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政府委員(
柴田護君)
企業でございますので、今日の仕組みでは、
他人資本に依存をして
経営をしている。本来、まあ理屈を言いますならば、
一般の
企業と同じように、
自己資本を充実していって、
企業の
基礎を固めていくというのも、あるいは基本的な
あり方かもしれません。しかし、
企業を、
民間会社で言いますならば、社債を発行して、それによって得た
資金で物品を生産をして、これの売り上げによって回収し、そして返済をしていく、こういうことが普通とられるわけでございます。そういうことから
考えますならば、
公営企業の
地方債というのは、いわば社債に類するようなものでございます。社債と
考えていいものだろうと思うのでございます。ただ、しかし、その社債が非常に
コストに影響いたしますのは、やはりその償還年限の問題あるいはまた利率、利子の問題ということが非常に大きく響いてくる。
御承知のように、たとえば百万円の金を借りましても、三十年たてば、三十年償還ということになれば、百万円借りた金を百五、六十万円から百七十万ぐらいにして返さなければならない、まあその利払いというものを何とか軽減をしたい、これが
一つ。それからもう
一つは、減価償却というものの年限と
地方債償還期限というものの不一致、これが
期間的に赤字として出てくるわけでございまして、これをどうするか、こういう問題があるわけでございます。
地方債の分野におきましては、この
二つを、できるだけ
償還期限も
施設の耐用年数に応ずるように延ばすとともに、利率をなるべく下げる、つまり低利、長期の
資金をこれにあてがう、こういうことによって
経営状態は非常に改善されるわけでございます。
そういう
努力を、特に
資本費の大きいものにつきましては
努力を払ってまいりました。しかし、私
どもが
考えておる状態からいいますならば、満足ではございません。こういうことを申し上げたつもりでございます。しかし、それだけではいかぬということも確かでございまして、たとえば地下鉄というようなことを
考えてまいりますると、
資金的なめんどうだけではとてもいかぬだろう。そうすると、地下鉄というものに対するものの
考え方というものを変えてかからなければならぬだろう。言うならば地下における道路だと、この道路の中に軌道が走ってるんだという
考え方をとってまいるべきじゃなかろうか。そうしますと、その部分につきましては、隧道の部分につきましては国と、
一般会計なり、あるいは
企業会計なりの
負担区分というもので、負担制度というものを確立するということになってまいるのではなかろうかと思うのでございます。その方面で
努力をしたのでございまするけれ
ども、いろいろほかとも関連のある制度ということになってまいりますので、問題がなかなか簡単に片づかなかった。そこで、本年度は地下鉄につきましては、従来の利子補給的意味を持つ
補助金というものを、これを倍にして、四億円を八億円にして、この一年を組むことにいたしました。しかし、一年の間にその負担制度につきましては基本的に検討をいたしたい。そうして、少なくとも来年度
予算に間に合うように負担制度の確立をはかってまいりたい、かように
考えておるようなわけでございます。
何も
地方債だけが万能ではございません。しかし、
地方債の合理化という武器も、
企業の場合におきましては非常に大きな
援助武器になると、こう思うんであります。それだけでいきません部分につきましては、やはり国の別途の
援助というものが必要であろうということは
考えておるわけでございます。
ただ、そういうことを
考えながらも、当初私
どもが
考えました線、地方
公営企業制度
調査会の答申の線までいかなかった。これは力及ばずしていかなかったわけでございまして、申しわけなく存じておりますけれ
ども、少なくともそういう方向に一歩前進いたしております。そういうことを申し上げたのでございます。