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国務大臣(
藤山愛一郎君) 景気の動向は、大体御承知のとおり、
政府が財政刺激によって景気の立ち直りを考えている。そこで、上半期におきまして、第二四半期までに、例年になく六五%の契約ベース、また、四五%の支払いベースということで財政支出を集中していくという
考え方で、対策本部をつくりまして、これを進めていったわけです。この
政府支出及び
政府の工事量の上半期に集中ということは、相当に効果をあげつつありますし、また、各省ともそれぞれ
予算の使い方について配慮されまして、まず目的の方向に進んでおります。これら景気の
状況は、したがいまして、まず一応の落ちつきを取り戻して、やや上昇傾向にあるということが言えると思います。ただ、個別的に見ますと、まだ波及効果の及んでいない
事業があることはむろんでございます。波及効果は、主として
公共事業等をやりますから、それに関連する
事業に、たとえば、同じ機械でも土木建築の機械をつくっておるというようなところにはすでに
影響が出ておりますが、全部に対してまだ
影響が来ておるとは言えません。また、繊維産業のようなものに対しては、まだ効果が出ておりません。しかし、逐次私どもは出てまいると思いますので、まず、景気の動向からいえば、私どもが最近申し上げておりますように、八月ころには一応安定期に入り、もう悪い状態はない。これから景気は一応は安定したかというところまで持っていけると思います。そういうことで民間の方々に安心をしていただいて、民間活動をそのころから少し旺盛にしていただくというようなことでございます。いまのところ、こういう
状況であります。
これに関連しまして物価の問題でございますけれども、最近のいろいろな
調査を見ておりますと、消費の面につきましても、デパートの売り上げその他等をとってみましても、若干の伸びがございます。したがいまして、消費の面についても、若干の明るさが取り戻されておるということが言えると思います。一方、輸出も引き続き好調でございますから、
政府が景気を刺激した結果として、各種の
事業がそれぞれ従来の操業率を
改善していくことができるといたしますれば、耐久消費財等の問題については、むしろコストが操業率の上昇によって安定してくるわけでございます。こういう
状況が現出してくると思います。したがって、その面からの物価突き上げの問題というのは比較的少ないと思います。やはり過去において構造上の問題その他から見ますと、中小
企業あるいは農林
関係の農産物あるいは畜産物というようなものについては、効果も十分にいっておりませんし、ことに流通過程の問題が非常に大きな問題だと思います。現在私ども一番流通過程の問題について取り組まなければならぬということでありまして、市場のあり方、市場の
運営の方法、あるいは市場の配置の
状況、あるいは、それに対する流通過程の諸般の対策というような問題について、さらに
検討を加えていくことが必要である。一方では、農産物の価格の安定ということと相まって、諸般のものを進めていくことによって、この問題の
影響を漸次鎮静化していくということにいま努力しているわけでございます。