○占部秀男君 そこで、その
審議の方向の問題なんでありますが、先ほども申しましたように、この期限つきで、もういわば首を絞められた中でこの
審議が行なわれる、こういうことでありますから、したがって、この
審議の方向については、相当政府側としても慎重に考えてもらわなければならない。そうしなければ、この
政令でたな上げされた理由といいますか、たな上げされた効果が少しも、少しもというわけではないけれども、ほとんどないような結果が私は生まれてくるのじゃないかと思うのです。というのは、今度のこの
答申の第一の「
審議の
内容」の中で、この未施行
規定の分についての在籍専従の問題についての労働者側と政府側の意見というものを書いてありますものを見ますと、労働者側の委員は、在籍専従制度の
内容は、労使の交渉によってきめるべきものである。したがって、在籍専従制度についての未施行
規定は不当であって、
法律をもって画一的に規律すべきものではない、こういう意見を出している。ところが使用者側のほうは、同じこの問題について、在籍専従は全廃してしかるべきものであるけれども、わが国の
職員団体の実情等にかんがみて、一定の
制限を設けてこれを認める、これがいいのだ、いわゆる
改正法のそのままがいいのだ、こういうふうに意見が全く対立しているわけです。これをこのままにしておいたのでは、先ほど申しましたように、首を絞められた中で
改正案そのものが押しつけられる、こういう結果になるわけであります。
そこで私は、この問題については、大臣や局長はもうもちろん御存じでありますが、四十年でしたか、いわゆる社会党の河野現副
委員長と自民党の当時の労働部会の会長でありましたか、ILO問題の
調査会長でありました倉石さん、これによって両党間の、いわゆる倉石・河野案という妥協が一時できた。この妥協の中では、三年ごとに専従の更新ができ、従来の例により、所属長の
承認があれば引き続いて更新できるように行政
措置をすることを確認して、いわゆる約束事項として確認しているわけなんであります。また、ドライヤー委員会の、いわゆるドライヤー勧告、これは例の
調査団のドライヤー勧告にも、この問題についてはこういうような勧告が両者に行なわれているわけです。本委員会は、現在三年間に
制限されている在籍専従役員に与えられる法定の許可の期間を、
一般的合意によって延長し得るようにすべきである。——
一般的合意というのは、結局労働者側と政府側との交渉の合意、こういうことだろうと思いますが、延長し得るようにすべきであって、公務員制度審
議会はこの方向で何らかの満足のいく解決を検討すべきことを勧告する、こういうことになっているわけです。
これは結局倉石案というものをまあ認めたというのじゃなくて、その
基礎の上に立って、結局更新できる、こういう点を考えて、こういうことを勧告しているわけです。したがって、政府の
改正案によると、これは更新できない、こういうことになるわけなんですから、この点については、せめてこの線まででも、更新できる線まででも、倉石案程度の線、あるいはドライヤー委員会の勧告の線、この線まででも政府側として歩み寄った
答申の結論を出さなければ、この問題は解決できない。労働者側と政府側とはまっこうから対立しているのですから、やはりドライヤー委員会の勧告なり、あるいはまた、この倉石妥協案なる確認事項といいますか、この線に沿ってやるように、政府側委員の
審議の方向を定めるべきであると、方向づけるべきだと、かように考えるんですが、この点は自治省としてはいかがでございますか。