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1966-03-24 第51回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田 正治君     理 事                 沢田 一精君                 原田  立君     委 員                 小柳 牧衞君                 高橋文五郎君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 占部 秀男君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  永山 忠則君    政府委員        建設省住宅局長  尚   明君        自治大臣官房長  松島 五郎君        消防庁長官    松村 清之君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治大臣官房参        事官       宮沢  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会に関する件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○地方行政の改革に関する調査  (最近の温泉地等における火災事件に関する件)     —————————————
  2. 林田正治

    委員長林田正治君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  初めに、連合審査会開会についてお諮りいたします。  ただいま建設委員会において審議中の交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法案につきましては、連合審査会開会申し出を行なうことといたし、開会の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。さよう決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 林田正治

    委員長林田正治君) 異議ないと認めます。委員長は直ちにこの旨、建設委員長申し出を行ないます。     —————————————
  4. 林田正治

    委員長林田正治君) 地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明をお願いいたします。永山自治大臣
  5. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその内容大要を御説明申し上げます。  地方税につきましては、最近の数次にわたる改正により、地方財政実情を考慮しつつ、極力住民負担軽減をはかってまいったのでありますが、なお個人住民税等について住民負担軽減合理化につとめる必要があると存じます。ただ、明年度地方財政状況を見ますと、国庫予算増加に伴う公共施設の充実、社会保障拡充等のための負担増加地方公務員給与改定に伴う給与費増加等による経費の増高を避けることができないのにかかわらず、最近における経済不況を反映して、地方税自然増収の割合は著しく鈍化する見込みであり、また経済不況国税の減税により地方交付税自然増収も見込まれないため、これら増高する経費を十分にはまかなうことができない状況にあります。このため別途地方交付税率引き上げをはかるとともに、昭和四十一年度限りの措置として臨時地方特例交付金交付する等の財政措置提案しているような次第であります。したがいまして、明年度地方税制改正にあたりましては、このような実情を考慮いたしまして、個人住民税個人事業税料理飲食等消費税等について負担軽減をはかるとともに、固定資産税及び都市計画税負担調整ゴルフ場娯楽施設利用税税率引き上げ等負担合理化をはかることを中心として、所要の改正を行なうこととしたのであります。  次に、以下順を追って、地方税制改正概要について御説明申し上げます。  第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。まず、個人道府県民税及び市町村民税につきましては、負担軽減をはかるため、基礎控除及び扶養控除をそれぞれ一万円、専従者控除青色申告者については二万円、白色申告者については一万円引き上げるとともに、配偶者控除を創設して配偶者につき八万円の控除を行なうこととしました。この各種控除引き上げ等に伴い、個人道府県民税税額控除特例は廃止することとしております。また、障害者未成年者老年者または寡婦についての非課税範囲を、年所得二十四万円までに拡大いたすことにしております。  なお、納税者負担合理化をはかるため、退職所得については、他の所得区分し、退職した年の一月一日現在の住所所在道府県及び市町村課税することといたしました。この場合において退職所得について適用される税率は、現行標準税率一定税率として法定し、その税額は、当分の間、算出税額からその一割に相当する金額控除した額とすることとしております。  次に、法人道府県民税及び市町村民税につきましては、明年度における法人税法改正におきまして、法人税税率の引き下げと法人税額控除を行なうこととされておりますが、これによります法人税割減収を回避するため、道府県民税法人税割標準税率を百分の五・八に、市町村民税法人税割標準税率を百分の八・九にそれぞれ改正するとともに、法人税割課税標準である法人税額は、法人税における税額控除前の法人税額によることといたしました。  第二は、事業税についてであります。まず、個人事業税につきましては、個人事業者負担軽減をはかるため、事業主控除を二十五万円に引き上げるほか、専従者控除青色申告者については二万円、白色申告者については一万円を、それぞれ引き上げることといたしました。  次に、法人事業税につきましては、法人税の取り扱いに準じて、更正の請求をすることができる期間を一月から二月に延長するとともに、いわゆる粉飾決算の場合における更正により減少する法人事業税について五年間繰り越し控除を行なうことといたしました。  第三は、不動産取得税についてであります。不動産取得税につきましては、まず、非課税範囲を拡大するほか、医療施設病棟部門耐火建築物である場合等における課税標準算定について特例を設け、負担合理化をはかることといたしました。  次に、生前贈与により取得する農地及び採草放牧地不動産取得税について納期限を延長するとともに、贈与者または受贈者が死亡したときにはその納税義務を免除することといたしました。  さらに、土地取得後一年以内にその土地の上に住宅を新築した場合において、土地価格百五十万円を限度として適用される不動産取得税税額の減額については、一年以内の期間を二年以内に延長することといたしました。  第四は、娯楽施設利用税についてであります。娯楽施設利用税につきましては、ゴルフ場利用料金実態にかんがみ、ゴルフ場娯楽施設利用税標準税率を六百円に引き上げるとともに、その税収入額の六分の一に相当する額をゴルフ場所在市町村に対して交付することといたしました。  第五は、料理飲食等消費税についてであります。料理飲食等消費税につきましては、宿泊及び飲食料金実態にかんがみ、旅館及び飲食店喫茶店等における料理飲食等消費税免税点金額を二割引き上げることといたしました。また、旅館飲食店等においては任意の心づけを廃止し、これにかえて一定奉仕料料金に含めるようになってきていることを考慮し、旅館及び飲食店その他これに類する場所のうち、一定要件に該当するもので道府県知事の指定を受けたものの奉仕料につきましては、料金の一割以上であり、かつ、公給領収証に記載されているものに限り、料理飲食等消費税課税標準である料金から控除することといたしました。  第六は、鉱区税についてであります。鉱区税につきましては、石油及び可燃性天然ガス鉱区は、その性質上、他の鉱物の鉱区より面積が広大になることを考慮し、その税率現行税率の三分の二に引き下げることといたしました。  第七は、固定資産税についてであります。固定資産税につきましては、土地に対する固定資産税負担均衡化を漸進的に確保するため、現行暫定措置にかえて、昭和四十一年度から、宅地等に対する各年度分固定資産税については、宅地等をその評価額昭和三十八年度分評価額に対する上昇率に応じて三倍未満、三倍以上八倍未満、八倍以上の三段階区分し、その区分に応じて、それぞれ前年度分課税標準額の一割増し、二割増し、三割増し負担調整率を乗じて得た額によって算定した税額限度とする負担調整措置を講ずることといたしました。なお、農地については、昭和三十八年度分課税標準額によって算定した税額限度とする現行据え置き措置を当分の間延長することといたしました。  また、土地に対する固定資産税免税点を三万円に引き上げるほか、土地にかかる昭和四十二年度固定資産税評価については、原則として昭和三十九年度価格に据え置くこととしたしました。  次に、下水道法に基づき公共下水道使用者が設置する除害施設等非課税とするほか、国産中型航空機近代化倉庫一定要件に該当するもの等について課税標準算定特例を設ける等、負担合理化をはかることといたしました。  第八は、都市計画税についてであります。都市計画税につきましては、都市開発促進に資するため、現行暫定措置にかえて、昭和四十一年度から三年度間の各年度分宅地等に対する都市計画税については、宅地等をその評価額昭和三十八年度分評価額に対する上昇率に応じて三倍未満、三倍以上八倍未満、八倍以上の三段階区分し、その区分に応じて、それぞれ前年度分課税標準額の三割増し、六割増し、九割増し負担調整率を乗じて得た額によって算定した税額限度とする負担調整措置を講ずることといたしました。  なお、農地については、固定資産税の場合と同様に、現行据え置き措置を当分の間延長することといたしました。  第九は、電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、一定要件に該当する製氷、冷蔵及び凍結のため使用する電気を非課税とするとともに、産業用非課税品目について新たに揮発油を原料とする酢酸を追加することといたしました。  以上のほか、個人住民税及び個人事業税につきまして、申告書提出期限所得税申告期限に合わせる等、申告手続簡素合理化をはかるとともに、所得税法改正に伴う関係規定整備その他税制合理化のための規定整備を行なっております。  以上、地方税改正につきましてその概要を御説明申し上げましたが、これに伴う増減収額は、初年度であります昭和四十一年度におきましては、個人住民税におきまして二百九十九億円、個人事業税におきまして十八億円、料理飲食等消費税におきまして十七億円、不動産取得税その他におきまして十一億円の減収が生ずるほか、国税改正に伴い三十六億円の減収が見込まれますが、一方、固定資産税におきまして七十三億円、都市計画税におきまして二十九億円、娯楽施設利用税におきまして十七億円、その他の改正におきまして五億円の増収が見込まれますので、これらの増減収額を差し引きずると、初年度におきましては、総額二百五十七億円の減収となります。また、平年度におきましては、国税改正に伴う減収増加等により五首十五億円の減収となるのであります。  以上が地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその大要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 林田正治

    委員長林田正治君) 次いで補足説明をお願いいたします。宮沢参事官
  7. 宮沢弘

    説明員宮沢弘君) 私から補足して概略を御説明申し上げます。  今回の地方税法の一部を改正する法律は、だいぶ大部なものでございますが、内容的に申しますと、大体二つに分かれると申し上げてよろしかろうと思うのでございます。一つは、ただいま大臣からるる御説明を申し上げましたけれども、住民税事業税あるいは料理飲食等消費税についての負担軽減なり、あるいは固定資産税都市計画税についての負担調整措置娯楽施設利用税税率引き上げ、あるいは退職所得を現年課税改正するというような内容を持ちました負担合理化課税合理化、それからさらに賦課徴収の手続の簡素合理化と申しますか、そういうもの、これが第一の分類に属するものでございます。  それから第二の分類に属しますものは、国の所得税法改正に伴いまして、個人住民税なり、あるいは事業税につきまして、御承知のように、これらにつきましては前年の所得税法規定によることになっております。昨年所得税法改正が行なわれましたので、所得税改正に準じまして、規定の内容の整備をはかる必要があったわけでございます。これがいわば第二のグループに属するものでございます。  それから、ただいま申し上げましたのは、内容的に一応分けて申し上げたのでございますが、形の上で申し上げますと、この法案ごらんのように、第一条と第二条に、こういうふうに分かれているわけでございます。法律案で申しますと、第一条でこう参りまして、百二十二ページから第二条になっております。お手元の新旧対照表ごらんの方は、百二十九ページに三段に分けて新旧対照表が出ております。第一条と第二条に分かれております。第一条のほうは、ただいま申しましたように負担合理化調整、そういうようなものでございまして、原則といたしまして、本年度施行、適用、こういうたてまえのものでございます。それから第二条のほうは、退職手当等についての課税に関する規定あるいは申告手続合理化というようなものを含みましたものでございまして、明年の一月一日から施行になる、形式的に申しますと、そういうように第一条と第二条というふうに分かれているわけでございます。以下順次主要な点について補足して御説明を申し上げます。  まず、第一条の関係でございますが、二十三条でございます。法律案でございますと五ページでございますが、新旧対照表でございますと、やはり五ページでございます。ここに「道府県民税に関する用語の定義」というところがございます。法人税についての定義をいたしておるものでございます。先ほど大臣から御説明を申し上げましたように、今回国といたしまして、企業減税の一端といたしまして、資本構成の改善あるいはスクラップ化の促進、合併の助成というようなものにつきまして、法人税について特別の軽減措置をとることにいたしたのでございますが、事の性質にかんがみまして、地方税に対してその影響を与えないように措置をする必要があるという見地から、法人税割りを算定いたします場合の法人税額につきましては、国で税額控除をいたします前の法人税による、こういう意味の規定を二十三条に設けたわけでございます。  それから同じ用語の定義のところで、新たに第六号、控除対象配偶者を加えているわけでありますが、今回の改正によりまして、地方税にいたしましても、配偶者控除の制度を設けることにいたしましたので、それに伴いまして新たに用語の意義といたしまして定義をいたしたわけであります。  それからその次は、法案で申しますと八ページ、二十四条の五というところでございます。新旧対照表でございますと七ページでございますが、個人道府県民税非課税の範囲でございまして、障害者未成年者等につきましては、現行法では、前年の所得が二十二万円を非課税限度としていたのでございますが、この際これを二十四万円に改めるというふうに改正をいたしたいと思っているわけでございます。  それからその次といたしましては、この法案で申しますと九ページから一〇ページに当たるのでございますが、三十二条の関係でございます。新旧対照表で八ページから九ページでございまして、所得割り課税標準に関する規定でございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、国の所得税におきましても申告要件の緩和をいたしておりますので、所得税規定に準じまして申告要件についての緩和をはかったことが第一点でございます。さらに専従者控除限度額、ただいま御承知のように青色専従者につきましては控除限度額は八万円でございますが、三十二条の三項でございますが八万円でございますが、これを十万円に改めたいと思っているわけでございます。それから白色につきましては五万円、四項でございますが、五万円でございますが、これを六万円に改めるという改正をいたしたいと思っているわけででございます。  以下、所得税法規定に準じまして、規定整備をはかっているわけでございますが、次は三十四条の関係でございまして、この法律案でございますと一八ページでございます。新旧対照表は一二ページ以下でございますが、所得控除につきましては、各種の控除をこの際引き上げ改正規定をいたしているわけでございます。新旧対照表で申しますと一四ページでございます。法案で申しますと一八ページでございますが、第五号といたしまして、配偶者控除を設けることにいたしまして、八万円の控除をいたすという規定をいたしております。それから六号といたしまして、一般の扶養親族につきましての控除、これまで三万円でございましたが、これを四万円に改めるというふうに規定をいたしておるわけでございます。それから引き続きまして、その次の新たに加えました第二項でございますが、基礎控除でございます。従前は九万円でございましたが、基礎控除を十万円に改めるという改正規定を加えているわけでございます。それから、なお、先ほど申しましたように、所得税法規定に準じましての規定整備に関するものが続いております。  次に五十一条でございます。法律案で申しますと二四ページ、新旧対照表は二一ページでございます。県民税法人税割り税率でございますが、先ほど提案理由で申し上げましたように、今回法人税率が引き下げられるわけでございますが、これが地方税制に与える影響を回避いたしますために、法人税割り標準税率を改めることにいたしているわけでございます。これが五十一条の改正規定でございます。  それから新旧対照表で申しますと二四ページの上段の十項というところでございます。法案ごらんをいただきますと二五ページの二行目からでございますが、いわゆる粉飾決算に関する規定を設けているわけでございます。先ほど大臣から申し上げましたように、粉飾決算が行なわれました場合は、直ちにこれを還付することなく、五年間の繰り越し控除をしていく国税と同じ仕組みで規定をいたしたいと思っているわけでございます。  大体、以上が道府県民税に関する改正規定のおもな点でございまして、以下七十二条の四、事業税にまいります。法案で申しますと二九ページでございます。新旧対照表は二八ページでございます。で、事業税についての非課税範囲規定が七十二条の四でございますが、いわゆる農業生産法人のうちで農事組合法人一定要件に該当をいたしますものにつきましては、この際事業税非課税といたしたいと思っております。七十二条の四の規定はそれについての改正規定でございます。  それからその次が七十二条の十八でございます。法案で申しますと三四ページ、新旧対照表は三五ページでございます。事業主控除に関する規定でございますが、個人事業を行なう者についての事業主控除現行法は二十四万円を控除をいたしていたのでありますが、二十四万円を二十五万円に改めることにいたしたいと思っているわけでございます。同時に第二項以下におきまして、専従者控除につきましても、その控除限度額を、青色につきましてはただいま八万円でございますのを十万円、それから白色につきましては五万円を六万円に改めるという改正を加えているわけでございます。  それから七十二条の二十三の三、法案では三五ページでございます。新旧対照表で三六ページでございますが、先ほど住民税のところで御説明を申し上げましたように、いわゆる粉飾決算に基づきまして過大申告をいたしました場合の更正についての事業税控除に関する規定を設け、直ちに還付をいたしませんで、五年間繰り越して控除をしていく、こういう規定を設けることにいたしているわけでございます。  事業税につきましては、おもな改正点は以上でございまして、次に不動産取得税にまいります。法案で申しますと四〇ページでございます。新旧対照表で申しますと四五ページでございます。七十三条の四という規定がございます。で、この規定は、用途による不動産取得税非課税規定でございますが、この際、この非課税規定の中に、特定の医療法人が設置をいたします看護婦等養成施設、それから民法三十四条の法人職業訓練を目的といたしますものが職業訓練のために必要な不動産、これを非課税の範囲に加えていきたいと存じております。  それから七十三条の十四、新旧対照表は四十六ページでございます。法案は四十一ページでございますが、不動産取得税課税標準特例に関する規定でございますが、病院、診療所等耐火建築を促進をいたしますために、その病棟部門耐火建築物を新たに取得をいたしました場合におきましては、課税標準特例を設けまして、一定の額を価格から控除をしていくという制度を設けたいと思っているわけでございます。それから、同じ条文の十一項でございますが、防災建築街造成組合組合員が出資をいたしました事業が、新たに完成をいたしまして、土地なり家屋なりを取得いたすわけでございますが、その場合におきましては、出資をした価格というものを新たに取得をしたものから控除をしていくと、こういう課税標準特例措置を講じたいと思っているわけでございます。  それから、次の七十三条の二十四でございます。この規定は、先ほど大臣も申し上げたところでございますが、住宅建設を促進をいたしますために、現行法でございますと、土地取得いたしましてから一年以内に住宅を新築をした場合におきましては、その土地につきまして不動産取得税についての減額措置を講じているわけでございますが、これまでの実態に徴しまして、一年以内というのはいささか実態に合わない、酷に過ぎるという判断をいたしまして、一年を二年に改める、二年以内に住宅を新築した場合には、この規定の適用があるように改正をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。以上が不動産取得税に関する改正部分のおもな点でございます。  次に、娯楽施設利用税でございます。法案で申しますと四三ページ、新旧対照表は四九ページでございます。七十八条の二から始まるわけでございますが、ゴルフ場娯楽施設利用税標準税率は、これまで一人一日四百円ということになっていたのでございますが、これを六百円に改めることに改正をいたしたいと思っております。同時に一百十二条の二という規定をつけ加えまして、ゴルフ場所在市町村ゴルフ場とのいろいろな受益関係というようなことを考えまして、道府県が、ゴルフ場にかかる娯楽施設利用税の六分の一に相当する額をゴルフ場所在市町村に交付をするという規定を設けることにいたしたいと思っているわけでございます。  次に、料理飲食等消費税に関する部分でございまして、百十四条の三の二項でございます。新旧対照表は四九ページの一番最後でございます。法案は、四四ページのまん中からあとのほうに規定をいたしておるのでございますが、いわゆるサービス料につきましては、旅館、飲食店あるいはこれに類する場所で、道府県知事が指定いたしましたものにおける宿泊なり飲食あるいはその他の利用行為というものに対しまして課するサービス料につきましては、そのサービス料が一〇%以下のものであります場合におきましては、サービス料について一定の条件をつけまして、これを課税の範囲から除いていく、非課税にする、こういうふうに考えておりますが、それに関する規定が第二項でございます。  それから百十四条の四でございます。これは飲食店等における免税点に関する規定でございます。現在五百円が免税点でございますが、これを六百円に改めるというふうにいたしたいと思っております。  それから百十四条の五でございますが、旅館における料理飲食等消費税免税点、現在は一人一泊の料金が千円以下である場合、料理飲食等消費税を課さないことにいたしておりますが、これを二割引き上げまして、千二百円にいたしたいと思っております。  それから、その次が鉱区税でございます。百八十条でございまして、新旧対照表では五一ページ、法案でございますと四五ページから四六ページに出ております。鉱区税につきましては、石油と天然ガスが、その性質から申しまして、通常の鉱物に比べまして比較的広い鉱区を必要とするというようなことにかんがみまして、これら石油と天然ガスの鉱区税につきましては、その税率を通常の税率の三分の二にいたしたいと、こういうふうに改正規定を加えているわけでございます。  次に、二百九十二条以下、新旧対照表は五二ページ以下でございます。法案は四六ページ以下でございますが、これは市町村民税につきましての改正規定でございますが、ただいま御説明を申し上げました道府県民税に関する改正規定と内容は同じでございます。たいへん長く条文を書いておりますけれども、現在の地方税法のたてまえが、各税目を分けまして同じ記述をいたしております。同様な規定を設けているわけでございます。定義でございますとか、各種控除引き上げでございますとか、あるいは非課税範囲の拡大、専従者控除というようなものにつきまして、道府県民税と同様な規定を設けておりますので、省略をさせていただきたいと思っております。  次が、法案でございますと七一ページでございます。新旧対照表でございますと七八ページ以下でございますが、固定資産税についての非課税の範囲でございます。これにつきましては、下水道の除害施設等、ここに掲げております幾つかのものにつきまして、新たに非課税範囲に加えていきたい。三百四十八条の二項以下に幾つかのものを加えることにいたしているわけでございます。  それから、ただいまのは非課税規定でございますが、次に、固定資産税についての課税標準等の特例規定でございます。三百四十九条の三でございます。新旧対照表は八一ページ以下でございます。法案は七三ページ以下でございますが、これにつきましても、十八項に、地方鉄道法なり軌道法の規定によりまして、地方鉄道業者等が河川工事、その他公共の用に供される特定の水域にかかる事業、それによりまして工事をいたしまして、新たに資産を取得をいたしました場合には、それについて課税標準特例規定を設けることにいたしたわけでございます。  それからその次は三百五十一条でございます。新旧対照表は八五ページでございますが、法案は七四ページでございます。固定資産税免税点でございまして、現在固定資産税免税点土地は二万円でございますけれども、これを三万円に引き上げるという改正規定をいたしております。  それからその次に電気ガス税、四百八十九条でございます。電気ガス税非課税の範囲に新たに揮発油を原料とするさく酸を加えるという改正規定をいたしております。  それから同じく四百八十九条九項に、特定の製氷施設あるいは冷蔵凍結のために使用するコールド・チェーン対策というような見地から、これについて非課税規定を設けているわけでございます。  それから附則の六項及び七項を削っております。新旧対照表でございますと九〇ページでございますが、法案でございますと七七ページの二行目に書いてございますが、これは先ほど提案理由で申し上げましたように、個人道府県民税につきまして、昭和三十七年に国税から、所得税から道府県民税に税源移譲をいたしました。その際に税額控除の制度を設けたわけでございます。青色申告者につきましては一人四百八十円、それから白色なり扶養控除に該当するなり、あるいは十五歳以上の扶養者というようなものにつきましては、これに二百四十円税額控除の制度を設けて今日に至ったのでございますが、今回道府県民税市町村民税等につきまして控除引き上げを行ないますので、この際道府県民税についての税額控除規定を廃止をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それからその次が固定資産税負担調整に関する部分でございまして、法案で申しますと、八〇ページでございます。新旧対照表で申しますと一〇〇ページでございます。第二十九項以下が今回の固定資産税負担調整に関する規定でございます。で、二十九項は用語の定義をいたしております。それから三十項が、今回の改正の実体的な内容でございまして、御承知のように、新評価が旧評価に比べましてかなり高くなってまいりましたので、負担調整措置を講じながら、新評価に近づけていくという措置をこの際とっていきたいと思っておるわけでございます。そこで三十項に表がございますが、旧評価に比べまして新評価の上昇の割合を三倍未満、三倍以上八倍未満、八倍以上というように区分をいたしまして、三倍未満につきましては前年の税額の一・一、三倍から八倍までは一・二、八倍以上は一・三を限度といたします固定資産税についての負担調整措置を講じたいというふうに考えているわけでございます。三十項はそれに関する規定でございます。  それから三十一項は、農地につきましては、その特殊性にかんがみまして、昭和三十八年度、いわゆる旧評価でございますが、三十八年度の税額を据え置くという措置をとることにいたしたわけでございます。三十一項はそれに関する規定でございます。  それから三十二項以下は、前年度分固定資産税課税標準額、この改正法のたてまえといたしまして、前年度分固定資産税課税標準額というものを基礎にして、各種の規定をいたしているわけでございますので、前年度分固定資産税課税標準額とは一体何を言うのかということを、いろいろな場合に応じまして定義をいたしているわけでございます。三十二項以下、ずっとそういう定義に関する規定を設けているわけでございます。  それから四十一項でございます。法案で申しますと九四ページでございます。新旧対照表で申しますと一〇七ページでございますが、これは、昭和四十二年度の土地の価格の特例に関する規定でございまして、昭和四十二年度は、ただいまの地方税法のたてまえによりますると、基準年度に該当をいたしまして、新たに資産、土地の評価をいたします年度に当たるわけでございますが、今回負担調整措置を講じまして、これが比較的長期にわたって負担調整をはかっていく、こういうたてまえに立っておりますので、原則といたしまして、昭和四十二年度につきましては、土地について基準年度ではございますけれども、新たに評価をいたさない、こういう規定を設けておりますのが四十一項でございます。ただ一律に新たに評価をしないというわけにもまいりませんので、四十一項にただし書きがございまして、ここにイ、ロ、ハということを掲げてございますが、こういうような事情のある土地につきましては、新たに評価をし直す、端的に申しますと新たに評価をし直す、こういうことにいたしたいと思っているわけでございます。それ以外のものにつきましては、昭和四十二年度は原則として評価をいたさない、こういうたてまえのものが四十一項の規定でございます。  四十二項以下は、読みかえ規定等、技術的なものを掲げているわけでございます。  それから次に四十八項でございます。法案は一○一ページ以下でございます。新旧対照表は一一二ページ以下でございますが、これは都市計画税についての特例でございます。で、これまで御説明を申し上げましたのは、固定資産税についての特例規定でございますが、以下都市計画税に関する特例規定を設けております。都市計画税につきましては、四十八項以下に、四十一年度から昭和四十三年度まで三カ年間において負担調整措置を講じていく、こういう考え方をとっているわけでございます。で、ここに固定資産税と同様な表を掲げてございますが、やはり従前の評価に比べまして新評価の上昇率の区分に応じまして三段階に、三倍未満、三倍以上八倍未満、八倍以上、三段階に区分いたしまして、それぞれ一・三、一・六、一・九という負担調整率をかけましたものを限度といたしまして税負担を求めていく、こういう考え方でございます。  それから四十九項は、固定資産税の場合と同様都市計画税の場合におきましても、農地につきましては、三十八年度分課税標準額に基づきます税額というものをたてまえとして据え置く、こういう考え方のもとに規定をいたしているわけでございます。  五十項以下は、固定資産税と同様に、前年度分都市計画税課税標準額というような定義、概念を明確にいたしますための規定を設けているわけでございます。  次に、五十八項でございます。法案で申しますと一一三ページ、新旧対照表は一一八ページでございますが、五十八項以下におきましては、今回の負担調整措置に伴いまして、土地課税台帳等に登録すべき事項につきまして特例規定を設けているわけでございます。これが五十八項、五十九項、六十項というようなところに規定を設けているわけでございます。  それから次に、法案で申しますと一一六ページでございます。新旧対照表は一二五ページ以下でございますが、七十七項でございます。これは林地の交換分合がございました場合に、その交換分合が政府の補助を受けまして市町村なり森林組合が行なうあっせんによって行なわれました場合におきましては、不動産取得税課税標準特例を設けることにいたしているのでございます。従前持っておりましたものを新たに取得したものから引いていく、そういう特例を設けたいと思っているわけでございます。  それから七十八項は、葉たばこの乾燥施設につきまして、共同利用される施設、こういう場合におきまして、日本専売公社から補助を受けてそれを取得した場合には、補助金相当額を価格から控除をしていくという課税標準特例に関する規定でございます。  それから七十九項でございますが、農地の生前贈与、御承知のように国税におきましては、贈与税について納期限の延長の措置がとられているわけでございますが、不動産取得税につきましても、贈与税の納期限の延長を受けるものにつきまして、贈与税の例によりまして、不動産取得税納期限を延長することにいたしたいと思っているわけでございます。七十九項以下はそれに関する規定でございます。  それから八十三項でございます。八十三項は航空機に対して課する固定資産税についての特例でございまして、国産機奨励というような見地から、特定の要件に該当します航空機につきましては、固定資産税についての課税標準について特例規定を設けることにいたしております。  それから八十四項は、営業用倉庫についての固定資産税都市計画税特例でございまして、一定要件に該当をいたします近代的な施設を持っております倉庫につきましては、課税標準特例といたしまして、五年度間課税標準を二分の一として算定をする、そういう規定を設けることにいたしているのでございます。  それから八十五項でございますが、これは農山漁村等におきまして農業協同組合等が電気供給事業をやっているわけでございますが、いろいろやはり施設、経営等に問題がございます。これを一般電気事業者、九電力でございますが、一般電気事業者に引き取ってもらいたいという要望がきわめて強いのでございますけれども、なかなか一般電気事業者のほうもいろいろな事情から引き取るようなところまでいっていないというようなところが実情でございますが、この際、一般電気事業者が農林漁業団体等からそういう施設を取得をすること、引き取りを奨励をするというような見地から、固定資産税についての特例規定を設けることにいたしているのでございまして、そういう承継と申しますか、引き取りがございました場合には、一定の期間、固定資産税につきまして特例を設けることにいたしているわけでございます。それが八十五項でございます。  以上が第一条に関する御説明でございます。  第二条は、先ほど申し上げましたように、内容といたしましては退職所得の現年課税に関する規定、それから申告手続の簡素化等、賦課徴収についての簡素合理化に関する規定がそこのおもな内容となっているものでございます。  まず法案で申しますと、一二六ページでございます。新旧対照表ごらんをいただきますと、一三七ページでございます。これは個人道府県民税につきまして、申告がただいま毎年三月二十日までに申告書を提出をする、こういうことになっているわけでございますが、所得税が御承知のとおり三月十五日でございます。かねてから各方面からいろいろ要望もございまして、この際、申告手続合理化するという見地から、所得税等、国税に合わせまして、三月二十日を三月十五日に改正をいたしていきたい、こういうふうに思っておりますが、これが四十五条に関する規定でございます。  それから五十条の二以下、法案で申しますと一二八ページ以下でございますが、これが退職所得課税特例に関する規定でございます。退職所得をほかの所得と区分をいたしまして、退職所得の支払いを受けるべき日の属する年の一月一日現在の道府県、ここは道府県民税でございますので道府県でございますが、市町村民税も同様な規定を設けているわけでございますが、道府県市町村において、ほかの所得と分離して課税をするという基本規定が五十条の二の規定でございます。  五十条の三の規定は、その場合の課税標準でございますが、課税標準につきましては、現在退職所得課税標準は、国の場合と同様に勤続年数に応じまして一定控除をいたしまして、それを二分の一にする、これを課税標準にいたしているのでございますが、課税標準につきましては従前と同じに考えているわけでございます。それから分離課税にいたします。これは特別徴収ということにいたしたいと思っておりますので、税率一定する必要がございます。そこで五十条の四の規定で、退職所得にかかる所得割り税率は、通常の道府県民税税率と同じく百五十万円以下の金額では百分の二、百五十万円をこえる金額では百分の四と、こういうふうな規定を設けているわけでございます。  以上が退職所得に関する道府県民税についての基本規定でございますが、市町村民税につきましても同様な規定を設けているわけでございます。ただ、御承知のように、税率道府県民税市町村民税と違っております。法案でございますと一四〇ページをごらんいただきます。新旧対照表で申しますと一五五ページから一五六ページにかけてでございますが、市町村民税の場合におきましても、やはり税率一定にする必要がございます。各市町村によって税率を異にすることは適切でございませんので、一定税率による必要がございますので、分離課程の場合における所得割り税率を三百二十八条の三に規定を設けているわけでございます。通常の市町村民税標準税率をここで一定税率といたしたいと思っております。以下、市町村民税につきましては、退職所得につきましての徴収関係規定を設けているわけでございます。  それからその次が、法案で申しますと一五七ページをごらんをいただきたいのでございます。新旧対照表で申しますと、一六九ページでございます。  七百三条の三の改正規定でございますが、これまで国民健康保険税につきまして、退職所得課税標準の算定の基礎になっていたわけでございますが、退職所得の性質から申しまして、かねていろいろ議論があったわけでございます。それから、今回、退職所得につきましては、ほかの所得と分離して課税をするという改正をいたしますので、国民健康保険税につきましては、退職所得課税標準から落としていくという改正を行ないたいと思っているわけでございます。七百三条の三は、それに関する規定でございます。  それから次に、法案で申しますと一五八ページでございます。新旧対照表は一七二ページの八十八項で規定がございます。これは退職所得につきましての道府県民税にかかる規定でございますが、先ほど申しましたように、退職所得税額を算定をするわけでございますけれども、これまで翌年課税でございましたものを、この際現年課税に改めていくわけでございますので、そういう点も考慮いたしまして、これまで申し上げましたようなやり方で算定をいたしました税額から、当分の間、そう一割を税額控除をしていく、こういう制度を設けたいと思っているわけでございます。それが八十八項の規定でございます。  同じような市町村民税にかかる退職所得についてのやはり税額控除規定が九十一項にございます。同様の趣旨でございます。  それから八十九項でございますが、これは、退職所得につきましては特別徴収という制度によっていくわけでございますので、現実に税を特別徴収いたします法人等につきましては、その手続を簡素化いたしますために、簡易税額表を設けたいと思っているのでございます。その簡易税額表についての基本規定でございまして、簡易税額表が別表としてついているわけでございます。  大体第二条関係は、以上のとおりでございます。  たいへん簡単でございましたが、以上、今回の地方税法改正についての主要な点について、補足して説明を申し上げたわけでございます。
  8. 林田正治

    委員長林田正治君) 本案に対する質疑は、後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  9. 林田正治

    委員長林田正治君) 次に、最近の温泉地等における火災事件に関する件を議題といたします。  松村消防庁長官の発言を許します。
  10. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 群馬県水上温泉の火災その他、最近におきます死者の出ました火災につきまして御報告を申し上げたいと存じます。  まず、群馬県水上温泉の火災でございますが、この火災は、三月十一日の午前三時四十分ごろ、菊富士というホテルから出火をいたしたのでございます。出火の原因といたしましては、このホテルの警備員であります人が、仮眠中に誤って石油ストーブを倒しまして、そこから火が出たものと考えられております。この警備員は、初め消火器で火を消そうとしたのでございますが、操作が思うようにできませんで、火が広がるのみでございましたので、みずから非常ベルを鳴らしますとともに、電話が通じませんので、近くにありました同ホテルの従業員宿舎に行って、従業員を起こし、その従業員の一人が隣のうちに頼んで、役場に電話で火災を知らせたのでございます。そこでその間少し時間がたっておりますので、役場で当直が知りましたのは三時五十八分——二十分ぐらいたっております。そうして役場ですぐに消防に出動を命じました。この出動のほうはわりあいに早く行っているようでございます。  その次に、この火災で、最も残念であり、最も重要なことは、三十名にのぼる死者を出したことでございます。火は六時に消えておりますけれども、このホテルの新館に泊まっておりました者のうち、この終わりの二ページに、折りたたみの図面も入れてございますが、この新館がへの字型になっておりまして、一方の側には一階に屋根が出ております。もう一方の側には、これはそういうものがございません。そこで屋根の出ているところに泊まっている人は、二階の者はすぐに屋根に出る、そうして避難をする。三階の人は屋根に飛びおりまして避難をして、そこでこの側に泊まっておりました者は、ただ一人だけ逃げ場を失ってなくなっているだけでございますが、一方の側におりました人たちは、二階におった人が一人だけ、これは無意識に飛びおりたそうでございますが、飛びおりてけがをして助かっただけで、あとは全員なくなっているのでございます。  この事件を考えてみますると、いろいろ問題があるかと思うのでございます。消防関係の設備につきましては、これは国際観光ホテルでもある関係上、全く非難のないようにできておったのでございますが、結局一口に申して、その使い方というものを知らなかった。まず、いま申しましたように、せっかく消火器がありながらその操作が思うようにできなかった。また非常ベルを鳴らしたのでございますけれども、廊下にこのベルが取りつけてありましたために、家の部屋の中まで十分に聞こえなかったためでございましょう、聞いた人もあれば聞かない人もある。そうして中には、これは旧館の者を含めてでございますが、この非常ベルが、朝——未明でございますので、女中さんたちの起床ベルのように勘違いをした人も多かったのでございます。そこでそういう非常ベルの意味を、十分にお客さんに事前に知らせていなかった。それから一番問題なのは、せっかく屋外の避難階段を設けながら、その避難階段のあり場所、またその非常口のとびらのあけ方というものを、全く泊まっている人が知らないということは、旅館のほうで知らせていないということになると考えられるのでございます。  そういうような状況で、この火災は非常にたくさんな死者を結果的に出しておりますけれども、いま申し上げましたようなことを考えますると、こういう悲惨なできごとは十分に避けることができたように考えられるのでございます。これが水上温泉の状況でございます。  それから次は、三月の十九日に、夜の十時五十五分でございますが、和歌山県の白浜温泉の三楽荘というホテルですか、旅館ですか、ここから出火をいたしております。この三楽荘は五階建ての鉄筋コンクリートでございます。しかしこの三楽荘には警報設備というものをしていなかったために、出火をいたしましたときには、八十室あるのでございますが、一々電話で火災のことを知らす、あるいは従業員を走らせて火災のことを知らせておったのでございます。この火事では、奥に住んでおりました四名が、これはまああとで現場を発掘してわかったんでございますが、四名なくなっております。ここへは電話で知らせたか、従業員が走って知らせたかどうかということは、いまだ不明になっております。そういう状況がこの三楽荘の火災でございます。  それから、これは旅館ではございませんが、東京の墨田区で三月二十日の朝の五時四十一分に出火をいたした事件でございますが、これは死者が八名という多くの犠牲者を出しております。これは建物はモルタルの木造二階建てでございます。そして一階は、この建物の経営者が商売をしておったのでございましょうが、その扱っておる品物は、まき、煉炭、灯油という、こういう燃えやすい品物が置いてあったのでございますが、上の二階はアパートになっておりまして、四世帯十六人が住んでおったのでございます。そこで火事になりましたときに、この階段が一カ所だけしかございませんでしたので、おそらく下から上がってくる火あるいは煙のために逃げ場がなくてなくなったものと、そういうふうに推定をなされます。  それからもう一つ、これは松山市の浴場でございます。おふろでございますが、観翠温泉と称するふろでございますが、ここで同じ三月二十日の夜中の二時二十四分に出火をいたして、三名なくなった人が出ております。この建物は、昭和三年にできました古い木造の三階建てでございまして、一階がふろと人の住まいになっており、二階が従業員の宿舎になっており、三階に劇場と、その劇場に出演する人の宿泊施設があるのでございます。この建物で火が出ましたときに、三階に泊まっておりました役者——出演いたします役者七名と管理人夫婦二名、合わせて九名でございますが、この九名が三階に寝ておったのでございますが、その役者のうち一人は足が悪くて逃げおくれて、窒息死したものと考えられております。それからあと管理人夫婦二人は、これについてははっきりしておらないのでございますが、逃げたような形跡がございません。それで、どういう事情か、そのまま窒息したように考えられるのでございます。  以上、最近の死者を出しました火災の状況について、簡単でございますが、御報告を申し上げる次第でございます。
  11. 林田正治

    委員長林田正治君) 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  12. 松本賢一

    ○松本賢一君 いま説明を聞きましたのですが、私質問をするのに、今回の各地の事件を総合して考えてみますと、非常に大きな特徴として、火事そのものが大火であったということでなく、非常にたくさん人が死んでいるというところに非常に大きな特徴があると思うので、人命の問題にしぼって私は質問してみたいと思うのです。ほかの問題もございますけれども、いろいろ聞いてみたいことがございますけれども、時間の関係等もあって、人命の問題にしぼってお聞きしてみたいと思います。  まず、いま、いろいろと御説明がございましたが、最初の水上のほうは、避難設備のことを聞いてみたいのですが、水上のほうは非常階段ができておったが、ドアをあけることをみんなが知らなかったという説明があったりしたのですけれども、それ以外には何にもなかったわけですか。たとえば、避難ばしごが設備してあったとか、縄が置いてあったとかといったようなことはなかったわけですか、避難階段があっただけですか。
  13. 松村清之

    政府委員(松村清之君) その点少し資料が整っていないのでございますが、聞いておりますところでは、これは三階建てで、完全な避難階段が、しかも屋外の避難階段が設けてありますので、そのほかの避難器具はなかったように聞いております。
  14. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、ドアのあけ方をだれも知らなかったというところに大きな悲劇があったということが言えるわけですね。屋根のひさしのあったほうの人は飛びおりることはできたけれども、反対側の人は飛びおりることはできなかったという……。  それではもう一つ、ほかのですが、白浜温泉の三楽荘とか、それから墨田のアパートですか、こういうようなところの避難設備については、どういうふうになっておったか、おわかりになりませんか。   〔委員長退席、理事沢田一精君着席〕
  15. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この白浜温泉の三楽荘のほうには、避難設備をいたしまして、避難階段があったのでございます。こういうふうな報告を受けております。その他の避難器具類があったかどうかということは、つまびらかにしておりません。  それから墨田区のアパート、これはもちろん二階建ての小さな建物でございますから、避難器具は置いていなかったと思われます。何も報告を受けておりませんが。  それから、松山の浴場につきましては、非常階段が三カ所ございまして、うち二カ所は内部、一カ所は外部に設けられておりました。その他の避難器具類があったかどうかは、つまびらかにしておりません。   〔理事沢田一精君退席、委員長着席〕
  16. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、いろいろと常識的にいえば、もっとあってほしいということが言えるんですけれども、法律的にはそれは必ずしも違法ではないということですか、その程度の設備をしていれば。
  17. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 全体を通じまして、この避難設備に関する限りは、みんな違法であるとは考えられません。
  18. 松本賢一

    ○松本賢一君 実はですね、私昨年のこれは速記録を見ますと、四月の八日の委員会ですが、八日の委員会で、こんなような問題が起きることを予想したわけでもないのですけれども、私が自分がしばしば旅館であぶないなということを感ずるものですから、この委員会で質問をしたのですが、現在のような旅館の状態では、火災の場合にあぶないぞということを質問したときに、いろいろと御答弁をいただいておるのですが、その際には、まあたとえばですね、あなたの答弁ですが、旅館については「たとえば二階でございますると、すべり台、すべり棒、避難ロープ、避難はしご、緩降機、避難用タラップ、この中のいずれかを必ず設置しなければならない、こういうふうに規定がされておりまして、旅館等におきましては、この規定に基づいてこれら避難設備のいずれかを設置することになっております。」、こういうことで御答弁があったわけなのですが、これがそのときはそういうことをおっしゃっても、めったにそんなものはありはせんじゃないかというような気がして、それでみんな違法行為をしているのであろうというふうに想像しておったのですが、実はそうでなくて、ちょっと勉強してみますと、五十人以上を収容する場合に義務づけられておるのであって、それ以下であると義務づけられていないというふうになっていると思いますが、そうですか。
  19. 松村清之

    政府委員(松村清之君) そのとおりでございます。
  20. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうなんですか。そうすると五十人以下収容するものについては、そういうものは要らぬということになって、一方建築基準法のほうをちょっと調べてみますと、建築基準法では百平方メートルですか、百平方メートル以下のものについては階段が一つでよろしいと、こういうことになっておるようですね。ですから今度の墨田のアパートの場合も、これは百平方メートル以下であるから、二階の面積が百平方メートル、二階の面積というか、何か住居の面積といいますか、百平方メートルといいますと、六畳の間が十できるわけなのですが、大体私はちょっと計算してみたらそういうことになると思うのですが、三十坪、三十坪ですから、六畳の間が十できると思うのです。そうすると相当の人が住めるわけです。そこに階段が一方に一つしかない、こういうことは、これは建築上直ちに危険を感ずるのではないかと思うのですがね。そういう点あれなんですか、いまの法律ではそれだけの規定しかないわけですか。
  21. 尚明

    政府委員(尚明君) お話しのありましたように、木造の建物の場合で、旅館等でその用途に供するものが百平方メートルをこえると、階段が二つ以上要求されるわけであります。百平方メートルというものは、いまお話しありましたとおり大体三十坪でございますが、全部部屋にすれば先生のおっしゃるようにかなり入れますが、一般的には廊下があり、押し入れがありいたしまして、部屋の数は十というほどまではいかないと思います。現行法では三十坪、いわゆる百平方メートル以下の場合は要しないという形になっております。
  22. 松本賢一

    ○松本賢一君 ちょっといまの御答弁に間違いがあるのではないかと思うのですが、この法文を読みますと、その階における寝室の床面積の合計がそれぞれ百平方メートルということになっていて、とすれば、廊下、便所とかいうものは、その中に勘定に入れないということになるのではないですか。
  23. 尚明

    政府委員(尚明君) 失礼いたしました。さようでございます。私ちょっと、勘違いいたしました。
  24. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、廊下だ、便所だというようなものは、またそれ以上の坪数になるわけで、相当大きなもので、いま言ったように六号の間が十取れるということになるわけですね、正味の坪数なのだから。そうすると、そういうところで——それは普通の住宅ならいいですよ、個人の自由ですから。だけれども、金を取って人を泊める設備である限り、そういうところで階段が一カ所でよろしいというのは、どうも少し規定が甘いのじゃないかと思うのですがね。そういう点いかがお考えですか。
  25. 尚明

    政府委員(尚明君) まあ、いままでの例から申しまして、今回の火災の場合でも百平方メートルのところに、階段はつけてありましたが、むしろそれは利用されなかったわけでございまして、私ども、いままでの例から申しますと、現在の段階ではこの程度でいいのではないか。しかし、私ども実際問題として設計を見ますと、その避難階段への距離という問題がもう一つ問題になっておりまして、一方、したがいまして、そういう階段への歩行距離が三十メートル以下でなければならないという押えがしてございまして、あまりウナギの寝床みたいに細くて遠くにあるのは、面積のほうで合格しましても、長過ぎてはいけないというような二つの押えをしておりまして、現在のところ、この程度でいいのではないかというふうに考えておるわけであります。
  26. 松本賢一

    ○松本賢一君 それは建築のほうから考えるとそういうことになると思うのですが、利用度というようなことから考えますと、私のいま言っているのは、その建築の利用度、利用の問題ではなくて、火災のときの避難の問題を考えているわけなんで、そうすると一方消防さんのほうの規定で、何かそこを考えなきゃならぬ。ところが消防のほうの規定では五十人以上ということになって、五十人以下の場合にはそういう規定がないということになれば、三十坪以下の場合はもう階段一つあればいいということになると、おそらく三十坪以下で五十人収容するというようなことはないと思いますから、そうなると三十坪以下の場合は階段一つで、あと避難のための設備は何にもなくてもよろしいということになるし、また三十坪以上であっても、五十人収容しないものは、階段が二つありさえすれば、それでそれ以外のものは何にも要らないということになって、そこらのところに何か法の盲点というか、そういうものがあって、そうしてしばしばこういう悲劇を起こすのではなかろうか。これは今度の大ホテルの場合は、一応いま私の言っている問題と問題が違いますけれども、アパートの場合はぴったり当てはまると思うのですけれども、こういう事例が至るところにあると思うし、それでまたよく火災があって、人の死んだという記事を読みますと、たいてい小僧さんや女中さんが、どこか二階の部屋に寝ていて、階段が一つしかない。階段から火が上がってきて、どうしようもないというようなことが多い。そういう場合、しばしば火事の人死にというと、たいていそういう場合なんです。だからこれに対して何か消防上の規定を設けて、そうしてこれを強制的に何かそういう設備をさせるということをもっと強化しなければ、人命を守ることができないという感じがするのですがね。それは火事というものは、自分のうちから起こすものだとはだれも思っていないのですよ。自分のうちから火事が起こるとか、あるいはすぐ隣から火事が起こるといったようなことはめったにあるものではない。何百年に一回しかないことなんですから、だれもそのことを考えないものですから、何となく神経が麻痺しておると思うのですがね。そういう点もう少し法規の上を整備して、そうして少なくとも、多少でも公共の用に供しておる旅館だとかアパートだとか、寄宿舎だとか、そういうものについてはもう少しどうですか、強化する必要があるとお考えになりませんか。
  27. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 私どもは、現行法令で規定されていない、いま御指摘のようなものにつきましても、昨今の状況にかんがみまして、避難器具を設備するように、指導はいたしておりまするけれども、なお別に、いずれこの法令できめる以上は、どこかで線を引かなければならないわけでございますが、まあその線の引き方につきまして、いまお話しのありましたような事柄につきましても、現在、いろいろ検討を加えておる段階でございます。
  28. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは、理想的なものをつくるということになると、金の問題がすぐ出てくると思うんです。そこで、そこのところのにらみ合わせでいまの法規もできているのではないかと思うのです。ですから、いまの法規ができたのは何年前か知りませんけれども、おそらくこれのできたころよりも、いまのほうが国民の生活水準も上がっていることだろうし、こういうことを考えれば、もう少しそういうことに金をかけても差しつかえないじゃないかという気もするし、また、そうでなく、金のかからない方法もあると思うのです。たとえばこの間のアパートの場合でも、綱が一本あったら、おそらく何人かは助かっているだろうと思うのですよ。そんなようなことでも、まあ最終的に、最悪の場合、まことに情けない話ではあるけれども、綱が一本あったために人間が助かったということもあり得るわけなんだから。ホテルでもそうですよ。避難階段があるからよかろうということで、安心しているからそういうことになるんで、もし避難階段がなくて、金をかけた避難階段がなければ、そこに何かなわばしごとか、何とかいうものを備えなければならないことになるから、そんなものを備えていたほうが、むしろ、人が死ななくて済んだのではないかというようなことも言えるかもしれないと思うのでありますが、そういう点、いまの規定では、いずれか一つということになっているのでありますが、いずれか一つということでは、なかなかうまくいかない場合が多いので、まあごくだれにでもわかりやすい方法で逃げられるように、やっぱり親切に、きめこまかく、こういう規定はつくっておくべきじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  29. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 私も、お話しの点、同感でございまして、二階、三階のようなところは、ロープ一本備えておれば、普通の人間なれば避難できると思うのでございますが、実は法令で避難設備を設けるようにと強制する以上は、避難設備についてもやはり、ある一定の規格を持った設備を強制する、こういうたてまえに仕組みができておりますために、いまのようなロープ一本を備えろ、こういうことは指導として、法令とは別にやっておるような状況でございまして、このロープ一本を備えろということを法令できめていいものかどうか、こういう点につきましては、実質的には全く同感でございますけれども、法令でそういうことをやるということにつきましては、なお、今後とも十分に検討さしていただきたいと存じます。
  30. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、そういう点もきめこまかく検討していただきたいと思うと同時に、さっき言ったような、非常に大きな盲点があると思うのです。いまの建築基準法と消防法との間の、一方で五十人という規定をし、一方で三十坪という規定をしているというところに非常に大きな盲点があるような気がするので、その点ひとつとくとお考えをいただきたいと思うのです。  大臣が非常にお急ぎのようですから、大臣にひとつお伺いをしたいと思うのですが、いま、火災の問題で説明を聞いて、それに対して質問をしているわけなんですが、この間からしばしば火災が起こっている。この火災は、水上温泉をはじめ各地で火災が起こっておりますが、火災の大きさというよりも、人がたくさん死んでいるわけなんですね。その人が死んでいる原因はいろいろあるわけなんですが、その一つとして、私が特にいまお尋ねしているのは、いざというときに避難をする方法がよく考えられていない点があるのじゃないかということを聞いているわけなんです。  それでまず建築の、建築基準法から言うと、二階三階の面積が三十坪以下の場合には階段が一つでよろしいという規定があるわけなんです。二つは要らない。つくってもいいけれども、つくらなくてもいいという規定があるわけなんで、消防法のほうから言うと、五十人収容の大きさまでは特別な避難設備は要らないことになっているわけです。そういったようなところに私は法の非常に大きな穴があるのじゃないか。それが火災で死者をつくる一つの大きな原因になってはいないかということをいまお尋ねしているのですが、そこで、大臣にお尋ねというよりは、むしろお願いをしておきたいのは、こういったような現在の火災に対するいろいろな批判があり、いろいろな方法がありましょうけれども、いま一つ、私がしぼったその避難という問題について、いまの法規のそういった不備な点が私はひしひしとして感じられますので、その点を今後、早急にきめこまかく検討していただいて、そうしてこれを法規上もっとレベル・アップして、そうして人命をそこなわないように万全を期していただくように、ひとつお考えをいただけないかどうか、その点ひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  31. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 近時の火災に非常な死傷者を出しておる点に対して、避難施設等の不備はないか。なお、これに対して十分レベル・アップを考えての検討をしろというおことばは、きわめて、われわれもそういう点に対して考えておったところでありますが、力強いおことばをいただきましたので、さらに今後、検討を十分続けて、こういうような死傷事故が重なって起きないように、それに全力をあげていきたい、こう考えておる次第でございますが、私はさらに、構造、設備等の問題とあわせまして、国民全体が、いわゆる火災予防あるいは火災時の避難等に対して、もっと関心を持つような状態へ強くひとつ、国民指導をもあわせやらねばならないというようにも考えておるのでございます。  たとえば、衆参両議員のいまのわれわれの会館に問題が起きたときにおいて、これに対して各自がどれだけの知識、また訓練、あるいはそれに対する対処の心がまえがあるか。あるいはわれわれの宿舎に対してもそうでございます。これに対しても十分ひとつ、まず隗より始めねばならぬのではないかというように、みずから自覚をいたしておるような次第でございますが、同時に、各消防が各地域、自分の受け持つ地域に対しまして、みずからがここに火災が起きた場合においてはどういうように処置するかということを、プランを立てて各戸にわたってこれを調査して、このときにあたってはどこが避難場所であり、どこに水槽があり、どこに火災の際のホース口を向けるかということを絶えずひとつこれが注意を払っておくし、その家庭の人もこの点に注意をいたし、ことに旅館に泊まった場合においては、旅館のほうから必ずどこが避難場所であり、どうすれば避難をして危険を防止できるかというような点に対しても、絶えず責任を持って、泊まり客に話し合いをするというような指導もいたしまして、国民総ぐるみでこれが予防体制を確立をいたしていかないと、人命の損傷のみならず、これによる損害というものは、これはもうほんとうの感じでございますが、政府が一生懸命努力してつくる公団のアパートぐらいは一年に焼失されておるというようなことをもいわれておるような災害状態でございますので、まあ西ドイツあたりは非常に災害が少ないのでございます。これは構造上の関係がずいぶん多いのでございますが、きわめて災害が多い、火災が多いということについては、先進国の地位にまでいけないというような点がございますので、いわゆる国民の指導をいたし、国民総ぐるみで火災の予防にいくということ、また、それに即応いたしまして、政府の予算的措置も一段と努力をいたしていかなければならないのではないかというふうに考えております。  本年度は、とにかく十億の頭打ちを排除いたしまして、少しでも前進はいたしましたけれども、なお設備の点あるいは消防団員の出動手当等についても、三百五十円を四百二十円にいたしましたが、奉仕の精神に徹しているから、これに対しては待遇は伴わぬでもいいという考え方じゃなしに、奉仕の精神に徹してやる者に対しては、正直者がばかを見ないように、やはり予算的措置も講じまして、さらに災害に対しましても、公務災害補償費七十万円を九十二万円程度に引き上げるようにいたしましたけれども、なおそれらの点についても将来十分検討いたし、お説のような、あらゆる点に対して、今後さらに検討いたしまして、御期待に沿うように努力をいたしたいと考えるわけでございます。
  32. 松本賢一

    ○松本賢一君 もう一つ、最後に私はお尋ねしたいんですが、いま大臣、検討すると言って、非常にまあおっしゃいましたが、大体検討の結果どうするかということが、これはこうやって話をしている間にも火事は起こっておるのですから、そういう意味で非常に急ぐと思うんですが、特に先ほど来私がしぼってあれをした点については、どんな小さい火事にでもそういう問題が伴ってくるわけなんで、ひとつ検討の時期をそう長く——ただいま検討中が二年も三年も続くようなことのないように、ひとつどうですか、いつごろまでに大体の結論を出していただけますか。  それともう一つは、いま資金の問題、予算の問題等も大臣の話に出ましたけれども、これは自治体等は非常にそういう消防の強化ということについては金が要ると思うので、その点十分考えていただくと同時に、先ほどの問題については、個人的にも相当金が要る。旅館あるいは寄宿舎、アパートといったようなところで、多少でも設備を強化していくということになれば、個人的にも金が要るということになると思うんですが、そいうう際に、これはやはり緊急にやる、法律改正すると同時に、緊急にやらさなきゃならぬのだから、そういうところに対する融資とかといったような問題についても、十分考えていただきたいと思うんですが、そういう点いかがですか。
  33. 松村清之

    政府委員(松村清之君) まあ先ほど申し上げましたように、避難器具をあらゆる建物に備えつけるということ、しかもこまかな簡単なものでも備えつけさせるということにつきましては、私は非常にこれは意見を同じくしておるのでございますが、ただ、法令で強制するということ、まあ指導的にはいままでもこれはやっておるわけでございますが、法令で強制するという段階としては、どの程度にするかということは、なかなかこれはむずかしい問題であるのでございます。しかしこの点、今日の状況にかんがみまして、できるだけ——いつとは申しませんけれども、できるだけ争い機会に、法令でどの程度きめるかということについて結論を得るように努力をしてまいりたいと思います。  なお、第二の避難施設等を設ける場合の融資の問題でございますが、これは何しろいまのようにほとんどあらゆる建物ということになりますると、非常に数が多いわけでございます。それからまた、一方においては避難器具というもの、これはもうたくさん備えればむろんお金がかかりますけれども、小さな建物等で一つや二つ備えるにあたっては、そう金がかかるものでもないのでございます。しかし、融資ができればそれにこしたことはございませんが、まあ融資をするということにいたしましても、これはやはり何らか一定範囲内のものに限って考えなければならないのではなかろうかと考えます。そういうことでございますので、この融資の問題につきましても、なお今後ひとつ検討の対象にさしていただきたいと存じます。
  34. 松本賢一

    ○松本賢一君 最後にですね、いま長官の御答弁がありましたようなことを、強力に進めていただきたいと同時に、指導の面も、まあいままでは法律よりも指導だ、こういうふうにおっしゃっておるわけなんですが、その指導、指導とおっしゃったのが、うまくいかないから、私はこの際もう法令できめなきゃいけないのじゃないかということを感じる。私は法律でいろんなことを規定することは、大体きらいなんですけれども、この際はどうもそこまで踏み切らなければならぬという気持ちがするから先ほど来お尋ねしておるのであって、この前、私が質問しましたときに、昨年質問しましたときに、進駐軍の接収中の奈良ホテルの例をあげまして、日本人と欧米人とでは火災に対するセンスが根本的に違っているんじゃないかということを言ったんですが、ああいうところも大いに参考にしていただいてですよ、そうしてほんとうに、何か火事なんというものが起こるというようなことを考えるのはやぼだといったようなところが日本人の気質の中にはあるので、そういう点を十分留意されて、この際私は単なる指導でなく、法制化に踏み切っていただきたいということを要望いたしまして、質問終わりたいと思います。
  35. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ちょっと長官にお尋ねします。  この見取り図を拝見しますと、新館二階平面図というのがありますね。ここで見ますというと、右側の二部屋が燃えてない。三階へいきますと左側の三部屋が焼けていない。これはどういう火の回りの状況なんですか。
  36. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これは実はどうしてこういう状況に結果としてなっているかということは、結局火の回り方でございますが、結局焼けておるところは火が回って、焼けてないところは窒息したということになりますが、どうもその点つまびらかにいたしておりません。
  37. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この三階の平面図を見ますと、焼けてないところでたくさん人がなくなっているようなことになっております。焼けているところは、三百八号というのが十人のうち一人なくなっている、ほかは全然なくなっていない。焼けてないところでたくさん死んでいる、こういう状況はどうなんですか。
  38. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これは結局なくなられましたのは、焼け死んだということでなくて、煙のために窒息したということでございまして、焼けたことと死んだということとは無関係と考えております。
  39. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それは窒息で死ぬということもよくわかりますけれども、しかし右側のほうの部屋はみんな一階の屋根に飛びおりて、けがしたかもしれませんけれども、左側のほうの部屋にいた人がみんな死んでいるわけですね。焼け死にじゃないけれども、窒息しているというかもしらぬ、こういう状況、ちょっとわれわれ、しろうとにはわからないのですけれども、あり得ることなんですか。
  40. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これはいろいろ調べた模様を聞きますると、これらの泊まっている方々は、火よりもむしろ先に煙に遭遇しておるのでございます。火事というものは、おそらく火よりも煙のほうに先にあうと考えられるわけでございますが、そこで、これらの人々も気がついたとき、ベルで気がついた人は別ですけれども、気がつかなかった人が多かったわけですが、それらの方々は、煙で初めて気がついた。そこで、火よりもむろん煙のほうが早く回ってくるわけですが、その煙で気がついた。そのときには、助かったほうの人は、先ほど申しましたように、屋根がありましたので、飛びおりて避難することができたけれども、なくなったほうの方は、一人だけ道路に飛びおりたわけでございますが、他の方々は避難のしどころがなくて、自分の部屋、あるいは洗面所でもなくなっているそうでございますが、逃げようと思って、そういうところで、火が回るより早く煙のために窒息死を遂げたものと考えられるのでございます。
  41. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私も時間ですから簡単にあれしますが、こういう水上なり、あるいは白浜なりという、そういうところにおける消防力の拡充とか、あるいは増強ということは、自治体だけではなかなかうまくいかぬと思うんですが、そうかといって、別は私は消防を県消防にするとか国家消防にするとかということを考えているわけではないのですけれども、もう少しやはり特別の、こういうところは、お客さんを別にすれば、ごくいなかの町といってもいいでしょうけれども、お客さんがどっと来たときには、それこそ大都会になるわけですね。しかも地理的にいえば、坂道の多いところに旅館の温泉場があるということですから、非常に施設の点でも、あるいは消防力の充実という点でも、町だけではなかなかまかない切れないところがあるのではないかと思います。消防力の拡充なり、あるいは増強なりということについては、国家消防庁としてもいろいろお考えいただいていると思いますけれども、これは普通の自治体の財政力を越えた、公共的といいますか、国家的なそういう政策からいって、もう少し中央で考えてやる必要があるのじゃないかと思うのですけれども、そういう特殊な温泉地帯とか、そういう観光地帯に対する、国として、あるいは中央の消防庁として、何かお考えいただけるか、特に財政的な面にお考えいただけないかという点、どうでしょうか。
  42. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 消防は、普通の事態に対しましては現在の市町村消防で、これで十分であると考えます。ただ、市町村消防でいいのでございますけれども、考えなければならないことは、まず体制として、こういったところでは常備体制、消防の常備体制を持つということが必要だと思います。この常備体制の確立のためには、先年の法律改正に基づきまして、政令で市町村を指定しまして、消防の本部署を置くように義務づけておりますが、これにつきましては、いままで一昨年、去年と二回の場合には、人口というものを基準にいたしたのでございます。しかし、これは必ずしも合理的なものではない、人口が少なくても、こういった温泉地のように一時的に非常に人の集まるところ、また工場等のあるところ、こういうところにつきましては、この人口にこだわらないで、そういうところを基準にして消防本部署の設置を義務づけようと思いまして、実はつい近く第三回目の指定をすることになっておりますが、そこでは水上温泉は別でございますけれども、白浜温泉のほうは、この火事と無関係に指定の対象に予定をいたしておるのでございます。なお、消防本部署を設けるといいましても、これは交付税で最低三百万円くらいいくようになるわけでございますが、それにいたしましても、この消防本部署をどの市町村にもというわけにいきませんので、私どもとしては、大体七百、全国三千五百の市町村のうち七百と予定しております。いますでに六百やっておりまして、あと百ほど考えておりますが、そういう中にはこういった温泉地、先ほど申しましたような工場地帯、こういうものを考えてまいりたいと思っております。  なお、いまお話しの市町村の消防施設等の面につきまして、むろんこれは市町村消防でございますから、私どもは毎年消防財源である地方交付税の面でこれを毎年毎年、財政需要を高めていくように努力し、最近はほかの経費をはるかに上回った基準財政需要額を認めてもらっておるのでございますが、一番大事なことは、基準財政需要額を増加していく、こういうことになります。それから消防施設の面には国から補助金が出ております。来年度は十億五千万円、三分の一の補助金が予定されておりますが、これにつきましては、これを配分する際に、火事の出た場合のいろいろな状況等を考えまして、なるべくこういった温泉街等には、配分あるいは起債というものもありますが、そういうものについてできるだけ配慮いたすようにしておりますが、今後ともなおこういったような事件にかんがみまして、できるだけの考慮を加えてまいりたいと思います。
  43. 原田立

    ○原田立君 ちょっとお伺いしますけれども、水上温泉のほうの消防団のポンプ自動車二台、可搬式動力ポンプ十三台、こういうことでありますけれども、この能力はどうなんですか。
  44. 松村清之

    政府委員(松村清之君) ここの水上の地形は非常に険しい地形でございまして、実は普通のポンプ自動車というのはあまり効果的に使えない状況でございます。そこで、ポンプ自動車は数が少ないのでございますが、そのかわりに、機動力のあります可搬式動力ポンプ、これは小型のものでございますが、能力の点においては決して劣るようなものではありませんが、この可搬式動力ポンプというものを使っておるのでございます。当日も消防団員の持っておりますトラックにこの動力ポンプを積みまして、現場の火災にいち早く近所の消防団がかけつけておるような状況でございます。
  45. 原田立

    ○原田立君 こういう災害は、普通の町中の一軒家がぽかっと燃えたなら問題はないのですけれども、大型の消火になった場合に、昔の手押しのポンプ車のようなものではとうていまかない切れないはずなんです。それで、消防庁としては、こういう温泉街、特に山なんか、そういう坂の多い所なんかについては、可搬式動力ポンプというのは、こういうものを設置するようにという推奨しておられるんですか。
  46. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これは可搬式動力ポンプと申しましても、手で押すのではないのでございます。手押しポンプではなく、動力でやるわけで、普通のポンプ自動車と変わらないわけですが、ただ、先ほど申し上げましたように、地形によっては、特にこれはこういう所に限らず、日本の市町村で道路の狭いような所では、大型のポンプよりも、同じポンプ自動車でも小型のポンプ自動車というものを、あるいはいまの可搬式動力ポンプというものを使うほうが効率的であり、合理的であるというふうに考えまして、別に特に奨励をしておるわけではございませんけれども、地元の消防といたしましても、その場で十分使いこなせるような小型のを備えておる、これが現在の状況でございます。
  47. 原田立

    ○原田立君 それでぼくが聞きたいのは、それではたしてきちんとできるのかどうかということなんですよ。できればいいんですよ。だけれども、それでは手の打ち方がおそくて、どうしようもなかった、そういう場合もありましょうし、手の打ち方は早かったけれども、ポンプのほうの能力が悪いんで、ずっと拡大しちゃったとなったならば、やはり大きな問題になると思うんです。日本にはこういう温泉地が非常に多いんですから、だから画一的なやり方というのはどうかと思いますけれども、この場合を取り上げてみて、特に消防ポンプの能力、これの是非ということは大きい課題だと思うんですがね。
  48. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 仰せのように、地形さえ許されますならば、道路の状況等が許されますならば、大型ポンプで大きな力を出すことが望ましいことは言うまでもありませんが、特にこういう温泉地街にはそういった状況でないところが多いわけでございます。そこでその場合には、いま申しましたような小型のポンプをできるだけたくさんそろえて、大型のポンプ車に劣らない力を発揮する。何か水上の事件でも、新聞等によりますと、可搬式動力ポンプが三階へ届かなかったというような記事も見えておりますが、これは事実に反するんでございまして、決してさようなことはなく、これくらいの建物でございますれば、十分可搬式動力ポンプで間に合うのでございます。また普通の大きなポンプ自動車では地形上あまりたくさんは動かせないのでございます。そこで結局もう、どういうポンプ自動車を準備するかということは、地形を考えて、それに合う最大の能力を備えるようにするよりほかに方法はないわけでございますが、それとともに、できますならば、建物自体に、たとえばスプリンクラーをつけるとか、あるいは屋内消火せんをつけるとか、屋外消火せんをつけるとか、こういうことで消防の力を発揮するようにすべきであろうと考えるのでございます。
  49. 原田立

    ○原田立君 いまのお話のように、水上温泉のこの地域では、定期の検査はやっておられるんですか。
  50. 松村清之

    政府委員(松村清之君) ここは消防団がやっておる地域でございますが、消防団の地域となりますると、消防本部署の常勤職員のある地域と違いまして、多少そういった査察と申しまするか、定期的な査察は不十分になりがちでございます。この水上につきましても、この火災の出ました最近のときに査察はやっておるようでございます。しかし、とかく、いま申しましたように、消防団地域にはそういう点が不足でございまして、これらについては今後十分に旅館の査察をやっていくように指導をいたす必要があろうかと考えております。
  51. 原田立

    ○原田立君 事故が起きちゃってから、幾らそのあと一生懸命やってみてもいたしかたのないことですから、そういう、いわゆるなれ合い式なところがあると思うんです。長く地元とつき合っていると。そういうことのないように、その点はひとつ厳正にしていただいて、こういう人命にかかわるような事故などが今後起きないように、せっかく努力願いたいと思います。
  52. 林田正治

    委員長林田正治君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。  次回は、公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十八分散会      —————・—————