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政府委員(村上茂利君) 臨時家内労働
調査会が設置されましたのは、
昭和三十四年の十一月十二日のことでございましたが、先生御
承知のように、家内労働の問題は、
最低賃金法の制定と関連しまして、
最低賃金制度の健全な発達のためには家内労働の問題について十分
実態を把握し対策を講ずる必要があるという観点から、別にいわゆる臨時家内労働
調査会を設けまして
調査に着手したわけでございます。しかるところ、
調査に着手いたしましたけれ
ども、わが国の家内労働の全体を把握するという資料が乏しい、しかも
実態がきわめて複雑であるという点について、
調査会といたしましては、今後の
調査を本格的にやるためには相当な時日を要するであろう、しかし、さしあたり行政指導として何らかの手を打つ必要があるという判断から、
昭和三十五年九月二十九日に中間報告をいたしまして、従来労働省がやっておりましたような行政指導の
内容を中間報告として出されたわけであります。その後、国内各地の家内労働の現場につきまして内職的なもの、専業的なもの、幾つかの
調査をされて、その
調査もいわばルポルタージュ式なものでございますので、全体を推定する資料としては十分ではないという観点から、さらに全国的な
調査を実施すると、非常な時間がかかりましたような次第でございます。それで第一回の報告書原案をまとめたのが、
昭和三十八年のことでございます。ところが、先ほど来申し上げました、家内労働の類型化にしましても、学識経験者の立場からもいろいろ議論があり、その類型化についての
考え方をまとめるだけでも実は相当な論議が繰り返されたような次第でございます。その後まとめました報告案につきまして再三再四にわたる検討が加えられました。
〔
委員長退席、
理事八田一朗君着席〕
ようやく昨年の六月に報告案の修正案をつくったという次第でございます。その後さらに学問的立場から、この報告書を提出するについて用語その他に誤りがな
いかどうかというようなきわめて専門的な立場からの推敲が加えられまして、報告書ができたという経過になっております。
調査会におきましても、わが国において初めて総合的な家内労働の
調査報告書ができたというふうに申しておりまして、非常な貴重な資料が得られたわけであります。ただ
調査会におきましては、先日も申し上げましたように、労働大臣が個々の
委員を委嘱いたしまして、そのグループが通称
調査会と称しておったのでございまして、
調査は一応終わり報告書を出すが、今後どうあるべきかという対策についての具体的な
内容を俗称
調査会であるこのグループが出すべきかいなかという点についてはいろいろ御議論がございましたが、まず
実態分析した結果だけを報告して、そしてこれをどう今後対策を講ずべきであるという政策については触れないということにいたして、報告書が出たような次第でございます。きわめて複雑多岐にわたる家内労働の
実態調査を総合的にまとめたという点は高く評価されておるようでありますけれ
ども、その
調査の結果からおのずから問題点が
指摘された、こういう形に相なっておりますが、その問題点に対処する政策をどう
考えるかという点については触れられておらない、こういう形に相なっております。しかし、
調査会としては、いま申しましたようなことで対策について触れられなかったのでありますが、おのずから示唆し、暗示するところがあるわけでございますので、ただいま大臣から御答弁がございましたように、その
基礎の上に立ちまして、問題点把握の上に政策的な
内容を盛るということにつきましては新しい
審議会の
委員の精力的な努力によりまして、かなり促進されるのではなかろうかというふうに私
ども期待しておるような次第でございます。