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1966-05-12 第51回国会 参議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十二日(木曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      山本伊三郎君     松澤 兼人君  五月十二日     辞任         補欠選任      松澤 兼人君     山本伊三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 野々山一三君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  福田 篤泰君    政府委員        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        運輸省海運局次        長        沢  雄次君        運輸省自動車局        業務部長     黒住 忠行君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○行政相談委員法案内閣提出)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。昨十一日、山本伊三郎君が辞任され、その補欠として松澤兼人君が選任されました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) この際おはかりいたします。船田譲君から、都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございます。許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認めます。よって辞任は許可することに決定いたしました。  つきましては、引き続き理事補欠互選を行ないたいと存じます。互選方法は、便宜上委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認めます。それでは理事八田一朗君を指名いたします。     —————————————
  6. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き本案質疑を行ないます。なお、関係当局の御出席は、中村運輸大臣深草官房長佐藤港湾局長佐藤航空局長黒住自動車局業務部長、以上の方々でございます。それでは御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  7. 北村暢

    北村暢君 まず大臣に、主として航空関係の問題について御質問いたしたいと思いますが、現在航空編成の問題がたいぶやかましい問題になっておるのでございますが、これの最近の動きについて概略説明を願いたいと思います。
  8. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) わが国における定期航空運送事業あり方につきましては、前々からいろいろな機会に御審議をいただいておったと思いますけれども、その根本的なあり方について昨年の十月、航空審議会に諮問をいたしまして、昨年の十二月、航空審議会から答申をいただいたわけでございます。その大綱を申し上げますと、国際線については、日本航空株式会社が主となってこれを実施する。国内線については一応この集約化をはかるということで、審議会答申といたしましては、とりあえず二社程度が適当であろうというような御答申をいただいたわけでございます。しかるところ、本年に入りまして御承知のような相次ぐ航空事故がございましたために、これの企業のまず安全ということを主体にして事を考えるのが急務であるということになりまして、二月の十一日に運輸大臣関係企業者を集めまして、この航空審議会答申等を参照いたしまして、まず安全について早期に処置すべきことを関係事業者に申し渡しますと同時に、経営基盤強化というような点につきましても触れて、まず日本航空日本国内航空一体化を促進するために急速に話し合いを進めてもらいたいというようなことを話したわけでございますが、その後、これらの一体化とともに、国内における航空企業自体の具体的なあり方につきましても、急速にこの経営基盤強化して航空の安全をはかるという見地から、経団連の会長であります石坂、副会長植村御両氏にあっせんをお願いしておったわけでございます。この御両所あっせん人としての御意見を四月の二十九日にいただきまして、その骨子といたしますところは、最近における国際及び国内運送事業の急速な発展に対処するとともに、今回続出した航空事故にかんがみ、航空事業運営の根本である航空安全性確保等につき、抜本的対策を講ずるの要きわめて緊切である、というようなことでございまして、それにはまず企業を集約することが必要であるということをまず述べられ、同時に、とりあえずの措置といたしましては、国内幹線につきまして、需給の調整、日本航空株式会社日本国内航空株式会社との一体化、それから日本航空株式会社及び全日空株式会社運営協調化、その他ローカル線における措置並びに右に伴いまして政府としても飛行場の改善整備乗員養成施設充実強化等をはかる必要がある、というような御意見をいただきましたので、先ほど申し上げました航空審議会答申並びにその御両所の御意見を参酌をいたし、これを尊重いたしまして、逐次これを実施に移すという段取りになっておるわけでございます。
  9. 北村暢

    北村暢君 いま概略説明がありましたが、航空審議会答申を得て、その答申を尊重するという考え方で進められるんだろうと思うのですが、その石坂さんと植村さんの両所あっせんを依頼しなければならなかった理由は一体どういう点にあるのかですね、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  10. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、航空企業集約化といいますか、航空事業にマッチした体制を整えるための一体化等につきましては、これは原則として企業に携わっておる人たち相互に自主的に話し合うということが好ましい、政府があまりこれに関与することはできるだけ避けたいと、こういう考え方を持ちましたのであります。そこで先ほど局長も言いましたように、各企業者責任者を呼んで大体の方向を申し上げて、各企業者が協調して、この方向集約化実現を急いでもらいたいということを申し渡しますと同時に、やはりそれぞれ企業立場から利害等が相反する面等もございますので、集約化の結果を急いでいきますためにも、一つの、あっせん人と言いますか、世話をする人があることが適切ではないか、そう考えましていろいろ人選等を考えました結果、まあことばを端的に申しますと、経済界の長老である御両所にその世話役方を一任したがいいと、かように考えまして、お世話をお願いいたしたような次第であります。
  11. 北村暢

    北村暢君 一応あっせん案というものが報告されたわけでありますが、その際に、国際線日航が将来担当する、国内線についてはなるべく企業合同してやっていったらよかろう、こういうのが答申内容であったように説明がありましたが、この日航国内航空との合併について、大体、あっせん案では話がつくという見通し、これがついたのかどうなのか。しかも、国内航空は、これは相当赤字をかかえているわけですね。そういう赤字をかかえているものが、いわば日本航空という政府出資を伴っている特殊会社と言いましょうか、そういうものに吸収するというような点について、国内航空の側においても、いろいろ幹部等において辞表を提出する等の問題があったようでありますが、大体、これの話はつく見通しなのかどうなのか。あっせん案において、ですね。そういう見通しに立っておられるかどうか。  それから全日本航空企業合同に対して非常に難色を示したようでありますが、この将来の長い構想としての国際線国内線とを担当する面について、全日空はどういう考え方を持っているのか。この全日空が、一社の方向に持っていくことについて、官僚統制になる危険があるということで非常に強く反対をしているようであります。その辺の事情と、あっせん案等実現性可能性見通し等について、御説明をいただきたいと思います。
  12. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 日本航空国内航空との一体化は、いますぐやるということではなくて、四、五年間協調体制を整えながら、国内航空はみずからの体質強化する、そうして強化した後に一体化を考えていこう、こういうふうにいたしまして、合併を目途にしてすべての一体化体制を整えていく。こういうことでございまして、その見通しは、これは両社とも、大体認めておるように、かように考えております。  それから全日空のほうがこの一体化反対意向であるということは、これは直接私は石坂さんが向こうの首脳部にお会いになったあと、直接石坂さんからは聞いていないのでございますけれども、大体、人を通じて承りますと、二つあるようでございます。一つ官僚統制にいくということをきらう、それからもう一つは、国内航空と一緒にやるのはどうも望まない意向があるようであります。この全日空官僚統制になるとかいうようなことを言われたというのには、石坂世話役は、もう一本に合併したらどうか、こういうことをお話しになったのではないか、かように考えておるわけでございます。これは石坂さんから直接私はまだ聞いたわけではございませんが、しかし、私は、国内幹線運航一体化して、そうして安全運航確保体制をつくるということについては、全日本航空反対ではないのではないか、これはまだ直接、全日空には話しておりませんが、こういうふうに了解しております。  さらに、国内幹線事故後の旅客状況というものを見ますと、やはり、一体化して航空事業に合う一つ需給体制をつくらなければこれはならないという客観的な情勢にあるように思いますので、これは反対はしないと思います。多少異議がありましても、できるだけ相談をして、国内幹線運航一体化あるいは整備機構一体化等はぜひやってもらう必要がある、かように考えております。
  13. 北村暢

    北村暢君 大体、この狭いところに数社あって、しかも非常に安全性を要求される航空事業でありますから、官僚統制という面については、これは注意しなければならないけれども、方向としては私はやはり、相当官僚統制にならない範囲で行政指導強化されなければならない。また、企業内容等を見ましても、まあどうやらというのは日本航空くらいなもので、全日空事故のために相当収支関係は悪いようですし、他の会社企業についても、必ずしも経営内容というものはよくないようであります。そういうことを無理して、経営改善ということがなされないで、過当競争のような形になるというと、ひいてはやはり、航空安全性というものが犠牲になっていく、こういうことなんで、これは私は、放置できない問題じゃないかと思うのですね。何といってもやはり、企業内容もそうでありますが、運輸省行政指導としては、安全の確保ということが私は、今日、非常に強く要請せられておる世論だと思うのです。そういう意味において、大臣のおっしゃる、なるべく企業自主性において合同されるということが望ましい、と言いますけれども、しかし、今日の段階では、過当競争のために安全性犠牲になるというきらいが非常に強くあるのじゃないかと思うのですが、こういう点についての指導上の基本的な考え方というものは、航空行政において、一体どのように考えておられるのか。そうして大臣説明を聞くというと、今後における企業合同その他についても相当長い期間かかるようなことのようです。特に国際線国内線との問題の処理については、あまりはっきりした見通しというものも伺えなかったように思いますが、そこら辺を含めて、基本的な航空行政あり方についてどのように考えておられるのか。また、時期的な問題として、どうように考えておられるのか。この点、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  14. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国際線国内線、昨年末の航空審議会答申内容は、将来のあり方としては、国内線二社、国際線一社ぐらいが好ましいということでございますが、御承知のように、日本航空事業実態は、国際線日本航空が一本でやっておりますが、国内線のうちの幹線もやはり日本航空が非常に大きな比重を持っておるという実態がございまするので、これを一社にするということならまたあるいは可能性が強いかもしれません。けれども、一社にするということになりますと、日本航空そのもの国際線国内線に分けるというのはむずかしいわけでございます。そういうことがございますので、早急に一気かせいに国内を一本にするというようなことも非常にむずかしいわけでございます。将来の一つあり方としては、国際は、これはもうもちろん一社でいくということになっておるのでありますが、国内は二社、答申が二社が好ましいということでございまして、昨年、この春の航空事故が引き続いて起こりましたそういう中から、日本の弱い航空企業としては一本がいいのではないかという、いわゆる一本論というのも相当強く出てまいりまして、いろいろ議論されたところでございますが、なかなかそう一本にすぐにというようなことも、一気かせいに合併してしまうというようなことも、企業そのもの実態等から簡単にまいりませんので、少しこれにやはり時間をかけなければならぬ、会社合併というようなことは。しかし、事故が起こりましてから実績が非常に大きく変わってまいったのでございまして、最近の調べによりますと、日本航空乗客数は大体従前に、事故のない前に比べますと一、二割減ぐらいのところでございますが、全日空あるいは国内航空乗客数はほとんど半分に近いような減り方でございます。そういう状態でございますので、非常に大きな航空事情の変化が起こってまいりまして、そういう実態等をにらみ合わせまして、北村委員も仰せられまするように、航空の安全を確保するまず運航体制を速急にこれはやる必要がございます。それは急いでやらせる。そうしてそれによって各企業体質強化しながら、しばらく歩いて体質強化しつつそうして集約化するということに運ばせていきたい、かように二段がまえのような形で考えていくのが実情に合う考え方じゃないかと、かように考えておるわけでございまして、それを達していきますのには、かなり企業のそろばん等から企業ではいろいろ意見等も出てまいると思いますが、政府としては、航空はどうしても安全性確保するという、これはもう絶対的な条件でございますので、そのたてまえに立って強力な場合によっては行政指導というものも必要である、かように考えておるところであります。
  15. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、国際線を将来一社、それから国内線日航全日空との合併ということの困難性という点から二社にしていきたい、こういう指導を将来とも行なう、こういうふうに承ったように思いますが、それでよろしゅうございますか。  それからその場合、安全性その他からいって一本案というのは考えられなかったのかどうか。従来そういう考え方というものは全然なかったかということ。  それからいまおっしゃったそういうことの再編成めどですね、一体どの程度めどを持って再編成というものを完了していくように行政指導をしたいのか。これは五、六年かかるというのか、十年かかるというのか、そこら辺のめどをどの程度のところに置いて行政指導をしようとしているのか。運輸省の期待するのはどういう考え方なのか。この点をひとつお伺いしておきたい。
  16. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国内線は一社にするか三社にするかということは、答申国内線は二社がいいのじゃないかという意向でございましたが、その後事故が起こりましてから、一そう一社にしたかどうかという意向が非常に強く出てまいりました。それは日本航空企業の体力というものはアメリカ等に比べて非常にみんな弱いんじゃないか。それで、もう一本にしてやったほうがすべての点において非常に合理的にいくというような考え方が強く出てまいりましたし、世話をしておられました石坂さん、植村さんにあたりも大体そんな意向のようでございましたが、全日空がやはり一本化されるということはいわゆる官僚統制になってしまうということでかなり難色を示したような実情でございます。一本に速急に合併してしまうということはいまの段階ではかなり困難性があるのじゃないか。しかし、運航体制一体化していくということは、これはそう困難性はないし、さらにまた、そうやらなければならぬと思っておるので、そういうことをやっていきつつ、将来の集約化方向が二本にするかあるいは一本にするかということが自然のうちにきまっていく、きめていけるのじゃないか、こういうふうにいまは考えておるわけであります。時間的な見通しはできるだけやっぱり早いがいいと思いますが、さしあたり整備体制を一本化するとかあるいは搭乗員養成体制を一本化するとか、それから運航体制を一本化するというようなことをやってまいりますことができますと、私は将来一本になるとか二本になるとかということに対する全日空等反対等意見もかなり変わってまいるんじゃないか、いまの段階全日空がきらっております一つ理由は、やはり国内航空と一本になるということにかなり難色があります。しかし、日本航空とならどういう話し合いもする、こういう考え方のようでありますが、全日空事故あと始未等がおおよそ目鼻がついてまいっておるようでございますから、早急に全日空との話し合いをいたしまして、そして運航体制一体化と同時に、将来の見通し等につきましても、企業者同士で、もう少し話し合いをさしていきたい、かように考えます。
  17. 北村暢

    北村暢君 これは私は、この問題はこの程度で終わりたいと思いますが、やはり負債を背負っておる国内航空ですね、この処理の問題が再編成でやはり問題になるだろうと思うのですね。しかしながら、この負債指導により完全になくなる、まあ五、六十億あるようですから、簡単に企業が健全になって、合同という見通しというものも、これはなかなか困難でないかと思うのです。したがって、それが解決しない間は再編成ができないというようなことでは、やはり問題があるんじゃないかと思うのですね。何らかのそういう面についての、特に日本航空との合併問題ということになれば、これは政府出資をしている会社でありますし、そういう面からいけば、何らかの方向が、企業独自の問題としてまかせ切りにまかしておくんじゃなくして、何らかの融資なりなんなりによって一応たな上げとかなんとか解決するという、そういう考え方は持っておらないのですか。問題は何か国内航空赤字の問題に関連しているようでございますが、そこら辺の考え方、どういうふうに思っておられますか、この点だけ一つ
  18. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国内航空の問題は、国内航空自体も、みずからのかまえといたしまして合理化等に積極的に手を打たせると同時に、赤字等に対しましては、いま北村委員が仰せられるように、融資等のある程度の協力をしていきますと、大体そう年月をかけないでも、二、三年そういう態勢でやらせますと、大体合併してもいいような形になるのではないかという考え方を持っております。しかし、まだこれは日航国内航空等で直接早急に話し合いをさせて具体的な方策を立ててもらうように、いまそれぞれ話しておる段階でございます。
  19. 北村暢

    北村暢君 次に、同じ航空関係の問題で、ごく最近の問題としてフランス中共航空協定の締結がなされて、上海乗り入れるということがきまったようでございます。これは非常に画期的な問題であるようですが、これの問題について、日本航空中国への乗り入れ、あるいはフランスの東京への延長の問題、これも見越して中共への乗り入れがきまった、上海への乗り入れがきまったというようなことが報道されているわけでありますが、今後の日航上海への乗り入れ、結局中共への乗り入れという問題について、どのような考え方で臨まれようとしているのか、この点ひとつお伺いしておきたいと思う。
  20. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) お尋ねの日仏間の航空協定でございますが、日仏間の航空協定昭和三十一年に締結されまして、御承知のように、現在日航北回り線南回り線をそれぞれやり、フランス北回り線南回り線運航実施しているわけであります。この協定附表で、日仏双方とも南回り線路線上に中国本土内の地点を掲げておりますが、この地点につきましては、両国政府間で今後合意によって定めるということになっていまして、まだこの具体的な合意の取りきめの実施に至っておらないのが現状でございます。御指摘のように、最近におきましてフランス中国本土への乗り入れについて、具体的な話を進めているように伺っておりますが、いずれにしましても、協定上わがほうも中国本土乗り入れ得る状態になりますときに、双方この協定で定める具体的な地点が定まっていく、こういう関係に相なっているわけでございます。
  21. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、南回りフランス航空上海乗り入れというようなことが伝えられており、それもまたフランス中共との航空協定が締結される見通しというものが非常に濃厚になったように報道されているのですが、南回りがそうしますと、中共へ寄るか寄らないかということが日仏航空協定では規制することができるのかできないのか、その点ですね。この日航との関係ですね。この点がちょっと具体的に意味が聞き取れなかったのですが、もう一度おっしゃってください。
  22. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) ちょっと御説明が足りなかったかと思いますが、協定上は双方南回りを認めておりまして、現に運航いたしておるわけでございます。ただ、いま御質疑は、フランス中国本土を経由する場合に、協定上どうなるかという基本的な御説明を申し上げたわけでございますが、これにつきましては、日仏双方路線について中国本土を経由することは協定の基本に入っておりますが、この実施双方協議してきめるということに相なっておりますので、将来日本日中間航空協定その他の方法によりまして、現実中国本土地点わが国指定航空事業である日本航空現実運航できる状態になるときに、初めてわがほうもフランス中国経由日本という路線相互協定上認める立場になるという事情を御説明申し上げたわけであります。
  23. 北村暢

    北村暢君 その場合に、日航中国経由ということは、フランス中共協定すれば、経由するということができるのだろうと思うのですが、日航はそれは中共との航空協定が締結されない限り日航乗り入れ得ない。フランス航空乗り入れる、経由できる、こういう結果になるのですか、どうなんですか。
  24. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) これは協定扱い方の問題でございますが、従来の扱い方といたしましては、御承知のように、二国間の協定におきましては双方平等の立場運航するという立場をわれわれとしてはとっておるわけでございまして、したがって、フランス側だけ中国本土経由を認めるというようなことはわれわれとしてはいままでは考えておりません。つまり、そういう意味で、日本側が中国本土地点現実に行使できるというような状態になるときに、あわせてフランス側のそういうものを考えるという立場にあるわけでございます。従来、フランスから中国本土地点を経由して乗り入れるというようなことについて申し出があった場合がございますが、そのような場合にも、われわれはそういうような立場を申し上げて、現在の状態ではそれに応じられないということを先方に伝えた事実がございます。
  25. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、この協定には経由することができるようになっておるけれども、実際には日本中共との話し合いができない限り、日航上海経由ということが話し合いできない限り、フランス航空もできない、結果的にそういうことになるように受け取れるのですけれども、そうしますと、日本として、一体そういうことを望んでおるのか。日航もこの上海経由ということを望んでおるのかどうなのか。そしてまた、そういう折衝が、中共と話し合われる可能性というものがあるのかないのか。先ほどの説明を聞いておるというと、フランス中共とが話し合いができても、日本との話し合いができない限りは、これはそれまで平等の立場からいって実現しないという結果になるように受け取れるのですけれども、どういうふうな方針で臨まれるのですか。
  26. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) したがいまして、基本的には日中間航空協定をどういうふうに考えていくかというのが基本的な問題になるわけでございますが、従来、われわれがいろいろな機会にこの問題について政府として検討願いました結果といたしましては、現在の諸情勢からして、まだそういう段階ではないということで、現実にそういうような運びに至っておらないわけでございます。
  27. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、フランス中共を承認しておるわけですからね。したがって、上海乗り入れということが、これは話し合いとしてはフランスは望んでおるわけですわね。だけれども、日本としては外交上のいろいろな関係から中共への直接乗り入れということについては希望しない。そうすると、実現可能性というものもしたがってないということになるのですが、これは航空政策的にいってどうなんでしょう。中共を承認してないから経由することを日本としては希望しない、こういうことなんですか、どうなんでしょう。これは、まあ今後中国との住復というものも非常にひんぱんに行なわれる可能性があるわけなんで、中国貿易その他についてですね、いままで香港経由でなければ入れない、非常に不便があるわけなんです。考え方として、政経分離の考え方からいって、中国が応じないのじゃこれはどうにもしょうがないのですけれども、考え方としてはこれを推進するという考え方というものはあってしかるべきでないかと思うのですが、大臣、どのように検討されておるか。
  28. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 純粋に航空事業の面から考えますと、これはやはり人の行き来、貨物の輸送というものが航空事業の持っております主体でありますから、その点からいけば私はどういう国とでも人の行き来あるいは物の交流というものを円滑にいくようにすること自体は好ましいことと考えますが、現在の航空協定というのが政府間で協定をいたしております実情から、中国日本との政治的の一つの関連が非常に大きな問題になっておることは、北村さんも御承知のとおりでございます。そこで、政治的な態勢が変わってくれば、私はそういう段階にもなってくると思いますが、いまの日本中国との政治的な関係から考えますと、純粋に政経分離だということで割り切っていくのには非常にむずかしさがありまして、いまの時点におきましては、いま航空局長説明申しましたように、非常にむずかしい情勢にある、すぐその運びになるという可能性が薄いという実情でございます。将来の見通しというの・は、私がいま申しましたように、経済的にだけものを考えた場合には、やはりそういうことが好ましいのではないかと思いますけれども、航空協定というのは、やはり非常にその国と国との国交のあり方が正常化されておるということが基本になっておりますのでむずかしさがあるという実情でございます。
  29. 北村暢

    北村暢君 そうすると、中共との国交回復ができない間は、中共のどこの地点かわかりませんが、まあいま上海ということですが、経由ということは実現しないと、こう判断をして差しつかえないですかな。
  30. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 必ずしもその国交が正常化しない場合は絶対できないとは考えられないのです。それはソ連とは、御承知のように、正式の平和条約が結ばれたのじゃございませんが、航空協定は結んでおりますので、ただ、いろいろやはりソ連と日本との場合と、中共日本との場合はかなりの政治的な関係も違うようでございますので、非常に複雑な情勢でございますから、いまの時点では簡単にソ連との場合のように割り切り得ないということだと考えます。
  31. 北村暢

    北村暢君 ソ連の場合は、もう国交回復しているのでね、平和条約は結んでないけれども、国交回復している。あれはまあ当然——いま、モスクワ経由の問題ね、できるわけですがね、話し合いもできる。しかし、必ずしも国交回復はできなくても、政治的な問題だけで、それがソ連と中国との日本に対する政治的な感覚が違うからいけないのであって、それが解決すれば国交回復以前でもできるようなお話のようですけれどもね、どうなんですか。フランス中共との折衝で協定ができて、フランスの場合は中共フランスの間の航空協定でそれが可能性が出てきた。といっても、これは日本との航空協定でお互いに了解しなければだめなんだということになる。そういう点から言えば、日本は現在の政治的な関係から当分はこれは見込みなかろう、こういうことになれば、せっかくフランス中共との話し合いができても実際には実現しない、日本は拒否するだろう、こういうことになって、その見通しが、先ほど私が言ったように、平和条約はどうかしれぬが、国交回復というようなところまでいかないというとだめなんだと。そうでなくても、可能性といいますか、その以前に可能性というものはあるのか。まあ非常に高度の政治判断できめられるものであって、事務当局の段階でないと言えばそれまでなんですけれども、そういう外交上なり政治的な問題がネックで——また、こちら側から要望しても中共が受けないというのか、それとも日本のほうが積極的に働きかけないで、その意思がないんだと、こういうことなのか、そこら辺のところがちょっとはっきりしないようですが、ひとつ事務当局から説明してください。
  32. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほどの大臣説明を補足させていただきますが、まず、御承知のように、航空協定の場合はそれぞれ二国間協定でございますので、たとえば、フランス中国本土との協定によりましてフランス——上海というものは成立します。もちろんそれの運航もできますし、それから、中国本土との関係で、さらに以遠、東京ということをフランス中国の間に協定を締結することは、御指摘のように可能でございます。また、中国本土を経由しませんで、南回りフランスから東京に来ることも、これはすでに先ほど申し上げたように可能でございます。問題は日本中国との間の協定関係でございますが、先生御指摘のように、航空協定を締結する場合にはやはり国交関係が前提でございますので、ソ連の場合には国交関係があって、それを前提といたしまして御承知のように、航空協定の締結を見たわけでございますが、かりに日中間に現在の状態において何らかの運航措置をするということになりますれば、いわゆる民間ベースによる定期航空路の開設ということに現実に相なるかと思います。したがいまして、先ほど来御説明しておりますような協定上の地位を明瞭に出すことができませんので、そういう点に難点が、いわゆる航空技術上ございます。それが一点でございます。それから、わが国航空運送という見地から、先ほど大臣も御説明申し上げましたように、できるだけ貨客の往来があるところに道をつけていくというような基本的な態度をもちろんとっておるわけでございまするが、わが国は現在台湾との航空機の運航等もいたしてございますので、そういうような点も十分将来勘案しなければいけない。しかし、なおその上にいろいろ政治的な事情その他も十分に勘案して、円滑に航空機の運航ができる状態になって初めてこういうような協定締結というようなものになっていくというのが従来のいきさつでございますので、そういうような点から申し上げますと、まだ現在日中間においてはそういうふうにスムースに航空協定あるいは民間ベースによる協定が成立し得る状態になっておらない、したがいまして、フランス中国本土経由東京乗り入れというようなものを認める状態に現状においてはまだなってないというふうに申し上げていいと思います。
  33. 北村暢

    北村暢君 大体その点わかりました。  それでは次にお伺いしたいのは、この航空関係国内国際線の最近における伸びの状況、これについて、この前の事故等もありまして、その後における閣議決定等もあって、空港設備の整備あるいは要員の確保、その他について閣議決定もなされているようですが、私の第一番にお伺いしたいのは、国際線国内線含めて、主要空港である、たとえば東京国際空港等の、この主要空港における伸びの状況を若干説明していただきたいと思います。
  34. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) まず国際線について申し上げますと、昭和三十六年度におきます旅客の輸送実績が、合計いたしまして、国際線における合計でございますが、十五万三千二百五十二人、前年比一二七というような数字でございましたのが、三十七年には前年比二三三、三十八年度一三二、三十九年度一二五、四十年度一三七ということで、四十年度におきましては若干、概算額でございますが、四十六万七百五十二名というような、国際線におきましては比較的順調な伸びを見ておるわけでございます。で、この線中、大部分を占めますのは御承知のように太平洋線でございます。こういう状況で、国際線におきましては比較的順調な伸びを示しておる状況でございます。  一方、国内線でございますが、いま御指摘のように、昨年における事故前の状態におきましては、国内幹線に例をとりますと、昨年十月におきまして、三社合計いたしまして利用率六三%、十一月には若干下がりまして五一%、十二月が四二%というような状態でございまして、一月におきまして若干回復いたしまして四九%というような数字を示しましたが、その後、先ほど大臣も御説明申し上げましたような事故の影響を非常にこうむりまして、三社合計で二月が四四%、三月が四二%というような状況に相なっております。こういうような状態でございますので、三社それぞれ協調して輸送力を調整する必要があるということで、四月から大阪線において十五便を十三便に、それぞれ日航全日空ともに減便いたしてございますが、なお将来相互にこういうような輸送力を調整をするという措置をとらしていく所存でございます。以上が概要でございます。
  35. 北村暢

    北村暢君 国際線は順調より以上ぐらいに急速に伸びているようですね。ところが、国内線ですが、国内線の問題は、いままで東京——大阪間が国内線のドル箱であったのが、国鉄新幹線ができて以来、これが思わしくない。しかもきょうの新聞等によりましても、国鉄はこれをさらに岡山まで四時間で行くという方法を計画しているようですが、そういうことで国鉄との競合関係において、将来国内線というものの事故の原因だけでなしに、国内線の伸びというのは相当期待をしていいんじゃないか、今後におけるですね。事故による減というのは一時的なものであって、将来やはり国内線というものについて相当期待できるんじゃないかと思うのですが、これの見通しは一体どのように立てておられますか。
  36. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 将来の輸送需要の推定につきましては、御承知のように、いろいろ方法があるわけでございますが、われわれとしては、事故前からもそうでございますが、一応いままでのいろいろな推定し得るデータを集めまして、ここ数年の輸送需要の見通しを実は立てております。で先生御指摘のように、従来の経験からいたしまして、事故がありました際には、一時的に乗客は減少いたしますけれども、若干の期間後に大体回復するというのが従来の例でございます。新幹線の影響等は東京−大阪には相当ございますけれども、さらに遠距離に行くに従ってはその影響の程度は減少してくるということも考えられますので、そういうような点から一応需要推定をいたしましたのでは、大体年率一三、四%以上の伸びは期待し得るのではないか、そういうような伸びを基礎にいたしまして、先ほど大臣から御説明申し上げましたような、幹線乗り入れ各社の適正な輸送力の配置というようなことを考えていきますれば、ここ数年にいたしまして幹線における国内航空運送事業というものは全体において十分採算ベースに乗るものであるというふうに考えているわけでございます。
  37. 北村暢

    北村暢君 需要の問題についてはそれぐらいにして、先ほどお伺いいたしましたら答弁がなかったんですが、そういう旅客需要の増大というものと空港における発着の状況ですね。これも私は飛躍的に繁雑化してきているんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その状況は一体どのようになっておりますか。まあ最近の五カ年程度の発着数についてどんな関係になっているか、東京国際空港を例にとって説明していただきたいと思います。
  38. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 東京国際空港におきます到着機数でございますが、昭和三十六年度におきまして三万六千六百三機という状態でございましたのが、逐次増加いたしまして、三十七年度におきましては四万三千八百五十三機、三十八年度四万四千四百十八機、三十九年度五万一千八百三十八機、四十年度は若干統計期間が昨年十月まで四万二千九百十五機、十二月までで約五万機ということで、ここ三カ年における増加率をとりますと、二二%以上の数字を示しておるわけでございます。こういうような状態から推測いたしまして、ここ数年におきまして東京国際空港はその能力の限界に達するということが考えられるわけでございます。
  39. 北村暢

    北村暢君 その限界のほうはまた別に伺いますがね。そういうふうにふえてきていますと、いま年間で言われましたが、あまりぴんとこないのですが、これは一日の状態でいけば一体どんなような形になっておりますか。まあ空港を見ているというと、五分か四分で一機ずつ離着陸やっているようなことのように見受けられるのですがね。そういう点一日の回数からいくというと、いま言った年間でなしに、どういうような状況になっておりますか、この点説明していただきたい。
  40. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先生御指摘のように、東京におきましてはいわゆる飛行機におきましてもラッシュ・アワーというのがございまして、その際にはいわゆる滑走路に出る前に待機しておる航空機が続々と並んでおるというような状態になるわけでございます。その定期便の運航に合わせて臨時的な発着等加えますと、非常に数が多いときには一日三百機ないし三百五十機を扱うというような日がございます。
  41. 北村暢

    北村暢君 そこで非常に空港における旅客の需要も増大するし、離発着の回数も飛躍的に増大している、こういうことで、これに要する要員の確保というのがなかなかできていないのじゃないかというふうに思われます。空港の整備についてはまあ二、三年で飽和状態になり、要員についてもその伸び率について安全性確保するだけの要員というのがなかなか確保できていないのじゃないかというふうに思われるのですが、どのような処置をとられているのか。特に閣議決定等もあるようであります。その間のいきさつですね。事故発生後における閣議決定で要員の確保ということについて閣議決定されているわけだけれども、一体それについてどのような措置が具体的になされたか、その点をお伺いしたいです。
  42. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 御指摘のように、この増大する輸送量に対する要員の確保は、率直に申し上げましてはなはだ残念ながら必ずしもわれわれとしても十分でないと考えております。四十一年度部内のいろいろなやりくり等の関係で、実は六十一名の航空関係としては増員をいただいておるわけでございますが、今回の事故にかんがみまして、管制をさらにその配置を十分にするというような観点あるいは管制以外の保安関係その他直接航空の安全に関する要員につきましても急速に措置をする必要があるということで、三月十一日に閣議にその大綱について報告をして了承をいただいたわけでございます。われわれとしては、現在行政管理庁、大蔵省当局にこれに基づく要員の充足ということを折衝をいたしておる段階でございますが、まだ最終的の結論を得ないわけでございます。その要求しておる方向といたしましては、空港の管制体制、直接の管制官のほかに、管制の技術あるいは通信あるいは事故処理体制強化、それから空港、航空保安施設の整備強化、それから管制官の訓練センターというようなものを設けて訓練をしておるわけでございますが、これに必要な養成の定員を特別に認められておりませんので、配置された管制官の定員の中からやりくりをしておるというような非常に苦しい実情でございますので、こういうものにつきましての養成上の定員というものを認めてもらう。人員の配置を特に認めてもらう。あるいは航空機の検査関係従事者の試験関係その他の項目につきまして現在折衝している段階でございます。
  43. 北村暢

    北村暢君 まあ満足でないということだけはわかりましたけれども、それについて閣議決定の線もあり努力をされているということですが、大体運輸省全体の定員の中で欠員というものがどの程度になっているのか、これは官房長にこの点を若干説明していただきたいと思います。
  44. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 四十一年の三月末で本省関係、これは航空局も含んでおります。本省関係で百二十二名。それから気象庁の関係で十九名。以上でございます。
  45. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、全体で欠員というのは、定員に対する欠員というのは百四十一名ですか、その程度しかないと、こういうことですか。
  46. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 欠員は、御承知のように、凍結定員の一部は、たとえば特に現業部門につきましては一人やめ、つまり一に対しまして〇・九補充できるというようなものもございますし、原則は大体半分というようなものもございまして、ただいま申しましたのは四十一年の三月末でございまして、その後も退職者もございますし、随時変化をいたしておりますので、ただいまの数字はわかりませんが、これより若干増加はしていると思います。
  47. 北村暢

    北村暢君 まあ若干の増加ですから、そうしますと、四十一年度においても航空関係においては凍結定員を解除して増員させるという努力はされたんだろうと思うんですが、いま閣議決定されて、その後において各関係当局と折衝をしているというのは、航空関係では一体どの程度の人員について折衝されておるんですか。
  48. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 航空関係は百五十一名でございます。
  49. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、百五十一名だというと四十一年の三月現在の凍結定員をオーバーするくらいの人員について増員しなけりゃならないということでやっておられるようでありますが、これはなかなか簡単にいかないんだろうと思うんです。そこで、これは衆議院の附帯決議とも関連するのですが、しかも閣議決定があるというので、まあ熱心にやっておられる実情はわかるんですけれども、実情はわかるんですが、先ほど訓練要員等も定員の外へ置くべき者を定員の中で訓練要員に充てなきゃならない、こういうような実情のようですね。したがって、この安全確保のためにまあ最低限の人員としていま百何十名かを急速にふやさなきゃならない、まあこういうことでやっておられると思うんですがね、実際に言やもっと必要でしょう、将来のことも考えれば。しかし、それかといってだれでもいいわけじゃないわけですから、そう実際に補充する場合なかなか困難がある。急速に大ぜいの人員を増加するといっても、実際問題として無理があるんだろうと思うんですがね。そういうことを勘案して百数十名の者を増員しようという努力をされておる。これについては実は大蔵省なり行管なり来て立ち会っていただいて実際は確かめたかったわけでありますけれども、これは大臣にひとつ相当思い切って大蔵省折衝なりなんなりやっていただかないというと、これはなかなか実現可能性ないんじゃないかと思う。航空局長もそれは一生懸命やって、官房長もやっておられるでしょうけれども、しかし、閣議決定がなされてから今日まで相当期間たって、なおかつ実現しないわけですね。しかもこれは閣議で決定されておるんですから、大蔵省もこれは了承しなければならないはずのものなんですね。それが今日までおくれておるわけです。そこら辺のネックは一体どこら辺にあるのか。予算上の問題なのか。そこら辺のネックが一体どこにあるのか。私はもうこの法案の通過するまでに実際ははっきりした見通し大臣にここの委員会で答弁していただきたかったわけです。そのくらいに思っておったのですが、大臣の出る段階ではないのかどうなのか知りませんが、どうなんです、そのいきさつは。
  50. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 最初に欠員、凍結定員と要求との関係でございますが、先生もちょっとお触れになりましたが、実際にこれだけすべて通りましても、現実に今年度これだけ人が雇えるかどうか。特に専門家の業種が多いわけでございます。そういう点も勘案をしながら、とれない分はもちろん翌年度に採用するということになると思いますが、そういう点も考えております。それから大蔵省のほうの関係でございますが、ちょっとこの前も経過を御説明申しましたが、実は向こうがサボっておるわけでは決してございませんで、運輸省内のその他の緊急対策が非常に航空以外の面でも突発してまいりまして、ようやく一昨日ごろから向こうの手もあきまして、もちろん下のほうの者には説明は前からいたしております。一昨日ごろから上のほうの段階での作業のとっかかりがようやく始まったわけで、これも事柄の緊急性から、急いで、一週間以内ぐらいに結論を出したいということを言っておりまして、閣議了解の線もございますし、非常に向こうとしては前向きな姿勢で取り組んでいただいております。大臣の御出馬の関係でございますが、私ども事務的にやりまして、最後の段階ではやはり大臣にお出ましを願わなければいかぬ段階があるかもしれませんが、そのときには大臣にいろいろやっていただくというふうに私どもお願いしたいと思います。
  51. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、大体現在の航空官署の緊急を要する充足すべき人員については、まずさほど困難なしに、事務的な手続なり大蔵省のある程度の了解が得られれば、実現することはまず確実と見て差しつかえない、このように理解してよろしゅうございますか。
  52. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空の要員でございますが、これは閣議の際にも、安全確保のための必要要員、それから必要設備は早急にやるという原則がきまっておりますので、その要員の数等も、さしあたり、凍結定員が百二、三十名あるので、それをもって充てるということでございまして、それ以上もしも必要であってもこれは認めるということに閣議了解がなっておりますので、私は、人員の補充はスムースにできるのではないか、かように考えております。
  53. 北村暢

    北村暢君 その点はけっこうでありますが、先ほどの旅客の需要の増大、それから離着陸の回数の増大、そういう点からいって、航空の安全確保のための要員というものは非常に専門的な技術を要する人もたくさんおるわけですね。したがって、計画的に——直ちに、緊急だから、事故が起こったからそれ補充しろと、こういうことでは私はとても急場しのぎで、かえってしろうとにそういう専門の仕事をやらせたらあぶなくてしようがないですね。したがって、航空局長も言われているように、訓練指導のための要員というものをやはり計画的に養成していくということをやらなければいけない。それをいま定員の外で養成をしているというなら勤務に支障ないわけですけれども、これはいまの勤務している者を訓練して、引き抜いていって訓練するんじゃ、そうでなくとも詰まっているわけですからたいへんだと思うんですね。したがって、そういう面の計画性というものは、やはり非常に特殊な職場でありますから、そういう点ひとつ考慮する必要がある、このように思うんです。これはでたらめに定員をふやせということを私言っているわけではないんで、ほんとうに事故を起こさないような安全確保の勤務体制というものは、これはだれが見ても科学的にやれば出てくるわけなんですね。しかもその伸び率で——業務上の伸び率というものもある程度予想つくわけでありますから、そういう点でひとつ安全という面からこの人員の充実ということは特にやっていただきたい。大臣もひとつこれは特に意を用いていただきたいと思いますね。それは今回は百何十名もいま見通しがあるようですけれども、それで決して満足すべき状態ではない。実際には、専門的な人はそれを採用することにしても、適当な人がおるかおらないかという問題があるんです。しかしながら、まだまだ十分でないということははっきりしておる。この点は十分ひとつやっていただきたい。  それから関係の職員の待遇の問題ですがね。待遇といって、特に空港等の勤務状態からいって、夜間勤務、その他、通勤するのにもなかなか不規則なようでたいへんなようです。したがって、バスもなければ何もないようなときに通勤しなければならないというような状況もあるやに聞いております。そういう点についての給与面の考慮とか厚生面の考慮とか、あるいはそういう特殊な勤務につく人の空港に近いところに対する宿舎の設備だとか、こういう配慮がなされないというと、非常に敏感なしかも処理その他について非常に——まあ交通関係いずれもそうなんですけれども、特に最近におけるスピードと迅速を要する業務、通信その他についても非常に勘を働かさなければならない仕事が非常に多いようです。そういう点で、勤務条件の劣悪ということが間違いを起こすもとになることになる。これは実際に空港に衆議院なんかも視察に行って実情をもっと見ているようですね。そういう点からいって、この点はひとつ特別にやはり考えなければいけないんじゃないか、こう思いますがね。そういう点についての配慮はどのようになされておるかお伺いしておきたいと思います。
  54. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 管制官の労働条件につきましては、その改善策を逐次講じておるわけでございまして、以前におきましては、一直当たり約八時間の三直四交代でございましたのを、三十六年度以降、管制官本部はじめ札幌、三沢、福岡等及び主要空港の東京、大阪、名古屋、各管制塔の管制官は、一直当たり約六時間の四直五交代にする。  なお、給与につきましても、管制官につきましては、三十八年十月から八%の調整額、それから管制通信官につきましては、ことし四月から四%の調整額の支給という措置を講じてまいったことは先生御承知のとおりでございます。  ただ、何といたしましても、現実の勤務状態に即したきめのこまかい待遇上の措置等、いま宿舎の関係を先生は例としてあげられましたけれども、このようなものにつきましては、われわれ、もっと努力をしてまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。今回の実は緊急措置の中にも、宿舎の設置費というようなものを一応見込みまして、現在大蔵省と折衝をいたしておりますので、そういうような点から、なお将来きめのこまかい、管制だけじゃなくて、航空全般の現場従事者の待遇上の向上をはかってまいりたいと、こういうように考えておる次第であります。
  55. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 北村委員の先ほどのお話の要員の問題の点で、ちょっと私お申し上げておきたいと思うのですが、航空安全とか、通信施設とかの、いわゆる安全につながる要員だけでなく、最近の航空事情の非常な急激な伸展の実態に合う航空局のかまえというものが、私は均衡がとれておらぬと。将来の問題として、やはり航空行政体制を、もっと強化しなければならぬ段階にきておると考えておりますので、管制官の要員を補充するというようなこと、もちろんでありますが、全般的にやはり再検討する必要があると思っておりますので、そういうことで検討してまいりたいと思っております。  それから勤務状態等の改善でございますが、航空管制あるいは通信その他、非常な特殊技能を必要とする場面が多うございまして、処遇等にも何らかの、一つの新しい角度から検討をしないと、ほかの業界等との処遇の関係が、まるで話にならぬような安いという状態でございますから、そういう点も、これはやはりいまの機構の中あるいは制度の中では、なかなか不十分な関係が多うございますので、やはり根本的にそういうところにもメスを入れなきゃならぬのじゃないか。さらに同じところに同じ仕事を七年も八年も十年もやらなきゃならぬというような特殊性がございますので、立場がだんだん上になっていくというような制度もそこにはございませんので、何らかのやはり方法を考えて、場所は同じところで同じ仕事をしながらも、やはり課長になり部長になっていく人と同じような、ひとつ何か立場が上昇していくような制度も考えなければならぬのじゃないかというようなことも考えておりますので、全般的な体制強化とあわせて、そういうことも検討してみたいと考えておる次第でございます。
  56. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  57. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  それでは午前はこの程度とし、午後は一時三十分より再開いたします。暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会
  58. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日松澤兼人君が辞任せられ、その補欠として山本伊三郎君が選任されました。     —————————————
  59. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 午前に引き続き運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、本案質疑を続行いたします。関係当局からの御出席は、中村運輸大臣深草官房長佐藤港湾局長佐藤航空局長、以上の方々でございます。  それでは御質疑のおありになる人は、順次御発言を願います。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案の内容について、いろいろさらに検討いたしました結果、特に最近たび重なる航空事故の発生ということを考えた場合、どうも航空保安の万全を期するためには、内容的に遺憾の点が特に見出されたわけであります。そこでこの問題について、大臣にいま一度確認しておきたいと思いますので、ひとつ前向きの姿勢で御答弁いただきたいと思います。  その内容は、いま申し上げた航空事故の、しかも大航空事故の連続にかんがみて、この際運輸省としては、航空保安の万全を期する義務があろうかと思います。そこで航空保安要員についてはすみやかに——前に閣議で了解を得ておるというふうには聞いておりましたが、凍結欠員については約百三十名おることと思いますが、この凍結欠員のまず解除を早急にやらなければならぬと思う。このことは繰り返し申し上げるように、すでに大臣から三月末の閣議了解で話しておるから心配ないというふうに聞いておりますけれども、当面まず凍結欠員の解除をやり、さらに当然その定員増をはからなければならぬ、こういうことになろうかと思うのです。そこで、この問題についてきわめて本法案にとっては重要なポイントでもあるので、ひとつ確認の意味大臣から御答弁をいただきたいと思う。
  61. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空関係の保安要員並びに保安設備の強化整備につきましては、先般の事故がありました直後の閣議で正式に早急に整備する、要員の補充をする必要がある。そのための措置は、設備等につきましては、緊急なものについては予備費をもって充てる。それから人員の補充につきましては、運輸省の凍結を解いて百二、三十名の定員がありますのでさしあたりそれをもって充てる、さらに不足な分については特別に措置をして定員の増強をはかっていくということが閣議で了解されたわけであります。伊藤委員の御指摘の必要な要員の整備は早急にできるものと信じております。また、それぞれ航空局においてやっております作業は、具体的にどこにどういう、何人の人員が要るということで計画を立てまして、それを大蔵、行管等と話を進めておる段階でございます。基本的な線につきましては、閣議の了解の線で進め得るものと確信を持っておる次第であります。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この凍結欠員については、これは依然としてそのまま続くということは原則であるけれども、航空事故の連続に伴って保安のため特に運輸省の方面については約百三十名の凍結欠員を早急に解除すると、そういうふうに閣議で了解を得ておる、そう理解してよいのであるかどうか。
  63. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) この間の閣議で運輸省の欠員不補充の線ははずされておる。運輸省だけはその凍結してふやしてはいけないという規定から、はずれておると御了解願ってけっこうでございます。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、関連があるからこの際お伺いしておきたいと思いますが、衆議院の段階でも——衆議院の内閣委員会でもこの法案に対する附帯決議がなされたわけでありますが、また、後ほど参議院の段階でも準備が進められておるようですが、ただ単に凍結欠員の解除だけでは保安要員の万全を期しがたいのです。これは当面とりあえず百三十名の凍結欠員を解除する必要があるということをさしておるのであって、やはり今後は、当面凍結欠員の解除ができたら、それに引き続いていわゆる保安要員の十二分なる定員の増をはからなければならない、こういうことになろうかと思う。保安要員の万全を期するためにはこのことについて大臣はどういうふうにお考えか、この際お考えを明らかにしていただきたいと思います。
  65. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 閣議で了解されましたものは、航空の安全を中心とした緊急施設に対する人員の補充と施設の拡充強化という二線でございます。あの閣議決定いたしました当初が早々の間でございましたので、これは相当の設備を整えなければならぬし、人員の増加もしなければならぬ、そういう情勢でございましたので、さしあたり凍結の定員が大体百二、三十名ある、それをもって充てる、さらにそれで不足な分は本格的な処置をして、四十一年度でそれを処置していく、こういう了解でございますが、今度の航空の問題につきましては、ちょうど予算のまだ通過しない前でございましたので、いろいろの関連があって、さしあたり凍結定員をもって充てていくということで了解がなされたものでありまして、そういう事情でございますので、必要な人員の補充については大体閣議でも了解しておりますから、私は進めていく上に支障はない、かように確信しております。
  66. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) ちょっとただいまの大臣のお答えを補足いたしますが、伊藤先生の御質問の趣旨は、こういった緊急対策のみでなく、恒久対策も講ずべきじゃないかという御質問だと思いますが、文書になりました閣議了解は、今年度分だけでなくて将来にわたっての閣議了解でございます。で、凍結定員の解除というような問題は、とりあえず本年度もやれという意味の口頭了解でございます。そういうふうに御理解願いたいと思います。
  67. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると、大体わかりましたけれども、さらに念のためにお伺いしておくわけですが、閣議では当面凍結の欠員の解除を実施するということ、そうしてさらにそれだけでは十分でないから、保安要員の充実については、今後もちろん凍結欠員の解除の上に、さらに十分検討して必要なだけ定員増をはかる、そういう決意であるということも、幸い閣議でも了解を得ておるからと、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  68. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 三月十一日の閣議了解でございますが、これは文書になっておりますが、特にさわりの点を読んでみますと、「航空の安全体制強化するため、航空管制、航空事故調査、航空従事者試験及び航空機検査等について所要人員の確保をはかる。」、これはまあいわば恒久的に文書で閣議了解をしたものでございます。で、その際に私のほうの大臣から口頭で、実はこれは緊急を要するので、設備については予備費でできるものからやりたい、あるいは要員については幸い凍結定員というものがあるから、これを活用して本年度からでもやりたいということで、この面につきましては口頭でけっこうだということで了解になったわけでございます。
  69. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、最後に御要望申し上げておきたいと思うんですが、繰り返し申し上げるように、こういう大きな航空事故あとで保安要員の充実をはかるということは運輸省として当然の義務であろうかと思うのです。そこで、幸い凍結職員百三十名については早急に解除されるということ。そしてそれに伴ってさらに検討を加えた上で必要な保安要員の定員増をはかると、そういうことであるので、ことばとしてはよくわかったのです。  そこで、問題はこれを着実に的確に実行に移さなければ何ら意味がないわけです。ここでどんな名言を言われても結局問題は実行するかどうかにあるわけです。そこでひとつ強く大臣に要望申し上げておきたいことがあります。この趣旨を十二分にかみしめていただいて、早急にこれが実現にひとつ全精力を向けていただきたい。これに対するひとつ決意はいかがか、こういうことを最後に要望をかねてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  70. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空の安全を確保するということが、非常に先般の事故等から緊急な課題となっておりますので、これを解決いたしまして、いま非常に国民も航空輸送——飛行機というものに不案を感じておりますので、これを一日も早く消させて、そうしてもとのように飛行機に安心して乗れるような国民的な気風をつくることも非常に必要なことであると考えます。そういうことを考えますときにも、やはり保安につながる施設を整える、それから要員を整備するということは非常に大切であり緊急な問題でございますので、政府でもこの点は非常に強く感じまして、閣議でもあのときに早急にきめたことでございますから、いま運輸省としては、いま伊藤委員の仰せられるように、これが具体的な実現に向かって全力をあげている過程でございますから、そう遠くない機会にわれわれの期待しておるような人員の補充もできていくことであると、かように信じておるわけでございます。全力をあげていく決心でございます。
  71. 多田省吾

    ○多田省吾君 最初に、本法案の中の本省の定員の問題でお尋ねしたいと思いますが、本省の四十一年度定員の減は二名である。それから、空港公団に移管する二十四名を差し引いた数で出ているようでありますけれども、また当然空港公団法が発足しますと、空港公団法、それの規定によってこれらの定員は自動的に公団に移管されるということになっておりますけれども、二名の減はどういう減であるか。それから、当然新東京国際空港の問題にからんできますが、空港公団はいつごろ発足させる予定を持っておられるか。この二点をまずお聞きしたいと思います。
  72. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 二名の減員でございますが、一名はこれは来年の三月からアメリカのほうの在外公館に一名運輸省から派遣いたしますので、外務省に振りかえられると。それから、あとの一名は、釜山のほうにもうすでに出ておりますが、それも外務省に振りかえる。この二名の減員でございます。
  73. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 新東京国際空港公団は、御承知のように、その位置を定める政令を出して後に発足させることになっております。政府としては、今年度なるべくすみやかに発足をはかりたいというふうに現在政府部内でその対策について種々連絡をとり、検討を進めておるという状況でございます。
  74. 多田省吾

    ○多田省吾君 新東京国際空港の問題につきまして大臣にお尋ねしたいのでございますが、昭和三十八年の十二月の航空審議会答申から二年間放置しておかれて、そうして去年の十一月十八日に関係閣僚懇談会で内定されたようでありますけれども、この内定に際しましても、千葉県側に対して、たしか中村運輸大臣並びに佐藤航空局長が、知事や副知事に対して、県が説得の見通しをつかむまでは決定しないでほしいと、そういう事前協議を申し入れたのに対して、事前協議なしに急に内定したというので、非常に県当局が反発しているような姿があるわけでございます。それから私も昨年の十二月二十六日の予算委員会で、この新東京国際空港問題につきまして大臣に質問さしていただきました。で私どもはあの富里村が、農家が千五百軒もあり、また二千戸以上も移転しなければならない状態にかんがみて、富里の決定はもちろん反対ではありますけれども、この十二月、一月ごろ、もう少し県側が提示した四条件というようなものに対して、積極的に取り組んで、すみやかに千葉県と話し合うことによって、もう少し話し合いがスムーズにいったのではないかということも考えられるわけであります。それはいままでの推移ではございますが、どうしてそのように、特に去年の十二月、一月ごろからもう少し積極的に取り組まなければならないはずであるのにおそくなってしまったのか、それが一点と、もう一点は、最近運輸大臣が、たしか六日の日に大蔵大臣と会われて、そうして用地買収価格の問題について協議されたということを聞いておりますけれども、どういう話し合いになっているのか、その二点を大臣にお尋ねしたい。
  75. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 新空港の予定候補地を富里に決定いたします過程につきましては、いろいろ地元の県当局等にも不満な点等があるいはあったかと思いますが、いろいろこの新空港の予定地をきめますということにつきましては、非常に諸般にわたってやはり複雑な問題点がありますので、政府としてはできるだけのことはいたしたつもりでございますが、やはり地元としては満足のいかないような点があったので、その点は遺憾には思っておりますが、事務的には向こうも、県のほうも係の人ができておりまして、航空局の中の係の間には常時連絡はいたしておったような事情でございます。そういう過程をたどって内定いたしましたので、その点については地元の知事さんあたりにもいろいろ不十分な点等があったと思いますが、政府といたしましては、できるだけのことはやったつもりでございますけれども、やはり非常に複雑な課題の中できめていくのでございますから、今日のようなところまできておると御了解願いたいと思います。  それから買い上げします価格の点につきましては、大蔵省のほうといろいろ具体的にも打ち合わせておる段階でございまして、私としては、やはり地元の人たちの納得のいく線で補償価格はきめていきたいという考え方について、大蔵省といま相談をしておる途中でございます。
  76. 多田省吾

    ○多田省吾君 霞ケ浦案とそれから木更津案とこの二案があり、航空審議会でも審議されて富里にきまったわけでありますけれども、富里の反対運動は非常に強い。そうなりますと、当然また霞ケ浦、木更津案を再考しなければならなくなると考えます。で、いままでも霞ケ浦はヘドロ層があるとか、あるいは湖の水面が上昇するためにその予防措置を講じなければいけないとか、そういういろいろな問題があるわけでございますけれども、もう少し北のほうに移せばヘドロ層が浅くなるというようなことも聞いておりますが、霞ケ浦が不適であるという決定的な理由は一体どうなんでありましょう。
  77. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 新東京国際空港の候補地につきましては、御指摘のように、航空審議会の御答申をいただいておるわけでございますが、候補地を具体的に決定するための関係閣僚懇談会におきまして、具体的に、かつ、詳細な調査をいたしまして、特に御指摘の霞ケ浦につきましては、土木技術的な観点からの問題の解明に当たったわけでございます。  で、その結果といたしまして、霞ケ浦につきましては、治水、利水対策上難点があること、埋め立て工事の実施に伴う湖水の塩分の増加の問題、あるいは汚濁等の水質管理上の問題があること、その他工事工程、工事費について難点があること等が霞ケ浦の欠点としてあげられたわけでございます。また、区域の面からいたしましても、自衛隊百里基地と航空管制上両立しないという問題がありましたために、結局、内定の段階におきまして候補地として適当ではないという御判断が出たわけであります。
  78. 多田省吾

    ○多田省吾君 百里基地の問題は、まあ自衛隊の問題であり国内問題でありますから、アメリカ軍の基地とも関係ありませんし、それは話し合い可能性もありますし………。結局、建設費用の問題——最初、この新東京国際空港の建設の当初の予算はいかほどであり、また、霞ケ浦にするとすればいかほどになりますかどうか。
  79. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 霞ケ浦につきましての御質疑かとも思いますが、当初、霞ケ浦について一応見積もりましたのは概算二千五百億程度でございます。その後、調査の結果約千億の増加を見込まなければならないということになりましたので、概算三千五百億というのが調査の結論でございます。
  80. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは木更津案が決定的にまずい点は、簡単に言えばどういうことですか。
  81. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 木更津につきましては、主として航空管制及び用地造成技術上の問題について検討をいたしたわけでございます。航空管制上の問題点は、羽田との調整及び航空路青14——ブル——・フォーティーンと言っておりますが、これとの関係でございまして、検討の結果、木更津に新空港を設置した場合、羽田空港と両立がしない。また、ブルー・フォーティーンとの関係から、新空港自体の使用効率が四分の三程度に低下するということが明らかとなったわけでございます。  なお、用地造成に関する検討につきまして、運輸省、建設省、千葉県により行なわれました地質調査の資料、地形図、海図等によって行なったわけですが、その結果、埋め立て工事の規模、水深等から考えて、工事施行上も重大な難点があるということが明らかになった次第でございます。
  82. 多田省吾

    ○多田省吾君 その問題点の中で航空管制の問題でございますが、この前、本委員会で防衛庁長官に聞きましたところが、羽田と木更津の空港の間に九キロ以上距離があれば航空管制上は差しつかえない、実際は十一キロ以上の距離がある予定であるから、航空管制上は問題はないだろう、という御答弁だったわけでございますが、その点はどうなんですか。
  83. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 私のほうで管制の専門家に検討をさせました結論を申し上げますと、御承知のように、羽田空港に着陸する航空機はすべて木更津の上空を経由しておるわけでございます。したがいまして、木更津沖に新空港をつくるということになりますれば、新空港のいわゆる、木更津における新空港への進入、出発経路と、それから木更津を経由して羽田空港への進入、出発経路とが互いに交錯をいたしまして、両空港の同時使用は不可能であるということが管制技術上の検討の結果の結論でございまして、いま御指摘の防衛庁等に御照合されました距離との話がございましたが、御承知のように、羽田出入の航空機が一応、航空路として木更津を通るというこの観点からして、両方両立することはむずかしい、また、羽田空港と木更津沖新空港とも進入する航空機の待機空域をお互いに重複することなく設定することができない。したがいまして、木更津周辺において新空港の位置あるいは方向を変更しても結果は同じである。一番問題でありますいわゆる航空保安上の見地からいきまして、進入、出発経路がダブることや、待機空域がとれないということは決定的な欠点であるというふうにわれわれは管制の専門家の結論から承知しておるわけでございます。
  84. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、そういったことは運輸委員会でも御答弁になっておられるようでありますし、心得ておりますけれども、それでは木更津の上空を通らないように——羽田空港に行くときに木更津上空を通らないようにすれば問題がないのじゃないかと思われますけれども、その空路を変更すれば可能性は出てくるわけですか。仮定の問題ではありますけれども。
  85. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 御承知のように、関東地域におきましては、現実に羽田あるいは横田等の空港の配置がございますので、それを根本的に、航空路を全部変更するということは、事実問題として非常な困難があります。したがいまして、非常な迂回経路を飛ぶというようなことをかりに考えられないかという問題がございますが、種々それらの点を検討の結果、われわれとしては、そういうような方法をとることはむずかしいという答えを出しておるわけでございます。
  86. 多田省吾

    ○多田省吾君 前からそういうことがわかっていながら、では、どうして昨年……これは管轄が違うかもしれませんけれども、ことしになりましてからも予算委員会で総理大臣が、木更津案ももう一考してみたいとか、あるいは自民党の川島副総裁等も木更津案やあるいは霞ケ浦案を再考したいということをおっしゃっているわけでありますけれども、総理大臣や副総裁はこういったことは御存じの上で発言なされているのか。こういったことは十分総理大臣はじめ各閣僚間で懇談されておられるのかどうか、大臣にお尋ねしたいと思います。
  87. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 新空港の問題は逐次相談をしながらやっているわけです。
  88. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ新東京国際空港の問題は国家全体にかかわる、国民全体にかかわる重大な問題だと思うんです。で、また地元の大反対等もあり、無条件反対という声も非常に強いわけです。それを政府当局では何とか説得しながら富里を進めていきたい、そうおっしゃっておられるわけでございますけれども、こういった重大な問題に対して総理大臣あるいは運輸大臣あるいは与党である自民党の人たち、副総裁等のお話がいつもばらばらで食い違っていると、確固とした方策が、方針が立っていないように見受けられますけれども、これは非常にまずいと思うんです。それからもう一つは、すでに昨年から千葉県からの四つの条件について政府当局、運輸省に対してその四つの条件に対していろいろ答えを迫られているのに対して、まだはっきりした答えが出ていないように見受けられますけれども、その点に関してはどのように進めておられるのか、この点、二点お願いしたいと思います。大臣にお願いしたいと思います。
  89. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 千葉県から要請されました四つの項目といいますのは、第一は代替地の問題、それから第二は用地等の補償価格の問題、それから第三は騒音対策、転業の場合のいろいろ補償に対する案等でございましたが、代替地の問題も大体およそ見当がつきましたし、さらに騒音対策等はこれは自衛隊等で使っております航空機等と同じような線でやっていきますのでございまして、その点の問題については大体地元の要請がいれられるような答えは出ておるわけでございます。転職の場合等はその方々のやはり転職後の生活の安定という線がございますので、そういう点をあらゆる角度から補償していくといった行き方をとりたい。それから補償価格の問題でございますが、これは土地、土地によってかなり違いもありますし、畑とか山とか、あるいは宅地とかいろいろ地目の違いによって価格も違いますし、いまその点については大体大蔵省といろいろ折衝して詰めておる過程でございます。
  90. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、いま航空機が川崎臨海工業地帯の上空を非常にたくさん飛行しております。この前も臨港消防署の千鳥町出張所の調査によりますと、川崎臨海石油コンビナート地帯の上空を飛行して羽田空港のB滑走路に離着陸する国内線航空機は一日百機以上にのぼっているということは、これは前の調査でありますが、言われておるわけであります。もし二月から続いたような航空事故が川崎臨海工業地帯の中で起こるとすればこれは大惨事になると思われるわけです。それで、したがって、航路変更の措置を早急にとられたいという請願も多く出ておりますし、この川崎上空の飛行問題に対して運輸省当局はどういう措置をとられておりますかどうか、お聞きしたいと思います。
  91. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 川崎地域の上空の飛行につきましては、三月十五日付をもちまして、東京国際空港管制圏内の川崎石油コンビナート地域上空における低視程進入及び低高度の飛行訓練の飛行を禁止する、いわゆるNOTAMと申しておりますが、この禁止通達を出しまして、現在これによってその飛行の規制をいたしております。
  92. 多田省吾

    ○多田省吾君 その結果、その措置を講ずる前と講じたあとでは大体飛行状態にどのような差が見られますか。そうして安全状態はどのように変わってきておりますか、その点をお伺いいたします。
  93. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) この結果、ただいまNOTAMの実施は確実になされておるという報告をわれわれとしては聞いております。
  94. 多田省吾

    ○多田省吾君 午前中も質疑がなされましたけれども、私も航空編成の問題で二、三お尋ねをしたいのでございますが、昨年の航空審議会答申では、国際一社、国内二社の案、それから協調化と、運賃プール制の問題が出たわけでありますけれども、また、ことしになって航空事故が引き続いて、それで石坂経団連会長植村会長あっせんを願われたようでございますが、そのあっせん案ですか、意見書ですか、その内容を見ますと、石坂会長とそれから植村会長のお二人の案も違っておるらしく思われまして、大統合案とか、あるいは国際一社・国内一社あるいは国際一社・国内二社の三案のどれにするとか、あるいは将来は大合同したいとかいう意見書が出ておるのでございます。で私がお尋ねしたいのは、運輸省当局にしっかりした政策、長期ビジョンがないために、そういった幾ら審議会答申を求められても、また、財界の方に意見書を求められても、やはり財界と業者とまたその将来の予想というものは相当食い違いを示しておりますし、なかなか業界の圧力も強くて、五社のいろいろな思惑もあってきっちりしたものにまとまるのはむずかしいのじゃないか。結局ほんとうに運輸省当局のしっかりした長期ビジョンが必要じゃないか。最近も運輸省航空行政は、行政はあるけれども政策がないと、かように言われておるおりでもありますし、また、外国の例を見ましても相当集約化が行なわれておるような傾向もあるわけでございます。運輸大臣として、この航空編成案に対して、大臣としてどのようなお考えをお持ちであるか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  95. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 昨年末に航空審議会から出されました答申の線を尊重して、航空編成をやりたいと考えておりました過程に、引き続いて大きな航空事故が起こりましたが、そういう経過がありまして再編成というものを今日急いでおるわけでございますが、大体日本航空企業というものが、それぞれ民間企業でございますから、大体運輸省として一つ方向というものをもって指導はいたしておるのでございますが、企業それぞれのやはり立場等もありまして、種々のむずかしさもやはり出てまいる。現在の段階ではきょう午前中も申し上げましたように、基本的には航空審議会答申の線を尊重して、そうして企業者自体でひとつ話し合いを進めて集約化をはかってもらいたいということで、ことしの二月十一日に、各企業責任者を呼びまして、大体の方向は申し上げて、その線で自主的にやっていただきたいということを要請したのであります。その際に伺いましたのは、それぞれの企業はやはり利害関係が必ずしも一致しないものもありますから、相当調整を要するものもあると考えなければなりませんので、その調整役は、政府が入るよりも民間の人たちあっせんをしていただいたほうがいいのではないかという考え方に立ちまして、経団連の石坂会長植村会長にそのお世話役をお願いして、今日進めておるという状態でございます。
  96. 多田省吾

    ○多田省吾君 外国の状態を見ましても、ルフトハンザですか、西ドイツではルフトハンザ一社でございます。イタリアではアリタリア一社、SASのごときはデンマーク、ノルウェー、スウェーデンの三国と共同で一社、イギリスの例を見ましてもBAが国内と近距離、それからBOACが国際近距離と国際長距離と、そのように、大体アメリカ等を除いた外国の例を見ましても相当集約化が進んで、また、政府の援助も相当強いように見えるわけでございます。どうしても鉄道とかあるいは海運等から見ますと、日本航空行政というものは非常におくれておりますし、この際大きな事故も起こったことでありますし、また、航空審議会答申あるいは石坂植村両氏の意見書というものも出尽くした今日、どうしても業界の五社の思惑があってなかなか意見がまとまらないというような姿が見られるわけです。それをそのまま業界の五社間の調整がつくまで見送られるつもりなのか、それとも運輸当局としてこの際、たとえば私なんか考えましても、まあ当初は国際一社・国内三社またはもう少したてば国際一社・国内一社というぐあいに集約化が進んでいけば問題ないんじゃないか。運輸当局がここでしっかりと腹をきめて、日本航空行政のために一つの長期のビジョンを打ち出されたらいいんじゃないか、そのように考えるわけです。  それからもう一点は、この際二つの審議会答申意見書が出ましたけれども、なかなかまとまらない、国内航空の援助策等も考えながら政府当局が総理大臣のもとで諮問機関を設けて、もっと強力な答申をこの際願うようにしたらいいんじゃないかというようないろいろの案も出ておるわけでありますけれども、大臣として一体今後具体的にどういう方向で進まれるのかお答え願いたいと思います。
  97. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空編成方向はいま多田委員が仰せられたような方向で、大体運輸省としても考えておるわけでございます。それぞれの企業はやはり企業立場がありまして、なかなか簡単に一本にというようなこともすぐにはむずかしいというものがやはりあるわけであります。そこで運輸省としましては、国内幹線運航一体化をはかる、これは現在の幹線を飛んでおります企業運航一体化して、そこで過当競争等の弊害を起こさないようにする、あるいは整備関係一体化して、どの航空企業の飛行機も利用者の立場から見て十分に信頼の置ける整備が行なわれるというような体制を整える。あるいは共同切符というようなものを出して、一つの切符でどの企業の飛行機にも乗れるというような、そういうふうに運営の面で一体化をはかりながらやっておるうちに、自然に企業集約化されていくという機運も生まれてくる。それから集約化して一本とか二本にするということのねらいをそういうことで実現さしていこう、こういうことでいまそれぞれその方向で進めておるわけでございます。これは私は各社とも納得していただける形、かように信じております。ただ一本という線に対する、国内一社ということに対しましては、一つ考え方として一本になると官僚統制ということになって、民営の持っておるよさが殺されるというような考え方の上に立ってのやはり反対意見もありますので、そういうのをやはりいますぐ政府で無理にやろうとしましてもできることではございませんので、いわゆる運航協調体制を整えてやっておるうちにそういう問題も解決がついていく、こういう考え方に立っていま集約化といいますか、再編成方向を進めておるわけでございます。
  98. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほども御質問がありまして、重複するようでございますけれども、国際空路のいま新設交渉が非常に盛んでございますけれども、その問題で一問だけお願いしたいのですが、日ソ間の共同運航の問題もあります。それからパキスタン航空中国経由東京乗り入れのこともあるようです。また、先ほどはフランス上海乗り入れ、また、日本に対する上海−東京間の空路の新設要求、そういったいろいろな要求があるようでございますが、運輸当局としまして、そういった国際空路の新設競争に対する具体策はどのように進めておられるか、その基本的な構想についてお尋ねしたいと思います。
  99. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) わが国国際航空の伸長をはかる、これによって貿易外収支の改善をはかるということは基本的な考え方でございまして、それがためにはまず航空協定を二国間協定でございますので、関係の国との締結をはかる必要が御指摘のようにあるわけでございます。昨年におきましては御承知のように、日米間の航空協定の改定をしていただいたわけでございますが、本年におきましては、日ソの航空協定の締結をいたしまして、日ソ間の航空路をことしの夏以降開設をする運びになっておるわけでございます。われわれといたしましては、さらに東南アジア地域並びに将来南米あるいはアフリカ地域というようなふうに逐次この空路の伸長をはかる必要があるわけでございますが、それにつきましても、先ほど御指摘のように、わが国日本航空がその能力を十分に伸ばしていかなければなりませんので、その能力の伸長もはかりながら、逐次協定の締結を促進したい。なお同時に、従来締結しております協定の付表改定を行ないまして、便数の増加等も逐次はかっていく必要がある。南回りのパキスタンとわが国との関係についても近く交渉を始める予定にいたしておりますので、それらの交渉を通じてわが国定期航空運送事業内容の改善をはかってまいりたいと考えておる次第でございます。
  100. 多田省吾

    ○多田省吾君 フランスから、もし上海から東京への乗り入れの問題が要求された場合どうなさるか。それからこちらから中国に対する上海あるいは北京等の乗り入れをこれからどのように促進していくか、その具体策を簡単にお答え願いたい。
  101. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 日本フランスとの関係は、午前中御説明申し上げましたように、   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 すでに協定を締結して南回り便を相互実施しておるわけでございます。ただ中国本土を経由するかどうかという点につきましては、これもけさほど御説明しましたように、まだ実はその条件になっておりませんので、われわれとしては、逐次事態の推移を見ながら慎重に対処していくという態度をとっているわけでございます。したがいまして、フランス中国本土経由の基礎となる日中間航空協定あるいはこれにかわる民間の商務協定等につきましてもまだわがほうからこれを積極的に取り上げて実施に移すというような段階にはなっていないというふうに承知いたしております。
  102. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、本法案で港湾審議会の所掌事務の改正についての案が出されております。その問題で二、三お尋ねしたいのでございますが、港湾審議会の所掌事務の改正の問題につきまして、第一点は、本問題に関する重要事項について昭和四十三年三月三十一日までの二年間に限り調査審議することにする、この二年間に限った理由。それからもう一点は、具体的な港湾運送事業の合理化はどうなのか、その二点をお尋ねしたい。
  103. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) これを二年間に限りましたのは、御承知のように、最近におきましては、港湾の輸送量というものがふえてまいっておりまして、近代化というものが非常に急がれておるわけでございます。一方、港湾労働法の施行というものもこの七月から全面的に行なわれることになっております。これと平仄を合わす上からも近代化が急がれておる、こういうことから二年というものを限ったわけでございます。  なお後段の点でございますが、港湾運送事業の近代化につきましては、昭和三十九年の三月三日に内閣に置かれました港湾労働等対策審議会答申がございまして、この中で港湾運送事業の近代化というものを業の集約と一貫作業体制強化という点において答申されておるわけでございまして、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 これを実施していくために港湾運送事業法の一部改正によりまして免許基準を引き上げ、また、一貫体制強化するということを盛りまして、これは御審議を願っておる段階でございますが、実際の集約というものを具体的にどのように行なっていくか、一つの港におきまして適正規模というものがどういうものであるか、こういうようなことを具体的に御審議願って、集約というものの方向強化していきたいということが一点、それから料金につきましても答申の中で適正な料金体系というものを要望しておるわけでございまして、この料金制度についての改善策、さらには埠頭の効率的運営というものについての具体的方策、こういうものをこの審議会審議していただきたいと、かように考えておるわけでございます。
  104. 多田省吾

    ○多田省吾君 港湾運送事業の合理化、近代化のために、いまも港湾運送事業法の一部を改正する法律案というものが提出されておりますけれども、この中で一点お尋ねしたいんですが、免許基準を整備する、免許の基準をいわばきつくするようにしたいという御意向のようでありますけれども、それがいままでの既存の業者に適用されないで、新しく申請される業者にのみ適用されるということになりますと、結局免許基準の整備の意味が著しく薄れるような感じでございますけれども、どうして既存業者に適用されないのか、その点をお尋ねしたい。
  105. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 港湾運送事業法におきまして、免許制度というものを取り入れられましたのが昭和三十四年の改正からでございます。この昭和三十四年に免許制度というものに切りかえられましてから、既存業者の免許切りかえの終了が実は昭和四十年の六月までかかっておったというように、非常に多数の店社がございまして、多数の免許種類もございまして、これを軌道に乗せるのに昭和四十年までかかった、こういう実情でございます。それまでの届出制だった業者の数も一応整理されたわけでございますが、先ほど申し上げましたわれわれが三・三答申と呼んでおります港湾労働等対策審議会答申に基づきましてさらに集約化ということが強調されておりますので、一方においては新しく免許を受ける者については基準を引き上げる、さらに既存の業者につきましては免許基準の引き上げということではなくて、十六条にございますように、直営率を高めるということ、また下請について制限をするということ、こういうことによっておのずから業の規模というものを大きくしていきたい、また、その具体策については、先ほど御指摘がございました港湾審議会の中の港湾運送部会というものの答申を尊重してやっていきたい、こういうように考えておるわけでございます。
  106. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後にもう一点お伺いしたいんですが、運輸省では四十一年度における海運の国際収支の見通しというものをこの前発表されたようでありますが、四十年度におきましても、海運の国際収支というものは外航船を非常に大量に建造したにもかかわらず、相当大きな赤字になっておりまして、本年度も改善を見込んでいながら相当赤字が出そうだという見通しでございますけれども、それに対する対策、それからどうしてそうなったのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  107. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) お答え申し上げます。  海運関係国際収支の改善につきましては、現在は廃止になっておりますが、さきに制定されました中期経済計画によりまして、大体三十八年度の国際収支の赤字をこれ以上悪化しないということで、三十九年から四年間に七百四十三万トンの船を建造して、四十三年度も大体三十八年度と同じ赤字にとどめようということで計画を進めてまいったわけでございます。で、船の建造のほうも順調に進んでおりますが、貿易の伸びが当時予想いたしましたよりも輸出入の量が多くなったということが一つ、それからいま一つは、昭和四十年度におきまして、世界的に海上運賃が諸般の情勢から非常に高騰いたしまして、そのために外船に対する支払いが予想よりも多くなったということが、四十年度において海運関係国際収支の赤字が予想より若干悪くなった原因でございます。これは四十一年度、四十二年度、目標年次の四十三年度には予定したとおりのバランスにとどまるであろう、このように見ております。
  108. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いま多田さんがいろいろ質問されておられましたが、私も港湾審議会のことについてちょっと一点質問さしていただきたいと思います。  今度、港湾審議会に新しく運送部会を設置されるようでございまして、いままでの計画部会、管理部会、これと三部会で今度は審議に当たるということでございますけれども、この新設の運送部会には当然港湾の輸送に直接の関係のある労働者代表を含むべきであると考えますが、いかがでございますか。
  109. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 新しくできます港湾運送合理化部会には、港湾労働者の代表も委員になっていただきたいと、かように考えております。
  110. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その際、港湾労働者のほうはもちろんでございますけれども、船舶の運航に従事する海員側の代表も加えなければ私は意味がないと思うのですが、いかがですか。
  111. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 港湾運送部会におきまして、現在委員として考えておりますものは港湾運送事業者の代表でございます。これは御承知のように、一般港湾運送事業者、それから船内荷役事業者、はしけ運送事業者、沿岸運送事業者というようにいろいろな専門業者がございますので、それらの代表と、全体を一まとめにいたしまして協会の代表五名を考えております。それから船舶運航事業者、これは船主でございますが、これから二名、それから荷主といたしまして製造業者と貿易関係者からおのおの二名、次に港湾労働者の代表として二名、それから港湾管理者が二名、学識経験者が二名、関係行政機関といたしましては、運輸、大蔵、通産、労働各一名、こういう内容でやっていきたいと考えておりまして、いまお話しがございましたのは船舶の運航でございますか。
  112. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 船舶の運航に従事しておる海員側ですね。
  113. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 実はこの港湾運送部会のやります内容が、主として港湾運送事業の内容をどのように集約し、責任体制あるものに持っていこうかということでございますので、船のほうの海員組合の方の代表者というものは考えておりません。
  114. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 では次に、今度、本船の造船業の近代化について小型造船業法案というのが出ておりますね。そのことに対して一つ御質問したいと思うのですが、いままで何といいますか、零細造船業といいますか、そういった人たちがずいぶんほったらかされていたと思うのですけれども、今度この法案で二十トン以上、五百トンまでの木船の製造あるいは修繕を行なう業者が相当今度は潤わされるのじゃないかと思いますが、それについてこの中で、この法律を適用するのに二年間猶予することとして、その間に十分な助成措置または指導を講ずる所存でありますということをこの間おっしゃられたのです。それを具体的に説明していただきたいと思います。
  115. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 担当の局長参っておりませんが、今度の新しい提案されております法律の趣旨は、中小の——これは大きな造船は造船法でとらえておるわけでございますが、中小の造船業につきましては法律でとらえておりませんで、それを、特に最近木造船を中心といたしまして需要も減退しておりますし、また、内航海運との関係もございまして、非常に一部疲弊をしつつあるというようなことで、特にこれの集約、あるいは需要の減退のために技術が非常に落ちておるというような点もございまして、そういったものを救済するために一方では届け出をさせまして、秩序立った規制をいたしたいということと、うらはらといたしまして、技術あるいは設備の面につきまして法律で規制をいたしまして、それの条件に合致したものを届け出させるというようなかっこうに持っていったわけでございます。その間のいろいろな助成でございますが、御承知のように、中小企業近代化促進法によります指定業種にもなっております。これに従いまして融資の道を講じて施設を改善するとかあるいは——主任技術者を今度の法律では置くことになっておりますが、これまた相当の技術を要しますので、現在の工員の中から船舶振興会によりまして技術の講習をいたしまして、技術のレベルアップをいたしまして、法律の期待にこたえさせるというような方法を用いまして、この法律の趣旨の実現をはかりたい。したがって、そういった施設の面の猶予期間あるいは主任技術者の養成の関係の猶予期間、この両面から猶予期間を置いたわけでございます。
  116. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 今度は質問が変わりますけれども、タクシーのことについて一つ質問さしていただきたいと思います。大阪、福岡、東京等でタクシーの値上げの申請が相次いで起こってきましたが、政府は、三月二十六日の臨時物価対策閣僚協議会でまず東京のタクシー料金の値上げを認めない方針を決定されましたが、この方針に変わりはございませんか。
  117. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 変わりはございません。
  118. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 業界では、タクシー料金の値上げ申請の理由に、賃金の上昇とかあるいはLPガスの課税とか物価上昇等をあげておりますが、このままでは経営困難におちいると言っておりますが、当局はそれをどのように見ておられますか。
  119. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) タクシー事業につきましても、人件費、燃料費その他の諸物価の高騰によりまして、経営の内容は必ずしも容易ではないわけでございます。しかし、また一方、利用者の運賃負担というようなことも勘案をいたさなければならぬのでございまして、われわれ事務当局といたしましては、運賃の申請があります場合におきましては、会社の収支状況を慎重に検討いたしますと同時に、利用者に与えます影響も考慮いたしまして、所定の手続を経て逐次認可を行なっている次第であります。
  120. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、タクシー業界の今後のあり方を検討すると政府のほうでは言っておられますが、将来のタクシー業界のあり方をどう見ていらっしゃるか、事業免許制をやめて自由競争とか許可制とかにするということでございますが、いかがでございますか。
  121. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 基本的にはいまの制度を、免許制をはずすとかあるいは認可制をやめるとかいうことは考えておりません。
  122. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私の質問、それだけです。
  123. 北村暢

    北村暢君 私は前回の山本委員の中小企業のタクシー業者の増車の問題について、わりあい正確に大臣から御答弁がありましたけれども、従来の陸運局のとった態度というものについてだいぶ突っ込んだ質問がございましたけれども、一点だけ山本君の質問の確認だけをさしていただきたいと思います。大臣の前回の答弁について自動車局長は、大臣の答弁があったにかかわらず、陸運局長意向を聞いて善処するような答弁がありましたけれども、これは大臣の答弁を答弁として、それによって年内というが、十二月ということではなしに、早急にその措置行政指導としてやりたい、こういうことで私は理解をしたいと思うのですが、この点について大臣の再度の御答弁をお願いしまして確かめておきたい、このように思います。御答弁を願いたい。
  124. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 大臣のお話の前に、私が実は昨日大阪の陸運局長に電話しましたが、ちょっとおりませんので、自動車部長に電話をいたしました結果を申し上げます。現在すでに増車を前提とした各事業所の監査を実施中でございまして、これが五月、六月、二カ月程度はかかるそうでございます。その結果を待って、大体暑いころにはできるのではないかということを申しておりますので、その点をお伝えいたしておきます。
  125. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 大阪は、御承知のように、万国博を控えておりますので、万国博のころになりますと、いまの状態ではやはりタクシーの不足を来たすことになると思いますから、それを先で一気にということをせずに、逐次増車をして間に合うようにしたい。その初年度第一期を今年を初めとしたいということで、できるだけ早くということで現在やっている次第でございます。いま官房長が言ったような状態でございますから、そういうことで着々と作業は進めておることを御了解願いたいと思います。
  126. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  127. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は日本社会党を代表して、本法律案反対をいたします。本法律案内容について、われわれもこれに賛意を表する点がありますが、ただ、航空交通の安全を考えた場合に、本法律案内容では、その安全の確保が不十分であると考えるわけであります。最近の連続せる大きな航空事故は、国民に航空交通の安全の重要性をあらためて認識させているわけであります。しかるに、政府航空の安全対策に至っては、はなはだ寒心にたえないものがあるわけであります。今回航空管制の空域を三分いたしまして、新たに札幌及び福岡に航空交通管制部が設置されることになっておりますが、それ自体は航空交通の増大に対処するものであって、その必要はこれを認めるものであります。しかしながら、これに伴う施設、定員は十分整備されているものとは考えられないのであります。また、四十一年度における航空関係の定員についても約百名程度の増員を行なっているのでありますが、これらは空港あるいは施設の新設に伴う最小限度の当然増でありまして、航空安全のための適切な増員は何ら考慮されていないのであります。長足な進歩を見せる航空事業に対処してその安全の確保をはかることは、航空行政において最も緊要なことでありますが、そのための施設、定員等が不十分では、その安全は期し得べくもないわけであります。航空保安要員の充実については、審査の過程において約百三十名の凍結欠員を解除してこれに当てたい旨の大臣の言明がありましたけれども、これはさしあたり実施すべき当然の措置であって、航空安全のための適切な定員の確保航空行政の組織等については、抜本的措置が必要であることは申すまでもないわけであります。私は、本法律案においてこのような航空安全対策の裏づけとなる改正が十分行なわれていないという、こういう見地に立って、遺憾ながら本法律案反対するものであります。
  128. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  129. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 挙手多数と認めます。よって、本案は、多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  八田君から発言を求められておりますので、これを許します。
  130. 八田一朗

    八田一朗君 私はこの際、ただいま可決されました運輸省設置法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社各党共同提案にかかる次の附帯決議案を提出いたしたいと存じます。附帯決議案を朗読いたします。    運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近の度重なる航空事故の発生にかんがみ、政府は、この際航空保安の万全を期すため、航空保安要員については、すみやかに凍結欠員の解除等の措置を講じてその充実を図るとともに、施設、組織等についても再検討を加え、事故防止のため最善を尽くすべきである。   右決議する。  航空交通については、その安全ということが最も重要であることは言うまでもありません。最近のたび重なる大きな航空事故を見ても、その感を一そう深くするものであります。航空交通の安全を確保するための対策につきましては、本法案の審査におきまして熱心な質疑が重ねられたのでありますが、航空交通の増大、航空機の大型化、高速化等、航空事業の急速な進展に対処して航空保安の万全を期するためには、すみやかに航空保安要員の充実をはかるとともに、航空施設、航空行政の組織等についても再検討を加え、諸施策に万遺憾なきを期するの要きわめて肝要なるものがあることを痛感する次第であります。したがって、これらに関する点の善処方を強く政府に要望するものであります。  以上が本決議案を提出する理由であります。
  131. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 別に御発言もないようでございますから、八田君提出の決議案の採決を行ないます。八田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  132. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 総員挙手と認めます。よって、八田君提出の決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し中村運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。中村運輸大臣
  133. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ただいま決議されました附帯決議につきましては、航空事故防止の観点からその趣旨を尊重いたしまして、全力を尽くしてまいる所存でございます。
  134. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  136. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。     —————————————
  137. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、行政相談委員法案を議題といたします。本案の提案理由説明は四月十九日に聴取いたしております。それでは、これより質疑に入ります。なお、関係当局の御出席は、福田行政管理庁長官、稲木行政監察局長、信原行政監察審議官、以上の方々でございます。御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  138. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、本法律案に関連して二、三お伺いしておきたいと思います。まず、順序としてお伺いいたしたいのは、この提案理由説明を見ますると、行政相談委員を名誉職的な、そして権威高いものとして社会的地位を明確にする云々、こういう提案理由説明があるわけです。そこでお伺いするわけですが、このことを規定する該当の条文は一体どれなのかということ、これをひとつ具体的に御説明いただきたい。
  139. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 御案内のとおり、従来の行政相談委員あり方は訓令によるわけでございます。それでは、人権擁護委員あるいは民生委員等の方々もすでに法律によって権威づけられている、しかも、非常な行政改善につきまして功績をあげられ、また非常に御苦労をかけております行政委員の各位に対し、この際訓令によらない法律に基づく立場で権威づけたい、名誉職としての本来の姿を十分発揮いたしたいというのが私どもの考え方でございます。
  140. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま私がお伺いしたのは、名誉職的な権威高いものとして社会的地位を明確にする云々、こういう提案理由説明があるわけです。そこで、このことを規定するのは一体該当の条文はどこなのかということをお尋ねした。
  141. 稲木進

    政府委員(稲木進君) この法案の中には直接的に名誉職とするといった条文は書いてございません。ただ、この法案の全体を通じてそういう趣旨のものであるということが大体察知できるというふうに考えているわけでございます。その第一は、第二条におきまして、相談委員になるべき人はどういう人がなるのかということを書いてあるわけでございます。すなわち、「社会的信望があり、かつ、行政運営の改善について理解と熱意を有する者」というふうなことの裏には、いま申し上げましたように、そういったふうなことを一応まあ裏で考えながら、そういうふうな案文を書いている。もう一つの点は、「委員は、その業務に関して、国から報酬を受けない。」この趣旨は、委員は行政管理庁の業務の一部を委託を受けてやっていたわけでございますが、そういう限りにおきましては、公務に従事するという形になるわけでございます。公務に従事するということになりますれば、一般的には当然に国家公務員、もちろん任務の性質からして常勤ではございません、非常勤でございますが、非常勤の国家公務員になるというふうに一般的には解釈されるわけでございます。しかし、この場合におきましては国家公務員法の適用を受けない。したがって、またその業務をやったということに対して直接国から報酬を受けるという性格のものではない。普通の場合でありますれば、公務に従事すれば当然にそれに対する給与を受けるということが一般的な場合でございますが、この点は、この委員は国から報酬は受けないんだということを規定しておるわけでございます。そういうようなことを総合して、条文には直接的には名誉職という規定はございませんけれども、われわれは一応相談委員は名誉職的な地位に立つ人であるというふうに考えておるわけでございます。
  142. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、戦前ならば話は別ですが、いまごろの時代に名誉職的な委員の制度を設けて国が委嘱するというのはどういうものか、どうも納得しがたい節があるわけです。そこでお伺いするわけですが、こういうような例が最近に行なわれているものがあるかどうかということ、もし他にもそういう例があるあるならば、ひとつ具体的にお示しいただきたいと思います。
  143. 稲木進

    政府委員(稲木進君) たとえて申し上げますと、人権擁護委員という制度がございますが、人権擁護委員の場合におきましても、業務は法律に定められた仕事を実施するわけでありまして、そういう意味合いにおきましては、当然に国家公務員の身分を持つというような解釈ができるわけでございますけれども、この法律におきましても、人権擁護委員については国家公務員法の適用はしないというふうな規定があったと思います。  それから、民主委員につきましても、同じような公務に従事するわけでございますけれども、やはり国家公務員ではないというふうに解釈されておるわけでございます。それで、やはりこうした委員につきましては、一般的にそれぞれの法律で名誉職であるということははっきりうたってございませんけれども、名誉職的な地位にあるというふうに一般に理解されていると考えております。
  144. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも、この名誉職的ということについては、なお論議があると思うのですけれども、なお、それと並んで、「権威高いもの」という表現が使われておるわけです。そこで、「権威高いもの」とは具体的にはどういうことをさすのか、この点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  145. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 権威の高い委員というふうに、提案理由説明で長官から申し上げたことは、従来の行政相談委員は行政管理庁長官の訓令に基づいて設置いたしておったわけでございます。それを今回行政相談委員法を制定していただいて、その法律に基づいて業務を担当していただくということになりますと、従前の訓令に基づいて委嘱した場合に比べて、はるかに社会的にも、また一般対外的に、いろいろほかの行政機関との関係におきましても、非常にその地位が高く評価されるというふうな認識のもとに、「権威あるもの」というふうにわれわれは考えておるのでございます。
  146. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 従来の委員に比較して、この法案が通れば法律による委員になる。そういうことはよくわかりますが、そこで、この法律の成立に伴ってできた委員のあるいは職務権限、業務の範囲、こういうもの等について従来のそれと比較してひとつ具体的に御説明いただきたいと思います。
  147. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 従来の委員は、国民からの行政に関する苦情を聞いてもらって、そうして、その苦情の内容を、行政管理庁の出先機関であります管区あるいは地方の行政監察局長のほうに連絡をするということを本務としてやっていただいておったわけでございますが、今回この法案に盛られました相談委員の職務の内容としましては、たとえば軽微な事案あるいは相談委員限りにおいて処理できる、まあ扱うことができるような事案については、一々行政監察局のほうに連絡をしなくても、直ちにこれを処理するというような、権限と申すとおかしいのですが、そういうようなことをやっていただこうということを法律に書いておるわけでございます。たとえば相談を申し出た人からいろいろ事情を聞いて、そうして、それについて相談委員の方々の知識でもっていろいろと、ああしたほうがいいじゃないか、あるいは、その問題はどこそこの役所へ行ってこういうふうな手続をとれば処置できますよといったふうないろいろな助言をするということが一つ、それから、この本人が直接そういうふうにやりにくいというような場合におきましては、相談委員が一々監察局を通じないで、その当該関係のある役所のほうに本人にかわって連絡をしてあげる。そうして、その役所と直接相談委員が話し合って解決をしてもらうというようなことを、この法案には、その職務の内容として書いておるわけでございます。そういう点が非常に従前の委員と違っておる。しかも、そのことが法律上の根拠をもってやっていただける。こういう点に大きな違いがあると思います。
  148. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回のこの法制化の立案過程で、各省から、特に自治省、大蔵省、そのあたりから相当強く反対があったというふうに承っておるわけでございます。そこでお伺いするわけですが、ただ反対があっただけならばいいのですが、その反対があったために、当初の原案からかなり後退したものになってしまったと、そういうふうに承知しておるわけです。その反対されたというその問題点は一体那辺にあったのか、この経緯についてひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  149. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 関係する省は、この行政相談といったふうな性質の仕事でございますので、各省ほとんど全部に関連があるということになるわけでございます。われわれこの法案を立案する際におきましては、それぞれ関係省にいろいろと折衝をし、また意見を述べ合って、そうしてこの法律を立案したわけでございますが、いまお尋ねになられました自治省並びに大蔵省のほうにおきまして、いろいろ意見があって、この案が当初の行管で考えた案よりも相当後退しているのじゃないかというようなお尋ねでございますが、私ども必ずしもそういうふうには考えておらないわけでございます。もちろん、自治省なり大蔵省なりの方面におきましていろいろ意見もありましたが、一応いろいろと折衝をしていく過程におきまして、両者のほうとわれわれのほうの側との意見も大体一致したという点がこの案でございまして、大蔵省等におきましては、特にこういうふうな法制化によって、将来の問題として、たとえば急激な予算の増加というようなこともいろいろと当然に気を使われておるわけでございます。まあ、この問題につきましては、別段大蔵省との間において将来予算のことについてこういう条件というようなものは別段何もございません。ただ、自治省が心配しておりますのは、市町村がこの行政上の問題について、その住民の苦情というようなものには市町村が当然に関心を持っているわけでございます。したがって、その市町村におきましても、住民の苦情についての公聴活動というものには相当力を入れてやっておるわけでございます。問題は、そういうような市町村がやっております公聴活動と、われわれ行政管理庁がやります行政苦情相談というようなものが、何と申しますか、食い違いの起こらないようなふうに運営を考えていかなければならぬ。われわれは、その点もしごくもっともな点であるというように考えております。私ども、まだ法制化が実現していない現在の段階におきましてもその点は常に非常な配慮をいたしておるつもりでございますし、幸いにその点では比較的うまくいっておる、特別なトラブルというような問題はまだ一度もどこでも起こしたことはないというふうなことになっておるわけでございます。ただ、将来の問題としまして、自治省はいま申し上げましたような面における杞憂を持っておるということがありますので、われわれその点についてはそう心配はないということを説明すると同時に、今後もそういうことの起こらないように十分配慮していくつもりであるということで、大体了解を双方につけておるというふうに考えておるわけでございます。
  150. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御説明を承っておると、何もなかったというような印象を受けるわけですが、しかし、当初の原案から相当後退したものになっておるということは、これは事実ではなかろうかと思う。そうだとすると、そこには何か問題点があったに違いないわけですね。しかしながら、いま御説明を承っておると、たんたんとして多少の意見のそごがあった程度だけれども、それは話し合いでみんな両者納得した、至ってスムーズに進んできたような印象を受けるわけです。事実はそうではないでしょう。相当問題があったのじゃなかろうかと思うんです。そういうことを率直にひとつお聞かせいただきたい。それなら申し上げますけれども、私どもこの行政相談委員のこの法案に反対するものではないんです。むしろわれわれは、当委員会で従来から、これは法制化すべきである、むしろわれわれのほうから強く要請を続けてきたわけです、衆参の内閣委員会で。したがって、うっかり答弁すると、これは反対でもされるとやっかいだという、そういう頭で答弁されると、いま御答弁があったようなふうな、問題は至ってスムーズにやってきた、そういう印象を受けるような御答弁になるわけです。そういうことはいささかもわれわれは問題にしないわけです。ただありのままを、審査の経緯ですね、立案過程における経緯をありのまま承りたいと思ったわけです。安心して断りのままを大胆率直に御答弁を聞かせいただきたいと思います。そうでないと、この審議はいささかも進まないことになります。
  151. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 率直に申しまして、確かに大蔵省あるいは自治省から、いろいろ懸念がある、また、疑問も提出されたことは事実であります。たとえば、大蔵省で、税務署に関しても、もしこれが苦情相談委員が税理士的な役割りを演じたときには非常にトラブルが起こるという心配があったようであります。並びに自治省におきましても、地方自治団体に直接関連した行政相談を担当した場合には、地方の自主性立場からいっても困るんじゃないかという心配があったようであります。前者につきましては、ただいま局長から報告説明しましたように、直接税理士的な役割りをすることは不適当である、われわれはやらないということを明確にし、さらに後者の点につきましては、各市町村はすでに行政の処理制度が相当整っております。これを尊重して、むしろ協力の立場にいくたてまえからいけば、われわれは直接地方自治団体の市町村に関する行政苦情はわれわれとしては取り扱わない。ただ、実際問題としてはこれに協力するたてまえから、場合によっては窓口に連絡するとか、あるいは適切な方面を指示するとか、そういういわば連絡、取り次ぎの立場に立つということを明確にしまして、両省とも了解をして、両者この点ならいいんではないかということを言って、現在の提案をし御審議を願っておる法案ができたということは事実でございます。
  152. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 長官の御答弁でややその点が明らかになったわけです。ひとつ今後の御答弁はありのまま大胆率直に御答弁いただきたいと思います。そうすることが審議を進める唯一のゆえんになろうかと思うんです、そういう意味で。大体行管の使命は、行政の民主化とか、あるいは簡素化あるいは迅速化、こういう意味で私ども相当に評価しておるわけです。したがって、特にこの苦情処理についてはそういう感が深いわけです。いろいろの国民にわだかまっておるいわゆる不平不満、苦情、こういうものを行管が特にこういう行政相談委員という制度によってこれを解消していく。地方を回っても相当の成果をあげておることをわれわれは確認しておるわけです。したがって、そのことは各省庁から見ると、何と申しましょうか、ちょっと支障になる存在であろうと思うんですね。解決のために行政相談委員のほうからいろいろむつかしい問題を投げかけられる。しかし、せっかく行管が存在しておって、しかも、こういう苦情処理の行政相談委員というそういう制度がせっかくあるわけですから、そのためにたとえ各省が反対しようとも勇敢にこれを突破して、本来の使命達成のために邁進する、そういう責任があろうかと思うんです、行管の存置を認める以上ですね。そうなくしては行管の存在価値はないと思う。ただ通り一ぺんの、たとえば行政の監察をやって勧告をする、それがそのまま励行されないようでは、監察をやっても意味がないわけです。この行政相談の問題も全く同じことが言えると思うんです。そういう意味から、法制化の立案過程で、最初の、いわゆる当初の原案がおそらくこれは行管の本旨とするものであったと思うんです。それが各省の反対でいささかなりとも退歩、後退したということであれば、これはきわめて遺憾であると指摘せざるを得ないですね。そういう意味でお伺いしておる。前向きの姿勢でお伺いしているわけです。そういうわけなので、こういう原案になっておるわけですから、ひとつそのことで満足せずに、さらに前向きの姿勢でこれを強化改善の方向へひとつ一段と努力が望ましいと思うのです。そのことについてひとつ長官の決意のほどをこの際お伺いしておきたい。
  153. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 行政相談委員の重要な任務につきまして、前々から伊藤委員からはむしろ鞭撻され、また高く評価をせられるいろいろな御説を伺っておりまして、私ども感激しておるわけであります。まことに御指摘のとおりでありまして、いままでの実績を見ましても、昭和三十五年に三派超党派的な提案で設置法の中に所管業務として明記せられ、さらに三十六年から行政相談委員制度が確立いたしまして、わずかな期間でありますが、すでに昨年だけでも取り扱い件数は六万二千件という数にのぼる。内容を見ましても、具体的な国民生活に直結した大きな政治不満、あるいは行政に対しての苦情というものが全国的に取り上げられて、非常に重要な任務を遂行しつつあるわけであります。したがいまして、その業務の範囲なりあるいは程度というものが広くなればなるほど、もちろんその力を出すわけであります。御指摘のような方向において今後もいろいろ検討し、実績を見ながらやってまいりたいと思います。その点は今後とも——おそらくことしは七万件をこすのじゃないかと想像いたしておりますが、毎月専門家も置きましてその内容を整理させ、そしてまた中央並びに地方に対する行政監察とも密接に連絡させながら内容を分析し、研究いたしておりますので、御指摘の点につきましては、十分積極的な考えで検討させていただきたいと思います。
  154. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この苦情相談については、国の委任事務がある関係上、従来は地方公共団体——県とか、市町村に対する苦情相談相当あったわけです。そのことはわれわれも現実について承知しておるのですが、今後これらをどういうふうに取り扱うのか、その点について伺いたい。
  155. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 市町村あるいは府県等のやっております行政についての苦情の処理の問題でございますが、従来われわれのほうで相談委員に扱ってもらっております案件については、国の行政機関がやっておる業務と、市町村等がやっておる業務との区別というものは、別に考えていなかったわけでございます。ただ、従前といえども、府県なり市町村のいわゆる国有事務の問題あるいは法律に基づいてやっておる業務でありましても、いわゆる団体委任の業務というものにつきましては、一応行政管理庁の行政相談業務としてはいわば対象外的な扱いにいたしておるわけでございます。しかし、機関委任事務につきましては、当然に行政相談の案件の対象として考えており、また、そういうふうに処理してまいっておるわけでございます。今後といえども、私どもはその点につきましては同じように考えておるわけでございます。ただ相談委員が扱う場合におきましては、そういうような市町村役場等において処理している業務につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、市町村がそれぞれ公聴活動をやり、また苦情の窓口をそれぞれ設けておる場合が一般でございますので、そういうような市町村の設けている苦情処理、苦情相談の窓口を積極的に活用する。したがって、相談委員のほうにそういう案件が参りました場合におきましては、なるべくそちらのほうに回して、第一次的にはそちらのほうで処理していただく、こういう考えでおるわけでございます。ただ、そちらのほうに回していろいろあっせん処理をやってもらって、なおかつ、申し出人が納得できないような問題につきましては、行政管理庁のほうに連絡をしてもらう、今度は行政監察局としてその扱いをやっていきたいというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  156. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 苦情相談の対象として国の行政機関、それから一部の特殊法人としておるわけですが、政令で定める特殊法人はどの程度の範囲と考えてよろしいのか。
  157. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 今後なお十分に検討したいとは思っておりますが、現在の段階におきまして私どもがとりあえず考えておりますのは、たとえば三公社。これはいわゆる特殊法人の中に入るわけでありますが、特に国鉄、電電の関係の業務、これは国民に非常に密接に関連のある仕事でございますので、これは当然に対象に入るというふうに考えております。そのほか、公団あるいは事業団、あるいは公庫、こういうようなところでやっております業務につきましても、国民生活に関連が相当あるので、これは政令でもって指定してやはりこの中に取り入れていきたいというふうに考えております。
  158. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係で、本日はあと一点だけお伺いして私の質問を終わりたいと思いますが、委員の性格について、先ほど一部御指摘もございましたけれども、なおお伺いしておきたいと思います。従来は非常勤の国家公務員というふうに解釈されておったようですが、今後はその性格をどのように解釈したらよいのかということと、これと同じ性格を持った各種委員等の例が他にもあるかどうか、もしあったとすれば、それはどういうものか、こういうことについてこの際お伺いしておきたいと思うのです。
  159. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 法律上の性格につきましては、ただいま御審議をいただいておりますこの行政相談委員法に書きました相談委員は、これは国家公務員ではないというふうな性格を持っている。それから、そのほかの委員についてのお尋ねでございますが、民生委員、これは相当昔からございますが、これは公務員ではないというふうに一般的には理解されております。それから人権擁護委員、これにつきましては、実はいろいろと議論が分かれているところでございますが、しかし、これには明らかに法律で国家公務員法は適用しないということの規定がございますので、それは国家公務員であるけれども、国家公務員法を適用しないのか、あるいは国家公務員じゃないから当然に国家公務員法が適用がないということを念のために書いたという条文であるのか、これにつきましては実は法律解釈上議論があるところでございますので、私どももいまここで確定したことは申し上げることはできません。しかし、民生委員につきましては、これは有権的に国家公務員あるいは地方公務員にあらずというふうに一般的に承認されているというふうに考えております。
  160. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御発言もないようでございますから、本案につきましては本日はこの程度にいたします。本日は、これにて散会いたします。   午後三時四十二分散会