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1966-05-26 第51回国会 参議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十六日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君    国務大臣        国 務 大 臣  福田 篤泰君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     井原 敏之君        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        労働大臣官房長  辻  英男君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        行政管理庁長官        官房総務課長   杉浦  滋君     —————————————   本日の会議に付した案件行政相談委員法案内閣提出) ○労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  行政相談委員法案を議題といたします。  前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。なお、関係当局からの御出席は、福田行政管理庁長官稲木行政監察局長、信原行政監察審議官杉浦官房総務課長田代行政監察局調整課長、以上の方々でございます。御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて若干お伺いしたいと思いますが、関連として、この行政相談委員公務員範囲から除外されるということになると、たとえば業務上の災害を受けた場合、あるいは他に損害を与えたような場合は、その措置が一体どういうふうになるのか、その点についても行管としては措置考えておられるか、この点について御説明いただきたい。
  4. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) そういう場合には、公務員災害に対する法律に準じまして実情に照らして処置をしておるわけです。具体的には政府委員から説明させます。
  5. 稲木進

    政府委員稲木進君) 公務員でございませんので、公務災害補償法適用を受けるということは困難かと思います。しかし、もともと相談委員に委託いたしまする業務それ自体は、行政管理庁所掌業務の一部であります。したがって、相談委員にやっていただく仕事自体公務でございます。そういう関係におきまして、もし業務執行上その災害を受けたという場合におきましては、国としてこれを放置することはできないというふうに考えますので、それについて何らかの方途を考えてまいりたい。当然公務災害補償法適用を受けませんけれども、その点については、今後それに準じた補償ができるような方法考えていく必要があると思いますし、また、かりにそういうことが困難であるとしましても、たとえば民法の六百五十条の三項の規定に基づく補償方法考える、こういうことをわれわれは二段がまえで現在検討いたしております。したがって、従前と同じような、いままで相談委員公務災害補償を受けなければならぬというようなケースは、過去五年の間にわずかに一件、しかも軽微な補償の事例がございましたが、数は少なくとも、ひとつ万一の場合の対策としては、いま申し上げましたような方法でもって善処いたしてまいりたいと、かように考えます。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に委員の配置についてお伺いいたしますが、説明によりますと、全国の市、区、町村に原則として一名を配置する、こういうことのようですが、しかし、同じ市といっても、ずいぶんピンからキリまでで、相当大きな市になった場合でも原則として一人ということになると、なかなか手不足措置できないのではないか、あるいはまた、そういう結果から、人口比例で、いわゆる人口の数に応じて、いわゆる比例した数を考えることによって解決し得るのではなかろうかと、こういう点に疑問が持たれるわけであります。この点についてはどういうふうに措置するのか、実際の場合はどうなりますか、その点をお伺いいたします。
  7. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 御指摘のとおり、大体市町村一名というたてまえをとっておりますが、しかし、大きな市ではとても一名では手が回らないわけでございます。また現実におきましても、大きな都市では複数の方々に御依頼を申し上げております。なおまた離島でありますとか、僻地とか、これは実際上置いてないところもまだ相当残っております。巡回なり出張なりいたしまして、一応措置をいたしているようでありますが、将来はなるべく広く、一名という原則を離れまして、実情に即してもう少しふやしてまいりたい、わずか三千六百五名でありますから、これではどうも手不足の点は確かにありますので、今後検討いたしたいと思います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、委員に対する実費弁償金の問題ですが、これは御説明によった額ではあまりにも少なきに失するのではなかろうか、こういうことでは相当問題があるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  9. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 実情を伺いましても確かにそのとおりでありまして、一人平均千円から五千円、それも一年間でございます。よく地方などに参りまして、実際に身近な問題で苦情を伺い、相談を受ける場合には、実費だけから見ましても、とうてい不満足な状況でありまして、これはできましたら来年度予算で、何か大蔵省と話し合って、もう少しせめて実費を補うだけの予算措置を何とか考えていく。来年度にその点はただいまから資料を集めて研究をいたさしている次第であります。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 しかし、何とか考えにゃあいかぬということですが、現在委員の広範な活動を期待する場合には、あまりにも金銭的に犠牲をしい、奉仕をしいるというようなことでは、どうもまずいと思うのですね。行管委員犠牲奉仕の上に業務を遂行する、こういうようなことは断じて許されないことだと思います。しかし、現実に見ると、現状のままでは相当金銭的にも犠牲があり、相当奉仕ということにわたると思うのですがね、そういう上に行管があぐらをかいておったのでは、これは相当の成果を期待することはむずかしいと思うのです。この点についてはどうお考えですか。
  11. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 任期と申しますか、いままでの実績を見ますると、大体八割近くが同じ方を委嘱を申し上げているような実情から見ましても、実際に実費も償えないようなことでは、確かにこれは不合理であると思います。ただ名誉職という立場お願いを申し上げておりますので、今度御審議を願っております法制化も、いわば権威を増し、権威づけるというような私ども考え方でございます。たてまえは名誉職でありましても、もちろん報酬を行政相談委員自体も御期待もされておらぬようでありますが、そうかといって、いまお話のような犠牲をしいるということは、好ましくないことは当然でございますので、何かその点につきましては、もう少し実情に即した面で私ども予算措置考える必要があろう、こう考えております。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ実費弁償ということですから、かかっただけを出せば問題はないわけですね。いますぐある程度余裕を持たせるところまで考えることはちょっとむずかしいと思うのですが、とりあえず実際にかかったいわゆる実費ですね、実費だけは少なくも国が持つのでなくしては、これは相当、そうでなくても時間的にも心身的にも相当奉仕仕事になりますから、その上なお金銭的にも犠牲をしいるということではどうもまずいと思うんですね。だからせめて実費弁償というその名に値する支出をしてしかるべきだと思うんですがね。将来は多少余裕を持たせるというところに漸進すべきであろうと思う。そこで当面そういうことについて行管としては具体的にどうお考えなんですか、将来の問題として、将来なるべくそういたしたい、そう答弁なさるのはわからないでもありませんが、ただ通り一ぺんのここでの答弁だけでは了承できないと思うんです。よほど具体的に、ほんとうにやる決意で、前向きの姿勢で取り組まれるのかどうか、ここのところが問題だと思う。
  13. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 先ほどお答えしましたように、いわば名誉職的な立場でございますので、あくまである程度献身的にお願いしておるわけでございます。したがって、今度の法律によって権威をつける、あるいはその他表彰とあわせまして、そういう精神的な面で政府側としても何らかお報いする方針で実はつとめておるわけでございます。ただ、実費の問題はなかなか算定もむずかしいのでございますが、私は何とかこれは地方管区実態をもう少し資料を集めまして、せめて実費だけは補える方向で、前向きで予算措置をひとつ来年度やっていきたい、こう考えております。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この行政相談委員と同程度活動をしておる他の各種委員手当等と比較した場合、処遇上の差は一体どういうふうになるのか、この点を具体的にひとつお答え願いたい。
  15. 稲木進

    政府委員稲木進君) 行政相談委員に対しまして現在支払っております実費弁償は、本年度の予算で申し上げますと、一人当たり全部ひっくるめてでございますが、全部ひっくるめてと申しますのは、通信費あるいは消耗品費そういったものでございます。それから担当区域内の相談に応ずるためにあちこち行っていただくための足代といいますか、そういうものは実は年間に三千三百円、平均でございますが、そういう三千三百円という範囲で差し上げる、こういうことに予定しております。そのほかに、担当区域外に出られる場合におきましては旅費を、これは国家公務員法旅費法規定による実額ですが、これを支払っておる、たとえばその相談案件につきまして管区地方行政監察局連絡に来ていただく場合、これは成規旅費を支払っております。そういうものを全部ひっくるめますと、四十一年度の予算では相談委員一人当たり八千百十七円という金額になります。それが相談委員費用弁償実態でございます。それに対しまして、いまお尋ねのありましたこの種のほかの委員さんに対する費用弁償支給状況でございますが、それはたとえて申し上げますと、人権擁護委員方々につきましては、これはやはり相談委員の場合と同じように、一律に支給しますものは年間一人三千三百円ということに予算上なっております。それから民生委員の場合でございますと、これは地方交付税算定基準の中に年間一人当たり二千円というものが計算されてございます。もっともこれは交付税でございますので、実際に支給される金額は、府県によりまして、その自治体の考えでもって、これにプラスして何らか支給されているところもありますし、このとおりになっているところもあります。なお、民生委員児童委員を兼務しておりますので、この児童委員の分としてやはり二千円でございますので、実際上は一人四千円ということになるわけでございます。それから保護司につきましては、これは補導一件当たり月五百六十円という計算基礎になっているかと思います。そのほか戦傷病者相談員等がございますが、これは一人月額五百円ということになっておるわけでございます。かれこれいま申し上げましたようなほかの委員の場合と比べまして、まず大体同じような程度——国予算措置関係からいいますと、必ずしも低いとは申せない。しかし、先ほど来お話がございましたように、かなり相談委員の中でも非常にたくさんの相談案件を処理していただいている方がございます。そういう方々にとっては、いま申し上げた費用では必ずしも十分償っていないんじゃないかということも考えられますので、われわれとしては、今後さらにこの法制化が実現した暁には、そういう面に大いに力を入れて、これがそんなに相談委員に出血的なお願いをしなくてもいいような方向に努力してまいりたいというふうに考えております。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま局長から御説明いただいたわけですが、各種委員との比較ですね、それをいま説明のあったことを骨子としてさらに一段詳しいものを資料としてひとつ御提出いただきたいと思いますが、こちらとしてもいろいろ研究したいと思いますので、この際お願いしておきます。  次にお伺いしたいのは、この法律案を見ますると、他の各種委員との連絡とか協議、この点について何らの規定もないわけです。そういうことでは相互の連絡とか、広く活動する面について支障があるんではなかろうかと思うんですが、この点は一体実際にはどうなるのか、この点について御説明をいただきたい。
  17. 稲木進

    政府委員稲木進君) 法案の上では、お話のような点についての規定はございません。各種委員との連絡ということは、相談委員の方が現実仕事を処理される場合にはどうしても絶対に必要なことであるというふうにわれわれは考えております。特に相談委員に一応の受け持ち区域というものを持っていただく、その受け持ち区域内に置かれている民生委員だとか、あるいは人種擁護委員だとか、その他各種の、いわゆる国民のいろいろな問題について相談に応ずるような仕事を受け持っておられるほかの委員との連絡ということはぜひやっていただかなければならない、こういうふうに考えております。従来もこれはわれわれとしてはそういう面の指導をやってきておるわけでございます。今後もそれをやっていただくつもりでおります。ただこれは実際活動としてやっていただくわけでございますので、あえて法律上その点を明記しなくてもよいのではないかというふうに考えましたので、この条文の中には載せてございません。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 実際は各種委員との連絡協議は進められておるということで、別に規定として設ける必要はない、そういうことですが、いまそういうことを御承知の関係者のおる間はいいわけですが、やはり長い間には人もかわるでしょうし、やはりそういう必要なことは、いまここですぐということではなくして、十分検討して、関係省庁とも連絡の上、そういう必要なことこそ規定として明記しておくことがよろしいんではなかろうかと思います。こういう点については十分今後検討をしてもらいたいと思いますが、ここでするとかしないとかいうことではなく、十分検討の上善処されることを要望申し上げておきます。  次に、お伺いしたいのは、この行管中心になって、この苦情相談委員の努力も手伝って、行政相談制度がだんだん普及してまいりますと、行管苦情処理業務は当然に増大してくるわけです。したがって、関係職員の負担もそれに伴って大きくなる、そういうことになると、行管の本来の使命は、いわゆる行政監察業務であろうかと思います。そういう本来の行政監察業務にも支障を来たすんではなかろうか、また、苦情相談の面についてもなかなかそれが徹底してくると処理できなくなる、そういうおそれも出てくることが予想されるわけですね。こういう展望に立って考えた場合、この対策についてはどのように現在考えておられるか、それとも現在は考えてないで、そのときになったらそのとき考えるのか、こういうことについて御説明いただきたい。
  19. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 御存じのとおり、大体四十年度は六万件の苦情処理をいたしております。おそらく毎年一万から一万五千ぐらいふえておるのが実情でございます。これを専門家がいろいろ類別いたしまして、各省ごとにまた内容的にもいろいろ分類し、分析し、そして資料をつくっており、毎月まとめております。これが実は行政実態を裏から見た非常に実は貴重な資料になっております。実はこのたび行政特別班行政上の実態を本格的な調査に入りますが、そういう場合に対しましても行政監察面から見ても、実は非常に貴重な生きた資料でございます。たとえば公害関係だけで昨年調べますと、やはり八百件ぐらいあります。いろんな意味合いで今後の行政監察という本来の任務の遂行にあたりましての貴重な資料にもなり、生きた一つの教材と申しますか、示唆と申しますか、参考資料であります。したがって、この点につきましては、もし手不足の場合にはある程度の強化も必要であろう、監察と相並んでむしろ裏から見た行政実態国民生活と日本のいわば民主的な行政というものの間に生ずる矛盾でありますとかあるいは解決しなきゃならない欠点であるとか、具体的にいろいろ出てまいりますので、むしろこの点につきましては本来の仕事を裏から見てこれを強化し、そして完全なものにする大事な仕事ではないかと考えております。したがって、現在のスタッフでは、いまのところ十分やっておりますが、将来の案件が増加し、あるいは行政相談委員方々が相当ふえてまいった場合には、当然かなりそれに当たる者もふやしまして、いわば行政監察の裏と表の面から本来の仕事に十分役立ててまいりたい、こう考えております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、本法律案関係の深い行政不服審査法、これが三十七年の十月から施行されておるわけでありますが、そこで施行後の状況について、行管としても調査しておられると思うのですが、そのことについて御説明いただきたい。
  21. 稲木進

    政府委員稲木進君) 行政不服審査法ができましてからかなり年月がたっているわけでございます。この法律施行になってから今日まで、どれくらいの件数不服審査として取り上げられているかということについていま手元に資料がございませんが、必要があれば後日にも提出させていただきたいと思います。ただ、この行政相談との関連から申しますと、やはり不服審査の場合にはいろいろと法的な手続が非常にかっちりきまっておりまして、たとえば何日以内に不服の申し出をしなければならぬとか、不服の申し出をした場合にはどういうような手続を、書面を出さなければならぬとか、いろいろなことがございますので、ある特定の、たとえば税務関係問題等につきましては不服審査件数というものは相当の数があるように聞いておりますけれども、その他の行政分野につきましては、必ずしも不服審査法に基づく審査手続件数はそんなにたくさんないようにわれわれ承知いたしております。その意味からいきますと、この行政相談手続といいますのは、そういうような法的な手続上のめんどうさというものは一切ございませんので、したがって、件数から申しますれば、先ほど長官が申し上げましたように、毎年一万件以上の件数がふえていくというようなこと、非常にまあ何といいますか、相談の扱いとしましては、いわゆる国民一般の大衆に非常にとっつきやすいような制度というふうになって、それがおのずと件数が毎年非常に増加していく大きな原因じゃないかというふうに考えております。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはいま局長から答弁ございましたけれども行管としては、この審査法施行後の状況についてはほとんど調査してないでしょう。あまりということよりはほとんど調査していないと一言御答弁になればよくわかるわけです。実際には調査してないのでしょう。それをやはりありのまま率直にお答えにならぬと、こういうところで時間相当食いますよ。
  23. 稲木進

    政府委員稲木進君) まあ御指摘になりましたが、行政監察局としては、実はこの問題は全般的に調べたことはございません。したがって、先ほど概括的な、非常に印象的なことを申し上げました。まことにどうも恐縮いたします。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 やはりありのまま正直に御答弁いただいてしかるべきだと思うのですね。こちらも調査の上確信をもってお伺いしておるわけですから、ていさいいい御答弁で回りくどいことを言うと、結局実態がよくわからぬわけですから、ありのまま御答弁になったほうがよろしかろうと思います。  そこでお伺いするわけですが、この法は行管中心になって成立せしめた法律であるということは、これはお認めになろうと思いますね、当然行管中心になってやったわけですから。そうだとすると、その施行後の状況についても行管責任をもってこれを見守る義務があろうかと思うのですね。これがあまり調査してないということになると、言うなれば怠慢のそしりは免れぬということになるわけですが、この点は一体どうなんですか。
  25. 稲木進

    政府委員稲木進君) 不服審査法関係につきましては、これは行政管理局のほうでやりました仕事でございますので、私のほうからちょっと御答弁申し上げることは適当じゃないかと思います。
  26. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 御指摘のとおり、私どもが主になりましてつくりました制度のその後の実績、運用について調査をしていなければ、これは明らかに怠慢であります。さっそく私も調べまして、もしやっていなければ、調査をやらすことをお約束申し上げます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 やはり行管中心になって成立せしめた法律である以上、その経緯について、その成り行きについて今後当然それを見守る義務があるということをいまお伺いしたわけですが、ひとつ十分この点については、ここで一応の答弁があるなしにかかわらず、やはり当然これは行管責任義務範囲に入ろうと思うのです。したがって、ひとつ十分そういう責任のある範囲については、当然責任をもってこれを見守り、調査する、そうして実態を把握して今後に備えるということの態度が必要ではなかろうかと思うのです。そういう意味からあえてお伺いしたわけです。  なお、このことに関連して臨調答申にもございますが、行政手続法制定の必要が強調されておるわけです。そこで、このことについては、行管としては何か検討されておるかどうか、その点をお伺いいたします。
  28. 杉浦滋

    説明員杉浦滋君) 行政手続法制定の構想につきましては、法制局とも従来相談をいたしておりまして、昨年もその調査会設置のための予算を要求いたしたわけでございますが、各般の関係でこれがまだ実現をいたさなかったわけでございます。しかし、この問題の方向につきましては、行政相談委員法制定の場合の各省との連絡におきましても、こういうことは、ことに行政救済方向につきまして統一的な考え方政府の中でもしなければならないという話し合いはだんだんと進んでおるわけでございますが、これを明年、手続法制定に関しまする具体的な調査会を設置するかどうかということにつきましては、ただいま目下検討中の段階でございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この点を私はいまお伺いしておるのは、臨調がその答申行政手続法制定はぜひ必要だということを強調しておるという点、しかもなぜ臨調がそういうことを主張しておるかということは、事後救済についてももちろん必要でありますけれども、それより大事なことは、事前予防措置が一そう大事である、そういう観点に立って臨調行政手続法制定の必要を強調したわけです。臨調のその手続法の必要を強調したゆえんはそこにあるわけですね。われわれとしても、事後救済ももちろん必要でありますけれども、やはり臨調答申の意見のように、事後処理よりもむしろ事前予防措置に重点を置かれてしかるべきだと思うのです。そうだとすると、それは急を要する問題だと思うんですね。にもかかわらず、いま課長から説明がございましたけれども、ほとんどこれには手がつけられていないというのが実情であろうと思うんです。そうであってはならぬと思うのです。やはり臨調があえて強調したのは、趣旨がそこにあるわけですから、その趣旨を正しいと見た場合に、当然措置を急がなければならぬ急を要する問題だと思うのですね。にもかかわらず、あまりまだ手がつけられていないということでは、これは遺憾の意を表さざるを得ないので、この問題もそういう意味合いで、行管事後救済よりも、むしろ事前予防措置を重視せらるるならば、今後早急にこの問題と真剣に取り組んで、臨調答申趣旨に沿うようひとつ努力あってしかるべきだと思うんです。長官のお考えはどうですか。
  30. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 全く御意見のとおりでございます。予防の問題につきまして、特にそういう法的ないろいろなむずかしい問題がありますれば、いままでの努力が十分でなかったように思いますから、さっそくこれからでもその点について具体的な検討ないし研究に入らしていただきたいと思います。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、審議会等の整理の問題ですが、これはこの国会——衆参の内閣委員会にすでに審議会等の整理に関する法律案として提案されておりますので、そこで答弁をお伺いするわけですが、ただ関連がございますから一点だけお伺いしておきたいと思います。この審議会の整理を見ますると、二百九十一にのぼる審議会等について約その二割程度の整理を行なうんだということを聞いておるわけですが、これはまだこの整理に関する法律案の提案理由を聞いておりませんから詳細わかりませんが、結局どういう程度考えておるのか、そして将来の展望としては、まず現時点ではこの程度を整理していくが、今後はどのように措置なさろうとするのか。先ほども申し上げたように、本法案が提出されておりますから詳細はそこで伺うが、ただそういう大綱について一言だけ、関連のある問題ですからお伺いしておきたい。
  32. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 先般、今国会に法案として提案いたしました二百九十一ある中で、昨年から鋭意その調整あるいは合併、廃止につとめてまいったわけでございます。調査して驚いたわけでありますが、非常に政治的なねらいでつくられ、しかも実際に動いてないものも相当あるのでございます。一年一回以内というものも三十幾つある。また、議員立法につきましても実質的には効果をあげてないものもある。具体的に全部の整理を終えましたので、昨年末から関係各省あるいは各党とも相談をいたしまして整理につとめて、初めは九十五ぐらいを実は目標にやったんですが、なかなか抵抗と申しますか、反対が強くて難航いたしまして、幸い三十四だけ話がつきまして、具体的に整理に関する法案として提出することができたわけであります。いままでの例を調べますと、大体五つかないし六つぐらい整理した前例がございますが、幸い各政党の御協力もいただきまして三十四、目標よりは下回っておりますが、相当実績はあげ得たと考えております。しかし、これはもちろんこの国会だけで終わるんじゃなくて、残りました分、また話のつかない部分につきましては、国会終了後といえども引き続きこれを検討いたしまして、次々に不要不急のものの整理基準もできておりますので、この基準に照らして、毎年この整理をしていきたい、こう考えております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この審議会等の整理について行政監理委員会の意向はどうなんですか。
  34. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 審議自体審議会等の組織については必要なものは当然これは存在理由がある。しかし、現在の日本に設けられておるものについては当然整理ないし調整すべきものは相当あるというのが監理委員会の意向でございます。したがって、話のつきましたものを逐次監理委員会に報告し、検討を願っておるわけであります。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この行政監理委員会が最近に行なっている審議はどういうことか。それから将来行なうことになる審議の計画はどうなのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  36. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 昨年の夏発足以来、大体毎週木曜日に定例会議を非常に熱心に各委員方々審議を、ほとんど十時から一時ごろまで全員出席をして御審議を願っております。なお、そのうち三名は常勤で、隔日に役所に来ていただくことにして、専門の事務的な補助員をつけましていろいろな具体的なものを、それぞれ主査をお願いいたしております。たとえば科学技術基本法であるとか、あるいは首都圏整備、あるいは内閣制度の問題とか、重要な当面のこういう三つの問題についてもそれぞれ審議をしていただき、引き続いて検討いたしております。それ以外に、行政監察の改善事項の問題、あるいは先ほど来話題になりました、御質疑のございました行政相談の問題、さらに審議会の整理、本日も実は朝十時から開きまして、その場合、本日の委員会の大きな議題、五つばかりございますが、そのうち一つはやはり行政事情の実態、配置転換の問題、こういう点に議題を、相当広範な問題にわたって審議お願いしております。基本的な構想としては、出発のときに約一カ月かけまして、行政監理委員会の任務と性格を十分にお互いに話し合っておりますので、基本的なものとしましてごく簡単にお話を申し上げますと、まず第一には、臨調答申を執行実施する、しかし、これにはとらわれない。もう二年たっておりますので、実情に沿わない面は現実に即して新しく委員会の立場から問題を検討する。これが一番基本思想でございます。なお、答申以外のものでも行政管理庁の行なうものについて広くとらわれない立場で、自由にテーマをとらえて審議する、こういう仕組みに相なって活動を続けておるわけでございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから最後に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、それは臨調行政改革に関する意見に対する行管の意見はどうなのか、こういう基本的な問題ですが、数多くの事例をあげてお伺いすると一そう明確になるわけですけれども、時間の関係もございますから、一点にしぼって一つの事例をとって行管の意見をこの際明らかにしておきたいと思うわけです。一つの例と申しますのは、臨調が内閣の機能に関する改革意見を出しておるわけです。現在の総理府本府のいわゆる総合調整機能並びに行政管理庁のいわゆる組織管理及び行政監察の機能を強化して、かつその結果を内閣の政策決定とか、あるいは予算編成等に反映させるために、結論は総理府本府と行政管理庁を統合して新たに総務庁を設ける、この総務庁を設けてこれに人事管理等に関する事務あるいは総合調整に必要な資料の収集、分析に関する事務あるいは栄典に関する事務、こういうものを加えて総務庁をひとつ新たに設ける、こういう臨調の改革意見に対して行管長官としてはどういうふうにお考えか、こういうことをまずお聞かせ願いたい。
  38. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 内閣機能強化の問題は、臨調の二年七カ月にわたる貴重な研究の中でも最重点事項の一つで、いまお話しになりました考え方がその改革の基本構想であります。行政管理庁といたしましては、監理委員会を中心に、何とかしてこれに対する実現を推進いたしたいと考えておりますが、実際問題になりますと、なかなかこれはむずかしい問題で、いろいろと江口委員中心にいたしまして絶えず昨年から具体的にどうすべきか、たとえば予算編成のあり方と申しましても、臨調のねらいはいままでのような予算編成ではきわめて大蔵省中心、いわば主計局中心の事務的な予算編成ではないか。これではいけない。予算関係の閣僚会議を中核として総理大臣みずから議長格となって高い次元から予算を編成するという、非常に正しい意見、この点につきましても実は総理、官房長官とも絶えず御連絡しながら監理委員会を中心に具体的な裏づけを実は続けておるわけでありますが、まだ残念ながら現実の面において具体化する具体案を発表するまでは煮詰まっておりません。しかし、何とかこれに沿ってまたその精神を生かしたものにし、総理大臣の指導力も強化していく。これは私どもぜひしなければならない大きな機構改革であり、行政改善の一つの目標でございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま、長官からも一部御指摘ございましたが、この臨調の設置についてはその当時相当反対もあったわけです。にもかかわらず、行管中心になってその必要性を強調されたわけです。その結果、池田内閣当時に臨調が設置されて、池田総理はじめ、その臨調答申はあくまで尊重する、しばしばそういう意思の発表があったわけです。この内閣を継いだ佐藤内閣に至っても、臨調答申はあくまで尊重すると、機会あるごとにそのことを強調してきたわけです。そこで一つの、たとえば総務庁を設けるこの意見についてさえ、こういう経緯から生まれた臨調答申だから、おそらく答申が出された暁には、相当これが徹底して内閣の各省庁でこれを実行に移すものと相当な期待を持って見守ってきたわけであります。ところが、実際にはその期待に反して、たとえばいま総務庁というのは一つの例をとったわけです。これは膨大な行政改革に関する意見が出ておりますが、ほんの一こまだけについて見ても、どうも答申が出てみるとさっぱりそれが実行に移されていない、そういうことを指摘せざるを得ないわけですね。これは一体どういうわけなのか。この総務庁に一つの例をとってお伺いしておるわけです。
  40. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) これはまあ行政改革というものがもう毎年総理が非常に苦心をされて、歴代の長官も一生懸命やっておりますが、実際の実はなかなかあがらない。残念ながら御指摘のとおりだと存じます。実際一つの省の局部を整理すること自体も非常な抵抗があって、なかなかそれも片づかない。もちろん、この臨調の一つのねらいの面であります、膨大化する行政を押えて縮小するという消極の面では、相当実績をあげたと思いますし、四十一年度の予算編成方針でも、閣議でまず了解を取りつけまして、総理の強い指示のもとに、たとえば二十一にわたる特殊法人の申請一切を認めなかったというようなことも、また一つの効果である。しかし、いまおっしゃったような内閣強化に対する大きな機構改革、これはまだ一向に運ばないじゃないか、残念ながらそのとおりでございます。一つの部局を整理するのですら、実は非常な抵抗があり、時間がかかる、私は、最後はやはり総理大臣が非常な決意をもって高度の政治力で、早く言えば、非常な決断と勇気をもって押し切る以外にはちょっと無理じゃないか。私どもあらゆる関係の者はこれを補佐し、邁進いたします。やはり最後は、総理大臣としての強い決意と行政指導力にお願いする以外にない。そこで、実はいままでも、マンネリズム、定員制とか、部局課、そういうものを毎年同じような角度から扱うのも、これは行き詰まっておる、とうてい不可能だということを、わずか一年足らずでございますが、私ども痛感いたしまして、今度特別班を組織して、日本の今後の体質改善、あるいは経済改革といったような日本自体の一つの行政を指導していく、あるいは行政を左右する日本の動向というものを、まず経済企画庁その他あらゆる各省の協力も得まして、まず青写真をつくる、その上から一つの行政実態、事情というものを何かつかんでいきたい。それから生まれてくるものは、大きな行政改革、内閣強化ということもやりやすくなる、その基礎をつくりたい。いままでの事務的なことではとうていできないと実は痛感いたしまして、角度を変えてこの問題と取り組みたい、着手する予定であります。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 他の省庁、これはともかくとして、行管立場は、臨調答申に対してのとるべき態度というものには、また一そう責任が重いものがあろうと思うのですね。これは当然のことです。言うなれば、他の省庁の先に立って臨調答申を具体化していかなければならない義務責任があろうかと思う。いま長官も勇気をもってこのことに取り組む、そういう決意の一端が表明されたわけですけれども、そこで、各省庁の考え方をまとめて申し上げると、自分の省が拡大される、機構が拡大される面には例外なしに賛成しておるわけです。ところが、逆に自分の省あるいは庁の縮小される場合、あるいは他と統合されるような場合にはまっこうから反対する。ほとんど例外ない。各膨大な場合、ケース・バイ・ケースで調査してみましたけれども、ほとんど例外なしにそういうことが言えるわけですね。何ら大所高所に立っておるのではなく、自分の省、自分の庁だけを故意に考えて、いわゆる大乗的な立場から国の行政機構を改革する、そういうことにはさっぱり協力していない。当委員会でも、ある大臣のごときはもう率直に、遺憾ながらいま各省庁はなわ張り争いをしておりますと、私の質問に対して率直に認めておるわけです。大臣自体がなわ張り争いをしておりますということを認めておる。ことほどさように、まだまだ自分の省庁に閉じこもっておるわけですね。そういうことではなかなかもって国の行政機構の改革、そうして行政の改革、こういうことはほど遠いことではなかろうかと思うのです。そうなると、やはり行管のほうへ責任がかかってくると思うのです。この臨調の設置については、先ほども指摘申し上げたように、行管中心になってまっ先にこれを強調してきている。そうして、長い日数をかけ、多額の国費を費やし、そうして多くの陣容を動員して慎重審議の結果この答申がなされたわけです。したがって、その答申に対する各省庁の考え方がそういうなわ張り争いで依然として旧態依然であるということでは、これは済まされぬと思うのです。行政改革ということは言うべくしてなかなか実行できない。そういうことで、いまだかつてない機構とそうして長期間、そうして多くの人を動員していまだかつてない大規模な臨調というものを設置して、そうしてその答申を期待したわけですね。出て見れば、いま申し上げたように、依然として旧態依然で、各省庁はなわ張り争いに終始しておる。これが実態ではなかろうかと思うのです。こういうことでは当初の主張に反するもはなはだしいと思います。よほど勇気と勇断をもって真剣に内閣全体の問題として取り組まないと、なかなかもってこれは言うべくして改革などは行なわれ得ない、そう断ぜざるを得ないわけです。そういうことになると、やはり行管がその推進力にならなければならない立場に置かれるわけです。そういうことで、行管の長管は一そう大きな責任があると思うのですが、この点に対するお考えと決意が一体那辺にあるのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  42. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 確かに各役所のなわ張り争と申しますか、割拠主義と申しますか、その弊風が依然として強く残っております。これは私も認めております。ただ問題は、行政管理庁は大きな任務を与えられながら、権限としては命令権がない。これを新設しろ、あるいはこれを廃止しろという権限はございません。あくまで勧告し、話し合いの上でやるという権限しかないわけで、私どもまことに隔靴掻痒の感を持たざるを得ないわけであります。しかし、あの能率の非常に高いアメリカですら、フーバー・プランが十年近くかかったという実際の例を見ましても、私どもはあくまでも望みは捨てておりません。やはり臨調の一つの苦心したいい案、いい構想というものは、たえずわれわれが努力し、必ず一歩一歩実現していかなければならない。先ほど申し上げたように、あるいは審議会の整理統合とか、そういう消極的な面についてはともかく、積極的な面における根本的な行政の改革は、先ほど申し上げたとおり、やはり総理としての強い決意、政治指導力、政治的な決断、私ども真剣なたゆまざる努力、さらに国民の世論というものを背景にすれば、必ずいつかは実現する。一挙にはできません。むずかしい仕事でなかなか能率があがらないと思うと残念ではありますが、しんぼう強く絶えず努力すれば、国民の世論を背景として必ず実現できる。私どもはその希望と自信を持ちましてその努力を続けていくつもりでございます。
  43. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  44. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をつけて。
  45. 北村暢

    ○北村暢君 私は、この法案関連して二、三の質問をいたしますが、この相談委員制度とよく対比せられる人権擁護委員、それから民生委員、特に人権擁護委員は法務省所管でやっておられるおけですが、人権擁護委員というのは全国にどのくらいおられて、そうしてどういうような執務の内容になっているか、それとの比較において行政相談委員というのは今後どのような運営をしていくのか。この人権擁護委員との比較でどういうような形になるのか、これをまず説明していただきたい。
  46. 稲木進

    政府委員稲木進君) 人権擁護委員の数は全国でたしか九千七十五名委嘱されておったと思います。相談委員は先ほど申し上げましたように、全国で三千六百五名、人数におきましてはかなり開きがあるのであります。仕事のやり方につきましては、この人権擁護委員法によりまして人権擁護委員が動いているのであります。いろいろと内容的には違ったものもございます。この人権擁護委員法は、御承知のとおりに、戦後間もなくできたいわば連合軍の進駐下においていろいろ占領軍のほうからの勧告その他のいきさつがあってできた法律でございます。そういう関係もございまして、かなりこれは発足後まあいろいろな点で日本にいままでほとんど見られなかったような制度になっております。相談委員法案で書いております相談委員の性格とは非常に違っているという点が多々あるように思います。ただ動き方としましては、やはり相談委員法の場合におきましては、管区地方行政監察局中心として、そこを中心として各市町村等に相談委員を設置しまして、そこと監察局と連絡をしながら仕事をやっていく。人権擁護委員の場合におきましても、やはり法務局が中心になってそうして法務局の人権擁護部、これが人権擁護委員活動の根拠地になっていると思います。したがって、その実際の動き方においてはさほど違いがないと思いますが、ただ人権擁護委員につきましては、法律上いわゆる非常に珍しい特別の権限というものが与えられているように承知いたしております。まあ相談委員法におきましても今後新たに、相談委員行政管理庁監察局を通じてしか一応対外的には活動できなかったものが、今度の法案におきましては、相談委員がみずから監察局を通さないでほかの行政機関と接触を保てるというようなふうに規定してございます。しかし、その場合におきましても相談委員に権限的なものが比較的希薄になっております。たしか人権擁護委員の場合におきましては、そういう関係において権限的なものが認められているという点があると思います。そういう点にいささか違いがあるのではないかと思っております。
  47. 北村暢

    ○北村暢君 行政監察を通じて人権擁護委員がどういう成果をあげているかということは行管ですから御存じだと思うのですが、大体、人権擁護の事案というのは人員九千七十五人というのですが、全国的に一体どのくらいの事案があってどのような仕事をやっているのか。そして、それはなぜそういうことを聞くかというと、行政相談委員は、いま相談件数が、この前の委員会でも説明がありましたように、五万件だか六万件だか、こういうことのようですね、したがって、その事務量において、性格が違いますから、人権擁護委員というのはなかなかちょっと、責任行政相談委員とは違った意味責任がありますから、一がいに比較はできないかと思うのですが、一体こういう性質の委員の能力として、どの程度の事務能力というもので処理していくものが期待されるのかということのためにお伺いするのですが、どうなんですか。その比較において人権擁護委員というのはどのくらいの案件というものが処理されているのですか、御存じだったらひとつ。
  48. 稲木進

    政府委員稲木進君) ただいま資料も持ち合わせておりませんし、人権擁護委員がどれくらいの案件を扱っているか承知いたしておりません。必要がありましたら後刻調査をした上でお答え申し上げます。  それから、何といいますか、どういう人たちが人権擁護委員になっているか。それと相談委員との関連でございますが、大体人権擁護委員もやはりその地域のいわゆる学識経験者といいますか、一般に非常に名望の高い人がなっておると思いまして、その点は相談委員と大体似ておるのじゃないか、現に行政相談委員人権擁護委員を兼ねている人、この数がかなりございます。いま数字的には記憶しておりませんけれども、各地域に、各県にそういうような相談委員と擁護委員とを兼務しているという人たちが相当おるというふうに記憶いたしております。そういう意味からも、大体同じ程度のクラスの人といいますか、ことばが適当でないかもしれませんがそういう人たちがなっておるというふうに理解しております。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
  49. 北村暢

    ○北村暢君 まあ大体似通った、性格は非常に違うのですけれども、そういう名誉職的な仕事ですね、しかも相当犠牲的精神がなければちょっとできないだろう、報酬というものは別段与えられないわけで、まあ調査なら調査実費しか支給されない、こういうことですから、相当の件数なり処理件数が多くなるということになれば、名誉職といえども相当それに専念をするような形になるのか。年間どの程度、ほかの仕事をやりながらやれるか、行政相談委員と特に人権擁護委員とを兼務しているようなことになりますと、どの程度年間案件に従事されるのか、これが私は、名誉職であってまあ年に一回か二回か御苦労願うというのならですけれども行政相談委員年間五、六万件もあるのに三千何名でやるということになると、これは相当各役所で使い走りみたいに歩かなければならないというようなことになるのじゃないかと思うのですね。そうして無給でやるということになると、相当これは犠牲的精神がないとできないのじゃないかという感じもするのです。それで、この法案の目的なりなんなりが達せられるのかどうなのかということに若干疑問を持ちますので、その点は一体どのように判断されておるのか。現状はどのようになっておるのか。
  50. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 御指摘のとおりでございまして、文字どおり名誉職的なきわめて犠牲度の高い役目をお願いしておるわけであります。詳しくは政府委員から答弁いたさせますが、一人平均年三千円ぐらい程度、いろいろ行政委員方々とときどき現地でお話しし合うのでありますが、ざっくばらんに申しましてお茶菓子代にもならぬというのが実情でございます。文字どおり名誉職的に、身近な国民生活のいろいろな矛盾でありますとか、不平、これと取っ組んで親切に指導していただく、ことに大事な仕事でもあり、報いられるところ少ないだけでなくて、場合によっては実費ですら十分でない場合も相当あるようでございます。先ほどからも伊藤委員から御指摘がございましたように、この点は、このたび御審議願っておるのが法制化することによりまして、権威を一そう高め、もちろんふだん表彰であるとか叙勲、その他いろいろの政府としては最大の努力をして精神的にはお報い申し上げておりますが、やはりある程度と申しますか、あまり犠牲をしいることは筋が通らぬわけであります。幸い法制化できましたならば一歩前進でございまして、予算的にもある程度実情に沿った増額なりその他をいたしたい。もっともこれは人権あるいは民生委員その他の諸制度との関係がありますからなかなか困難なこともあろうかと思いますが、いまの現状ではどうも不足でございます。実情に沿ってある程度少なくとも実費は補い得る程度予算措置はぜひとも講じたい、こう考えております。
  51. 稲木進

    政府委員稲木進君) 相談委員業務量でございますが、大体われわれは相談委員には、年間といいますか、むしろ月に一件ぐらいは平均的でございますが、月に一件ぐらいの相談は処理していただくようにお願いを申し上げております。そういうふうになりますと、年間に約十二、三件になると思います。三千六百でございますので、大体相談委員を通じての苦情案件はそうしますと約年間に四万件になり、三十九年度はたしか五万五千件でございました。四十年度が約六万以上にも伸びていると思いますが、その中には行政監察局国民から直接受け付けた相談件数が約二割ぐらいございますので、大体われわれが相談委員に期待しております案件はほぼやっていただいておる。ただ、個別的に相談委員個々の一人について申し上げますと、実は非常にたくさん処理していただいておる、年間に百件近くの相談を処理していただいている方もございますし、逆に年間に二、三件ぐらいしか取り扱いのない委員さんもございます。そういうことでございます。個々について見れば非常に違いますけれども平均して申し上げますと大体その程度業務でございます。その程度業務を処理していただく場合におきまして、先ほど伊藤先生からの御質問にございました程度費用弁償でもってわれわれは必ずしも十分だとは考えておりませんし、ただ相当区域外に出られるような場合にはこれは規定旅費を差し上げるということでカバーしていただいておる次第で、担当区域内の活動につきましては、いろいろの雑費が必要でございますので、その分として先ほど長官から申し上げましたように、年間が三千三百円くらいの金額しか一人当たり予定しておりませんが、この分につきましてももう少しふやすようにしたいということで、今後はその方面に大いにわれわれも努力をいたしてまいりたいとかように考えております。
  52. 北村暢

    ○北村暢君 それで行政相談委員の執務の状況ですが、その各個人の家に行政相談委員というちょっとしたものを下げておく程度の執務だと思うのですけれども、どこか行政監察局の出先に事務所を、机を置くとかそういうことはないでしょう。したがって、この法律化をして、おそらく人権擁護の問題と違って、行政相談ということになれば、しかも政府関係機関に対してまでやるというわけですね、ほんとうに親切に金の借り方まで教えてやるということになると相当な事務量になるのじゃないか。ただ、まだ行政相談委員の活用について一般の人が認識しておらない。したがって、今後いままで五、六万件だけれども、それを活用するということも一般の国民が知ってくるというと、これはもうたいへんなメッセンジャー式のところまでいくのじゃないかと思われるのですね。やはり行政不満に対するあるいは無知に対するサービスでありますから、そのサービスのようなところまでいくのか、制度としてそういうものを設けていくという程度であるのか、これは考え方でだいぶ違ってくるのですが、私はやはり行政上の一般の行政官庁、地方庁から政府関係機関ということになるとこれはたいへんなことになるので、実際はどこかの場所に一定の机くらいはあって、それも実際に本人はとても無給ですからつとめるわけにはいかないでしょうけれども、とにかく役場の中にだれかそれを紹介するくらいの受付で、ここに聞いてくださいというようなことが言えるような措置がとられることが望ましいのであって、行政相談委員の家をさがすのにたいへんな苦労をしてしまってわからなかったというようなことでは、せっかく置いた意味をなさないのじゃないか。したがって、町役場なり何なりのところに連絡をとれるような処置ということをやっておけば、行政相談委員が毎日その自宅におる、待機をしておるわけではないでしょうから、その打ち合わせがいつごろ行けばおられるのかというようなことぐらいは、連絡する措置というものが考えられないというと、せっかくの制度が活用されないのじゃないかというふうに思います。したがって、責任業務量ばかり多くて、待遇のほうがさっぱりいかないのじゃ、行政管理庁のほうへ要請するのも非常に心苦しいわけですけれども、せっかくの制度が活用されるためにはやはり私は予算なりなんなりの面において、給与面においてほんとうの名誉職であるということより、ちょっとやはりその待遇問題等について同じお礼程度になるかもしれませんけれども、何かもう少し前進したものを考えていいのじゃないかと思うのですがね。将来の運用なり見通し等について私は伺っておきたいと思います。
  53. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 本来の任務自体が非常に名誉職的で、したがって、報酬的な、あるいは十分な物質的にお報いすることは不可能でございますが、御指摘のとおり、ある程度実際に活動し得るような、あるいは物質的にも相当の合理的なものをお報いするという考え方、全く同感でございまして、来年度予算で何とかいたしたいと思います。ただ御承知のとおり、いま自治団体の、たとえば市役所あたりでも相当徹底してまいりました。各自治団体の役所内にも苦情相談の受付がだいぶ普及してまいりました。この点、われわれのほうの行政相談委員は、早くいえば連絡係といいますか、窓口に連絡するという、実質的に案件処理という以外に、直接専門の自治団体に設けられました機関に連絡するということもだいぶ徹底してまいりました。なおまた、その場所がわからないのではないか、全くそのとおりでございまして、昨年名古屋の一日相談で私も実際百数十名やりました。やはり苦情を承って、ことに郵便局に行政相談委員の家を略図を書きました地図をつくりました。これはだいぶ評判いいようであります。来年度は全国にいまおっしゃった一体どこに相談委員がおるのか、どうも郵便局あたりが非常に徹底するようであります、大衆が一番集まる。名前と地図を入れ、電話も入れて、全国にこれを配りたい。なお、これに関連して伊藤委員も非常に熱心に御注意いただきましたが、移動的な宣伝カーといいますか、移動行政相談もこれも来年度実施いたしたい。したがって、各自治団体の持つ固有の行政相談機関との連絡と同時に、本人の所在を明らかにして、そして苦情申し出る人に連絡をもう少し能率よくしてもらいたいというような、いろいろまだ改善する点がたくさんあるようでございます。特に総理府の恩給関係でありますとか、それから建設省の道路、橋梁、あるいは農林省の農道でありますとか、その他非常に生活に密接した苦情が、大体毎年の累計なりを分析しますと、やり方なり方法がだいぶ地域的にもはっきり出てまいる特徴が出てまいっております。これに対して実情に即した改善策を着々手を打ってまいりたい、こういうふうに考えております。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  54. 北村暢

    ○北村暢君 まだ行政相談委員制度について私は、私自身なんかにも、実は恩給の請求をしたのだけれどもさっぱりその返事が来ないといって調べてくれといって私に手紙が来るわけですね。そういうようなことは、それから判断して、行政相談委員にいってもどうもというような話があるんですが、そういうような恩給問題とかなんとかでむずかしい計算だのなんだの、申請の方法なり、そういうふうな問題でずいぶんあるだろうと思うんですね。そういうような点について、いまおっしゃったような形の指導なり示唆なり与えてもらう、また、実際に提出した書類がどういうふうになっているのか調べてもらうといった場合に、そういうようなことをやられるということになれば、これはその地域だけの問題でなくて、やはり中央の問題にもなって、遠い地域、恩給局なら恩給局に照会をするというようなことになってくると、これは問題が出てくる。また、人権擁護委員というのは、一つの事案が出ればそれは簡単に済まない。何日もその事案にかからなければならないという問題が出てきますね。だから、月に一件というけれども、一件の問題について何回も世話をしなければならないという問題が出てくるんですよ。一件であるから一時間か二時間で終わるかというとそうでもないと思うんです、私は。だから、一件の問題について、件数はそうであるけれども業務の内容においてはやはり何日かそれにかかりっきりでかからなければならない場合もたくさん出てくるのではないかと思うんですね。そういうような観点からいって、場所等について一がいにどこに置くというわけにいかない。やはり自宅に置くより方法ないでしょうけれども、そういうような点で、やはりもう少し名誉職名誉職仕事を押しつけて、だれも好きこのんで仕事だけはするけれどもというかというと、そういう奇特な人というのはなかなかそれにたよる以外にない制度になっておりますけれども、もう少し将来やはり行政相談委員というのは人権擁護委員以上に問題あるので、件数も非常に多くなるのじゃないかという感じがいたしますね。その処置はひとつ大臣もおっしゃられているようですから、まあ、十分活用、せっかくできたものですから活用できるようにしていただきたい。  それからもう一つ、行政相談委員というのが実際にこの人は仕事を何かやっているかもしれないわけですね。それの場合に仕事上の問題についての制限というようなものはないでしょうか。たとえば往々にして人権擁護委員あるいは行政相談委員ということを利用して他の選挙であるとかなんとかいうことに、その地位を利用されるということが全然ないとは言えない。したがって、そういう公職的なものとのあり方というものは一体どのように考えておられるのか、この点について何かの制約とか何かがあるのかどうなのか、考え方をひとつお伺いしておきたい。
  55. 稲木進

    政府委員稲木進君) 相談委員の委嘱にあたりましては、いま御指摘のありましたような点がございましては、非常に相談委員としてはふさわしくないというふうに考えますので、特に慎重を期して人選をいたしていきたい。これは先ほどお話がございましたこととも関連するわけでございますけれども、われわれ各市町村におられる有識者と申しましても、直接に承知する機会も少ないわけでございます。この委嘱にあたりましては市町村長の意見というものを十分に聞いて、そして人選を進めるという考え方を取っているわけでございます。具体的にはいままでやりました方法としましては、市町村長によく行政相談制度というものを初めに説明しまして理解していただいた上で、こういう仕事をやっていただく人としてはあなたの町なら町ではどういう人が適当かというような人を大体二、三名選んでいただきまして、その中で、その人の過去の経歴その他というものも十分に調べまして、そして私どものほうでその推薦のあったものの中から委嘱する、こういうようなやり方を取っているわけでございます。現在までに相談委員として委嘱しました方々のうちでお話のございましたような、必ずしも適任ではない、たとえばその地位を利用してほかの目的に利用するというような方々は、幸いにして一名も該当者が出ておらないわけでございます。しかし、将来のこともございますので、そういう点についての担保としまして、法案ではその第六条の中に解嘱の規定を設けているわけでございます。まあ非常に抽象的になっておりますけれども、たとえば業務上の地位を他の目的、たとえば政治的な方面に悪用するというような場合がございました場合には、この規定によりまして解嘱するということを直ちにやっていきたいというふうに考えているわけでございます。  それからちょうど立ちました機会でございますから、ちょっと先ほど申し上げましたことを訂正さしていただきたいと思いますが、人権擁護委員の数は九千七十五名と申し上げましたが、ことしの五月一日現在で九千百八十三人人権擁護委員がおるのでございます。その取り扱いの件数でございますが、年間約四千件、ことしの四月中の取り扱い件数の例をとりますと、四月一カ月間に三百九件の取り扱い件数がございます。その数字からいいますと、大体件数だけにつきましては、相談委員の扱っておる件数の約十分の一ぐらいじゃないかということになりますが、先ほど先生のお話がございましたように、事案の内容によりますので、これは必ずしも一がいにどちらのほうが業務量が多いかということはちょっと申し上げかねます。  それから相談委員業務につきましては、その職務をする場所の問題がございますが、相談委員は大体自宅においてその仕事をやっていただくというたてまえをとっておりますけれども、しかし、相談委員の方自身も自分の本来の職業というような関係もございますし、必ずしも自宅におらないこともある。そういうときにはいろいろとせっかく相談に来られても、その相手になることもできないという場合もございます。それで一応方法としまして、われわれが相談委員方々に申し上げておるわけでございますが、たとえば月に一回なり二回なり定例の相談日をきめて、そしてそれは市町村のほうと連絡をとりまして、そして市町村の公報なんかに何々相談委員はたとえば毎月何日を定例相談日とする。そしてその場所は市町村の役場の会議室を使うとかいうようなことをきめてもらって、そしてやっていただくということのほうが、お互いに相談をするほうも受けるほうも都合がいいのじゃないか、こういうような方法で進めておりますし、現にそういう方法でやっておる相談委員方々が相当たくさんございます。で、その定例日以外のときには自宅のほうにひとつ来ていただくというようなこと。  それから、これもつけ加えて申し上げますと、そういう場合に相談に来られる方は相談委員というものはどういうことをやるんだということも十分承知しない場合もありますしするものですから、これも市町村と話し合いをしまして、たとえば、その定例日には行政相談委員だけじゃなくして、人権擁護委員の人にもその日一緒に来てもらい、あるいは民生委員の人にも一緒に来てもらって、そうしてそういうような委員さん方の関係の者が一緒に同じ部屋に集まってもらって、そうしてだれが来ても相談に応じられるというような仕組みを実は考えております。こういうやり方につきましては、市町村長も非常に関心を持っていただきまして、そういうことならば自分のところで場所をつくったり、そういうようなことは引き受けてやろうじゃないか、こういうようなことで非常に積極的に応援をしていただいておる町村も非常にたくさんございます。われわれとしましては、そういう行き方が実際の運用としては非常に適切じゃないかというふうに考えてこれを奨励いたしておる、こういうことでございます。
  56. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 午前はこの程度とし、午後は一時五分より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  57. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) これより委員会を再開いたします。  行政相談委員法案を議題とし、午前に引き続き本案の質疑を行ないます。  なお、関係当局からの御出席は、福田行政管理庁長官稲木行政監察局長、信原行政監察審議官、後藤統計基準局長杉浦官房総務課長、以上の方々でございます。  御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  58. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は本法案に対して質問を申し上げたいと思うのですが、それに先立って福田長官にお尋ねをしたいんでありますが、一昨年の九月政府に提出されました臨調の改革意見のその後の実現状況についてお尋ねしたいのであります。これは世間一般も非常に関心が強く、政府の強力な行政改革を期待しておると思うのでありますが、本年はどういうふうに現在お考えになっておるか。近来いろいろ新しい問題が次から次に相次いで起こってきますので、臨調答申のことはあるいは忘れかけられておるような傾向があるんではないか。率直に言って、政府行政改革というようなことに対しても私は等閑に付していらっしゃるんじゃないかと、このように考えますが、この点について長官のお答えをお願いをしたい、それが一点。  それから、行政改革の問題は、まだ本国会においていまだ一度も論議されておりません。それをいいことにしてというわけでもございませんけれども福田長官は本内閣委員会において、三月一日でしたか、四十一年度の機構、定員の改正について若干説明がございました。それもすこぶる簡単で、行政改革のこれまでの実施状況としては、ここにありますところの、われわれいただいておりますが、この簡単な資料をいただいただけでありまして、いわばこれでお茶を濁していらっしゃる。昨年の四十八国会で当時の増原長官は、わが内閣委員会において、行政監理委員会の設置、首都行政の改革、青少年行政の改革あるいは消費者行政の改革を優先的に取り上げて、そして本国会に提出を目途に検討いたします、その他全面的な機構改革については昭和四十年八月までに結論を出すように検討いたします。このように決定したと、こう明確にお述べになっている。こうしたことはその後どうなっておるのか。本国会でこの点に関し、明確に私は責任福田長官にもあると思うのですが、その点に対して長官はどのようにお考えであるか、それが二点。  しかるに、この前の、去る三月一日の本委員会において、福田長官の御説明では、昨年八月につくられた行政監理委員会にあたかもその責任があるように、行政監理委員会に全部責任があるんだというように受け取られないでもないおことばがあった。目下同委員会を中心行政の改革、簡素化、能率化、内閣機構の強化、首都行政の改革、科学技術行政の改革を当面の重点事項として鋭意検討を進めております、こう述べておる。これで見ましても、去年八月出すと言っておられた全面的な機構改革は全然進んでいない、このように私は解釈せざるを得ない。こういうことでは過去——ここにも資料がありますが、過去十四回にわたる行政改革のための審議会の答申がこのようなことであったら、今回の臨調答申も同じ私は運命をたどって、何ら行政改革に資することなく葬り去られてしまうんではないか、こういうふうに杞憂するものであります。こういう点についても長官のお考えを私はよく承りたいと思う。大体この臨調調査会をつくる場合も、いろいろ過去幾多の事例から見て、調査会の設置は必要ないんじゃないか、それよりも政府が断行すればいいじゃないか、改革を実行すればいいじゃないか、そういう意見も相当出たんでありますけれども、時の川島さんは、臨調だけはそういう運命を繰り返させない、こう当委員会で言明されている。そうして二年七カ月の歳月と二億数千万円の経費をかけて臨調答申が出された。以上の点を私ども考えましたときに、政府行政改革に一体どういうことをしてこられたか、どういうふうにしようというはっきりした明確なお答えを私はいただきたいと思う。と同時に、臨調答申にもありましたように、政府は、行政改革白書というようなものでも本国会に提出すべきであると、私は思います。その点、長官はどのようにお考えになっておりますか。  以上順を追ってひとつ御答弁を願いたい。
  59. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 御指摘のとおり、臨調は、二年七カ月、長い間いわば有識者の非常に苦心をした答申をまとめられ、政府としましても、当然これを実現しなければならない義務がございます。そこで、昨年の八月発足しました行政監理委員会のまず運用並びに任務、性格につきまして、三回ほど委員会を引き続き行なって討議をいたしたわけであります。  まず、第一の目標は、御指摘のありました、このような貴重な結論というものを極力推進して実現していこう、これが第一の任務。ただしこれだけでは足らない。これが全科玉条でなくして、絶えず流動する行政実態というものも、自由の立場から考えて、実用に即したものを加味していく必要がある。第三は、新らしいテーマ、新らしい問題というものについて、いままでの実情にとらわれない、全然新らしい問題を常に検討していく。こういう大体三つの柱を立てまして委員会が発足いたしているのでございます。自来、毎週一回、定期にいままで約四十回、きょうも十時から開いて昼過ぎに終わったわけでありますが、非常に熱心に、一流の方々ばかりの専門的な、真剣な討議が繰り返されているのでございます。したがって、どうも、臨調発表にかかわらず、政府あるいは行政管理庁なりの実績もないではないかというおしかりがあるようでございますか、これは極端なおしかりであると思うのであります。具体的に申しましても、われわれの考えている、また国民の期待しているような顕著な、そうしてまた著しい成果も確かにないことはまことに残念でございます。私どもの組織なりあるいは努力というものに対して十分これは反省する必要があると思う。ただ、やってまいりましてそろそろ一年になりますか、足跡から見ますと、相当のやはり臨調の線に沿った実績もあがってきたのじゃないかという面もあるわけでございます。たとえば、この監理委員会が発足しまして絶えず検討を続けて推進をやってこられた。これは首都圏にいたしましても、あるいは内閣の強化にしましても、あるいは科学技術基本法の問題にしましても、それぞれ常任の主査をお願いいたしまして、相当理論的には掘り下げておりますが、さてこれが現実の政治の面にどう具体化するかとなりますと、いわば言うはやすく行なうはかたしでありまして、たいへんいろんな抵抗が出てくるわけであります。一つの政党関係にいたしましても、ようやく話がまとまりましても、関係政府の機構の中で意見の調整が手間どる。たとえば科学技術基本法にいたしましても、この国会では成立は無理だと見送られる形勢にありますし、首都圏にいたしましても、特別委員会が与党に設けられておりますが、これはもう全面的に可決いたしましても、現実にはなかなか行政面における具体的な調整が合わない。こういう点は、確かに困難ではありますが、その実現がはかばかしくなく、われわれまことに残念に思っております。ただ、監理委員会を中心にし、また行政管理庁中心になりましていままでやったおもな点だけを御報告申し上げますと、たとえば四十一年度予算編成の基本方針、これは閣議の了承も得まして、まず新しい部局は一切認めない、その省内における振りかえにおいて認める、この原則を堅持いたしました。並びに、公団その他の特殊法人の新設は一切認めない、これも一貫して貫いた次第でございます。二十一ばかり申請がございましたが、全部それは認めなかった。これは私は、いままでなかった実績で、消極的な面における行政の簡素化に役立つと確信をいたしております。なおまた、いま国会に提案いたしまする、二百九十一にのぼる審議会等の整理の法案、これにつきましても、ようやく、ずいぶん時間がかかりましたが、国会の御協力をいただきまして、三十四の整理の具体的な戦果をあげることができた。最近の整理の数を見ましても、せいぜい五つか七つぐらいしか整理できなかったのが、少なくとも、目標よりはほど遠いのでありますが、三十四という具体的な整理案が話がまとまった。これも国会で御承認いただければ直ちに廃止し、あるいは統合する。で、これはこれだけじゃなくて引き続いてこの努力を続けて、毎国会において、不必要あるいは不急基準が明確に設けられておりまするが、これに沿った整理を引き続き努力をする考えでございます。なお、大蔵省の臨時貴金属処理部の廃止でありますとか、その他機構の簡素化については、終えず努力をし、相当の成績もあげてきてまいっております。そのほか、行政相談委員の活用でありますとか、あるいは毎月一回行なう行政監察行政改善に対する勧告も、これも従来のような聞きっぱなし、言いっぱなしでなく、絶えず実績をあげる努力を、きわめてじみちではございますが、続けてきております。鉱山保安の問題、公害の問題、あるいは航空行政の問題、明日は生鮮食料品の問題がありますが、そういう国民生活に密着した行政の改善に対する努力も絶えず行なってきておるわけであります。以上、きわめて簡単でありますが、一応臨調のねらっておりまする日本の行政の簡素化、能率化、これについては相当の実績もあげ得たと。ただ問題は、臨調考えているようなものをなぜ一挙にこの際できないかということでありますが、これはなかなかたいへんな大事業で、内閣強化、予算の編成のあり方だけ取り上げましても、よほどの内閣の決意、それから、関係方面の抵抗をすべて押し切るだけの政治のあらゆる要素がそろいませんと、なかなかできないわけでございます。鬼木委員よく御案内のとおり、フーバープランですら八カ年でやっとその目的を達したというような実例もございますが、われわれも絶えず協力し、時間がかかりましても、常に熱意を持って当たれば必ずや成果は着実にあがっていく。一年、半年見まして、とてもだめだと投げ出すようなことは、われわれとしてはまことに重大でございますので、常に自信を持って、じみちではありますが、次々に問題の解決に当たり臨調のねらっておるところ、また成果について、実現する努力を続けていく予定でございます。  なお、本日の行政監理委員会の終了後発表いたしましたが、行政需要の実態についての調査特別班の編成を終わりまして、大体約五百人を投入いたしまして、中央、地方行政実態を立体的な立場から掘り下げて需要の調査検討を直ちに開始いたします。これができますならば、いろんな問題でいままで膠着状態にあり、マンネリズムにおちいっております定員制の問題その他につきましても、大きな、これは破り得る合理的な客観的な資料調査が整うわけであります。いままでのような、並行的な役所同士の話し合い、その他、幾ら努力いたしましても限界があります。私どもとしましては、感覚を変え、角度を変えた努力を思い切って踏み出したわけであります。いろんな意味合いで、時間は少しかかりますが、必ずいつかは国民のための行政、いわゆる「安い政府」の実現に向かって私どもは努力すれば成果は必ずあがるものと確信を持っておる次第でございます。
  60. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いまいろいろ大臣のお話を承りましたが、大体臨調答申を尊重して実行に移すということはなかなか容易でないと、これはもうおっしゃるまでもなく各方面からいろんな圧力もあるでしょうし、だから過去において十数回こういうことを繰り返しておるのです。それは福田長官の御心情もよくわかるのでありますが、私どもが見たところでは、これは臨調答申を待つまでもなく、だれでもできるような安易なものから手をつけて、いかにも臨調答申に従ってやっていらっしゃるような、表面を糊塗するような、まあたとえて言いまするならば、行政監理委員会を設置したとか、あるいは審議会の整理法案を出されたとか、あるいは四十一年の行政機構定員の査定にかなりきびしい態度で臨んでおられるとか、私はこれくらいのことが一応の成果じゃなかったかと思う。それ以外は臨調答申の実現とは私は判断し得ない。政府側としましては、臨調答申に基づいたんだとおっしゃっておりますけれども国民生活局の設置であっても、あるいは青少年局の設置でありましても、これらはいずれも答申以前からこれは政府側考えておったことであって、しかも、手直しをしたとおっしゃっておるけれども臨調答申の内容はあまり生かしてない。これを悪く言えば、臨調答申に便乗して自省の権限拡大のために改正したにすぎない。また、本国会に提出する内閣法の改正にしましても、答申の、内閣機構強化という本質的な内閣そのものの機構強化という精神は生かしてない。かえって内閣官房の強化をねらっておる。あるいはまた、あれほど緊急を要しておったところの、そうして臨調答申を急がれた首都行政の問題にしても、その後首都圏庁の設置もどうなったのか、竜頭蛇尾で、各省の強い反対でさたやみとなっておる。こういうような点について、これは長官一人を責めたってしかたありませんけれども、まあ責任者として長官の、いま一応その点に対しての御説明、御答弁を承りたいと思います。
  61. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 臨調の長い間の苦心の結果できた答申は、いずれも非常に貴重な研究の結果である。これが一年、二年で実現すればそれは理想であります。しかし、実際の事に当たる方は一年足らずの体験でございますが、なかなかいろいろな障害が非常に多いということも事実でございます。しかし、先ほど申したとおり、決してこれは捨てないで、あくまで正しいそしてやらねばならぬことだけは必ず実行してまいる考えでおるわけでございます。なお、先ほどの御報告の中でも、一つ落としましたが、たとえば地方事務官制の問題にいたしましても、半年かかって、やっとわれわれとしても具体的折衝に入り、要素も整理してきて、近く次々に解決する見通しがつきました。これが二十年間できなかった。そういうわけで、なかなか、私どもとしては早く効果をあげたいのでありますけれども、それに至るまでには、非常に障害が多いし、またいろいろな壁も厚いわけで、しかし、おっしゃるとおり、大事なことでありますし、どんな障害があっても、またどんなに時間がかかっても必ずしなければならない。その自信と努力だけは私ども持ち続けて、今後も国民の期待に沿うように考えておる次第であります。
  62. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 福田長官はなかなか御熱心で非常に意思が固い方で明快な方だから、私はあなたのその意欲でおやりになればできないことはないと思うのですけれども、しかし、あなたが永久に行管長官をなさるわけではないし、また近く内閣でも更迭するというと、あるいは失礼なことを申し上げるけれども、更迭されるかもわかりませんし、そうすると昨年の八月半ば、増原さんはあんなことを言っても、それではさっぱり責任のないような、あるような、非常にあいまいなことで、一年や半年の短い期間ではできぬというならば、だったら大臣を五年も十年もしてもらえばできるでしょうが、やはり私が申し上げるのは、答申政府で受けて、気やすいだれでもできるようなものからやらないで、いまだいままでにできなかったようなことから手をつけていってもらいたいと思う。この答申もこれはずいん多方面にわたっておりまするが、たとえて申しますならば、機構の統廃合一つを見ましても、私らはずいぶんこれは実現可能なものは幾らでもあると思う。昨年各省から行管に提出された臨調答申に対する各省の意見があります。それは私の手元にありますが、これを見ましても、やはり官僚のなわ張り意識とか、あるいは自省の機構、権限の縮小には反対、だから、各省とも臨調答申の実現には当初より大きな抵抗があるわけなんです。これはもう私らも十分承知いたしております。そういう抵抗があることを承知しながら臨調にばく大な金をかけて、そうして十数回にもわたってこれに委嘱しておる。これはなかなか困難だ困難だ、抵抗がある、いろいろなその困難があるというようなことでこれをじんぜん延引するということは、私はこれは政府行政改革に対する姿勢がないのだ、強力なる政治力の発揮ができないのだ、こういうふうに私は考える。これをもっと申しますならば、佐藤内閣には行政改革の姿勢がないのじゃないか。最初から事務次官クラスの行政改革本部などにまかせて、一度でも行政改革のための閣僚協議会というようなものが正式に持たれたことがありますか。あるいは、その会合に佐藤さんみずから乗り出して行管長官とも密接な協議、話し合い、これが実現、実施に対して打ち合わせがあっておりますか。その点ひとつ承りたいと思います。
  63. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 佐藤総理も行政改革に対しては非常な熱意を持っております。先ほど五、六点にわたりまして具体的に報告いたしましたが、この難事業をたとえ満点といかなくとも相当の成果をあげたのは、一に佐藤総理の強い行政改革に対する熱意の結果であるといまも考えております。いまもまた行政改革問題につきましては絶えず具体的な問題がありますので、総理とも絶えず接触し、連絡し、報告もし、また指示も得ておるわけであります。密接な関係のもとに、あるいは官房長官、また場合によりましては、関係大臣と絶えず接触し、絶えずお互いに協議し、連絡を申し上げていることは事実でございまして、この点は御懸念のないように願いたいと思います。
  64. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 どうも私らが考えて、いろいろと佐藤内閣の行き方、姿勢というものを見ておりますと、減税であるとか、中小企業の問題だとか、あるいは労働問題、これはむろん政府の政策としては大事な政策で、これはけっこうだと思うのですが、そういう点からいたしましても、常に国際競争力の強化というようなことを第一に取り上げて、役所とかまたは行政の分野で国際競争力をつける。そういう点は非常に私はお考えがきわめて希薄であると思います。これはむろん経済の国際競争力を強化するということは、むろん大事なことでありますが、と同時にやはり行政機関である分野も私は国際水準に引き上ぐべきだと思います。この行政の能率化、行政の機構統廃合、そういうことによって行政の向上があり、また行政費の節減があり、最も能率的に合理化できる、されていくのだと私は思うのですね。だから私は、今年の予算編成方針においても行政費というものの節減ということがうたわれておりますけれども、結局でき上がった予算を見てみますと、わずかに定員、機構の増大が抑制されたという程度にとどまっておる。行政分野におけるところの改革というものが何も見ることができない。こういう点に非常に私は佐藤内閣の政治力の弱さがあるのだ、もう少し私は強くいかなる抵抗をもこれを排除していくその強さがほしいと思う。そうしなければ、こういう臨調なんというものは何回繰り返したって同じだと思う。それは福田長官は、半年や一年ではできないから将来を見ておってくれとおっしゃっているけれども、いまのような態度でありましたならば、一年見ようが、二年見ようが、三年見ようが、できやしません。だから、何回やっておっても同じことなんです。その点について重ねて長官の御見解を承りたいのであります。
  65. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 国際水準から見た日本の行政改善、改革、まことに貴重な御意見と思います。ただ、私どもも常に諸外国の制度なり実施状況を研究しておりますが、また、外国にない日本の行政の長所もあるようでございます。たとえば、最近コロンビア大学の行政関係専門家が各国を回りまして日本に参りましたが、やはり日本の行政相談委員なんという制度は世界にないいい制度だと非常に感心しておりました。なおまた、最近発表いたしました情報総合センターの五カ年計画の問題、これも米英ともにいま議論の最中であります。おそらく来年あたりに政府が取っ組むという発表を米英とも政府側は非公式に発表いたしております。私どもこれは先べんをつけて、まことに口幅ったいのでありますが、本年から実施段階で来月早々連絡会議を開かれますが、こういう電子計算機を中心とした機械化、合理化、能率化、総合的な判断資料の整備、こういうものも各国に先がけてやる準備をいま進める見通しをつけております。いろいろな面で学ぶべき点も各国にずいぶんございます。絶えず反省し、また学ぶべき点は取り入れてやっていきたいと考えるわけであります。繰り返して申しますが、総理としても非常なその点は熱意を持って、また努力も十分払われて、ただなかなか問題が問題で、すぐ直ちに臨調のうたわれていることがすぐ実現……まことに残念でありますが、必ずや着々と、地味ではありますが、実効があがり得るのだと確信をいたしている次第であります。
  66. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いわゆるこれは現在の不況克服には私はどうしても行政費の節約が絶対に必要だと思う。行政機構の統廃合、行政費の節減ということに対しては、私は一段とやはり長官の御決意が望ましいと思う。その点を重ねてひとつお願いをしておきます。  時間に制約されておりますから、次にお尋ねいたしたいのは行政監理委員会についてお尋ねしたいのですが、現在の行政監理委員会の活動状況について、御承知のとおり昨年八月設置以来、どのような活動をしていらっしゃるのか、どういうことをやっていらっしゃるか。行政監理委員会設置の私は趣旨は、政府臨調答申を実現して行政改革を行なっていく状況を監視するのだ、そうして意見を述べることができるのだと、このように私は了解しておりますが、行政監理委員会が臨調でやったことをまたやり直しの作業をやっているというような私は感じがしてならない。行政監理委員会は一体どのようなことをしていらっしゃるのか、明確にひとつ承りたいと思います。
  67. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 昨年の九月から発足をいたしまして、毎週木曜日を定例日といたしまして委員会を持っております。さらにその前日の水曜日には、常勤の委員三人の方が前もって参りまして、審議事項の審査をやる、こういう態勢で、きょうで三十三回目の委員会だと思います。関係委員は非常に熱心なことをまず御報告したいと思います。  それから、どういう中身の作業をやっておるかということがございますが、まず当初は、一体、監理委員会が、法律上のいろいろ所掌が書いてありますけれども、実質的な中身として何をやるのだという議論を相当やりまして、結論は、臨時行政調査会の勧告事項の具体化を推進するのだ、これを一番大きな任務として規定したわけであります。そういうことでございまして、まず当面いたしましたのは、昭和四十一年度の機構、定員の査定に対するかまえ、それから、先ほど来出ております行政の簡素化の問題をどういうふうに進めるかということを取り上げたわけであります。昨年の十一月の四日に、新年度の予算編成に臨む監理委員会の考え方と、さらに、臨調で提案しましたもののうちで特に重要なものを第一段階として何を取り上げるかということで三つの拡充整備すべき事項というのをきめまして、それを担当の常勤委員が項目を担当いたして検討を進めておるわけでございます。さらに十一月の二十五日には、定員の要求に対してどういう態度で臨むかという決定をいたしております。その中身は、行政規模の絶対量をふやさないようにということで、欠員不補充の精神を貫け、必要な行政、新しい行政需要に対しては配置転換をもって臨め、こういうような決定をいたしておるわけでございます。  さらに、先ほど長官が申し上げましたように、実は前長官のときに、昨年の八月に臨調の打ち出しました行政機構の改革の問題、各省にわたって項目を指摘しておりますが、それの問題を相当に突っ込んだわけでありますけれども、これはまあ先ほど来出ておりますように、なかなか既存の機構をなくするということはたいへんなことで、そこで、新しい査定方針として、新規のものは一切認めない。既存のものの振りかえにおいてのみ認めるという非常にきびしい線を出したわけであります。臨調の提案しましたこと自体がそのまま実現はいたしておりませんけれども、その精神は四十一年度の機構定員の査定の段階で相当に私は実現しておるものと思いますが、これはひとえに監理委員会の強力な推進のたまものというふうに考えております。ただ、整備すべき事項として第一段階としてあげました内閣機能の強化、首都圏行政の改革と科学技術行政の問題につきましては非常に問題が困難でありまして、まだ検討を進めておるわけでありますので、この通常国会に提案の運びにはならなかったわけでありますが、そういうことで引き続き検討は行なわれております。  さらに、現在取り上げようとしておりますことは、百ばかりあります特殊法人の改革の問題、それから審議会の第二段の整理の問題、こういう問題を監理委員会としては取り上げようとしておるわけでありまして、非常にまあ熱心な検討が進められておるというふうに御報告を申し上げます。
  68. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなたのおっしゃることを聞いていると、三十三回会議を開いた、そして、その答申を尊重していく、そしてその行政改革をしていくという精神は大いに熾烈である。これは当然のことで、そういう精神が熾烈であるから臨調に委嘱したのであって、そんなこといまごろ精神の盛り上がりなんかが、行政監理委員会、精神は旺盛でございますなんて、そんなおかしな話……それよりも実際にどうやっておるんだと、わずかに新年度の予算だなんて言って、先ほど言ったように、行政費の節減なんということはほとんどあっていやしない。わずかに行政機構、定員の問題とか審議会を整理する法案だとか簡単なことを、そんなこと行政監理委員会でなくたってだれでもできるんですね。もう少し強力に行政監理委員会でやってもらわなければ、大臣に質問すると、行政監理委員会で十分やっております、行政監理委員会の説明を聞いてみると、精神は大いに発揮しておりますと、精神を発揮したって、姿で発揮しなければ何も意味なさない。そういう点をもう少し私は強力にやってもらわなきゃ審議会の整理法案行政監理委員会なんというのも今度整理しなければならない。それじゃ話にならぬ。大体行政監理委員会法に規定する行政監理委員会の所掌権限というものは、いわゆる行政管理庁設置法にいう行管の所掌権限、これを私は引いておるんだと思う。そういう観点からすると、これはちょっとお尋ねしたいんですが、今回の内閣法の改正などはこれに含まれておると見るべきですか、含まれていないと解釈するものですか、その点ひとつ局長に。
  69. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 監理委員会の所掌は行政管理庁の権限と全部かみ合っております。したがって、行政管理庁の持たぬ権限についての発言はできないことになっております。ただ、まあ行政改革について総理大臣に意見を述べるという別の問題はありますけれども。  そこで、今回の内閣法の改正の問題でございますが、実は行管は機構の査定権を持っております。機構の査定権は内閣については及びません。ただ、ここでわれわれがどういう関心を持ったかという——われわれと言いますより、監理委員会は臨調答申を推進するという任務を考えておるわけであります。それから、行管の設置法には、「行政制度一般の基本に関する基本的事項について企画する」ということが権限になっております。したがって、一般の各省の部局の審査のようなことはいたしませんけれども、内閣機能の強化というようなことについて意見を言い得る立場にある。ただ、内閣官房としては法的に行管相談し、協議しなければならぬという筋合いではございませんが、そういう関係になっておるわけでございます。したがって、今回の内閣法一部改正の論議の段階でも、臨調の内閣機能の強化の問題と非常に関係が深かろうという配慮があったようでありまして、事実上の連絡は内閣のほうからも密接に監理委員会にとられたわけでありますが、法的な権限としてはそういう意味で審査を求めるという立場にはないわけでございます。
  70. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は、その点がいまあなたの御説明のように、行管の所掌権限ということからいたしまして、今度の内閣法の改正ということについては行政監理委員会の意見を求めたと、その点に私は疑問を持つ。いまあなたの説明では私は納得できないが、そんな、その法的なことをお茶飲み話みたいなことで言われたんじゃ困るんで、もう少し明確に法理論でやってもらわぬと。
  71. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 実は私は法理論でお答え申し上げたつもりなんです。各省の部局の設置のような審査権を持たないから、したがって、向こうは審査の協議には来なかった、また、来ることも必要はないということをはっきり申し上げておるわけであります。ただ、本件は行政制度の一般の基本事項に関する問題であります、内閣機能の強化という問題は。そういうことで、行管が一切ものが言えぬかというと、それについて企画する権限があるわけです。そういう意味で、また監理委員会の設置というものの動機が臨調の勧告の推進という期待が非常に強かったわけでありますので、実際上の連絡は官房長官行管長官の間でも密接にとられたのでありますが、法的権限として審査要求をする筋合いはないと、こういうことを申し上げたのであります。
  72. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 行政監理委員会が常時六人の委員の方熱心に真剣にやっていることは、先ほど御報告申し上げたとおりでありますが、これはもう御案内のとおり、他の審議会とか調査会と違いまして、強い権限を与えられて、意見を求められて答申するだけではなくて、みずから意見を出し得る、長官を通じて総理に進言できるという積極的な面もございます。その一例を簡単に申しますと、近く——また夏になると思いますが、行政白書、これは先ほど御質問でお答え漏れましたので追加さしていただきますが、思い切った立場で、役所にとらわれないで、いわば行政改善に関する委員会としての意見も、それをまとめに入っております。この国会には間に合いませんでしたが、夏ごろ何とかあらゆるものを遠慮なく摘発した、しっかりした、日本の長所、短所、欠点というものを洗いざらい出して、むしろ国民の世論に訴えるというような立場委員会にお願いしまして、そろそろ作業に来月あたりから入っていただく。なお、科学技術基本法は、残念ながら今国会で通りませんが、これに対する委員会の意見も近くまとめて発表いたします。主として科学振興に対する予算の面その他について具体的に委員会の積極的な意見を表明することになっております。  なお、きょう発表いたしました行政需要の動向等に関する調査について、この実施面についても委員会は独自の立場で総評あるいは各単産も協力していただくというようなそういう積極面もあるわけであります。  なお、先ほど行政費の節約のお話が出ましたが、この点につきましても、行政管理庁が総理の指示を得てただいま検討に入ろうというものに補助金の整理問題、何回もやっておりますが、なかなか実があがらない。御承知のように、一兆土千億というような補助金行政というものは各国に見ない特色であります。これで何%か節約し得るとすれば、非常に国家的にも国民的にも貢献できるわけで、これも管理庁といたしまして、総理の指示のもとに、少額補助金というたてまえではありますが、相当思い切った整理をねらいながら調査に入ることもつけ加えてお答え申し上げておきます。
  73. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 内閣法の問題は、まあそれは大体局長答弁で、まだ私は納得できないけれども、それはまたあとで、時間がありませんので。  それから簡単にちょっとお尋ねしますが、昨日の新聞に、官房長官福田長官と国家公務員の定員問題について話し合った、その結果、現在の定員は実情に合わない、だから再検討する必要がある。まず、この点で、どういう点で実情に合わないのか、それがいまそういうことがおわかりになったのか、前からおわかりであったのか、官房長官から指摘されてそういうことになったのか、その辺の事情。そこで行政需要の実態調査を行なうのだと、こういうことを福田長官はお答えになっておりますのですが、むろん欠員不補充というようなことはいままでやってきておられたのですが、これ非常に抽象的なお話のようでございますが、もう少しこれを具体的にお話し願いたいと思います。この点、長官
  74. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 昨日官房長官と打ち合わせした二、三の議題の一つがいま御指摘の定員の問題です。これは実はこの春あたりから痛感した結果、取っ組むことになった問題でございます。それは、四十一年度予算の編成に関連いたしまして、定員問題については原則を立てて各省と連日折衝して、私ども基本方針を貫いたわけでありますが、その折衝過程には、一体これでいいだろうか、毎年一定の手持ちのワクを各省が持ち、めいめい忙しいからふやす、あるいはこれを押えるというような事務的なマンネリズムではほんとうの抜本的な行政改革はできないのではないか、たとえば特許庁にいたしましても、あるいは税関関係その他にいたしましても、あるいは公取の問題にいたしましても、新しい行政需要の激増あるいは新しい発生については、生きた対処ができない、非常に事務的な各省間の折衝になる、これでは毎年同じことを繰り返すだけでございます。この際思い切った行政実態を、総力をあげて、先ほど御報告したとおり約五百人にのぼりますが、実態調査をやり、それによって臨調がねらっている大きな行政改革の裏づけなり背景をひとつはっきりつかもうというのが私ども考えでございます。これに対しましては総理も、官房長官あるいは同僚の閣僚諸君も全部賛成でございます。やはり自分の省を受け持ちますと、長としてなかなか思い切った意見も言えない立場のデリケートな面もございます。そういう客観的な、情実にとらわれない、因縁のない者が、思い切ったこれの行政実態というものを調べるということは、私は非常に意味が出てくる。非常に困難だろうが、ぜひともこれはやってみたいと思うわけでございます。この点について内閣官房長官として同意を求めて、全面的な賛成を得て、きょうの行政監理委員会も全面的な全会一致の同意を取りつけたというのが経緯でございます。
  75. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体大臣のお考えはわかりました。これについても、また具体的になった場合にはひとついろいろお尋ねしたいと思いますが、次に、これは具体的な問題でちょっとお尋ねしたいのですが、許認可事務の整理でありますが、せっかく臨調行政の民主化のためだというもとに、国民のためになるように許認可事務の整理をこれくらいはしなければいくまいというものが三百数十件出ておるようでございます。ところが、聞くところによると、この臨調答申が出るやいなや、あるいはマッサージだとか、理容師だとか、パーマ、調理士とか、その他の方々関係団体の非常な圧力を受けて、この整理に反対してきた、こういうことが新聞にも載っているようでございますが、本年一月十日現在、臨調答申に従って整理された、処理されたのは九十三件にすぎない。臨調は三百数十件も答申をしている。そういうことになっていると私は承っておりますが、なぜこれしきの処理しかできないのか、また、どういう関係のものの処理をされたのか。あとはどうなっているのか。そういう点をひとつ承りたいと思います。これは大臣がおわかりでなければ、局長でもけっこうです。
  76. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 総件数は、御存じのとおり三百七十九ございますが、いままで約三割話がつきました。ただ、基本的な関係法案がまだ国会を通らないものもありまして、これが通ります、と、相当数が進捗できる見通しであります。具体的なこまかい数字は政府委員からお答えいたします。
  77. 稲木進

    政府委員稲木進君) ただいま長官からお答えがありましたとおりでございます。臨調指摘しております許認可の整理を要するものとしては三百七十九件でございますが、これは法律改正を要するものが二百十九件、それから政令その他省令等の改正によって処置できるものが百六十件という内訳になっているわけでございます。これに対しまして、法律改正のすでにできているもの、これが十一件、それから政令、省令等の改正の処置を終わったものが八十二件、両方合計しまして九十三件になっております。したがいまして、全体としましては、現在処理済みの比率は二四・五%と、必ずしも良好な状況とは言えないと思います。今国会にもなお引き続き法律改正を要するものは、厚生省関係が約三十件、それから文部省関係が十件前後の許認可の整理をわれわれとしてはぜひやってもらいたいということで、それぞれ関係の省に対して交渉し、推進に努力をいたしておるわけでございます。それぞれの省におきましても、そういう予定で進めておりますが、法令の立案作業その他が必ずしも十分に進んでいないと思いますが、そういう点で、われわれは今後引き続きそれを促進するように努力してまいりたい、かように思っております。
  78. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がありませんので、最後に一つ、行政相談委員の問題でございますが、行政のサービスの向上、行政事務の能率化等に貢献するため、同庁の管区及び地方行政監察局が窓口となって、行政苦情相談を事実上行なってきたと、こうありますが、私は行政相談委員に対して反対するものではございません。まことにけっこうだと思います。ますます推進していただきたいと思いますが、この地方行政監察局そのものが、私はまだ民主化していないと思う。地方行政相談委員には、民主的に、人格高潔な人、有能な人を委嘱して、大いにその地方相談苦情を処理してもらうために委嘱するのだと言うが、委嘱する地方行政監察局そのものが、苦情相談に対しては非常に不熱心である。その点について長官並びに局長からひとつ御答弁願いたい。
  79. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 私も大体毎月一回、なるべく現地の管区あるいは地方監察局を視察をし、ひざを交えて話し合うわけであります。しかし、いま御指摘のような点は、私は全然思い当たりません。非常に熱心に、各地とも真剣にこの行政相談に取っ組んでおります。したがって、もし御指摘のような点があればまことに遺憾なことでありまして、具体的な御指摘があれば、直ちに改善して御期待に沿えるようにいたしたいと思います。
  80. 稲木進

    政府委員稲木進君) ただいま長官からお話がありましたように、行政相談業務行政監察局業務の中で非常に大きなウエートを占めているわけでございます。先生からただいま御指摘がありました地方行政監察局の内部組織から見ましても、地方行政監察局には、局長のもとに地方監察官と称するものが三名おるわけであります。この三名が行政監察業務に携わっておるわけでありますが、その三人のうちで一人が行政相談業務に専属いたしております。そして、その監察局のもとには、局によって違いますけれども、大体三名ないし四名くらいの部下を持ちまして、合計しまして、大体どの地方行政監察局でも監察官以下四名ないし五名のものが行政相談業務に従事し、行政管理庁から委嘱しました行政相談委員と絶えず十分に緊密な連絡をとりながら遺憾のないように処理しておるわけでございます。ただいま非常に地方行政監察局で不熱心なところがあるというおしかりを受けたわけでございますが、具体的な問題としては、個々の相談を受けました事案の処理につきましては、非常に件数がたくさんございますので、あるいは中にはその処理のしかたについて不手ぎわ等があるいはある場合もなきにしもあらずというふうには考えるわけでございますが、しかし、一般的に申し上げますと、実は地方監察局長は、まあ何といいますか、行政相談業務仕事の性質が、要するに、苦情を申し入れてくる人々に対して直接これに答えていかなければならない、すぐに右から左に結果を、成果をあらわしていかなければならぬという性格の仕事でございますので、非常に気をつかっておるわけでございます。特に行政相談に来たけれどもさっぱり解決がつかぬというようなことでは、その行政相談業務にさらに相談が必要だというようなことになったらこれはたいへんだ、われわれは常に地方局長にはそういうことを申して、十分にこの成果があがるように、また相談を求めに来た人たちに対して納得のいくような答えができるようなふうに努力してもらいたいということを常にきびしく言っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、あるいは年間数万件の件数の処理の中には、場合によると、おしかりを受けなければならぬようなものが絶対ないとは私ここで断言できないわけでございますけれども、いま申しましたような心がまえでやり、今後もまたそういうつもりで努力をいたしてまいりたいと考えております。
  81. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは長官でも局長でもね、これはそういうふうに答弁されるのは当然であって、きびしく指導しているのはあたりまえのことです。ところが事実は、そういうことは、それはあなたもいま言われたように、たくさんの件数の中にはあるいは至らぬ点もあったかと思うと、そう言われればそれで終わるけれども、いやしくも苦情相談ですからね、苦情相談持ち込んでおるのだから、かりにそこで処理ができないならばできるところに、またどうしてもその問題が地方行政監察局で処理ができないならば本庁と連絡して、本庁と密接な緊密な連絡をとって有機的に一体となってこれを解決する、あるいはそれに納得した返事を与える、こうやるべきである。ところが、全然そういうこともやらない。何回行ったって同じことだ。そういうことが、これは大臣の言われるように、日常茶飯事にはそういうことはありませんけれども、少なくとも私はそういう具体例を持っておるし、私はその問題に関係したのです。だから、相談委員を強化する、けっこうです。けっこうだけれども、そのもとである地方行政監察局がもう少し意欲的にほんとうに民主的に地方の人々の相談に応じて満足のいくように、納得のいくように奉仕するという根本の問題が私は大事だと思うのです。何ぼ相談委員をよくしても、そのもとである行政監察局が、地方行政監察局そのものがそういう不熱心なことであったならば、これは本末転倒なんだ。だから、これは私も本庁に対して、私は強くその点を指摘して言っているからわかっているはずです。大臣もあちらこちら視察しておられると言うけれども、大臣が視察されても、一時間か二時間されて、そのときだけはみなうまくやっているということで、それで全部がわかるわけはない。私どもは、ある問題を取り上げて詳細に詳しく調査研究もするし、その問題に当たったのですからね。そういう点をもう少し、行政監察局地方行政監察局の上にまた監察局が要るようなことになる。これでは話にならぬ。その点もう一度ひとつ答弁してもらいたいと思う。
  82. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 私が報告を受け、また現地で実際に見聞した範囲では、非常に感謝をされ、また非常によくやっておるようであります。しかし、もし御指摘のような具体的な例がありますれば、これは決して許すことができないわけであります。即刻資料をいただきまして直ちに適切な措置をとって、それが、あり得ないまた許すことができないようなことについては、徹底的に改善をいたしたいと思います。
  83. 稲木進

    政府委員稲木進君) 行政相談を受け付けましてそれを解決、あっせんする場合におきましては、地方行政監察局長限りでは処理できないケースがきわめて多いわけでございます。地方行政監察局長があっせんのために関係の役所と折衝すると申しましても、やはりその県に所在している役所が一応対象になるわけでございます。ところが、実際の相談の内容によりますと、やはりもう一つ上級の官庁のほうに話を持っていかなければ解決できない、あるいは中央の本省段階に持ち上げなければ解決できない、こういう問題がかなり多いわけでございます。そういう場合の処置としましては、ただいま先生から御指摘のありましたように、その事案をさらに管区行政監察局、ブロックの行政機関が集中しております、ブロックの機関のある役所にこれを持ち上げる、そしてさらにそこで解決しないものは本省に持ち上げる、そしてそういうような措置としまして最終的にはわれわれ行政管理庁のほうに事案が持ち上がっている件数も相当あるわけでございます。実は先生のお話しになりましたような不手ぎわと申しますかの事案が、別の機会に先生からわれわれのほうに御連絡ありまして、私どもまことにその点につきましては十分に手当てが行き届いていなかったということを反省しますと同時に、現地の局のほうにもその点について将来十分に注意するように、また当該案件についての処置をすみやかに解決するように促進しろというようにしてまいったわけでございます。その問題につきましては、関係の省、特に建設省のほうにも十分にこれを連絡をとりまして、そしてまあ努力を積み重ねてまいったつもりでございます。幸いにして、最近ようやくその問題も解決するという段階に至ったことでございます。しかし、その案件の処理につきましては相当日にちをかけ過ぎておるという点、また、先生からおしかりを受けるように、どうもやり方が手ぬるい、あるいはまだるっこいというような点は非常に反省を要する点じゃないかというふうに考えますので、今後もいよいよ注意をいたしまして努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  84. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だから、私は過去のことをどうだこうだ、死人にむちうつようなことを、どうだこうだと言ってるわけじゃないのですがね。ないんですけれども、そういうことが、また他にもそういうことがあると、まあ長官は、絶対私が見て回わっておるところではそんなことありゃしないとおっしゃるけれども、やっぱりあるんだから、だから、そういうことは、そんなことありゃしません、ありゃしません、局長は、きびしく指導監督をいたしておりますと言いながらあるんだから、あったんだから、だから、そういうことが、また他の方面にもそういうことが万一あってはいけないから、ですから、私はその点をくどく申し上げておる。で、長官は、非常に皆さんから感謝されておりますと、ところが、私の関係したのは、それは怨嗟の的、あんなのないほうがいい、こういうことになってくる。だから、わしのところへ話しが来ておる。ですから、世の中というものは、そう長官局長考えていらっしゃるように、だいじょうぶだ、だいじょうぶだ、こうだ、こうだという、そういう油断のあったときに不慮の事件は起こるんですから、だから、細心の注意を払われた上にも払われて私はやってもらわなきゃ困ると思う。そうしなきゃ何のための苦情相談であるか、ほんとにもう泣きついて、わらをもつかむような気持ちでかけ込んでくる。それを等閑に付してやらない。できない。できなければ、いまの話のように仕組みがそうなっている。ブロックの監察局のほうに出す、あるいは本省に出す、本省で調べてみれば、その書類は来てない。だから、そういうことですから、あなた方が御安心なさっておるようなわけにはなかなかいかない。その点私は、だいじょうぶだ、こう言ったからだいじょうぶだ、おれが見てきたからだいじょうぶだというような安易なお考えは捨てていただいて、十分その点は将来そういうことのないように私はお願いをしておくわけなんです。  それから、その次にもう一点ですがね、この相談委員の経費が八千円と予算が組んであるようでございますが、これはどういうところの算定基準ですか。いままでたしか三千円だったと思うのですが、この算定基準はどういうふうに出しておられるのか。これで十分ですか。
  85. 稲木進

    政府委員稲木進君) 相談委員に対する費用弁償は、昨年四十年度までは三千円分を相談委員の日常の業務費といいますか、たとえば通信費あるいは文具費、あるいはその自分の受け持ち区域内でいろいろ動いていただくための経費としてまず大体一人三千円平均で差し上げておったところが、その受け持ち区域内だけ動いたんでは十分に職責を果たすことができませんので、受け持ち区・域以外のところに足を運ばなければならぬということのためにも、いわゆる族費が必要でございます。そういう経費として、大体五千円くらいを旅費として支給しよう。両方合わせまして、先ほど午前中にもちょっと述べましたが、四十一年度では一人当たり平均八千百何ぼになる、こういうことでございます。
  86. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私ども内閣委員として地方行政監察局をあちらこちら視察いたしましたが、この経費が足りなくて、実費弁償が足りなくて非常に困っておる、気の毒であるという声が各監察局からの声でございまして、今度は八千円になったのでだいぶ緩和できたと思いますが、将来そういうところは御考慮願いたい。  時間がございませんので、いろいろお尋ねしたいことがございますけれども、これで私の質問は打ち切ります。ありがとうございました。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ引き続いて、私から本法律案について若干ただしておきたいと思う。なるべく重複を避けてお尋ねをいたしますし、また、簡潔に答弁をしていただいてけっこうです。  第一に、従来の法律上によらない行政相談委員が、今度法律上の行政相談委員として変わったんですが、従来のいわゆる行政相談委員法律上の行政相談委員との権能と申しますか、重みと申しますか、そういうものはどういう考え方をしておられますか。
  88. 稲木進

    政府委員稲木進君) 権限と申しますか、あるいは職務内容と申しますか、そういう点の相違としましては、従来行政管理庁長官だけの委嘱でもって法律に基づかないで委嘱しました相談委員の場合におきましては、地域の住民から苦情申し出行政監察局のほうに直接持ってきていただくということでは非常に不便である。そのためには、なるべく各市町村にそういうような窓口を設けたほうがいいという考え方でその委嘱をやったわけでございます。したがって、相談委員方々が、その地域の住民の方からその相談がありました場合には、これを行政監察局のほうに取り次いでいただく、こういうことを目的として置いておったわけでございます。しかし、それでは、行政相談委員が単独で、何といいますか、一々監察局に取り次がなくっても相談委員限りでもって相当処理できるような問題もかなりございますので、そういう問題は、監察局に取り次がなくても自分で解決できる事案は、自分でできるだけ、何といいますか、相談を持ってきた人に説明をしたり、あるいはいろいろ助言を与えたりするということを、はっきり、いわゆる権能と申しますと適当じゃないかもしれませんが、そういう役割りを果たしていただく。これがこの法案に盛られた、従来と違った第一点でございます。  それから第二点といたしましては、やはり監察局を通じて関係の役所のほうに話を持っていくということをしなくても、相談委員相談を受けた事案を直接自分で、監察局を通さないで、関係行政機関のほうに話を持っていけばすぐに片づきそうな問題、そういういわゆる軽微な事案もございますので、そういうものは相談委員が直接関係行政機関のほうに話を持っていっていただいて、そうしてその役所で処理をしてもらう。そして、その役所が処理した結果を、関係相談を持ってきた人に伝える、こういうようなこと、いわゆる対外——ほかの行政機関との関係において相談委員がいわば独立の地位に立って仕事が運べる、こういうように改めたい、これが第二点でございます。  そのほかの問題につきましては、相談委員の平生の業務の処理としては、やはりたとえば非常にむずかしい問題、非常に難解な問題につきましては、従前どおり行政監察局を通じてあっせんの道をとる。この点は変わりございません。  それからもう一つ、大きなと申しますか、従前と異なった点は、行政相談委員は、今度の法案によりますと、平素そうした行政相談仕事をやっておりますと、行政上の、何といいますか、不備欠陥といいますか、あるいはこういう点はこういうふうに改めるべきじゃないかというような考えが、日常業務を通じていろいろそういうような考えが起こってくるということが考えられるわけでございます。そういう点におきまして、行政の運営上改善を要するというような点で特に相談委員が気がついた事項につきましては、これを随時行政管理庁長官に意見を述べることができる。行政管庁長官は、そういうような相談委員が提出してきた意見を参考にしながら行政管理庁業務に役立てていきたい、こういう点を法律上明確にいわゆる権能として付与する、これが非常に従来と違っておる点でございます。大体、以上申し上げたような点じゃないかと思います。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ただいま言われました第一、みずから処理できる問題、それから第二は関係官庁に対してみずから行政相談委員が行って処理できる問題、これは従来の例から、具体的にどういうものが、一、二でいいですが、どういうものがありますか。
  90. 稲木進

    政府委員稲木進君) みずから処理できる問題につきましては、その地域内に関係の役所がある、相談事案に関連した役所があるという場合、これは特に市町村役場で処理されているような事務につきましては、これは当然に一々監察局のほうに通報する必要がなくて、その相談委員が直接役場のほうに行ってその話をすれば解決つくというような問題。それから、その地域内にそうした公共団体の機関でなくって国の機関がある場合、たとえば労働基準局の監督署があるとか、あるいはそのほか郵便局があるとか、あるいはそういうような関連の事案につきましては、委員が直接行って話をされれば簡単に解決する事案がかなりあるというふうに、それを、従来のたてまえからしますれば、一ぺん監察局のほうに通報して、そしてそれから監察局の指示を受けて動きだすと、こういう形にする必要はないじゃないか、こういうふうに考えております。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その趣旨はもうわかるのです。ただ、これは行政官ではない。本法から見ると、先ほど権能ということばをつかいましたが、行政官ではない。公務員ではない。名誉職的なものである。こういう基本的な性格もうたわれておるのですが、この相談を受ける事案については、これは行政事務に限定されたものと見ているのですね。したがって、その事案によっては問題が起こる場合があるので、私は、例がどういうものがあるか、抽象的に言われたらわかるのだが、たとえばどういうものであればみずからでき得るかということを聞いておるわけです。
  92. 稲木進

    政府委員稲木進君) いま市町村役場のことを申しましたが、市町村役場等におきましてやっております、たとえば生活保護の問題、あるいはいろいろな軍人の遺家族に対する恩給なんかの問題にしましても、一応、最初の申請のスタートは市町村役場を通ずることになっておるわけでございます。そういうような問題は、これは大体役場のほうにまず第一に話を持っていくということが手順になるわけでございます。それから、郵便局のことを申し上げましたが、たとえば郵便の遅配というようなこと、あるいは書留等についてのいろいろな、着いたとか着かないとかいうような問題だとかいうようなことは、郵便局のほうにまず第一に話を持っていくというような段取りになるかと思うのでありますが、そういうようないわば軽微な事案、もっともそういう問題でも、持っていってもなかなか話のつかないということになる場合も相当にあると思います。そういう場合には、さらにそれを、話がつかないからということで監察局のほうに連絡をしてもらって、そうして監察局が動きだすと、こういうような手順に進めてまいりたいと考えております。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その説明をされておるのですがね。まあ恩給の問題で不服がある、それを、いわゆる行政官庁に対する不服の問題は、これはもう行政管理庁が扱うのですから、その手続がどうの、そんなものはほかでやる機関があるのだからね。そういう行政機関内部の問題を取り上げる場合に、この行政相談委員というものは相当の資格を持って、どういうぐあいにそれを選ばれるか知りませんが、なかなかそう簡単に、くろうとでも、たとえば厚生、建設関係行政機能をどうかといって言われたって、なかなかわかるものじゃない。それを個人の判断でやる場合に、私心配するのは、変な取り扱いをしてかえって問題を複雑に、またこんがらかしてしまって、迷惑をかける問題もあるのじゃないか。で、私は民生委員とかその他の委員方々を十分知っておりますが、そういう方々はお世話するということですからいいのですが、行政相談委員というのは、行政に関する相談ですからね。関係官庁のいわゆる公務員方々ですか、係員でありますか、プライドを持っておりますからね。そんなしろうとの者が行政相談委員だといって行くと、うっかりするとかえって反撥を受けるということも私は心配するのですよ。いままでの法律によらない行政相談委員であれば、まあ権能というものもないのだから、かってに話をしない、行政監察局に対して意見を申すのだからいいんですが、みずから処理し、関係官庁にみずから行って処理するということにまだ一まつの不安があるのですがね。したがって、その点について、選定はどういうものか知りませんが、管理庁長官、どう思われますか。
  94. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 従来も研修会その他いろいろ必要な機会を持って研究しておるようでありますが、いま御質問の点も確かに私はないとは言えないと思います。十分、やはり専門的な組織なり、あるいはむずかしい分野については、そういう点は私は絶無とは言えないと思います。この点についてはどうしたらそれを防げるか、また、行政相談委員のまた相談相手と申しますか、指導と申しますか、これは十分研究する余地はあろうと思います。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 制度としては、私はまあいいと思うのですが、いまの日本の行政機構自体というものはきわめて複雑な問題で、かりに、相談に来られたその人が十分知識がない人だったらこれは無理でありますからね。これは厚生省というので行ったら、これはまた労働省ということで、かえって本人が行政相談委員の、何といいますか、信用を失墜するようなことがあっては、私はかえってこの法律をつくって行政相談委員の資格を上げると申しますか、重みをつけたということが逆効果を来たすことがあるのじゃないか。それともう一つ、民生委員でもそうですが、これは人の問題です。行政相談委員ということで、一つの名誉職だということでこれを乱用されると、これはもうそれを利用する人は迷惑する。そういう点について、これを立法化されるときに検討されたかどうか、この点どうですか。
  96. 稲木進

    政府委員稲木進君) 確かに御指摘のような心配があるわけでございます。そういう意味におきまして、法案におきましても、その行政相談委員監察局と連絡をしないで単独で行動するという場合のケースはある程度しぼる必要がある、こういう考え方を持っておるわけであります。で、法案におきましても、第二条の第一項一号のところで、「苦情相談に応じて、長官の定めるところに従い、申出人に必要な助言をし、及び行政管理庁又は当該関係行政機関等にその苦情を通知すること」、こういうふうに規定いたしたわけでございます。その趣旨とするところは、ただいま先生御指摘のありましたように、相談委員が自分の判断だけでやってかえって事柄の処置を遅延させる、あるいはこんがらかすというようなことがあってはいけない。したがって、われわれとしましては、この法案が国会の承認を得た後におきましては、行政相談委員仕事のやり方を詳細に訓令でもって規定したいというふうに考えております。したがって、単独でその関係行政機関等に通知する場合は、こういうような場合にはやってよろしい——一般的に申し上げますれば、要するに、どこそこのほうにこういう手続をとったけれども一向その結果がはかばかしく進んでいない、何とかひとつ催促をしてもらいたいとかなんとかというような程度のことは、これは相談委員に単独でやってもらってもいいんじゃないか。しかし、その相手の行政機関のほうからこういうような処分の通知を受けたけれども、これはどうしても納得できないからひとつこれをもう少し納得のいくように処置し直してもらいたいというような苦情申し出があります場合には、これはやはり行政監察局のほうに事前に通報してもらって、そして監察局がみずから処理するというような方法がいいんじゃないかと、こういうようなことで、そういうような点を詳細にひとつ訓令でもってきめていきたい。なお、先ほど長官からお答えがありましたように、相談委員は、かなり行政事務は専門的であり、非常に範囲が広範でございますので、それらについての仕事のやり方の一つの手引き書というようなものをわれわれはぜひつくる必要があるんではないか。そういうことを目下考え、その作業も始めておるわけでございます。
  97. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ抽象的に説明すればそれはそういうふうになりますが、現実にこれが取り上げられたときには問題が起こる可能性も相当あるという私は見解に立っておるんです、この法律案を見てですね。  そこで、それに関連して、しからばこの委嘱する手続ですね、選定、こういうものにも関連があるんですが、もう説明があったかと思いますが、この法律が通った場合に、従来の行政相談委員をそのままやるのか、新たに推薦をされてやるのか、その手続法はどうされますか。
  98. 稲木進

    政府委員稲木進君) 委員の選定につきましては、大体従来は、午前中にもちょっと申し上げたんですが、市町村長の推薦を一応求めるという方式を考えております。で、今後もその方式は続けていきたいというふうに考えておるわけでございます。それから、この立法が国会を通過しました場合におきましては、この附則の規定によりまして、今年度はとりあえず現在相談委員の地位についている人をこの法律に基づく委員ということに引き直していきたい。ただし、その任期は、法律では二年ということになっておりますけれども、今年度だけは来年の三月三十一日でもって任期を終わるということで、来年度は新たに委嘱をすると、こういう進み方をしていきたい。それから、なお、相談委員としてその仕事を委嘱した、業務の執行の状況が必ずしも適切でないという人があるとするならば、それは次の年度においてこれを一応解嘱して新しい委員に委嘱する、こういう手続に進んでまいりたい、かように考えております。
  99. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ、全国に配置する数と申しますか、人口に比例してやるんですか、地域に比例してやるんですか、その点の企画はどうなっておりますか。
  100. 稲木進

    政府委員稲木進君) 相談委員の配置につきましては、現在定員が三千六百五名となっておるわけでございますが、市町村の数からいいますと、相談委員の数はかなり上回っておるわけでございます。市町村数が現在三千三百七十、これは六大都市の区は市町村と一応考えまして、市区町村の数が三千三百七十、それに対して三千六百五名の委員が配置されております。現在の配置の考え方としましては、一応原則的には一市町村に一人の相談委員は置きたいというふうに考えておるわけでございますけれども、現在でも、特に村の中には人口の非常に少ない村というようなものもございますので、そういうところでは置いてないところもございます。現在その相談委員のいない町村の数は、町で八つ、村で七十九ということになっております。それから、特に人口の大きな市、区につきましては、一人では足りないということで、これらの方面には二人ないし三人置いているところがかなりございます。ただ、人口に比例するということには必ずしもなっておりませんので、いままでのところは、むしろ最初に申し上げましたように、一市町村少なくとも一人置くというようなところにウエートをかけて配置されておるわけであります。今後はもう少し人口を加味した配置が必要じゃないかというふうにわれわれ考えまして、ひとつ将来はそういう配置にするための増員というものを考えていきたい、かように考えております。
  101. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 従来からあるんだから、従来の例によって運用されると思いますが、法律上の行政相談委員として資格を与える、しかも名誉職であると。従来市町村長に推薦を依頼して選んでくる人は、大体もうその地域の有力者ということは間違いない。警察関係、民生関係全部一人で受けている人も多いのですね。でないとやれない。というのは、毎日働きに出ている人じゃこれはつとまらないのですね。家に資産があって、そしてまあ自分が働かなくても、これに携わってもやれるという人がこれはなっているんですね。いわゆるそこで名誉職ですね。名誉職に選ばれる人の、私は何もそれをあれしてもいませんし、また、中にはそれを利用している人もあると思う。しかし、それを利用したってそれが本人のためになりゃいいんですが、私は、この点はよほど行政管理庁でも、選定するときには、ただ市町村長にまかしたというだけでなくして、費用あるかどうか知りませんが、この相談委員の使命、また国家行政のあり方等については、十分私は、先ほど長官が言われましたけれども、年に一回やられるか二回やられるか知りませんが、そういう講習と申しますか、やるべきだと思う。ところが、実際問題、講習開いたって若い人じゃほとんどないんですね。参議院の調査室から来ている従来の年齢別のやつを見ましたけれども、もう大体六十、五十以上の人がほとんどですよ。失礼な話だけれども、こういう方々長官がみずから出ていって講習しても、なかなか頭に入るもんじゃない。名誉職ですよ。だから、相談に来て、あるいはそれが引き受けてやるわ、先ほど言ったようにうまくいかないわ、関係官庁とけんかするわ、そういうことがあった場合に迷惑するのは相談に行った人だ。私、そういうものを憂えている、実際問題。しかし、制度としてはいいんですよ。だから人の問題につながるわけだ。そういう点について、十分これは行政管理庁として考えてもらわないといけない。民生委員とか、また防犯とか、そういうものの委員については、これはやる職務というものは限定されておる。ところが、行政相談委員といえば、これは相当私は知識のある人でないとつまらぬと見ておるのです。従来の件数をずっと見ておるのですが、どういうことがあるかしらぬが、従来の場合は、言うてきたものをわからないものがあれば行政監察局に言ってきて、こういうことを言ってきました、こういうことでいい。今度の場合は自分でひとつ処理してやろうということで乗り込んでいくわけです。またそこで問題を起こすわということがあると、かえって私はこれが前進したような形だが問題をここに残しておる。私はこう見ておるのです。この点はいまから心配してもこれは何にもならぬ。やってみてうまくいくかわかりません。したがって、ここで言っておきたいことは、選定については、その趣旨を十分市町村長に説明をして、何かしら名誉職だから、だれか有力者出せということじゃなくして、行政相談委員の重要性と業務の内容、その他を十分説明して、そういう人を選ぶ。こう私はしてもらいたいと思うのです。長官どうですか。
  102. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 御指摘の線に沿って慎重にやりたいと思います。何といいましても、やはり地元の一番適任者を見つけるには市町村長という従来の方法が比較的安心と申しますか、信頼できるわけであります。しかし、御注意の点は十分注意してまいりたいと思います。
  103. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一ぺん申しますが、従来の場合はそういう憂いはなかったのです。全部行政監察局の指示によって動いている。意見を持ってきたものを、そこに持っていって処理をしたというのだが、今度はみずから行政行為とは言えぬけれども範囲の広い、まあいわば行政行為になるかもわかりません。そういうものに携わるのですから、単に相談ということであればけっこうですが、相談を受けた者がみずからこれを処理するという権能を与える。権能ということになるかどうか、そういう点があるので、特に私は言っているのです。従来はうまくいったけれども、今度はこういうものを、乱用ということばは使いませんが、勇み足でやった場合に問題が起こらないように注意してもらいたい。というのは、厚生省でも、労働省でも、その他の官庁の出先というのはやはりプライドを持っていますよ、公務員は。そこへわからぬ者が来てえらそうに言うかどうか知らぬが、おれは行政相談委員だ何だということになりますと、そこでいざこざが起こりますから、そういうことがないように特に私はやっていただきたいと思います。これは私の希望です。もうこの法律はきょう上げるという約束がありますし、問題も相当深められたと思いますのでそれだけです。  それから次に、国家行政組織の問題として、特に聞いておきたいと思いますが、いま総理大臣ですか、企画庁長官じゃなくして総理大臣だと思いますが、物価問題懇談会というものがやられておると思いますが、これは時宜に適したものであるから、私は物価問題懇談会そのものについてどうこう言うのではないのですが、これは国家行政組織法八条によるものとしてつくられておるかどうか、この点一つ。
  104. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 経済企画庁に設けられております物価問題懇談会は行政組織法八条に基ずいたものではありません。
  105. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この内閣委員会でこの問題についてはずいぶん論議をしてきた。それで福田さんの前ですか、行政管理庁長官の、名前はちょっと忘れましたが、そのときも問題にしたのですが、こういう重要な、特に問題ある物価問題懇談会というものがなぜ法律に基ずかないもので、総理大臣の諮問機関として、相談機関として置くのかということについて、私理解できないのです。重要な問題であればあるほど、成規手続をとって、国家行政組織法八条によって、こういう懇談会を置くんだということになぜされないのか。私政府の真意がわからないのです。この点どうです。
  106. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 物価問題懇談会が国家行政組織法違反の疑いがあるというような御意見と伺っておるわけでありますが、国家行政組織法の八条で申します審議会等については、私ども考えを整理しております。そのいま御指摘の懇談会等との相違でございますが、審議会はまさに合議機関でありまして、個々の委員の意見ということではなしに、その合議体の意見として、まあ機関意思と申しますか、そういうことで意見が外に出るたてまえのものでございまするが、しかし、この懇談会と申しますのは、出席者の意見が表明される一つの場でありまして、いろいろと意見の交換等もあり、いろいろな意見も出そろうわけでありますけれども、懇談会の合議機関として意思表示をする、あるいは建議をするというものではない。むしろ意見の表明ないし意見の交換の場であるというふうに考えておるわけであります。したがって、個々の合議機関につきましては、個々の委員の意見とは別個の機関意思が外に出るわけでございますけれども、懇談会等はそのようなふうなものではございませんし、したがって、定足数、議事規則というものもなしに、全くたまたま集まる人が一堂に会していろいろやる。また、そういうことが行政運営上むろん一般に行なわれている点でございまして、そういうふうに私ども考えておるわけであります。したがって、御指摘の物価問題懇談会も、主管大臣が閣議に報告して、経企庁として実は全く運用でやっておるわけであります。そういうものでありますがゆえに、機関を置くということではなしに、懇談会を開催して意見を交換する、こういうたてまえになっておりますので、私ども国家行政組織法八条違反のものではない、かように見ておるわけでございます。
  107. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しからば物価問題懇談会というのは、どういう法律根拠で置いておるんですか。
  108. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) これは昭和四十年の十二月七日であったと思いますが、経企庁長官が閣議に報告をいたしまして、運営でやっております。
  109. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう懇談会という名前ですね、きめて、各個人の意見を聞くだけだと言われますが、総理の説明というものは、物価問題が非常に重要な問題であって、各界の有識者の意見を聞いてそれを行政に取り入れる。こういうことですね。それほど重要なものが、単に個々の意見を聞くだけだから、懇談会だから閣議決定だけでやるんだということでやられたら、将来そういうものは幾らでも出てきますよ。この前、労働省の中にも一つあった、ほかにもあった。そういうことはいけないということで、これは取りやめということにしたんですね。総理大臣の幕下であるから、そういうものをぬけぬけつくる。あれは委員に対しては一切何も費用を払ってないんですか。
  110. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) この物価問題懇談会の委員といいますか、参加する人に、どの程度の手当をしているか、その点は確かめておりませんが、一般に行政機関がこの学識経験者にいろいろ意見を伺うときに、御足労を願うときには、車馬賃といいますか、たばこ銭程度のものは出す。諸謝金という形式で支弁いたしておるのが一般でございます。本件もおそらくそういうふうにしておると思います。
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう点に問題があるのですよ。これは総評にも参加を要請されました。一体それはどういう性格のものでありますか。いま一番重要な物価問題を審議し、その意見を聞いて、物価の安定というものに行政上反映させたいものである。一体、それは法律上どういう力があるんだ、どういう権能があるのだというと、いや皆さんのこの意見というものは、いま一番の問題になっている物価問題に対する最も重要な意見を聞くのであるから、各層の意見を網羅するために懇談会メンバーをつくるのだ、こういうことなんです。これは行政上の重要な役目を果たしているのですね。あなたは、形式上は合議機関でないと言うけれども、その使命たるや重要な使命を持っているのですよ。国民もまたそのメンバーに対して、委員に対して——委員と言っているかどうか知りませんが、それに対して、非常な期待をかけている。そういうものが閣議決定でやっているのだから、行政管理庁は国家行政組織法第八条に関係ないんだからそれでいいのだ。しかも、いまあなたは知らぬというけれども、車馬賃かどうか知らないが、一回やるごとに若干のいわゆる何と言いますか、紙に包んだものを出す。これは国費ですよ。そういう私的な懇談会ならば、ぼくは総総理大臣が自分のかってな者を集めて意見を聞くのならば、総理大臣の私費でやるべきでしょう。国の費用を若干でも出すということになれば、やはり法律上正式な懇談会としてやるべきだと私は思うのですね。そういうことが、行政管理庁が総理大臣のもとにつくっておるから、行政管理庁長官はそんなものができても知らぬ顔をしておるのかどうか、そこに問題がある。そういう重要な問題であれば、やはり正式の法律上の手続を経てやるべきだ、こうすべきであると思うのです。そんな物価問題懇談会というものは、もう何と言いますか、そんな役にも行たぬ、歯牙にもかけない、行政組織として問題がないんだ、こういう考えでおられるのか。これはもう一ぺん行政管理庁長官に聞いておきたい。
  112. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 理論的に申しますと、いま山本委員指摘されているのは非常に筋が通っておると思います。やはり行政上重要な合議の決定意思が公の権威として認められるということがたてまえ上は正しいと思います。ただ、問題は、行政運営において、いわば懇談会的な国家行政組織法第八条に基づかないものでも一応長所を生かし得る余地はあると思います。個人の意思を自由に聞き、また定足数、その他のような議事規則も設けないで、活発にお互いの自由意思で個人の意思を聞く。あるいは行政府側——政府側の意向も反映さす。こういう点の私は長所はあるのではないかと思います。ただ、手当なりあるいは車馬賃というような問題が国費で出るということは、確かにこれは問題があることについては私は検討いたしますが、いわば国家行政組織法第八条によらなければこういう趣旨のものを設けてはならないという点も私は考慮の余地があるのではないか。一長一短、片方の行政運営という立場から言えば、相当の長所も生かし得る。実際の政治面、理論面を離れて政治面においては相当生かし得る長所を持っておるものと、かように考えておるわけであります。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 長所といえば、国会の議決を要せずに閣議、いわゆる閣議といってもぼくは総理大臣の腹一つだと思うのですが、できるという長所、それはメンバーといっても、法律上正式の委員会ということでやったほうが私は権威があると思う。しかも、私の言うのは、物価問題というのは重要な、いま国民の関心を集めている問題ですね。これを単に個人の意見を聞くだけで、懇談会を開いて答申もない。けれども意見を聞くということは一つの答申ですよ。個々の答申ですよ、まとまらなくても。国民の代表という意味においては変わりない。そういうものが、閣議には長官国務大臣として参加されておると思いますが、そういうものをなぜ、国会の場を通して、そういう趣旨のものが必要である、大いにやってもらいたいということでなぜやらないのか。これは政治の姿勢の問題として取り上げたいのと同時に、行政機構としてそう軽率に、そんなものによって左右されるのは私はまっぴらごめんだと思う。かってに選んでかってにやる者の意見というものが、日本のいま一番大きな問題である物価問題の総理大臣の重要な諮問の機関ということになっておる。その意見は聞くだけである、そんなのはこっちで考えるのだというような発言をしておりませんよ。あの新聞記事を見ましても、重要にあの意見を取り入れてやる。しかも、それを行政内部に取り入れておることはあるのです。したがって、本質的な問題、私はまた形式の問題もありますけれども、本質的な問題からいっても当然私は、第八条による委員会なりあるいは審議会なり、懇談会という名前でもけっこうです、私はやるべきだと思います。それを行政管理庁が知って知らぬ顔をしているというところに私は、追及したい第一点があるのですね。しかも、法律によらずして国費を使うということについては、これはほんのわずかな百円か二百円、あるいは千円か知りませんが、それでも私は問題があると思う。やはり国会の議決を経て法律上から国費というものを出すべきである。ただ、閣議で決定したからということで来た人に車馬賃といって幾ばくかでも出すということについては、金額の高い低いにかかわらず、私は問題があると思う。そういう点について、早急にこの問題については検討してもらわなければ、われわれとしては承服できない。ただ私がここで言うことは、緊急な問題であるから、法律、形式をつくるまでには相当の時間がかかる。したがって、暫定的に一応、意見を聞くということで集めて、必要であるならばこれを正式ないわゆる国家行政組織法によって審議会なり懇談会にするのだという、そういう腹がまえでやっておられるなら私は了解しますが、いまのままだったらあのままですよ。ずるずるとそのままいってしまう。そうしてあそこで述べられる意見というものは、日本の物価安定の問題に大きく反映する意見が述べられておる。国会は何も知らない。私は国会の権威からいっても私は許せないと思うが、その点どうですか。
  114. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 先ほど申したとおり、理論的には確かにごもっともな議論だと思います。ただわれわれといたしましては、行政的に政治面においてその運営上相当長所を生かし得るならば、八条によるもの以外のものは一切いかぬということも少し極端ではないか。ただ、経費の問題については確かに慎重にこれは考えなければならぬ問題だと思います。
  115. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については一応、管理庁長官といまひざ詰め談判したかったのですが、私は、この点は、国会でそういう意見があったということをぜひ、閣議で反映してもらいたいと思う。国民はそういうことを知りませんからね。いま各種委員会がありますけれども、物価問題懇談会の記事については、国民は一番克明に見ております、だれそれがどういう意見を言っておるとか。これほど重要な懇談会というものが法律上何も根拠がないのだ、国民は何も知らない、国民は知らなくても、その重要性をば国民はよく認識しております。それで管理庁長官は国家行政組織法のあり方をまず検討する。福田行政管理庁長官は閣議でどういう意見を吐かれたか知りませんが、それがそのままになっておるということについて私は、行政管理庁長官に対し行政組織の問題も必要でしょう、しかし、こういうところに私は一つの欠陥といいますか、穴があると思うのです。私はぜひひとつ、閣議でこの問題を話をしてもらいたい。  それで私は聞きますけれども、政治の問題で暫定的なものといいますけれども、これはここ一年、二年、これは私はあの懇談会というものは取り消すことはできないと思う。もし、佐藤内閣が、あの懇談会はもう必要はないのだということを言えば、相当、政治上の反発があると私は思う。それほど重要な懇談会だと見ておる。だから、ぜひひとつ、長官にこの点は答弁は要りません。あなたの腹に入っておれば、ぜひこの問題はひとつ取り上げてもらわなければ困る。よろしいですか、お願いいたします。
  116. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) お話の御趣旨につきましては、十分検討さしていただきます。
  117. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 では、あまり詰め寄ると、まあ長官の顔を見ていると気の毒に思うのですが、閣議でそんなこと言えといったって、おまえ何言っておるのだと言われても困りますので、そこはひとつ要領よく。私はそれだけの十分心がまえを願います。  もう一つ、最後に、先ほど鬼木君からちょっと言われておりましたが、私はもう少し具体的に話をしておきたいと思いますが、臨調の問題の具体化の問題です。私はたびたび言っておるから、言わぬでもわかっておると思いますが、認許可問題は相当整理されておる。若干ここに行政機構についても、若干改められたという報告は出ておりますからそれはよろしい。ただいつも言っておるのですが、私の言っている地方自治法の附則第八条の「当分の間」ということで、身分が国家公務員であったまま、知事の権限で仕事をしておる事務官がいますが、それがなぜ行政管理庁長官が早く結論を出さないのか。厚生関係、社会保険、労働関係、それから陸運関係、これはこの間も運輸省設置法のとき私言ったのですが、地方陸運局長は知事の判を持っておるのですよ。知事が何にも知らぬ間に認許可与えている。こんなことは行政上許せますか。知事は何にも知らない。陸運局長は知事の判を持っておる。それを押して認許可しておるのですね、こういうものが許せるのですか、ちょっとその点聞いておきたい。
  118. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) いわゆる地方事務官制度は御承知のとおり、約二十年間解決し得ない難問題です。私も就任以来いろいろ実情調査いたしてまいりました。特にことしの一月から中央と地方の執務の実態について相当広範な資料をやっと整備できました。それを基礎にして陸運それから社会保険、職安の三省それぞれの折衝を実は続けております。幸い陸運関係につきましていま欠点を一つ指摘されましたが、私ども十分承知しております。いわば権限だけ与えられて実際には何も指揮権がない。また、身分がどうも組合によりましてはやはり中央官庁のほうがいいという人がおるし、やはり県庁、自治団体に入ったほうが自然であるといったような複雑な動きがある、陸運関係につきましては、私のほうはあっせん役と申しますか、調停役になりまして、一運輸省それから自治省は相当煮詰まってまいりました。もう一息で二十年間にわたって解決できなかった問題も解決のきざしの見込みでございます。私どもこれは個人の考えでございますが、何とか来月一ぱいあたりに地方事務官制度をぜひ解決したい。実は山本委員一番御承知ですが、非常にむずかしい問題で、各省それぞれ十分な理屈がございます。したがって、臨調答申のように、単に理論的にあるいは抽象的に全部地方に委譲してしまえと言ったところで実際上なかなかできません。現地的に地方に委譲したほうがいいか、あるいはやはり中央が握っておったほうが能率上いいというふうなもの、いろいろ実態に即した、行政事務に即したものをいま整理して、話し合いをして——抽象論をしてもいつまでも並行線でございますから、したがって、いま実務に応じた、実態に応じた具体的な話し合いで努力をいたしております。もう近いうちに何とか結論を得て、長い間の懸案を何とか解決したいと考えておる次第でございます。
  119. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前もこういう答弁をされておりますから、しつこくきょうも言う気持ちはなかったのですが、行政管理庁の意向というものは、私はよくわかるのですが、あまりにも各省が根深く固執しています。この前、行政監理委員会から社会保険関係の各出先、いわゆる社会保険出張所を六カ所ですか、調査をされたことを聞いております。そのとき厚生省は各出先の所長、課長を集めて、もし行政管理庁から調査に行ったらこういう答弁をしなさい、こう尋ねられたらこう言いなさいというちゃんととらの巻をみんな渡している。それでは実情調査にならぬでしょう。本省の意向はわれわれ全部この委員会で聞いてやったのですから、これは地方制度調査会です、調査会でもやって、各省の次官や局長に聞いたことがあるのですからわかっているのですが、出先の実情はどうであるかということを聞くのに本省のほうから指示をして、こういう答弁をしなさいというようなとらの巻を配っているのですね。これは行政管理庁長官調査員はなかなか賢明な人だからその裏を考えて、それは実情見ておると思いますけれども、そういうことをやって現在のものを固執しようとしておる、厚生省も労働省も。その心情はわかりますよ、理論的なものもありましょうし、また、自分たちのなわ張りもありましょうが、しかし、私の言いたいことは、地方自治法ができて二十年、「当分の間」こういうのだが、当分の間、二十年二昔というか、当分の間ということでこの法律はそのままになっておる。だから厚生大臣にも労働大臣にも言うのですが、一応やはり地方に委譲したものは地方に委譲してみなさい。していけなければまた国にとるということも当然です。非常に欠陥が出てくれば——。ただそうなるだろうということを考えて、それをいまのままでやっていくと、知事の指揮権、権限になっておりながら実際には厚生省が指揮しておる。中で働く者は一体どうしたらいい、こういうことになります。先ほど陸運局長の話でありましたけれども、もしああいうことがほかでやられたら一体長官どうなりますか。人の判を自分が持っておるのですよ。そしてこのことを知事に何も上申をせずに自分の判断で知事の判を押しているのですよ。知事はそれで責任を持っているということですね。そういうことは行政機構上許せるかどうかという問題。私は特にこの問題、だから運輸省にやるなら運輸省にやるという法律出しなさい、どちらも政府部内じゃないか、運輸省と自治省ですか、それがなぜできないか、そこが長官、いまの日本の官僚組織です。これ正さない限りいかに行政管理庁行政相談委員をつくって行政の民主化をはかりましょうといっても、そういうものをやらずにできますか。本元がやっていない。政府自体内部でもやっていない。それを一般の国民に協力してくださいといってもできません。私はちょっとことばが悪いか知りませんけれども、私は国家のためにも、私は社会党が天下をとっても問題ですよ。なぜやらないか。いま国家行政組織法は総理大臣がすべて権限持っていますよ。昔の国務大臣と違いますよ。専任の国務大臣と違いますよ。総理大臣がほとんど権限持っているのでしょう。その政府部内の、内部の問題ができないということで、こういう行政相談委員法律化して、そうして国民の協力を得て行政の民主化をはかりましょうということを言うのはこっけいですよ。しかし、これは賛成ですけれどもね。私はそういうことを日ごろから思っている。だから厚生省に言うのですよ。国の事務をとるならとりなさい、いいじゃないですか。しかし、いままでの法律のように地方に移すのなら移しなさい。はっきりきめなさい、なぜようきめない、それで二十年間ずっと続いている。それでもようやらない。これでもう私は長官に言わない、これ以上言ったらあなたの耳が痛いだけですから、行政管理庁長官、もう少しきちっとひとつやってもらいたい。やっておられると思うけれども、力足らずと言われるか知りませんが、私は力はあると思う。やるかやらぬかの勇気の問題です。この点も総理大臣にぜひひとつお願いしたいのだが、総理大臣来てくれないでしょう、近ごろ。来たらやろうと思って予算委員会にも出なかったのですよ。総理に一ぺんこれだけ私は注意を喚起したいと思うが、言えなかった。行政管理庁長官、これも前の問題と同じように総理に言っておいてもらいたい。  以上で終わります。
  120. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  121. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  ほかに御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして御発言を願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  行政相談委員法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  122. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  速記とめて。   〔速記中止〕
  124. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) じゃ速記起こして。     —————————————
  125. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の提案理由の説明は、去る四月二十七日聴取いたしました。また、同月二十八日衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。  それでは、これより本案の質疑に入ります。  なお、関係当局の御出席は、辻官房長、大宮労働統計調査部長、三治労政局長、村上労働基準局長、渡辺賃金部長、高橋婦人少年局長、住職業安定局参事官、岡部失業対策部長、以上の方々でございます。なお、大臣は後刻出席いたします。  質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  126. 北村暢

    ○北村暢君 まず、法案の家内労働審議会の関係について具体的に御質問申し上げますが、この家内労働審議会の設置にあたって、今度の法案で設置されるものでありますが、これが臨時家内労働問題調査会の報告に基づいて設けられる、こういうことのようでありますが、臨時家内労働調査会ですか、これが先ほど山本委員がいま行管の問題で問題にしておった行政組織法の第八条によるものでなくして省議決定による調査会である。それが三十四年に設けられたようでございますがね。その間相当長期にわたって調査検討が進められたようであります。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕  その調査会の中間報告並びに最終の調査報告が昨年の十二月に提出されたようでありますが、その提出されたものについて相当長期にわたって調査したんですが、その概要ですね、まず説明していただきたいと思います。なお、意見等も出ているようですから、その意見等の内容のあらまし、これをまず説明いただきたいと思います。
  127. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいま先生御指摘のように、従来は臨時家内労働調査会と一般にいわれておりましたが、労働大臣が個人としての学識経験者をお願いいたしまして、その委員方々のお集まりが臨時家内労働調査会、こういった形で運営されてきたわけでございまして、それについては当委員会におきましても、従来幾度か御指摘があったところでございます。ところで、昭和三十四年にこのいわゆる調査会が発足いたしましてから家内労働についての調査を始めたのでございますが、問題の範囲と複雑性がきわめて大なるものがある、それで本格的な調査を進めると同時に、昭和三十五年には中間報告を提示いたしまして、行政指導でできるだけ家内労働問題についても改善をはかるように示されたのであります。それによって標準工賃制度の普及促進、家内労働手帳制度の普及、安全衛生に関する指導といったような行政指導を行なってきたのでありますが、一方においてこの調査会は、家内労働問題全体に対するいわゆる鳥瞰図とでも申しましょうか、そういう総合的なものがわが国ではきわめて少ないという観点から、全体の姿をながめ、かつ、できるだけ掘り下げた調査をしたいということで、年数としては、かなり長期にわたったのでありますが、昨年十二月、わが国家内労働の現状に関する報告というものを取りまとめまして、大臣に報告いたした次第であります。その内容は、かなり大部なものでございますので、いまここで詳細を尽くすことはいかがかと思いますが、項目として列挙的に申し上げますと、まず第一に、家内労働と一口に言うけれども、その中には各自の家庭において孤立分散した形で行なわれるものがあり、浮動的で、なかなか実態が把握しがたいという点がある。そのように、実態把握が困難であるけれども、第二に指摘しておりますのは、それを質的に見ますると、専業的家内労働と内職的家内労働及び副業的家内労働の、大きく分けて三つの類型に分かつことができるであろう。そして、たとえば燕の洋食器であるとか、西陣織といったような、専業的家内労働、一般の家庭で行ないます内職的家内労働、農業が副業的に行ないます家内労働といったようなものに区分しつつも、その就業形態とか作業条件が非常にまちまちであるといった点を指摘され、そしてさらに第三の点といたしまして、問屋、製造業者から最末端の家内労働者に至るまでの委託の経路が非常に複雑であって、ものによっては数段階に分かれており、その間に仲介組織が介在しておるが、その態様がきわめて複雑だという、仲介組織ないしは委託経路の実態指摘しておるのであります。そのようなことからして、第四の問題といたしましては、家内労働の労働時間であるとか、工賃がさまざまであって、そして開きがかなりある。しかし、一般的に言えることは、工賃の額が低いといった点を指摘し、かつまた、工賃のみならず、安全衛生についても、使用する原材料の種類等によりまして危険があるといった、いわば安全衛生に関する問題を指摘しております。以上のように、その態様、委託経路、家内労働条件等についての指摘をすると同時に、今後これはどうなるであろうか。すなわち、この問題も経済成長の今後の過程におきまして、どのようになるであろうかという観点から、現在までのたどってきた家内労働の業種、地域ごとの盛衰といった変化を指摘いたしまして、一つの経済成長の過程における変化を指摘しておるというようなことでございます。この報告書自体は、ごく、いま簡単に申し上げましたが、そういった諸点につきまして、全体的な、一つの総合的な理解を示すと同時に、各地の家内労働についての具体的事例を報告別冊として示しておるわけであります。この報告自体は、学識経験者がいわば家内労働の現状分析といったような形で行なったものでありますが、この報告書を提出するに際しまして、一つの見解を示されたわけであります。  その見解の第一は、家内労働問題を総合的かつ長期にわたって検討するためには、審議機関が設置せられるべきであるという要望が第一にあったわけであります。今回御審議をわずらわしております家内労働審議会設置のこの問題も、その線に従ったものでございます。しかし、そのほか、家内労働対策については、法的措置をも含めまして、このような審議機関で審議検討するとしても、当面放置するわけにいきませんので、行政指導等を通じまして、いろいろな措置を講ずべきである。たとえば標準工賃の問題、あるいは内職補導の問題、あるいは家内労働手帳の普及等の問題、行政指導上なすべき諸点につきまして示唆を与えているという内容のものでございます。ただ、それは政策なりあるいは法的措置の内容となるようなものについての答申ではなくして、一つの見解表明といったような形で出されたものでございます。
  128. 北村暢

    ○北村暢君 ただいま三十五年の中間報告並びに昨年十二月の最終報告の内容について御説明がありましたが、私は、この調査会法律に基づかない非成規的な調査会であり、行政組織法上からいって疑問のあったことは事実であります。しかし、相当長期にわたって調査され、私もその調査報告書をいただきましたが、相当膨大なものですね。こういう膨大なものが調査されているわけです。  そこで、後ほど大臣来てからこれの取り扱い問題について質問いたしたいと思うのですが、その前に、三十五年の中間報告をされた際のとりあえずの行政措置としての実施すべき事項について報告がございましたが、その行政措置をした以後における行政効果というものはどのように確認されているのですか。私は、家内労働というものは、三十五年以降行政措置が、家内労働手帳なり、あるいは標準工賃制度なりの普及や促進に努力され、あるいは安全等の問題についても指導されたといわれているのでありますけれども実態は、この行政効果があがったような形においてあるのかどうかということなんです。実態の報告を見ますというと、行政措置がなされたにもかかわらず、非常な劣悪な状態に置かれているというのが実情だと思うのです。したがって、お伺いしたいのは、行政措置をやった効果がどの程度あらわれて改善がなされているのか、その程度についてお伺いいたしたいと思います。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  129. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほどお答え申し上げましたように、行政指導といたしまして、標準工賃制度の普及推進、家内労働手帳制度の普及推進、安全衛生に関する指導といった項目について指導を行なってまいりましたが、昭和四十年十二月末までの私ども調査によりますと、標準工賃を設定したものが四十五業種、家内労働者数八万一千七百、それから家内労働手帳を実施いたしましたものが二十八業種、二万六千二百、安全衛生措置について指導を加えたもの八業種、五千六百人といったような数字が行政的に把握されております。しかし、何ぶんにも幅が広く、かつ深い家内労働問題でございますので、このような行政指導をいたしますにつきましても、家内労働全般に好影響を与えるといったような、いわば本格的かつ積極的な指導を展開するということにつきましてははなはだ問題がある。いまここでどういう好影響があったかということについての報告を申し上げるような段階になっておらないことを御了承願いたいと思います。
  130. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの行政措置によるいろいろな指導の内容についてお話がありましたが、一体、それは報告にありましたように、専業的な家内労働関係、これは比較的大企業の関係のもので拾いやすいのでしょうけれども、圧倒的な部分は専業的じゃない、いわゆる内職的なもの、これが圧倒的だと思うのですが、その家内労働者の労働者数について、全体からいけば何%ぐらいにこの行政措置が行き届いたと、その行政措置があるということを家内労働者が意識したか、どんな程度になっておるのですか、総体的にいって。概略でいいですから。
  131. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 家内労働者の全体を把握することが非常に困難でございますので、従来、私ども調査いたしましたのでは、専業的家内労働者が約十二万、内職的家内労働者が六十七万、副業的家内労働者が五万といったような数字を一応持っておりますけれども、何ぶんにも分散してつかみずらいというのが家内労働の実態でございますので、これで網羅しておるというふうには私ども考えておりません。かりに、私どもが把握しましたこの数字を基礎にいたしましても、先ほども申し上げましたような指導実施率というのはかなり低いわけでございます。結局、これは、法的にはいわば権限のない行政指導といたしまして、労働基準監督機関を通じて事実上の指導をしていくということで、おのずから限界があるわけでございます。一方、婦人少年局では、内職補導所等を通じましていろいろ指導をしております。これも事実上の指導あるいはサービスということでございますので、いま全体の何%について指導をいたし、どのような効果をあげたかということについては、ここで積極的に申し上げるほどの著しい効果をあげたかどうかという点については、私ども、先ほどお答え申し上げましたような数字について御理解を願いたいと思うわけであります。
  132. 北村暢

    ○北村暢君 どうもだいぶ長い間かけて調査しておるようですが、行政効果がどの程度あがっているのかということの実態すらなかなかつかめない。それくらいこの家内労働関係というものは実際に把握する点においてもむずかしいのだろうと思うのですがね。そこで、実際には家内労働者は非常な工賃等も低い工賃でやっているのが大部分だと思うのですがね。で、先ほどお話のありました内職の公共職業補導所が補導しておるわけですが、そういう面の効果、これは一つの行政機関として補導所というものがあるのでありますが、これに乗ってくる家内労働というものは一体、概略でいいんですが、補導を受ける者は全体のどのくらいになっておると判断されておるのですか。大部分の者がこの補導所の補導関係から問題になっていないのかどうなのか、この点ひとつ。
  133. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ちょっといま婦人少年局長、社労のほうに行っておりますので、私かわりましてお答えいたします。  内職職業補導所の数は現在約四十カ所になっております。この内職職業補導所におきまして、具体的な補導所のいわゆる補導員として訓練を受ける者、それから相談を受ける者、いろいろあるわけでございますが、昭和三十九年度の内職補導事業の実績を見ますると、相談に応じた件数が三十万七千五百三十、あっせんをいたしました件数が十一万八千三百二十一、それから巡回指導をいたしました件数が一万三百七十八という数字になっております。この件数を、先ほど申し上げました全体の数と比較いたしますれば、この補導所を通じましての相談等がかなり進んできたということが言えるかと存じますが、まあ効果の点につきましてどの程度改善されたかという点については、いま手元に資料がございませんので、お許しをいただきたいと思います。
  134. 北村暢

    ○北村暢君 そこでお伺いしたいのは、そういうようないろいろな行政措置をやってまいりましたが、しかも非常に長期にわたっているわけなんです。ところが、私どもは、これはすみやかに家内労働法というものを制定をして、そして一日も早く家内労働者が安心して仕事ができるように、こういう方向で期待をしているわけなんですが、この法案に基づきましても、昭和四十四年の三月まで家内労働審議会が時限的に、臨時的に設置される、こういうことのようです。そうしますと、今度できてまいります家内労働審議会というのは、行政措置としてのいろいろな意見を審議したり、一応はやるのでしょうけれども法案との関係ですね。これは大臣でないとちょっと聞いてもぐあいが悪いところなんだろうと思うが、法案を出すための準備の審議会になるのか、私は、相当、これだけの膨大な資料がもうすでにできてきたから、もう家内労働法というものは労働省としては法案として提出すべき、政府提案すべき段階にきているのではないか、そしてその家内労働法の中に、家内労働審議会というものが設けられて、そしてその法律に基づく行政指導というものを、審議会としての性格、目的というものを果たす、こういうふうにあるべきだと思うのですが、ところが、設けられる審議会は、審議会を設けるだけで、その法的根拠というものはなくて、行政措置に基づいて行なわれる。審議したり、意見を述べたりする、こういうことになるのだと思うのですが、そういう点についてどういうふうにお考えになっているのですか、この審議会の、しかも時限立法という、三年間だけを置くということのようですが、たいていの審議会は、法律に基づいてその法律の続く限り審議会を置いてやっていくというのがたてまえのように思いますが、したがって、この臨時的に設けるのは、家内労働法を設けるために三年間検討してその答申をするという目的なのか、ここら辺の考え方についてお伺いしたい。
  135. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 臨時家内労働調査会が述べられた意見の中にも、その法制的措置を含む総合的家内労働対策の樹立について検討を進めるように審議会を設置すべきであるという意向が表明されております。私どもといたしましても、そういった立場から今後審議会が運営されるというふうに考えておるわけでありますが、いま先生御指摘のように、大体の調査は終わった、したがって、あとは立法措置を講ずるかどうかという、その案を具体的につくって、そしてすみやかな機会に結論を出すべきではないかという一つの示唆をされたわけですが、実は家内労働調査会におきましても、現状分析にとどまりまして、この現状分析から、次にはどういうような対策を講ずべきであるかというその対策についての意見が出なかったわけでございます。つまりこれにつきましては、たとえば一例をあげましても、同じ家内労働というか、専業的家内労働、内職的家内労働、副業的家内労働、どこまでを扱うのか、この全部を扱うか、あるいはそのうちの一部のものを扱うのか、範囲についてもいろいろ御議論がありましょうし、あるいはもっと基本的には家内労働問題を今後どうするのか、たとえばフランスのように、この制度がある程度存続するという前提で、これを改善するという立場に立つのか、あるいは長期的にはむしろ消滅するのではないかと、アメリカ的な立場でこの問題に臨むのか、基本的な姿勢につきましても、いろいろ御議論があるところでございます。したがいまして、長年にわたる調査によりまして、調査会の報告は出ましたけれども、今後どういうふうに進めるかという点については、基本的な態度の決定の問題、それからこれを法制化する場合に、どのような階層をどのようにとらえて扱うかという点については、いろいろ問題があろうかと存じます。しかも、かりに法制的措置を講ずるといたしましても、この種法律の実効性の担保ということにつきましては、いろいろ問題があるわけでございまして、したがいまして、法制的措置を講ずるにつきましても、一般の意識の共通と申しますか、この点については法制的措置を講ずべきであるといったような認識の統一、合致と申しますか、そういったもののささえが願わしいわけであります。したがいまして、そういう角度で私ども考えておるわけでございます。
  136. 北村暢

    ○北村暢君 この点はちょっと政策的な問題になりまして、大臣に確かめたいと思いますから、どうもこれ以上やっておってもあれですから、きょうはこのくらいにしてやめておきます。
  137. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  138. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記起こして。  ほかに御発言もないようでございますから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会      —————・—————