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1966-06-24 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第28号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年六月二十四日(金曜日) 午前十時三十七分開会
—————————————
委員
の異動 六月七日
辞任
補欠選任
野溝
勝君
小野
明君
六月十六日
辞任
補欠選任
小野
明君
野溝
勝君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
徳永
正利
君 理 事 青柳 秀夫君 藤田 正
明君
柴谷 要君
中尾
辰義君 委 員 伊藤
五郎
君 植木
光教
君
大竹平八郎
君 大谷 贇雄君
西郷吉之助
君 西田 信一君
林屋亀次郎
君
木村禧八郎
君
田中寿美子
君 戸田 菊雄君 成瀬
幡治
君
野溝
勝君 瓜生 清君 須藤
五郎
君 小林 章君 国務大臣 外 務 大 臣
椎名悦三郎
君 大 蔵 大 臣
福田
赳夫君
政府委員
外務政務次官
正
示啓次郎
君
外務省経済協力
局長
西山 昭君
外務省国際連合
局長事務代理
滝川 正久君
大蔵政務次官
竹中
恒夫
君
大蔵大臣官房長
村上孝太郎
君
大蔵省主計局次
長
岩尾
一君
大蔵省理財局長
中尾
博之君
大蔵省国際金融
局長事務代理
村井
七郎
君
事務局側
常任委員会専門
員
坂入長太郎
君
説明員
外務省条約局外
務参事官
大和田 渉君
外務省国際連合
局外務参事官
松井佐七郎
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
外国為替資金特別会計法
の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
アジア開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
徳永正利
1
○
委員長
(
徳永正利
君) ただいまから
大蔵委員会
を開会いたします。 それでは、
外国為替資金特別会計法
の一部を改正する
法律案
、及び
アジア開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律案
の以上両案を一括して議題とし、審査を進めます。 両案につきましては、昨二十三日
衆議院
から送付され、本
委員会
に付託されました。 この際、
外国為替資金特別会計法
の一部を改正する
法律案
に対する
衆議院
の
修正点
について、
竹中大蔵政務次官
の
説明
を聴取いたします。
竹中大蔵政務次官
。
竹中恒夫
2
○
政府委員
(
竹中恒夫
君)
外国為替資金特別会計法
の一部を改正する
法律案
につきましては、
衆議院
において同
法案
の
施行期日
について
修正
が行なわれましたので、その
内容
について御
説明
申し上げます。 すなわち、同
法案
の附則第一項に規定しております
施行期日
につきましては、原案では「
昭和
四十一年四月一日から施行する。」となっていたのでありますが、
衆議院
において「公布の日から施行する。」と
修正
されたのであります。これは、この
法律案
を
昭和
四十一年四月一日から施行することが
審議
の都合上困難となったためでございます。 以上が
外国為替資金特別会計法
の一部を改正する
法律案
についての
衆議院
における
修正
の
内容
であります。何とぞ御
審議
の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
徳永正利
3
○
委員長
(
徳永正利
君) 引き続き、
質疑
に入ります。御
質疑
のある方は順次御
発言
を願います。
木村禧八郎
4
○
木村禧八郎
君 まず私は、さしあたって
外為会計
の問題について
質問
いたしたいんですが、今度の
外為会計法
の
改正案
の
内容
は三点になっているのですね。その第一は、
外為
の
インベントリー・ファイナンス
として
税金
で
積み立て
た
資金
を
一般会計
に
繰り入れ
るということが第一点ですね。それから、第二点は、この
アジア銀行
に対する
出資
であります。第三点は、
韓国
の
オープン勘定
における
債権
の
処理
であります。この
三つ
ともそれぞれ非常に重要な
意味
を持っておりまして、これは今後に重要な問題をはらんでおりますので、個々に掘り下げて
質問
する必要があると思うのです。 最近まあ
韓国
との
経済協力
が第一年度として発足するようになりまして、その
計画
も具体化しておるわけですが、しかし、この
計画具体化
についていろいろ当初予想されたのと違った
状況
が出てきているわけですね。たとえば第一年度の
有償無償
の
計画
でも、
協定
では大体五千万ドルとなっているのが、
日本政府
もこれは
韓国
と協議してきめたようですが、九千三百万ドル以上になっているのですよね。そういう点が
協定
と違っているのですよね。また、その他もっとこまかくいえば、いろいろ問題があるのです。たとえば
最初
は
無償
の
援助
に入っていた
中小企業
に対する
援助
なんかが
有償
のほうに振りかわっておったり、当初
経済協力
で
国会
で
論議
されたことと非常に違ってきておりますし、しかも、いろいろ
新聞雑誌等
に、いよいよ
日韓経済協力
が具体的にスタートしたにつきましては、いろいろな論争が行なわれている。それにはどうも芳しからぬいろいろ
うわさ
も報道されております。
朴政権
の何かてこ入れの
資金
として云々とかね、あるいは
日本
のほうの財界のこの
経済協力
についての芳しからぬ
うわさ
とか、いろいろそういうこともありますから、こういう点についてもっと掘り下げて、この
オープン勘定
における
債権処理
と関連して伺わなければなりませんし、また、これは
無償
の三億ドルの中で
処理
されるということになるわけですね。そうすると、
無償
では三億ドルですね。三億ドルとこの
オープン債権
の
処理
、それの残りが今度はほかのほうで
開発
に使われる、こういうことになるわけですが、そういう
関係
も、当初の
計画
と違って初年度九千三百万ドル以上になるというと、そういう点についていろいろ変わってくるわけですよね。
協定
では五千万ドルですね。十年ですから、そうすると一カ年平均で五千万ドルでしょう。それが九千三百万ドル以上になると、ちょっと違ってくるのですよ。それは今後どういうふうに
処理
されていくのか。今後の
経済協力
に
変化
が生じてくるのです。そういうこまかい点についても、
同僚議員
からおそらくまた突っ込んだ
質問
があるのじゃないかと思うのです。 また、
アジア銀行
についても、これは私も時間があればじっくりその設立の
目的
から定款ですね、いろいろありますが、
内容
、これはずいぶんいろいろ
論議
されまして、特に
政府
間で十日間
論議
されたのでありますが、しかし、従来のああいう
協定
と違いまして、中身についての十分な
論議
というのはあまりないんですね。かなり政治的な
論議
が多かったと聞いているわけですよね。しかも、
アジア銀行
は、あれは提案されてから大体四カ月くらいできまっちゃったんですよね。かなり何か倉卒のうちにこれがきめられているということであり、
外務省
なんか出している
資料
を見ましても、これはかなり政治的な
背景
のもとにきめられたのだと、そうなっているのですよ。「高度の
政治目的
を
背景
に」、そうなっておる。したがって、特にこの
アジア銀行
に対する
大口出資者
である
アメリカ
、
日本等
の
アジア経済開発
あるいは低
開発国
に対する
援助
の基本的な
方針
、特に
アメリカ
及び
日本
のそういう
アジア
あるいは
極東
における
経済援助計画
の基本的な
方針
というものも明らかにしなければならぬわけですよね。特に
ジョンソン
の
発言
もありまして、
ジョンソン発言
とこれとは
関係
ないということがよくいわれているのですがね、それは
関係
ないことはないと私は思うのです。非常に密接に関連しておりますし、佐藤さんも関連あるような
発言
をある個所ではしておるのでありまして、そういう
意味
で、この
アメリカ
の低
開発国援助
の基本的な
考え方
、それの一番
背景
になっているのはいわゆる
ロストウ理論
ですよ。
アメリカ
の
外交政策
は、御
承知
のように、ダレスの
反共一点ばり
の
政策
から
ロストウ
の
融和政策——融和
というのは変ですけれども、
共産主義
あるいは
共産主義国
の
工業近代化政策
というものについては一応認めつつ、いわゆる
テークオフ理論
というのですか、そういうものを中心にして
アメリカ
は
後進国開発
の基本的な
政策
を出している。で、
アフリカ銀行構想
あるいは
米州銀行構想
、そういう
構想
のもとに
アメリカ
の低
開発国
に対する
政策
が展開されているのですし、
アジア
における
アメリカ
の
後進国援助計画
も、そうした
ロストウ
的な
考え方
に基づいて展開されておるのですよ。ですから、
ロストウ理論
というものは単なる
理論
でなく、これは
アメリカ
の
対外経済政策
の非常に重要なバックボーンになっているのです。そういうものを明らかにしなければなりません。 それから、一体
日本
の
政府
として、この
アジア銀行
ばかりじゃないのですが、
インドネシア
に対する
緊急援助等
もあるわけですが、一体この
アジア
、
極東等
において
政府
は低
開発国
を
援助
するにあたってどういう基本的な
姿勢
で、
方針
で行動しているか。前に
福田大蔵大臣
が、
国民所得
の一%程度
援助
するということを言われましたが、その
金額
もさることながら、これは諸
外国
から、
日本
の
援助
というものはいままでは
コマーシャルベース
で、
もうけ主義
である、しかも
金額
も少ないと、いろいろ批判があったと言われて、
福田大蔵大臣
は
金額
については、前向きの
姿勢
で、
国民所得
の一%くらい、大体まあ五億ドル以上になると思うのですが、もう少し多くなるかしれませんが、しかし、それもさることながら、やはり基本的な
考え方
に基づいてやりませんと、
国民
のやはり
税金負担
になってきます。 たとえば
インドネシア
に対する三千万ドル
緊急援助
をやって、これは
インドネシア
のほんとうの
開発
に役立つのかどうか。どぶに金を捨てるような形の
援助
ではいけないんじゃないか。特に
インドネシア
の基本的な
経済再建
、今度ハッタという前の大統領が出てきて従来と違ったような
経済政策
をやるようでありますけれども、しかし、
軍事費
が四〇%も占めている、まあ
韓国
と同じような
状態
で、そうして
経済再建
なんていうことも、これ一体できるのかできないのか、三千万ドルくらいの
援助
で。もちろんこれは当面の、あのものすごい
インフレ
でありますから、それを安定さして、人心を安定さして、それから本格的な
再建
にいくまでの
つなぎ資金
かもしれませんけれども、いろいろ
専門家
に聞いてみますと、一体この
日本
の
政府
はどっちを向いてだれに
援助
しようとしているのか。三千万ドル、しかもこれまで
インドネシア
へずいぶん
各国
が
援助
してきているんですよね、スカルノのもとへ。一体それが
経済再建
に役立たないで、最近見るようにものすごい
インフレ
でしょう。そういう
状態
になっちゃった。そういうところに
日本政府
がなぜ三千万ドル
緊急援助
をするのか。
国民
の
税金
であります。しかし、これは
協定
に基づけば
国会審議
の
対象
になるのですけれども、あれ
協定
じゃないんですからね。
条約
、
協定
と違いますから、
国会
の
審議
の
対象
にならぬというような
状態
です。 したがって、そういう点についてももっと掘り下げて、この際
アジア銀行
に
日本
が
加盟
するにあたりまして、従来の
日本
のこの低
開発国援助
に対する基本的な
考え方
、
方針
というものをはっきり承り、間違っている点についてわれわれとしてははっきりわれわれの意見を述べて、それをたださなきゃならない、こういう
状態
にあるわけです。 それだけに、この
アジア銀行
への
加盟
及び
出資
の問題は、いろんな点で非常に重要な問題をはらんでいるわけですから、こういう点について、私もその点についてもっと詳しく具体的に
質問
をしてまいりたいと思うのですが、まあ
社会党
の
基本方針
としては、
世界各国
が軍備のためにたくさんむだな金使ってるんですから、
軍縮
をやって、そうしてその金を節約して、そうして東南
アジア
あるいは低
開発国
に思い切った
援助
を行なう。そうした世界的な、平和的な基礎のもとに、
軍縮
によって節約されたものすごいたくさんの金であります。そういうものを
援助
するという
姿勢
にならなければ、これは低
開発国
の
開発
は軌道に乗らないと、こういうまあ
社会党
の
方針
です。ですから、これは
社会党
の
軍縮
に関する
考え方
、平和に対する
考え方
と切り離すことができない、そういう立場にあるわけです。 そういう点についてはこれからまた
同僚
の
議員
からも詳しく
質問
があると思うのです。私はまあこの点についても
質問
いたしますが、さしあたり
一般会計
への
外為会計
からの
繰り入れ
、それと
アジア銀行
に対する
出資
、それから
韓国
との
オープン勘定
における
債権処理
に関連して、
外為会計
の運営に今後かなり大きな
変化
が生じてくるんじゃないかと思いますので、まずその点から
質問
してまいりたいと思うのです。 そこで、今度のこの
改正法
によりまして、
外為
の
インベントリー・ファイナンス
として
積み立て
た
資金
が少なくなるわけですね。その結果、
外為
の
運用益
というものは非常に減ってくる。つまり、利息がつかない、
資金
がそれだけ減ってくるわけですから。そこで、
外為会計
の
採算
に大きな
変化
が出てくるわけですね。たとえば四十一年度
特別会計予算
でわれわれに配付された
予算参照書
に
外為
の
損益計算書
が示されておりますが、これを見ましても、三十九年度の
特別会計
の
利益
が三十八億九千万円、約三十九億であった。それから、四十年度が三十六億四千五百万円。ところが、四十一年は一億六千六百万円に激減しているわけですよ。どうしてこんなに
外為会計
の
利益
が激減するか、その
理由いかん
ということを伺いたいのです。 それに関連して、私の要求した
資料
を
大蔵省当局
が出されましたから、すなわち、私の要求しました四十一年度
外為会計
の
採算
につきまして
資料
を出されましたから、この
資料
に基づいてなるべく詳しく、なぜ四十一年度においてこの
利益
が激減するに至ったのか、その
事情
を詳しく
説明
していただきたい。その
説明
に基づいてまた
質問
をしてまいりたいと思うのです。まず、四十一年度
外為会計
の
採算
について詳しく
説明
していただきたい。
村井七郎
5
○
政府委員
(
村井七郎
君) 三十九年度、四十年度までは三十数億の益を出しておりましたことは事実でございますが、四十一年度においてそれが激減しておりますのは、いろいろ
理由
がございます。 まず、
歳出
の面でございますが、この
増加要因
といたしまして、今後
貿易規模
がますます増大してまいりますので、わが国の
外貨準備
約二十億ドルをもっていたしますれば、やはり場合によってはその振れに対する対策というものを講じておかなければなりませんので、
IMF
に万が一の場合を想定いたしまして当然の権利でございますいわゆるゴールドトランシュを借りるという
計算
をいたしますと、それの手数料、それから
金利
というものを一応安全弁として
予算
上は見込んでおるわけでございます。これが四十一年度におきましては十五億を一応見込んでおりますが、従来はそういった
支出
は、三十九年度、四十年度におきましてはなかったわけでございます。 それから、第二の
理由
といたしましては、先ほど来
先生
が御
指摘
になっておられます
インベントリー
の取りくずしの
関係
でございますが、これによりまして、やはり
外為証券
の
発行増加
が見込まれますので、
借り入れ金利子
の
支払い
が
増加
いたします。それをさらに
内容
を申し上げますと、百六十一億円は、すでにこれはことしの三月の末でございますが、二十五日でございましたか、
IMF
の
増資払い込み
でもって
インベントリー
を取りくずしております。これが四十一年度に全面的に期間的にかかってくるという点が第一点。それから、第二点といたしましては、
アジア開銀
の
出資
の一年度分の
払い込み現金分
一千万ドル相当の三十六億円というのが、これも
インベントリー
から払い出すということに相なっております。それから、
一般財源充当分
といたしまして百七億円、これは従来の
インベントリー
の千二百五十億円の分からいろいろ
アジア開銀
、
IMF
、それから過去におきます
インドネシア
の
債権棒引き等
、それから
日韓
の二年度分を差っ引きまして、結局
インベントリー
として残る残余でございます百七億円というものを
インベントリー
からくずすようにしております。そういった
インベントリー
の
関係
がございまして、
外為証券
の
利子
の
支払い
が
増加
する。 それからなお、
国庫余裕金
も、近来の
状況
に照らし合わせまして、
余裕金
が見込めませんので、四十一年度としてはそういう無
利子
の金をゼロと見込まざるを得ないという
事情
がございます。 それから、さらにもう一つの
理由
といたしましては、四十一年度におきまして
外貨
が、
大蔵大臣勘定
の
外貨
の
手持ち
は三千万ドル
増加
する、
外貨準備
が
増加
するという想定をいたしますと、この分は百八億円の
円資金
をさらに要しますので、その
外為証券
の
発行増加
による利払いの
増加
というものを見込まなくちゃならない。 これが
歳出面
におきます
増加理由
でございます。 歳入の面におきましては、これは近来
外貨利子
の若干の
増加等
がございますので、若干は
増加
いたしますが、
歳出増
の部分が何ぶんさように大きくございますので、従来の実績に比較して
利益
が非常に激減した
数字
しか見込めないという
状況
でございます。
木村禧八郎
6
○
木村禧八郎
君 ただいまの
説明
をもう少し詳しくしていただきたいと思うのですけれども、
予算参照書
に出ている
数字
と、それから
資料
として提出された
数字
との間に開きが出てきているわけです。その点も
説明
していただきたい。
村井七郎
7
○
政府委員
(
村井七郎
君) 御
指摘
の点が、必ずしも私は了解し得なかったのでございます。たとえば、
予算書
に出ております面と四十年度におきます違いというものは、実は一つございます。
予算書
では、四十年度の話でございますが、三十六億の
予算
上の
利益
を見込んでおりましたが、実際上はこれは五十二億という益が生じまして、この分が、決算の結果でございますが、生じましたので、
積み立て金利子
が
予定
より四十一年度におきましては、その分だけ、八千八百万円でございますが、ふえるという
計算
になるかと思いますので、
予定
よりも若干これを上回る、四十一年度における
利益
は上回るということになろうかと思います。
木村禧八郎
8
○
木村禧八郎
君 要するに、四十一年度の
予算書
のほうでは、
利益
が一億六千七百万ドルであるけれども、
見込み額
が二億五千五百万ドル、それが先ほど
お話
ししたように、
運用益
、
アメリカ
で
金利
が高くなったということから、当初
見込み
よりも
運用益
が多くなる、要するにそういうことなんですね。
村井七郎
9
○
政府委員
(
村井七郎
君) その部門も若干はございますが、主として、四十年度の
予定額
におきましては、
IMF
の
関係
で実は五億四千九百万円見込んでおりましたが、これを実際上は
借り入れ
を行ないませんでしたので、その分だけがふえてきた点がございます。それからさらに、いろいろな
支出増
その他ございまして、若干の
変化
が、
増加
・
減少要因
、両方に働いたということでございます。
木村禧八郎
10
○
木村禧八郎
君 それから、
インベントリー
の
関係
は、結局、前にドッジ・ラインのときに、
外為証券
で調達していい分を、
インフレ
を急速にストップさせるために、
税金収入
で
外為
の
短期資金
をまかなう必要があるというのでやったわけですね。これは
外為
だけではなく、
貴金属特別会計
、
食糧管理特別会計
、全部そうです。それで、さっき
お話
を聞きますと、
インベントリー
として
積み立て
た
税金
、これはなくなるということになるわけです。そのほかの、
食糧証券
のほうはなくなったように思うのですが、それから
貴金属特別会計
もやったわけです。それはどうなっているか。もう
食管
のほうはないのかどうか。そういうことと、それから千二百五十億の
インベントリー
が、結局その後、さっき
説明
がありましたように、
インドネシア
に対する
援助
とか、それから
IMF
投資払い込み等々で、結局幾らになるのか、そうしてそれが今後結局どういう形でなくなっていくのか、その点を計数的にちょっと
説明
してください。
岩尾一
11
○
政府委員
(
岩尾一
君)
最初
に、
インベントリー
の
関係
でございますが、
先生
御
指摘
になりましたように、ドッジの際に
インベントリー
を行なったわけでございます。その際の
インベントリー
の
対象
にいたしましたのは、この
外為会計
と、それから
貴金属特別会計
、それから
食管
、この
三つ
でございます。そこで、
外為
のほうは、いま御
審議
いただいておりますように、二十六年以前に百億ほど入れた金がございますけれども、二十六年以後の金を合わせまして千二百五十億という
インベントリー
が入っているわけでございます。それから、
貴金属
は七十六億でございましたかの金を入れております。それから、
食管
には二十四年から二十六年の間に二百七十億の
資金
を入れておるわけでございます。 そこで、この
インベントリー
がどうなったかという
お話
でございますが、
インベントリー
というのをどういうふうに解するかということになるわけでございますけれども、われわれはいわば
手持ち
の資産というものをふやすために
一般会計
の金を入れていくというような
意味
に解しておるわけでございます。そういう趣旨でいいますと、
外為
の
円資金
の不足ということに対処いたしまして、その
円資金
を入れるために
一般会計
の
税金
を入れてきた、こういうことで千二百五十億の
積み立て
ができたわけでございます。それから、
貴金属
のほうは、実はこの
会計
につきましては繰り戻しつきで金を入れているわけでございます。そういう
意味
におきまして、厳密にはこれは
インベントリー
と言えるかどうかという点に多少疑問がございます。われわれといたしましては、
事務屋
の段階では
インベントリー
ではないんじゃないかということで、現実にもう七十六億の金の中で実際にその
法律
の繰り戻し条件に基づきまして繰り戻されているものが三十六億ぐらいございます。したがって、若干
貴金属
には残っておりますけれども、これは
インベントリー
じゃないんじゃないか。それから、
食管
の二百七十億でございますが、これは
先生
御
承知
のように、
最初
はいま申しましたような
インベントリー
のつもりで入れたのでございますけれども、その後は
損失補てん
ということで
食管
の赤字を
一般会計
から埋めていくというふうに転化したわけでございます。そういう
意味
合いで、この
食管
の分についても厳密な
意味
での
インベントリー
とは言えないんじゃないか。あと、やや似ておりますのは、この前御
審議
いただきました
農業近代化資金
でございます。これは二百七十五億の
繰り入れ
を行ないまして、その
資金
の
運用利子
をもって補助に充てるという形にしたわけでございます。これは御
審議
いただいたように、十億を残しまして全部取りくずしたわけでございます。したがって、今回千二百五十億の
外為会計
につきましての
インベントリー
を取りくずしますと、いわゆる
インベントリー
というふうに私どもの申しておりますものにつきましては、
農業近代化
の事業を除きまして、全部取りくずされているというふうにわれわれは解しております。 それから、
外為
の千二百五十億でございますが、これは
先生
の
お話
しになりましたように、まず
インドネシア
の
債権
を放棄いたしました。この分で元本を落としております。これが六百三十六億でございます。それから、
アジア開銀
につきまして百八十億の
出資
をいたしております。それから、昨年御
審議
をいただきました
IMF
につきまして百六十一億の
出資
をいたしております。それから、今回御
審議
をいただいております
日韓
の
オープン勘定
につきまして百六十四億六千万という
数字
を落とすわけでございます。さらに、それだけ落としますと、残ります金が百六億九千万でございますが、この百六億九千万を
一般会計
に入れていくということで、
数字
といたしましては全部なくなるわけでございます。ちょうど。ただ、
アジア開銀
の百八十億と申しますのは、これは五年間に
出資
をするわけでございます。それから、
日韓
オープン勘定
のみなす財源を落としますのは、これは十年間でございます。したがって、その五年間あるいは十年間がたった後において完全になくなる、こういう
意味
でございます。
木村禧八郎
12
○
木村禧八郎
君 わかりました。そこで、大蔵大臣に、せっかくおいで願っておるんですから、御
質問
しないのも失礼ですから。この
インベントリー・ファイナンス
ですね、さっき
岩尾
さんからも
お話
がありましたが、これはいろいろ意見があると言いますけれども、これは理屈としてはいろいろあるでしょうけれども、しかし、経過から見るとはっきりしているんですね。ドッジが、短期証券で泳げばいいものを、なぜ
税金
でわざわざ
資金
を調達しなければならなかったのか。あの当時の
説明
では、急速に
インフレ
をストップさせるには少しブレーキをかけ過ぎるくらい超均衡の
政策
をとる必要があるというので、従来は
食糧証券
とか
外為証券
で泳いでいたものまでも、
税金
でその
資金
を調達したということなんです。資産見合いの
資金
と言っておった。そういうところを見ると、それが
インフレ
に対するいろいろな影響等から考えてみると、資産見合いの
資金
、ファイナンスでしょう。ですから、
貴金属特別会計
に幾らあるというけれども、あれを売れば金が入ってくるのですから、だから、やはりあれは
税金
でもあり、そこのところは非常に議論があるでしょうが、やはり
インベントリー
の私は経過から見てみるべきだと思うのです。そこのところ、大蔵大臣、ここで
インベントリー
は、さっきの
貴金属特別会計
の
インベントリー・ファイナンス
を若干残して全部なくなるわけです。そうすると、今後
インベントリー・ファイナンス
というものは、大蔵大臣はここでやめてしまうのかどうか。ことにこれは金繰りとしては短期的なものです。これをやめるなら、どうしたって
外為証券
を多く発行しなければならぬでしょう、どうしたってそういう場合。それから、まあ
外為
の運用管理からいっても、利息のつかない金がなくなるのですから、それにかわって
外為証券
、五分八厘ですかの利息のつく
外為証券
を発行しなければならぬ。そういう
外為会計
の運用にもいろいろな影響あるでしょうけれども、特にこの点は、公債発行に踏み切られて、今後
インフレ
の歯どめですね、歯どめというのはいろいろ考えていかなければならぬわけでしょう。われわれは公債発行について反対したのですが、発行してしまった以上、またわれわれが反対しても今後発行されるでしょう。そういう場合、私はやはり歯どめとしてそういう機能というものは残しておいたほうがいいようにも思うのですけれども、全然これはやめてしまうのかどうか、その点を大蔵大臣に。
福田赳夫
13
○国務大臣(
福田
赳夫君) まあ、未来永刧の議論といたしました場合に、私は
インベントリー
というものを廃止するのがいいのだとか、存置するのがいいのだとか、そういう一方的な
考え方
は立てにくいと思うのです。結局、これはそのときの財政経済の
事情
に即してやっていかなければならぬものと考えます。当面一体、それじゃここ数年間一体どうだ、こういうことになれば、これは御
承知
のように、これは公債
政策
が採用されていくというそういう事態において、租税収入があり余るということは私はないのじゃないか。まず公債の発行額が減る、こういうことになる。それから、なお余剰があれば減税というものもしてみたい、こういうふうに考えるわけであります。したがいまして、現実の問題として考えました場合におきましては、
インベントリー
は当分考えられない、こういうことになろうかと思います。まあしかし、資産、負債、これは見合う
状態
には置いて、
外国
為替
特別会計
の運営が健全に行なわれる、こういうことは堅持していきたい、かように考えております。
木村禧八郎
14
○
木村禧八郎
君 実際問題として、大蔵大臣御答弁になったのですけれども、この
インベントリー・ファイナンス
の
考え方
はドッジの着想であったわけです。そうでしょう。ですから、そういう
食管
会計
でも、資産見合いの金融の場合は、原則として従来は金融でやっていたわけでしょう。というのは、農民から買い上げたお米を売れば、あとでお金が入ってくるわけですからね。それが通貨膨張になっていろいろ影響を及ぼすのは、期間としてはかなり短期間ですよね。米を買って、そして売るまでの間、通貨が膨張するわけですよね。だから、ドッジは、その短期の通貨膨張までも押えなきゃならぬと、二十三年のあの
インフレ
を押えるには——そういう
考え方
であったわけですよね。それ以前は
食糧証券
で
短期資金
を調達して農民から米を買ったんだし、それから、
外為会計
でも、為替の調達
資金
は
外為証券
でやっていたわけだ。ですから、原則として
税金
によって
インベントリー・ファイナンス
を行なうという
考え方
は、超均衡
予算
になるわけですよね。そういう関連で
質問
してるんですよ。ですから、当分やらないとか、そういうことではなくて、じゃ、大蔵大臣は、これを存置したということは、将来悪性
インフレ
が起こる可能性があるかもしれない、そういうときにはドッジがやった超均衡
予算
的な
措置
として
インベントリー・ファイナンス
という制度を残しておくというお考えなのかですね。ですから、これは制度的に私は非常に変則だったと思うんです。それについてのお考えを承りたい。まあ実際問題としては、当分
インベントリー・ファイナンス
をやるような事態はちょっと考えられないと思うんですけれども、そういう点はどうなんです。
福田赳夫
15
○国務大臣(
福田
赳夫君) だから、
理論
的に申しまして、超均衡
予算
がいいとか悪いとか、これは私は一がいには申し上げられないと思うんです。そういう手段としての
インベントリー
、現に、為替
資金
とは違いますが、農林公庫に対しまして
政府
は金融の財源を租税財源から賦与していますね、ああいう行き方もあるわけなんです。そういうようなことを考えて、
理論
的にどうもこれは悪だ、そういう行き方は悪なんだという
考え方
はとりませんけれども、当面、予見し得る時点におきまして、私は超均衡
予算
ということは考えておりません。また、これがための
インベントリー
ということは考えられないと、こういうことを申し上げておるわけなんです。
木村禧八郎
16
○
木村禧八郎
君 次に伺いたいのは、さっき
岩尾
さんからも
お話
がありましたが、
貴金属特別会計
の一部は残っていますが、これは議論があるとしまして、
インベントリー
の
資金
は大体なくなる。そうなると、四十一年度は百七億ですかね、
一般会計
に
繰り入れ
ましたが、来年はこれはないんですよね。
繰り入れ
がなくなるということになると、いままで大蔵当局は方々からいろいろかき集めて、そうして税収不足を調整しようとしたようですが、今度は
インベントリー
がなくなってしまうと、公債に依存する度合いが大きくなるんじゃないかというふうに思うんですが、どうなんですか。
福田赳夫
17
○国務大臣(
福田
赳夫君) 私は、
政府
の
歳出
を、投資的経費という建設勘定ですね、そういうものと、行政勘定というものに当面分けて考えていきたいと、こういうわけです。そうして建設勘定、投資勘定は公債財源によることができる、こういうたてまえにして、行政勘定のほうは租税収入でこれをやっていく、余裕があれば建設勘定のほうにもこれを使う、こういう
考え方
をとるわけです。それで、これからの財政ははっきりそういうふうに二つの系統に分けて考えていきたいと、こう考えるのであります。 そういうことで、租税収入の推移、また行政費のふえ方、また建設勘定、つまり投資的経費のふえ方というものの趨勢を考えてみまするときに、まあ租税収入は、その場合大体において行政勘定の財源になります。それから、その行政勘定の租税を財源とする収支を考えてみるときに、
昭和
四十二年、いま御
指摘
の
インベントリー
とかなんとかはございません。そういうようなことを考えると、非常に窮屈になる。で、四十三年度も同じような趨勢が続くように思います。四十四年以降になりますと、だんだん楽になってくる、こういうふうに考えておるわけであります。四十二年という年は、そういう見方からいたしまして一番窮屈な年になるので、この窮屈な年をどういうふうに切り抜けるか、いま頭を悩ましておるところでございます。
徳永正利
18
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
19
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
木村禧八郎
20
○
木村禧八郎
君 そうしますと、実際問題として、これは今後大きな問題になってくると思うのですが、公債の発行額、これはいわゆる建設公債といっておりますが、四十一年度は七千三百億ですね。四十二、四十三というのは、七千三百億よりどうしたってふえざるを得ないと思うのです。どの程度に——それはいろんな財政収入とか、それから
インベントリー
とか、ほかから
繰り入れ
額がなくなるというようなこと等いろいろの要素があると思うのですけれども、大体どのくらいを押えておりますか。
福田赳夫
21
○国務大臣(
福田
赳夫君) 行政費のほうは大体、祖税収入と見合って考える。これは四十二年度なんですよ。で、建設ですね……
木村禧八郎
22
○
木村禧八郎
君 ちょっと失礼。建設というのは、大蔵大臣、どの範囲と言われるか、ちょっとそこで注釈してくれませんか。どの範囲に……。
福田赳夫
23
○国務大臣(
福田
赳夫君) 建設費は、四十一年度
予算
の御
審議
にあたりまして御
説明
いたしましたが、大体あの見当でございます。そういうものがどういうふうに見込まれるか。これは、一つは私は
昭和
四十二年における経済情勢、これも考えなければならぬ。で、いま私どもが考えておりますのは、いわゆる低圧経済
状態
ではないか。つまり民間の設備投資、こういうものがなお微弱な
状態
にある。そういう際におきましては、
政府
がこれを補って経済の成長を進める必要がある、そういうふうにただいまは見通しておるのです。そうしますと、
政府
の建設勘定はふくれていくわけであります。その財源を一体どうするか。一部を租税収入に求め得るかというと、
昭和
四十二年度という年はなかなかむずかしいのじゃないか。そうしますと、公債を財源としなければならぬということになる。そうしますと、公債の発行額は、建設費、投資勘定の膨張に伴いまして、ふえると、こういうことになるのです。しかし、まあそのふえ方も、そう私は画期的なふえ方というふうな考えは持っておりません。これは適度の
増加
であろうと、そういうふうに見ておるわけであります。その
数字
は、いまの段階においてはまだ申し上げるところまで来ておりません。
木村禧八郎
24
○
木村禧八郎
君 四十一年度でも建設的経費というのは、財政法四条一項で、あれは大体八千億でしたかね。全部それを公債に依存しておるわけではない。
福田赳夫
25
○国務大臣(
福田
赳夫君) 道路費はガソリン税でまかないますから、そういうことになっておりますので、それを除きますと、大体七千六百億円ぐらいでございます。
木村禧八郎
26
○
木村禧八郎
君 そうしますと、四十二年、四十三年あたりは、そうした四十一年度には建設的経費として七千六百億見込まれたのだけれども、そのうち公債でまかなったのは七千三百億、こういうわけですね。その残り三百億は税収その他でまかなうということになるわけですね。そうしますと、四十二年、四十三年になると、もう目一ぱい——目一ぱいというと変ですけれども、いわゆる建設的経費、いまガソリン税のほうは一応別といたしまして、そういうふうに見ているわけですか。
福田赳夫
27
○国務大臣(
福田
赳夫君) 大体目一ぱいになろうかと思いますね。
木村禧八郎
28
○
木村禧八郎
君 そうなると、景気対策としても、設備投資の意欲が活発化していないから、財政面から景気を刺激する必要があるということから、やはり公共事業費等もふやす必要があると考えますしね、かなり、八千億近い公債発行になるんじゃないかと思われるわけです。特に最近、公債消化が非常に問題になっておりますので、そういう点を伺っておるわけですけれども、個人消化したものもだいぶ売りがあるそうじゃないですか。だいぶ売りがあるので、そして最近では、公債消化について楽観を許さないように思うのですが、公債の管理
政策
というものも非常に問題になってくると思うので、公債を発行してから最近までの実績を見て、まだ公債も最近上場されておりませんがね、そういう点をこの際どういうふうに見通されていますか。
福田赳夫
29
○国務大臣(
福田
赳夫君) 一口に申し上げまして、公債の発行はきわめて順調であります。発行というか、消化はね。上半期の大体の見当、三千七百億ぐらい腹づもりしているのですがね、きょうあたりも、七、八、九——第二四半期、どういうふうに消化するかという具体的な話し合いが行なわれておりますが、これは何ら問題なしと申し上げていいくらい順調でございます。 それで、いま売りがあるという話ですが、これは、公債は証券でありますから、売りがあり買いがあるのは当然ですが、問題は、その売買が売りから出ているのか買いから出ているのかと、こういうことなんだろうと思いますが、いま私どもが
承知
しているところでは、買いからこの売買が起こっておるというケースのほうが多いようであります。それで、そういう
状態
でありますので、公債もできる限り早くこれを市場に上場したい、こういうふうに考えておる。で、おそらく三十日、この三十日ですね、になると思いますが、いま手続を進めておる。で、店頭売買で価格を発表するというようなことをいたしたい。で、その推移を見まして、なるべく早く公債上場、これをやってみたい、こういう考えであります。大体そういうことが現実の
計画
課題になってきた程度に国債消化は順調である、こういうふうに御了承願いたい。
木村禧八郎
30
○
木村禧八郎
君 次に、この
外為会計
の運営について伺いたいのですが、まあ
インベントリー
の
資金
がなくなるということは、
金利
がつかない
資金
がそれだけ減るということです。それから、他方、貿易が拡大していけば、為替を買う量も多くなってきますから、
円資金
が必要になってくるわけですね。それで、
外為証券
の発行はそれだけ従来よりはかなりふえてくるわけです。そうすると、利息の
支払い
はかなりふえてくる。他方において
資金
の運用については、
アメリカ
の
金利
が多少高くなって予想よりはウエートも少しは多くなったと思うのですけれども、
外為証券
が大体一銭五厘五毛ですが、五分八厘ですわね。
アメリカ
のほうの
資金
運用、大体定期預金とか当座財務証券等に運用しておるようですが、これは事務当局から御
説明
していただいたのですが、大体定期預金は最近
金利
が上がっても五分三厘から五分五厘ぐらいですね。それから、財務証券の利回りは四分七厘程度といわれるわけですけれども、そうすると、これは逆ざやなわけです。もちろん前から
アメリカ
のほうが
金利
が安いのですから、それは逆ざやなのは当然なのですけれども、それは従来
外為会計
に
金利
のつかない
資金
がかなりあった。だから、わりあいに楽な運営ができたと思うのですよ。ところが、
インベントリー
資金
がだんだんなくなるということになると、その点は運営が窮屈になってくるので、そこで私が心配するのは、大蔵省からいただいた
資料
を見ますると、たとえば四十一年度の
借り入れ金利子
を見ますると、百九十一億二千万円になっています。これは
見込み額
ですがね。これに対して運用収入が百八十五億一千万円。逆ざや
関係
がはっきり出ておるわけです。ここで
利子
の
支払い
のほうが運用収入より多くなってきておるのですね。ところが、四十年度はそうではなくて、運用収入のほうが
借り入れ金利子
より多いのですよ。四十一年になるとこれは逆になるわけですね。そこで、今後かなり長期的に見まして、この
インベントリー
がなくなっちゃったあとで、しかも
外為証券
の発行が非常にふえてくる、そういう
状況
のもとで、これまでのようなこういう運営のしかたをしていっていいのかどうか。こういう
状態
ですと、将来赤字になるという
状態
が起こってき、むしろ逆に
一般会計
から
外為会計
に利息のつかない金を今度は逆に
繰り入れ
なければならぬ、そういう
状態
が私は必ず起こらざるを得ないと思うのですよ。そういうことをやっぱり頭に置いておかなければならぬ、はっきり傾向的に出てきているのですから。四十年は五十二億の
利益
があったのでしょう。それが四十一年度、
見込み
で二億五千五百万円に激減する。たいへんな減少です。約五十億の
利益
の減少なんです。それに対してどういうふうな処置をとるか、今後の
外為会計
の運営の基本的な
考え方
ですね、これを伺っておきたい。
村井七郎
31
○
政府委員
(
村井七郎
君) 木村
先生
御
指摘
の点でございますが、確かに四十一年度の
予算
におきましては運用収入のほうが下回った
数字
になっておりますが、このほかに為替の売買差益というものが約二十六億円ございますし、今後貿易量の増大を
見込み
ますと、これを下回ることはおそらくない、むしろふえるかと思いますが、それからこのほかに
資金
運用部の預託金の収入が、これは六分五厘で預けておりますので、その収入もございます。したがいまして、傾向としては
先生
御
指摘
のような傾向はこれは一般的としては言えると思いますが、それがすぐ数年の間に
外為会計
全体として逆ざやになるという事態が発生するかどうかにつきましては、一応
計算
いたしましたが、数年はそういう事態にならないという
計算
になっております。
木村禧八郎
32
○
木村禧八郎
君 それをできればもう少し具体的に
説明
していただきたいんですがね、さしつかえなければ。
村井七郎
33
○
政府委員
(
村井七郎
君) 今後の国際収支の見通し、それから内外の
金利
情勢等を予測することは非常にむずかしい、ことに長期的に見ますことは非常にむずかしいわけでございますが、一定の前提を置きまして、たとえば
外貨
の資産の利回り等は、現在の
状況
をほぼ前提といたしますと、一応の非常に大ざっぱな試算でございますが、
外貨
十二億五千万ドルを四分四厘で、
外貨
資産全体の収益——もう少し高くなっていると思いますが、四・六、七ぐらいにはなっていると思いますが、控え目に四・四といたしまして
計算
し、そして
資金
運用部の先ほど申しました預託金がございます。これは六分五厘でまあ現状で続く、
外為証券
の
利子
も五・八でございますか、一銭五厘五毛の
金利
で発行するということで、要するに
外貨
が非常に著しく
外為会計
としてふえるということではなくて、現在の
状況
を一応前提といたしまして、ただ
インベントリー
が、先ほど来のように
アジア開銀
で五年ということ、
日韓
で十年ということで落ちてまいりまして、そのことだけを前提といたしまして、
インベントリー
が全部取りくずされたと、要するに残りの四百五十二億円が全部落ちたという
計算
をいたしました場合に、なお十四億円ばかりの差益が残る
計算
になっております。したがいまして、逆に今度はこの十四億円をいろいろまあとんとんにまで持っていくには、ある程度
外貨
というものがふえてもだいじょうぶだということが逆に言えるわけでございまして、そういう前提を置きます限り、ここ二、三年で逆ざやの事態が来るということはちょっと考えられない
数字
に考えるわけでございます。
木村禧八郎
34
○
木村禧八郎
君 そういう見通しならばよろしいかと思うんですけれども、前にも一ぺん私は問題にしたことがあるんですが、
外為会計
の
外貨
資金
の運用ですね、これは
金利
とも関連があるんですが、大体大部分が
アメリカ
に対する定期預金、当座預金、それから財務省の証券に運用しているんですね。財務省証券、これはあれですか、その運用について、その詳細をここで報告されますか。大体でいいです。一応、こちらから
アメリカ
にどのくらい預金し、それから
アメリカ
の財務証券にどのくらい運用して、そうしてどのくらいの利回りでやっているかということですね。
村井七郎
35
○
政府委員
(
村井七郎
君) 財務省証券は、これは非常に換金性が高い資産でございますので、私たちはこれを全部ドルで保有しております。したがいまして、
先生
の御
質問
のように、大体
アメリカ
関係
で持っておるということが言えるわけでございます。その
金額
は、これは従来この前の
国会
でもあれいたしましたが、一億四千万ドル見当でございますが、そのほかの流動資産は預金でございまして、この預金の内訳は、これは御容赦願いたいんでございますが、総額といたしましては八億六千万ドルでございまして、大部分は米ドルということで保有いたしております。
木村禧八郎
36
○
木村禧八郎
君
アメリカ
での定期預金の運用は、大体八億六千万ドルのうち五千万ドルぐらいといわれておりますけれども、財務省証券、これは大部分大蔵省管理。定期預金というのは
アメリカ
の市中銀行等もあるわけですね。それで、これはしろうと的な見方かもしれませんが、
政府
は
外為証券
五分八厘で
外貨
を買って、そうしてそれを
アメリカ
で五分三厘か五分五厘で運用しておる。聞くところによると、
日本
が五分八厘で大蔵省証券で買った
外貨
を
アメリカ
の外銀に預ける。
アメリカ
の外銀から
日本
の銀行が金を借りる、そのときは高い
金利
で借りる。そうすると、何か
日本
の
外貨
資金
で
アメリカ
の銀行をもうけさせている、こういうことになるんですよ。そういう運営のしかたは実際、われわれから見るとどうも割り切れない。なぜこんなに
アメリカ
にたくさん
外貨
を、しかも
アメリカ
市中銀行等に預けなければならないのか、
外貨
の多くの部分を
アメリカ
の市中銀行あるいは
アメリカ
の財務証券に運用しなければならないのか、もっと
日本
にとって有利になるような運用のしかたができないものかどうか、この点、前から私は疑問に思っておるんです。前に一ぺん池田さんが総理大臣のときでしたかね、
予算
委員会
で
質問
したときに、その点について、それは問題があると思うと池田さん言われまして、何かその再検討をするということを言われたと思うんですよ。それが具体的にどういうふうに再検討されたのか知りませんが、何か大蔵省官僚というものとの関連で、官僚でそれが是正されるのかどうかそこら辺、伺いたいんですよ。
村井七郎
37
○
政府委員
(
村井七郎
君) 木村
先生
、
事情
を十分御
承知
の上での御
質問
なんで、非常に答えにくいのでございますが、これは国際決済のためにドル貨を使用するということからいって、どうしてもそうなるということがまあ結論かと思いますが、これは一つは
日本
の
外貨準備
というものが少ないということにも基因しておるのではないかというふうにも思います。つまり、借金をしないで済むような
状態
であれば、いまのように逆により高い
金利
で
日本
の銀行が借りるという事態は起こらない、さらに、
運用益
だけの収入でまかなえるわけでございますが、何ぶんにも、そうすぐには、わりあい低い
外貨準備
でございますので、ある程度いまのところは、ドル貨による債務の運用ということでもって国際収支の運用をはかっていかざるを得ないという
状態
が根本にあるわけでございますが、かりにこれが非常に
外貨準備
が好転してくる、したがって、そういう借りる必要性が減少するということになって、さらにその
外貨準備
が減らないという程度の厚い壁になってまいりますれば、これはまたいろんな運用、あるいは無
利子
の——これは一例を申すわけでございますが、金とかというような運用も可能でございますが、何ぶん現在におきましてはそういう事態ではない。逆にこれが円の通貨が国際決済に回るとすれば、これは事態は非常に変わると思いますが、いかんせん、まだそこまで通用力がございません。むしろ国際決済用としてはドルをもっぱら利用するという現状でございますので、やむを得ない事態かと思いますが、したがって、私たちは国際収支の基調というものは早くもっと高い水準に、
利益
の水準に持っていくようにする必要がその面からもあるのではないかというふうに思っております。
木村禧八郎
38
○
木村禧八郎
君
外貨準備
が少な過ぎるという
お話
でしたが、大蔵大臣、
外貨準備
というもの、これは前にもずいぶん議論があったんですがね、やっぱりどの程度必要だと思っておられますか。それから、金準備との
関係
ですね、これは前にもかなり問題になって、多少金準備率をふやしたこともあるんですが……。
福田赳夫
39
○国務大臣(
福田
赳夫君) 金をどういうふうにこれから見ていくか。実はこの七月に、国際流動性の問題についてハーグにおきまして十カ国蔵相会議というのが開かれるわけでありますが、まあ傾向としては、私は金というものを全然度外視した行き方というものにはならぬと思いますが、金にそう密着した制度というものでは窮屈だという
考え方
がとられるんじゃないかと思います。しかし、金というものの存在というものは国際決済上依然として重要でありますので、私としましては、機会があれば金も準備の中へ加えていきたいと、こういうふうに考えておるわけなんです。 で、
外貨
の、金を含めての
外貨
の
手持ち
を一体どういう程度にするか。私は、今日の二十億ドルというものは——まあ二十一億ドルになっていますが、この二十億水準というものは、貿易の実勢から見まして、これはまあ少し低きに失すると、こういうふうに思うわけであります。それで、これを何とかして漸増をいたしていきたい、こういうふうに考えるわけです。 ただ、そこで注意しておかなきゃならぬ問題は、ただ単に風袋が大きくなったということだけにとらわれてはいけない。
外貨
の量、
手持ち
の量が拡大されるとともに、その
内容
を改善しなければならぬ、そういうふうに考えております。そういうことでありますが、いま現実の問題としますと、この二十一億ドルの中身は非常に改善をされてきておる。つまり、短期債務をずいぶんここで返済しつつあるわけであります。
アメリカ
の
金利
の
状況
等もありまして、
日本
に滞在しておった
短期資金
が
アメリカ
その他に還流していくというような傾向もずいぶんあるわけであります。資本収支の赤字というものがなければ、今日の時点では、ずいぶんこの二十一億ドルという
状態
は改善をされておるのではないかと思います。しかし、短期債務を中心とする資本収支の赤字というものがありました
関係
で、二十一億ドルにとどまっておりますが、そういう
内容
の改善を加えながら、かつ、二十一億ドルという現状がさらにさらに私はふえていくということを期待しながら、国際収支の
政策
を運営していきたい、さように考えております。
須藤五郎
40
○須藤
五郎
君 関連。現在の
日本
の金保有高はどれだけあるんですか。
福田赳夫
41
○国務大臣(
福田
赳夫君) 大体三億ドルぐらいです。
木村禧八郎
42
○
木村禧八郎
君 ついでですから伺いますが、発券制度と関連しまして、いまの金の問題、それから
外貨準備
との問題ですが、いまの最高額制限屈伸法というのですか、これについて、やはり保証準備的な
考え方
も、前の金融制度調査会の何か小
委員会
でそういう意見もあったし、日銀当局では吉野さんなんか、全然ブレーキがないというのもよくないんじゃないかと、そういうようなことから、やっぱり発券制度についても再検討する必要があるんじゃないかというような意見もあるわけですが、発券制度では、大蔵大臣は、金の問題が出てきたんで
質問
するんですが、全然いまの制度を変えなくていいというようなお考えですか。
福田赳夫
43
○国務大臣(
福田
赳夫君) まあ私もこの問題につきまして最終的に詰めた考えを持っておりませんが、管理通貨制度というものは近代国家の通貨制度として、もう、一つの傾向になっておる。この大勢は、私は今後といえども
日本
としてとっていかなきゃならぬやり方じゃないか、そういうふうに考えております。
木村禧八郎
44
○
木村禧八郎
君 それはよくわかります。管理通貨制度ということは、最も徹底した管理通貨制度は、これは金に結びついた制度が一番管理通貨的なんですよ。客観的に縛られる。金を離れたいわゆるマネージド・カレンシーというあれは、人間の判断によって調整するということなんですよ。だから、そこに一つの何か客観的な歯どめのあれがないわけですよ、歯どめというものが。もちろん健全な通貨金融
政策
が行なわれればそれでいいじゃないかというけれども、しかし、
日本
の場合でも現実に見て、主観的にはそういうふうに考えても、なかなかそのとおりにいかないのが現実ですよ。ですから、客観的にある一つのブレーキ、制度的なものをつくって、それによって全部問題を解決するという、そんなに簡単には考えていないのですけれども、やっぱり公債発行
政策
を続けるということになれば、発券制度についても、ただ公債消化というだけじゃなくて、発券制度についても再検討が必要じゃないか、こう思うんですよ。前に一ぺん金融制度調査会の小
委員会
かなんかでそういうような検討をやったように聞いているのですが、世界の大勢はやはりそういう全然無制限的な発券制度ではないように、ことに西ドイツあたりはそうじゃないように聞いているのですけれども、それは原則的に管理通貨制度は世界の大勢だということは、これは金本位に帰ることはもちろんできないでしょうが、そういういま戻ることができないという
意味
で、これはもう管理通貨制度は大勢であるとは言えますけれども、それでいいのかということについては、私はやっぱり疑問があるのですが、その点どうですか、大蔵大臣。
福田赳夫
45
○国務大臣(
福田
赳夫君) 私はやっぱり通貨は経済成長と見合ってきめていくべきものだと思うのです。経済成長という要因とかけ離れて一つの通貨発行のワクを設けるということになると、いろいろな不自然な
状態
も出てくると思います。やはり通貨の量をどういうふうに規制をしていくか、これは成長を中心とした
経済政策
全体の見合いにおいてきめていくべき問題であると、そういうふうに考えております。
木村禧八郎
46
○
木村禧八郎
君
外為
関係
でもう一つ最後に。さっき
外貨準備
の問題が出ましたので、大体貿易量の何%ぐらい、これも機械的には言えないと思うのですけれども、また国際流動性との
関係
もありますが、大体どのくらいの、何%ぐらいを目途で
外貨
蓄積が必要であるとお考えですか。
村井七郎
47
○
政府委員
(
村井七郎
君)
外貨準備
と輸入量との関連でございますが、これはもちろんその国の経済のあり方あるいは国際収支の見通し等によりまして一律に言えないことは言うまでもございませんが、大体
各国
の水準というものを見まして、大蔵大臣の先ほど申し上げましたとおり、
日本
は非常に低いということは、これはもちろん言えるわけでございますが、しからばどの程度かということに相なりますと、どうも国際的な議論の場におきましても、なかなか
数字
的な考えというものは出てきておりませんが、ただ、よく言われますのは、その年間輸入量の半分ぐらいは持っていると非常に安心であるということは、よく言われることばでございます。
木村禧八郎
48
○
木村禧八郎
君 次に、
アジア開発銀行
の問題について伺いますが、
アジア開発銀行
が生まれるに至った
背景
というものはどういうものか、これを伺っておきたいと思うんですが、これは
外務省
のほうから御
説明
願えるんですか、外交、経済的
背景
。
徳永正利
49
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記をちょっととめてください。 〔速記中止〕
徳永正利
50
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を始めてください。
正示啓次郎
51
○
政府委員
(正
示啓次郎
君)
外務省
から御
説明
申し上げます。 すでに提案の趣旨を御
説明
申し上げましたときに申し上げておると思いますが、
アジア
地域の経済
開発
を促進するためこの銀行を設立すべきであるとの要望が、一九六三年十月に開催せられましたエカフェ諸国の閣僚会議におきまして、
アジア開発銀行
設立
計画
という形で具体化されまして、以来
協定
案の作成について交渉が続けられてまいりました。昨年十一月二十九日から十二月一日までマニラにおいて御
承知
のとおり開催されましたエカフェ域内国の閣僚会議において
協定
案が採択されまして後、引き続き十二月二日から十二月四日までマニラで開催せられた域外の
関係
国をも含めた全権会議において同じ
協定
案が採択されたのであります。わが国といたしましては、前記の全権会議の最終日である十二月四日にこの
協定
に署名を行ないましたが、署名の期限たる本年一月三十一日までにいわゆる三十一カ国が署名を了しておるような次第でございます。 以上がいわば
協定
成立の時日的な経過でございますが、ただいま木村
委員
がお述べになりましたように、そのほかに大きな経済的
背景
というふうなものも一緒に
説明
せよということでございますが、これはもう申し上げるまでもなく、
アジア
における現在の情勢は、いわゆる貧困あるいはまた政治的不安、こういうことが非常にございます。まことに遺憾なことでございます。つきましては、われわれといたしましては、
アジア
に位置する
日本
もその一員といたしまして、これら
各国
の経済的
開発
、民生の向上、そういうものを通じましてともどもに繁栄をしていくと、こういう
政策
を大きく打ち出していくことが最も肝要なことであるということは申し上げるまでもないと思うのであります。しかして、こうした諸国の経済的発展と民生の向上に最も必要なものは、乏しい
資金
、この乏しい
資金
をいかにして補っていくか、またそういう
資金
の需要に対しましてお互いに力を合わせてこれを充足していく、こういうくふうでなければならないかと存じます。そうした経済的
背景
が、先ほど申し上げたような
背景
がございまして、これを基礎にいたしまして、先ほど申し上げましたような時日的な経過をとって、ここに
アジア開発銀行
の設立
計画
が進められた、かようにわれわれは理解をいたしておる次第でございます。
木村禧八郎
52
○
木村禧八郎
君 ただいまきわめて提案
理由
みたいな平面的な
お話
を伺ったんですが、そんな御答弁よりは、
外務省
調査月報ですね、一九六五年十一月〜十二月、ここに「
アジア開発銀行
協定
の概説」と書いてある。ここにもっと懇切丁寧にかなり要領を得て
説明
してあるんですよ。ですから、これだけではもちろんほんとうの生きた
背景
というものはわれわれわからないから、
政府
としてどういうふうにそれを把握しているかと、いま
質問
したんですが、特に正示さんは大蔵省に長くおられて経済
専門家
であられるわけですよ。したがって、そういう
アジア開発銀行
の生まれる経済的
背景
というものを、
アメリカ
の低
開発国援助
政策
、
日本
の低
開発国援助
政策
というものとのからみ合いにおいてそれは出てきているのでありますから、もう少し何といいますか、実態に触れた
背景
、これはだれしも聞きたいと思うのですよ。伺いたいのですよ。やはりかなり機微に触れた御
説明
をちょっと願いたいのですよ。ざっくばらんに、こうなんですというようなところを御
説明
願いたい。あまり形式ばらなくて、暑いですし、上着をどうぞ脱いで楽な気持ちで。
正示啓次郎
53
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 木村
委員
すでに御
承知
のとおりでございまして、いろいろとそういう面についても、この
開発
銀行の設立
計画
がいわゆる
ジョンソン
構想
等と関連があるじゃないかというふうな御議論もございますが、実はわれわれはその点について非常に良心的に、
日本
の実質的な、いわゆる先ほど私が申し上げたように、
アジア
諸連邦との共栄、ともに発展し繁栄していく、こういう
考え方
から出ているということを強調いたしますために、つい紋切り型の
説明
を申し上げたようなことでございます。 しかし、これの実証といたしましては、本年四月東京において開催されましたいわゆる東南
アジア
開発
閣僚会議、そういう事実によっても御理解をいただける。この東南
アジア
開発
閣僚会議におきまして、いかに近接な諸国が経済の発展、民生の向上ということに熱意を示したか、これはすでに木村
委員
も御
承知
のとおりでございます。そこで、われわれといたしましては、そういう自主的な立場から、ぜひとも
アジア
諸国の発展、繁栄、そういうことに最も有効適切な
開発
銀行の設立、こういう
考え方
でやっております。もちろん、そういう
考え方
に立脚をいたしまして銀行を設立いたしました以上は、その銀行のより一そう効果的な活動の面におきまして、諸
外国
からの
資金
その他についてこれを活用していくことはもとより当然でございますが、どこまでもわれわれの期するところは、
アジア
の自主的な
開発
、発展、それに貢献する、こういう
考え方
でやっていることをこの際御理解いただきたい、こういうことでございます。
木村禧八郎
54
○
木村禧八郎
君 どうも私は、
外務省
の「
アジア開発銀行
協定
の概説」、これが非常にいい参考
資料
になったのですが、これに基づいて御
質問
いたします。これによりますと、こうなっております。「
アジア開発銀行
協定
は、きわめて短期間に成立しており、実質的
審議
が行なわれたのは、
政府
代表会議においてのみにすぎない。しかして、
政府
代表会議の期間は、わずかに十日間であり、しかも、同会議においても、
審議
ないし議論の焦点が投票権、理事会の構成、
加盟
国の資格、国際入札の要件、特別基金の設置、自国通貨の使用制限、特権免除といった
政策
的な問題に向けられたため、
協定
テキストについての詳細かつ慎重な検討は十分行なわれなかった。通常、この種の国際
協定
を作成するにあたっては、起草
委員会
を設置して、
法律
的見地から条文を推敲するのが慣例であるが、かかる手続きを経ずして、全体会議で一挙に採択の運びに持っていったことからしても、
協定
の作成が、高度の
政治目的
を
背景
に、きわめてそう争うの間に押し進められたことがうかがい知られよう。」、こうなっております。ですから、さっき私がかなり高度の政治的
目的
を
背景
としておるということを言ったのですが、それは私は何も独断で言っているのではなくて、
外務省
の調査月報にちゃんと書いてあるのですよ。ですから、こういう経過で生まれているから、すんなりずっとできているのなら、私は何もそんな疑問を抱かないのですが、かなり「高度の
政治目的
を
背景
に、きわめてそうそうの間に押し進められたことがうかがい知られよう。」、
外務省
の調査月報でもこう言っておるのですから、どうしてそんなに従来の慣例を破って起草
委員会
をも設置しないで全体会議で一挙に採択したかったのだろう、こういう疑問を持つのはこれは当然じゃないだろうかと思うのです。その辺のところから、まずお伺いしたい。
正示啓次郎
55
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 私が先ほど申し上げたような経緯でございまするが、
外務省
から直接、文章につきまして特に御
質問
がございますので、
関係
官からお答えを申し上げたいと思います。
松井佐七郎
56
○
説明員
(
松井佐七郎
君) 世界の人口の三分の二が現在貧困と無知と疾病と戦っておる、これがいわゆる南北問題として取り上げた政治問題でございまして、国連はその対策といたしまして、一九六〇年代を国連のディベロプメント・ディケードと称しまして、集中的に低
開発国
の経済
開発
を促進するということを非常に重要なテーマとしております。この問題が一昨年開催されたUNCTADの会議におきまして、世界の百二十一カ国の代表の参加のもとに
論議
されたことは御
承知
のとおりでございます。 この会議において問題になったのは、低
開発国
の
開発
のおくれておる原因は何かということであります。それは要するに資本と技術の不足である。したがって、この資本をもっと多く提供するためにはどういう方法がいいかということがUNCTADの第三
委員会
における重要議題でございました。そのときに、低
開発国
の圧倒的な要求は、現在
IMF
あるいは世界銀行あるいは第二世銀の多角的な
開発
融資機関は大体先進国が実質をかっちり握っておりまして、低
開発国
側の切実なる実態に即した融資条件でやってくれない、額についても条件についても同様である、したがって、現在の世銀、
IMF
のワクから離れた、したがって彼らが国連のワク内で多数を擁しまして、低
開発国
が自主的な運用ができるような機構をつくれ、その要求が二つの形をとってあらわれました。その一つは国連のもとにキャピタル・ディベロプメント・ファンドをつくれ、他は地域
開発
のための地域
開発
銀行をつくれ、こういう要望が非常に強くなされたわけでございまして、
アジア開発銀行
の
背景
というものを、世界的な南北問題の一連として、高度の政治的見地から低
開発国
の切実な実態に即するような
措置
を構ずること、換言すれば、従来のような単なる
コマーシャルベース
の融資だけではだめである、かかる意見が世界の三分の二を代表する国々の強い要望でございます。
アジア開発銀行
というものは、実は南北問題という世界の流れのうちの一つの現象にすぎないわけでありまして、
外務省
の調査月報で「高度の
政治目的
」と申し上げましたのは、そういう態度をもって低
開発国
を助けろ、それこそ世界の世論である、この
意味
において、いろいろな技術的な問題についても重要性があるかもしれないけれども、非常に緊迫性を帯びた重要な問題があるから、この南北問題の立場から政治的にやってみろというわけであります。
政府
におきましても、かかる趨勢に同調したいという次第でございます。 ちょっと補足
説明
させていただきました次第であります。
須藤五郎
57
○須藤
五郎
君 関連。いまあなた、答弁の中で、世界の人口の三分の一を占める……。
松井佐七郎
58
○
説明員
(
松井佐七郎
君) 三分の二でございます。
須藤五郎
59
○須藤
五郎
君 いや、三分の一が貧困だ無知だと、こういうふうにあなたいま言ったが、その三分の一の人口を占める国々をあげてごらんなさい。
松井佐七郎
60
○
説明員
(
松井佐七郎
君) 私の申し上げましたのは、UNCTADの最終議定書にそういう用語がございます。具体的には、もちろん中共なりソ連圏がそうなのかという政治的問題を含んでいるので、正確なる答弁は困難でございます。
徳永正利
61
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
62
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
木村禧八郎
63
○
木村禧八郎
君 いま、
外務省
の調査月報で「
アジア開発銀行
協定
の概説」というものを書いておって、その中で、高度の
政治目的
を
背景
に、全体会議で一挙に採択されたと、こうなっておるんですよね。それで、これまでの国際慣例では、起草
委員会
を設置して、
法律
的見地から条文を十分に推敲するのが慣例なんだけれども、そういう手続を経なかったということが書いてあって、そこで「高度の
政治目的
を
背景
に」というところについての御
説明
があったんですよね。さっきのは、高度の
政治目的
というのは高度の政治性というように
説明
されたんだけれども、いまの
お話
ではここの私は
説明
にならないと思うのです。高度の
政治目的
というのは一体何を言っているのか、これはわれわれも意見がありますし、そう簡単なものでは私はないと思うのですけれども、さっき
説明
されたような簡単なものじゃないと思うのです。ですから、もう少しここのところを……。これはあれですか、松井さんが起草されたんですか。書かれたんですか。
松井佐七郎
64
○
説明員
(
松井佐七郎
君) 私ではございません。
木村禧八郎
65
○
木村禧八郎
君 その
政治目的
というのはどういうことなんですか。
正示啓次郎
66
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) いま松井君からお答えをいたしましたような
背景
があったと、そういう事実がございまして、それがいま
外務省
の調査月報の中に書かれておる表現が適当かどうか、私は必ずしもそれが最善のものであるとは考えませんが、しかし、そういう政治的な
目的
の非常に高度なものがございまして、それが閣僚会議等において非常に簡略な手続でこういう案が決定するに至った
背景
になっておる、そういうことを調査月報では
指摘
をしておるのであります。したがって、この
政治目的
ということがよく世間一般にいわれますような、いわゆる
アメリカ
の
アジア
政策
というふうなことではなくて、一般的に低
開発国
あるいは後進国の
開発
について資本を結集していくと、そういうことが非常に適当なことであるという世界的な世論があって、その上にこの案がつくられた、こういう
意味
に御理解をいただければいいのじゃないかと思っております。
木村禧八郎
67
○
木村禧八郎
君 先ほど松井さんから、そもそも
アジア開発銀行
についての
構想
が出てきたのは、これは国連で低
開発国
における貧困、無知の原因がどこにあるか、これについては
開発
が非常におくれている、ことに資本の
援助
が必要であるということから発しているんであって、という
お話
があったんですよ。その
アジア
における貧困と無知について須藤さんからいろいろ
質問
がありましたけれども、それはあとでまた須藤さんから
質問
していただくとして、とにかく
開発
がおくれている、貧困である低
開発国
がかなりあるということは事実ですね。その原因についての認識が大切なんですよ。われわれはこの
アジア開発銀行
を賛成するかしないかは、そこの原因についての認識と、それに基づく対策が適切であるかどうかというところから、
開発
銀行に賛成するかしないかをきめなきゃならぬわけです。ですから、その認識が非常に大切なんですよ。そこで、
日本
の
政府
は、
アジア
における停滞性というんですか、それから発展の非常におくれている、成長の非常に低い根本の原因はどこにあると考えておりますか、
日本
の
政府
は。
正示啓次郎
68
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) これは私が
政府
を代表してお答えするのにはあるいは不適当かもしれませんが、御
質問
でございますから、率直に申し上げてみたいと思うのでありますが、これはもちろんいわゆる
アジア
の後進性というふうなことによってよく申されておりますように、まず第一には、やはり非常にいままで不幸にして政治的な
関係
から、民族の自主独立と、そういうことが実現を見なかったということが非常に大きな原因ではないかと思います。幸いにして、それが近来とみに
各国
あるいは各民族の自主独立が大いに促進せられております。したがってまた、その自主性を尊重しつつ、ここに経済の
開発
、発展をなすべき非常な好機にいまわれわれは直面しておる、こういうふうな認識が根本ではなかろうか。 そういう認識のもとにこの経済の
開発
発展を進めていく場合、幾ら民族のそういう意欲が盛り上がってまいりましょうとも、これに必要なる資本技術、そういうものが相伴わないときにはやはり発展がおくれてまいるわけでございます。したがって、この点について大いに議論があるという
お話
もそのとおりだと存じますが、われわれといたしましては、すでにあらゆる方法を用いて資本的協力、技術的協力、こういう態勢を経済外交の大きな一環として推し進めておるわけでございますが、その一つの有力な方法といたしまして、今回のような
開発
銀行を設立することも
各国
の発展、繁栄のための一つの大きな、何といいますか、助長の方法になる、かような認識のもとにかような案を出したような次第であります。
木村禧八郎
69
○
木村禧八郎
君 この
アジア開発銀行
協定
というものですね、これは
外務省
の調査月報によっても、このモデルとなっておるのは大体米州
開発
銀行、いわゆるIDBですね、アフリカ
開発
銀行、ADBですか、この
協定
がモデルになっておるといわれておるのですよね。まあそういう点から
アジア開発銀行
が地域
開発
銀行といわれるゆえんだと思うのですけれども、そうなると、これは
アメリカ
の低
開発国援助
政策
というものと切り離して考えることはできないわけですね。そこで、
日本
の
政府
は、
アメリカ
の低
開発
援助
政策
というものの基本的な
考え方
はどういう点にあると考えておりますか。いま
日本政府
の
考え方
を聞きましたが、非常に何というか、隔靴掻痒というのですか、真髄に触れた御答弁でなかったのが遺憾で、また重ねて伺いますが、この
アジア開発銀行
の大株主というのですかね、大
出資
者は
アメリカ
、
日本
ですからね、非常に大きな比重を持っておるわけです。
アメリカ
はどういうふうに考えておるか、これを伺います。
正示啓次郎
70
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 私は、この点につきましても、
アメリカ
がいま御
指摘
のような米州
開発
銀行、あるいはアフリカ、また
アジア
というふうな、この地域の繁栄、発展、これについてもちろん大きな関心を持ち、またできるだけそれに協力しようと、こういうことは木村
委員
も御
指摘
のように事実であると思います。先ほど私がお答えを申し上げたのは、そういう
考え方
が主になって、これにわれわれが引きずられていったと、そういう趣旨ではなくて、どこまでもわれわれは
アジア
を中心に、
アジア
の
開発
、発展というそういう見地から自主的に案をつくりまして、その
基本方針
に支障のない限り
アメリカ
その他の国の協力も得ていきたい、こういうふうに主と従との
関係
を特に御
説明
したわけであります。したがって、基本的な
考え方
におきまして、もちろんいわゆる米州あるいはアフリカあるいは
アジア
、こういうものについて
アメリカ
がその力を注ぎまして
開発
の促進に寄与しつつある、これらの点については、われわれは決してそれを無視したりあるいは排除したりする、こういう考えではないわけであります。
木村禧八郎
71
○
木村禧八郎
君 そういうことを伺っているのではないのでして、
外務省
ですから、
アメリカ
のいわゆる
外交政策
的な見地から低
開発国
に対する
援助
というものに対してどういう基本理念を持って
アメリカ
は臨んでいるのかですね、そういう点をお聞きする必要があると思うのです。
正示啓次郎
72
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 御
承知
のように、ワールド・バンク、あるいは第二世銀、あるいは
IMF
、そういう問題について非常に大きな力を持っているのが
アメリカ
であることは御
承知
のとおりでございます。そうしてまた、
アメリカ
の基本的な
考え方
がどこにあるか、低
開発国
の
開発
、発展によって世界の繁栄が開かれ平和が保たれる、こういう基本的な
考え方
をとっていると思います。したがって、そのためにいま既存のいろいろな機関を動員し、また大いにそれを活用させるという
方針
をとっていることも事実でございますが、これに補完をさせて各地域の実情に応じたそういうものが自主的に生まれてくることをも歓迎し、それに対して応分の力をいたす、こういう
考え方
に立っていると、かように私は考えます。
木村禧八郎
73
○
木村禧八郎
君 それは
アメリカ
は、低
開発国
を
開発
して、その繁栄が世界の繁栄の基本になるのだという考えでやっていると、こういうのですか。 そこで、じゃ、低
開発国
を
開発
して繁栄に導くためには、その前提として、なぜ低
開発国
がその成長率が低く、なぜ貧困の問題が解決しないか、そのやはり基本的な原因に対する認識をはっきりしなければならぬのです。認識が間違っていたら、これは的はずれになるわけです。ですけれども、
アメリカ
は——さっき、国連が
アジア
地域における貧困と無知ですか、その原因についてこれを明らかにして、これを排除するために経済、技術
援助
等が必要だということが言われたのですがね、じゃ
アメリカ
は
アジア
地域におけるこの貧困、そういうものの根本の原因をどういうふうに理解して、どういう具体的な
政策
を、基本的
政策
を出しているとお考えですか。
正示啓次郎
74
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) これは先ほど私が、たいへん潜越ですけれども、
日本政府
を代表してお答えするのは適当でないということをリザーブいたしましてお答え申し上げたのでありますが、大体私は、
日本
の判断も
アメリカ
の判断もそう食い違っていないのじゃないか。自由を基本にいたしまして
各国
相携えて発展し繁栄していく、こういうことが自由経済の基本的な
考え方
であることは、木村
委員
御
承知
のとおりでございます。したがいまして、その基本的な同一の認識の上に、一国だけが繁栄するということはとうていあり得ないことでございますから、
各国
相携えて一そうの発展、繁栄、これを企図していく、こういうことが基本の
方針
になっている、かように理解をいたしております。
木村禧八郎
75
○
木村禧八郎
君 じゃ、もう少し具体的に
質問
してまいりましょう。 正示さんは、
日本
に来たと思うのですが、
アメリカ
政府
の
政策
計画
局長
ですかの
ロストウ
氏を御存じですか。
ロストウ
さんですね。御存じですか。
正示啓次郎
76
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 私、まだお目にかかっておりませんが、いろいろ
ロストウ
氏の見解というものは文章でも読み、また幹部会その他において報告は受けております。
木村禧八郎
77
○
木村禧八郎
君 これは新聞の報ずるところによると、何か
日本
に見えることを伺ったし、それから
韓国
のあの経済
計画
なんかについていわゆる
テークオフ理論
に基づいていろいろアドバイスしたり、それから
アメリカ
の低
開発国
計画
につきましてはこの
ロストウ
の
考え方
というのがかなり影響されておるのです。基礎になっているのじゃないかと思うのです。そこで、
アメリカ
の低
開発国援助
政策
の基本
政策
というものがどこにあるかということを考える場合、やはりこの
ロストウ
の
考え方
というものを基礎にしているのじゃないか、そこから私は出ているのじゃないかと思うのです。基本は。 そこで、
ロストウ
のものをお読みになって大体御存じだと思いますが、それじゃひとつこの
ロストウ理論
に基づいて
アメリカ
はどういうふうに低
開発国
を
援助
しているか、また、
ロストウ
は
アジア
地域における貧困と無知の原因を一体どこにあると見ているか、そういう点を伺いたい。
正示啓次郎
78
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 先ほどお答え申し上げましたように、私は
ロストウ
氏にお目にかかっておりませんし、
ロストウ
氏の所見を特に研究したというのでございませんので、私からお答えするよりは、あるいはもう少し適当な者がおるかと存じます。しかし、
ロストウ
氏は先般
日本
に来るはなずであったのが、たしか何かの
理由
で来られかったのでありますが、いつも
外務省
の幹部から幹部会等において伺っておる点から申しましても、先ほど私がお答えをしたような
考え方
とそれほど変わらないのじゃないか、かように思っております。これは、いま
ロストウ
氏の所見、それを基礎に、もう少し
ロストウ
氏の見解を明らかにせよということでございますれば、もっと詳しい者をしてお答えさせるほうが適当かと存じます。
木村禧八郎
79
○
木村禧八郎
君 ちょっと待ってください。いま正示さん、大体
外務省
の
考え方
と
ロストウ
の
考え方
とあまり変わらぬということを言われたのですね。そうでしょう。
アメリカ
のまあ低
開発国援助
政策
の基本の理念になっていることは、これは云う御
承知
のとおり。また、いろいろとそういう著書を出しておりますね、
ロストウ
が。それで、大体
ロストウ
の考えと
日本
の
政府
の
考え方
が同じかと言ったら、これは相当問題がありますよ。これから御
質問
していきますけれども、それでいいんですか。
正示啓次郎
80
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 先ほど私が、低
開発国援助
の必要性、また
アジア開発銀行
設立の必要性というふうな点について
日本政府
としてはどう考えておるかという点を、まずお答えをいたしたわけでありますが、それに対しまして、まあ
アメリカ
政府
の
考え方
を重ねて御
質問
でございまして、基本的にはその考えに私が申し上げた限りにおいては食い違いはない、こういうふうな趣旨で申し上げたのでありまして、
ロストウ
氏の所見については、いまも私が申し上げたように、特に
専門家
をしてこれを答えさせることが適当かと思っております。しかし、いま申し上げたようなことで特に食い違いはないのじゃないかという趣旨のことだけを、私が一言申し上げたわけであります。
木村禧八郎
81
○
木村禧八郎
君 それはむずかしい
テークオフ理論
を聞こうと思ってやしませんよ。この
アジア開発銀行
を、われわれがこの
法律案
を賛成するかしないかについて態度をきめるにあたって、
アメリカ
の低
開発国援助
政策
の基本になっているこの
ロストウ
の
理論
、そしてその
ロストウ
が一体
アジア
の貧困と無知の原因をどういうところに求めて、どういうところにあると考えて、どういう方法で解除し、これを排除しようとするのか、そこが問題なんです。重要な問題なんです。ですから、そうむずかしい
理論
を聞こうとしているのじゃないのです。ただ、
ロストウ
は、この
アジア
の貧困と停滞の原因をどういうふうに理解をしているのか、こういうことなんです。それで、大体
日本政府
もあまりそれと変わらないということになりますと、それは私は問題があると思うのですよ。
正示啓次郎
82
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 木村
委員
が特にお詳しいこの
ロストウ
の専門的な見解というものについては、私はあまりここでお答えをしないほうがいいかと思いますが、われわれが基本的に考えておりますように、
アジア
の諸国は先ほど申し上げたような政治的なそういう面から非常におくれておる。しかして、今日においては、いわゆる経済の発展段階に応じまして、一次産品、そうしてまたいわゆる
日本
のごときやや、まあこれは中進国とかいわれておりますが、この経済の発展段階に応じて、
アジア
の経済の
状況
が非常に不利であるというふうな点についての事実の認識、こういう点は私はだれが見てもそう見解が異なるものではなかろう。問題は、これに対していかなる方法でその
状況
を打破していくかという点についてはいろいろ見解はあろうかと存じますが、不足しておる資本、
開発
の
資金
、そういうものを諸国の協力、結集の方法によってこうした国々に確保していく、こういう
考え方
については大体同じような結論が出るのではないか、こういう趣旨で申し上げておるわけであります。
木村禧八郎
83
○
木村禧八郎
君 答弁になっていないですよ。これはどなたか、多少でもいいですよ。さっき正示さん、そんなことを言わなきゃいいですよ。
ロストウ
のものをかなり読んで
承知
しているなんというふうなことをおっしゃるから、私はそういう
質問
をしてしまったわけなんですけれどもね。わからぬというなら……。これは
日本
に来ていますか。いま来ていないと言うけれども、来ていますよ、
ロストウ
は
日本
に。
戸田菊雄
84
○戸田菊雄君 いまの回答で、
ロストウ
が来ていないと言うけれども、去年の四月、来ているじゃないですか。どうなんですか。
正示啓次郎
85
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 最近のことを先ほどお答えを申し上げましたわけでございますが、昨年はたしか来たはずでございます。また、将来来るという話も聞いております。
木村禧八郎
86
○
木村禧八郎
君 そのときには会わなかったのですか、それでは
ロストウ
には。
正示啓次郎
87
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) これは私はお会いしておりません。私どものほうの
外務省
は、もちろんあらゆる機会にお会いしていろいろ何して……。
木村禧八郎
88
○
木村禧八郎
君 これは
アジア開発銀行
に
日本
が参加し、そうして
国民
の
税金
で巨額の
出資
をするのですが、もし
アメリカ
の
アジア
、
極東
における低
開発国
の経済の停滞、貧困の原因がどういうところにあるかというその判断が誤っている、その誤った判断に基づいて
アメリカ
が
資金
援助
、技術
援助
が必要だと言い、そういう
援助
をやっていったら、むしろ逆に低
開発国
を混乱させるばかりであって、そこの繁栄には役立たない。そういう
アメリカ
の間違った
ロストウ理論
に基づく技術
援助
なり経済
援助
、そういうもののしり馬に乗って
アジア開発銀行
に
日本
が参加するということになれば、これは逆の効果になるのですよ。だから、私はその点を一番基本的な点だから聞いているのです。
ロストウ
は一体、
アジア
の停滞と貧困の原因をどこにあると考えているか。 われわれはそういうことを——われわれの考えを言えば、すぐわかってくると思うのですが、一体
アメリカ
は具体的にどういうところに
援助
をしておりますか。その
アジア
の停滞地域における腐敗した
政府
にみな
援助
をしているでしょう、腐敗堕落した
政府
に。李承晩がそうじゃないですか。
韓国
、そうでしょう。台湾、そうじゃございませんか。みな腐敗堕落した
政府
に
援助
をして、その
援助
がほんとうに民生安定に役立っていないところに問題があるのですよ。ここに根本の原因があるのですよ。
ロストウ
はそういうふうに見ていないのです。ここまで言えば、ほかに——まあこれは第一ヒント。だから、
アメリカ
は、
ロストウ
は、一体どう考えているか。第一ヒントを与えておく。
正示啓次郎
89
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) これはお断わりするまでもなく、先ほども申し上げましたように、今度の
アジア開発銀行
という
構想
は、また木村
委員
も御
指摘
のように、これは国連の
考え方
から出てきておるものであるということをまず第一に申し上げなければならぬと思います。したがって、これは、私、
ロストウ
の
考え方
とはもちろん違うわけであります。国連という今日の国際的な唯一の総合的な機関、そこからこれは発想されておるということを第一に申し上げたいと思います。 それから、
韓国
等を引き合いにお出しになっての御議論、これは過去においていろいろのことがございましたが、今日におきましては非常に、御
承知
のごとく、
韓国
も政治的にも落ちついてまいりまして、経済につきましては、先般
国会
において御
審議
をいただきましたような
有償無償
の
経済協力
、こういうことで漸次
韓国
の経済が安定し繁栄していくということをわれわれは確信をしております。 問題は、今後の
アジア
に対する経済の
開発
、発展をどういう方式でやっていくかということでございますが、いま木村
委員
がくしくも御
指摘
になりましたようなそういう過去の経緯から考えましても、いわゆるバイラテラルに二国間でいろいろやっていくというようなことにしておきますと、そこにその間いろいろの弊害もあろうかと思われます。できるだけわれわれといたしましては、こういうマルティラテラルな形をとりましての
資金
の確保、経済
援助
協力、こういう体制を進めていくべきではないか、こんな
考え方
から、先般の東南
アジア
開発
閣僚会議というようなことにも実を結んだものと考えておりますが、そういう一環といたしまして、今回の
アジア開発銀行
は一つの有力な手段である、こう考えておる次第でございます。
木村禧八郎
90
○
木村禧八郎
君
ロストウ
氏に、昨年四月ですか、来られ、
外務省
でどなたかがお会いになっているというのですが、わかったら、そのときに
ロストウ
氏はどういう用件で来られたのか、どういう話をしたのか。これは非常に重要だと思うのです。
経済協力
によって
韓国
の経済の
開発
の
考え方
、ずいぶんこれはいろんな雑誌なんかにも出ているしけですよ。大体
ロストウ
さんの考えははずれた。いままでの実績から見て、
ロストウ理論
はこれは通用しないということが相場らしいですよ。私は学者じゃありませんから、よくわかりませんが。その
ロストウ
さんが
日本
に来られて、
日本
の低
開発国
に対する
援助
に対して、
開発
に対するアドバイスをされるのじゃないかと思うのです。さっき正示さんが、大体
アメリカ
の
考え方
とは違いないということは、
ロストウ
の
考え方
と違いないということになるのであって、そうなると、
ロストウ
氏が
日本
に来られてどういう話し合いをしたかということは、非常に重要な
意味
があると思うのです。この
アジア開発銀行
に対してわれわれが態度をきめる場合にも、一つの
資料
になると思いますので、後刻、詳しく……。これは外務大臣はお会いになっているのじゃないですかね。
正示啓次郎
91
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 御
指摘
のように、
ロストウ
氏に会った者がそのときの
お話
の
内容
を差しつかえない程度で
お話
し申し上げることにいたしたいと思いますが、外務大臣はおそらくお会いしていないのじゃないかと、これも私の推察ですから、あとで確かめまして申し上げますが、大体さっき申し上げましたことは、
外務省
の者がお会いいたしましても、一般的な問題についての見解を交換するというようなことでございまして、少なくともことにありまする
アジア開発銀行
設立の
構想
、こういう具体的な問題には全然触れていないということだけは、はっきり申し上げられると思います。
木村禧八郎
92
○
木村禧八郎
君 それでは、あとで一般的な
考え方
でけっこうですよ、
アジア
の低
開発国
開発
に関する
アメリカ
の一般的
考え方
、基本的
考え方
、それはこの
アジア開発銀行
の性格を解く一つのかぎにもなりますから、それでもけっこうなんです。それと同時に、
ロストウ
氏が
アジア
の貧困の、停滞の原因をどういうふうに考えて、そうして
アメリカ
の低
開発国援助
政策
というものを出しているのか、そこら辺の具体的にわかる人を、午後よこしていただけませんか。
正示啓次郎
93
○
政府委員
(正
示啓次郎
君)
承知
いたしました。
徳永正利
94
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
95
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。 両案に対する午前の
質疑
はこの程度にとどめ、午後は一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 —————・————— 午後一時五十四分開会
徳永正利
96
○
委員長
(
徳永正利
君) 午前に引き続き、
外国為替資金特別会計法
の一部を改正する
法律案
及び
アジア開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律案
、以上両案を一括して議題とし、
質疑
を続けます。
質疑
の通告がありますので、これを許します。
田中寿美子
君。
田中寿美子
97
○
田中寿美子
君 長くなりますから、すわったままで。どうぞそちらもすわったままでお願いいたします。 午前中、木村
委員
から、お得意の計数的な非常にこまかいことから入りまして、そしてようやくその
アジア開発銀行
及び東南
アジア
に対する経済
援助
の政治的な
背景
というような問題に入りかかっておるところで中断されたんですが、私はその辺から始めたいと思います。 実は、私は多少
アジア
・アフリカ地域を旅もしておりますし、それから
政府
ベースでない民間ベースの国際会議にも何回か出ておりますし、また研究にも行った経験があるんですけれども、それで東南
アジア
諸国の民衆の
考え方
というのは幾らかつかんでいるつもりでございます。それで、
日本
の東南
アジア
に対する経済
援助
の
姿勢
、あるいは今度の
アジア開発銀行
に関するやり方その他、これは非常に問題なんじゃないかと思っております。 皆さんお読みになったか知りませんが、私はよく
アメリカ
の雑誌を読みますので、その中に、先般四月に行なわれました東南
アジア
開発
経済閣僚会議に関して相当いろいろ書かれている。たとえば、これはタイムですけれども、タイムの四月十五日号です。
日本
はフランスのシャンペンを抜いて東洋の連帯のために祝杯をあげた、そしてかつての戦時中の不愉快な記憶が消え去っておらないにもかかわらず、八カ国の閣僚が集まったというのは、
日本
としてはたいへん大できだった、そこで、その不愉快な記憶があるけれども、その過去の問題よりは未来に望みをかけている会議であるというようなことを、シンガポールの財務相のリム・キム・サンという人が述べたということが書かれてありまして、これは東南
アジア
に
日本
が一体何を提供してくれるのかということに対する期待を述べたものである。 そこで、そのタイムのコメントなんですけれども、
日本
はかつての戦争当時に軍国主義的なやり方で失敗したところの大東亜共栄圏、それを今回は平和裏に経済的な外交によって果たしつつあるものであるということをタイムは書いております。それと同じようなことがいろいろの
アメリカ
の雑誌に書かれているということは、これは
アメリカ
が
日本
の今回の
アジア開発銀行
への
出資
、それから
日本
が東南
アジア
経済
援助
なんかに対して何を期待しているのかということをおのずから物語っているものだというような気がいたします。先ほど
ロストウ
の話が出たんですけれども、私は
アジア
、アフリカの新興諸国を歩いて、先ほど世界の人口の三分の一は貧困と無知と経済的、政治的不安の中にあるというようなことを
外務省
の方がおっしゃったんですが、いわゆる後進国と呼ばれる国に対して、特に
アジア
、アフリカあるいはラテン
アメリカ
も含めて、戦後の
アメリカ
の進出というのは、これは新しい
意味
の植民地主義的な進出だというふうに民衆は考えております。
日本
の
政府
のレベルで話をなさるときには、それは
日本
から何か引き出そうと思う相手とつき合いをなさるんですから、非常にあいきょうもいいし、親日的なことを言うかもしれませんけれども、私はじかにいろいろな
アジア
の人々、あるいはアフリカもそうですか、と会いますと、非常に疑惑というか、不信感をいまだに持っております。 で、四月に行なわれた東南
アジア
閣僚会議の場合も、さっきのシンガポールの財務相のことばの中にも、過去の不愉快な記憶は消えないけれども、というようなことばがあるくらいですし、それから、会議の席上は一応まとまったとしても、会議の外で非常に白々しいものがあった、お互いに不信なものがある、そのときに佐藤総理が
国民所得
の一%を
援助
するぞということを言って、非常にみんなの不満が出ない先にそういうことばをもってみんなを喜ばしたというようなふうに書かれています。このようなこと、これは
アメリカ
の
アジア
あるいは東南
アジア
に対する
政策
、それはかつての植民地時代には
アジア
やアフリカの地域をヨーロッパ諸国が政治的にも支配し、経済的にも支配した、すべての面で支配していたのですが、戦後はこれらの地域の諸国に主権を戻して一応政治的な独立はしているけれども、実際には経済的な権益を握っている、あるいは経済的に自立できない
状況
の中にありますこれらの国々に対して、軍事
援助
、あるいは経済
援助
という形で新しい支配をしつつある。これは新植民地主義だというふうに言われているわけなんです。 ところが、
日本
の
アジア
における
政策
というのは、これは先ほども木村
委員
の
質問
のときにも出ましたけれども、
ジョンソン
構想
よりもっと前から、もちろん
アメリカ
の東南
アジア
における
政策
と相呼応しているものだと私は思うのです。それで、いわゆる大東亜共栄圏という思想を経済的にあらためてここに打ち立てて、工業的には東南
アジア
、
アジア
における一番進んでいる
日本
が、多額の
出資
をしたり、たくさんの経済
援助
をすることによって東南
アジア
に
アメリカ
の
政策
と結びついた一種の機構をつくる前提のようなものになるのではないか、こういうことを心配するのですけれども、この点に関してほんとうなら外務大臣にもお伺いしたいところなんですけれども、
外務省
の方及び大蔵大臣に、つまり
アメリカ
の各紙がいろいろ言っている、そういうような問題についでどういうふうにお考えになりますか、お答えいただきたいと思います。
福田赳夫
98
○国務大臣(
福田
赳夫君) 私は近ごろ毎週のように、アフリカだとか、あるいは南米だとか、あるいは
アジア
、そういう国々の方々にお目にかかります。そういう方々が相次いでやってくるわけです。また、国際会議なんかに参りましても、非常にそれらの国々の方々から面会が多いわけですが、それはなぜかというと、
日本
に何がしかの
経済協力
を頼みに来ると、こういうことなんであります。私はそういう人々に会いまして実はさびしい気持ちがするのですが、そういう求めに応じてわが
日本
が期待されたような協力をすることができる立場にあれば、これはたいへん
日本
は世界の平和と発展に貢献できる立場に立ち得る。したがって、国際社会においても
日本
の
発言
権というものがずいぶん大きくなっていくのじゃないか。そういう
発言
権を通じて、
日本
なりに平和と繁栄のために貢献し得るのだと、こういう感じがするのであります。ところが、実際わが国力を顧みてみますと、なかなかそうはできない、非常に乏しい協力しかできない、こういうことでございまして、その点がいかにも残念であり、さびしく感ぜられる、こういうことなんです。 私は、戦後の世界において一つの国がただ一人栄えると、こういうことはあり得ないと思います。これはやはり世界の戦後の想像もできなかったような科学技術の進歩発展の中においては、やはり世界は連帯的に繁栄し、連帯的に発展していく、その道をとるほかはない。そういうことを考えますときに、
日本
は
日本
の置かれている立場において他の国の発展というととも考えなければ、おのずからそこに
日本
の繁栄、発展にも限界がある、こういうふうに考えるわけであります。乏しいながら、常にそういう世界連帯による発展、繁栄のためには協力しなければならない、こういうふうに考えるわけですが、特に
アジア
の問題なんかはわれわれに身近な問題でありますから、強くそういう
考え方
を押し出してまいりたい、こういうように考えているわけでございます。
日本
が中心になって昔の大東亜共栄圏を再現してみようというような、そういう狭い考えは持っておりませんです。
田中寿美子
99
○
田中寿美子
君 昔の軍国主義的な大東亜共栄圏を考えているというようなことは、それはできないことだと思いますけれども、経済的な方法によって、いまのいわゆる経済外交というやり方で大東亜共栄圏を再現しつつあるというのは、これは内閣調査室から出されております国際情勢
資料
の中にも、
アメリカ
のUSニュース・アンド・ワールド・リポートというのですけれども、これの中にもそういうことが書かれておりまして、
日本
はもう世界第四の工業国である、また
日本
は世界の造船業をリードして、第三位の鉄鋼生産を占め、高度の電子工業を発展させ、
国民
に
アジア
で最高の生活水準を与えている、
日本
の農民はきわめて生産性が高い、
日本
の科学者や技術者は世界で最高だとみなされている、そういうふうなことが書いてあって、これだけの力ができたのは、
アメリカ
が
日本
の防衛のほうを引き受けてくれて金をつぎ込んで、
日本
が自分で使わなかったおかげである、いまやそれに対して
日本
自身が金をつぎ込んでやるべき時ではないか。そうして
アメリカ
の
考え方
からすれば、東南
アジア
諸国が打って一丸として中国に対する封じ込め
政策
をとること、これが正しいと考えているからそういうことを言うのだと思うのですが、その
考え方
を、いまや
日本
は
アメリカ
の期待にこたえんとしているというふうにコメントしているのですけれども、事実はそういうふうに動いてきていると思うのです。 それで、大蔵大臣の言われたような気持ちは、それは表面のことだと思うのですね。ここにも
日本
は天然資源が少ないという問題があるから、原材料を海外から輸入しなければならない、こういう原材料の輸入代金を支払うためには大規模な輸出をしなければならない、だから結局
日本
の経済にとっても
アジア
の
経済協力
という名前で進出していくことは非常に大事なことだ、その一点と、それからもう一つは、
アジア
における安全保障という
考え方
から期待をしているわけであります。その辺は大蔵大臣だけでないと思いますので、
外務省
の方にも、さっき木村
委員
が、そもそも東南
アジア
へ向けての
日本
の
経済協力
、経済
援助
というのは、
考え方
は、基本的に
アメリカ
の立場と相呼応しているものだということがあったと思うのです。表面的な
お話
だけだったら非常にきれいに済んでしまうのですけれども、いかがでしょうか、その点は。
西山昭
100
○
政府委員
(西山昭君) 先ほど大蔵大臣がお述べになったことと全く同一に考えておりますが、この前、東南
アジア
の閣僚会議を
日本
がイニシアチブをとりましてやりました趣旨は、東南
アジア
におきましては、いろいろ政治的にも対立がありましたり、それからものごとの
考え方
にも相違がございまして、いろいろ混乱があるわけでございますが、私どもとしましては、結局、経済が安定していない、またその裏には中産階級がいない、いろいろな経済的な立場から見まして成熟したものの
考え方
ができないような社会的な環境にある。それから、経済的にもそういうことが実行されるような、達成されるような基盤がまだつくられていない。もちろん、国によりまして非常に
事情
が違います。相当程度の高い国もあれば、非常に原始的な国もございます。一がいに同じようなことは言えないのでございますけれども、総じてそういうことが言えるのではないか。結局、いろいろの角度から見ましても、経済が安定し、また発展していくような環境をお互いに協力してつくっていくべきである。また、その中でも最も必要なことは、
各国
がみずからそういうような機運を醸成することでございまして、そういうものを含めまして、
日本
は、
アジア
の国として唯一の先進国としまして、そういうものを醸成する一つの手助けをする。これはまた、広い
意味
からいいまして、
日本
としても責任があるのじゃないか。こういう
意味
でこの閣僚会議が開催されたと私は了解しておりまして、参加の
各国
もその趣旨に非常に賛成しておりまして、
各国
もみずからこの経済の発展のための努力を非常に強調しておりました。そしてまた、単に経済の発展が工業化の促進によるものだけでなくて、安定したバランスのとれた発展をするためには農業の発展が必要である、というようなことが強調されたような次第でございまして、長い目からの地域の発展ということを考えて
経済協力
をやっておるわけでございまして、そこに勢力圏をつくるとかあるいは支配をするとか、そういう考えは毛頭ない次第でございます。
田中寿美子
101
○
田中寿美子
君
国民所得
の一%を東南
アジア
の
開発
に充てるということを発表したのは、先ほどの一九六三年のジュネーブでの国際貿易会議ですか、そのときですね、
最初
言われましたのは。今度の東南
アジア
閣僚会議のときにも、またあらためて佐藤総理が一%の
援助
をするということを言われたわけなんですけれども、いま
日本
の
国民所得
は、去年はだいぶ上がり方が低下しましたね。しかし、それまで一%を
援助
に充てるというようになった動機はどういうことですか。現在までは〇・何%でしょう。昨年は〇・六三%ですか。それだけする余裕があるという判断に立たれたのでしょうか。
福田赳夫
102
○国務大臣(
福田
赳夫君) これは、低
開発国
の
援助
をしようじゃないかという国際的機運は非常に高いわけです。ことに私は驚いたのですが、昨年
IMF
の総会に行ってみると、
IMF
というけれども、低
開発国援助
ムード一ぱいというくらいであります。そういう低
開発国援助
ムードを受けまして、DACにおきまして、進んだ国においては、工業国においては、
国民所得
の一%は
援助
すべきである、こういう決議が行なわれたわけであります。
日本
はそれに対しまして、でき得る限り協力するということを言明をいたしているわけであります。その言明をいたしたところでございまするから、極力これに沿っていかなければならない。でありますが、さて
国民所得
の一%ということになりますと、これはなかなか大きな額でありまして、そう簡単に実現するわけにまいらないのであります。 それで、いま
政府
の
方針
はどうかと、こういうことになると、でき得る限り早く一%に達するように努力をしよう、こういうことを言い得るにとどまるわけであります。四月の
アジア
開発
閣僚会議におきましても、私から、
日本
はなるべくすみやかに一%の
援助
をするようにいたしたいと、こう考えておるということを
発言
をいたし、特にそのうち
アジア
に対しては重点を置くつもりであるということを申し上げたわけであります。昨年四十年度におきましては、一%という目標に対しまして〇・六三%、それからその前の三十九年度が〇・四一%ということになっております。四十一年度は、四十年度の〇・六三%の水準より幾らか上がるのではないかと思いますが、これは実施してみなければわからぬわけであります。 いずれにいたしましても、
外国
を
援助
するということは、われわれ国内の力をそれだけ海外にさくということであり、
国民所得
の可処分額を海外に振り向けることでございます。いろいろな形はありますが、回り回って財政にはね返ってくる問題である。わが国の財政の
状態
は、先ほども申し上げたのですが、四十二年、四十三年、この二年が特に苦しい
状態
であります。そういうことを考えまするときに、これがこの一、二年で急激にこの率が改善されるとは考えられませんが、財政の
状況
ともにらみ合わせまして、なるべく早くそういうような国際的な期待にこたえたい、こういうふうに考えております。
徳永正利
103
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
104
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
田中寿美子
105
○
田中寿美子
君 私は、
日本
が後進国を
援助
をしてはいけないというのじゃないわけです。というよりは、むしろ大東亜戦争中に非常に迷惑をかけた東南
アジア
諸国に対しては義務があると思います。ただ、そのしかたが問題だと思うのですね。いま低
開発国
から要請があるということは、これは民間レベルの会合だって非常にそれは弱い要請が、私なんかが出席した会合でよく聞いております。しかし、それに対して応じる国の側の
姿勢
が問題だと思うのです。その辺をお尋ねしたのに対してお答えいただいていないのですけれどもね。 これはつまり、低
開発国
からの要請と、それから片っ方に
アメリカ
のプッシュと要望があり、それから
日本
が戦後の経済をだんだん復活してきた、そして復興してきた、そして賠償なんかがある程度片づき始めたというところで、ぜひやれという押しがあったのだというふうに想像しますけれども、そして
アメリカ
の雑誌のほうにはそういうふうに書いてあるのですけれども、いかがでしょう。
西山昭
106
○
政府委員
(西山昭君) 先ほど大臣から
お話
がありましたように、
経済協力
いたします場合には、
日本
の財政の能力の問題が直ちに
関係
してくるわけでございまして、数年前まではまだ系統的な検討をするまでになかなかいかなかったわけでございますが、最近におきましては、いろいろの国際的な環境も変わりまして、
日本
といたしましても御
指摘
のように
経済協力
をシステマティックに考える必要がございまして、全体の財政の
資金
のワクの中でどれくらいを考えていくか、またその使途にあたりましてはどういう点に重点をおいたらいいか、そして今後ほんとうに低
開発国
が必要としまする要求を
日本
から見まして最も有効に協力し得るような体制を考えるという方向に鋭意検討しておるわけでございまして、そういう
意味
では
経済協力
自体がまだ比較的新しい問題でございまして、世界銀行におきましても、あるいはOECD等の
援助
部門におきましても、いろいろ検討いたしております。今後ますますそういう
意味
で後進国の実際の必要、それから後進国といいましても、低
開発国
といいましても、国によっていろいろ段階の実情の相違がございます。そういうものに合わせまして、先進諸国がどういうぐあいに応援したらほんとうに有効な適切な協力ができるか、また、受け入れをする国におきましても、どういうような努力をしてもらわなければならないか、こういうものがいわばもう少し体系的に検討されつつある
状況
でございまして、もちろん
日本
としましても、
日本
の立場から、また
日本
の能力の角度から、そういう点をあわせまして実行を行なうということにしたいと思っております。
田中寿美子
107
○
田中寿美子
君 いまおっしゃったように、低
開発国
がどうしたら経済的に立ち上がっていけるかということを主にして考えてする経済
援助
というのは、これはたいへん理想的に聞こえるわけなんですけれども、これは私、アフリカやなんかでことによく見たんですが、
アジア
でもそうですけれども、旧植民地支配者が引き揚げていったあと、やっぱり経済
援助
や軍事
援助
でひもをつけているわけですね。ですから、結局自力で立ち上がれるような
援助
になっていない場合が非常に多いのです。私は、アフリカ
開発
銀行とか米州
開発
銀行の実績、国別にどんなことを
援助
したのかという
資料
をいただきたいと思ってお願いしたんですけれども、大蔵省からも
外務省
からもそのたてまえの規則みたいなものだけいただきまして、
資料
が入りませんでしたけれども、もしおわかりになっていたら、いまおっしゃったように、その国が立ち上がれるような
援助
を過去にやってきたのかどうか、それを話していただきたいと思いますが。
徳永正利
108
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
109
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
西山昭
110
○
政府委員
(西山昭君) でき得る限り
資料
をそろえまして、御提出いたします。
大和田渉
111
○
説明員
(大和田渉君) 西山
局長
の
説明
を補足さしていただきますが、アフリカ
開発
銀行に関しましては、まだ業務を開始しておりません。この七月一日から業務を開始する
予定
になっております。以上補足の
説明
でございます。
田中寿美子
112
○
田中寿美子
君 いや、
開発
銀行でなくて、過去に
アジア
及びアフリカに対して、経済
援助
あるいは民間投資の形ででも、どういう方向に主として出ていったかということはおわかりになるだろうと思うのですけれども、どなたか聞いていませんか。
西山昭
113
○
政府委員
(西山昭君) この
経済協力
で、年間に幾らぐらい
経済協力
が行なわれたかという内訳を、統計の便宜上、OECD等で採用しておりまする分類は、国が贈与その他で出しますものと、それから
政府
あるいは
政府
べーシスで直接借款を行ないますものと、それから国際機関、世銀あるいは最近の例でいいますと
アジア開発銀行
等に
出資
をしたり分担金を払ったりするような金、それから民間で直接投資を行ないます
資金
だとか、それからまた輸出信用の
金額
、こういうものを合計しまして
経済協力
の総和を出しておるわけでございまして、南米におきましても、南米銀行等は、いろいろのインフラストラクチャーの改善あるいは振興等に直接借款をやりましたり、またサプライヤーズ・クレジットをやりましたり、その辺は多種ございます。
日本
につきましても、
世界各国
の
関係
を申し上げますと、たとえば
日韓
協力のように、
政府
間で
協定
をいたしまして、
無償
援助
あるいは
有償
協力をやります場合もありますれば、インド、パキスタンのように、世銀等のコンソーシアムを通じまして直接借款をやる面もございます。それから、市場によりまして、中南米あるいは中近東におきましては、主として延べ払いの輸出信用が主体をなしております。東南
アジア
におきましては、そういう
意味
で技術協力が相当の部門を占めております。また、賠償も
経済協力
の一つと数えられておりますが、そういうものが主体になっております。最近の傾向としましては、だんだん
政府
がイニシアティブをとります直接借款が必要とされる傾向が生じておりまして、今後はその方面が増大するものと考えております。
田中寿美子
114
○
田中寿美子
君 いまおっしゃったような
資料
はいただいたのです。いままでに低
開発国
に対する
経済協力
の形態別実績表というのをいただき、
金額
もそれは出ていますし、いまおっしゃったような種類は出ているのですけれども、私がお尋ねしたいのは、これは
アメリカ
やヨーロッパの旧植民国、こういう国が新しく独立した国に経済
援助
をしているその実態が非常にひもつきが多いわけです。そうしてことに新興国というのは、みんな第一次産業の多い国でございます。それを工業化して、自分で自分の国の経済発展をさせていくという方向でなしに、先進諸国は自分の国の製品を売りつけるという形になっていきやすいのですね。ですから、その点でせっかくの経済
援助
というものがそれぞれの国の経済自立に寄与していないということが、しばしば——全然しないわけじゃありませんけれどもね、いまおっしゃったような方向だったら、本来ならば売りつけるものは、たとえば
日本
でいま電気製品が余っているとか、繊維製品が余っているとかいうものを売りつけるというのではなしに、それぞれの国が工業的に発展できるような基礎的な産業のほうに金を貸すとかなんとか、そういうつまり実際の経済
援助
の実態をお聞かせ願いたかったわけです。
西山昭
115
○
政府委員
(西山昭君) 経済の
関係
は、私から申し上げるまでもございませんで、非常にいろいろ複雑でございまして、ただダムができたからといってすぐ農業が振興されるわけのものではございませんし、いろいろ付帯の問題もございます。
日本
の能力の特徴から申しますと、
資金
面の制約もございますし、また工業の形態の問題もございまして、どういうような協力のしかたが一番適切かという
日本
から見た問題もあろうかと思いますが、それにしましても、相手国がそういうものを受け入れた場合に、それがその国の経済の発展に役に立つということがやはり必要であるわけであります。 たとえば、詳細な
資料
はなかなかわからないんでございますが、フランスは旧フランス植民地に対しましては非常に技術協力といいますか、そういう面が大きい比率を占めておりまして、これは御
承知
のように、独立はしましたけれどもなかなか行政をやる人的な要素が欠けておる、そういう
関係
で学生をたくさん引き受けて訓練をするとか、あるいは従来の経験があるフランス人がそのまま残っておるとか、あるいは新たにフランスから人を入れていろいろの近代的な必要な施設にそういう人を配置いたしまして国家の運営に寄与させるとか、そういう面が相当大きい特徴をなしておると理解しております。イギリスにつきましては、いろいろのたくさんの植民地がございましたけれども、これは独立しました国の実情に応じましてやり方も相当違うわけでございまして、たとえばインド等に対しましては、これはアフリカの小さな独立国とはまた違った取り扱いをしておるというように理解しております。
田中寿美子
116
○
田中寿美子
君 私、
日本
のとるべき態度、あるいはとってきたいままでの実績をお伺いしていたわけなんですけれども、たとえばアフリカですね、これは例として申し上げるんですけれども、東アフリカから南アフリカのほうに向かって私は旅したことありますけれども、それから北アフリカにも参りましたが、アフリカ全体にわたって
日本
の商社が繊維を持って歩いて売り込んでおります。それで、
日本
人というものの認識はホンダ、サンヨー、というようなことばを知っているぐらいで、それと布地で知っているわけです。つまり消費物資を持ち込んでいるわけです。ですから、ほんとうに自分たちの国を立ち上がらせようと思う人からは、非常に批判されております。 ことに一番ひどい例を申し上げますと、これは東アフリカの諸国ですけれども、アフリカの黒人に
日本
のナイロンのかつらを売りつけておりますね。ちょうどケニアが独立する直前でしたけれども、新聞紙上にジョモ・ケニヤッタ首相が、黒人の女性が髪の毛が短くて縮れているというのは、これは天賦のものである、だからそんなものを無理やりに、
日本
のスカーフを——スカーフを非常に売りつけておりますが、ですから、そういうものを買って使うということは浪費でもあるし、また非衛生でもあると。それから、ましてかつらなんというものは黒人にとっては非常に高いものです。フランスの製品が三万円のとき
日本
は一万円で入り込む、こういうやり方。それから、もうよく御
承知
だと思いますけれども、南アフリカとの貿易は国連であのように制裁決議までされているときでも、
日本
は貿易をどんどん伸ばしている。日中貿易よりもっと実績が高かったわけです。こういうやり方を東南
アジア
にも持ち込んでいくというようなことがあったら、私はまた事実相当あると思いますけれども、いまおっしゃったようなこととはまるで違った
意味
になってしまうと思う。 そういう点で、今度の東南
アジア
閣僚会議、それからソウルで開かれた外相会議、さらに
開発
銀行が発足する今後のあり方についてよほど気をつけていただかないと、その
国民
の自主性を傷つけるだけでなしに、これはいつまでたっても先進国の従属物にしてしまうということになると思うのです。その辺は、
開発
銀行に二億ドルも投資するという以上は、何かプランがおありになるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。何にも、大体どういうふうな方向に投資されるのだというようなプランはないでしょうか。
村井七郎
117
○
政府委員
(
村井七郎
君) 今度の
アジア開発銀行
が発足いたしましてどういうプランをやるかということは、もちろんこれから運営を総務会、理事会等の機関で議論を積み重ねましてでき上がるわけでございますが、たとえば、参考になりますものといたしましては、世銀が発足いたしましてどういう事業に投資しておるかというような事例を見ましたりいたしますと、結局、社会
開発
的な事業に投資している場合が非常に多い。世銀の例で申しますと、電力、運輸等がかなりの部分を占めておりまして、工業化という部面の投資はそれに相次いでいるということになっております。
アジア開発銀行
の場合は、そういったもののほかに、農業
関係
とか、より基盤的な社会
開発
的なものに投資されることが多いというふうに思われますが、農業、鉱工業、水利、かんがいといったものが当然予想されるわけでございますが、それの具体的な
計画
ないし予想
数字
というものはございません。
田中寿美子
118
○
田中寿美子
君 まあその世界銀行とか
開発
銀行などというものは、当然そういう方向に使うべきものだと思いますね。それに付随して民間ベースで
援助
したり、また出ていくものに非常に心配なものがよけいあると思う。それから、先ほどからの御
説明
で、東南
アジア
諸国は非常に経済的に貧困だ、そうしてそれを助けることは
アジア
の平和のために、経済的な安定のためになるという御
説明
ですし、またそれが表面出ていますけれども、で、いまベトナム戦争やっておりますですね。それは
アメリカ
がやっておりまして
日本
は大いに協力しているわけなんですけれども、そういう
状態
の中で経済
援助
をして、はたしてそれは
アジア
の平和のためになるというふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
正示啓次郎
119
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 私が午前中申し上げたことに関連しての御
質問
でございますが、先ほど来も
お話
のございますように、経済
援助
、
経済協力
、それによって経済の
開発
発展、繁栄を促進していくということについては田中
議員
も御異論はないのでありまして、問題はその方法にある、そういうふうな
お話
も伺っております。われわれはやはり経済の繁栄、民生の安定、そういうことがあってほんとうに平和がさらに一そう確実になっていくのだと、こういうふうに考えております。ただ、いま
お話
の中にありましたように、
アメリカ
に追随してとか、
アメリカ
のやり方に右へならえして
日本
がやるということがどうであろうか、こういうふうな御趣旨がちょっとあるんでございますが、これは私どもはあくまでも
日本
の自主的な
方針
に従ってやっておるんでありまして、ただ、しかしながら、われらの
方針
に対してそれに即応して
アメリカ
がさらに
援助
するというふうな場合に、あえてこれを拒むものではないという趣旨で申し上げておるわけでございまして、決してこちら側が追随しておる、そういう
考え方
ではないのであります。
田中寿美子
120
○
田中寿美子
君 私はどうもその反対のように思いますがね。さっきも
ロストウ
が来た来ないという話が出ましたけれども、ことしの二月に金鍾泌氏が来たのじゃないですか。そして
アメリカ
のバンディ
極東
担当国務次官補と東京で話し合った。これはソウルの会議に関してだと思うし、またあるいは東南
アジア
閣僚会議にも関連があるのだと思うんですけれども、すべて、ことに今度の
アジア開発銀行
に、
アメリカ
は域
外国
であるけれども二億ドル出す、
日本
も二億ドル出す、大株主なわけですが、この二つが話し合ってやっているとしか思えないのですね。そして民生を安定するとか、生活を安定させるとか、確かに私は平和のためになると思うんですけれども、しかし、現在ベトナム戦争をやっているときに、東南
アジア
諸国に金を出して、そこで何がつくられるか。その先々まではっきりわからないわけですけれども、それはやはり
アメリカ
が行なっている戦争
目的
にも使われていくということ、平和どころじゃないと思うんですね。その辺の、まず金鍾泌が来たかどうかということからお聞かせ願います。私はこれは新聞記者
関係
の人から聞いたのですが、事実がありますかどうか。
正示啓次郎
121
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 金鍾泌が来たかどうかということは、私存じませんが、別に
アジア開発銀行
に関連して、全然そういう事実はございません。また、午前中木村
委員
にお答え申し上げましたように、
ロストウ
氏もそういうものには全然
関係
がございません。われわれはどこまでも、先ほど来申し上げますように、自主的な
考え方
から
アジア開発銀行
の設立を推進していく、こういう考えでございまして、他国の特定の人たちのインフルエンスを受けているということは絶対にございません。
田中寿美子
122
○
田中寿美子
君
アメリカ
のいろいろな雑誌や新聞がそういうふうに報じておりまして、かえって向こうのほうで真相がわかるような気がするのです。いつも私は
アメリカ
の雑誌を愛読している。それで、その中に先ほどのUSニュース社のUSニュース・アンド・ワールド・リポート、その中に、
日本
が第三次防衛
計画
に踏み出したのも、やはり
アメリカ
でいま訓練しているところのミサイル要員、これが現在ナイキアジャックスの訓練を受けている。で、やがて将来はナイキハーキュリーズの装備に備えるものである。こういうふうに
日本
が自分で防衛する
姿勢
に
変化
しつつあるのも、これは
日本
の経済
状態
がだんだんよくなって、いまや
アメリカ
に肩がわりして、自分で自分を守ると同時に
アジア
を守るべきものであると考えつつあるのであろうというふうに言っておりますけれども、この辺は、これは
外務省
のほうですか、それに対してはどうですか。そういうものはお読みになっていらっしゃいませんですか。
正示啓次郎
123
○
政府委員
(正
示啓次郎
君)
アメリカ
の雑誌等がいろいろ書いておる点について御
指摘
でございますが、これはまあジャーナリズムが興味本位に書くことは、いまどこの国でも同じでございまして、私どもの
アジア開発銀行
設立の
方針
は先ほどから申し上げたとおりであり、また、この銀行の設立によりまして経済
開発
面の融資をすることが、先ほど何かベトナム戦争に
関係
があるがごとく
お話
しございましたが、これはもう全然そういう
関係
はございません。もっぱら純粋に経済の
開発
、民生の安定、そしてそれが
アジア
全体の繁栄、こういうことになるわけでございます。
田中寿美子
124
○
田中寿美子
君 私はベトナム戦争のために
日本
がやるなんていうふうに申したのでなくて、
アメリカ
の期待にこたえて、そうしてそういう東南
アジア
への経済
援助
をする結果は、現在こうやってベトナム戦争をしているときにはベトナム戦争への協力に変わっていくだろう、いろいろの経済
援助
によって行なわれるところの経済活動がそうなっていくだろうということを申し上げたのですが、それは
外務省
としては、もちろんたてまえとしてそんなことを言うことはできないと思いますが、いずれあした戸田さんがベトナム問題については御
質問
なさるはずでありますから、この辺で……。 大蔵大臣がお見えになりましたけれども、東京で開かれた閣僚会議のときに、これは新聞紙上の報道で、新聞紙が興味本位に書くのだとおっしゃるとちょっと困りますけれども、外務大臣、それから大蔵大臣、農林大臣の間に、
国民所得
の一%
援助
ということに関しては意見の相違があったというふうに報道されておりましたけれども、いかがですか。
福田赳夫
125
○国務大臣(
福田
赳夫君) 全然ございません。
田中寿美子
126
○
田中寿美子
君 火のないところに煙は立たないといいますが、これも興味本位ですか。たとえば後進地域の農業を
開発
すれば
日本
の農作物に影響する、それで農林大臣は反対である、あるいは、
外務省
は一%を主張したけれども、この不況のおりから、経済的に困難なので、大蔵大臣は首をかしげたと、たいへん見たような報道がされておりますけれども、そういうことは全然ないのですか。
福田赳夫
127
○国務大臣(
福田
赳夫君) これはもうすべての問題でございますが、
政府
案をきめるまでの間には、各省ともそれぞれの意見を持っております。そういう過程の意見とすれば、幾つかの意見があったと思いますが、
政府
の外に対しての一致の見解、そういうものにつきましては、まぎれはございません。
田中寿美子
128
○
田中寿美子
君 それでは、
国民所得
の一%の経済
援助
の見通し、先ほどできるだけ早い期間にとおっしゃいましたけれども、大体何年度ぐらいまでの見通しでいらっしゃいますか。
福田赳夫
129
○国務大臣(
福田
赳夫君) いま何年ということは申し上げられないのです。つまり、いま経済が非常に流動的でございます。そういうようなことで、経済の影響を受けて財政も運営されるわけでございますから、その財政の見通しというものが非常に困難です。そういうようなことから、まあ数年ということばで言えば、言うことができると思いますが、何年度というようなことを言う必要もなく、またそれを言うことはまことにむずかしい
状況
である、こういうふうに考えております。
田中寿美子
130
○
田中寿美子
君 その一%の経済
援助
という場合は、賠償もみんな含めていられるわけですね。
福田赳夫
131
○国務大臣(
福田
赳夫君) さようでございます。
田中寿美子
132
○
田中寿美子
君 たいへんあいまいな感じがするのですけれども、どこまで含まるわけですか。民間投資も全部……。
福田赳夫
133
○国務大臣(
福田
赳夫君) 中身の事項を申し上げましょうか。
村井七郎
134
○
政府委員
(
村井七郎
君) 中身といたしましては、二国間の贈与、これに賠償、技術協力というものが含まれます。それから、二国間の長期信用供与、これは五年超の延べ払い等が含まれるわけでございます。それが第二。第三といたしましては、民間の投資の
関係
が入ります。第四番目といたしましては、国際機関への
出資
、拠出金、こういったものが入るわけでございます。
田中寿美子
135
○
田中寿美子
君 最近の
政府
の発表ですけれども、
国民所得
一人当たり二十四万五千五百五十六円ですか、これは
日本
の
国民
総所得あるいは
国民
総生産が非常に高いのに比べて、相変わらず大へん低いわけですね。二十一位ですか。そういう
状況
の中でこの一人当たりの所得をもっと高めながら経済
援助
一%ということは可能でございますか。
福田赳夫
136
○国務大臣(
福田
赳夫君) 可能でございます。
田中寿美子
137
○
田中寿美子
君 大蔵大臣が不可能だと言ったらたいへんだろうと思いますので……。 農業
開発
会議のことが決議されましたですね、この前の閣僚会議で。これは技術の
開発
が主でございますか、それとも肥料を売り込むとかそういうようなことも……。
福田赳夫
138
○国務大臣(
福田
赳夫君) これは会議を開こうということでありまして、まだその会議において討議されることは、農業問題、その農業問題をどうしていくかということまではまだ
予定
はしておらないのでございます。
田中寿美子
139
○
田中寿美子
君 米州
開発
銀行の
内容
の中に——これも最近の新聞紙上で、六月二十三日、きのうの日経紙上で読んだのですが、米州
開発
銀行総裁が米州共同市場の
構想
を持っている、そしてその中でも労働力やサービス、資本の自由移動のための取りきめを結ぶというようなことを言っておりますがね。
アジア開発銀行
にもそういうふうな
構想
がございますのですか。
福田赳夫
140
○国務大臣(
福田
赳夫君) まだそういう
構想
は私どもは承っておりませんですが、いずれにいたしましても、まだ銀行ができないのですから、これからできるのでありまして、総裁、副総裁、理事等がきまりまして、その場でこの銀行の具体的な業務、運営方法いかんということをきめるわけでございまするから、おそらくただいま米州
開発
銀行について御
指摘
のような問題は起こってこないのじゃないかというような感じがいたします。
田中寿美子
141
○
田中寿美子
君 これは
日本
と
韓国
との
関係
で、
韓国
のほうからの技術研修生を三、四千人ばかり
日本
に受け入れてほしいという申し入れがありましたですね。これに対して、これは前の
予算
委員会
のときに私が
質問
したときに、労働大臣が、そういう大量に
韓国
の労働力を導入するというようなことは一切しないという
方針
であるというふうに言われましたのですけれども、三、四千人もの技術研修生を受け入れるということになるのでございますか。その辺は……。
西山昭
142
○
政府委員
(西山昭君) 新聞紙上で拝見いたしましたけれども、
政府
といたしましては、何ら
韓国
政府
からそういう申し入れを受けておりません。
田中寿美子
143
○
田中寿美子
君 これは
韓国
中小企業
協同組合中央会から
日本
の全国
中小企業
団体中央会に要請してきたということでございますね。ですから、
政府
がタッチしていらっしゃらなくても、民間ベースでそういうことが起こり得る。その場合に、
日本
では建設労働者が非常に足りない、若手の労働者が足りないので、飛びついていく可能性もあるのじゃないかと思いますね。で、先ほどの米州
開発
銀行の場合にも労働力やサービス、資本の自由な移動というようなことが問題に出ているのですけれども、
韓国
との場合は、これは
日韓経済協力
の形でそうなるのか、そういう話があったということは、これは
政府
に言ってこなくても、御存じではないのですか。
西山昭
144
○
政府委員
(西山昭君) 何ら聞いておりませんし、具体的に話が進んでおるということも聞いておりません。
田中寿美子
145
○
田中寿美子
君 非常にふしぎな気がします。こういう問題はどこでやるのですか。
中小企業
ですから、大蔵省ですか、通産省ですか。
徳永正利
146
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
徳永正利
147
○
委員長
(
徳永正利
君) それじゃ速記を起こして。
田中寿美子
148
○
田中寿美子
君 朝日、毎日、日経、全部報道しているのですけれども、これは全然皆さんお読みにもならなかったわけでしょうか。もし読まれたら、自分らに
関係
のある問題ですから、調べて掌握なさるはずだと思うのですけれどもね。
正示啓次郎
149
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) これは入国の問題になりますれば窓口は法務省でやっておりますし、われわれのほうにももちろん連絡があるのでございますが、新聞報道になったような事実は役所のところまで何にも来ていない、そういう事実をはっきり申し上げたわけでございます。
田中寿美子
150
○
田中寿美子
君 どうも役所はしっぽをつかまれないほうがいいから、何も言わないほうがいいということは私も知っていますけれども……。
成瀬幡治
151
○成瀬
幡治
君 議事進行について。これはしかし、はいそうですかといって済まされる問題じゃない。たとえば農業
関係
なら、農林省なら農林省は知っておるだろうと思う。中小
関係
なら、中小で通産省が知っておらなくちゃならぬと思うのですよ。これまで知らぬといったら、これはおかしなことになっちゃう。ですから、もしこの際できたら、農林の担当官に来てもらうように。それから、どこまでか知らぬけれども、たとえば
中小企業
のそういう労働問題なら労働省か、あるいは農林省なら知っておらなくちゃならぬけれども、そういうのに来てもらう以外にない。
徳永正利
152
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
153
○
委員長
(
徳永正利
君) では、速記を起こして。 次の
質問
をお願いします。田中君。
田中寿美子
154
○
田中寿美子
君 これは大蔵大臣のことばですね。
アジア開発銀行
と東南
アジア
閣僚会議ですね、この二つの機関、これは
衆議院
の
委員会
でのお答えですから、これは御
承知
のはずだと思う。この二つの機関は、これを通じまして
アジア
の連帯が強化され、また同時にその余慶がわが国にも反映してくるということにつきまして、同一の効果を持つものだと考えますとおっしゃっておりますけれども、その余慶というものはどういうことでございますか。
福田赳夫
155
○国務大臣(
福田
赳夫君)
アジア
の諸国が繁栄すれば、したがって
日本
のこれらの国々に対する輸出も伸長する、そういうようなことを通じまして、わが国にもそのはね返りが来る、こういうことを申し上げたつもりでございます。
田中寿美子
156
○
田中寿美子
君
アジア
諸国は第一次産品がおもな輸出品でございますね。
日本
からの輸出がいつも過剰になっているわけです。その辺はうまくいくというふうに考えていらっしゃるわけですか。
福田赳夫
157
○国務大臣(
福田
赳夫君) だんだん
アジア
諸国が繁栄するに従って、それらの問題が解決されていくのではないか。たとえば、
アジア
諸国にはずいぶん天然資源なんかもあります。その資源が
日本
に供給される、
日本
はそれに対して消費財を出すとか建設資材を出すとかという道が開かれていく、こういう過程を通じまして、貿易はバランスするような
状態
に近づいていく、こういうふうに言っておるわけであります。
田中寿美子
158
○
田中寿美子
君 そういう
考え方
が、これはアフリカでも
アジア
でも、ラテン
アメリカ
でもそうなんですが、先進諸国がいつまでもいわゆる後進諸国を第一次産品の生産国として押えておくというようなことになりはしないか。その国がみんな工業化されていくということに、そういうふうになっていかなければならないと思うのですが、それは自分で自主独立の経済を持てるようになっていかなければならないと思いますがね。そういうことの見通しはどうでしょうか。
福田赳夫
159
○国務大臣(
福田
赳夫君) たとえば繊維ですね、あるいはその他軽工業ですね、こういうものはだんだん低
開発国
でも
開発
されていく、こういうふうに考えるわけです。わが
日本
とすれば、やはりそういうものがだんだん低
開発国
に置きかえられていくという傾向ですね、これを十分考慮しておかなければならないと、こういうふうに思います。また、そういう傾向も現に出てきておりますが、わが国の産業体制というものが重化学工業中心になりつつある。また、輸出構造を見てみましても、軽いものよりは重いものという傾向になりつつあります。そういう傾向なり動きを注目しながら、わが国の産業
政策
、また貿易
政策
、こういうもののかじをとっていく、こういうふうに御了承願います。
田中寿美子
160
○
田中寿美子
君 次に、
インドネシア
に関してなんですけれども、いわゆる
インドネシア
に対する経済
援助
のことですが、賠償が現在どの辺まで進んでおりますか。
西山昭
161
○
政府委員
(西山昭君)
インドネシア
の賠償は現在履行率が七一・七%でございます。総額二億二千三百万ドルのうち、履行済みが一億六千万ドルと相なっております。
田中寿美子
162
○
田中寿美子
君
インドネシア
に対するこれまでの経済
援助
の
内容
について
資料
をいただいたのですが、私がいままで何度も申しましたように、東南
アジア
とか、それからアフリカとか、諸後進国に対する
援助
の使い方ですね、やり方ですよ、賠償を含めて、そのほか民間の投資があるわけですが、このいただいた
資料
で拝見しますと、非常にふしぎに感じることがたくさんあるのです。たとえばホテルの建設ですね、これに十六億も出しておりますね。それから、使節団経費というのが八億六千六百万。三年間に八億も使節団接待費を使っておるわけですが、つまり私が伺いたいのは、その国の経済が自立できるように、その国の経済を安定させるのだ、平和のためだとおっしゃっているのですけれども、その使い方が非常におかしい。
援助
したものがみんな腐敗したものになってしまう。これは向こうの側だけではない、
日本
の側にも私はあると思うのです。 それで、まずホテルですね、十六億。それから、このウイスマ・ヌサンタラ・ビルというのは、これは何の建築ですか。
西山昭
163
○
政府委員
(西山昭君) 賠償は、
経済協力
の統計上、
無償
援助
の中に入れております。しかし、これは御
承知
のように、
インドネシア
に対しまする戦争に際しまして生じたいろいろの損害のために賠償をする、こういう性質のものでございます。そういう
意味
で、本来
日本
が完全に自発的な気持ちで提供いたします
経済協力
とは性質が違う面があるわけでございます。そういう
意味
におきまして、留学生、研修生等も、先方との話し合いの結果、この
資金
を一部使うということに
協定
上了解ができておりまして、ただいまの三十一億一千二百万円と申しますのは、賠償が実施されました当初から今日までの総額でございます。それから、使節団の経費の八億六千六百万円もそのように御了解願いたいと思います。それから、ホテルでございますが、これは賠償担保で実施いたしたわけでございまして、賠償そのものではございません。
田中寿美子
164
○
田中寿美子
君 私のいただいた
資料
は、これは賠償だけではないのですね。いまいろいろ賠償担保のものもあるし、それから民間の経済
援助
も含めてあるものだと思うのですけれども、使節団経費というものは認証を要しない、そうして八億六千六百万も使っているわけですがね。ことにスカルノ大統領がたびたび
日本
に見える接待費も入っているだろうと思うのですが、どうなんですか。
西山昭
165
○
政府委員
(西山昭君) 賠償の実施につきましては、大使館と離れまして、賠償使節団というものが存在いたしております。賠償の実施に関しまする
日本政府
のいろいろの事務の連絡をやっておるわけでございまして、そういう
意味
で毎年年間の賠償の
支出
を打ち合わせいたしますときに、使節団の経費を幾ばくというぐあいに両国間で話をつけまして、そうして計上して賠償の中から落としていく、こういう仕組みになっておるわけでございます。
田中寿美子
166
○
田中寿美子
君 この間アダム・マリクいまの外相が見えたとき、
緊急援助
を要請して、
日本
は
緊急援助
を三千万ドルですかきめましたね。あのときに、
インドネシア
の経済
状態
が非常に悪い
状況
であるのにもかかわらず、各商社が相争って出迎えに出かけて、そうしてたいへん接待しているようなんですがね。どうも
インドネシア
への賠償、それから経済
援助
には、たいへんな何かうまみがあるらしいのですけれども、そういうことは
外務省
としては言うことはおできにならないと思いますが、もうこれはたいへん世間に伝わっていることなんです。 で、ホテルは全部賠償なんですか、これ。それから、サリーナ百貨店というのは、これも賠償ですか。非常に
金額
が大きいのですね。もう一つ非常におかしいと思うのは、雑製品というのがありましてね、これが一億二百五十万円ほど出している。ところが、
インドネシア
の人口は一億くらいですかね、この雑製品の
内容
は書籍、コーラン及び聖書と書いてあるのですよ。回教徒ですからコーランを買うと思うけれども、一億の人口に一億何千万円、一人当たり約一万円くらいコーランやバイブルを買わしていることになるわけですね。非常に
インドネシア
の
援助
というものは不明朗なものがあると思うのです。これどういうふうに
説明
していただけますか。
徳永正利
167
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
168
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
西山昭
169
○
政府委員
(西山昭君) コーラン及びバイブルにつきましては、
インドネシア
政府
が
国民
の民心対策上
国民
にこれを無料で提供いたします。そのために
日本
から賠償の
資金
の中から提供を要求いたしまして、総額、コーラン及びバイブルを合わせまして七億三千八百万円でございます。
田中寿美子
170
○
田中寿美子
君 そうしますと、なお私がいただいた
資料
より
金額
が多いのですが、コーランなんというのは一年で破れてしまうようなものじゃないと思うけれども、子供から年寄りから、読めない者まで含めて一億の人口に七億円もやったら、一人幾らですか。しかし、どうもその間で何かこうリベートみたいなものがあるのじゃないか、これは
インドネシア
賠償その他に関して非常に
うわさ
が飛んでおりますが。
西山昭
171
○
政府委員
(西山昭君) 一冊の提供の単価が百四十八円でございます。
田中寿美子
172
○
田中寿美子
君 それを七億円も買ったわけですね。ちょっとこれはもう想像外にたくさん買ったことになりますが、まあこれは本の数を調べるわけにもいきませんので、どこかで消えたかもしれないと思います。 そういう不明朗なことが低
開発国
への
援助
には非常に伴います。ですから、ほんとうに先ほどからおっしゃっているような大義名文ですね、その国の経済を助けてやって、そうして平和を守ってやるのだというようなことにちっともなっていないということを私は問題にしたいと思うわけです。
正示啓次郎
173
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) ただいまのコーラン、バイブルにつきまして、たいへん不明朗という御
指摘
がございましたので、ちょっと詳しく申し上げますと、単価百四十八円で五百万人分と、こういうことでございまして、先ほど来申し上げますような
インドネシア
政府
の特別の
国民
に対する何といいますか、信仰、
国民
に対して非常に重点を置いた
政策
でございます。したがって、これは不明朗でないということだけははっきり申し上げます。
田中寿美子
174
○
田中寿美子
君 私はコーラン、バイブルのことが不明朗だと言っているのじゃなくて、全体に
インドネシア
賠償そのほか、
援助
に関して不明朗なことがずっと何年もあったということを申し上げた。そのようなことが今後
国民所得
の一%を使って行なわれるという危険性がありますので、十分注意していただかなければならないと思います。
インドネシア
への
援助
の中でPS方式というのがございますね。これはどういうものなんですか。
西山昭
175
○
政府委員
(西山昭君) PSと申しますのは、プロダクション・シェアリングを略した呼び方でございまして、
インドネシア
政府
はこの数年間
外貨
が非常に不足をいたしておりまして、なるべく
外貨
を使わないで資源を
開発
して、かつ輸出にも貢献したい、こういう思想からいろいろ検討いたしまして、天然資源を
開発
いたしますが、それに必要な所要の資材、機械等を
借り入れ
まして、その代金の返済は
開発
の結果の産品で支払うという
構想
がいわゆるプロダクション・シェアリングと了解いたしております。
田中寿美子
176
○
田中寿美子
君 そのPS方式は、こちら側から出たものですか、
インドネシア
側から出たものですか。
西山昭
177
○
政府委員
(西山昭君)
インドネシア
政府
の検討の結果、
インドネシア
政府
が提出したものでございます。
田中寿美子
178
○
田中寿美子
君 主として何にこれは使われておりますか、石油ですか。
西山昭
179
○
政府委員
(西山昭君)
日本
といたしましては、石油、木材、それからすず等に適用しておりますが、ヨーロッパの諸国につきましては農産品等に適用している例もあるように了解いたしております。
田中寿美子
180
○
田中寿美子
君 それは
政府
の貸し付けのわけですね。そうしてそれは現物で
支払い
をどの程度支払うというか、返済を受けたものですか。
西山昭
181
○
政府委員
(西山昭君) 石油につきましては、現に
支払い
が行なわれつつあります。また、木材資源につきましては、着手されたばかりでありまして、
支払い
が開始の段階にあるものがございます。それから、すずにつきましては、これは技術提携をいたしまして、まだ産品は入手するまでにいっていない
状況
にあると理解しております。
田中寿美子
182
○
田中寿美子
君 いま
インドネシア
の政情、これは一応安定したというふうに見ていらっしゃるわけなんでしょうね、
緊急援助
なすっているわけですから。いかがでしょうか。
正示啓次郎
183
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) ちょっといま御
質問
がよく聞こえなかったのですが、
インドネシア
の政情はどうなっているか……。
田中寿美子
184
○
田中寿美子
君
緊急援助
が、この間マリク外相が来て、
緊急援助
を
日本
が決定なすったのですね。というのは、
インドネシア
の今度の政変、そしていまの政権が安定したものという判断のもとになすっているわけですね。
正示啓次郎
185
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 御
承知
のような
インドネシア
の政変がございまして、その後いろいろと
インドネシア
の各方面で努力が続けられておるわけでございます。したがって、この
インドネシア
の努力に対しまして、われわれも友邦としてできる限りの
援助
をしていきたい、こういう判断でございまして、もちろん政変、
インドネシア
の事態が完全に安定しておるというふうには申し上げかねるのでございますが、次第にそういう方向へ向かいつつあることはまことに御同慶の至りだと考えております。
田中寿美子
186
○
田中寿美子
君 私、まだ
インドネシア
と
日本
が国交を回復しない、する直前、少し前に行ったのですけれども、そしてその当時、
最初
のスカルノ政権に対するクーデターが始まった。一九五六年の暮れですか、そのときのクーデターの一番頭立ったのがハッタ副大統領とナスチオンだったわけですけれども、いまそのナスチオンが表面に出てきて、そうしてその背後に軍部の右派がいるわけなんですけれども、
日本政府
とその
インドネシア
の右派的なもの、それと
アメリカ
の
考え方
とぴったりと一致していると思うのですがね。そういう点で非常に緊急な
援助
もし、いまの
インドネシア
政権にてこ入れをする、こういう
考え方
なんではないでしょうか。
正示啓次郎
187
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) 御
質問
の御趣旨は、どういう点において一致しておるかというような御見解かと存じますが、少なくとも今日
インドネシア
におきましては、非常に真剣に、まじめに民生の安定向上のために、いわゆる新しい政権がその基盤を確立しつつある、そういう
状態
に対しまして、われわれとしてもできる限りこの努力を助長できればそういうふうにしたい、こういう
考え方
でございます。
田中寿美子
188
○
田中寿美子
君
インドネシア
に対しては、
アメリカ
は直接
援助
できない
状態
にあるわけですね。スカルノとの
関係
、そして世銀に入っていない、それから国連からも脱退したこと、そういうようなことからですね。それで、今度東南
アジア
開発
計画
をつくって、閣僚会議のオブザーバーを送ってきたわけですが、それで
日本
は
アメリカ
にかわって
インドネシア
のいまの政権にてこ入れをしよう、こういうふうに考えられるわけですが、そしてこのことはけさから問題になった
ロストウ
、バンディの話し合いでもあるわけですがね。その辺のことは御
承知
だろうと思いますが……。
正示啓次郎
189
○
政府委員
(正
示啓次郎
君) おことばでございますが、全然さような考えはございません。
日本
の独自の判断に基づきまして、
インドネシア
との特別の
関係
もあり、自主的に考えてやっておることでございます。
田中寿美子
190
○
田中寿美子
君 もう何を聞いても、一つもほんとうのことはお答えになりませんので、非常に残念でございます。 それでは、次に、これに関連があると思いますので、いわゆる平和部隊、
日本
青年海外協力隊のことをお尋ねしたいと思いますが、いま現状はどのくらい、何人くらいがどこへ派遣されていって、どういうようなことをしているのですか。
西山昭
191
○
政府委員
(西山昭君) 現在四十八名が東南
アジア
の諸国に派遣されておりまして、その詳細は、ラオスが十名、カンボジアに九名、マレーシアに十三名、フィリピンに十三名、それからケニアに三名入っておりまして、合計が四十八名でございます。 そうしてその活動の
内容
は、ラオスが稲作、野菜、
日本
語等、それからまた水道管の施設とか、柔道の教師、外科の助手、カンボジアにつきましては、稲作、水泳、柔道及び農薬、農業機械による応援、それから木材の伐採、それからマレーシアにつきましては、農業普及及び数学の教育、漁業、
日本
語等になっております。それから、フィリピンにつきましては、農業
関係
、それから小規模のかんがい土木、竹細工、窯業、それからケニアにつきましては、建設機械修理、電気
関係
、こういうぐあいに相なっております。
田中寿美子
192
○
田中寿美子
君 正確な名称はどういうことですか。いわゆる平和部隊といわれておりますけれども、
日本
青年海外協力隊というのですか。
西山昭
193
○
政府委員
(西山昭君)
日本
青年海外協力隊が正式の呼称でございます。
田中寿美子
194
○
田中寿美子
君 そうしてその主管は。
西山昭
195
○
政府委員
(西山昭君) 海外技術協力事業団が主管いたしております。
田中寿美子
196
○
田中寿美子
君 これはどういう団体ですか。
西山昭
197
○
政府委員
(西山昭君)
外務省
の監督のもとにあります。主として技術協力の推進をはかる機関でございます。
田中寿美子
198
○
田中寿美子
君 そうすると、労働省の管轄であったかと思いますが、低
開発国
の技術訓練センターというのがありますね。あれは主管は労働省ですか。幾つありますか、職業技術訓練をする……。
西山昭
199
○
政府委員
(西山昭君) 技術協力事業団が主管しております。各地に訓練センターがございます。これは重工業から農業
関係
、あるいは電気通信
関係
、あるいはビールスのセンター等いろいろ種類がございまして、主として海外技術協力事業団が海外におきましてそれらの国のそういう初歩的な技術の向上に応援するために設けた機関でございまして、そのほかには通産省が主管しておりますセンターがインドに一カ所ございます。
田中寿美子
200
○
田中寿美子
君 そうすると、そのいまの技術センターは全部
外務省
の管轄、監督のもとにあるんですか。
西山昭
201
○
政府委員
(西山昭君) 海外技術協力事業団が実行いたしておりますセンターは
外務省
のもとにあるわけでございます。
田中寿美子
202
○
田中寿美子
君 ちょっとついでですけれども、一九六三年だったと思いますが、ケニアですね、東アフリカのケニアが独立する前に、あそこのハイランドの地域の白人が土地を、つまり英国が引き揚げるについて土地を全部手離したわけですね。そのころにちょうど私行き合わせました際に、労働者がそのハイランドの白人の農地を買って技術センターにするといって買い込んでおりましたけれども、あんなのはどういうんですか。
西山昭
203
○
政府委員
(西山昭君) ケニアにつきましては、ナイロビの北方、たしか二百キロぐらいの所だったと思いますが、そこに
中小企業
の訓練センターを設置するようにいたしておりまして、目下人員が現地に到着いたしまして建設に当たっておる次第でございます。
田中寿美子
204
○
田中寿美子
君 これも、そうすると、海外技術協力事業団の中に入るわけですか。
西山昭
205
○
政府委員
(西山昭君) さようでございます。
田中寿美子
206
○
田中寿美子
君 それで、平和部隊のことに戻りますけれども、この平和部隊、まだ四十八人しか出ていないわけですが、それに先立って調査団を派遣なさいましたね、各地に。そのときにフィリピンなんかはその調査に行った調査団に石を投げたというようなことが載っております。つまり、東南
アジア
地域に
日本
が戦争中進出していった、それに対する民族の感情というのは決して簡単には直っておらないわけです。さっきも申し上げましたように、
政府
間のレベルで話し合いをなさいますときには、
日本
から金を引き出したい、
援助
を引き出したい者との話し合いですから、たいへんあいそのいい人たちかもしれないですけれども、民間のレベルでは非常にいろいろなまだ反感が残っておりますわけです。したがって、その平和部隊などというものを送って、一体どれだけの効果をねらっていらっしゃるのか、その辺を伺いたい。
西山昭
207
○
政府委員
(西山昭君) 御
指摘
のとおりに、地方等に参りますると、そういう空気がまだ残っておるところもあるように聞いております。私どもといたしましては、そういう現状を十分考慮いたしまして、ただ低
開発国
のいろいろな面におきまして、機械を据えつけるとかあるいは大きいダムをつくるとか、そういうことでなくして、動脈の末端の機能が平均して発展しないことには経済の円滑な発展が望まれない、また民生の安全も期待し得ない。かつて
日本
の青年におきましても、現実に東南
アジア
等の
事情
を身をもって体験いたしまして、そして理解を深める、こういう点を考慮いたしまして、経済海外協力隊を派遣することに決定いたした次第でございまして、私どもとしましては十分誤解が起こらないような、また押しつけたりなんかする意思は毛頭ないのでございまして、青年がよく現地の
事情
も理解し、また相手国の
国民
からも好かれるということが結果として起こりますように、十分の注意を払っておる次第でございます。したがいまして、いたずらに数を多くふやして出すということよりも、少数であっても効果があがるようなぐあいに
計画
を進めたいと、こう考えておる次第でございます。
田中寿美子
208
○
田中寿美子
君 平和部隊というのは、
アメリカ
のケネディの考えた、
アメリカ
が各地に送った平和部隊の
構想
をまねたものだと思うんですけれども、
アメリカ
の平和部隊は非常に各地で不評判なんですね。これもやはり
アメリカ
の雑誌で非常に詳しく特集したことがあります。平和部隊がいかに各地で失敗しているかということを。四十八人ぐらい
日本
からいま送って民生の安定に貢献するなんというようなことは、私は不可能だと思うんですけれども、それよりむしろ、ねらいは佐藤内閣の青少年対策にあるというふうに思うんですがね。
日本
のPRにも役立つというようなことが何かに書いてありましたけれども、いかがですか。
西山昭
209
○
政府委員
(西山昭君) 私どもは、第一義的には先ほど申し上げましたような国際
関係
を頭に入れているわけでございまして、国内の青少年対策というものと結びつけて考えていない次第でございます。
田中寿美子
210
○
田中寿美子
君 この
日本
のいわゆる平和部隊というのは、自民党の中でも岸さん、賀屋さんという方が強力に推しておられるということが報道されております。そういう方々の
考え方
というのは、
日本
でも右翼に属する。これに対して
外務省
はいまおっしゃったようなことをたてまえとして、意見の食い違いがあったかのように報道されております。その辺はいかがでございますか。
椎名悦三郎
211
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 大体、
外務省
としては技術協力を低
開発国
に対してやっております。その一環として青年にこの一端を受け持ってもらう、こういう
考え方
でございまして、いま西山
局長
から申し上げた趣旨とわれわれは了解して、これを実行いたしております。
田中寿美子
212
○
田中寿美子
君 外務大臣がイニシアチブをとっておやりになるはずだと思うんですが、いままでのことは全部、ほんとうのことを外務大臣にお聞きしたいようなことだったのですが、
経済協力
局長
からはほんとうだと思うようなお答えはいただけなかったんです。
外務省
、自民党、民間団体の間に、平和部隊の問題については意見の違いがあったというふうに報道されていますが、どういうふうにどう意見が違っていたのか、御存じではございませんか。技術協力の一端をになわせるというのだったら、ずいぶん重大なことだと思います。
椎名悦三郎
213
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) これは私どもはよくその間の
事情
をつまびらかにしておらないかと思いますが、結局ケネディの創設した平和部隊というような
構想
で相談がございました。しかし、われわれとしては、いま実行しているところの低
開発国
に対する技術協力、そういう基本ラインに結びつけて、そうして青年の諸君にひとつ手伝ってもらうということならば受け入れる用意があるということで、そこで、妥協といっちゃ語弊がありますが、そういう形を変えて
外務省
としては受け入れた。でありますから、そういうものとして私どもとしては了解をしております。
田中寿美子
214
○
田中寿美子
君 少しわかりました。やはり自民党の岸、賀屋その他の若い青年将校の方々の考えていられることは、これは
アジア
の民族の理解に不足しております
アメリカ
がとった
政策
である平和部隊、それをまねて、そして
日本
のPRに使おう、こういうことであったと私は思うんです。それに対して
外務省
は技術本位にしたと、こういうふうに私のほうで了解しておきます。 で、
アジア開発銀行
、東南
アジア
諸国への
経済協力
あるいは
援助
、すべてが私は非常に、これはもう朝から木村
先生
も論じ始められたところで終わったんですが、
アメリカ
の東南
アジア
政策
を通してその片棒をかつぎつつあるということや、それから、その経済
援助
の結果が、その国々のほんとうに平和なり安定、あるいは自主独立の国家建設に役立つような方向に向かっていかない危険性が多分にあるということを
指摘
しまして、私の
質問
は終わりたいと思います。
徳永正利
215
○
委員長
(
徳永正利
君) 木村君。
木村禧八郎
216
○
木村禧八郎
君 私の
アジア銀行
協定
についての
質問
は、ただいま田中さんが
質問
された基本的な
考え方
と一致しているんですが、まず外務大臣に具体的に伺いたいのは、先ほど正示政務次官にも一応伺ったんですが、どうもかみしもつき的な、提案
理由
的な答弁で、どうも納得しにくかったんですが、ざっくばらんにひとつ、この
アジア銀行
協定
ができるに至りましたいきさつですね。提案
理由
には、いろいろかみしも的な提案
理由
が書いてあるんですよ。もう少し、何というか、生きた——大臣、じかにいろいろ折衝されたと思うんですよ。それで、これはざっくばらんにいいまして、
外務省
の調査月報、これにかなり
アジア開発銀行
協定
の概要ということが出ている。それで、これはかなりよくレポートされていると思うんです。 で、これを拝見しますと、だいぶ急いででき上がったというように書かれているわけですね。大体、ほんとうに
審議
したのが、
政府
代表会議で約十日間ですね、
審議
して、そして従来の——前にも私は正示さんに
質問
したんですが、こういう国際
協定
を作成するにあたっては、国際的ないままでの慣例としまして、起草
委員会
というものができて、それで
法律
的な見地から条文を推敲するのが慣例だそうです。私も知らなかったんですが、これによって知ったんですが、ところが、今度はこういう手続をとらないんですね。とらないで、全体会議で一挙に採択したと、こういう経過があるわけです。それで、「
協定
の作成が、高度の
政治目的
を
背景
に、きわめてそうそうの間に押し進められた」、こういうふうに書いてあるんですね。ですから、こういう経過から見まして、これはいろろな
背景
があったと思うんですね。それから、大体これは
アメリカ
の低
開発国援助
構想
というんですが、そういうものがやっぱり
背景
になっているんじゃないですか。たとえば世界銀行、米州
開発
銀行、アフリカ
開発
銀行、こういう諸
協定
がモデルになっているというように、また中身を見ればそうなっておるわけですから、そういうふうにも書かれているんです。 そこで、外務大臣、いろいろこれができ上がるには、まあエカフェのころからずっと問題が起こってきているんですけれども、いろいろ折衝した過程ですね、じかに外務大臣、いろいろ折衝されたんですから、そこのところをひとつざっくばらんに、かみしも的でなく、ひとつ経過をお伺いしたいわけなんですね。いかがですか。
椎名悦三郎
217
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) そのいきさつは、そう長いことではないかもしらぬが、そう短く、あわててやったわけでもありません。いきさつはいま
局長
代理から申し上げます。
木村禧八郎
218
○
木村禧八郎
君 ちょっと待ってください。外務大臣、いろいろこれまで
アジア開銀
について、全然そういう折衝されなかったんですか。大蔵大臣がいろいろ折衝されて——その体験でいいんですよ。そういう事務的なあれは、こういうものの参考
資料
見りゃわかるんです。実はこうだったんだという、そういうことをはっきり……。
椎名悦三郎
219
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 私は直接折衝いたしておりません。それで、国連局のほうでずっとそういう事務的ないきさつを経験しておりますので、国連局の
局長
代理から一応事実に関して申し上げたいと思います。
滝川正久
220
○
政府委員
(滝川正久君) ただいま
先生
がおっしゃいましたとおり、すでに
資料
で相当御存じでございますので、あるいは繰り返しになるかと思いますが、多少お時間をいただきまして申し上げてよろしゅうございますか。
木村禧八郎
221
○
木村禧八郎
君 いや、あんまり長く……。(笑声)外務大臣がずっとおられればいいですよ。ですけれども、やはり時間に制限があるんでしょう。
椎名悦三郎
222
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 五時までおります。
徳永正利
223
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
224
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
滝川正久
225
○
政府委員
(滝川正久君) それでは少しはしょらしていただきます。これは私自身も直接その交流に当たったわけではございませんが、主管局の責任者といたしまして
承知
いたしておりますことを、多少はしょらしていただいて申し上げてみます。
アジア
地域の経済
開発
を促進するための金融機関を設立するという要望が出ましたのは、一九六三年十二月に開催されましたエカフェ諸国の閣僚会議においてでございます。これが、
アジア開発銀行
設立
計画
といった形で具体化されまして、それ以来
協定
案という形で、
協定
案をどういうものにしていくかということで交渉が続けられておりました。これには幾段階かの専門会議等の活動もあるわけでございますが、そこのところをはしょらしていただきまして、昨年の十一月二十日から十二月一日までマニラで開かれましたエカフェ域内国の閣僚会議におきまして
協定
案が作成されました。引き続きまして、十二月二日から四日までやはりマニラで開かれました域外
関係
国をも含めました全権会議において、この
協定
が作成されたわけでございます。 それで、特に強調して申し上げておきたいのは、これは初めから
日本
がリーダーシップをとり、あるいは域
外国
の先進国等からの考えによりましてでき上がったということではございませんで、むしろ域内の低
開発国
、いわゆる低
開発国
の要望をいれまして、大多数の要望をいれまして、それで次第に形をとって、それがいまのような幾段階かの過程を経まして
協定
採択に至った、これが骨子でございます。
木村禧八郎
226
○
木村禧八郎
君 そういうようなことは、エカフェの
日本
側の前の何といいますかね、代表で行っていましたね、大来君がね、詳しく書いていますよ。「
アジア開発銀行
の発足」という表題で「国際問題」に、いまあなたが話されたよりさらに詳しく。大来君も
最初
エカフェでいろいろやって、それで
最初
アジア開発銀行
のことを言い出したのは、東京銀行の堀江さんあたりがまあそういうことを、
アジア
開発
には銀行が必要じゃないかと、そういうことから、その当時はあまり気にしていなかったけれども、そういう堀江さんの着想というものに敬意を表したとかなんとかいうことが書いてありますけれども、そういうことはわれわれ
資料
がありますから、拝見させてもらって一応知っている。そうではなくて、もっとなまの政治外交的
背景
というべきものを伺いたいのです。 そこで、それでは具体的に外務大臣に伺いますが、十億ドルの
出資
ですが、その中で
アメリカ
と
日本
が一番大口の
出資
者ですよ。二億ドルずつ、四億ドルでしょう。その中で
アメリカ
と
日本
が大きな比重を占めているのですよ。これがまあこういう
構想
は
外務省
の
資料
にもあります。大体米州
開発
銀行とかアフリカ
開発
銀行、そういうものをモデルにしてつくられている。それで、地域
開発
銀行の性格を持っているわけなんです。ですから、これには
アメリカ
の低
開発国援助
の基本的な考えの一環、それはさっき正示さんはさらに、それだけではなくて実際は国連における
アジア
開発
の
考え方
に基づいているのだと、こういう
お話
がありました。そこで、まず
アメリカ
の低
開発国
の
援助
の基本的な
考え方
というものはどういうものなのか、この点、外務大臣に伺いたいのですよ。それからまた、
日本
の低
開発国援助
の基本的な
考え方
。 これはしっかり聞いておきませんと、もうしょっちゅう、たとえば
インドネシア
の
緊急援助
とか、そういうものが出てくるわけでしょう。そういうのをただ場当たり的に、
国民
の
税金
ですから、ただ
援助
していくのではいけないのであって、やはりこれはかなり長期的な見通しに基づいて、
日本
の財政経済情勢及び
外貨
事情
等、それとそれから基本的な
外交政策
というものも考えながらやっていかなければいかぬと思うのです。この
アジア開発銀行
に対してわれわれが賛否の態度をきめるにあたっては、
アメリカ
の低
開発国
開発
の基本
構想
と
日本
の基本
構想
というものをしっかり聞いておかなきゃならないのでして、さっき正示さんは大体両方あまり変わらぬだろうという
お話
があったのです。変わらぬなら変わらぬでいいですよ。基本的
構想
というものは、長期的な展望に基づいてこれは行なわれていると思うのです。ただひょっこり出てきたような問題ではないと思うのですよ。そういう点で、まず外務大臣にしっかりした
考え方
を聞きたいのですがね。
椎名悦三郎
227
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 低
開発国
の経済
援助
、あるいは
経済協力
と申してもよかろうと思いますが、これはだれが考えても、そう隔たりはあるべきはずのものではないと思います。ただ、
日本
は
日本
の立場においてどう考えるか、
アメリカ
は
アメリカ
の立場においてどう考えるかという、
考え方
の多少の相違は私はあると思います。
日本
といたしましては、御
承知
のとおり
アジア
、なかんずく東南
アジア
を中心とする
アジア
と
日本
との
関係
はきわめて濃密なものがございまして、ただいまでも輸出の相当部分を占めておる。ところが、特に
アジア
のうちで東南
アジア
が最も中心でございますが、どの国とも輸出入のアンバランスをだんだん深めております。年がたつに従ってそういうふうになってくる。でありますから、それらの国からいろいろな不平不満が出されている。場合によっては
日本
からの輸入をボイコットをしようというような露骨な態度すら示そうとしているような国もあった。それを何とか、いろいろな経済
援助
を、一時的なものにせよ、そういうことをやって、表面化しないようにはしておりますけれども、そういう大体情勢でございまして、
日本
としても大切な従来からのお得意なんですから、それをもっと経済力をもう少し育成して、お互いが共存共栄の道を進むというふうにいかなければ、
日本
の対
アジア
貿易ももうこれ以上伸びないというような
状況
になっておりますので、それでできるだけ長い目で見て、さしあたりはこっちから持ち出すものが多いけれども、結局はだんだん向こうが太ってきて、こっちにはね返ってくるということを楽しみにして、この
経済協力
をもう少し腰を入れてやらなければならぬ、こういうようなことが
日本
から見た低
開発国援助
の
方針
で、これが
方針
の全部ではないけれども、ウエートをそこに置かざるを得ない、こういう
状況
になっていると考えます。
アメリカ
は
アメリカ
で、世界の繁栄が結局はみんなの繁栄になる、であるからして、不幸な国をほったらかしておくということはやはりいろいろに物議をかもす原因にもなるから、みんなが向上するようにしようというのが
アメリカ
の世界
政策
というか、そういうものの第一段だと私は思っております。
日本
はもっと身近にそれを感じておる。それだけの違いはあるのじゃないかと思う。
木村禧八郎
228
○
木村禧八郎
君 それは外務大臣のいまの御答弁はわかります。また、そういう方向で進めるべきだとも思うのです。しかし、それが実効があがらなければいけないわけですね。それにはひとつこの際、大蔵大臣も十分お考えじゃないかと思うのですけれども、今後
日本
の低
開発国
に対する
援助
の要求はかなり多く出てくると思うのです。
アジア
開発
閣僚会議でもいろいろあるでしょう。
日本
を兄貴分に思って、そして
日本
が戦後経済的にも成長したということもあり、ずいぶんそういう要求が
日本
に来る。そういうときに、
アジア開発銀行
が発足をし、
日本
が非常に大口の
出資
者になるわけですから、今後一体どういう基本的な
姿勢
で
日本
が後進国
援助
に乗り出すべきかという基本の
方針
をはっきりここできめなければいけないと思うのです。この際ですよ。そうでありませんと、せっかく
国民
の
税金
で投資したものが——将来豊かになってはね返ってくると期待する、これはけっこうなんですけれども、逆にそうならない、そういうことになってはいけないのでありますから、今後のあり方をはっきりきめなければならぬ。 それについては、これまでたとえば
アメリカ
は
韓国
にずいぶんお金をつぎ込んだでしょう。それにもかかわらず、
韓国
の経済がどうして発展をしなかったのか。それから、
インドネシア
につきましても、これは私は
資料
をいただきましたが、ずいぶん多くの国が
債権
を持っているわけです。いままでね。これは共産圏もありますが、これは正確な
数字
じゃないかもしれませんが、大体昨年末で、
インドネシア
債務残高は大体二十六億ドルをこえているのですね。さらにもっとこれは多いのかもしれませんが、
インドネシア
側の
資料
によったものである、こう注がついておるわけです。ずいぶん
アメリカ
もいろいろ
援助
をしておる。
日本
も
援助
をしてきておる。それにもかかわらず、どうして低
開発国
の貧困とそれから停滞というものがなかなか解決されないのか。もちろんこれはずいぶん長い間の歴史的な経過がありますから、そう一挙には立ち直らないと思うのですが、それにしても、ずいぶんお金をつぎ込んで、経済は安定しない。
インドネシア
なんかものすごい
インフレ
でしょう。それから、
韓国
もそうなんですよ。台湾については、もう何か一応テークオフしたというふうに報じられておりますけれども、それにしても、まだ本格的なあれじゃない。その原因がどこにあるか考えてみる必要があるのじゃないか。いままでの
援助
のしかたに何か誤りがあったのじゃないか、そう考えられるのですよ。 そこで、今度は
日本
が
アジア開発銀行
に
加盟
をし、
大口出資者
となるについて、また、
アジア
開発
閣僚会議なんか設けて、
日本
が今後かなり
援助
をしなければならないような立場に立たされておるのでありますから、こういう点についてもっとはっきりした
考え方
をここでまとめるべきじゃないかと思うのです。外務大臣、この点についてはどういうふうに……。
椎名悦三郎
229
○国務大臣(
椎名悦三郎
君)
韓国
はまだ始まったばかりでございますから、効果がどういうふうにあらわれるか、これからの問題だと思います。
木村禧八郎
230
○
木村禧八郎
君 いや、従来
アメリカ
がたくさん
援助
をしていた。
椎名悦三郎
231
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 他国の
援助
をしたことはわかりませんが、まあむしろ軍事
援助
がおもでなかったかと思います。
日本
の
経済協力
は始まったばかりでございますから、今後の問題だと思います。
インドネシア
は、対外債務が御
指摘
のとおり二十六、七億ドルないし三十億足らずあるようでありますが、これも半分は軍事
援助
であると考えます。今度政権もかわりまして、むしろこの国内の民生の安定、経済の復興ということに重点を置いて今後政治を行なっていくという
姿勢
をいま固めつつありますので、従来ともまた違った行き方でございますから、経済的には相当な効果を期待していいのではないかと考えております。 それから、台湾は、とにかく安定し、そしてかなり繁栄ということが期待できるのではないか、私はこう考えております。 今後の問題は、やはり
日本
は
日本
としての立場から、あくまで経済的な効果、それが短期的であろうと長期的であろうと、政治的効果ということでなしに、純粋に民生の安定、国の繁栄ということをねらって、そのラインに沿うた
経済協力
、
援助
をすべきであると、こう考えております。 〔
委員長
退席、理事青柳秀夫君着席〕
木村禧八郎
232
○
木村禧八郎
君 ですから、今後
日本
が
援助
する場合にですよ、その
援助
の効果が有効に生じ得るような条件を整えなければ貸しませんよくらいに、それくらいのあれを言ってもよいと思うのですよ。そうでないと、かなり
日本
はそういう立場になってくるから、何も意地悪言うんでなくて、ほんとうの
意味
で、たとえば三千万ドル今度
インドネシア
援助
をやる。これが当面はまああそこは非常に
インフレ
ひどいですからね、安定にどれだけ役立つかわかりませんが、まあ九牛の一毛かもしれませんが、多少は役立つとして、それがやはり将来
インドネシア
の本格的な
経済再建
に役立つような線においてじゃないと、それが
軍事費
に使われちゃったりなんかしちゃったら、やはり本格的な
再建
に役立たないですよ。そういうはっきりした立場に立って、ものも言い、条件もつける。やはりそれくらいの立場に立ってやりませんと、今後せっかく
国民
の
税金
で
援助
しても、それがほんとうに役立たない。 そうして私の考えでは、いろいろほかにも
理由
がありますけれども、主としてこれまで、たとえば
韓国
でも台湾でも、それから
インドネシア
でも、その他方々
援助
をしましたけれども、大体において民家に信頼のない腐敗的政治勢力、そういうものに技術
援助
なり経済
援助
が利用されちゃっておる。ほんとうにこれが実らない。
韓国
においては最も顕著な例じゃないかと思うのですね。そういう
援助
であってはならないのであって、こういうものに対してははっきりやはりけじめをつけていかなければいけないのじゃないか。そういう時期に来ているんじゃないか。そういうことをいま伺っておるわけですよ。
椎名悦三郎
233
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 全く御同感でございまして、先般
インドネシア
から新しい政権が、とりあえず技術的なミッションを派遣いたしまして、そうして続いて副首相が来日いたしまして、で、われわれとしては大蔵省その他通産、経企、農林等々と十分協議をいたしまして、経済的な協力をするのもいいけれども、まずその基盤である政治的な基盤というものがほんとうに確立する曙光が見えてきているのかどうかということが非常に大きな問題でありますので、その点についてかなり突っ込んだ
説明
を求め、現地の情報等も集めて検討したようなわけであります。御
承知
のとおり、いままでマレーシア粉砕
計画
というようなものを実行して、このために多額の戦費を使っている。こういったようなことは、何らの確定した
目的
もなしにああいうことを、
国民
を引っぱるというだけの
目的
かと思われますので、そういう浪費をするということがあっては、これはとても新しい
援助
計画
なんというものは問題にならぬ、そういうことで、まずその点を十分たたいて、たたいた結果、大体その後のいきさつ、見通しについて、もうこの問題は百八十度転換するということのようでございますので、そういうことを確かめた上でいろいろな経済的な本来の協議に入った、こういう
状況
でございまして、お説のとおり、出す以上は有効にそれが実るということを唯一のめどにしてその
政策
を進めている、こういう
状況
でございます。
木村禧八郎
234
○
木村禧八郎
君 外務大臣は、昨年四月
ロストウ
氏が
日本
を訪れたそうですか、そのときお会いになりましたですか。
椎名悦三郎
235
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) あのときは、わずかの時間でございましたけれども、会いまして、二、三十分程度でありましたが会いました。
木村禧八郎
236
○
木村禧八郎
君 そのとき、まあどういう
お話
し合いでしたか。それはお差しつかえがあればよろしいですけれども、この
ロストウ
氏は御
承知
のように
アメリカ
の低
開発国援助
計画
については独創的なというのですか、独特な考えを持っておりますよ。
アメリカ
政府
に非常にそういう点で影響力のある人ですよね。 〔理事青柳秀夫君退席、
委員長
着席〕 ですから、そういう点について何か具体的に、
アジア開発銀行
の問題ということではなくて、一般的な
お話
し合いかもしれませんが、
アメリカ
の低
開発国援助
についてのいろいろな基本的な
考え方
ですね、そういうものを何か話され、また
日本
のほうでもそれについて何か話をされたようなことはないのでしょうか。
椎名悦三郎
237
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) よく記憶しておりません。どういうことを話したか、もうごく表敬の程度でございまして、もちろん
アメリカ
の低
開発国援助
計画
等の話は、私はほとんど記憶しておりません。私は話したような覚えはありません。
木村禧八郎
238
○
木村禧八郎
君 これはもうロスストウ氏から直接伺わなくても、外務大臣よく御存じと思うのですが、
アメリカ
のこれは外交策にもかなり影響を及ぼしているが、前のダレスのかちかちな反共
政策
から
ロストウ
的な方向に転換して、
ロストウ
的な方向というのは、一応共産圏はこれは否定しても否定できない、そしてこの
共産主義
的な生産方式というのは、一応工業の近代化に役立ったことは否定していないですね。段階的な、発展段階論ですかということですね。しかし、
ロストウ
氏の書いたものやなんか見ますと、結局低
開発国
がなかなかこの貧困、停滞等そういうものが解決されない、それでその経済の発展がうまくいかないのは技術
援助
をやったりあるいはまた経済
援助
をやっても、結局共産的な勢力がこれを妨害しているのだ、こういう
考え方
なんですよ、基本的な
考え方
は。ですから、それはラスク氏ほど反共的では表面はないようですけれども、やはり基本的には
援助
を、経済
援助
をやると同時に、片一方では、
共産主義
勢力を排除するための軍事的
援助
というものをやっぱりかなり強くやっているわけですよ。そういうやり方ですよ。だから、基本において私は
考え方
が間違っているのではないかと思うのです。
アメリカ
は。 低
開発国
の経済がうまくいかないのは、従来の、たとえば
朴政権
とかあるいは蒋介石政権とか、その他非常に世界的にも一番腐敗的な
政府
と見られるところに経済
援助
をやり技術
援助
をやる。だから、それがほんとうの
国民
のウェルフェア、厚生に役立つように使われていない。そういうところに問題があるのである。だから、
ロストウ
の
考え方
は基本的には間違いじゃないかと思う。そういう間違った認識から
アメリカ
の低
開発国援助
計画
というのが出ているとすれば、これはよほど
日本
はこれについては批判的な立場でこれは向かわなければいけないのじゃないかと思うのです。この点が私は非常に重要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
椎名悦三郎
239
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) しかし、やっぱりいろいろな段階があるのではないかと思うのです。いろいろな、形を変えたいろいろな侵略が行なわれているという、ただこれに目をおおうて経済建設だけを進めても、実際問題としてそれが育たない。だから、やっぱり降りかかる火の粉は一応払っておく、そしてしかる後に経済建設に協力する、こういうことじゃないといかぬのじゃないかと思います。私は、まあその
経済協力
を与える国の
状態
、
対象
である
状態
いかんによって、いろいろな手心が必要であると思います。しかし、現在その火の粉が降りかかっている、それをおかまいなしに建設のほうだけ、平和建設のほうだけ進めるということは実際上成り立たない。ある程度はそれを排除して、しかる後に平和建設を助ける、こういうことになるのじゃないかと思います。
木村禧八郎
240
○
木村禧八郎
君 まあ平和建設といいますけれども、どういう形の建設が必要かということが問題なんだ。そこまで腐敗した政治権力者、それと結んだ一部の資本家を富ませるような形の平和建設では、せっかく
日本
国民
の血税で
援助
したりなんかしても、それはもうほんとうに逆効果になるかと思うのです。これはまあ議論は、外務大臣と私の間にはだいぶ立場の相違がありますから、意見の一致を求めるのは全く無理なわけですよ。しかし、少なくとも、これまでかなり長い間低
開発国
に
援助
してみたけれども、それが効果がなかったことは一体どこにあるか。この根本の原因についてはほんとうにいきさつにとらわれないで十分にこれは検討して、
国民
の
税金
がむだに使われないような
援助
をすべきだと思います。こう私は考えるわけです。 そこで、今度は
開発
銀行の中身について、これは具体的に
質問
していきたいと思うのですが、その前に、いろいろ新聞等で伝えられておりますが、
開発
銀行の本店を、これは
日本
に置きたかったのだけれども、東京に誘致したかったのだけれども、結局これはマニラに決定してしまったと。このいきさつはどういうことであるのか、伺いたいのです。
椎名悦三郎
241
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) これは代表団がマニラに参りまして、
日本
が非常な懸命な説得を試み、事前においても、
日本
としては外交ルートを通じて
関係
国に働きかけておったわけでございます。しかし、何せ当のマニラにおいて最後の会議が開かれたというようなことで、フィリピンとしてもちょうどその場所的な有利性を大いに活用して、ずいぶん働きかけもやったようであります。その詳細はお互いにこれは新聞その他で
承知
しておることでございますけれども、最もフィリピンのほうに傾いたことは、
日本
は本店も総裁も両方持っていこうとしている、しかし、総裁の人選はしばらくおくとして、低
開発国
の
開発
促進のために設置される開銀であるから、やはり低
開発
地域に置くのがほんとうじゃないかというような宣伝がかなり有力に行なわれておったと聞いております。いずれにしても、選挙みたいなものでございまして、なかなか、わずかの差でございましたが、たった一票の差で東京設置が実現しなかった、遺憾ではございますけれども。しかし、本店がどこにきまっても、
アジア開銀
は、であるからしてとかなんとかということではないのでありまして、今後この
アジア開銀
というものをほんとうにりっぱに育てて機能を発揮させることが最も大事なねらいではないかと考えております。
木村禧八郎
242
○
木村禧八郎
君 これについてはいろいろ
新聞雑誌等
に書かれておるわけですけれども、これは朝日ジャーナルですけれども、朝日ジャーナルでは六月十二日号にこういうふうに書いてあるのですね。「昨年十二月はじめ、
アジア開発銀行
の本店をマニラにとられたことは、〃ケネディ暗殺いらい〃とさえいわれるほどのショックを
日本政府
にあたえたが」……外務大臣はあまりショックを受けていないかもしれませんが、「
日本
が同本店の東京誘致に失敗した最大の
理由
は、<
日本
と組んで
アジア開銀
を牛耳ろうとしている>という域内諸国からの非難をおそれた
アメリカ
の工作ではなかったか。」と、こういうふうにあるのです。この点はどうですか、大臣。外務大臣、第一ショックを受けたのか受けないのか。かなり熱心にやはり東京誘致工作をやられた、努力されたように伺っておるのです。
椎名悦三郎
243
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 国際的な最近の機関というものは
日本
に何もありません。
アジア
開発
については、自分のこととして
日本
は非常なこれに対しては重大なる関心を持っておりますので、したがって、開銀の本店が東京に来るということを非常に希望した一人でございますが、しかし、さっきも申し上げたように、これが他の土地に行ったからといって、
アジア開銀
の設立の
理由
が失われたとかなんとかという、そういうことは言うべきものではないし、またそうでもないと思います。でありますから、ちょっと当てがはずれたと。これはショックだか何だかわかりませんが、当てがはずれたことは確かであります。
木村禧八郎
244
○
木村禧八郎
君 今度総裁は
日本
側になる可能性があるのですか。新聞等では渡辺武さんなんということが下馬評に載っておるようですが、その点はどうなんですか。
福田赳夫
245
○国務大臣(
福田
赳夫君) まあぽつぽつ総裁を選考をしなければならぬ段階に来ておることは事実なんです。そういう情勢に対処しまして、わが国としては渡辺武君を候補者として正式に立候補していただいたわけです。これは当然渡辺君とは相談をしまして、その承諾を得てやっております。 その見通しにつきましては、ただいま外務大臣からも
お話
がありましたが、本店がマニラにきまった。それはなぜかというと、東南
アジア
の諸国の中に、総裁はどうしても渡辺君だと、こういう声が前から一般的になっておるわけなんです。つまり、
アジア
人で一流の国際ファイナンサーを求めると渡辺君だと、こういう国際金融界における定説ですね。それで、ぜひ渡辺君になってもらいたいという空気がある。そこへ持っていって、本店を東京にすれば、本店も東京だ、総裁も渡辺君だということになる。これは排除しなければならぬ。私はマニラに本店がきまった最大の
理由
はそこにあると思います。そのくらい渡辺君が適格者であるということは普遍化されておるわけなんです。で、もう十月の中旬にテヘランにおいて創立総会が開かれるのでありますが、今日いまだに渡辺君の立候補に対して対立候補というものが出てこないのです。そういうところから見まして、まず私は渡辺君の立候補が成功するということについては間違いなかろうと、こういうふうに踏んでいるわけであります。
木村禧八郎
246
○
木村禧八郎
君 もう一つ、この
アジア開発銀行
の
協定
と、それから昨年四月七日ですか、
ジョンソン
声明、約十億ドルの
援助
を
アジア
の平和と
開発
のために行なう用意があるというあの
ジョンソン
声明、これとの
関係
はどうなんですか。そうでないということをいろいろ
政府
の出している刊行物あるいは
政府
の息のかかった人の書いたものにはそういうふうに出ているのですよ。この
関係
はどうなんですか。
福田赳夫
247
○国務大臣(
福田
赳夫君)
アジア開発銀行
の
構想
というのは、数年前から始まっております。これが六三年ですね、暮れにはもうエカフェの決議にもなっているわけです。昨年の七月ごろの段階では、その討議が相当具体化してまいりまして、それでまあ投票権の数え方をどうしようかとか、あるいは
各国
の資本の持ち分をどうしようかとか、その辺まで来ておったわけであります。最後の詰めが残されておるという段階だったわけでありますけれども、その時点において
ジョンソン
構想
というものが発表されたわけであります。つまり、発生の経過が
ジョンソン
構想
と
アジア開発銀行
というものとは全然違っている。ですから、
内容
も違うのです。
アジア開発銀行
のほうはその
対象
地域が
アジア
全域でございます。ところが、
ジョンソン
構想
というのは、メコン
開発
ですね、これが中心であります。その他の
アジア
地域、東南
アジア
地域も含めるというのですが、広く
アジア
地域全域を
対象
とするというのと異なっておるわけであります。 それから、
ジョンソン
構想
が発表されましてから、その後の具体的なこれが現実化の動きというものは、今日まで見られません。
アジア開発銀行
のほうは着々最後の詰めに入りまして、十月中旬には創立総会が持たれよう、こういう段階まで来ておる。これは全く別なものだというふうに御了承願いたい。
木村禧八郎
248
○
木村禧八郎
君 これは大来君の書いたものですが、大来君によると、この
アジア開発銀行
の具体的な
構想
が出たのはエカフェですね。
最初
なんですよ。ところが、エカフェのウェリントン会議があったが、その会議では「
アメリカ
政府
は
アジア開銀
に
出資
するか否かの態度を明らかにしておらなかったが、その後四月になって東南
アジア
援助
に関するいわゆる「
ジョンソン
構想
」が発表され、それに関する大統領特別顧問として前世銀総裁のブラック氏が任命された。同氏は前記の六月の幹事
国会
議にあとから出席して、
アメリカ
政府
も
アジア開銀
に
日本
と同額の二億ドルを
出資
する意向であることを明らかにした。」、こういうふうに書いてあるのですね。そして大来氏もこの
ジョンソン
構想
とそれから
アジア開銀
とは全く違うのだと。いま大蔵大臣が
説明
されたような、大体
ジョンソン
構想
がインドシナ半島をおもな
対象
地域としているのに対して、
アジア開銀
がエカフェですか、地域全体を
対象
にしている。そういうような点で一部に誤解があるようだけれども、別個のものだと言われているのです。しかし、この経過から見ると、ここは非常に焦げくさいですね、こういうふうに。そう思う。だから、無
関係
であるとは私は言えないと思うのです。どうなんですか、この点。
福田赳夫
249
○国務大臣(
福田
赳夫君) 大来さんはその
状況
をかなりよく知っている人の一人であります。ですから、大来さんの言われているとおりだと思うのですがね。ただいま申し上げましたように、発生の経過が全然違うのです。そういうところから、その両者の間には私は何らの交錯する点はないように、こういうふうに見ております。ただ、
ジョンソン
構想
の一部分として、
アジア開発銀行
に信託基金というものができれば、
アメリカ
はそれに一億ドルを信託してもよろしいというようなことを言っております。そういう点は、もしそれが実現するということになれば出てきますが、これは本質的なものじゃない、あとでくっつかったものである、この程度のものかと思います。
徳永正利
250
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
徳永正利
251
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こしてください。
木村禧八郎
252
○
木村禧八郎
君 私はまだ
質疑
の途中なんですが、ただいま
委員長
から、公明党の
中尾
さんが大蔵大臣が
衆議院
に行く前に
質問
されたいというので、私の
質問
はこれで保留しまして、
中尾
さんに
質問
していただくことにいたします。私の
質疑
は終わったわけじゃありませんから、その点は、
委員長
、了解してください。
徳永正利
253
○
委員長
(
徳永正利
君) また、明日にでも相談いたします。
中尾辰義
254
○
中尾
辰義君 両大臣に総括的にお伺いしますけれども、今度の
法案
は、
アジア開発銀行
を通じて低
開発
地区に経済的な協力をしようということでありますけれども、東南
アジア
諸国が食糧
事情
に非常に困っておる
事情
は、私どもも新聞、雑誌等によりまして大体
承知
をいたしております。また、
アジア
の先進国としてこのような低
開発
の地域に
援助
することは当然ではないか、こういうようなふうに考えておるのですけれども、わが公明党としては、大体賛成の立場をとっておりますが、いままでの議論になった点は、要するに、今度の
アジア開銀
による
経済協力
というものが、単なる純粋の経済的な
援助
であるか、多少なり政治的な軍事的な色合いを持つものであるかということで、いままで議論があったわけであります。そういうふうに政治的な軍事的な色彩を持っておるとすれば、私どもはこれは考え直さなければならないので、あらためて外務大臣に、
政府
の東南
アジア
の低
開発
諸国に対する基本的な態度、
構想
等について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
椎名悦三郎
255
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 先ほど木村さんの御
質問
に関連しても申し上げたつもりでございますが、
日本
といたしましては、やはり
アジア
における唯一の工業国、先進国として、いま国際的に大きく取り上げられておる南北問題、これに相応の力をいたすという責任があることはもちろんでございますが、ただ、それを離れましても、
日本
として、東南
アジア
を中心とする
アジア
地域の一帯というものは、
日本
のこれはお得意市場ですね、三分の一くらいの。輸出量の三分の一くらいを東南
アジア
中心でさばかれておる。ところが、いまはもう東南
アジア
、ことに東南
アジア
はきわめて政治的に不安定でありまして、それから経済的にもなかなか進歩しない、そういうことで、それにもってきて、
日本
が非常にこの地方にたくさん売っておりますけれども、
日本
は東南
アジア
から輸入するものが非常にアンバランスになって、少ないのであります。そういうことで、このままでは、東南
アジア
を中心とする市場もだんだん
日本
から離れていくのではないかというような懸念もされる。でありますから、
日本
の自衛のために、東南
アジア
を中心としてこれらの低
開発国
というものを育成すると。
経済協力
をいたしましてこれを育成していく力をつけていく。そうして、それがやがて
日本
にもはね返ってくると、こういうことを
日本
自身としても考えなければならぬという時代に到達しておるのでございます。そういう
意味
でございまして、純粋に
経済協力
、東南
アジア
を中心とする
アジア
地域一帯の繁栄というものを育て上げていく、こういう考えのもとに
アジア開銀
に参加を決定した、こういう
状況
でございます。
中尾辰義
256
○
中尾
辰義君 それでは、先般行なわれました東南
アジア
閣僚会議において、わが国が
援助
を強化しようと、運輸とか通信、教育、医療等、非常に幅広い分野にわたって約束をしておるわけです。ことに、将来
国民所得
の一%まで
援助
してあげようと。そういうことで大きな反響を呼んでおるわけでありますけれども、当面考えられるようなことは、
無償
援助
の増大とか、借款
金利
の引き下げ、あるいは
支払い
期限の延長、
援助
条件の緩和、あるいは一次産品等の買い付け、いろいろと考えられるわけでありますが、こういうことを、あのような国際会議におきまして単なる口約束だけで済むわけにはいかない、将来具体的にどういうようなふうに進めていくのか、この点を。この
援助
の点につきましては、大蔵大臣、農林大臣はちょっと渋い顔しておりますね。この際にひとつ、どのように具体的に進めていくのか、その点について両大臣に私はお伺いしたい。
椎名悦三郎
257
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) この点に関して、あの会議の前後において参加国の二、三の国から具体的な
経済協力
の申し出がございまして、それは前から問題になっておったのでありますが、責任閣僚が見えましたので、今度は責任閣僚が直接この話を持ち出して、かねがねこれに対しては
日本
としても研究しておったところであります。
関係
各省十分に相談をしておったわけでございます。それは大蔵大臣からも一
お話
があるだろうと思いますが、具体的にこの問題を着々実行に移しつつある、こういう
状況
でございます。
福田赳夫
258
○国務大臣(
福田
赳夫君) ただいま外務大臣から
お話
しのとおりなんですが、別に大蔵省が消極的であるとか、農林省がどうとかというわけじゃないのです。いま問題になっておるのは、会議を開くかどうかという問題なんです。その会議において、一体どういう農業
開発
をやるかという段になりますれば、私はいろいろそれぞれの国においても議論はあるだろう、こういうふうに思います。農業
開発
は、
アジア
の振興国、これはどうしても農業
開発
をやらなければやっていけない国なんであります。それが
日本
のインタレストと両立するような形において進められていくことが私は必要である、また、その道はある、こういうふうに思っております。
中尾辰義
259
○
中尾
辰義君 経済
援助
を
国民所得
の一%まで引き上げるということは、かなりな私は負担だろうと思うのですが、これは何年がかりぐらいでそういうほうに持っていくつもりですか。
福田赳夫
260
○国務大臣(
福田
赳夫君) これはDACの会議におきまして
日本
は約束をしているので、努力をしなければならぬわけですが、結局、財政負担という問題なんです。いまわが国の財政力ということになりますと、非常に窮屈な
状態
であります。ことに来年、再来年、四十二年、四十三年の二つの年度は特にその中でも苦しいのであります。ですから、急に一%まで持っていくわけにいかぬ。しかし、四十年度にすでに〇・六三%まで来ておる。でありまするから、もう少し努力をいたしますれば、私は数年中には実現できるのじゃないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
中尾辰義
261
○
中尾
辰義君 それでは、話を変えまして、来月の五日から京都におきまして日米合同の貿易経済会議があるわけです。この開催を目前にいたしまして、こういったような東南
アジア
の
援助
という面に関して
政府
ほどのような態度をもって臨まれるのか、その点について外務大臣と大蔵大臣にひとつお伺いしたい。
椎名悦三郎
262
○国務大臣(
椎名悦三郎
君)
アメリカ
もことしの春にホノルル会議を開きまして、そしてまあ緊急の防衛のために軍事行動をとるかたわら、一方においては経済的な方面も相当に強化しなければならないということで会議を開いたようでございます。そして引き続いて経済閣僚の一部の人が現地におもむいて、いろいろな視察をしておるようであります。そういう
状況
でございますから、
日本
が先般東南
アジア
の
開発
のために閣僚会議を開いたことに
アメリカ
としても相当強い注意を向けておるように推察されます。したがって、今度の合同会議におきましても、そういう点を詳しく
日本
から直接聞きたいというおそらく期待をもって臨んでくるに違いないと、こう考えております。一応その間の
事情
というものを詳細に述べまして、
アメリカ
の参考に供したいと、こう考えておるわけであります。そうしてまた、その問題に関連して何か向こうのほうから意見の提出があれば、それも聴取するという、とにかくこの機会を利用したいと、こう考えております。
福田赳夫
263
○国務大臣(
福田
赳夫君)
日本
と
アメリカ
は経済的に非常な
関係
があるわけであります。貿易からいいましても、三割は往復とも
アメリカ
だと、こういうような
状態
です。でありますから、
アメリカ
の経済が今後どういうふうになっていくか。ことに御
承知
のように、
アメリカ
ではいま過熱
状態
に対してどういう手を打つかということが問題になっている。その打つ手によりましては、わが国の輸出に大きな影響があるわけです。そういうようなことで、
アメリカ
が一体どういう経済運営の態度をとるのか、また
アメリカ
の経済は今後どういうふうになっていくのか、当面の問題もありますが、もちろん長期にわたった
アメリカ
の
考え方
というものをとくとただしておきたい、こういうふうに思うわけであります。そこが私は非常に重要だと思うのでありますが、同時に、
アメリカ
内に
日本
に対しまして、あるいは資本導入の問題でありますとか、あるいは関税
政策
の問題でありますとか、いろいろ
日本
に聞きたいことも、要望したいこともあるだろう。そういう点も
アメリカ
と
日本
との経済の
関係
から見まして重要なことでありますので、よく意見を聞いておきたい、こういうふうに考えるわけであります。
中尾辰義
264
○
中尾
辰義君 いろいろ意見を聞くということはいいでしょうけれども、先ほどからの外務大臣の話を聞きますと、東南
アジア
経済
援助
というのは例の
ジョンソン
大統領の十億ドルの
援助
計画
とは
関係
がないというようなことが答弁にあったのですが、ですから、こちらとしてもやはりいろいろな向こうに対する要望なり、心がまえというものがなければならないのじゃないか、こう思うわけですよ。ですから、いろいろな外交、経済、多面にわたる
お話
があるでしょうけれども、当面私は、
アジア開銀
に関して、東南
アジア
の
援助
計画
について、外務大臣はどのような態度で臨むのか。向こうの
援助
計画
の一翼をになって、ただそれに乗っかってやるという、そういうことではないだろうと思います。先ほどから話を聞いているわけですが、やはり自主的に
アジア
先進国としてこのようにしたいのだ、そういったような考えというものを持って臨まなければならぬのじゃないかと、こういうわけで私は先ほどから
質問
をしておるわけです。この点はどうですか、外務大臣。
椎名悦三郎
265
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 大蔵大臣から御答弁申し上げたように、去年四月の十億ドルの
ジョンソン
構想
というようなこととは無
関係
に、全く自発的にこの
アジア開銀
というものが生まれてきたことは事実でございます。しかし、
アメリカ
としても特に東南
アジア
の経済
開発
の問題については興味を示しておるということは、これはどうも隠れもなき事実である。これはホノルル会談によってもりっぱに証明されておる。でありますから、おそらく東南
アジア
の
開発
閣僚会議のいきさつを、非常にいろいろな
事情
を聞きたたがると思うのです。私は。しかし、まだあの結論として、農業
開発
会議も近く開くという申し合わせにはなっておりますけれども、それは開いておりません。ことしの十月以降において開きたいという考えを持っておりますが、その結論がやはり相当これはみんなの注目して、期待しておるところだろうと思いますが、これはまだ将来の問題で、しかし、非常に興味を持っておることは事実だと思います。
アメリカ
はどういう気持ちを持って、どういう程度の関心ですかまだわかりませんけれども、十分に私は情勢を解明をしておきたいと、こう考えております。
徳永正利
266
○
委員長
(
徳永正利
君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
徳永正利
267
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
中尾辰義
268
○
中尾
辰義君 新聞に、これは東南
アジア
の農業
開発
基金の件につきましてちょっと出ておるわけですが、
アジア開銀
に信託基金をして二億ドルのこれは
出資
でもって置くと、こういうようなことが出ておるのですがね。これは一体どうなっているのか、この
構想
について外務大臣にひとつお伺いしたいのですが。
椎名悦三郎
269
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) これはどういうところからそういう記事が出たのか、ほとんど私は見当がつかないのでございます。いま申し上げましたように、この農業
開発
会議というものは相当なエキスパートも入れてことしの十月以降に開きたいと、こう考えております。そこで、
各国
からそれぞれの担当官あるいはそれぞれのエキスパートが見えるだろうと思います。そこであらゆる面からこれを
論議
して、そしてだんだんと
構想
が固まっていくことと思います。その結果、それぞれのプロジェクトに対してどれくらいのタイミングでどれくらいの
資金
量というものが要るかというようなことも明らかになってくる。しかる上に初めてその所要
資金
というものをどういうふうにして調達するかということが
論議
されまして、そうしていよいよ最終の結論が得られると思うのであります。そういう経過を一切飛び越えて、
アジア開銀
の基金としてそこに浮かび上がってきたのは一体どういうわけか、どうも私どもよくわからないのでございますが、これはあるいはそういう農業
開発
基金というようなものに落ちつくか、それと会そうでないメコン川の
開発
といったようなああいう方式になるか、あるいはその他の適当な方式を採用することになるか、一切それはわからない。でありますから、その問題は全然
政府
としては責任のない記事でございます。
中尾辰義
270
○
中尾
辰義君 そうしますと、まだ大臣はこういう問題に対しては自分としてははっきりしていたいのだと、これからの問題だと、こういうことですがね。同じようなことを三木通産相も東南
アジア
閣僚会議が済んだあとで述べていらっしゃるように新聞記事で見たのですが、大体
政府
としての
構想
ではないのですか。外務大臣としてのお考え……。
椎名悦三郎
271
○国務大臣(
椎名悦三郎
君) 少なくとも大蔵大臣もあまり
承知
していないだろうと思います。
福田赳夫
272
○国務大臣(
福田
赳夫君) 大体
アジア
の問題を
アメリカ
と
日本
が話すということ、それだけでもおかしいのですよ。これは。
アジア
の問題は
アジア
で話すべきだと、そういうふうに考えております。いま農業問題につきましては
アジア
諸国で農業会議をやろう、こういうことでありまするから、すべて農業会議の場において今後どういうふうな
開発
計画
を立てるか、またそのための手段をどうするかということをきむべきものである。それを
日本
がこうひとりで発想してみたり、あるいは日米の間でそういうものを話し合ってみたり、そういう性質のものじゃない。したがって、新聞に何かあるというが、閣僚の中にはこういう
構想
がいいだろうというような個人的な見解を持っている人はあるであろうと思います。そういうのがちょいちょい新聞なんかに顔を出す、こういうことかと思います。
徳永正利
273
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記とめて。 〔速記中止〕
徳永正利
274
○
委員長
(
徳永正利
君) 速記を起こして。
木村禧八郎
275
○
木村禧八郎
君 関連。
ジョンソン
声明が出たあとで、
ジョンソン
のブラック特別補佐官が
日本
に来て、
福田大蔵大臣
に会って、日米共同投資について、
アジア開発銀行
には日米それぞれ二億ドルを、特別
開発
基金に同じく一億ドルずつ提供すること、またメコン川ナムグム・ダムの水門建設投資二千七百万ドルのうち半分は
アメリカ
が負担し、四分の一、七百万ドルは
日本
が負担するという具体的提案を行なった、これに対して
福田大蔵大臣
は最大の努力をする、こういうふうに表明したと伝えられています。いまの農業
開発
基金、直接にはそれじゃないのですが、こういう話し合いがやっぱりこのブラック特別補佐官との間に行なわれたというように伝えられておるのですが、大蔵大臣はブラックさんにお会いになって、こういう
お話
をされたのじゃないですか。
福田赳夫
276
○国務大臣(
福田
赳夫君) 昨年のいつでしたか、日米経済
委員会
よりはあとの段階だと思いますが、ブラック顧問と会いました。そしてブラック顧問は、
アメリカ
は
アジア銀行
ができれば
アジア銀行
に対して一億ドルを信託する用意がある、
日本
も協力したらどうだという話がありまして、それで私は、
日本
の財政
状況
からなかなかこれは簡単にはいかぬ問題だ、こういうふうに答えておいたのですが、それっきりになっています。あとまたどうしたというような話は聞いておりません。ちょうど一年ぐらいたっております。 それから、ナムグム・ダムの建設につきましては、これはブラックからも話があったかどうかちょっと忘れましたが、その前からメコン
開発
ということで国際的に話題になっている問題でありますから、メコン
開発
計画
に
日本
も協力すると、こういうたてまえをとっておりますので、金は忘れましたが、何百万ドルでありましたか、
日本
はこれに拠出をするということになったわけであります。
中尾辰義
277
○
中尾
辰義君 それでは、この業務
内容
のことについて若干お伺いしますけれども、
アジア開発銀行
と、名前が銀行になっておりますので、融資の面だけであるかと思ったら、そうじゃなしに、いろいろと事業の立案あるいは準備、技術
援助
、こういうものも含まれておるように思うわけです。ですから、この
協定
の第二条の任務のところに出ております第二項と第三項の点について、これは事務当局でもいいですが、
説明
をしていただきたいと思うんです。
村井七郎
278
○
政府委員
(
村井七郎
君)
アジア開発銀行
の業務
内容
といたしまして、任務が二条にございますが、その任務を受けまして、十一条あるいは二十一条にやや具体的な活動範囲を規定しております。そのおもなるものはもちろん直接貸し付けでございまして、域内低
開発
加盟
国に対しまして、その企業に直接貸し付けを行なう、これが中心になるわけでございますが、そのほかに企業の株式あるいは持ち分への投資もできますし、あるいは貸し付けの保証もできることになっております。また、先ほどちょっと
先生
がお触れになりました技術
援助
というものもこれはできることになっておりますし、証券を発行いたしますときの引き受けあるいは保証ということもできるように相なっております。
中尾辰義
279
○
中尾
辰義君 そうしますと、
資金
の融資だけでなくて、やはり
開発
に関する事業
計画
、またそれを実施するためのいろいろの技術
援助
と、こういうようなことも含まれるわけですね。
村井七郎
280
○
政府委員
(
村井七郎
君) さようでございます。
中尾辰義
281
○
中尾
辰義君 そうしたら、先ほどから
質問
がありましたアフリカ銀行とか米州銀行の業務
内容
とはどういう点が違うんですか。
村井七郎
282
○
政府委員
(
村井七郎
君) おおむね同様でございまして、そういった地域
開発
銀行の活動を規定しておりまするいろんな条項あるいは活動
状況
を参酌いたしまして、決定したものでございます。
中尾辰義
283
○
中尾
辰義君 それから、まあ銀行ですから、やはり企業体である
関係
上、
採算
ということがまた問題になってくるんだと思うんですが、どうしてもこういった低
開発
の諸国に対する融資というものは、非常に
金利
も低いし、また長期間でもあろうかと、こういうふうに思うわけですがね。そういう点から考慮して、この
アジア開発銀行
の企業体としての
採算
性が成り立つのかどうか、ここら辺のことをひとつ答えてください。
村井七郎
284
○
政府委員
(
村井七郎
君)
アジア開銀
が発足いたしますときは、大体規模といたしましては百五十人見当、いろんな雑役までも含めましてそういった程度を考えております。そのうちで非常に業務に直接
関係
するのは大体五十人程度ではなかろうかという発足時の
状況
を勘案いたしまして、片方、総
出資
額は十億ドルでございますが、これを五年間にわたりまして、しかもその半額を
出資
いたしまして、またさらにその半額は自国通貨でいいわけでございますので、そういった収入の面と
支出
の面を大ざっぱに勘案いたしまして、非常に大ざっぱな推計でございますけれども、また本格的なものではございませんが、一部では初年度におきまして大体収入は三百万ドルくらいではなかろうか、
支出
も大体三百万ドル、人件費が主たるものでございますが、そうではなかろうかという推算をいたしております。これが二年度、三年度になってまいりますと、収入が逐次払い込みが行なわれますので、その
運用益
が
増加
してまいる
関係
から、
採算
が好転してまいるという試算を一応しているものはございます。
中尾辰義
285
○
中尾
辰義君
説明
聞きますと、そういうわけですけれども、どうも低
開発国
の
援助
という性質上、将来また低
開発
諸国がいろんな無理な、
金利
の安い長期間の条件で申し込んでくる、そういうことがどんどん全面的に出てまいりますというと、域外の諸国の
アジア開発銀行
に対する協力というものがだんだん薄らいでくるのじゃなかろうかということも考慮されるわけなんですがね。そういう点について心配はないのかどうか、これはまあ大蔵大臣にひとつ聞きたいです。
福田赳夫
286
○国務大臣(
福田
赳夫君) 十億ドルの資本でございます。この資本が運用の種になるわけでございます。したがいまして、その運用は相当低利でいたしましても、経費をカバーする。もっとも貸し倒れというようなこともなしとしませんが、そういうもののカバー、そういうものも考えながら収支
計画
を立てる、こういうことになります。
中尾辰義
287
○
中尾
辰義君 それから、業務の中には通常業務と特別業務と、こういうふうに分けられておりますね。この特別基金ということについてひとつ
説明
してください。それと信託基金の運営等はどうなるか、またその融資の
対象
はどういうふうになっているのか、この点について。
村井七郎
288
○
政府委員
(
村井七郎
君) 特別基金と申します場合は、二種類考えていいのではないかというふうに思っております。一つは先ほど来から話題になっております信託基金でございますが、もう一つは特別に設定するということに相なっております特別基金でございます。十九条に規定してあるものでございます。第一の信託基金のほうは、これは信託者と受託者の間の契約によりまして、その
目的
、条件、使用方法等について具体的に取りきめが行なわれまして使用されるということに相なるわけでございますが、第二の特別基金の点につきましては、これは払い込み資本の一割までを限度といたしまして、域内国が必要といたします社会
開発
等に充てるためにソフトローンを行なうというときに、こういうローンに充てるものを一割を限度としてなし得るということにしておりますのが特別基金でございます。
中尾辰義
289
○
中尾
辰義君 そのソフトローンというのはどういう程度の条件になるわけですか。
村井七郎
290
○
政府委員
(
村井七郎
君) ソフトローンというものは、実ははっきりした定義はないのでございますが、通念的に考えられておりますのは、いろいろ普通の世銀あたりで融資いたしますよりもさらにややゆるい条件、つまり、低利であるとか期間が長いとかいうようなゆるい条件を普通さしていうのが通例でございます。
中尾辰義
291
○
中尾
辰義君 わかりました。
須藤五郎
292
○須藤
五郎
君 関連して一言聞いておきたいのですが、信託基金には限度があるのですか、限度がないのですか。
村井七郎
293
○
政府委員
(
村井七郎
君) 限度はございません。先ほどあると申しましたのは、第二のほうの特別基金の話でございます。これが払い込み済み資本の一割を限度として行なうというのが特別基金でございます。
須藤五郎
294
○須藤
五郎
君 それでは、信託基金には限度がないとするならば、今後
アメリカ
の資本が限度なしに
アジア開発銀行
に信託基金の形で入ってきて、そして
アメリカ
の指導力というものが絶大なものになるということじゃないですか。
村井七郎
295
○
政府委員
(
村井七郎
君) この
アジア開発銀行
の設立の趣旨は、やはり
アジア
的な性格を持たせる必要があるということが述べられておりますので、かりに信託基金の
金額
につきまして
各国
から申し込みがございましても、そういった
事情
を勘案いたしまして、これを受託するかどうかはもちろん銀行の裁決、裁量によることでございますので、ここら辺は行き過ぎがないように行なわれるであろうというふうに考えております。
須藤五郎
296
○須藤
五郎
君 あしたにします。
徳永正利
297
○
委員長
(
徳永正利
君) 両案に対する
質疑
は、きょうはこの程度にとどめます。 なお、次回の
委員会
は明二十五日(土曜日)午後一時よりとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十四分散会 —————・—————