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伊藤顕道君 「
外国政府職員となるため」という条件は明確であって、そして官の
命令とか勧奨によって
公務員を退職しと、そういうことが条件でないということを御
指摘申し上げたわけですが、それに対して、官の
命令あるいは勧奨によって
公務員を退職したということについては、そのとおりであるから、ある
程度の強制があったのじゃないかと、そういうふうな
総理府として都合のいいときには拡大解釈をし、
総理府として都合の悪いときにはきわめて縮小した解釈をする、こういうことでは論議にならぬと思うのです。やはりどう
考えても処遇上差別をする
根拠があるならそれは話は別ですけれども、
根拠はどうもきわめて薄弱の
理由で、ただ
最初に
恩給公務員であったかどうかということにとらわれておるわけです。これではなかなか問題は
前進しないと思うのです。四十三
国会で全会一致で
現行法の
改正を認めたのは、こういう経緯があるわけです。理論的には当然
完全通算すべきであるけれども、財政上の
立場から漸進的に実施するものと了解して、
附帯決議を付して成立させたという経緯があるわけです。その後の経済力とかあるいは財政力も進展しておりますし、最近やや財政の不如意という事情はあるにしても、国全体としての経済力、財政力は非常に伸長しておる、これは佐藤内閣は明確に打ち出しておるところなんで、われわれは信用せざるを得ないわけです。そういう状況にあって、しかもこの満・日の場合を
解決するにしてもいかにも筋が通っておる、理論的に正しいことでもばく大な国庫
支出をする必要がある、こういうことならまた話は別で、これは事情はよくわかる。筋はよく通った要求であるけれども、国の財政これを許さないから漸進的に進みたい、こういうことなら話はわかるわけです。ところが、私どもの調べによると、満・日の
完全通算を認めた場合でも、
満州国、満
鉄等の
特殊法人職員合計で国家
公務員の経費年額は二百万足らずだ。わずか二百万足らず。このうちには、きょうは御
指摘申し上げませんけれども、抑留とか留用
期間の
通算を認めたとしても、こういうものを含めても二百万足らずであるということ、こういうことであるので、これがけた違いに、二百万でなく二百億とかそういうばく大な経費を要する問題であるならまた話は別なんです。これは満・日の
ケースを抑留、留用の
完全通算を含めて計算しても該当者は少ないわけです。わずか二百万で問題は
解決するわけです。わずか二百万だから何でもやってやろうと、そういうことではなくして、四年間も繰り返し繰り返しこの問題を追及している。こういうしかじかの
根拠がある。あまりにも日・満あるいは日・満・日と比較して不公平ではないか、片手落ちではないか、こういう
根拠を具体的にあげて要求しておるわけです。しかもこれ、経済上、財政上国の事情がこれを許さないというなら漸進的にまず
恩給のいわゆる
最短年限を認めて、次の時点で完全に認めよう、こういうことも
一つの政策であるわけです、いい悪いは別として。ところが、こういう問題がいまだに以上申し上げたような事情があるにもかかわらず、これが不問に付されておるということについては全く遺憾の意を表さざるを得ないわけです。ところが、実情はこうなんです。満・日の
ケースのものについて
考えると、内地の
公務員となって十数年もうすでに経過しておるわけです。したがって、内地の
公務員期間のみで
恩給年限に達している者が大多数なんです。したがって、現職者の大部分は
現行規定によって何ら恩恵を受けていない、これが実情なんです。満・日の場合は
恩給の
年限に不足分、いわゆる
最短年限を加算している、こういう優遇をしておるのだ、こういう
措置を講じておるんだと言われても、現職
公務員は何ら恩恵を受けていない。もう、内地の勤務だけで完全に
恩給年限に達しておるわけです。
終戦後から
通算して。
恩給は十七年ですから、もう完全にその
年限に達しておって、こういうようないろいろ口角あわを飛ばして
国会で論議しておる問題を、表面はいかにも恩恵らしく
政府は吹聴しておりますけれども、何らの実質的な恩恵はないわけです。形式的にはもう人事対策としてほんとうに恩恵処遇のごとく見えるわけです、表面は。これはもうすでに前に退職した人のみが受ける恩恵であって、現職者は全く恩恵を受けないのが現状であるということ、ここにも不公平、不
合理があるではないかと
指摘せざるを得ないわけですね。日・満・日、日・満の場合は
完全通算になっている。いま申し上げたように、現職
公務員についていうと、満鉄にたとえば二十年、三十年勤めた人でも一年も恩恵に浴しない、こういうことが言える。現実にそうなんです。引き揚げてから十七年たった方はこちらで
恩給がつくわけですから、したがって、満鉄時代あるいは
満州国——
満州国は歴史が浅いから三十年ということはあり得ないわけですが、満鉄は歴史が古いわけですから二十年、三十年の人はざらにいる。その二十年、三十年が全く一年も恩恵に浴さない、現在の
公務員は何ら恩恵を受けていない、ところが、繰り返し申し上げますが、日・満とか日・満・日の場合は、二十年が二十年、三十年が三十年として
通算されておる、片や満・日の場合は一年も
通算されていないというのが現実なんです。これは表面と実質ではだいぶ話が違ってくるわけです。不足分だけ
通算するからいいではないか、これだけでも非常な恩恵だとおっしゃるけれども、何ら恩恵を受けていない、一年も恩恵を受けていない、ここにも不公平、不
合理があるではないかということを
指摘せざるを得ない、この点はいかがですか。