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須藤五郎君 待ちかねた
外務大臣がいま御
出席になりましたから、ここで
アジア開銀の
質問をちょっとやめて、
外務大臣に
質問したいと思います。
椎名さん、こういうことを私は聞いたんです。去年の参議院選挙のときに自民党の総裁の佐藤さんが広島へ行って、広島で演説をしたというのです。そのときにどんな演説をしたかと申しますとね、演説の中にこういうことをおっしゃったというのです。私は負ける戦争は絶対しませんと、こう言った。これを聞いた人が私にこう聞いたんです。佐藤さんは負ける戦争はやらないと言ったが、それじゃ勝てる戦争ならやるつもりかなと、こういう
質問を受けたのです。私も、佐藤さんずいぶんおかしい演説をなすったもんだと、そのとき感じた。しかし、その後の国会における発言、佐藤さんの発言、椎名さんの発言を聞いていると、どうも私はおかしいと思うのですよ。
今度の国会の特徴はどこにあるかというと、これまでひた隠しにしておった安保条約の正体やいろいろな問題を、今度
政府のほうから積極的に露骨に出してきたということじゃないかと思うのです。これが今回の国会の大きな特色ではないだろうかと、こう私は
考えるんです。その証拠にね、佐藤さんは三月十日の参議院の
予算委員会においてとんでもない失言といいますか、勇み足をして、とんでもない発言をした。それは
沖繩が攻撃をされるときは
日本の自衛隊を出動させるという発言ですよ。そのために野党がみな怒って、審議は一週間とまった。そこで、佐藤さんも前言を取り消すんだといって発言を求められて、十六日の
予算委員会で発言をした。それで、
沖繩に施政権が戻らない限りそういう事態があっても
日本の自衛隊の出動はあり得ないというような発言をされました。
沖繩が攻撃されたとき
日本の自衛隊がそれは見殺しにできないから出動するんだというと、いかにも勇ましく筋の通ったような話にも聞く人もあるのです。私
たちはそう聞かないです。じゃ、
沖繩の人は、
沖繩が攻撃され、そのとき自衛隊が出動することを心から希望しておるかというと、そうじゃないと思うのです。
沖繩の人は
沖繩が攻撃されないことを希望しているのです。
沖繩が攻撃されたときに
日本の自衛隊が出動して、それで
沖繩を見殺しにしないだなんて、そんなこと決して
沖繩の人も希望していないのです。
だから、佐藤さんこの前
沖繩に行ったときに、
沖繩島民に会って、
沖繩島民の気持ちをすなおに聞けばよかったんですよ。ところが、
沖繩島民が佐藤さんに押しかけたら、佐藤さんはびっくりして、
アメリカの兵舎に逃げ込んでしまった。こんなことで
沖繩島民の気持ちが佐藤さんに通じますか。佐藤さんはこんなことで
沖繩島民の気持ちがよくわかったなんて言えないですよ。言えないから、ああいうくだらぬ発言をするんですよ。
そうして取り消したというけれ
ども、取り消しになっていないですよ。
沖繩島民はそういう危険のないように、また
沖繩が攻撃されるときは
日本全土が攻撃されるときじゃないですか。そういう危険な
状態は
日本の全
国民も希望していないですよ。(「ここは
大蔵委員会だ」と呼ぶ者あり)あなたは先ほど聞いていなかったからわからない。
アジア開銀をするためには、これをはっきりしていかなかったらだめなんです。やかましく言いなさんな。(「
予算委員会でも外務委員会でもない」と呼ぶ者あり)同じことじゃないか。ぐずぐず言う必要はない。何言ってるんだ。
だから、そのためにはどうしたらいいかといえば、やはり
日本をそういう危険な
状態に置いておる安保条約を破棄すること、
日本から
アメリカの軍事
基地を撤去すること、
沖繩も含めてです。
アメリカ軍の撤退、完全自主独立、これを戦い取らない限りわれわれは常にそういう危険にさらされているということなんです。ここを私は
考えてほしい。ところが、そこどこじゃない。
あんた、この間五月二十五日、衆議院の外務委員会で、わが党の川上貫一の
質問に対して、安保条約は軍事条約でございますとはっきり答えたのです。これまでは安保条約は軍事条約だなんということは言わなかったのです。それを今度は露骨に軍事条約だと言っておる。そうすれば、日米安保条約というのが軍事条約とすれば、
アメリカと
日本は軍事同盟を結んでいるということになるでしょう。そうすれば
日本の憲法に反するじゃないですか。何とかうまく言いのがれるかもわからぬけれ
ども、実際は私は憲法違反だと思う。
ところが、もう一つ驚くことは、六月一日のやはり衆議院の外務委員会におきまして、社会党の戸叶さんや穂積さんのこの両議員の
質問に対しては、あなたはこう答えている。一般的には日米安保条約を結んでいることによって
日本が他国から攻撃とか脅威を受ける危険はあり得るが、とはっきり言っている。
日本とベトナムとの距離は遠く、ベトナム戦争をめぐって
日本がこのような攻撃、脅威にさらされるようなことはありません。しかし、日米安保条約がある限り、やはり攻撃脅威を受ける危険はあり得るということを、はっきりここであなたは認めている。そうしてそれを言いのがれるために、ベトナムは遠い、
日本から遠いから、いまベトナムでやられている戦争の結果
日本が直ちに攻撃されるというようなことはないのだと、こういうことを言ってごまかしている。それでは、これが距離が近かったらどうかということなんです。将来その戦争がどんどん大きくなっていって、きょうの
新聞報道によりますと、
アメリカは北爆を強めると言っておる。宣戦拡大すると言っておる。その結果
アジアにもっと大きい戦争になった場合、端的に申しますなら、朝鮮半島にこの戦火が飛び火したとき、そこでベトナムと同じような
状態が起こったら、これは距離という点からいったら非常に近い。そのときは、
日本は安保条約のたてまえ上攻撃を受けると、あなた、ここではっきり言明できますか。