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加瀬完君 加藤良作は三回入っている。県庁の中に三回入っている。ところが、ガラスが割れて、大ぜいの者が入ったときには、県庁の玄関の相当距離の芝生の上に腰をおろして、ガラスが割れて入るのを見ておって、その中には入っておらない。そこで今度は県庁の人が来て、代表者に会うから代表者を出してくださいと言われたので、自分の部落の代表者をさがしに入ってよろしゅうございますか、中にさがす人がおるんですけれ
ども——けっこうですというので入った。ところが、参りましても部落の代表者がいませんので、しかも自分は旗を持っておりますから、旗を持って県庁の中をうろつくというのはまずいだろうというので、外に旗を置きにいきまして、ほかの者に族を渡しまして、それでは代表者がいないのならば私がその代表になろうというので入った。ところが、お前のほうの代表は来ているよと言われて、代表にならずに出てきた。そこで部落の者と一緒に食事をして、県庁の中でお湯を飲ませるということだったんで、お湯を飲みに入った。入りましたのはこの三回でございますけれ
ども、この三回は、制止している声を聞かないで入った、あるいは器物を破損して入ったという、そういう状況の中ではありませんで、正常な状態になってから許可を受けて入っているわけです。これは
警察でも認めているわけです。はっきり認めておるのであります。誤認したということを認めておる。誤認だという一札を書けということに対しましては、ちゅうちょをして書きませんでしたけれ
ども、誤認逮捕だということを明らかに認めておる。これを認めない、いまのようなことをおっしゃるとするならば、私もはっきりと黒白をつけざるを得ない。事実はそうです。で、いま
局長は、刑事が結局証拠として何でとったか、写真でとった。写真には場所はわかりますけれ
ども、時間の明示は写真の上には出てきませんよ。そこで加藤に写真をとられたかと言ったら、その部落の代表をさがしに許可を受けて県庁の中に入ったときに、盛んにパチパチ写真をとっておったので、その中に私が入れられたんでしょう。そこで加藤は、その証拠と言う写真を見せてください、そのいわゆるあなた方の不法侵入だと言うときにはいなかったんです、いるはずがないが、いると言うならばその写真を見せてくださいと言いましたけれ
ども、これは
警察は加藤に見せませんで、本人が言うのに、その写真は正常な状態になってからの写真である。それで非常にそのいわゆる器物を破損して入ったときには、
警察の写真をとる
人たちは一人もいなかったんです。平静になってしまってから盛んに写真を写しておる。こういう状況で写真がとられておる。これはもう加藤良作は、取り調べの
警察側も明らかにいわゆる容疑の内容は具備しておらないというので釈放をされたわけでございます。こういう明らかな誤認逮捕ということを軽率に行なっておるわけです。
そこで、私は
法律的な点を法務省
関係に
伺いたいわけでございますが、その前に、当時の状況というものを
局長は御存じないようでございますから、ただいま御報告だけのようでございますので、当時の状況は、二百人程度の者が中に入ったということでございますが、ここに参りましたのは、結局、県庁を終点に流れ解散をするというので、二千人がそのまま来たわけでございます。その中には五百人程度の女の方がいる。そこでこの女の
人たちは県庁に参りまして、県庁で便所を使わせてもらおうということで参った。すると、全部戸を締めてしまいまして、便所を使わせてくれと言う者まで全部これを退けたわけでございます。しかたがなくて女の
人たちは自動車のかげや何かで用を足すというような、全く人権じゅうりんに等しいような仕打ちをいたしましたので、何だ、女の人が外で便所ができるか、便所だけ使わせろということで、戸を開けろ、開けないということが始まった。そのときに警備部長は、こういうデモを今後するならば、警視庁の応援を受けて天変地異同様の
取り扱いで徹底的な検束をするという放言をしているわけです。こういう
一つの政治問題の行為ですよ。それに対しまして天変地異同様の
取り扱いで検束をする、警視庁の応援を待って検束をするなどというようなことを警備部長は放言をしている。こういうばかなことをするから、結局誤解をする
一つの原因にもなるわけでございます。ところが、県の
責任者は、一応全部締めましたけれ
ども、いまの措置は間違っておったので、全部戸を開けますから、代表者の方に会いますからお入りくださいということで、戸を締めたということに対しましては、出納長も、知事も陳謝をしているわけです。しかし事件は事件だと言ってこれを取り上げたことになるわけでありますが、とにかくそういうふうに便所を使わせてもらいたいというような要求から、戸はどこも開けておかないので、挑発もあって大ぜいが県庁の中に飛び込んだということで、群衆心理による突発事件であって、県庁に乱入しようとか、県庁へ行って器物を破損しようとかいうような計画的な犯意のもとに行なわれたことではないと私
どもは思うわけでございますが、
警察では群衆心理による突発事件だとはお
考えになっておりませんか。計画的な犯行だという御見解ですか。