運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-05-10 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————    委員異動  五月九日     辞任         補欠選任      秋山 長造君     野溝  勝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 日高 広為君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 中尾 辰義君     委 員                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 栗原 祐幸君                 西郷吉之助君                 西田 信一君                 柴谷  要君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野溝  勝君                 北條  浩君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君                 小林  章君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        国 務 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省銀行局保        険部長      上林 英男君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        田辺 博通君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地震保険に関する法律案内閣提出衆議院送  付) ○地震保険特別会計法案内閣提出衆議院送  付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月九日、秋山長造君が委員を辞任され、その補欠として野溝勝君が選任されました。
  3. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それでは、地震保険に関する法律案及び地震保険特別会計法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  両案につきましては、去る四月二十八日、衆議院から送付され、本委員会に付託されました。  この際、両案に対する衆議院における修正点について竹中大蔵政務次官説明を聴取いたします。竹中大蔵政務次官
  4. 竹中恒夫

    政府委員竹中恒夫君) 地震保険に関する法律案及び地震保険特別会計法案に対する修正点の概要を説明いたします。  地震保険に関する法律案及び地震保険特別会計法案につきまして、衆議院においてこの法律施行期日につき修正が行なわれましたので、その内容について御説明申し上げます。すなわち、両法律案の附則に規定しております施行期日につきましては、原案ではいずれも「昭和四十一年四月一日から施行する。」となっていたのでありますが、衆議院において三党共同で、地震保険に関する法律案につきましては、「公布の日から施行する。」、また、地震保険特別会計法案につきましては、「地震保険に関する法律施行の日から施行し、昭和四十一年度の予算から適用する。」と、それぞれ修正されたのであります。これはこの法律案昭和四十一年四月一日に施行することは審議の都合上困難となったためでございます。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますよるうにお願いいたします。
  5. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 須藤五郎

    須藤五郎君 この前、私は質問が途中で終わりまして、それから二週間近く日にちがたってしまったので、えらい連絡が悪いようなことになったので、多少質問がもしもダブるようなことがあったら、その点はお許しを願いたいと思うのです。  まず最初に伺いたいのは、この法案で一番私は不備な点は、いわゆる全損、分損区別が明らかにならぬ、いわゆる全壊半壊かという点の区別がつかぬ点、これは今後実際面において運用していく上に非常に問題を起こしやすい点だと思うのです。そこで、この間は、前の委員会におきまして、全損の写真が示されまして、私はそれを拝見しました。その写真を見れば、大体全損とはこういう程度のものを全損というのかというふうには理解はできるのでありますけれども写真はあくまで写真で、実際と違ってくる場合がありますし、写真でああいうふうに示されるならば、それをことばで、なぜ法案の中に、全損とはこういう程度を全損というのだと、こういうふうに示すことはできないのだろうか、こういう点が一点。政府は全損、分損に対してどういう考えを持っていらっしゃるか、これで完備したもので問題が起こらないというふうに考えていらっしゃるのかどうか、政府当局のお考えも伺っておきたい、こういう点が一点。  それから、その次は、要するに火災保険などによりますと、全焼と半焼という区別がついていると思うのです。この地震保険も全損と分損、いわゆる全壊半壊かというふうな、何かそこにもう一段階ひとつ設けたらどうだろう、こういうふうに私は思うのですが、この二点について御答弁願いたいと思うのです。
  7. 上林英男

    政府委員上林英男君) ただいまの御質問にございまするように、この地震保険設計にあたりまして、全損のほかに分損も見たらどうかという問題につきましては、保険審議会におきましてもずいぶん熱心に議論をされたわけでございまするけれども、先般も御説明申し上げましたように、分損担保いたしますことにいたしますと、まず第一に、地震災害の特性から申しまして、査定技術上いろいろなめんどうが起こる、査定技術上も非常にむずかしい問題が起こります。あるいは、分損担保いたしますと、保険料も高くならざるを得ないわけでございまして、自動付帯のたてまえから申しますと、あまりにも負担を高めることはいかがかというような問題、あるいは財政力、その保険会社担保力とのかね合いなど、いろいろ問題がございまして、当面この全損について担保するということにいたしたわけでございます。ただし、その点については経済的全損も含むということで、この経済的全損の定義があまりはっきりしないんではないかという御質問かと思うわけでございますが、この点につきましては、確かにおっしゃる点もごもっともでございまするが、私どももこの経済的全損というものがうまく運用されまするように、建築学者その他もあわせまして、また保険会社の過去の経験を生かしまして、いろいろと簡素に統一的に査定ができるように統一の査定基準をつくって運用をしてまいりたい、こう考えているわけでございます。  先ほどおっしゃいましたその写真につきましても、その研究一つの過程でございまして、こういうような過去の知識から、たとえば柱がどの程度取りかえを要すればその家としては建てかえなければいけない、建てかえなければいけないとすればどの程度費用がかかる、その費用が現在の時価に比べてどの程度である、そういうようないろいろな計算をいたしまして、わかりやすい査定基準というものをつくって運用をしてまいりたいという心がまえでおるわけでございます。もちろん、この経済的全損を含めまする全損を当面担保対象にいたしておりまするけれども、もちろんこれで十分であるとは考えておらないわけでございまして、将来さらに研究を進めまして、またこの地震保険施行状況を勘案いたしまして、なお改善の努力考えてまいりたいと思っておるわけでございます。  第二の点でございまするが、火災保険の場合におきましては、分損につきましては、その被害割合に応じて担保をいたすことになっております。この火災保険の場合には、比較的損害の程度地震保険の場合と違いまして査定しやすい面もございます。過去におきまして相当の経験も持っておるわけでございます。この地震保険につきましては、特に柱がどの程度いたんだからどの程度被害割合になるかというような問題になりますと、非常にむずかしい査定技術上の問題もございます。また、先生のおっしゃいましたように、半損についても、きわめて単純な半損というものについてだけ、何といいますか、一定割合をかけているわけではなく、一定金額でもって半損の場合に担保をしたらどうかという議論もあったわけでございます。そういうのも一つやり方かと思います。しかし、その場合におきましても、かりにそういうある程度のものについては、こまかい割合ではなくして、大ざっぱな割合でもってひっくるめて担保するというようなやり方をいたしますと、またそこにその限界についてどうするかと、こういう疑問が起こってまいるわけでございますので、そういう問題につきましても、もうその地震保険性格からいって、そう精緻なものでなく、大ざっぱなところで、しかし大体の公平が保てるというような設計をしたらどうかという御意見は、私どももごもっともでございますし、また私ども一つ研究の課題に取り上げたこともあるわけでございます。今後とも十分そういう研究を進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  8. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ全損、分損の問題については非常に不明確な点があり、これを追及すればいろいろな問題が出てくるだろうと思うんですが、今日の段階でこれ以上いろいろやってもなかなかはっきりしたものが出てこないように思いますので、ほかの委員もこの点触れられることと思いますから、私はこの程度でこの問題はやめますが、しかし、政府として、今後問題が起こった場合、まず松代でそういう問題が起こるかもわからないんですが、そのときには、やはり被保険者ですね、その人たちの立場に立ってやはり判断をするように指導をしてもらいたい、こういうことを私は申し添えて、次の質問に移ることにいたしましょう。  次は、家の全損、分損は大体目でわかるのですが、もう一つわかりにくい問題がある。それは家財道具の全損か分損かという問題だと思うんですがね。この家財道具は、一体どういうものを基準にしてこれは全損であるか分損であるかをきめられるのですか。
  9. 上林英男

    政府委員上林英男君) たとえば家財を収容いたします建物が全焼いたしましたり、流失いたしましたり、あるいは完全埋没、あるいは軒下まで浸水してしまった、こういうような場合には、かりに、おそらく大多数の場合には若干のものは持ってお逃げになると思いますけれども、そういうものは考えませんで、その場合には全部全損、こういうふうになるわけでございます。
  10. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、まあ逃げるときに家財のうちの重要なものを持って逃げる、それは入れないで、残ったものを土台にして全損か半損かということをきめる、こういうことですね。火災保険ですと、持ち出したやつは、要するに、家財保険にかけておいても、火災のときに持ち出すというと、それだけ引かれてしまうわけですね、保険金から。そういうことはないということですか。
  11. 上林英男

    政府委員上林英男君) おっしゃるとおりでございまして、その場合に、あらかじめ地震が来ることがわかっていてほとんど持ち出したという場合は、これは別でございますけれども、そういうような顕著な持ち出しがない場合には、いま申しましたように、家自体が全焼してしまう、こういう場合には全損ということでございます。
  12. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、松代なんか、地震があるかわからぬというので、家財道具を離れた親戚の家へ、たんすが三さおあればそのうち一さおに上等の着物だけ詰めて疎開さしておいて、そしてあとに残ったものが全部やられてしまう、その場合にどういうふうに判定なさるのですか。
  13. 上林英男

    政府委員上林英男君) ただいまの御質問は、その松代地震のときに残っておりました家財、それが担保対象になるわけでございますから、それについての判断をいたすわけでございまして、もうあらかじめ避難をしておったものにつきましては、これは保険対象になっておらないかっこうになるわけでございます。
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 わかりました。  それじゃね、もう一つ念を押しておきますが、保険をかけておいたときには、そこにあったものなんですね。たんすが三つあったとする。ところが、その後地震が危険だというので移すわけです。ところが、保険をかけておったときは三つあったたんすが、現在二つしかない。それでも、その二つがこわれた場合全損として認めるのかどうかです。
  15. 田辺博通

    説明員田辺博通君) これは字義どおり解釈をいたしますと、保険契約時にその担保対象になった家財、これが全体が損になるのが全損であるわけであります。その契約時以降三分の一ないしは半分は他のほうに持ち出されておりましても、字義どおり解釈いたしますと、契約時における担保されたる家財の半分ないしは三分の一は無事である、こういうことになりますので、全損にはならない、こういうことになろうかと思います。ただ、これは非常に、それじゃ十分の一とか五分の一とか、いろいろ程度の問題があると思います。でございますから、はっきりとそういう事実がわかりますれば別でございますけれども、またもう一つ契約時におきますところの家財道具価額が、たとえば若干減っている。多少の異動家財道具には常につきものでございます。でございますから、その罹災時に多少の異動がございましても、その保険価額といいますか、家財価額全体としてはまあたいした差がない、こういうぐあいに考えられる場合に、それに対しましては、その家が全焼しているという場合、たとえば洋服の一着、二着、そういうものはちゃんと着て逃げているじゃないか、したがって全損ではない、そういうようなことは運用いたしません、こういうことでございます。
  16. 須藤五郎

    須藤五郎君 するとね、先ほど保険部長が言ったことばとあなたのことばとの間には、だいぶニュアンスが違っていると思うんだね。それで、部長はああいうふうに言ったけれども、あなたはあとでそのために補ったんだろうと思うがね。そうなると、ますますこれはむずかしくなってくると思う。部長はさっき、地震だといってたんすでもおいねて、長持ちでもおいねて逃げたものには、これは問題にしない、残ったものが要するにやられてしまえば全損だと、こういうふうに認める、こういう話だった。いまの話だと、やっぱり、いざとなったときに、持ち出したものは全損にならない、やはり半損だというふうに認められている。おそらく保険会社はその場合、持ち出したものの金額——あとに残ったものはかさは大きいけれども、がらくたばかりで、持ち出したものはかさは小さくても金目のものだということになれば、やっぱり持ち出したものの価額を算定したりなんかして、これは全損にならないとかなんとか因縁をつけるだろうと思う。火災保険で実際そういうことが行なわれておるわけです。だから、必ずそういう問題が起こりますよ。もう一ぺん、部長、はっきり言ってください。あなたのとちょっと違うのだ。
  17. 上林英男

    政府委員上林英男君) 端的に申し上げますと、かついで持ち出したものについてやかましく言って、全損ではないとかなんとか言うつもりはないわけでございます。あらかじめ疎開をしておいたものということになりますと、この地震保険性格から申しまして、厳密に解釈いたしますと、先ほど第二課長の申しましたとおりのことになるわけでございます。したがいまして、はっきりいたしておりますことは、その地震に際してかついで持ち出し程度のものにつきましてはとやかく言うつもりはない。その他の点につきましても、たてまえは二課長が申しましたようなことでございますけれども、そういう点につきましても、被害者実情ども考慮いたしまして、適正な措置がとられるように指導してまいりたい、こう考えております。
  18. 須藤五郎

    須藤五郎君 それはかつぎ出したものが長持ち一つくらいで済めばいいかもしれませんが、かつぎ出した、かつぎ出したと言うが、家族の多いお百姓さんのところで、おじいさんから孫に至るまで家族総出でものをかついで出れば、相当なものがかついで出られますよ。それでも、かついだものだからあれに関係しないと、こういうのですか。あなたはかついだ、かついだと言うけれども、かつぐのもいろいろなものがあるわけですよ。その場合には、あなたの言うのは入らないということになるだろうと思うのです。あなたの言うのは入るということになるのだろうと思うのですが、どっちですか。非常にあやふやですよ、この法案は。だから、問題はあとに残るから、明らかにしてもらいたい。あなたはかつぐ、かつぐと言うが、一人でかつぐのと違うのだ。家族十人の者がかついだら、相当なものがかついで出られるのだな。どうなんです。
  19. 上林英男

    政府委員上林英男君) おっしゃるとおりでございますが、それは極端なことを考えますと、きれいにかついで、ほとんど被害が何にもなくなるようにかついで出してしまった、こういう場合には、常識的に考えましても、家財について全損ということにはならないと思います。しかし、通常緊急な場合に、まあ家族が何人おるか知りませんが、かついで緊急の避難ができたという程度のものにつきましては、やかましく言うつもりはもちろんないわけでございまして、その辺の運用につきましては、適切に行なわれてまいりますように——これがどんな基準を設けましてもなかなかむずかしい問題でございます。そのときの事態に応じまして、もちろんこれは保険会社のいろいろな過去の経験もございますけれども、そういうことがうまく運用されるように私どもとしては指導もし監督もしてまいりたいということでございます。
  20. 須藤五郎

    須藤五郎君 これも家屋の全損、分損と同じく非常に判定がむずかしい問題が今後起こるのですね。家屋の全損、分損と同じように、家財の全損、分損も非常にむずかしい問題がある。この法案自体が非常に不備な点があるということなんです。これはおそらく、ぼくが追及しても、あなたたちは確たる答弁ができないし、むずかしいだろうと思う。だから、これも私はこれ以上質問しませんがね。そういう不備な点があるということもあなたたちはやはり認めておかなくてはいけないと思う。それで、実際の場合には、これは被保険者に有利なように善処して考えて行なうということがやはり必要になってくると、こういうふうに思うのですね。
  21. 中尾辰義

    中尾辰義君 関連。いまの家財道具でも、また家屋の問題にしても、いろいろ質問があったように、非常に全損ということが判定がむずかしい。また、保険料の値上げにつきましても、政令でもってきめる。こういう問題、法律と同時に、政令内容というものは大体こういうふうになっているんだと、あなたのほうで大体はっきりして出さなければ審議ができないでしょう。で、答弁でいろいろ言っていらっしゃいますけれども、実際査定の場合に問題が多いんだ、こういうのは。現在火災保険でもそうでしょう。ですから、それを審議しても、結局これは水かけ論に終わっちゃう。だから、そういうものは、あなたのほうで政令内容というものをほぼ明らかにしたものを出せばいい、法案と一緒に。建設委員会等におきましては、法案政令と添えて委員会出している。これを審議しても、あんた、結局水かけ論ですよ、一時間やっても二時間やっても。あなたとしてはどういうものをおつくりになるのか。おそらくこまかいのをずっと、こういう場合こういう場合と、こうなるんでしょう、おそらく。そこら辺のところが問題になっているんですからね。この問題だけでずいぶん時間が経過している。
  22. 上林英男

    政府委員上林英男君) 御質問の点につきましては、私どもは一番適正な運用をはかっていかなければならない点だと心得ております。で、その点につきましては、前々から申し上げておりますように、政令ではございませんが、この統一的な査定基準をつくるつもりでおります。建物につきましては、建築学者その他を集め、また火災等につきましても、保険会社の過去の経験も生かしまして、統一的な査定基準をいま逐次つくっておるわけでございます。それによりまして、地震の場合におきましては、相当場合によりましては大規模な共同査定をやらなければならないことがございますので、それにも備えまして、統一的な査定基準をつくり、それによって運営がうまくいくようにという努力を目下重ねているわけでございます。おっしゃいます点につきましては、私どもも十分心がけまして、適切に運営がされるように努力をしていきたいと思っているわけでございます。
  23. 須藤五郎

    須藤五郎君 順序がいろいろ違いますけれども、この地震保険に加入した人は、非常な不十分ながら九十万なり六十万という保険金が入るというわけですが、しかし、これに加入できない人ね、加入したくても保険料がない人、加入できない人は、一体地震で全損をされた場合救助法適用を受けるということになるのですか。地震保険ができたら救助法適用しないということになるのですか、どうですか。
  24. 上林英男

    政府委員上林英男君) 地震保険はみずからの財産を保険料を払いましてこれを守るというたてまえで設計をいたしておりますわけでございます。したがいまして、緊急の場合に災害救助法を発動いたしましてたき出しをやったり仮設住宅をつくったり、いろいろなことをやるわけでございますが、この地震保険とは全く無関係でございます。したがいまして、もちろん入っている人も入っていない人も応急の措置適用は受ける、こういうことになっております。
  25. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう一つ聞きますが、それじゃ地震保険の支払いを受けた人には災害救助法適用されないのですか。
  26. 上林英男

    政府委員上林英男君) ただいま申しましたように、無関係でございますので、かりに地震保険に入っておる方でも災害救助法適用を受け、実情に応じてはたき出しのあれも受け、それから仮設住宅なんかにも入るということになるわけであります。
  27. 須藤五郎

    須藤五郎君 ちょっと、これは法務関係質問になるかどうかと思うのですがね、家主は全損の場合家を再建して借家人に貸す義務があるかどうかという問題なんですがね。
  28. 上林英男

    政府委員上林英男君) その関係もこの法案とは無関係でございますので、したがいまして、そういう義務はない、ただいまの法制ではないということになっておる、そのとおりでございます。
  29. 須藤五郎

    須藤五郎君 罹災都市借地借家臨時処理法という法務省の関係法律ですがね、その中によると、借家人は優先的に入る権利がある、再建された場合ですね。そういう法律。それから第二には、家を家主が建てない場合は借家人がみずから建てる権利を有すということがあるわけですからね。まあ借家人は、家主が建てない場合、六十万円なり九十万円もらって建てるということは、まあできるわけなんですがね、土地があったら。そうすると、家主は全損の場合保険金取っちゃうわけですね。家主が金もらっちゃうわけですよ。そうすると、借家人金一文も入らぬわけです。家主は金だけもらっておいて、あと家を建てぬ。そうすると、借家人は、金はもらわない、家は建たぬ、家主が建ててくれぬということになると、これは非常に困ったことになるわけなんですね。そこで、借家人に非常な不合理な不都合な面が起こってくると思うんですね。今度の地震保険法案の中でも、家主はその土地に家を建てて借家人に貸さなければならない、保険金取るんだから。保険金もらってしまえば知らぬ顔じゃなく、保険金取ったなら貸し家を再建して借家人に貸すという義務がなければ、おかしいじゃないですか。その点はどういうふうに考えておられますか。
  30. 上林英男

    政府委員上林英男君) ただいまのお話は一般の借地借家法の問題でございまして、普通の火事が起こりました場合でも同じような問題が起こるかと思いまするが、この地震保険法案につきましては、一般的に国民の生活の安定等をはかるという考え方でできておるわけでございます。その借地借家の分野、非常にむずかしい問題があろうかと存じますけれども、その分野まで立ち入っていろいろと規定をしておるものでもございません。したがいまして、仰せられました点につきましては、借地借家の問題点の処理が必要であろうかと思うわけでございます。その点につきましては、なかなかむずかしい問題であろうかと思います。そういう考え方でございます。
  31. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、やはりこの地震保険借家人の立場に立って考えられていないということですね。家持ちの立場に立っているわけですね。だから、家持ちは家がつぶれれば金もらえるけれども借家人家財焼かれて、それで着るものもないし何にもない状態で、生活に困るという状態が出てくる。やはりこれは借家人の立場に立って考えるということが私は必要だと思うんですよ。だから、この地震保険はやはり家持ちの立場に立って考えたものであって、借家人の立場に立ってものを考えていないということが言える、こういうように思うんですね。  それから、第四条に保険金の削減という問題がありますね。これは、あんた、保険金三百万円かけて、それで九十万円もらう、六十万円もらう。ところが、災害が大きくなって三千億以上の災害になると、これがもし六千億の災害になると、これは半分にされてしまう。災害が大きいということは被害が大きいということになると思うんですよ。被害が大きくなれば、もっとよけいもらわなければならぬ、そろばんが合わぬというのに、被害が大きくなれば、災害が大きくなればなるほどそれがだんだん削減されていくというのは、一体どういうことなんですか。一方的な都合ばかりで、被保険者の都合なんというのは全然考えていないことになりはしませんか。そこはどういうふうに考えておられますか。
  32. 上林英男

    政府委員上林英男君) 地震保険は、時と場合によりまして非常に被害が大きくなる可能性を秘めておるものでございまして、これを無制限にいたしますと、国の財政力にもおのずから限度がございまするので、一たん被害が起きました場合におきましても、どの程度の限度にとどまるかという問題、これが非常にむずかしい問題でございます。こういう点もまた、日本が世界で一番大きな地震国といわれておりましたにもかかわりませず地震保険制度のなかなかできなかったゆえんであるわけでございます。そのようなことを考えましていろいろな制限をつけたわけでございまするが、その一つの限度といたしまして、先般御説明いたしましたように、四十一年度におきましては一回の地震による被害を三千億を限度にして支払うというふうに考えたわけでございます。ただし、やたらにこの限度が発動されて保険金の削減をしなければならなくなるということも、これもまた非常に問題でございまするので、私ども考えましたのは、わが国で最大の地震でございました関東大震災程度のものが起こりましても削減をする必要がなかろうと、そういうところにめどを置きまして、またいろいろの制限も加えたわけでございまするが、まずこの三千億という限度を設けておけば、考えられる最大のものと同じようなものが来ても削減の余地がなかろうと、こういうことで限度を設けたわけでございます。もちろん、この関東大震災よりももっと大きな地震が起こらないとは断言できませんので、そういう場合にはこの規定が適用があるわけでございますが、そういうような事情からこの三千億と定めたわけでございますので、まずこの限度の適用を受けることはないだろうということも一つ頭に置いて考えたわけでございます。
  33. 須藤五郎

    須藤五郎君 限度が三千億こえるようなことはほとんどないだろうというならば、この削減するなんていう字句を挿入する必要がないと思うんですよ。やはりあるということは想定しているわけですね。そのあった場合に、被害が大きくなった場合に削減されるということが不合理だと私は言うわけなんです。災害が大きくなってもらう金が少なくなってくるというのは、そんな不合理なことはないと思うんですよ、私は。だから、削減ということはおかしいじゃないかと、こういうことを私は言っているんですよ。
  34. 上林英男

    政府委員上林英男君) おっしゃることはごもっともでございますので、めどといたしましては、まずいままでの過去の一番大きな被害、そういう被害が起こりましても削減されることの起こらないようにというところにめどを置いたわけでございます。しかし、もちろん、おっしゃいますように、何ぴともこれ以上の被害が起こらないということは断言できないわけでございますが、しかし、それを青天井にいたしますと、先ほど来申し上げておりますように、財政力についてもおのずから限度もございまするわけでございまするし、やはり現状といたしましてはこの程度の限度を設けざるを得なかったわけでございます。そこの限度につきましては、何回も繰り返して申すことになりますけれども、まず現在想定される地震ではないであろうというめどと合わせて、またやはり一定の限度を設けざるを得ないという考え方と、両方での考え方をこの点に調和をいたしたというふうに御了承いただきたいと思うわけでございます。
  35. 須藤五郎

    須藤五郎君 民間会社の支払う保険金総額ね、これを三百億ということに区切っていますね。何でこれをもっと五百億とか一千億というふうに規定をしないのか。一体どういう考え方と計算方法で、いま三百億という数字を算出したのか、その点、お伺いします。
  36. 上林英男

    政府委員上林英男君) もちろん民間会社は地震保険ばかりではございませんので、一般の火災保険、あるいは船舶海上、いろいろな保険をいたしておるわけでございます。現在持っております資産も、そういう担保に充てるべく持っておるのでございます。したがいまして、一たん大きな地震が起こりました場合に、その保険金を支払うことによりましてそのほかの保険金の支払いに事を欠くということになっては、これはたいへんでございまするので、おのずから現状におきましては保険会社として担保し得る範囲があるわけでございます。三百億をめどと考えましたのは、現在におきまする営業収支の状況とか、あるいは一たん異常な災害が起こりましたときに備えて異常危険準備金というようなものを積んでおりまするが、そういうようなものを頭に置きましたり、資本金その他というようなものを頭に置きまして、大体現状の保険会社の資力から申しますと、一回につき三百億程度の負担をいたしましても他の業務の運営にもこと欠かない、精一ぱいこの地震保険制度の運営にも役立ち得るものである、こういうふうに考えまして三百億の限度を設けたわけでございます。
  37. 須藤五郎

    須藤五郎君 この第五条に、「収支の償う範囲内においてできる限り低いものでなければならない。」こういうようになっていますね。保険料を幾らとするのかですね。まず、先ほど質問があったように、政令できめるというようになっているけれどもね、やっぱりその政令内容がわからぬと私たち審議に非常に困るのですが、先ほど公明党の中尾さんがおっしゃったようにですね。で、保険料収入がどんどんふえてきたならば、こういう趣旨にのっとって保険料を下げていくのかどうか、そういう点で伺っておきたいのです。  それから、その保険料は、火災保険ですと地域によって違うわけです、保険料がね。地震保険も地域によって保険料が違うのかどうか。この点、まず答えてください。
  38. 上林英男

    政府委員上林英男君) 地震保険料率のきめ方でございますが、これは一般の損害保険料率と同じように、これは損害保険料の算定会というのがございまして、そこでいろいろのデータを集めまして、大蔵大臣の認可を経て施行する算定会料率というものがございます。その適用を受けしめる予定でございますので、政令で規定をすることを考えておらないわけでございます。  で、その金額はどの程度になるかと申すわけでございますが、これは総合保険自動付帯をすることに前提として考えております。ただいま住宅の総合保険の全国平均の料率が、千円に対しまして三円二十四銭でございます。百万円でございますと三千二百四十円になるわけでございます。これは全国の平均でございますから、もちろんこれより高いものも低いものもございます。これに対しまして、今後総合保険自動付帯をされました地震保険つきの総合保険は、いまの三円二十四銭に約一円程度上乗せになる予定でございます。  それから、この約一円、親契約に対します約一円という金額はどこからはじいたかと申しますと、過去四百六十七年間の日本におきます地震の記録がございます。それにつきまして、各学者がいろいろと現在の科学的知識を用いまして震度その他を計算いたしております。それをもとにいたしまして被害額をはじき、それを計算の根拠といたしまして、現在の付保状況においてはこういういま申しましたような料率を定めるつもりでおるわけでございます。  で、今後引き下げるつもりはないかという御質問でございまするけれども地震保険と申しまするのは、いま申しましたように、非常に長い年月を経ませんと結果がわからないものではございまするけれども、もちろん今後の運営によりまして地震の頻度、被害というようなものが、私どもが四百六十七年間にはじきましたような被害に比べて減ったという、あるいは減る見込みと申しますか、減るということでありまするならば、これはそういう実績を見て下げていくべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  それから、第三の、火災保険と同じように地域区分を設けるつもりかどうかという点でございますが、学者の方々がおっしゃっておりますところによりますと、日本じゅうどこも地震が起こらないと確約できるところはないそうでございますけれども、しかし、過去の記録から申しますと、非常に被害の大きかったところ、非常に少ないところと、いろいろございます。したがいまして、もちろん、この地震保険性格にかんがみまして、できるだけ、まあある地域とある地域との格差と申しますか、料率の差というものはあまり大きくないほうが望ましいという保険審議会の答申があるわけでございまするし、その線に沿いながらも、なお過去の記録をもとにいたしまして、地域的には若干の格差をつけてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  39. 須藤五郎

    須藤五郎君 その三百万円の限度で、もらうときには九十万円、六十万円というわけですが、地震だけの立場で考えると、九十万円、六十万円もらうのに何で三百万円に対する保険料を払わなければならぬのかということがあるわけです。そこはどういうふうにするのですか。
  40. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 保険料率といたしまして、いま部長が御説明いたしましたのは、何と申しますか、親契約自動付帯——その三割を自動付帯する、こういう考えでいまきておるわけでございます。その三割に相当するものが、親契約保険金額千円に対しまして平均大体一円ぐらい上乗せになる、こういうことでございます。もちろん、三百万円といいますか、三割にならない前の保険金額に対して地震の危険率その他からはじいた料率をそのままかけるのじゃなくして、三割をいいますものが地震保険の場合の保険金額になるわけでございますから、その場合の料率というものは、対千円一円というのはその三割にした数字でございます。したがいまして、もとの三百万円に対して九十万円の保険料というのではないわけでございます。その点御了承願いたいと思います。
  41. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、要するに三百万円だけれども、その中には火災保険も、それから地震保険も、いろいろのものが入っている、それだからその地震保険の分としては三分の一くらいしか保険料もらっていないから、払う場合もそうだと、こういう面ですね、それはわかると思うのです。それじゃ三百万円の総合保険をかけた人が火災になった場合、三百万円もらうのでしょう。火災のときは三分の二もらうというのですか。そうすると、地震のときと火災のときと、何だかそろばん合わないじゃないですか。地震のときはもらえぬ、火災のときは全部もらえる、それでは話が合わぬような感じがしますよ。
  42. 田辺博通

    説明員田辺博通君) これは保険上の非常に正確なことを申しますと、三割を自動付帯する。三百万円の親契約がある。火災で焼けますと、もちろん三百万円が保険金額になる。地震保険はこれに自動付帯する。自動付帯される保険金額が三割である。すなわち九十万円である。三百万円と仮定いたしますれば、地震保険保険金額は九十万円である。そういうたてまえでございます。つまり、三百万円の総合保険に九十万円の地震保険が必ず自動的にくっついてくる、そういう仕組みでございます。
  43. 中尾辰義

    中尾辰義君 関連。その場合に保険料は、火災保険保険金額、つまり三百万円に対する保険料でしょう。それでもらうほうは三分の一だと、地震の場合。その辺が、もう少し明瞭に答弁してもらわぬとややこしいのだ。
  44. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 三百万円に対する保険料といいますのは、結局いまの対千円一円といいますのは、三割にしたところで対千円一円になっているわけでございます、平均率が。でございますから、契約者の方に便利な計算の方法といたしましては、それが一番よろしい。と申しますのは、たとえば三百万円の総合保険にかかっている方は九十万円の地震保険に入ることになるけれども、それによる上乗せ保険料——保険料率ではなくて、保険料の額は幾らかといいますと、その三百万円に対する全国平均でいうと対千円一円、つまり三千円でございますね。約三千円を払えばよろしい。しかし、地震保険の正確な意味における何と申しますか、保険学上の正確な意味における保険料率、地震保険保険料率といいますると、それは九十万円に対して三千円、これが正確な意味における保険料率であるわけです。しかし、それを言いますと、かえって契約者の方々が混乱をする。つまり、もとの親の契約をもとにして料率をはじいて保険料を計算したほうが一番わかりやすい、こういうことでございます。
  45. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなた、そう言うならば、そんなに火災の場合と地震の場合とをはっきり分けて考えるならば、それじゃ、かりにぼくがいま二百万円の火災保険をつけているとしますよ。それで今度地震保険つけようと思うと、それに百万円追い足して百万円だけの——ことしの十二月が期限としましょうか。そうしたら、あと百万円分だけこれから地震の分だけ払ったらいいのですか。そうじゃないのでしょう。そういう場合は全部御破算にしてしまって、ことしの十二月まで二百万円の保険料払ってあるのに、それを御破算にして、三百万円にして今度保険かけるのでしょう。これは保険かける者の立場でいったら全く不合理ですよ。少し、保険会社の立場ですよ、これはものの考え方が。
  46. 田辺博通

    説明員田辺博通君) ちょっと誤解があるといけませんから、御説明いたしますが、かりにいま二百万円の総合保険にかかっておられる。その期限はまだあと一年ぐらい残っている。しかし、地震保険という制度ができたから、ひとつ入りたい、こういう場合にどうするか。これはこの地震保険は総合保険自動付帯でございますから、単独では加入はできない、こういうシステムになっておりますから、おっしゃるとおり、いままでの契約を御破算にする、つまり解約をいたします。解約によりまして、いままでの未経過保険料部分は差し引き計算になりますが、新しくそれでは幾らの保険にかかるか。その建物価額はかりに三百万円ある。いままでは二百万しか総合保険かかっていなかったけれども、三百万円の価額があるから、つまり更改でございますね、新しい総合保険契約三百万円入る、こういう場合をお考えになれば、そのときには自動的に九十万円の地震保険も一緒にくっついてくる。また、逆にと申しますか、いままで二百万円の保険であって、この際三百万円にするという気持ちはない、二百万円のままで続けたいのだけれども地震保険がほしい、こういう場合は、やはりいままでの二百万円の契約を途中で一ぺん切って、そうして新しい総合保険二百万円の契約切りかえ。そうしますと、その場合は地震保険金額として自動的にくっついてまいるものは二百万円の三割、つまり六十万円である、こういうことになるわけでございます。
  47. 須藤五郎

    須藤五郎君 その場合、やはり火災保険火災保険として、地震保険地震保険として単独の保険でないところに、ぼくはそういう疑問や無理が起こってくると思うのですよ。抱き合わせでしょう。そうすると、一年分払った火災保険は、それをゼロに損しなくちゃならぬ、こちらは。そうじゃないですか。
  48. 田辺博通

    説明員田辺博通君) ただいまちょっと申しましたが、いままで、まだこれから先の未経過部分でございますね、総合保険火災保険のその未経過部分の保険料は返してもらう計算になる。解約いたしますと、差し引きになるわけです。新しい保険……。
  49. 須藤五郎

    須藤五郎君 わかりました。ぼくはそういうふうに考えていなかった。御破算になってしまって、ゼロになるのだと考えていたから。  それじゃ最後にもう一問だけにしましょう。民間会社の保険料収入が累積していけば、相当な額になると思うのですよ。保険会社というのはなかなかもうかっているのですからね。だから、地震保険だってもうかりますよ、必ず。その資金は財政投融資の資金として利用する考えがあるのじゃないかと思うのです。政府はどういうふうに考えておりますか、累積した資金は何に使うか。
  50. 上林英男

    政府委員上林英男君) この地震保険によって保険会社がもうかるということは考えておりません。もちろん、長い期間のことでございますので、当面地震が起こらないことを私どもは望むわけでございます。起こりませんと、資金が蓄積していくかと思います。しかし、一たん地震が起こりますと、何十年分、場合によっては百年分も一ぺんに吹きとばすような被害が出るわけでございますので、その測定は非常にむずかしいわけでございまするけれども、先ほども申しましたように、そういう事態が、非常に幸運にして被害がないというような事態におきましては、保険料を下げるなりあるいは保険内容の改善——九十万とか六十万というような内容を改善するなり、いろいろな努力をしていくべきものだろうと思っております。しかし、当面、もしそういう事態に至りますまでに相当な資金がたまります場合には、これは現在でも損保会社の資力に応じまして財政投融資などに協力をいたしておりますけれども、今後もそういう方向で財政投融資その他の協力、あるいは、もちろんこれは契約者の金を預かっているわけでありますので、確実安全に運用をする、その一環といたしましても、財政投融資に十分の協力をさせていきたい、こう考えております。
  51. 須藤五郎

    須藤五郎君 ずっと質疑してまいりましたが、いろいろなまだ不明確な点があると思いますけれども、私がいつまでも質問しておっては、ほかの同僚諸君の迷惑になってもいけませんから、私はここで質問を打ち切ります。
  52. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  54. 北條浩

    ○北條浩君 二、三点質問いたします。  最初に、いまも問題になったんですけれども、このたび地震保険ができますと、地震による間接的火災の場合ですね、これはやっぱり問題になると思うわけです。その場合に、ただいまのお話を伺っておりますと、総合保険の場合には自動加入ですから、間接的な火災と認定された場合にはこれはどうなるのですか、その点をまず。
  55. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 御承知のように、現在の火災保険約款では、地震を直接または間接の原因とする火災、これは免責であるとうたっておるわけであります。これが最も不満なところでございますので、そのちょうど免責になっている部分を埋めよう、これが地震保険の構想であります。したがって、直接でなく、地震を間接の原因とする火災でありましても、それは地震保険保険金額を受ける、こういうことになるわけであります。
  56. 北條浩

    ○北條浩君 そうしますと、現に松代では毎日ゆれているわけですね。かりにある家でこんろの不始末で火災になった。ところが、しょっちゅうゆれているわけですから、本来ならば、たとえば百万円の総合保険に加入している場合ですね、かりに地震保険がない場合には、これは百万円まるまるもらえた。ところが、このたび地震保険が自動加入になった場合に、はたしてこれが地震と関連があるかないかという認定が問題になると思いますね。いままでは百万円もらったのが、今度地震保険に自動加入になったために、これが三分の一になることは、これは非常に不合理だと思う。この点を明らかにしておきませんと、現に松代では毎日ゆれているわけですから、これは当事者としては非常に問題だと思います。この点、はっきりしておきたいと思います。
  57. 田辺博通

    説明員田辺博通君) この地震保険ができたために、従来は地震火災ではなくて、単純な火災として扱われるはずであったのに、地震保険ができたために、地震火災で扱われるというようなことは全くの不合理でございまして、このようなことはないものと信じております。理論的に申しますと、地震を直接または間接の原因とする火災であるかないか、それによりまして地震保険がなければ免責、あれば地震保険が払われる、こういうことになるわけであります。
  58. 北條浩

    ○北條浩君 理屈は確かにそうでしょうけれども、実際に一回の地震が、七十二時間を一回の地震とするわけですね。松代では日に数十回もゆれているわけですね。ですから、これがはたして地震関係ありやなしやという認定はむずかしいですね、実際問題として。その場合に、はたして被保険者の立場に立ってやってくれるかどうか。これは間接的な原因と認定されれば、現に松代等においては、こんろの不始末の火災等においても、これは地震によって起きた火災だという理由をつければつけられないことはないと思う。その点をはっきりしておきたいと思う。
  59. 上林英男

    政府委員上林英男君) 地震火災の間接の原因であるかどうか、こういう問題、地震火災との間に相当因果関係があるかどうかということが、これが問題でございます。たとえば、損害の発生までの間に過失がございますと、いま火の不始末とおっしゃいましたが、これは通常の因果関係が切断をされますので、全くの過失でありますと、これは単純な火災ということになるわけでございます。ただし、その場合におきましても、地震があった、したがってその混乱状態、非常事態のような、人心が動揺しておった、そのために通常の過失が過失でなくなる場合というものがございます。たとえば、過去の判例にもあるわけでございますけれども、一回地震が起こりまして、停電になったので、ろうそくを立てていた、ところが、次に地震が来たので、あわててろうそくを消さないで逃げてしまった、その結果火事を起こした、これはろうそくを消さないで出るということは、普通の平常の状態におきますると過失かもしれませんが、そういうような地震という非常事態では、まあ大多数の人がそういうふうにろうそくをおっぽらかして逃げてしまうのもごく考えられることだ、こういうふうな状態でございますと、これは因果関係が切断をされませんので、地震を間接の原因とする火災である、こういうふうに判決が出ておることもございます。したがいまして、具体的な事実の認定といたしましては、いま申しましたような地震火災との間に相互因果関係が成立するかどうかというところが問題なわけでございまして、こういう点につきましても、なお裁判所とかなんとかいう判決を待たないで、できるだけ円滑に運用ができますように、私ども保険会社とこういう運用基準その他につきましても十分よく話をし、円滑な運用ができますように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  60. 中尾辰義

    中尾辰義君 関連。地震の最中に火災が起こって、そして全焼した、この場合は三分の一を限度としてもらえる。ところが、地震が終わったが、火災がなお続いておる、その火災のために類焼で焼けた、こういう場合はどうなるのですか。
  61. 上林英男

    政府委員上林英男君) 地震による火災の延焼、これもただいまの普通の火災保険では免責になっております。それの裏を埋める意味が今回の地震保険でございますので、地震を直接の原因とする火災の延焼、これも地震保険制度によってカバーされるということになります。
  62. 中尾辰義

    中尾辰義君 その場合、三分の一ですか、三割しかもらえない、こういうことになるわけですか。
  63. 上林英男

    政府委員上林英男君) 仰せのとおりでございます。
  64. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうすると、地震によって火災が起こると、その火災のために類焼して焼けた場合は全額ですか、保険金の三割ですか、はっきりしてもらいたい。
  65. 上林英男

    政府委員上林英男君) 御質問の点につきましては、ただいまの火災保険では免責、したがって保険金の支払いはないわけでございます。今後新しいこういう地震保険制度ができますと、三割を支払う、こういうことになります。
  66. 北條浩

    ○北條浩君 いまの問題については、被保険者に不利益にならないようにやってもらいたいと、希望としてつけ加えておきます。  次に、いままでも問題になりましたけれども、どうしても損保会社というのは一般的にもうけ過ぎているという感じがするわけです。感じでは話になりませんので、大体その損保会社の収支の状況を聞きたいわけです。
  67. 上林英男

    政府委員上林英男君) 非常に簡単に申し上げますと、三十九年度の損益状況について申し上げます。総利益が四千六十四億でございます。そのうち保険料収入が三千二百八十九億円、これに対します事業費、保険金の支払いを含めました支払いが四千百十四億、したがいまして、事業から生じます収支が五十億七千百万円の赤字でございます。ただし、保険会社は御存じのように未経過保険料その他の準備金を持っておりますので、その資産の運用収入等が二百六十三億四千九百万ございますので、それからその他の損益、これはいろいろの準備金を積みかえたりいろいろいたしますので、そういうものの損益が百二十九億四千百万円ございますので、合わせて資産損益といたしましては百四十一億八百万円の黒になっておりますから、先ほどの事業損約五十億を差し引きまして、当期の、昭和三十九年度の利益金は九十億三千七百万円でございます。
  68. 北條浩

    ○北條浩君 現在の損益状況はわかりましたが、この資産の内容についてお伺いしたい。
  69. 上林英男

    政府委員上林英男君) 昭和三十九年度末の総資産が四千百六十三億ございます。そのうち現金、預金が七百九十六億、株式が千四百五十三億、その他有価証券が二百六十九億、貸し付け金が六百四十五億、不動産が三百九億というようなところがおもな資産内容でございます。
  70. 北條浩

    ○北條浩君 負債も。
  71. 上林英男

    政府委員上林英男君) 負債科目といたしましては、責任準備金が、昭和三十九年度末の状況でございますが、二千百二十四億、それから支払い備金、これは事故が起こりましてまだ未払いになっておるもの等でございますが、三百億、資本金または基金が四百七十五億、そのほかいろいろの積み立て金が五百九十七億、その他負債五百六十九億、こういうものでございます。
  72. 北條浩

    ○北條浩君 そうしますと、現在責任準備金としても二千百億以上の準備金があるわけですね。今回かりに、先ほどのお話によりますと、地震保険の料率が千円に対して一円だと、これに対して今度は総合保険基準として見た場合に自動加入による保険料の収入ですね、これはどのくらいになりますか。
  73. 上林英男

    政府委員上林英男君) 昭和四十一年度で推計いたしておるわけでございますが、これは四月一日から一年分ということでただいま計算をいたしておりますが、実際は若干施行がずれますので、その点の食い違いがございますけれども昭和四十一年度におきます地震保険によります保険料収入というのは、全部で五十五億程度考えております。このうち、国に再保をいたしますので、国への再保料はいまのところ大体三〇%程度考えておりますので、その三〇%程度が国の再保険特別会計へ入ってまいりまするわけでございまするから、その五十五億の約七〇%程度が民間の保険会社に入ってまいりまする保険料と、こう考えております。
  74. 北條浩

    ○北條浩君 いま五十五億と言われましたけれども、総合保険の現在の年間契約は幾らですか。
  75. 上林英男

    政府委員上林英男君) 昭和四十一年度の総合保険がどの程度になるかという推計を過去の実績から推計いたしますと、大体四十一年度においては七兆円程度保険金額の加入があるものと考えております。
  76. 北條浩

    ○北條浩君 そうしますと、七兆円ですと、千円に対して一円だと、七十億になるのじゃないですか。
  77. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 平均対千円一円というのは、総合保険に対する割合と申しましたですが、いまの五十五億といいますものは、いわゆる純保険料分でございます。これが純粋の危険率に対応するもの、したがって、その三割部分が、四十一年度でございますと、おそらく国庫の中に入るであろう、こういうぐあいに考えておるわけでございますが、実際の保険料には、それに対しまして代理店手数料あるいは会社の借金、こういうものを付加保険料として計算をいたしまして上乗せをいたします。したがいまして、いまの計算は必ずしも対千円一円には合わないわけでございます。
  78. 北條浩

    ○北條浩君 そうしますと、先ほど損益状況の実情を聞いたわけですが、保険料収入幾ら幾らと説明されましたね。これに対してやはり損失勘定に事業費と出ていますね。いまおっしゃった代理店手数料等は事業費として経理勘定から落ちるのではないですか。
  79. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 営業保険料が収入に立ちますかわりに、いまの事業費部門、これは損失として落ちるわけでございます。その事業の中に、会社の社費の中に代理店の手数料も入っております。
  80. 北條浩

    ○北條浩君 そうすると、いまの説明と矛盾するように私は思うのですけれども、収入のときにすでに代理店手数料等を落として、五十五億と言われましたけれども、収入はどこまでも七十億と計算して、経費は経費として計算する、これが当然の常識だと思うのです。
  81. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 簡単にそれを落として純保険料でもって計算をいたしたのが五十五億、こういう数字でございます。つまり、経費分を落としたわけでございます。
  82. 北條浩

    ○北條浩君 そういう説明を聞きますと、非常に一般の国民には誤った感じを与えますね。収入は収入として計算し、支出は支出として計算するのが、これは当然の常識なんですから、最初から落としてそれを収入として計算されれば、これは非常に保険会社としてはもうけは少ない、こういう感じを与える。そういう言い方はまずいと思います。
  83. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 御質問の趣旨が保険会社に年々どれくらいの保険料がたまるかというような御趣旨かと思いまして、私どもも常にそれを考えております。また、国の再保険特別会計にどのくらいの収入があるだろうかというものを一緒に考えておるものでございますので、手元の資料といたしましては、純保険料で計算をした五十五億があるわけでございまして、別に保険会社の収入を少なく見せるためにという意味ではございませんので、御了解願いたいと思います。
  84. 北條浩

    ○北條浩君 まあやっかいな説明で、わかりましたけれども、それでは、保険料収入としては七十億あるわけですね、計算上は。そうしますと、先ほどのお話にもありましたように、過去四百六十七年ですか、その地震の災害の平均事故率ですか、これを換算すると、年間二百億、このように伺っています。それは間違いないですか。
  85. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 現在の保険料率算定の過程でございますが、四百六十七年間の過去の地震を、再洗いするといいますか、計算をし直しまして、被害額を四百六十七で割るのが簡単な考え方でございます。その数字は大体百八十億程度になるわけでございます。年間百八十億程度の支払いになると考えております。
  86. 北條浩

    ○北條浩君 そうしますと、現在の総合保険契約に対する自動加入でさえも、それだけでも七十億の収入があるわけなんです、新たに。そのほか現在の火災保険に対して任意加入でどんどんふえていくことが十分予想されますし、また、そうなければ、このたびの地震保険の設定の意味はないと考える。今後、したがって、損保会社には地震保険による相当なやはり収入増が予想されるわけですから、これに対して過去の平均事故率というのが百八十億といいますと、さらにその三割が支払いになるわけですから五十四億で済むと、こういう計算になりますね。先ほど私が問題を提起したように、いままででさえも保険会社はもうかっている上に、さらに地震保険によってもうけが上積みされると、こういう結果になると私は思う。
  87. 田辺博通

    説明員田辺博通君) まず、簡単に筋道を申し上げますと、百八十三億くらいに年間の支払い平均額がなると思いますが、それの三割がつまり先ほど申しました五十五億に相当するわけでございます。保険料といたしましては、年々にかりに同じ程度の平均した地震災害が起こると仮定いたしますると、年々五十五億の収入でもってまかなえるはずだと、こういう計算になるわけであります。それから、普通の火災保険に任意付帯をすればまたもっと収入が上がるだろう。これは確かにそうでございますが、いまの百八十三億と申します数字は、総合保険自動付帯の設定でもってこの年間の支払い額を算定いたしたわけでございますので、またさらにその契約の普及が普通保険に任意付帯の道でもふえるということになりますれば、震災害があった場合に支払う保険金額はそれに応じてふえるということになるわけでございます。
  88. 北條浩

    ○北條浩君 そうしますと、現在の損保会社、これと新たにできる再保険会社ですね、この関係について伺いたいわけですが、まず一円と仮定した場合、この割り振りはどうなんですか。
  89. 上林英男

    政府委員上林英男君) このおおむね一円の地震保険料でございますが、これはまず国に再保険をいたすわけでございます。国はいま考えておりますのは超過損害保険でございまして、百億までは民間が全部、百億から五百億までは民間と国が半々、五百億をこえますと国が全額を持つと、こういう予定をいたしております。過去の四百六十七年間の地震記録に基づきまして、かりにこういう地震昭和四十一年度に起こったならばどの程度被害が出るかというのを一々算定をいたしまして、いまの申し上げました基準を当てはめてまいりまして、国と民間との負担部分が幾らになるかという額をおのおの算出いたします。おおむねそれが昭和四十一年度におきましては国が三〇%程度を負担するという計算になりまするので、一円のうち約三〇%は国が再保険料として収入をする、こういうことになるわけでございます。  あとの七〇%につきましては、これは民間の問題でございまするが、ただいま私ども考えておりまするのは、新しい地震保険——こういうような一たん起こりますと非常に巨額な災害が起こりますものにつきましては、業界が一つとなりまして連帯して運営をうまくやっていこうという意味も兼ねまして、再保険会社を設立する予定でございます。この再保険会社と元請のそれぞれの保険会社と、その負担割合につきましてはまだきまっておらないわけでございますが、残りの七十銭程度のものにつきましては、この再保険会社と元請会社というものがおのおのの負担の割合に応じまして保険料も徴収し収入を得ると、こういうかっこうになるわけでございます。
  90. 中尾辰義

    中尾辰義君 いまの損益計算の状態は話してもらったのですけれども、ついでにひとつ最後の、損保会社の利益金が約九十億と、こうなっているのです。その九十億というものはどういうふうに処分をされるわけですか、それをひとつ大体説明してください。
  91. 田辺博通

    説明員田辺博通君) ちょっといま手元の資料をさがしますが、利益金の中の配分は、株主に対する配当、それからその前に商法上の法定積み立て金がございます。そのほかに任意の積み立て金もございます。残ったものを株主に対する配当、こういうぐあいに配分するわけでございます。
  92. 中尾辰義

    中尾辰義君 賞与なんかもあるわけだね。
  93. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 役員賞与もございます。
  94. 中尾辰義

    中尾辰義君 どのくらいになっているのですか。
  95. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 三十九年度の全社の利益、これは前期からの繰り越しも含めまして九十五億になりますが、そのうち役員賞与金に回っておりますのが一億七千六百万でございます。
  96. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、その保険金の支払いですが、これは三割を限度とする。「ただし、特別の事情があるときは、政令で定めるところにより、これに代わるべき金額とすることができる」、ですから、三割をこえる場合もこれはあるわけですね。そういうのはどういう場合にそれが適用されるのか。
  97. 田辺博通

    説明員田辺博通君) これは大体二つのことを考えております。  一つは、先ほどちょっと御説明しましたように、地震の危険率の高い地域につきましては、格差を縮めると申しましても、ある程度段階をもって平均料率よりは高い料率になる。そうしますると、自動付帯でございますので、その保険料部分はいわば自動的に取られるといいますか、契約者としては負担が増加することになるわけでございます。それをしゃくし定木に三割ということで一律にきめますると、保険料の追加負担が非常にいままでの総合保険保険料に比較して高くなる地域が出てくるおそれがある。その場合には、むしろ三割というものにこだわらないで、契約者の希望があればそれより以下の、二割五分とかそういった割合に薄めてやってもよろしいではないか、こういう考え方がその政令で規定しようとしている第一点でございます。  それから、第二点は、月掛けの保険という形態がございます。この月掛けの保険は一種独特の形態を持っておりまして、毎月の納める保険料を丸く単位で区切っております。それから、それに対応しますところの保険金額も、丸く単位で区切っておる。つまり、一種のタリフといいますか、表ができ上がっております。それでおおむね保険料率といいますものを適用して、そのタリフをつくっているわけでございますが、法律どおり三割というぐあいに考えますると、保険料保険金額のタリフをつくる関係から、端数等の関係で低い保険金額、たとえば十万円というような保険金の場合には、保険料として払い込むものも、三割にならぬというような端数と申しますか、三割を上下する場合がありますので、それを政令で救おう、こういう考え方でございます。
  98. 瓜生清

    ○瓜生清君 ごく簡単なことを二、三質問しますが、まず一点は、さっき保険部長が全損についての判定基準、こういうことをいま策定しつつある、こういうお話でした。それは政令によらないということですけれども、どういう形で出てくるか、たとえば大蔵省の内規というような姿になるのか、その点をひとつ伺います。
  99. 上林英男

    政府委員上林英男君) これは正確に申しますと、保険会社査定の内規ということになろうと思います。もちろん、その中身につきましても、これは大蔵省もよくこれを監督し指導していくというたてまえのものでございます。
  100. 瓜生清

    ○瓜生清君 それから、もう一つは、法案の第二条第一項の一番あとのほうに、「他の法律に基づき火災に係る共済事業を行なう法人で大蔵大臣の指定するものをいう。」、こうあります。これはどういう範囲のことを考えているのですか。
  101. 上林英男

    政府委員上林英男君) この「他の法律に基づき火災に係る共済事業を行なう法人」といたしましては、たとえば中小企業等協同組合法に基づきまする火災共済協同組合等がございます。そういう法人につきましても、一部におきましては、火災保険のほかにこういうような地震保険法律をやりたいという希望を持っておられるところもあるようでございます。そういうところにつきましては、この地震保険法案の趣旨に合致し、かつ、契約者の保護に十分誤りがない、そういうようなものがございまして、この地震保険制度の設計に適合してまいりまする場合には、大蔵大臣が指定をいたしまして、この地震保険法の適用を受けしむるということを考えておるわけでございます。
  102. 瓜生清

    ○瓜生清君 具体的に損保二十社以外に、そういう大蔵大臣の指定するものというのは、いま大体そういう事業をやっても何とかやり抜けるんじゃないかという力といいますか、そういうところは一体どういうところがあるのか、大蔵省ではどの辺をねらっておられるわけですか、これは全然未検討ですか。
  103. 上林英男

    政府委員上林英男君) 私どものところに、この法案による適用を受けたいという御希望がありましたのは、いま申しましたような火災共済あるいは農業協同組合などもあります。ただし、この保険を実際に運用いたしまするには相当の準備が要るわけでございます。自分の負いまする危険損害度とか、あるいはそれに対する担保をどうするとか、いろいろの問題がございます。これらの点の準備が、まだ実はいま申しましたようなところは十分できておりませんわけでございます。今後そういう希望がございますと、そういう点を御相談をしながら考えていくということで、まだどういうことになりまするか、はっきりいたしておらないわけでございます。
  104. 瓜生清

    ○瓜生清君 再保険会社についてお伺いしますが、これは全く純然たる民間会社という構想ですか。
  105. 上林英男

    政府委員上林英男君) 仰せのとおりでございます。この再保険会社と申しますのは、先ほどちょっと申し上げましたように、新しい、かつ、損害度が非常に不安定な、しかし一たん起これば非常に大きな被害をこうむるというおそれがあります場合には、業界が一体となって、かつ危険をお互いにカバーし合う、これは保険用語で申しますと、損害のプールというようなことでそういうことをされておるわけでございます。たとえば原子力などの場合におきましても、そういうプールを持っておるわけでございます。そういう民間会社の一つの相互共助あるいは連帯体制の一環といたしまして、この地震保険につきましてもそのプール機構を活用してまいりたいと思っておるわけでございます。この性格にかんがみまして、独立の保険会社にこのプール機構を営ましめる、そういう意味におきまして考えているわけでございます。
  106. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうしますと、その再保険会社を現時点においては一社というふうに考えておるんですか。複数じゃなく、単数ですか。一社だけですか。
  107. 上林英男

    政府委員上林英男君) 一社だけです。
  108. 瓜生清

    ○瓜生清君 終わります。
  109. 野溝勝

    野溝勝君 私は簡単に大臣からお聞きしておきたいと思うんですが、ただお聞きするというよりは希望を述べておきたいのですが、先ほど来この委員会地震保険の問題を中心にいろいろ論議がありましたが、そこで、私は特に地震保険については地元の関係で非常に関心を持っておるわけです。同僚からこまかい質問がありましたから、そういう点は省略しますが、特に建設大臣も四月の二十三日に現地に行かれまして、それでまあいろいろ心配していただいてありがとうございました。しかし、その際あなたが記者会見をしまして、たいしたことはないと、この程度のことはあまり心配するに足らぬというような表現をされたんですね。それはここで新聞を一々読み上げませんが、あなたにも記憶があると思う。記憶がなければ申し上げますが、せっかくあなたが地元を喜ばし、それから政府を信頼させようと思って、実際視察に行かれましたが、その記者会見が私を失望させるに至ったということは非常に残念だと思っているんです。というのは、こうなんですよ。記者からの質問に対して、地震と台風はわれわれにつきものだ、地震に強い木造のような家が倒れるというような大騒ぎになれば、それはもうおしまいだと。これはどういう意味で言われたか知らぬけれども、まあそんなに心配するな、こういうあなたの気持ちで発言されたと思うんですが、地元は毎日何千回という震動を受けているわけですね。特に震度四あるいは五というようなところになれば、これは大地震ですよ。そういうときでございますから、あなたは非常に熱心にやられておるんだけれども、こういう発言は、ノイローゼになっているときは注意したほうがいいと思う。これをまずあなたに苦言を呈しておく。  それで、まあそれはそれといたしまして、地震に対し非常に政府努力しておることもよくわかります。その結果が、やはり地震保険という制度になったと思うんです。ですけれども、これについて私ちょっとお聞きしたいことは、保険料率ですね、保険料率を今度一円上げるわけですね。それはどういうお考えでしょう。結局、非常に災害をこうむって、いろいろ負担が重なって、地元民は全く経済的にも非常に悩んでおるわけです。特に商売などはできません。あなた行って視察されたとおり、松代だけではない、あそこの温泉地帯などはほとんど営業ができません。人が来なければ商売にもなりません。ほかの雑貨店にしても何にしても、こういうような状態で手も出ないときに、地震保険制度をつくってもらったのはいいけれども、料率を上げていくという、この気持ちがわからぬのですがね。これはどういう考え方から料率を上げなきゃならぬのですか。この点につきましてお伺いします。
  110. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) まず最初に、私が、長野だと思いますが、記者会見で申し上げたことについて御注意いただきまして、もし私が記者会見で申し上げましたことが、地元が非常に心配されるということは私はよく承知しておりますから、それを刺激するようなことになっておるとすれば、これは私は大いにあやまりたいと思います。けれども、そういうつもりではもちろんなかった。  まあ今回行きまして、昨年の十二月でしたか、その場合よりも相当に個人の住まい等についても補強工作が進んでおりました。まだまだ不十分であるから、御承知のように国有林材等も県に一括して安く払い下げることにして、個人個人というわけにいかないから、県で責任を持って、県におまかせするから補強をもっとやるべきである、こういういろいろな手配と申しますか、そのことを御相談しておったわけであります。日本には地震と台風は全くつきものでありますから、それをこわがっておってもしかたがありません、それと戦わなければならない、これは私の平素の心がまえでありますから、これはそこまで十分にやって、それでもつぶれてしまうというようなことであれば、それは処置ないんだ、こういう趣旨であります。決して地震をばかにしておるという、地元が心配しておるような趣旨でなかったことだけは御理解を願いたい。  それから、地震保険の料率を一円上げたと。正直なところ、私は地震保険内容、こまかいことはよく存じておりません。これはまあ関係の大蔵省のほうから御説明があったと思いますが、これは松代地震のみならず、御承知のとおり日本では従来地震保険というのは成り立たない、こういうことで非常に地震の多い国でありながら保険制度がなかったのでありますが、やはり地震保険という制度をつくるべきである、新潟地震以後特にこれがまた現実の問題となりまして検討を進めておったわけでありまして、特に松代地震のように非常にゆれが、長期の地震が起こる、どうしても地震保険が必要である、こういうことで政府もつくる気になりまして、まあ松代ではいまお話しのとおり長い間日夜ゆれておりますから、いろいろ御心配もあることであると思います。ただ、松代地震対象にしてこの地震保険をつくろう、こういうことでございませんので、特にそこに保険料を上げたと、こういう事情ではないわけでありますから、保険制度を、地震を加味した保険をつくる以上は、ある程度の料金と申しますか、それは要るものであると私思いますが、こまかい点は大蔵省からひとつ御説明を聞いていただきたいと思います。
  111. 野溝勝

    野溝勝君 大臣の率直な御所見を聞きまして、まあ私もそのとおりだと思うのです。あなたが非常に実地調査までされて情熱と愛情を傾けられた、これは行政官として非常にいいことだと思うのです。その行った大臣がさようなことを言うのはちょっと的はずれだと思っていましたが、やはり新聞にも失言続出とかなんとかいうことが出ておるし、また、地元の人も、どうも大臣は自分が来たときにはちょうど大きな震動がなかったからね、そんなことは平ちゃらだと考えてああいうことを言ったんじゃないかというようなことで、そういううわさが飛んでいるわけですが、しかし、御承知のごとく半年近くもこういう何千回も震動があるので、それはもうノイローゼになりますから、神経が非常に敏感です。だから、私はさような苦言を申したのですがね。そのくらい神経を使っておりますから、行政官たる大臣は少し考えたほうがいいだろう、こういう意味でございますから。よくわかりました。  そこで、保険料の問題については、あなた、率直に、こまかいことは大蔵関係にお聞き願いたいということですから、私はここで、あなたは主管大臣やっておりながら何だというたんかは切ることはいたしません。あなたの率直な御意見でございますから。  次に、私がお聞きしておきたいのは、これで結局いままでの保険、自動車損保、それから火災、今度地震保険が入るわけですが、この保険契約高が七兆何千億円ですね。そこで、これが今度は地震保険が入るということになりますると、契約高が非常にふえてくると思うのですね。そうなってくるというと、料率の問題が非常に、何といいますか、響くわけですね。ところが、保険契約内容を見ると、どうも三百万について九十万、先ほどの論議の中ではなかなかめんどうな事態があるようです。ですから、私はきょうこまかい話はあなたから聞くんではありませんが、こういう点は親心を持って災害者にこたえるように料率の問題も考えてもらいたいということを私は申し上げておるんですから、その考えなり精神なりについては同感でございますか。大臣の御所見を聞いておきたい。
  112. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 保険の問題は大蔵大臣の所管でございますから、私から御満足のいくようなお答えはできかねると思います。けれども、地元の皆さんが非常に心配されておる、苦労されておるその気持ち、その状態はわかりますけれども、やはり保険でありますから、平素地震がないときにかけておくものでありますから、ある程度の掛け金というのはこれはやむを得ないことだろうと思います。いま非常にああいう異例な地震が続いておりますから、その中に保険料という問題が出てきますと、野溝さんのお話のようなことがありますけれども地震保険というのは地震が来ないときにかけておく趣旨のものでありますから、ある程度の料金というものはこれは保険の制度上やむを得ないことであろうと思う。私はそういう考え方を持っておるわけでございます。
  113. 野溝勝

    野溝勝君 最後に、あなたはお忙しいから、一言だけ申し上げておきたい。こういう点はひとり松代ばかりの問題ではありません、災害地の人々は非常に神経をとがらしているわけですね。ですから、こういう一つ保険制度にしても、あるいは災害のいろいろの施策を講ずるにいたしましても、私はこまかい問題が非常に心配になってくるんですね。だから、大臣、こまかいものは下にまかせてあるとかあるいは他にまかせておるということでなく、あなたも親心を持っておるのだから、非常に心配しておるのだから、それを徹底するようにする。先ほども委員会で問題になったが、こまかい問題については質問しなければわからぬ。われわれが地元の災害地に行きましていろいろ聞かれる、たとえば保険のことを聞かれる、料率はもちろんでございますが、今度支払いについてどういうことになるのかというようなことも聞かれます。そういうときには、やはりここで論議をして明らかにすることもあるけれどもだ、もうちょっと親切に、政令などこういうときに同時に出したほうがいいと思うのですね。それから、査定などに関しましても、ある程度資料を出して、そして審議されたほうが、あなたのほうもいいし、またわれわれ政治家もいいと思うのですね。そういう点は今後に残された問題ですが、しかし、今後といっても、いま当面の問題だ。だから、この際大臣はこういう点を十分相談されてひとつ善処するというお答えを願えれば、私はそれで質問を終わります。
  114. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) まことに恐縮でありますが、突然のお呼び出しで、全然所管外のことでありましたので、地震のほうは扱っておりますけれども保険のほうは私のほうで扱っておりませんので、まことに満足のいくような答弁ができなくて恐縮でございますが、いま承りますと、附帯決議案等があるようでありますが、こういう点は政府部内でもよく相談をいたしまして、できるだけ困っておる方々のためになるように努力をいたしたい、かように考えております。
  115. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  116. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  117. 中尾辰義

    中尾辰義君 いまの問題ですが、これは政令法律の問題は、各委員会によりまして、非常に親切な委員会もある。政府側が政令等を添えて出す委員会もある。あなたのほうの建設委員会なんか、この点よくやっておる。  そこで、私がお伺いしたいのは、法律政令の限界点はどこにあるのか、その点を明確に答えていただきたい。法律政令、その境目はどこにあるのか、また準拠法律はどうなっているのか、その点を大臣から……。部長でもけっこうですから。
  118. 上林英男

    政府委員上林英男君) 法律政令の区分でございますが、もちろん御案内のように……
  119. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  120. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  121. 上林英男

    政府委員上林英男君) 法律事項といたしましては、御案内のように国民の権利義務に関することでございますとか、もちろん各般の、憲法を含みまするいろいろな条項から、法律事項というものがあるわけでございます。それを施行いたしまするために、施行細則的なものを政令で書くわけでございます。したがいまして、この法律案につきましても、もちろんその区分に応じてつくってあるわけでございます。なお、この政令事項につきまして、政令案要綱というものを、まことに恐縮でありますがお出しをしなかったということでございますけれども、要綱におきましては、全部政令事項を盛り込みまして、要綱をつくって、要綱としてお配りをいたしております。お答えいたしておりまするときにも、政令に盛り込ませる事項につきましては、含めましてお答え申し上げたわけでございます。たとえば九十万円、六十万円というのは、これは政令できめる予定にいたしております。と申しますのは、今後の推移に応じまして、担保力その他増強してまいりますると、九十万円、六十万円という限度も、それに応じてふやしていきたいという感じを持っておるわけでございます。そういう点につきましては、政令でもって限度を定めていく、こういうつもりでおるわけでございます。その他の点につきましても、たとえば政府の超過再保険額の割合というようなものも、これは政令で定める予定にいたしておりますので、これもお答え申し上げておりますように百億云々というような限度を政令できめていく、これも今後の情勢に応じましては変化を加わえてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  122. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 最初に、これは政務次官ですか、あるいは他の方でもけっこうでございますが、まあ天変地異といいますか、こういう災害は営利会社が大体やるべきものかどうかというところが非常に問題だろうと思うのです。だから、営利会社に倒れられてしまったら困るから、三千億という限度をきめたのだろうし、あるいはまた九十万、六十万という限度もそこから出てきたと思うのです。一体こういうようなことは、大きな社会保障制度の立場からいえば、国がやってもいいような感じもするわけです。一つの災害というものに対する、水害でいえば堤防とかいろいろなものを強化するとか、いろんな関係も出てきて、そこにあると思いますが、地震というのはちょっとこれは予防措置というのは非常に困難だと思うのですが、こういうようなことについては、基本的にはどういう姿勢で取り組んでおられるのか。
  123. 竹中恒夫

    政府委員竹中恒夫君) お説のとおり、国民の生命、財産はすべて国が保護すべきであるということは当然でございまするが、各般の予算等の関係等もありいたしますので、詳細につきましては保険部長のほうから、なぜ国営でできないかという点につきましてはお答えをさしていただきたいと、かように存じます。
  124. 上林英男

    政府委員上林英男君) 保険会社が営利会社であると。確かに株式会社が多うございますので、理念的には営利会社であるわけでございまするが、先生御案内のとおりに、保険業法によりまして、保険事業の公共性にかんがみ、これは免許事業とされておりまして、大蔵大臣の免許を要し、かつ、その運営につきましては大蔵大臣の監督に服することになっておるわけでございます。したがいまして、その運営につきましては、その公共性に目ざめて運営をするように保険会社におきましてもさよう心得ておると思いますが、私どももそういう形で指導をいたしておるわけでございます。  なお、これについて国営にすべきかどうかという議論につきましても、もちろん保険審議会ではいろいろ議論のあったところでございます。しかしながら、こういう制度を行ないまするときには、やはり既存の民間の保険機構というものを活用をしていったほうが社会経済的にも能率的である、また民間保険会社につきましてもある程度担保力を持っておるわけでございまするので、かつまた積極的にこれに取り組んでまいりたいという態度でもあったわけでございます。したがって、民間の保険会社担保力では不足な点について国が長期的な観点からこれに介入をしていくことによって、この制度を成り立たせていこう、こういうことでこの制度を考えたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような民間の保険会社と国とが相まちまして、この制度の完全な運用を期していきたいと、こう考えておるわけでございます。
  125. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 被災者の側に立ちますと、いままでもしばしば議論されましたですけれども地震が原因で火災が起きて家が焼けた。それで、いままでは全然火災保険等の対象にならなかったところが、今回は家が九十万、家財は六十万、だからよくなりましたよ、こう言われますが、せっかく国が、三千億をこえないという一つのリミットがありますけれども、国が出そうとするならば、実際火災だけの場合だったらば、家を三百万ならば三百万に入った場合は、ぼくは三百万の保障がされるような、そういうシステムでなけりゃならぬと思う。そうでないとロジックが合わない。被災者の側に立てば、地震なるがゆえに、地震の原因に基づいて火災になったために九十万、六十万だと、こうなってしまう。それじゃ被災者の側ではなくて、それは会社側の都合と言っちゃ少し言い過ぎかもしれませんけれども、被災者というよりもだ、どっかよそを守るというほうにウェートがあるように受け取れるわけなんです。せっかく国が金を出すというなら、もう少しそういうものに対して、三百万円の火災保険に入っておったら、それは同額の保険金が支払われるというようなところに前進をすると、ほんとうの意味の私は地震保険だと言えると思うのです。こういう点が非常に不満足なとこだと思うのです。ですから、料金も非常に心配だ。  もう一つは、そういういろいろなことを考えて今回はやむを得ぬと、こう言われるかもしれませんけれども、ぼくはせっかく国が出すというなら、そういうことをやったって、赤字になるか黒字になるか、まだわからぬですよ、実際のところ。三千億というのは関東大震災のときのを参考にしたリミットだと、こう言われるんですが、もう少し下げるなら下げるで、国がてん補していく、国がとにかく天災地異としての災害はめんどうを見ていくんだという姿勢がどっかにあらわれてくれば、非常にいいと思うのですが、こういうようなことについては、もう少し前向きで議論してもらうというわけにはいかぬものでしょうか。
  126. 上林英男

    政府委員上林英男君) お説のとおりできますれば、いまおっしゃいましたように、火災保険金額と同じに一〇〇%を、地震保険についてもこの保険金額を、付保割合をそうするということが理想の姿であるということは、そのとおりであろうかと思います。ただ、この地震保険制度につきましては、たてまえといたしまして、住宅、家財をお持ちになっている人たちがみずからの力で自分の家財建物を守るというたてまえでやっておるわけでございます。したがいまして、もしその付保割合というものを高めますと、やはりそれに応じて保険料を高めてまいらなければならないわけでございます。かつ、前々から申し上げておりますように、地震保険制度を成り立たせまするもう一つのかぎといたしましては、逆選択というものを避けまして、できるだけ大きい保険集団をつくりたいという趣旨から、総合保険自動付帯というかっこうもとっておるわけでございます。したがって、自動的に保険料が高くなってしまうということを、その限度をできるだけ低めに押えなければならないというような課題もあるわけでございます。  保険料につきましては、確かに今後の予測はできませんけれども、私どもが学者の方々その他の協力を得て、現在の状態では、過去四百六十七年の間の地震記録をもとに料率をできるだけ安くはじいたつもりでございます。これの予測以下に損害額が出てまいりますれば、いろいろな制度の内容の改善あるいは保険料率の改定というような問題に及んでまいりますることは当然でございます。今後の推移を見まして、また今後財政力もだんだん伸びてまいりましょうし、保険会社担保力もふえてまいるわけでございまするので、そういう点を勘案いたしながら、この制度の改善に努力をいたしたい。発足の当初といたしましては、この程度のところで御了承をいただきたい、こう考えているわけでございます。
  127. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたは、先ほどどなたかの委員質問に対して、地震で電灯が消えた、ろうそくを立てた、また地震が来た、そうして外へ出たら火事になった、それは地震が原因だと、こうおっしゃる。大体地震火災というものはある程度ついて回るものであってね、その場合は全部これは地震保険のほうに行ってしまうわけですか。たとえばこんろの不始末でも、あわてて飛び出して、こんろがもとで火を出せば、これは地震だと。あるいはたき火をいなかでしておって、あわてて外に出れば、それは地震によって外に出たんだから、それは原因は地震だと。こういう認定をされてしまうと、どうも何というんですかな、火災保険のためにかけておいたのが横すべりになって、地震保険のほうの対象だといって逃げられてしまう。火災保険でたくさん金を払うよりも、地震保険で少ない金を払ったほうが会社としては有利だから、みな逃げていくというようなかっこうになると思うのです。そういうことをぼくら考えれば、地震でなるほど外に出たかもしれませんけれども、そういうのは過失なんだな。だから、地震もさることながら、過失もそこにあるということ、水をかけておけばよかったなと、過失のほうにいって、火災保険対象にしてしまうと、最高裁の判例がどうやらこうやら。どうもそこら辺のところが納得できないんだが、あなたは地震にいっちまうよというような説明をされるのだが、どうも納得ができないんだが、どうなんですか。
  128. 上林英男

    政府委員上林英男君) 地震火災かどうかという問題でございますが、先ほども説明申しましたように、地震とその火災が相当因果関係があるかどうかということできまるわけでございます。過失がございますと、その因果関係が中断されるわけでございます。したがって、純然たる過失の場合には、これは普通の火災、こういうことになるわけでございます。ただ、諸般の状況からいって、過失というものが過失と責めるには当たらないという状態があるわけでございます。先ほど申しました例がその一つでございます。そういうような、地震被害が大きくてあるいは相当な異常な心理状態におきましては、火の始末をそのままほったらかして外へ出てしまうということも通常あり得るわけでございます。そういう場合に因果関係が中断いたさない。したがいまして、地震火災である、こういうふうな過去の判例もあるわけでございます。具体的に一つ一つの場合に当てはめてまいりますると、いろいろむずかしい問題もあろうかと思います。基本的にはいま申し上げたとおりでございます。  しかし、この運営にあたりましては、先ほども同じような趣旨の御質問がございましたが、この地震保険制度ができたかといって、いままで普通の火災であったものが地震保険に横すべりするということは絶対にない、そうあってはいけないと私ども思っております。それは私どもそういうことには十分注意してまいりたい、かよう考えております。
  129. 柴谷要

    ○柴谷要君 地震火災との問題ですがね、たとえば地震のために火災が発生をした、ところがそれは一部分だ、ところが二時間、三時間たってその火災が鎮火されないで類焼していった、そうするとその二時間、三時間後の火災のもとは地震だから、これは地震に該当して、火災保険は払わないで、地震関係だ、こういうような問題が出てくる場合があると、この場合に、二時間、三時間後に平静になって、そうして類焼した人が、はたしてそれで納得できるかどうか。これは大きな問題になると思うんですが、この点はどうお考えになっておられますか。
  130. 上林英男

    政府委員上林英男君) ただいまの火災保険におきましても、地震によって起こりました火災の延焼、これは免責になっているわけでございます。確かにその被害を受けられた方にとっては、いろいろ感情的にも議論があろうかと思いますけれども、そういうかっこうでずっとその制度が成り立っているわけでございます。今回そういう穴をふさぎまする意味におきまして地震保険制度を創立制定いたそうというわけでございます。したがいまして、いまの地震保険でも、飛び火したり、延焼していくというのは、今回の地震保険制度の対象になってまいる、こういうことでございます。
  131. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうなると、何か地震保険をつくったといっても、三割しか支払われない、最高が九十万円、家財については六十万というごく少額なんですね。これでは保険の意味をなさないんだな。そうすると、どうも確かに地震に対する保険制度をつくった政府の気持ちはどこから出てきたかといえば、関東大震災を基準に割り出してくると、どうもこの程度金額しかということになると思うが、もっと小さな地震で発生するいろいろな被害についてこまかい配慮が少ないと思うのですよ。むしろ類焼したような場合のほうが私はお気の毒な状態だと思う。そういうようなのが地震保険のために免疫になってしまう。こういうようなことも助かるのだというような御意見のようですけれども、どうもこの保険の問題はいい保険制度だというふうには考えられないのです。  政府も、これには世論もあるから、つくらざるを得ないという程度のことじゃないですか。実際審議をこうやってきても、あな方一生懸命答弁されておるけれども、とにかく連休前に、本日十日の日には大蔵委員会を開いて六月一日から実施をさせるために今後何とかしようという約束が、連休前からできていたはずなんだ。ところが、本日大臣はどこにいるのだ。わからぬだろう。そういう不誠意なことで、実際われわれ野党が協力できますか。政府がそんなに軽視した保険なら、こんなもの出さなければいい。一体こんな不完全なもの——この保険ができて国民全体がほんとうに喜ぶ、こういう体制じゃないんだよ、九十万や六十万ぐらいの保険金で。しかし、ないよりいいという程度で賛成してやるのだよ。それを政府が熱意がなくて、大臣がどこに行っているかわからぬというのだ。野党がこれほど協力している。野党の出席見なさいよ。審議の進行のために、他の委員会へ行ったって、大臣を引っぱってきたって、十分な審議を尽くして早くあげてやろう、あしたの本会議に間に合わして、そして多少でも松代の辺に起きておる地震の災害のために苦しんでおる人たちに多少の気持ちにゆとりでも持たしてやろうという気持ちがあればこそ、われわれ真剣になってやっている。それをあなた方に真剣味がないということは、この保険の立案にあたっての真剣味がなかったという証左じゃないか、こう思うのだが、どうなんだ。これは政務次官の答弁だな。一体どうなんだ。
  132. 竹中恒夫

    政府委員竹中恒夫君) 私から……。まことに恐縮に存じます。御承知のように、こういう地震保険というようなものは、全く予想のしがたい損害が出るわけで、個人にとりましても非常に重要でございまするが、国家経済の上から申しましてもきわめて重要な取り扱いをしなければならぬ、かように考えておるわけでありまして、先般来の当委員会における御審議の経過におきましても、御承知のとおり衆知を集めまして、あらゆる保険学者等から種々の意見を聞き、過去の実績ともあわせまして、結局御不満ではございましょうが、いまの日本の国力の上から申し上げまして、この程度がまあまあごしんぼう願う程度でなかろうか、決してこれをもって最たるものとは存じておりませんが、一応この程度をもちまして、ことに目睫にありまする松代地震等を考え合わせました場合には、拙速をとうとぶ必要もございまするし、いろいろな観点からいたしましてこういうような案をつくったわけでございます。せっかくお怒りではございまするが、すでに附帯決議等も御用意願っておるようでございますので、何とかこの法案に御賛成願えればけっこうと存じまするし、大臣がただいまおりませんことにつきましては、一時には必ず当委員会に参るそうでございまするからして、いましばらくごしんぼうのほどをお願い申し上げます。
  133. 柴谷要

    ○柴谷要君 それは大臣も確かに国政に参画してたいへんなことだと思う。思うんだけれども、大臣がいま行っているのは、私はそんなにたいへんな問題のところへ行っておるとは思っていない。大蔵大臣だから顔を出さなければならぬ程度のところへ行っていると思う。それを、ここへ一時に来ると。来るにはちゃんと、人間の生存をするための食事ということが必要だ、食事を済まして来ると思う。われわれ委員はめしも食わずにこうやって一生懸命審議をしておる。一体このことは、連休前から、十日の日に上げてくれ、十一日の本会議に間に合わしてくれというので、われわれも勉強して一生懸命やってやる。それを政府のほうで熱意がないということは遺憾だよ。これは自民党さん方に聞いてもらうために言っておるのに、これは政府自身以上に悪い。これは大臣が来たら一言言うんだけれども、そんなことをしているとまたおそくなっちゃうから、まとめていま政務次官へよく言うておくから、寸分たがわず大臣に伝え、忠実に伝えてもらいたいと思う。こんなに熱心にやっておる委員会はありませんよ、ほんとうに。社会党に行ったって、各種委員会法案審議の状態を見ても、大蔵委員会は非常によろしいんだ。これは政府に対して協力している証拠なんだ。それを大臣がそんな不始末をしていたんじゃ、しようがないじゃないか。それを補佐しているあなた方が悪いんだよ。こういうことであるならば、これからもう法案は上げないとは言わないけれども、慎重審議、ほんとうに慎重審議をやるからね、よく肝に銘じておいてもらいたいと思う。間違いなしに一時に来るんだね。これだけはっきり聞かしておいてください。
  134. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 委員長からも一言申し上げます。いまの柴谷君の発言に対しては、政府委員はあげて肝に銘じて、今後委員会運営に協力してもらいたいと思います。厳重に私からも注意をいたしておきます。
  135. 竹中恒夫

    政府委員竹中恒夫君) 委員長並びに柴谷委員の御趣旨、十二分に大臣に伝えまして、今後かかることのないように細心の注意をいたします。どうかよろしくお願いいたします。
  136. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 火災共済協同組合が除かれているんですね。火災共済組合などは大体地方自治体がやっておるところが相当あるんです。たとえば、前では能代なんかがありまして、その他あったわけですが、市がやっておる、地方自治体が。で、それは一つは、火災保険に入る人が大体五〇%こえておるかどうか、大体五、六〇%。で、今度こういうものに対して、これは除かれておるわけです。いわゆる純然たる営利会社だと言えると思う。幾ら公共性があるといったって、営利会社ですよ。こういうのを除いた理由はどこにあるんですか。
  137. 上林英男

    政府委員上林英男君) 火災共済協同組合は、御存じのように中小企業協同組合法に基づくものでございます。もっともこれの援助をある程度地方公共団体がいたしておるところもございます。これにつきましては、私どもこの地震保険制度を創設いたしますときに、こういう制度の趣旨を説明をし、あらかじめいろいろと相談もしたことがございます。ただし、この地震保険につきましては、何ぶんにも一たん起こりますと被害が非常に大きいものでございまして、協同組合の一部の方方には、まず地震保険制度をやる前にもう少し組合としてもやることがあろうという御意見も持っておられた方もございます。中にはもちろん積極的に保険会社と同じように、組合員のサービスのためにそういうことをやりたいという方もございました。当初御意見が必ずしも一致をしておられなかった向きもあるようでございます。まあしかし、それはいずれにいたしましても、これをやりまする場合には、その組合が対象といたしまする危険度その他いろいろな問題につきまして準備研究を進める必要があるわけでございます。そういう準備その他がまだ現在の段階におきましては整っておらないのでございます。今後そういう研究が進み、また担保力その他の点でこういう制度として適合していくということになりますれば、その場合には、先ほど御質問がありましたように、大蔵大臣が指定をいたしますことによりまして、この法律適用を受けていくという道も開いておる、そういうような状況でございます。
  138. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたね、中小企業協同組合というが、火災共済をやっておる地方自治体ですね、たとえば名古屋だとか、幾つかあると思うのですが、地方自治体はいまどのくらいやっていますか、火災共済は。
  139. 上林英男

    政府委員上林英男君) 先ほど申しましたように、火災共済協同組合は中小企業等協同組合法に基づきまして中小企業者等が協同組合としてやっておるわけでございます。したがいまして、地方公共団体がやっておるというものではございません。ただ、先ほども申しましたように、一時に大火だとかがございまして、その組合の経営上いろいろ困難がございました場合には、地方公共団体がそのあと押しをしておるというような例もあるわけでございます。この火災協同組合につきましては、御存じのとおりに、被害地におきまして中小企業等がお互いに相互扶助の精神に基づきまして現在においては火災の場合の相互救済を行なっておるものでございます。そういうような趣旨から、ただいまのような制度になっておるわけでございます。
  140. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 地方自治体は火災共済は全然やっていませんか。
  141. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 自治体自身が火災共済というものを運営しているということは、残念ながら調べがついておりません。ただ、消費生活協同組合法という法律がございますが、これに基づく消費生活協同組合として運営されているものの実態で、市なりあるいは自治体自身がその幹部になっている、そういう体系のものがあるようでございます。
  142. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 形式的なことは別として、実際地方自治体が火災共済を相当やっておるわけなんですが、いろいろな例をとりましてもやっている。そういうようなところまで今度はこの問題は抜けるわけでしょう。まあどう言ったらいいですかね。たとえば県、市が——地方自治体が非常に出資をしているとかあるいはそこに人を送り込んでいるとか、そういうような形でやっているところがあるんじゃないですか。それは今度はこの法律案の、いまの現行法では対象からはずれるわけでしょう。
  143. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 法律に書いてございますように、いわゆる正規の保険以外のものにおきましても、法律の規定に基づきまして火災にかかる共済事業を営んでいる組合、このうち地震保険をやるのにいろんな点から見てふさわしいと申しますか、そういうものは大蔵大臣が指定する道が開かれておりますが、法律の規定根拠もなくて、いわば自由にと申しますか、共済類似のことをやっておるというものは、この制度からははずれることになるわけでございます。
  144. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、具体的に火災共済協同組合は指定に入れますか、入れませんか。入れるつもりですか。
  145. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 中小企業等協同組合法に基づきますところの火災共済協同組合からやりたいという希望がございます。ただ、この協同組合、全国にございますが、全国の組合が一致して直ちに現在地震保険をやりたいというわけでもないという状態でございます。ただ、今後の指導と申しますか、それぞれの組合の力をどうやってつけていくかというのが、まずやるべき仕事であろうかと思っておりますけれども、いま直ちにやるとかやらないとか、そういう結論は私どものほうではつけておりません。
  146. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、具体的にいうと、全国の火災共済協同組合が、やります、やらしてくださいというものを出してくれば、大蔵省はこれを自動的に受けて指定する用意がある、そういうふうに解釈していいわけですか。
  147. 田辺博通

    説明員田辺博通君) 単なる組合全体の希望というものだけで自動的に指定をする用意があると申し上げると、行き過ぎになると思います。やはり担保力あるいは災害の状況に関するところの資料、そういう研究が必要でございますが、そういった面でもって、やってだいじょうぶだというめどがつけば、直ちに指定をいたす、こういう向きでございます。
  148. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  149. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、両案につきましては質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案を一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  151. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は、自由民主党を代表して、両法律案に対し賛成の意を表明いたします。  わが国は、世界でも有数の地震国といわれ、地震の恐怖から国民の生活を守るために地震保険制度を確立いたしますことは、今日では国家的な悲願となっておるのであります。特に昨年九月ごろから激しい地震が続発している北信地域の住民の心境を考えますると、地震保険制度の確立は緊急の要請であると言わねばなりません。  両案は、保険審議会の答申に基づいて、さらに具体的な制度とするための整備がなされたものであり、企業ベースにより採算性よりも、地震保険の普及と被災者の生活安定を主眼としており、国の再保険についても財政上の弾力的措置が講ぜられており、新制度として発足せしむるに十分な配慮がなされておると考えます。  しかしながら、質疑の過程において取り上げられましたように、地震災害の特質から見て、その運営はきわめて大切であり、実施状況にかんがみて国民の待望にこたえるよう改善すべき事項も多いように考えます。  このような立場から、私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党四派の共同提案として、地震保険に関する法律案に次の附帯決議案を提出いたします。附帯決議案を朗読いたします。   政府は、保険事業の現状及び地震保険制度創設の趣旨にかんがみ、今後の推移に応じ、特に次の事項を検討し、その実現に努むべきである。  一、地震保険対象に、分損をも加えること。  二、地震保険料率の引下げ、支払保険金額の限度額の引上げを行なうこと。  三、火災共済協同組合が、地震保険業務を円滑に行なえるよう指導育成すること。   右決議する。  何とぞ御賛成くださるようお願いいたします。
  152. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地震保険に関する法律案及び地震保険特別会計法案に対し、反対いたします。  反対の第一の理由は、この地震保険建物についても、家財についても、全損だけをてん補し、分損については何らのてん補がない点が不備だからであります。この点に関して政府当局は、将来分損もてん補するよう努力するとの意向を示しておられるようでありますが、その点から見ましても、この法案はまことに不備の点が多いと言わなければなりません。  地震が起こるのはだれの責任でもないのでありますが、その被害は金持ちにも貧乏人にも一様にかかり、むしろ被災時の窮状は貧乏人にこそ著しいのであります。したがって、地震被害は、保険ではなく、一般会計からすべての人が救済されるよう処理されるべきであり、現にある災害救助法をあらゆる面で被災者の実情と要求に合ったように改正し、災害救助法一本で処理されるべきものだと考えます。しかるに、この地震保険では、地震被害者全員の救済と被害前に復帰するためのきめ手にならないどころか、いろいろの矛盾が大きくなり、実際の査定に際してはトラブルが起こるおそれがあります。われわれは、この不備で矛盾の多い地震保険によって政府災害救助法に基づく被災者救助が弱められ、すりかえられるおそれがあると考えるものであります。  反対の第二の理由は、地震保険特別会計に積み立てられた再保険料が財政投融資の財源に繰り入れられ、独占奉仕のために利用される点であります。  このような性格を持つ本法案にわが党としては反対をいたします。  したがって、附帯決議案にも反対するものであります。
  153. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、社会党を代表いたしまして、本法律案並びに青柳委員提案にかかる附帯決議案に賛成をいたします。  その理由は、地震国日本というような名もございますが、おそきに失すると思いますけれども、こうした法律案ができたというととは、一歩前進——この中身は非常に不十分なものがございますが、一歩前進をしたという意味で、賛成をいたします。  不十分な点と申しますと、どういう点かと申しますと、大体、災害というのは、金のある人、ない人に平等というよりも、むしろ、たとえば風水害によって家が倒れるというようなものも、お金のない人の家の屋根のほうが飛びやすいわけです。また、地震で倒れるのもそうでしょうし、それから家がとにかく密集しがちなところにおって火災被害等も大きくなりやすいわけでございます。したがって、こういう地震というような、いわゆる予防措置のきかないようなこういうことには、単に能率的であるとかどうこうというような理由ではなくて、広い意味の社会保障制度として取り組むべきだと思う。したがって、単に保険料によってこれが成立するというのではなくて、国が思い切った補助をして、そうしてこうした災害等にあわれた方たちをすみやかに立ち上がれるような措置をしていくというのが、ほんとうの政治ではないかと思うのです。そういったような方向に今後、政府努力されていくものと期待をいたしまして、賛成をするものでございます。  以上でございます。
  154. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御意見もないようでございますが、両案については討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案の一括採決に入ります。地震保険に関する法律案及び地震保険特別会計法案の両案を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  156. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、両案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました青柳君提出の地震保険に関する法律案に対する四派共同の附帯決議案を議題といたします。青柳君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  157. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 挙手多数、よって青柳君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。
  158. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの附帯決議に対しましては、御趣旨を尊重いたし、よく検討の上善処いたしたいと思います。
  159. 徳永正利

    委員長徳永正利君) なお、両案につきまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回の委員会は五月十二日(木曜日)とし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十六分散会      —————・—————