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1966-05-26 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十六日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 日高 広為君                 藤田 正明君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 伊藤 五郎君                 植木 光教君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 栗原 祐幸君                 木暮武太夫君                 西郷吉之助君                 西田 信一君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 成瀬 幡治君                 野溝  勝君                 北條  浩君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君                 小林  章君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君        大蔵省証券局長  加治木俊道君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        法務省民事局第        四課長      味村  治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  それでは、公認会計士法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 野溝勝

    野溝勝君 すわって失礼ですが、数字上のことが出ますから、すわってこのままで質問いたします。  公認会計士法改正案に対しましては、大体了承ができます。前の国会におきましても、たびたび私は申し上げておいたのでございますが、いまのままでいくというと、粉飾決算というものがあり得るし、また続くと、こう思ったのです。ところが、御承知のごとく、山陽特殊鋼の問題であるとか、あるいは山一証券の問題であるとか、各方面粉飾決算の問題が起きまして、大蔵当局といたしましては、この情勢に対処するためにここに改正案が出されたと思うのであります。そもそも証券取引法有価証券届け出制による企業財務処理について公認会計士が的確な監査証明をなし、これにより投資家に対して正しい判断資料を提供して投資家保護しようとする、この点に重点を置きまして、改正案を出されたと思うのでございますけれども、これで粉飾決算が完全に解決するというふうに考えられて出されたのでありますか、まだまだこういう点には手を入れたいが現在の段階ではこの程度改正案でよいだろうという判断のもとに出されたのですか、その点をまず当局からお伺いしておきたいと思います。  なお、ここで申し上げておきますが、あなたが公認会計士協会長並び経団連の石坂君ですかを呼んで、今回の改正案に対する協力を求められたというが、どういう点を求められたのでありますか、あわせてこの際証券局長からお伺いしておきたいと思います。
  4. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) この粉飾経理が完全に一掃できるかどうかという問題は、単にまあ制度面だけの手当てではたしてそれが実効が得られるかどうか。まあ制度面においては、できるだけそういう意図をもって十分な、少なくともこの段階ではこの程度のことはいたしたいということで御審議願っているわけでございますけれども、やはり何といっても経営者自体自覚というものが先行しなければ、いかなる制度ができましても、現実の姿というものは完全に改善されるということは期待できないと思うのであります。経営者は株主に対する責任上、かりに何らのそういう制度がなくても、当然自己の経営している会社内容というものを、少なくともリスクキャピタルとして資本を提供してもらっている投資家には当然明らかにすべきだと思うのであります。幸いにしてといいますか、不幸にしてといいますか、最近の事態から、そういう意味での経営者自覚はかなり高まりつつあると思うのであります。しかし、まだ現在の段階で、それではたして全く粉飾経理という事実が一掃されているかどうかというと、十分確信をもってお答えすることができないのはたいへん残念でありますけれども、まあ大蔵省といたしましても、限られたスタッフでありますけれども、重点的な審査ということに行政の方向を指向いたしまして、単純な手続的なもの、まあ字句の問題等はほとんど不問に付する、実質的な内容審査、しかも、われわれは情報あるいは公表された資料を手がかりに、それを端緒にやっていくわけでありますが、こういうことでせっかく努力中でありまして、何がしかの効果は得られつつあるのではないかと思うのであります。そういう意味で、われわれは粉飾が一掃されることを期待しておりますが、はたして今度の公認会計士法改正案でただちにこの点が一掃されるかどうかは必ずしも自信がありません。全体の環境がそういう方向に向かうということと相まって、そういうことを期待はいたしております。  それから、先般、公認会計士協会、あるいは経団連当局のほうに申し入れましたのは、これまでいろいろこの粉飾の一掃といいますか、あるいは会社経理適正化ということでわれわれもやってまいったのでありますけれども、会社自体責任の所在を明らかにするためには、従来のように内容によっては一期程度は猶予して、粉飾処理するということに重点を置いた弾力的な運営をやってまいったのでありますが、今後は、かなり会社のほうの自覚も高まりましたので、あくまで会社及びこれの監査を担当する公認会計士責任において事を処理してもらい、もしも万が一にも不当な処理があった場合は、今後は法によって処置するつもりである、そういう趣旨のことを公認会計士及び商取法上の監査対象となります法人関係者に十分徹底していただきたいという趣旨の要請をいたしたのであります。
  5. 野溝勝

    野溝勝君 私はこういうことを前段においてお伺いしておきたい。というのは、証取法に基づいてできた公認会計士制度ですから、ここでちょっと証取法に関して聞いておきたい。その証取法にはまだ多くの疑問や問題点があるわけですね。私が言うまでもなく、新局長は御承知だと思うのですが、先般四十一年四月二十五日の財経詳報に見ると、あなたのほうの専門調査官宮内通雄君のバイカイに対する小論というものが出ておりますね。それを散見したんですが、そればかりでなく、多くの新聞や雑誌にも出ておりますが、このバイカイ問題、あるいはころがしの問題等が、まだ未解決ですね。環境条件一つとしての証券市場の諸問題は非常に複雑ですね。ですから、この複雑な事情がまだ解明されておらない際に、特に公認会計士制度だけを取り上げても、粉飾決算問題解決はなかなか容易でないと思うのです。でありますから、それらも十分考えた上にこういう改正案を出したのか、またそれもあらかじめ予見して出したのか、あるいは予見しておらなかったのか、その間の事情をひとつ御説明願いたいと思う。
  6. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 御質問趣旨を若干取り違えておったかと思うのでありますが、私は現在の段階での制度面改正というのは公認会計士法の問題に限定して申し上げたわけでありますが、おっしゃるとおり、資本市場の健全な発展ということは、当然、発行企業である企業経理適正ということ、内容の公開、それから公認会計士の厳正な監査ということは一つの重要な条件でありますが、資本市場全体の健全な発展ということは、これだけでは決して十分であるとは考えておりません。したがって、流通市場における取引の公正さ、いま御指摘のありましたバイカイ等を含めて、ぜひともこれはできるだけ早い機会にわれわれとしても公正な結論を得たい。なお、証取法上、公認会計士業務、あるいは会社届け出、あるいは報告、手続、あるいはこれに対する処理のしかたについては、なお検討の余地があると思います。その面についても、なお十分できるだけ近いうちに結論を得て、もし法律改正を必要とする場合には、ぜひとも御審議願いたい、かように考えております。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 局長答弁から見て、当局としても深刻に考えておられるようでございますから、私はこれ以上この問題に関しては質問をいたしませんが、こういういま申したようなことを真剣に考えていかないと、公認会計士法改正しただけでは、肝心なところには手が届かぬと言えましょう。先ほど前段におきまして、企業家事業家実業界反省も必要だということを局長から言われましたが、それとうらはらの問題になっておりますから、こういう点は十分御留意を願いたい。私としては近い機会証取法の第二次改正を必要だと思っています。ただいまの局長見解によりまして、大臣も同じ見解を持っておるというならば、この問題については、それで一応やめたいと思いますが、大臣の所見をこの際ひとつ聞いておきたい。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま証券局長から野溝先生にお答えした要旨を伺ったのですが、私も同様に考えております。適正をあらゆる手段によって期する、こういう方向でやっていきたい、かように思います。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連して。実際問題として、この不当経理が出てまいりました原因については、証券取引所の第二部の上場の問題に非常に関連があると思うのですが、それは証券局長、よく御存じじゃないかと思うのですね。たとえば山一にしましても、あの第二部の上場について非常に無理したわけですね。それが山一の倒産に関連があり、それがまた一番大きい原因ですね。御調査になればわかります。大蔵省から資料をいただきましたが、結局あの第二部の上場について山一が非常に無理をした、そこに一つ問題があるわけですね。また、これは政府中小企業育成政策としまして、この自由段階に入って見込みのある中小企業については増資をさして、そうして第二部に上場さして、そうしてそれを育成するという方針をとったのですよ。しかし、これに非常に無理があったと思う。ですから、この不当経理の問題をだんだん検討してまいりますと、その他にいろいろ原因はありますけれども、一番大きな原因は、第二部の上場の問題と非常に関連があるのです。無理して第二部に上場する、そういうことをやったと思うのです。山一がまたその中心になってこれをやったので、それで山一に非常に無理が来ている。その他に山一不当経理はたくさんありますよ。そればかりでなく、山一経理を私は見まして、内容を見て驚いたのですが、あんな乱脈な経理をしているところはありませんよ。その中で一番山一に打撃を与えたのは、第二部の上場関連しての問題です。そういう点を十分に検討しませんと、ですから、今後第二部の上場の問題と関連して、ことに第二部上場会社に非常に問題があると思うのですね。無理があるのじゃないかと思います。そういう点についてやはりもっと現実に即した検討をする必要があるのじゃないかと思うわけです。こういう法制的な整備もさることながら、これだけではとても直るものじゃないと思いますが、その点について、一点だけ関連質問ですから伺っておきたいと思います。今後どういうふうにその点について具体的に措置されるか。
  10. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) まあ具体的な証券会社内容については、ひとつごかんべん願いたいと思いますが、第二部問題がいろいろな意味で問題があったことは否定できないと思うのであります。ただ、中小企業に対しても、できるだけ広く国民からの資本参加機会を与えるという意味で、比較的小さい資本金会社でも取引所上場の道を与えようというのがいまの制度趣旨でございます。したがいまして、この辺はなかなかむずかしいところであります。投資家サイド重点を置きますと、できるだけ水準の高いものに限定すべきじゃないかということになりますし、一方、企業サイド資本調達の道をできるだけ広く開放すべきじゃないかという観点に立ちますと、これは小さい資本金、小さい企業であっても、限度はあるにしましても、そういう制度を利用させるべきじゃないかということで、むしろいま申し上げましたような観点から、第二部上場制度は一応現在のようなことになっております。しかし、この上場基準をいまここで改めるかどうかということは、いま申し上げましたような両方の観点がございますので、十分慎重に検討して定めなくてはなりませんので、いまの段階結論を持っておりません。しかし、問題があるということはわれわれは十分承知いたしておりますので、できるだけ御趣旨の線に沿って検討してみたいと思いますが、しかし、いかに上場基準改正いたしましても、いま問題となります経理公正——経理の公正ということは常に黒字であれということを言っているわけではありません。かりに赤字があれば、赤字であるということの実態を明らかにした上で、投資家判断によって資本を提供してもらう、こういうことであります。あの当時、非常に先行き、ことに中小企業の場合は大きな利益が期待できるような業態の場合があるわけであります。その辺の判断を間違ったというような面もあるかと思いますが、いずれにしましても、会社経理の公正、これを公開するという面においては、小なりといえども当然徹底さしていかなければならない、かように考えております。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 大臣にひとつお伺いしたいと思います。この改正案は前進という意味においてわれわれは了承をしておるのでございますが、大臣粉飾決算問題については非常に心配されまして、厳重な警告を出したことも聞いておりますし、また、部下にそれぞれ督励をしていることも聞いておりますけれども、私はあなた方の自民党内閣は何か一貫しておらぬような気がするですね。大体粉飾決算の問題は、公認会計士制度上の欠陥を埋めて、それだけで済むものではない。この点は、先ほど局長も総合的に答弁をされたのでございますが、しかし、私は大臣に聞いておきたいのは、これは池田さんにも責任があるんですね、実際は。この際あまりそういうことは言いたくないんだけれども、高度経済成長でどんどんやって、いまの木村さんのお話じゃないけれども、第二部市場までも設けさして、何というか、先の見通しは、経済のことはおれにまかしておけなんといって胸をぱんとたたいて、まかしたところが……。ところで、池田さんも自民党総裁だった。いまの佐藤さんも総裁だ。自民党政策失敗ということだが、それを今日ここであまり言うと大臣としても答弁にいろいろ困るから、私は言わぬが、昔なら、内閣はやめちゃったな、責任内閣としては。しかし、そんなことをここで言ってみても始まらぬから、私は言わぬが、しかし、こういう点は、大臣、真剣に考えたほうがよいと思う。だから、前にやってみた高度経済成長政策失敗は、強く政策の中に反省されて出てとなければならぬと思うのです。ところが、その反省のしかたが部分的なんだな。それでは、根本的に目的としておるところの投資家擁護であるとか企業健全財政とかいうようなことは、ことばのようにはいかないと思うのです。  そこで、大臣にお聞きしたいのは、今回の公認会計士法改正だけによって、いまの資本主義経済における企業粉飾決算という問題が解決するかどうかということなんだな。実業界会社、そういうのがこの公認会計士制度改正と見合って反省ある態度・経営を示さなければならぬね。そこで、きょうは時間の関係もありますから、あまり申しませんが、たとえば山一証券の再建の動きを見ると、あれは富士とか三菱とか関係銀行が、結局のところよけいに負担を背負い込むというような点もあるのだね。大きな社会経済問題として、最後までたたるわけだ。こういう点から見ると、ものの根本的な解決はとてもこの公認会計士制度の手直しだけではなかなか困難だと思うのですよ。だから、これはやはり事業家反省をほんとうにしなければならぬが、その点を先ほど証券局長に聞いたのですが、証券局長は先般、経団連会長会計士協会会長に厳重な通達をした、それはいいことでありますが、大臣、その通達の中身はよく御存じだと思うが、あなた自身どういうふうに考えておられるか。実業界財界ですね、その方面に対する見解をひとつお聞きしておきたい。ここでそれを表明しておいていただけば、この公認会計士法改正法の実施についても非常に、何といいますか、なめらかにいくと思うのですがね。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まことにごもっともな御意見と思います。私は、会計士法改正にとどまらない、あらゆる角度から企業家があなたのおっしゃられるように反省していただきたい、かように存ずる次第であります。まあ、幾ら施策が行なわれましても、企業家受け入れ態勢というものが整わない限り、これは実効をあげることはとうてい不可能である、私はそういうふうに思いまして、きのうも実は経団連の総会がありまして、私にもあいさつをせい、こういうことでありましたので、そういう趣旨のことをお願い申し上げたわけですが、財界でもそういう気分が相当出てきておるわけであります。それがただ単に気分というだけではいけない、やはり実のあるものにならなければならぬ、こういうふうに存じまして、私としてはしつこくこれを財界に要請し、お願いをいたしておる、こういうことでございます。御趣旨方向で今後もでき得る限りの努力をしていきたい、かように考えております。
  13. 野溝勝

    野溝勝君 非常に大臣決意はけっこうなんですが、その決意を実行に移すことは、あなた方の立場としてはなかなか容易でないと私は思うのです。日本財界事業家はあの朝鮮動乱以来非常な利益を受けたのでありますが、いわばそれを野放しにしてまいったのが今日の不況を招いているとも言えるのですから、今度それに対して規制するという、あるいは経営について厳重な警告をするというようなことになると、気分としては相当の抵抗があると思うのですよ。しかし、それをひとつやり切るのが、やはり福田さんの任務だと思うね。それは結局、私は財界だってまじめな人にはいいと思うのですよ。不健全なやり方や思惑をあまりやろうとする人には、まことに都合が悪いと思う。しかし、そういうことじゃ今後国際経済の上でもやっていけるものではない。ですから、そういう点はひとつ大臣から、十分腹をきめて、まあ警告なり、忠告なり、反省なりをしてもらうように努力をされることがいいと思うのです。  次に、私がお聞きしたいと思うのは、大臣、どうですか、今度の改正案については憲法上少し疑義があると思うのですが。たとえば職業に対しては選択の自由、言論あるいは表現、結社、思想、宗教等に対しては自由だ、憲法上は。ところが、これを見るというと、今度の法案の中には強制加入になっておりますがね、その点は一体どういうふうに解釈されたのですか、憲法上の疑義について。これは大臣からひとつ答弁を願いたい。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、いま憲法論を伺うのは初めてなんでありますが、つまりこういうことは間々あることなんで、その間々あることがなぜ許されるかというと、憲法論といたしましては、公共福祉、こういうことであります。経済界の秩序を維持し、経済界運営を誤らしめず、また大衆の利益も保全する、これはまさに私は憲法のいう公共利益というものに合致する、そういうことを考えるわけであります。憲法に抵触するというふうには考えておりません。
  15. 野溝勝

    野溝勝君 証券局長、あなたは実際に事務に当たられるのだから、あなた自身どういう解釈を持っているか、ひとつ聞いておきたい。
  16. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 強制加入の点は、そういう意味では法制局においても十分審議していただいたのでありますが、他に先例もありますし、ただいま大臣から答弁いたしましたように、公共福祉という範囲の、かなり公共性の高い——一般投資家保護ということは、新しい戦後の経済運営においてはきわめて重要な課題であると思うのでありますが、そういう意味憲法上抵触しないという判断のもとに法案を作成いたしたわけであります。
  17. 野溝勝

    野溝勝君 では、その点についてはこれでとどめ、次に移ります。  おもに事務当局のほうからお答えを願いたいと思いますが、公認会計士制度に関しましては、私は、近代国家を形成する上におきましては、これは資本主義社会であろうと社会主義社会であろうと、こうした機関は絶対的に必要だと思っています。昔のように大福帳的なやり方は許されぬことでございます。当然だと思うのでございますが、私は本委員会会計士に関する法案が出るたびに質疑をしておるのでございますが、だんだんと改まってきたわけでございますが、大体こういう複雑多岐になってまいりますると、公認会計士制度というものは証取法に基づいた会計士制度というだけでいいでしょうか。これはきょうの問題でなくても、私は真剣に考えなきゃならぬと思う。たまたま長年主張してきたことが衆議院において附帯決議となってあらわれておりますし、また本委員会においても相当問題になると思うのでございますが、一億円以上の会社に対する監査報告が必要だというようなことでは、これは日本経済事情からいいまして、これだけではもの足らないのです。たとえば、最近におきまして学校法人の問題があり、あるいは市町村の問題があり、あるいは農協等、いうならば公共性の高い財務にはいろいろ問題があり、山積しています。そういう問題に対して政府は、どこの主管か知りませんけれども、これらの問題は農林省にも関係があり、あるいは文部省にも関係がありますけれども、一応一貫せる監査制度を確立することが必要だということを私は申してきたのですが、今回はそういう点に触れておりませんけれども、先ほどあなたがバイカイ問題やころがしの問題についても総合的に検討をするということを言われましたけれども、この点に関しましては長い間私は力説してきた。ようやく附帯決議としてここに出ることになりましたけれども、こういう点に対しては、ちょうど大臣がおる際に、ひとつ当の証券局長からその見解をお聞きしておきたいと思うのです。
  18. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 大蔵省所管事項といたしましては、この資本市場の健全な発展という一環で、この問題がわれわれの所管になっておるわけであります。一般投資家保護、不特定多数からかなり大量の資金を集める場合、会社経理内容というものを明らかにすべきじゃないか、そのためには公認会計士の厳正な監査を受けるべきではないか、そういう意味公共利益を守るためにこういう制度を今回強化しようと考えておるわけでありますけれども、先生の御指摘の点、さらにこの別個の公共的な——単に投資家保全という観点からでなく、一般的な公共的な関心を当然に強く持たれるべき、そういう何といいますか、法人といいますか、そういうものについても監査の厳正ということを期するためには公認会計士会計監査を受くべきではないかということでございますが、この点は大蔵省でその政策自体をきめる立場にございませんので、私限りで答弁できないのでありますが、公認会計士は何も証取法監査しかできないという能力を持っているものではございません。そういう意味から考えますと、できるだけそういう利益の確保、われわれと違った観点公共利益でありますが、せっかく公認会計士という制度があるのでございますから、できるだけそういう場合にも公認会計士というものの制度を活用してもらいたい。この点ははっきりわれわれは申し上げることができます。
  19. 野溝勝

    野溝勝君 いや、活用するということにもいろいろと意味があるのでございますが、私の言うのは、この制度証取法とうらはらの問題で出ている法律案資本市場の育成ということで、それはわかっております。しかし、いま申したように、公共性の強い諸団体があるわけですよ。それが非常な問題を起こしているわけですね、今日まで。しかし、その内容を見ると、みな自己流なんですね、会計監査が。それで、こういう一つの厳重な規制のもとにできているこの公認会計士制度というものを、範囲を広めて、もっと国家がこの制度をそうした方面に適用するように考えたことがあるか、また考えておるかということを聞いたのです。また、将来考えていかなければならぬ問題だと思うが、この問題は私は長年叫び続けてきたのですが、それが今回ようやく、衆議院においても附帯決議がついておりますが、当然なことだと思うのです。これに対する主務官庁であるとか、主管庁の権限であるとかないとかいうことではなくて、財政金融はあなたのほうが中心なんですからね、こういう点を国全体の将来から考えてどうとかしなければならぬという考えを持っておるか、その点を、あなたから答弁できなければ、大臣が幸いいるのでございますから、私は希望と努力方向をあなたたちからお聞きすれば、いいですよ。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 野溝先生のお話、御趣旨は私どももそう考えているのです。いまよく問題になりますのは、学校法人を一体どうするのだ、こういうことがいわれる。これは先生のお話のような御趣旨で、前向きに検討しようと思っております。それから、金融機関は一体どうするのだという議論があります。これは大蔵省に相当整備された検査機能があります。これは公認会計士よりおそらく徹底した調査をいたしておるわけであります。ここまで及ぼすのは一体どうだろうか、これは二重行為になりはしないか、そんなような感じを持っています。しかし、この公認会計士制度の考え方が、これはできるだけ多数のものにその機能を及ぼして、そして公共福祉を守るということにしなければなりませんので、なお先生の御趣旨のようなことで具体的には当たってみる、かような考え方であります。
  21. 野溝勝

    野溝勝君 私がこういうことを聞くのは、必ずそういう時代が、おそかれ早かれ来なければならぬと思っているからです。特に法人格を備えた公認会計士法改正法案が出たのですから、やはりそれをつくった以上は、当局としてはその制度を有効に活用しなければならぬと思うのですよ。ですから、そういうことを私は言うのですが、ただいま大臣が前向きの姿勢で至急に検討しようということでございますから、私は大臣を信頼いたしまして、特に希望をし、お願いをいたしておくものであります。  次に、こまかい問題でございますが、今回の会計士法改正法案の中で問題になるのは、審査会の答申関係資料を見ますると、公認会計士の証取監査の担当会社別状況を見たのですが、十社以上の担当者が四十二名ある。この責任者の監査実態には、私は大きな疑問を持っておるのです。大蔵省の別の資料公認会計士証取法監査の実施状況によると、一会社当たり証取法監査監査責任従事者数は一・四人、同延べ日数は二十六・三日になっていますが、これは間違いありませんか。
  22. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 大体そういうことになっております。
  23. 野溝勝

    野溝勝君 したがって、十社以上の担当者の証取監査について、その適否に関しまして私は大きな疑問を持つのです。特に二十社あるいは四十社となると、中には人為的に全く不可能なものがあろうと思わざるを得ない。こういう点に関しまして深く検討をされておったのでございますか。
  24. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 監査の実態といいますか、監査体制というものを充実強化しなければならない、その意味で、現実にいま日本で行なわれている平均的な監査程度というものを、はたしてそれで十分と考えているのかどうかということは、必ずしもわれわれはこれで十分だという感じは持っておりません。ただ、個々の公認会計士、これは監査責任者といいますか、主任となります公認会計士のほかに、監査補助者を使う場合、特に多数の会社を手がけているそういう公認会計士は、そういう場合が多いのであります。したがいまして、そのスタッフ全体の能力でこなす場合もありますので、担当会社数が多いから監査内容が薄弱になるということは、一がいには言えないと思います。
  25. 野溝勝

    野溝勝君 その点が、私は疑問を持つのです。同じく大蔵省資料を調べたのですが、資本金別に、五百億円以上、百億円以上、五十億円以上、十億円以上、五億円以上まで、あなたのほうからもらった調査資料について見てみました。五百億円以上のは二十社ぐらいあるでしょう。全国で。この資料によりますと、監査従事者延べ数は、責任者が六人、補助者が十一人、一社当たり責任者一・二人、補助者が二・二人、監査延べ日数は、責任者が百五十七日、補助者の延べ日数が二百五十九日、この会社平均監査延べ日数は、責任者で三十一・四日、補助者が五十一・八日、次に一会社一人平均の監査日数は、責任者が二十六・二日、補助者が二十三・五日となっています。これについて若いまじめな中堅的な公認会計士の方々からいろいろ意見を聞いてみました。そうすると、五百億円以上の会社監査をきちんとやるには一千日もかかるのではないか、ほんとうの監査をやろうとすれば、こんな日数ではできないだろうというのです。ところが、大蔵省の数字資料では、何と一社平均監査の延べ日数は、責任者と補助者を合わせまして八十三日ですね。これは中堅的なまじめな会計士の人々から聞くというと、とても奇術師ででもなければできないと言っておるのですが、この問題はどういうものでしょう、ひとつ。
  26. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 数字の上から見ました限りにおいては、私も全くそういう感じを持っております。これはしかし、全体をサムアップしておりますから、全体を集計してやっておりますから、あるいは個々の会社の中には十分な監査をしているところがあるのではないかと思うのでありますが、しかし逆に、この全体の平均がそういうことで、ある特定の会社にたとえば千日以上の監査日数をかけているということになりますと、非常に監査の十分行なわれていない会社があるということになるかと思うのであります。まあ監査というものがどの程度のエネルギーというか、労力を使うものであるか、またどの程度の労力なりエネルギーを使えば責任ある監査ができるものか、会社内容、業務内容等によってもいろいろ差があると思います。十分われわれのほうもそういう問題についても検討いたしまして、これはあくまでこの当事者同士の契約ベースで、また当事者同士の責任において処理されておるわけでありますから、この会社は何日以上やらなければならないということを一律にこちらから規制することはなかなかむずかしいと思いますが、今度公認会計士協会も特殊法人化されますし、また公認会計士の地位も、監査法人あるいは公認会計士協会の特殊法人化によって総体的に上がっていくと思うのであります。そうすれば、公認会計士責任ある監査をするために必要な日数は、会社に対してもかなり強い立場で臨むことができるようなことも期待できるのではないかと思うのであります。いずれにしましても、この数字の上から、私も先生と全く同じような感じを持っております。
  27. 野溝勝

    野溝勝君 局長は今後に非常に期待しておるらしいのでございますが、私はこういう点を非常に心配しておるのです。たとえば、法人格を今度は持つ。その場合——前の公認会計士協会の方々が悪いとか間違っておるとか、私はこう言うのではありませんけれども、前の公認会計士協会にいる執行部の方々でも、ただいま申したような大きな会社を幾つもやっておる人がおるのですね。そういう方々はやっぱりいままで奇術的操作でやっていたわけなんでございますが、そういう点について反省をされたのか。そういう反省がなくてこれを是認したというか、賛成したということになると、私はふに落ちないのですよ。と申すのは、いまの協会の三役、常任理事の証取監査の実施状況で見ると、証取監査の相当会社数は、最高が十七社、最低が一社です。その平均が三・二社です。この十七社担当などについては、いままでルーズな監査をやってきたのではないかという疑いを持たざるを得ないのでございますが、とにかく奇術的操作が今後特殊法人となった場合に実際にあってはいけない。この点どうでしょう。
  28. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) まあ監査体制の充実強化という意味で、先般、監査実施準則、監査報告準則等を改めまして、これからはたとえば関連会社がある場合にはその会社に直接行って調べると、それからたなおろし資産等は必ず現実に立ち会う、あるいは重要な債権債務関係は相手方についても確認すると、こういった体制強化をいまはかっております。したがいまして、今後は新しいこの準則に従った監査をするためには、従来以上の日数をかけざるを得ないようなことになると思いますが、これはもちろんその会社自身経理なりあるいは会社自身監査体制がどういうふうになっているかというようなこと、まあそれをどの程度信頼するかというようなことで、具体的には一がいには言えませんけれども、当然、全般としては、監査体制の充実強化に従いまして監査日数等も延ばさざるを得ない、当然またそういう方向にいくであろうということを期待いたしておりますし、先ほど申し上げましたように、ややともすると公認会計士側の立場が必ずしも貫かれない、相対的な地位の関係でですね。この辺が今度の法改正によってかなり改善される。そういう意味で、公認会計士としても責任ある監査をするために、その点について十分自己の主張を通しながら、監査日数等もふやして適正監査を行なう、こういうことになるのではないかと考えております。
  29. 野溝勝

    野溝勝君 私は、先ほど証取監査の実施状況を一部申したのでございますが、いま局長の言われるのは非常に筋の通ったお話でございますが、実際問題として私は先ほどの数字を示したのですがね、なお、協会のほうを調べてみますると、会長が七社持っている。でかいのを七社。それから、副会長が四社、常務理事で七社というのがある。法改正後は、実際に協会の仕事も相当になりましょう。要するに、いろいろと書類の関係や各会計事務所から来るのをいろいろ点検といいますかしなければならぬ。そこで、いまのような状態は好ましいものではない。まあこれはこれとして、先ほど申したとおり、五百億以上の会社の一社の監査日数が一千日かかるという想定からいうと、補助者を幾ら入れましても、なかなかできるものではないと思うのですが、まあこういう点から先ほどの質問をしたのですがね。そういう点はどうなんですか。私はむしろこの際特殊法人にして、仕事を有機的、円滑に運ばせるには、もっとかゆいところに手の届いた注意なりが必要ではないかと思うのですがね。あとでうまくいかなかった、失敗だった、また反省をして、また法律改正案だというようなことではどうかと思うのですがね。実際にもう数字の上でできないこととわかっておるのですからね。ですから、こういう点は改められなければならない。この公認会計士法は国際的にも見劣りしない、パートナーシップをとっているアメリカなどにも負けないような意味で、日本の特殊性を生かしてつくったのですから、その御労苦を私は感謝しますよ。しかし、その御労苦に報いることの裏づけがなければならぬと思うのですね。そういう点において非常に私はしろうとながら心配しておるのでございますが、それはどうなんですかね。
  30. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 全く同感でございます。できるだけ御趣旨方向に沿って努力いたしたいと思います。大蔵省には監査会社届け出書、報告書等が参りますので、その審査等を通じて間接的に誘導することもできましょうが、やはり受け入れ側である被監査会社がいたずらに監査報酬を十分な監査報酬だとは必ずしも私は思っておりませんけれども、日数がかかるとよけい費用がかかるわけです。そういった点からこれをきらうというようなことがあるいはあるかもしれません。この辺も十分協力しといいますか、当然のことでありますけれども、理解してもらう。それから、公認会計士のほうも責任ある督査ができるためには良心を持って必要な日数は取るというような、あるいは必要な補助者等を使う、そしてそれをあくまで被監査側である会社に主張できる、これを協会としてはバックアップしてやる、こういったようなことで御趣旨方向に持っていくことはできるのじゃないかと思います。
  31. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、さっき局長にお伺いしましたとおり、あなたが法律改正にあたって協会長及び経団連会長警告といいましょうか、示達した中に、そういう趣旨がどの程度まで話されたか、こういうようなことも私は心配ですからね。たとえば公認会計士がそう思いましても、受け入れ側のほうでいろいろとまたあれがあります。いまの財政関係もありますし、まあ好ききらいがあるから。好ききらいがあるということは、やっぱりどこか疑問と不信を持たれるのだがね。そういうことが明るみで、ガラス張りでやるということになれば、私は大蔵省あたりが相当この制度を生かすために、具体的に言いますと、会社側にも、前の人でなくちゃならぬということもないし、またこんなことをやって紛飾決算でも起こしたらいかぬから、人をこれぐらいにしろと。それからまた、公認会計士協会のほうには、たとえば、たくさん担当会社を持っておる人に対しては、実際においてできないことを無理しておるというと、またそこから問題が起こってくるから、これを適正に配分といいましょうか、これぐらいにしてはどうかというぐらいのことは、せっかく公認会計士法改正法を出して粉飾決算を押えようというときでございますから、あなた方はこういうことについて配慮するかどうかということをお聞きし、また、配慮がなければ、配慮をしてしかるべきものではないかと思うのです。これは当局の身になって私は質問しておるのでございますが、この点はどうでございますか。
  32. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 全く同様に考えております。ただ、これはあくまでたてまえは被監査会社公認会計士の契約ベースの問題でございますから、われわれのほうで権力をもって介入できる筋合いのものじゃないと思います。しかし、現実にせっかくの制度ができておるにもかかわらず適正監査が行なわれないということがあっては、これは何ら意味をなさないわけであります。十分御趣旨のような配慮はいたしてまいりたい。できること——まあできないこともございますけれども、微妙な問題もあるのでございますが、たとえば、今度公認会計士協会を特殊法人化しますと、かりに適正監査をしようと思ったがために会社側とトラブルが起きるということがある場合には、協会でその問題を取り上げてもらうというようなことにしております。協会としては全員加入でございますから、その処理いかんによっては、会社側もいままでのようには無理無体な要求はできなくなるということも期待できるのではないかと思っております。
  33. 野溝勝

    野溝勝君 時間がもうありませんので、深い質問はいたしませんが、最後にもう一つ私はお伺いしておきたいと思います。公認会計士に対しては強い規制があることになっておりますが、先ほどから申し上げましたとおり、公認会計士だけ規制をしてもあれだから、会社のほうでも十分その点は考えてもらいたいということを、これは当局として言うことは絶対必要ですね。お互いがやはり間違いを起こさぬようにしてやっていくべきですから、そこら辺はひとつ配慮してもらうということにして……。  それから、これは本改正案についてではありませんが、さきの国会での質疑当局に示してきた私の意見などをいれて、試験に関して改善がなされております。試験制度の問題についてはいろいろと意見がございましたが、その後改正されまして、当局がこまかい配慮をしておりまして、これは受験者としては非常に明るくなってまいりました。自分の試験結果がどうであったのかわからぬでは、実際将来ある者としては希望を失うのでございます。どこに一体失敗があって、どこに欠陥があって、筆記試験においてどこに失敗があって、欠陥があって、口述試験——口述試験のことはわからぬけれども、まあそういう点をとにかく今回は明確にしてもらって、この点を明らかにしてもらったので、受験者は非常に喜んでいます。まあこの点は非常によい点だ。私の申し上げることは、ここまで配慮しておったにかかわらず、長い間私の力説しておったインターン制度の問題について触れておらないのでございますけれども、インターン制度について、これほど高級な高度な知性のある後輩を養成するのに、司法試験や他の医学方面のインターンよりは、給料の点においても資格の点においても非常に差別があり過ぎるのですね。せっかく監査の業務を充実していこうというのに、そのときに触れてないのは少しおかしいのだが、検討してみたことがあるかね、またどうしようというのだね、この点を聞いて私は質問を打ち切ります。
  34. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 非常に重要な御質問でございます。制度の基本にも触れる問題でございますので、ぜひこの際再検討して、適正結論を得たいと思います。まだ結論を得るまでに至っておりません。関係方面とも十分相談して真剣に取り組みたい、かように考えております。
  35. 野溝勝

    野溝勝君 大臣、ただいまの証券局長のお答えのとおり解釈してよろしゅうございますか。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さよう御了承願います。
  37. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、実は大臣に金融関係の問題、いろんな問題についてお尋ねしたかったわけですが、そういう問題はあと回しにして、簡単に公認会計士のことについてお尋ねしておきたいと思います。  その前に、商法の四百八十九条ですか、会社の財産を危うくすること、これについていままで一体、粉飾決算とからんでまいりますが、告発というか、起訴された件数がどのくらいありますか。
  38. 味村治

    説明員(味村治君) ただいまお尋ねの件でございますが、実は私、御質問の問題は刑事局の関係でございまして、私ちょっと手元に資料を持っておりませんので、お答え申し上げかねる点でございます、刑事局の関係でございまして。
  39. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あのね、まあそれじゃ何件といってはっきりした件数じゃなくてもいいんですが、こういう法律が確かにあることはあるわけです。そして粉飾決算というものがやかましくなってきたわけですが、最近ですね、起訴されたのは私も承知をしておりますけれども、どうもそれまではあまり問題になっていなかったように記憶しているんですがね、どうなんでしょうか。
  40. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 私のほうは所管証取法でございますので、証取法違反について、起訴といいますか、告発した事例があるわけであります。それはいずれも起訴になりまして、同時にいま御指摘の商法違反ということで起訴されております。それ以外にですね、証取法関係なくそういう起訴がどの程度行なわれているかは、私つまびらかにいたしませんが、私のほうとの関連だけで取り上げますと、起訴された事例はごく最近の二件だけになっております。
  41. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 少なくともですね、大衆の、何というんですか、資金を擁護するということが大事なんです。それをずうっとやってくると、証取法によって今度の改正でなお前進した形になりますけれども、公認会計士協会が特殊法人になっておりますね。より大衆の投資を擁護する、こういうことになってくると、理屈はそうなると思います。しかし、間々いままでのように粉飾決算というものは行なわれてきた。あまりなかったかもしれない、いままでは。あるいは、あったけれども、それが見過ごされていって、そして会社がいつかは立ち直ってきたり、あるいはうまいことしたのがそのまま口をぬぐって過ぎてしまったかもしれない。  そこで、私は、今度のこういう改正とからんで、いわゆる商法の改正証取法とからんで商法の改正というものが大きな問題になってまいると思いますが、そういうようなことについて法務当局と、あるいは通産省も関係してくると思いますけれども、そういうほうと打ち合わされて、どんなふうになっておりますか。
  42. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 商法のほうは法制審議会で、単にわれわれとの関連する問題だけでなく、広く取り上げておられると思うんでありますが、私のほうは私のほうなりに証取法——証取法といいますか、証取監査関連して、会社経理適正化をはかる見地から、商法サイドにおいても一つ考えていただきたいということは御要望申し上げております。   〔委員長退席、理事藤田正明君着席〕 しかし、商法の問題になりますと、単にわれわれのサイドからだけでは結論が出せない問題もありましょうから、このあと、今後といえども、十分その辺は関係当局と御協議申し上げながら、できるだけわれわれのサイドからの趣旨を実現できるようにわれわれとしては努力していきたいと思います。しかし、これは直ちに商法で取り上げなければならない問題ばかりでもない。先ほど野溝先生の御質問の際にもお答えしたんでありますが、たとえば証取法届け出報告あるいは決算について、これは商法との関連がありますからなかなかむずかしい点もありますけれども、証取法限りでできる面もあるかもしれないと思うので、その点はただいま審議会で取り上げて検討していただいております。
  43. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、野溝さんが先ほど非常にむずかしい問題であろうと、そして大臣等も御答弁になっておって、今度は監査を受けるほうの会社自体と申しますか、経営者自体のほうが非常に問題だと、こういう話をされて、そういうことに今後も努力しよう、大蔵省はそういう方向にあるんだと。   〔理事藤田正明君退席、委員長着席〕 こういう方向にあるとするならば、当然証取法なりあるいは商法の改正なんかにも重大な関心が払われておる。しかも、その中で商法の四百八十九条なら四百八十九条違反で問われたものがどのくらい過去にあって、どうなんだと、そして監査制度というようなものはどうなっていかなくちゃならぬとか、そういうようなことについて一応の結論をここで言うというのは重大かもしれませんけれども、そういうようなことについては調査なりあるいは相当な討論が実は行なわれておるものと期待をしておったのです。ところが、いまお聞きしますと、どうもしておっても、まだやっておる段階であるから、影響が重大であるから話はされぬというのか、それとも、やっておみえにならぬというのか、その辺のところ、ちょっと判断をしかねたから、お聞きをしたわけですけれども、そこで、どういうふうに、今後こういう問題については積極的に、私は大蔵省としては当然意見を法制審議会なら法制審議会に反映される、あるいは大蔵当局としては証取法改正等にも取り組んでいかれる、そういう姿勢でなくちゃならぬと思いますが、そういうようなことはどうなりますか。
  44. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 仰せのとおりに考えております。
  45. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それから、公認会計士の試験というのは非常にむずかしいものでございますが、実際試験に合格した者が、まあ仕事をどのくらいやっておるかというと、この間名古屋でちょっと話を聞いてみたら、公認会計士としての資格のある人の約二割が、実際この公認会計士としての仕事をやっておるけれども、あとの八割は大体税理士さんを兼ねておって、税理士さんのほうの収入で大体やっておられると、こういうことなんですね。そうすると、東京、大阪、名古屋、福岡、あるいはその辺にかたまっておるわけですが、他の地域は私は推して知るべしだと思うのです。そこで、公認会計士さんの仕事をふやすというのもおかしいことでございますけれども、少なくともそれだけのものがあるとするなら、もう少し職域というようなことも、なるほどいまは資本金と第二上場ということで制限ございますけれども、もう少しやってもいいじゃないか。たとえば、野溝さんが触れたように、国全体のものとして監査制度というものが確立される方向が好ましいじゃないか。なるほど、自由企業であるから、片一方は経営者に全部まかしたらいいじゃないかというけれども、片方では、たとえば国からもある程度の金が出たり、あるいは一般大衆からも金というものが出ておるのですから、そういうものももう少し、何というのですか、公認会計士制度がありますから、そういう監査制度というものをより活用をしていくというようなことについてはどういうふうにお考えになるとともに、今後そういうことについては積極的に行政指導をやられるのかどうか。
  46. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 全く同感でございます。できるだけ——まあ職域を広めるについては、他の法制との関係もございますが、われわれとしては、先ほど大臣答弁もありましたように、関係方面にも積極的に働きかけて、これを活用してもらうということをしたいと思います。それから監査の密度を高める。これは監査報酬、必ずしもその報酬だけが仕事の内容を規定するものではございませんけれども、やはり適正な報酬が払われて社会的な評価も受けるということであれば、優秀な人材も集まるということに私はなると思います。幸いにして、非常に最近は社会的にも評価されておりますし、また、受け入れ側である会社側も、この点はかなり自覚が高まっておりますので、そういう点と相まって、仰せのような方向に参ると思いますが、われわれとしてもできるだけの努力はいたしたいと思います。
  47. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 適正監査基準を設定するというのですか、これから設けよう、こういうようなことになっておりますが、これは一体公認会計士の特殊法人が出発しますと、その中だけできめられるものか、それには当然今度は監査を受けるほうの側の人たちまでも入れて、大蔵省も入って、そしてそういうものを決定されようとするのか、これはどんなふうになっておりますか。
  48. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) この監査実施準則あるいは監査報告準則というものがございます。そういう意味でならば、われわれの所管でございますから、審議会にはかって最近所要の改正をいたしたわけでございます。あれで十分かどうか、今後また検討いたしますが、あるいは先生のは、たとえば監査日数をどの程度にすべきじゃないかとか、また監査報酬をある程度高めるべきじゃないかというような問題ではないかと思いますが、この辺はできるだけ、基本はあくまで契約ベースの問題でございますから、せっかく特殊法人化された全員加入の協会ができるわけでありますから、協会と経団連との間で話し合っていただいたほうが適当だと思います。われわれは側面的にいろいろこれを援助することはいたしますけれども、できるだけそういう方向努力をしていただきたい、かように考えております。しかし、われわれとしては、できることは側面的には援助をいたします。
  49. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 最後に。資本の自由化を控えまして、アメリカ資本なりあるいは諸外国の資本日本に入ってきて、いろいろな問題が出てまいります。アメリカは日本監査じゃどうもいかぬ、公認会計士監査じゃだめだ、アメリカ自身でやらなければだめだ、こういうようなことに非常にいろんな問題が出てくると思う。そのような問題の一つは、公認会計士さん自身の地位を確立しなければならぬとともに、日本監査制度というものが確立されて非常にりっぱなものだということが対外的な信用の問題にもからんでくると思うのです。そういう問題の中に、やはりその地位の向上にからんで、公認会計士協会自身が、何という名前になるか、自身が懲罰権を持つというようなことも一つの私は大きなレベルアップの問題になってくると思います。今日の問題できょうすぐやれとは申しませんけれども、少なくとも二、三年先には大蔵省等の行政指導とあわせて会員自身努力がそういうところに及んでくると思いますけれども、見通しとして、そういうようなものがある条件と申しますか、あるレベルに達すれば、そういうものは当然特殊法人の協会に渡すべきことと思っておりますが、どうですか。
  50. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 協会としての自主的な懲戒権は当然持ち得るわけでありますが、法律上の処分権と申しますか、制裁権といいますか、公認会計士に対する処分権を協会に移譲するかどうか、たいへん議論のあったところでございますが、大蔵省としましては、この被監査会社責任大蔵省で追及することになっておりますね。これは公認会計士協会会社自身責任を追及するという立場には立っていない、これと公認会計士監査適正に行なわれたかどうか、それに伴う懲戒ということがあるわけでございます。完全にうらはらをなしているわけであります。そういう面と、それから大蔵省適正監査が行なわれたかどうかを審査する立場にあります。審査して不適正だと思えば、やはり何らかのこれを処置しなければならない責任があるわけであります。そういう大蔵省責任、それから被監査会社との関連等を考えまして、現在の段階では大蔵省に置いておくのがいいのではないかということでございます。いろいろ議論のあった点でありますが、現在の段階ではそう考えております。未来永劫絶対に渡せないかどうかということは、法律上若干問題があると思いますが、十分検討してみたいと思います。
  51. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 最後ですが、最後が二へんになってしまったのですが、協会の地位を高める一つ方向としては私はそういう方向でなければならぬと思うのですよ。あなたのほうの法的なバランスの問題もわかりますよ、立場も。しかし、片方では業務報告を、監査報告というものを協会に報告するんでしょう。だから、どの基準ができたわ、その基準を、私はただ単なる報酬ばかりではなくて、何をどういうふうにやるというこまかいものまで出てくると思うのです。監査基準が出てくるのですから、準則が出てくるのですから。そうなってくると、方向というものはそういう方向でなければならぬじゃないか。そういう方向に行くには、協会自身努力というものが非常に大切だということは私にはわかるのですよ。将来はそういう方向に行くのだからおまえもそういう努力をせよ、こういうことが一本の柱になって、私は行政指導というものが行なわれなければならぬと思っているのです。そういうことに対する大蔵当局の私は所見を尋ねておるのです。
  52. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 協会が真に公益的な立場で自主的な規制力を発揮してもらうということは大賛成であります。そういう意味では、おっしゃるように懲戒権も向こうに与えたほうが、いろいろな意味で協会の自主性、あるいは規制能力を高めるという点については、全く同感でございます。ただ、いろいろな問題がありますので、現在の段階ではこうなっておるということでございます。
  53. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 きょうはかなり基本的な問題について質問しようと思ったのですが、時間がございませんから、それはまた他の機会に譲りまして、ちょうどいま、二十三日に政府は新長期計画を審議会に諮問をしまして、また審議会の会長の木川田さんがいわゆる木川田構想ですか、構造金融構想を打ち出しておるわけですね。そういうものとの関連において、今後の財政金融の基本的な考え方について、まず抽象的ですがひとつ伺って、それから、それとの関連で具体的問題として日本銀行法の改正ですね、これを大蔵省は一体どうするのか、この問題について伺いたいと思います。  まず最初の、かなり抽象的な質問ですが、詳細についてはまた別の機会に、これまでの政府のいわゆる長期計画というものについての反省、批判の問題と関連して伺いますが、さしあたり当面の時点としては新長期計画を諮問したわけでございますから、それとの関連で、特に今度は財政金融のウエートが相当長期計画において大きなウエートを占めるように伺っておるものですから、まずその点について大蔵大臣の基本的な考え方を伺います。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昭和四十一年度予算もいよいよ実行段階になりましたが、これから先の財政金融政策をどういうふうに持っていくか、お話のようにまさにそういう問題と取り組むべき時期に来ておるわけです。そこで、大蔵省といたしましては、財政の問題につきましては財政制度審議会、それから税の問題ですね、これにつきましては税制調査会、金融問題につきましては金融制度調査会、この三審議会、調査会を再発足をいたしまして、広く識者の意見を求めながら長期的な施策をどういうふうに進めていくかということをただいま進めようとしておるところです。現に財政制度審議会及び税制調査会は先月末審議を再開いたしまして、もうすでに審議過程に入っております。それから、金融制度調査会は大体、ただいまのととろ、六月の六日ごろ第一回の会合を持ちまして、そうして金融諸問題に取り組む、こういう段取りを考えておるわけなんであります。  財政方面におきましては、審議会におきまして、国会の論議等の反省もいたしながら、いろいろな角度の問題を論議してまいりたい。これはテーマを出してその答申をいただくという性格の審議会ではございません。広く諸問題を審議していきたい、こういう考えでございますが、さしあたり国債の償還の問題、これを制度的にどういうふうにやっていくかということについての意見を固めていきたい、かように考えております。  それから、もう一つの問題は、公債発行下におきまして、財政の、予算の仕組みというものを考え直してみる必要がある、こういうふうに考えておるわけであります。つまり、公債は資本勘定みたいなかっこうになりますので、それを制度的に予算上どういうふうに表現することにするか、これはむずかしい問題です。むずかしい問題ですが、ともかくよく検討してみたい、こういうので、それもひとつやっておる。  それから、長期財政と申しますが、これは相当弾力的にやっていかなきゃならない、いままでのような固定的な仕組みじゃいかぬ、経済界の状況に応じて財政に弾力、伸縮性を持たさなきゃいかぬ、そして民間経済活動と財政活動との調和、これに非常にウエートを置かなきゃならぬ、こういう考え方のもとに、いかなる方法で財政に弾力性を与えるか、こういう制度面の問題を検討していく、そういうふうなことをさしあたりは考えておりますけれども、さらにいろんな公債発行下の諸問題について検討を行なうつもりでございます。  それから、税制の問題につきましては、単年度税制改正主義というか、いままでそういうことでやってきておりますが、この際、数年後に達成すべき税制の期待さるべき姿、そういうものをきめておきたい、そうして年度の税制改正はその目標に向かっていくという税制改正の一貫性というものをつかんでいきたい、かように考えて、そういう方向での調査をお願いしたい、かように考えております。  それから、金融問題つきましては、さしあたりとにかく金融ですね、これが非常に重要な問題だというふうに考えておりますので、そういう問題に取り組む。その他、いまの制度が制定以来相当古くなっております。今日の金融情勢が非常に変化をしておる、そういう状態にある。また、金融機関も、それぞれの機能というものもだいぶ変わってきております。そういうものに対応してどういう制度的な改正を行なうべきかという問題、そういう問題を詰めていきたいというふうに考えておるわけであります。  それから、制度調査会の直接の問題ではございませんけれども、大蔵省としては何としても国債政策を成功させなきゃいかぬ、こういうふうに考えておりまして、国債の今後の上場、そういうものをどういうふうにやっていくか、今後の国債の条件のあり方というものでありますとか、あるいは国債をめぐる金利のいろいろな問題が起こってきます、そういう問題でありますとか、国債を中心とする諸問題、これはできる限り勉強いたしまして、との政策が順調に成功するようにというための努力をいたしたいと、こういうふうに考えております。  かたがた、いまお話しの経済審議会も、会長が今度かわりまして新発足したような形になっております。経済審議会はすでに総会を持ちまして、政府のほうから均衡のある経済発展はいかにして達成すべきかというような趣旨の諮問をいたしておるわけなんです。私はこの審議会には出席はいたしておりませんけれども、私が報告を受けたところでは、この審議会の雲行きというものは、いままでの計量的な考え方よりは政策面に重きを置こう、つまり経済は一体どうなるんだというのじゃなくて、どうすべきかという考え方を入れた審議検討、こういうふうな傾向でございます。しかし、計数の全然ないという計画、構想、これも無意味でございます。いま政府では、住宅だとか、道路だとか、港湾でありますとか、長期計画があります。それから、今後もいろいろな長期計画が出てくる。そういうものを総合して、一つのワクというか、そういうようなものも検討される、こういうふうに考えております。  それから、経済情勢がこの二年間の不況の後に相当変わった姿になりつつ、現に変化を起こしつつあるわけでありますから、そういう変化、また政策上は公債政策というような大きな変化があるわけであります、そういう態勢下において経済界が一体どういう役割りを持つべきか、どういう対応の態度をとるべきかというような問題、これも検討いたしたい、こういうふうに考えておるようであります。おそらくそういう方向の審議が行なわれると思いますが、何としても、財政金融が大きな役割りを演ずる時期に入ってきておりますので、私ども大蔵省といたしましては、この計画がりっぱなものとなり、これが今後の経済政策運営の指針となるように努力を傾けることにいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体いま大蔵大臣から、かなり総合的に、財政、金融、税制等、それから今後の全体の相当長期計画の持っていき方についての御意見を承りました。こういう点については、またわれわれとしても過去の経験からいろいろ意見があるわけです。ですから、他の機会に、こういう点についてはやはり意見を述べて——固まっちゃってから意見を述べたってしようがないので、その過程においてわれわれの意見を反映させるようにしたいと思いますが、そういう注文もあり、意見もある。これは他の機会に譲りまして、もう一つ、日銀法の改正なんです。  なぜ私が突然こういう質問をするかといいますと、ある雑誌に、田中前大蔵大臣がこういうことを述べておるのですね。「私は大蔵大臣を辞めるときに日銀法を改正することを主張したが、それは取りやめた。日銀法二十五条は、証券機関や金融機関などの企業体の倒産の恐れがあって、それが証券界や金融界に影響を及ぼし、証券恐慌や金融恐慌につながる恐れのあるときに発動できる。これは旧憲法下において制定されたものであって、新憲法のもとでは規定することはむずかしいし、こういういいものは温存すべきであるということから温存することにきめた。」、こういう意見を述べておるのですね。これは事実かどうかわかりませんが、とにかくある雑誌からの引用です、速記なんですが。  そこで、従来の経過からいきまして、当然今国会には日銀法の改正案が出なければならぬはずだったのです、田中大蔵大臣の前のいきさつからいきまして。ところが、田中大蔵大臣は日銀法の改正をやめたというのです。これは同じ自民党政府ですから、福田大蔵大臣にかわられても、大蔵省としては日銀法改正案を出すべきであったと思うし、そういうようにまた理解していたのです。現にまた公債発行下の財政金融になりますと、それへの対応で日銀法の改正は一そう重要になるわけです。ですから、われわれは出るものと思っておった。ところが、取りやめたというようなそういう田中大蔵大臣のことばがはっきりとある経済雑誌に出ておって、私はおかしく思ったのです。ますます日銀法の改正が重要になってきたのに、取りやめた。なぜ取りやめたか。昭和三十五年に答申されて、今日までドイツのナチスのライヒスバンクに例をとった日銀法とかあるいは戦時立法ですね、こういうものを早く平和立法に変えなければならぬということを前から言われて、もう三十五年に答申をされて、当然今国会に出なければならぬと——出すと言っておったのが、今度は公債発行政策がとられてからこれが取りやめられたようなことになっておる。特にこの間の証券恐慌のときの日銀の融資等を考えて、どうもこういう戦時立法は温存しておいたほうがいいじゃないかということで、日銀法の改正は取りやめたのじゃないかと、こうわれわれは解する。ですから、これは非常に重要問題ですから、大蔵大臣は今後の日銀法の改正についてはどうこれを取り扱われるか、伺いたい。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日銀法は、いまお話しのように、すでにこの前の通常国会に提案寸前の状態になったわけでございます。しかし、提案するまでの完ぺきな準備ができなかった関係上、寸前というところでとまりになっておったわけです。ところが、この国会にそれを精査して出すかどうかということになりますと、昨年からことしにかけて公債政策採用、こういう重要な変化が行なわれておるわけです。この公債政策の動かし方というものをよくにらんで再検討する必要がある、こういうふうに私は考えましたので、前の通常国会に提案しようといたしました案をさらに白紙の立場検討してみたい、こういう気持ちになってきておるわけであります。  それで、いま田中幹事長の何か談話かなにかのお話がありましたが、私ども政府としては、この改正をやめるという考えは持っておりません。これはぜひ改正をいたしたい。改正をいたしたいが、しかし、新事態に即応いたしまして、よく考えてみなくちゃならぬ。これは金融の基本法とも申すべき性格のところが多いわけであります。慎重を期さなければいかぬというので、これから検討に入っていきたい、こういう段階であります。検討が済みました上は、もとより国会に提案いたしまして審議をわずらわす、こういう方針であります。
  59. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  60. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、もう一度金融制度調査会にまた意見を徴するということになりますか。諮問し直すのですか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 荒調べというか、下調べでありまして、これは前に制度調査会におはかりしたものをだいぶ変えなければならぬぞというふうに判断いたしますれば、金融制度調査会に再び付議する。しかし、前とそっくりのものでいいじゃないかというような大体の感触でありますれば、また金融制度調査会に再びおはかりするという大げさなことをせぬでもいいじゃないかというような考えを持っておる次第でございます。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常に重大だと思うのです。三十五年の答申を見ましても、公債発行下であればこそ、あの答申が非常にますます重要になってくる。問題はもう煮詰まっちゃっておる。大蔵省の指示権の問題です。大蔵省が指示権を持つか、あるいは日銀のほうの政策委員会ですか、あすこに対して日銀と政府と意見が違った場合、政策委員会に議決を延期することを求めることができるということと、この点で意見が分かれたのです。したがって、公債発行下におきまして大蔵省の指示権が強くなったら一体どうなりますかね。そこで、むしろ大蔵大臣の言われるように、公債発行でインフレにならないようにするためには、むしろやはりそういう調整機能というのは必要なんですよ、逆に。そういうことと、また、まだ発券制度についても問題があるわけです。ああいう答申もありまして、いまのような全く無制限な発券制度でいいかどうか。やはり発券制度についてもある程度の、いまの最高額だけではこれはまるで無制限ですから、また諮問し直すということになると、もっとルーズにできる、政府の統制をもっと強化できるような形の諮問というふうに私は解されるわけです。そうすると、健全金融で通貨価値の維持という面から見ると、前の答申より後退した結論を求める諮問になるおそれがあると私は思うのですが、その点はいかがですか。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま全く白紙で考えていきたいと。予断というか、予見した、とらわれた考えは持っておりません。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 委員長、これでおしまいです。
  66. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大蔵大臣、たいへん大きな変更ですよ。先ほど大蔵大臣は、改正することについて取りやめる意思はないとおっしゃった。改正はするつもりなんですよ。これははっきりここで言われた。そうすれば、どういうわけで改正するかということは、もうすでに昭和三十五年に結論が出ておるのですから、またそれを諮問し直すというのはおかしいのですよ。これは全く白紙というのはおかしいのですが、白紙ということはどういうことを意味するのかということを伺って、もう時間がございませんので、もう私は質問しませんので、具体的に答弁をしていただいて、あとでまたゆっくり……。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いままである案をざっと見直してみまして、これはどうも改正は答申のようなものでないほうがいいだろうというようなところが重要な点についてあるというならば、これは金融制度調査会にもおはかりいたしまして、練り直すというふうにしたいと思いますが、しかし、あのままでいいんだと、大体よかろうという判断ならば、制度調査会にははからないで成文化していいと、こういうふうに考えておるわけであります。いまどこをどうするというような予断は持っておらぬということです。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次の国会に出しますか。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは間に合えばと思いますが、ただいま次の国会に御審議を願うということをはっきり申し上げるだけの準備をいたしておりませんです。
  71. 野溝勝

    野溝勝君 関連質問。先ほど財政金融の問題で木村委員から質問がありましたが、これは私は本委員会においても大臣に申し上げておきましたとおり、やはり日本経済が貿易収支、経常収支に重点を置いたことは当然なんです。私が心配いたしましたのは、資本収支の問題です。特に国際収支において重大な国際的な動きがあるということで、大臣も非岸に重大だからという答弁をされておるわけです。御承知のように、ユーザンスの問題から、非常に国際金融上重大な資本収支の問題が今日当面の問題になっておるわけです。そこで、私はあのときにきっと大きな問題になるからと申しておきましたが、単に大臣は金融の問題については今後真剣に考えていこうというわけです。いまその動きがありますが、これは急速に金融体制というものを総合的に考えられるように善処を私は希望しておきます。
  72. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 附帯決議との関係もありますので、二、三聞きますけれども、金融機関の監査体制はどういうふうに現行はなっておりますか。
  73. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 御承知のように、銀行あるいは相互銀行、信用金庫、その他それぞれ法律に基づいて設立されております各種金融機関に対しましては、大蔵大臣が検査監督をいたしております。したがって、それぞれの法律に基づいて大蔵大臣が検査をいたしておりますので、ただいま先生のお尋ねの監査という意味においては、大蔵大臣検査が今日あるだけでございます。
  74. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、新聞等にもちらほら見るわけですがね、この際に最近における金融機関の不正な事例、経理内容等の、あるいはあわせて脱税等の問題でもありますけれども、代表的な事例について、ひとつ若干内容について説明を願いたいのですが。
  75. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) お尋ねの点、税の問題は、私、実は所管外でございますので、それはひとつ国税庁のほうからお聞き取り願いたいと思います。
  76. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、大蔵大臣にひとつ、大まかでけっこうですから。
  77. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 脱税というケースにつきましては、私はまだ報告を受けておりません。こういうことは間々あることだと思いますが、申告と、申告を調査した結果税務当局の見方と違いがあると、修正をさせる。これはどこの会社でもあることでございますが、そういうケースは銀行といえどもあるんではないか、こういうふうに考えております。
  78. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、会社経理内容とはこれは関係ないわけですか、税金の面だけであって。
  79. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 関係がないというわけじゃありません。これは税務の見方と、証券的な見方ですね、これが関連がなければならぬというふうに考えておりますけれども、できる限り大蔵部内のことでありますので関連をとりたいと、かように考えております。
  80. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういったようなことについて、今後大蔵大臣はどういうふうに監督を強化していくのか。
  81. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金融機関につきましては、これは大蔵省銀行局が監督権を持っておるわけであります。これはまあ相当綿密な調査、それに基づく監督ということをいたしておるわけであります。これは今後も一そう監励してまいりたいというふうに考えております。  それから、会社経理につきましては、今回公認会計士法改正をお願いする。これも会社経理適正を期し、大衆に迷惑を及ぼさぬようにしたいという考え方から出てきておるわけでありまして、この面も、この法案にあらわれているように——法案ばかりじゃありません、運営面等をも含めまして適正を期していきたい、かような考えであります。
  82. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは衆議院のほうでも附帯決議が出ておりますが、この公認会計士監査対象を拡大する、そういうことに、金融機関もいろいろ今後検討してはどうかというふうに衆議院で出ておりますが、これについては大蔵大臣はどうお考えですか。
  83. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、金融機関につきましては、相当綿密な調査をし、それに基づいて綿密な監督をいたしておるわけであります。そういう際に、公認会計士がまたやるいうことになりますことがはたして適当であるかどうか、ちょっと事務が重複するようになるんではないか、そういうふうな感じを持つのです。ですから、ただいま金融機関について公認会計士の業務範囲に入れるという考えは持っていないんですが、なお今後こういう問題も含めて検討はしてみたいと、かように考えております。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私、この公認会計士審査会の答申を読んでみたんですが、この七ページの中間どころに、今度特殊法人をつくる必要性という条項に、「現行の社団法人の形態では不十分であり、これを特殊法人とすることが適当と考える。」という条項があるのですが、この不十分だという認定、どういう点が不十分なのか、ひとつ……。
  85. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 現在では任意法人でございますので、全員加入の制度になっておりません。したがって、公益的な法人ではございますけれども、その使命の遂行に不十分である、こういうことでございます。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、今度特殊法人をつくれば、それで十分なんですか。
  87. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 全員加入という意味で、公共的な性格を持った法人という意味では同じでありますけれども、全員加入ということで使命の遂行が徹底できるということ、それから、法人格が与えられるという法律上の特殊法人ということでございますと、やはり公共的な仕事といいますか、範囲が拡大されてくる、こういう両面からかなり機能が高められるということをわれわれは期待いたしておるわけであります。いまの段階ではこの程度改正をお願いするのが適当ではないか、かように考えているわけです。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし、このちょっと上のほうにこういうことが書いてあるのですね。「しかしながら、この答申に述べられている具体的措置は、単に制度的基盤を整えるものであり、これらの措置の趣旨が十分に実現されるためには、直接この制度の運用に当たる公認会計士自身の今後の努力に待つところが大きい。」と、こういうふうに書いてある。やっぱりこの答申は、こういうことを書きながら、こういう特殊法人をつくっても、これでは不完全、不十分なものであるということを書いてあるのですね。で、私が先ほど言ったのとこのところとは、非常に矛盾するところがあると思うのですよ。あなたはこれで十分いける、こういう意向ですけれども、やっぱり答申自体がこの法案では不十分だ、やっぱりこれを、十分に機能を発揮するためには公認会計士努力が必要だ、こういうことが私は出ていると思うのですよ。だから、今度のこの特殊法人で、実際公認会計士努力を抜きにすれば、公認会計士が積極的に努力しなければ十分目的を達することができないのじゃないですか。
  89. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) これはあくまで制度面の手当てでございまして、適正監査というものが現実のものとなるかどうかは、公認会計士ばかりでなく、被監査会社であります会社側の体制も整わなければなりません。あるいはその自覚が高められなければならないわけです。当然公認会計士適正監査という意欲と努力も伴わなければ、制度面の手当てだけでは——すべてが制度面だけで解決できる問題でないと思う。何もこの問題ばかりでないと思うのでありますが、ただ、こういう特殊法人化されますと、公認会計士のそういう努力適正監査への意欲、また監査内容の充実、こういうものがやりやすくなる、あるいは非常に促進される、そういうことは十分期待できるのではないか、かように考えております。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 じゃ、今度のこの特殊法人ができれば、これまで起こったような山陽特殊鋼山一証券のようなああいう問題は防げるというのですか。起こらないということが言えるのですか。どうですか。
  91. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) これは制度面だけで、そこまでのお約束をいたしかねるわけでございますが、ぜひそういたしたい。それからまた、そういう方向へ向かって会社側も公認会計士側も努力すべきではないか、こういうことは言えると思いますが、はたして絶対そういうことが絶無になるというような事態になるかどうかは、今後の関係者間の努力にかなりかかってくると思うのであります。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、依然としてそういう不正な行為が今後も起こるということは、やはりあり得るということになるんじゃないですか。この特殊法人つくっても、それは防止することはできないのじゃないですか。
  93. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) そういうことがないように努力いたしたいと思います。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この三十条の三項にある「故意又は相当の注意を怠った事実」を、一件漏らさず全部つかむことができるか、また、どういう方法によってつかむことができるのか、こういう質問なんですがね。ここには、何人も不正があると思料したときは、大蔵大臣にその事実を報告して、大蔵大臣はその事実の報告によって適正な措置をとらなければならぬという、これは非常な問題が起こる条項じゃないかと思うんですがね。また、何人も思料したということを大蔵大臣報告するわけですが、その人の思料したことが正しいのかどうかということはどういうような方法で一体判断し調査するんですか。
  95. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) もちろん、現実に懲戒ということになりますと、はっきりした信証をつかまなければなりません。ぜひ諸資料を収集し、また調査し、それから現実に当該公認会計士の懲戒をする場合には、本人を呼んで聴問という手続をとって、本人側の申し立ても十分聞いた上で、十分な信証を得た上で処置をするつもりでございます。
  96. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、「公認会計士又は会計士補に前二条に該当する事実があると思料するとき」とあるんですが、いわゆる悪意的に作為的にこの公認会計士会計士補をおとしいれようという計画をもって、私はこう思うというような報告が大蔵大臣に行ったときは、この人たちの立場を傷つけない、どんな方法でそれを調査することができるのか、危険な条項じゃないかと思うんですが。
  97. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 悪意をもって粉飾、誇張したというか、目をつぶったことがはっきり確証をもって把握された場合には、立場の尊重といいますか、むしろそれは当然制裁に付すべきだと思います。
  98. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その事実をどういうふうにして調査するかということなんですよ。
  99. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) これは調査権限がありまして、会社側に対する調査もできます。それから、諸資料も収集いたしまして、ケース・バイ・ケースでございますけれども、実際なかなかむずかしい問題がケースによってはあると思うんですが、われわれの能力との関係もございます。ケース・バイ・ケースの問題でございます。
  100. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 時間がありませんから、私は二、三質問しますが、外国の公認会計士がいまでも日本会社監査業務をやっておると聞くわけですが、いままでに虚偽または不正な証明をした例がありますか。
  101. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 日本法人で外国公認会計士監査対象になっておりますのは数社でございますけれども、それについていままでそういう事実は発見されておりません。
  102. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もしもあった場合には、登録抹殺処分に該当するのか、または立ち入り検査をやるのか。
  103. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 必要があれば、検査をいたしまして、当然登録抹殺し、日本における公認会計士の資格は失うことになります。
  104. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 外国人の場合でも、日本人の会計士と同じことをやるわけですね。  日本にあるアメリカの会社、そこの監査日本人の公認会計士がやれるのですか。
  105. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) それは日本人がやります。日本法人である限りは、日本会計士の当然監査対象になり得るわけでございます。
  106. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 じゃ、日本公認会計士はアメリカの監査業務ができるのですか。
  107. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) アメリカ側で州によって違いますけれども、そういう資格を与えられている例は少ないと思います。当然アメリカの証取法監査をするということになりますと、向こう側の資格を持っていなければ、日本公認会計士の資格だけではその資格は与えられないということになります。
  108. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 アメリカの財団が日本会社に投資している場合ですね、やっぱしその会社を調べに来る場合は、アメリカの公認会計士がやってきていろいろ調べるということを聞いているのです。ところが、アメリカの資本市場日本が社債を公募した場合ですね、逆に。前はアメリカが日本に社債を……。その場合に、日本が公債を公募した場合、日本会社はアメリカの公認会計士監査していると、こういうことを聞くわけですね。どうなんですか、これは日本もアメリカも同じようにお互いにやることになるのですか、どうですか。
  109. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) アメリカの市場において資本を発行いたしますれば、当然アメリカの証取法の手続に従わなきゃなりませんから、アメリカの監査資格を持った者がやらなければなりません。ただし、実際は日本法人が発行する場合には、日本公認会計士を補助者として使っておる例が多いようでございますが、責任のある監査人としてはアメリカの資格を持った者がやるたてまえになっております。
  110. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 アメリカが日本に投資した場合は、アメリカの公認会計士が来て、その会社経理審査することができるのじゃないですか。
  111. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 日本法人として日本証取法監査対象になっている場合は、当然日本公認会計士の資格を持った者でなければ有効な監査はできません。
  112. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 実際アメリカの公認会計士が来てやっているのと違うのですか、アメリカが投資している会社経理内容などというものは。やっているのと違うのですか。
  113. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 実際はアメリカの公認会計士がやっておりますが、これは日本公認会計士の資格を持っておる者がやるわけでございます。
  114. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 アメリカで公認会計士の資格を持った者は無条件日本公認会計士の資格を持つことができるというふうに聞いているのですが、日本公認会計士はアメリカの公認会計士の資格を無条件で取れるのですかどうですか。
  115. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 外国の資格をもって無条件日本の資格を与えるたてまえになっておりません。日本の試験を受けなければなりません。
  116. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、日本人もアメリカの試験を受けて公認会計士の資格を取ることはできるのですか。その間に何ら条件の相違とか、そういうものは全然ないのですか。
  117. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 完全に互恵的になっているかどうかは、やや問題があると思います。その意味日本における公認会計士制度については検討すべき余地が若干残っておると思います。
  118. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その点が私は聞きたかったのです。非常に不平等だという点が残っていると思います。だから、当然これは日本会計士とアメリカの公認会計士と同じように扱われるべき条件に相違があるというようなことは、これはおかしいことだと思うのです。  じゃ、三十四条の十一の「著しい利害関係」というのを省令で定めるというふうになっているのですがね。この省令で定めるものとは一体どういうことなんですか。
  119. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 自分自身、あるいは自分のきわめて近い妻とか子供がその会社の役員になっておるとか、あるいは株主になっておるとか、大体そういう場合でございます。
  120. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  121. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  122. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、省令というのはそれだけのことなんですか。まだほかにいろいろ問題があるのじゃないですか。
  123. 加治木俊道

    政府委員加治木俊道君) 非常に要約して申し上げましたが、項目はたくさんありますが、大体そういうことでございます、内容的には。
  124. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御発言もなければ、本案につきましては質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  126. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は、自由民主党を代表して、本法律案に賛成いたします。  その理由としましては、最近における企業規模の拡大と経営の多角化等に対応して、公認会計士監査体制を充実し、企業経理適正化を期する必要はきわめて大でありますが、今次の改正は、このような要請のもとに公認会計士の業務の改善進歩と地位の向上をはかり、監査体制を整備充実するものでありまして、適切なる措置と思うのであります。  今回の改正により、最近特に問題となりました会社の不正経理公認会計士の虚偽または不当証明というような不祥事態が払拭され、一般投資家保護を通じて証券市場の健全な発達に寄与し、さらにわが国の産業経済発展に貢献し得るものと信ずるからであります。  しかしながら、公認会計士制度について今後さらに検討されるべき事項も多いのでありまして、私はこの際、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の四派共同提案として、附帯決議案を提出いたします。  その内容は、  一、日本公認会計士協会の発足に当っては、全員の加入が円満に行なわれるよう配慮すべきである。  二、公認会計士監査については、広く会計経理適正化を図る見地から、学校法人、宗教法人、金融機関、農業協同組合等公益的な性格の法人についても、その監査対象を拡大することについて検討すべきである。  三、企業経理の健全化を図るために果たす公認会計士監査の重要性にかんがみ、監査内容を充実するため、監査日数、監査報酬等の面での措置について、その自主性、独立性を損なわれることのないよう政府として十分検討すべきである。  以上であります。何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  127. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。公認会計士法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  129. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました青柳君提出の自民、社会、公明、民社四派共同提案の附帯決議案を議題といたします。青柳君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  130. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、青柳君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。
  131. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまの附帯決議に対しましては、御趣旨を尊重し、検討の上善処いたしたいと思います。
  132. 徳永正利

    委員長徳永正利君) なお、本案につきまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  134. 徳永正利

    委員長徳永正利君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  租税及び金融等に関する調査中、第一として、当面の金融政策等に関する件について、日本銀行の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時等については、これを委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————  次に、第二として、証券業の現状に関する件について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回の委員会は五月三十一日(火曜日)午前十時からとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会      —————・—————