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説明員(石黒
拓爾君) ただいまの御
質問につきましてお答え申し上げます。労働
災害の防止につきましては、もちろん
災害の態様が非常に多岐広範にわたっておりますので、私どもの
災害対策も非常にいろいろなことをやっておるわけでございますが、御指摘のごとく、
災害の防止、労働
災害は経済的な損害も非常に大きゅうございますけれども、それよりも大きな問題は、とうとい人命を失うということでございまして、人命尊重ということが
災害防止対策の基本でございます。それに対して、最近におきまして特に力を入れております新しい対策を苦干申し上げたいと存じますが、
一つは、
災害防止は事業主の責任でございますけれども、それに対しまして労働者の協力ということを確保する必要があるということで、ことしの初めに
安全衛生規則を
改正いたしまして、事業主側の安全管理者、衛生管理者設置義務の範囲を拡大すると同時に、一定の事業所につきましては、労使合同の
安全衛生委員会を設置することを義務づけており、また、
民間の
方々に、監督署を補助して
災害防止の指導に当たる指導員が、従来いわば第三者的な方、あるいは事業主側のエキスパートにお願いをする場合が多うございましたが、これに労働者側の現場で働いておる経験を積んだ人も指導員にお願いするというような方法で、労働者側の御協力をできるだけ確保いたしたいと思っております。それから
災害が起こりました場合に、従来
災害の原因につきまして事業主側に安全御生規則の違反がございました場合には、これを検察庁に送り、司法処分に付する、これは当然のことでございますが、従来はとかくそのあとから送検をするという、追っかける処分に片寄っておりましたのを、昨年から方針を改めまして、
安全衛生規則に定める安全装置を具備しない機械等を使用していることを発見した場合には、その場において使用停止処分を出しまして、機械に封印をして、危険な機械の使用を禁止するというようなことを積極的にいたしまして、数年前に比べますと十数倍の
件数のそういった予防処分をいたしております。ただ、中小企業なんかにつきましては、安全装置を具備したいけれども金がない。借りようと思っても借りられないというような実情もございますので、本年度から
安全衛生融資というものを、中小企業金融公庫を利用いたしまして大幅に拡大いたしまして、約十五億の資金をもちまして、低利の有利なる
融資を与える。また、その場合の信用保証料の補給をするないしは固定資産税、法人税等の減税をはかるというようなことで、安全装置を具備しやすいようにして、監督の強化と相まちまちして安全対策を推進いたしたい。さらに基本的な問題についての研究その他につきましても、
労働省の附属機関であります産業安全研究所、労働衛生研究所につきまして、数カ年の計画をもちまして、飛躍的な拡充をはかるというようなことを種々
考えてやっておる次第でございます。