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国務大臣(
福田篤泰君) 御
指摘のとおり、
臨調は、二年七カ月、長い間いわば有識者の非常に苦心をした
答申をまとめられ、
政府としましても、当然これを実現しなければならない
義務がございます。そこで、昨年の八月発足しました
行政監理
委員会のまず運用並びに任務、性格につきまして、三回ほど
委員会を引き続き行なって討議をいたしたわけであります。
まず、第一の目標は、御
指摘のありました、このような貴重な結論というものを極力推進して実現していこう、これが第一の任務。ただしこれだけでは足らない。これが全科玉条でなくして、絶えず流動する
行政の
実態というものも、自由の
立場から
考えて、実用に即したものを加味していく必要がある。第三は、新らしいテーマ、新らしい問題というものについて、いままでの
実情にとらわれない、全然新らしい問題を常に
検討していく。こういう大体三つの柱を立てまして
委員会が発足いたしているのでございます。自来、毎週一回、定期にいままで約四十回、きょうも十時から開いて昼過ぎに終わったわけでありますが、非常に熱心に、一流の
方々ばかりの専門的な、真剣な討議が繰り返されているのでございます。したがって、どうも、
臨調発表にかかわらず、
政府あるいは
行政管理庁なりの
実績もないではないかというおしかりがあるようでございますか、これは極端なおしかりであると思うのであります。具体的に申しましても、われわれの
考えている、また
国民の期待しているような顕著な、そうしてまた著しい成果も確かにないことはまことに残念でございます。私
どもの組織なりあるいは努力というものに対して十分これは反省する必要があると思う。ただ、やってまいりましてそろそろ一年になりますか、足跡から見ますと、相当のやはり
臨調の線に沿った
実績もあがってきたのじゃないかという面もあるわけでございます。たとえば、この監理
委員会が発足しまして絶えず
検討を続けて推進をやってこられた。これは首都圏にいたしましても、あるいは内閣の強化にしましても、あるいは科学技術基本法の問題にしましても、それぞれ常任の主査を
お願いいたしまして、相当理論的には掘り下げておりますが、さてこれが
現実の政治の面にどう具体化するかとなりますと、いわば言うはやすく行なうはかたしでありまして、たいへんいろんな抵抗が出てくるわけであります。一つの政党
関係にいたしましても、ようやく話がまとまりましても、
関係の
政府の機構の中で意見の調整が手間どる。たとえば科学技術基本法にいたしましても、この国会では成立は無理だと見送られる形勢にありますし、首都圏にいたしましても、特別
委員会が与党に設けられておりますが、これはもう全面的に可決いたしましても、
現実にはなかなか
行政面における具体的な調整が合わない。こういう点は、確かに困難ではありますが、その実現がはかばかしくなく、われわれまことに残念に思っております。ただ、監理
委員会を
中心にし、また
行政管理庁が
中心になりましていままでやったおもな点だけを御報告申し上げますと、たとえば四十一年度
予算編成の基本方針、これは閣議の了承も得まして、まず新しい部局は一切認めない、その省内における振りかえにおいて認める、この
原則を堅持いたしました。並びに、公団その他の特殊法人の新設は一切認めない、これも一貫して貫いた次第でございます。二十一ばかり申請がございましたが、全部それは認めなかった。これは私は、いままでなかった
実績で、消極的な面における
行政の簡素化に役立つと確信をいたしております。なおまた、いま国会に提案いたしまする、二百九十一にのぼる
審議会等の整理の
法案、これにつきましても、ようやく、ずいぶん時間がかかりましたが、国会の御協力をいただきまして、三十四の整理の具体的な戦果をあげることができた。最近の整理の数を見ましても、せいぜい五つか七つぐらいしか整理できなかったのが、少なくとも、目標よりはほど遠いのでありますが、三十四という具体的な整理案が話がまとまった。これも国会で御承認いただければ直ちに廃止し、あるいは統合する。で、これはこれだけじゃなくて引き続いてこの努力を続けて、毎国会において、不必要あるいは不急基準が明確に設けられておりまするが、これに沿った整理を引き続き努力をする
考えでございます。なお、大蔵省の臨時貴金属処理部の廃止でありますとか、その他機構の簡素化については、終えず努力をし、相当の成績もあげてきてまいっております。そのほか、
行政相談委員の活用でありますとか、あるいは毎月一回行なう
行政監察の
行政改善に対する勧告も、これも従来のような聞きっぱなし、言いっぱなしでなく、絶えず
実績をあげる努力を、きわめてじみちではございますが、続けてきております。鉱山保安の問題、公害の問題、あるいは航空
行政の問題、明日は生鮮食料品の問題がありますが、そういう
国民生活に密着した
行政の改善に対する努力も絶えず行なってきておるわけであります。以上、きわめて簡単でありますが、一応
臨調のねらっておりまする日本の
行政の簡素化、能率化、これについては相当の
実績もあげ得たと。ただ問題は、
臨調の
考えているようなものをなぜ一挙にこの際できないかということでありますが、これはなかなかたいへんな大事業で、内閣強化、
予算の編成のあり方だけ取り上げましても、よほどの内閣の決意、それから、
関係方面の抵抗をすべて押し切るだけの政治のあらゆる要素がそろいませんと、なかなかできないわけでございます。鬼木
委員よく御案内のとおり、フーバープランですら八カ年でやっとその目的を達したというような実例もございますが、われわれも絶えず協力し、時間がかかりましても、常に熱意を持って当たれば必ずや成果は着実にあがっていく。一年、半年見まして、とてもだめだと投げ出すようなことは、われわれとしてはまことに重大でございますので、常に自信を持って、じみちではありますが、次々に問題の解決に
当たり、
臨調のねらっておるところ、また成果について、実現する努力を続けていく予定でございます。
なお、本日の
行政監理
委員会の終了後発表いたしましたが、
行政需要の
実態についての
調査特別班の編成を終わりまして、大体約五百人を投入いたしまして、中央、
地方の
行政の
実態を立体的な
立場から掘り下げて需要の
調査検討を直ちに開始いたします。これができますならば、いろんな問題でいままで膠着状態にあり、マンネリズムにおちいっております定員制の問題その他につきましても、大きな、これは破り得る合理的な客観的な
資料調査が整うわけであります。いままでのような、並行的な役所同士の話し合い、その他、幾ら努力いたしましても限界があります。私
どもとしましては、感覚を変え、角度を変えた努力を思い切って踏み出したわけであります。いろんな
意味合いで、時間は少しかかりますが、必ずいつかは
国民のための
行政、いわゆる「安い
政府」の実現に向かって私
どもは努力すれば成果は必ずあがるものと確信を持っておる次第でございます。