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伊藤顕道君 いま
大臣から御
答弁ございましたけれ
ども、将来の重要な問題として十分
検討いたしますと、この
国会で初めて実はお伺いするわけじゃない。本問題については、
歴代の
文部大臣に、こう繰り返し繰り返しお伺いしておる。その
お答えは、いま
中村文部大臣が
お答えになったと同様、大事な問題だから
検討いたします、そうしてここ数年たってしまったわけですね。何ら解決に向かっていない。遅々として進まない。それから、これはお伺いをするまでもなく、こういう
制度はあまり名誉にならない、こういう、
普通一般の人はこんなばかなことがあるものかと言って
ほんとうにしない。
国会議員の中でも、おそらくこういう問題は初めてだという方が相当あった、前の当
委員会でも。ことほどさように、そういうばかげたことが平然として行なわれておる。いまだかつて外国には全くその事例を見ない例であろうと思うのです。それはもう日本は
先進国だと言い得ないですね、こういう面からも。それでしかも
佐藤内閣の基本的な政治の
姿勢は、
人命尊重ということを非常に強調しておるわけです。
人命尊重がどういう具体的な面にあらわれておるかということになると、たとえばいまこの
無給医局員なんか
人命無視のはなはだしいものだと思うのですね。
医療なんかは一もちろん
技術、医薬、あらゆるものが総合して力になるわけですけれ
ども、
患者に
不信感を与えたら、これは
医療上非常にマイナスになると思うのですね。
患者は非常に弱い立場にある。
患者は私の
担当のお
医者さんが
資格のない
先生が
担当しているのだというようなことになると、これはもう非常に
療養上かんばしからざる結果を招来すると思うのですね。そういう点から、しかも、たとえば
大学院の
無給医局員、これはもう
研究のために残っておるのだから
無給だっていいじゃないかという
考え方もございまけれ
ども、他の
国家公務員と全く同様の負担を持って、
患者を朝から夜おそくまでほとんどむだなく
——私も実際について、
実地についてそういうことを何回か行って確認してきたわけです。ほとんど変わらない
勤務状態を持っておるわけです。にもかかわらず、これはもう要約すれば
定員関係です。
定員が足りないので、結局
無給医局員という者を置いておる。しかもその
無給医局員のほうが
国家公務員である有
資格者より多いのです、どこの
病院でも。したがって、その
無給医局員が引き揚げてしまうと、その
病院は
麻痺状態になる。これはもう明らかである。上のほうの学長とかあるいは
学部長とかあるいは
病院長とか副院長とか各医長とか、そういう
方々だけでは
病院は運営されないと思うのですね。実際に
患者を何人か
担当して、それぞれ
療養に当たっておる、たとえばさっき言った二百三十名の方のうちで百名は
資格がある、百三十名は無
資格者、
無給、こういう
無給の百三十名の方が引き揚げると、その
病院はその日から
麻痺状態になる。これはもう明らかである。こういうことで、しかもこんな
制度は世界じゅうどこにもないわけです。ところが、だんだんこれが前向きの
姿勢で年々改まっておる。たとえば一カ年間でこれを解決するというようなことをこちらも期待しておりませんし、大体、五カ年
計画とか六カ年
計画とか
年次計画を立てて、ひとつ年々前向きの
姿勢でやる。いわゆる
無給医局員の数がなくなっておるということであれば了解できるけれ
ども、どうも相当
全国的に万余にわたる
無給医局員を一挙に解決するということは、これは至難でしょう、望むほうが無理です。しかし、
年次計画を立てて、毎年たとえば二千なら二千、そうすると五カ年
計画で一万名の
無給医局員がなくなるわけですね。そういう思い切った抜本的な、いわゆる
対策を講じない限り、なかなかこの問題は解決しないと思うのです。そこで
国会でこのことをお伺いすると、
検討いたしますということでおざなりに終わってしまう。これがいままでの経緯であったわけです。それではならぬと思うのですね。
ほんとうにこの
無給医局員をなくそうというなら、五カ年なら五カ年
年次計画を立てて、的確にその数を積み重ねて初めて解決できるわけであって、
先ほどもお伺いしたように、ほんの微々たる
数字が
先ほど示されたわけです。こういうことではなかなかもって
全国に行き渡らない。
先ほど言った
無給医局員補充の
対策の
定員が
一つの
病院に全部割り当てられてもまだ足りないくらいである。それが
全国にばらまかれるわけですから、もう
ほんとうに焼け石に水という以外にはないわけですね。これはもちろん
中村大臣の全
責任だとは私申し上げない。
中村大臣のときに初めて
無給医局員の
制度ができたわけじゃないですから、
中村文部大臣の
責任だとは決して申し上げませんけれ
ども、
歴代の
文部大臣はまだまだ誠意が足りなかったんではないか、
努力が足りなかったということを
指摘せざるを得ないわけですね。その積み重ねがこういう現在のようなまことに奇々怪々の
制度として現にこれが存置されておるわけです。したがって、長年にわたって積み重ねられてきたものを改革するには、よほど抜本的にやらないとなかなか救済はむずかしかろうと思うのですね。したがって、過去はともあれ、
現実はすでに私はるる申し上げているような現状に置かれておりますから、これを一体どういう
方向で、どういう態度で、どういう腹で解決しようとするか、ただ単なる
検討いたしますだけでは納得しがたいです。この点、
大臣のこれに対する決意のほどをひとつ思い切って示していただきたいと思います。