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1966-03-29 第51回国会 参議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午前十時五十九分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 小沢久太郎君                 古池 信三君                 白井  勇君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 野上  元君                 横川 正市君                 田代富士男君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    政府委員        郵政政務次官   亀岡 高夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省電波監理        局長       上田 弘之君        郵政省電波監理        局放送部長    館野  繁君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会技        師長       三熊 文雄君        日本放送協会専        務理事      赤城 正武君        日本放送協会専        務理事      浅沼  博君        日本放送協会専        務理事      野村 達治君        日本放送協会理        事        志賀 正信君        日本放送協会理        事        長沢 泰治君        日本放送協会理        事        佐野 弘吉君        日本放送協会総        合企画室総務   野村 忠夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  本日も前回に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審議を行なうことになりましたので、御了承願います。
  3. 田中一

    委員長田中一君) それでは、これより議事に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 久保等

    久保等君 NHKのほうにお尋ねをいたしますが、明年度予算案で特に経営近代化を積極的に推進したいということを記述しておられますが、今日までそのことについて、いろいろと施策を講じてこられているようでありますが、特に明年度考えておられる近代化に関する具体的な施策、それからまた、昨年あるいは本年度あたり、このことについて具体的にどういうことを推進してこられたのか、そのことを御説明いただきたい。
  5. 野村達治

    参考人野村達治君) お答えいたします。  経営近代化につきましては、昭和三十六年に考えをまとめまして、三十七年度からの六カ年計画で、かなり急膨張いたしておりますNHK業務の今後に対しましてそれを処理するという考え方で、六カ年間に経営近代化をはかろう、主といたしまして、機械化中心といたしまして経営近代化をはかっていこうということでスタートいたしまして、三十七年にEDPS、いわゆる電子計算機組織導入考えまして、その適用をどういったところからやっていこうかということで考えをまとめましたわけでございますが、実際に本格的に実施をいたしましたのは、加入経理職員といったようなものにつきまして、三十九年度から、実施をしていくということを行なっております。その後、こういったものは逐次行なわれておりますので、次の問題といたしまして、三十九年度の中ごろから、番組実施システムといたしまして、番組制作関連のありますことを、これは世界にも例のないことでございますので、そのシステム考え方をきめまして、四十年度からその設計に入りまして、現在その仕事を進めているわけでございます。これの目的といたしますところは、番組制作関係のあります編成でありますとか、あるいは番組のスケジュールの制御、あるいは、もちろんその中には施設、機械要員、あるいは予算といったようなものがあるわけでございますが、それと番組の送出、あるいは番組の評価といったようなことをひっくるめました番組実施システムといったものを現在考え、詳細、設計を移しております。これの実施いたしますのは、ちょうど放送センターの第二期工事の完了いたします時期を目当てにして行なっているような状態でございます。
  6. 久保等

    久保等君 ただいまの番組編成に関する機械化と申しますか、電子計算機等導入によって行なわれようとしているのでありますが、それ以外に事務近代化といいますか、そういった関係のものがあるのじゃないですか。
  7. 野村達治

    参考人野村達治君) お答え申し上げます。  それにつきましては、一番最初に行なわれました三十七年のときに考えをまとめましたものが、営業関係加入あるいは集金事務といったようなことに関連いたしますもの、それと経理事務あるいは職員関連しました事務、そういったもののことは、すでに現在実施に移しているわけでございます。
  8. 久保等

    久保等君 四十一年度のこの事務近代化、その他番組編成一切を含めての近代化に関する計画、それから、それに要する経費ですね、そういったものを少し具体的に御説明いただけませんか。
  9. 野村達治

    参考人野村達治君) 四十一年度経費といたしましては、約六億九千万円を予定いたしております。これのかなり部分計算機レンタル料でございます。やります仕事は、現在続いております営業関係EDPSのこと、あるいは経理事務、あるいは職員システムEDPSといったこと、並びに、新たに四十三年の六月から実施予定しております番組実施システム設計ということは、この中に含まれておるわけでございます。
  10. 久保等

    久保等君 その六億九千万円の、もう少し具体的な内訳をちょっと言ってもらいたい。
  11. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 六億九千万円の本年度計上いたしました予算につきまして、内訳を御説明申し上げます。  そのうち、四千三百万円が建設費でございまして、主として機械室の改修及び受信者動向情報インプット用専用タイプライターの試作二十台ばかりを予定いたしております。  それから六億五千百万円が事業費に計上いたしてございますが、この内容といたしましては、EDPMの借用料がそのうち四億六千万円でございまして、次に、これに使用いたします消耗品類が五千五百万円、それから機械保守関係が三千八百万円、それから新しい機械といたしまして、IBMの三六〇及びIBMの一八〇〇のオンライン端末機器導入費等がこの内容になっております。
  12. 久保等

    久保等君 その機械の借料四億六千万円というのは、アメリカ製あたり機械導入考えておるわけですか。
  13. 野村達治

    参考人野村達治君) 使っております機械は、IBMのものと日本製のものと、両方ございます。
  14. 久保等

    久保等君 それで借り料は……。
  15. 野村達治

    参考人野村達治君) 借り料は、両方とも借用料を払ってやっております。
  16. 久保等

    久保等君 これはいつごろから借り入れをする予定ですか。
  17. 野村達治

    参考人野村達治君) 借り入れ始めましたのは昭和三十七年度からでございまして、これが引き続きずっと借りておるわけでございます。そのうち一部分、当初こういうものを日本製のものにかえまして、一部分アメリカ製のものは返しまして、日本製のものにかえておるわけであります。
  18. 久保等

    久保等君 借り料は結局四億六千万円ということですか。
  19. 野村達治

    参考人野村達治君) そうでございます。
  20. 久保等

    久保等君 合理化と申しますか、そういう機械化による近代化を進めておられることに伴って、要員配置等で何か特別配慮を加えたり、あるいはまた、要員配置を現実に行なったりなどもいたしておるのですか、どうですか。要員配置状況あるいは変遷といいますか、そういった状態について少し御説明願いたいと思う。
  21. 野村達治

    参考人野村達治君) 当初、三十七年度から進めました際には、業務が非常に膨張いたしておりまして、当時の受信者数が一千万ちょっとでございます。テレビジョンの受信者の数が一千万、そのあとの増加状況を予測いたしまして、大体今日の受信者数に近いものを予測しておったわけでございまして、そういたしますと、これに要します、この業務量増大によりまして人間の数を非常に増さなければならないだろう、それを逃げますために、こういった機械化によりまして、人手によって処理すべき分を機械化にセットしようというような考え方で進めておりまして、そういった考え方では、人の異動配置は多少ございますけれどもかなり増大いたしました部分機械にやらせようというようなことで進めてまいったわけであります。
  22. 久保等

    久保等君 当然要員等配置の問題については、いろいろ事前に慎重に準備をして行なわれておるものと理解します。同時にまた、今後もそういったことでいろいろ機械化を進めてまいることだと思いますが、特に要員配置等の問題については、摩擦等の起こらないように十分にひとつ御配慮願いたい。  それから、特に、先ほどの御説明の中にも、まあ集金事務の問題について機械化等を行なっておられる話がありましたが、NHKの財源といえば、何といっても受信料にまあたよって財政的な運営を行なっておるわけですから、集金事務ということはなかなかこれはたいへんな重要な事業だと思うんです。現在集金事務に従事をしておられる方はどのくらいの人数に及びますか。
  23. 野村達治

    参考人野村達治君) 現在集金に従事いたしておりますNHK職員は約九百六十名ぐらいでございます。それから、もちろんそれは外へ出まして集金いたす者でございますが、それ以外に加入事務といたしましては、約、それに匹敵するくらいの人が働いておるわけでございます。
  24. 久保等

    久保等君 同じぐらいですか。
  25. 野村達治

    参考人野村達治君) はい。
  26. 久保等

    久保等君 先般来委員会でも問題になっております、特に受信料の収納問題については、いろいろNHKとしても研究をしておられるところでありましょうし、また、種々努力も重ねておると思うんですが、この問題はなかなかむずかしい面もあると思います。したがって、当然収納すべき分野になかなか手が伸びてないというようなことも、先般移動受信機の問題に関連していろいろと話があったんですが、したがって、まあこれもおのずから人手の問題にも関連してくると思うんですけれども、こういう面については、何か特にこう、今後考慮しなければならない、あるいは打たなければならない手、そういったことについて考えておられると思うんですが、要員なんかの面で考慮を要する問題があるとお考えになっておるんですか、どうですか。その面については現在のまあ要員で十分にまかなっていけると考えておられるのか、やっぱり人員の面でもう少し充実をしてまいらなければならぬというふうに考えておられるのかどうか、まあ集金事務のほうは別としても、加入事務等の問題については、非常に大きなNHKとしては問題だと思いますが、そのことについて、まあ今後の問題としてどうお考えになっておるか、お聞きしたいと思うんですが、関係の方に。
  27. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHKといたしましては、加入関係仕事は非常に重要な問題でございますし、また、日々受信者方々と直接接触するきわめて密接な関連を持つ問題でございます。そういったことで、一方には契約の数が年々増大をしてまいっております。もちろん増の逓減はございますけれども、逐年ふえてまいっております。と同時に、集金の面から申しますと、一般の国民活動実情から申しまして、いろいろと困難な面が増しつつございます。と申しますのは、つとめに出られ、あるいは外部活動に出られるような場合には不在がちのおそれが多いわけでございまして、現在のところでは、こういった同じ一世帯に対します集金の面につきましても、過去から比べますと、かなり集金に要する訪問回数がふえてまいっております。そういったような状況で、そういった仕事複雑増加関係に、人員増のみをもって対処いたしますと、経営上これはゆゆしい問題になろうと思いますので、そういった面を緩和し、かたがた集金の労苦を軽減するということを終局の目標といたしまして、一軒一軒の集金によらないでも、あるいは銀行口座でございますとか、郵便貯金振替制度でございますとか、そういったような面を通じまして、御本人の持っておられる口座銀行口座、あるいはNHKの直接持っております口座、この間の振りかえの操作によって、できるだけ直接集金に回らないでもいいというような面をあわせ考えております。そういった面も漸次この制度を開きまして以来、利用者の数も逐年ふえてまいっておりますし、将来ますますそういった面を考慮しなければならないかと思います。と同時に、今回郵政省関係で御改正になりました振替貯金制度関係につきましても、画期的な低料金で非常な利便な道も開かれましたので、こういった面の開拓を大いにいたしまして、職員による直接集金といったような面を緩和してまいりたいというふうに考えております。
  28. 久保等

    久保等君 加入事務の問題ですが、先ほど、約九百六十名程度職員をかかえておられるようですが、こういった人たちは、平生どういう方法加入事務をやっておられるのか。特に新しく受信機等をつけた家庭等発見をするというようなことで、パトロール的ないろいろ仕事をやっておられる方がほとんどじゃないかと思うんですが、どういうふうな執務状況をやっておるわけなんですか。
  29. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 九百数名の部分集金取り扱い者でございますが、これは主として集金のほうを担当いたしますが、契約のほうの御質問だと思いますが、契約はまた別に専門契約担当者が、私どもにございますサービスセンターに四百六十名ほどおります。それから電力会社ラジオ商の方、それから郵便局委託郵便局、そういうところの方々中心となって契約業務をいたしております。
  30. 久保等

    久保等君 あなた、先ほど加入事務に九百六十名程度というお話だったと思うのですが、まあ、そこのまず人員の問題と、それからもう一つは、加入事務をどこが扱っておるかという問題じゃなくて、新しい受信機設置したような家庭には、これはやはりじっと机の上で仕事をやっておっても、なかなかそういったところを発見することは困難であるわけです。したがって、常時何かそういうところを新規加入者を集めるためにいろいろ動いておられるのじゃないかと思うんです、日常。だから、そういったことについて、どの程度人員でどういう方法でそういう新規加入者発見につとめておられるのか、そういったことをお尋ねしているんです。だから、単なる加入事務の受付をどういったところでやっておるかという問題じゃなくて、私のお尋ねしておるのは、特に新しい受信機設置者発見をどういうふうにしてやっておられるのか、その実情をお聞きしておるのです。
  31. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) お答えいたします。  メーカーにお願いいたしまして、新しい受信機が出荷するときに、その中に契約書を同封して、受信される方々に積極的に契約届けを出していただくというような方法、それからラジオ商方々にお願いいたしまして、設置に参りましたときのその台帳を、私どもがそれぞれのラジオ商方々のところへ回りまして調査をいたしまして契約をしていただくというふうなこととか、あるいは受信証のない家庭をそれぞれ外務監査という、集金契約等の指導をしておられる方々が二百二十名ほどおりますが、その方々が回っておたずねをして契約を助長いたしております。  なお、先ほどEDPの問題がございましたが、これを利用した管理者リストの活用もいたして、また、それ以外にも、受信契約者方々のお宅を内勤者が訪問するというような特別対策もいたしております。
  32. 久保等

    久保等君 人員……。
  33. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 人員は、全国ラジオ商方々――これはうち自身の問題じゃございませんけれども職員総数内勤全国で二千六百、外務のほうの、契約職員は、先ほど申しました九百六十名ほどでございます。
  34. 久保等

    久保等君 昭和四十年度テレビ契約方々が約百万近いものが増加したと思うんですが、いまお話にあったように、本人が、もちろん新しく受信機を据えた場合に、NHKに申し出るということが原則であり、また、そのことが最も好ましく思うのですが、しかし、なかなかそうはまいらない場合が多いんじゃないかと思うのです。約百万ぐらいの、本年度の場合について言えば、自主的に申し込みをせられる方が何割ぐらいで、NHKのほうが実際、直接お宅に行って、今度新しく受信機をつけられたじゃないかと言って、加入を積極的に勧誘をして加入契約を結ぶというものと比べて、比率はどの程度になりますか。
  35. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) ほとんどが契約担当者勧誘でございます。
  36. 久保等

    久保等君 そうすると、ほとんど百万はNHKの何ですか、積極的に出かけていって契約を結ぶということになっているわけですか。
  37. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 四十年度加入者は二百八十万、廃止が百八十万、純増百万という目安で作業をいたしまして、その二百八十万の加入者も、ほとんど説得して契約をいたしておるようなわけであります。
  38. 久保等

    久保等君 そうすると、先ほどの加入――特に外務加入事務を扱っておられる方――この要員も、やはり要員問題にひっかかってくるのじゃないかと思うのです。だから、相当まだ開拓の余地があると判断せられるならば、この面について、やはり人手をふやすことによってもう少し加入率を高めるという可能性が出てくるんじゃないかと思うのですが、ただいまのお話だと、二百二十名ぐらいの外務関係の方でいま言った約百万を開拓したというか、新しく加入してもらったという形に実績はなっておるのだと思いますが、そうすると、この面の要員というものは、相当な聴視者新規獲得をはかるのには、やはりどうしても要員が必要だということになって出てくると思うのですが、私はもう少し自主的に届け出る方もパーセンテージとして多いんだと思ったけれども、ほとんどがNHKの積極的な開拓によって確保した加入者だとすれば、そういう要員問題があるんじゃないですか。先ほど副会長お話だと、当然これは非常な経費を伴なう問題ですし、新規採用をしなければならぬということになってくるとたいへんな問題ではありますが、したがって、そこにおのずから収入支出のバランスを考えなきゃならぬ問題ではありますが、要員が現在の程度で、特別、人事の問題については増員等考えておられないようなお話だったのですが、その方面との関連はどういうふうになりますか。
  39. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ただいま長沢理事からお答えを申し上げましたが、もちろんNHKといたしましては、集金仕事契約仕事を、さい然分けておりません。もちろん集金関係は、既契約のものにつきまして収納の仕事をいたしているわけでありますけれども、もうそれだけで契約獲得の面はやらぬでもいいということであっては、これは困るわけであります。かたがた先ほどお尋ね事務機械化関係につきまして、全国契約の実態、未契約世帯分布等を、すべてEDP機械によって一目判明できるようになっております。しかし、これは漸次区域を小さくいたしまして、百世帯ぐらいの区切りをした地域で、全国に配分してございます。その中にすでに加入した方、まだ未契約の方、こういうものはさい然とわかっておりますので、専門外務監査というような形で、未契約方面についての契約獲得努力をいたしますばかりでなく、在来の契約の向きに対しまして、集金に参ります者も、その区域はそれぞれ近接してつくってございますので、そういった面につきまして、集金のほかに契約獲得努力をするというようなことにいたしております。そのためには、特別の契約獲得による手当等も設けておるようでございます。また、郵政省一括委託をいたしております地域方面につきましても、これは集金ばかりでなしに、この区内における契約獲得についても御努力をいただいているというようなことでございますので、これに当たります総人員は、かなり多くの数にのぼってまいっております。集金専門NHKが直接かかえております職員は九百六十名でございますが、このほかに、郵政省委託をいたしております局の数は、三千八百でございます。そのほかに、集団的なそういう一括郵政省委託でなしに、NHKのほうといたしまして、直接職員でなく、集金委託というような形において委託契約を結んでおります者も、全国に千数百名ございます。これもやはりいまのような契約獲得努力をいたすわけでございますので、少なくとも総体を通じますと、全国で六千名程度のそういった力はあるわけでございます。
  40. 久保等

    久保等君 次に、この予算書の中に、売却固定資産として四十一年度に三億七千万ばかり計上してありますが、これはどういうものの売却考えておられるのでありますか。
  41. 志賀正信

    参考人志賀正信君) お答え申し上げます。  売却固定資産代金と申しますのは、協会資産の取りかえ、回収等によりまして不用品になりましたものを外部に売りました場合の回収代金でございます。特に四十一年度につきましては、金額が非常に高くなっておりまして、例年三千万程度予算を計上いたしておりましたが、本年度は三億七千万円を計上いたしてあります。これは一点、非常に大きな理由がございまして、実は大阪の大電力ラジオ放送所が堺にございますが、このラジオ放送所が、たまたま大阪府の住宅公社からの住宅団地に指定をされまして、この堺の放送所移転をしてほしいという要望がかねてからございました。NHKといたしましては、一方で堺のラジオの第二放送を、百キロから三百キロワットに増力をする計画を立てておりましたので、これに合わせまして、さらに電波上有利な場所に移転をいたしまして、新しく建て直すことを計画をいたしまして、すでに四十年度からその計画に入っております。本年度のただいま御審議予算にも、その建設費を計上いたしておりまして、四十一年度に完成をさせるつもりでおります。  で、旧堺の放送所につきましては、ただいま住宅公社のほうと、補償の問題につきまして折衝中でございますが、おおよそ先方から回収できます補償金と申しますか、代償につきましては、総額で四億一千万程度のものを回収できる予定でございます。この中には、機械類設備関係費用と、それから移設のための費用と、二つに分かれておりますが、移設費用につきましては、これは事業費関係になりますので、雑収入のほうへ計上いたしまして、建物代替関係費用につきましては、そのうち三億四千万円を回収できるという予定をいたしまして、この固定資産売却代金に計上いたしまして、従来の分と合わせまして三億七千万円を計上したものでございます。
  42. 久保等

    久保等君 そうすると、堺のもう旧送信所になるのですか、土地建物、それから送信関係機械設備、そういったようなものを含むのですか、ちょっと大まかな種別を言っていただきたい。
  43. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 先生のただいまのお話のとおりでございまして、そのうちで、実は土地につきましては、NHK予定をいたしました土地と等価交換で計上するというふうにいたしておりま、して、なお、新しい土地につきましては、増力をいたします関係で、坪数が、さらにアンテナ用の敷地が広く必要でございます。等価交換以上の分につきましては、協会が新たに購入いたすわけでございます。堺の放送所の現在価格の分につきましては、等価交換をいたす予定でございます。そのほかの機械類につきましては、移設及び移転補償費を回収するという考え方でございます。
  44. 久保等

    久保等君 すでにこの問題は何ですか、今年度、すなわち四十年度でそういう運びをすでにしておるのですか。
  45. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 三十九年度来からの問題になっておりまして、四十年度のただいまの予算には一部計上いたしまして、本年度からこの移転に着手をする予定になっております。ただ、現在住宅公社のほうとの最終的な折衝がまだおくれておりまして、正式の契約まで至っておりませんので、今年度におきましては、事実上まだ工事等は行なっておりません。
  46. 久保等

    久保等君 郵政省のほうにちょっとお尋ねしますが、この問題は放送法第四十七条の放送設備の譲渡に関する条文がありますが、ここにいう放送設備には当たらないのですか。すなわち、「協会は、郵政大臣の認可を受けなければ、放送設備の全部又は一部を譲渡し、賃貸し、担保に供し、その運用を委託し、その他いかなる方法によるかを問わず、これを他人の支配に属させることができない。」、二項として「郵政大臣は、前項の認可をしようとするときは、両議院の同意を得なければならない。」、この放送設備には該当しないのですか。
  47. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) この法律的な解釈につきましては、新しいものをつくりました上での問題かと思います。詳しいことにつきましては、放送部長から説明させたいと思います。
  48. 館野繁

    政府委員(館野繁君) 御説明いたします。  法律の解釈、まあいろいろございますことと思いますけれども、従来郵政省といたしましては、この規定によりまするところは現に放送を行なっておりまする放送施設、したがいまして、その範囲も電波法の対象になっておりまする無線局としての施設、それから現に放送を行なっているものということで考えてまいっております。したがいまして、堺の送信所につきましても、これは現に放送を行なっているままにおいて譲渡し、あるいは支配に属させるということになりますると、この条項に該当するわけでございますけれども、ただいまの計画は、新しく別の場所に三百キロワットの第二放送送信所をつくり、そのあと、堺の送信所を廃止するということのようでございまするので、この条項には該当しないことになろうかと思います。
  49. 久保等

    久保等君 NHKお尋ねしますが、この堺の従来あった送信所そのものはいつ廃止になるのですか、あるいは、なさるのですか。
  50. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 堺の送信所につきましては、現在まだ活動中でございまして、ただいま御説明を申し上げました新しく移転をいたしました場所にアンテナ、建物及び放送設備を完全に移動いたしまして、電波を発射することが可能になりましてから、堺放送所は廃止いたします。
  51. 久保等

    久保等君 それはいつの予定ですか。
  52. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 四十一年度末を一応予定いたしておりますが、場合によりましては、四十二年度に若干かかるかというふうに、ただいま考えておるところでございます。
  53. 久保等

    久保等君 住宅公社に譲渡するのは、そうすると土地だけですか、どういうものになるのですか。
  54. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 住宅公社に提供いたしますものは――提供と申しますと、土地だけでございます。その土地の上に立っております建物及び機械設備につきましては、全部撤去または移設をすることになります。
  55. 久保等

    久保等君 その土地、この予算で言う三億七千万円、予てのうちに他のものを含んでおりますからなにですが、土地だけでどのくらいに見込んでいるわけですか、この三億七千万円のうち。
  56. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 新しく移転をいたしまして、従来の堺放送所と等価交換をいたしました分に加わえて、新しく購入いたします分をただいま一億七千六百万というふうに見込んでおります。
  57. 久保等

    久保等君 そうすると、等価交換する部分土地については、予算の上には出てこないということになりますか。
  58. 志賀正信

    参考人志賀正信君) さようでございます。
  59. 久保等

    久保等君 そうすると、その敷地、何と言いますか、従来の土地、等価でもって交換をし、なおかつ若干こちらのほうで支払って土地をプラスしたものを確保すると、その経費がどの程度になるのですか、相当ななにになりますか。今度新しい送信所設置するのについての土地の地代ですね、購入資金というものはどの程度プラスしなきゃならぬ予定ですか。
  60. 志賀正信

    参考人志賀正信君) ちょっと説明がまずうございましたが、ただいま申し上げました一億七千六百万が新しく購入をする、加える予定費用でございます。
  61. 久保等

    久保等君 そうすると、ここに載っておるのは、ほとんど機械売却代金、それから建物、それだけになるわけですね。
  62. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 一億七千六百万のほかに、建物と鉄塔等の構築物及び機械でございます。
  63. 久保等

    久保等君 その問題についてはわかりました、が、いろいろと第三次六カ年計画で、計画をどんどん進めておられるわけですが、若干建設計画予定より非常に進捗をしておるようですが、したがって、第三次六カ年計画の最終年度である昭和四十二年度ですか、これは建設計画内容は、当初の第二次六カ年計画の最終年度計画から見れば、ある程度縮小してもいいということになっていくのじゃないかと思うのですが、第三次五カ年――五カ年になるか六カ年になるか知りませんが、新しい計画等についても、すでにいろいろ準備をしておられるんじゃないかと思うんですが、第二次六カ年計画の最終年度の明後年度計画というものは、一体どういうふうになってまいるのか。当然、当初の計画から見ると、修正というか、計画をさらに追加したものが、第二次六カ年計画の最終年度の明後年の予算の中には計上せられてまいることになると思うのですが、今後の建設計画の見通し――まだもう一年度ありますから、的確な計画はまだないと思うんですけれども、第三次計画についての構想等をお持ちになっておりますかどうか。そこらを会長あるいは副会長あたりのところから承りたいと思うんですが。
  64. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御趣旨の点に沿うて私ども考え方を申し上げますと、現在予算編成あるいは運営の基礎といたしております第二次六カ年計画の、御審議いただいている予算は、その第五年度ということになるわけでありますが、その間、当委員会の附帯決議、あるいは郵政大臣の意見、並びに実情からいって、たとえばオリンピックの開催というような点を勘案いたしまして、事実上、建設計画に関する限り、少なくとも当初計画は一年繰り上げて実現されるという傾向を持っております。この点につきましては、私どもNHKの使命にかんがみまして、建設計画中心としての、少なくともその最終年度、すなわち昭和四十二年度予算編成にあたっては、さらに第二次六カ年計画に続く具体的な長期構想の上に立って編成しなければならないという考え方を持っております。こういう見地から申しまして、私どもは、昨年以来、次の長期構想の指針の研究をいたしていることは事実でございますが、その結論はまだはっきりと出してはおりません。しかし、少なくとも、一般的傾向から申しますと、建設計画にも何種類かございますが、少なくとも、置局の点におきましては、数においては、結局、一局の中継局のカバレージが小さくなりますので、総体的には数はふえるかと思いますが、しかし、これに即応する技術開発によって、単価は一般に低下の傾向にあるということを一応考えるわけでございます。そしてまた、さらに第二の、置局以外の建設計画につきましても、たとえば演奏所の問題等は、これまで推し進めてきた第二次六カ年計画の中で、一応最終年度までに、ほぼ演奏所の新しい設備に対する施設の完成は期待できるという考え方に立っております。その他、これに伴う新しく開発された機器の施設につきましても、一応従来の六カ年計画の線に沿いまして、ほぼ計画どおり進捗いたしているということが言えるかと思います。そういう観点に立ちますと、少なくとも、建設費に関する限り、将来の見通しは、ただいま申し上げましたように、まだ結論は出しておりませんけれども建設費総額はそれほど大きくはならないであろう。これに見合うものとして、第一次五カ年計画ないし第二次六カ年計画の結果として、減価償却費の予算総額における対比の問題という運営上の根本問題はまだございますけれども、しかし、建設計画そのものから見れば、いわゆる建設資金の充実は、二度にわたる長期計画によって相当充実されているということも私どもとしては考えている次第でございます。いずれにいたしましても、昭和四十二年度予算編成にあたっては、新しい構想のもとに、第二次六カ年計画の最終年度を新しい長期計画の中に吸収するか、それとも、過渡的にこの新しい長期計画と現行の長期計画をどういうふうに調整するかという点につきましては、先ほど来簡単に申し上げましたように、まだ結論には達しておりませんが、たとえば第一次五カ年計画につきましては、第二次六カ年計画に最終二年度分を吸収したという状態から見まして、社会的あるいは技術的発展に応じ、それからまた、NHKの実質的経営の将来を勘案しながら、この第二次六カ年計画の最終年度の問題を昭和四十二年度予算編成関連して最終決断を下すべき時期が来る、このように考えております。
  65. 久保等

    久保等君 そこで、ことしの建設計画の中に、純然たる建設計画、それから従来ある設備をさらに充実する、あるいは改修をする、いろいろ種別があると思うのですが、純然たる新設の建設計画というものはどのぐらいになりますか。金額の面で言えば、総額約百八十億円ですが、この中に書かれておりますことは、テレビジョンの放送網あるいはラジオ放送網の建設に五十三億余、そのほか、演奏所の整備、放送設備の充実改善が百八億、その他研究施設等の整備十八億円余というふうになっていますが、こういったものを全部ひっくるめて純建設関係がどのぐらい、その他若干補修を新しくするとか、若干手を加えて、あるいは拡充みたいな形になるかしらんですが、そういったものを大まかに分けますとどういうことになりますか。金額的にきわめて大づかみでいいですから。
  66. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 純然たる増加分と限定をいたしますと、テレビ放送網の建設と、ラジオ放送網の建設と二つになるわけでございますが、この予算で、百八十億の中では、テレビ放送網の建設が三十三億五千八百万でございます。それからラジオ放送網の建設には、十九億六千四百万でございまして、合わせて五十四億ぐらいになるかと思います。なお、そのほかに、取りかえ、補修のほかに、地方の演奏所等の改築に際しましては、新しく全部建て直しになりますので、中の設備も新しく近代化いたしますので、その画につきましては、必ずしも補修の分というわけにはまいらぬかと思います。大体、百八十億の中で、およそ半分ぐらいな新設分で、半分ぐらいが補修分というふうに考えられるかと思います。
  67. 久保等

    久保等君 ところで、こうした建設計画を進めるにあたって一番大事な問題は、やはり資金だと思うのですが、今後の資金計画がどうなってまいるか、そのことは直ちに聴視者受信料の問題にも関連するわけですが、今後さらに第三次五カ年計画といいますか、そういったようなことも、ただいま会長お話等から察知しますると、考えてまいらなきゃならぬというような、いま御説明であったと思うのですが、もちろん、難視聴地域あるいは遠融の地域に対する、今後ますますカバレージを高めてまいらなければならぬ問題は、これはNHKの最高の一つの使命でもあろうと思うのですが、そういう点から、建設計画も、どの程度の幅になるかは別としても、相当なやはり計画は引き続いて行なっていかなければならぬ情勢に置かれておりますが、それと、いま言う聴視料との関係なんですが、経済的に見ますと、資金的に見ますならば、相当着実な資金力を持ちながら、五カ年計画ないしは六カ年計画が今日まで推進されてきたと思うのですが、今後の当分の見通しですね、ずっと遠い将来は別として、受信者の今後の変遷等についても、先般の委員会でも御説明があったように、だんだんと漸減はしてまいりましたが、ここ数年そうたいへんな激減というような状態でもなさそうですから、だんだんだんだん少なくはなってまいりますが、しかし、そう急激な変化は考えられないというように考えますと、資金的にも当分とにかく健全な経営を確保しながらやっていけるという見通しにあるのじゃないかと私は判断するのですが、昨年あたり、特に当時の大臣が、NHK受信料を少し下げてもいいんじゃないか、あるいはラジオなどに至っては免除したらどうかという、きわめてこれは思いつきの発言であったと思いますが、当委員会でも少し問題にしたことがありましたが、そういった意見は別として、今前受信料がどうなるか、これは一般の国民が非帯に関心を持っている問題だと思うのです。これもまた、それこそ公共料金の一種だと思うのですが、そういう点から今後の計画等との関連における受信料の問題を考えました場合に、当分受信料の値上げを行なう必要はないと一応判断されると思うのですが、そこら辺もちろんはっきりしたことはここで言明願うわけにはまいりますまいが、一応見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  68. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもといたしましては、第二次六カ年計画の最終年度、すなわち四十二年度、具体的には昭和四十三年三月までには、私どもといたしましては、計画立案の当初から値上げをしないという考え方を第一の目標といたしましてこの単年予算実施してまいり、また、御審議をいただいてまいったわけであります。その具体的な事実を申し上げますと、私どもはもちろん知識は完全を期せられないのでありますが、この第二次六カ年計画の立案の当初におきまして私どもといたしましては二つのことを考えました。  第一点は、いわゆる経済成長の中で社会的な影響がどうあるかという問題、もっと端的に申し上げますと、どのくらい物価が騰貴していくであろうかという問題であります。これに対して基礎的計算をいたしまして、その値上がりが一体総予算の、六年間の総予算の中でどのくらいのパーセンテージを占めるであろうかという問題を基礎といたしまして、長期計画の財政計画の一つの柱といたしました。もちろん、この社会価値の変動ということも十分考えましたし、また、職員給与の上昇傾向というものもあわせ考えました。これが第一点であります。  第二点は、聴視者に迷惑をかけない方法で、社会が要望し、国会の御意思を実行し、郵政大臣の御意見を実行する方法は何か、その点では、要するに、膨大な借金を将来の解決にまかせるという考え方だけでなしに、むしろ、そういう考え方を排しながら、経営の健全を期しながら、要望される建設計画実施する方法として、実は第二次六カ年計画の当初から、いま御審議をいただいております明年度予算においても、当該年度受信料から実は二十億建設費に繰り入れる予定にしておりますが、その第二次六カ年計画の第一年度昭和三十七年度においては、実に五十億を繰り入れました。漸減してまいっており、四十二年度の予想では、すでに受信料よりの繰り入れば困難かと考えておりますが、そういういろいろ御議論もあるかと思いますが、そういう長い見通しのもとに立って、実はこの計画編成したわけでございます。したがいまして、しかも、その途中において、これは一般にそれほど注意を引いていないようでありますが、いわゆる受信料の低減をはかりました。御記憶だと思いますが、ラジオにおいては、おおよそ四〇%をこえる値下げでございます。それからまた、テレビとラジオ関係においても、二十数%をこえる値下げをこの期間に断行してまいりました。そして、私どもとしては、結論的に申し上げますと、少なくとも、昭和四十三年の三月までには絶対にいまの聴視料を上げるという考え方は持たないという固い決意を持っているわけでございます。もとより、これには社会的の大きな変動とか、あるいは通貨価値の変動があった場合には、やむを得ない結果として私どもの決意もくずれるかもしれませんけれども、少なくとも、現状においては、昭和四十三年の三月までは現行でまいるという固い決意を持っております。その後の問題については、先ほど来申し上げましたように、その次の計画がどうなるか、その柱をどうするかという問題と関連して、むしろ、この点については、まだ結論を得ておりませんので、当面そのことを御説明申し上げたいと思います。
  69. 久保等

    久保等君 まあ、それで、次のほうへいってお尋ねしますが、非常にNHKで学校放送方面についても努力をしておられると思うのですが、この学校放送の問題について、NHKとして利用状況等を調査をしておられるようですが、これはどういうことについて、どういう形でやっておられるのか、御説明を関係の方からひとつ願いたいと思います。
  70. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 学校放送の利用状況お尋ねでございますが、毎年調査を行なっております。学校放送は、御承知のごとく、幼稚園、保育所、それから小学校、中学校の義務教育、それに全日制高校、定時制高校というぐあいに分けてございますが、一口で申し上げますと、幼稚園、保育所の利用率、それから、それについて小学校の利用率が非常高うございます。それから、中学校から高等学校に進むにつれまして、この利用率が若干低下を見ております。その理由は、御承知のごとく、小学校におきましては、担任の教師というものがほとんど専任で各学科を教えますので、学校放送の利用率も、自分の学校の時間表と合わせて、また、繰り合わせてこれを利用することが非常に便利でございますが、中学校、それから高校にまいりますと、各科目で担任の教官が違ってまいります。そういたしますと、その利用率が若干低下してくるという次第でございまして、いま利用率を申し上げますと、ラジオ、テレビのセットを持っている学校を基準にして調べました。テレビのほうを申し上げます。幼稚園が七六・五%、保育所が八三・七%、小学校が七八・四%、中学校がやや落ちまして二四・五%、高校が九・二%、こういうふうに、中学、高校で利用率が低下しております。ラジオのほうは、幼稚園が三八・五%、保育所が三〇・六%、小学校が五一・三%、中学校が三三%、高校が三二%、大体こういう次第になっております。
  71. 久保等

    久保等君 いつも、これはいつごろ調べられておるのですか。年々この期間は。
  72. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) ただいま申し上げた数字は、昭和四十年の六月に総合放送文化研究所が調べた数字でございまして、毎回こんな時期に行なっております。
  73. 久保等

    久保等君 六月現在……。
  74. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) さようでございます。
  75. 久保等

    久保等君 これは放送局、NHKが直接調べておられるわけではないわけですね。
  76. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) NHKの総合放送文化研究所が直接調べた結果でございます。
  77. 久保等

    久保等君 そうすると、七月ごろには、毎年、その前年度末現在ぐらいですか、の状況を把握しておられることになりますか、NHKとしては。
  78. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 全国にわたっての調査でございますので、やや集計に手間がとれまして、二カ月はかかると思います。
  79. 久保等

    久保等君 そうすると、八月一ぱいぐらいということになりますか。
  80. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 大体そんな見当だろうと思います。
  81. 久保等

    久保等君 これは全部について調べるといってもなかなかたいへんですから、ある程度、何といいますか、モデル的なものをピックアップして調べておられるのですか、それとも、総なめに調べてこういった数字を出されたのですか。どういう方法でお調べになるのですか。
  82. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 大体、サンプル調査と申しまして、テレビ、ラジオの保有校のうちから、その地域における代表的な学校を数校選びまして、それをモデルにしまして、サンプルにしまして調査した結果でございます。したがって、推定でございます。
  83. 久保等

    久保等君 しかも、その調査対象は年々変わったところをピックアップしてやられるのですか。同じところを毎年やっておられるのですか。どんな方法でやられるのですか。
  84. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) サンプル調査でございますから、毎年変わってまいります。
  85. 久保等

    久保等君 それから、テレビの受信機等を寄付をしておられるところもだいぶあるようでありますが、これは本年度はどのぐらいになっておりますか。四十一年度はどのぐらい予定をしておりますか。
  86. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 五カ年計画で、公民館並びに僻地の小学校向けに、毎年三百台、ずつ寄贈をいたしております。昭和三十七年から五カ年計画で毎年三百台ずつ、公民館と、それから僻地の小学校向けに寄贈をいたしております。ことしも三百台でございます。
  87. 久保等

    久保等君 その寄贈基準は、いまちょっと言われたのですが、どういう方法で選定をせられるのですか、もう少し基準を。
  88. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) いま基準ははっきり覚えておりませんけれども、文部省の指定の僻地のクラス別がございます。それに準拠いたしまして、つまり、僻地的な要素の強いところからずっと寄贈を続けていると記憶しております。
  89. 久保等

    久保等君 それは受信料はどういうことになるのですか、こういうところは、寄贈したものは。
  90. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 学校関係は無料でございます。
  91. 久保等

    久保等君 いまのは学校関係だけですか。
  92. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 公民館も無料でございます。その三百台は、公民館と僻地の小学校でございまして、両方とも無料でございます。
  93. 久保等

    久保等君 そうすると、寄贈した分については、受信料は取らないという方針でいるわけですね。
  94. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) さようでございます。
  95. 久保等

    久保等君 私、時間の関係もありますから、質問は大よそここらで打ち切りたいと思うのですが、ただ、ちょっと郵政省のほうにお尋ねをしておきたいと思うのですが、この予算はもちろんのことですが、特に業務報告、あるいは決算報告等を毎年、年度が過ぎれば出してもらっているのですが、いろいろ事務その他の関係で、非常におくれたりなんかしている場合が、ずっといままでの経過を見ても多いのですが、特に業務報告なり決算報告を、それぞれ郵政大臣として意見を付して国会に出してまいる。あるいはまた、決算報告の場合には、内閣に出し、内閣から会計検査院に回付して、会計検査院の検査を受ける、そういったような手続をとらなければならないことになっております関係もあって、時間的にだいぶおくれてまいるのだろうと思うのですが、ただ、NHKとしては、この放送法にも定めておりますように、年度が過ぎれば二カ月以内に出さなければならぬということになっておりますから、NHKとしては、最大限二カ月たてば、それぞれ報告書、あるいは決算にしてもそうですが、郵政省の手元に出されてきているのです。したがって、NHKの報告を直接国会のほうへ出してもらうとすれば、年度を過ぎれば、あと二カ月も過ぎれば、ほとんど国会に提出をすることができると思うのですが、ただ、成規の国会に対する報告にはならぬけれども、やはりこういった予算審議等の場合に、できるだけ近い実績というものを十分に、われわれも予算審議の参考にする意味からも、把握をしておくことが必要だと思うのです。したがって、参考というような形でもいいから、NHKから郵政大臣の手元に出されれば、それをすぐ一応非公式に国会のほうへお出し願うというふうにすれば、非常に便利だと思うのですが、郵政省の正式の意見をつけるとかなんとかということになると、時間的な関係もあって、非常にむしろ時期を失するような結果に、今日までいろいろずっと長い間の経過を見ても、なっているようですが、そういう点から、そういう運びに、これは郵政省で簡単にできることだと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  96. 館野繁

    政府委員(館野繁君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、いろいろ郵政大臣の意見をつける、その他、検査院の検査の終了ということで、NHKから郵政省に出されましてから相当期間を経ましてから国会に御報告、あるいは提出するのが実情でございます。この正式の提出につきましても、私どもとしては、できるだけ早く、かつ翌年度予算の御審議の参考になるように提出したいと思っているわけでございますが、まあ非公式というお話でございますが、非公式、公式、ちょっとその区別がむずかしゅうございますが、委員会の参考資料として、御必要なときは、NHKから出されましたものをなまのまま参考資料として委員会にお出しすることも一法かと思いますので、今後できるだけ御審議に便なような取り計らいをいたしたいと思います。
  97. 久保等

    久保等君 そこをむしろ、必要があればだとか、便宜であればとかいうことでなくて、出すような、ひとつことにしてもらいたいと思うのです。まあ要するに、非公式と言ったのは、法律に定められた成規の手続ではないという意味で非公式と言ったんです。当然法律に基づいた報告をしてもらわなければならないけれども、その以前に、どうせ報告書は郵政省でもって特に手直しをしたりどうこうする性格のものじゃないのですから、NHKから出たものがそのまま国会に提出をせられてくることになってるわけですから、事後においてまた修正をしなければならぬという事情はないわけです。ただ、郵政大臣の意見を付さなければならぬ、あるいは会計検査院の検査を経なければならぬという手続がある関係上、国会に出てまいるのが非常におそい。この問題についても、これは特別今後ひとつ、郵政当局として格段の努力をしてもらいたいと思うのです。私はNHKで報告が、かりに四月、五月内に出されるとすれば、あとは二、三カ月後くらいには、会計検査院に回す決算報告なんかの場合には、あるいは会計検査院の事情もあろうから、そうもいかないかもしれませんが、とにかく二、三カ月、三、四カ月くらいの間には出せるんじゃないかと思うのです。これはほっておけば何カ月たったって片づかないけれども、やる気になってやれば、もう少し早く出せるんじゃないか。したがって、そのことがまず一点。  もう一つは、さらにそれよりも早く実情をできるだけ当委員会にも把握できるようにするという意味合いで、NHKから出された場合には直ちに、意見書はまた後日正式に出してもらうとして、とにかく、NHKから出された報告そのものを国会に出してもらう。これは業務報告にしても、決算報告にしてもそうですが、そういう運びをぜひやってもらいたい。そのときに必要とかなんとかということじゃなくて、これは必要なんですから、また、国会に報告しなければならぬことに義務づけられておるんですから、したがって、やらなければならぬことですから、ただ意見を付する正式の報告だけはあとにこれはなることはやむを得ないとしても、しかし、その場合といえども、ひとつ最大限の努力をしてもらいたい、もう少し早めてもらいたいということを強く要望したいと思います。ひとつ郵政政務次官のほうから。
  98. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 久保委員の趣旨を十分に尊重いたしまして、郵政省としても最大の努力をいたしまして、できるだけ早くお手元のほうに資料等が届くようにいたしたいと存じます。
  99. 田中一

    委員長田中一君) 午前はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十七分開会  〔理事光村甚助君委員長席に着く〕
  100. 光村甚助

    ○理事(光村甚助君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  101. 横川正市

    ○横川正市君 最近、この放送基準解説書というやつをもらって、初めてこの放送基準の大体の基準というものを私ども認識を新たにいたしたわけですが、この基準書の三ページ、まあ政務次官にひとつお答えをいただきたいと思うのですが、まあ国会の憲法上の地位というものについては、四十一条でこれは明確になっておるわけであります。その国会の、まあ何といいますか、きわめて民主的な権威を、これを、その放送関係もエンジョイしながらも、なおかつそれを保持していく、そういう役目がこの基準の中に明確になっておるわけなんです。ずいぶん各条文にわたって、しかも、関係法令に照らしながら、その基準を守るための努力をいたしておるようなんでありますけれども、たまたま、民間放送の中で、名前を言えば細川隆元とか小汀利得とかいう人がおるわけですが、こういう人たちの政治論評あるいは国会論評というのは、私はその基準からはずれているんじゃないか。そして、そのはずれていることを非常に高く評価されて、ゲストや、あるいはそういうものにかり出してくる傾向があるんではないかという気がするわけなんですが、これは大体それほど強い監督権を持っておるわけじゃありませんけれども、許認可権を持っている郵政として、一体、言いたいほうだいのことを言わせるのが、いわゆる条文に照らしてみて基準に当てはまっていると判断されているのか。基準からはみ出しているけれども、あっちは大物なんだからしかたがないということなるのか。これはひとつ政務次官、事実に照らしてお答えいただきたいと思います。
  102. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 申し上げるまでもなく、言論の自由は憲法によって最高に保障されておるわけでございます。言いたいほうだいと、いま仰せられたわけでありますけれども、国民が思っていることを何でも言えるというところに、私は憲法の企図しているところがあろうかと思います。かつて、われわれ日本国民が、言論の統制というもとに苦い経験をした結果、ああいう大きな戦争まで経験をしまして、あの戦争を契機として、言論を、たとえいかなる方途にしても封ずるというようなことは、国を誤る大きなもとであるというようなところから、憲法の言論の自由というものが、ほかの国民の権利に比べまして、より以上最高に保障されておるわけでございまするので、主観的に言って、彼の言うことは、だれそれの言うことはどうも気に食わぬ、また、あいつの言うことはどうもふに落ちぬというようなことが、たとえございましても、やはりそういういろいろの意見、論議の中から、国民として、日本の将来のために、福祉国家として繁栄していくために必要な道を、国民みずからが自主的に選んでいくというところに、私は憲法に保障された言論の自由の意義があろうかと思う次第でございまして、いま横川委員から指摘されたような点がございましても、やはり国民の電波を通じて放送をされております内容等については、政府として容喙をするという気持ちは持ってはいけないものというふうに考えておる次第でございます。
  103. 横川正市

    ○横川正市君 この基準書のところに、「国民・国家及び国家機関の権威を尊重する。その尊厳を傷つけるような取り扱いはしない。」、その中の国会に、「国会が他の機関に優越する他位をもつことは明らかである。ゆえに、民主国家の中枢である国会の権威にはとくに考慮を払い、いやしくもこれを傷つけないように注意する」云々というふうに基準の中に書かれているわけで、私はこれはもっともだと思うのですが、たとえば新聞の報道に、自由民主党はサルにたとえて、サルの絵をかき、自由民主党と見る。それから日本社会党を犬にたとえて、自由民主党のサルと社会党の犬とがけんかをする、国会というところはこういうところだと新聞に書いてある場合、これはこういう権威を傷つけることにならないのかなるのか、そこまでいわゆる憲法が保障し、あるいは言論を保障、描写の保障、そういったことが一体あっていいと考えているのかどうか、いわゆる憲法上保障されていると考える範囲については、どういうふうに次官としてはお考えですか。
  104. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 一応政界を調刺した漫画等を御指摘だと思うわけでございますけれども、かつての専制時代においても、庶民感情というものは、落首とかやはり諷刺画であるというようなことで、徳川時代においてすら、庶民の不満と申しますか、感情と申しますか、そういうものをすなおにそういう表現でやってきているわけでございます。したがいまして、やはり国会がほんとうに国会の自覚に目ざめて、憲法に示すところの国会のあるべき姿で、国民から信頼を完全に十分受けておれば、そういう諷刺画もあるいは生まれてこないのじゃないか、われわれ自身にも反省しなくちゃならぬ点なきにしもあらずと思いますと、にわかにそういう絵が新聞の上にあらわれたからといって、これに警告を出したり、何らかの規制措置をするということは、やはり憲法に示された言論の自由に抵触するものというふうに私は考えたいと思っているわけでございます。
  105. 横川正市

    ○横川正市君 郵政がどれだけの権限を持っているかという点については、私も承知をいたしているわけです。だから、そういうような取り扱いをしたから、直ちにそれを取り消さす、あるいは押えるという意味での権限というものはないと思うわけですけれども、それは私は十分承知をしている。ただ、自主規制というたてまえからすると、放送基準解説書というものは、関係法規に照らして、しかも、映倫に該当するような倫理規程があって、その規程に従って基準書というものはできているわけです。ところが、その基準書に比べてみると、一体、この国会の審議の場ないしは審議をしているその状態等に対しての論評とか、あるいは討論とか描写とかいうところに私は行き過ぎがあると判断をされているかどうかということを聞いているわけです。あなたのほうが自主的に非常に反省して、サルとかかれてもしかたがない、そういうこともあったわいということであるならば、これはしかたがないわけですが、私どもは、やはり権威のたてまえを権威づける論議ではなしに、きわめて民主的な権威というものを国民とともに保持するために、良識としてそれはどうかという判断をお聞きしているわけなんです。もちろん、私どもは小汀利得という男と会ったこともありませんから、どういう男なのか知らないわけです。細川隆元というのは、もと社会党の代議士であったわけですが、選挙に出なくなってから政治評論家として飯を食っているわけです。しかし、その飯を食う種としての国会に対するものの言い方というものは、もっと、幾らそういうことが飯の種としてよく売れるということであってみても、ある限度というものがあってしかるべきじゃないか。しかも、もしそういうことが一般的な客観性をもってみた場合に、これはどうも不当と思った場合には、タレントとして使わないというぐらいな良識が放送関係の業者の中にあっていいじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。そういう一連のものの考え方から見て、実際上、われわれはここで犬とサルとがけんかするところじゃないわけでして、少なくとも、その主張するところ、これはあとでNHKのいわゆる放送番組の中に関係するわけですからお聞きをいたしているわけですけれども、権威を持ったいわゆる論議というものを政治界、経済その他一般の問題を含めて論議をしているわけです。その部分をとらえてやゆするということは、これはいわば昔の旧言旧歌のように類して、ユーモアでいいじゃないかというものを逸脱しているのじゃないかと私は思われる節があるわけですが、そういう点から考えてみてどうかという点をお聞きをしているわけです。
  106. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 横川委員のお気持ち、私も理解できるわけでありますけれども、やはり郵政省として、放送法電波法に基づきまして、憲法に示された言論の自由という立場から、なるべく放送番組内容等についてはもう容喙しないというたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、民放界等においてどういう方々を出演させるかということについて、これは全く自主的な立場で選定をされておられるわけでありますし、しかもやはり営業の経営の面から考えていきますと、どうしても国民のより多く求めるものを放送するというようになってくるだろうと考えられるわけでございます。したがいまして、横川先生のようなお気持ちを国民が全部お持ちになれば、当然にその番組の視聴率が下がってくるということになりますと、もうだれも聞かない、見ないということになれば、自然そういう出演者は御遠慮願うというようなかっこうになってくるのじゃないか。したがって、民放のいわゆる経営者と申しますか、そういう方々の立場においては、やはりこの視聴率というようなものを十二分に考えておそらく出演者を選定されておられるだろうと推察するわけでございます。したがって、郵政省としては、そういう業界に対していろいろ監督指導をするというような気持ちはいまのところ持ってはおらないわけでございます。
  107. 横川正市

    ○横川正市君 私は、この同じ基準の中に天皇についての基準というのがあるのですよ。これは取り扱いについて、たとえば中央公論社事件というようなものが起こったときの一般世論というものと、それからその取り扱いについてのその後の自粛といいますか、ということは、これはどこに起因をしているかといいますと、最も古い歴史と、それからこれに関連する天皇と国民とのいままでの関係といいますか、そういったことが土台になっているのですね。ところが、民主主義のまだ日の浅い国会と国民との関係というものは、そこまで民主的な関係を持つに至っておらない。ところが機関としては、私どもはやはり国権の最高機関としての機関、また天皇としての、日本における象徴としてのその機関、権威、こういったもの等に優劣をつけがたい私は大切なものがあると思うのですよ。ところが、前者においては、これは取り扱いについて厳重な一つの規制ができておるのに、ところがそうでない国会の場合には、その規制はきわめていかがわしい形で放任されるということについての私は結果を非常におそれるわけですね。そういう意味で、エンジョイするための、たとえばいろいろな論評であるとか、あるいは新しい政策に対するところのアイディアであるとか、その場におけるところの解決に対するところの提言であるとかというような形でも、私は前向きなものであるならば、これはわれわれはどういう問題であってもあえて耳を閉じることなしに十分聞くということは当然だと思うのですよ。ところが、そうではないと言う。これは私の主観ではなしに、おそらく政治を論評する立場としてのこのNHKが使っております政治評論家あるいは経済評論家の中には加わっておらないのですね。民放は民放独自の一つの放送体系の中で特異性を出そうとしてそれを使おうというのか。私はまあ言ってみれば、基準というものは、これは民放であろうと、NHKであろうと、その関連法規に照らして厳重に守っていくべきものだと思っているわけなんで、NHKだからどうだ、民放だからこうだという、いわゆる基準に関してはそういう差があっては困る、こう思っておるわけです。そういう立場からすれば、いま言ったいわゆる基準書に照してみてどうだろうかという点については、政府機関もしっかりした私は提言というものは持っていいのじゃないか、こう思うわけですがね。ことに、われわれはひがみ根性で言うわけじゃありませんけれども、今日の政治の基盤とするところは、非常に放送あるいは新聞等に影響するところ大なるものを持っているわけです。いわゆる放送とか、新聞とか、これを規制するような世論なんというものはまだまだ期待しがたい状態にあるわけですから、そうならば基準書の厳守ということは当然私は放送業者としてあってしかるべきだと、こういうふうに思うわけでございます。この点は、常識論でなしに、もっと政府としてもある程度の見解を持つべきだと私は思うが、この点についてどうか。これは私どもと主観的にもののとらえ方が違うということだけでなしに、客観性を持たせてどう考えるかをひとりお聞きいたしてみたい。
  108. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 御指摘のように、民放連の放送番組基準書は、これは民放連の方々が自主的に定められた基準でございまするから、その基準に従って各民放の放送会社は番組編成しておるだろうと推定をされるわけでございます。したがいまして、各民放社が制作をいたしておりますもろもろの番組等につきましては、民放連の自主的につくられた放送番組基準というものを当然順守されておられるだろうと私どもは信頼をいたしている次第でございます。したがいまして、政府当局として、今後御審議いただく放送法等に対して、その内容の中にも一応の国民的な立場から考え番組の基準というものを法律に示しまして、政府の立場を明らかにしている次第でございます。
  109. 横川正市

    ○横川正市君 亀岡政務次官は、きわめて公共放送あるいは民放のこの自主的な判断に基づく放送に信頼を置いた、介入すべからざる立場というものを堅持して答弁されているわけですが、私どもは、逆な意味で、たとえばトップ・ライトという漫談家あたりがいるわけですが、これの政治談義とか、講談師の政治談義等々には、相当政府部内から介入が激しいということをよく聞いているわけです。なぜそういうようなものに政治介入が激しいかということをただしてみると、与党である自由民主党に不都合なことを言うと政治介入が激しい。これは現在論評をするとすれば、政権を持っている自民党に最も激しい非難と攻撃が加えられることは当然です。これはいわゆる国の権力を持ってすべてを支配しているわけですから、言ってみれば社会党に批判を加えるよりも自民党に批判を加えることのほうが多い。だから今日でも、たとえばトップ・ライトあたりの政治論議を聞いておりますと、これ以上言うとある筋からおこられますからということばが再々入ります。それは何を意味しているのかというと、あなたのような立場を堅持しておらないからだということ、私は実は社会党を攻撃するから言っているのではなくて、少なくとも国の最高機関である国会に対するきわめて主観的な攻撃というものは、しかも見るにたえない攻撃というものは、これは放送業社の自主的な判断によって排除すべきじゃないか。しかも、それが何べんとなく、何々談義とか、何々の会合とかで連続的に行なわれるとすれば、それはタレントとしては使わないくらいの良識があってしかるべきじゃないか。こう判断するのは、実は私の立場でこれを言っているのではなくて、もっとやはりあなたの言う放送というものに対してわれわれは介入したくない、同時に放送の基準書に従ってその内容をやはり吟味されるべきだと私は判断しているんですよ。そういった点についての政府の見解があって、これは介入だと私は思われるんですけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  110. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 繰り返して申し上げるようで恐縮でございますけれども、政府といたしましては、やはり憲法に基づいた立場を堅持するというのが最も国民に対する政府としての忠実性を発揮することであるというふうに確信をいたしておりますので、出演者の良否というような点について特別の指導をしていくというようなことは毛頭考えるべきでないし、また考えたくもないという立場をとってまいりたいと思う次第でございます。
  111. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、放送基準解説書というのが実は私たちのところへ民放連から配られてきまして、私は非常に興味深く初めから終わりまで二度読んでみました。非常にりっぱにできていて、この内容については私は賛成なんです。だから、基準書というたてまえからすれば、私は実は民放連は自主的にこの種のものについてある判断を持つべきだと、持ってしかるべきだと、こう思うわけなんで、基準書ができておらないで、民放はある程度自主的にやっておるので、どうも年寄りの冷や水で、言いたいことを言うわいということで聞き流してしまえばそれまでなんだけれども、しかし、相当な権威と立場とを保持しておられ、しかも公の意味では国家公安委員などという公職にもある人が政治論評をする場合に、もっと私は良識と、自分の知る範囲内でのことでなしに言おうとするときには、もっと客観性を持たせてものを言うというぐらいの配慮があってしかるべきじゃないかと、私は基準書を見ながら考えたので、あなたの意見をお伺いしたのですが、もっとも郵政政務次官という立場では、なかなかあたりに差しさわりがあって、簡単に言えない点もあるのでしょう、その点了承いたしますけれども、あまり国会の権威を傷つけるようなことが日常茶飯事で行なわれることは好ましくないということぐらいはお考えになっていただきたいと思うが、その点はひとつこれからも日日、毎日報道される内容ですから、十分ひとつ研究をしてもらいたい課題だと思います。  そこで、大臣が出したんですから、政務次官に聞くのはどうかと思うのですが、これも関連をされておると思いますので、NHKの意見書の、郵政大臣の出された意見書の中に、免許方針の策定について触れておるわけです。もちろんこれはどういう形で免許の方針が出されるのか予測しがたい状態なのか、ここで明確に意見書というものを何したわけですから、免許もある程度のこの試案的なものを持っておって、そのたてまえから、これに基づいてNHKの建設計画とかあるいはその他の運営について当然変えられることを予想されておるのか、その点どういう理由で意見書の中にこの大臣の意見というものを書かれたのか、まずそれをひとつお伺いしたいと思います。同時に、免許について、もうそろそろ会期末でもありますし、たまたま食い逃げ免許などということも随時行なわれてきたといういかがわしい前例もあると思うのです。前回も相当この問題では郵政省の中で内紛したということもあるわけで、一体郵政省としては、この免許の方針についていまどういう方針をとろうとされておるのか、この点ひとつ明らかにしていただきたい。
  112. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 郵政省といたしましては、ただいま国会に電波法、放送法の改正案を提案をいたして御審議をいただくことになっておりますので、この両法案が国会で通過をさしていただきました後において、この新法に基づいた電波の使用計画、チャンネルプラン等の策定に伴いまして、今後の放送体系をより国民的なものにしてまいろうという考え方で、放送法電波法の改正案の御審議をいただいておるわけでございます。したがいまして、四十一年度NHK予算の御審議にあたりましては、郵政大臣として当然、この法案が成立した暁においては、この改正案の趣旨を尊重しつつNHK事業が運営されていくということを期待するという気持ちをこの意見書に表明をした次第でございます。
  113. 横川正市

    ○横川正市君 案はどうです。
  114. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) いまのところその案は具体的にまだ持ってはおりません。
  115. 横川正市

    ○横川正市君 何といいますか、非常に差しさわりが出てくるということならば別なんですが、当然大臣、意見書の中に免許方針が策定された場合はと書かれるときには、郵政にはある方針というものを持って私は書かれたんではないか。これを書かれているのに案がないというのは、幾つかの案があるけれども、まだ最終的に決定しておらないということなのか、大体ほぼ固まったけれども放送法電波法の改正と同時にこれを出すというのか、その点はどういう考え方で進めているのですか、作業は。
  116. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) ただいまの御質問でございますけれども、今度の放送法の改正におきまして、チャンネルプランというものを定めまして、そういうものに従いまして置局というものを進めていきたいということを考えております。したがいまして、このチャンネルプランをどういうぐあいにつくるかということでございますけれども、特にこの中で早急な問題といたしましてFMの問題がございます。FMのバンドにおきまするチャンネルプランを一体どういうぐあいに持っていくかという問題がございます。これにつきましては、中波の外国混信の解消、それからまたFM自体の持つべきところのその特徴を生かしたような放送ということを考えました場合に、一つのチャンネルプランというものをはっきりしたものをつくり上げるということにいたしまして、その方針に従って日本のこのFM放送というものを確立していかなければならないというようなことを考えております。したがいまして、国会で御承認いただきましたところのNHK予算、そういうものに組まれましたところの建設計画というものが、いま申しましたようなチャンネルプランそのものにちょうど合致するというような場合ならば問題はございませんけれども、いま申しましたようなチャンネルプランというものを考えました場合に、合致しないというような場合も起こり得るということを考えまして、権威ある国会の御承認をいただいたものを、これをそのまま実行できないということになりますと、これは非常に申しわけないということから、いまのような大臣としての意見をつけまして、そしてチャンネルプランというものをはっきりときめました、そういう線に従っての置局というものをやっていきたいということを考えたからでございます。なお、御質問のございましたチャンネルプランそのものの具体性ということにつきましては、現在鋭意いろいろと検討中でございます。
  117. 横川正市

    ○横川正市君 だから、私どもはいまNHK予算をやっているわけですね。この建設計画に変更があるかもしらぬが、その点はひとつ十分注意しておけと意見書を出しておる。その予算案をわれわれは審議することになるわけです。その点をひとつ、実際上郵政としては、事前に協会側とよく相談をして、たとえば建設計画についてあるいはこういうプランがあるから今度の予算についてはこうしたほうがよかろうというくらいな事前の連絡等をやっているのですか。全然別個で、NHKは旧来の方針に基づいて六カ年計画の五カ年目をやる。ところが、放送法電波法の改正に伴って、郵政省は大体法律が出てから相当な期限がたつから、新しい方針でもって法律の改正をやる。出た結果でまたNHKは直しなさい、こういうことでは、私はむだがあるような気がするのですが、その点はどういうふうに調整するのですか。
  118. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) いま御指摘のありましたことは、まことにそのとおりでございますけれども、実は現在の、たとえばいま例を引きましたFM放送というものにつきましては、実用化試験局というような段階でございます。したがいまして、これにつきましての今後の実際の本免許になりました後の、要するに先ほど申しましたチャンネルプランというもの、そういうものにつきましては、また現在行なわれておりますところのFM放送の置局というものとは変わった形になるのが当然ではないかと思うのでございます。特に現在におきましては、御承知のように、NHKだけが置局しておりまして、民放のほうはほとんど置局していないというような状況でございますので、こういう点も考えまして、将来のチャンネルブランというものは、NHK、民放を含めました一つの体系としまして考えなければならぬと思うのでございます。したがいまして、国会で長期計画としておきめになりましたようなFMに対する計画というものもあることは承知しておりますけれども、いまのような事情でございますので、したがいまして、意見書にも申し上げましたように、変更が起こるかもしれない。しかも、また事前にそれではよく話し合ってきめたらどうかという御意見でございますけれども、先ほど申しましたように、郵政といたしましても最終的にチャンネルプランというものが固まっていないというような状況でございますので、確かにNHK予算審議の過程におきましてこういう状態であることはまことに遺憾だとは思いますけれども、いまのような事情でいたしかたがないと申しますか、いまのような状態でございますので、御了承願いたいと思うのでございます。
  119. 横川正市

    ○横川正市君 まあ予算修正をやるというような立場にもありませんし、私どもはやっぱり全体的なものが見える立場で移動をさせるような、そういう能力もありませんから、言ってみれば、結果から見ていまのような状態NHKのこれからの業務にどういう影響力があるだろうかという、そういう点も考慮しながらあなたのほうの意見書の内容を聞いているわけですよ。だから、その点がすっきりしておらないと――了承して前に進めてもいいわけですが、実際には、これ何か免許方針についてある程度のプランを立てて実施計画に移される寸前であるというような状態でこの意見書を書かれておるのか、全く五里霧中にあるけれども放送法を急いで出さなければならなかったというたてまえでこういう意見書を書いたのか、その点はっきりいたさないのが一つ。それから、NHK側としては、これは当然放送法の改正が出されて、意見書がこういうかっこうで出ているのですが、予算編成上はどういう注意を払ったのでしょうか。意見書に基づいて、これは監理局長から先に聞いて、それから……。
  120. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) ただいまのチャンネルプランについての具体化の速度でございますけれども、実は、先ほども申し上げましたように、このチャンネルプランにつきましては、鋭意急いでやらなければならぬということを考えております。したがいまして、現在もちろんいろいろな案を立ててはおりますけれども、だんだんとこういう形でなければならぬというようなものをつくりつつあるわけでございます。したがいまして、決して架空なものであるというようなわけではございません。今度の放送法の改正をいただきました上では、できるだけ早く実際のチャンネルプランに移しまして、そうして置局につきまして鋭意急いでいきたいということを考えております。
  121. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもといたしましては、放送法の改正案が国会に提出されたという事実を承知しており、またその以前においても提出されるかもしれないということは承知いたしております。ただし、私どもとしては、現在御審議いただく予算書の中で、たとえば電波監理局長の御発言と関連のあるFMの置局に関しましても、従来よりも多少の機動性を広げまして、最終的中継局設置場所の候補地の数をかなり伸縮性を持たして考えているということと、かりに放送法の改正がありませんでも、従来の経験に従いますと、再免許時において多少のチャンネルの変更ということもあり得たその体験に基づきまして、財政的にはこれまでどおり相当額の予費をも含んでおりますので、この二つの方法で事態の変化の最小限度については即応できるという意味での御審議をお願い申し上げているわけでございます。
  122. 横川正市

    ○横川正市君 実際うまい答弁だね。これは当然過ぎるほど当然なことだよね。結果的に言えば、大臣の意見書は、会長の答弁からしても。ただ、私のほうは、意見書から受けるところでは、一体このチャンネルプランの裏づけなしに意見書が出るということはちょっとおかしいと思うのですよ、たてまえからして。何かその点が、言ってみれば、放送法は今国会は通らないかもしれないというような、そういうような考え方で、NHKに対して計画について事前の打ち合わせ等をしないで拙速的にこの国会に法案を提出したというようなことにもとれないでもないと思うのですが、この点は両者の答弁をかみ合わせて私どもも理解いたしますけれども、もっとこれからの大臣意見書というのには、私どもも理解のできる、実際上理解のできるものを期待をしたいと思うのです。  そこで、協会NHKお尋ねをいたしますが、幾つかの項目があるわけですが、その項目をあまりこまかくやらないでお聞きしたいと思うのですけれども、まず聴視者の世論というものをくみ取るシステムといいますか、そういうシステムNHKの場合に相当力を入れてやっていると思うのですけれども、そういう世論の調査をする場合に、自力だけの調査機関でものごとを判断するのか、それとも、他の幾つかのこれに類する調査の機関というものがあるわけですが、それらを総合的に世論の一つの結果として判断をされるのか、その世論のとり方についてまずお聞きをいたしたいと思います。
  123. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 聴視者の意向並びに動向を調査することにつきましては、まず先生のおっしゃいました自力の調査機関、すなわち世論調査研究所の調査に基づくということがまず第一でございます。それら新聞等に出るいろいろな論評、さらに一般大衆からの各部門に対する投書、さらにまた聴視者座談会というものを年に数百回全国各地で催しまして、これに私どもできるだけ出席して、たとえば団地の方、職場の方の番組に対する御意見がどういうものかということを伺っております。それからまた、今度新しくNHKの相談室というものが全国放送局にでき上がりまして、ここにいろいろ番組に対する注文、苦情等が参ります。そういったようなことで、私どもはできるだけ世論の聴取ということに努力している次第でございます。
  124. 横川正市

    ○横川正市君 いま世論の動向として、たとえばNHKの機構に対して、経営に対して、あるいは番組内容に対して、主としてどういうような世論があると判断されているのか、その世論の動向を集約してお答えいただきたいと思います。
  125. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) たいへんむずかしい御質問で、十分にお答えできるかどうかわかりませんが、経営等についての問題はあまりございません。やはり圧倒的に多い注文とか苦情とか申しますものは、ほとんど番組に集中されております。また、受信料の問題につきまして、その徴収方法等についてのいろいろな苦情も若干ございますが、なかんずく圧倒的に多いものは、やはり番組に対する要望並びに御意見でございます。これは各番組についてそれぞれ違いますので、一がいにちょっと申し上げることはできません。
  126. 横川正市

    ○横川正市君 結局、私どもの質問の主たるものは、言ってみれば、NHKの現在の機構、経営内容、そういった点からどうあるべきか。端的に言えば、受信料を取って、そうしてその受信料によって経営されているNHKの機構、経営内容等についてどうあるべきかというところに私は力点が置かれて質問というものがあるのが当然だと思うのです。そこで、たとえば経営の問題で集約されるのは、受信料についてのいろいろな意見というものがあると思うのですね。それから番組に対する意見というものも、これは当然NHKの特色としてのものが民放と比較して出てくるだろう。この二面から私どもはお聞きをしていきたいと思うのでありますけれども、たとえば受信料の面についても、すでに一千億近い――受信料で言えば七百三十一億、その他借り上げを入れて九百数十億になんなんとする財政規模で運営されていくわけですが、従来でいけば、これだけの投資をすれば、ある程度還元すべき何らかの形を期待されて、そうして業績が上がれば幾らかでも収入について減らしていっても経営が成り立つ、これは民間企業の経営からすればそういう経営だと思います。年々増大していくNHK予算規模というものと、一体これからの経営のあり方について、先ほども相当長期にわたっての収支のバランスをとりながら経営を健全化していきたいということを会長が答弁いたしておりましたが、その方針についてもっと具体的な内容があっていいのではないか。それからもう一つは、特色として、この予算編成上これは明確にすべきではないか。この方針と特色についてお答えをいただきたいと思うのでありますけれども、たとえばNHKに課せられた難視聴救済の問題と、それから番組の充実の問題と考えあわせてみて、一体NHKとしてはどういう特色、それから方針を持っておられるか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
  127. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御趣旨に完全な形でお答え申し上げられるかどうか、これはまたいろいろな御質問の中で考え方を述べたいと思いますが、要約して申し上げますと、御趣旨の点は私も十分考えながら、簡単に申しまして、いま御指摘のように、いま御審議をいただいている明年度予算の聴視料の総額七百四十億余りと、総予算としての九百二十億余り、その差額は、当該年度に関する限り、単なるNHKというものを取り上げて考えるばかりでなしに、私はその差額は、当然ある意味で、経営的見地から申すならば、聴視者全員、したがって国民に対する還元の部分であるというように私は理解するわけでございます。したがいまして、その意味では、当該年度の聴視料の総収入は、これを株式会社にたとえますと、そのままその年度の株主の拠出であるという考え方に立つわけでありまして、これに対して何十%の私ども努力、預かる者の努力によって国民の利益を確保すべきだという点に重点を置きながら、同時に、放送法の原則に従って、われわれが課せられているいわゆる社会的責任の遂行をどう持っていくか、この二つの柱で私ども予算編成いたしております。この考え方に立ってただいま御審議いただいております。具体的な御例示の点で申し上げますと、明年度予算におきましても、その建設費は百八十億余りになっておりますが、その中で最重点に考えているものは、やはり全国あまねく見え聞こえるようにするという原則でございまして、これに対しては、明年度中少なくともテレビにおいては総合、教育とも百二十局ずつの完成と五十局ずつの着工を考えております。これは過去数年を振り返ってみて、この点では、毎年度予算審議にあたって当委員会の御要望としてつけられる附帯決議の中でも、また毎年の大臣の御意見の中でも、この点について強調せられていることを、今度は国会あるいは政府との関係でもこれを認識し、したがってここ数年、率直に申し上げてオリンピック実施の年以来、私どもは最大の努力を払ってこの難視聴地域の解消に全力をあげているわけであります。これと関連いたしまして、その施設を使って聴視者に直接結びつく番組内容につきましては、御審議いただいている予算書の中では三つのことを明らかにいたしております。その第一点は、教育テレビジョンについて明年度大幅の一時間半の時間増を断行するということでございます。それから第二の点は、特にテレビジョンと関連していわゆる地域放送地域社会と直結する、その地域方々の利益のために、また発展のためにその地方番組の質的向上をはかるということでございます。これと関連いたしまして、第三には、これは一部建設関係とも関連を持ってまいりますが、したがってその放送機器を、地方を豊かにする方針でこれを配付するという考え方でございます。ただいまの御質問に要約的にお答え申し上げると以上のとおりでございます。
  128. 横川正市

    ○横川正市君 私はいまの方針が、いまとり得べきNHKの方針として最大かどうかという点について、実はこういう点から疑問を持つんです。というのは、オリンピックを中心としてNHKが持っておったその年度における構想、その規模というものと、それから翌年度におけるその規模とを比べてみて、一体その規模の比較からすれば、力の入れ方というものの比重というものは一体同等かどうかという問題なんですよ。オリンピックを中心としてあれだけNHKが強化方針というものを立てて、しかも相当その年度に集中した規模を持っておったわけですね。それだけの規模を持って、次年度における財政上の規模というものはふくらがっておるけれども、ふくらがった規模で一体実質的な実績をあげるのは一体どの程度か、この点の説明が比較して判断するものがないわけです。われわれは、非常に目の子勘定だけれどもNHKとしてはあれだけの規模とあれだけの集中した力を持っておったのだから、次年度におけるたとえば難視聴地域の解消問題についてはそのカバレージにおいて年次計画をどれだけ早めてどうするとか、あるいは番組についてどうだとかというふうな一つの比較が出てくれば、私は明快な論点というものは出てくるのではないかと思うんですが、残念にして私どもはその比較する、論点を展開するだけの資料を持ち合わしておらないんですが、いま言われた三つの方針というのは、そういう集中的なNHKの強化とあわせてみて翌々年度における事業計画としてまず申し分ないと考えられる点、もし数字的にわかれば説明していただきたいと思います。
  129. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 数字についてはほかの担当の参考人から御説明申し上げたいと思っておりますが、御質問の御趣旨の方針で今日までやってきていることをまず申し上げたいと思います。ことばをかえて申し上げるならば、オリンピックのあの番組その他に関するいわゆる最高潮的客観的印象は、実は率直に申し上げまして第二次六カ年計画の一部のものをオリンピックを中心として繰り上げ実施したというところにあるわけでございます。たとえば中継機器にいたしましても、地方局の充実のための機器にいたしましても、これは第二次六カ年計画においては四十年度ないし四十一年度に充足すべきものが、オリンピックを機としてすでにその翌年度においてほぼ充足を完了したということであります。先ほど申し上げませんでしたが、カラーテレビジョンの放送につきましても、この点御審議いただく予算書の中では定時番組を一日三時間という基準をとっておりますが、同時にいま申し上げたようなオリンピックを中心とする機器の繰り上げ配付実施によりまして、事実上は、たとえば相撲であるとか、あるいは野外中継に関する限りは、すでにかなり機動性をもって実施できるという現状にありまして、したがいまして、実況中継を含めますと、実際上のカラー放送の時間は、明年度予算を伴う定時番組の標準一日三時間プラスおおよそ平均一日一時間という実情になると思います。それからまた、先ほど申し上げた三つの柱のうちの地方局の能力の拡充強化にいたしましても、この点と関連を持つわけでありまして、おおよそそのうちの三分の二はすでにオリンピックをスタートとしてただいま申し上げたように拡充強化されており、御審議いただく明年度予算においてその残りの三分の一を完成いたしたいという考え方編成になっております。また、番組内容につきましても、この番組制作の手段が豊富となったという結果から、当然番組内容の向上が期せられるわけでございまして、この点についても、総合テレビジョンあるいは中波の第一、第二あるいはFMの試験放送的な番組内容におきましても、かなり充実感を持ってまいることと考えております。その他そのほかに第三の点として、第三の柱の一つとして申し上げた教育テレビジョン放送の一時間半の増ということを実行するわけでございまして、御趣旨のごとく、あの時点のいわゆる恩典はその前後にわたる、おそらく率直に申し上げて、あらゆる面から第二次六カ年計画の繰り上げ実施を確実にしたという点で、私は今後一そうあらゆる内容が充実されていくだろうというふうにお答え申し上げたいと思います。必要な数字につきましては、担当からお答えいたします。
  130. 横川正市

    ○横川正市君 私は説明を受ける場合に、実はもっとこういう点が必要であったという点をいま一つ指摘をいたしたわけですから、その数字はできればあなたのほうの月刊か何かで出ている周知のための何かリーフレットかパンフレットかそういったものに十分載せる必要があるのじゃないか、こう思いますから、結局オリンピックを最高潮にしたときのエネルギーがどれほど特色として企業に実際上使われているか、その点はひとつ出すべきだと思うのです。同時にひとつ、これはあとでいいですから、数字的の説明を資料でいただきたいと思います。  そこで、金の使い方で一つだけお聞きをいたしたいのですけれども、先般資料をいただきまして、たとえば一つの番組を制作する、いわゆる番組の充実の問題にも関連をするわけですが、最近の内容で言えば「源義経」というような番組、前で言えば「赤穂浪士」であるとか、そのあとが「太閤記」とかいういわば看板番組、この看板番組の中で、具体的に言いますと出演者、出演者はそのつど契約をする出演者とそれから常時いる出演者といるわけですね。これは二つに分かれております。それから構成、これは演出者から照明まで、撮影、音楽とか、衣装とか、考古学的な考査とか、いろいろなものがあるだろうと思うのですが、一つの番組をつくるのに一体どういうシステムで使われているのか。たとえば監督であれば、NHK費用をもらって一つの番組を制作するとすれば、その番組の中に占めておる制作費と給与との関係はどうなっているのか、それから実際上職員を動員する場合の動員のしかたはどうなっているか、いわば一本のものをつくる場合に、つかみ金でプロデュサーに金を渡してこれだけのものを幾らでつくれという民間の会社のシステムとは違って、言ってみればピンからキリまで全部雇い上げではなしに職員でやる分もあるでしょうし、また従来の設備でやる分もあるでしょうし、いろいろあると思うのですけれども、こういう点についてNHKでは、たとえば「赤穂浪士」ならば、これは浪士ではなくて浪費番組だというふうに言われておるのですが、今度の「源義経」の場合も一本について「赤穂浪士」より約百万円くらい高いということも言われておるので、その点の番組制作についての費用、その区分等についてはどうなっておるのか、これをひとつお知らせをいただきたいと思うのです。
  131. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 大体先生のお尋ねの趣旨は、番組の制作費の問題であろうと存じます。番組制作費をどうやって決定するかと申しますと、編成の意図、それから企画の内容というものによって大体制作費を決定してまいります。で、編成の意図といたしましては、放送する時間帯とか、あるいはそれが連続ドラマであるか、あるいは長時間ドラマであるか、そういったことによっても多少違ってまいりますし、それからまた出演俳優の選定につきましても制作費が違ってまいります。そういったようなことで大体制作費というものが考えられておるわけでございまして、これは番組担当者の思いつきできめておるわけのものではございません。たとえば、いまお話に出ました「義経」の例でございますが、これは前回もちょっと申し上げたことがございますが、この制作費の内容は、大体出演料と、それから委嘱料、あるいは著作権料、それから大道具、小道具、衣装を含む美術費、それから中にはめ込む映画、その映画費、あるいは音楽の楽譜を写します写譜料とか、消耗費とか、自動車代、あるいは打ち合わせ費とかいうものが諸経費として計上されておりまして、それで大体制作費の合計が出るわけでございます。それに先ほど先生のおっしゃいました職員の人件費というものを加えまして合計額が出てまいります。「義経」の例で申し上げますと、一回の出演料が大体七十三万四千円でございます。それから文芸作品、音楽作品の委嘱料が二十三万四千円、それから美術費が、これがやはりよろいものでございますので、かなりかかりまして百七万九千円、中にはめ込む映画の費用が、これがロケ費なども含みまして十六万六千円、それから諸経費――先ほど申し上げました自動車代とか、写譜料とか、そういったものを含めました諸経費が十二万三千円、合計二百三十三万六千円になっております。「赤穂浪士」と「太閤記」が約二百十三万で同額でございまして、「義経」が二百三十三万円でございますから、約二十万円ほど「義経」のほうが高くなっております。これは先ほど申し上げましたようによろいものでございまして、その美術費のほうが若干高くなっているせいでございます。これに加えまして職員の人件費を機械的に計算いたしますと、番組一本にかかります職員の人件費が約四十七万円、合計二百八十万六千円というような数字でございます。
  132. 横川正市

    ○横川正市君 これはいま言った内容をちょっと聞いても具体的にわからないから、一つ一つをお聞きをいたしますが、この出演料というのは、その使い方によってこれは高くもなり安くもなるわけですね。そこで、一つの方針としては、今度の場合も歌舞伎の役者をずいぶん使っております。それから、言ってみれば一線級の人を使うことにしているようです。この切り抜きによると、一線級の者は何か一時間番組で四十万ないし五十万、それから二線級で三十万、こういうふうに出しているわけなんですが、これは番組の充実というのは演技がうまいとかへただとかいうものがあると思うんですが、名前の売れている者を使うとか使わぬとかいうこともやはり番組の充実の中に入るんですか、それは使い方としてはどういう方針とっているわけですか。
  133. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) いま言われたいわゆる人気の問題でございますが、NHKの出演料の性格と申しますか、そういったものは、大体個人のいままでの技量、演技力、それからそれに対する社会的評価といったようなものが基準になっておりまして、人気というものももとより大事でございますが、これが出演料算定の大きな一つの要素にはなっておりません。したがって、ここのところが民放と違うところでございまして、たとえばある流行歌手が非常に近年伸び上がって、普通の町興行でワン・ステージ二百万円も三百万円も取るといったような場合、NHKではどうするか、そういった場合にも、大体前にきめた、いわゆる局では格づけと申しておりますが、そういったものにのっとって出ていただきます。これが商業放送の場合でございますと、スポンサーの関係もございますし、ある程度人気というものをしんしゃくいたしまして、かなりなギャラを出すといったようなこともあり得るわけでございます。したがいまして、私どものほうは芸能一本の価値というものが大体出演料算定の基準になっていると申し上げて差しつかえないと思います。
  134. 横川正市

    ○横川正市君 私は監督をやったこともないし、見て映画評論をするぐらいなことは少し能があるんじゃないかと思う程度なんですがね。たとえば民芸とか、そういうところで非常に下積みで苦労をして、芸は非常にみがかれているけれども人気がないとかいうような人がたくさんいるんじゃないですか。だから私は、NHKの出演料というものは高いとか安いとかいうことよりか、番組の強化策としては、そういうところを開発していく、そういう重点的な出演をやるべきで、あのぽっと出てぽっと消えていくへんてこな歌手ばかりねらって出演させるなんていうことは、これはやるべきじゃないんじゃないかと実は思っているわけなんですよ。だから、そういう意味では、なるほど「赤穂浪士」に長谷川一夫を持ってきたのは、決してこれは悪いとは言いません。しかしまあ、一般的に浪費と言われるような金の使い方をしないで――というのは、タレントを独占しないで何かくふうすることはないものかと、その点の配慮があっていいんじゃないかと思っておるんですけれども、これはどうなんですか、日常の番組制作については。
  135. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) まことに先生のおっしゃるとおりだと存じます。私どもといたしましては、できるだけ新人の発掘に努力を続けておりまして、いまなおこの努力をさらに拡充強化しようと存じておりますが、たとえて申し上げますれば、「太閤記」における緒方拳君の場合、これも最初相当下積みで働いていた方でございます。それから非常な人気がわきました高橋信長ですね、あの方もさようでございます。それから今度「たまゆら」のあとで「おはなはん」という連続帯ドラマを出しますが、この主演者も全く新劇の、そう申し上げては失礼ですが、いままではあまりぱっとしていない樫山文枝という女性でございまして、私どもとしてはできるだけ新人の発掘とこれらの方々の活用ということに努力をいたしたいと存じております。
  136. 野上元

    ○野上元君 ちょっと関連質問しますがね。NHKが娯楽番組放送される場合、あるいはその他の座談会等をやられる場合もあると思いますが、この場合は主として娯楽番組の場合、聞きたいのですけれどもね。当然あなたのほうとしてはロングラン的な劇をおやりになっているわけですから、常時契約されておるタレントがあるわけですね。そういうものの場合に、NHKとしては、あらかじめリストというものがあるわけでしょう。そのNHKが持っておられるリストですね。その中にはおそらくランク別にリストができ上がっていると思うのですね。Aランク、Bランク、Cランク、Dランクとあるわけでしょう。そういう点についてちょっと聞かしてもらいたいのですがね。リストをお持ちですか。
  137. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 格づけのリストはきょう持ってまいりません。
  138. 野上元

    ○野上元君 いや、あるかというのです。
  139. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) ございます。
  140. 野上元

    ○野上元君 その中には何階級に分かれておるのですか。
  141. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 大体十六くらいのランクでございます。
  142. 野上元

    ○野上元君 それは十六ランクに分かれておるわけですね。それによってギャラの相違が出てくるわけですか。
  143. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) さようでございます。
  144. 野上元

    ○野上元君 その場合、芸能一般としてのリストではなくして、いわゆる劇をやる俳優なら俳優のランクですか。それから歌手は歌手のランク、あるいは落語、漫才のランク別、こういうリストがあると思うのですがね。その一番トップのやつでギャラは違いますね、同じランクでも。
  145. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) おっしゃるとおり種目別のランクができておりまして、全部一律ではございません。
  146. 野上元

    ○野上元君 関連質問ですからもうこれでやめますが、どれが一番高いのですか。
  147. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) どうも出演料になりますと、出演者の方のフィーリングの問題でございまして、たとえばAの方の出演料を申し上げると、Bの方が、おれはあれより安いのはけしからぬというようなこともございまして、出演料の格づけは私どもは絶対に口外しないということになっておりますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  148. 野上元

    ○野上元君 そのことはわかります。同じ種類のランク別を私は聞いておるわけじゃなくて、映画をやる俳優なら俳優のランクの一番トップの人とか、それから流行歌手のトップの人と、それから漫才のトップの人と、どれが一番高いのですか。あなたのほうで一番どれが価値あると認めておるのですか。
  149. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 流行歌手のほうが低うございます。
  150. 野上元

    ○野上元君 一番低いですか。漫才より低いですか。
  151. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 漫才も入るのですか。漫才も入れるということになりますと、流行歌手と高低はございますけれども、大体芸一筋に生きてきた、子役のときから舞台一筋に生きてきた、つまり芸道一本の歌舞伎俳優とか、あるいは映画で非常に長い間名声を保ってきた方とか、こういった芸道一本の方は高うございます。先ほど申し上げましたように、ぱあっと浮かび出た人気の流行歌手というのは案外安うございます。
  152. 野上元

    ○野上元君 そういうランクが一つあって、今度「義経」をあなたの方で上映されることになって、そのときに主演者として尾上菊之助さんですか、あるいはさっきの話に出た「赤穂浪士」に長谷川一夫を呼んでくるといった場合には、これは別格ですか。
  153. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) あらかじめ格づけに記載されてあります基準の出演料によってお願いいたします。
  154. 野上元

    ○野上元君 そうすると、あなたのほうの基準にない人は、日本の芸能界にはいないのですね、基準外の人は。
  155. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 全然いないとは断言できないと存じますが、新人等でまだ格づけから漏れておる方もおられます。そういった者は、そのつど前後の格づけを勘案して、どの程度のところにこれを入れていくかということを局長並びにいろいろな会議で相談して決定するわけでございます。
  156. 横川正市

    ○横川正市君 私は出演料という項目で聞いているわけですが、NHK番組強化の特色の中には、いわゆるでき上がったものということよりか、でき上がっているけれども実際の無名でまだ埋もれているというような、そういう人たちにひとつ目を向けて番組強化、いわゆる内容の充実ということをやるべきじゃないか。これはそのようにやっておられるようですから、さらにひとつこの点は注意をしてやっていただきたいと思うんです。  そこで関連して、たとえば著作権問題、それからNHKに対していま日本芸能実演家団体協議会から、これは何ですか、やっぱりギャラのうちに入るわけですかね――の値上げを申請されているのですが、たとえば最低出演料をせめて二千円から三千円くらいにしてもらいたいという要求――現在千五百円程度だそうですが。民芸、文学座、俳優座の三劇団からこういう要請が出ているわけですが、実は一般の受ける印象からすると、一回出れば五十万ももらうのがいるというのに、いくらわき役でも、一体これはどうなのかという印象を持つわけですよ。ことに、まあこれは、いまのような社会だから、飛び切り高いやつがいてもいいし、食うや食わずのやつがいてもいいというような、そんなかっこうでは実は困るわけですね。最近私どもは新聞紙上で、何というのですか、自殺をした人がいましたね、NHKに長期番組で出ておって、そしてそれがなくなって……(「事件記者の」と呼ぶ者あり)、あれでなくって、「事件記者」のあれでも自殺あったけれども、何とかいう大工さんやなんかの役をやっておったという人ですよね。いわゆる全部を救済するわけにもいかないけれども、一つの劇を構成する中で必要な人間で、ちょこっと顔を出すようなときでも、ある程度高い人間もおるし、常時出演しておっても――千五百円ですか、いま。千五百円でその日契約だという人もいる。その日契約で千五百円です。私は、一日にかけ持ちで二カ所も三カ所も出れば別だけれども、実際上好きでやっておっても、生活ができないんじゃないかというような気もするわけですがね。要求の問題とからんで、この種の取り扱いはどういうふうにしているわけですか。
  157. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 最高出演料一回五十万円という役者さんはおりません。それから最低の場合でございますが、たとえば通りすがりの、つまり通行人といったような場合も、大体二千円程度はお払いしております。大体そういった方は、いわゆるまだ完全にプロとなっていない方が多うございまして、学生の劇団にいるとか、あるいは既存の商業劇団の研究生、そういった方々がつまりちょっと出て二千円というようなことになっておるのでございます。
  158. 横川正市

    ○横川正市君 これで見ると、森繁久彌さんとか、山本富士子、フランキー堺、石原裕次郎なんというのは、大体民放並みで四十万円から五十万円払っていると書いてあるのですが、これは違うのですか。
  159. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 違います。
  160. 横川正市

    ○横川正市君 言わないことになっているから――大体この近所ぐらいなんでしょう。  そこでね、いま言った内容でちょっとまだ説明が、答弁が不足しているのは、一体この種の要求をどういうふうにNHKとしては考えているのですか、三〇%値上げ要求というのは。
  161. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) それは今度新しくできました団体でございまして、たしか邦楽、洋楽、新劇旧劇、全部合わせて二十六団体の加盟団体で組織されている、いわゆる芸能実演家団体協議会と申すものだろうと存じますが、できたばかりでございまして、できたらいきなり出演料の値上げを申し入れてまいった。で、協会といたしましては、昨年度も、個別的には出演料の補正とか補完というのをしょっちゅうやっているわけでございますが、今回の申し入れのような全面的な出演料のアップということは考えておりません。その理由は、結局演技とか技能とか申しますものは、元来が個別的なものであるという考え方に基づいているからで、芸能人で、この一年間技量が非常に進歩した、向上したと認められるような方については、個人的には若干の改定をしなければならないことはもちろんでございますが、一律のアップということは、いま申しましたような理由で、考えておりません。しかし、先ほど申し上げましたように、番組では、技量の向上した方ばかりではなく、新人の発掘とか、新人の活用ということに非常に努力をしておりますので、これら新人の出演も積極的に考慮しておりますから、一部の改定による予算措置は、いまのところ必要がないというふうに存じております。それに、予算の立て方、つまり番組制作費が、先ほどちょっと御説明申し上げましたが、大体番組一本で幾らというような制作費の立て方をやっておりますので、この出演料というものは番組制作費の中に含まれるわけでございます。したがって、個人的な若干の出演料のアップは、制作費全体の中である程度融通がつけられるのではないか、そういうふうに存じております。
  162. 横川正市

    ○横川正市君 どうもいまの答弁は、ちょっと制作費全体が少しずさんだというような聞き方もできるわけだけれども、まあ予算の問題と関連するから、これは当然値上げされればどうなるかということにもなるわけですが、この中で徳川夢声さんは、われわれはストライキができないので、相手次第だけれども、ぜひひとつNHKを倒したら、この次は民放を倒そうと書いてあるので、どういうかっこうになるかわかりませんけれども、何らかの形で折衝を持つことになるわけでしょう、この出演料について。どうですか。
  163. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) この団体は、新しくできたばかりの団体でございまして、実は今度の申し入れも、仄聞するところによりますと、先方の役員会を正式に通ったものではないというようなことを私は聞いております。何か事務局が一方的に発表したというような話を仄聞しております。いずれ正式に向こうから話がございました場合には、もちろんお話はいたすつもりでございます。
  164. 横川正市

    ○横川正市君 しかし、これは新聞の報道ですから、新聞を信用しないと言ったら記者の人におこられるから、ある程度信憑性を持たせて聞いているわけですが、俳優協会といえば市川左団次、日本新劇俳優協会東山千栄子、日本映画俳優協会森繁久彌、日本喜劇人協会榎本健一、日本歌手協会東海林太郎、三十三団体三万四千人というようなたいへんな組織でNHKに三〇%の要求をしたと報道されているので、いま答弁にあるような不存在しているようなものなのか、もっと取り組まなければならないものなのか。何か私はもう少し両者の関係というものは密接な話し合いをする場ができているような気がするのですが、どうですか。
  165. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) おっしゃるとおりでございまして、いまお話しのそういったお歴々の方が全部各派の団長格でおられるわけでございます。したがって、そういった方々が一堂に会して役員会議をお開きになるひまもなかなかないのだろうと私は存じております。これはほんとうの目的は、ただいま審議中の著作権法改正という問題がございます。これに対処するために各芸能団体が打って一丸となってこういう団体を結成したというふうに私どもは伺っておりまして、著作権法改正に備えるためには、こういった備えも私は非常に必要なのじゃないか。各派がばらばらでいるよりも、利害の共通を目的とする団体が一つにまとまって著作権に取り組むということは、私は個人としてはたいへんけっこうなことだというふうに存じております。
  166. 横川正市

    ○横川正市君 必然的に著作権の答申が出されて、そして水準が、国際的な水準へということで、答申に基づいてその実施方がおそらく問題になるわけでしょう。文部省の著作権審議会の江川さんの方針からいってみても、その小委員会の取りまとめの方針に従って意見書も提出をされる、こういうふうになっているわけですが、同時にこれは、著作権の問題と、日本の著作権団体協議会の石川達三さんと一緒になって動き始めているわけですから、全体としての取り扱い方は、NHKとしてもいまのような取り組み方ではだめだというふうな考え方に立っているのじゃないか、もっと真剣に取り組んでいく必要があるのだという、そういう状態が出てきているのじゃないかと私は思うのですが、どうですか、それは。
  167. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) まだ先方の団体と、何しろでき上がったばかりでございますので、顔を突き合わせたこともございませんし、会ってお話をよく承ってからにいたしたいと思います。決してその団体を私どもが軽く見たり、ボイコットしたりするようなことはいたしません。
  168. 横川正市

    ○横川正市君 これはしかし、事実行為としては、沖繩の第二次放送についての配分方式なんかを、三十九年度は折半、四十年度は出演者七五%、作家側二五%に分けて、その話し合いがまとまった。ところが、そういうような具体的な動きをしているのに対して、NHK側の考え方は、この第二次放送についての年額約一千万円、これをそれぞれ配分、受け取り側として団体をつくってやったのだけれども、飼い犬に手をかまれたようなことだと言って、NHK側はこれをあまり問題にしないぞというような態度をとっているような書き方なんです。いまあなたの答弁と同じような書き方をされているわけです。ところが、相手方はもっと具体的な要求の態度を示している。しかも、事実行為としては、あなた方が援助をしてつくったかどうかわからぬけれども、二次放送についての配分方については、しかも配分計画で結論が出た、こういうところまで事実行為は進んでいるわけです。私の心配するのは、NHKの機構はきわめて民主的でなければならぬと思うのです。これは薄謝協会から最近少し羽ぶりがよくなったから、羽ぶりをきかす協会になってもらっては困るという考え方をわれわれは持っているのです。もっとやはり、先ほど言った新人発掘の問題もそうだし、もっぱら番組強化の一つの方針としては、言ってみれば、長い俳優生活をやったけれども、生活に困って死んでしまった、自殺をしたというような悲劇はなるだけ聞きたくない。しかし、それは民放に依存してもだめだから、NHKにできればそういういわばレギュラーであった人を使ってやるというような態勢も必要であろうし、あるいは最低額の引き上げもしてやるのがほんとうじゃないか。そういう考え方に立ってものを見れば、要求してきたが、けしからぬと言ってけ飛ばしてしまって、その次からはもう使わぬぞ、こういうような形で出られることは、これはやはり結果的にまずいと思うのです。ただ私は、非常にギャラの高いところから、お願いします、何ぼ何ぼ払いますというNHKも好きじゃない。それはひとつ新人発掘でまかなってもらいたいし、それから下のほうはできるだけひとつ、これは育成もあるし、それから全体的な水準の強化の問題もあるから、そういう意味で協会としてはやはり努力――社会奉仕しろとは言いませんから、努力すべきだ、そういう意味でこの団体の取り扱い方についてどうされるのですかと聞いているのですから、その意味でひとつお答えいただきたいと思います。
  169. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 私どもは決して、第三者に、飼い犬に手をかまれたというような印象は全く持っておりません。それは第三者の見る目かどうか存じません。これからも会って十分にお話し合いを受けたいと存じております。  それから、いま先生のおっしゃった芸能番組のあり方並びに出演者の接遇の問題、取り扱いの問題謝金の問題等につきましては、御趣旨をよく体して、これからもそういった新人発掘、それから適正な出演料ということに努力したいと思います。
  170. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、ひとつこの番組をつくるための資料によりますと、スタジオの場合には、ディレクター、助手、それから技術の場合は、テクニカル・ディレクター、カメラマン、音声、照明、美術の場合はデザイナー、大道具、小道具、衣装、化粧、これは時代ものであれば考古学的な考査をやる人も入っているのだろうと思うのですが、この中で、大道具、小道具、それから衣装、化粧などというのが、業者ということになっているのですが、どこか専属の業者ですか、それとも、そのつど契約をする、何といいますか、人入れ稼業みたいなやつがあって来る臨時的なものなのか、どういう性格のものですか。
  171. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 美術センターという株式会社が全部大道具、小道具、衣装、化粧を受け持っております。この業者に請け負わしております。
  172. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、これはここに一千七十九万というのは、この美術関係は一括美術センターに払って、そうして見積もりか何か取るのだろうと思うのですけれども、どういうことですか。衣装なんかは、人絹でつくってやるやつもあるだろうし、絹でつくるやつもあろうし、いろいろ実際に使われる品によって負担というものは違ってくるだろうと思いますが、当初の予算の組み方と、それから美術センターにまとめて委嘱の場合、それからそれと監督との関係なんというのはどういうふうになっておりますか、監督はいいものを使いたいということになるでしょう。それから実際上番組をつくるときの編成会議その他ずっと非常に何段階もの方針決定のための会合が開かれているわけですが、その段階における予算状況というものはどういうふうになっておりますか。
  173. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 「義経」の場合の美術費は百七万九千円、これはお持ちの資料にデザイナーというのがございますが、これが職員でございます。大体このデザイナーというのが美術関係設計をいたします。したがいまして、これに「義経」の場合には、舞台化粧の方もおられますが、大体デザイナーを中心として大道具、小道具、衣装というものが選ばれているわけでありまして、注文はすべて打ち合わせ会議に基づいてきめたものを美術センターのほうに発注いたしまして、注文の品を美術センターが責任を持ってそろえるというたてまえになっております。先ほどちょっと申し上げましたように、この美術費が「義経」の場合には非常に高うございますのは芝居の場合と全く同じでございまして、よろいものというのは非常に高くつきます。いいよろいですと、一回借りますと十万円になんなんとするような場合がございます。  それから、先ほど申し上げました番組制作一本の単価でございますが、これは平均でございまして、たとえば「太閤記」でも、「赤穂浪士」でも、「義経」でもそうでございますが、抜き取り撮影とか先どり撮影というものをしょっちゅう行なっております。たとえば同じ場面、同じセットが組まれたような場合には、さらに来週のもの、来々週のものもそのセットでとってしまう。それから役者さんの都合がつかない場合には、また来週、再来週の分もそこでとるまあ抜きどりと申しておりますが、そういうことをやっておりますので、一本幾らという単価は、大体平均すればこの単価であるという予算のめどでございまして、一回の制作には、さらにそれが二回分、三回分も抜きどり撮影を行なった分も含めてございます。
  174. 横川正市

    ○横川正市君 これはタクシーで行くかハイヤーで行くかによって料金が違うわけですね。 タクシーの場合には片道料金、ハイヤーの場合には往復料金ということになるわけですが、この借り上げなんていう料金はどういう根拠の算定があるわけですか。これは一回に、抜きどりか先どりかわかりませんが、大体百万の金でやるわけですね。一回百万といった金になれば、一つの画面にどれくらいの人が出ますかね。まああまりたくさん出ないようなときもあるようです。六、七人で済むようなときもあるし、今度大洗でやったときにはずいぶんたくさん出ているようですが、そのつどの画面に出てくる衣装など、よろいなんかは一回借りておけば最後まで間に合うのでしょうが、衣装なんていうのはずいぶん違いますね、出てくるたびに衣装が。そこまでこまかく見ているのかというくらい見ていますが、なかなかいい作品です。だからずいぶん金をかけているなと思うのだけれども、しかしそういう衣装だとか小道具なんかはあまり問題にならないと思うのですが、そういうものの単価決定、これは一体どういうふうにして、これはデザイナーの方がセンターの人と話し合ってきめるのでしょうか、どういうきめ方をするわけですか。
  175. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) このセンターができます前からテレビができ上がっておりまして、いままでこういう商売を専門にしているいろんな業者がおりますが、すでにそういったところで大体大道具、小道具という値段の相場はでき上がっております。これは芝居等においても、映画等においても、同じでございます。大体それに準拠してきておるということでございます。
  176. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、たとえば絹で着物をつくったなどというのは、一回限りですから、終わってしまえば美術センターへ払い下げをしたり何かするのですか。
  177. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) ほとんど全部払い下げしないでとっておきます。必ずいつかの場合にはまたそれを賃貸しすることができるわけです。ですから、大道具、小道具あるいは衣装の倉庫はいつも一ぱいでございます。
  178. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、美術センターというのは業者だけれども、事実上はNHK建物の中に倉庫みたいなものを持って、そうして業務についているということになるわけですね。
  179. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 大体制作現場に近くないとこういった大道具小道具の仕事は能率的ではございませんので、放送センターにスタジオが移りましてから、同じ建物の中で制作工場をつくりまして、そこで大道具などは制作してもらっております。そこで制作したものをすぐ隣のスタジオに搬入する、それから撤去する場合にも、すぐ近所におりますので、たいへん能率的であるというふうに申し上げることができると思います。
  180. 横川正市

    ○横川正市君 そこで出ておりますディレクター、美術デザイナーまでは職員で、それから美術センターの大道具、小道具から化粧まで、これはスタジオの場合は業者、こういうふうに分けて、演出者から美術デザイナーまでは全部職員で構成されていると、こういうふうな資料ですが、そのとおりでしょうか。
  181. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) さようでございます。
  182. 横川正市

    ○横川正市君 この職員の制作費の中に占める人件費というものは、これはないわけですね、職員の場合は。
  183. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 先ほど「義経」の例をとって申し上げましたが、数字的に計算いたしますと、大体四十七万円くらいになるかと存じます。
  184. 横川正市

    ○横川正市君 職員の場合には、常時これは給料を払う対象ですから、あくまで人件費というやつがあるわけでしょう。ですから、制作費の中にはこれの人件費というものは入らないわけですね。
  185. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 先ほど申し上げました純制作費二百三十三万六千円の中には含まれておりません。職員の人件費を機械的に計算しますと、これにプラス大体四十七万円くらいになるんじゃないか、それで職員の人件費を入れて二百八十万というふうに申し上げました。
  186. 横川正市

    ○横川正市君 スタジオの場合はわかったんですが、ロケーションの場合は、これと全く同じなのですか、それともどこか違ったところがあるんですか。
  187. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) ロケーションの場合、大体同じというふうに御了解願って差しつかえないと存じます。演出、ディレクター、あるいは演出の助手、それからカメラマン、照明、録音――職員でございます。衣装、化粧のほうは、やはりこれは業者に委嘱しております。
  188. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、先般私のところに、 ロケーション等に使われる照明係で、これは人件費でなくて雑費支弁による係の者が、しかも長期勤務でおるという話があります。そんなことはないだろう、これは前の四十年の予算のときに会長に、一体非常勤とはどういうものだ、それから常勤から職員にするのはどういうものかといろいろ聞いたときには、そういうものがないというふうに言っておったんだがと言うと、事実上あると言うものですから、私もちょっと驚いたわけですが、たとえば「テレビ指定席」とか「義経」のロケハン等についていく照明係の職員でない者、一日の日給千七百円で、いままでの経過等聞きますと五年くらい勤続していて、一番最初は千二百五十円だったが、五年目に二百円上って、それから千七百円になった、大体一カ月間の稼働が二十二、三日だ、いつになったらこれは職員にしてくれるかわからぬというような待遇を受けておるんだという話があったわけですが、いまの話だとないようですけれども、これはどういう職員ですか。
  189. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 先ほど申し上げましたとおり、原則としてはございません。ただ、いま御指摘の映画の場合でございます。これはかって新東宝のスタジオを借用いたしまして、フイルムのドラマを制作していたことがございます。放送センターができ上がりまして、そのスタジオの借り上げをやめたわけでございます。それで新東宝当時に、若干先方の方に、照明とか、あるいはカメラのアシスタントあたりを拝借していた部分がございました。今回こちらに移りますにつけて、あるいはよく調べてみないとわかりませんが、照明あたりで一名か二名、あるいはまだ若干そういった新東宝時代のしっぽが残っておると申しますか、まだアルバイト的な存在が残っているかもわかりませんが、これは私いまつまびらかに御答弁できないのを非常に遺憾に存じます。  〔理事光村甚助君退席・委員長着席〕
  190. 横川正市

    ○横川正市君 一体NHKの職種の中に、職員と、それから職員のほかにどういう種類があるのですか。
  191. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) 職員のほかに嘱託とか、並びに長期臨時という二種類ございます。嘱託は、たとえば特殊の語学を必要とする国際放送要員というような方々でございまして、これはほぼ職員に準じて待遇をいたしております。もう一つ長期臨時は、率直に申しまして、大学出の者もおりますが、大多数は高等学校等の卒業で、協会放送業務に臨時的ないし補助的業務という形で、ある期間を限って雇用する、こういう形態になっております。
  192. 横川正市

    ○横川正市君 それは人数からいくとどのくらいですか。
  193. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) 嘱託が三百七十名、それに対しまして、長期臨時が七百名、こういう数字になっております。
  194. 横川正市

    ○横川正市君 どういう必要性でこういうふうになっているのですか。たとえば一般官庁でいえば、何といいますか、定員法というのがあって、定員法によって、雇用関係が結ばれないから必要だけれども、臨時補充員のような形で置く。やがて定員法の改正をしたら、職員と同じ待遇をするというような種類のものか、それとも全くのこれは雇用条件のうちで特殊なもので、いわば何といいますか、季節定員みたいに、必要なときに何人か来てもらって、やめればすぐ契約を解除するというようなものか、たとえば嘱託なんかという場合には、ほかに職業を持っていて、NHK業務に対して何かの貢献を、いわば仕事の手伝いをするというかっこうのものか。それから長期臨時というのは、補助的な仕事ということよりか、実際上は定員のワクがあって、業務があって定員がほしいのだけれども、ワクで雇えないから、いわば補助的だから、これは定員外職員ということにしてあるのか、その点どういう取り扱いをしているわけですか。
  195. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) お手元の予算書にもございますように、職員としての定員は、四十一年度一万四千六百名でございます。で、いま問題になっております嘱託並びに長期臨時千九十名という形で、予算書に定員として双方を、職員の一種といたしまして嘱託、長期臨時双方を含めまして千五百九十名ですか、四十一年度の定員としてございます。以上御説明申し上げますように、これは定員のワクの中に入っておりますので、はっきりした形で労務費支弁ということでございます。
  196. 横川正市

    ○横川正市君 定員はいまのところあれですね。ことしは百二十人増加されて一万四千六巨人。事業計画によると五十三人が放送記者、ニュースカメラマン等の増員で、一万四千六百人ということになっておるわけですが、この一万四千六百人プラス千五百九十人ということが定員ということになるのですか。
  197. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) ええ。それからもう一言申し添えますが、先ほど御質問の嘱託とはどういう処遇であるかということで御説明申し上げますと、職員としての管理のアウトサイドにありまして、たとえば先ほど私が例示をいたしました国際放送等の語学要員というような関係では、外国人というような立場で多数アナウンサーとしておる者が、これらの嘱託という職種に包括をされておるわけです。
  198. 横川正市

    ○横川正市君 地方なんかの取材に当たっている人たちで、嘱託なんというのがありますか。
  199. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) 嘱託通信員という形で、全国放送ないし取材網というものの補助的手段という形で約百五十名、報道通信という名目で存在いたしております。
  200. 横川正市

    ○横川正市君 これは会長どうですかな、いまの言われたような職種、それから雇用条件、これはNHKの場合には、民放から言わせればまたこれはどんどん人を減らさにゃいかんといっておるのに、NHKは人をふやすと批判があるようですが、いわゆる事業拡張の状態からすれば、まあこの定員の妥当性というものは裏づけられるじゃないか。そうするとですね、当然の形として、雇用条件というものは季節的にこの臨時補助的な業務をするものについては、これは例外としてたとえば地方通信の取材強化の場合には、これは嘱託制度でなくて、職員制度それから実際上のこの業務の中でどういうあれがあったにしても、さっきのような照明係や何か、五年も同じように人件費は雑費支弁で支払われていると、これは制作費の中だと思うのですが、そういうふうなものを解消をして、いわば職員とそれから臨時的な雇傭関係にある職員、これはもう全くの季節的な定員、かりにこの試験雇用であっても一年くらいはこれは臨時であっても、一年を過ぎた者については職員とするとか、その点雇用条件は変える必要があるんじゃないかと思うのですけれども、できない理由をひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
  201. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ただいま佐野理事から御説明申し上げましたように、そういう形のものが実在するということは事実でございます。それに対してどのような考え方を持っているかという点になりますと、私どもの最終方針としては、すべて必要な業務については職員であることが望ましいというたてまえをとっております。たとえば国際放送関係の外国人等の処遇については、これを職員とすることはむしろ避けなければならないという特殊の事情もございますが、その他の問題については、したがいまして内規をつくりまして、毎年度協会内の登用試験を行なうことにいたしております。この登用試験に合格した場合には、あらためて職員になるという制度も勘案いたしております。で、総括的に申し上げて御質問の趣旨の御意思のあるところを伺いますと、おそらく定員制度というものを、根本的に事業の拡張に伴って改めれば、こういった長期臨時という形のものは必要がなくなるという御観点での御質問かと思いますが、この点についても、一部のものについてはそのとおりかと思います。したがいまして、ただいま申し上げたような登用制度をつくりまして、できるだけ数多くの人を吸収してまいるという考え方を持っておりますが、NHKのような国民的機関という名において経営をいたす場合にいろいろな環境、いろいろな関係からある程度、先ほど番組関係で自殺者などを出すなという御意見もございましたが、これと直結するものではございませんが、ある程度整理しながら職員に登用していくという道を開いたほうが実際に適するという場合もございますので、御趣旨の点については、私としても全く同感でございまして、極力その方向に努力いたしたい、このように考えております。
  202. 横川正市

    ○横川正市君 まあ何といいますか、NHKの機構上から必要なものについての定員化ということは、何かそういうふうにするというような返事にも聞こえるわけですが、登用試験云々ということになると、これは職種は千差万別だと思うんですが、たとえば照明係は、実は私ちょっと認識不足しておりましたが、照明係なんというのは、あれは雑務でだれでもできるんだろうと言って、それはだれでもやれるんだろうと聞いたら、冗談じゃないんだと、照明係というのは、いかに撮影効果をあげるかということでは、非常に重要な役職なんだと言われて、いってみればちょっと認識を改めた。ただその中に、たとえばその中に重要だとか重要でないとかいうことについては、あまり口にすることはどうかと思うんだけれども、まあ複雑化、単純化というようなことでの職種の分け方というのはあるんじゃないかと思うんですね。ですから、その点は登用試験等のやり方その他についても、十分それは配慮されるべきだと、こういうふうに思いますし、それからその機会を、あるいはやっぱり十分与えてやるようなかっこうにしておかないと、いま言ったように単純作業だと思っていていつまでも臨時で放任されている。しかし、本人はいかにしたら照明係として完成するかというので努力をしていると、そういうことにこたえる形にはならないのではないかと思うんですが、この点はひとつ配慮をしておいていただきたいと思う。  それからもう一つ、番組強化の問題にカラー放送三時間とあるわけなんですが、一体カラーの受像機は、実際上の実用化された状態だと判断されているのか、いろいろ私もたびたびカラーの受像機を見るんだけれども三分と見ない。なぜ見ないかといったら、ああいうのを見ていたら、かえってテレビを見ているような気がしないぐらい、いらいらさせられるような状態で、まだカラーが一般普及段階だとは判断ができない、いわゆる試験段階の域をまだ出ていないんじゃないかと、そういうような時期にメーカー筋の受像機を売るためのカラー放送時間をふやす、これはNHKは私はとるべきじゃないんじゃないかと思うんですよ。いまの段階では、たとえば一時間とか二時間あるいは三十分という実際上の放送時間があれば、もっとカラーの完成するという意味での私は十分実効をあげることができるんじゃないか、そういうふうな考え方を持っておりますが、まあその考え方が間違いだとお考えかどうかですね。私はそういうような考え方の上に立って見た場合に、白黒で送る場合とカラーで送る場合の経費の違い、それから実際上の見ている人のいわゆる人員数、重点の置き方からすれば、当然この金は、他の難視だの難聴のほうに向けるべきだと、こういうふうな金の使い方の問題についても考えているわけですが、これについてどういうお考えでしょうか。今度時間を三時間にしたわけですけれども、実際上のカラーの今日的な技術面からいってみて、もう完成をしたと、こういうお考えか、あわせてひとつお聞きしたいと思います。
  203. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) カラーの問題につきましては、いろいろな御意見を承っておりますし、私といたしましては、ある部分については同感するところもございます。ただ、NHKの立場としてカラーの問題をどう考えるかという点に立ちますと、私といたしましては、少なくとも送信技術におきましても、また最近の受像機の調整におきましても、いずれも完成に近づきつつあるということを信じております。個々の受像機その他の調整については、個々の問題が発生しておる、ようでありますが、少なくとも送信側から見ますと、カラーはすでに実用あるいは実用化され、試験的な実験の段階は早くも終わっておるという考え方でございます。この考え方に立って番組編成上、一日何時間カラー化すべきかという問題は、実は直接にはNHK編成方針そのものと直結する問題でございまして、したがいまして、私はただいまの御質問の中でも一部同感するものがございます。それは最近の弱電事業界の実情関連して、今後この業界を繁栄させるためには、カラーテレビジョンの普及以外にないとお考えになる向きもあり、また私自身それらの業界の代表から直接陳情を受けた事実もございます。この点につきましては、私は業界の首脳部と私自身の考え方の中には、多少の食い違いがございます。その点はただいま申し上げたようにカラーの編成は、時間、内容にわたってNHKの自主的観点に立つべきであるという点が中心となる問題でありまして、しかし、私は同時に全国民に同様の恩恵を、一つの聴視料のたてまえとして考えても差別待遇すべきでないという考え方を持っております。したがいまして、カラーの時間の長短にかかわらず、また受像機の実在するかいなかにかかわらず、原則的な方針としては、全国同一番組を提供すべきであるという考え方を持っております。ただ、先ほど触れた点と関連してメーカーとの関係においてこれを普及させる方法はどうであるかと、受像機の普及はどの点にかかるかという点につきましては、私は同時に業者のほうでもその目的を達するためには、相当の犠牲を払うべきであるという考え方を主張いたしております。その犠牲は、受像機の調整についてさらに便利なもの、価格についてさらに低廉なもの、これを供給することが、業者の主たる任務ではないかということを考えております。この私の考え方中心として、実はいろいろ業界の方とも話し合ってきているわけでありますが、私のカラーに対する基本的な考え方は、以上のようなものでございます。  そこで質問の第二点、それでは一体カラーの番組費と白黒の番組費との差異はどうであるか、これは概して申し上げるならば、どうしてもカラーにしなければならないもの、それからまたカラーであったほうがいいもの、それからまた、この程度のものはカラーにしてもいいではないかというものをNHK中心として考えますと、三種類ぐらいに分かれるかもしれないと思います。どうしてもカラーにしたいというものは、主として教育番組でございまして、私としては、たとえば化学の実験番組あるいは物理の実験番組といったようなものは、僻地の学校を思うときには、できればこれをカラーにすべきであるという、一例でございますが、考え方を持っております。また芸能作品でありましても、これがカラーによって実現される場合に、聴視者の満足感はさらにふえるであろうというものについては、その番組の性格上カラーにしたほうがいいということを考えております。それからまた、一般的経費の負担を聴視者にかけることなくカラーであることのほうが好ましいとわれわれ自身が考えるものが、第三種類の番組になるかと考えております。これらを勘案し、また業者との協力を求めるという意味で、御審議予算では、明年度定時番組一日三時間をカラーにいたしたいと考えているわけでありますが、それでは一体制作費はどうなるかという点につきましては、ただいま申し上げました三種類を平均的に考えますと、あるものはただ送信設備だけの問題であり、あるものは特に演出あるいはその他と関連するものであり、あるものは自然そのままの、あるいは中継的な機器を必要とするにとどまるものとなるわけでありまして、その点においては一本の番組単価は、その三種類を平均化するときは最高三倍、あるものは全く白黒と同じものというものがあり得るわけでございまして、それらを勘案しながら番組編成費の御審議をお願い申し上げたい、このように考えております。
  204. 横川正市

    ○横川正市君 まだ理想の域を脱しないんじゃないかと思うのですね。あなたの言うように、物理的な実験等がカラーでやれればいいことはわかりますけれども、そんな、山村へ行ったら白黒のテレビもないような、そういう状態ですし、いまカラーがどういうところに据えつけられているか――まあ私どもはどうせあまり豊かじゃないから、カラーなんというのはまだ遠い夢だと思っていますが、私どもの周辺を見てみても、カラーの受像機を備えつけているなんというのはあまり聞かない状態です。だからいまわれわれがカラーに力を入れるということは、言ってみると弱電メーカーの頭打ちの状態をどこかで吹き抜けたい、しかも、それがカラー受像機だというようなことで、今度の場合には合同カラーテレビ展が持たれて、異例の業者、業界が一致した。言ってみればピンチにまとまったということなんだけれども、一体そういうピンチだから、NHKはそれをどうだということは考えないまでも、何か結果的にそういうふうになるような行き方は、実は私はあまり歓迎すべきではないんじゃないか。会長の言われるように、これが山村僻地までの学校に全部カラーの受像機がついておって、なおNHKが学校放送として一日に三時間なり四時間のカラー放送もしないということになれば、これは怠慢だと、いまは受像機もないような状態のときに、いや実は物理実験等はカラーがいいんだというような言い方でカラーを強化していく。もっとも経費の面からいえば白黒と同率だというような点もあるそうですが、これはやはりそうじゃないんじゃないですか。たとえば十二月三十一日の紅白歌合戦、カラーでやったなんというあの長番組の場合には、私は相当な経費がかかるのじゃないかと思うのですね。見るのと聞くのと両方楽しませてくれているからいいというのは一体何人かというと、カラー受像機を持った者だけ、あとは白黒で十分満足してこれは見聞きしているわけですから、そういった点から見れば、一体この理想とするようなもの、いま三段階に分けられましたが、カラーでなければならないというふうな教育番組は、それほど受像機が普及しておらない。それからカラーにしたほうが、経費その他の負担から見て同等だと考えられるようなものと言ってみても、私はそれは数にしてあまり多いのではないのじゃないか、そういうふうに考えますと、あまりカラーに力点を入れた番組強化ということは、今日あまり歓迎できないというふうに私は思うのですけれども、一体それは会長考え方としては、カラーの放送時間に対して、たとえば来年は四時間にするとか、再来年は五時間にするとかいうようなことをひとつ腹の中に入れて、ことし三時間ということをきめているわけですか。それともいま言った三段階が、まず今日的な段階では必要最小限度だから、三時間にしたというのか、その辺の考え方だけひとつ聞いておきたいと思います。
  205. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) カラー放送時間の長さにつきましては、御承知のように総合テレビジョンは一日十八時間、御審議いただく明年度の教育テレビジョンの一日の放送時間は十六時間半となっておりまして、合計一千四時間半のうち一日三時間という限度は、きわめて先生の御趣旨に沿う限度を最大の限度と考えているということでございまして、明年度以降これをどのように処置するかは、やはり普及の問題と関連しながら、実際問題をとらえつつこれに善処してまいりたい。さらに学校放送に関しましては、たとえば学校放送全国のいわゆる試験校と申しますか、そういうところには、実は受像機上の協力をいたしております。そういう点では、学校教育に実験的にカラーの効果をお調べ願うということもある程度必要でありまして、その限度においては、私どもは自主的に事態の処理に当たりたい、このように考えております。
  206. 横川正市

    ○横川正市君 まあ、水かけ論にならないまでも、私はカラーの放送がそれほど今日求められているとは思いません。ですから三時間が適当か適当でないかについては、これは実際上の問題で判断しにゃいかぬと思いますけれども、これからそういう方針について検討される場合には、ぜひひとつ受像機のいわば分布状況とか聴視者の数であるとか、経費の問題であるとか、それのウエートの置き方等については、十分ひとつ配慮してきめていただきたいと思います。  それからもう一つは、今度の四月番組から、たとえば報道番組に重点を置いて、娯楽関係番組については、芸能あるいはスポーツの中継等の大幅な改善をやると、それから婦人向けの教養番組、ことに芸能、娯楽については、夜の八時から十時に集中して、報道、教養に比重のかかった放送体制をとるというようなことで、大幅にNHKの四月番組内容が改善されるようにされているわけなんですが、この場合、一連の端的な例をとりますと、たとえば全日空が悲惨な墜落事故を起こしました。東京湾に報道網を張ったNHKの報道というものは、これは至れり尽くせりの報道であったと思うのです。で、この報道は至れり尽くせりということは、行き過ぎもあるくらいかと言われれば、私はそうだとは実は言わない。しかし、それだけの放送網を張ることができた、それはNHKとしては十分やったというふうに自負を持っていると思うのですね。もう一つは、選挙が終わって、だれが何票とったかという報道を見ておりますと、これまた実に丁寧に放送してくれるわけです。だからわれわれその選挙をやった者からすると、浮き沈みする票を見て一喜一憂しながら、なおかつ報道の時間を待つということは、これは心理状態としてはわかってもらえるだろうと思うのですが、ところがその欠けた点が一つあると思うんですね。それは何かといったら、政治番組が、実際上いまの番組編成の中でどう取り扱われているか、たとえば日本の国会で予算委員会がやられております。予算委員会でやられたのを翌日の新聞で見ますと、これはきわめて抽象的に一行か二行に集約されたものであって、これは、いってみれば象のしっぽにさわって象を知るというぐらいのものしか報道されていないわけです。国会の内情というものは、放送あるいは新聞によって国民はほとんど知ることができない。そこで反射的にどういうことが出てくるかというと、誇大に演説会等で演説される内容のほうが、日常報道されるものよりか多いわけで、政治に対する国民の認識というものは、いわゆるそういうような長時間にわたって演説会場で演説されるものに対する批判をすることの能力を持たない、こういう欠陥が私は出ていると思うのでございます。国民主権の国会という立場に立っておりながら、国民が政治を知らない、国民が問題を知らない、何を論議しているかもわからない。先ほど当初に言ったように、やゆ的な漫画を見て国民は国会を理解するという、きわめて危険な報道のほうが浸透しやすい、また、うそや誇張が入ってくる、こういう現実というものを、一体どういうふうに正しく報道をするかという点の努力を私はやるべきだと思うんですよ、番組強化の中で。たとえば日曜十一時から一時間、各党の討論会をやりますけれども、あれなんかは全く、私は事実に基づいての国民に判断を与える資料にはならぬと思うんですね。もっとかみ砕いてわかりやすく、というのは、これは国民をばかにするわけじゃありませんけれども、この間、私は、学校の子供が国会の見学に来たので、こういう質問を受けたんです。――一体、正面から見て左側に衆議院があって、右側に参議院があるのは、どういうわけですかと、私弱ってしまいました。だから、昔、右大臣、左大臣というのがあり、左近の桜、右近のタチバナというのがあって、何か昔、そういうようなものがいろいろあって、きまったんじゃないでしょうかというような程度の答弁しかできません。ところが、子供というのは、われわれが予想もしない、いわゆる国会に対する質問というものを持っているわけなんです。ところが、それに答えるというものは一つもない。だから、非常にかみ砕いてわかりやすくやるという、しかも放送法に基づいての公平な報道が行なわれるというむずかしい基準もあるわけですが、そういうものがないんじゃないか。この点を私はNHK放送の一つの特色としては、当然取り上げるべき番組だというふうに思うんですけれども、その点はどうお考えか、これが一つです。  それからもう一つは、今回の場合も、聴視者参加の番組が、どういう形で評価されているのか。有名なタレントによる娯楽番組よりか、聴視者参加によるいわゆるお互い啓発するところの番組というものが、もっと充実していっていいんじゃないか、この点も、事実上今日の放送の相当長期間行なわれている中に、時間帯からいえば少ないんじゃないかというふうに思うんですが、この点は番組強化の中でどうお考えか、この二つをひとつお答えいただきたい。
  207. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) まず、私から基本的な考え方を申し上げ、実際問題については、浅沼総局長から答えてもらいたいと思いますが、お許しをいただきます。  前段の問題につきましては、私は全く原則的には同感でございます。したがいまして、NHK放送法に従って三十四年七月から実施しておりますNHKの国内番組基準においては、その点をかなり明らかにいたしております。特に政治問題についての取り扱い、また、その用語の関係についても、御趣旨の方針を私どもは堅持いたしております。  それからまた、この政治の問題が、ただ単に中央政治、これは当然、全国民に影響を持つものでありますが、今回の御審議いただく予算の中で、いわゆるローカル番組の強化、地域住民と地域社会との関係、したがって、地域政治との関係についても、これを強化することを簡単に御説明申し上げましたが、これは中継機等を具体的に申し上げますと、地方議会の中継もしようという方針が含まれているわけでございます。  後段の聴視者参加の番組を尊重すべきであるという御意見に対しては、私も全く同感でございます。で、番組は、御承知のようにNHKの場合は、テレビジョンにおいて二つの波、中波において二つの波、実験的にはFM放送というものがございますが、この全体を通じて、私はやはり、聴視者番組を尊重すべきであるという基本的方針を持っております。御質問の御趣旨に関連して、具体的な番組その他については、御必要があれば、浅沼総局長から説明させたいと思います。
  208. 横川正市

    ○横川正市君 お答えいただきたいと思います。
  209. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) では、ただいま会長が述べられました政治啓蒙番組についてのお話でございますが、私も先生のおっしゃったことに全く同感でございます。実は私個人のことを申し上げて恐縮でございますが、ずっと以前から私も「放送討論会」というものをやっておりまして、そのときの信念は、とにかく政治というものは、国民の生活のワクを決定するものである、方針を決定するものである。したがって、どうかかたい番組でも長時間にわたってお聞き願いたいというようなことを毎回申し上げてきました。それからまた、出席なされる政治家の方には、できるだけ庶民にわかりやすいことばでやさしくおっしゃっていただきたいというようなことを申し上げておりました。ただいま番組編成方針につきまして、私がちょうどその職にございますが、その信念はいまだに変わっておりません。むずかしい問題をできるだけわかりやすくかみ砕いてお話しする、それによって政治に対する関心と興味というものを、一般の方々にもぜひ呼び起こしていただきたいというのが、私の一つの信念でございます。こういった信念は、ずっとNHKの編集基本計画にもあらわれておりまして、本年度の基本計画におきましても、民主主義、議会政治に対する正しい認識を深め、その発展に寄与する番組を積極的に編成する、また、変動する国際情勢並びに国内の政治、経済、社会の動きに即応して、これを正確迅速に報道するとともに、問題の理解に役立つ番組編成するということがうたわれております。具体的に申し上げますと、毎回、国会中継、予算委員会の中継等はひんぱんに行なっております。また、定期番組といたしまして、先ほど先生からちょっと御注意いただきました「国会討倫会」、国会のない場合には、政治座談会等を組んでおりますし、それから「時の動き」、あるいは毎日行なわれます「ニュースの焦点」等、政治関係番組等には、格段の力を今後も注いでいきたいと存じております。  それからまた、大きな政治上の問題があれば、番組編成をできるだけ機動的に行ないまして、長時間の座談会とか討論会とか、そういったものを組んでいきたいというふうに存じております。総合テレビジョンにおきましても、四月以降は、毎日曜日夜間時間に、一時間報道番組が組まれます。これをごらんになれば、大体その週の動きがわかるといったようなものを編成する所存でありますし、またラジオの第一放送におきましては、いままでのゴールデンアワーという考え方を払拭いたしまして、八時から九時までの最も視聴率の高い時間一時間を、報道番組編成いたしまして、毎日この一時間をお聞きになれば大体きょうの動きがわかる。それからまた平時のあるいは三十分ごとにラジオの第一放送におきましてはお知らせとニュースを編成いたします。トランジスターラジオを持って三十分ごとにスイッチをお入れになれば、大体インフォーメーションとニュースはお聞きになれるといったような編成をいたしたいと考えております。  それからもう一つのお尋ねでございますが、聴視者参加番組でございますが、これは従来ともいろいろな番組において行なっております。たとえば「生活の知恵」とかあるいは婦人向けの実用番組、それから青少年の時間、スタジオにそういった放送対象の御婦人なり、青少年なりあるいは一般の方々をお招きして、そこでいろいろお話し合いをするというようなこともやっておりますし、またこれは娯楽番組でございますが、リクエストアワーといったようなものもございます。結局聴視者参加番組につきましては、受信者が何を望んでおるかということを的確に把握いたしまして、今後も十分配意いたしたいと考えております。
  210. 横川正市

    ○横川正市君 相当思い切った体制をとらなければならぬと思うのですが、私が例に出したのは、報道としてはあれほどに至れり尽くせりにやれるのに、議会の内容のことがそれぼど報道されないということについて、実は特色として欠けている点があるのじゃないかということを申し上げたんです。おそらく選挙の結果の報道なんていうのは、相当の時間とるわけでしょう。それから全日空の場合も相当の時間をとっているはずですね。そういう意味では、たとえば衆参両院の予算委員会であるとか、あるいは特殊な問題が起こったときにも特別委員会であるとか、こういった点についてはわかりやすい、いわゆる私見を入れない、主観を入れない解説を入れた報道番組というものを――これは国会はいつやられるかわからぬというような不定期な審議状況もありますけれども、これは問題によってはねらってやっていただきたいと思います。私はこういう点も思うのですよ。たとえば、二千近い中小企業の皆さんが、この中小企業のための、たとえば金融の道がどう開かれているとか、それから企業についてどういうふうな近代化設備があるかとか、それからどうすれば、いわゆる企業診断ができるかとか、具体的な問題についてはほとんど知らない、金を借りる方法なんというのは、いまウの目タカの目でやっているのに、議会で論議をした法案は全然知らないというようなことにずいぶんぶつかるわけです。ところが、大蔵委員会なんかにいる先生方は、その点については実に心得たもので、自分のお家芸のようにして金融の道をつけていくといって、いわば法律が特殊な人たちのために活用されるけれども、全般のものにならないというきらいもあるのです。これは最近私気がついたことだけれども、そういった私は具体的な解説、たとえば企業診断をし、あなたの企業はこういう場合には、こういう道でひとつ企業の再建をはかりなさいとか、こういう金融の道がありますよとかいうことが、常時報道せられるような私は仕組みというものも必要なんじゃないか、これは国会で法案を審議して、いるのに、よそごとのように放任されておったんでは、せっかくの議会の審議というものは役に立たないわけですから、そういう点も考えられると思うのです。そんな点をひとつぜひ番組の中の強化策の中に組み込んでもらいたいと思うのです。NHKからも放送記者がだいぶ入っておりますが、私は日本の新聞の一番の欠点というのは何かというと、けんかをしないと記事にならないという、けんかをすると記事にするという欠陥が、日本の新聞にあると思うのです。報道も同じです。けんかをした問題は詳細にやるけれども、じみちに論議している問題は報道されてない。こんなばかげた報道機関というものはないと思う。その点はぜひひとつ目を通じ、耳を通じて当然の特色として持っているのですから、番組の中に入れるべきだ、私はそう思います。この点は、いま言われたような点では、まだまだ私は研究する分野というものがあると思うので、そういう点でひとつぜひ取り入れていただきたい、かように思います。  あと二、三予算関係でお聞きをいたしたいと思うのですが、受信者契約数をどういうふうに把握されたかという問題です。契約者は当初千八百五万、年度増強は大体八十五万というふうに見ておるようでありますけれども、先般審議された余裕金等の問題から関連してみても、これは過小評価しているのではないかという意見もあるわけですが、実際に契約者の増加というものの数を本年度とらえたその根拠、またはその数の面から見ての妥当性といいますか、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  211. 志賀正信

    参考人志賀正信君) ただいまの御質問にお答えいたします。お手元の予算書に、四十一年度受信契約者の数については、千八百五万六千人からスタートいたしまして、二百七十七万を年度内に新しく獲得いたしまして、廃止者百九十二万というふうに見込んでおります。したがいまして、年度内の歩どまりを八十五万というふうに算定をいたしまして、これによりまして受信料の計算ができておるのでございます。年度途中の純増八十五万と見ました根拠につきましては、まず基本になっておりますのが、世帯数の数の見通しでございます。過般国勢調査が行なわれまして、おおよそ来年度末の世帯数につきましては、二千四百八十九万というふうに見込んでおります。二千四百八十九が一千というふうに一応推定をいたしております。これは人口問題研究所等の発表いたしております推定値によりまして、明年度末の数字を想定いたしましたものでございます。この三千四百八十九万の来年産米の世帯数に対しまして、まず無料の世帯というものをこの開発の対象から除外をする必要がございます。これが約九十九万というふうに見込まれます。内容といたしましては、生活保護世帯あるいは貧困、身体障害者というようなものが、その内容になっております。これらを含む世帯数が約九十九万ございます。まずこれを除外いたしまして、二千三百九十万というものが有料受信者の母体となる世帯数というふうに見ることができます。およそただいま全国の置局の世帯数に対します電波の行き渡りの状況、すなわちカバレージが九五%でございますので、これが二千三百九十万に対しまして、三千二百七十万というものがカバレージの中の世帯数と考えていいかと思います。本年度初頭には千七百五方六千の受信者が、新年度の初頭には千八百五万六千の受信者予定いたしておりまして、これは四十年度の増加を百万と見た数字でございます。このほかに、いわゆる千八百五万六千の中には、世帯数だけでなしに会社とか、あるいは旅館とか、いわゆる私どもが非世帯契約者と称しておるものがございまして、これらを除外いたしまして、もう一つ年度内の廃止の数を除外する必要がございます。廃止の数につきましては、過去五年間の統計によりまして、おおよそ総契約数に対しましての、年度初頭の契約数に対しますところの年間のいわゆる事故物と称しますところの廃止の率がございますが、これが一〇・六%ぐらいの過去五年間ぐらいの平均値を示しております。この計算から百九十二万程度の廃止が明年度も出てくるではないかというふうに見られるところであります。これもこの廃止の数も、再度開発の対象になるものというふうに私ども考えて、再加入の対象になるものということにかんがみまして、これをプラスしまして総数に対します六百七十五万が今後の開発の対象ではないかというように考えているわけでございます。加入率といたしましては、これから新しい受信契約者、プラスになってもらう方に対しましては約四一%というふうに見込んで、この努力目標を明年度予算に織り込んでおるところでございます。この四一%はおおよそ過去五カ年間の加入率の平均でございまして、これだけの努力をいたしまして加入数を二百七十七万というふうに見込んでおるところでございまして、大もととなりますのは全国世帯数でございます。で、この二百七十七万に対しまして、ただいま申し述べました廃止のほうの傾向率が約一〇・六%出てまいりますので、このほうで百九十二万の減少ということが一応予想されます。二百七十七万の増加に対しまして百九十二万の減少ということで、歩どまり八十五万というものを想定いたしましたものでございます。  なお、今後の将来の見通しも一応つけてございますが、推定でございますけれども、各年度世帯数の伸び率というものが人口問題研究所の統計率によりましておおよその推定がわかりますので、これをもとにいたしまして、ただいま申し述べましたような考え方を一つの参考にして決定をいたしておる次第でございます。
  212. 横川正市

    ○横川正市君 これは結局過小に見積もってないかというのは、これは確かに新規加入者はだんだん漸減されて頭打ち状態になるのではないかというようなことを、四十年度予算審議の過程では論議をいたしました。しかし、それが前年度比に比べてみてあまり減らない状況にあるので、一体四十一年度は前年度に比較してみて新規受信者の増加率というものは、これは危惧したようなものではなしに、ここ当分続くのではないかという判断をして、その意味では過小に見積もっていないかということなので、これはあの予算編成上いろいろいま言われたような引き算足し算あるわけですけれども、やはり実際上次年度にいってみて余裕金がうんとふえてくるような格好にならないようにその予算編成されるべきだと思うので、この点はひとつ要望しておきます。  それから、この放送債券と長期借り入れ金の関係なのですが、実際上今年は借り入れ金は二十二億の中で五億円、今度は四十一年度放送債券を十億円減らして三十億円として、見積もりは借り入れ金にウエートを移すように見えるけれども、実際にどうなんでしょうか。長期借り入れ金をしなければならないというようなことを言いながら、今年はそれについての債券ですね、約十億減らしたというようなことは、これは予算編成上どういう結果、こういうふうに放送債券を減らして借り入れ金に切りかえたのか、私は債券のほうが長期安定資金を得るようなことにならないかというように思うのですが、借り入れ金でこれをカバーしていくというのは、どういうその予算のテクニックなのか、その点、ひとつお聞きをいたしておきたいと思います。
  213. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 放送債券並びに長期借り入れ金のいわゆる外部資金の導入につきましては、御承知のとおりに、建設費だけに充てることになっておりまして、建設資金百八十億の財源の一つになっております。本年度は御審議いただいております予算で減価償却引き当て金に従来よりも若干の増加がございましたので、外部資金は五十二億ということになりまして、従来よりも若干外部資金の額が減少いたしてきております。この五十二億八千万円の外部資金導入の中で、債券と借り入れ金と両建てにいたしておるわけであります。御承知のように、ただいまお話がございましたように、昨年度放送債券を四十億というふうにいたしてございますが、ことしは債券のほうを十億減らしまして、借り入れ金のほうへ二十八億ということで、一応この借り入れ金と債券の形のバランスをとったつもりでありますが、若干お話のように長期借り入れ金のほうへ重点が置かれたような形になっております。これはいろいろ来年度の金融界の見通し等も考えまして、おおよそNHK放送債券の発行額につきましては、この金融界の事情から例年四十億程度ということに最近はなっておりますが、金利の面から見ますと、最近銀行借り入れの金利が若干低下をいたしてまいりまして、ただいま予算に載せております借り入れ金につきましては、日歩一銭八厘というような計算をいたしております。利率にいたしますと六分五厘七毛というような計算になります。債券のほうにつきましては、償還期限が七年ということで、非常に長期でもございます関係から、利回りといたしましては八分一厘というような利回りになっております。一方は八分一厘、また一方のほうはただいまの金融界の現状では六分五厘というような関係もございまして、その辺のかね合いも一つございます。それから最近国債等の発行が出てまいりまして、明年度のいわゆる社債市場、発券市場というものの見通しから、若干窮屈ではないかということも考えまして、本年度の総額五十八億三千万円の長期資金の導入の割り振りをいたしたものでございます。
  214. 横川正市

    ○横川正市君 まだちょっとありますけれども、本日はこの程度にしておきます。
  215. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つだけ、補充的に質問をいたしますが、前回の委員会で、私は前期繰り越し剰余金の問題についていろいろ私の考えも述べ、NHK考え方も伺ったのであります。それに関してきょうは横川委員御要求の資料も出ておりますので、ここではこの問題についてさらに掘り下げた質問はやめることにいたしますけれども、結論としては、いまのように従来のようにともかく何十億という剰余金が国会の予算審議のときに全然顔を出さないという形は、実は非常に私はやり方としてはまずいと思うのです。そこでこの問題をどう処理するかということについては、いろいろ考えがあると思う。予算総則にも関係があるし、予算科目の立て方にも関係があり、その運用にも関係がある。それからさらに予算総則の五条の工事の繰り越し金と一緒にしておるというところにも問題がある。いろいろな問題がありますので、この際は結局この四十一年度予算について、これをいまここで処理をしろといってもなかなかむずかしいと思います。四十二年度予算をお出しになるときには、いま申し上げた予算総則、それから予算の科目、予算総則の各条文の間の処理、そういった問題についてさらに検討を加えられて、もう少しすっきりした形で、結論は国会の委員会においての審議の対象になるように善処されるようにせられたいと思いますが、それについてのNHK考えを伺いたいと思います。
  216. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) まことに御趣旨は同感でございまして、明年度予算計上にあたりましても、その点は私どもといたしましては、かなり検討いたしましたが、明後年度昭和四十二年度予算編成までには御趣旨の方向で、また委員の方方の御意見なども承りながら改善の方策について検討し、その結論を得たいと考えております。何ぶんよろしくお願いいたします。
  217. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと速記をとめて。
  218. 田中一

    委員長田中一君) 速記をつけて。
  219. 石本茂

    ○石本茂君 お伺いしたいのでございますが、四十一年度予算の収入財源としまして、非常に大きなウェートを占めておりまする受信料関係でございますが、先般委員の先生方の御質問の過程を通じまして、大体伺ったつもりでございますが、もう一つだけ若干私なりに知っておきたいと思いますので、お伺いしたいのでございますが、先ほどの受信料収納の根本的要素としまして、世帯数があげられております。で、前回、会長さんは、一世帯一台ということで、何台ありましても一台分を徴収するんだということでございます。この世帯のいわゆる家族の構成につきまして、もう少し具体的にお聞かせをいただきたいと思うのでございますが、当局の方にお願いいたします。この放送法の第三十二条の根拠によりますところのやや具体的なところをお聞かせいただきたいのでございます。
  220. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) お答えいたします。  三十二条を受けまして日本放送協会受信規約の二条のところに、受信契約受信者設置場所ごとに行なう、設置してある場所を対象といたしております。
  221. 石本茂

    ○石本茂君 そういたしますと、ここの一世帯あるいは一家族と申しましても、たとえば生計をともにする家族構成もございますし、あるいは何か寄宿人のように、たとえば下宿などをいたしております者もおると思うのですが、その場合に下宿人もテレビを持っていたと、それからそこのおうちにもあったと仮定いたしますならば、当然これは両者が契約をする義務があるわけでございますね。下宿人も契約をしなければならない義務があるわけでございましょうか、この法律のたてまえからまいりますと。
  222. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) ただいまの件でございますが、下宿人の方も一世帯と見なしまして、受信契約をしていただきます。ただし、住居と生計を一にしている方々は、一世帯と見なして例外といたしております。
  223. 石本茂

    ○石本茂君 そういたしますと、この場合親族でなくても他人でもよいということでございますね。たとえば私とそれから私の親類のものがいたと、あるいは全く他人が一緒に生活をいたしますですね。その場合にまあ家族の構成としては、これは使用人か同居者か知りませんけれども、生計をともにしている、だれかの収入をあるいは両者の収入を込みにいたしまして生計を営んでおる。そういう場合には、いまおっしゃいましたようなことが通用するわけでございますね。
  224. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 先生の御指摘のちょっとこの意味が十分取りがたいのでございますけれども、そういう場合は非常に少ないんじゃないかと思うのでございますが、普通の場合に御家族である。たてまえといたしましては、お子様方が御結婚されまして同居しておりましても、一応食事等は御一緒にするかもしれませんが、生計経済が別であるというたてまえで、二台分をちょうだいしておるという考え方で処理いたしております。
  225. 石本茂

    ○石本茂君 わかりました。で、私が実は聞きたいと思いますことは、この一世帯とか家族構成という系列のできているのはよろしゅうございますが、たとえば病院とか、あるいは工場とか、これは二月の二十二日に実は鈴木委員がお聞きになっていることでございますが、その準家族とか申されまして、そしてそこには十数人あるいは百人をこえる者が雑居をするわけでございますね。そうして一部屋に世帯主か何かわかりませんが、とにかくあれはみずから生計を営んでおる者同士が一緒にみんな、あるいは五人なり十人なりが生活をするわけです。その場合に一部屋に一台のテレビを持っている。これは数人で一台分を払うべきだと私は思うのでございますが、その部屋に私はあの人の持っておるものを見たくないということで、五人が五台持っておったと仮定いたしますならば、この場合にはどのように徴集されますでしょうか。
  226. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 同一部屋で、同じ部屋で五人の人がそれぞれ持っておられる場合は、五台分契約していただきます。
  227. 石本茂

    ○石本茂君 私はさっきちょっと申しましたけれども、法的には家族とか準家族ということばを使いましていまあるわけです。そうしますと、そういうふうな五台ということばは、一つの状況でございまして、実際には五人が雑居して一台のテレビを持っておる。この場合に家族という一世帯という意味で準家族と呼ばれておりますもので、この部類の者どもはやはりいまおっしゃったように一人一人きびしくそれは取り立てるべきであるというたてまえでございますね。
  228. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 先ほど申し上げましたように設置場所単位としておるのが大前提でございます。
  229. 石本茂

    ○石本茂君 設置場所単位ということは、部屋別になるわけですね。私の言っている寄宿舎という一つの家屋がありますね。その中に部屋が十なり二十なりございますね。部屋ごとの設置場所の単位とみなしているわけですね、先ほど申しました状況の場合には。
  230. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 寄宿舎でも下宿でも一部屋ごとでございます。
  231. 石本茂

    ○石本茂君 私は非常に矛盾に覚えますのは、一世帯であれば、そこに五つの部屋がありまして、そうして家族構成が親族か親兄弟か知りませんがおりしまて、五台持っておりましても一台分でよろしい。しかしながら別々の人間が一つの部屋におる場合でも、五台あれば五台分払うというのは矛盾を感ずる。というのは、自分自身が経験したことでありますが、集金にお出でになります。放送協会の方がたまたま一月をかまえまして、そうしてちょっと邸宅を持っているところにつきましては、手不足のためか知りませんが、全然集金に行っていない事実を知っているのです。ところが、雑居の寄宿舎におりますばかりに、もうしょっちゅう集金にいらっしゃる。寄宿舎にアンテナが五つ出ている。おそらくアンテナをしていない場合もある。それなのに五つしか払っていない。全部の部屋を見せろ、実にきびしい取り方をしていらっしゃるわけです。こういうアンバランスがあり、当然納めるべきが義務でございますけれども、当然ですけれども、もう少し財源の大きなウェートを占めている受信料でございますから、そういう片手落ちでは平等とは絶対に言えないと思う。一世帯であれば、大きな邸宅であれば五台でも十台でも持っていても一台でよろしい。おまえら働く労働者は、一つの部屋におって三台持っておれば三台分払えというような考え方を、将来ともそのまま続けてまいるわけですか。そうした矛盾した状況に対しまして将来何か処置をなさるようなお考えがございますか、そのことをあわせてお聞きしたいと思うのであります。
  232. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。  NHKの聴視料は、たてまえとして世帯対象に、貧富のいかんにかかわらず公平な負担をしていただくのが第一原則でございます。ただし、先ほども聴視者総数との関係で御説明申し上げましたが、社会的保護を受ける方々、生活扶助を受ける方々、特別の環境の中で経済負担ができないという方々に対しましては、郵政大臣の認可を経てこれを免除することができることになっております。したがいまして、この原則は私どもといたしましては、たてまえとしては守り続けてまいりたい。ただし社会の構成や社会の変化が、この負担の公平という原則にそぐわない事態がくれば、当然これは考えなければならないことだと考えております。御質問の中でちょっと気がかりになりましたのは、近所の大邸宅はあまり取りに来ないと、しかしそうでないほうに取りに来るという問題の真相を、私はつまびらかにいたしませんが、たとえば前納制度あるいは金融機関を通じての支払い方法というものがございますので、あるいはそれと関連して起こった結果に対する御印象ではないかというようにうかがったわけですが、しかし、いずれにしましても、たてまえは私が申し上げたとおりでございます。
  233. 石本茂

    ○石本茂君 感情的にものを言っていけないのでございますが、私がそう思ったのではございませんで、事実があるのでございます。取りに来ませんので納めておりませんと言われる方がおる。相当知っております。ところが、たまたま集団生活をしておりますために、持っておりません、持っておりませんと言うにもかかわらず、あるであろうということで一部屋、一部屋見たいと言われるぐらいにきびしい取り立てをなされるのならば、もっと一般地域であります住宅等につきましても、吟味した徴収方法をぜひお考えいただきたいと、私は公平という意味で、それをぜひお願いしておきたいと思うわけでございます。
  234. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そういう事実に対しては全く同感でございます。これはあるいは何かの理由で事務的手落ちがあるかもしれませんので、その具体的な問題については、事務的にこれを処理いたしたいと思います。
  235. 石本茂

    ○石本茂君 もう一つこれは愚にもつかない、先ほど来の二項、三項の問題に関係すると思うんでございますが、病院などでベッドに取りつけた、いわゆる受信できるような装置がございます。これはほとんどラジオでございます。しかしながら家庭の延長ということで、おそらくどこの病院でもその受信しております患者さんからは受信料はちょうだいしておりません――おりませんと思いますが、先般自動車の中に取りつけてある装置ということから発生いたしまして、それはちょうだいするのだという御意見もございましたが、移動できるような状態にある場合は持ち込みと当然みなされると思うのでございますが、一台、一台壁にそういう仕組みがしてありまして、それにアンテナさえくっつけましたら、これは個人が聞けるようになっておりますのが、近代病院のほとんどでございます。そういうものにつきましては、先刻お話のありました自動車等とは全然別個にこれは考えられているものだと思うのでございますが、一ぺん確認をしておきたいと思いますので、どうぞお願いをいたします。
  236. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) 免除規定の九条に公的医療機関の免除項目がございます。これは国の国立病院だとか、療養所だとか、その種のところは管理人が所定の手続を取りますと免除になることになっております。しかしながら一般の入院患者の方々が入院しておりまして、病院の中でテレビを見たいと言ったときに、御家庭にもし受信機があってそのままでございまして、病院で新たに借りたり、設置いたしましたときはいただく、受信契約をしていただくことになるわけでございますが、もしそういう方が御家庭から病院に運んで一週間か十日の入院だからというような場合には、運営上御家庭のほうの契約というものを活用さしていただいております。
  237. 石本茂

    ○石本茂君 わかりました。もう一つこれも愚かな質問かわかりませんが、先ほど私が申しましたように一般社会の中におります一住民といたしまして、私幸いにこの委員会に出席をさしていただいておりますので、だんだんわかってきたわけでございますが、そうじゃございませんと、たとえば契約をいたします場合でもどこに一体契約に行ってよいのか、ましてや土地を変わりまして、そして何しました場合には、先ほどお話もあったように取りつけてくだすった電気屋さんなどは、あまりそういうことにはタッチしていただけないと思うのです。たまたま勧誘にでも来ていただいてお話を聞けば、なるほどそうだった、私は義務を怠っていたというよりも、知らなかったという、あるいはあまり気にしなかったと、要しますに、人は無関心で、毎日毎日見たり聞いたりしておりますこの放送に対しまして、非常に無関心でおる場合も相当ございますが、これらに対しまして当局はどのように今日までPRと申しますか、指導してくださいましたか。ただ勧誘員がたまたま行きましてお話をしてくだすったときにのみそれをしていらっしゃるのか、あるいはお家芸であります放送網を通じまして、何とかそういうことについて国民にこういう法律がありますよと、この法律はみんな守るんですよというようなことを御指摘くだすったことがございますかどうか、お伺いしてみたいのでございます。
  238. 長沢泰治

    参考人長沢泰治君) お答え申し上げます。たてまえといたしましては、契約に参りました時点において規則書等をお配りしてお話し合いをして了解してもらう、あるいはまたラジオ、テレビで随時この種のものを放送いたす、それから四十年の当初には全国の二千万の受信者方々にパンフレットをお配りいたしまして、そこに説明書き等を入れまして、アンケートをとりまして、御質問にも答えるようなパンフレットをお配りした次第でございます。なお、四十一年は、先生のいまおっしゃるような御要望も非常に強うございますので、新たにテレビ受信相談、それから皆さんの御要望にこたえるような番組も新設いたしまして電波を通じても接触をはかりたい。さらにいろいろ問題地には四月にはまた再びパンフレットをお削り申し上げまして、そこにも記載をして了解していただこうという運動を展開しようと存じております。
  239. 石本茂

    ○石本茂君 たいへんけっこうな御企画があることを聞きまして、何かたいへん安心したような気持ちでございますが、書きものをどんなにちょうだいいたしましても、それは契約者がもらうものでございまして、むしろ契約をしていない者がどういう次元を通して知るかということになりますと、電波を通して教えていただくのが一番いいのじゃないかと思う次第でございます。ぜひそのことの実現方を強くお願いしたいと思うのでございます。  それから最後にもう一つでございますが、これは先ほど横川委員のおっしゃったことと関連ございますが、カラーテレビの問題でございまして、なかなか一般家庭といいますと、かえって私どもは自分の周囲を見まして、自分自身もそうなんですが、非常に技術の革新あるいは向上のためにそういうすばらしいものが、文化が家庭において見れるということは非常にうれしいのでございますが、やはり金額が相当高額でございますために、買える環境にあります方は、早くそうなったほうがよいとお思いなさるかもしれませんが、その反面、そうでない一般家庭の主婦あるいは子供、あるいはそこに住む人々にとりましては、むしろ反対に反感を持っている向きもあるように巷間見受けますのでほんとうに安く多くの国民が、多くの世帯が見れるというものでございましたら、私はこのことの進行を心から期待いたしますけれども、まだそこまでいっておりません日本の家庭経済の状態でございますから、できますことなら、先ほどもお話のありましたように、ほんとうに難視聴地域が相当ございます、飛行機の航路になっているところもそうだと思うのでございますが、そういうところの問題を一日も早く解決してやっていただきたいということを、心の底からお願いいたしまして私の質問を終わります。
  240. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 時間の関係もありますので、少し角度を変えてちょっと御質問したいと思いますが、一つは、つまりNHKのいわゆる相対的な独自性の問題、いまNHK自身は一口にいえば国民のものだと考えられておりますが、こういうことを考えたことはございませんか。ある日、突然NHK放送がストップしても、別に国民はさほどのことは感じない、しかし民放がある日突然ストップするということになりますと、国民はむしろそちらのほうにがっかりすると。で、もし民放がストップしてNHKだけが残ったとしたら、私は不安を感ずるだろうと思うのです。だから、NHKは客観的な一つの中立性を持っているにもかかわららず、国民の中にある一つの不安感、独占というものの持っている避けがたい一つのそういう不安感から、NHKは一体どういう機構で、どういう運営で、どういう具体的な内容でその総体的独自性を保持していこうとするか、ここのところの問題をひとつ聞きたい。第一に、機構上の問題について、それを保持するためのどういう機構があるのか、その機構においてどういう点が問題点になっているのか、ここのところをひとつ聞きたい。
  241. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 最初の前提となりました御質問は、一種の仮定かと思いますけれども、この点については、そうお考えになる方ももちろん一億国民の中にはおられるかと考えます。しかし、私どもといたしましては、NHK電波は一日もストップさせてはいけないという責任感にかられておるわけでございますが、かりにNHKだけだった場合に、NHKの機構の運営はどうであるかという点になりますと、これは戦争前と戦争後、今日ではかなり具体的に変わっていると思います、戦争前の社会的影響が、あるいは一部の政治的影響が。戦争前のNHKの機構は具体的には社団法人でありましたが、今回よりも社会環境に巻き込まれるおそれがより強かったのではないかと私は考えます。今日におきましては、御承知の放送法によって特別につくられている機構であり、この機構の精神とするところは、これが自主的なものでなければならないというたてまえに立つわけでありますが、番組編成、いわゆる言論の自由という点についても、この点は、商業放送であるとわれわれであるとを問わず、その大原則として規定されているわけでございます。そういう意味では、私ども自身がこの精神を身をもって実現すべしという熱意にかられるわけでありますが、同時に、機構そのものもこれに即応する機構になっているのではないかと思います。その第一点は、いわゆる聴視者代表であるという意味での経営委員会によって基本的方針が決定されるという点でございます。この経営委員会のメンバーは、御承知のように十二人おられますが、現行の放送法による考え方は、全国組織によるNHKでございますから、したがって、地域別の代表と、それからまた、いろいろな意味での経験、識見の高い方々という範疇、この範疇の実際的運営は、地域別のほうはわりあいにやさしいかと思いますが、いずれにしても、かような精神のもとに、この任命される手続としては、そのときの内閣総理大臣が任命することになっておりますが、その任命の前提としては衆参両院の承認を経なければ任命できないことになっております。少なくとも、現行近代国家の法定体制においてこのような機構を特別の法律によって規定するということは、私はその意味においては、戦前のNHKと今日のNHKはまことに違うというように考えているわけでございます。
  242. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その機構的な問題についてですね、まああなたはいま経営委員会、それは聴視者代表という意味だということを申されましたが、一応、内閣総理大臣が選考、任命をして、それを国会が承認するという形をとるといいましても、つまりその経営委員会が最も民主的であるべき姿というものが望ましいと思うんですね。そこで、やっぱりいまの日本には、いわゆる組織された社会ですから、私はその経営委員会に当然、つまり労働組合の代表、あるいは中小企業とか、農民の代表とか、そういったつまり組織の代表が経営委員会の中に参加していくという道を、積極的に経営者自体の側から提起すべき問題じゃないかというふうに考えていますが、この点はどうですか。
  243. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) その点につきましては、先生がおっしゃる組織の代表という意味では、私としては賛成いたしかねます。なぜかと申しますと、組織されているという意味の、組織のあり方はいろいろあるかと思います。国民全体から見ますと、組織が土台となって国民が生きておるのではなく、国民があってその一部に組織があるのではないかと、これが実情ではないかという意味では、私といたしましては、組織の代表という意味のみで経営委員会のメンバーになり得る資格を持つという点については、大いなる疑問を持たざるを得ないわけでございます。ただし、労働者であろうと、あるいは中小企業の持ち主であろうと、真に全国民をその地域において代表し、もしくは全国的に代表し得る方々は、当然候補の中に入っていったものと考えますし、また今後も入るであろうということを考えるわけでございます。
  244. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私はいまの会長のお説には、納得いかないものがあるんです。それはやっぱり近代社会であればあるほど、結局組織化の方向を持ってくる。いわば組織を代表されるところの意見なり、それがまた反映するところの世論なりというものは、非常にそれは広範なものであり、同時にそれが組織されておるという意味において、むしろ近代社会はそうあらねばならないというように考えておるので、この経営委員会にもし一体、組織の代表として――もちろん組織の代表だけで構成しろとは言っておりませんよ、しかし、その組織の代表が入ることによって、一体どういうマイナスが生ずるであろうか。そうではなくて、やっぱり総体的な、いま言ったNHKの独自性を保つためには、そういった広範な国民の各層を代表するものとして、だれもが首肯し得るそういう組織の代表を入れて、経営委員会のやはり民主化をはかっていくという、この積極的な姿勢なしに、私はNHKがこの総体的な独自性をなかなか将来にわたって保持するということは、むしろ困難ではないかとさえ感ずるわけです。だから、そのことについて、機構的にそれを保障し得るものとして、どうしてもNHKがもっと積極的に力を入れて、その経営委員会自体がやっぱり民主化に進むべきじゃないかという気がひとつするわけです。この点は議論になる点かと思いますけれども、再度ひとつ経営委員会の民主化について、組織代表を、はっきりとだれが見てもそれが組織の代表であるという、私は名実ともにそうであったほうがなおいいと思いますから、それを少なくとも三、三、三ぐらいの割合で構成の中に入れていくという積極的な方向をとられるほうがいいと思いますが、この点について再度会長からのお考えを聞きたいと思います。
  245. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 根本的に申し上げますと、NHKという機構の会長は、実は経営委員会によって任命されることになっております。したがいまして、手続上また私自身のフィーリングから申しますと、先生の御質問の点は、放送法を制定する側の一つの問題ではないかと、このように考えられるわけであります。ただし、こういう問題を乗り越えて、人間と人間の関係において、また放送に関心を持つ者として、先生の御質問に答えますと、私はこういう確信を持っております。いわゆる社会の組織化というものは、特殊利益を守るための組織化というものは、ただ単なる部分的存在にすぎない。社会が組織化されるということは、いわゆる連帯責任の新しい姿における社会の総体的な組織の場合においてのみ、その意味での組織は、NHKのような全国組織との関連においては、一応考え得るわけでありますが、しかし組織を超越し、あらゆる思想を超越することがNHKの真の民主化のための基礎であって、それなくしては言論の自由は守り得ないという、私自身は確信を持っているわけでございますが、この問題についてはいろいろな関係もございますし、種種の御意見もあるかと思いますが、非常に端的に申し上げますと、私の考え方は先生の考え方とはかなり異なるということでお許しをいただきたいと思います。
  246. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはこの前も会長がそういうことを述べられましたけれども、あらゆる組織を超越し、あらゆる思想を超越するなんていうことこそ、全く抽象的で意味がないんですよ。どんな思想からも、どんな組織からも超越するなんてことは、それはほとんど並みの人間である以上できないことでありまして、厳正中立といっても、実はつまりそのアルコールの入ってない酒は飲まないと同じことで、どんなものにもやっぱりそれなりのイデオロギーというのはあるのですから、私は、あたかもあらゆる組織、あらゆる思想に超越して、そして厳正中立であるのがNHKだなんていうのは、それはことばの上にはあるが、実際はそんなものではないと思っていますよ。ましてや今日のような階級社会においてはなおさらそうだというふうに考えてますが、ここはいろいろ論争にわたる点もありますので、むしろ放送法のときのほうに、この次の問題に譲りたいと思いますが、つまり、NHKのいま言った私は相対的独立性を保持するという、その点で質問を続ける、首尾一貫しますからその点でお答え願いたい。具体的に聴視者の側のほうでは、番組内容によってそれを知るわけですね。是否の判断をするわけです。したがって、この番組は当然国内向けと国際向けと両方いまあると思いますけれども、まあ一つは、国内向けについてお聞きしたいと思いますが、放送内容がある方面の向きから、あるいは政治的過ぎるとか、若干まあ干渉がましいことがあるとかというふうなことで、取りやめもしくはそれを変更しなければならないといったような具体的な事例ありますか。
  247. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 今日までのところ、幸いにございません。
  248. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それは会長がそう言い切ってしまうと、ほかの方たちがなかなか具体的な事実があった場合も言えないと思うのですけれども、必ずしもそういうふうには聞いていないんです。まあこの問題について、番組編成のときに、あらかじめその考慮されるものがあるのかどうかですね、あらかじめこういう番組についてはかくかくの方面の意向を一応聞いておく必要があるんじゃないかといったような、いわゆる番組編成の事前にその意向を聞かなければならないという向きはございませんか。
  249. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ございません。私は、現実的に申し上げますと、私があらゆる編集権の最高責任者でございます。
  250. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 実際上において、そのあなたのところまでくるまでの間、要するに、番組編成のいろいろな過程があると思うのですが、その過程のときに、そういうふうな事実はございませんか。それはおそらく会長自身は承知しておらないことかもしれませんけれども、そういうことは全くございませんか。
  251. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私の承知しております限りにはございません。ここに放送総局長がおりますから、また説明させたいと思います。
  252. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) お尋ねのようなことはございません。
  253. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それじゃ、これはこの次の放送法のときに具体的な事実を出してやってみたいと思いますが、きょうのところは、会長がないと言うことを信用してやめておきます。  そこで、国内番組について聞きますが、NHKが、ここ二年でよろしいと思いますが、二カ年間の統計の中で、一番金のかかった番組を、金のかかった番組ベストテンをひとつお知らせ願いたいと思います。
  254. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) NHKは、公共放送の性格上報道、教育、教養番組に非常に力を入れております。したがいまして、報道番組に多大の経費とそれから人員を投与しております。
  255. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私の質問に答えてないじゃないですか。ここ二カ年の番組編成の中で一番金のかかったものからベストテンを言ってください
  256. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 具体的に私の知っております番組をあげますと、これはちょっと二年をはみ出すかと思いますが、オリンピックの番組、その次は選挙放送でございます。
  257. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 娯楽番組ではどうですか。
  258. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 先ほど私が申し上げましたとおり、娯楽番組は直接制作費はかかっております。しかし、間接の人件費等を加えますと、それほど番組の中で大きな比重を占めてはおりません。
  259. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 まあ私たちは答弁を聞いていて、NHKは何となく秘密的なにおいがしてならないのですよ。一般番組の場合の金のかかった順序を言えということになれば、それは報道番組が一番だ、いまの会長の話を聞けばオリンピックとその次は選挙だと、それはそれでいいですよ。娯楽番組の中でやはり金のかかった順で、ここ二カ年の間のベストテンはどういうものがあるかということ、それは答えられるでしょう。別に秘密にすべき性質のものじゃないじゃないですか。
  260. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 娯楽番組についてのお尋ねでしたが、はっきり申し上げますと、「赤穂浪士」、「太閤記」、「源義経」、こういったものは制作費に金がかかっているわけでございます。
  261. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 まあ答弁の用意がないようですから、これ以上そこのところは追及しませんが、具体的に一つだけ聞きます。一体「赤穂浪士」はどのくらい制作費がかかったか。そしてもう一つ、いまやられている「源義経」はどのくらいの予算をもってやっておられますか。
  262. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 「赤穂浪士」が二百十三万円でございまして、これは続けて行なわれました「太閤記」と大体同じ金額でございます。それから「源義経」は二百三十三万円でございまして、やや二十万円ばかり高くなっております。
  263. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そういうつまり国内放送の中でも、特に娯楽番組ということについて、実際はNHKの報道番組というのはNHKの一つの特長だ。むしろNHKの一つの顔だとは思っておりますが、この娯楽番組についても、同様にNHKの特徴というものが、民放とやはり異なった面というものが出てくるということが考えられる。ところが、最近娯楽番組の中でNHKが比較的聴視率の高いものを見てみますと、いわゆるこれは、私はいい意味とか悪い意味とか言っているのじゃなくて、事実を申し上げるのですが、きわめて復古調が多い。リバイバルですよ、復古調。これはNHKが娯楽番組において何かそういうものについての一種の考え方ですね、要するに、放送番組を立てるについての一つの考え方というものが基本にあるのではないか。たとえば、先ほど申しましたように、「赤穂浪士」から「太閤記」からいま「源義経」、あるいはその前に「花の生涯」というのがありました、記憶しておりますが。こういうふうに復古調がNHKの娯楽番組の中でも一つの特徴をなしているのは一体どういう考え方に基づいてとられておるのか、この辺のところをひとつ明らかにしていただきたい。
  264. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御指摘の「花の生涯」あるいは「赤穂浪士」あるいは豊臣秀吉を中心とするもの、あるいは現在やっている義経を中心とするもの、これを形の上でごらんになりますと、いかにもそういう印象が強いかと思います。しかし、たとえば「花の生涯」は、要するに鎖国と開港、この問題を取り扱ったきわめて進歩的な題材がその内容となっているわけであります。同時に、このことは、今日の日本の国際社会の地位からいって、私は一般的に、一般の方々がこういう点に理解を持つことが必要であると実は考えております。また「太閤記」につきましても、あるいは「赤穂浪士」につきましても、従来いわれていた説、あるいはその内容とはかなり異なるものがあることを、実は私ども自身は自負しているわけでございます。現在の「源義経」につきましても、その解釈または原作家、これは一番新しい考え方を持っている人でありまして、したがって、タイトル自身から一種の感慨をこめてお考えになる方には、旧態依然たる復古そのものの中身であるとお考えになりやすいかと思いますけれども、しかし、NHKといえども、総合テレビジョンの娯楽番組は、口幅ったい言い方ですが、少なくとも二千万世帯を対象として考えるときに、そのタイトルを内容のいかんを問わず、知っておられるということも、やはり選択の重要な判断の基礎になるわけでございます。したがいまして、一がいに形式的にこれが単なる復古であるというように御判断をいただくことについては、私どもとしては多少心外の節もあるわけでございますが、概して申し上げるならば、だれでも知っていることを取り上げながら現在の日本と、その国際社会における地位を考えながら、これをだれでも理解できる、そして同時に、興味を持っていただけるという方向で演出してまいりたいというのが、私どもの願いでございます。
  265. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いや、その初めの質問でいささか会長との間に、ちょっと意見が食い違ったからというので、そのあとの質問をみんなそのつもりで取られちゃ困るのですよ。私は別に偏見を持って聞いているわけではない。そういう私自身もそれを見ておるから決して偏見を持っているわけじゃないのですけれども、つまりここ二、三年NHKが取り上げた娯楽番組の中で聴視率も高いし、そしてまたNHKの顔だといわれているものの多くはですね、いわゆる復古調だと、俗なことばでいえば復古調だと思う。これはNHKで娯楽番組編成するときに、そういう一つの何らかの考え方が、基本的な考え方があるのかどうかということを聞いているのです。その統一された考え方のもとでこれが出されているのか、それとも単にその国民にこれを知ってもらうことがいいとか、新しい解釈がどうのとか、また、その場合いわば一種の場当たり的な番組編成なのかということを聞いているのです。私はおそらく前者であろうと思うから、そうであるとするならば、その立場と言いますか、その趣旨ですね、それをやっぱり明らかにしてもらいたい。そこから次の私たちの聞こうとするところの質問の一つがあるわけですから、その辺のところを明らかにしてもらいたい。決して私は偏見を持って問題を扱っているわけじゃないということです。
  266. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私の表現の問題で多少不備なところがあり、鈴木先生に違和感をもしお与えしたとすると、それは私の説明のまずさでございまして、私も決して偏見を持ってお答え申し上げているわけではございません。実はこの大型番組の創始にあたっても、私自身が指示したことであります。と申しますのは、いわゆるアメリカ流に日本の戦後の放送番組編成のしかたはコマーシャルを中心とした、いわゆる十五分ないし三十分単位というのが従来の行き方でありました。そこで、私は数年前に、少なくとも独立した日本としてはNHK独自の編成のしかたがあるべきであるということで、たとえば私は、教育、教養、報道等の関連においては海外取材を指示いたしました。それからまた娯楽番組につきましても、ただいま取り上げられたような大型番組をつくるべきである、しかもそれは一番、この二つの種類のものは一番聴視好適時間に放送すべきである、――これは私自身の考えであり、私自身の指示でございます。もちろんこの指示と考えに対して幾つかの案が出てまいりましたが。その次に私が編成当局に指示しましたのは、少なくとも新しい国際社会の一員となった日本人が理解し、発展させ得る環境を土台としたものを中心とせよということを指示したわけであります。でき上がったものについて批判があるという点では、私自身にも批判がありますが、しかし、私としては、この番組の制作の基礎方針と意図は、すべて私自身が指示したものである、外界の影響は何ら受けておらないということを率直に申し上げたいと思います。
  267. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 われわれが想像していた以上にあなたの権力というのは強いものですね、驚きましたよ。やっぱりNHKに法皇といわれておるだけあって、あなたはこの委員会でも、そういう一つの思い切った発言をなさっておると思いますけれども、私はそのいき方に非常な危惧を感ずるのですよ。これはおそらく将来NHKが何らかのときに、問題になったときに必ず出てくる要素の一つじゃないかと思います。先ほどに戻るようですが、やはり経営委員会をもっとやっぱり民主的にして、少なくともあなたの指示ではなくて、集団の指示で問題が運営されていくようにしないと、私は将来禍根を残す危険が非常にあると思いますが、ここはそこでおきます。  そこで私どもは、いま世の中というものがどういうものであるかということを自分の手のひらに乗せて見るということが非常にできにくい。むしろそういう世の中なんですよ。言論は一見して自由のごとくで、あらゆる報道機関は羽を伸ばしているようでありながら、何といいますか、集団の中の孤独といいますか、つまり世の中がどうであろうかということを手にとって見れないような状態にたくさん置かれているわけです。そこで私は、先ほど言ったように、経営委員会に組織の代表を入れろということで、一見矛盾しているようなことなんですけれども番組編成について、しかも一番視聴率の高いときに、時期になされる、いわゆる俗なことばで言う昔物でなくて、生きた現実の日本をひとつやれないものかどうかということを考えておるわけです。それは、たとえば世間に起きてきているいろんなニュース、ニュース的な事件があります、たくさん。こういう次元についてどう考えたらいいのか、どう受けとめたらいいのかということについて多くの市民は迷う場合がある。共通の、つまりいまたとえばある集会を持っても、おそらく、つまり私は市民だという形で、この集会に参加するということはほとんどないでしょう。あるいは委員会へ行ったって、おそらくそうだろうと思います。御承知のごとく、それはやはり組織された集団の集会であり、委員会である場合が非常に多い。そうして起きた社会的事件について、組織を異にした、あるいは組織を持たない人たちが、自分たちの意見というものを交流する場というようなものが日本にないのです、いま。要するに、市民社会の中において市民同士が交流する場というものがほとんど限られている。ごく非常に限られているというか、皆無にひとしい状態。別言をして言うならば、そういう意味では自分の意見、住民としての自分の意見を述べる場というものがないのですよ。これがつまり集団の中の孤独といわれている表現でおかれていると思う。これをどうしたらNHKが引き出すことができるかというのが大きな使命だと思うのですよ。だから一つのイメージを申し上げますが、それは必ずしもあなた方が番組編成のときに具体化するのにどうのこうのという意味じゃございません。つまりこの日本には市民の意見というものを聞く場所がないということを、どうしたらこれを救うことができるか。その場所を与えることができるかということを、おそらくみんな私は考えているだろうと思うのです。組織の意見は聞くことができます。しかし、横につなぐ意見というものが構成されない日本、これが日本の民主主義にとってはかなりな意味でやっぱり危険な要素だと思う。それじゃどうしたら横につなぐ意見を引き出すことができるか、その場をどうしたら保証することができるかということだと思うのです。私は、思いつきでたいへん申しわけありませんけれどもNHKはむしろNHKにあるスタジオではなくて、非常に手軽にそういうことが市民同士の中で、ある一つの問題について甲論乙駁しながら次第に形成されていく、市民の民主的な意見というものが次第に構成されていくような、そういう場をどうしてもつくる必要があるのじゃないか。どこでつくったらいいかということをわれわれいろいろ考えてみたけれども、われわれはいまのところNHKが最も適切な場の一つだと考えるのです。だから、昔は市民の酒場といいますかがあったが、いまはそれさえもほとんどないというような状況ですから、ここはひとつNHKのスタジオではなくて、NHKが独自のくふうをこらして、あるいは、たとえばベトナムの問題、あるいは早稲田大学の問題が起きたときに、こういう問題について市民はどういう意見を持っているかということが率直に交換できるような、一週間に一度ずつテーマを出して、そこで交流できるような場を積極的に広げていく、あるいはまた、中小企業の問題もさっき出ましたが、そういうような問題についてもすぐ意見が聞けるような、そこへいけば必ず自分の意見が述べられるということを保証する、スタジオではだめですよ、行くのにめんどうくさくてしょうがないから。もっとスタジオではない場所でそれができるようなことをひとつ考慮していただいて、現代の日本を現代のわれわれがよく知るという立場で、もっと積極的に番組編成してみる必要があるのじゃないか。私は、復古調の問題もけっこうですけれども、そういうつまり生きている自分たちの世の中が十分につかみにくくなっているいまの状況を、どうやはり切り開いていくかということが大きな一つの仕事ではあるまいかということを考えまして言うので、しかも、一番聴視率の高い時間を一部復古調のものにとられてしまっているということでは、 ほんとうに市民が、共通の場としてのNHKが一番大切な時間をとられてしまうためにその番組が保証されないということでは、正しいあり方とは言えないのじゃないか、こういうことを考えているわけなんです。まあ御答弁をすぐいただかなくてもけっこうですが、ぜひひとつその番組編成のときに、これをひとつお考え願いたい。  次に、放送内容の問題で、国際放送について若干お尋ねしたいと思う。  ずいぶん私たちもNHKのあれも調べてみましたが、なるほど国際放送については、特別に問題を起こしているようなところもないかと思いますけれども、一番私がここで聞きたいのは、私たち自身がつかみにくいので聞くのですが、約十八カ国にわたって、三十六時間にわたる国外放送をやっておるわけですが、つまり相手国からはどう受け取られているか、これなんです。これがわからない。NHKでもおそらくお調べになっておると思うから、NHKの海外放送は相手側からどう受け取られているかということをひとつお答え願いたいと思う。
  268. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) さっそく御質問の主題に入りたいと思いますが、私は実は法皇でも何でもありませんので、私がアイデアを出したからといってそのまま決定する機構になっておりません。これは試作したものはすべて経営委員会でも検討していただきますし、放送法にも、番組審議会に諮問することになっております。それからまた内部的には、それぞれの局長会議を開きまして、さらに、それを通じて下部の部長会議とか、専門家の会議が開かれます。したがいまして、現行の範囲でできる限りの民主的手続を経ておるということをちょっとつけ加えて申し上げたいと思います。  それからもう一点の私たちが考える御趣旨の点は、いわゆる聴視者を参加させよという、私どもの職業用語で言いますと、そういうことになると思います。これについては、現在も幾つかの方法をとっており、ことに今年度からは、放送文化研究所の世論調査所を、ただ単に番組の視聴率その他と関連させるという考え方からさらに発展させまして、現在の全国方々が何を嗜好し、何を考えているかという、いわゆる一般世論調査にも力を入れる方針にしておりますので、御趣旨の点は、私も慎重に考えてまいりたい、こう思います。  さて、主題の国際放送の問題ですが、国際放送は、現在方向としては十八方向でございますが、これに関係のある、その方向に従って聞き得る国の数は、おおよそ全世界で百に近いと思います。これについては海外組織、投書方法、その他のあらゆる複合した方法をとりまして、その反響を求めておりまして、この反響によりますと、大体手紙で送ってくる反響は、現在月約二千通に達しております。そういう地域は洋の東西を問わず、いわゆる政治的に西欧、東欧すべてを含んでおります。そういう意味で、NHKの海外放送かなり反響を呼んでいる。こういう意味では、過去数年間にわたってロンドンを中心として、そこに各国の国際放送番組効果を選奨する組織ができておりますが、従来NHKは、毎年のその選奨の結果は、平均してトップの十番のうち、あるときは五、六番のところというのが実績でございます。
  269. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはちょっと予算関連がありますので聞くのですが、この国際放送に関しては、かなり郵政大臣のつまり命令といいますか、要するに主管大臣としての要請――要請と言ったほうがいいかもしれませんけれども、これはかなり強いものですか、どの辺のところまで……。
  270. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 現行放送法は、その部分について昭和三十四年に修正されておりますが、それ以前の放送法によりますと、たてまえとして、政府が交付金を出してNHKに海外放送を命令するという非常な簡単な規定になっておりました。私どもは、NHKの使命を、放送法の根本的な精神からいって、ことに戦後国際社会の実情からいって、政府命令による全時間放送ということは、ここには郵政省の権威の方もおられますが、精神的には私どもは必ずしも納得できないものがございます。たまたま三十四年の放送法改正においては、この点が二点改善されました。第一は、少なくとも国際放送NHKの本来業務であるという点、しかし同時に、政府が命令する部分については、政府は交付金を出すということでございます。御審議をいただきます明年度予算は総額六億数千万円になっておりますが、そのうち、命令の形で受ける交付金は一億三千万円でございます。したがいまして、今日いわゆる政府命令と、しからざるものとの関係、並びにその内容は、御想像いただけるのではないかと思います。
  271. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 もう時間がありませんので、質問も簡単にしますが、答弁も簡単にしていただきたいと思います。  三十六時間のうち、約十八時間――半分ですね、政府関係放送は。そうすると、政府の時間は半分だが、金のほうは五分の一というのは、これはどういう関係になるのですか。
  272. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 命令の内容放送項目でありまして、放送時間には関係ございません。
  273. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 放送項目だけだと、放送時間に関係ないというけれども、約三十六時間のうちの十八時間はそれに該当するものだというふうに、私たちは答弁から受け取っておるのですが、これは間違いですか。
  274. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) それも多少食い違いがあるかと思います。私ども放送方針として、三十六時間のうちその半分の十八時間を全世界サービスにしている、残りを国家別、あるいは地域放送にしているという意味での時間の区分でございまして、命令には時間の指定はございません。
  275. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは私どもちょっと取り違えたかもしれません。だが、私は、先ほどからNHKからの答弁の中に政府命令のものが十八時間ある、半分あるというふうに聞いたものですから、これはもしそうでなければ、質問の趣旨が違いますから……。  最後に、時間がありませんので一つだけ聞きたいと思いますが、受信料の問題について、こういうことを聞きたいのです。つまりNHKを見ていなくても、やはりNHK受信料を取られる。ほとんど民放を見ていても取られる。それでつまりその受信料を全部NHKが持っていってしまわないで、少なくとも放送に関する技術の開発その他については、これを共同という形にして、民放のほうにもその技術開発の援助資金というものを、この受信料の中から出すべきものではないのか。おそらく受信料を払っている人の大半は、NHKばかり見ているわけじゃないと思うから、そういう点で民間放送の技術開発にNHK受信料の何割か、何%か、その辺のところはこまかくてわかりませんけれども、大綱として、そういうような方向に回すべき性質のものではあるまいかと考えますが、この点は全然考えておられませんか。
  276. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 受信料中心として考える場合には、先生の考え方には同調いたしかねます。と申しますのは、われわれは、簡単に申し上げますが、NHKのものを見たり聞いたりできる設備を持っていれば、現行法ではちょうだいする。問題は、要するにNHKは商業行為はやるべからずという、簡単に言って、たてまえで、そのかわり受信料を徴収せよ、商業放送の場合は大いに商業行為をやってよろしい、そのかわり受信料を取るなということでございます。で、受信料と商業行為が、たとえば実質的には、大衆から見れば、直接税と間接税の関係に立つかもしれませんが、われわれとしては、許されるならば、聴取料は取りたくない。簡単に言って、われわれにも商業行為をやらしていただければ、かえって国民の支持を受けやすいとまで実は考えているわけであります。しかしながら、現行放送法上また国の政策として、併立するものを混乱させる必要はないと、私は考えております。ただし、いま御指摘の件に関しては、たとえば技術開発については、NHKの技術研究所では、民放の御要求をも快く引き受けております。ただ単に民放のみならず、業界の御要求に対しては、技術の開発と、その技術の援助については、NHKは積極的に実行いたしております。それからまた、たとえばやはりコマーシャルベースでいく商業放送では、遠隔の地に中継局を設けることは、コスト損になるというおそれのあるものについては、共同建設さえやっているわけで、そういう具体的な事例については、協力できるものがございます。しかし、たてまえとして、受信料を分けるという考え方は持っておりません。
  277. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 もうこれ一つでやめます、時間の関係もありますから。  まあNHKも今度放送衛星といいますか、の研究、開発に乗り出すということですが、これはNHKだけに聞くわけじゃございませんが、ずいぶんあるのですね、いろいろな名前の衛星が。各それぞれの省及び大学あたりで、文字どおり日本のセクショナリズムの象徴だと言われているくらいだと思う。これを一本にまとめてやはり長期宇宙計画というものを樹立しなければならない時期に来ていると思うのです。そういう時期にもかかわらず、またNHKが独自で放送衛星に二億からの金を費やして、今度の予算に出ておりますけれども、開発していくというのも、非常に先の見えない話の一つじゃないか、どうしてこれを一本化しないのか、これはむしろ私は郵政当局のほうの見解を聞きたいと思っているのですが、これ自身について、たとえば昨年の九月でしたか、宇宙開発の衛星の問題が審議会であったときに、NHKがこういう形で予算を組んでやるのだという話が出たときも、郵政省当局は、これについてどう思っているのか、一言半句も述べていないのですね、審議会の席上で。これもどういう考えでいるのか、ひとつ統一ある見解を聞きたいと思うのです。
  278. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) お答え申し上げます。先生のいま御指摘のありましたいろいろな種類の人工衛星、こういうものの開発並びに打ち上げというようなことは、宇宙開発審議会というのが御承知のとおりでございまして、そこが国の方針というものをきめていくということになっておりまして、そこで鋭意その方向に努力しているわけでございます。しかしながら、その個々の中身そのものにつきましては、それぞれの機関が、それぞれ必要とするような研究というものを行なっているわけでございまして、そういう個々の各機関にわたるようなもの、こういうものまでも宇宙開発審議会として開発なり研究というものを推し進めるような仕組みではございません。したがいまして、そういうものができ上がりました後に総合して、どういう方向で国の衛星関係の研究並びに実現というものをはかるかということを考えていくというのが、国の現在の方針かと思います。
  279. 田代富士男

    田代富士男君 ずいぶん時間がかかりまして、前田会長はじめ参考人の方もお疲れじゃないかと思いますが、簡単に終わるようにいたしますから、よろしくどうぞ。  最初に、今年度予算を見ますと、放送受信困難な地域の解消をはかるために、大阪電力放送局の建設ということが計上してあります。まあ人工衛星を打ち上げて宇宙通信ということも考えられる中にあって、受信困難な地域ということは考えられないわけなんです。事実上はこういう地域があるので、NHKとしてこういう建設をなされるのは当然かと思いますが、これ以外にもいろいろ建設予定事業が載っておりますが、一つ一つを検討すれば、きょうは時間もありませんから、その代表といたしまして、ただいま申し上げました大阪電力放送局を建設する場所、どこに建設されるのか。また、その予算額はどの程度になっているか。また、その建設完了の予定日はいつになっているか。また、建設までの大体の予定等をまず一番最初にお聞かせ願いたいと思います。
  280. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) お答えいたします。大阪の第二放送三百キロというと、ちょうど東京で現在第二放送が三百キロになっておりますが、その目的といたしますのは、夜間のいわゆる外国混信、それをできるだけ救済したい、それからもう一つは、夜間に雑音が相当あります。それも救済したいというので大電力にするわけなんですが、その目的の地域は、大阪地区でなしに、いわゆる夜間電波が遠くへ飛ぶというのを利用いたしまして九州地方を救済するというのが大きな目的なのでございます。同時に、九州だけでなしに、東北地方の南部、そういうところを逆に逆方向とすれば救済するわけであります。大体そういうようなところが目的で、いわゆる大阪に置きますものは九州並びに東北地方、それから東京に現在ありますものは東北の北のほう、それから中国地方、これをカバーしているのです。もう一カ所置きますと、北海道をカバーするというようなぐあいにわれわれ考えておりますが、そういうような方法によって、いわゆる大きな電力のものを置きたい。  それからもう一つは、その場所の問題ですが、現在、先ほどもお話がありましたとおり、堺の放送所自体がもうすでにそこへ置局するわけにいかなくなりまして、堺のほうから少し東側の方向へ対しまして現在その土地その他をあっせんしてくれているわけであります。まだ場所としては確定はいたしません。しかしながら、現在その場所をいま見つけつつあるという現状であります。しかしながら、一応予算といたしまして総額七億二千六百万円くらい予定いたしているのですが、それを予定は四十一年度末までに一応完成したい、こういうふうに考えております。しかしながら、いまお話ししたとおり、土地の入手の問題が少し予定よりおくれておりますので、場合によりますと四十二年度の四月か五月くらいになるかもしれぬと思いますが、われれわとしては四十一年度中にはっきりと建設したいと、こう考えております。
  281. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまの移転場所の問題ですが、いま申されたのは現在金岡にNHK放送所があります。これが、聞くところによりますと、NHKのほうから希望をもって、いま申されました、新たな、堺市の東方にある羽曳野市の方面だと思いますが、そちらのほうへの移転NHKのほうから希望されたのか、あるいは現在地点をほかの何かの使用目的のために利用するために万やむを得ず変更するようになったのか、その点どちらでございますか。
  282. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) いまあとで仰せられましたごとく、大阪の住宅協会自体が、現在の場所につきまして、いわゆる堺の発展のためにベッドタウンとしたいという向こうの要請で、できるだけ早い機会にNHKが立ちのいてくれ、こういう希望なわけでございます。したがいまして、われわれ立ちのくといたしましても、毎日の放送を続けているわけですから、いわゆる新しい場所に新しく放送局をつくってそうして切りかえなければならぬ、それには、先ほどお話になりましたとおり、三百キロに同時にしたいというので、その適当な場所を大阪府の住宅協会にお願いして、そうして土地あっせんをお願いしているという現状でございます。
  283. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまの土地あっせんの問題でございますが、現在の金岡の土地が、われわれお聞きしたところによりますと、七千九百七坪ほどありますが、今回の移転する土地というものが、大体どのような、同じくらいの土地予定されているのか、それとも、いま申すとおりに、二本のポールが立っておりますが、いま急に三百キロの今度新しくポールが立ちますし、これと同じくらいの土地予定なのか、あるいはこれよりも拡大された土地予定になるのか、その点お伺いしたいと思います。
  284. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 現在は百キロワットの放送機が二台、第一放送と第二放送とあるわけなんですが、今度は三百キロのが一つと百キロが一つというように増力されます。したがって、アンテナ敷地その他に対しましても、現在の大きさでは間に合わないので、全体の今後の見通しも考えまして、われわれとすれば約三万坪程度を必要とするという条件を出しております。しかも、その中にはいわゆるかんがい用の池、そういうものがあってもけっこうですというような話し合いをしてあります。
  285. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話のとおりに、大阪府の住宅供給公社に対してお願いをしていらっしゃるとのことでありますが、しかし、これはNHKとしても、ただいまのお話を聞きますと、本年度に建設したい意向でありますが、直接NHK関係はありませんが、現在土地の買収がどの程度進んでおりますか、お聞きしたいと思います。
  286. 志賀正信

    参考人志賀正信君) ただいまお答え申し上げましたとおりに、堺の現在の放送所移転につきまして、百キロから三百キロワットに増力いたします関係から三万一千五百坪程度を必要といたします。アンテナ敷地のアースの部分が非常に広くなりますので、その敷地が必要になってまいります。それで、きょう午前中にもこの点について御説明申し上げましたとおりに、現在の堺放送所土地と一部交換によって残りを直接NHKが買収するようにしたいということをいまやっておるわけでございますが、いま先生からお話の新しい敷地につきましては、まだ最終的に買収の話がついておらない状況でございまして、中に大阪住宅公社が入りまして、ただいまあっせんをしてくれているところでございますが、まだ地元との話し合いがつかないところでございます。話がつきました場合には、一部は住宅公社協会との間に公換、不足分につきましてはNHKが直接購入をするという形になるかと思います。
  287. 田代富士男

    田代富士男君 いまのNHKの手元に詳しい資料がおありにならないと思いますが、私がお聞きした範囲内での資料では、いま二本のポールを立てなくちゃならない。その一つのポールの敷地が七千坪ですか、今回の場合は七千坪、一つのポールを立てるについての土地が必要である、そうしますと、とりあえず施設の建物は別としましても、そのポールを立てるだけでも、大体一万四千坪ないし一万五千坪は、最初の三万坪の予定の中にあっても一番先に購入しなくちゃならない土地ではないかと思うわけなんです。ところが現在は、お聞きした範囲内では、三千坪ほどの購入しかされていない。そうしますと、ことし一年というまあ気の長い話でございますが、御存じのように、土地の購入というものは、一カ月、二カ月の短期であっては、これはならないし、また、小さな範囲の土地でありましたならば、交渉も簡単だと思いますが、何千坪、何万坪となりますと、土地の持ち主も数人、何十人という、からんでまいります。しかし、NHKのほうとすれば期限に制限があるし、現在、いま申しますとおりに三千坪ほどの土地しか購入されていない、そういう点に対して、まあ直接いまお話のとおりに大阪府の住宅供給公社にお願いしていらっしゃるとのことでありますが、そういう依頼するだけでなくして、NHKといたしましても、ある面においては積極的にこの問題に取りかからなかったならばいけないじゃないかと思うわけなんです。その点に対するいろいろな問題点もあると思いますが、その問題を見越した上の対策なり、そういうお考えがありましたならば、お聞きしたいと思います。
  288. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) ただいまおっしゃるとおり、一応初め予定しました場所の、いわゆる二カ所であります、第一放送用と第二放送用と。それの第二放送用の部分につきましては、一応ある程度の住宅協会のほうからの手が、いろいろと手を尽くしていただいて、ある程度のいまお話程度のものが獲得できる方向に向かったわけですが、第一放送用の場所につきましては、なかなかそこの住民の方との間の話し合いがつかないので、現在はその場所をある程度放棄いたしまして、それよりももう少し第二放送に近づいた方向の場所を現在あっせんしていただきつつある。この場合、おっしゃいますとおり、ただ単に住宅協会だけにお願いせずに、われわれといたしましても、その中に先ほどお話のように池の点もあります。こういう点は、いわばほかの農地よりも楽に話し合いがつくのではないか、こう考えておりますので、われわれ自体も、大阪の中央放送局を通して一緒になってできるだけ早く確保したい。そうしないと、先ほど私が申し上げましたように、四十一年度末までに必ず仕上げたいという希望の方向にいかないものですから、いま厳重にその点申し入れまして、住宅協会並びにNHKで交渉しつつあるという現状でございます。
  289. 田代富士男

    田代富士男君 いまのお話で、準備も進めていらっしゃるようでございますが、いろいろ事情を聞きますと簡単にはいかない問題が多いんじゃないかと思います。土地を放棄して池のほうを準備したい、そういう御意見でありますが、この池につきましては三市にまたがっているんじゃないかと思うのです。美原町と松原市と羽曳野市と三市にまたがって、美原町が池の三割、羽曳野市がそのうちの七割、そうしてその所有が松原市の三つの部落の所有である、このようになってまいりますと、これはたいへんなことじゃないかと思うわけなんです。その問題と、もう一つは、この近くにコカコーラの会社が近々できる予定でございます。それで土地が三千坪、大体時価坪九千五百円で買われたんじゃないかと思っております、私の手元にある資料によりますと。ところが、コカコーラなんかがこの近くで土地を買ったのが一万二千円で買っております。そうしますと、九千五百円くらいの相場で最初きめた土地買収の価格が、一万二千円でそういう近所の土地売買があったという既成事実ができてきますと、買収もたいへんだし、また、金額の面におきましても、売るほうの住民といたしますれば、NHKはお金持である、大会社である、間違いはない、じゃ、待つだけ待ったほうが値が上がるのじゃなかろうか、そういう面において、いま今年度末までには建設をするように努力したい、最悪の場合でも来年の四月か五月までには完成したいとおっしゃいますけれども、この点が私はちょっと不可能じゃないかと思うわけなんです。そういう点につきまして、こういう今回の予算に計上したいということは、今度の放送法の改正等もありますし、当然そのようにしていかなくちゃならないというNHK当局の立場もありますけれども、時期という問題に対する考え方が、もう少し検討を要すべきではないかと考えるわけでありますが、ある程度、用地の少なくとも半分以上くらいが見通しが立った、その上で手を打つならばしかるべきでありますが、こういう点について実現できるかどうかという見当――土地という問題点に対する当局の考え方が甘かったんじゃないか、そういう点を思う次第ですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  290. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 全くお説のとおりでありまして、私といたしましても、私ども、組織の中での責任当局に一そう積極的にこの問題と取り組むように指示いたしたいと思います。
  291. 田代富士男

    田代富士男君 では、いま会長さんのお話で、積極的に取り組んでいただくということがわかれば、ひとつ今後ともそのように努力していただきたいと思います。  では、次の問題にまいりたいと思いますが、いまいろいろ議論されましたし、また、会長さんも何回もお聞きしたという考えがあるかわかりませんが、出演料の問題でございます。この問題につきましては、NHKは民放に比べまして歴史も古いのです。どちらかといえば民放を指導し育成していかなくちゃならない立場じゃないかと思うわけなんです。ところが、最近の民放は内容が充実してまいりました。また、向こうは商業を中心とした企業体でありますから、そのように聴視者に対してもサービスをはかっております。そういう面におきましても、いまNHKと民放というのはなかなか、どちらが上であるかということはこれは大衆のきめることでありますが、それにも増してこのような出演者の問題に対しては、昔からNHKは日本薄謝協会、このような別名もいただけるくらいに、このように出演者自身が、NHKに出演するときにはお礼をいただかなくてもいいんだ、薄謝でいいんだというそういう気持ちで出演をしていたわけなんです。ところが、最近を見ますとどうであるか、それはさまざまなことがあると思います。いまさっきお聞きしますと、出演者のランクだけでも十六までのランクがある。これ以外にも、それぞれの内容によりまして違いがあると思いますが、一応十六といたしまして、上中下、あるいはABCのクラスに分けているようですが、この出演者の人の内容を見てみますと、一流のタレントは森繁久彌や山本富士子、そういう人々、次のクラス美空ひばり、そういうようなタレントの人々は、出演料といたしましてはきめられておりますが、実質そういう人々がいただくお金というものは民放よりもよけいにいただく。ところが、Bクラス、Cクラスの人々は出演料が薄利である、民放よりも安い、こういうような一部に聞かれる声があるわけですが、こういう出演料に対するNHKの基本方針というものはきまっていると思いますが、しかし、事実受け取る金額というものにつきましてそれだけの違いがあるし、一流タレントはどうしてもNHKのほうに吸収されてしまう。そうしますと、民放のほうでほしいといっても一流のタレントがいかない。薄謝協会といわれるNHKとして、もっと民放を育成し伸ばしていくというならば、この点においても考えなくちゃならないんじゃないかと思いますが、こういう出演料の点につきまして、お考えはいかがでございましょうか。
  292. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) もしそのような事実があるとすれば、全くそのとおりだと思います。先ほど来総局長が御説明申し上げましたのは、事務実情を御説明申し上げたわけでありますので、私といたしましては、従来のNHKの基本方針を受け継いで、簡単に申しますならば、その芸、人の経歴に値する社会的評価を基礎として支払うべきであるという根本的な考え方を持っております。また、最低線につきましては、生活に値することを基準として考えるべきであるという考え方を持っております。したがいまして、私としては、民放と競争するために出演料をつり上げるというような措置は、NHKとしては従来もとっておりませんし、今後もとらないという方針でおります。  それから私どもとしては、必ずしも既成芸術家がNHK番組を満たさなければならないという考え方は持っておりません。新しい才能を開発し、これを放送事業界全体に登場させるというのが、商業放送と異なったNHKの任務の一つと考えております。最低線の方々について具体的な問題が生じますのは、もちろん一般的に低過ぎるかという疑問も持つわけでありますが、同時に、これらの人々は一集団を成しておりまして、その集団の長との関係においても、実質的低下は存在し得るというように私は承っております。そういう意味でも、集団の指導者に対しても、なるべくNHKが払うものをできるだけそのまま払い得る制度を立てるべきであるという指導をいたしております。したがいまして、私どもといたしましては、先生の御趣旨の方向でこれまでもやってまいりましたが、今後もやってまいりたいということを明らかに申し上げておきたいと思います、
  293. 田代富士男

    田代富士男君 いまの前田会長お話、よくわかりましたが、一つだけお聞きしたいのですが、NHKに出演されるお方は、出演料というものはちゃんと規定されてあると思いますが、ところが、出演するに至りまして、リハーサルをやる期間があると思います。それは出演者によりまして、二、三日で終わる人もあれば、一週間の人もあると思います、それはドラマの内容によりましていろいろ違いがあると思いますが、その場合、民放においても同じことが繰り返されると思います。だが、民放においてはリハーサルをやった場合には手当はつかない。ところが、NHKにおいては、リハーサルをやればそのリハーサルの手当料が出演料にプラスされてつくという、この点におきまして民放よりもNHKのほうが恵まれているのじゃないだろうか、こういう点に対してはどういうお考えでしょうか。
  294. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 先ほど会長がお答えしましたように、一流タレントの出演料を引き上げて民放からNHKにタレントを奪うというようなことは、絶対にいたしておりません。  それから、ただいまリハーサルの問題が出ましたが、これは時と場合によりまして、全部の方々にリハーサルの料金を差し上げておるわけではございません。たとえば講演放送等で、簡単なリハーサルの場合には出演料一本でございます。それから込み入った放送で、たびたび自宅から出てきていただいて拘束時間が長くなるような場合には、そのときにリハーサル料というものを計算することになっております。大体ドラマ関係に多うございます。それを加えましても民間放送の料金と大差はございません。
  295. 田代富士男

    田代富士男君 出演料の問題はわかりました。  次に、ドラマの製作費の問題でございます。これもいまいろいろ問題になされましたが、出演料も民放とさほど変わりがないというようなわけでございますし、また、あの製作費が、民放の場合は電波料並びにネット料がはっきりしているわけなんです。この点、NHKの場合は、電波料、ネット料等がはっきりしないわけなんです。こういう点ですね、民放の場合はすぐに数字を計算いたしましても大体わかるわけなんですが、こういう点はNHKとしてどういうお考えでありましょうか。
  296. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) NHKは四年前に、もちろん芸能番組も含み全番組について、番組効果の原価を含めた測定をいたしました。これが今日の番組費の基準になっているわけでありまして、この測定効果は膨大なものでございますが、この限度において番組を製作する。この測定効果の中には、先ほど事務的に御説明した浅沼総局長の説明内容のほかに、人件費及び建設費関係のあるスタジオ使用の効率まで入っております。したがいまして、これを最大基準の原則といたしまして、そうしていわゆるタレントのそのときの社会評価及び原作料その他一際を勘案しまして、一つのかなり正確な基準を出しておりまして、これに基づいてその年度番組費、製作費、編成費、その他を各製作局に割り当てる、こういう方針をとっておりますので、一つの番組中心として、いわゆる予算の使用を縦横に機動的にするということは絶対にやっておりません。
  297. 田代富士男

    田代富士男君 これはNHKの場合は製作費の中ですべて行なわれていらっしゃるわけなんですね。そうしますと、これは民放のひがみであるかわかりませんですけれども、民放の関係者の人に聞きましたら、ロケに行きましても、民放の場合は早々に引き揚げていくわけなんです。ところが、NHKの場合はゆっくりしている。民放につとめている人のことばでありますけれども、を借りて言うならば、いま会長さんが申されたとおりに、それぞれ製作費というものはいろいろ基準がある。さっきお聞きいたしますとおりに、いろいろな基準にのっとって、そうして総額百五十万で三十分ドラマをつくれ、そういう規定でつくられると思いますが、上司から割り当てられたその金額で製作にかかるわけなんですが、中においては、その予算よりも予算が余る場合が出てくる。こういう場合は、民放の場合は、はっきりと精算するけれどもNHKの場合は、そういう余った金額に対する処理というものはどのようになされているか、それをお聞かせしていただきたいと思うのです。
  298. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもは、大体原則的には一年二回、すなわち、上半期と下半期に予算使用の詳細にわたって検討いたしております。もちろんその中間的には、その制作局の局長を中心として毎回その使用結果を検討するわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、基準としては、上半期においては一〇〇%の中の四五%をマキシマムとして、実際経理の指導をするように指示しております。したがいまして、私どもは、そういう形での企業努力をすることによって少しでも余ったものは、すべてこれをもとに戻すという方針で、したがいまして、これに関係いたしまして監査室というのを設けまして、これは会長に直属する形になっておりますが、この監査を全面的に――東京のみでなく全国的に計画的に監査を行なっておるわけでございます。
  299. 田代富士男

    田代富士男君 いま監査制度お話が出ましたが、これはいま申すとおりに、聞いた話でありますが、会長さんのお話では、上半期、下半期で決算をやっていくときにはっきり出てくるわけですが、そのつどそのつどこの問題は決済していったほうがいいのじゃないか。そこで一人の人のいわくには、やはり百万円で制作しろと言われて、たとえば八十五万円で制作ができて余った場合に、それを返却すれば次回からの割当て金額が減るためにそうはいかない。民放に比べて、われわれに比べてNHK予算というものはほんとうにぜいたくな予算である。それを、その人はNHK内容にも詳しい一人でありますが、民放の人ですが、こういう点を話しておったわけですが、いまの会長お話では、こういうことがないために努力をしておるし、そのように監査制度も設けてやっておるということをお聞きしまして安心はいたしましたけれども、いやしくも同じ放送関係の人々に、そういうようなことを、ほかの放送局でありましたらいざ知らず、民放一切のものを指導していかなければならないNHKのそういうあり方について、そういう感じを与えるということ自身これは考えなくちゃならないのじゃないかと思いますし、また、そういうことを改めなくちゃならない、そういう面については、今後も検討していかなければならないと思いますが、幸い監査制度、監査室というものがあるそうでございますが、その現在監査室の構成人員、あるいは現在それがどの程度までなされておるかという点、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  300. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 監査室の主査はすべて高級の管理職であります。その総員は三十六名をこえておると思います、本部だけで。
  301. 田代富士男

    田代富士男君 本部だけでですか。
  302. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) はい。それから全国七地区に監査所属の監査室、所属の監査専門家が駐在いたしております。この監査は、特に放送センターの建設に関しましては特別監査制度をとっております。これは入札から契約から工事進行過程、予算の消化過程、これは特別監査の任務を持って、この点については特に厳重な監査をいたしております。全国的の監査は、年間計画で大体全局を監査いたしております。この監査報告は、毎月私ども中心とする理事会が聴取することになっております。それから同時に、一点、これは全体組織としての監査のあり方でございますが、と同時に、各局にはそれぞれこの部門をも担当する部長がおりまして、各局では一本の制作完了ごとにその予算を使った内容を検討いたしております。
  303. 田代富士男

    田代富士男君 よくわかりました。  そこで、いま会長さんじきじきに、そのように国民の要望にこたえるように力を注いでいらっしゃると、ようわかりましたが、そのように力を注いでNHK番組等を組んでいらっしゃいまして、国民の教育上に圧倒的なウエートを持っているNHKでありますから、努力していらっしゃることはわかりますが、これは総理府の統計によりますれば、それだけの予算をかけ、また、それだけの優秀な人々の陣営を持って当たっていらっしゃるNHKを視聴している人々が、全体の一八%である。これは総理府の統計でありますけれども、まあこの問題に対しまして、力を入れていらっしゃるにしてはもっと――こういう数字だけでは判断できないものがあります、これもよくわかりますが、一つの基準として、この問題に対してはNHKとしての自覚と責任があるんじゃないかと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  304. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) ただいま総理府のお話が出ましたが、ちょうど昨年の七月、関東地方におきまして、NHKと商業放送の各テレビの調査を行ないました。これは大体五千四百名を対象として行なわれたものでございますが、一番わかりやすいと思われますものは、関東におきましてNHKと商業放送のテレビ番組で最もよく見られている二十番組を調査したわけでございます。総数が二十でございます。そのうちで、NHKの総合テレビは二十本のうちで十一本、それから商業放送の――固有名称は申し上げませんが、ABCで申しますが、A社が四本、B社が三本、C社がゼロ、D社が二本というようなことになっておりまして、大体関東地方において商業放送は非常に盛んでございますが、その地域におきまして大体このような成績を昨年七月あげております。
  305. 田代富士男

    田代富士男君 それぞれの、ただいま申すとおりに、データだけでは内容はわからないと思います。一つのデータといたしまして、いま関東地方のデータでありましたならば、大体六〇%ほどのNHKの視聴者がおることはわかるわけなんですけれども、これはしかし当然のことじゃないか。NHK自身が大衆に愛され、大衆を指導していく立場にならなくちゃならないし、これにおいても満足せずに、もっとこれを伸ばしていかなければならないのがNHKの本来の行き方じゃないかと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  306. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 全くお説のとおりでございます。私どもは、これも幾つかの議論があるかと思いますが、集金面からNHK聴視者とのつながりを測定いたしますと、少なくとも九九%を上回る結びつきがあることは事実でございます。ただいま総務局長が申し上げましたのは、ある特定の番組中心として、しかも、関東において六社あるという実情において、五一%を上回るという番組中心としたお話を申し上げた次第でございます。ただし、私どもはこれに甘んじておりません。私どもはお説の趣旨を体して、これを一そう積極的に聴視者との関係を改善し、聞くに値し、見るに値する番組を制作していくということを根本方針といたしております。
  307. 田代富士男

    田代富士男君 いまのことにつきましても、会長さんのお説で納得いたしました。ついては、いろいろ問題になっておりますラジオの料金の問題でございますが、この問題につきましては、前総理でありました池田さんも、この料金廃止のことについては検討すべき時期が来たんだと、このようなことを言って、なくなられてしまったわけなんですが、その後もNHKも高所あるいは大きい立場から、いろいろ検討されたと思いますが、年間約九億円ほどになっていたかと思うのですが、その問題に対して、現在のテレビの普及した今日、いろいろ考えた場合に、この問題に対するNHKとしてのお考えはいかがでございましょうか。
  308. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 料金の問題は、単なる経済統計の中でどこを捨てれば比率に――物価上昇率に減った印象を与えるかという問題とは全く別な問題だと考えます。NHKのよって立つところの基礎は、全国民を基盤とするというたてまえにおいては、それがテレビであろうとラジオであろうと、公平な負担をしていただくというところにNHKの存在の意義があると思います。ただし、これは原則論でございます。しかし、国民大衆の身になっていえば、より安いことが望ましく、できれば無料であることが絶対に望ましいだろうと思います。無料であるかどうかの問題は、それをいわゆる商業広告的行為によって無料にするか、しからざるかの非常に限界の狭い範囲の考え方しか存在しないわけで、現行放送政策として、公共、商業放送二本立てという点においては、現行制度が妥当であると私は考えております。その範囲において、現在のラジオ料金をどうするかという問題は、簡単に申しますと、テレビの置局が促進することによってこの問題は当然解消さるべき問題であるということを考えております。その意味においては、その時期がだんだん近づきつつあるという、そういう見地に立ってこの問題を解決すべきが妥当であるというのが、責任者としての私の考え方でございます。
  309. 田代富士男

    田代富士男君 いまの料金の問題については、わかりましたし、国民全部が公平な負担をすべきが原則であると、そのようにいまお伺いしましたが、イギリスのBBC放送の場合でございますが、BBC放送におきましても、受信料を根幹にしてやっておるわけでございますが、ここの放送局は受信料の五割近くを制作費につぎ込んでおる。このように資料からいきますと出ておりますけれども、現在前田さん、NHKの制作費の場合は、全体から見ますと二割程度で、もっと今後はふえるかもわかりません、いままでの結果から申しますと、そういうデータが出ておるわけなんですが、それくらいでできるものであるならば、いま料金の解消等も近づきつつあると、こうおっしゃられた点ですね、これは放送法の改正ともからんでくると思いますが、今後この問題について、料金の問題等についても考えるべきじゃないかと思うのですが、その点はどうでございましょうか。
  310. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) BBCの予算の立て方は、番組中心として直接費、人件費、間接費、機械設備費、すべて含まれた計算でございます。NHKが御審議いただいておる予算の出し方は、人件費も機械設備も、すべて除いたその年度番組制作の直接費だけでございます。その意味におきましては、NHK予算の表示のしかたがBBCとは全く異なっておるという点でございますが、この点をBBCの基準に照らして計算をいたしますと、少なくとも番組中心とする一切の経費は、BBCを上回るものと確信いたしております。  最近、数日前ですが、BBCの理事が私のところに参りまして、この話し合いをした結果、そのことがきわめて明瞭になっております。同時に、BBCは、そういう計算の立て方にもかかわらず、教育番組の拡充のために、現行料金をおよそ二倍半増額するという問題が、いまイギリス議会の問題になっており、労働党内閣は、一年間ストップするという方針をとっているようでありまして、この一年間のギャップをどのように埋めるかということについて、実は私の見解を尋ねに来たというのが実情でございます。
  311. 田代富士男

    田代富士男君 いまの番組の問題もよくわかりましたが、続いては、番組の問題につきましては、今回の予算を見ましてもずいぶん力を入れていらっしゃるということはよくわかりますが、このように番組をもっと充実していくために、番組審議会というようなものを設置して、番組の向上をはからなければならぬと思いますが、これに対する具体的な案はいかがでございましょうか。
  312. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) すでに昭和三十四年七月以来、私ども番組審議会を持っております。この番組審議会は、全国的視野に立つ中央番組審議会と、全国八カ所の地域的を対象とする地方番組審議会、並びにNHKの場合は、海外放送関連する国際番組審議会、この種類を持っております。この審議会を通じまして、われわれの、私をも含めた事務当局の素案を私の名において諮問することになっております。この諮問の結果が、私は従来の例を申し上げますと、審議会の意向を反映しまして、原案を毎年修正いたしまして、これを経営委員会にはかって最終決定をするという段取りになっております。しかし、これは法律上の制度でございますが、実際問題としては、これに満足することなく、全国各地で聴視者との懇談会、これは年間おおよそ六百回から七百回に達しますが、私ども経営の責任者も機会あるごとに各地の会合に出席しまして、直接聴視者の御意見も伺い、また、それぞれの番組に応じて、それぞれの専門委員会もつくっておりまして、現状におきましては、御趣旨に沿って最善の努力をいたすという方向で番組を制作いたしております。
  313. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんから、最後に、いまの番組審議会の問題ですが、これに対して民間放送の代表者は参加していらっしゃるのでしょうかどうでしょうか。
  314. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 放送法によりますと、民間放送も当然番組審議会をつくらなければならぬ法律的義務がございます。いま御質問の御趣旨は、おそらくNHK、民間放送を通じてこの問題を取り扱い、あるいは話し合う場があるかという御意見かと思いますが、この点につきましては、放送連合という特殊法人がつくられておりまして、この放送連合の場において、NHK、民間放送を含めた一種の番組を話し合い、その向上とその内容を検討する委員会ができております。
  315. 田代富士男

    田代富士男君 いろいろありますが、いま会長さんからじかにお聞きいたしましたから、また放送法の改正等がありますときに後ほどお尋ねしたいと思います。きょうはこれで終わります。
  316. 田中一

    委員長田中一君) 速記とめて。  〔速記中止〕
  317. 田中一

    委員長田中一君) 速記つけて。  他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。  次回の委員会は明三十日、本会議終了後を予定し、本日はこれにて散会いたします。  午後六時十四分散会      ―――――・―――――