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1966-03-24 第51回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      柏原 ヤス君     鬼木 勝利君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                  柴田  栄君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 鬼木 勝利君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君    政府委員        防衛庁長官官房        長        海原  治君        経済企画庁長官        官房長      澄田  智君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        経済企画庁総合        計画局長     向坂 正男君        経済企画庁総合        開発局長     鹿野 義夫君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁長官        官房会計課長   藤井孝四郎君        科学技術庁計画        局長       梅澤 邦臣君        科学技術庁振興        局長       谷敷  寛君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        科学技術庁資源        局長       橘  恭一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第一五号)(内閣送付予備審査) ○科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る二十三日、柏原ヤス君が辞任され、その補欠として鬼木勝利君が選任せられました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る三月十七日、予備審査のため付託されました。  それではまず、本案提案理由説明を聴取いたします。松野防衛庁長官
  4. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今回提出いたしました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容の概要について御説明申し上げます。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  前年度に引き続き、第二次防衛力整備計画にのっとり、防衛力内容充実につとめることとし、昭和三十九年度の定員を改め、防衛庁本庁職員を千五百五十三人増加することとしております。その千五百五十三人のうち千四百九十八人は自衛官であり、残りの五十五人が宿衛官以外の職員であります。  自衛官の増加は、海上自衛隊及び航空自衛隊自衛官でありまして、海上自衛隊における増員は五百九十八人で、艦艇の増強並びに航空部隊整備及び後方支援部門等充実のために充てるものであり、航空自衛隊増員は九百人で、飛行部隊及びナイキ部隊新編等を行なうにあたって必要となる人員であります。  自衛官以外の職員五十五人は海上自衛隊の要員に充てるものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一に、自衛隊予備勢力確保のため予備自衛官三千人の増員を行なうこととしております。  第二に、第七航空団司令部の所在地を移転することとしております。  以上法律案内容を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
  5. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 以上で提案理由説明は終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  6. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、本案質疑を行ないます。  なお、関係当局の御出席は、上原科学技術庁長官小林科学技術庁官房長藤井会計課長梅澤計画局長谷敷振興局長村田原子力局長、橘同資源局長、以上でございます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて若干お伺いしたいと思いますが、まずお伺いしたいのは原子力関係についてですが、科学技術庁重要政策一つとしておりますいわゆる原子力平和利用推進の中で、原子力発電については、三十六年に原子力委員会が決定された原子力開発利用長期計画、こういう計画があったと思いますが、今度この計画を改定する作業着手するとのことでありますけれども、長期計画を改定せねばならない理由は一体那辺にあるのか、こういうことについてまずお伺いしたいと思います。
  8. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) お答えいたします。  この原子力開発長期計画も、何しろ新しい仕事なものですから、なかなか計画のとおり進まなかったり、それからまた、長期計画になりますともくろみが立ちますので、そのもくろみ計画よりももっと進んだもくろみが立ったりということで、たとえば原子力発電平和利用の一番の主要目的原子力発電だと思うわけでございますが、この原子力発電に関しまする計画に臨む、当初考えておったよりも業界熱意が盛んであるというか、それをオーバーするような計画が続々立ってまいりまして、そうしてまた、原子力開発進歩発達も予想以上に速いものですから、長期計画となると、いまを起点に今後の計画を立て直したほうがよかろうと、こういうふうなことになりまして、ただいま長期計画の練り直し中でございます。近く結論が出て計画を改めると、こういうことでございますけれども、要するに、開発のスピードが速くなったのと、また、業界熱意が盛んになって、当初のもくろみを越えたようなもくろみが、計画がどんどん立てられるようになった、こういうことでございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういたしますと、たとえば従来からありました原子力発電計画、こういうものには影響があるのか、それともないのか。もしあるとすれば、どういうふうに影響があるのか、こういうことをお聞きしたい。
  10. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) 原子力発電にも計画を変更する必要が生まれてきたわけでございますが、詳しくは原子力局長から御説明させたいと思います。
  11. 村田浩

    政府委員村田浩君) 昭和三十六年の二月の原子力委員会で決定されました原子力開発利用長期計画では、わが国における原子力発電開発予定といたしまして、昭和四十五年までの約十年間に約百万キロワット程度、さらに昭和四十六年から昭和五十五年までの十年間に合計いたしまして六百万ないし八百五十万キロワット、したがいまして、昭和三十六年から昭和五十五年までの約二十年間に七百万ないし九百五十万キロワットの原子力発電を建設すると、こういう計画になっておったわけであります。その後、国際情勢の面におきましても、各国とも原子力発電開発計画を急速に発展させつつございますし、他方わが国内におきましても、電気事業者の側におきまして非常に原子力発電建設の意欲が高まってまいりまして、たとえば電気事業者の集まりでございます中央電力協議会あたりが昭和四十年に立てました見通しでも、昭和四十五年には百四十万キロワット、五十年には四百八十万キロワット程度原子力発電所を建設することとなろうという見通しを出しております。さらには原子力産業会議の中に設けられました開発小委員会では、ごく最近その作業の結果を発表しておられますが、これによりますと、昭和五十年まではただいまの中央電力協議会と同じような数字でございますが、さらにその後の発展状況が著しく進展すると、このような見通しを立てておられます。すなわち昭和六十年度には実に合計して四千二百七十万キロワット、西暦紀元二〇〇〇年に当たります昭和七十五年には合計一億六千四百万キロワットというふうな、たいへん大きな原子力発電設備を持つこととなろうという見通しを立てているわけであります。このような民間におきます今後の原子力発電発展見通しに対応しまして、政府といたしましては、現在総合エネルギー調査会の中にございます計画小委員会で、政府としての原子力発電規模見通しをつけつつございますが、ただいままでのところの作業では、大体昭和五十年には約五百万キロワット、昭和六十年には三千万ないし四千万キロワットというような大規模原子力発電開発が必要となろうという見通しが出ております。この結論は、本年の六月ごろには最終的にまとまる予定でございますが、おおよその数字としてはこのようなところでまとまろうかと考えております。先ほど申し上げました昭和三十六年に定めました長期計画の線と、ただいま申し上げました見通しとを比較してみますと、昭和四十七、八年ごろまではほぼ長期計画見通しと合っているわけでございますが、昭和五十年以降になりますと、従来の見通しを上回ってくるような一応想定が出ておるわけでございまして、このような点からして先ほど長官から御答弁ございましたように、総合エネルギー調査会における検討の進展と関連しつつ、原子力委員会における長期計画の中で原子力発電のプログラムにさらに検討を加えまして新たなる見通しを立てることになろうかと考えております。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしたいのは、日本原子力発電株式会社東海発電所がありますが、これは十六万六千キロワットを予想しておるようですが、このことについてお伺いしたいのですがも昨年末には営業運転に入るように伺っておったわけですけれども、実際にはまだ運転に入っていないようですが、その点はどうか、この発電所はいままでの慣行でも一年半もおくれた事実もありますし、さらにコストもその間に二、三割高くなってしまったと、こういうようなことで原子力による営業発電実用化までなかなか前途多難を予想されると思うんですが、営業運転に入るのがこのようにおくれておる理由は一体どこに主要な原因があるのか、こういうことについてお聞かせいただきたい。
  13. 村田浩

    政府委員村田浩君) ただいま先生御指摘のとおり、東海村にございます日本原子力発電株式会社の第一号原子力発電所建設運転が当初の予定よりだいぶおくれておるのは事実でございますが、最近の状況をかいつまんで申し上げますと、昨年五月の四日に一応原子炉燃料装てんを終わり、いわゆる臨界に到達いたしました。その後は各種の試験を行ないまして、当初の予定では十二月になれば営業運転に入れるもの、こういうような見通しであったわけでございますが、その間の実験試験の期間におきまして二、三の故障が出まして、これらの故障を逐次手入れしつつ、予定が少しおくれておりましたが、昨年の十一月ごろから出力上昇試験、つまり原子炉出力を上げまして、営業運転ができる状況まで持っていくわけでございますが、その試験段階に入りまして、初めゼロ・パワーから一万二千五百キロワット、さらに三万キロワット、六万キロワットと上げまして、八万キロワットまで到達いたしましたところで、四つございます熱交換機の中の蒸気管に亀裂を生じまして、ここから蒸気が漏洩いたしました。蒸気が漏洩いたしますと、それが冷却剤である炭酸ガスの中に入ってまいりまして、炉の中にも浸入いたします。そういたしますとすぐに問題は起こらないんでございますが、長期にわたりますと各所の腐食等も生じますので、このような状況営業運転をいたすことはいかがかということで炉をとめまして、原因究明並びにその復旧工事の方法についての検討をこの一月の下旬から行なってきたわけであります。したがいまして、今回故障を起こしました場所は原子炉それ自体ではございませんで、どちらかと申しますと、従来の火力発電所にもあるようないわゆる蒸気発生装置における故障でございます。しかしながら、一方では、それだけにその復旧工事というものもいろいろと原因が考えられるわけでありまして、その原因究明のためには国内における大学を含め、専門の方々にも御参加いただき、さらにこの原子力発電所設計者でございますイギリス会社専門家及びその後援をいたしておりますイギリス原子力公社からの専門家にも東京に来てもらいまして、そうしてこれらの専門家が慎重に原因究明を行なってまいったわけであります。最近原子力発電会社から報告を受けましたところでは、その原因がほぼ究明いたされ、その究明されました線に沿ってこれを復旧する工事をさっそく手直しをいたしまして、見通しといたしましては、もちろん工事が終了いたして試験をやってみないといけないわけでございますから、今日確実には申せませんけれども、大体の見通しとして、この五、六月ごろには完成いたす、したがいまして、完成後実験をやりましてよろしいようでございましたらすみやかに営業運転に入ると、こういうような予定になっておると聞いております。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、原子力第一船の開発、このことについて一言お伺いしたいと思いますが、昨年原子力船開発事業団が、契約段階メーカーとの折り合いがつかないで建造計画は白紙に戻された、こういうふうに伺っておるわけですが、ところが一方、四十一年度の予算を見ますると、事業団に対する出資金は一億七千九百万円ほど計上されておることでもありますので、今後の具体的な建造計画は進められておると思うのですが、このことについて具体的にお聞かせいただきたい。
  15. 村田浩

    政府委員村田浩君) 日本原子力船開発事業団が現在進めておりますわが国原子力第一船の建造計画でございますが、ただいま御質問にもございましたように、当初の計画では、昨年の三月に国内造船メーカー並びに原子炉メーカー事業団の間で建造契約が結ばれまして、詳細設計に入り、安全審査を終わりまして、四十年度内には着工いたしたい、こういう予定であったわけでございますが、昨年の七月に造船メーカーを通じまして提出のございました見積もり書によりますと、予算で定められております船価三十六億円をはるかに上回る、約六十億円という見積もりが出てまいったわけであります。したがいまして、予算船価ではそのまま契約を結ぶことがまずできない。そこで一方、その内容を見ますと、ただ単に価格が多くなっているというだけではなくて、その背景としていろいろと技術的問題もあるようであるということになりますと、直ちに予算船価を改定するということだけでこの問題を進めるということは必ずしも将来の発展のために得策とも考えられませんので、原子力委員会にはかりましたところ、原子力委員会では、一時建造着手を延期いたしまして、そうしてその間に、原子力船開発のためにつくってございます基本計画の線は変えないといたしましても、その実施上の問題点でいろいろまだ詰めの足らないところもあるのではないか、その点を十分に関係者の間で検討いたしまして、そうして着手するということにすべきだ、こういう御意見から、昨年の八月でございましたか、原子力委員会に新たに原子力船懇談会というものを設けられ、造船業界あるいは原子炉メーカー、さらに大学その他関係専門家あるいは学識経験者等をメンバーといたしまして今日まで検討を進めてまいっておる次第であります。この懇談会におきます検討テーマとしましては、第一には、予算船価三十六億を見積もったことに対して、昨年出てまいりましたメーカーからの見積もりが大幅に上回っておる、その原因はいずれにあるか、その原因究明が第一でございます。それから第二に、先ほど申し上げましたように、価格といたしまして、技術的な内容について問題があるのではないか、そういった点が不確定のまま計画を進めることは望ましくないのでございますので、そのような技術的な問題点十分検討したい、これが第二。第三に、このような二つの問題の検討を通じまして、今後原子力船建造計画を進めるためにはどのようにしていけばよろしいか、このような三つテーマにつきまして御検討をいただいておるわけでありますが、現在、第一、第二の問題点につきましてはほぼ検討を終了しまして、ただいま第三の問題点検討を行なっておる段階でございますが、この第三の問題点を解明しますにつきましては、当初予定しておりましたように、船体はもちろんでございますが、これに積みます原子炉も純国産でいくということにつきまして、技術的問題点があるようでございますと困りますので、さらに一歩進んだ改良型の原子炉海外先進国から入れた場合の計画はどのようになるかということの比較検討資料として、目下原子力船発注段階を通じてその資料を収集いたしておるわけであります。これらの資料は、見通しでは本年の五月末ぐらいにはそろうという予定でございますので、それら検討資料がそろいましたところで十分検討を進めまして、原子力委員会では大体六月、おそくとも七月の初めには御結論を出していただく。その線に従いまして、政府といたしましては、四十二年度予算のうちで第一船の建造計画を順調に進めますために必要な額をさらに要求いたしたい、このように考えておりますが、なお、それでは建造着手が四十二年度まで延びることも考えられますので、この第一船計画をできるだけ早く軌道に乗せるという意味合いから、ただいま大蔵省とも計画がまとまり次第四十一年度中にも部分的に建造着手できるようにしたいという線で非公式に折衝をいたしておる次第であります。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、東海地区原子力施設地帯整備のために昭和四十一年度を初年度とする五カ年計画を立てて、これを目途に事業着手する方針だというふうでありますけれども、その計画内容についてひとつ具体的な御説明をいただきたいと思います。簡明にお願いしたい。  なお、この四十一年度予算を見ますと、建設省道路整備特別会計補助金として一億は計上されておるようですが、これもその計画の一環であるのかどうか、こういうこともあわせて御説明いただきたい。
  17. 村田浩

    政府委員村田浩君) 東海地区原子力施設地帯整備事業計画につきましては、数年来地元茨城当局とも十分折衝いたしてまいりまして、四十一年度予算に初めて計上されたわけでございますが、ただいま五ヵ年計画でやりたいと申しております計画内容は、地元十分協議しました結果、次のとおりと相なっております。その主体は道路でございまして、この道路には一部国道から県道、村道までございますが、大体七本の道路の改修を予定いたしております。この道路のほかには緑地帯整備一カ所、さらに東海村におきます有線放送電話施設設置、大別しまして三つがこの内容になっております。五ヵ年計画といたしまして、これら全部を行ないました場合に要する資金は、総額で約十八億円と見積もっております。そのうち、約十一億円程度が国の補助金という形になろうかと考えております。四十一年度におきましては、ただいま申し上げました計画の中で、当面最も地元としても要望しております道路二本とそれから有線放送電話施設整備、この三つにしぼりまして予算を計上したわけでございます。ただいま御質問のございました建設省道路整備特別会計に一億円が計上されておりますのは、ただいま私が申し上げました道路二本分に対する国庫負担分でございます。これが建設省道路整備特別会計にのせましたのは、原子力地帯整備計画とは申せ、実質的には公共事業でございますので、建設省道路整備特別会計の中の街路事業費に計上するのが適切であろうという関係省庁での間の協議の結果、そのような形で計上したわけでありますが、ただ、これを他の道路整備計画と同じように扱いますと、地帯整備計画との関連が不分明に相なりますので、今年一月十四日の予算閣議におきまして、特に大蔵大臣からこの特別会計に計上しました一億円は東海地区原子力地帯整備のためのものであり、その実施にあたっては、建設省科学技術庁とが十分協議の上行なうということにつきましての閣議了解があるわけであります。なお、四十一年度予算には有線放送電話施設に対する国庫負担分としまして、地元の原研と公社に対しまして三千万円を計上いたしております。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが一科学技術庁の四十一年度の予算によりますと、今度生鮮食料品等流通近代化とか、価格の安定こういうことで低温流通機構コールドチェーンといっておりますが、これを推進するために経費二億円が計上されておるようです。四十一年度においては一体どのようなことをやられるのか、ひとつ具体的に御説明願いたいと思います。
  19. 橘恭一

    政府委員橘恭一君) 昭和四十一年度予算約一億九千四百万円をもちまして、コールドチェーン生鮮食料品低温流通に関する事例的な実験計画しております。事例的実験内容は、対象品目といたしましては、野菜、くだもの、肉類を取り上げましてそれを実際の流通経路のもとで、低温下でかなりの規模のものを加工、輸送、貯蔵等をする、そうしましていろいろ将来事業化される場合に、必要な諸条件を調べてまいる予定でございます。片っ方低温流通に伴います技術的な問題点がございます。たとえば、品質の維持をどうするとか、あるいは包装、規格それから将来いろいろな検査基準、そういうもののために必要な基礎的な研究を、特別研究促進調整費の中から、金額はまだ決定しておりませんが、支出するという予定でございます。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、そのことについて関係省庁との協力関係ですね、これはどういうふうになっておるのか御説明いただきたい。
  21. 橘恭一

    政府委員橘恭一君) 関係省庁とはすでに低温流通につきまして、昭和四十年の当初から数次の会同を持っております。ざらに予算案がきまりましてからは、農林、厚生、運輸、通産及び経済企画庁と会合いたしまして、おのおのの省庁が分担すべき事項について十分な打ち合わせをやっております。それから事例的の実験につきましては、特に対象品目農林省のものであり、行く行くは農林省が本格的な事業としてこれを実施されるということも期待されますので、その事例的実験の細部につきましては目下具体的な詰めを行ないつつございます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、科学技術問題点について二、三基本的なことをお伺いしたいと思うのですが、科学技術の現状についてはいろいろと問題が多いと思うんですが、それを招いておる一つ原因として研究投資の不足、こういうことをあげ得ると思うんですが、そこでお伺いいたしますが、科学技術の水準の高さですね、これは何といっても科学技術開発投資に大きな比重がかかっておる、こういうふうに考えられるわけです。そこで、たとえばアメリカとかソ連、イギリス、西ドイツ、こういう先進諸国と比較した場合、相当遜色があるように見られるわけですが、こういうことについて、たとえば国民所得に占める研究費の比率は一体どうなっておるのか、たとえば自然科学部門一つを取り上げてみてもそういう点が考えられるわけです。ひとつ、そういう角度から御説明いただきたいと思います。
  23. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) ただいまの国民所得の比率からまいりますと、アメリカはこれは軍事研究も全部入っておりますが、その計算からまいりますと、約国民所得に対しまして三・八%ぐらいになります。それから英国、その辺のところにおきましては大体二・二%から二・五%、それからフランスあたりにおきましてまだ二・五%にいっておりませんので、早急に二・五%に持っていきたいという方針でございます。それから西ドイツにおきましてはやはり二%程度でございまして、この三年間でやはり二・五%ぐらいに持っていきたいという推進計画を立てております。われわれのほうは実際現在一・九%ぐらい、これにつきましては三十五年に十年後の見通しというのを科学技術会議でお出しになりました。そのときに、少なくともなるべく早く二%にもっていくべきだということでございまして、それに鋭意努力いたしまして、現在一・九%になっているのが現状でございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特に日本の場合、研究投資に占める政府投資の割合がまことに少ないように見られるんですが、それではなかなか科学技術の振興は期待できないと思うんですが、科学技術振興の、国民所得とかあるいは一般会計予算に占める比率が、調べてみますと、昭和三十三年ごろを頂点として漸次下降の傾向にあるということ、少しではあるが上昇の傾向にあるというのならばよく話はわかるんですが、科学技術が重要視せられておる、そういう段階において昭和三十三年を頂点として次第に下降しつつあるということはどうも理解しかねるわけですが、これは一体どういうわけですか、このことについて御説明願いたい。
  25. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 日本の研究費でございますが、三十三年から民間を含めますと非常にふえました。それはちょうど三十六年まで中央研究所でブームというのが起こりまして、その関係から設備費その他で非常に伸びました。ただ、民間はそのあと三十七年から研究所の整備ができましたので、あと研究費という形になりまして、その辺から急に伸び率が落ちた形でございます。しかし、伸び率は落ちましても実際の額はふえております。ただその間に政府の出しています研究費はわずかずつ伸びておりますが、現在民間で出しています比率のうちの三〇%というところにまいっております。前には二十数%、二七%くらいでございましたが、その点がなかなか三〇%をこえられないというのが現状でございます。その点は先ほど先生のおっしゃいましたように、外国ではこれは逆になっておりまして、アメリカでは七割を国から出しまして、約三割が民間、それからほかのヨーロッパ諸国でも大体四分六くらいのところでございます。したがいまして、わが国においては、その点まだ政府の出し分が非常に割り高としては少ないのでございます。ただ国民所得の伸び率と比較しまして、実際的に金額はその伸び率よりある程度減っている。しかし、実際の額といたしましては、大体一五%ぐらいのところまでなるべく伸ばしていきたいということで進んでおるわけでございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまも御説明のように、研究費の少ない日本の場合においては、研究投資の効率を高めるためには少ない研究費を有効に使うということが当然必要になってくると思うのです。たとえば政府部門と民間部門とのそれぞれ果たすべき役割りを明確に打ち出しおくとか、また、政府部門、国立、公立とか大学、こういう研究機関についても、おのおの果たすべき役割りを明確にする必要がある。こういう点で両者とも不明確な点があるのではないか、こういうふうに考えられると思います。こういう果たすべき役割りをそれぞれ明確にしておくべきである、これが明確化されていない。この辺にも問題があるのではないか、こういう点についてお伺いしたいと思う。
  27. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 政府研究費を出しております場合に、現在民間に対しましては補助金制度あるいは委託費、それから今度通産省で大型プロジェクトの産学協同体制というのを進めております。漸次民間との効率よき研究を進めるための態勢としての区分の明確化ということを進めていくために、それを実行に移しています。第一に、いま先生のおっしゃいましたように、民間は何をやるべきか、あるいは国は何をやるべきかという明確化ということが、なかなか研究そのものが相当大きなプロジェクトになっておりますので、やはり協同体制でいくという態勢をとっていかなければならないのじゃないか、そういう協同体制の進め方をどう持っていくかということをわれわれは検討していきまして、可能性のあるものから着実に進めていきたい、そういうふうに考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特にここでお伺いしたいのは、大学における研究は学問的であること、あるいは基礎的研究であること、こういうことが中心でなければならないのではなかろうかと一応考えられるわけです。しかし、大学の中には、にもかかわらず応用の面をやっておる面もありますし、企業化の研究をやっている大学もあるようなんで、こうなってきている実情を見た場合、これはこのままでいいのか、あるいは大学本来の研究にまかすべきなのか、こういう問題も出てくると思います。それと一般の国立機関との間にも研究テーマとかあるいは研究施設一これが重複しないようにという配慮も必要ではないかと思うんです。要するに、両者の調整が必要ではなかろうかと思うんですが、こういう点についての実情はどうなんです。
  29. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) ただいまの大学はいわば基礎研究といいますか、科学する場である。こういうことの体制は、われわれはそれを守っていきたいという考え方で進んでおる。ただ、大学の先生方はいろいろ能力がございまして、国の研究所あるいは産学協同でやります場合に、先生方が個人あるいは小グループとして手伝ったほうが効率的に仕事がいくという場合にはそれにできるだけ手伝っていただきたい。しかし、これは大学の本来の研究とは別な形で手伝っていただくほうがいいんではないかという区分の立て方を原則といたしまして、現在われわれは施策を進めていきたい、こういうことで現在考えております。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 また、日本の場合は企業規模が小さいために研究規模もまた当然に小さくなっておる、こういううらみがあろうかと思うのです。そこで、研究投資の大型化の傾向にある現状に即し得ない、対処し得ないという、そういう欠点があるのではないか、こういうことの実情はどうなんです。
  31. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 大資本の、十億円以上の会社等におきましては、先ほどのように、中央研究所という体制を整えて、確かに研究の体制というのは進められました。しかし、中小企業関係のほうの研究所というのは非常になかなか進めにくい。その点につきましては、中小企業庁のほうで、公設の研究機関に国立の研究機関がそれぞれの指導あるいは研究の育成に当たるということに努力しております。ただ、その間にやはり中企業のところでも研究組合法というのを前にやりまして、それで共同研究体制を研究組合に合同いたしまして、それで研究をしていったらどうかということで法律をつくりまして、先般から通産省でやっております。この点につきましては、なかなか同業の方々が同じ研究をやりますと、あとの実施化等の問題でなかなかうまくいかぬ。したがいまして、同業ではなくて、それをつくる機械のほうの方、それから生産する方、こういうような結びつき方の研究組合でございますと、最近うまく進んでいる実例がございます。何とかそういうことで、中企業等の研究をどっかの場で受けて立ってやっていきたい。その関係から、方式としては、公設研究機関がその指導体制に当たるような形の方式をわれわれ考えてそれで進めていっております。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、科学技術教育の問題でお伺いしたいと思います。科学技術水準の向上にあたっては、何といっても密接な関係があるのは科学技術教育の問題であろうと思うのです。日本の場合は、先進国に比べて特に理工系の技術者の質、量ともにこの点での不足が科学技術水準の向上の隘路となっているんではないか、こういう点が考えられるわけですが、実際はどうなんですか。
  33. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 昭和三十五年に科学技術会議の十年後の見通しのところで答申が出ておりますが、そのときの現状でまいりますと、科学技術者が四十五年のときに十七万人ほど足りなくなる、それについての養成計画を立ってくれというのが答申で出ました。これにつきましては、これを文部省のほうへお願いいたしまして、理工学系の増員計画をそこで考えていただきまして、そこで昭和三十八年度までに約二万人の入学定員の増加を行ないました。それから四十年度につきましては、そこで約六万人以上の入学定員と現在なりました。それで大体計算いたしますと、ほぼ何とか理工科分野が先ほどの十七万人の不足のことは達成できるんではないかということで努力中でございます。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままでこの科学技術振興上の険路について二、三具体的にお伺いしてきたわけですけれども、こういう幾つかの険路を克服していくことが科学技術の行政上のいわゆる使命であろうと思います。特にこういう観点からいって、まず第一に考えなければならないのは、長期的にかつ総合的な計画を立てること、こういうことがまずもって大事なことではなかろうかと思うんですが、科学技術庁としてはどのようにお考えですか。
  35. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 去年の一月、その前からそういう科学技術を総合的に計画化していかなければならないんではないか、そのためには五年後なりあるいは七年後の科学技術の全般の見通しをまず立てて育成計画並びに促進計画を立てるべきであるということが言われまして、これを科学技術会議のほうへ去年お願いいたしまして、目下ほぼその成案を得ておりますが、これから五年先の日本の科学技術全般のあり方、それからその中で特に国として推進すべき研究課題、それからもう一つは、人材の処遇、それからいまの養成の促進の問題、それから情報の交流というのは国際的に非常に問題になっておりますが、その点の欠点の問題をいま総ざらいいたしておりまして、もう間もなくその答申が得られるところまで作業を進めております。その答申を得られましたら、これを政府で十分考えて実行に移していきたい、こう考えております。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、考えられることは、科学技術水準の向上をはかるためには、先ほどもちょっと指摘申し上げたように、研究投資の増額をはかる必要がある、特に政府の投資の増額をはかることが喫緊の要務であるわけですが、こういう点はどのようにお考えですか。
  37. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) 仰せのように、科学技術の発達、開発をはかりますためには、国が力を入れなければ進捗を期待し得ないということは、もう既定の事実でございますが、私どもその行政に当たる者といたしましては、毎年国費の支出の増額、つまり予算の増額ということに努力を重ねてまいっているわけでございます。思うように進捗いたしませんのはまことに残念に思います。今後ともますますこれに努力を重ねてまいるつもりでございます。それに幸いにわが国では民間が非常に熱心に、自分の事業のためもございましょうけれども、非常に多額の費用を投入して研究開発を進めていただいております。中には企業によりましては、自分で学校を創設して科学教育をやっている、こういうふうな企業もあるわげでございまして、これはたいへんしあわせでございます。だからといって国がそれに期待しているというふうなことは、極端に言えば間違いではないかと思う次第でございまして、今後とも努力を重ねてまいるつもりでございますから、ぜひ御声援のほどをお願いする次第であります。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政府投資の増額、こういうことの必要はいま伺ったわけですが、それと並行して民間研究の助成ということがきわめて大事であろうと思うのです。しかし、それにはどのような助成を考えておるのか、具体的な面ではどのようなことを考えておられるか、こういうことについてお伺いします。
  39. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 現在まで民間に対します助成につきましては、各省におきまして補助金制度というものをやっておりまして、これはいままでは、数年前までは大体民間の技術レベルを上げるという形で、技術をよくするという形の、一般的助成の形でございましたが、最近はやはり日本としてやらなきゃならない問題点ということをある程度指定したり、範囲をきめたり、そういう形の助成のほうに進んでおります。それから最近は、先ほど申し上げました通産省で大型プロジェクトの産学協同体制の研究体制を結んで、国の研究所並びに民間の研究所と一緒に、ある大きな課題を片づけるというのを今度実行に移しておりますし、これが民間に対しまして助成として考える、実際的に金を出す考え方だと思います。もう一つ、まだことしも民間が不景気で不可能で、できませんでしたが、実は税金の関係でもある程度考えてはどうか、したがいまして、研究をやります場合には、準備金として利益が上がったときにその一部を積み立てておいて、翌年の研究に回すという考え方をわれわれ考えております。それでこれは非常にうまくいきそうでございましたが、最近民間の不景気の関係から、なかなかその点が、各会社のアンケートをとりましたときに、前ほどの要望が現状に即さないせいか、ございませんので、ことしはちょっとうまくまいりませんでした。しかし、これは今後の民間における研究の助成策の一つとしては非常に大切な問題なので、来年度もなるべく早くこれを解決していきたいという考え方でございます。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお考えられることは、民間企業におけるいわゆる研究体制の整備ということがきわめて大事な問題であろうと思うのです。先ほども御指摘申し上げたように、日本の場合は研究規模の過小が問題になっておるわけです。そこで企業規模を拡大し得れば問題はないわけですけれども、なかなかそう簡単にはいかぬわけです。そこですでに行なわれておると思いますが、研究組合制度によっていわゆる共同研究方式をとっておるわけですが、これをさらに一段と推進していくこともきわめて具体的な一つの方策ではなかろうかと思うのですが、そういう点はどのようにお考えで、また実際どうなっておるのか、こういう点についてお聞かせいただきたい。
  41. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 共同研究組合法の施行を通産省がやっておりまして、ちょっと正確な数字は存じませんが一現在大体十七ぐらいのテーマでもって研究がなされていると思います。ただ先ほど申し上げましたように、なかなか会社同士の結びつきという立て方が非常にむずかしくて、われわれが前にこの研究組合をつくりましたときに、もっともっと効率が上がるんではないかという考え方ほどの期待までには行ってないような気がいたします。しかしながら、漸次これが利用されまして、研究組合をつくっていくのが現在増加しつつございますので、なお一そうこれを進めていきたいという考え方でおります。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、試験研究の面については、政府が次のような研究については国みずからがこれを担当してやるべきではなかろうか、その一つは、基礎研究あるいは先導的な研究とかあるいは国民生活に関係のある研究あるいは産業の基盤となるべき研究、こういう面については政府みずからの手で実施してしかるべきだと思うのです。こういうことに対する政府のお考え、並びに現状は一体どうなっておるか、こういうことについてお聞かせいただきたい。
  43. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) おっしゃるように、学問的な、基礎的な研究というものは当然国がやるべきであると存じまするし、これは各国立の大学でもやっておりまするし、それから私立の大学にも補助を相当に出しておりまするから、国の責任で行なわれると申し上げてもよろしいのかと思います。それからまた、直接国民の健康また利害、こういうものに関係しまするような研究は、これもやはり各企業の研究に期待するということは不可能に近いと思いまするから国がやらなければならないと思います。この点は厚生省、通産省並びに私どものほうの研究所でも熱心にやっております。この使命を自覚いたしまして、これからも努力を重ねてまいる覚悟でございます。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 また最近のように、新規分野の開発には、何といっても巨額ないわゆる資金投下が必要になってくると思うのですが、そういう場合には、民間企業のみではなく、政府みずからの手で実施すべき研究開発の分野がだんだんふえてきておると思うのです。こういう問題については、前に科学技術会議が答申を出しておるわけです。こういう点については、一体科学技術庁としてはどのように取り組んでおられるのか、そして実情はどうなのか、こういう点についてお聞かせいただきたい。
  45. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 民間との共同体制、その場合には設備で考えます場合と、それから研究課題で考えます場合、二通り考えられると思います。  設備につきましては、国立の研究機関になるべく総合利用できるような研究設備をつくって、それを民間に貸す、あるいは共同でやるということで、共同研究契約というものを結んでやる体制を進めております。それから設備を、民間がその中の一部、自分ではできない分野、そういう場合には受託研究制度というものをつくっております。そして一緒に研究をして重複のないような形をとっていくという形をとっております。  それからいま先生のおっしゃいました、非常にこれからの新規の大きな分野の研究課題が出てくる、こうなりますと、国立の研究所も先ほど大臣がおっしゃいましたように、基礎的分野をにないまして、それから民間のほうは主としてエンジニアリングの問題を持っていく、そういうところの結びつきを計画に立てまして、それでその研究を推進をしていきたいと、したがいまして、先ほどの長期計画テーマを現在われわれも考えておりますが、それにつきましては、実施場所は国立並びに民間あるいは大学の一部というところがになってその課題を果たしていくという形の体制を考えてその課題の推進をすると、ただし金は政府がそれを全部握って、委託費なり助成金なり、国立の研究費、こういう形でいきたいという考えで現在進めております。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどお伺いしたわけですが、科学技術の振興のためには科学技術教育の比重がきわめて高いと、こういうことを先ほど御指摘申し上げたわけですが、このことについては経済計画または統合的な科学技術の政策ですね、こういう遂行上にはどうしても研究者とか技術者、教育者、こういうものの充足をはかる必要があろうかと思うのですね。そのためには学校教育制度のあり方とかあるいはマンパワーの開発、こういうことが積極的に進められていかなければならないと考えられるわけです。こういう点についてはどういうふうにお考えで、実情はどうなのか、簡単に御説明いただきたい。
  47. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) 科学技術振興のためには技術者の養成、これが何より大事であることはしばしばあらゆる方面から唱えられておりまするし、また科学技術会議からも御勧告があるし、先ほど計画局長も申し上げたとおりでございます。そしてこの実現につきまして政府といたしましても熱心な努力を重ねてまいっておりまして、この科学技術者の養成、これを担当する文部省にもよくお願いしまして非常にお骨を折っていただきまして、この技術者の養成ということはある程度充足されておりますけれども、まだ質の点につきまして十分とは申し上げかねると思うのでございます。そうして今後も養成のために努力を重ねてまいりますけれども、どんな具体策を講じておるかということにつきましては担当局長からお答えいたします。
  48. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 実際に科学の研究者につきましては現在十一万七千人ほどが日本におります。これにつきましてはだいぶふえた形でございますが、海外に比べますと、ヨーロッパに水準をとりますと、比較的研究者の数ではいいところになっております。国民千人に対して大体一人というのが、日本は大体科学技術者がそうなりますが、これはヨーロッパあたりにいきますと大体そうなります。ただアメリカに比べますと三分の一くらいになっておりますが、そこまで研究者の養成は非常に考えておるわけでございますが、ここでひとつ、文部省といま密接な問題として考えておりますのは、確かにいま大臣の言われました質という問題で、いわば中身の機械とか電気とか化学とか、こういう専門分野も非常にこのごろ区分されてまいりまして、専門技術も範囲が狭まっております。そうすると、それとの間のいわば需要供給の間で調和しているかどうか。数の点では確かにだんだんきたけれども、実際の能力その他の関係からなかなか調和していない。そういう点をいまの大学の修士課程あるいは大学院制度、そういうようなところの内容とかみ合わせましてそこを何とか検討されて、その点につきましても、従来科学技術会議の先生方にも大学関係をある程度含めて、この点の御検討をいただいております。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このような政策の企画とかあるいは実施にあたっては、たとえば経済企画庁とかあるいは文部省、こういうふうに関係する省庁が相当あるはずですね。したがって、相互間の密接な連絡調整ということが当然必要となってこようと思うのです。こういう点についてどのようにお考えなのか、そうして実際にどのようになっておるのか、こういう点をお聞かせいただきたい。
  50. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) 先生のおっしゃいますとおり、こういうことを果たします場合には、実行するのは各省でございますので、そこで意見を一致させませんと、各省大臣の意見書とか勧告になってしまいます。したがいまして、こういうことをわれわれがやります場合には、すべて関係の各省連絡会議というものを設けまして、現に常置してございますが、そこでその打ち合わせをやっております。科学技術会議がそういう意見書を出します場合にも、あの中に各省からの補佐幹事というものを全部任命しておりまして、その補佐幹事の集まりが科学技術会議の進め方の問題をやはり各省に持ち帰って意見をととのえておるという形で、密接に連携を保ち、会議を常置してそこで進めておるような状況でございます。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどお伺いしたわけですが、研究者とか技術者、教育者、こういうものの充足をまずはからなければならない。これは言うまでもない点ですが、日本の現状ではなかなかもって研究費も不十分である。あるいは研究施設も概して貧弱であるとか、あるいはなかなか生活費も確保されていない。特に大学教授などは十分な研究費もないし施設も悪いし月給も少ないので、アルバイトでもやらなければなかなかやっていけない。  こういう悪条件下に置かれておる面が多かろうと思うのですね。そういうことから豊かな研究費で恵まれた研究施設、そうして十二分なる生活の保障、こういう点がアメリカをはじめ諸外国、先進国に待ち受けられている。こういうことから相当数の科学技術者が外国まで行ってしまうという、こういう傾向が相当多かろうと思うのです。これはきわめて日本の科学技術振興上にはほっておけない大事な問題ではなかろうかと思うのですが、にもかかわらず、年々そういう科学技術者がふえていくのではないかというふうに考えられるわけです。憂慮にたえないわけですが、その実情は一体どうなのか、そしてその実情に応ずる対策は具体的にはどういうふうに進められておるか、こういうことについてお聞かせいただきたい。
  52. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) 学者、技術者の海外流出につきましては、実情は後ほど局長から御答弁申し上げますけれども、こういう事実がある、しかも世人の目に非常につくということはおっしゃるように、わが国科学技術のために悲しむべきことだと思います。そうして、これにつきましては歴代の科学技術庁長官はもとより、文部大臣その他の関係の大臣諸公も、また歴代の総理も非常に気にされまして、何より先に待遇の改善をしなければならぬ、こういうことで努力を重ねてまいっております。そうして待遇も漸次改善されつつありますが、どの程度に改善されたかというのはまた局長から申させていただきますが、しかし、非常な努力にもかかわりませず、十分な待遇改善がされておらないというのは、二重にわが国科学技術進歩発達を阻害しておるようであります。単に待遇がよければそれだけで学者、技術者がいつくということでもないようであります。何より大事なのは待遇と、その次には研究の体制だと思うのであります。環境、体制、これが何より大事だと思うのであります。つまり同じ商売の者が町で同じ所に集まるというふうに、学者、研究者というのもたくさんの学者、研究者がおってたくさんの研究が行なわれておる所、その中でやると非常に研究がやりやすいらしいのです。ですから豊かな研究費豊かな環境、こういうものと研究者の豊かな数、これが何より大事なので、それが学者、技術者が海外に流出する、非常にすぐれた頭脳を持ったわが日本人の学者、技術者が海外に流出する。そうすると、日本の中で研究する学者、技術者の数の減るのは、研究の豊かな環境を貧弱にするというものでございまして、そのために研究環境が貧弱だからまた外国に流れてしまうということになりまして、二重に作用するわけでありますから、これはぜひさらに一そうの努力を傾けて、せっかくの頭脳が海外に流出しないように努力を続けてまいらなければならないと、かように考える次第であります。
  53. 梅澤邦臣

    政府委員梅澤邦臣君) ちょっとデータが古くて申しわけありませんが、海外流出するのじゃないかという問題がございまして、昭和三十四年から三十八年までにどのくらい動いているのかということを文部省は大学関係、その他のところは、われわれのところで調査いたしました。そのとき大学関係は、大学をやめて向こうに就職したのが、大学自身直轄でございますので、比較的調べやすいのでございまして、そこで見ますと、約百二十八人というのが向こうに就職したというのが出ているようであります。それから私たち国立の研究所並びに企業の研究所のほうで非常に出ているのじゃないか、その点国立の研究所は数名くらいでございまして、ほとんど出ておりません。民間につきましては、やめてしまった者のデータはなかなか取れませんが、一応民間の取れましたところと合わせまして、約十五名ぐらいがはっきりしております。したがいまして、調査から見ると十五名以上が出たというデータでございます。ただその間に、海外に行ってる人たちは大体年間に千名ぐらい出ております。その人たちは、早い人で半分ぐらいは二年間ぐらいで帰っております。それから四年たちますとそのほとんどが帰っております。五年いる人というのはほんのわずかでございまして、比較的この、外へ出られて、向こうで就職したという方は、一度留学をされてまた日本に戻られまして研究していて、そしてまた行ってしまったという方のようでございまして、現在のところは、頭脳流出と申しますよりも、その千人の人たちは何かを得てくるという形で、長期的な留学をして戻っているというのが傾向のように見られます。  それで、まああまり、そうわれわれが予想しましたほどうんとたくさんな人が向こうに就職してしまったというデータではなかったので、その点だけはあれでございますが、しかしこれは、傾向としては出る傾向があり得ますので、先ほど大臣がおっしゃいましたように、何とか研究環境と待遇の問題を解決しなきゃいけないということで、人事院に対しまして毎年待遇のことを申し上げております。ただ、そのときに、若干一般公務員よりも研究職の比率を上げて給与は上がっておりますので、目立ってはおりません。したがって、もっと実際のところで上げる方法はないかということで、まず一つ考えましたのは、大学の所長を格上げしますと、下も自然と上がるということで、所長のポストを指定公務員のポストをうんとふやすということを努力いたしました。それからもう一つ、やはり一番、月給の中だるみ性といって、中堅クラスが下がったわけでございます。それをなるべく引き上げる。その上で級別定数をよけい取れば、そうしますとまたピラミッド型で、下もまた上がれるという形で、運用面におきまして人事院とそういう級別定数の増を急激にふやしていただく。その点につきましては相当数の級別定数をふやしていただいております。まあその関係で何とか研究者が研究所にいやすいような形に努力しております。  それから設備の問題でございますが、これにつきましては、研究所の中の、できるだけ研究者が自由に使えるといいますが、そういうような一人当たりの研究費用という一般の研究費をふやすと、これを努力しておりますこと、それから設備の近代化と称しまして、いままでの古い設備を直していくということには努力しております。これはいま手がけまして順次上がっておりますが、まだ、もう相当努力しなければならない。この点につきましては先ほどの科学技術会議のほうでも、長期計画としてどのくらいの環境設備をよくしたらいいかということを検討していただいております。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いして、本日のところ私の質問を終わりたいと思うんですが、これは、いまからお伺いする点は、この科学技術の振興に非常に関係があるのでお伺いするということであって、責任を追及するとかそういうことじゃない。むしろこのお伺いする問題は文部省の所管ですから、科学技術庁には責任は毛頭ないわけですけれども、科学技術の振興上密接な関係があるので、いまお伺いしたことに関連して一点だけお考えをお伺いしておきたいと思うんです。  と申しますのは、文部省管下の国立大学の付属病院に無給医局員というのがある、これはもう十分御存じでしょうが……。教養で二年やって、大学で四年、インターンで一年、計七年やるわけですね。それで大学院へ入ると四年で、計十一年。この十一年の研究学修を経て付属病院につとめておる人が相当あるわけです。そこまでは問題ないんですが、こういう方々が何年やっても無給医局員でおられる。付属病院からは何らの報酬を受けていない。しかもやることは他の国家公務員である医局員と何ら変わらない。患者を担当して、夜おそくまで研究に没頭している。しかし、報酬は全然受けていない。こういうのがあちこちの大学で、東大をはじめ名古屋、群馬とか、そういう付属病院で非常に問題になりつつあるわけです。これはいろいろ調べてみると、外国にはこういう制度は全然ないわけです。日本だけにある。これをほっておくことは、これは科学技術の振興上にも非常に関係がある問題でして、そうやって長い間十一年も大学生活をやって研究して、しかも患者を相当ほかの国家公務員と同じように担当しているわけです。無給医局員というのは身分が全然ないわけです。しかし、患者は担当している。実質上の責任はあるわけです。最近の例で、こういう例があるわけです。無給医局員が患者をみた。その患者がたまたま病気で、なくなってしまった。そうしたら、その遺族の言うことには、遺族がその担当のお医者さんに、無給医局員に死亡診断書を頼んだわけです。ところが、その無給医局員は資格はないわけです。国家公務員でもなんでもない。付属病院の身分は全然ないわけです。したがって、死亡診断書が書けないわけです。医者の試験を通って、そして大学院に入るわけですから、外へ出ればりっぱなお医者さんですけれども、大学にある限りは大学職員の身分がないわけですね。したがって、診断書が書けない。そういうことで遺族の言うことには、こんな死亡診断書も書けないようなお医者さんにみてもらったことは、これはもう非常に失敗であったということがいま問題になりつつあるわけです。これは一つの実例ですが、というふうに、十一年間も大学生活をやって研究を深めて、それでしかも責任は、患者を担当して、他の国家公務員と同じようにやっているわけですね。ところが、全然報酬は受けていない。こういうことは非常に問題になっているわけですけれども、こういうことでは先ほども申し上げたいわゆる研究者の優遇という点からきわめて矛盾していると思うのですがね。繰り返し申し上げるように、これは科学技術庁の責任分野ではございませんけれども、こういう問題が日本でいま現実に行なわれているということについては、科学技術振興上からそういう観点から見てもこれは大きな問題だと思う。こういう点についてひとつ科学技術庁としては一体どういうふうにお考えになるか、ただお考えだけをお聞かせいただきたい。
  55. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) なぜそういう不利な条件でお働きになるお医者さんがあるかということがよく理解できませんけれども、そういうことが行なわれておりまするとすれば、これはもう感心したことではない、いいことではないと、かように考えます。そして何か機会があれば、なぜそういうお医者さんがあるのかということから始めて、よく実情を理解した上で、私どもはおっしゃるように何の力もありませんけれども、機会があれば私の意見も遠慮せずにどこででも申し上げるつもりでございます。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どういう関係でといま御指摘がございましたが、これはもうはっきりしているわけです。予算が少ないから、結局定員が少ないから、教授、助教授とか講師、嘱託、それからごく一部の助手、これだけは有給で、あとの医局員は全部無給で、国家公務員の身分がないわけです。だから予算確保ということで一切解決するわけです。予算の問題だ。先ほどもお伺いしたように、この問題は科学技術庁の問題ではないにしても、科学技術振興上は、科学技術庁としては先ほど言った経済企画庁とか文部省とも密接な関係があるわけですね。常々連絡調整をはからなければいかぬということは先ほどもお伺いしたところで、そういうふうに関係ありますから、機会があったらではなく、機会をつくって、そういうことを科学技術庁の立場からもひとつ強調していただきたいということを心から要望申し上げておきたい。
  57. 上原正吉

    国務大臣上原正吉君) 予算が少ないためであるということであれば、予算閣議に私も列席いたしますから、そのつもりで努力をいたします。
  58. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  59. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  それでは午前はこの程度とし、午後は一時に再開いたします。  暫時休憩いたします。   午後零時十一分休憩      —————・—————   午後一時十六分開会
  60. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それではこれから委員会を再開いたします。  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る十八日衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。なお、本案提案理由説明は二月十五日に聴取いたしました。  それではこれより本案質疑に入ります。なお、関係当局からの御出席は、藤山経済企画庁長官、澄田経済企画庁官房長、田中同調整局長事務代理、中西国民生活局長、向坂総合計画局長、鹿野総合開発局長、以上の方々でございます。御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して二、三お伺いしたいと思いますが、最初、この改正案の要点がまとまって提案されておりますが、そのことについてまずお伺いいたします。  この法案を見ますると、農林省の定員三人を経済企画庁に振りかえて、山村振興法関係の事務の効率化をはかる、こういう意図のようであります。そこでお伺いしますが、こういうことになると、山村振興課のいわゆる定員増はないことになりますが、それと、山村振興課は現在何人で構成されておるのか、そのうち兼任職員は何人か、こういう具体的な小さな問題ですから局長からひとつ……。
  62. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) ただいまの山村振興課は全部で九名でございます。課長一名、補佐一名、主査三名、専門調査員二名、係官二名ということで全部で九名でございまして、現在、経済企画庁の定員としては課長一名が定員になっておりまして、ほか八名のうち五名が農林省建設省からの併任ということで、一緒に手伝いに来てもらっておるというのが実情でございます。
  63. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案が成立いたしますと、山村振興課の職員の半数が専任になるわけですが、ほかの者は引き続いて兼任であるわけだと思うのですが、こういうことでは事務の円満化ははかれないのではないかと一応考えられるわけですが、こういうことで山村振興事務に支障がないのかどうか、こういう点について。
  64. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) いま申し上げました九名おるわけでありますが、その中の併任五名のうち三名を経済企画庁の定員に振りかえる、全体としては実働員九名は変わりませんが、併任で来ておる方々が企画庁の定員の職員としてやっていただくということで、心がまえその他から若干違った面が出てくるということで、こういうふうに定員を振りかえたことによって山村振興課としては非常なプラスになると考えておる。九名ということでやっていくことについて、山村振興課の事務の内容等に対してどうかという問題がございますが、課長以下九名がいまのところ一生懸命やっておるわけでありまして、現在、事務には差しつかえなくやっていける見通しでございます。
  65. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほども申し上げたように、提案理由を見ますると、農林行政に経験の深い者を特に必要とする、そういう実情にあるように思うわけです。そこで、それはわかりますが、農林事務官四人のうち、三人だけを専任として、あとの一人は依然として兼任として残しておくということはいかがかと思うのです。その点はどういうふうにお考えですか。
  66. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 先ほど申し上げましたように、併任五名のうち、農林省が四名、建設省が一名でございますが、その五名のうち、農林省のほうの玉名を振りかえていただくということでございます。それぞれ各省の関係もありまして、いろいろ各省と御相談の上、三名は農林省のほうとしても割愛して山村振興のほうの専任の定員としようということで、話がまとまったわけでございます。なお、一名ずつそれぞれ併任という形で各省から応援をいただいておるような形でございます。何ぶんにも事業内容が非常に各省にまたがり、また、それぞれの事業遂行に各省が各省のお立場でおやりになる、それを経済企画庁としては総合的に調整をしながら、山村振興全体の総合的な振興をはかっていくということをいたしております。併任という形でいろいろ手伝っていただいても、各省それぞれの、農林省であれば農林省との御連絡、そういう点がございまして、併任という形でやっていただくというのもある意味では連絡が緊密になっていいという面もございます。ただ、課の中心になる職員として課長以下せめて三名の振りかえをということでお話し合いをしたわけでございます。このような事情です。
  67. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、経済企画庁の性格から見て、いま御指摘いたしました山村振興法とかあるいは離島振興法ですね、こういう実体的ないわゆる法律の所管についてはどうも問題があるのじゃないかと考えられるわけですけれども、こういう法律があるにもかかわらず、経済企画庁の所管となっておる、こういうことはどのような角度からの意向であるのか、こういう点について承りたい。
  68. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御指摘のように、企画庁は実体的な仕事をしないのがたてまえでございます。ただ、離島振興とかあるいは山村振興とかいうものは非常に広範な部面を持っております。で、各省のそれぞれの単一所管にするわけにいかぬ状況でございまして、全体をまとめて調整していかなければならぬ。したがって、たとえば山村振興の問題にいたしましても、林業あるいは農業というようなものの近代化をするというような農林省方面の仕事もございますし、また、山村の生活環境を整備する、あるいは生活改善をしていく、あるいは無医村なりそういうところに医者を置いていくというようなことを総合的に考えてまいりませんと振興になりません。したがって、そういうような企画立案をいたしまして、実際の仕事は各省が予算をとってそれぞれその総合調整された企画庁の課の中で仕事をしていただく、こういうような形で運営されておるのでございます。
  69. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、山村振興法の施行状況ですね、これはことばをかえて言えば、山村振興計画の策定ということにもなろうかと思うのですが……。それから新市町村の指定、これについても現在どのようになっておるのか、その概況をひとつ御説明いただきたい。
  70. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 山村振興は、山村という要件を備えたものから振興山村を指定して、それについて振興計画を立てて振興をはかっているわけでございます。山村の要件といたしましては、一応政令で定めてございますが、林野率が七五%、人口密度が一町歩当たり一・一六人という一つの基準がございます。そういう要件に該当する山村は全国で新市町村単位でいいますと約千三百四十ほどでございます。旧市町村でいいますと二千二百くらいになりますが、その千三百四十くらいの山村の要件を備えた山村のうちから、振興山村を指定していくわけでございます。総合的な計画を立てて振興していく山村を指定していく。振興山村の指定として本年度七十二町村について申請がございまして、それの指定を行なったわけでございます。その七十二の町村につきまして、今後振興計画を都道府県の知事においてつくられまして、それについて政府の承認を求めてくるという形になっておるわけです。ただいま都道府県において振興計画の作成をしている段階でございますが、大体四月末から五月にかけて振興計画が出てまいり、それを山村振興対策審議会にかけ御意見を聞き、各省とも御相談して、各省と御協議の上、政府として承認をしていくという形になって、それを本年度予算の面でいろいろ要求し、計上をお願いしている事業をもって振興をはかっていくという段取りになっております。
  71. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この山村振興計画と国土総合開発計画あるいは地域振興計画、それとの関係はどうなっておるのか、この際承っておきたいと思います。
  72. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 山村振興計画はどちらかというと、旧市町村単位で一応の計画を立てますから、部分的にはかなり何といいますか、面積的に小さな計画になると思いますが、ただ、山村振興法の第三条にも明記されてございますが、山村振興計画は国土総合開発法に基づく全国総合開発計画その他のいろいろ地域立法がございますが、その地域立法による地域開発計画との調和を保ちながら計画を樹立し、それを遂行していくというふうに法律に明記されております。そういう趣旨に沿いまして、私どもこれから振興計画の承認にあたりましても内容十分検討して、国土総合開発その他の計画と十分調和のとれたものにしていくように指導してまいりたいというふうに考えております。
  73. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 四十一年度におけるこの山村振興法関係予算は一体どのくらいかということと、四十一年度における山村振興法以外の山村振興関係の各省庁にこれは予算は見られるわけですが、そういう額、それからその内容の概要をあわせて承りたいと思います。
  74. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 山村振興関係の四十一年度の予算のうち、経済企画庁に直接計上されましたものは、山村振興関係の調査補助金でございまして、これが三千三百六十一万三千円計上することでいま国会に御要求申し上げているのでございます。これは山村のいま申し上げました指定あるいは計画を立てる前提となる調査でございます。それから農林省予算といたしまして、山村振興地域についての特別開発事業費を二億二千三百七十七万六千円計上されてございます。これは指定山村地域におきましての農業基盤の整備その他農業の近代化等の諸般の事業でございます。大体一地区平均三千万ぐらいの仕事を四年間ぐらいでやっていくということを目途にいたしております。それから同じく農林省予算といたしまして、農道の予算が、これは農林漁業用揮発油の見返りの事業といたしまして三億五千万計上されてございます。これは農林省の全体の予算六十二億五千万でしたか、くらいの中の一部になっておるわけでございますが、指定山村の予算として内定いたしておる数字でございます。それからさらに同じように、林道につきまして、農林漁業用揮発油の見返り事業といたしまして二億円予算が計上されております。さらに建設省のほうに道路予算で指定山村のうちの市町村道を改修していくということで九億六千万計上されております。これらが予算の中で特に山村の予算として、予算書のほうでは明記されておりませんが、内部的な内訳といたしましてかなり明確になっている予算でございます。その他各省には、簡易水道とかあるいは文部省の僻地教育の関係とか、あるいは厚生省の厚生施設関係、あるいは郵政省でも有線放送電話とか、いろいろの予算がございますけれども、これらにつきましては、いわゆる山村地域全般にわたる予算としてかなり大きな予算が計上されております。特に指定山村について、山村振興計画に基づいてやっていくという予算は、さきに申し上げました農林省の特別開発事業の二億二千三百万と、林道の二億円と農道の三億五千万、市町村道の九億六千万というものが中心でございます。
  75. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年、経済企画庁の内局として、国民生活の安定とか向上に関する総合的な施策を推進する意図をもって国民生活局が新設されたわけですが、そこでお伺いいたしますが、その後の活動状況は一体どうなっておるのか、その概要を御説明いただきたい。
  76. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) その後の半年以上の経過でございますが、一番大きな問題としましては、国民生活審議会の御審議の事務的な内部固めの作業をやっております。その場合に問題になりますのは、世界各国の事例等も集めてやっておるのですけれども、わが国国民所得の水準がだんだん上がっていきます場合に、たとえば一五〇〇段階あるいは二〇〇〇段階というふうに上がっていきます場合に、その際の生活諸要素といいますのは、衣食住のみならず、生活環境等も含めまして、それぞれのバランスがどういうふうにあったらいいだろうかというようなことについて、政策的な配慮と計量的な配慮とを加えまして作業を進めておるわけです。で、政策部会と計量部会と消費者保護部会と三つの部会がございますけれども、それぞれ月二回ずつ開いて今日まで十数回開いておられます。われわれの目標としましては、御審議の経過によりましょうが、ことしの秋ごろまでには、何らかの形の御答申が期待できるのではないかというふうに思っております。さらに消費者保護部会の関係は、地方に出向いて地方の実情も見ていただくというようなことで、大阪で開いたのでありましたが、その後交通事故の問題、尼崎で交通事故がありまして、あるいは川崎の住宅の災害がございまして、それぞれについて関係省庁の仕事のしかたについての調査あるいは勧告というようなことで、御活動を願っているわけです。  物価問題はもうすでに御承知だと思いますが、生活局ができます前から経済企画庁で取り上げておったことでございまして、われわれの局にそれが移りまして、今日に至っております。四十年度の予算、四十一年度の予算編成時にいろいろ内部的な作業でございますけれども、関係省庁予算要求のしかるべきものは応援する、特に公正取引委員会の機構の拡充等についても、われわれも事務的にもバックアップするというようなことを重ねて今日に至っております。特にその間に各都道府県との連絡等の仕事もやっておりますが、全体で十四、五県に、国民生活という名前は必ずしも統一されておりませんが、消費者行政あるいは物価というような観点での考え、あるいは担当の参事というようなのが設置されてきております。四月一日からさらに四つばかりの県につきまして設置しております。その活動状況は県によっていろいろまちまちでございますけれども、いままでやっておったような陳情なり要望を受けて仕事をするということでなしに、出向いて行って、実際の生活上の請問題を把握していく、商品についてのいろいろ苦情もございますし、そういう点を把握していって、各地方庁の中の行政各部の活動に新しい視野なり、ものの考え方を注入していく、そういう態度でそれぞれの分野で活動してきておられます。まだ刮目すべき結果は十分得られておりませんが、そういうことを根強くやっていく過程において成果も上がってくるのじゃないか、かように思っております。
  77. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 関連がありますからお伺いいたしますが、先ほど御指摘のございました国民生活審議会ですね、これはいままで何回ぐらい持たれて、どのような方向にいまいっておるのか、そういう点を簡単に御説明願います。
  78. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 御指摘の点は、先ほど部会について触れましたが、部会のほうは月二回ずつ程度開いて今日に至っております。で、総会のほうは先ほど申し上げましたタンクローリーの事件あるいは川崎の事件あるいは予算の編成にあたって、あるいは物価対策というような観点で建議をいただいております。五回程度開いております。近く総会をまたお願いするという運びになっております。
  79. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままで続いてきました中期経済計画を廃棄して新たに長期経済計画検討着手しておるというふうに承っておるわけですが、その計画期間とかあるいは性格づけですね、こういうことについてひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  80. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、中期経済計画が今日著しく策定のときと状況が変わっておりますので、これをあらためて改定する必要を感じました。そこで、ちょうど多くの統計が三十五年を基準にしてやっております。五年ごとに更改しておりますので、ことしは四十年でございますから、ちょうど更改の時期に当たっております。新しい推計をもちまして、そうして計画の立案の基礎としてまいりたい、こういうふうに考えております。  そこで、どのくらいな中期経済計画あるいはまた、新しい長期計画というお話がございましたけれども、そう長期なものをつくろうという考え方は持っておりません。したがって、中期と呼びますか、呼び方は何といたしますかはわかりませんが、まあ五年を中心にして考えてみたいということで、実はこの四月からその新推計がそろいました上で作業をやってみたい、こういうことを考えておりますので、この経済計画は経済審議会等にもかけなければなりませんので、それらの御意見も承って何年くらいが適当かということもきめてまいりたいと思います。大体私どもの腹としては五年前後という気持ちで皆さんの御意見を聞いてみたい、こういうことでございます。内容につきましては、今日の経済状況を基本にいたしまして、まあかつての計画もみなそれぞれ安定的な成長ではございますけれども、しかし、さらにそれの弊害、いわゆる所得倍増計画あるいは中期経済計画の過去における事態が必ずしも安定成長を所期してきておりませんので、われわれは、できるだけ強くそれを中心にして打ち出していきたい、こういうふうに考えております。それからこの経済計画というものをつくりまして一番大切なことは、私はやはりその実績と計画との絶えずにらみ合わせをやっていって、そうして計画にありますような数字以上に数字が動いた場合、それはある程度押えていかなければならぬ、数字以上に年度が落ち込んだ場合、それは助長して、その計画の線に持っていくような、そういうようなレビューをやりながら政策の上でもそういう状態にすることを意図していかなければ計画遂行というわけにはいかぬと思うのです。正しく計画が進んでいかない。ですから、そういう面で今度の計画というものはある程度経済計画の指針として毎年そういうものをある程度レビューしながら、しかも状況も変わりますから若干の数字変更等も必要があればやっていくというような考え方で今度の計画というものをつくってみたい、こういうような気持ちでおるわけでございます。目標は安定成長であって、均衡のとれた経済の発達ということを目標にしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  81. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ことしの一月中に読売新聞の投書欄をずっと目を通してきたわけですが、これによると、国民の声として千八百二十八通ですかあったわけですが、これは国民の切実な気持ちを反映して、いまだ読売新聞のこの面で、いままでに見ない数多くの投書が激増しておったわけです。で、そのうち特に圧倒的に多いのは、一つは一九六六年に望むものとして、物価値上がりにあえぐ国民生活の解消ということと、これは経済企画庁関係ございませんけれども、試験地獄の解消、この二つの項目がきわめて多かったわけです。圧倒的に多かったわけです。このことに関連して政府は、四十年度の消費者物価の上昇率を四・五%に押えるということを一応公約されておるわけです。にもかかわらず実際には、まだ本年度終わりませんけれども、大体七・七%くらいになるのではなかろうかと、そういう見通しを持たれておるわけです。だいぶ開きがございますが、これは一体どういうところからきておるのか、こういうことについてあわせて御説明いただきた。
  82. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 四十年度の予算を編成いたしますときにお話のございました四・七%程度に物価を押えるという方針をきめて予算編成をやったわけでございます。ところが、その後の事情が変化してまいりましたので、昨年の十一月に七・七%程度であろうということを私ども予想したわけでございまして、この範囲内には本年度はおさまると考えておるのでございます。その理由は、これはいろいろな理由がございますけれども、過去における経済成長のゆがみ、ひずみというものが非常に端的にこの不況時にあらわれてきたということがいえると思うのでございまして、そういう結果として政府が予想いたします以上に開きが出てきた、そういうふうに私どもは考えておるのでございます。
  83. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止〕
  84. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) じゃ速記を起こして。
  85. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお引き続いてお伺いいたしますが、四十一年度は経済実質の成長率を七・五%として積極大型予算を編成して、いわゆる不況対策に臨んでおる、そういうことでありますけれども、不況対策は物価高騰に拍車をかけるものとわれわれは考えておるわけです。そういう観点からお伺いするのですが、経済成長率に見合うところの物価上昇率を大体五・五%ですか、そういうことにしていますが、この程度に押え切れる自信がおありなのかどうかということと、本年度の例から見てもどうも危ぶまれるわけですが、大体こういう点に押えた根拠を中心にお示ししていただきたいと思います。
  86. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまお話のように、本年は不況克服という意味で大型予算ができております。ただ、その大型予算の使い方が、行政費はできるだけ節約するとか、あるいはむだな補助金等は節減するということで、その予算の重点を今日まで立ちおくれております——公債も発行したことでございますし、公債は公共投資を眼目として出しておるのですから、したがって、立ちおくれております道路ですとか、環境設備ですとか、治山治水でありますとか、輸送関係ですとか、そういうものにつぎ込んでいくわけです。したがって、こういう面に予算がつぎ込まれますことは、たとえば道路がよくなるということになりますと、輸送費が節約されてくる。ということは、物価の上には悪い影響は与えないということになります。したがって、今回使われます予算内容というものから見て、物価に悪影響が及ぶものではないと、こう判断いたしております。それから、同時に、政府支出によって景気を刺激してまいりますと、民間の投資は行なわれませんが、政府支出で景気を刺激してまいりますと、やはり経済は活発になってくる。経済がなぜ不況かと申しますと、過去の設備投資が非常に過大であって、そうして今日では工場その他の稼働率が六〇%、ひどいものは四〇%しか稼働してないというようなことも行なわれております。したがって、これが一〇〇%稼働するようになることはどうかと思いますが、七〇%でも八〇%でも、それぞれの設備が稼働をしてまいりますと、それだけやはり生産性が向上してくる、コストが安くなってくるという関係が出てくるわけでございまして、いままでのように、ただ単純に需要、供給の関係で非常に物価が上がったというところに拍車をかけて、需要をつけますければ、なおさら、供給が足りないのですから物価は上がってまいりますけれども、むしろ需要をつけてやることによって供給できる能力が——死蔵されているものが活用されてまいりますから、その面も景気をつけたわりには物価に影響しない。むしろあるものについてはフルに稼働するような、あるいはフルに近いような稼働をしてくれば、生産コストは下がってくるというようなこともございますので、まず本年この程度予算を使いましても、本年内ではそれが著しく物価を刺激するというような状況にはないんではないかと、こう考えております。ただしかし、今日まで、先ほど申し上げましたように、ゆがみ、ひずみから起こっている問題がたくさんございまして、しかもその中で合理化のできないような中小企業というようなものが、労働力の平準化ということのために、初任給等高いものを払わなければならない、こういうような関係からして、ある部面においては、労働賃金が合理化によって吸収でき得ないものがございます。ですから、そういう面が今日非常に大きく拡大して出てきておりますので、その面からは、いきなり二%だの一%とかいうところには私は持っていけないと思います。がしかし、少なくとも五・五%前後までには、政府の施策よろしきを得ればいけるんじゃないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  87. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御説明のあった五・五%の中には、消費者米価とか、あるいは国鉄運賃、それから近く値上げが計画されておる郵便料金、こういうものの値上がりも織り込まれておるのかないのか、こういう点を明らかにしていただきたい。
  88. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者米価と国鉄、郵便料金等はある程度見通しをつけております。ただし、その他のものについては、特に全部が包含されているというものではございません。
  89. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 結局、消費者物価の安定ということは、何といっても国民生活にとって緊急を要する課題であろうと思います。この安定については、基本的に考えられることは、まず中小企業の振興とか、あるいは農業の生産性の向上、こういうことをも十分あわせ考えなければならぬ問題で、こういう基本問題については、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  90. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 伊藤委員の御指摘のとおりだと私は思います、農業だとか中小企業は。と申しますのは、過去六年の物価騰貴の、この値上げ上昇率を見ておりますと、過去五年間に六・二%平均上がっております。その中におきまして、平均六・二%よりもよけい上がっておりますものが、農水産物と中小企業の製品と、それからサービス料金なんです。これはみんな平均よりもよけい上がっていると思う。ですから、いまの御指摘のように、中小企業の合理化、近代化、設備の改善、そうして生産性向上をはかるというようなことは、中小企業製品の物価対策としては非常に必要なことである。それから農水産物につきましては、申すまでもなく、農業所得と都市勤労者の所得との格差を縮めてまいりますから、必然農産物の価格が上がってくる。しかし、それにいたしましても、農村としては、安定的な価格でこれを生産し販売できれば目標がつきますので、農家経済が安定した収入を確保することができるわけでございますから、暴落、暴騰のないような農産物の対策をやっていかなければならぬ。で、流通過程の問題は、これは非常に大事な問題でございまして、輸送関係、これは道路整備あるいは運輸機関の整備というようなものをはかっていく、こういうようなことで、やはりお話のように、私ども伊藤さんと同じように、重点はそこにあるのじゃないかと、こういうふうに考えております。
  91. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このいまの問題にも関連ありますが、政府としては、物価安定、それから不況、この二つを同時に解決していくのだというふうに表面的には見受けられるわけですけれども、ほんとうの本心は、物価安定よりも不況対策に重点が置かれて、これを優先的に施策を進めているのではなかろうかと考えられるわけです。この点はいかがですか。
  92. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 本心は全く両方を一緒に推進していくということでございますし、私ども企画庁におります者としますれば、重点はむしろ物価対策に重きを——ウエートをかけていきたい、それが景気を刺激してまいります上におきまして、将来物価対策を怠ってまいりますれば、景気刺激された状況において、なお悪い経済状況が出てくるのじゃないか、こう思いますので、できるだけ物価対策にウエートを置いてやってまいりたいと、こう思っております。
  93. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本心は両面だという意味の御答弁があったわけですけれども、この物価安定の経費は、新年度の予算によって見受けられるのは、ほんのわずかしか物価安定の経費としては計上されていないわけですね。もし物価安定に最重点を置いて、これを優先的にやろうということであれば、いま少しまとまった予算化が必要ではなかろうかと思います。そこで私どもとしては、物価が安定しなければ景気の回復も望めないということで、物価安定することは即不況対策の一つの柱となる、そういうふうに考えているわけなんですが、この点はいかがなんですか。
  94. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価を安定させながら経済を不況から脱却させるということで、ただ今回の予算は、先ほど申しましたように、景気を刺激する一つの方法として、道路でございますとか、港湾でございますとかあるいは住宅に大きなものをつぎ込んでおりますので、これはやはり物価対策の面にも効果はあるものでございますから、景気を刺激しながら物価対策にも役に立つものに、予算も重点的に置かれております。したがって、そういう意味において、予算全体としては、私は物価対策に相当力を入れている。ただお話のように、直接のたとえば小売りチェーンをつくるとか、そういうものの予算も近年において、ついてはおりますけれども、それだけで物価対策の予算ではないので、全体として見ていただいて、物価対策の方策が予算の上ににじみ出ているということを御理解いただきたいと、こう思います。
  95. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 四十一年度の物価対策で、従来のそれに比べて異なる点があるのかないのか。もしあるとすればどういうようなことか。こういうことについて、この際承っておきたい。
  96. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 農業あるいは流通機構等の問題につきまして、生活局長から若干予算の御説明を申し上げたいと思います。
  97. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 従来と変わりましたと申し上げるその意味合いを二つに分けまして、一つは、従来からやっておったけれども、さらに重点を置いたというのと、新しく柱を立てたと、二つあると思いますが、野菜の流通対策あるいは産地の育成関係、これは、従来のベースで見ますと、四十七、八年ごろまでかかる計画であったはずですが、それを緊急の事態ということで、四十三年までに指定産地等の整備ができるようにということで、計画を組みかえて、金額もそれに相応してふえたということが一つございます。それから、食肉の関係では、需給事情の逼迫が非常にはっきりしてまいりました。この際、生産対策から力を入れる必要があるのではないかということで、これもきわだった特色のあるものであります。予算もほぼ倍程度ふえておるわけです。それから、全く新しいケースとしましては、先ほど来お話に出ておりますコールドチェーン関係でございます。金額は、農林省関係で一億三千万円、科学技術庁で二億ということで、まだ、いわば中間試験的なものでございますけれども、ここで地固めをしておくということで、新しい柱であります。それから、ボランタリー・チェーンの育成ということで、新規の項目が立っております。それぞれ希望の向きも非常に多いようで、開銀からの融資も用意しようということであります。同じく開銀からの融資なんですが、LPGの備蓄用のタンクをつくる資金を手当ていたしております。冬になりますと、需給は逼迫しまして価格が上がる傾向がございます。そういうことがないように備蓄をさせようということでございます。それから、流通全体を通じまして、コンテナの開発、あるいはパレットのプール・システムの開発ということが着目され始めました。もっとも、パレット・プール・システムについては、調査費でございますけれども、計上いたしまして、関係の多くの業界が別々にパレットを持つのでなしに、プールして、それを運営する。そういうことをすれば、流通経費が非常に下がってくるのではないかということに着眼しまして、関係業界、運輸省等が開発をしようとしております。全くこれは新しい柱であります。そのほか、従来は若干ずつの人員増加でございましたけれども、今度は公正取引委員会の定員について、飛躍的な拡充をはかったというようなことも加えて申し上げていいかと思います。  以上でございます。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、時間の関係もございますので、最後に一点だけお伺いして、本日のところは私の質問は終わっておきたいと思いますが、これは私ども社会党が考えているわけですが、物価安定基本法を^これは仮称ですが、こういうものを制定して、強力な権限をもった委員会を構成する。そうして消費者代表で委員会を構成していく、そこで諸物価の安定策を十二分に審議して、その結果を政府並びに国会に勧告する、こういう一つの構想を私ども考えているわけですが、こういう考え方について、大臣の御見解はどうですか。
  99. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価安定のための強力施策ということは、われわれも考えなければならぬことだと思いますし、民間の方々の意見を聞かなければならぬという考え方はございます。ただしかし、仮称物価安定法というような種類のものをいまつくって、お話のようなことでございますと、行政委員会的な機能をもった委員会ではないかと思いますが、そういう種類のものを日本の行政の上で置くことが適当かということについては、私ども必ずしも賛成しかねるところでございます。そこで、われわれも広く意見を聞かなければなりませんので、企画庁には、現在物価問題懇談会をつくりまして、そうして消費者代表、あるいは労働組合の代表、あるいは学識経験者、あるいは農村の代表、企業経営者の代表等を入れまして、そして各方面の意見を総合的に伺いながら、政府の物価対策の上に資してまいりたい。そして同時に、内閣におきましても、物価問題関係閣僚懇談会をつくりまして、そうしていまの物価問題懇談会等から出ましたもの、あるいは各省からの問題につきまして、臨時物価問題閣僚懇談会等で最終的な決定をして、責任をもってそれを遂行するということにいたしておりますので、いま直ちにお話のような機関をつくるということについては、私どもとして考えてはおらぬのでございます。
  100. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私のいま申し上げたのも、社会党としてはこういう構想を考えている。だからこれを取り上げて早急にこれを実現に移してほしい、そういう意図でお伺いしていることではなくして、物価問題が目下国民生活の非常に緊急解決を要する大きな課題であるということには間違いない。そういうことで、これの解決にはわれわれの言うことにも耳を傾けて、十分とるべきものをとり、そうして総合的ないわゆる国民のための国民の政治という方法で、前向きに十分検討する必要があろうかと思います。ひとつそういう意味で真剣にこういう問題をも取り上げて、前向きの思想で検討を進めてほしいということを強く要望しながら、そのことに対するお考えをいま一度お聞かせいただきたい。
  101. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話のように、物価問題は非常に重要な問題でございまして、何としても今日のような状況が続いてまいりますことは、個人の生活においても非常な重大な問題でございます。同時に、これが続いてまいりますことは、国民経済の上に大きな影響を与えると思います。したがって、これは安定さしてまいらなければいかぬと思います。したがって、各方面の御意見を十分伺いながら仕事をしてまいりますことは、私どもは非常に大事だと思いますので、そういう心組みでおります。幸いにして、衆参両院で物価問題特別委員会をおつくりくださいまして^この委員会等の御意向等も十分承り、また御協力をいただきながら、われわれはやって、万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  102. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  103. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  ほかに御発言もないようでございますから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時十分散会      —————・—————