備だといって訂正することは妥当を欠くという見地から残した次第であります。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 米軍基地と自衛隊基地との取り扱いについては、また後刻お伺いする問題とからめてお伺いしたいと思いますが、そこで次にお伺いしたいのは、本法案内容についてですが、まず本法案基本的な問題について二、三お伺いしたいと思いますが、まずお伺いしなければならないのは、いわゆる政令委任事項が非常に多いという点ですね。これは松野長官も認められておって、だから政令によって運営の遺憾なきを期し得るのだと、逆にうまいことおっしゃっておるわけですけれども、ここに一つ問題があろうと思うのです。これはまあいままでにない政令の多いことは一つの特色だと思うのですね、本法案の。この点については、本会議における私の質問に対して佐藤総理の答弁でも、本法律案考えられる障害が多種多様であり、その防止についても実情に即した処置をとるため、どうしても政令に譲らざるを得ない、こういう意味答弁が私に対して本会議であったわけです。しかし、ただ単に政令が多いということだけではないわけです。この内容的な事項をすべて政令に譲られている、ここに問題があろうと思う。政令の多いということも問題ですけれども、さらに内容的な事項がすべて政令に譲られている。ここにも問題が一つ出てくるわけです。したがって、本法案の成否はすべて政令内容いかんにかかっているとも言えようと思うのです。こういう点から本法案審議にあたって当然政令案が同時に出されてはじめて審議ができると思うわけですね。ことほどさように政令案が多いということ、ことにまた内容的な事項もすべて政令にゆだねておる、こういう点が一つの大きな問題点だと思うのです。この点についてひとつ御説明いただきたい。
  44. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) これは伊藤先生が本会議で御指摘がございましたとおり、政令が多いことは事実でございまして、私が数えましても十五の政令がございます。ただしかし、その政令内容はただ単に無方針で政令にゆだねたわけではございません。一例を申し上げますと、たとえば障害防止工事の助成という第三条につきましては、五つのうち四つまでは法律に列挙してございます。最後の一つが「その他政令で定める施設」というふうに、将来あらわれるであろう多彩なものを予期して安全弁として残しておるわけでございます。こういった政令相当多い点、それからもう一つは補助率でございます。補助率はこれは各省でも政令で定める例がございますので、こういうものはやはり時代とともに、また当事者の努力によって変わり得るものでございますから、政令にゆだねる。おもにそういう点が政令でございます。おっしゃるように、相当政令によって努力しなければならない点がございますけれども、決して無方針に政令にゆだねてそのまま安住しているという法律ではございません。御了解願いたいと思います。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この政令案にはだいぶ大蔵省との折衝が進んでおって、大かた方向は出たというふうに聞いているわけです。したがって、いま少し時間を置けば全面的に大蔵省との折衝が完了するであろう。したがって、この政令内容については次回あたりにお伺いすることとして、しばしこの問題をそのままたな上げにしておきたいと思うわけです。  で、時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いしておきたいのは、本法案基地周辺の対策予算について、こういう問題にしぼって一点、お伺いしておきたいのです。この法案では繰り返し申し上げましたように、政令の委任事項が多いのみではなく、随所で予算の範囲内でということばが使われておるわけです。予算の範囲内でという、これは一つの制限ですね。出そうと思ったけれども予算がないからという、まことにこれは巧妙な一つの措置だと思うのです。予算の範囲内。非常に協力するかに見えて、だがしかし、がつくわけです。だがしかし、予算の範囲内、これはまあ予算をあまり使わないようにするためにはもうまことに有力な武器であるわけです。この点から今後の本法案の成否は今後の予算措置いかんにかかっておるということも言えると思うのです。この法律案を契機として、今後さらに積極的に基地周辺の対策の強化に乗り出すというふうに政府は言われておるわけですけれども、いままでの基地関係地元民の要望をもととして算定した場合、本法施行後、それから将来いかほどの予算措置が結局必要とされるのか、その総額は大体、大よそでけっこうですが、どのくらいになるのか、この政府の推定額について承っておきたい。
  46. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) まず最初に、本年度の予算を申しますと、防衛施設庁としては二百十億が総額でございますが、そのうちで本法関係のものは百十二億でございます。将来の見積もりいかんというお話でございますが、これはまた第三次防の決定を見ないうちは確たる御返事は申し上げかねますが、いまの腰だめで一つの、この程度ならばというこちらのほうの希望も含めた一つの見積もりと申しますと、大体年によっても違いますけれども、一年平均の施設庁の予算としまして二百五十から三百ぐらいのところが数年続くのではなかろうか。このうちの六割が本法関係予算として落ちつくのではないだろうか、こういうふうな見当をいたしております。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、いま御指摘のあった推定額をおも立った項目に分けて、たとえば防音、防災あるいは民生安定措置あるいは安全対策事業あるいは損失補償関係、こういうふうに分けて、ひとつどのくらいになるかということを、概要でけっこうです。それとあわせて過去においては、この予算措置で行なわれてきた額は、こういう項目別に大体過去はどうであったか、そうして今後の推定額はこうであるという、そういう比較も必要であろうと思いますから、その点を明らかにしていただきたい。
  48. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 大体本法関係で関連ある推定の根拠としておりますのは、たとえばことしの百十二億の本法関係予算の内訳を申しますと、騒音対策が六十億、防災関係が二十億、道路関係が十三億、周辺整備として新たにとった予算が五億、それから集団移転関係の、予算だけでございますが、十四億、計百十二億で、損失補償は二、三千万円でございまして一億以下でございますので特に申し上げません。将来二百五十ないし三百の中の六割と申しましたのは、この項目が約六割ということでございまして、過去につきましては財満施設部長からお答え申し上げます。
  49. 財満功

    政府委員財満功君) 過去の実績について申し上げますと、防音につきましては二百二億でございます。それから集団移転につきましては二十一億五千万円、それから防災につきましては三百五十五億一千五百万円でございます。それから周辺対策につきましては二億七千万、いわゆる特損補償につきましては約十三億、したがいまして補助に関しますものが五百八十一億、補償に関しますものが約十三億、計五百九十四億、こういう実績に相なっております。
  50. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは午前はこの程度とし、午後は一時三十分より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  51. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) これより委員会を再開いたします。労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案質疑を行ないます。  なお、関係当局の御出席は、小平労働大臣、辻官房長、村上労働基準局長、和田職業訓練局長、以上の方々でございます。  御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いしたいと思います。  四十八国会で、時の石田労働大臣は、労働問題懇話会などについては国会会期中に廃止する旨言明があったわけですが、その後いかようになったか、まずこの点からお伺いいたします。
  53. 辻英雄

    政府委員(辻英雄君) お話のように、労働問題懇話会は、昨年の五月をもって正式に廃止手続を終わっております。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間がありませんから、重点的にしぼってお伺いいたしますので、御答弁もひとつ要領よく簡明にお答えいただきたい。  次にお伺いしたいのは、中高年齢層の雇用問題について——若年労働力の不足の声が高いわけですが、そのかげに隠れて中高年齢層の雇用については完全に行き悩んでおるのが実情であろうと思うわけです。このことについては、定年の問題もこれにからんでくるわけですが、大体定年制度はまだ正式にはやっていない面もありますが、実質的には大体五十五歳くらいということになっておりますので、これとの関連で——。五十五歳以上の人たちの雇用はもうほとんど絶望的であるとさえ言えると思うのです。特に昨今のような物価高あるいは不況の情勢の中にあっては、定年退職後なかなか生活の楽でない、むしろ生活にあえぐ気の毒な方も多いわけです。このことに対して労働省としてはどのような対策を打ち立てておるか、その点についてお伺いしておきます。
  55. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 中高年齢者の雇用の問題でございますが、確かに先生御指摘のとおり、一方においては若年層の人たちの不足という問題があり、一方においては中高年齢者の就業困難、こういう問題がございます。そこで、この四十年十月現在で申し上げますと、三十五歳以下では、大体求人者が求職者に対してこれが三・一倍になっているというような状況でございますので、中高年齢者の就業はなかなか容易でないという現状にあることは事実でございます。特に先生御指摘の、世上一般のいわゆる定年退職者も御指摘のとおり、五十五歳以上くらいでございましょうか、こういう方々の就職になりますと、よけい困難である、こういう状況であることは事実でございます。そこでこの問題につきましては、民間団体などとも話し合いをいたしまして、雇用促進のための協議会等を持ちまして、中高年齢者にどういう適職があるかというようなことにつきましても、七十数種類だったと思いますが、職種を選定していただきまして、これらに極力中高年齢者を雇ってもらうようにPR等をし、民間団体の協力を仰いでいるわけでございます。もちろん政府としては、これらの方々への職業指導なり、職業訓練なり、こういうことに力を入れてやっておりまして、中高年齢者がその技能に応じ、あるいは経歴に応じましてなるべくすみやかに就職できるようにということで努力をいたしているのでございます。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このことに関連して定年制については労働大臣としては一体どのようにお考えですか。
  57. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 定年制の問題でございますが、私は結論的に申しますと、定年制というものはむしろできるだけと申しますか、ある程度と言ったほうがあるいは適当かもしれませんが、延長をしろ、さるべきであるという、こういう考えを持っております。と申しますのは、申し上げるまでもなく、大体日本人の寿命が御承知のとおり、近年非常に延びまして、男性で平均寿命は六十九歳とか、こういうぐあいにもう十年前、二十年前に比べましたならば相当平均寿命、それが伸びてまいっておる。また、活動力もしたがって伸びておるということですから、以前のような五十五歳程度で職を離れるというようなことは今日の日本人の寿命から考えても必ずしも適当でないところに来ていると基本的にはそういう考えを持っております。ただ、これは逆に申しますと、なぜ日本では定年制ということが行なわれるであろうかということを考えましたときに、これは全体としての労働力人口というものが昔は多かった。そういう関係から申しますと、年配者にはある年齢に達したならば職を退いてもらって新しい労働力を吸収していくということもございましたろうし、あるいは日本の賃金制度については、私はこれも一つの大きな定年制をしいた原因ではなかったろうかと実は考えております。いわゆる年功序列型で年をとればとるなりに、これはもう技能にはもちろん全然関係ないとは申しませんが、それよりもむしろ年齢を重んじて、賃金がきまっておった。そういうことから企業者とすればなるべく賃金関係のコストというものは下げていこうという配慮もあったことは事実であろうと思います。そういう点で私としては、一方においては定年制というものを、この年齢を引き上げると同時に、一方、在来の賃金制度というものについても再検討する必要があるのではないか。いわゆるこの技能に応じたそういう賃金制度というものに、やはり逐次これも同時に切りかえていく必要があるのではなかろうか、こんなふうに実は考えております。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 やはり何といっても定年制を考える場合には、たとえば退職手当とか、あるいはまた、恩給、共済年金、こういう面についても十分検討して老後の生活安定をはかるということが先決でなければならないと思います。そういうことをたな上げしておいて定年制をしこうということについては大きな誤りがある、こういうふうに考えるわけです。そういうことがまた中高特に高年齢層の雇用の安定という問題にも通じてくると思うんです。この国会でも地方公務員の定年制がどうこうされるやに見受けられたわけですが、各方面の強力な反対もあって一応取りやめになったわけです。いずれにしても定年制を考える場合に、まず老後の生活の安定という、ここに抜本的な改正をして老後を何ら定年制をしかれても心配がない、むしろ定年制の年齢もさることながら、そこに大事な問題が一つあるということを労働大臣は十分確認をしていただきたいと思う。なお、一昨年の九月の閣議で、人口構成の高齢化に対処するため、中高年齢層の雇用を促進して労働力を有効に活用することが肝要だと、こういう観点から今回、この国会に出されておる雇用対策法、これは高年齢層のための雇用率を設定しておるわけですが、実行の見込みは立っておるのかどうかという一点だけをここにお聞きしておきたいと思います。
  59. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 今回御提案申し上げております雇用対策法におきましては、中高年齢者についての雇用率の設定ということができることになっております。ただし、これは強制力は持たせないたてまえになっております。そこで、これを確保できるかどうかというお尋ねでございますが、この点につきましては、労働力全体が不足基調に向かいつつあるということを背景にいたしまして、また、一般の使用者の側における考えというものも、これももちろん時代とともに変わってまいるのでありましょうし、この法律が通りましたならば、労働省としましても十分趣旨のあるところを説明し、一般の御理解を得て、ぜひ確保するように努力をいたしていきたい、こういう考えでございます。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 官公庁関係で身体障害者、それと中高年齢層のいわゆる雇用率を目標として定めておると聞いておるわけですが、もしそうだとすると、現状については一体どうなのか、これを概要だけをちょっと……。
  61. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 身体障害者につきましては、官公庁関係における雇用率は事務系が一・五%、それから現場系統が一・三%というふうにきめられておりますが、昨年の十月時点で大体目標率を達成しております  それから、もう一点の中高年の雇用の促進の問題でございますが、先生御指摘のように、三十九年の九月に官公庁における中高年の雇用の促進についての閣議決定をいたしました。このとき現在の状態が職種を三十四職種設定いたしまして、対象人員がたしか十七、八万あったと思います。これを職種別に分類をいたしまして、最高は九五%まで中高年の方々で充足していこう。それからその次が八五%、それから三番目の目標が六五%、こういうふうな類型別に目標を設定いたしまして、現在三カ年計画で達成に努力をいたしております。今日時点ではまだこれが三グループの平均におきまして中高年の雇用率が六〇%ちょっとのところにとどまっておりまするけれども、最終目標は六七、八%まで上げていこうということで鋭意努力中でございますので、三カ年計画の実施が終わる時点においてはこの雇用率の達成をはかってまいりたい、かように各関係省に督励をいたしまして、いま努力中でございます。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは最後に、最賃法について一、二お伺いいたしますが、この最賃法についてはすでに北村委員から先般御質問があったようでありますので、なるべく重復を避けて、違う角度から二、三の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  大体、最賃法の現状はどうなっておるのか。最初はとにかく業者間協定による最賃法については各方面から非常に不評であったと思うんですが、現在一体どうなっておるのかということと、なお、このことに関連して、最近決定の方式がいわゆる業者間協定による賃金決定にあたって、労使対等の立場で賃金がきめられるという原則に立っていないわけですね。こういう原則が無視されている。こういう限り対等の立場でなく、賃金が一方的にきめられるということが改められない限りは、いわゆる適正な賃金とはなり得ないというふうに思うんです。したがって、このことはILO二十六号条約並びにILO三十号勧告に根本的に違反しておると思うんです。このことに対して労働省としては一体どういうふうにお考えですか。
  63. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 最低賃金の実施状況につきましては、先般北村先生にお答えしたとおりでありますが、概要は昭和四十一年三月三十一日現在におきまして、いわゆる業者間協定に基づく最低賃金が千九百十七件、四百五万人、また業者間協定に基づく地域的最低賃金——地域的に拡張いたしましたものが二百二十三件、七万人となっております。そのほか労働協約に基づく地域的最低賃金が六件、十六万人、またいわゆる職権方式といわれます最低賃金審議会の調査審議に基づく最低賃金といたしましては、石炭鉱業と金属鉱業の二件、十二万人という数字にのぼっておりまして、総件数といたしましては二千百四十八件、適用労働者四百四十万という数字になっております。これらの各種の最低賃金実施の展開につきましては、昭和三十八年八月の中央最低賃金審議会の答申に基づきまして実施をいたしておるわけでございまして、業者間協定方式のみならず、いわゆる職権方式をも含め、各方式の活用をはかるということが答申でも示されておったのでありますが、今月に入りまして地方最低賃金審議会でいわゆる職権方式によって決定されたものが千葉県で一件決定されました。幾つかの県におきましても、地方最低賃金審議会における調査審議を経ましていわゆる職権方式による最賃の決定の機運がいま動いておるような状況でございます。このような実施状況の過程におきまして、御承知のように、全国全産業一律方式であるとか、その他いろいろの点について意見がございます。先生御指摘の業者間協定方式が労使対等という立場での賃金決定方式ではないのではないかという意見もあるわけでございます。当初労働省といたしましては、業者間協定方式も、申請をするのは業者間協定方式によるのであるけれども、最低賃金そのものの決定は、三者構成による最低賃金審議会において調査審議して、その結果に基づいて決定するものである。しかも官報に告示いたしましたものは、すでに業者間協定そのものではなくして、いわゆる最低賃金といたしまして法的な効力を持つものであるという理解を持っておりましたが、いろいろな御意見もございますし、昨年八月中央賃金審議会に対しまして、決定方式としては、全国全産業一律方式、産業別、職業別方式などいろいろな考え方がある。ILO第二十六号条約と関連をした問題についてもいろいろ御意見がございます。そういったものも含めましてわが国の実情に即し、実効ある制度を検討していただくように、中央最低賃金審議会に諮問をいたしたところでございます。現在同審議会におきましては基本問題小委員会という特別の小委員会を設けまして、かなり開催回数もひんぱんにいたしまして審議を進めておるという状況でございます。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 全国一律の最賃制度でないために、業種別とか、地域別、あるいは産業別に分断されてしまって、その間の賃金格差がいつも固定しておるわけです。したがって、最賃制度としての実効を持ち得ないと、こういうことになろうと思います。大橋元労働大臣にこの点についてお伺いしたところ、現行の最賃法すなわち業者間協定についての欠陥を率直に認められておったわけです。現労働大臣としてはどういうふうにお考えですか。
  65. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 現在の最賃法についていろいろ御批判のあることは、ただいま基準局長から御説明申し上げたとおりでございます。そこでこれまた御答弁申し上げましたとおり、将来の最賃法のあり方につきまして、中央最低賃金審議会において鋭意御検討をいただいておるところでございまして、まあ中央最低賃金審議会においても、この四十一年度末までは現行制度のもとにおいて、最低賃金制を重点業種について、また一定の目標に向かってこれを推進をしていくべきであろうし、それ以降の最低賃金の定め方については、これは基本的に検討すべきだ、こういうような前にも答申があるわけでございますので、私どもとしては、最賃審議会が四十二年度以降の最賃制のあり方について御答申をくださるように、これをいまお話がありましたように、ILO二十六号条約にも適合するような姿において答申をいただけるものと、かように期待している次第でございます。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間があまりありませんから、最後に一点だけ要望をかねて質問しておきたいと思いますが、日本の場合で最賃制度の正しいあり方は、繰り返し申し上げますように、全国一律制でなければならぬと思う。外国からいろいろソシアルダンピングというふうに非難されておるのも、ここに原因があろうと思います。やはり日本の絶対的な低賃金を克服するには、どうしても全国一律の最賃制を確立することと、大幅な賃上げをここで断行する以外にはないと思うのですね、そうすることによって、最賃制度を国際的水準により近づけることになろうかと思うのです。そういう方向で、労働省としても十分前向きの姿勢で取り組んでもらいたいということと、それに対する大臣のお考えは一体どうなのか、この点を要望をかねてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 最賃制につきましては、先ほども御回答を申し上げましたとおりの事情に相なっておるわけでございまして、いま先生お示しの、全国一律制ということも一つの確かに考え方だと思います。しかしまた、一方におきましては、日本の現状からいたしますと、全国全産業一律ということは、必ずしも実情に合わないのじゃないかという御議論のあることも、これも事実なんでございます。でございますから、最賃審議会において、そういったいろいろな説ももちろん御検討をいまいただいておるわけでございますので、私のいまの時点において立場上、私のほうからどういう制度が一番いいのだ、こう申し上げることは、恐縮でございますが、ひとつ控えさしていただきたいと、かように存ずるのであります。また、この大幅賃上げの問題ですが、このことにつきましても、賃金についてもいろいろな見方もございますが、しかし、やはり賃金というものが、国民全体の所得というものとの均衡という問題もございましょうし、あるいは生産性との見合いということもございましょうし、いずれにいたしましても、国民経済の発展というものとつり合いをとりながら賃金が上昇するということは、きわめて望ましいことではございますが、無条件にただ大幅賃金値上げ、こうもなかなか言いかねる面もあるのではないかと、かように考えておるわけであります。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは残りの問題をひとつ労働省に聞いてみたいと思います。  労働当局には、実はもうものを申すことはたくさんあるのですが、社労委員会なりまた本委員会でもうすでにだいぶ質問も出ておるようでありますから、重複を避けまして、二、三の点だけ大臣にひとつお聞きしておきたいと思います。家内労働審議会について、まあ家内労働の問題ですが、まず最初に、日本の労働形態というのは明治からの資本主義発達の形態がいわゆる欧米各国と若干違いますので、労働形態が違うと思うのですが、現在欧米各国における家内労働の実情、これはどういうことになっておるか、私は調べておりませんのでひとつちょっと概略御説明願いたい。
  69. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 外国の家内労働者の実態及び法制的現状につきましては、実は全体を総合的に判断する資料はなかなか得がたいのが実情でございますが、ただ一九四八年のILOの「工業的家内労働について」の報告という報告書がございまして、これがおおむね世界各国の家内労働につきましての概要を示しておるようでございますが、それによりますと、たとえばアメリカ、フランスにはいわゆる家内労働者としてそれぞれ約百万人、スイスには約七万人、スウェーデンには約一万六千三百人、ノルウェーには二千五十人、といったようなかなり具体的な数字をあげまして現状を示しております。しかし、そういうような数字をあげておりますけれども、これらの国々におきましてもわが国の場合と同様に、家内労働者の把握はきわめて困難である。したがって、正確に把握されていないが家内労働者も存在していることは認めざるを得ないであろうというふうに申しておるわけであります。  ところで、これらの家内労働者はどのような職種に従事しておるかという点を見ますると、主として衣服、刺しゅう、レース、造花、紡織、くつ、宝石、刃物、時計、釣り針などの製造に従事しておる者が多いようでございまして、わが国同様繊維、雑貨等の軽工業部門に属するものが大部分であるというのが実情であるようでございます。また、男子と女子という区分から見ましても、家内労働者の七〇%から九〇%までが婦人であるというふうに推定されておるわけであります。  なお、これらの家内労働者に対します法律制度といたしましては、それぞれの国の事情によってかなり違っておりますが、家内労働に関する単独立法、いわゆる家内労働法といったようなものを制定している国が、西ドイツ、スイスなど十三カ国ございます。また、特別なまとまった法制は持っておりませんが、労働者一般を対象とするいわゆる労働法典の条項が家内労働にも適用されるという制度の国がございます。二十六カ国あるというふうに承知いたしております。これら、法制も違いますので、したがって、規制する内容もまちまちでございますが、工賃の最低額ないし支払い方法、安全、衛生、あるいは委託に際しての行政庁の許可、登録、届け出などについて規定を設けるという法制になっておりますが、その規定の内容もさまざまでございまして、たとえば、最低工賃の規制の方式を見ましても、賃金委員会が決定するもの、法律によって定めるもの、仲裁裁判所が決定するものといったように幾つかの方式があるわけでございます。  はなはだ簡単でございますが、概要は以上のとおりと承知いたしております。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 諸外国の事情、若干お聞きしましたが、現在わが国、特にわが国の軽工業を中心に家内労働というものがあることはこれは実情同じようでありますが、家内労働というのは、われわれの立場からいうと、賃金を押えるという方向に非常に役立っていると私は見ている。特に諸外国で婦人労働者が多いということでございますけれども、もちろん婦人はいろいろの都合で外に出られない。特に家内労働でも専門的な、専業的あるいは内職的あるいは副業的な部類があるようでありますが、副業的な家内労働というのが多いように聞いております。そういう労働者、いわゆる職場を持たない労働者に対する労働省のやはり保護と申しますか、立法措置が非常におくれている。これはどういう理由にあるか。わが国の特殊性と申しますか、労働省が立法措置がおくれているという実情はどこからきているか、これをひとつ聞いておきたい。
  71. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 経済的な問題は別といたしまして、法制的に見まする場合に、いわゆる家内労働者が一般労働法の対象とされるいわゆる労働者であるかないかという点については、いわゆる労働関係に立つ労働者ではない、それに類似するものではありますけれども法律上の判断といたしましては、いわゆる雇用労働者と違うという類型のものであるわけでございますから、それが問題になりますのは、御指摘のように、雇用労働者の労働条件に対しまして、どのような影響を持つか、それが単に家内労働者だけの問題でなくて、純然たる労働者一般の労働条件の問題にも影響するというようなことから、各国におきましては、それぞれの国内事情及び法律制度との関連におきまして、あるいは特別立法をなしあるいは一般労働法典を適用するといったような形で法制化がなされたものと承知しているわけであります。  わが国の場合、家内労働問題につきましても、何らかの措置を要するのではないかという見解が特に最低賃金法の制定と相関連いたしまして問題とされたわけであります。したがいまして、政府といたしましても、家内労働問題について調査をする必要があるという観点から昭和三十四年に委員を委嘱いたしまして、いわゆる臨時家内労働調査会なるものを発足させ、調査を進めてきたような次第でございます。そのようなことで、問題意識を持ちながらも、わが国の家内労働の実態が非常に複雑であるということからして、まず実態を十分踏まえまして対策を進めるという手順を踏んでまいりましたるがゆえに、時期的には、ずれてきたということではなかろうかと存ずるのであります。しかしながら、御審議いただいております家内労働審議会が発足いたします際におきましては、先般大臣も御答弁なさいましたように、家内労働法の法制的措置をも含めまして、この対策について御検討いただくということになりますので、非常に前進が見られるのではなかろうかというふうに期待いたしている次第でございます。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いろいろ御説明がありましたが、質問せぬところまで御説明があったのですが、これは欧米各国、ちょっと説明がありました西独あるいはフランス、アメリカあたりでも軽工業が主体であるけれども、そのいわゆる賃金契約と申しますか、これは雇用労働者でないから、賃金契約形態は違うと思いますが、それはやはり非常に複雑なものがありますよ。わが国だけが複雑だというわけではないと思う。そこに家内労働の非常にむずかしさがある。雇用労働者であれば立法措置ができて保護立法ができるということであって、家内労働は捕捉しがたいからできなかったというのは口実であると私は思う。やろうと思えばやれると思う。しかも家内労働の賃金……経済的だと言われましたけれども、これは経済的に大きな影響がある。相当私は低賃金だと思うのです。低工賃と申しますか、私はそうだと把握しておる。しかもこれが大都会に集中した分布状態であるということも調査で示されておりますが、これらの家内労働の方々、副業的でなくて内職ということでやられておるけれども、総理府の統計局のいろいろの調査、家計調査から見ると、家内労働から得るところの収入というものが相当家計をささえておるというデータも出ている。しかも百万近く、八十万ほどわが国におられるということでありまするが、そういう方々に対して政府は近ごろになって、何というか、家内労働審議会、この前は調査会、法律によらないものがあって調査されておるようでありますけれども、そういう点は私は非常に不満である。まあいまからでもおそくはないということでやられると思いますけれども、日本の家内労働、家内労働だけではございません、労働者に対する労働省の考え方というものは何か私は最近変わってきていると思う。私の考え方ですが、労働省が設置された趣旨からいうと、労働者のために労働省ができておると思うのに、何かにつけて労働大臣なり労働当局の発言は、やはり企業雇用者に対する、使用者に対する発言が私は多いように思うのです。そういう意味において家内労働について、おそきに失したけれども、これからやるというのですが、大臣の構想というか、どういうところでこの家内労働を保護していくかというそういう考え方も何もないですか。家内労働審議会に諮問するということでありますが、労働大臣はそれに対して考え方の一端くらいひとつ聞かしていただきたい。
  73. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 家内労働の問題に政府がいままで法的措置も講じないでおったということはそのとおりでございますが、先生のお話の中にもありましたとおり、政府としても今後おそまきながら法的措置も必要であろう、こういう考えで臨んでおるわけでございまして、しからばどういう構想で法律をつくるかということになりますと、これはもちろん審議会で十分御審議を願わなければならないのでありますが、さきの調査会が示しておるところを見ましても、一番問題の柱というものはやはり一つには工賃の問題、また第二には労働時間の問題、さらに第三には安全衛生の問題、まあこれらが中心であろうと私もさように思います。もちろんそれだけに尽きるわけではございませんが、これらの条件というものをどうして確保し、またよく満たしていくかという方法論につきましては、これもいろいろな考えがあろうと思います。でありまするから、主としてそういう問題を中心にしてかりに立法するとすれば、どういう形態の法律が一番よろしいか、こういうことについて十分御審議を願いたい、かように考えておるのであります。何ぶんにも家内労働と申しましても、そのうちのいわゆる専業的な家内労働といわれるものはこれは比較的はっきりしておりますし、とらえやすいことでありますが、また副業についてもむしろそういうはっきりしている面が多いと思いますが、いわゆる内職的な家内労働となりますと、これは個々の家庭において、中には率直に申せば、なるべく人に知られないようにというような気持ちでやっておられる方も今日まだ相当あるんじゃないかと思います。そういう人たちに対する工賃なり労働の時間なり安全衛生なりという問題をどうして指導していくかというようなことは、これはなかなか言うべくして実施問題となるといろいろ困難が伴うのじゃないかと思います。そういう点もありまするが、しかし、これを捨てておくわけにはいかない状況でございますので、実効のある法律、法制というものを審議会で十分御審議を願いたい、かように考えておる次第であります。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 家内労働についての見方といいますか、分析といいますか、これはいまの産業形態では、これは私はどうしてもなくてはならぬ一つの存在なんですね。大企業から中小企業、下請け、中小企業から仲介人を通じて家内労働、こういう産業のいわゆる工業といますが、製造業の流れ、したがって、それをとらまえていくと一つの定見といいますか、方針が立つと思います。最近不景気で中小企業が非常に倒産した。倒産したその陰に家内労働者がどれだけ泣かされておるかということは私はよく御存じだと思います。工賃をくれない、しかもそれは何ら保護されていない、密契約といいますか、自分らだけのほんとうの契約で、どこにも言っていくところがない。中小企業であれば現在いろいろ救済策が講ぜられておりますが、一つかみの家内労働のグループが泣き寝入りしておるという実態がある。こういう点について労働省は把握しておりますか。
  75. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいま御指摘になった法制的な保護もない家内労働者が、非常に経済的にも劣勢な地位にあり、いろいろ悲惨な問題を含んでいるということで、私どもそういった点につきましては深甚な考慮を払っているような次第であります。そこで法律はございませんけれども、できるだけ家内労働者の労働条件を明確にし、そういった問題を防ぎたいという観点から、昭和三十五年に臨時家内労働調査会の中間報告がございましたので、行政指導によりまして家内労働手帳の普及、標準工賃の設定、安全衛生に関する指導、労働時間、週休制の指導、大きく分けましてこの四つのものに分けて労働基準監督機関を通じまして行政指導を行なってきたわけでございますが、昭和四十年十二月末で家内労働手帳を実施したのが二十八業種、二万六千二百名、標準工賃を設定したものが四十五業種、八万一千七百名といったような数に達しております。そのほか婦人少年局系統で府県を通じまして、いわゆる府県営として設置されております内職公共職業補導所におきまして相当数にのぼる相談及びあっせんをいたしているということであります。これらはいずれも行政指導として行なってきたわけでありまして、必ずしも十分とは申せませんが、法的な裏づけなしに今日までいろいろ行政を展開してきたわけであります。現段階におきまして法制化の問題がクローズアップされているという点につきましては、従来事実上の行政指導を行なってまいりました私どもといたしましても、そういった面についての必要性というものをいろいろ痛感いたしておるというような次第でございます。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題で掘り下げていけばまだたくさんありますが、時間もないので一応これで終わりますが、労働大臣に最後に一つ聞いておきたいんですが、まあ行政指導をやられることも私は知っております。授産場でいろいろそういう職業指導をしておることもわかりますが、まあ八十万か百万か知りませんが、相当家内労働によって家計を助けておる人々がおります。私は法律万能だとは言いません。法律できたって、これを活用しなければこれはもう何にもならぬです。これは労働省の意欲以外にないと思うんです。したがって、まだこの法律できるまでには相当——二年かかるか一年でできるか知りませんが、早急にやられると思いますが、そういうものを待つまでもなく、家内労働に従事する方々に対して、行政指導でも行政措置でもいいが、もっと——いま言われましたけれども、そんなにいってませんよ。法律の基礎がないということから、家内労働をされる方は全くもうほんとうの無手勝手流で、何も抵抗する手段が一つもない。これをやりなさい、工賃は幾らです、できた場合に出来高払い、金がなければしんぼうしてくれ、こういうことです。いかに行政指導したところで、それをなすところの仲介人あるいは中小企業、それをやらしておるそういう企業に対してある程度の私は規制をしなけりゃならぬと。しかし、中小企業自体が困っておるんですから、中小企業もいま倒産の一歩手前である、そういう中でありますから、これは私はもっと大きい立場から、労働者保護という立場から早急に立法措置をしてもらいたいと思う。内容については私、意見あります。意見はありますけれども審議会をつくられますから、権威ある人がこれに参画してつくられるんですから、そのつくられるのを待ちましょう。しかし、私らにはまた意見があります。また、機会を見て労働大臣、私は言うことがあると思いますけれども、家内労働についてはあまりにも私は、政府は無関心とは言いません、関心を持っておられたけれども、非常におくれておる。この点をひとつ大臣に最後にこの問題について今後法的措置について審議会が、これ二年ですか三年ですか、これが答申されるまで相当時日がかかると思うんですが、その間についてどう労働大臣は善処されるか、この点だけ聞いておきたい。
  77. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) まず法的措置がいつごろできるかという問題ですが、いま御審議いただいているこの設置法によりますと、この審議会は三年間存続することに相なっております。が、私の気持ちといたしましては、先般も申し上げたのでありますが、でき得れば二年ぐらいの間に御答申をいただいて、法的措置をぜひ講じたいものだと、こういうただいまのところ考えを持っておるわけであります。それまでの間どうするかという問題でございますが、これにつきましては先ほど基準局長から御説明申し上げました、従来もやっておりまするこの行政的な指導、これを最大限にひとつ活用して、また強化をいたしていくと、まあこういうことに尽くると思うのであります。たとえば内職の補導所なども、現在では全国にたぶん三十九カ所かあるのでありますが、これらについてもできるだけ数も増して、あるいは陣容もできるだけ強化をしていただいて、最初に発注、受注というものをできるだけ補導所が、いわば仲立ち人としてお世話をしていく、こういう方向にぜひまあ努力をいたしたい。また、労働時間なりその他の労働条件と申しますか、環境の整備ということにつきましては、できるだけ家内労働をやられる方々の、何らかの形における組織化と申しますか、そういう集団的なものをつくることを奨励いたしまして、それによってこの環境の整備等についても十分指導いたしていく。主としてこういう方向でこの法制ができるまでの間極力努力をいたしてまいりたい、かように考えているわけであります。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 基準局長にちょっと聞いておきますが、今後この工賃契約、これはいわゆる雇用労働者でないので賃金の契約というような、ああいう団体交渉もできないのですがね。やはり自由契約という考え方で進むのが妥当であると思うのかどうか。その点の考え方、もちろん審議会でいろいろ検討されると思いますが、それはどういう考え方ですか。
  79. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 契約は自由でございましょうが、野放しにすることによりまして、いろいろな弊害を惹起するという観点から、ある程度適正な工賃を期待するということであろうと存じますが、その観点も従来行政指導で行なってまいりました標準工賃、そういう形で指導する面と、それから現在最低賃金法にあります最低工賃制度というのがございます。これは最低賃金との見合いで考えられている制度でありますが、そういった点から工賃を正していくということは当然必要であろうというふうに考えている次第でございます。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題で聞きたいことは相当ありますが、この問題については一応これにとどめておきますが、次に今度の春闘でいろいろ相場を言われているのですが、そういう一般的な相場でなくて、大企業、中企業、小企業、この三部類における、大体春闘で賃上げが、正確な調査はできてないかと思いますが、大体出ておればひとつ知らせていただきたい。
  81. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいまの春闘の賃上げ関係につきましては、目下地方からの資料を収集中でございまして、いま明確にお答えできる段階にございませんが、いずれ近いうちにまとまると存じますので、資料として提出させていただきたいと存じます。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私鉄が三千五百円ですか、三千五百五十円ですか、いろいろ出ておりますが、大企業、鉄鋼産業、金属、金属は中小企業も相当おりますけれども、大企業等で言われている五千円以上の獲得をした企業というものについて、どのくらいあるか、それもわかりませんか。概数でいいのです。
  83. 渡辺健二

    説明員(渡辺健二君) いま個別の詳細な資料を持っておりませんけれども、大企業で申しますと、やはりそれぞれの産業によりまして、かなり去年より高いもの、あるいは去年とほとんど同額のもの、ばらつきがございまして、一律には申せませんが、おおむねひっくるめて申しますと、大体昨年より三、四百円くらい高いのが平均的な傾向ではなかったか、かように存じております。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃまた調査でさましたら、ひとつ当委員会に資料を提出していただきたい。そこで一つ聞いておきたいのは、労働省から毎月ですか、毎年産業別現金給与月額の調査をされて発表されておりますが、四十年、これは年度でなしに年でいっているかと思いますが、四十年の数字は出ておりますか。
  85. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 現在四十一年の三月まですでに出ておりまして、四十年の平均で申し上げますと、調査産業の総数で申し上げます……。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 途中ですが、あなたのほうから出されております産業別現金給与月額、最初は全産業、工業、建設業、製造業、卸小売り業、金融保険業、運輸通信業、電気ガス水道業、これに該当するやつでけっこうです。
  87. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) いまのを産業別に申し上げますと、産業総数で昨年の平均は三万九千三百六十円、前年に対する上昇率といたしまして一〇・〇%、以下数字だけ申し上げますと、工業が四万一千六百五十円、建設業が三万九千四百三十九円、製造業が三万六千百六円、卸小売り業が三万六千四百六十四円、金融保険業が五万四百八十六円、運輸通信業が四万七千百六十四円、電気ガス水道業が五万九千六百二十七円という数字でございます。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで実質賃金指数は全産業で幾らになりますか。
  89. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 実質賃金で申し上げますと、四十年は三十五年を一〇〇といたしまして一二一・九、前年に対しますと二・二%の上昇になります。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 製造業は出しておりますね、それは幾らですか。
  91. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 製造業は先ほど申しましたように、実額で申しますというと、三万六千百六円でありますが、前年に対しますと九・一%の上昇であります。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三十五年を一〇〇として、指数は幾らになりますか、製造業の実質賃金は。
  93. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 実質賃金は先ほどのように三十五年を一〇〇といたしますと、一二〇・五で、前年に対しましては一・三%の上昇であります。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 四十一年度はもちろんまだこれからですが、この四十年度の賃金アップの状態の中に、昨年の春闘のいわゆる賃上げ分も含まれておりますか。
  95. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 昨年の春闘の結果は、昨年分の平均にはもちろん含まれてまいります。ただ、われわれの調査には、春闘で妥結いたしましても、すぐに支払いのほうにあらわれてこないものでございますから、大体五月ごろから春闘の妥結結果が徐々に実績にあらわれてまいりまして、夏ごろまでに完全にあらわれる、そのような反映のしかたをいたすのが通例でございます。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これを尋ねましたのは、ほかでもないんですが、やがて当委員会にいわゆる人事院から本年度の公務員に対する勧告があると思うんです。いつも当委員会で問題になるんですが、そういう意味においてもう一ぺん聞いておきますが、四十年度は昨年四月から本年の三月までということですが、昨年四月、五月、六月における春闘を加味した上昇率というのは、一年平均から見ると、その上昇率はどういう傾向に、カーブになっていますか。一年間の、昨年度だけではなしに、例年度そういう例があると思うんですがね、四月がずっと高くなってくるか、五月が高くなってくるか、そういう表はありませんか、概略でいいです。
  97. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) これは季節修正済み指数というので見ますと、対前月比の動きが出てまいります。それにはもちろん春闘のほかに季節修正で除去し切れない不規則変動が入ってまいりますので、純粋に春闘の影響だけを取り出すことは困難でございますが、先ほど申しましたように、五月ごろから前月に対してはやや伸びが大きくなるような形であらわれてまいります。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ聞いておきますがね、四十年度におけるいわゆる夏期手当とか年末手当とかいうような、ボーナス的なものが各産業で出されるんですが、それは昨年は非常に不景気だといわれておったんですが、四十年度は三十九年度と比較して、どれくらいの上昇率を示しておりますか。
  99. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 昨年は景気があまりよくないという時期であったんでございますが、賞与に対しましては、三十七年とか三十三年の景気停滞期のような強い影響が出ませんで、大体現金給与総額並みの対前年上昇を夏期も年末も示しております。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これについてもいろいろあるんですが、時間がないので、遠慮しておきましょう。  次に、これはこの前の国家公務員災害補償法のときに労災補償部長ですか、から聞いたんですが、これもいろいろたくさんあるんですが、大臣おられるから、特に聞いておきたいと思って用意してきたんですが、問題点だけにひとつしておきます。昨年の国会で労働者災害補償保険法を改正されまして、いわゆる年金の部類を七級まで広げたと、それはもうそういう論議はいたしません。その際に私はいろいろ問題にしたんですが、遺族補償給付の場合、家族の認定といいますか、条件というものがほかの法律の基礎から見ると、違うんです。というのは労働者災害補償法では遺族の場合は妻、それから子の場合は十八歳未満ということは、これはまあいいんですが、父母、祖父母、夫の場合は六十歳という排除条件を入れているんですね、停止条件じゃなくして。その事故発生当時父母、夫が六十歳に満たないときには、これはもう遺族給付はしない、こういう規定になっておるんですが、その趣旨はどういうことなんですか。
  101. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 従来の一時金の遺族補償を年金化した、その際に年金受給権者をどの範囲にするかという点につきましては、ごく簡単に申し上げますと、補償を受ける必要のある者に補償をするという自明の原理を生かしましてその受給権者の範囲を二親等である兄弟姉妹に限定した。三親等に属する者についてはこれを含めないという考え方をとりました。一方その二親等以内の者であって、すなわち受給権者であるものにつきましても、いわば必要性の有無についての判断を、一方におきましては扶養家族といたしましての年齢制限を考慮しますと同時に、一方においては通常労働して一定の収入があることが期待されるものについては年金を受給させず、それ以上の老齢になりました場合に受給権者として扱うという考え方をとった次第でございます。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の質問の要点はそうじゃない、説明しなかったからですがね。社会保障的ないわゆる給付、いろいろの問題あるのですが、きょうはその一点だけに限っているのですが、妻の場合も実は厚生年金ではいままで年齢制限しておったのですが、それがこの前の改正で妻の年齢制限をはずしてしまって、妻は幾つでも年金なり給付を受けることになっておるのですね。ところが、わが国の立法のずっと状態を見ると、恩給法なり年金なり、つまり社会保障的な給付としての基本的な恩給法、国家公務員の共済組合法、国家公務員災害補償法、厚生年金、これらを見るとまちまちなんです。いま言われた停止主義というのであれば、六十歳になれば要するにそういう年金なり給付を受けることはできるけれども、排除主義になると、たまたま五十九歳十一カ月であって、もう一カ月たてば、事故がおくれたならば年金をもらえるというような不公平といいますか、不均衡が生ずる。恩給法の第七十三条には順位は大体妻、未成年の子、夫、父母となっておりますが、年齢制限は一つもしていない、恩給法には。しかし、これは問題はある。これは歴史的な過程がありますから説明すると長くなりますから——夫の場合は制限しておると、夫の場合と成年の子の場合は、いいんですか、重度の不具廃疾の場合は、夫、成年の子に給付を、恩給を出すけれども、それ以外にはやらないというのが恩給の規定なんです。国家公務員共済組合法の八十九条には——これは国家公務員ではない各種共済グループみなそうです。農林年金、私立学校年金それは全部五十五歳の給付停止なんですね。五十五歳まではいわゆる停止をする、しかし、五十五歳になれば給付を、年金を出そう、こういう趣旨がいわゆる国家公務員関係あるいはその他の共済組合についての停止条件、そのほか国家公務員の災害補償法、労働者災害補償法、厚生年金の遺族給付はおのおの排除主義をとっておる、これについての考え方がほかの閣僚と政府としてどういう思想統一をしておるかということを聞きたい。
  103. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御指摘のように、現在の社会保険諸制度がいろいろな点で少し違いがありますことは御指摘のとおりでございます。厚生年金と労災保険におきましては、御指摘のように、六十歳という同じ年齢をもちまして、それ以外の年齢において、災害がありまして年齢に達していないという場合には受給資格がないというたてまえをとっておるわけであります。しかし、労災保険におきましては、厚生年金の六十歳よりさらにその基準をゆるくいたしまして、五十五歳までというふうに、附則第四十三条で特例を設けた次第でございます。したがって、また厚生年金保険とも違った——原則としては同様でありますが、附則で特別な制度を設けるということでございまして、厚生年金とも違うということになっております。これにつきましていろいろ考え方がございましょうが、労災保険におきましては、いわゆる無過失賠償責任を根拠とした使用者の全額負担による保険制度でございまして、通常の社会保険とは若干違う特殊性もあるわけであります。したがいまして、遺族補償をする必要のあるものという角度からこれを吟味いたしました際に、補償されるべき災害の発生時点における状態を考慮いたしまして判断するかいなかという要素があるわけでございまして、共済制度のような、恩給制度と必ずしも受給権発生時点における問題の考え方が必ずしも同一でないという問題がございます。しかし、これは制度の基本論でありまして、労災保険が社会保険であるかどうかという点についてはこれまた異論のあるところであるわけでございますから、必ずしも全く同一でなければならないということはないわけであります。しかしながら、各種保険の間にそういった食い違いがありますことは、いわゆるバランス論として適当ではないのではないかという意見はあるわけであります。特に労災保険におきましては、同じ労働者保険であります厚生年金保険との調整その他がございますので、この問題については将来検討を要するものと私ども考えておる次第でございます。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうものを全部理解した上で発言しておるんですが、むしろ労災保険なんかについては、社会保険というものより以上に遺族を重視しなければならない。これは業務上における障害なんですね、傷害、死亡、そういうことですね。で、遺族の場合、いま言われた五十五歳、ただし書きが五十五歳、六十歳でも理論的には一緒ですが、五十五歳に達しないという条件があれば全部父母にそのまま権利はないということでしょう。厚生年金とかあるいはその他共済組合のいわゆる社会保険に属するものについては、財源率その他によって、あるいはまた制限をつけるということもあり得ると思うんです。しかし、公務員の共済組合においては停止条件、しかも五十五歳の停止条件ですね。したがって、私はそういう考え方でこれを見ておると大間違いだと思うんです。いわゆる業務上の重大な傷害を受けてかたわになった、しかも普通の退職年金であれば二十年という経過を経なければつかないんだけれども、業務上の死傷というものは、若くしてこれは災害を受けますよ、しかもその年金は少ない。そうすると父母は——父母というよりも本人が結婚もしてなく細君もないということになると、それを受ける者は父母以外にないんですよ。そういう場合には遺族に対して何らの補償はできない。したがって、私は父母が若いとき、いわゆるあなたがいま言われた働く能力のある者に対してそういうものを与えることはいけない、それはわかる。それならなぜ停止条件にしなかったか。六十歳でもいいし五十五歳でもいいが、六十歳になればその子供のなくなったり負傷したその年金は、やはり親にやるということが私はその思想だと思う。私は大臣に聞いてもらいたいのは、恩給制度は明治八年にできて別な考え方で出ております。特殊な軍人とか公務員に対するそういう補償ですから、あるいは妻でも父母でも制限なく出しておるということはわかります。それは別でありますけれども、少なくとも近代的なこういう社会保障の考え方になると、そういう私は不均衡といいますか、不公平なことをやってはならないと思う。しかし、一歩譲って、アメリカとかその他徹底した個人主義に徹するなら別です。個人主義に徹すれば妻だけである、ほかの者には影響はないんだということで、日本の遺産相続法のようなものは全然排除してしまうということも考えられるが、そうじゃないと思うんですね。そういうことから見ると、各法律まちまちの考え方でこれは立法しておる。われわれは立法府におるものとして非常に憤慨しておるのです。いまの法律の成立過程、プロセスを見ると、政府が原案を出して、そして国会審議をして、しかも修正ということはほんのまれです。そしてこれは通ってしまう。政府の意向によって法律ができる。アメリカのように大統領が教書を出して立法府が自分で立法するというようなシステムじゃないのですね。そこで私は労働大臣に聞いてもらいたいのは、そういう私は不公平といいますか、不均衡といいますか、不合理と申しますか、そういうものを各種の年金とか遺族給付にそれが散在しておる。なぜこれが統一できないか。これは思想の混乱です。こういうものが一体どこでこれが審議されておるのか。これは日本の政府のいわゆる各官庁の独立性といいますか、なわ張りと申しますか、厚生省は厚生省の見解、労働省は労働省の見解、国家公務員とかその他の問題については人事院とか、そういうところで考えるということですね。こういう点の思想統一はできないものかどうか、これをひとつ聞いておきたい。大臣から直接——その説明はわかっておるのだ。
  105. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 先生の御指摘で、制度によっていろいろ違っておる、こういうことでございますが、よく関係各省と協議をして、なるべく常識的に見てあまり矛盾したことのないように私のほうで努力をいたすつもりであります。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは私は時間がないから、説明を省いておりますから御理解ができておるかどうか知りませんよ。非常に不合理なんですよ。そうでしょう。たとえば偶然主義と申しますか、労働者災害補償法であればたまたま五十五歳になっておれば給付を受けると、こういうことでしょう。それが一カ月も欠けておったらだめだと、こういうのでしょう。そういうことは偶然的なものを立法する場合にはよほど考えてやってもらわぬといけないと思うのですね。それをわれわれやかましく言って、国家公務員共済組合のときにはこれは絶対に排除主義はだめだ、停止主義でやりなさいということで、五十五歳までは待つけれども、五十五歳になれば父母には年金を出そうと、こういう措置をとっておるのです。労災でも厚生年金でも、私は厚生省の場合に言っておるのですが、こういうものがあると、せっかく合理的にできておった法律も悪いほうにそれていくと、こういう傾向があるので、私は特に大事なこの点を、悪いほうにそろえろという意味じゃないのですよ。合理的にやってもらいたいと、こういうことですから、いいですか。
  107. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) よく先生の意を体して検討させたいと思います。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は非常に小さいような問題ですが、相当影響力がありますので、大臣、真剣にひとつ考えてもらいたいと思います。論議をされた結果は私はどうなろうとも、一応やはり明らかになってくると思うのです。おそらくこの問題については論議されておると思いますが、全般について論議されていないと思うのでここで取り上げたわけですから、その点御了解願いたいと思います。  あとは事務的な問題を一、二この機会に聞いておきたいと思うのです。失業保険法の問題です。これにもいろいろ言いたいことはありますが、三時も迫ってまいりますので遠慮しておきましょう。一つだけ、失業保険法第七条の規定に「国、都道府県、市町村その他これに準ずるものに雇用される者が離職した場合」云々という規定があるのですが、この場合、名府県の労働関係の指導ですが、市町村に準ずるというものの中に、この前できました市町村共済組合の職員が入らないのか入るのかという考え方で一致しておらないのですが、正式な、この場合、ひとつ労働省のほうでその見解を明らかにしておいてほしい。そういうものは失業保険法の対象から除外されるのか除外されないのか、この規定の解釈はどうか、これは規則のほうに、六条、七条に関連しておりますので、その点ひとつ聞いておきたいと思います。
  109. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) いま御指摘の共済組合の問題でございますが、私どもまだ内容をちょっと検討さしていただきたいと思いまして、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあなたのほうに地方から照会をしているとかいう話ですが、この地方公務員共済組合ができたときに、各府県単位で市町村共済組合連合会というものができておるのですね。その職員は市町村に準じた待遇であるから、その身分なりその他のものは全部市町村の職員、いわゆる地方公務員として扱っておる。そうすると、当然この第七条によっていわゆる除外されておることは明らかなんですが、その見解を労働省でどう持っておられるかということなんですがね。
  111. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 私のほうではまだその具体的な話を聞いておりませんので、十分検討をいたしまして措置いたしたいと思います。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはもう安定局長、失業保険法はもうすでに長い間実施されているのですよ。しかもいろいろ法律でこれは強制加入になっているのですね、事業主単位で。もうすでに市町村の共済組合連合会ができて四年になるのです。それだのに、これについて労働省が統一解釈というものを出しておらないというのは一体どういうわけですか。この条文に当てはめてみて、いま私が言った条件が違うのであれば別ですよ。「市町村その他これに準ずるものに雇用される者が離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基いて支給を受けるべき諸給与の内容が、この法律に規定する保険給付の内容を超えると認められる場合には、」この条件に当てはまらないならば私はいいです。この条件に当てはまっておるとするならば、当然労働省としては除外さるべき団体であるということに認定されるのじゃないですか。
  113. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 七条を普通に読めば含まれないということになると思いますので、共済組合の実態が地方公共団体に準ずるような内容の実態であるかどうか、その点を検討した上で措置をいたしたいと思います。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう時間が来たからやめますけれども、ぼくはそういう点が、各省が分かれておるからそうなるのですが、地方公務員共済組合法ができたときに特に法律で、その共済組合の職員については町村の職員と同様に年金を出し、そういう措置をいたします、という規定があるのですよ。そういう規定があれば、当然そういうものが各省に連絡をしてこれは市町村の職員と同様であるというような連絡が私はあってしかるべきだと思うのですね。それがいま聞くと、そういうものは、わからぬということでは、やはりどうも政府部内の連絡と申しますか、そういうものが非常に欠けておるのじゃないかと思うのですね。したがって、私はこの条文がそういうものであるかないかということはもうすでにあなたが御存じである、どういうものが該当するか該当しないかということは、労働省、あなたのほうの仕事でしょう。それがまだわからぬ具体的に上がってないからわからぬというようなことでは、私はどうも信じられないですね。それとも、なおかつ時間を与えましょうか。はっきりしたことをいまさらこれを調べぬとわからぬという、もう四年前にすでにそういう団体ができているのですよ。そういうことが、いままだ調べぬとわからぬということでは、私はどうも納得できないのですが。
  115. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 地方公務員に準ずるということで、失業保険法からはずせという御意見のようだと思いますが、これは失業保険法は非常に一般法としての立場で処理しておりますので、いまのようなお考えで失業保除法の適用をはずせと、それは市町村の公務員を同じような扱いなんだからというふうな御意見だと思いますが、これはよく実態を調査した上で善処いたしたいと思います。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 善処するということはいいが、ぼくはともかく法文を見て市町村の職員と限定していない、それに準ずるという、しかもあとに条件がある、その条件にかなえば、はずすために第七条を設けたのだと私は思っている。それを善処するとかなんとかと言うのは、法律というのは一体どういうためにつくるのですか、私はわからぬ。きょうはそれでいいです。もう幾らやったところで、非常に大事をとって言っておられると思いますが、そういうことは、私は、もう皆さん専門家だから十分調査をしておいていただきたいと思います。ではこれで終わります。
  117. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  118. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  ほかに御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありになる方は、賛否を明らかにして御発言を願います。——別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  労働省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  119. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時二分散会      —————・—————