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1966-03-23 第51回国会 参議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十三日(水曜日)    午後一時十三分開会     —————————————    委員異動  三月十八日     辞任         補欠選任      渋谷 邦彦君     田代富士男君  三月二十二日     辞任         補欠選任      永岡 光治君     久保  等君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 小沢久太郎君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 横川 正市君                 田代富士男君                 石本  茂君    国務大臣        郵 政 大 臣  郡  祐一君    政府委員        科学技術政務次        官        田川 誠一君        科学技術庁振興        局長       谷敷  寛君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省電波監理        局長       上田 弘之君        郵政省電波監理        局放送部長    館野  繁君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会技        師長       三熊 文雄君        日本放送協会専        務理事      赤城 正武君        日本放送協会専        務理事      浅沼  博君        日本放送協会理        事        志賀 正信君        日本放送協会理        事        川上 行藏君        日本放送協会理        事        長沢 泰治君        日本放送協会総        合企画室総務   野村 忠夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔理事光村甚助委員長席に着く〕
  2. 光村甚助

    理事光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  本日の委員会においては、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査を行なうことになりましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 光村甚助

    理事光村甚助君) 次に、委員異動について報告いたします。  三月十八日、渋谷邦彦君が委員辞任され、その補欠として田代富士男君が選任され、三月二十二日、永岡光治君が委員辞任され、その補欠として久保等君が選任されました。     —————————————
  4. 光村甚助

    理事光村甚助君) それでは、これより議事に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。
  5. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十一年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。これら収支予算等についての概略を申し上げますと、まず、収支予算につきましては、その規模は、収入支出とも総額九百二十五億八千万円と予定されておりまして、これを昭和四十年度に比べますと、それぞれ六十九億四千万円の増加となっております。  収支の内訳といたしましては、資本収入百八十四億六千三百万円、事業収入七百四十一億一千七百万円、資本支出二百五十一億九千三百万円、事業支出六百六十九億八千七百万円、予備金四億円となっており、事業収入のうち、六十七億三千万円は、建設費等資本支出に充当することとなっております。  次に、事業計画につきましては、そのおもなものは、テレビジョン放送全国普及のための積極的な置局の推進、教育テレビジョン放送番組強化拡充テレビジョン放送におけるカラー放送時間の増加等となっております。  郵政大臣としましては、これら収支予算等につきまして検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付して提出した次第であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御承認くださいますようお願いいたします。
  6. 光村甚助

    理事光村甚助君) 次に、日本放送協会より補足説明を聴取いたします。
  7. 前田義徳

    参考人前田義徳君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和四十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対し、厚くお礼申し上げます。  協会は、昭和三十七年度を起点とする第二次六カ年計画策定し、委員各位の御協力を得まして、着々その実現に努力いたしておりますが、昭和四十一年度における事業運営につきましては、この第二次六カ年計画の第五年度としての諸計画を各部門にわたり積極的に推進することとし、テレビジョンラジオ放送全国普及早期達成につとめるとともに、すぐれた放送実施して、国民の要望にこたえ、国民生活充実向上に資することといたしております。  次に、そのおもな計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画から申し上げますと、テレビジョンにつきましては、総合教育とも全国放送網早期完成をはかるため、総合教育テレビジョン局とも百二十局の建設を完成し、五十局の建設に着手することといたしております。これらによりまして、四十一年度末におきましては、総合放送教育放送とも放送局数は五百二十八局となり、全国世帯に対するカバレージも両者九五%となる予定であります。  一方、ラジオにつきましては、放送の受信困難な地域の解消をはかるため、大阪大電力放送局建設するほか、第二放送二局の増設を実施することといたしております。また、超短波放送普及をはかるため、四十局の建設を行なうことといたしております。  これらによりまして、四十一年度末の全国世帯に対するカバレージは、第一放送九九・七%、第二放送九八・四%、超短波放送八七%となる予定であります。  また、放送規模拡大放送内容多様化に対処し、放送センター第二期工事を取り進めることといたしております。  このほか、ローカル放送充実に対処するための地方局演奏所整備テレビジョンラジオ放送設備充実改善研究用施設局舎、宿舎、業務合理化のための機器の整備等実施することといたしております。  これらの建設計画実施するために必要な経費総額は百八十億円でありますが、これの資金手当てにつきましては、自己資金により百二十一億七千万円、外部資金により五十八億三千万円を調達することといたしております。  このうち、自己資金につきましては、減価償却引き当て金及び固定資産売却代金百一億七千万円のほか、受信料からの繰り入れ二十億円を予定いたしております。また、外部資金につきましては、放送債券の発行によるもの三十億円、長期借り入れ金借り入れによるもの二十八億三千万円でありますが、放送債券のうち、十億円につきましては、財政投融資資金の融資を予定いたしております。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  まず、国内放送につきましては、テレビジョンラジオとも番組内容向上刷新につとめることといたしておりますが、テレビジョンにおきましては、特に、教育放送放送時間を一時間三十分増加いたしまして、一日十六時間三十分の規模をもちまして、学校放送番組通信教育番組等充実をはかることといたしております。  また、カラーテレビジョン放送につきましても、放送時間を三十分増加して、一日三時間とし、カラー番組の積極的な編成につとめることといたしております。そのほか、ローカル放送につきましては、地域社会に直結した報道教養番組充実をはかることといたしております。  ラジオにおきましては、特に新しい放送分野である超短波放送におきまして、そのすぐれた特性を生かした番組刷新強化を行なうことといたしております。このほか、報道取材体制整備放送番組利用促進等の諸計画実施することといたしております。  また、国際放送につきましては、十八方向、一日三十六時間の規模により、放送実施することといたしておりますが、アジア近隣諸国向け等について、一日二回の放送実施計画いたしております。  次に、受信契約者普及協会事業周知につきましては、UHFテレビジョン置局地域に対する受信者維持開発対策テレビジョン共同受信施設に対する助成、事業周知強化等によりまして、受信契約者維持増加につとめるとともに、受信料の収納につきましても、一そう確実を期するよう努力することといたしております。  調査研究につきましては、番組技術それぞれ基礎的分野調査研究を重点といたしまして、国民世論動向調査テレビジョン及びラジオ番組聴視状況調査並びに意向調査放送衛星開発に関する研究UHF放送技術研究カラーテレビジョン改善研究等を積極的に実施することといたしております。  経営管理関係につきましては、事業規模拡大に伴う業務の増大に対処いたしまして、業務全般にわたり合理化を積極的に進め、経費の節減につとめますとともに、職員に対する教育訓練実施等によりまして、企業能率向上をはかることといたしております。  また、給与につきましては、社会水準に比し、適正な水準を維持し得るよう改善をはかる所存であります。  最後に、これらの事業計画に対応する事業収支につきまして申し上げますと、まず、四十一年度における受信契約者の増減につきましては、契約甲においては、年度初頭一千八百五万六千件に対し、年度内八十五万件の増加契約乙においては、年度初頭百四十六万七千件に対し、年度内三十三万件の減少を見込みまして、これによる受信料収入を七百三十一億四千八百万円と予定いたしております。  このほか、国際放送関係等交付金収入一億四千万円、預金利息等の雑収入八億二千九百万円を合わせまして、事業収入総額は、七百四十一億一千七百万円であります。  これに対する支出といたしましては、放送債券償還積み立て金外部資金返還金受信料からの建設費充当などの資本支出関係六十七億三千万円のほか、事業支出関係に六百六十九億八千七百万円、予備金に四億円を充てることといたしております。  以上、昭和四十一年度日本放送協会事業計画につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活向上放送の果たすべき使命が、ますます重要となっていることに思いをいたしまして、従業員一同総力をあげ、この責務遂行に努力する所存でありますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて、何とぞすみやかに御審議承認賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
  8. 光村甚助

    理事光村甚助君) それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、放送法改正法案国会に提案されておりますが、それとの関連について、郵政大臣、それから会長にも御説明を承りたいと思いますが、いま申し上げましたように、ことしのNHK予算は、懸案の放送法電波法がおそまきながら国会に出てまいりました。そういう中の審議でありますから、最初に私はその点を明らかにしたい、こう思っておるわけでありまして、郵政大臣意見書にもあるように、NHK事業計画のうち「放送局建設計画は、協会の既定の長期計画に基づくものであるが、今後、放送法制改正との関連において、あらたに免許方針策定される場合には、本建設計画当該方針に基づいて実施されるべきものと考える。」、とうお述べになっておられまして、大臣としては、あらかじめ放送法あるいは電波法というものが成立した暁のことも御配意になっているようであります。そこで、NHK関係の分は、大体要約してみると五つぐらいになると思いますが、それには、いろいろ資金的な面も予算的に見てやらなきゃならない点があると思うのです。ですから、もし放送法成立をし、電波法成立したときに、この協会予算というものは変更といいますか、修正といいますか、そういうことがあり得るわけでありますね。そういう手続は、その暁には、NHKに対して大臣が責任をもって支障のないような措置をとってもらう、協会も、そういう体制に即応できる体制をちゃんと考えた上で、この予算は提案しておる、こういうふうに理解をしていいかどうか、これを最初に伺いたいのです。
  10. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 鈴木さんが御指摘のように、電波法放送法の御審議を願うわけでございまして、ぜひ、すみやかなる成立をお願いいたしたいのでありまするが、法律一つの大きい柱といたしまして、電波計画的使用ということをどうしても法律上明らかにしなければならない、なるほど、国際間の割り当てに伴いまして電波の配分は現在もできております。しかしながら、これを電波分配計画として国民の前に公表もし、そうして、はっきりと法律上の計画といたすこと、さらに、放送局につきましては、当然電波使用計画、これも明瞭にいたしてまいらなければ相ならぬと思います。さよういたしますると、そのほかのまた法案については、それぞれ申し上げる機会もあろうと思いまするが、そのような電波計画的使用をいたしてまいります場合に、四十一年度中にこうした使用計画を立ててまいります場合に、NHK建設計画の中で、必要に応じては新しい方針実施しなければならない部分がむしろ当然出てまいるんじゃないかと思います。しかしながら、私自身といたしましても、NHK建設計画がすでに長期計画に基づいてできておりまするから、これはでき得る限り尊重すると申しますか、ものができるように持っていきたいという気持ちは持っております。しかしながら、とにかく、今度の電波使用計画というものを国全体、また、国の将来を考えながら策定いたしまする場合には、当然建設計画については、これは考えるべき部分があるであろう、そのような意味合い意見をつけましたし、また、放送協会においても、それに対応する考え方をしていてくれていると私は承知をいたしております。
  11. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お答え申し上げます。  ただいま郵政大臣からもお話がございましたが、私どもといたしましても、ただいまの問題については、すでに第二次六カ年計画の第五年度として、それぞれの置局計画については、置局予定地その他についてはいずれ御審議をいただくわけでございますが、かなり幅を持たせながら、予算全体にはそれほどの影響を受けないような措置というものを考えながら、この御審議をいただきたいと思っております。また、私ども承知いたしますところでは、特に支出を必要とする条項の重大な問題は、私どもにとってはないのではないかということも考えており、したがいまして、意見書にある限度の問題については、常にその即応ができるという予算編成のしかたになっておるわけでございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 問題は、FMにいたしましても、UHFの設置の問題につきましても、大体NHKは、一般的にFM免許が行なわれておりませんが、予備免許実験放送としてすでにスタートして、ことしも四十局ですか、ふやす予定になっておりますが、そういう会長のいまお述べになったような事業計画は、この放送法改正によって、特にここにお述べになっているような「免許方針策定される場合には、」当然「当該方針に基づいて実施されるべき」だという、そのことはどうもずばっと当てはまらないように思うのですよ。むしろ、私が心配するのは、会長はそのほかのことに対してとおっしゃいますけれども、たとえば管理の問題もあるでしょうし、あるいは世論調査委員会の問題もあるでしょうし、いろいろ私はこれから質問しようとする現状のNHK組織管理体制というものがこれでいいのかどうなのか、こういった点も含めて私はやはり検討する必要があるのじゃないかと思っておりますから、むしろ、そういう面において当然予算が必要になった場合、予算の弾力というものを認めてやらなければならない、それらの配慮をむしろすべきであって、この計画についてここにこうびしっとうたって、その他のことについて触れておらないから、私は関連して伺ったのです。郵政大臣のほうも、特段にFMはいままでNHKはやっておらぬということになりますと、ある程度FM置局計画というものは新たな観点からやらなければなりませんのですから、その点はないのですから、私は特にここにうたった理由というものがわからなかった、そういう意味でお尋ねしたわけですから、もう少し的確に答弁してくださいませんか。
  13. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も申し上げましたように、NHKについて非常に建設計画支障が起こってくるとか、著しく変えなければならないというようなことも考えておりませんけれども、何と申しましても、今後電波法放送法改正案成立を得ましたならば、十分な内容を持ったチャンネルプラン策定をつとめて急いでいたさなければ相なりません。そのような場合に、NHK建設計画最大限実現がはかれるように配慮するといたしましても、やはり置局にあたっての個々の具体的な問題として、置局の場所をどうするか、置局の時期をいかようにするか、こういう点につきましては、新たな方針とともに考えてまいらなければならない問題がある、その場合には、当然「当該方針に基づいて実施されるべきもの」である、こういう意味合いを特に特記いたしました。その他の問題につきましては、私自身も、このたびの改正案について、予算を伴うもの等を一つ一つ各条に当たってみたつもりでございます。直ちにNHK予算に、それはいまも御指摘のように、世論調査機関をつくるというような点がございます。そういう点がございまするが、ただいま御審議を願う予算に著しく影響を及ぼしてくるものは私はないように考えております。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 「あらたに免許方針策定される場合には、」というところに問題があるように思うのですが、私はきょう放送法について質問する意思はないんですよ、あらためてまた本会議ででも質問したいと思っておりますから別に譲りますが、ただ、予算との関連でどうしても触れなければならぬ点だけ触れているわけです。そうしますと、「あらたに免許方針策定される場合には、」チャンネルプラン現行の第一次、第二次の修正、現在に至っているこのプランをもう一回総洗いをして、放送区域事業区域をどうするか、そうして、この県とこの県にはこれだけのUHF、VHF、FMラジオ、こういうものをもう一回やり直してそして、それに基づいて、あるいは置局が変わってくる場合がある、こういうことを郵政省は考えておるようにも思うのです。そのことを中心にしてここに書いてあるのかどうなのか、この点は非常に重要なところですからお伺いします。
  15. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私、先ほど申しましたように、必要な点は政府委員に補足させますが、私は、このためにNHK建設計画が非常に支障が起こってまいる、そうしたような使用計画策定ということは、まず考えないでいいのではないだろうか。ただ、先ほど申しましたように、個々置局については、相当具体的な問題ではまた考えなければいけない。その程度というぐあいに考えております。政府委員のほうからさらに補足させます。
  16. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) ただいまのチャンネル。フランの変更の問題についての御質問だと思いますけれども、この問題につきましては、もちろん、これまでチャンネルプランにつきましていろいろ問題点が残っておると申しますか、あるいは、いろんな問題が出てきておりますので、今度の法改正によりまして、そういうものはだんだんと方針を立てて片づけていかなければならぬということは事実だと思います。しかしながら、将来の大きな問題、チャンネルプラン変更というような問題につきましては、すぐに取りかかりまして、こういうぐあいに来年度予算というものを伴いますような時期において、大がかりなチャンネルプラン変更ということはちょっといまのところは考えられないと思います。したがいまして、先生の御指摘のようなことは、これから十分に考えていかなければならぬことだと思いますけれども、来年度予算に関する限りにおいては、そう大きな変更は考えられないというつもりでおります。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、よく話を聞いてみると、これは書かなくてもいいことを書いた意見書、そういうふうにもとれるのです。これは、放送法はそう簡単には成立しないと思いますけれども、ことしは、まあ四十一年度NHK予算ですから、四十一年度予算の中で、特に放送法改正に伴って、これはチャンネルプランが当然かかりますよ、民放を含めて、おそらくずっとかかることになる。その場合、置局計画というものががらっと変わる場合があると思います。そういうことはとにかく四十一年度中はない、現在協会計画をしている計画というものに沿って進んでいけばいいんだということでしょう。そうであれば、これは意見書の中にここに特にうたうという必要はなかったのじゃないか、うたう必要があったから、「あらたに免許」という、皆さんが考えておる方針との関係から聞いておるのです。これはどうして書いたのですか、もう少しことばの表現を考えてもらったらどうですか。
  18. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) NHK予算国会承認をいただいて、それに従いまして予算の執行をするわけでございますので、そういう権威のある御承認を願った後においての変更ということに関しまして、たとえば、先ほど先生も御指摘ございましたけれどもFM置局というような問題につきましては、ある程度のことは考えなければならぬというようなこともございまして、御承認願ったままで、そのままいけるかどうかということに関しましては、大臣意見書をつけました程度に御承認を願っておく必要があるだろう、こういうことでつけたのでございます。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 大体局長のいまの御発言で了承できましたので、私はこの意見書はそのように理解をしておきたいと思います。  そこで、もう一つ大事なところですからお尋ねをいたしますが、多少これは本論からはずれるようになるかもしれませんが、委員長におかれても、与党の皆さんにおかれても、その点御了解願いたいと思います。そこで、いま十二チャンネルが御承知のとおり再建案を出して、現行十三時間の放送時間を大体五時間半に短縮し、従業員の数も大体二百名程度減らしていこう、こういうふうな再建案を発表しているわけであります。それと、私はいろんな諸般の情報を総合して見たときに、この改正案の九条の二にございます協会投資条項との関連をどうしてもここで質問しておかないわけにいかぬのであります。そういう意味においてお伺いをしたいと思います。  まず、お伺いいたしたいのは、十二チャンネルについては、昨年の再免当時から私はもう口をすっぱくして、その経営の行き詰まりを打開し、何とか当初認可をした趣旨に沿って、公共の電波である十二チャンネル国民のためになるような方途をひとつ講じていただきたい、こういうことで強く期待をいたしておりました。ところが、なかなか郵政当局は、具体的な経営の実態についても、私たちの質問に対して答えてくれなかった、資料を要求してもなかなか出してこない、こういうことで、われわれが心配している中に、十五日でございますか、財団側のほうから再建案が示されたことは、まことに残念に思います。現在、新聞のテレビ番組を見ましても、ストがあるかもしらんから一部変更があるかもしらんというようなことをあらかじめ前に出してプログラムが組まれておる。まことにこれは、この経営に当たってきた人たち、また、この法人を認可した政府、私は重大な責任があると思います。したがって、まずその再建案内容を正式にひとつ委員会に報告をしていただきたい。
  20. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 十二チャンネルの昨年の再免許の際におきましても、本年の六月末に状況の回答を求めるように当時定めておりまするが、現在十二チャンチル自身策定しておると言われまする再建案、これは、私はある意味では、現在の段階での、何と申しまするか、つなぎと申しますか、切り抜けと申しますか、はたして、これでどういう基本的な安定さが得られるかという問題はあろうと思いますが、とにかく、そのような再建策を立てておるということを聞きましたので、これは全く聞き及びましたので、新聞紙等にも報ぜられておりまするから、それで、民法上の法人としての監督権に基づきまして——これはひとつ前提として申し上げておきたいと思うのでありまするが、放送事業につきましては、それがたとえ民法上の法人でありましても、放送法制の考え方にのっとって、自主性、自立性というのは、十分業務の面でも、経営の面でも、尊重いたさなければならないことでございまするけれども、ただいまの段階で報告を求めますのは、これは民法の規定に基づいていたすべきものと、こういうぐあいに考えまして、それで要求をいたしました。昨日その概要について報告が出てまいりました。  それで、こまかい中身はまた事務当局のほうからも、もし必要があれば申し上げまするが、私が聞き及びました内容といたしましては、一つは、科学技術専門教育局に徹して商業放送は一切行なわないこと、第二といたしまして、原則として一日の放送時間を五時間三十分とすること、三番目には、収支関係につきましては、一、収入は月額一億円とする、二、支出といたしましては、制作費三千二百万円、人件費二千五百万円、管理費千五百五十万円、技術費八百五十万円の計画といたす、提出されましたものはおおむね以上のとおりでございます。細部につきましては、昨日付で提出の資料について今後の説明を求める等をして、さらに確かめてまいりたいと思っております。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 これは科学技術庁のほうからも政務次官にいらしていただいておりますのでお尋ねしておきますが、この再建案は、郵政大臣にも、あるいは科学技術庁長官  国務大臣ですね  全然相談がなくて十五日に突如発表したというものでございましょうか。
  22. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 科学技術庁のほうにも、ただいま郵政大臣が御報告になりましたことについては、十六日に十二チャンネルの責任者が科学技術庁に来られまして長官に報告をされました。したがいまして、その前に私どもが、いわゆる再建案と称するものについて事前の相談は受けておりません。
  23. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も受けておりません。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、事は非常に重大なんですが、いまも大臣のお述べになったように、公益法人としての業務の監督権というのはどうなっているか、これから伺いますが、私が調べたところに関する限りでは、民法六十七条の二項によって財産の状況を検査することができますし、それから、具体的に法人に対して報告を求め、または資料の提出を求めることができる、また、この法人の業務及び財産の状況を立ち入り検査することができる、これは昭和三十五年の総理府令の第十一。こういうふうに、ちゃんと法的に民法上の公益法人として認可を受けた財団であります限りにおいては、郵政省なり、あるいは科学技術庁において、もう少しく、これは全然内容がわからなくてということではなくて、国会においても何回かわれわれがお願いをして、具体的にどうなっているのか、聞くところによると、何十億という赤字があるという話を聞いておる、だから早う内容についてひとつ調べてくださいよと、こういうお願いをしておったわけです。ですから、突如こう、黒字経営であったものが、何かの原因によって倒産しかかったとか、あるいは、その経営がまずくなって再建案が出たというものではないのです、これは。長い歴史の中においても出発当初から問題があったわけですから、ですから、私は、この監督権を十分に使いますれば、再免許をした際に、科学技術財団の中のテレビ事業というものはどういう経営状態にあったのか、はたして、そういうものに再免許をすることが適当であったのかどうなのか、そこまで話がいくべきなんですね。何か条件はつけました。私たちもその条件は拝見しましたが、あんなものはなまぬるい、むしろ、昨年の再免のときに、これは問題にすべき問題であったにもかかわらず、これをほっかむりしてきたところに問題があるのですよ。ですから、一体十二チャンネル管理、監督というものは、民法上による監督というものは、郵政省がやっているのか、あるいは総理府がやっているのか、この点はどうなんですか、これは。
  25. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 科学技術財団の主務官庁というものは総理府でありますから、内閣総理大臣になっております。しかし、科学技術庁に分掌させられておりますから、科学技術庁長官が実際に科学技術庁が主務官庁になっておるわけですが、まあ御承知のように科学技術財団がテレビをやるようになりましてから、郵政省も共管するようになっておるわけであります。ただ、このテレビ事業免許になったときに郵政省とお話し合いをしまして、財団のテレビ事業については、郵政省のほうにできるだけおまかせするというような話し合いができているように、私ども承わっておるわけであります。でありますから、この十二チャンネルの監督と申しますか、監督というのはウエートは、郵政省のほうに置かれておると、こういうふうに私ども解釈をしております。しかし科学技術財団そのものは、科学技術庁の監督下にあるわけでございますから、私どもも決して、それでは監督しないかということではございませんので、関心を持って監督をしておるつもりでございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 どうも、ちょっとその辺がわからないのですけれども最初内閣総理大臣に対して公益法人の認可を申請した場合ですね、これに許可を与えたのは、内閣総理大臣ですね。それで科学技術庁の所管で、そうして昭和三十八年にテレビの認可がおりました際に、要するにいわゆる十二チャンネルについてはこの管理、監督を郵政省のほうにしてもらい、その他の問題については科学技術庁のほうでやる、こういうことが両省間において話し合いができておる。そうしますと、共管ということばは、意味はいま私が申し上げたような意味における共管であって、内容的にはもう郵政省に全部おまかせしてあるというふうに理解していいわけですか。
  27. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) そういうふうに理解しております。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、たとえば皆さんのほうで再免許する場合ですね、再免許する場合に、財団のほうとして、いまこういうふうな経営状態になっているが、ひとつこの点はこういうふうに改めて、ひとつ再免許を申請しようじゃないかということで御相談があるわけでしょう、科学技術庁のほうには財団のほうから。そういう場合に技術庁として一体この経営はどうなっているのかということを、民法上財団なのですから、一部門なのですから、ですから皆さんのほうで経営実態がどうなっているか調べる権限はあるわけですね。そういうことは再興当時おやりになったのでしょうか。
  29. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 再免当時、十二チャンネルの経理その他内容につきましては、よく十二チャンネルから聞いております。内容を聞いております。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 そうしたらですね、まあこれは内容を聞いているということは、それを聞いてなおかつ再免を申請をしたということになるわけですからね。ですから、それは具体的に耳で聞いたのかどうかわかりませんがね。資料としてわれわれに出してもらえるような、だれが聞いたのかわかりませんけれども、そういうまとまった、どういう経緯であったということを、われわれに聞かしてもらえますか。いまここで聞かしてもらえれば一番いいのだけれども、時間の関係があるから、もし何でしたら、あとからでも出してもらいたい。この点どうです。
  31. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 後ほど提出いたします。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 そこで郵政大臣、まあそういう実態が科学技術庁のほうでわかっておった。それで皆さんのほうでも再免する場合に、経営の実態については、もちろんこれは民法上は、報告を求め、もし出さなければ立ち入りをして検査できる権限を持っているわけですから、そういう権限を発動してやるまでもなく、当然にその経営の実態がどうであったかということは、資料として出してきておったわけでしょう。その資料を、同じのを出していただきたいと思うのです。どうでしょう。
  33. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 承知いたしました。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 それで問題はきょうはNHK予算審議なのですから、私はまたあらためて予算の一般質問なり何なりでやりたいと思いますが、ただはっきりしておかなければならぬのは、郵政省にも科学技術庁にも事前に何にも相談しないで再建案が出てきたかっこうになっている。しかし、この再建案が出てきた以上は、これに対してどうするかということは、当然両省において考えなければならぬことだと私は思うのですね。したがって、現在の放送法上十三時間の放送時間を五時間半にしたから、直ちにこれを取り消すということはできない。いまの法制上の問題はこれは残ってくる。しかし、そのくらいのやはり決断を持って臨まなければならぬ立場にあると思うのですよ。法律上はできないのだけれども、少なくとも再建案を示して、なるほど本部長は藤本さんですか、見えたようですけれども、ほかの問題については教育六〇%その他の条件というものが満たされておらない。そうであれば、免許をした皆さんから見ると、これはたいへんな問題じゃないでしょうか。このまま放置しておくことはできないわけでしょう。しかもあなたが言っているように、出てきた再建案というものが収入一億支出一億、その内容を見ると、営業外費用だとか償却費とか、開業費の償却とか、そういうものは一切見ていない。こんなでたらめの予算はないと思いますよ。しかも今日ある——あとから申し上げるような五十一億、事業団全体から見ると、十二チャンネルだけでも四十五億の負債をかかえて、その負債を一体どう処理しつつこの一億の収入支出の中でやっていこうとするのか。これを見た人は、赤ん坊でもわかりますよ。そこらを一体どう受けとめていくのか。このままいまやっている姿を、郵政省としてじっと見ていていいのですか。その点どうです。
  35. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに十二チャンネル、財政的にも非常に苦しい状態に再免許の当時はあった。ただ再免許の際に出されました事業計画、したがって普通協力費等の収入が確保されて事業計画をやっていけばできるはずであります。ところが、それが今日の状態に至って、いま鈴木さんも御指摘になり、私も先ほど申しましたように、ほんとうの、ただつなぎと申しますと、いまの一億の収入支出、これではどうも——説明は十分聞きます。読みまして、電波監理局のほうもその所存でおりまするけれども、しかしこれでは、どうも、これだけでは収支説明に十分ならないと思うのであります。したがいまして、私どもとしてはよく調査はいたします。いたしますが、さらにこうした現在のしのぎをしながら、どうやって事業計画が成り立つように持っていくか、そのしのぎをつけ得るのか、つけ得るとして、どういう事業計画を持とうとするのか、それらについて十分確かめることをいたしたいと思っております。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 私はそこが不満なんですよね。十五日にすでに発表されて、きょうは幾日ですか。二十三日ですね。一週間たっています。その間まだ何も当事者を呼んで聞いておらぬということじゃ、これは職務怠慢じゃないですか。私は、もっと早くこの問題については、あなたにも言ってあるはずですよ。ですから、少し傍観し過ぎているのじゃないですか。共管であれば、これは科学技術庁のほうだって、それは郵政省にまかしてあるからということじゃないと思うのです。共管であれば、両省相はかり、一体この内容は何だ、どういう関係でこういうことをやったということを、もし向こうがこなければ、呼びつけて説明をさせ、その真意を十分把握した上で、それに対する対策を立てるというのが、これは理の当然じゃないですか。それをいまから、事務当局をして調べさせるなんていう、そんなあんた、答弁をされたのじゃ、これはちょっと引けないですよ。何をしていたのですか、大体。これは放送法で忙しかったかもしらぬが、放送法はちゃんと十五日に国会に出ているのだから、そう何もしなかったということじゃ相済まぬじゃないですか。科学技術庁はどうですか。もう少し、高見の見物みたいなことじゃなくて、お互いに協調し合って、これは共管になってるわけですから、国会に対して責任のある答弁ができるぐらいの御処置をどうしてとれなかったのですか。郵政大臣だってこれは責任ですよ。両方から私は聞きたい。
  37. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 全然十二チャンネルの経理内容を聞いてないということではございませんで、経営状態が非常に悪化をしたあと、昨年の六月ごろから、私ども内容を心配いたしまして、たびたび科学技術庁に来ていただきまして、十二チャンネル内容については伺っております。事務当局から、郵政省のほうにも相談には行っておりまして、全然これまで何にもしなかったということではございません。ただ、先ほどの御質問で、新聞紙上に出ましたあの具体的な案を事前に相談を受けたかというお話がございましたので、それは事前には相談を受けてない、こういうことでございまして、全然それまで何も話をしなかったということではございません。
  38. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おっしゃるとおり、非常に差し迫った問題でもあります。それから社会的な影響の非常に深刻な問題であることもよく心得ております。両省十分連絡をよくとりまして、早急に私どもも突っ込むことは突っ込んでみたいと思います。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 田川政務次官、あなたが十六日に報告を受けたと、そうおっしゃいましたね。そのときにはだれが来てどういう報告をしたのですか。
  40. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) ちょうど私、そのときに席に列しておりませんでしたけれども、あとで聞きまして、長官に倉田さんと藤本本部長がお見えになりまして、先ほど郵政大臣からお話のありました趣旨のことを報告されたそうであります。私はちょうどその席におりませんでした。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 これは私は、また委員長にも与党の皆さんにもお願いしなければならぬのですが、当事者がいませんから、だからその十二チャンネルの質問をなかなかやりにくいわけですが、いずれまた、参考人としてお呼びいただくようなことも十分お考えいただきたいと思いますが、問題は、五時間半に短縮するということ、それから特に二百名近い従業員の整理問題が出ているわけですね。こういったことは、組合のほうにも通告をしたようです。ただ、私が非常に残念に思うのは、たしか十八日の日でございましたでしょうか、皆さんも御承知のとおり、十時からワイドニュースがストップしましたね。それで宮城の前を女の人が二人ばかり手を組んで歩いている場面が二度ばかり出ましたよ。その番組を流しておいて、そのうちに、「ちょっとお待ちください」と最後まで何が何だかわからなかった。そのうちに最後まで待たして、おわびが出たのですが、ああいった事態が出たのは、実はあの前の日ですか、十七日の日でしたか、スタジオは六階にございますね、朝日新聞の。そのスタジオを立ちのけという要求があって、これは組合は全然知らなかったのですね。ところが、一方的にそういう通告があって、それはすでに十五日の日に会社と朝日新聞の間に話し合いができておったらしい。従業員は全然知らない。さあ出ていけということで、実はそこにおった諸君がおこってああいう事態になった。これは一般の人たちは全然知りませんから、何だと文句を言っていますが、しかし、その内容を十分調査してみると、そういういきさつがあるわけです。私は全部知りました、どういうわけでストップしたか。国民の一人としてワイドニュースを期待して見ておった。とまるのはけしからぬと思いました。全部を調べてみたら無理もない、そういう人をぺてんにかけるようなことをやって、自分が守ってきた職場の人にさあ出ていけということを、やぶから棒に言ったわけであります。すでに約束しておったことを、組合もあるのにその組合にも知らせないのは経営者が悪い、そういう挙に出ることも理解できた、私はよくわかったと、こう諸君に言ったのですが、そういうような問題が出て、いつ電波がとまるかわからないという前書きを置いて番組みが新聞に出ている。一体これはいつから私は五時間半にするか知りませんが、皆さんから御報告がないから。それから二百名の人をどう処分するのか、また残された問題は一体どうなるのか。あとの問題は非常に重大なことだと思うのですよ。しかも、聞くところによると、九条の関係で、NHKが資金的、財政的な援助をするようなことを、われわれは具体的な行動の中でやったことも聞いている、ある人から……。とんでもない話ですよね。ですから、いろいろ想像をするのに、教育放送を義務づけたり、NHKに。したがって、最初から無理だといった財団をスタートさせて、四つの競願になったところから文句が出て、中央教育テレビが訴訟を起こして郵政省が負けている。こういういきさつもあるでしょう。ですから、一体この収拾をどういうふうにしていくかということは、私はもっと真剣に考えておかなくちゃ困ると思うのですよね。ですから、郵政省として、一体いま負債がどの程度あるか、そのくらいのことを把握されて、その負債を返しながら一体どうやっていくのか、なしくずしにNHKのほうに、教育放送のほうに義務づけをして、また二百名整理して、残った人もある程度整理して、行く行くはNHKにこういう科学放送教育放送をやらしていって、十二チャンネルはなくなっていくのじゃないか。これは一つの推察かもしれませんが、あながち見当違いでもないような気がするわけです。そういう点をひとっここでないならないとはっきりさして、一体十二チャンネルを今後どういうふうにして再建し、認可をしたその目的が達成するように郵政省はやっていくのか。あるいは科学技術庁は全責任をもってどうやっていくかということを、いまの段階になったら考えなければしょうがない。私はいま過去のことを言ってもどうにもなりませんから、そういう職員のことを実際問題として考えなければ、何も責任がないのに、経営者のずさんな無方策な方針によって首を切られるのは、従業員にとってはたまらない。こんなことが今日手を振って通っているようでは、今後民放の諸君だって安心して仕事はできませんよ。だから、私はこれからも基本的な対策を両省で立てて、これでいくのだということを示してもらいたいというのが、われわれの願いなんです。皆さんは知っていて言わないのか。たとえば流動負債にしても十四億八千五百万、固定負債三十一億、借金をどういうふうにしているかということを参考のために申し上げておきますと、二十億四千九百万円の借金というもの——財団債八億一千九百万円、それから開銀が五億円、長銀が一億、興銀が一億、それから信託三行、これは三井、三菱、安田、これが九千万ですね。そのほかに運転資金として、昭和三十九年四月から昭和四十一年の二月までの間に十三億一千七百万円の運転資金を借りているんですよ。そしてさっき申し上げたように、現在の財団の内容を見ると、これはただ単に十二チャンネルだけではないですよ。これは会館のほうを見ても、本部のほうを見ても、みんなこれは借金だ。いま資産の合計額が五十一億二千二百万円あるんだが、負債が五十一億一千八百万円ですね。わずかに四百万円ですよ、正味、財団のものは。あとみんな借金なんです。こんなでたらめな経営を、しかも政府が認可をして、公益法人としてやらしておる。とんでもない私は話だと思うのですよ。よくまあ、ずうずうしくもこういうことをいままでやってきたもんだというぐらいに憤激をします。これは負債は私は全部銀行を調べてあるから言ってもいいけれども、時間がないから省略しますけれども、そういうふうな、私たちが調べたってわかることを、皆さん知っているはずなんです。それをあえて言わないというところに問題がある。そういう適当な措置をして、この問題をお茶を濁そうと言ったって、そうはいかぬですよ。だからもう少し私は真剣に考えて対策を立ててもらいたいと思います。一体いつから五時間半になっていくんですか。われわれは科学放送という、進駐軍がレーダーサイトからわがほうに返してくれたたった一つチャンネルです。それが十三時間が五時間半になって、そのあとの時間は遊んでいるんじゃないですか。そんなばかげた電波の使い方はありませんよ。そこいらをもう少し私は考えてほしいと思う。だから基本的な対策をどうするか、ひとつお二人から所見を承りたいと思うのです。
  42. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに基本的な対策を、私はこう思うております。おっしゃるように、監督権に基づく調査なり報告なりは、現在出ましたもので不十分なところは、さらに十分とらなければいかぬと思います。そして事業自身はどのようにして、いま御指摘にもありました、それから私も申し上げましたような、さしあたりのしのぎではない、事業自身がどうやってやっていくか、またそれが客観的に納得できるかどうかということを、認可をいたしておりまする関係の両省の間で十分詰めてみることにいたしまするが、おっしゃるように、なしくずしでお茶を濁すというようなやり方を、私はとってはいけないと思います。その点ははっきりといたしたいと思います。
  43. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 科学技術庁といたしましても、この問題は一時的なしのぎ対策ではいけないと思います。抜本的に、慎重に郵政省と協議をいたしまして対策を今後も続けていきたい、こういうふうに考えております。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 私はその程度の御所見の発表では、納得できないですよ、これは。公益法人であり、さっきから申し上げているような権限があるわけですからね。この民法七十一条にもあるように、「法人カ其目的以外ノ事業ヲ為シ又ハ設立ノ許可ヲ得タル条件ニ違反シ」——設立を許可したときの条件に違反した場合、あるいは公共の利益を害する行為をしたときには解散させることもできるわけです。それだけの強い権限を持っているわけですよ。今日、科学技術振興財団というものが会館の面においても赤字でございます、十二チャンネルも赤字でございます。たった四百万円しか正味資産がない。そんなものが今日科学技術の方面を公益法人としてやっているということ自体が、これは重大問題だと私は思いますね。ですから政府として責任がある限りにおいては、その責任を果たしてもらいたいということですよ。かくかくこういうことを今日までやってきた、これについては、こういう方法をとってこうやれと言った、しかしこれはできなかったというなら、私はその努力を多として皆さんに感謝する気持ちを持ちます。しかしそれが全然、何回言っても出してくれない。そしてあげくの果てには、こういうふうな再建案が出て、しかもそれについては一言も相談がなかった、郵政省には報告をしてないでしょう、まだ聞いてみると。あなたのほうは、科学技術庁のほうは十六日に報告したが、郵政省には何らの報告もしてない。あなたのほうでも、十六日に報告があったら、さっそく郵政省に行って相談するということも一つの手じゃないか。これはどっちがどうということもないですが、期せずしてたいへんだ、どうしようということになればよかったのだが、そういうこともやってくれなかった。それでいまになってから調べてみますなんて、そんな無責任なお答えでは、ちょっと私は引き下がれないのです。しかしそう言ってみても、現実には、いまの段階では私の憤激だけであって、これを皆さんがどう受けとめて、これから真剣にその対策を立ててくれるかということが、これからのことでございますから、きょう私は私の率直な気持ちを申し上げたつもりですから、もしあやまちがあったら指摘してください。なかったらひとつ私の趣旨に沿ってぜひ財団のほうともよく話をして、そうして一体どうしたらこの財団がもう一回再建され、チャンネルが目的を果たすのかということをひとつ考えて、また近い機会にわれわれにもお知らせいただきたい、こういうことを申し上げて、一応きょうはこのことは私は終わりたいと思います。  次に、NHK会長にお尋ねをいたしますが、協会は昨日放送開始四十一周年の記念日を迎えたわけでありまして、非常に内容的にも業務が複雑になってきておると思います。そこでいろいろと経営管理の面について御苦心をなさっておると思いますが、昨年は例の営業局等も新しくつくりまして、新陣容で新構想、組織のもとにスタートをされておりますが、しかし放送法等の改正の点もあると思いますがね、はたして現在の組織、機構、運営、こういったもので十分に協会の責めを果たし得るものであるかどうか。具体的に言うと、経営委員会委員なりですね、あるいは役員の人数の問題だとか、いろいろあると思います。あるいは監査といいますか、監査室ですかね、ああいうものとの関係等もあると思いますが、もう少し知恵をしぼって、能率的に、迅速的な運営ができるような、そういう方法をお考えになるようなことはないのでございますか。現在のところで大体よろしいと、こういうふうに御判断なさっておるのでしょうか。
  45. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 放送法の問題につきましては、NHKの現実的な経営の実情から、その問題について私自身の考え方を申し上げることは、まだ時期尚早かと考えております。しかしいずれにいたしましても、御審議いただく予算の根底となっているものは、御承知のとおり第二次六カ年計画という総合的な計画の上に立っているわけでございまして、そういう見地から申し上げますと、今日の経営上の管理機構が最終的なものではないということは、この場ではっきり申し上げられると思います。ただ過渡的な形態として、現在の管理機構をさらに変更し、もしくは改定するかという件につきましては、私といたしましては、いまだその時期にあらずという考え方を持っております。その理由といたしましては、ただいまも繰り返すようでございますが、第二次六カ年計画の最終年度、すなわち昭和四十二年度末におきまして、過去六年間にわたって推進してきた事務の機械化を中心とするいわゆる経営の合理化的な設備が完成いたすわけでございます。このことは当然御審議をいただく建設計画の中でも、いわゆる放送センターの第二期工事というものとも関連してまいるわけでございますが、現在の見通しから申しますと、一応の計画昭和四十三年の三月末に完成いたしますが、それらすべてをひっくるめてのいわゆる合理的な経営の発足は、その年の六月ないし八月の間というのが、私の想定でございます。これを年度別に、年度的に申し上げれば、昭和四十三年度の六月ないし八月の間に、私どもが想定いたしました六カ年計画の最終効果があがるという見通しがあるわけでございます。したがいまして、私といたしましては、現在放送法制の問題を除いてみても、従来の考え方に立って昭和四十三年度の当初において、いわゆる合理化計画に基づくその限りにおける最終経営機構を決定いたしたい、このように考えているわけでございます。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 大体御構想を承りましたが、特に私が感ずるのは、いまNHKに中央研修所というのがございますね。そして職員の皆さんの訓練をなさっていると思うのです。これは私は一現象だけでものを言ってはいけないと思いますが、一聴取者という立場で言わしていただきますと、NHKのアナウンサーの方が非常に熱心にやっておられます。特に非常災害の場合とか深夜にわたってよくがんばっている。だから感謝はいつもしておりますが、どうかすると固有名詞を間違って言ったり、地名を間違って読んだりすることがあるわけです。これは神さまでないから、全部を要求することは無理かもしれませんが、しかし、古典なんかについても、文学的にも歴史的にもかなり昔のことを知りませんと間違うことがあるわけですからね。ですから、それらの教養、知識を広めるということになりますと、かなり思い切って第一線に立つアナウンサー諸君なんかの教育と申しますか訓練ということは、かなり計画的にやっていただいたほうがいいのじゃないかと思うわけです。もちろん全体の定員との関係から、三カ月なり六カ月なりやっていると、その補充をどうするかという問題が出てきますのでむずかしいかと思いますが、なおかつわれわれ聴取者から見ると、NHKが間違って言われると、ちょっとこう考えちゃうのですね。ですから、そういうふうな職員のこれは一つの例ですが、訓練なんかに対する体制というのが、はたしていまの状態でいいのかどうかということを私は感ずるのですよね。総体的には会長のおっしゃったことも大体わかりますから、私もいいと思いますが、やはり部分的に見ると、組織機構の問題ですから、管理運営の問題にもかかるわけですから、そういう点をいまにでもできたらこうやっていただきたいような点があるわけですから、そういう点を私は申し上げたいためにこの問題をとらえたのですけれども、中央研修所を一度私ども見せていただきたいと思うのですが、なかなか機会がなくて行けないのですけれども、その実態も明らかにしていただくと同時に、いま私が素朴な気持ちとして一つの例だけですから、そのためにじゃやるかということになりますとむずかしいと思いますが、何かそういったアナウンサーの皆さんとか、あるいは技術関係の方々の技術革新に即応する訓練とか、こういうことは日進月歩ですから、それに順応する訓練計画、訓練実施ということは、やはり積極的にやっていただく必要があるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  47. 光村甚助

    理事光村甚助君) ちょっと会長関連して。いま鈴木んから技術、アナウンサーの問題が出ましたが、夕べのニュースで北海道の炭鉱の爆発の写真をとっておられましたが、家族のうちに行って、泣いているのを死体まで写す必要がNHKあるのですか。死んだ人、きれをかぶせて、顔に。家族が泣いて、それまでNHK写してニュースとして出さなければならないのですかね。死体の冒涜じゃないのですか。ちょっと感じたのですがね。
  48. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 鈴木先生のお許しをいただいて、まず、委員長に対してお答え申し上げますが、全く同感でございます。この問題については、数年前高松において非常な天災に伴う大事故がございまして、それ以後いわゆる取材の限度というものの一つのルールをつくっております。そういう意味では、御指摘の方向を厳守して今日に至っていると思いますが、たまたまきのうの御指摘のニュースの場合は、その辺のところについての指導者の、もしくは編集者の感覚の欠如があったということに対しては、まことに遺憾なことだと思います。今後これらの問題については、一そう私どもといたしましても、そういう点を注意してまいりたいと、このように考えておりますので、御了承いただければ幸いだと思います。  鈴木先生の御意見については、私も全く同感でございます。ただそこに一つの問題があるのではないかと実は考えられるのですが、私どものやっております研修は、基本的には新入の職員に対しては、御指摘の面をも含めて、特にアナウンスあるいは放送記者関係についてはかなり長期にわたり、約半年に及び総合的な特別研修をいたしております。もちろん、これをもって足りるというわけではございませんが、NHKの機構としての研修の目標は二つございます。その一つは、もちろん一般的な基礎研修、職員たるにふさわしい研修ということがもちろん土台になっておりますが、同時にNHKの制度として、おおよそ六年前から実はその昇進の一つの判断の基礎としても、いわゆる義務的に研修を受くるべきであるという考え方で、とりあえず中央研修所というものをつくったわけであります。この考え方は、中央研修所の設置だけで実はとどまるのではなくて、将来可能であれば、少なくともさらに全国七地区ぐらいには地方研修所をつくりたいと、このように考えております。しかし、これはまだ構想の範囲を出ておりません。現在の研修は、いま申し上げたような二つの原則の上に立って、全職員に対して中央研修所が中心になって、全国各地区において現業に差しつかえないような方針策定いたしまして、年間の計画を立てているわけでございます。御指摘の問題は、私の理解するところでは、個人の一般教養の高低の問題とも深く関連している問題だと考えます。この点については、もちろん採用のときに、その一般教養の高低を私どもといたしましては一応検討するわけでございますが、やはり社会の発展と人間成長の過程において、やはり職員たる個人がその教養を積み上げていく努力をしていただかなければ、御指摘のような点はなかなか根絶しがたいというように考えております。その点についても、たとえば職員の中の現在では労働組合とも協力していただいて、先回の、あるいは先々回の当委員会の御質問にも答えたかと記憶しておりますが、たとえば私どもの名前のつけ方は、ちょっとハイカラ過ぎるかもしれませんが、グリーンフィールド運動とか、あるいはまた社会教養のスケジュールをその運動の中に各部局ごとに、あるいはさらに細分して各職場ごとに、これもまた年間計画を立てながら推し進めていくということをいたしております。  一方、用語の問題につきましては、御承知のように、文化研究所が放送用語の研究に非常な努力を払っているわけでございますが、御指摘の問題の根本的な点は、要するに職員のすべてが個人を中心としての一般教養を高める努力をお互いにしていく環境をつくり出すことが必要である——この点については、御指摘のように、ときどき不十分であって馬脚をあらわすわけでありますが、私どもといたしましては、職員一同相ともにはかりながら、この点をできるだけ完全な方向に相互協力の上に立って努力してまいりたい、このように考えます。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと会長の言われるところのポイントがよくわからないのですけれどもね。要するに、個人差というのがありますね、それぞれ、アナウンサーにしても、人間は。その個人差をなくするためにふだん努力する、みずからも、これはもう当然ですよ。そして自分の職責を完全に果たすということが任務ですからね。そのための努力はやらなければならない。とは言っても、現在ある個人差をなくするために個人にもお願いしなければならぬし、お願いするというか、個人もやらなければならぬが、むしろ協会としても、あらゆる角度から職員の教育というか、再訓練というか、NHK職員としてどこに出てもりっぱな態度をとり、話ができるようにやはりすることが協会の使命じゃないでしょうか。そうしないと、個人差だと言って、ミスが出た場合済まされないわけですね。ですから、私は、そういう個人差をなくすために、個人の努力と同時に、また協会としても総合的なやはり再訓練計画というものをちゃんとつくって、そして人員その他の点も勘案して、できるだけそのベースに乗せてやっていく。ただ単に昇進する場合の一つの考課としてやるとか、そこを出た者を特別に昇進させるとか、そういうことも一つの経営者から見ればファクターにしようということはわかりますが、そういうことでなくして、問題は職員としてのりっぱな教養、知識を身につけるという立場に立って、私はもう少し思い切った施策を再訓練の面でやってほしいということを言っているわけですよ。そうしませんと、これはただ単にアナウンスするとか、機械をいじるということでなくて、人間としてほんとうにNHK職員にふさわしいやっぱりりっぱな人をつくっていくんだ、そういう大構想をどっか示しておきませんといけないんじゃないかということを感じておるわけですから、そういう私どもの考え方を生かす意味において、いま構想の中にありましたような地方研修所七カ所、内容はよくわかりませんが、中央、地方相協調しつつ、いま私が申し上げましたようなことも含めて職員の訓練ということに方針を打ち立ててもらえるのかどうなのかということを明確にもう少しできないでしょうか。
  50. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 先ほどもお答えの冒頭で申し上げましたように、私といたしましては全く同感でございます。ただ私の説明のしかたがきわめて事務的であったためかと思いますが、御指摘の点は、やはり職員の一人一人が一般的な教養を深めていく。職業的心要限度における教養のみでなく、人間としての教養をも深めていく方法について総合的に経営者としては考えるべきではないかという御意見だと思います。全く同感でございまして、私どもといたしましてもその方向に努力を続けてまいりまたいと、かように考えております。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 経営管理の問題については、大体当面やらなければならぬこともあると思いますから、いまの問題等も含めて、ひとつ早急に検討していただくようにお願いしておきます。  それから同時に、人事管理の面でちょっと伺っておきたいのですが、協会は大体旧制中学、新制短大、高校、大学の学歴の人が多いと思うのです。したがって、これらの方々の技術系、事務系——事務系の中にアナウンサー等もあると思いますが、そういった方々をどういうふうに任用し、そのことによって全職員が将来に向かって希望が持てる、おれも一生懸命努力すれば理事になれるのだという、そういうような妙味を人事管理上示すことが大事ではないかと私は思うのですね。そこにいわゆる適材適所主義  学歴偏重をなくして、ほんとうに使える人は、旧制中学を出ておってもりっぱに努力をして経営者として力のある人は抜てきしていくとか、そういうような御構想を持たれていままでやっておられると思うのですけれども、特にアナウンサーなんかの方々の、よく小川さんが向こうに行ったり、木島さんが他の民放局に行ったり、私どもも見ましてそれぞれ努力していますよ、民放に行って。しかし、せっかくNHKでアナウンサーをしてやってきてなじみになった人が、ちょっとする間に民放のほうに行ってやっている、こういうのはあまり感心できないですな。これは個人の自由ですから、それを押えつけるということはできませんけれども、これは感じとして私申し上げているわけですから。そういう気がするわけですよ。それにはやはり、一生アナウンサーはアナウンサーだということではいけないので、いまはちゃんと御配慮いただいているようですけれども、これは一つの例ですけれども技術屋さんは技術屋さんでやっぱりいろいろ考えがあるでしょう。ですから、そういう点を、事務系、技術系、アナウンサーの方、第一線で働く人たち、そういうバラバラのある仕事の中で、将来に希望の持てる人事管理というものをより積極的に打ち出すことが必要でなかろうかと、こう私は思うのですけれどもね。それは非常にむずかしいと思います。情実に流れず、ほんとうに適材適所主義、実力主義でやるということは、やっぱりあらゆる角度からふだんの各個人に対する見方というものを考えておかなければできないことだと思いますので、非常に簡単にはいかないことだし、問題があると思いますが、大筋としてはただいま私が申し上げたような人事管理の方法をより積極的にとっていただくことが必要ではなかろうかと、こう思うわけですから、ちょっと伺っておきたかったのです。
  52. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お説の点についても、私は全く同感でございます。少なくとも過去数年にわたって御承知のようなNHKの職員構成になっておりますので、特に実力第一主義という内部的には旗じるしを掲げて、御承知かと思いますが、今回の総局長のみならず、前々回の総局長も御指摘の部門の出身者でございます。その他、全国的に局長、局次長級には旧制中学出身者も数名現在ではおります。非常な功績、功果をあげております。私どもといたしましては、全くお説のとおりの人事管理をしてまいりたいと、努力をしてまいりたいと、このように考えております。  二、三の非常に有能なアナウンサーがHNK以外に出たという問題についても、私は私なりの実は解釈をしているわけでございますが、もし同じ放送事業界からどうしてもうちの人がほしいというような御要望があれば、率直に申し上げて、従来は何とかして放さないという方針でありましたが、放送事業全般を豊かにし、質を高めるためには、NHKだけが独占すべきではない、しかも御本人がその御意向であるならば、これをとどめるべき必要はない、かえってその人の活躍を、一般的な大きな舞台の中でその特性を発揮していただいたほうが、放送事業全般のためにもプラスであり、NHKもまたこれを誇りとしたいという実は私自身は考え方を持っているわけでございますが、もちろんNHKを出なくても、その場が合うという場をつくることは私どもの任務であり、またその場において能力を発揮し得る、職員のすべての人々がそう感じ取られるような職場の空気、機構、人事管理というものを一段と総合的に強く推し進めてまいりたいと、このように考えております。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 まあ民放に進出される、NHKに勤めておったアナウンサーの方々が行くことについては、もちろん会長のようなお考え方もあるでしょう。ですから、私はそのことは別にいけないということじゃないのです。ただ、たとえばスタジオ百何番ですか、朝七時ごろからやっておるのですね。あれと、あるいは木島さんのやつでも、小川さんのやつでも、大体同じような内容番組なんです、見ておりますと。ですから、もしあの方々がこっちにおってやったらうまくいくのじゃないかというような気がするのですね。ですから、アナウンサー一人に対して、大学卒業して入ってから、研修所に入ってどの程度の金をNHKがつぎ込むか私は知りませんよ。知りませんけれども、そういうことで養成をして、将来NHKのアナウンサーとしてやってもらうために採用したのですから、その考え方はやはり基本に置いてもらわなくてはならぬ。なお、その基本の上に立ちつつも、広い視野に立って日本全体の放送業界というものをより豊かにしよう、内容を豊かにしようという意味において、NHKが少なくとも公共放送の大黒柱の上に立っておるわけですから、そういう意味でひとつ謙譲の美徳を発揮して大いに協力しようという、そういう立場に立っての考え方だったら、私はわかるのです。しかし、やはり基本というのは、採用するときの条件というものは、NHKでやってもらうというのが何といったって採用の条件ですから、それは個人がつとめて五年たって、私は給料も安いし、民放に行ったほうが給料も高くなるし、自分でもう少ししっかりやれるからという、それは人間は欲望があります。そこらへ口がかかれば行きますよ。そういうことが、会長のような考え方に立った考え方が逆にとられる場合もあるわけですからね。その点は十分やっぱり警戒しておかなければならぬと思うので、私はあえて入ったときの精神をいまここで申し上げたわけですけれども、そういうふうにとれば、そのことも私は会長の御意見は御意見として大いにそんたくできることだと思うのですね。  そこで、十二チャンネルNHKから送り込みました。しかし、結果的に見ると、また首切りが出て、どうなるかわかりませんが、またNHKにひとつ戻ってきたいというような希望があれば、これはまあ受け入れるか受け入れないか。これはあなたのさっき申し上げたような思想に立てば、大いに十二チャンネルをりっぱに育ててやりたい、そこに行ってひとつがんばってくれということで出したとすれば、向こうが不幸にして人員整理ではみ出したというような場合には、これは受け入れるのでしょう。これを先に一つ聞きましょう。
  54. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 具体的な名前の御表示がありましたが、受け入れるとは限りません。やっぱりNHKをやめるときの条件が何であったか。したがって、一般的なお答えとして、受け入れるということはありません。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 それは、そう言われても私にはわからぬですね。ですから、あなたがさっきおっしゃったような思想に立ってそういうことを私は言っているのですよ。協会から、なお民放のより向上のために、発展のために送った人は、当然引き取るべきものでしょう。それが本人が、行っちゃ困ると言ったやつを、私は向こうに行ったほうが金が取れるからということで行った、それまで私は引き取れなんということを言ってはいない。人事管理上の大前提に立って私は言っているのです。その内容は、四、五人か行っておるのです。具体的にどうだということはここで言うのは個人のことですから省きますが、あなたの言う前段の大前提に立ったことを言っているのですよ。そういう場合には当然受け入れるべきでしょう。
  56. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私が申し上げた点で少しことばが足りなかったかと思いますが、具体的な問題として、御指摘の少数のNHKの職員がほかの放送事業社に熱望されていくケース、それに対しての私の基本的な考え方は先ほども申し上げたとおりであります。同時に、うちの中の同種の仕事に従事している日本放送協会の職員は、たとえばアナウンサーを例にとりましても、およそ四百名をこえておる。その現状において、四百名の一人一人は、世間の一部が非常に高く表面的には買うような印象を一般に与えておりますが、私の目で見ますと、この四百数名はどこへ行っても同じような能力を発揮し得る可能性と素養を持っているというのが私の考え方であります。したがいまして、たとえば最後に例示いただきました十二チャンネルなら十二チャンネルNHKを退社して出て行った人であっても、との原則から申しますと、その人がさらにNHKに再就職を求めた場合には、その人の能力がその瞬間のNHKにとっても必要であれば考慮の余地があり得ることは当然であります。しかし、ただやめたということだけで直ちにNHKに戻るんだというたてまえはとっておらないということでございます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 大体わかりました、言わんとすることはね。  そこで、そのことはいいんですが、いま海外に派遣されている記者の方ですね、特派員がかなりおられると思うのですが、これは会長どうなんでしょうかね。何年たったら帰るというような、そういった含みはあるのでございますか。交代させるというようなことは考え方として持っているのでございますか。
  58. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 事務的には、一応基礎的に大体三年ぐらいを最高の年月と考えております。しかし、その上に、私自身の考え方は、やはりその面での専門家を養成することが国民に負託されたNHKの責任であるという点から考えるならば、非常に将来そういう勤務をさせたほうが、その本人にとってもプラスであり、日本放送協会、したがって聴視者の皆さんにとってもプラスであるという特別のケースに対しては、私はその才能を伸ばし得る措置をとるべきであるということを考えております。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 これはまあ私が回って見た感じなんですけれども、やはり三年ぐらいですとちょうどなれたところなんですね。ことばのことだってなかなかこれは最初からべらべらやれるということはなかなかむずかしいわけですから、民情もわかってきたころにかわってしまうんですね。そうすると、何かもったいない気もするわけです。ですから、特派員というのは一つの固定したような立場に置いてもいいんじゃないかという気もするわけです。そうかといって、その人をやっぱり本社に起用したいというとともあるわけですから、そういった場合はこれは別ですけれども、できるだけなれた人が長く向こうにおられたほうがいいような感じを受けましたものですから、そういう考え方に対してどうでしょう。  それからもう一つついでですけれども、西ドイツのボンですね、ここは特派員一人でカメラを持って飛び回っておるのですけれども、あれは少し陣容をふやしたのですか。この前私、去年だったか、そういう希望を述べておいたんですけれども、ヨーロッパのたいへん西ドイツというのは大事な地位におり、しかも日本の放送を非常によく聞いておりますね、あそこは。ですから、いろんな問い合わせなんかもありまして、一人でてんてこ舞いをしておりました。だから、もう少し、カメラマンぐらいか、もう一人報道記者ぐらい行かないと、十分任務を果たせないように私は思っておったのですが、これはどうなったのでしょうか、それもあわせてひとつ。
  60. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 前段の件につきましては、実は私が先ほど非常に簡単に申し上げました後段の気持ちと実は同感でございます。したがいまして、ここ二、三年来、任地は異にしておりますが、その方向で伸ばすことがいいと考えられる放送記者については、もう数名、いわゆるその道の専門家というのは多少語弊がありますが、その方向で伸ばすように、あるいはソビエトからワシントンに向かい、あるいはパリからアメリカに行くというような措置をとりつつあります。  後段の具体的なボンの支局の強化につきましては、今年度予算に際しましてすでにカメラマンは常置しております。また、総支局の運営といたしましても、パリを中心として、必要な場合どの支局に対しても応援体制がとれるという運営になっております。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それから、これは非常に残念な質問なんですが、実は昭和三十八年にアラスカでテレビの撮影をしたことがございました。ドラマ「アラスカ物語り」というものです。このロケーションに出張した中に、ピストル事件で取り調べを受けた方があったのですが、それとの関連で、たいへん残念なことですけれどもNHKの芸能局の第一制作部の主幹をしておる方が問題になっておるようです。私は、暴力を追放する、一切の番組みから暴力をなくしていく、そこまで配意をしているNHKの中に——これは主幹というと管理者になると思いますが、そういう方がピストルを所持し、問題になったということは、どうしても納得できない、非常に遺憾だと思います。私はここで詳細に事実関係をあなたに聞こうと思いませんが、問題は、さっきから私が申し上げておるような人事管理あるいは経営管理、どういう面における協会の職員としてのりっぱな姿勢を正す姿というものがほしいということ、私はそういうことにも原因があると思うんです。少なくとも管理者たる者がこういう遺憾な事態を起こしたということは許せない。これは厳粛に反省をして、再びこういうことのないように、私は会長にお願いしておきたいと思うんです。この機会に、会長の気持ちをひとつ聞いておきたい。
  62. 前田義徳

    参考人前田義徳君) まことにお説のとおりでありまして、私自体も、あの問題については厳格な態度でこれを処置することにきめております。ああいうような善意の過失であったとしても、社会的責任の重大なNHKの職員の一人に、そういう過失を犯したものが出てきたということは、まことに遺憾に存じます。したがいまして、すでに責任審査委員会を開きまして、これに対する本人並びにその関係者の処置を決定いたしております。この決定を土台として、さらに人事管理という面だけでなく、NHK職員の士気のあり方について厳重に職員一同に申し伝えたい、このように考えております。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 ぜひひとつ、再びこういうことのないように、さらにひとつお願いしておきます。大きな反省と、それから自覚をひとつお願いしておきます。  それから、これからちょっと事務的な御質問で恐縮ですが、現在NHKの資産は全体として何億になっているでしょうか。それから負債のほうは、長期借り入れとか、放送債券とか、あわせて幾らになっておるか、これをちょっと教えてほしいんです。
  64. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十九年度末の決算までただいまでき上がっておりますが、固定資産総額は六百五十六億円でございます。それから固定負債といたしましては三百五十三億円でございます。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 これは放送債券長期借り入れと合わせてそうでしょう。その内訳はどうなんですか。
  66. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三百五十三億でございますが、そのうちで放送債券が二百四十六億でございます。それから長期借り入れ金が七十八億でございます。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 去年附帯決議をつけた際に、収入予定よりもふえた場合、これの措置については、もちろん職員の待遇改善にも回してほしい、と同時に借金のほうに向けてもらいたいという、そういう要望を付したように思うのですが、私もここで申し上げた記憶があるのです。ですから、そういう趣旨に沿って、従来より負債の返済については特別な配意をしておるのでしょうか。
  68. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 四十年度の増収関係につきましては、いまのおことばの中にございました受信料の増収につきましては、ただいまのところ、三月末までの見通しで約九億円ぐらいな増収が出るかと思います。いま予定をいたしておりますのは、この中から御要望の線もございましたので七億円程度を銀行借り入れの返還に回したいというふうに考えております。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 それから、いま甲乙に分けて受信料をそれぞれ取っているのですね、三百三十円、五十円。私は、いま負債総額三百五十三億ですか、これの返済をできるだけ早期に返していくということをかなり積極的に考えていく場合、受信料の甲乙契約について何か手心を加える必要があるかどうか。これはまあ前にたとえば乙契約についてはもう無料にしたらどうかという意見もあったけれども、それもなかなかむずかしい点もあると思いますが、そういった点に関連をして、なかなかいまは難視聴区域の完全解消、FMもやらなきゃならない、宇宙通信もあとから聞きますが、放送衛星もやらなきゃならぬ、いろいろな計画があるわけですから、そういう計画と負債をかかえていく場合に、そう簡単に受信料というものに手がつけられるのかどうなのか、こういう点ちょっと問題になると思いますね、もちろん、今度の場合は現行受信料で全部算定しておるようですが、たとえば四十二年になってそういうふうなことはどうなのかと、ちょっと抽象的ですけれども、借金をやっぱり早く返すということを考えなければいけないでしょう。
  70. 前田義徳

    参考人前田義徳君) その点につきましては、御承知昭和三十七年の予算の御審議をお願いするにあたりまして、いわゆる第二次六カ年計画というものを一応立てまして、少なくとも昭和四十二年度末までの、もちろん私どもの能力で予想できる経済の変動、あるいは物価の上昇、こういうものをすべて計算に入れまして、そうしてその後それと関連する料金の制度の変更ども審議いただいたわけでありますが、その結果、私どもといたしましては、特に現在の社会的な動き、あるいは経済と関連する個人生活の問題などを深く考えまして、少なくとも昭和四十二年度末までは現在の料金体制を変えたくないという努力をいたしております。この目的のために、先ほどもちょっと触れました事務的な機械化であるとか、経営の合理化を強く推し進めてきているつもりでおりますので、したがいまして、乙料金だけを取り上げての問題について、甲料金との関係で、難視聴地域の解消促進につきましても、私どもといたしましては昭和四十二年度末までは少なくとも支障を来たさない運営予算編成を行なうべきである。同時に、各年度予算審議にあたって附帯決議として示された事項は、全力をあげてこれを遂行するという努力をいたしてまいっております。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 この難視聴地域の問題に関連をして、三十六年四月の第二チャンネルプラン、三百十一地区ですね、これを指定受けましたね。そのうち現在残っているのは幾つあるか、これが一つ。  それから、三十九年四月の小微電力の免許方針に基づく置局計画はどれだけやって、幾ついま残っているか。  もう一つは、これはカラーテレビですが、電電公社が高規格化のマイクロウエーブを完成して、全国網が完成したわけですね。ところが、なかなかカラーテレビというものは普及しない。ですから、宝の持ちぐされのような形になっているわけです。しかし、NHK全国あまねく公平にやらなければいけないわけですから、カラーテレビについてもかなり積極的に施策を講じなければならない。私はかなりそういう点でむだがあるように思うんですね。  そこで、いま申し上げた二つの点は、難視聴地域の解消とたいへん関係があるし、カラーテレビについては、これからも会長の言われるような、まだまだ幾多の問題があると思うんです。そういう問題を解決しなければならぬ際に、あまりみんなが見ないようなカラーテレビに相当な金をつぎ込んでいくということも、これも少しむだなような気がするのです。ですから、現在までカラーテレビにつぎ込んだNHKの金が幾らになってんでしょうか。そうして、高規格化のマイクロウエーブにあわせて、カラーテレビの実施計画というのは一体どうなっているか、これをひとつ大まかなところでいいですから説明してください。
  72. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) カラーテレビの問題についてお答えいたします。  カラーテレビにつきましては、現在三月二十日をもちまして全国ネットワークができたわけなんですが、われわれのほうで現在カラーテレビジョンの出し得る装置がありますのは、東京が主でありまして、今後大阪にその装置をつけたい、こう考えております。したがって、東京にありますスタジオ、現在六つあるわけですが、それに要しますカラーのカメラ、そういうものが約二十台ございますが、それがいわゆるカラーテレビジョンとしての特別に要した金で、あと送信機その他につきましては、白黒の場合よりも若干多くなっておるわけなんですが、そう白黒をつくる場合に比べまして金はかかってないと思っております。いわゆるスタジオ関係につきましては、白黒の場合の約三倍近くかかるという程度でして、総額につきましては後ほどお答えいたします。
  73. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) ただいままでにカラーの設備に投下いたしましたものは、おおよそ十三億でございます。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 第二チャンネルプラン等は……。小微電力のほうはどうですか、計画
  75. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 第二次チャンネルプラン予定をされております計画は、今年度内にすべてこれを完成する予定で進んでまいったわけでございますが、おおよそがその線に参っておりますが、ごく少数の二、三の局につきましては、今年度内に完成に至らないで、翌年度に多少かかるというような状況でございます。大勢から申しますと、大体におきまして第二次チャンネルプラン予定どおりに進行をいたしておるというように申し上げても差しつかえないように思います。
  76. 鈴木強

    鈴木強君 小微電力のほうは……。
  77. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 微小電力の局ですか。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 置局計画ね、免許方針に基づく置局計画
  79. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 大体の今後の考え方につきましては、第二次チャンネルプランが、御承知のとおりに三千世帯以上を中心にして考えたわけなんで、今後はそれよりも小さくなっていきます。したがって、四十一年度は千五百世帯以上の局のところにつきまして百二十局完成というようなぐあいに進める予定でございます。しかしながら、これから進めますものは、それ以後のものは、いわゆる五十世帯というような非常に小さなところまで持っていきたいので、これは機械自体も小さくなりますし、同時にいわゆる共同聴取というようなものとの関連性がそこに出てくる、こう考えております。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 それから、三十九年度の——ちょっとまだ私決算のほう不勉強で恐縮ですが、当然納むべき受信料が納められていないのですね。その額が幾らになっているのか。結局欠損金として処理するのは幾らになるのでしょうか。
  81. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十九年度受信料の中から欠損の対象になるものと予想できますものは約三億七千万ぐらいかと思います。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 これはまあいつも問題になるのですが、協会予算の場合は、未収金として次年度に繰り越していかないわけですね。そうでしょう。それは小野副会長よく知っているのですがね。これは欠損金の処理の方法は、なかなか次年度予算編成に間に合わぬおけですね。ですから、おおよそどのくらいだという額はあっても、確定はできないというわけで、未収金として一応載っけておいて、そのうち幾ら入った、入らないものは幾らということで決算をやればいいわけですがね。その辺の予算編成方法というものがちょっといつも問題になるのですが、それは研究してもなかなからしいですけれども、未収金として翌年度に繰り越しするのは。
  83. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) この問題につきましては、法律の条文によりまして、NHKはきめられた一定の基準によるもので、この基準は郵政大臣の御認可を受けなければならないわけでございますけれども、これによらなくては徴収を行なってはならない、こういう規定がございます。幾ら未収でありましても、できるならばある年度で打ち切ってしまってというようなことはできるだけ避けて、どこまでもそれの回収に努力をすべきであろうと思います。そういう本旨で進んではおりますけれども、いろいろとその辺の関係には、過去の長いいろいろな経験から申しますと、いくら努力をいたしましても、かえって金をかけるばかりで回収には至らない、またそれを回収しようとするのには非常にこれは無理だと思えるものがございます。そういうようなことで、ひとまず未収金として権利保有をいたしまして、資産に計上しておるわけでございます。ただ、この金額は、受信料徴収の本旨に従いまして、どこまでも徴収に努力を重ねておりますが、大体おおよその見当は、いかに努力をしても取れないであろうというものを、予算上におきましては、おおよそ過去の実績、また現在の未収の内容等をも検討いたしまして、予算上の欠損金に立てております。この関係は、自後の決算において、その中で回収のできたものと、ほんとうに欠損になったものとに分けてございますが、そういうようなことで、予算、決算の関連をもちまして、ひとまず予算上においては未収金として権利を保有しながら、その一部当然に取れないであろうそれを欠損金に充てております。大体いまのような状況で、この辺につきましては、鈴木先生からかねがね、その辺に対する何か巧妙な案はないものか、検討を要望せられておりまして、私どももいろいろと検討を加えておるわけでございますが、在来やりきたりましたこういう線をやはり一歩出る名案もございませんので、現在のところはこのような措置をいたしております。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 私は、今度の放送法改正で義務制になったのですけれどもね。やはりこれは、義務制になったって、別に罰則があるわけじゃなし、払わなきゃならないというだけで、ちょっと気休めなんですね、これは。ですから、払わないでいいということになれば、みんなこれはそうなっちゃいますから、たいへんなことになりますから、うっかりその話はできないんですが、やはりざる法的なところがありまして、これはやっぱり聴視者の自覚といいますか、そういうものに期待しなければならぬと思う。だから欠損金として処理することがなかなかむずかしい、これは私も知っています。そこで、たいへん恐縮ですが、いま現在欠損金として処理したあとで、納めなかった一番古いもので、その納めなかったのについて何月どういうことをやった、まだ納めない、また何月どういうことをやった、まだ納めぬ、そういう、一つでいいですから一番古いやつで、あなた方がこれこれこういうふうにやりましたけれども取れませんでした、こういうのをひとつ、ここでは時間があれでしょうから、あとで資料でちょっと教えてくれませんか。実態がつかみたいのです。放送法改正関連して、悪いやつは何回やっても全然納めぬというやつがあるので、放送法改正のときにひとつ意見を述べたいので、資料としてぜひ例を出していただきたい、その点、どうですか。
  85. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 御要望のとおり、そういった具体的の事例を後日資料でお出しいたしたいと思います。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 それからNHKラジオの人工雑音ですね、それから外国電波による混信、こういうやつがだんだんふえてきているんですね。それに対していろいろ研究をされておると思うのですが、いま現在。パワーを上げて出力をふやしてみても、なかなか混信状態が解消できないという具体的な所はどこかにございますか。
  87. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 外国混信とそれから雑音と両方あるわけなんですが、外国混信のほうから申し上げますと、現在ラジオで非常に困っておる地域は約三十カ所近くあるんですが、そのうちでも約十二、三カ所は相当強い電波で外国混信を受けております。一例をあげますと、岡山とそれから盛岡、これらもその一例になるかと思います。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、盛岡とか岡山とか、特に十二、三カ所の雑音防止対策というのは、具体的にはどういうことをやっておられて、いつごろに解消できますか。
  89. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) たとえば盛岡につきましては、ちょうど現在五百三十キロサイクルという新しい波の試験電波が割り当てになっていまして、それを利用いたしまして、現在割り当てられておる波自体は混信があるのですが、そちらのほうを聞いていただくというような方法をとっております。岡山につきましては、現在のところそういう方法がないので、ある程度そういう点では困っておるんですが、しかしながら、FM放送がありまして、そのFMのほうで聞いていただくというようなことをやっております。それから同時に、現在、先ほどお話しした約三十カ所、特にひどいのは十五ぐらいですが、これも日にちとともに変わるわけなんでして、たとえば冬時分において、現在悪いのですが、これが少したちますとまた変わってきますし、同時に、混信する波自体も変わるものですから、まあ、いえば波を変えていただくなり、それから増力ということが次のステップにあるんですが、すでに昨年波を変えていただいて、松江その他約二十二万世帯が解消されたという実例がございます。今後も増力なり波を変えるという方法によって救済したい。と同時に、また、先ほどお話ししたように、FM放送によっても救済したい、こう考えております。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 大阪第二の三百キロワットの大電力のやつ、これは完成したんですか。
  91. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) これは四十一年度において完成する見込みであります。これのねらいは、御承知のとおり、第二放送を三百キロにいたしまして、そうしてねらうところは、九州をねらっています、九州及び東北の一部。いわゆる大阪地区につきましては、夜間の電波はそう強くならないで、かえって九州近くのほうが強くなります。したがって、九州地方はいままでの大阪の第二放送よりも二倍以上の強さになるものですから、そういう地区を救済して、第二放送は夜は同一番組なんでそれを利用していって、いわゆる外国電波及び雑音対策に資したい、こう考えております。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 これは電波監理局長にちょっとお尋ねしたいのですけれども、実は最近、具体的な例として、山梨県の都留という市があります。そこの市で共同聴視のアンテナのでかいのを建てました、鉄塔を。そうすると、東京の一、三、四、六、八、十、十二全部入ってしまう。山梨の甲府の放送、これは見えます。見えますけれども、それを切りかえて東京のを見ているわけです。その共同聴視の施設は、おそらく有線放送法ですか、あれによって届け出をしておると思いますけれども、聞くところによると、どうも相当に高い金を取っているらしいのです。組合員は不満があるのですけれども、なかなか個人では言えない。そこで、何万円か入るときに金を取って、また維持費を取っているわけです。こんなにかかるはずはないという気持ちを持っているのだけれども、それをチェックしてくれるところは何もないわけです。いまの有線放送法で届け出だから認可も必要ないということで、なかなかそれをチェックする方法がないものですから、共同聴視の施設であるから、適正にこれをやっておるかどうかということを何か調べてくれるようなところはないだろうかという意見があるわけなんです。具体的な素朴な意見として。現在の法制上そんなことは何もできないわけですけれども、これについては多少検討してみるような気持ちはないのでしょうか。たくさん例があるかどうか、その実態もつかんでいないのでわかりませんが、おそらくあるだろうと思います。その点お調べいただいて、どの程度のところでそういう方法をとっておるか。そうしてこれは具体的に立ち入りすることはできないのですから、いろいろな情報をとっていただいて、私も協力しますから……。その結果、少し何かしなければならぬということが、あれば検討していただきたいと思いますね。とりあえず、そこまで答弁要りませんから、実態調査してみるようなことを考えてもらえますでしょうか。検討の余地はあるでしょうか。
  93. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) ただいま御指摘の点につきましては、できるだけ情報をとりましてもう少し考えてみたいと思います。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 それからこれはNHKのほうに、三月十六日の毎日の朝刊を見ますと、「テレビ辺地の住民から一言」というので、これは伊豆半島南端の方ですね、ここに投書しておる方は。賀茂郡の南伊豆町の波辺久男さんという三十の方ですが、この内容を見ると、NHKの聴視料を払っておる、そうして共聴組合をつくってやはりやらなければ見えないので、共聴施設をつくっているというのです。金を取られて、組合加入費三万円、引き込み工事一万円、これを自己負担しておる、しかし、こういうことをNHKが一部のわれわれのところだけそういう設備をつくらなければ見えないようなことをしておって、そうして聴視料は、そんなことをやらないところでも同じように三百三十円取っているじゃないか、これはどうも不合理じゃないかという趣旨の内容なんです。私は、これはおそらく共聴の施設をつくる場合に、例の補助をもらっておるかもしれぬし、もらっていないかもしれませんが、この経緯は、内容を確かめてみないからわかりませんが、誤解に基づくものなら、ひとつ誤解を解くようにこの方に答えてやったらどうでしょうか。NHKはたいへんな情報を持っているし、この場合は、新聞を見て回答しておってくれればいいと思うのです。その後、私も関心を持っておるのですけれども、これに対する回答は見ていないが、個人にはやってくれているかどうかしらぬが、やってくれていればいいのですが、   〔理事光村甚助君退席、委員長着席〕 せっかく共聴施設というものに対して三分の一ですか、協会が補助する方法があるのですから、それは協会のほうでもこうやっているのですと、もしそれを組合員の人が見てなければ、向こうの内部の宣伝が悪いのですから……。いずれにしても、この誤解をしておる人に対して、回答を与えてやらなければ、せっかくのNHKの努力が無になるような気がするものですから、これは一つのささやかな投書ですけれども、ここで問題に供しておきますから、ひとつ新聞をごらんになっていただいて、経過をよく聞いていただいて、そして適切な答えをしてもらいたい、こう思いますから、これはお願いしておきます。  それからその次、NHKの外郭団体じゃないですけれども、交響楽団、それから厚生文化事業団、日本放送協会の学園、それから健康保険組合、共済会、ほかに出版協会がありますけれども、これには別に助成していないようですからけっこうですが、現在までにNHKの交響楽団と厚生文化事業団、放送協会の学園、ここに助成した金の総額は幾らになりますか。四十一年度は、これらに対して幾らの助成をしておりますか。もう一つ、健康保険組合と共済会に委託費として毎年お出しになっていると思いますが、これは累計で幾らになるでしょうか。それからことし幾ら予算に見ておりましょうか。これをひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  95. 川上行藏

    参考人(川上行藏君) いまお尋ねのN響に対しましては、累計が、これは古い歴史を持っておりますので、ちょっと出ませんけれども、四十年度に二億、四十一年度に二億一千万、それから文化事業団につきましては、四十年度に二千二百万、四十一年度も同じく二千二百万、それから学園につきましては、四十年度二億一千九百万、それから四十一年度は一億九千万、これは三十七年から始まっておりまして、三十七年は三千万、三十八年は一億三千五百万、三十九年は一億九千五百万、この累計がおよそ八億七千四百万ということになっております。なお、この学園につきましては、別途校舎及び校地、それらの出捐をいたしておりますので、それらのものがおよそ現在で二億八千万になっております。それから共済会につきましては、毎年、四十年度が四億九千万、四十一年度が五億三千万、健康保険が、これは委託費が一千一百万と一千七百万円でございますが、そのほかに健保の事業主負担といたしまして、四十一年度は七億五千万を負担する予定になっております。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 学園のほうは校舎とかその他、これは固定資産として、いうなれば、NHKから助成したという立場をとっているんでしょう。それとも、今度の投資条項とも関連があるのですけれども、出資ということじゃなくて助成というかっこうになっているのですね、二億八千万ですか、校舎その他の……。
  97. 川上行藏

    参考人(川上行藏君) 寄付をしたということになろうかと思います。出捐でございます。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 寄付金ですか。
  99. 川上行藏

    参考人(川上行藏君) 出捐でございます。出捐行為です。財団法人、学校法人。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 だから寄付金でしょう。
  101. 川上行藏

    参考人(川上行藏君) そうでございます。出しっぱなしです。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 そこで会長にお尋ねしたいのですが、今度の投資条項が、協会のほうは、あらかじめ放送法制調査会の答申があった直後から投資条項を期待しておりましたね、資料を見ましたらちゃんと書いてありました。ところが、それが政府のほうの最終決定、一応の決定を見る際には、ずれておったわけですね。ところが、その後自由民主党と政府の間の最終的な話し合いで、事業免許教育放送NHKへの義務づけ等の問題とからんで投資条項が入ってきた、こういういきさつがあるわけです。そこで、さっき私は思い過ぎのようなことを申し上げたのですけれども、一体この出資をするというのは、これは郵政大臣の認可を得てやるわけですけれども、具体的にいま考えられるのはどういうものでございましょうか。
  103. 前田義徳

    参考人前田義徳君) ただいま私どもが考えているものは一つしかございません。それはNHKが直接やってしかるべきものではあるけれども、これを直接に行なう場合には、経営全体からみて必ずしも合理化の面で効果的でないというもの、はっきり申し上げてテレビジョンの美術部門、これはすでに一応、御承知のとおり株式会社の形態をとっておりますけれども、これはほんの少数のNHK関係者が出資したにすぎないので、現在の事業形態としては、かなりその点で資本が手薄でございます。そういう意味の投資しか考えておりません。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、株式会社NHK美術センター、これだけであって、その他の問題については全然考えていない、こういうふうに理解をしておきますが、もう一回念を押しておきます。
  105. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 当面そのとおりでございます。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 当面というのは、いま現在であって、あとになったらまた何か入るという意味ですね。
  107. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 計画はございます。しかし、巷間うわさに流れておるような点とは全く関係がございません。たとえば、サービスセンターの機能強化のために、交付金だけで処置することが得策か、それとも、やはりサービスセンターに投資することによって交付金を停止したほうが得策かというような具体的な問題もございますが、私たちとしては、この問題については、それぞれほかの法律とも関係がありますので、現在のところは美術センターしか考えておらない、こういうことでございます。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 これは私は少しくどいようなことを言って恐縮ですけれども、それでわかりました。大体いま私が申し上げたような、いま助成をし、あるいは委託費を出しているようなものの中で、あるいは今後投資条項を適用するようなことになるかもしらぬが、その他の問題については全然考えておらないということですね。これは私はある程度具体的な事実を持っているのですよ。NHKが助成するような方法を講ずるということを、有力な人たちが言っているが、ここで名前をはばかりますけれども、私はちゃんと持っておりますから言っているのです。だからそういうことになりますと、現状の十二チャンネルの姿においての話ですよ、これは断じてできない相談ですからね。しかし、法律が通って、条文もいろいろ私は考えてみたのです、この投資条項ができる。条項についての法文解釈は、これはどうにでもとれますよ。憲法九条をああいうふうに解釈するのと同じように、有権解釈をすればどういうふうにでもとれる、この九条というやつは。ですから、ちょっと思い過ぎたようなしつこい質問で恐縮ですけれども、断じてそんなことはあってはならぬと、こう思っておりますから、念を押して、会長にたいへん失礼ですけれども回答を求めておきます。
  109. 前田義徳

    参考人前田義徳君) NHK会長といたしましては、放送関係の制度の調査会に要望したのも、その限度のものでございまして、それは過去の経験に基づいて、たとえば民放と共同で鉄塔を建てるために金を出しましたけれども、その果実を収穫することができませんでした。その限度において私どもは考えておるので、巷間のうわさ、あるいはその他の方々がどうお考えになろうとも、NHK会長として、必要な投資の限度は、ただいま申し上げた限度でございます。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 よくわかりました。  それからこれは会長にひとつ御所見を承りたいのですが、例の、池田総理が御存命中番組についてのひとつ何か研究をする必要があるんじゃないかということで、放送番組向上委員会というのをつくりましたね。これは当時何となくできたものですから、別に法制的よりどころもないし、五人か六人の方々が集まってやっていると思うのです。協会もこれは金を負担していると思いますが、民放と一緒になって。そういう立場に立つと、一体この放送番組向上委員会というものは、NHKにとってどういう益を与えているのか、現在まで何回か会合されておられると思います。したがって、具体的に、この間設置されて今日に至るまで、どういうような進言が会長になされたか、NHK番組についてですよ。あったならあった、なかったならなかったというふうに、要するに、その委員会が出した結論というものは、法律的には何も効果はないですから、一つの示唆を与えてもらって、執行する場合に、なるほどと思うものは直していくという程度のものだと思うのです。ですから、これをこういうかっこうでいつまでも続けていくことがNHKのためになるかどうかということですがね。NHKにはNHKとして世論調査もやっておりますが、法律でもって義務づけられておりますから、科学的な調査もやっておるはずですから、そういうようなものとの関係で、この番組向上委員会が出す結論と相反するようなことがなきにしもあらずだと思いますよ、実際は。見る人の主観によって違います、その番組がね。だから私は、この放送番組向上委員会というものに対しては、多少疑いを持っておりますから、NHKは少なくともわれわれの聴視料の中からお金を出しておるということになりますと、われわれはこれに対して関心を持たざるを得ないわけですね。ですから、これの運営はどうなっているのか、そうして具体的にアドバイスがあったかどうか、今後これに対して会長はどういうふうにお考えになりますか、その点について伺いたい。
  111. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お尋ねの点につきましては、NHK放送連合の一員でございますので、その意味において、私は、放送連合の中に置かれた番組向上委員会については、協力すべきであるという考え方を持っております。  第二の、この委員会からNHKに対して示唆、要望等があったかという点につきましては、ただいままでのところ、ございません。NHK自体からこの番組の問題を考えますと、私どもといたしましては、放送法上の責任をさらに社会的見地に立って完璧に遂行していく努力を続けている限りにおいて、われわれ自身の問題であって番組向上委員会から指示を受けなければならないという理由はないと思っております。ただし、劈頭に申し上げましたように、放送事業界全般の向上のために、放送連合の一員であるNHKがこれに協力することは、妥当な限度と範囲においては当然であろうと、このように考えております。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 まあおつき合い程度にやっているということだと思うのですがね、早い話が。ですから別に委員会からこうしてくれと言っても、それに従う必要もないし、番組編集は、編集委員会の議を経てあなたのほうで、例の基準がありますから、この基準に照らしてきめていくわけでありますから、ですからいうなれば、俗悪番組の追放といいますか、そういう意味において、総理がちょっとこう考えられてつくられたもので、軽い意味のものだと思うのですよ。ですから私は、こういうものをいつまでも存続してみてもあまり価値はないように思うのです。それよりもむしろ、やはり各民放を含めた編集責任者、理事者が、ほんとうに放送の使命というものに徹して、より豊かなりっぱな番組をつくっていくという、そういう啓蒙こそが必要であって、どうもこの番組向上委員会の活動を、ずっと私は関心を持って、そのつどそのつどルートを通じて聞いているのですけれども、まあ集まって、ああでもない、こうでもない、小田原評議に終わってしまっているのですね。そういうものに中途はんぱな、各放送連合が負担金みたいなものを出し合ってやっているというのもおかしなわけですね。もっと活動させるなら活動させるように、資金的な裏づけをきちんとしてやって、そうしてもう少し科学的なテーマをもとにしてやるようにしてもらわないと、委員皆さんが茶の間で見て、その感想を持ち寄ってやられるということでは当たらないと思うのです。どうもそういう意味では、私はこの委員会について期待も持っていないし、何かこう気休めに持っているようなもので何にも意味がないのじゃないか、まあやめたほうがいいじゃないか、極端に言えばそういう気がしているのですよ。あなたはおつき合いで一応やっているのだというようなことですから、あまり関心はないようですから、その程度だったらいいと思うのですが、まあこれはいいでしょう、そのくらいで。  それから番組のことが出ましたからちょっと伺いたいのですが、私はこの前も会長によく御意見を伺いましたから重ねて伺いませんが、協会は、法律によって不偏不党、厳正中立な立場に立って公正に報道を扱っていただいているわけです。そこで、四月から番組編成の問題についていろいろとお考えになって、われわれも会長の基本方針を伺いました。それからそれぞれ番組のお知らせの時間で聞いておりますが、たとえばの話ですよ、これは。「チロリン村とくるみの木」ですか、これはすでにフジにいっていますね。それから「事件記者」はいまどこへいくのか、引き受け手がなくて、フジかNETにいくようですね。それから「お笑い三人組」というのもやめられるわけですね。それにかわるべき番組が入ってくるのですけれども、「事件記者」なんというのはかなりこれは視聴者が多いと思うのですね。現在NHKが科学的に調査したところによると、との視聴率は大体どのくらいになっているか。そういうなじんだ番組を消していくということは、一体どういうことか私にはよくわかりませんが。それからもう一つは、「風雪」という番組がございまして、われわれもかなり関心を持って見ていたのですけれども、明治、大正、昭和と三代にわたって明治百年を描いたものなんです。ところが、これが大正の初めにきて消えてしまったのですね。これは一体どういうわけなんでしょうか。この点もあわせて。
  113. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 「チロリン村」と「事件記者」について最初お答え申し上げます。  「チロリン村」は三十一年から三十七年まで、大体八年間続きました。「事件記者」は三十三年から四十一年まで、これもやはり八年間続いて、大体視聴率は二〇%をこえている番組でございます。私どもの考え方といたしましては、番組と申しますものは評判があまり悪くならないうちにと申しますか、あきられないうちにこれをやめるというのがよろしいようでございまして、そのためには、それにかわる新しい番組の企画を常に用意しておかなければいけないわけでございます。その試作ができ上がりまして、これでよし、これで古い番組を切りかえてよしと思ったときに、思い切って新番組に切りかえるという考え方をとっております。  それから「風雪」につきましては、「風雪」は昭和三十九年の四月から四十年の九月まで一年半にわたって、およそ七十回のシリーズを組んで放送されたものでございます。これは御承知のように、明治、大正にわたる日本の近代を生き抜いた方々や、あるいは事件を素材としてドラマに取り上げたものでございますが、これは初めから一年半の予定でございまして、予定どおりやめたわけでございます。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 これはあれですか、私たちは、たいへん差し出がましいようなことを言って恐縮ですが、たとえば日韓条約の審議の際に、いろいろ報道、新聞関係に対する動きがあったことも、これは工作費まで出ていますからね。具体的にどこのだれに幾ら出ているということも、これは決算委員会のほうで調べてみますとあるのですね。これは総理府の広報室から出ている。そういう具体的なこともありまして、たいへん心配している。したがって、NHKは公共放送ですし、放送法の示すところ、何ものにも支配されない不動の中立性を持っているわけですから、われわれは、NHKに関する限りは信頼しておりますが、しかしいろいろな、われわれの想像も多少入るかもしれませんが、たとえば九月一日の関東大震災のあの際に昔、朝鮮人が何か井戸に毒を入れたとかいって、それを殺したということを私たちはあとから聞きました。おやじさんから聞きました。そんなととがあったということを聞きました。ああいうこともあって、あの番組が一部修正されたというようなこともあるのでしょう。ですから、明治百年を描くということになると、明治、大正、昭和と来なければ意味ないですわね。それが七十回といろ期限が来たからそこで切り上げたというのですが、これは一つの話としてわかりますがね。もう少ししり切れトンボにならぬようにやらぬと、せっかくの意図が十分にわれわれにくみ取れないような気がするのですね。見るほうからするともの足りない、途中から消えてしまったから。そういう点も協会として、それは七十回きたから、それでやめるんだということからすれば無責任ですよ。基本的な編集方針が七十回なら七十回と、明治、大正、昭和にわたって大体われわれが百年の時代を想起してものがわかるような編集を、やっぱりプロを組んでもらわなきゃだめでしょう。しり切れトンボになったところに何かあるんじゃないかといううがった気持ちがあるのです。それはないと信じますが、そういうことはないので、何かしり切れトンボになったことを残念に思うのです。もう少しあの辺はくふうしてもらえなかったでしょうかね。
  115. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 御説はごもっともでございますが、大体スタートいたしましたときに、大体大正の初期までというような段取りで進みまして、それ以後になりますと、あまりにもなまなましく、また、生存者の方も非常に多うございますので、初めからの企画が大体大正の初期までということでございます。一年半続いたドラマというものは、なかなかいままでは前例がございませんで、これはかなり長期にわたった番組でございます。それから明治百年をつづるものといたしましては、来年の一月からあらためて明治百年を記念した大型ドラマ番組を一年間にわたって放送する予定でございます。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 それはそれでいいです。  それからあと二つあるんですが、一つは、固定資産売却代金として三億七千万円予定しておりますが、これは具体的には何を売るのですか。
  117. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) お手元の予算の四十一年度固定資産売却代金につきましては、通常の年よりも若干様子が変わっておりまして、実は例年三千万程度NHKの年間の不用資産の処分代金でございます。四十一年度につきましては、たまたま大阪のラジオの堺放送所の増力移転の問題がございまして、大阪の堺放送所につきましては、財団法人大阪住宅公社のほうから住宅敷地としての立ちのきの問題も兼ねて相談を受けておりましたが、NHK側といたしましても、このラジオ放送によるうちの第二につきましては、百キロワットから三百キロワットに増力する計画を持っておりましたので、あわせまして場所を移転をするということを計画いたしまして、予算の中にも、建設費のほうに入れているわけでございます。いま折衝いたしておりますが、明年度中には、この旧堺放送所の補償の問題が解決をいたすかと思います。大体四億一千万程度の補償を取得できるかと思いますが、そのうち三億四千万ばかりが機械のほうの関係の補償でございまして、残り三千万が一般の通念の自動車とか、そういうものの廃棄分の代価でございます。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 時間の関係もありますから、最後に、衛星放送のことでお伺いしたいんですが、これは上田監理局長もひとつよく聞いておいてくれませんか。いま衛星放送については、前田会長が、いつかこの委員会で非常に希望を持たれて御発言になって、われわれも関心持っておったんですが、上田さん、どうもこの放送衛星に対する受けとめ方がまちまちなんですよね。あなたも御所見を発表されておる。それから林龍雄先生も、これに対してまた御所見を発表されておる。NHK側もこれに対しての考え方がある。それで、一体この放送衛星というものが具体的に実用化されていく時期についても、音声と映像と分けて、音声は早い、映像はちょっとおそくなる、こういう見方もある。国際電電の新川博士、いろいろ学者の皆さんの中にも見解の食い違いがある、その時期については。それから国際的な衛星としての利用価値というものは、これは早いですよ、大西洋にも上がっているわけですから。ただし、その衛星を使って国内放送をやる場合の姿というものは、そう近く、簡単にならないと思う。民放との関係NHKとの関係いろいろむずかしい問題が残っておると思うのです。ですから、こういう見解のまちまちなものを一つのものにして、そうして衛星放送というものに対して、こういう方針でいくのだということをやっぱり政府としてもはっきり見通しを示さなければならぬ、そうでないとこれは非常に混乱を与えます。あるところでは、どうせ放送衛星がもう三、四年でできるなら、放送法というのは、こんなものはもうやる必要はない、そのときに根本的にやり直せばいいので、こんなものはいまやる必要はありはせぬと、極端の人は……。それも先ばしった話だと思うのです。いずれにしても、交通整理をしておかないと、放送衛星に対する観念がまちまちなんですね。研究郵政省でもやっておる、NHKでもやっておる、国際電電でもやっておる、科学技術庁でもやっておる、あっちこっちの省でそれぞれ予算を組んで、それぞれ思いついたことをやっておる。こういうことも各省間の、あるいはNHKだとか、国際電電とか、そういう直接の業務に携わる人も入れてけっこうだと思いますが、何か連絡会議的なものをつくって、あなたの御構想も入れて、林さんの構想も入れて、そうして一体科学者として、技術者として、こういうところが大体こうこうだというそれを示した上で、それに向かってそれぞれの機構が一体になって研究をしていくということにせぬと非常に無理があると思うのです。協会も、二億一千万円ですか、この予算研究費を組んでおるように伺うのですが、ですから、その辺の放送衛星に対する考え方というものはどうなんでしょうか。私もしろうとなんですからよくわかりませんが、たまたま上田監理局長の論説も私はよく詳細に読ましてもらったのですけれども、あなたの考え方も一つの考え方としてよくわかる。また、ほかの意見を聞くと、またそれもなるほどというふうに、わからぬものですから、われわれとしては迷うわけですよ。ですから、そこら辺の交通整理をやってもらいたいのですけれども、おひざ元の監理局長としては、どういうふうにこれをお考えになっておるか、個人でなくて、ひとつ局長の立場からお考え方を聞きたい。
  119. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) お答えを申し上げます。実は放送衛星の問題は、構想としましては、相当前からあったとは思いますけれども、実際にこれが話題になってきましたのは、ほんとうに最近のことだと思います。したがいまして、先生がいまおっしゃったようなことも、実はこれからだんだんと詰めていかなければならぬ時期だと、そういうぐあいに考えられます。しかしながら、いま先生のおっしゃられたことを整理いたしてみますと、一つには、技術の面から放送衛星というものをどうとらえていくかということ、それから、それを実際に日本というところに導入いたしまして、これを実施していくという場合に、どういうことを考えなければならぬか、こういう大きな面では二つに考えられると思うのでございます。したがいまして、まず第一の技術の面に関しましては、いろいろと今度もNHKで御研究になるというようなものを含めまして、ともかくも時期というものをいつということを限らなければ、いずれ将来においては、こういう時代というものは世界の中にやってくるであろうということは、おそらく何人もこれを否定なさることはないだろうと思う。したがいまして、技術の面の推進ということにつきましては、これは世界にもおくれないように、また、非常に将来の大きな問題でもございますので、国としても、その推進に対しては、技術的な推進に対しては重要問題だと思いますし、また、特にテレビの衛星放送というような面につきましては、技術面からいいましても、最も高度な技術に属するかと思いますので、研究の面から言いましても、ほんとうに取り組んで価値のあるような問題だと思われますので、そういう意味から言いますと、やはり一つの進むべき方向ではあると思います。でありますから、一番問題なのは、実際に日本においてこれを実施できるようになるためには、一体どういうことが必要であるかということの整理、このことが、私電波監理局長の立場でものを言えということでございますけれども、その点から考えまして、最も大切なことではないかと考えてきておるわけでございます。このことにつきましても、先生はよく読んでくださったということでございますから、ここで繰り返す必要はないと思いますけれども、政治的な面、行政的な面というものから考えまして、衛星放送というものが日本に導入されましたときに、どういう変革が起こってくるであろうかということにつきまして十分考えていかなければならないし、現在の実際に放送をになっておられるところのNHK、民放という方々が、一体これに対してどういうぐあいに対処すべきであるか、また国民の側から言いまして、こういうものにつきましてどういうぐあいにまた対処すべきであるか、こういうようなことを考えていかなければならぬだろうと思います。したがいまして、将来の問題といたしましては、こういう技術の面と、それからそれを政治的な、行政的な面、こういう面との二つなり、あるいは三つの面に分けまして、国内の研究というものを進めていかなければならぬと思うのでございまして、特に技術の面につきましては、政府としましては関係の方たちにもよく御相談をし、そして技術の推進ということについて邁進すべきであるということにおきましては、当然なことだとも考えます。また行政につきましても、郵政省としてその責任がございますので、これまた十分に考えていかなければならぬと思います。最後の政治的な面になりますと、これは郵政省だけでなしに、やはり国としてどうあるべきかということを、もっと広く、かつ高い観点でもって考えていかなければならないのじゃないかと思っております。以上が私の考えておりますことでございます。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 上田監理局長、あなたの大体の構想というのは、技術的な面については専門家ですから、大体ぼくは尊重していいと思っているんですが、そこで大体の見通しです、技術的に可能な音声、あるいは映像、これが四、五年ないし十年、こう大体あなたは見ているんじゃないですか。大体の見通しとしては、音声だけでしたら四、五年くらいで可能であろう、それから実際のテレビジョン放送というものは十年先くらいじゃないかという、これはおおよその見当だと思いますが、そういうような見方はいまも変わりはないわけでございますか。
  121. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) ただいまのラジオとテレビという二つのカテゴリーに分けての御質問でございますけれどもラジオの場合も、これは外国放送でやるか、あるいは国内放送でやるか、こういう点につきましても相当違いがあると思います。やはり国内放送というものについて考えました場合には、ラジオ放送といえどもある程度の差こそあれ、やはりテレビの放送と同じようなことが考えられると思うし、またそれと同じような準備というものが必要ではないかと思います。したがいまして、先生のおっしゃっていることは、技術的に可能であるということを言うならば、ラジオのほうはテレビよりもずっと早くて、四、五年のうちにはできるのじゃないか。それからまたテレビのほうは、それに比べると電源その他の大きな問題があるから、十年はかかるのじゃないか、こういう御意見だとそんたくいたしますけれども、そうであるとするならば、先生の御指摘に対しては、はっきりしたことは申せないとしましても、大体の見当としては、そういうことは申し上げられるのじゃないかと思います。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 この際、やはり問題を分けたほうがいいと思うのです。だから、国際的に日本が衛星を使っての放送をアメリカなりヨーロッパをやるということについては、これは私はそう長くないと思うのです。かなり早くできると思うのです。ただ、いま分けておこうというのは、国内的衛星を使ってのテレビは、これは法制的にもあるいはチャンネルプランとの問題もあって、そうなかなかしかく簡単にはいかない。これは政治面と行政面とくっついてきますから。  そこで、会長が火つけをしたようなかっこうですから、ちょっとあなたに伺いたいのですが、特に去年のユネスコのパリの会議に、日本代表として会長出られたでしょう。出られましたね。そのときに、いろいろ話があったと思いますけれども、民放のほうではNHKとちょっと違うのです、とらえ方が。あなたはかなり積極的に、しかも非常に短い期間を想定してものを考えておられる。これはおそらく私は国内的な放送分野まで立ち入った話じゃないと思うのです。特に対国際的な日本がテレビに入っていくということを主体にしてものを考えられたように、ぼくは自分でそうとっているのですが、その考え方はあとで聞きたいのですが、そういうことになりますと、民放のほうでは、いまの資金状況とか経営状況からして、なかなかNHKにはかなわぬわいこれは——というような点もあったり、それから相互の利益の問題その他いろいろな考えもあるし、いろいろこれは複雑ですから、ですからNHKはあまり先に進まないように、私らも一緒に連れていってくれよというような気持ちは、率直に言ってあると思います。しかし、具体的にコムサットの計画、NASAの計画が打ち上げられて、それによって実験通信が行なわれようとしています、この夏から秋にかけて。ですから、比較的に国際的な実験段階というものは、実用化というのは早いと思うのです。そうなってくると、上田さんもその点は、国内と国際と離して考えれば、ある程度意見が合ってくるわけですが、その辺を整理して、日本の放送は一体どういうふうに衛星放送というものを使っていくのだということを、交通整理をせいということは、ぼくはそこのところを言っているわけです。そうしないと、一緒くたになっていますから、放送衛星が上がったら、どこへでもあんな中継所をつくらなくても、上から雨が降ってくるように電波が届くというような早合点から、いままでの施設は全然不利になってしまうのだというような錯覚をすぐ起こして一それはやがて出てくるでしょう。しかし、ものの考え方が、四年とか五年先のことを考えてやられてしまう畑と、ちょっと混乱を起こすような気がするものだから、会長はたまたま世界的な視野に立って会議に出ておられますから、ひとつレクチュアしてくれませんか。時間かけてもいいです。十分ぐらい。
  123. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 率直に申しまして、衆議院の逓信委員会鈴木先生と同じ党の指導者の方からは、衛星の問題については慎重な発言をするようにという御要望をいただいておりまして、したがって、そういう心がまえで私の考えていることを、きわめて簡単に申し述べさせていただきたいと思うのですが、ユネスコの会議を中心として見ますと、日本の放送衛星に対する受け取り方は、きわめて立ちおくれているというのが私の第一の印象でございます。率直に言いまして、私は技術のことはわかりませんが、放送衛星の電力をどうするかというような問題は、これは科学的に解決する方法のある問題であろうと私は直感いたしております。ことに、このユネスコの問題は、放送だけでございませんので、新聞、通信社をも含めてこの問題が一本化されて、きわめて積極化されている。これについては、たとえば後進国に対しては財政援助をも考えるという段階にあるわけです。したがいまして、そういう空気の中から、私は放送事業者の一人として考えますときに、あまりのんきな見通し論だけをやっていたのでは、やはり国際的に時期を失するおそれはないかということを、私個人としては懸念いたしております。しかも、その放送衛星が、国内的に放送法と直結するかどうかということは、私は専門家でないので、意見は申し上げられません。ただ普通の常識的に考えれば、もし国内的にこれを使用する場合に一種の中継局と考える場合には、それほど直接放送法制を変えなければならないほどの重大問題であるとも私は個人としては考えておりません。  それから商業放送との関係については、これは協力体制をとることによって打開は必ずしも困難でないと思います。事実上中継局の設置についても、NHKと民放との共同建設が進められている現状において、私は経費が幾らかかるか、利用の方法はどうかという見通しと話し合いがつけば、その点においても別に私はそう困難な問題でない。  それからもう一つ、この問題で、たとえば中継局が要らなくなるんだ、ことに商業放送の場合を見ますと、地方を中心としての自主的企業体でありますから、それが混乱されるような使い方をしなければいいだけのことであって、それによって既設中継局、あるいは地方の既設民間局がなくなるというようなことは、よほど思い過ぎない限り私には考えられないという気がいたします。ただ、国内的な問題は、郵政省を中心とする国策の問題でございますので、私の介入すべき問題ではないと思っております。ただ御質問のユネスコの特別会議を中心として考えますと、私はいまの国内での受け取り方では、おそらく時期を逸するのではないかという印象を依然ぬぐい去られないでおるというのが私の心境でございます。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 ユネスコのおそらく国際的な雰囲気の中で、会長の率直に感じた、はだで感じた気持というのはわかりますが、ただわれわれがある程度慎重的な立場をとってくれというのは、いまいったような発言が非常に混乱を与えている。あなたが言うようにすっきり受け取られないでしょう、業者々々利害がありますから。ですからそういう意味においてそんなことができるかという意見と、そうなってくると問題は根本的に電波界というものは変わってくるんだという意見と、いろいろあるわけですよ。それが国際的な視野に立っての考え方としてはぱんと響いて、それがいまにも三年後にもできる、二年後にもできるのだという印象を受けるわけです。そうすると、せっぱ詰まっておしりから火がついたようなかっこうになってものを考える人たちがたくさんおるから、そういう意味において、ぼくも前にあなたのお話を聞いたときに、これは少し先ばしっているのじゃないかという印象を受けましたので、そういう意味で衆議院で少し慎重にものを言ってはどうかということを言ったのであって、だからといって、それじゃいま現実に実用化されようとする衛星通信に対する、放送に対する取っ組み方を抜かしてはいけない。だからそういう意味においてははっきり整理をして、一体国際的にはこうなってくる、国内的にはこうなってくるというプリンシプルを立てて、それに向かって一致協力した体制をとっていくということをやらないと、かってにお互いにのろしを上げているそれぞれの学者がいるでしょう。いまの電波界というものに混乱を与えているので、だからそれをさっき私は監理局のほうに整理をしてもらいたいと、こういうことを言ったので、ユネスコの会議のほうはたいへんよくわかりました。  そこで、これから二億一千万の金をこの予算承認されて研究を進めていくと思うのですが、いま言ったような情勢を十分協会はお考えになって、ひとつ各省とも、あるいは関連の人たちとも十分なひとつ連携をとりつつ有効にこの研究を進めてもらいたい、こういうことを私はつけ加えて、これで質問を終わります。
  125. 田中一

    委員長(田中一君) ちょっと私から伺っておきたいのは、いまの人工衛星の問題ですが、通信衛星と放送衛星とは違うのですか。
  126. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) 国際会議できめております定義に従いますと、全然違います。もう少し詳しく申し上げますと、通信衛星と申しますのは、現在国際間におきまして、あるいは大陸間におきまして、実験なり、あるいはアーリーバードなどを使ってやっておるようなああいう種類のものでございまして、放送衛星というのは、一般大衆が直接受信ができるような、そういうような通信でございます。したがいまして、われわれが国内で各人が受けておるようなそういう放送、直接視聴者が自分でみずからが受ける、こういうものを対象としたものが衛星放送でございます。
  127. 田中一

    委員長(田中一君) そうすると、郵政省予算化しているのはどっちですか。
  128. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) 郵政省予算化しておりますのは、現在のところ通信衛星だけでございます。
  129. 田中一

    委員長(田中一君) もう一つ聞きたいのです。世界で衛星を打ち上げておりますけれども、それがいまいうとおり三つの部署で研究しているなんという国があるのですが、そんなにやさしいものなんですか。それともアメリカなんかでもやはり一つの国策としてこれを打ち上げておるのか、あるいはどこかめいめいたくさん金持ちがいるでしょうから、何かめいめいの事業会社がやっておるのですか。日本の場合はどういう方法でいこうとしておるのですか。
  130. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) お答え申し上げます。大体アメリカの例をとりますと、アメリカの中では実は従来は軍の間で、陸、海、空というような三つの間で盛んに競争的にやっておりましたが、これがうまくないというので、大統領に直属いたしますところのNASAというのをつくりまして、そして国がこれに全面的に当たっております。しかしながら、現在でも軍の中でやはり陸軍なり海軍などで衛星関係の実験はやっております。しかしながら、ほとんど全部のものがNASAという機関でやっているということになります。そしてそれに対する研究ということになりますると、単にいま申しましたようなその機関だけでございませんで、通信会社でATTであるとかRCAであるとか、そのほかたくさんの会社がこういう研究をやっておりますし、それからまた製造会社というのは、非常にたくさんの会社がこれに関係いたしまして、物をつくっておる。そしてまた実験さえもやっております。そのほかの国としては、イギリスは大体国が、イギリスのGPOがこれに当たっております。それからドイツはやはり政府でやっております。イタリアは政府とそれから実際に実験をいたしておりますのは、これはテレスパシオという会社でやっております。それからフランスは政府でやっております。カナダも政府でございます。そのほか最近インドあたりもできましたが、多くのところは政府でやっております。したがって日本は、だからどちらかといいますれば、それが両方、政府と民間とがやっておるというような形態で、ちょうど放送と同じような形かと思います。
  131. 田中一

    委員長(田中一君) 方針としては、国策として国がNASAのように統一して研究しようというような意向はないでしょうか。
  132. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) これは非常に主観がまじるのでございますけれども、人工衛星に関する研究というのは非常に金がかかるということがほかのものと違うと思います。おそらく、特に通信衛星あるいは放送衛星というようなものになりますと、もう一つ加わってくることは金のほかに外国との間の関係が非常に多くなってくるということだと思います。したがいまして、国際関係が出てくるということが一つの特徴だと思います。こういうような面に立ちますならば、やはり国というものが単位でもって国策という面で考えていくことが必要かと思います。ただ一つの問題は、国策というような、国というような非常に何といいますか、イナーシャの大きいものでありますと、どんどん技術が進歩していくという上におきまして機動力がおくれてしまうということもございますので、できるだけ広い分野でもってこれに協力いたしまして推進をするというためには、もちろん民間であるとか、そのほかの学者であるとかいうような部門が、大いにこれに協力してくれるということが必要かと思います。
  133. 田中一

    委員長(田中一君) 最後に伺いたいのですが、ソビエトの打ち上げている衛星は、日本ではこれを利用しようとか何とかという考え方はないのですか。またどこかの民間会社、三つのうちでソビエトのものを使おうという方向はあるのですか。
  134. 上田弘之

    政府委員上田弘之君) ソビエトは大体におきまして、ずいぶん人工衛星に関する研究というものは進んでおるのでございますが、通信衛星に関するものは、実は非常にまああまりに目をくれなかったということがいえると思いますが、最近におきまして、モルニア一号、二号というのが上がっております。現在ではフランスとの間で協力関係を持ちまして、研究をしておるというのが現状かと思います。日本としては、まだそれに参加しようということは考えておりません。
  135. 田中一

    委員長(田中一君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  次回の委員会は、明二十四日木曜日午前十時を予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会      —————・—————