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1966-03-22 第51回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十二日(火曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田 正治君     理 事                 小林 武治君                 沢田 一精君                 加瀬  完君                 原田  立君     委 員                 高橋文五郎君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 占部 秀男君                 鈴木  壽君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君    国務大臣        自 治 大 臣  永山 忠則君    政府委員        警察庁長官    新井  裕君        警察庁保安局長  今竹 義一君        自治大臣官房長  松島 五郎君        自治省行政局長  佐久間 彊君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出) ○銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一  部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 林田正治

    委員長林田正治君) ただいまより地方行政委員会を開会いたします。  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明をお願いいたします。永山自治大臣
  3. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由とその概要を御説明申し上げます。  政府は、恩給制度について、日本赤十字社救護員在職期間恩給公務員期間通算する等の措置を講ずるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い地方公務員退職年金制度についても同様の措置を講ずる必要があります。このほか、公庫公団職員期間通算措置に準じて団体共済組合員期間公務員共済組合員期間通算する等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案を提出した理由であります。  次に、以下法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、恩給制度改正に伴い、日本赤十字社救護員戦時衛生勤務に服した期間を有する地方公務員について、その期間組合員期間通算するとともに、長期在職者低額年金について、恩給制度改正措置に準じ、改善する等の措置を講ずることとしております。  第二は、地方公務員共済組合が支給する年金年額について、国民生活水準地方公務員給与物価その他の諸事情変動に応じて改定し得るよう調整規定を設けることとしております。  第三は、地方公務員共済組合職員である組合員及び地方団体関係団体職員共済組合組合員に対する長期給付に要する費用のうち百分の十五に相当する額については、国の職員にかかるものにあっては国が、それ以外のものにあっては地方公共団体負担することに改めることとしております。  第四は、団体職員共済組合員期間について、公庫公団職員期間地方公務員共済組合員期間への通算措置に準じ、地方公務員共済組合員期間通算することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 林田正治

    委員長林田正治君) 次いで、補足説明をお願いいたします。佐久間行政局長
  5. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明を申し上げます。  お手元にお配りしてございます法律案要綱の順序で御説明申し上げます。  今回の改正案は、一つ恩給制度改正いたしましたのに準じまして、地方公務員退職年金制度についても改正をいたそうというものでございます。いま一つは、地方公務員等共済組合法自体規定整備を主とする改正でございます。  最初の恩給制度改正に伴う改定でございまするが、その第一は、日本赤十字社救護員として陸海軍病院等に派遣され、事変地または戦地において戦地衛生勤務に服した者の取り扱いでございます。日本赤十字社救護員と申しますと、医師、薬剤師、看護婦等でございます。それらの者のうち医員、調剤員看護婦長等恩給公務員に相当する者として取り扱われておりますが、それらの者の期間退職年金条例の適用を受けた期間として組合員期間に算入をすることとし、雇用人に相当する者、これは看護婦で申しますと普通の看護婦でございますが、これらの者につきましては、共済年金受給権を発生させる期間、いわゆる資格期間として取り扱うということにいたそうとするものでございます。  第二は、従来文官としての恩給公務員期間在職年に旧軍人の加算年は算入しないこととされておりましたが、これを算入することにいたしまして、これを算入いたしまして、年金受給権が発生いたしました者につきましては、年金権を付与することにいたしたのでございます。  第三には、文官たると武官たるとを問わず、現行法におきましては、加算年組合員期間には算入しないことにしておるのでございまするが、妻及び子に支給する遺族年金年額につきましては、最短年金年限に達するまでの加算年も額の計算上対象にしようとすることにいたすものでございます。  第四は、昭和四十年九月三十日以前に退職または死亡した者につきましては、最低保障額を定めることといたしまして、年額六万円未満の者につきましてはその年額を六万円、遺族年金につきましては三万円未満の者は三万円とすることにいたしたものでございます。  次は、これも国家公務員の場合に同様の規定が入りました関係で、地方公務員につきましても同様の規定を入れようとするものでございまするが、いわゆるスライド規定でございます。年金の額を定めるにあたりまして、国民生活水準に、地方公務員給与物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して改定措置を講ずるものとするという趣旨規定を設けることにいたしたのでございます。  次は、地方公務員等共済組合法自体規定整備でございますが、その第一は、組合職員等長期給付に要する費用負担に関するものでございます。現在地方公務員共済組合組合職員であります者は組合員として扱われることになっておりますが、それらの者につきましては、使用者としての組合が五七・五を負担をすることにいたしております。また、地方団体関係団体職員共済組合組合員に対しましても、団体が五七・五を負担をいたしております。で、いずれも残りの四二・五は組合員の掛け金になっておるわけでございまするが、その組合または団体負担をいたしております五七・五のうち一五%、百分の十五に相当するものは、いわゆる公費負担部分でございまして、国家公務員共済組合にありましては国が負担をする、地方公務員共済組合にありましては地方公共団体負担する部分でございまするので、この公費負担部分を明確にいたしまするために、それらの地方公務員共済組合職員である組合員及び地方団体関係団体職員共済組合組合員である者に対しましても、その部分地方公共団体負担をするということに改めることにいたしたのでございます。  第二は、地方団体関係団体職員共済組合、これは地方団体あるいは国保連合会等がその団体でございまするが、それらの団体に勤務する組合員につきましては、地方公務員との人事交流が行なわれておりまする実情にかんがみまして、先般、昨年の本院の附帯決議におきましても、これらの組合員につきまして、地方公務員との間の通算措置を認めるようにという御趣旨をいただいたのでございますが、今回は、いわゆる公庫公団方式にならいまして、地方公務員からこれらの団体職員になり、再び地方公務員に復帰いたしました場合におきましては、団体職員でありました期間地方公務員共済組合組合員期間通算するということにいたしたのでございます。  そのほか若干の規定整備をいたしておりますが、その一つは、十以上の市で組織をいたしておりまする都市職員共済組合組合会議員の半数の者の選任方法でございます。これは現行法におきましては、関係市長が互選をすることになっておりまするが、運営の経験にかんがみまして、関係市の市長が協議して定めた市長の任命によるものと改めようとすることでございます。  いま一つは、地方議会議員年金におきまして、選挙犯罪によって当選無効となりました者の取り扱いにつきまして規定を欠いておりましたので、国会議員年金の場合に準じまして、当選無効となりましたときに退職とみなすという趣旨規定を入れることにいたしたのでございます。  以上がこの法律案の内容の概要でございます。  そのほか附則に施行期日について所要の定めをいたしております。
  6. 林田正治

    委員長林田正治君) 本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのに関連しての資料のことでちょっとお願いしておきたいと思いますが、佐久間さん、いま御説明があったのですが、たとえば恩給制度改正というもの、その他ありますがね、これを具体的に、現行はこうだ、今度の改正ではこういうふうになるんだ、通算関係なり、新たに取り扱われるようになったそういう事柄、これをひとつ具体的に例示していただきたいと思いますがね、よろしゅうございますか。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 承知しました。     —————————————
  9. 林田正治

    委員長林田正治君) 次は、銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次発言を願います。
  10. 鈴木壽

    鈴木壽君 銃砲等によるいろいろな事故がどうも心配される最近の一つの大きな問題ですが、一体銃砲なんかを所持しておる、許可を受けないで不法所持しておるという、そういう問題がまだいろいろあるようでありますが、たとえば外国から持ち込まれるというようなことがある。まあその中にはかつて問題になりましたフィリピン等から、何といいますか偽造したやつがかなり入り込んでおるというようなことがいろいろあるようでありますが、最近のそういう傾向なり、それに対する取り締まりなり、こういうことについて、ひとつあらましをお伺いしたいと思います。
  11. 新井裕

    政府委員新井裕君) 全般的なお話でございますが、拳銃を主としてお話しになったように思いますので、最近の状況お話しいたしますと、この数年、確かに御指摘のように拳銃取り締まりはたいへんよく進捗いたしております。ことに、外国の航空機の機長が関連するものと、それからいま引例されましたフィリピンで密造をいたしまして、船員を通じて日本に参ったもの、これが最近の顕著な密輸入事件でございます。  大体押収いたしました拳銃は、この数年千丁近くなっております。たとえば三十三年が拳銃の押収が大体三百から四百の間でございました。三十九年には八百丁近くあがっております。そういう意味で、御指摘のようにたいへん不法所持——拳銃は一部警察官その他を除きますと、すべて所持することは不法でございますが、そういう不法所持が相当ございます。
  12. 鈴木壽

    鈴木壽君 それらについての取り締まりですがね、まあこれはなかなかたいへんな問題だと思うんですが、こういうことについて、あなた方実際上、やっておってどうも困るというようなことが幾つかあるんじゃないかと思うんですが、そういう状況はどうですか。
  13. 新井裕

    政府委員新井裕君) ただいま御指摘のございました取り締まり方法でございますが、拳銃は、いま申し上げましたように、すべて不法でございまして、大体は事件がございまして、それからたぐっていって押収しておるのでありますが、いま引例いたしました二つの事例は、むしろ事件が起こるという以前に拳銃不法に売買しておるという情報によりまして、それを通じてイモづる式にたぐり寄せ、さらに最近は世界的にいろいろそういう取引があることがわかりましたので、パリにありますICPO、あるいはただいまもやっておりますが、アジア諸地域からの係官が一年に一回、主として麻薬の関係で集まって、東京において講習を開いておりますが、それらの機会に、お互いに情報を交換いたしまして、外から入ってくるものについては水ぎわでこれを取り締まるというので、実は昨年、こういう銃砲密輸入の罪というものを銃刀法の中にも取り入れまして、罰則を強化するようにいたしまして、いま取り締まっておるわけでございます。
  14. 鈴木壽

    鈴木壽君 かなり多くの密輸があるんじゃないかと思うんですが、まあいまお話しになりましたような、いろいろ世界的な一つの機関と連絡をしたり、あるいは情報交換等をしてやっておる、こういうお話でございますが、なかなかこれはあとを断たないようでございますね。特に外国へ出ていってそして帰ってくる日本人が、いろんな形で持ってくる人もあるようでありますし、新聞なんかにそういうのが出ておるのでありますが、こういうことに対する取り締まり、こういうことではどうでございましょうか、いま。
  15. 新井裕

    政府委員新井裕君) 御指摘のように、最近だいぶ知名の人たち事件新聞に報道せられておりまして、それによってそういうものを持つことが不法であるという気持ちはずいぶん国民の中に浸透したように思います。結局大部分国民がそういうことが悪いことである、そういうことはするべきではないという観念が前提になっておりませんと、取り締まりがしにくいわけでありますが、そういう意味においては非常に浸透したと思っております。  それと、この拳銃というものをだれがほしがっておるかということでございますが、愛玩用にほしがっておるとか、あるいは収集マニアみたいな者があるというものも、これはいなめないのでございますけれども、大量にかつ執拗に欲しておるのは、いわゆる暴力団でございます。この暴力団取り締まりを徹底することと相まちまして、この拳銃不法所持追及していきたいと、こう思っております。
  16. 鈴木壽

    鈴木壽君 暴力団ですがね、おととしあたりから去年にかけまして、かなり暴力団に対して一つのいろいろな取り締まりなり、あるいは暴力団をなくするというようなことについてだいぶ御努力をなさったようでありますが、いまお話にありましたように、やっぱりわれわれにしても一番おそろしいのは、暴力団がこれらのものを所持し、それをまた使用することによっていろいろな問題が起こっている、こういうことを一番おそれなきゃならぬと思いますし、そういう面でお聞きするのですが、暴力団の最近の状況ですね。まあいろいろ解散になったとか、支離滅裂になったとかというようなこともいろいろ言われておりますが、しかし、一面においては目につく、こういう東京とか大都市のいわゆる暴力団が擬装的な解散みたいなことをやって、かえって各地方にも散らばっておると、しかもそれらが依然として、まあ拳銃ということだけでなしにね、いわゆる銃砲あるいはその他の刀剣等所持しておるのだ、まあこういうことをよく言われておりますが、そういう点についてあなた方の見方は一体どうなんですか。
  17. 新井裕

    政府委員新井裕君) この十年ばかりの推移を見ておりますと、三年ばかり前までは警察の把握が進むにつれまして、団員というものが、われわれのほうにわかる数がふえました。したがって、皆さまに御報告しておる数字からいうと、いかにも暴力団が増加したようなかっこうでございますが、むしろ私どもとしては、その前の、把握が十分でなかった点も加味すれば、急速に進んでおったとは必ずしも思えないのであります。この二、三年、そういうわれわれの把握状況が徹底した結果とも思いますけれども構成団員というものが少しずつ減りかげんでございます。  それからまた、この数年の一つの顕著な傾向は、結局アメリカでそういう名前で呼ばれておりましたシンジケートをつくるという状況がありましたけれども、これはもう著しく阻害されまして、このシンジケート化するという傾向は一応ストップかけられたと私ども思っております。現に解散を表明をいたします暴力団というものが、大体はこういう連合団体が多いのでありますが、それから単位団体もだんだんと解散を表明し、また表明しているのみならず、実質的にも解散をしたものがあるということでありまして、私ども手前みそを申し上げるようでありますけれども、こういうふうにややアップ・カーブであったものをストップさせて、下げカーブに持っていったというのが現状でありまして、これは第一線の警察官のずいぶん大きな努力だったと思っておるのであります。  しかし、実態はいまだ壊滅などというにはほど遠い状況でございます。われわれとしても、今後長期の作戦をもってこれを封じ込めていくという気持ちでおります。その際には、結局彼らも、人間と金と物と、この三者があって初めて活動ができるのでありますので、そのうちでも最も重要であります資金源、金の面でいま追及をすると同時に、物、すなわちこの場合は彼らのいう武器でありますけれども、この面で追及をいたしております。それによって、何とかこの人員のふくらみを防止したい。ことに若い人たちがこういうものにあこがれていくような状況があってはたいへんゆゆしいことでございますので、こういうものは許すべからざるものであるという観念国民の間に浸透するということが一番大切だと思っておるのでありますが、幸いにして、そういうような風潮は最近はやや強く国民の間に浸透したと思っております。   〔委員長退席理事沢田一精君着席〕  ただ正直に申しまして、日本を東と西に分けますと、東はわりあいにわれわれの計画が進捗しておりますけれども、西はやや出おくれております。今後はこのほうがわれわれとして大きな重点を置かなければならないことだと思っております。
  18. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのお話の、西のほうが少し出おくれておるというのは、一体どういうことなんですか。どういう事情で出おくれたというふうにあなた方は見ざるを得ない状況になっておるのかですね。
  19. 新井裕

    政府委員新井裕君) 私の個人的な意見を申し上げますと、結局西のほうが早く文化が進んでおったせいだと思うのですけれども、こういうものに対して、わりあいに経済的な基盤が東よりも強固のように思われます。したがって、先ほど申しました三つの要素のうち、金という要素は東より、私ども見ておるところによりますと、豊富なように思います。したがいまして、それだけ強いということも言えるかと思いますが、非常にむずかしい問題でございまして、   〔理事沢田一精君退席委員長着席〕 前に当国会におきましても同じような御質問を受けたのでありますけれども、たいへん個人的なことで申しわけありませんが、そう考えております。
  20. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ端的に言うとあれですが、そうしますと、あなたがたが、いわゆる暴力団対策として、ここ二、三年特に力を入れてやってきて、あるいは解散とか、あるいは一部のものはもうなくなってしまったんだというような、そういうような傾向になってきていると思うのですが、しかしそういう点から見ますと、束のほうは何とか効果をあげているんだけれども、まだ西のほうには効果があまりあがっておらぬと、こういう意味なんですか。
  21. 新井裕

    政府委員新井裕君) 西のほうが、先ほど申し上げましたように強固でございますから、東よりは相当長い期間かかるだろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
  22. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方、端的に言って、私ども感じますことは、確かに昨年の上半期あたりまでは、相当あなた方は強力に、執拗に、それこそ追及の手をゆるめないで、どんどんやっておったような感じを受けますが、最近何か少し手を抜いたわけでもないでしょうが、何かこう一段落をしたというようなことで、安心をしておられるのじゃないかと思われるようなこと、これは私ども、いわば新聞とか何かに報道されるそういう幾つかの問題なりから見てそう感じるのですが、そこら辺はどうなんですか。
  23. 新井裕

    政府委員新井裕君) 数年前の非常に大きな成果は、資金源というものに対して、主として賭博の非現行犯というものをあげるために、捜査技術が非常に開発されたということで、いままで言ってみますと、やれなかったことがやれるようになったということで、非常に伸びたように思います。したがいまして、いま中だるみでも何でもないのでございます。その当時がはなはだしかっただけに、いま何となくじみに見えるということでございます。それと同時に、そういう資金源を追い詰められましたので、やはり先方の活動も非常に用心深く、ある意味では不活発になっているという状況でございますけれども、先ほどから何回も申し上げますように、壊滅をしたなどという状況では毛頭ございません。今後ともわれわれとしても基礎資料を十分に把握いたしまして、慎重にシラミつぶしにやってまいりたいと思います。
  24. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきもちょっと申し上げましたが、銃砲刀剣等の問題でいろいろな事故が起こっておりますが、そういう事故については、私は軽視せよというわけではないけれども、いわば誤って、あるいは何か突発的に出てくるというような事柄もずいぶん多いので、問題はこういうものを持って、いわば暴力ざたといいますか、そういうことで問題を起こすのが一番こわいのです。また、けしからぬものだと思うが、そういう意味で、私は今後とも暴力団、あるいはそれの関係でいろいろなチンピラみたいなものもあるようでございますが、そういうものには銃砲等、そういうものを持たせないようにやる、こういうことが特にこれから注意しなければならない問題だと思うのですが、いまのお話では、手をゆるめないでやるという、こういうことでありますから、けっこうでございますが、ひとつこの点について、なお一そう努力していただきたいと思うのです。しかし、これは私の主観でございますが、何か最近そういうことに対して若干手をゆるめるというほどでもないでしょうが、そんな感じを受けるのですが、これはあくまで、とことんまで追及してやってもらいたい、こういうふうに思います。これについて決意のほどをもう一度お伺いしたいと思います。
  25. 新井裕

    政府委員新井裕君) 御指摘を待つまでもなく、われわれとしては、暴力追放長期計画といたしまして考えていることでございます。相手が一つの集団を持っております。また、相当継続的に非常に市民生活の中に食い入っておりますものですから、十分の用意をしつつ、あるいは、ことばは悪いかもしれませんけれども、われわれも十分の戦術を練って、こういうものの組織の最も急所をつくということを目標にしつつ、しかも日常のそういう団体によります市民生活に対する干渉による犯罪あるいは事件というものをシラミつぶし取り締まりをしてまいるつもりでございます。もしそういうことでわれわれが非常に手をゆるめているという誤解があれば、たいへんわれわれも残念でございます。この機会にそういうことは絶対ない、また、そういうことでなく、努力しつつあるということを御了解願いたいと思います。
  26. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはいまあなたから誤解があると言われましたから、私どもそういうことはないだろうと思いますから、これ以上申し上げませんが、ただ、たとえば数年前から暴力追放といって、大きな看板を掲げてやりました。その間小暴力追放とか——今度はしかしどうも交通関係の、これはそういう暴力問題とは違って、また一つの大きな問題なんですけれども、何かときどき看板が、あるいは目標というものが移ってきて、いつか忘れられたんではないか、忘れられたんじゃないかと言うと、ちょっと言い過ぎですが、若干重点が移ったんじゃないかと思わせられることがあるのですね。やはり暴力団暴力事件というものはあるようですから、やはり看板はおろさないで、かけておいてもらいたいと思う。ほんとうを言うと、実際は手を抜いていらっしゃらないだろうと思いますが、何べんも申し上げますように、外部に与える感じなり、われわれが受けておる感じからしますと、そんなふうにも思えるので、これはやはり交通問題とともに、たしか一昨年かその前ですかね、二本並べた大きな目標としてやったと思いますが、それをやはりどこまでも続けてやっていくことが大事ではないだろうか。これは、われわれ一般の国民の受け取る場合に、たとえば新聞なんかに、暴力団の何々団が解散したとか、どこかへどうなったとかいうようなことを報じられて、一応安心はしておりますわね。しかし、それが、さっきもちょっと触れましたように、実態は必ずしも解散なり壊滅でなくて、擬装したような形でどこかに、かえって将来心配なような形で残されておる、こういうこともまた国民は知っているわけなのですね。それを一時のように、暴力団対策云々、こういった、ああいうかけ声で、これから徹底的にやってもらえるであろう、やってもらいたいと、こう思っておるときに、いつか、いま言ったような看板がだんだんおろされたような格好になってきて、実際はあなた方が一生懸命苦労をして、難儀をしてやっていらっしゃるかもしれませんけれども、与える印象なり感じというものは必ずしもそうではないということを私は申し上げたいわけです。これはひとつ大臣、公安委員長としてもお聞きになっていると思いますが、公安委員長としても、この問題、私はまあさっきも言ったように、決して手を抜いたとか、何とかということではないだろうと思いますけれども、どこまでも、それこそ暴力団壊滅、撲滅までがんばってやってもらいたいと思いますが、どうですか。
  27. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) お説のとおりにこれが壊滅を期して、さらに一段と構想を新たにいたして進む必要があるということを、私はこの正月の訓示の際にも申し上げたのでございますが、そのことは、権力主義の警察国家へ進むという考え方よりも、もっとひとつ民間の協力を得て、国民の総意のもとにこれが撲滅をやる。特に各警察署管内単位で協力委員をお願いをいたしておるところもございますので、その細胞化をはかって、そうして一体となって、明るい住みよい社会を建設するようにやることが、今年度の最大の目標であるということを申し上げました。  その理由とするところは、きわめて暴力は潜在化いたし、しかも巧妙化してきたのでございまして、取り締まりも非常に困難になってまいりました。すなわち、経済方面へ強く入っておりまして、たとえば建設請け負い関係の間にも入り込んでいって、あるいは入札、その他の中にも威力暴力的な行動でその資金源をかせぎ、さらに芸能関係との結び合い、あるいは競輪、競馬等のいわゆるギャンブル関係との関連をも持とうとする状態があり、さらにまた、非常に残念なのは、かよわい婦女子を中心といたしまして管理売春の犯罪が非常にふえてきたというような関係、こういうような方面で資金源の獲得をいたしておる。これらに対しては、厳に大蔵省に申し入れまして、やはり脱税の査察を強化していく。警察がこれを摘発して、ようようのことでこれに対して手をつけるというようなことは怠慢じゃないか。こういうことがあって調査が困難なら、むしろ向こうから警察に協力を求めるべきである。警察側のほうで出しておっても、これが調査を逡巡するというような傾向が見えることは遺憾であるということで、現に大蔵大臣にも厳重に申し入れておるのでございまして、この暴力団が潜在化し、巧妙化し、しかもこれが資金方面に非常に強く伸びてきまして、そうしていわゆる社会不安を与えておるという傾向に進展をいたしておることに対しては、厳に、ひとつ取り締まりに対しても、やはりもっと科学的な頭脳作戦をもって、十分今後協力を得ながら徹底的壊滅をやるということが、本年度の警察の大目的であるということを申しておるような次第でございまして、おことばの点はごもっともでございますので、今後もさらに厳重に努力して、これが壊滅を期する体制を確立したいと存じておる次第でございます。
  28. 鈴木壽

    鈴木壽君 警察庁のほうに、ここ三年くらいの間に、暴力団解散なり壊滅的な打撃を受けたというのが、幾つ新聞なんかにも報ぜられているのがありますが、ああいうような状況について、ひとつまとめた何か、われわれにも安心させるようなことのできるような資料をつくっていただけませんか。まあ安心させるというのは、ちょっとことばが変でありますけれども、たとえば、こういうものがなくなってしまったとか、こういうものはもう何といいますか、だめになってしまったと、いろいろ何々組が解散したとか何とか、いろいろなことが言われておりますね。そういうようなことの事実あったことに対して、そうしてまた、あなた方がそれに対してやったことに対して、何かこうちょっと——暴力団対策並びにその効果といいますか、それについてのまとめたようなものはできませんか。  それからもう一つは、地方における最近の暴力団状況ですね。これはまあ一々具体的に名前をあげることも非常にむずかしいかもしれませんが、こういうことについてひとつ私どもに教えてもらえるようなものをつくっていただければと思いますが、いかかでございましょう。
  29. 新井裕

    政府委員新井裕君) ただいまのお申し出、一。へん研究いたしまして、御納得のいけるような資料ができましたら、あらためて提出いたします。
  30. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからひとつ、押収した拳銃の中で駐留軍関係のものがかなり、——かなりといっても、そう実数では大きくありませんが、何か年ごとに、三十八年、三十九年、四十年と見ると、四十年あたり、上半期だけでもかなりふえておるような傾向があるようでありますが、こういうことで私ども非常に心配するのだが、何かこれに対して駐留軍関係との間に対策について話し合われたり、こういうことのないようにというようなことで、何か対策を講じたことがございますか。
  31. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) お話のとおり、押収拳銃の中で駐留軍関係のものが、昭和四十年の上期で二十一丁、四十年全体で四十丁というように、四十年になってふえております。これは四十年において岩国、横田等の基地で多量の拳銃が流れたということで検挙したものによるものでございますが、この点については、私ども法務省を通じまして、いろいろと駐留軍関係に、日本銃砲刀剣類所持等取締法の制定の趣旨、特に昨年密輸罪が創設されたと、そういうようなこと等、よく先方に伝えまして、そういう法律違反のないように十分な連絡をとっておるところでございます。
  32. 鈴木壽

    鈴木壽君 この駐留軍関係から流れてくるこの問題は、これはいまに起こった問題じゃなく、ある意味では、最近あまり多くならなかったとも言えることだと思いますけれども、しかし、また一面、四十年度上半期でかなり数がふえておるというようなこと、これはないがしろにできないことだと思うのですが、そこで向こうのほうにも申し入れていると、こういうお話ですが、これは具体的にはどういうコースで流れて出てくるんですか、あなた方のお調べになった点からすると。
  33. 新井裕

    政府委員新井裕君) この駐留軍の関係は、拳銃のみならず、猟銃等もときどき流れるのでありますけれども、大体は本人といいますか、犯人の兵隊が、自分の遊興費ほしさに持ち出して、そして売りまくるということで、組織的に大きなグループをつくって、継続的に流すというものは、少なくともいままでわれわれの取り締まった限りではそうございません。大体は駐留軍のそういう基地のあるところ及びその周辺に問題がございますので、現地の警察ごとにいろいろ申し入れもいたしますし、なぜそういうものがやすやすと持ち出されるに至ったかということにつきましては、日米合同で原因を調査いたしまして、こっちからも厳重に施錠その他について、あるいは管理、出納等について申し入れをして、そのたびごとに処置をしてもらっております。ただ、われわれ彼らと接して思いますことは、われわれ日本人が思うほどには、あまりこういうものに対して、真剣というと少し語弊がありますけれども、差し迫まった気持ちは持っていないというのがときどきございますので、それは非常に困る。現にケネディを暗殺した小銃が通信販売でやっておるようなそういう国と、日本とでは非常に違うので、そういう実情をよく話をしてやっております。いま申しましたように、一般的にはそういう日本の法令を守るということは、行政協定その他にもはっきり書いてありますので、これを趣旨徹底させるとともに、現地現地で現実の危険があるたびごとに、新たな現実の危険のありそうなところについても随時申し入れをし、協議をし、また施策を及ぼしておるわけでございます。
  34. 鈴木壽

    鈴木壽君 駐留軍関係で、こちらからの何かの申し入れなりあった場合、何と言いますか、それに基づいて忠実に——忠実にじゃない、本気になって、流れ出ないような措置をやっぱり講じておるんですか、あなた方の見るところ、受け取るところは、感じとしては。どうも日本人とは多少違うというようなお話があるものですから……。
  35. 新井裕

    政府委員新井裕君) いま申し上げましたように、行政協定でも日本の法令は守らなければいけないと、はっきり書いてありますから、その点については非常に徹底しておると思いますし、また、いま申し上げましたように、現地で具体的に、私自身も第一線におりましたときに、交渉の経験がございますけれども、それに対しては非常に真剣に、直ちに改正措置を講じております。ただ、何といいましても、軍というものは交代が激しいものですから、これについてはわれわれのほうも油断なく、定期的な連絡もし、もちろん、現地の警察もございますので、事あるごとにその点の注意を喚起いたしております。
  36. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 補足して申し上げます。  私どものほうで日米合同委員会刑事裁判籍分科会等を通じて、先方に当方の法律の内容及びその改正を申し入れまして、その内容が先方の部内通達で流れている。十分われわれの法律の内容を部内に徹底している、こういうことを確認いたしております。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 徹底しておっても、しかし、かえって銃剣が流れるということになりますと、どっか駐留軍のほうでそういうことに対する取り締まりといいますか、管理といいますか、ルーズな点があるのじゃないかと思うのですがね。それはひとつ特に念を入れてやっていただきたいということを申し上げておきますが、この駐留軍関係から流れ出たというものが、どういう所に多く行っておりますか。これはどういう所で手に入れておるのですか。
  38. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 四十年の例で申しますと、岩国基地の米軍人から流れ出たもの、これは暴力団員等に密売いたしたもの、事件としましては、むしろ暴力団員のほうから捜査して、そうして米軍人のほうから流れたということがわかったので、それからさらに警視庁及び大分県で四十年六月行ないましたもの、これは暴力団にやはり十五丁ばかり流れているというものでございます。もう一件は、横田基地の件、これはガン・マニア等に密売しておる、こういう事例でございます。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは暴力団不法に保持しておったもの、それからこう洗っていって、出所を追及していって駐留軍から出たのだ、こういうふうなことがわかったわけですね。その場合に、暴力団と直接つながっておるのか、あるいはまた中に介在する者があって、そうして暴力団の手に入っているのか、そこらあたりのルートはどうなんですか。
  40. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 直接につながっているというよりも、むしろ基地周辺にブローカーがおりまして、米軍人は、長官のおっしゃったように、遊興費ほしさに売っておる。ブローカーの手を通じて暴力団に渡されておる、こういうかっこうになっております。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういうブローカーに対するあなた方の、何と言いますかね、取り締まりなり、あるいはチェックをしていくというようなことをどういうふうにやっておられますか。
  42. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) そういうブローカーに対する視察、内偵を絶えず強化いたしておるわけでございますが、拳銃等は特に小さいものでございますので、捜査の実際を申しますと、ある者が不法所持しておる、こういう聞き込みがございまして、そこから捜査が始まります。そうしますと、私どもとしては、その拳銃がどこから出たか、根源のところまで追及していく。そうしますと、そこから一丁の拳銃が出ただけでなくて、もっとたくさんの拳銃が出ておる。その根源まで行きまして、ほかの拳銃がどこへどう流れたか、こういう捜査のやり方をいたしております。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、捜査のしかたなり、そのブローカーに対して、一体どういう対策をあなた方やっていますか。出てきたときに、わかったときに、こいつだと、こういうブローカーがおったと、こういうことだけなんですか。それとも常時、そういうことはいま始まったことでなくて、ずっと長いこと行なわれておるのですから、やはりそういう悪質なブローカー、こういう者に対して何か対策がなければならんと思うのですが、それはどうなんですか。
  44. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) いわゆるブローカーあるいは悪質な通訳、そういう拳銃密売の前歴者等につきましては、私ども常に視察、内偵を強化いたしております。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 かりにブローカーが暴力団に渡したといったときに、ブローカーは一体どういうふうな処罰をされますか。
  46. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 本人が所持いたしておりますと不法所持になります。また、所持いたしていない場合でも、不法所持の共犯と、こういうことになります。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから本人が所持しておるときはもちろん不法所持としてやられるでしょうが、いわば仲介役をつとめているわけですね。その場合には共犯というと具体的に一体どの程度の罰を受けますか。処分はどういうふうになっていますか。
  48. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 拳銃不法所持につきましては、五年以下の懲役または二十万円以下の罰金と、こういうことになっております。その共犯の場合もこれと同様でございます。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、最近具体的に何の何がしがどういうことをした、たとえばいまの共犯ということでしぼってもいいのですが、共犯のためにこういう刑を受けたというような、具体的な例もあると思いますが。
  50. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) ただいま具体的な資料はございません。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま名前を聞くとか、何年にどうしたとかいうことを聞けわけではないが、いずれそういうことをきちっとやっておるんでしょうね。
  52. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) さようでございます。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういう処罰を受けて、たとえば刑が終わったとか何とかといって、またブローカーみたいなことをやっているのがおりませんか。
  54. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) そういう事例は聞いておりません。
  55. 鈴木壽

    鈴木壽君 むしろある意味においては、そのブローカーといわれるような者が一番悪質だとも言えますね。好奇心で持っていたり、暴力団とかその他、何かそういうものから入手したということよりも、むしろかえって私はそういうことに仲介役をやる、いわゆる受け渡しの役をつとめるという、こういうのが一番私はひどいことをやっているものだと思うのですが、こういう点もう少し何とかあれですかね、処罰その他取り締まりにおいて考えるところはございませんか。
  56. 新井裕

    政府委員新井裕君) ただいま申し上げましたように、法定刑となりますと、共犯も共同正犯であれば、正犯と同じだけの処罰を受けます。いまはっきりした資料を持ち合わせておりませんけれども不法拳銃所持してどのくらいの処罰を受けているかということを、実は数年前にも裁判の判決をとってみたことがございます。常時は私のほうに来ておりませんので、ときどきそういうことで調べておるのですが、われわれが考えておるより案外軽い刑でございます。不法所持した者自体もそう重くはございません。したがいまして、いま御指摘のように、この次までに、その資料を、さがせばあると思いますから、お答え申し上げますけれども、それほど大きな処罰を受けていないというのがおそらく実態ではないかと思います。
  57. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの刑法なり刑の定め方からいって、やむを得ないというようなこともあるかもしれませんが、やはり私は、こういうものをなくすために——こういうものというのは銃砲等不法所持及び仲介役をやって、ブローカーのようなことをしている、こういう者に対してはやはりきちっとやらないと、これはいつまでたってもなくなりませんね。これは一丁について、たとえば拳銃についてどれくらいもうけるのかわかりませんが、いずれにしてもそのもうけはともかくとしましても、やる行為そのものは私は許せないと思うのですね。ですから、これはひとつあとでどの程度の刑なのか、もし資料ができたらお見せいただきたいと思いますが、こういう問題についてもう少し考えていく必要があるのではないかというふうに思いますね。  それからあのフィリピンのセブ島ですか、あの密造の問題、だいぶ大きな問題となって、あなた方のほうからもフィリピンに実際に人が行ったようなことがあったようでございますが、その後あれはどういうふうになっていますか。心配ないような状態になっておるのかどうか。
  58. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 最近は若干フィリピンからのいわゆるCRS拳銃、これの密輸入は若干数は減っておりますが、まだ油断のできる状況ではない、こういう状況であります。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういうルートはどういうふうに入ってくるのですか。
  60. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) フィリピンのCRS拳銃についてみますと、日本人あるいは外国人の船員等がフィリピンに寄りまして、そうしてそれを買って日本に持ってくる、こういう格好であります。しかし最近の拳銃のこういう密輸の形は、そういうもののほかにエールフランスの機長のケースのように、アンカレジその他北米から買ってくるという、あるいは山姫丸のように北米方面のほうから買ってくる、大体アメリカからくるものとフィリピンからくるもの、これが大多数で入ってくるものでございます。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなたのお話で、話が飛びますが、エールフランスの機長が相当の数を持ってきたということを新聞なんかで見ておりますが、それが全部のあれですか、持ち込んできた拳銃の数なり、あるいはそれがどういうふうにどう流れたのか、どれほどあなた方の手に押収されたのか、そこら辺、全部最終的まで、結末つくまであなた方やっておられるのですか。
  62. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 密輸されました拳銃の数はこのくらいである、こういうことがわかりますと、それを完全に押収するまで努力いたして、幸いにしてエールフランスの場合は百七十丁密輸されまして、百七十丁全数押収いたした。しかし中には努力いたしておっても、そう参らないものがございまして、山菊丸、山姫丸の場合には四十九丁密輸されておるのでございますが、うち四十一丁押収した、こういう状況でございますが、引き続き努力いたしておるところでございます。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま四十九丁のうち——四十九丁入ったということがわかっておって、四十一丁押収されておる。もう八丁ありますね。これのいま行くえといいますかね、追及しておられるんでしょうね。
  64. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) さようでございます。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、いま日本銃砲刀剣等に対するいろいろな問題が起こっており、それに対処する対策として、いろいろ法律改正なり、取り締まりの面でのそういうものももちろん必要ですが、問題はもっと、実際の問題として一体どう取り締まって、あるいは入ってこないように、入ってきたものを的確につかまえるように、持っておったやつはただで済まさぬと、こういうような取り締まりの面のそれに私問題があるんじゃないか。これはあなた方のやり方は、私誹謗しているんじゃないんですよ。そういう意味でなしに、非常なむずかしい問題ですからね、こういう点にやっぱりもう少し、私ども外から見て、より一そうの力を入れなければ、法律改正をして、所持する人の年限をどうするとか、その条件をどうするとかいう、そんなことよりも、もっと私は大事な問題だと思うんですがね、長官どうでしょう。
  66. 新井裕

    政府委員新井裕君) 御指摘のように、いかに法律を厳重にいたしましても、われわれの追及方法がまずければ一向に実効はあがりません。したがいまして、われわれといたしまして、銃がどういうぐあいに使われておるのか、どういうふうに国民の間に行き渡っておるのか、そういうような実情を十分に掌握すると同時に、現象面においてこういうものが使われる場合に、直ちにその根源をつく捜査をしなければならないと思っております。たいへん正直に申し上げまして、この数年はその根源をつく捜査につきまして、われわれも相当技術が開発されまして、ある程度追及ができるようになりましたけれども、前にはそういう点で、私自身やっておりましても、不本意な場合がずいぶんございました。国民の期待にほんとうに沿い得たかどうか、私どもとしても非常に残念に思う事態がときどきございました。こういう問題は、確かに法律改正と相まって、われわれの捜査体制あるいは捜査技術、それから実情の掌握ということについて、今後とも絶えず努力していかなければならないと思っております。
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはいま私申し上げたように、あなた方何もやっていないとか、やっていることがけしからぬとかいう、こういう気持ちは毛頭なくて、非常にむずかしい問題で、それぞれ苦心をしてやっておられると思いますが、しかしさらに、私やっぱりこの問題については、あなた方の体制の上からいっても、いろいろまた技術面からいっても、方法の上からいっても、これを強くやっていっていただきたいと思うんですがね。これはたとえばアメリカなんかに行くと、拳銃なんか、ほんとうに自由と言っちゃ悪いけれども、簡単に手に入りますわね。それからまた、いまお聞きしたように、たとえばフィリピンの密造の拳銃、こういうふうなものもなおまだいまも入ってきておる。そういうのに手を——何といいますか、それがまあいろいろな形で日本へ入ってきて、暴力団なり、その他困るようなところに持ち込まれる。たとえばセブ島の密造の問題でも、フィリピン政府とだいぶ話し合われて、向こうでも協力してやってくれたということを当時報道されておりましたのですがね。何かもっとそこの密造の場所に対する——これは日本のあなた方の手ではできませんけれども、向こうで的確なそれをなくするような手を打ってもらう。それからまた、かりに出たものについて、日本の船員が簡単にやっぱり持ってくるのですね。ここらあたりに私、やっぱり問題があると思うのですがね。ですから、そういうやはり全般的にいろいろ問題があるので、これをただ国の中で持っておる者けしからぬとか、取り締まるとかいうことだけでなしに、やっぱり広い、いろいろな立場、あるいはいろいろなルート、こういうものについて的確に手を打っていくということが私必要ではないだろうかと、それなしには、これはいつまでたってもなくならぬことじゃないだろうかと思うのですがね。特に外国との関係、これはいろいろ出てきますから、そういうことについて何か具体的に手を打っておるというようなことございますか。
  68. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 昨年、拳銃密輸入罪が創設されましたので、この機会に、まず諸外国の警察の関係でございますが、メキシコで開催されました国際刑事警察機構の総会におきまして、私どもの代表から、日本ではこういうふうな法律になっておるので、日本人には拳銃等売らないでくれ、こういう要望をいたしております。なお、日本の法律の趣旨はかなり諸外国にも徹底されておりまして、昨年の山菊丸、山姫丸の検挙は、カナダの警察からの情報連絡によるものでございます。  なお、いま開催いたしております東南アジア諸国の麻薬ゼミナールにおいても、この拳銃の問題を取り上げまして、私ども日本の法律の趣旨をよく関係諸国の代表に説明いたしておる、こういうことでございます。なお、米軍に対して、法律が改正になったから、その旨を周知してもらいたいということは、いまさっき申し上げたとおりであります。さらに運輸省を通じまして、船舶及び航空機の乗員の関係に、拳銃輸入の罪ができたということを昨年、周知徹底いたしました。
  69. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣、いま私申し上げました、たとえばフィリピン政府との間に何かその後これらの問題の解決のために、突っ込んだような話し合いなり、あるいは協力要請なりというようなことございますか。
  70. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 直接大臣としては申し入れておりませんが、事務当局のほうにおきまして、十分向こう側と協力態勢について折衝を進めておるものであると聞き及んでおるのでございます。なお、今後におきましても、日米合同委員会その他の国際刑事関係あるいは麻薬関係等の国際会議等で十分ひとつお説のような点を強く申し入れまして、協力方をお願いをいたすように努力をいたしたいと考えております。
  71. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方のお調べになったのを見ますと、押収された拳銃等の出所が明らかでないというふうなものが相当な数にのぼっておりますが、これはやはりなかなかつかめないわけなんですか。
  72. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) いろいろと出所を追及いたしておるのですが、どうしてもつかめないものが相当あります。
  73. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは心配ですね、こういう数がかなりあるということは。たとえば駐留軍から出たものとか、あるいは密輸関係で出たものとか、いろいろ出所のわかるものはそれに応じた対策も考えられるわけなんですけれども、どこからどう入ってきてどういうふうに流れ出てきたのかわからぬ。これじゃ始末に負えないわけですね、対策をとろうとしても。これはやはり実情はどう調べてもわからぬと、こういうことなんでしょうかね。第三のルート、第四のルートが別にあるわけになるのですね、こうなりますと。そこら辺どうでしょうか。
  74. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) おっしゃるとおり、対策を立てるにいたしましても、また、いまさっき御説明いたしましたように、根源に、出所にさかのぼって、そうして出所からさらに流れておる拳銃追及する上からいたしましても、この出所の追及ということは非常に重要なことでございます。どうしてもそういうととで、できる限りの追及をいたして、さらにそれから他へ流れたものも追及いたしておるわけでございますが、遺憾ながらこれだけの数しかわかっておりません。
  75. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはたとえば私が所持しておったものが見つかった。そうすると——あなた方、これは例ですから気にかけないで——あなた方は私を調べて、私は言わない、こういうことなんですか。どこから私が手に入れたとか言わないとか、こういうことなんですか。それで出所がわからぬとこういうことなんですか。もちろん、いろいろあなた方としても、調べる側としても探索をしていくでしょうが、端的に言えば、そういうことからどうしてもそれがつかめないということなんですか。
  76. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) そういう場合もございますが、むしろそうではなくて、だれから買った、だれから買ったと、こういきまして、買った相手がどこのだれかわからない、こういう者から買った。そのために、そこから上をどうしても追及していけない。このケースが大部分でございます。なお、この出所の追及のことについて一言御説明いたしますと、昭和三十七年当時は押収拳銃三百三十三丁のうち出所不明が二百九丁、大体三分の二までが出所不明であったのでございますが、出所を追及しなければいかぬということで、昭和三十九年の場合を申し上げますと、七百九十二丁のうち三百五十五丁——半数。三分の二まで出所不明であったのが、大体半数以下のところまでに出所不明が下がった。それだけ出所の追及が徹底いたしております。さらに、四十年の場合には、九百五十丁の押収拳銃のうち五百四十四丁が出所不明、大体半数ぐらいというところまで追及いたしている、こういう状況でございます。
  77. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまお話しになったように、三十九年度には七百九十二のうち三百五十五が出所不明、四十年度上半期は五百十丁のうち二百九丁が出所不明と、こうなっておりますが、大体半数、それに近い数、それが不明になっている。ですから、私心配なのは、そういうふうに出所の不明なもの、一応それでも押収したということにおいては効果があるのでありますが、対策を立てる場合のことで、出所がどうなっているのかわからぬというようなことが私はやはり心配なこととしてあげることができると思います。また、そこに一つの、これら銃砲等取り締まりの全般についてのどこか目の届かないところがあるのじゃないか。一生懸命いろいろやっていらっしゃるにもかかわらず、目の届かないととろがやはりどこかにあるのじゃないかというような心配を持ちます。といっても、出所不明だからやむを得ませんが、あなた方としても頭の痛いところでしょう。どこからどう来たのかわからぬ。できるだけ先へ先へと追及していって、ここから来たのだということがわかれば、何べんも言うように、それなりの対策も立つわけなんでしょうが、どう来たのか、どういうルートでどういう手を経てきたというようなことが一切わからぬというふうになりますと、打つ手がなくなりますね。
  78. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) いま申し上げましたように、出所の追及ということに努力をいたしまして、昭和三十七年当時よりは三十八年、三十九年と向上いたしているわけでございますが、どうしてもだれかわからぬ人から買った。だれから買ったのかわからない。その住所氏名等を知らないというケースの関係上、そこで追及がとまる。しかし、私どものほうでは、その住所がはっきりし、刻印がはっきりしておれば、さらに製造会社、たとえばベルギーの会社でありますと、その製造会社に聞きまして、そうしてそれが一体どこにどう売られてどう入ってきたのか、そっちのほうからも追及して、ときにはうまく結びつきそうになることもあるのです。どうしても途中のところでわからない。所持者から追及していって、ぽつんと切れる。会社のほうから追及していって途中でわからない。この間を検討してもつながらないというケースがあります。ただ、そういうことで、一丁の拳銃があって追及してまいる。一丁だけ持ってきて売ったという場合よりも、むしろ数丁持ってきて、ある者にその一丁を売った。追及していきまして、五丁入ってきた、そのあと四丁がどうなったかということを追及してまいるわけでございますが、お話のございました対策を立てるという面から申しますと、大体駐留軍関係、あるいは密輸、あるいは旧軍人、あるいは手製というような、大体この四つの範疇に入る、かように考えております。
  79. 鈴木壽

    鈴木壽君 それはもちろん日本でいま考えられるところは、駐留軍関係とか、あるいは密輸、あるいは旧軍人関係とか、日本の旧軍隊のものとか何か、そんなものしかありませんから、それはそれなりに考えられるのだが、一体それがどういうふうなことでというようなことまでつかまないことには対策は立たぬでしょう。困った問題だと私思いますが、さればといって、これはまあすぐどうということにもならぬ問題ですから、まあひとつ要望したいことは、いま言ったようなことも含めて取り締まるということに対しては、ほんとうにより一そうの努力と、それからいろいろな方法を考えていただいて、さっき長官からお話があったように、いろいろやり方についての方法的な開発をやっていただいて効果をあげ、また国民を安心さしてもらうようにやっていただきたいという、こういう気持ちからいま聞いているわけなんです。  それから、その問題、一応そのくらいにしまして、最近の銃砲等による事故に、何といいますか、精神の正常ならざると申しておきましょうか、異常というか、どうなるのか、精神の正常ならざる人たちによる事故がかなりあるように見受けられる。ふだんはたいして変わったというような人ではないけれども、しかし、いろいろ調べてみるとそういう人だったと、こういう問題、これは、私まことにおそろしい問題だし、重大な問題だと思うのですがね。こういうことに対して、あなた方、事故一つの原因として精神の異常——正常でない人たちによって起こるもの、あるいはそれに対する対策、こういうことをひとつどういうふうに考えておられるのか。私が言ったようなことが、むしろそんなことはないんだ、心配しなくてもいいんだというふうにおっしゃられるのか、そこら辺ひとつ考え方をお聞きしたいと思いますがね。
  80. 新井裕

    政府委員新井裕君) 御指摘事件が去年、たいへん数が多くはございませんけれども、意外な傷害が起こったので、総理府令を改正いたしまして、今後所持許可をする人は、お医者さんから精神状態が間違っていないという証明書を出しなさいというふうにきめました。これは、去年の七月からでございますから、それ以前のものについてはそうでございませんし、また、おそらくお医者さんということで一般的にきめておりますので、必ずしもそれだけで十分であるとは言えないとは思うのですけれども、精神の関係の専門医がそう数は多くございませんので、やや妥協的でございますけれども、お医者さんにこまかく見てもらいなさい、見て、この人はおかしくありませんという証明書を持ってこなければ上げませんよというところまでは一応こぎつけたわけでございます。
  81. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、そのお答えの前に、もう一つ、私が言ったようなことで、あなた方としても、これに対してはやはり考えなきゃならぬというようなことについてどうかということをまずお聞きしたわけです。まあ、しかし、お答えからしますと、これは何か手を打たなければならぬというようなことで、医師からの精神に異常がないという証明書ですか、診断書ですか、そういうものがなければいかぬというふうに総理府令を改めたと、こうおっしゃいましたが、そういうことなんですね。
  82. 新井裕

    政府委員新井裕君) そうです。
  83. 鈴木壽

    鈴木壽君 ところが、医師の診断書といっても、そうすると、去年の七月からはみなそういうふうに診断書で——診断書といいますか、証明書といいますか、それで全部今後所持する者は出して、やっておるんですね。これでどうでしょう。効果といいますか、あなた方の期待したようなこと心配なく出てきますかね。
  84. 新井裕

    政府委員新井裕君) 実はこれ、この前の衆議院の地方行政で道交法の運転者の免許についても御質問がございまして、私ども悩みの種でございます。と申しますのは、われわれしろうとなものですから簡単に診断がつきそうだと思うのですけれども、いざ正確にある権利を与えるかどうかということでありますと、たいへんな精神鑑定に手続が要る。最小限度見積っても、金額にしても一万円近い金がかかるということでございますから、もしこれをほんとうに精密に行なえばもっと日にちもかかり、費用もかかるというので、ややそういう意味では妥協的と言えば妥協的で、鈴木委員の御指摘のように、これはお前全然一〇〇%安心かとおっしゃられると、どうもそうでございますとは言いがたいところがございます。いわんや、現に所持許可をしておる人たちにつきましては、今度この法律の改正案が通りますれば、許可の更新がございますから、そのたびごとにある程度チェックはできるのでございますけれども、それまでの間は、現在所持許可を持っている者についてはまだまだ安心ができない状況でございます。私はこれはお医者さんにも少し奮起していただいて、もう少し簡便で、しかも的確な診断方法を考えていただいて、ほんとうにむずかしいものについて少し手数をかけて診断をして、そうして一〇〇%安心であると太鼓判を押してもらって、許可してというふうに進んでほしいということを個人としては希望いたしますけれども、現状はそういうところでございます。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間もないようですから、きょうはこれ一つでやめますが、いまの点、いま考えられる、あるいはとり得る手は、長官からお話があったように、医師の診断書なり証明書というようなものでやるしかないと思いますが、ところが、実際、これもあなたのことばの中にありましたように、いわゆる精神科——精神のことについてのお医者さんというのは、特にいなかに行った場合には、これは不足していますね。そりゃお医者さんだから一応それはできるかもしれませんけれども、しかし、この問題というのはそう簡単ではないようですからね、その診断ということが、正常な人だと思って何年もつき合っておったものが、いやこういう人であったと、あとから、何か問題を起こしてからわかるというようなことなんかございますから、なかなかこれはむずかしい問題だと思うのです。ですから、それをお医者さんが、たとえば、ぼくが行って、今度銃砲持つのだがひとつというようなことで行けば、おそらく簡単に書いてくれると思いますね、お前は正常だという証明といいますか。ですから、どうもそこにも安心できないものが一つあるわけなんですね。これは交通違反の事故を起こす者の運転者等の精神状態、これも同じようなことなんですけれども、これはほんとうに頭の痛い問題だと思うのですね。私は、いまの世の中で、たとえば銃砲等所持しておるあるいは刀剣を所持しておっても、そうむちゃに振り回して事故を起こし、害を与えるというようなことを一般の人にはそんなに心配する必要はないと思う。問題は、やはりいま私の言っておる、いわゆる正常に見えておってどこかに異常性を持っておるというような人、おそろしいのはこれだと思うのですね。若いから必ずしもどうということでない。所持すべき許可の年齢がたとえば十八歳だからいけないとか十九歳だからいけないとか二十歳でなきゃいけないというようなことでなく、むしろ精神状態がどうなっているかということだと思うのです。これは、いま申しましたように、なかなかむずかしい問題であり、しかも、ほうっておけない問題になってきていると思うのですが、もう少しこれは検討しなきゃならぬと思いますね。いまの状態では、かりに診断書なり証明書なりというようなことがあっても、ほんとうのところは見のがされた形で、だれでもが持てるようなことだと思います。これは何とかやはり的確にチェックする方法、あるいはまた、持っておった者でそういうものが出た場合にはいち早く措置をとる、こういうようなことを考えていかないと、いろいろな事故等は私はなくならないと思いますし、また、国民の不安というものもなくなるというようなことはないと思うので、この点ひとつお考えをいただきたいということで、次回にまたこれに関連して多少お聞きしてまいりたいと思いますが、きょうはこの程度でひとつ。
  86. 原田立

    ○原田立君 拳銃あるいは猟銃、空気銃等の取り扱い方が粗末で、事故を、死人を出したとかあるいはけが人を出したとか、そういうふうな統計はございますか。去年は何件くらいですか。
  87. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 昭和三十九年の場合、猟銃が百八十三件、空気銃が四十九件、その他の銃砲が十九件、合計で二百五十一件、こういうことになっております。
  88. 原田立

    ○原田立君 その中で、先ほど鈴木委員から何度もお話のある暴力団関係事件とそれからいわゆる一般の事件とではいかがですか。
  89. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 私ただいま御説明いたしましたのは、事故の件数でございます。事件について申しますと、拳銃関係事件昭和三十九年の場合九十四件、猟銃関係事件が七十四件、空気銃が三十七件、その他の銃砲が十四件ございまして、合計二百十九件でございます。この事件と申しますのは、殺人、強盗殺人、強盗強姦、強盗傷人、普通強盗、強姦、傷害、恐喝とこれだけの罪種の犯罪に使用された銃砲事件でございます。御質問のうちどれだけが暴力団関係かということについては、統計の中からこれを判定することが困難でございますが、参考までに暴力団からの銃砲の押収状況を申しますと、昭和三十九年の場合が拳銃が五百五十二丁、猟銃が三百七十四丁、こういうことになっております。
  90. 原田立

    ○原田立君 問題は、今度一般的に法規制をするようになっていくんで、いまもお話があったように、一般の人はそんなにこわいとは思わないんですよ。問題は、暴力団とか精神病者とか、そういうところが一番問題点だと思うんですよ。そこをやっぱりしっかり掌握してもらいたいと思うんですね。それで、今度年齢の引き上げ等がありますけれども、十八歳十九歳、そういうような年少者の事故等は多かったんですか、少なかったんですか。
  91. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 事件事故を起こした猟銃、空気銃の所持許可者の年齢の状況でございますが、昭和三十九年の場合、所持許可を受けている未成年者の事件事故は七つ、所持許可を受けている成年者の事件事故は二百二十二、これを所持許可を受けておる数で割ってみますと、その比率は、未成年者の場合は二%、成年者の場合は〇・〇四%、こういうことで、未成年者の事件事故が比較的多かった。空気銃については、未成年者の事件事故が四件、成年者の事件事故は三十五件ということでございます。このほうも、所持許可の数と比較いたしますと、成年者より未成年者のほうが多い、こういう状況でございます。
  92. 原田立

    ○原田立君 それで中身でちょっとお伺いしたいんですけれども、今度講習をなさるようになっておるんですが、講習は何日間おやりになるんですか。
  93. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 一日でございまして、法令の知識を二時間、取り扱いの知識を一時間、その考査と申しますか、試験と申しますか一時間、全部で一日で四時間行なう予定にいたしております。
  94. 原田立

    ○原田立君 もちろん、銃を知悉している人が受けるんですから、四時間くらいで十分間に合うだろうと思いますが、何となしに不安な感じがするんですが、この講習を受ける人はどんな人でもよろしいんですか、精神異常は別にして。
  95. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 講習を受ける者は、猟銃、空気銃の所持許可を受けようとする者でございまして、受けようとする者であれば、一応講習は受けられる、こういうことでございます。
  96. 原田立

    ○原田立君 何かそこに特殊な基準なんかつくるようになっているんですか。たとえて言えば、先ほどから問題になる暴力団の若いのとか、あるいはちょっと札つきの不良青年なんかが非常にガンマニアだと、ぜひガンを持ちたいということで来た場合にこれはどうなるかということをお聞きしたい。
  97. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) それは講習の段階でチェックいたしませんで、講習を受けた者があらためて銃砲所持許可を申請してくるわけでございます。その所持許可の段階においてチェックいたしまして、たとえば暴力団というようなものの構成員でございますと、許可の基準の「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」ということで、許可の段階で不許可処分にすると、こういうことでございます。
  98. 原田立

    ○原田立君 よくわかりました。そこのところはひとつよくよく注意して法の施行はやってもらいたいと思うんです。  それから、この中に五年で更新するというようになっていますけれども、この五年の更新というのはどういうふうな基礎でおきめになったんですか。
  99. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 更新については、他の立法例でも、三年、五年、その他いろいろ分かれておるところでございますが、このたび猟銃、空気銃につきましてそれを先年といたしました考え方でございますが、この更新の制度が、その所持許可を受けた本人の身体的条件が変わっていないかどうか、それから、許可を受けた猟銃、空気銃の構造、機能が変化をしていないかどうか、こういう点でございます。大体対人的な許可の場合には三年という更新の期間が多いようでございますが、銃砲刀剣の場合は対人のほかに対物——物の変化という点もございますので、五年が適当であると、かように考えたわけでございます。なお、現在約八十八万丁の猟銃、空気銃がございまして、これを分けて更新を行なっていくということで、いろいろ事務量その他も勘案いたしてみますと五年が最も適当である、かように考えた次第でございます。
  100. 原田立

    ○原田立君 どうもその五年が最も妥当だというところがはっきりしないんですが、外国等において銃砲所持規定あるいは更新、それは何か参考になるようなことございますか。
  101. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) イギリス系の立法例がこの更新制をとっておるのでございます。私ども承知いたしておりますところでは、英本国及び香港も同様でございます。その場合の更新制は三年の更新をとっているようでございます。
  102. 原田立

    ○原田立君 この前今竹局長さんに少しお伺いしたのでありますけれども日本の国内においても三年更新にするというような意見も一部にあるように聞きました。また、世界的な権威あるそういう規定上からいっても三年であるというのに、日本だけどうして五年にしようとなさるんですか、そこのところがはっきりしないんですが。
  103. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 私どもも立案の過税におきまして、三年が妥当であるか五年が妥当であるかということについて慎重に検討を重ねてまいったのでございますが、この猟銃、空気銃の更新については、それが許可を受けた人の身体条件の変化、それから許可を受けた物の構造、機能の変化、この両方を見るものである、そういう点から申しますと、三年の必要はない、五年で十分である、また五年が最も適当である、かように判断した次第でございます。
  104. 原田立

    ○原田立君 それはそういうふうに判断なさったというならけっこうですけれども、いまの世の中はどんどん進歩発展しているんですし、いまの一年間は背の百年ぐらいに通ずるような進歩発展をしているんですから、銃関係だって非常な発展をするだろうと思うんですよ。まあ世界的に、イギリスあたりで三年でやっておるならば、むしろそれは三年でいいんじゃないですか。そのほうが考え方としては妥当性があるように思うんですが、どうでしょう。
  105. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 繰り返して申すようでございますが、所持許可を受けました猟銃そのものの構造、機能というものはそう変化をいたしません。また、現在の銃砲刀剣類所持等取締法の中でも、いわゆる検査という制度がございまして、在来もこの規定によりまして一斉検査その他の随時の検査をいたしておるところでございます。そういう検査がございますので、更新制をとるという場合には三年の必要がない、検査とあわせて更新制をとる場合五年が最も適当である、かように判断した次第でございます。
  106. 原田立

    ○原田立君 それではその問題はそれとして、法の説明の中に例外措置というようなことがきめられておりますけれども、これはこういう例外措置を講ずるんでなしに、全部有資格者というようになさったほうがいいんじゃないですか、逐条説明の第一のその一、二です。
  107. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 御質問は、銃砲所持の一般禁止の例外について合理化するための第三条第一項の改正の点だと存じますが、これは、現在の銃砲刀剣類所持等取締法は、まず銃砲刀剣については一般的に所持禁止ということを三条に規定いたしておりまして、そうして、特殊の場合に四条の銃砲等の許可あるいは第十四条の刀剣類の登録、こういう法のたてまえをとっておるわけでございます。そこで、そうでございますが、この三条の中でいろいろと除外例を設けておりまして、たとえて申しますと、一号の、「法令に基き職務のため所持する場合」、あるいは二号の「国又は地方公共団体職員が試験若しくは研究のため、又は公衆の観覧に供するため所持する場合」等の除外例を設けておるわけでございます。このたびの案で、猟銃、空気銃の取り扱いに関する講習会を行なう、かように考えておりますので、講習会で警察職員所持するような場合、これもこの一般禁止の例外に考えたい、ちょうどこの現在の第二号の、「験試若しくは研究のため、又は公衆の観覧に供するため所持する場合」と同じようなケースであるので、例外として規定いたしたい、かように考えておるものでございます。
  108. 原田立

    ○原田立君 ですから、こういう例外措置を講じて、都道府県の警察職員はこういう講習なんか受けなくても所持することができるとか、あるいは講習会の講習に従事する都道府県の職員も同様に講習なんか受けなくてもよろしい、こういうふうな例外措置でしょう、これは。ですから、そういうような例外措置はむしろ講じないで、拳銃、猟銃等なんかはむしろ凶器の部類に属するんですから、だから、もっと厳正にする意味においても例外措置は不要じゃないか。どうしてこんなことを言うかというと、たしか去年——月日はど忘れしましたけれども、警官で拳銃を自宅に持ち帰って、それでうっかり間違って同僚を射殺したというような事件がありました。そういう意味で、こういう例外措置なんかはむしろやんないほうが綱紀の粛正ということになるんじゃないかと、こういうところの考えから申し上げるのです。
  109. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) ただいま説明で申された場合は、三条の一項百万に、「法令に基き職務のため所持する場合」に該当する場合だと思います。現行法では、そういう法令で職務のために所持する場合、あるいは二号の、「国又は地方公共団体職員が試験若しくは研究のため、」等で所持するというような場合には、第四条の許可を要せずしてそういうものを持てる、こういう規定になっておるわけでございます。そこで、こういう例外規定で持てるものについて、そういう銃砲の扱いの知識の講習の問題あるいはいろいろと更新検査等の問題があるわけでございますが、まず講習について申しますと、そういう法令に基づき職務のために所持するような職務等につきましては、十分に銃砲取り扱い知識についての教養、訓練をするというように、それぞれの官庁の内部規定で定まっておるところでございますので、その必要はないんではないかと、かように考えております。それから、更新の点につきましても、それぞれ物品管理法等によって物自体が十分に管理されておりますし、また人的な面でもいろいろ服務規律等によって十分に管理されておるところでございますので、現在のような三条一項の事例については例外的な扱いをしてしかるべきものと、かように考えておるところでございます。
  110. 原田立

    ○原田立君 それでは、その第一のその二のところの、「猟銃等販売事業者または捕鯨用標識銃等販売事業者」、その業者ですが、これらが、「没収その他の理由により国または地方公共団体に帰属した銃砲を競売等の方法により業務のため譲り受けた場合」、その所持の許可を要しないことにしたというのですけれども、このところは、こういうことで弊害はございませんか。
  111. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 従来、こういう猟銃等販売業者または捕鯨用標識銃等販売業者等が裁判で没収された、あるいは公安委員会で領置された猟銃等について払い下げを受ける場合でございますが、そういう場合にも一々所持許可の手続を要することになっておったのでございますが、これらの業者については平素から十分な行政的な指導監督が行き届いておるところでございますので、かような規定を設けても弊害を生ずることはないと、かように考えております。
  112. 原田立

    ○原田立君 いまの重ねてお聞きするようですけれどもね、銃砲店のやみで横流ししたなんという、そんな事件は過去に一例もありませんか。
  113. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 猟銃の製造業者が横流しした事件は、昨年一件ございますが、銃砲店の横流しという事件の例は聞いておりません。
  114. 原田立

    ○原田立君 まあないことを幸いとするのですけれども、それがまあ今後そういうようなことがあってもなりませんし、ただ、ここでこの所持について許可を要しないということにしておりますけれども、これはある程度定期的な検査ですね、あるいは届け出の義務制とか、そういうようなことはなっておるのですか。
  115. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 現在の法律によりますと、そういう銃砲の類を業者が売る場合には、所持許可証を持っておる者でないと売ってはならない、こういう規定がございまして、所持許可を持たない者に売るということはできない、こういうたてまえになっております。そういう銃砲店等に立ち入り検査ができるか、あるいは定期報告を求めることはどうかという御質問でございますが、そういう権限はいま警察にはございませんが、横流し等のことがあれば、いま申しました法律の違反として捜査する、こういうことになるわけでございます。
  116. 原田立

    ○原田立君 警官の拳銃の保持ということで法律をこの前調べてみたのですが、あまり法律では、どこでどういうふうに保管して、修理してというようなことがはっきりしておりませんけれども、これは何か内部規定ではっきりしておるのですか。
  117. 新井裕

    政府委員新井裕君) 警察官拳銃所持規定は、警察法に小型武器を使用できるというところがございますが、中の保管その他は内部規定で厳重に、詳細にきめてございます。
  118. 原田立

    ○原田立君 いろいろと調査したり何かするときに、要するに、銃砲等不法所持等がないかどうかということで調査するときに、相手の人のところへいろいろと調べに行った、その場合に、そんなものは持ってないと断わられた、そのまま、はあそうですかと言って帰ってくることはないだろうと思うのですけれども、そのあと一体どういうふうにするのかというのが一点と、それから、ひとつ意見としてつけ加えておきたいのは、不幸にして一般民家ですね、それが何かの関係で持っておったと、制服の警官がどかどかと行くと、特にいなかなんかはたいへん精神的な打撃を受けるわけなんですけれども、そういうような実際のやり方等についてどんなふうになさっておられるのか、この二つ。
  119. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 銃砲刀剣に対します現在の規定は、「(検査)」という条項が十三条にございます。これは、都道府県公安委員会は、その所持が適正に行なわれているかどうかを調査する必要があると認めるときは、警察官に、あらかじめ日時及び場所を指定して、所持をする者に対して許可証の提示をさせるとかあるいは質問をするとか、許可証を検査することができる。こういう規定でございます。これはあらかじめ日時及び場所を指定して行なわれるものでございます。それ以外の規定はございません。それ以外の面につきましては、銃刀法の違反になる場合、刑事訴訟法の手続に従ってこれを捜査する、こういうことになるわけでございますが、お話のございました人権を尊重することは当然のことでございますので、私ども常に心がけておるところでございます。
  120. 原田立

    ○原田立君 事故というのは、あるべからざるところで発生するのですし、全然起きないだろうと思ったところで起きる、そういうのが事故だと思うのですよ。それで、どうかひとつ今後そういう不注意による事故の発生等がないように、その点はひとつ厳重に御注意願いたいと思うのです。  それで、最初の話にちょっと戻るのですが、講習は一ぺん受ければあと次々とただ更新の事務だけで永久に許可制のような形になっておりますけれども、これはもう少し強化したほうがいいんじゃないかというような意見があるのですけれども、これは長官、いかがですか。
  121. 新井裕

    政府委員新井裕君) 講習の効果につきまして先ほどちょっとお話がありましたが、どうも原田委員の御質問と保安局長と平行線であったようでありますが、さっきの第一は、警察官といえども猟銃を持とうとすれば講習を受けなければならないのでございまして、この特例というのは、教官になった者が、自分の名前でなく、猟銃を使っていろいろな部品の説明や何かするときには許可がなくてもいいよというだけの規定でございますから、誤解のないようにお願いしたいと思いますが、ただいまの講習の効果は永久的でございまして、いま申しましたように、たいへん簡単な講習でございますので、一ぺん講習すれば十分であるというたてまえから永久許可、一生その講習の効果は続くというたてまえでございます。
  122. 原田立

    ○原田立君 これで終わりにしたいと思ったんですが、そこでこれを、人間だれしも少し悪くなったとか、あるいはちょっと状況が変化したとかというときには、やはり永久許可でなしに、何度かそれ試験を受けるようなことにすれば、そのたんびに人間の精神的な面で新たになると思うのですよ。一ぺんだけ受ければあとは手続の更新だけでいいんだということでは、やはり何かざる法みたいな感じがするのです。で、拳銃事故というのは非常に大きいし、むしろこういうところはもっときびしい態度でいいんじゃないのだろうかと、こういうふうに私は思うのです。それは考えだけ申し上げておきます。
  123. 林田正治

    委員長林田正治君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。  次回は、三月二十四日午前十時開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会