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1966-06-02 第51回国会 参議院 逓信、物価等対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二日(木曜日)   午前十時三十八分開会     —————————————   委員氏名    逓信委員     委員長         野上  元君     理 事         植竹 春彦君     理 事         新谷寅三郎君     理 事         西村 尚治君     理 事         光村 甚助君                 小沢久太郎君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 松平 勇雄君                 谷村 貞治君                 安井  謙君                 久保  等君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 横川 正市君                 田代富士男君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    物価等対策特別委員     委員長         吉江 勝保君     理 事         金丸 冨夫君     理 事         豊田 雅孝君     理 事         木村美智男君     理 事         田代冨士男君                 内田 芳郎君                 大竹平八郎君                 岡本  悟君                 梶原 茂嘉君                 木村 睦男君                 岸田 幸雄君                 塩見 俊二君                 高橋  衛君                 秋山 長造君                 加藤シヅエ君                 川村 清一君                 北村  暢君                 山本伊三郎君                 辻  武寿君                 高山 恒雄君     —————————————   出席者は左のとおり。    逓信委員     委員長         野上  元君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 松平 勇雄君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 横川 正市君                 田代富士男君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    物価等対策特別委員     委員長         吉江 勝保君     理 事                 金丸 冨夫君                 豊田 雅孝君                 木村美智男君     委 員                 内田 芳郎君                 大竹平八郎君                 梶原 茂嘉君                 岸田 幸雄君                 高橋  衛君                 加藤シヅエ君                 川村 清一君                 北村  暢君                 山本伊三郎君                 高山 恒雄君    国務大臣       郵 政 大 臣   郡  祐一君       国 務 大 臣   藤山愛一郎君    政府委員       経済企画庁調整       局長        宮沢 鉄蔵君       経済企画庁国民       生活局長      中西 一郎君       郵政政務次官    亀岡 高夫君       郵政大臣官房長   鶴岡  寛君       郵政省監察局長   山本  博君       郵政省郵務局長   長田 裕二君       郵政省貯金局長   稲増 久義君       郵政省簡易保険       局長        武田  功君       郵政省人事局長   曾山 克巳君       郵政省経理局長   淺野 賢澄君    事務局側       常任委員会専門       員         倉沢 岩雄君    説明員        経済企画庁経済        研究所長     林 雄二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆 議院送付)     —————————————   〔逓信委員長野上元委員長席に着く〕
  2. 野上元

    委員長野上元君) これより逓信物価等対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会委員長の職をつとめます。  それでは、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、郵便法改正に伴って、物価対策特別委員会のメンバーの立場から、郵政大臣並びに経済企画庁長官に若干の質問をいたします。  まず最初に、郵政大臣にひとつお聞きしたいのですが、この法律案については、逓信委員会相当検討は掘り下げられたとは思っております。しかし、いま申しましたとおり、物価対策立場から質問いたしますので、若干重複しているかはしれませんが、その点は御了解願いたい。  まず最初に、総括的に現在郵政省の持っておられる郵便事業会計現状、それと、並びに、今度の郵便法改正による料金引き上げによるところの財源の使途、その点について総括的にひとつ御説明を願いたいと思います。
  4. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 郵便事業会計は、昭和四十年度当初予算を編成いたします際に、すでに一五十六億円の実質赤字を出しております。それは、しかし、持ち越しの財源等を使いまして予算を編成いたしておりますが、実質赤字でありますので、その影響が四十一年度予算に当然まいってきておるわけであります。したがいまして、このたびの料金改定によりまして、初年度、四十一年度二百八十六億、平年度三百六十億という増収が得られるわけでございます。これによりまして、ただいま申しましたように、従来の実質赤字というようなものを補てんをいたしますと同時に、郵便事業といたしましては当然いたさなければならない機械化でありますとか、合理化でありまするとか、郵政審議会からしばしば答申を受けておりますような、そういう点ができませんでしたので、その両者を、一方においては赤字補てんをいたしますと同時に、郵便事業に伴う最低限の必要な改善を加えていく、こういうことにいたしましたのが、郵政事業現状、概況でございます。
  5. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総括的と言ったので、きわめて簡単な内容ですが、今度の郵便料金引き上げによって、初年度二百八十六億、この前に小包料金引き上げ、これは三十億程度だと聞いておるのですが、それは含められて二百八十六億でなくて、それは別ですね。
  6. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 含んでおります。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 二百八十六億、そういうことは総括的に大体わかったのですが、それの大体、機械化とか合理化と言われましたが、逓信委員の方々は十分わかっておるが、われわれはみなそれはわからない。したがって、どういう内容になっているかということと、郵便事業会計特別勘定になっていると思うのですが、その大体、昨年度実情というものを、そういうものを、収入総額のどのくらいになっておるかということをひとつお聞きしたい。
  8. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 機械化状況につきましては、今後の大体、五カ年間の見通しを立てていたしておりまするし、それから郵政事業会計は申すまでもなく、郵便と簡保と貯金、この三つになっておりますが、その四十年の状況、それぞれ政府委員からお答えをいたします。
  9. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 郵便機械化につきましては、人力を基本といたす事業の性質から、相当、限度はございますが、今後五カ年間におきまして、窓口事務改善に資するような窓口関係機械化におきまして、約二十七億円、局内の区分機械等を中心といたします機械類で八十九億円、外勤関係集配運送施設機動化機動車を使っていくということで二十億円等で、百四十五億円を予定いたしております。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それらの問題については十分掘り下げられたと思いますから、その程度で聞いておきましょう。  次に、郵便料金の問題とは直接関係はありませんが、郵政省では郵便事業のほかに、いわゆる貯金簡易保険、こういう事業をやられておりますが、この実は会計実態はどうなっておるか、その点について御質問したい。
  11. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 詳細は政府委員からお答えいたしまするが、簡易保険損益計算は四十年度取りまとめ中でございまするが、差し引きまして、剰余金総額が三十九年度では百七十五億円と相なっております。これらの剰余金は当然法律並びに約款によりまして、受け取り人に分配することにいたしております。また、貯金事業につきましては、これは御承知のとおり、三十六年度までは赤字を続けてまいりましたが、これは国会のいろいろな御尽力をいただき、赤字補てんし得ましたので、その後三十七年から、順次剰余金を出しておりまして、四十年度決算見込みを加えますと、二百九十一億円の剰余金を得ております。これらにつきましては、当然現在のような利ざやが低減しておる状況から考えまして、将来の事業運営のために留保いたしまするとともに、利用者のための今後の人的なり、あるいは設備の面なりでの便益を向上してまいるというほうに使わなければ相ならぬと思っております。幸いに、簡易生命保険年金並びに郵便貯金を通じまして、堅実な動きをいたしております。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の聞いたのは、それもありますが、貯金総額昭和四十年度末で出ておれば貯金総額、それから簡易生命保険契約高、それに伴う実際の掛け金の蓄積した総額、そういう点をひとつ御説明願いたい。
  13. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 四十年度におきます郵便貯金増加額は四千七百八億円でございまして、帳じり資金量が二兆七千億でございます。
  14. 武田功

    政府委員武田功君) 簡易保険の現況につきまして申し上げますと、契約件数は、ただいまのところ大体約四千万件でございます。それから保険金額で申しますと、保有契約高は約四兆でございます。そうして、これに伴いますところの運用原資になります積み立て金は一兆二千億でございます。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 貯金の現在帳じり高が二兆七千億、昭和四十年度貯金高が四千七百八億、保険契約高が四兆円で、保有積み立て金が一兆二千億、これのいわゆる融資と申しますか、運用の状態はどうなっておるか。
  16. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 郵便貯金に関しましては、すべて資金運用部のほうに預託することに相なっておりまして、運用といたしましては、資金運用部に預託する、こういうことが直接の運用でございます。
  17. 武田功

    政府委員武田功君) 簡易保険運用原資一兆二千億は、簡易積み立て金法によりまして、公社、公団、政府事業等、主として財投計画対象になっております対象部分融資しております。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この二兆七千億、これは郵便貯金の性格からいって、一般庶民階級貯金だと思っておるのですが、これが全部資金運用部資金として、いわゆる財政投融資かその他に運用されておると思うのですが、これらを郵政省が還元的に幾らか自己の事業融資をされておるという額は一体どれくらいあるか。
  19. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 郵便貯金といたしましては、直接還元融資というものはございません。
  20. 武田功

    政府委員武田功君) 簡易保険積み立て金から郵政省融資しております額は、四十一年度予算で三十億でございます。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは郵政大臣に聞きますけれども、もちろん郵便事業会計、これは全く事業そのものも別個でありますから、それは一応わかると思いますから、膨大な貯金の二兆七千億というものがすべて政府資金運用部運用をまかして、郵便事業は非常に困っておるという際に、料金引き上げも問題であり、われわれは反対でありますけれども、そういうものを何とか郵便事業融資をするというような道というものはないものですか。
  22. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 郵便事業というものが国の信用を背景とし、そして預金者利益をはかっていくという形において、別の会計を持つことは当然必要なことでございます。ただ同時に、何らかの形で自主的な運用をするということは望ましいことでありまして、実を申せば、このたびの国会にもその一部を加えましたような法律改正も考えてみました。ただ、率直に申しまして、郵便法なり電波法なり放送法なりの改正に着手いたしましたために、そこまでまいりませんでした。自主的な運用を考えるということは、預金者利益をはかりますと同時に、郵便貯金事業その面からも、おのずからそこに限度がございますが、私は考えてよろしいことだと思っております。ただ、これを郵便貯金剰余金を直接に郵便事業そのものに借り入れるというようなことは、当然後年度利用者負担を残すことでありますので、繰り入れということは、すでに会計を別にいたしまして、郵便貯金利用者のための利益をはからなければならないという点から、繰り入れ等はすべきものではないと思います。御発言にありました自主運用の点は将来考えるべき問題もあろうと思います。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その剰余金組み入れとかいう問題は、いろいろ別の議論がありますが、現在郵便事業独立採算制ということで現行もやられておるが、こう逼迫してきた際に、特に、経済企画庁長官おられますけれども、公共料金引き上げというものは指数からいうと〇・一四%という説明がありますけれども、これが現在物価問題に非常に重要な心理的な影響があると言われておるのですね。そういうときに、一応借り入れ金であれば将来またこれを返済しなければならないということはわかっておるけれども、二兆七千億というそういう積み立て貯金総額があるのに、それが一方、政府財政投融資資金運用部資金だけに運用しておるということについては、私は物価問題の立場から解せない。自主的に運用するかどうか、これは別問題です。ぼくの言っているのは、いまの郵政省管轄のいわゆる一つ事業郵便事業会計はこうなっておるんだ、一方、貯金のほうはだんだんと剰余金が上がっておるというか、そういうものは私は別として、剰余金組み入れるということはいま言っておらない。こういう現在非常に物価問題が大きくなっているときに、家計に及ぼす影響は数字から言うと非常に僅少であるけれども、心理的に影響があると思う。これはあと経済企画庁質問いたしますけれども、そういう手段がとれなかったものであるかということを言っておる。これは三百億でしょう、二兆円のうちに、私はどういう経緯になっておるか知りませんが、どれくらいのものか、もっと以上のものを私は合理化なりあるいは機械化にそれを運用しても、私は国民貯金をしておる者は文句は言わないと思う。そういう見解について、郵政大臣はどう思っておりますか。
  24. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は、郵政事業をこれから進めてまいります場合、企業的に経営しなければならないという特別会計法律の趣旨から考えまして、独立採算制というのを堅持しなければ相ならぬと思いまするが、同時に、今後これも局舎改善、ことに集中局というようなものをこしらえていきませんと、利用する側にも、働く人間の側にも非常に不便があります。また不経済なことであります。したがいまして、そういう新しい近代的な局舎を建てるようなことになりますと、本年は三十億でありますが、結局、郵便貯金等から得ております財投によって、その資金は仰いでいかなければなりませず、したがいまして、先ほど政府委員の申し上げました五カ年計画でも、局舎につきましては財投を、これを期待いたしております。私は、郵便貯金というものが郵便従業員の非常な努力によって集められるという事実もよく認めながら、しかしながら、この事業そのものというのは、やはり独立採算というものをもってたてまえといたし、局舎建設等については、これは今後も財投等財源を求めていく、こういう振り分けをすべきだと考えております。
  25. 北村暢

    北村暢君 いま山本委員質問で、郵便貯金剰余金、それから保険関係積み立て金預金部資金融資しているその利子は、一体年間どのくらい入ってくるのか。この点無利子融資されているのじゃないので、入ってくるのじゃないかと思いますが、どのくらい運用利益というものが入ってくるのか、この点をひとつお伺いします。
  26. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 郵便貯金につきましては、四十一年度におきまして千三百億の利子資金運用部からいただくことに相なっております。
  27. 武田功

    政府委員武田功君) 保険積み立て金運用しておりまして、預託ではございませんで、それぞれの運用の際の融資利率によりまして、たとえば六分五厘の融資、あるいはまた、債券部分でございますと七分近くで回っております。なお、余裕金で大蔵省の資金運用部に預託しておりますのは、これは六分です。
  28. 北村暢

    北村暢君 その年間運用利益というものはどのくらい上がってくるのですか。
  29. 武田功

    政府委員武田功君) 昭和三十九年度決算が手元にございますので、それについて申し上げますと、運用収入の中の利子収入が大体七百億で。ございます。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これに関連しますが、常に郵便事業独立採算制である。言いかえれば、公共企業体とまではいかないけれども、やはりそういう運用をされておる。私はそれに異議を持っておる。公共企業体というものについてもいろいろ問題があると思う。政府のやっておるところの専売事業にいたしましても、これは公共事業というけれども、これは税金収入——税収を得るための一つ企業として運用されておる。郵便事業そのものが、たとえば地方公営企業の中に都市交通とか水道とかありますが、郵便事業がそういう独立採算制という公共企業体と同じような運営ということについては、私は異議がある。という理由は、国鉄もそうでありますけれども、これはあと経済企画庁に尋ねますがその利用する範囲郵便事業利用する範囲とは全く異なっておる。具体的に聞きますけれども、郵便——これは第一種、第二種に限りましょう。第三種以降については、特殊な職業あるいはまた業種によって利用されておるから、これは別として、一種、二種の郵便というものは、おそらく日本の、現在総世帯三十五年では千九百万世帯以上あると言われておりまするが、ほとんど私は利用しておると思うのですね。したがって、公共企業体独立採算制というものは、ある限られた国民というものが利用しておるということになれば、あるいはまた、そういう独立採算制という考え方も立つけれども、日本国民がほとんどそれを利用しておるということになれば、ある程度政府財源運用しても私はいいんじゃないかと思うのですね。この点、正確に調査をされておれば——一種、第二種に限った郵便利用世帯が現在何%なのかという調査をされておるかどうか。私は現在おそらく二千百万世帯以上は世帯数あると思うのです。人口は九千八百万と言われておりますけれども、その世帯に割ったら、おそらくどの世帯でも郵便利用されておらない世帯はないと私は見ておるのだが、権威ある当局はどういう考え方でおられるか、これをお尋ねしたい。
  31. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これはおっしゃるとおり、九十六億通の郵便物のうち、六割は一種、二種でございます。したがいまして、六十億通というものが、しかも、現在の五種も印刷信書というぐあいの内容でございまして、したがいまして、国民の各世帯が全部利用しておる種類のものだと思います。ただ、これは政府委員からもまた詳しいことはお答えいたしますが、私どもが実態調査をいたしてみますると、確かに、山本さんがおっしゃるように、全世帯これを使っておる。しかしながら、そのうちで家庭の出す分が、小口の差し出しと大口の差し出しと、これがかなり興味のあるものでございます。実態調査を私のほうでもいたしてみました。二割がいわば家庭の差し出しでございます。八割は大企業とか官庁というものの差し出しでございます。そういう実態から見まして、そうしてまた、これは私自身も独立採算ということについていろいろ検討もいたしてみました。しかしながら、まずもって郵便事業国営といたす——信書の秘密という点もございましょう、おっしゃるように、国民全部があまねく利用するという点で国営といたすという原則は、どこの国でもこれを維持いたしております。そうすると、国営といたしておって独占事業であって、さて今度はその経営の形をどうするかということに相なりまする場合に、私は、実際の家庭と申しまするか、国民個々が使うのはやはり一種、二種のうちで二割程度、八割は大企業なり官庁なり、そうした個人でないものが利用をいたしておるという実情、それから立法例を見ましても、なるほど、アメリカ等で若干一般会計から入れている例はございまするけれども、すべてが独立採算でやっておる。これはやはり利用者負担原則ということがこういう事業については必要なんじゃないか、そのような考え方で、ただいまの企業的な経営という特別会計法の規定、並びに、それに伴いまして現に実施しておる独立採算制のあり方をもって正しいものと考えております。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこに、私はしろうとであるけれども矛盾を感ずるのですね。今度の郵便料金引き上げ内容、資料をいただいておりますが、国民全般利用する第一種、第二種が大幅に引き上げられておる、大量に使用されるところについては、比較的いわゆる優遇、と言うとことばは適当であるかどうか知りませんが、その点が非常に軽く考えられておる。こういう点が国営的な、いわゆる郵政というものは、これはもう、一つの政治、日本の行政ということに見てもいいくらいの事業が、国民全般利用するものについて、引き上げ率が非常にウエートが高いというところに、私は納得ができないのでありますが、この点はどう考えられますか。
  33. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに、今度の料金改定をお願いいたします二種については大体原価、それから、端的に申しまして、一種について相当な収入を得て、三種について五割上げましたけれども、なお上げ幅が狭いということはございます。ございまするけれども、こういう事業をいたしてまいります場合に、一種から四種まで、それぞれを今度各別の特別会計にするわけにもまいりません。郵便そのもの独立採算でいくといたしますならば、そこにはやはり総括原価主義によりまして配付をいたしていくということに相なろうと思います。ただ、三種について現在赤字が出ておる、これについては私も、本年五割上げましたが、将来次第に直接経費はまかなうくらいのところまで持っていくということは考え方として持つべきものだとは考えておりません。私は、現在の総括原価主義によって配付するやり方、これ以外方法もなし、また同時に、こういう郵便事業会計のやり方というものを非常に複雑にするということも考えものであり、いろいろの点から現状を維持してまいって料金をきめてまいりたいと思います。
  34. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 独立採算制のいわゆる考え方というものは、採算ということに重点を置いておられるのでしょう。いまの説明聞きますと、いわゆる一般国民利用しておる封書なり、そういうものについては一応採算はとれておる、それ以上である、採算のとれないものは、これは特殊な業種なり特殊な職業の人が利用しておるということで、その方面には赤字が生じておる、こういうことですね。それが一々別々に取り上げられないから、総括的にこの郵便料金というものは、いわゆる総括的な考え方から独立採算制でこの郵便料金をきめたのだ、こういう点に私は納得ができないのですね。独立採算制でやるのなら、私はそれで徹底してやるべきである。しかし、実際問題でいろいろ政策的にもあると思うけれども、政策的にはあるのだが、第三種には政策的にもいろいろあるから、これは軽く採算を割ってでもやっておるのだということはわかるのだが、それならば、政府はそれだけのものについては、公共性が強いのだから政府財源でまかなったらどうかという立論が出てくると思うのです。あなたの言われることは、一応その辺は筋は通っておるけれども、そういうものを総合して考えると矛盾がある。したがって、私は、政府が金を出すということが前提であるけれども、出されなかったら、せっかく同じ郵政省関係事業をやっておる貯金事業なり保険事業においては、それだけの金があるならば、一時ぐらいは融通してもいい、低利で融通してもいいのじゃないか、むしろ、低利でなかったら、もう無利子でやってもいいのじゃないかという考え方がわれわれ常識上出てくるのですね。そういう矛盾を郵政当局はどう考えておるか、判断に苦しむのです。どうですか。
  35. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに、郵政事業というものは、採算ということと、郵便法一条にある料金をなるべく安くするということ、この両方の調和ということはいつもとってまいらなければいけないことだと思います。それから私自身も、一体、料金の値上げが、改定ができない場合というような、自分で疑問を出しながらものを考えもいたしました。ただ、この郵便事業というのが、近時非常に窮屈な会計を持ちながら、しかしながら、それ自身が一つの長期の展望を持ちながらやっていきますのには、やはり利用者負担という原則で自分で特別会計を維持しているからでありまして、これに他からの、一般会計繰り入れ等によりまして、そうして金の面での補いはつくけれども、他から繰り入れ等をいたしまする場合の、それから起こってくる窮屈さ、こうしたことを考え合わせます場合に、私は、利用者負担という原則を立てていくということ、これが郵政事業として非常に大事なことであります。この方針のほうを重く見て、そして、この際の料金改定をお願いしておる次第でございます。
  36. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは説明されても私は了解できぬのです。できぬのだが、時間の関係あるから、そういうことはすでに掘り下げられて議論されたと思うから言わないけれども、われわれとしては、国民として納得できない。あなたは笑っておられるけれどもね、納得できない。まあ、しかし、時間の関係あるから、納得できないということだけ、はっきり言っておいて、次に進みましょう。  これは次から経済企画庁、物価の問題に関係あるんですが、何回か聞いておるが、もう一回。今度の郵便料金引き上げが二八・八%ですか、小包郵便、これは政令事項になっておるようでありますが、これは一八%と聞いておるんですが、それによっていわゆる家計費に及ぼす、いわゆる消費者物価指数に及ぼす影響についてはどれくらいか。
  37. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者物価指数に及ぼしまする影響というのは、初年度〇・〇五%、平年度〇・〇六%。それから家計費に占めますウェートは、先ほどお話のございました〇・一四%、こういうことでございます。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 物価指数の場合は〇・〇六%、どういうことですか。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ウエートです。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 消費者物価、まあ総理府で家計調査をやって、消費者物価の指数を出しますね。その場合の数字は〇・一四%、それが〇・〇六%ですか。それをちょっと聞いておきます。
  41. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 家計費の調査におきますウエートが〇・一四%、それからCPIに対して〇・〇六%であります。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 CPIに及ぼす影響は〇・〇六%、家計に及ぼす影響は〇・一四%……。
  43. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 家計の中に占める割合です。〇・一四%。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この郵便料金引き上げについてのこの物価指教、あるいはまた、家計に及ぼす影響というのは微々たるものである。まあ国鉄料金引き上げからいうと非常に低いものでありますが、この指数の数字は低いけれども、CPIのとり方は、御存じのように、これはもう私は釈迦に説法ですけれども、結局、この引き上げを受けたものだけの該当に対する影響でなくして、日本の全世帯に対する平均した影響という数字ですね。先ほど私はちょっと郵政大臣に尋ねたのでありますけれども、この郵便利用される世帯の状態、いわゆるこの一世帯幾らの郵便物利用しておるか、こういう点がつまびらかに出ておらないと思うんですが、したがって、私は、この郵便物を多く取り扱っておる家庭については、相当大きな影響があると思うんです。これはまあ国鉄の料金引き上げと同様に、利用者利用者でない者、国鉄の場合には、もう一年ぐらい一つも乗らないというような世帯もありますから、そういう点を見ますると、相当この郵便料金引き上げの問題も、そういう該当家庭なり事業については、相当大きな影響があると思うんですが、それは物価に対しての影響は、特に第三種なんかについては、いろいろ会社あるいは工場あたりで利用しておるところは多いと思うんですが、それらが物価のコストに影響する程度というものについては、経済企画庁はどう考えられておりますか。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) いまも申し上げましたように、物価に対する影響というのは平年度〇・〇六%であります。御質問の趣旨は、たぶんこういうことだと思うのですが、この〇・〇六%という数字は全国平均のものではないかと。で、使用しない人も含まれているので、これがCPIの統計で、すべての物資にそれが同じようなことがCPIで統計がそれは行なわれておるわけです。したがいまして、このCPIの統計だけでもって、個々の生活に対しての影響というものがどういうふうに出ているかということをすぐ判断するわけには私はいかぬと思う。したがって、他の食料にいたしましても、住宅その他にいたしましても、非常に平均の数字からよけいな、まあ心理的にも、負担的にも影響を受ける家庭と、それから、それほどでない家庭というようなものが、ものによっていろいろ違ってくることは、これは当然でございます。したがって、お説のように、郵便料金等が上がりますことは、心理的には、かなり一般的にものが上がったんだという印象を与えますから、なるべくこれは上がらざることが望ましいことでございますけれども、先ほど郵政大臣説明しておられますとおりの現状でございますから、私どもも利用者がこれを負担してもらうのが適当であろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、経済企画庁長官は、まあ閣僚ですから、郵政大臣の肩持ってもらって、郵便料金引き上げが妥当だと言ってもらおうとは思っておらない。この郵便料金引き上げというものは全世帯に割ると、こういうことですね、非常に影響少ないけれども、その利用する範囲においては、相当大量に利用されておる事業があると思うのですね。そういうものが影響すると、それが物価に、まあ生産費のコストにこれがかかってくるから、そういう影響というものについて、経済企画庁はもうそんなもの何もないのだと、たとえば具体例あげますと、第三種の新聞が、実はいなかのほうへ行くと、いわゆる配達を置くことについてはコストが上がるので、郵便利用して郵送されておるのです。それが二円が三円ということで五〇%上がるのですが、そういうものは、これは一つの例ですよ。そういうものはもう新聞料金については何ら影響しないのだと、こういうことになるのかどうかということを聞いておるのです。
  47. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) お話の点、まあ第三種その他の、企業が出します郵便物料金が上がりますと、まあ、おのずからコストが上がってくる、そのコストがそれぞれの企業の製品の価格にどういうふうに反映されるだろうかというお話だろうと思います。で、その点につきましては、一般的に申しますと、商品の価格はまあ需給関係できまってまいります。で、コストが上がった場合に、そのコストを端的に価格に転嫁し得るという保証は一般的にはないわけでございます。そういう意味で、価格に必ず転嫁されるというふうには言いがたいと思いますけれども、一部の業界では、まあ緊急避難としてのカルテルなどもございますし、そういう場合にコストの価格に転嫁できるような感じもなくはございません。それらは原則としては緊急避難的な措置であるということで、健全な競争関係ということを前提にしますと、経費がふえますと、それは賃金なり利潤なり、あるいは地代なりのほうに食い込んでいくのじゃないかというふうに、まあ原理的には言えると思います。ただ、御指摘がありました地方に送ります新聞等の料金が上がりますと、これはそのまま消費者の負担になる例が多いと思います。新聞の部数等、いま正確に記憶はございませんけれども、一世帯あたりとしては、負担し得るのではないかと、そう大きな負担にならない。といいますのは、週刊とか、あるいは旬刊のものが多うございます。そういう意味での比率はそう大きくはないのではないかと思います。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあそう大きくないと言うが、影響することは間違いないですね。特に、私は郵政事業はしろうとですが聞いておきますが、いま農産物価格が非常に問題になっておるわけです。郵便料金のほうから数字を見るとわずかであるけれども、今度の第四種の農産種子、苗木、蚕種等、こういうものについては実は三倍に上げておるんですね。取り扱い量はわずかであるとは聞いておりますけれども、政策的に見て、こういう農産物価格が物価に及ぼす影響というのは相当大きいということは、これはもう経済企画庁長官もテレビ座談会に出て言われておるのを聞いておりますが、そういう際に、これこそ心理的影響といいますか、二円が六円になっておるんですからね。こういう総額からいっても、ほんの1年間郵便事業収入から見ると、全くもう数字の出ないような低い収入であるけれども、なぜ、こういうものを政策的に考えて上げられるのか、この辺の事情をちょっと知らしていただきたい。これは郵政大臣でけっこうです。
  49. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 農産種苗等の送達方法は次第に変わってまいってきております。現在、多く農家その他が利用いたしますのはそれぞれ直接に送達されておりまして、郵便等によりまする分は、現在は主として官庁の関係でありますとか、試験場等で試験的に使いまするとか、中には篤農家で、ごく少ない分量を取るというようなことがございまして、そして、これは全体にそれほどの影響のあるものではないが、いかにも農産種苗はかさばるものでございまして、したがいまして、あまりに原価との差が開き過ぎる、そういうことで改定をいたしたわけでございます。その原価との開きぐあいは、ひとつ郵務局長のほうからお答えいたさせます。
  50. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 農産種苗の料金は、現在百グラム六円でございますが、今回の案では百グラム六円になっておるわけでございます。コストのほうから申しますと、四十一年度の予定原価は四十九円四銭になっております。料金収入は一通当たり平均四円二十九銭でございます。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総額から見てもそれはほんのわずか……。ただ、私は物価問題がやかましくなっておるときに——コストが高いから長い間不合理であったということは、これは第三種でも言えるんですね。その格差は相当違うにいたしましても、同じと言えるんです。そういう際に、そう郵便事業収入に大きい影響のないという際にこれを三倍に上げるんだということは、われわれとしては非常にけげんにとれる。そういう点に、郵政省の係の方の頭の置きどころが私はわからないんですね。そういう点は、郵政大臣は頭がいいかどうか知りませんけれども、そんなに大きい影響のない、年間一億ぐらいですか、ということを聞いておるんですが、二千億程度郵便収入の中で。そんなのをここで三倍に上げるんだというようなことを——特に利用者が非常に限られておるという説明でありますけれども、農産種子とか苗木とか、こういうものが三倍に上がるんだということが心理的にどういう影響をするということを考えられたかどうか。
  52. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 農産種苗につきましては、明治以来相当安い料金でまいったわけでございますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、送達の方法がだんだん変わってきておりまして、総体的に物数もそうふえておらない、総体的には減っている状況でございます。先般の郵政審議会の近代化の答申におきましても、農産種苗につきましては、この送り主、料金負担者が種苗業者で、大体負担能力を相当持っているという判断と、取り扱いの実態がなかなかこれは扱いにくいような形になっておりますことなどからしまして、特別に料金を安くする制度をやめるべきだ、第四種からやめてしまって一種ないし五種にしてしまうべきだというような答申がございましたのですが、その後、料金改定の実際に当たってみますと、一挙にやめてしまいまして相当高い料金に変えますことは、農産物の品種改良等の面から見まして非常に支障があるような情勢がだんだんわかってまいりまして、そこで、残すといたしますれば、どの程度料金にするかということにつきまして、関係方面といろいろ折衝いたしましたが、料金負担が非常にこの価格に影響するようなことでは困ると、その限界はどこらかということなどでいろいろ話しまして、先般、昭和三十六年の料金値上げの際には全然値上げをせずに、二十六年以来据え置かれたというような事情なども考慮いたしまして、率といたしましては高うございますが、六円、三倍になったわけでございます。しかし、関係方面の意見といたしましては、これによって農産種苗の価格に相当大きな影響を及ぼすようなことはないというようなことでございま
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いままで言ったことは この価格がいわゆる消費者物価に影響するかどうかということはもう若干論議済みなんですが、そういうことを言っておらないんですよ。それが心理的にどういうぐあいに支配していくかということを言っておるんですね。そういうことを考えてやられたんだったらよろしい。そういうものを総合判断して上げざるを得ないという結論でこの法律が出されたんだと思います。でなければ、おそらくこの法律案出さぬと思う。出されたけれども、そういう点、われわれとしては納得できないが、これ以上これは追及しません。  次に、経済企画庁に、あとの関連がありますからちょっと聞いておきたいんですが、国民総所得についての計算方法を変えられましたですね。新聞にはその理由を書かれておりましたが、その理由と必要性と、計算方式の変えられた概略を御説明願いたいと思います。
  54. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こまかい点につきましては、あと政府委員から御説明申し上げますが、御承知のように、今日までは、この国民所得総統計が発表されたのは昭和二十八年以来のことでございまして、昔からの推計を基本的にはそのまま踏襲してきたものでございまして、いろいろの点に問題点がございます。したがいまして、経済企画庁では、三十四年、三十六年度国民経済計算調査委員会というものを置きまして、また、三十八年と三十九年度には、国民経済計算審議会を設けまして、その計算の方法を検討を行なったのでございまして、それは審議会の答申にのっとって今回新推計をやろうと、こういうことになったわけでございます。  新推計については、いろいろな特徴がございますし、国連等におきます統計ともできるだけ近づけていくということにいたさなければならぬ点からも、そういう改定をいたしまして、そして統計が十分に整備されてくるということを目途として私ども改定をいたしたのでございまして、こまかい点につきましては、事務局から申し上げます。
  55. 林雄二郎

    説明員(林雄二郎君) ただいま長官からお答え申し上げましたように、理論的な考え方でございますが、どういう点につきまして旧推計から新推計に改められたのかということを、簡単に筋道だけを御説明申し上げたいと思います。  まず第一に、旧推計の場合に、いろいろな部門部門で明らかに推計漏れと思われておったものがかねて指摘されておったわけでございますが、それを今回新たに捕捉いたしまして勘定に入れたということでございます。これは具体的に申し上げますと、どういうものであるかということでございますが、一つは、たとえば労働組合、政党、商工会議所といった民間利益団体がございます。それの消費並びに投資の金額でございまして、それから従来、退職金というものが全然推計されておらなかったわけでございますが、これをつかまえて、捕捉いたしまして新たに加えたということでございます。そのほかにも、こまかいところを申し上げますと、いろいろございますけれども、こういった従来、推計漏れと思われておりますものを捕捉いたしましたということ。  それから推計方法自体を方法論的にも改善をしたということでございます。これは旧推計の場合には、この基準年次が非常に古うございまして、終戦直後のいわゆる非常に変則的な生活をしておりましたそのころの基準年次を使いまして推計をしておったというようなものがたくさんあったわけでありますが、ことに個人消費の部門が多かったわけでありますが、これを改めまして、新しい年次に置きかえた。  それから、ただいま長官の御説明にもございましたが、全般に日本国民所得統計は、国際的な比較が非常に不便であるということをかねて指摘されておったわけであります。国際的には国連が中心になりまして、いわゆる国連方式というものをつくりまして、これを各国に示して、なるべくそれに沿うようにということをやっておりましたようなものを完全に一〇〇%まではまいりませんでしたけれども、おおむね、この国連方式にのっとりまして、その数字をそのまま国際的な比較に耐えられるようなやり方に改めたということでございます。これもちょっと若干具体的なことを申し上げますと、たとえば、従来社宅のようなものが設備投資の中に入っておったわけでありますが、これがどうも実際の概念に合わないということから、これを設備投資から抜き出しまして、これを住宅投資のほうに置きかえたというようなことでございます。  それから、勘定形式等につきましても、完全接合方式と言っておりますが、ちょうど複式簿記の貸し方と借り方に当たるような各項目が、借り方に入れておった項目が貸し方のどこかに出ておるということが完全に判明するように改めたということであります。旧推計の場合にそれが不完全でありまして、適当につくったりしたところがあったのでありまして、どうも理論的にもおかしいということが言われております。  それからもう一つ、情報量を非常に増加させたということでございます。これは実際にその統計を使います場合に、なるべく情報量が多いことが便利であることは申すまでもないのでありますが、今回の改定の機会に、たとえば四半期別に国民所得の推計というものを公表しておりますが、従来四半期別の推計を公表いたします場合に、実質値の、つまり物価の値上がりを公表いたしまして、実質値の季節調整というような数字は出しておらなかったのでありますが、それを今回一緒に計算いたしまして公表するということで、使用者の便をはかったということでございます。  それから、さらにもう一つ、これは非常に大きな点でございますが、以前はこういう国民経済全体の統計と申しますのは、国民所得の数字だけであったわけですが、その後、産業連関表がだんだん実用化されてまいりまして、そういたしますと、両方算定のしかたが違いますので、数字の帳面じりが合わないわけでございます。この点も使用者の側から非常に不便であったということを指摘されておったわけでございますが、今回の機会に、特に産業連関表との数字を合わせるということを非常に心がけまして、おおむね、ほとんど一〇〇%近くというところまで産業連関表と合わせたというような点でございます。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は特別関係ございませんから、聞いておく程度にしましょう。  そこで、なお経済企画庁にこれはお願いしておきますが、若干新聞で資料をとっておるんですが、いま言われた点について、何か資料ありましたら、ひとついただくようお願いしておきます。いいですね。
  57. 林雄二郎

    説明員(林雄二郎君) いろいろ解説の数字がございます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ具体的に聞いておきますが、四十一年度のこれはむろん推計ですが、国民所得総額二十四兆八千八百億という数字が出ておりますが、これは新しい推計によると、どれくらい上がりますか。数字が出ておりますか、それだけ聞いておきます。
  59. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) 四十一年度国民総生産は——経済見通しで申し上げます。数字は三十兆八千五百億という数字でございます。これは新しい推計にした場合、大体どの程度になるだろうかということを試算中でございます。まだ数字が出ておりませんが、大ざっぱな感触を申し上げますと、大体二、三兆円くらい額としてふえるのじゃないかと思います。ただ伸び率としては、そんなに変わらないという感じでございます。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、それは総額における国民総生産の大体一割程度はふえるということですね。三十兆ですから一割程度ふえる。それと対応して国民総支出のほうも大体それほどふえるというのが説明された内容に含まれているわけですね。それによると、国民所得のほうが大体その割合でふえるという計算が出ておりませんね。
  61. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) 新しい方式でどういう数字になるかということをいま計算中でございます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、それに関連して、上がったか上がらぬか、それは別として、国民総所得の関係で「官公事業剰余」という欄があるのですね。持っておられますか、そういう欄がありますね。
  63. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) ございます。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 官公事業剰余の中で、三十七年までは、私のとっておる数字では、ずっと額は上がってきているのですが、三十九年は非常に落ちているのですね。これは官公事業として特殊な事情があったのですか。これは郵便事業との関連からちょっと私はふしぎに思っておるのですが、これはどういうことになっておりますか。三十八年には二千四百三十六億ですか、それが三十九年には一千二百四十億ということで非常に——半分くらいに減っているのですが、この数字は間違いか、また、どういう理由があるか、ちょっと聞いておきます。
  65. 林雄二郎

    説明員(林雄二郎君) これは一つの理由は、国鉄の赤字が非常に多くなったことが原因であると思います。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これにはやはり郵政関係事業も入っておるのでしょうね。
  67. 林雄二郎

    説明員(林雄二郎君) むろん入っております。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、四十年度の見込みは相当上がってきておるが、今度の国鉄の料金引き上げ郵政その他の公共料金引き上げというのを勘案してこの見込みの数字に織り込んでおりますね。四十年度は一千四百億、四十一年度は一千九百億ということで、三十九年よりだいぶふやしておるのだが、そういうものを一応推計してやっているのですね。
  69. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) そうでございます。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、これはどういう計算になるか、実は時間がないから追及しませんが、官公事業剰余というものは、この数字だけ見ると、相当上回ってくると思うのですがね。これらの総合されたものがあるかわかりませんが、表から見ると、国鉄あるいは郵政事業も相当官公事業剰余というものが出てくるようになるのですが、そう判断していいですね。
  71. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) ここに出しました数字は、国会に出しました予算と全部合わしておりますので、観念的にはそういうことになります。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 観念的と言われるが、推計上こういう見積もりをしておられるのでしょう。実態はどうなのか、これは推計だから。
  73. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) おっしゃるとおりでございます。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、ほかの質問者もありますから、私は結論だけ申し上げますが、物価対策立場から立っても、独立採算制という郵政大臣立場からいえば、この郵便料金引き上げということは妥当性を説明されております。しかし、われわれの立場からいって、郵便事業という性格、そういうものから考えて、国民負担、物価の問題から考えて私はやるべきでない。その他の方法、先ほどから申しましたように、あらゆる方法を尽くして、そして、いかないのだということが明らかにされて私はやるべきである。公共性の点については、政府はある程度これは見なくちゃならぬ。政策に織り込んだものまでも料金収入でまかなおうということについては、われわれとしては異議があります。そういうものを考えて、出された今度の公共料金というものについては、その内容もわれわれは矛盾がある。やられる動機について、また方法についても、われわれは異議があるということで、いままで突き詰めてきたわけでありますが、最後に経済企画庁長官に尋ねておきますが、あなたのほうの統計を見ると、そうすると四十年度、四十一年度を比較すると、物価は九%余り上がっております、消費者物価ですが。四十一年度は五・五%で押えるのだという方針でやられておりまするが、昨年度の四十年の一月から五月までの毎月の統計数値の推移と、四十一年、本年の一月から五月までの推移を見ますると、昨年の五カ月間の上昇傾向よりもやや高いような状態が出ておる。この上また郵便料金上げられる、そういうことになると、この指数に出てくる数字はわずかであるけれども、その上がる要因の一因であることは、これは間違いない。そうすると、この五カ月の毎月統計によるこの傾向を見ただけでも、昨年以上に消費者物価は上がるのじゃないかという私は懸念をしておる。政府はどこで言われても五・五%で押えるのだ、三年後には三%に押えるのだと言う。その主張はわれわれは了解いたしますが、はたしてそういうものが現実に四十一年に出てくるかどうかということについて、私は非常に不安がある。郵便料金法律案がいよいよ最終段階になってきておる際でありますから、郵便料金引き上げられた影響というものは少ないけれども、総合的な消費者物価の上昇というものが、政府が言われるような五・五%で四十一年度は押え得る自信があるのかどうか。その実情を率直に私は経済企画庁長官に吐露してもらって、私の質問を終わりたいと思うのですが、ひとつ、答弁のぐあいによってはまた質問を続けます。
  75. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) かねて私どもは五・五%を努力目標にして、できるだけの力を物価問題に注ぎまして、そして、その達成を期するということを申し上げておりますが、現状におきまして、われわれ最大の努力をいたしております。したがいまして、五・五%を見積もりましたときには、国鉄もしくは郵便料金というようなものがすでに予算上の措置として出てまいっておりますので、われわれもそれを念頭に置いておったことは、これはむろんでございます。本年度の物価上昇の傾向を申しますと、昨年は御承知のとおり、四月が三十九年度に対して九・九%ぐらい上がったわけでございまするが、ことしは四・六%の、四十年度に対しては上昇でございます。さらに、まだ全都市が出ておりませんが、東京を見ますと、五月になりまして〇・九%だけ下がっております。したがって、全国がそういう状況でやはり下がってまいりますと、さらに低い地域が出てくるかと思います。問題は、したがいまして、一番上がっております、突き上げの要因でございます野菜等につきましては、今後、比較的夏野菜の状況がよろしいようでございますから、引き続き八、九月ごろまでは、私は十分予定のようにいけると思います。ただ、問題は、その後の秋以降の問題についてわれわれは十分関心を持ってまいらなければならぬことでございまして、したがって、物価を押えていく、また、物価問題に関連します諸般の基礎的要件を極力改善してまいらなければならぬと思っておるのでございまして、ただいま、そういう意味におきまして、流通機構なり、あるいは価格形成の問題なり、生鮮魚介の生産の問題なり、あるいは公共料金等についても、物価問題の懇談会等の率直な御意見を求めながら、われわれとしても、できるだけの努力をしまして、今日のような状況下におきまして、昨年は御承知のとおり、四月から八、九月ごろまでは、四月が高くてだんだん下がってきて七・四%に落ちついたのでございますが、ことしは、初めのスタートがわりあいによろしいものですから、あと上がってはたいへんだということで、われわれも心配をいたしました。そういう意味で、いま申し上げたように、極力努力目標が達成するように、あるいは努力目標を完全実施、それに近いものに最大の力をいたしたい、こういう状況であります。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 言われたように、前年同月から見ると、四月現在では若干ちょっと低くなっているのですね。しかし、傾向線を見ると、私はそうではないと思うのです。三十五年を一〇〇とした総合指数を見ると、傾向は、大臣は努力する、極力努力するということで、ことばじりを濁しておられますけれども、私は、ことしは昨年のような物価の上昇となれば、これは政府に対する不信と申しますか、国会に対する不信も、国民が非常に爆発的になってくると思うのです。これは与野党の別なく、本院においても、物価対策特別委員会を設置されて、各業者なり消費者を呼んでいろいろ聞いたのですが、それほど国会が熱意を示してやったにもかかわらず、昨年とことしは世情の違いはそこにあると思います。それほど国会が熱意を示しても、上がるじゃないか、物価の問題はこれは手を出せないのだということが、私は一つのインフレ傾向になる心理的影響があるということで、質問しておるわけです。経済企画庁長官が物価問題懇談会を開いていろいろ苦労されておることについては、私は敬意を表したいと思いますが、敬意を表することと、実際の問題に対する批判とは別になると思うのです。したがって、今後に問題が残されておりますが、いま言われたように、四月が頂点で、それから徐々に下がるという傾向をたどらなければ、五・五%でおそらくおさまるとは私は思っておらない。われわれにはそういう権限もないから手は打てませんけれども、政府だけが持っている権限ですから、私は十分この点を考えてもらい、しかも、郵便料金引き上げの問題は、若干でも、その要素としては、しかし心理的影響は大きいわけです。先ほどの質問に対する答弁を聞きますと、これが物価に及ぼす影響はきわめて微々たるものである、ほとんどそういうものがないという消極的な答弁ばかりですから、私はそれ自体にも異議がありますけれども、そういう答弁をされていて、今後物価が上がれば、これは一にかかって政府の責任である。また、郵便料金を上げた責任もそこにあると、私はここで強く主張して、私の質問を終わりたいと思います。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと関連して。  経済企画庁長官、もう少しいまの点を具体的に数字で示していただけませんでしょうか。一月一日から米価が上がりましたね。国鉄運賃が上がり、私鉄が上がり、それからいま郵便料金が上がろうとしているのですが、問題は、政府が中期経済計画を一応放棄して、新しい経済計画へといま展望を御検討中だと思います。とりあえず、ことしは七・五%でしたか、四十一年度予算の場合、実質の成長率を見ておりますね。したがって、それとの関連で、公共料金が過去大幅に上がった場合には、必ず物価にはね返っておりますが、そこで今度、具体的にことし米価、私鉄、国鉄が上がって、現在までに諸物価にどういう影響を与えてきているかということが、ごく最近の段階でわかっておりましたら、ぜひこれを示していただきたいと思います。  それから、いま山本委員がおっしゃった、郵便料金が上がってまいりますと、五・五%でほんとうにいくのかどうかという心配も出てくるのですね。政府は物価問題閣僚懇談会、これを調査会に今度かえていくというようなお話でございますけれども、生鮮食料品だけについて今度、総理の、十一月二十七日でしたか、閣議の席上において、特別に対策委員会を設置して、十省の担当官が集まって会議を開くそうですが、生鮮食料品というものはかなり上がっております。けさのラジオあたりですと、多少キャベツが下がりぎみになったというようなことを言っておりますけれども、なおかつ、しかし、現実にはそうではないのです。したがって、なぜ、生鮮食料品の価格安定だけについて、総理はそういうきつい指示を閣議でしたのか。そして、それに対して経済企画庁はどういうふうに受けとめて、十省の担当官の会議を開いて——郵政関係も入るでしょうが、そういうものを持たなければならなかったか、この点もこの際、ぜひひとつ伺っておきたいと思います。その点だけ。
  78. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 数字的には中西局長から一応御説明して、そのあとで私から申し上げます。
  79. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 四十年一月の対前年度同月比で申しますと、一〇五・六であります。総合であります。それから二月が一〇七・〇です。三月が一〇六・一でございます。国鉄、私鉄等も、そのものの値上がりはこの中に入っておりますが、それがどう波及していったかということについてはまだ出ていないというふうに考えております。いままでの数カ年の経験でいいますと、半年以上ずれて物価のほうに影響が出てくるというふうに考えられております。そういう意味で、これからの物価対策というのがなお重要になってくる、かように考えております。
  80. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先般来、われわれとしても、物価抑制のためのあらゆる施策を講じてまいらなければならぬ、それには、やはり各省それぞれ物価の問題について、生産行政の立場とあわせて消費者行政の立場を守って行政を推進していかなければならぬと思っております。そういう意味からいいまして、いち早くそれらの状況をキャッチしていただく必要があり、また、それに対する対策をわれわれともどもに講じていく必要がありますので、そこで、各省専任の——定員は増加いたしませんけれども、専任の物価担当官というものを置いていただきまして、そうして、それぞれ各省の施策の中に責任を持って物価行政というものを進めていただくという体制を整えたわけでございます。したがいまして、今後は、そういう意味におきまして、各省との連絡はむろんのこと、あるいは各省における物価行政に対する情報なり、あるいは、それらに対する対策については、それに対するお互いの考え方をきめて、そうして各省の行政の中でその対策をやっていただく、こういう体制をとったわけでございます。そこで、単に、むろん野菜の値段だけをわれわれが対象にいたしているわけではございません。全般の問題について今後ともやってまいらなければならぬと思います。ただ、野菜が非常にCPIに占めますウエートが大きいものでございますし、それから物価上昇の非常に大きなウエートを占めておりますし、それから一般的に家計に対する影響も非常に大きいものですから、早急にこれらのものに対しては、やはり手を打っていかなければならないということで、生産あるいは野菜の流通という問題について特に力を入れているわけでありまして、野菜の問題だけを物価対策として取り上げているというわけではございません。したがいまして、そういうことを総合的に考えながらやってまいりたいと、こういうことでございまして、従来の傾向からいえば、先ほども申し上げましたように、昨年度年度初めが高くて、年度初めに対前年比九・九%で平均七・四%になったわけでありますから、傾向としては下がりぎみ、ことしは、年度初めについては押し上げの力が少なかったわけでございますが、しかし、今後下半期において、昨年とは逆に上昇傾向になりましては、所期の目的を達成できないものでございますから、この辺から、そういうことのないようにやってまいらなければならぬと思います。私も非常に物価問題を担当しておりまして、非常に面も広いし、同時に、複雑な機構の中の物価問題でございますから、非常にむずかしい問題ではございますけれども、先ほど山本委員のお話もございましたように、これを今日解決してまいらなければ——完全に解決しないまでも、少なくとも解決の方途を講じながら、本年は五・五%、来年は三%ぐらいのところに持っていくことをやってまいらなければ、あるいは消費者物価が、単に家庭生活に影響するばかりでなく、わが国経済に対する重圧となって、インフレ状況にさらに進んでいくことになりますれば、重大問題でございますから、家庭生活の問題とあわせて、そういう問題をよく考えながら、頭に入れながら、私としては努力をしているわけでございまして、責任の重大を感じている次第でございます。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと関連ですから。
  82. 野上元

    委員長野上元君) 他に発言者が残っておりまして、時間が限度がありますから、できるだけ関連質問は一問だけにしていただいて、どうですか、簡単ですか。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 簡単です。大事なことですから、ちょっと私失礼ですけれども、今度の政府の物価安定と経済の安定ということが非常に大きな目標になって、それとの関連で聞いているのですから、だから政府が四十一年度予算を執行する中で、かなり上期に景気回復を考えて施策されているわけですが、それとの関係で物価がどういうふうにいっているかということがわれわれが一番知りたいところなんです。私は、逓信委員会のほうに来てもらえなかったものですから、いま大臣がおられるから聞いておきたいのです。あなたとしては、現段階において、四十一年度予算に伴う政府の大方針というものが大体どういうふうに打ち出されて所期の目的を達成していくのか、それと物価がどうなっているかということの基本的の問題ですから、どうなっているということをちょっと述べていただきたかったのです。
  84. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 景気の動向は、大体御承知のとおり、政府が財政刺激によって景気の立ち直りを考えている。そこで、上半期におきまして、第二四半期までに、例年になく六五%の契約ベース、また、四五%の支払いベースということで財政支出を集中していくという考え方で、対策本部をつくりまして、これを進めていったわけです。この政府支出及び政府の工事量の上半期に集中ということは、相当に効果をあげつつありますし、また、各省ともそれぞれ予算の使い方について配慮されまして、まず目的の方向に進んでおります。これら景気の状況は、したがいまして、まず一応の落ちつきを取り戻して、やや上昇傾向にあるということが言えると思います。ただ、個別的に見ますと、まだ波及効果の及んでいない事業があることはむろんでございます。波及効果は、主として公共事業等をやりますから、それに関連する事業に、たとえば、同じ機械でも土木建築の機械をつくっておるというようなところにはすでに影響が出ておりますが、全部に対してまだ影響が来ておるとは言えません。また、繊維産業のようなものに対しては、まだ効果が出ておりません。しかし、逐次私どもは出てまいると思いますので、まず、景気の動向からいえば、私どもが最近申し上げておりますように、八月ころには一応安定期に入り、もう悪い状態はない。これから景気は一応は安定したかというところまで持っていけると思います。そういうことで民間の方々に安心をしていただいて、民間活動をそのころから少し旺盛にしていただくというようなことでございます。いまのところ、こういう状況であります。  これに関連しまして物価の問題でございますけれども、最近のいろいろな調査を見ておりますと、消費の面につきましても、デパートの売り上げその他等をとってみましても、若干の伸びがございます。したがいまして、消費の面についても、若干の明るさが取り戻されておるということが言えると思います。一方、輸出も引き続き好調でございますから、政府が景気を刺激した結果として、各種の事業がそれぞれ従来の操業率を改善していくことができるといたしますれば、耐久消費財等の問題については、むしろコストが操業率の上昇によって安定してくるわけでございます。こういう状況が現出してくると思います。したがって、その面からの物価突き上げの問題というのは比較的少ないと思います。やはり過去において構造上の問題その他から見ますと、中小企業あるいは農林関係の農産物あるいは畜産物というようなものについては、効果も十分にいっておりませんし、ことに流通過程の問題が非常に大きな問題だと思います。現在私ども一番流通過程の問題について取り組まなければならぬということでありまして、市場のあり方、市場の運営の方法、あるいは市場の配置の状況、あるいは、それに対する流通過程の諸般の対策というような問題について、さらに検討を加えていくことが必要である。一方では、農産物の価格の安定ということと相まって、諸般のものを進めていくことによって、この問題の影響を漸次鎮静化していくということにいま努力しているわけでございます。
  85. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 関連ですから簡単に一つだけ。  先ほど山本委員からの質問がありまして、非常に重要な数字の改定の話がございました。国民所得に関する推計の数字の改定の問題であります。これは実に私は、内容的には国民生活に重大な影響をもたらす問題だというように思います。単なる国連方式に近づけて改正したというようなことでは済まない問題だと思います。それはたとえば、三次防の場合では国民総所得の二%を使う、あるいは東南アジアの開発、低開発国の援助には国民所得の一%を使うということがしばしば言われておるわけであります。したがいまして、国民総所得の推計の数字が何%か上昇することによって、つまり、三次防並びに低開発国への援助の実質の金額が多くなる。この数字の変更によって自然的にもたらされるような形でこれが増大してくるということは、非常に国民生活に大きな影響をもたらすことは言うまでもないことだと思いますが、一体、このような統計の数字を、政治的な観点を抜きにして企画庁が国連方式に改定をするというふうな形でこれがなされて一体いいものであろうかどうか。これが政治のほうにはね返ってきて、いわゆる資金を捻出する場合の基礎として利用されるというような改定を、一体どういうふうに企画庁のほうでお考えになったか、この辺のところをひとつ御説明願いたいと思います。
  86. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 統計を十分整備しておきまして、国際的比較をいたしまして、そうして明らかな実態の上に立って、すべての諸般の施策をいたしますことが一番望ましいことであることは、御了解いただけるところです。ただ、いまお話しのように、たとえば、国民所得の何%というような問題が固定的に現在あるかといえば、私ども、国防費の予算は二%でいいんだという、まだ確たる意見を持っておりません。また、国連等の南北問題に対する日本の援助は、日本国民所得の一%を持っていく、これは国際的にも日本の場合では言われておりますから、そういうことを将来に向かって処置していかなければならぬことは当然でございます。ただ、それが国際的に見まして、日本の数字は基礎が誤ってるという立場に立っているのであるということであれば、国際的信用をむしろ私は阻害するのではないかと思います。そういう意味におきまして、十分政治的にもそういう点は考えてまいらなければならぬ点だと思います。したがって、将来これらのいまお話しのような点について、どういうふうにあんばいしていくかということにつきましては、今後私どもが経済審議会に要請をしておりますこれからの長期の計画の中で、そういうものがどういう位置を占めていくか、また、そういうことを達成するためには、どういうような年月なり、あるいは、どういうような状況に持っていくのかということを考慮しながら、わが国経済としての発展と国民生活の向上というものを今度の経済計画では念頭に置きながらやるわけでございまして、そういうものとあわせ考えていく問題だと思うのでございまして、ただ単に、日本が国連統計と違った数字の基礎の上で二%と言ったって、一%と言ったってどうということないじゃないかという指摘があるものですから、そういう面については、やはり将来国際信用の上からいって、政治的にも直さなくちゃならぬ。ただ、国防費の問題については、必ずしも二%がいいか悪いかという問題について、確たる決定をいたしておるわけではございません。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 藤山長官もあとの用事がありましてお忙しいようでございますから、簡単にお尋ねしたいと思います。  最初に物価の問題でありますが、本来、物価の問題は、不景気であれば物価は下がる、景気になればそれにつれて上がっていくというのが常識とされていたわけです。ところが、最近の傾向というものは、不景気でありながら物価は上昇している、これはもちろん、前池田内閣以来の政府の経済政策あるいは物価政策の失敗ということは火を見るよりも明らかでありますが、それと同時に、物価指数の問題点につきましても、国民大衆を惑わすような面があるのじゃないかと思うわけなんです。そこで、藤山長官は物価問題のお目付役であります。そういう観点からお聞きいたしますが、ある新聞に、いつの新聞であったか、日にちは忘れましたが、佐藤総理と藤山長官がいらっしゃるときに、主婦連の婦人代表の方がおたずねになったときに、昨年の物価値上がりが七・五%となっているけれども、家計簿にあらわれてきた数字というものは、それ以上の数字があらわれてきている、実際、家計を預かる主婦の立場からそのような質問がされたときに、そういうことはないというお答えで、主婦連の方のげきりんに触れたというような記事を見ましたが、それで一つの例をとってみますと、肉類の問題をとりますと、肉の銘柄の対象となっているのは、ロースと中肉の二つじゃないかと思うわけです。そこで、東京都の昨年暮れの肉屋さんのロースの値段を比べますと、先月、百グラム百八十円が二百円になっております。中肉が百四十円から百六十円に、二十円ずつ上がっているわけなんです。ところが、対象になっていない並肉というのは、百円から百四十円、徳用肉は八十円から百二十円、それぞれ四十円ほど上がっているわけなんです。この値上がりの価格からいきますと、調査対象品目というものは、前月比一一%から一四%の値上がりになっているわけなんです。ところが、対象外のものは、実は四〇ないし五〇%の値上がりになっているわけです。だから、もちろん、指数に組み込まれてありませんけれども、この結果をば、あと値上がりの薄いハムであるとか鶏肉というものを全部含めまして、肉類の指数というものは前月比で〇・六%の上昇、このような発表になっているわけなんです。だから、こういう点につきまして、〇・六であると聞いた大衆の人々が、事実はそれに反することである、これが今回の郵便料金にも言えるのじゃないかと思うわけなんです。二八・八%の値上げであると言っても、第一種、第二種を使う人は五〇%、四〇%の値上がりになっている。そういうことから考えまして、物価指数自身の取り扱い方、ここにも物価安定政策を立てていく上において一つの問題点があるのじゃないかと思いますが、物価問題のお目付役である長官にお答えを願いたいと思います。
  88. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価の指数のとり方で、その内容について、こういうものがただいまとられていないのじゃないかというような御指摘もございましたが、詳しいことにつきましては、局長から御説明申し上げますが、そういう点については、われわれも指数を今後やってまいります上において、十分考えてまいらなければならないところでございます。同時にまた、家計に及ぼす影響等につきましても、今日の家庭生活というものが、指数の基本になっております三十五年度でございますから、三十五年度と今日では、だいぶ構成内容が違ってきていると思います。ですから、それらのものをやはり五年目ごとぐらいには改定をして、実際の家庭生活における実情に即したウエートに改めることが必要じゃないかと思います。ただ、今日のように物価問題のやかましいときに、これを急激に改めますと、何か政府が政治的の意図を持って、それが高く出たらよろしいのでございますが、かりに安く出たものがあれば、何か意図を持ってやったようなことにとられがちになるわけでございまして、そういう点についてはよほど慎重にいたさなければならぬと思います。やはり今日のように、急速に国民生活が向上しておりまして、消費物資の内容というものも変わってきておりますから、そういう問題については、やはり生活内容に即したウエートのとり方というものを考えていかなければならぬ。五年目ぐらいにそれは改定するのがいいんじゃないかということで、われわれもそういう心がまえで準備はしておりますが、統計自体ができるだけ国民の皆さん方の実態に即するように、政府の便利ということでなしに、実態に即する、また、実態に即するような統計ができますることが、われわれが施策をやる上においてどこに重点を置いたらいいかということがわかるのでありますから、その点は、私は正直にそういうものを出すべきだと思いますので、お説のとおりだと思います。ただ、いかなるそういう統計をとりましても、先ほど申し上げましたように、家庭によってまた受ける影響が相互には違います。あるいは階層別にもウエートが違ってくるわけでありまして、平均数字だけで、一般の庶民階級がこの平均数字だからいいのだというだけでこれを考えてはならぬということは、物価問題を考えていく上において非常に私どもの注意しなければならないところでございまして、庶民の感情からいえば、数字は従来は幾らだ、わずかだ、しかし、われわれの、自分の家計にはこれだけの大きさの影響があるということは、これは階層別問題にとって、十分な考えを持って対処してまいらなければならぬという心組みでおります。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、今回の郵便料金の値上げの問題でございますが、これに伴って経済上の諸指数における変化というものがあらわれてくるということは間違いないと思うのです。そのあらわれてくる影響が、今後の経済見通しとの関係において、どのようにあらわれてくるかという観点に対するお考えはどうでございましょうか。その点ひとつお聞きしたいと思います。
  90. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 郵便料金の今回の値上げは、私ども、消費者の物価について特に著しい影響を与えるものだとは考えておりません。むろん、個々の御家庭において、はがきでありますとか、封書でありますとかいうものについては、それぞれ量の違いはございましても、使用されるものでございまして、したがって、他の鉄道その他よりも利用者範囲がもっと広いということは言えると思いますが、しかし、それかといって、今日の状況から見れば、私はそれが特に著しく消費者物価の高騰に影響するとは考えておりません。ただ、御承知のとおり、波及効果というものは心理的にも起こってまいりますから、そういう意味においては、十分関心を持ってまいらなければならぬというふうには考えておりますけれども、数字的にはそう大きな影響はない、こういうことでございます。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 いまの長官のお話では、数字的には影響はない。もちろん、数字的に申しますと、第一種、第二種ともに低料金であります。そういう点で数字的には影響ないと思いますけれども、第一種で五〇%、第二種で四〇%も上がっていることを考えていくならば、精神的な影響というものは大きいのではないかと思うわけなんです。だから、影響が少ないから値上げしてもよろしいという、そこの政治姿勢の問題を改めない限り、これは郵便料金の問題のみならず、ほかの諸物価に対しても同じことが言えるのじゃなかろうかと思うわけなんです。対象影響が少ない、金額はこれこれであるから——それじゃならないと思うわけなんです。だから、それでやったならば、いま政府が経済の安定あるいは物価安定のためにとられている問題等においても、私は大きい立場からこれは解決しなくちゃならないと思うわけなんです。そこで現在、佐藤内閣は七千三百億もの赤字公債を発行する方針を立てて、いま順次実施していらっしゃるわけなんです。これになりますと、ますますインフレになって物価が上がってくることは明らかじゃないかと思うわけなんです。すでに一月から三月までに二千五百九十億の赤字公債を売り出されたわけなんでありますが、このようにして対策を講じていらっしゃいますが、それぞれの各省のやり方というものはどういうやり方であるかというと、通産省は、これまで不況対策として、もうたびたび論議されておりますカルテルや操短等の指導に力を入れているわけなんです。ところが、農林省はどうであるかといいますと、価格維持政策の拡充にも進んでやる。今度は、厚生省はどうであるかといえば、クリーニングなどの料金を下げぬようにという行政に力を入れておる。このように、一貫した施策がない政府の姿勢そのものと、それから、いまお話のありますように、一般消費者に影響を与えるような、そういう金額ではないためにという、そういう政治姿勢のところに今日の物価上昇の原因がひそんでいると思う。政府の姿勢自身にあると思うのですけれども、この点、代表として、長官にお尋ねしたいと思うわけです。
  92. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん、先ほど来申し上げておりますように、消費者物価の統計に出てきます数字だけにとらわれて、対策をないがしろにしてはこれは相ならぬことでございまして、物価というものはやはり波及効果も考えてまいらなければなりませんし、あるいは一つのものが上がることによって便乗値上げというような考え方も出てこないとは申せません。ですから、それらのものについて十分な配慮をしながら問題を取り扱っていかなければならぬと、われわれもその点については十分注意をしながら、物価全体の動向について考えながらやっていきつつあるつもりでございます。  で、各省につきましても、それぞれ従来わが国の政治の中で、大体、生活行政あるいは消費者行政というものがなかったわけでありまして、生産需給調整が主たる目的でございますから、各省の従来の傾向からいえば、生産行政を推進していくという立場に置かれていることはやむを得ないことだと思います。しかし、今日、非常に物価の問題が重要になってまいりまして、各省ともみな一つの機運になって、そうして推進するような段階に今日来ております。ですから、物価担当官を置きまして、そうして総合的にこれらのものをやろうということになりましたのも、これはその結果だと思うのでございまして、実は、各省の生産行政をやっておられた方の中に、一人物価担当官というものができて、その方が各省行政の中で、物価の見地から従来のやり方をこういうふうに考え直せというようなことをお話しになることは、物価担当官としては非常に骨の折れる仕事だと思います。しかし、それにもかかわらず、各省大臣もあるいはそれぞれすでに任命を終えまして、そろって出たわけでありまして、そういう状況に各省とも次第になってきておりますので、この際、そういう力を総合しまして、御指摘のようなことの起こらぬように、総合的に全体をまとめて歩調をそろえた、各省で行き違いのないような体制で進めてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 いまの長官の、総合的に今後歩調を合わしてやっていくというお話でございますので、期待をいたしたいと思います。  そこで、本年度政府予算で四兆三千億という金が組まれたわけなんですが、その中で、物価対策予算を調べてみますと、わずか百五十七億円と、このような金額になっております。百五十七億円という金額は、まあ藤山さんも大きい会社を幾つも経営していらっしゃいますが、経営者として御存じのように、これは半期の売り上げにしかすぎないわけなんです。そのような一会社の半期の売り上げ金くらいの金額で、まあ、このような小さな日本でありますけれども、この日本物価対策というものがはたしてこのような金額でなされるものであるかどうか。この点に対しても、いま藤山長官が、いろいろ物価対策の問題に対して心を砕いていらっしゃると思うわけなんですが、私は非常に予算が少ないと思うのです。もっと、これこそ国民生活に直結した部門であるし、力を入れなくちゃならないと思うわけですが、経企庁長官としての率直な御意見をお願いしたいと思います。まあ言いにくい面もあるのではないかと思いますが、遠慮せずにお願いしたいと思います。
  94. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま御指摘の百五十七億というのは、直接、物価安定に関しての予算でございまして、御承知のとおり、今回の物価問題の根源をなしておりますものは、構造上の問題から来ておる部面が多くございます。したがって、それらの構造上の問題を是正することにつきましては、各省においてそれぞれ努力をしておられまして、予算の編成の際にも、そういう考え方のもとに、各省の予算も相当ふやしていただいておることになっておるのであります。それをひっくるめて考えますと、必ずしもそう少ない予算であるとは考えておりません。ただ、今日のような状況下にありましては、事実、物価関係予算百何十億で臨時的に応急の措置をしてまいらなければならぬような場合がございますから、そういうものにつきましては、必ずしも十分とは言えませんが、それらについては、大蔵大臣と予備費の支出ということについて、私としては、ある程度の了解を得ておりますので、なおかつ、緊急に必要な対策につきまして、起こってまいったような問題については、そういうことで対処していきたい、こういうふうに考えております。予算は多ければ多いほどいいことはもちろんでございますけれども、しかし、ただ、それを適切に使っていかなければなりませんものですから、そういう意味で、われわれのほうでは、予算の効率的な運用につとめてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 それでいま、多ければ多いほど予算はよろしいと、これはだれしも思いは一つじゃないかと思いますが、そこで一つの問題点といたしまして、防衛費を少し圧縮して、あるいは圧力団体等によって左右された一部の財源等を持ってきて、真に国民生活を豊かにし、そうして国力を増進していくというものの考え方もあるのじゃないかと思います。いま、各省ともに物価対策に対する予算というものはふやしてもらったとおっしゃいますけれども、防衛費の問題、この問題からするならば、もっと予算はふやせると思うわけなんです。この点に、防衛庁の関係もあろうかと思うのですが、勇断をもって処すると佐藤総理もおっしゃいますけれども、長官のお考えはいかがでございましょうか。
  96. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) わが国が最小限度の自衛力を確保していく、そうして、それが質的に内容を向上さしていくということは、これは私ども、わが国の安全を考えます上において必要なことでございまして、今日の防衛費そのものを圧縮することについて私は考えておりません。ただ、将来、経済計画等を立てまして、将来の見通しをとってまいりますときに、われわれは、今後の経済計画というものが、その題目として国民に奉仕する経済だというスローガンのもとに、ひとつ経済計画をつくっていただきたいということを申し上げて、ただいま審議会にも臨んでおるのでございまして、これから審議会で御決定になりますけれども、そういう点については審議会で十分配慮のもとに、今後の経済を指導し、計画を策定されるのじゃないかと考えておるのでございまして、要は、バランスの問題だと思います。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 いま長官が、要はバランスの問題であるという意味の最終的なお答えをしていただきましたが、そこからちょっとお尋ねしてまいりたいと思うわけなんですが、いま物価値上げに対しましていろいろ施策を講じていただいておると思います。先日の国会で福田大蔵大臣は、物価が上がっても、所得がふえているじゃないか、こういう意味の答弁をなさっております。また、政府当局は、ことしは三千億の減税をしているから、少々物価が上がっても、カバーできるのじゃないか、こういう、一般紙にも、あるいは雑誌にも、このように一般大衆に対してPRされているわけなんです。ところが、三千億の減税の問題を深く掘り下げてみますと、これくらい国民をばかにした減税はないと思うのです。なぜかといいますと、直接、国民大衆のわれわれと関係のある所得減税というものは、このうちの一千二百八十九億円なんで、これだけが所得減税としてわれわれに影響のある金額です。ところが、ことしに入りまして、国鉄料金からいろいろ値上がりになりました。値上がりになることにおいて、はき出さなくちゃならない金額がどのくらいの金額になるか、これは国鉄の料金の値上げで、国鉄の増収というものは、約一千八百億円ぐらいじゃないかと思います。また、一月から消費者米価が八・六%上がっております。これによるところの増収が約六百億円の増収になります。また、今度郵便料金がいま検討されております。まあ推移のほどはまだわかりませんけれども、これを仮定しましてこれが値上げされたと見た場合に、一応仮定の数字でありますが、四百億円ほどじゃないかと思う。また、電信電話料の値上げも近く予定されております、準備されております。この値上げも予定された金額でいきますと、約六百億円の増収が見込まれる。これ以外に健康保険の問題、あるいは各地方におきましては水道料金の問題その他の、こういう公共料金をはじめといたしました一般の値上げを総合いたしますと、政府の増収分というものは約四千億円近くになるのじゃないかと思います。さすれば、われわれの所得減税というものは、ただいま申しますとおりに、一千二百八十九億のこの減税のかわりに、国民のふところから出されなくちゃならないという金が、四千億円抜き取られる、これではたしてバランスが合うかどうかということを私はあえて訴えたいのです。だから、今回の三千億減税というようなこのために、国民生活は豊かになる、とまで申しませんけれども、一時的にはしのげるというこのPRこそは、私はこんなばかにした減税政策はないと思うわけなのです。これは藤山長官お一人の責任ではないと思いますけれども、きょうは幸い御出席していただきましたのですから、政府を代表いたしまして、このことにお答え願いたいと思いますが、ちょうどこれは私はいまの佐藤さんのとられている政策は、まあ、いまはなくなりました大野伴睦さんがいらっしゃいました岐阜で、いまから、ウ飼いというのが始まります、御存じのはずです。ウ飼いというのは、御存じのように、首を締めて魚を食べさすだけ食べさして、あとは全部はき出さすやり方です。これこそはウ飼いの政策じゃないかと思うのです。入れるだけ入れて、それ以上は出すウ飼いよりもひどいと思うのです。この点に対して、どうでございましょうか。
  98. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この前提として、私ども、やはり、国民所得としては対前年度比一〇%前後は逐年伸びてきております。そういう意味からいいまして、私は今回の場合におきましても、むろん、その公共料金を値上げしなければ——値上げしないほうがいいということは、言えないことはありませんが、かりに公共料金を値上げしないで、それを全部公債財源でまかなう、あるいは財政でまかなうということになりますれば、税金でまかなうということになりますれば、これは減税も私はできないと思います。ある程度政府がそういう支出をいたしますこと自身は、貨幣の増発を見ることになりますので、したがって、やはり何と申しますか、インフレを刺激するという道にもつながってまいりますので、ある程度やはり赤字でありますものについて政府が補給するということ自体は、政府赤字財政と同じような効果が景気の上に影響してくるという、こういうことが考えられるわけでございまして、したがって、やはり利用者負担という立場に立って、ある赤字というものはこれは持っていただくことが、その意味からいえば適当だと思います。減税を大きくすることが必要だということについては、お話のように、われわれもできるだけ減税をしていかなければならぬし、今後も減税を大幅にしていかなければなりませんが、必ずしも私はその問題とこれとが、何か非常に関連して、政府がインチキな減税、インチキな説明をしているというわけではないことは、御了承をいただきたいと思います。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、いまの長官の説明ではちょっと不本意なんですけれども、インチキはしていない、もちろん、インチキしていらっしゃるとは思いませんけれども、もっと突っ込んで御意見を伺いたいと思いますが、きょうは時間もおありにならないそうですから、また次回にこの問題についてはお伺いしたいと思いますが、そこで、この物価問題に対していろいろやっていらっしゃいますし、いまの三千億円の減税等の問題もいまお話しいたしましたが、この物価問題に対して審議会とか委員会等、各種の委員会をつくっていただきましたが、この設立するにあたって、大所高所から検討された上にやっていただいておりますが、いままでの経緯を見ておりますと、多少の違いがありますが、一般的に公共料金を値上げ決定したあと物価対策の委員会がつくられているというように受け取られてしかたがないわけです。こういうところこそは、これは反対にいくべきじゃないかと思うのですけれども、この点に対する長官のお考えをお願いしたいと思います。
  100. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ごらんになっておりますと、公共料金を値上げしたあとで物価懇談会をつくって、そうして何か公共料金の問題を避けて通る、政府の上げたものについては議論しない、こういうふうにお感じになったと思いますが、公共料金の問題等を昨年値上げをいたします際に、むしろ、われわれは、将来のこういうものについてのあり方というものについて、やはり再検討をしておくことが一番適当じゃないか、そういうことをやらなければ、やはり将来の問題としてもいろいろ問題があるのじゃないか、そういうことで物価懇談会をつくりまして、各界各層の方においでをいただいて、物価問題の掘り下げをいたしておるわけでございまして、したがって、時期等につきましてはおくれましたけれども、これらの物価懇談会等が、十分そうした問題について独自の立場に立って、これは政府が諮問しておるわけじゃございません、物価懇談会みずからが消費者も労働組合の方も、あるいは学識経験者も入って、みずから問題を取り上げて、そうして政府に進言をし、あるいは建議をされておるのでございまして、その中には、したがって、かなり画期的な、従来の行政に考えられなかった、あるいは考え及ばなかった、あるいは考えてもそういうことが従来のいきさつからできなかった問題に触れておられる答申を私どもいただいておるわけです。そういうこと自体が、いろいろな米価にいたしましても、公共料金の問題にしても、各方面について一つの議論の私は種をまいたと申してはあれですけれども、焦点になったこと、そのこと自体が、私は将来やっぱりこういう問題について政府が施策する上において、そういうことを契機にして、新しいいろいろな角度から御意見が出た、それをどういうふうに、いれるべきものはいれ、あるいは従来の関係、あるいは政府自身の立場に立って判断して、取り入れるべきものは取り入れるということに、各方面の御意見を承った上でやる契機が一つ私はできたと思います。したがって、この問題は当面の物価の問題と同時に、将来のいろいろな問題のあり方を見る上において、非常に効果があるのではないかと思いますので、したがって、直ちにいまの物価をどういう形で押えるかというふうに、物価がどういうことからそういうことになったか、そうして、それに対する政策としてはこうあるべきじゃなかったのか、あるいは、こう将来はあるべきことが必要なんじゃないかというような観点に立ってやっていただいておるのでございまして、そういう意味からいいますと、直接昨年秋以来予算編成を、原案としてつくりました際も、物価問題、公共料金等の値上げにつきまして諮問をいたしたわけではないのでございまして、そういう点、もっと早くつくって、そういうことを諮問してみたらどうだったかということはありますが、しかし、各省にはそれぞれ、郵政省には郵政審議会もございますし、運輸省には運輸審議会等がございまして、また、米価には米価の委員会もございますから、それぞれの立場でそれらの問題については、十分民間の各方面の意見をいれて御決定になるという立場で、ひとつ、そういう御決定の際のあり方という問題についても掘り下げていくというところに御了解をいただきたいと思います。
  101. 田代富士男

    田代富士男君 長官がずいぶん検討していらっしゃるということをいまのお話からも推測できるわけなんですが、この物価問題を解決するということは、これは尋常なことではできないと思います。しかし、だれかやらなくちゃいけない。そのやる人は、私はどう考えても、藤山長官以外にないと思うのです。というのは、私はほめるわけじゃありませんが、藤山さんの過去の経歴から考えるならば、資本家を代表する立場の人です。資本家の意向というものも十二分に御存じなんです。今度は、経企庁というのはどちらかといえば、消費者の利益を代弁する立場じゃないかと思うのです。その立場でありますし、いままでの大臣の経験も豊富でありますし、こういうところから生産者の対策と、あるいは消費者の保護対策との間においてあまりにあき過ぎた断層をどう縮めていくかということが、経企長官の腕の見せどころじゃないかと思うのです。そこで私は藤山さん以外にできないんじゃないかと思いますが、ところが、藤山さん御自身に力がありましても、いまの経企庁自身のあり方というものは、どうであるかといえば、物価政策を総合的に立案されるのが経企庁でありましたけれども、ちょうど終戦後、占領軍を背景に強大な統制権を持っていた経済安定本部時代とは打って変わって、いまの経済企画庁というものは、業界を指導したり、政策の実施について各省庁に対する指令をしたりする権限がないわけなんです。ところが、消費者の利益を代弁する立場にある経企庁に権限がなかったらどうするか。生産者の行政を受け持つ通産省あるいは農林省には、政策実行上の権限が与えられて、消費者自身に対して権限が与えられないということ自身が間違いじゃないかと思うのです。こういう点につきまして、それぞれ改善しなくちゃならぬと思いますが、経企庁自身が権限を持つべきじゃないか。そうするなら、今日の物価安定というものに対しても、何らかの建設的な動きが見えてくることは問遣いないんじゃないかと思うわけなんです。だから、この仕事をやれるお方は藤山さん以外にないと思うわけなんですが、その経企庁のあり方、権限を持つべきであるというわれわれの主張でありますが、これに対する長官のお考えはいかがでございましょう。
  102. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価行政をやっておりまして、各省に関係しておる問題ことごとくがそうだと思います。したがいまして、ある意味からいえば、何か権限があったほうがいいんじゃないかという考え方は、われわれもしないことはありませんけれども、しかし、権限を持ってやりますこと自体が、私は必ずしも適当だと思いません。むしろ、今日のような状況で、各省がその気になっていただくことが私は一番大事なことだと思います。経企庁が権限を持って何か指令をしていき、そのとおりに動けということよりも、各省が、物価問題が実に重大であって、生産者行政とあわせて消費者の立場を考えていかなければならぬという考え方に立っていきますれば、企画庁が必ずしも権限を持たないでも、話し合いのうちにおのずからわれわれの考えを理解していただくということでもって、何か権限を持ってやりますことは、受けられます各省が、ある程度反発感も持つでありましょうし、われ一人えらしというような形で企画庁が独善的になってもいかぬわけでございます。要は、物価問題は非常に政府の行政の中で大事なんだ、そこで、それはないがしろにしちゃいけないのだということを、生産行政を担当していらっしゃる方々に心から考えていただくことが真の目的達成だと思います。したがって、そういう意味において、われわれが努力してまいることは、むしろ、何か各省を権限を持って押えていくよりも、よほど適切な行動がとれるんじゃないかと思います。私どもも、今日権限を持って各省を押えるよりも、各省が心からそういうことになっていただけるようになって、そうして、ともどもやっていくことが一番適当だと、こう考えております。
  103. 野上元

    委員長野上元君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  104. 野上元

    委員長野上元君) 速記を起こして。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 いま時間過ぎたそうでございますが、最後に一問だけお尋ねしますが、景気の上昇と賃金との関係でございますが、この関係につきましては、きわめて函数関係におけるとらえ方というのはむずかしいのじゃないかと思うわけなんです。だから、それは今日の経済の実情ではでき得ないと思う点もありますけれども、まあ、こういう点に対して、景気の上昇と賃金との関係の問題につきましてお尋ねしたいと思うのです。それに関連しまして、郵便物数の伸び率です、これが賃金値上げとの関係でございますが、長期経済見通しが前提となってされなければならないわけなんですが、長期経済見通し、また、安定成長の将来の見通しというものはどのようになっていらっしゃるか、あるいは、どのような適切な措置をおとりになるのか、この点、最後に一問だけお聞きしたいと思います。まだほかにいろいろありますが、ほかは、いま委員長から話がありましたとおりに、次回に回したいと思います。
  106. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 景気の上昇と賃金との問題ということでございますが、御承知のように、一般的な景気が上昇してくれば、ある程度産業関係のもので賃金の負担能力が上がってくると、こういうことも言えると思います。ただ、景気が上昇しても、経営内容が十分でなければ、そのこと自体は達成されないということでもあろうかと思います。今日、日本の賃金の状況を見ておりますと、私どもは、やはり一番影響しておりますのは、賃金の平準化ということが地域的にも業種的にも行なわれておる、にもかかわらず、十分な生産性の向上をして、その上昇された賃金を吸収することのできない事業が、業種的にもあるいは個別的にも見られるのでございまして、それがたとえば物価問題にあらわれてくる、中小企業の製品が高騰する、あるいはサービス業が高騰する、こういうような関係も物価の問題の上には出てまいります。したがって、生産性の向上ができますように、今日まで十分な生産性向上あるいは能率の向上というようなものが達成しておらぬ部面に十分な配意をしていきますことが、国民生活の上からいきましても、また、物価問題の上からいきましても必要だと思います。わが国の賃金というものは、ある程度国際水準に近いものにだんだん近づいていって、そして、それ自体が国民生活の上に影響してくる、向上してくるということは、これは当然望ましいことでございます。ただ、その過程におきまして、いろいろ好況不況がございますから、しかも、好況不況の中で個別的事業を考えてみますと、負担能力のないものもあるわけでございますから、そういうものは好況時になりますまで、ある程度自粛していただくということも望ましいことでございまして、そういう意味において考えられていかなければならぬ、こういうふうに考えます。
  107. 野上元

    委員長野上元君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  108. 野上元

    委員長野上元君) 速記を起こして。
  109. 高山恒雄

    高山恒雄君 長官にちょっと御質問申し上げたいと思いますが、先ほどの御答弁の内容から見て、非常に景気は上昇しておる、こういうことをおっしゃっておりますが、景気の見方はいろいろあろうと思いますけれども、一体、日本の稼働率というのはいまどのくらいになっておるのか。七〇%以下だと私は信じております。したがって、平常滞貨に返るのはいつごろか。滞貨を一年半分くらいかかえておりまして、したがって、平常滞貨に返るのはいつごろか、これが私は問題だろうと思うのです。そこで、そういう不況のときに、いまこの郵便料の値上げをしよう、こういうことですが、企画庁長官は先ほどの答弁の中では、家計には〇・一四しか影響してない、CPIから見ても〇・〇六だと。私は、この数字以外の問題の影響が大きい、これはもう長官も十分御承知だろうと思うのです。そこで、いままでだいぶん国鉄その他の公共料金の値上げをしておられますけれども、この郵便の値上げというのでここにさらに追い打ちをかけるということは、一体、国民の勤労大衆の今日の収益から見て、この物価の騰貴にあたって、国内消費を伸ばすだけの購買力が出てくるのかどうかという点は、一体どういうふうに長官は見ておられるのか。私は、今日は労働者の賃金を押えるという方向を政府はとっておる。一方においては、生産は滞貨をうんとかかえておる。そうして国内の消費は二%ないし三%伸びたということは、私も理解がものによってはできますけれども、総体的に横ばい、そういう横ばいの中で、さらに郵便料金を上げるということになれば、影響がないと言っても、〇・〇六であろうが〇・一四であろうが、私は大きな影響がある、こういうふうに考えるのですが、この点はどうお考えですか、お伺いいたします。
  110. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 景気が著しく上昇したということばはまだちょっと私も使っておらないのです。ゆるやかな上昇になっておるということでありまして、したがって、まあ稼働率の問題も、これは重要な問題でございますが、稼働率の数字というものが非常にとりにくいのでございます。通産省でやっておられますけれども、設備能力がはっきりしないものですから、実はこの稼働率というものがなかなか明確につかめない。しかし、いまお話しのように、昨年あたりはむろん平均しても七〇%以下ではなかったかと、若干落ちたのではないかと思います。ですから、したがって、この稼働率が普通の状態でありますと八十何%ですかまで上がるということには、まだ若干は私は時間がかかると思いますので、そこまで八月ごろにはいくとは申し上げかねます。やはりこれは一年ないし二年の間になってまいらなければいかぬと思います。ですから、過去における国際収支の不況から、金融引き締めをやって景気を押えたというときの回復力とは、今度は状況は若干違っております。過去の統計で見ますれば、すぐに回復しておるのですけれども、今回はそういうふうに年内非常な好景気になるというようなことは予想はできない。また、ある意味から申しますと、今日まだ残っております格差を是正していきます過程におきましては、あまりに過去のような好景気が起こってまいりますと、また大企業、中小企業の格差が出てくるというような問題がございますから、ゆるやかなカーブでもって上昇していくというようなことが起こっていきますことをわれわれはむしろ期待しておるわけでございます。そこで、そういう状況がございますから、数字を見ておりましても、若干ずつ滞貨というものは、指数は減ってきております。したがって、傾向としては望ましい傾向のほうに進んでおりますけれども、しかし、まだやはり昨年来の不況の感じが、先ほども申し上げましたように、全般的に払拭されておらぬわけで、ある業種については払拭されてきておりますけれども、ある業種についてはまだ払拭されていない。そういうことですし、地方的に見ましても、業種の重点的な関西方面の繊維工業の多いところでは、まだそういうふうな状況にはなっておりません。したがって、国民の皆さんも非常に警戒的なところもございます。したがって、預金の金利よりも物価が上がってくるから、預金していたら金利があれだから損じゃないかという一応の議論ができますけれども、わりあいにいま伸びておりまして、物に対する消費というものがそれほど伸びていないということは、これは言えると思います。しかし、物価も安定してくればあれなのと、それからもう一つわれわれが考えておかなければならぬことは、一応今日の国民生活で、ある程度のたとえば物が、衣料にいたしましても、ある程度のものが一応以前と違って各家庭でもたくわえられておる。ですから、これからよほど好景気にならなければ、さらにうんと買い込むというようなことがなくとも、一応の生活ができていくというような状態のところに来ておるように思います。ですから、しんぼうしてなるべく物を買わないでいこうという形もあろうかと思います。ですから、消費が伸びて——所得も若干ふえております。所得も伸びていくことになると思いますけれども、お話しのような面において国民の皆さんも相当警戒的な態度で生活を持っておられるのじゃないかというふうに考えております。ですから、そういう中において郵便料金の値上げというようなものが影響があるのじゃないか、しかも、これは庶民がみんな、たとえば、はがきとか切手というようなものについては端的に使用されるもので、交通機関等と違って郵便はがきとか封書とかいうような多く使われるものにおいては、やはり個人生計費において若干の負担になることは、これは避けられないことだと思います。しかし、全体の傾向から見て、この程度の値上げはやむを得ないのじゃないか、そしてまた、それは吸収できるのじゃないかというふうに私どもは考えておるのでございます。
  111. 高山恒雄

    高山恒雄君 大体わかりましたが、けれども、企画庁だけが、他の省から比較してみて国民の味方であるべき省だと私は考えております。その長官の姿勢ですね、私はお聞きしたいのですが、たとえば、この郵政問題で考えてみて——ここに資料が出ております。これは書状は大体十円を十五円にしようということですね。はがきは五円を七円にしよう。五〇%ないし四〇%の値上げをしようということですね。そうすると、第三種はあまり上げないという、答申ほどは上げない、一円上げるということですか。これを見ますと、大体ここに比較が出ておりますが、第三種の場合は日本は二円です。イギリスが二十一円、アメリカが十円八銭ですか、スイスが八円三十三銭、ドイツが十三円五十銭、フランスが二円十九銭、こういう比較が出ておるように、どこの国でもやっぱり第三種を高くしていますね。イギリスにしてもそうですし、さらにアメリカにしてもそうですし、なおまたドイツもそうです。これは国民大衆のことを考えておるから、やっぱり第三種というものにウェートをかけて、個々のものにはそういうウェートをかけないという方針をとっておるわけです。それが日本の場合は逆だ。こういう逆コースでいくことになれば、結果的には、企画庁はなぜこれを押えないか、私に言わすならば。それで、これは郵政省で、あとで聞きますが、五カ年計画を出しておられます。この五カ年計画を出されて合理化されて、一体どのくらいの収益になっていくのか、人員はどれだけ合理化されるのか、どのくらいの黒字になる予定なのか。それがなくて、企画庁長官、先ほど経営の経験もあるとおっしゃいましたが、ずさんじゃありませんか。こういうずさんな資料の上に立って企画庁長官が賛成されるということには、私は納得いかない。その点をどうお考えになりますか。私は、企画庁のやっぱり姿勢の問題だと、そのため大臣としておられるんだから、公正な立場に立って、大衆のためになる改正なら、そして郵政省独立採算制をとって、将来はかくなる、そして、そこに働く者も、相当の収益も得る、あるいは老後の生活も安定するんだと、こういう方針であるならば私は賛成したいですよ。当然のことです、それは。けれども、一般勤労大衆に大きな迷惑をかけるような施策をとって、大きなものに対しては、答申が出たにもかかわらず引き下げていっていると、これを食いとめることがどうして企画庁ができなかったかという点について、私は長官にお伺いしたいのです。もうお伺いしませんから、ひとつ懇切丁寧に、どういうところでどうなのか、私は御答弁願いたい。
  112. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 料金の決定にあたりまして、郵政審議会においてもその御意向も承りまして、郵政大臣にも……。原則として私はやはり赤字利用者負担でいくべきだと、こういう考え方でおります。先ほど郵政大臣のお話がありましたように、固定的な設備に対しては、これはある程度借り入れ金でやるということが必要だと思いますけれども、赤字そのものについては、これは原則的に私は、やはり赤字を財政で吸収するということ自体がやはりインフレの一つの原因になると。それは金額の大小によって影響力が違いますけれども、そういうものが積み重なってまいりますと、そういうことになる。その点は私の考え方だけでなく、この間も物価問題懇談会で都留重人教授がやはりそういうふうに言って、財政というようなもので負担するということは十分に警戒しなければならぬということを言っておられました。私はやはり大きな意味でいってみて、そういう形にいくべきだと思うのです。したがって、郵政の経常的な赤字利用者負担にするという場合に、内容改善し、あるいは個々の負担金額——パーセンテージについては、いまお話しのように五割と、こういうようなこと、あるいは四割というようなことは非常に高い。パーセンテージからいえば高いというのは、これはお感じになるだろうと思いますが、しかし、絶対額からいえば、私は、大きな影響を与えるのじゃないだろうと。心理的には、ある程度利用者に与える心理的影響はございますけれども、一般物価に占めるウェートはそう大きなものではない。しかも、赤字を解消する収入の大きな部分がそうしたものだとするならば、ある程度それはやむを得ないんじゃないかという立場に立ちまして御承認を申し上げると同時に、物価全体の状態の改善をということが、そのほか全体の向上をできるだけ総合的に押えていくということになってまいると思います。こういうふうに考えて了承したわけでございます。
  113. 高山恒雄

    高山恒雄君 いまの御答弁じゃ満足いかないですよ。私は赤字を解消するということについては、長官の意見に私も賛成します。独立採算制をとる以上はそうあるべきでしょう。しかし、これから——秋あるいは春に、大臣言っておられるのですよ、完全に私は上昇に向かったとは言い切らぬと。これだけの滞貨をかかえているし、しかも、稼働率は七〇%以下だと、こういう不況の事態になぜやらなくちゃいけないのか、不況の状態が見通しもつかない事態に、労働者は賃金も十分上げようと思っても、赤字なら上げられない事態の中で、いままで赤字でしんぼうした、それだから、もうしばらく時期を変えてはどうか、これは企画庁長官の任事じゃありませんかと私は申し上げているのですよ。そうする時期をもっと変える、これは企画庁長官ね、先ほどいろいろ答弁されておられますけれども、私はこれ一番大事だと思う。私は決して反対のための反対はいたしません。赤字なら、当然企業独立採算制を維持するならば、やるべきでしょう。しかし、いつ見通しが立つやらわからぬこの不況の時期に、私はここに追い打ちをかけて、一般勤労大衆が困るような値上げをすべきじゃない、こう考えていますが、企画庁長官の先ほどの答弁では満足だとは思いません。もっと懇切丁寧に、私が納得いくように説明してください。
  114. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話は、もう少し景気が上昇して、郵便物そのものの数がふえてくる、あるいは、そういうふうなことで負担能力も少し増してくると、そういう時期を選んだらどうなのかと、それにもかかわらず、こういう時期に了承したのがいかぬじゃないかということだと思います。むろん私ども、この時期等につきましては、慎重に考慮をする必要がございます。他の物価との関係もございますので、これらの問題については、できるだけ適当な時期を選ぶのが私は必要だという考慮のもとに立ちまして、そうして郵便会計を拝見したわけでございますが、何と申しましても、昨年度すでに六十億近い赤字が出ております。本年はそれは郵便会計の中で処理されましたけれども、本年出ていきますような数百億に及びます赤字というものは、とうていこれは処理できない。従来の試算というか計算では出てこないという立場に立ちますと、本年はどうしてもある時期——いつかの時期には、これを上げていかなければならぬということは、これは経企庁といたしましてはやむを得ないのじゃないかと思っております。そこで、時期等につきましては、やはり四月に上げろという説もございますし、七月に上げろという説もございます。私も初めは、できれば景気上昇の過程でございますから、景気がそろそろ見通しがついた九月にということを考えましたけれども、しかし、各般の事情を総合しまして、七月に改正するのが妥当だという結論に達したわけでありまして、その点につきましては、相当慎重に私どもとしましても考えた上で了承をいたしたのでございまして、決してないがしろにそういう問題をしておったわけではございません。
  115. 高山恒雄

    高山恒雄君 非常に苦しい御答弁をされていると私は思いますが、賛成しなければならぬ、大臣だけ決して一人でがんばってもなかなか通らなかったことだと思うのです。その点は私もわかりますけれども、やはり筋を企画庁としては通していただきたいという考え方を私は持っておりますね。それでなければ、これはこれだけの五カ年計画の高度な計画で、相当な費用を考えれば、これは現在の国民だけがその利益を得るためにやるわけじゃないのです。国債の発行でやって、二十年で償還するとか、あるいは二十五年で償還するとかいう方法があろうと思うのですね。そういうことをやらないで、購買力も少ないじゃないかと言われるほど——すでに賃金は追っかけるようになっている、物価の値上がりは先に進んでいる、こういう時期を私は企画庁長官あたりが十分考えていただかなければ、いかに上がったものの、その物価対策をお考えになっても、これはだめだ、根本を誤っていると私は思うのですよ。こういう点、ひとつ企画庁長官、独自性を持って、自主的な立場に立って、国民の味方となって私はやっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  116. 野上元

    委員長野上元君) 他に御質疑もなければ、本連合審査会はこれをもって終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会は終了することと決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後一時十二分散会