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1966-04-27 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 日高 広為君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 中尾 辰義君     委 員                 伊藤 五郎君                 植木 光教君                 大谷 贇雄君                 栗原 祐幸君                 西郷吉之助君                 西田 信一君                 木村禧八郎君                 柴谷  要君                 北條  浩君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君                 小林  章君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省銀行局保        険部長      上林 英男君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        自治省財政局財        政課長     佐々木喜久治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得に対する租税及びある種の他の租税に関す  る二重課税回避のための日本国ドイツ連邦  共和国との間の協定実施に伴う所得税法、法  人税法及び地方税法特例等に関する法律案  (内閣提出) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。竹中大蔵政務次官
  3. 竹中恒夫

    政府委員竹中恒夫君) ただいま議題となりました所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、さきにドイツ連邦共和国との間の租税協定に署名いたしました。この協定締結の承認については、別途今国会において御審議を願っているのでありますが、この協定国内において実施するためには、法律により特別の定めを必要とするものがありますので、これにつき所要立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  まず、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等使用料に対する源泉徴収所得税に関する事項であります。  わが国所得税法によりますと、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等使用料につきましては、二〇%の税率により源泉徴収所得税を徴収することになっております。しかるに、このたびの租税協定によりますと、配当につきましては親子会社間のものを除き一五%、親子会社間の配当利子及び工業所有権等使用料につきましては一〇%、それぞれこえてはならないとされております。そこで、これらの所得に対する源泉徴収所得税税率を、それぞれその協定上の最高限度である一五%及び一〇%と定めることとするものであります。  次に、非居住者または外国法人のうち、わが国支店等を有しているものにつきましては、国内法では、配当利子及び工業所有権等使用料にかかる所得と、これら以外の他の所得とを合算して課税するたてまえになっております関係上、配当等につきまして租税協定で定める制限税率をこえて課税されることとなる場合がありますので、その点を考慮して、総合課税の場合の税額につき、租税協定規定に適合するよう、所要経減措置をとることといたしております。  なお、この場合、このたびの租税協定におきましては、住民税及び事業税をも協定の対象とすることとなっておりますので、総合課税の場合の軽減措置を講ずるにあたっては、法人税割り住民税及び事業税をも含めて制限税率をこえることのないよう、所要措置を講じております。  その他、このたびの租税協定実施するにつきまして必要な事務取り扱い等につき所要規定を設けております。  以上この法律案提案理由及びその内容を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  4. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。塩崎大蔵省主税局長
  5. 塩崎潤

    政府委員塩崎潤君) 補足説明を申し上げたいと思います。  わが国は、西欧諸国、さらには東南アジア諸国との間に租税協定締結を進めてまいったのでございますが、現在十四カ国との間に租税条約が締給されておるのでございます。今回の日独租税協定は、第十五番目の租税協定になるかと思います。  御承知のように、所得に対しまする二重課税防止条約は最近の世界の趨勢でございますが、二重課税防止方法といたしまして、三つばかりその方法がいずれの租税条約にも規定されるかと思うのでございます。第一は、課税範囲明確化、あるいは特定の事業については課税除外といったような方法によりますところの二重課税防止方法でございます。第二は、この特例法規定されておりますような制限税率を設ける方法でございます。第三は、このような各種二重課税防止方法をとりましても、なおその国におきまして、やはりその国の企業との競争の関係その他利益等関係から、どうしても税金をかけざるを得ない場合が出てまいります。そのような場合に、居住国におきまして所得源泉国におきまするところの税額を控除する、あるいは免除するといった方法が第三の方法でございます。  このような二重課税防止方法は当然日独租税条約の中にも規定されておるのでございますが、この特例法は、租税条約の中に規定されておりますところの配当利子ロイアルティー等に対しまするところの源泉地国課税税率を特定しよう、こういうものでございます。  逐条につきまして御説明申し上げたいと思います。  第一条は、特例法趣旨規定しておるのでございます。  第二条が実質的な規定でございまして、租税条約におきましては、配当に対しまするところの源泉地国課税税率一般的には一五%をこえないものとする、ただし、親子会社間の配当につきましては日本側は一〇%をこえないものとする、こういうふうになっておりますものを、この法律によりまして、配当につきましては一五%、親子会社間の配当につましては、ドイツ居住法人日本の子会社が支払う配当につきましては一〇%にするというふうにしようとするものでございます。  第三条は、利子ロイアルティーに対しまするところの所得税税率特例でございます。条約におきましては一〇%をこえないものとするとなっておりますものを、一〇%に特定しようとするものでございます。  第四条、第五条は同じような思想でござがまして、日本国内法におきましては、所得税におきましても法人税におきましても、事業を営む企業従事者投資所得といたしまして配当利子ロイアルティー等を持ちますと、これに対しまして総合課税が行なわれるわけであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、利子配当ロイアルティーにつきましては、条約におきまして制限税率を設けることにいたしております。これを国内税法規定によりまして合算課税いたしますと、所得税法法人税法一般的な税率の適用が行なわれることになりまして、制限税率をこえる結果が生ずることになります。そこで、四条五条は、そういった合算総合課税を行なう場合におきましても、条約において保証されました、配当ならば一五%、利子ロイアルティーなどならば一〇%をこえないように特例を設けようとするものでございます。四条は非居住者である個人でございます。第五条法人でございます。法人の場合は、個人と違いまして、法人税割り、いわゆる住民税法人税のほかに課税になりますので、そういった意味で、五条の一項の各号に列記されておりますように、住民税税率がかかることを考慮いたしまして、乗ぜられますところの法人税率を一五%になるように、あるいは利子配当ならば一〇%になるように、適当な率を定めたのでございます。住民税の率は一四・七%でございまして、こういった税率規定する必要が出てまいるのでございます。  第六条は、御案内のように、地方税法規定いたします税率は、標準税率あり、さらにまたその上に制限税率がございます。各地方団体は、財政事情によりまして、その制限税率範囲内におきまして適当なる税率を設けることができることになっております。ところが、協定によりまして、制限税率を設けました趣旨から見ますと、地方団体がばらばらの税率を設けましたのでは、国税地方税を通じましての協定上の制限税率が無視される場合が出てまいります。そこで、この法律におきましては標準税率をもって制限税率考えようという趣旨でございまして、ドイツ居住者である法人に対しまして課する地方税につきましては、ひとつ標準税率をとっていただこうという趣旨で、六条にその規定を設けたのでございます。  第七条は、双方居住者取り扱いでござます。日本居住者であり、同時にドイツ居住者である場合には、双方協議いたしましていずれの居住昂かきめる、そうして二重課税の排除をしようというものでございますが、そのように協議が整いまして、日本居住者であると思っておりましたものがドイツ居住者となりますと、国内税法では日本居住者でないようにしようというふうに第七条できめたものでございます。第八条は、ただいま申し上げました協定四条双方居住者を決定するための協議、さらにまた、一般的にこの租税条約実施にあたりまして納税者から苦情が出たような場合に双方の国の間において協議することが条約において保証されております。その際には、あらかじめ自治大臣大蔵大臣協議するというふうにいたしまして、地方税側の立場を尊重しよう、こういった趣旨でございます。  第九条は実施規定でございまして、これまでの特例法にすべてあるものでございます。  以上、概要でございますが、これまで私どもが締結いたしました、国会で御審議を願い御賛成を得まして現在実施いたしております十四カ国との間の租税条約と、形態におきまして若干制限税率の違いはございますけれども、おおむね同様な規定のしかたとなっております。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わらしていただく次第でございます。
  6. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  7. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。     —————————————
  8. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  9. 柴谷要

    柴谷要君 交付税率が二・五%引き上げになりましたが、その根拠をひとつ示してください。
  10. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 交付税率が従来二九・五%でございましたのを三二%に上げたわけでございますが、二・五%上げました根拠は、ちょうど地方財政も、国が所得税法人税等について減税を行ないますので、その結果、従来どおりの二九・五%で計算をいたしますと、四十一年度の交付税減収が大体五百七億ということに相なるわけでございます。そこで、この五百七億を二九・五%で還元いたしますと、大体二・六一%になるわけでございます。そこで、二・六一%をまるくいたしまして二・五%ということで、五百八十六億増額することにいたしたわけでございます。
  11. 柴谷要

    柴谷要君 二・五%アップというと大体五百八十六億の増になる、いういう計算になりますね。昭和四十年度当初と比べてわずかに三百三十五億しかふえない、こういうふうな私のほうの計算なんだが、国税減税による交付税のはね返りが五百八億である——まあ五百七億といま言われましたから、五百七億、これでは地方団体の必要とする財政需要をまかなえるとはどうも思えない。この点について、間違いなく地方財政に潤いがあるような交付税になるのかどうか、この点をひとつ明確にお願いしたい。
  12. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 四十一年度におきます地方財政状況は、いろいろ議論がございましたが、大蔵省自治省と話し合いました結果、両省の大体の結論といたしましては二千五百億の赤ではないかということで、これは見通しでございますけれどもいろいろ根拠はございますが、大体一致をしたわけでございます。そこで、この二千五百億の赤字をどういうふうにして解消していくかということに相なるわけでございますが、まあ予算折衝の際にいろいろ検討いたしまして、国といたしましては一般会計から千億地方のほうに手当てをいたしまして、それから地方債におきまして千二百億手当てをいたしまして、これで二千二百億、さらにこれは国会におきましていろいろ御調整をされましたけれども、固定資産税その他によりまして地方の増収がございます。さらに、地方としても、国もこの際いろいろ行政節約をやっている段階でございますので、残余の分については行政努力によって節約をしていただきたい、大体二百億程度でございますけれども。そういった考え方で、地方負担のかからないように、地方行政が円滑に運営できるような手当てをいたしたわけでございます。  この場合に、その手当てを単なる交付税率引き上げによって全部やるか、あるいは特別の臨時措置によってやるかということは、いま申しましたような四十一年の地方財政赤字というものが恒久的なものであるか、あるいは臨時的なものであるかというような点を検討いたしまして措置をしなければならないわけでございますが、国が減税を行ないますことによって地方財政の減ってくる分、こういうものはまあ大体恒久的なものと見てもいいのではないか。しかし、なお臨時的な要素も、いわゆる税収自体について非常に四十一年度は減ってきておるというような臨時的な面もありますので、その両者をかね考えまして、交付税率としては二・五%の引き上げということで、いま先生指摘のような五百八十六億追加ということにいたしたわけでございます。  なお、それ以外に先ほど千億と申しました中身を申し上げますと、いわゆる住民税減税によって地方が困っておる点、あるいは一般地方税収減収によって困っておる点、こういった臨時的なものにつきましては、臨時地方特例交付金によりまして、四百十四億でございますが、手当てをいたしまして、合わせて千億ということで措置をしたわけでございます。  以上のような考え方でございます。
  13. 柴谷要

    柴谷要君 交付税地方団体財源補償という役割を持つものであると、常にそういう点を明らかにしていかなきゃならぬのではないか、こういうふうに考えるわけです。ところが、今回の交付税率の多少の増加ということについては考えられるのですけれども、義務的な経費の四十一年度の増、人事費において大体千三百六十三億、それから一般行政費にいわゆる社会保障関係等の必要とする経費が百九十三億、合わせますというと千五百五十六億という金が四十一年度にはどうしても増加をしていかなければならない、こういうふうに考えられるわけです。このほとんどは地方交付税の算定に入るべき性格のものである、交付税率の中へ当然含まれるべきものである、こう考えているのでありますが、政府はそうは考えないで、これを投資的経費のほうに向けている、それがために起債に振りかえて今回処置をしているじゃないか、こういう点が私にはどうも疑問なんです。これはやはり一般財源のほうから確保して、そうして交付税地方団体財源補償という役割りを明らかにしていくのだ、こういうたてまえからしでいくならば、こういうやり方は、起債によるやり方はあまり好ましいものではない、こう考えますが、次長の御見解はいかがでしょうか。
  14. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 基本的には先生のおっしゃいましたような方向であると考えております。ただ、現在地方債につきまして、先ほど申し上げましたように、一般会計からの——これはまあ一般会計のほうも非常に税収の少ないときでございますし、御承知のように建設公債によって投資的財源をまかなおうというような状況でございますから、一般会計のほうとしてもどういうような財政状況にあるかということで判断をいたさねばならないかと思います。そういう点と、それから地方財政におきます。いま申されましたような一般行政費、まあ恒久的なものだと思いますが、こういうものに対する財源増加ということもございます。これを地方財政計画上の歳入歳出状況で申し上げますと、地方団体自体一般財源、ほんとうの財源でございます、これが四十年度六二・六%というのが五八・五%に減ってきておるわけでございます。これに対しまして、国庫支出金のほうは四十年二七・四%というのを二八・九%というふうに、苦しい中をさらにさいて出しておるわけでございます。で、御指摘になりました地方債につきましては、四十年四・五%というのが七%にふやしております。で、こういった投資財源について地方債を使うことは、まあ借金でございますからよくないんではないかというような御主張もあるかと思いますが、従来から、地方におきましては、国でやっております建設公債のような事業債については地方債を発行しております。本年は国においてもこういうような建設公債を出すような事態でございますので、なお地方において、さような、将来一般住民経済活動増加によって償還財源を生むような投資的経費があるならば、できるだけそれは地方債によってまかなっていくというかまえをとることにいたしまして、いま申しましたような増加を見たわけでございます。基本的には、先生のおっしゃるように、なるべく交付税というような恒久的財源でやったほうがいいかと思いますが、これはまあ一般会計財政事情もございますし、また、やはり国と地方というものの状況考えてみますと、現在のように、国の所得税法人税、酒税という恒久的財源、こういうものの三割以上が地方へそのまま流れていくというような状態ははたしていいのであろうか。これはむしろ国地方事務配分の問題にからんでくるのではないかと思いますが、私らといたしましては、国の財政地方財政と、現状を申し上げますと、大体国でいろいろと税金をいただいておるわけでございますけれども、その税金の三分の二というものが、補助金とか交付税とか、そういった形で地方へ流れていっておるというのが現状でございます。こういうような状況がはたしていいのか悪いのかという点、これは、地方財政だけではなくて一般会計のほうの財政事情のほうも御考慮いただきまして御判断をいただきたいと思っております。
  15. 柴谷要

    柴谷要君 国の財政政策というものが、これはちょっと大げさな言い方になろうかと思うんですが、国債発行という国の財政政策の転換に際して交付税制度というものはどう変わってくるのか、この点をひとつ、お考えがありましたら、見解をお示し願いたいと思う。
  16. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 基本的な考え方は、われわれといたしましては、交付税率というものは、これは恒久的な国と地方との間の財源配分の問題でございますから、そうある年ある年に変わるべきものではなくて、一定の割合というもので将来とも終始をしていきたい。そこで今度は、現在の経済情勢からいいまして、将来公債というもので国の投資的財源はまかなっていこうというような判断を国がしたという場合には、地方におきましても、そういう意味でできるだけ投資的な経費については公債等によって、民間の資金あるいはその他の資金を有効に使って、そして将来の経済活動増加をはかっていくという方向に、国と同じように地方もやはり経済状況によって困難な財政状況にあるわけでございますから、そういう方向をとっていただくのがたてまえではなかろうか、かように考えております。
  17. 柴谷要

    柴谷要君 これは予測の問題でございますけれども、臨時特例交付金という制度がございますね。その中に第一種、第二種と分かれておるわけでございますが、今回はその第一種が二百四十億、それから第二種が百七十四億という金、計四百十四億が使われるわけですけれども、実は政府は、この臨時特例交付金の中の特に第一種、たばこでございますか、この財源を、地方に与えるのでなくて、所得税なりあるいは法人税と同じように国が吸い上げる、そして交付金制度の中にぶち込んでいく、いわゆる交付税率の中にぶち込んで将来やっていこうという考え方があるやに聞いておるんですが、そのようなことをお考えになっておられるのかどうか、これをひとつお聞かせ願いたいと思う。
  18. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 特にそういうようなことを考えておるということはございません。ございませんが、この臨時特例交付金につきましては、先ほども御説明いたしましたように、いわゆる地方財政と国との恒久的な財源配分の問題としてではなくて、臨時的な問題として取り上げたということが第一点でございます。  そこで、その臨時的に取り上げましたものにつきまして、どういうような考え方で第一種の、いま先生の御指摘になりましたたばこ小売り本数によって分配するというものを取り上げたかと申しますと、これは御承知のように、来年住民税につきましても減税が行なわれるわけでございますが、その際に、地方財政の苦しいときに、四十一年度において住民税減税があることは、非常に負担が重くなることでもあるので、この点は税制調査会におきまして当初、住民税減税三百億と言っておったのでございますが、二百三十二億、所得税の税源を地方へ移譲しようということを税制調査会審議をされたわけでございます。ところが、その議論が、実際上与党におきまして調整をされ、政府原案ときまります際には、その二百三十二億の移譲ということが実現をしなかったわけでございます。これは税制上のいろいろの問題がございまして、そういったことを取り上げる必要はないのではないかという御議論がございまして、二百三十二億というものが、地方のほうには、税制調査会では渡せという議論があったのに来なかった。そういう背景がございましたので、まあ、二百三十二億、まるくいたしまして二百四十億を別途一般会計から出したい。ところで、この一般会計から出します場合には、そういう経緯でございますので、住民税につきましては、富裕団体も貧乏な団体も全部、いわゆる交付団体も不交付団体も全部かぶることでございますので、そういう意味合いで、交付税のように実際の各地方団体財源状況によって配分をしていくという形ではなくて、貧乏でも金持ちでもみな同じようにかぶっていくという形をとるほうがいいんではないかという趣旨から、二百四十億の第一種特例交付金につきましては、たばこ小売り本数によって分配するという形をとったわけでございます。  そこで、これは先生も御承知のようなたばこ消費税というのがございまして、これで現状やっておるわけでございます。そういう意味合いか申らしますと、この両者について、将来統合したらどうかとか、同じようにぶち込んでいったらどうかというような御議論は非常になされておることは事実でございます。
  19. 柴谷要

    柴谷要君 これで終わりたいと思うのですが、政府が今回とった処置は、地方債で千二百億の借り入れをする。そういうことになれば、当然に一般財源から地方に交付すべきものを地方債に振りかえたのだから、だから、その借金の利払いというものは当然国が負うべきだ、こう思うのですが、この点はどうお考えでございましょうか。
  20. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 一つの見方といたしまして、先ほど先生の申されましたように、一般会計、これはまあ一般会計で全部見るべきものであるかどうかという点は多少問題あるかと思いますけれども、そういう意味で、一般会計で見るべきものを地方債にかえたのだから、まあ元利その他は地方団体の立場に立って補給すべきであるという議論もございます。しかし、また、先ほど私が申しましたように、本来その地方債を発行することによって財源を得て、それによって仕事を行なうことで、将来地方の大きな経済効果を生んでくる、そのために償還もできてくるというような、一般地方経済に対してプラスになるような投資的経費については、できるだけ地方債事業債によってまかなうべきではないかという議論もございまして、まあその辺を両者いろいろと検討いたしました結果、金額としていま申しましたような配分をいたしたわけでございます。
  21. 西田信一

    ○西田信一君 ただいま柴谷さんの御質問に関連してお聞きしたいのですが、国が今度公債政策に踏み切ったということとこの地方財政との関係はどうかというお尋ねがありまして、国もいわゆる公債に踏み切った、建設公債に踏み切ったのだから、同様な考え方地方においてもできるだけそういうような、同じような方向地方財政をやってもらいたいという御答弁があって、これは一応うなずけるのですけれどもね、私はこういう気持ちなんですが、これは間違っているかどうか。従来、地方財政ではいわゆる国の建設公債に相当するようなものは地方債でいろいろやっておったと思うのですよ、実際に。国のほうは今度初めて建設公債というものに踏み切ったということだと思うのです。そこで、もちろん地方が国と同じような建設公債に相当するものを、やはり地方財政をそういう面で運営していくという必要はあると思いますけれども、私は国の財政というものは地方財政と全く対立的な立場にはないと思う。国の財政というものは地方財政というものを、何といいますか、大きくいうとその中にある意味においてはこれは含んだ国の財政というものである、そういう性格を国の財政というものは持っているわけです。  そこで、いまのお答えに対してあれなんですが、やはり国が公債に踏み切るということは、これは建設公債と言っておりますから、いまおっしゃったようなことはうなずけないわけではないのだけれども、やはり地方財政というものを抱き込んだというか、十分考慮したまあ国の財政であり、また公債考え方を持つべきではないかという気持ちを持っているのですが、その点はちょっとさっきのお答えに対してそういう感じがするものですから、どうお考えになっているか。
  22. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 先ほど議論がありました点でございますが、建設公債、まあ地方で申しますと事業債でございますけれども、そういうものがどういう効果を生むかということは、これは地方団体あるいは国を主体に考える立場と、それから国全体の経済というものをお考えいただきまして、国が建設公債を出すというのは国がそういった財源がほしいから建設公債を出していく、こういう立場と、現在の日本経済情勢から申しまして資金をもう少し潤沢に一般の民間その他に出すことによりまして景気活動を強く働かして、そうして将来の日本の景気振興をはかっていく、経済成長をすみやかに上げるようにしていくという趣旨があるわけでございます。そういう立場で考えてまいりますと、国が現在七千三百億の建設公債を出すわけでございますが、国全体で、地方も含んでおりますが、日本の経済というものをこの際何とか現在の不況から持ち上げていくというためには、やはり地方のほうもそういう意味合いで資金をできるだけ活発に集めていただいてそうして、これによって事業を興していただくということが必要ではないかという意味合いで、私たちは国がやったのだから地方のほうも同じような方法をやっていただけないだろうか、こうお願いしているわけでございます。
  23. 西田信一

    ○西田信一君 御趣旨はよくわかりますし、当面の考え方としては私は十分首肯できるわけです。しかし、国の建設公債政策というものはどのくらい続くか、これはわかりません。わかりませんが、少なくとも長い目で見た場合、いわゆる公債政策というものの中には地方財政というものを十分考慮されてしかるべきだという気持ちを持ったわけです。  それから、もう一つ、ちょっと時間がありませんから、もう一点聞きたいのですけれども、私は、この間予算委員会でも最終的にちょっと触れた問題なんですが、最近の、これは日本だけの傾向じゃないと思うのだが、産業も人口もある地点に非常に偏在傾向が強くなってきている。それはいろいろ財政の面からも一つの大きな問題点を投げかけておると思うのですが、非常に人口がどんどん減っていく地、それから一方、過度集中している地、過度集中によってそういう財政的な問題が起きていくかもしれません。しかし、減るほうは非常に、いわゆる当然地方自治体がなすべき基礎的ないろいろなことすらできないという状態にだんだん追い込まれる傾向があるということで、これは人がいなくなれば産業も起きないし、産業がないところには人が集まらぬということがあって悪循環を繰り返すわけですが、そういう意味でこれは非常に大きな問題だと思うわけですが、日本の内政における政治の最も根本的な本質的な問題だと思うのですが、そういう意味で、私は地方住民の最低の福祉であるとか教育であるとか、そういうことの維持すら困難になる、それは一つの財政上の立場から見て非常に大きな問題だと考えるわけでして、そういうこともやはり国の財政の上あるいは経済の上に相当考えるべきことだと思うのです。そういう点について、これは交付税率なんかだけの問題で解決する問題じゃありませんけれども、地方財政というのはよほどそういうことを考えてやる必要があるというふうに思っておるわけですが、何かお考えがございましたら。
  24. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) いままさに先生の御指摘になりましたような状況でございまして、たとえば大阪等におきましては、大阪市は非常に住民が郊外に出ますために地方財政収入が悪くなって、不交付団体から交付団体に転落をした、一方、大阪府のほうは非常に富裕であるというような状況がございますし、いま御指摘のような都市に人口が過度に集まっていくという点、あるいは産業が過度に集中していくというような点もあるかと思います。こういう点は、従来われわれが現在の地方と国との事務配分を前提に考えておりました財政財源の分配というものを、新しいそういう情勢に応じた事務配分を検討することによってどこまでを国が持つのか、どこまでを地方が持つのか、そしてその補助金なら補助金の割合はどういうふうに分配をしていくのがいいのかということを、事務配分を中心にまさに検討すべき問題だと思います。政府部内におきましても、そういうことで従来から、古い問題でございますけれども、また新しい問題で、その点現在非常にむずかしい問題でございますが、一生懸命検討しておる段階でございます。
  25. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 地方財政計画先ほど話がありましたが、財源不足二千五百億から三千億の内容は、中身はどういうふうになっておりますか、参考までにひとつ。
  26. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 先ほど赤字と申しましたのは、地方財政のほうでいろいろ計算をいたしまして、入ってくる歳入と、それから実際上地方がこういう支出をしたいという歳出との差額がどれくらいであろうかという議論になるわけであります。そこで、われわれがいまのところ自治省と相談をいたしまして考えておりますのは大体これぐらいであろうという見込みでございますから、それを前提といたしまして、歳入が大体地方税で千五十億でございます。その他いろいろございまして、前年に対します増が歳入で千七百十億ございます。これに対して四十一年減税をいたしますので、減税が八百九十八億でございます。したがって、八百十二億増収になるという計算になるわけでございます。ところが、歳出のほうにおきましては、前年に対しまして、まず給与費が千三百五十億ふえまして、それに一般国庫支出金に伴う一般行政費等の増加が七百二十億ほどございます。公債費その他を入れまして、全体で三千二百九十二億歳出がふえるという計算になるわけでございます。このうちではやはり大きいのは給与費の千三百五十億でございます。そこで、この三千二百九十二億の歳出の増加と歳入の八百十二億という増加と、これを差し引きいたしまして二千四百八十億、約二千五百億が赤字である、こういう計算をしておるわけでございます。
  27. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 財政計画の中で地方債が二千八百九十五億となっておりますね、四十一年度は。これはどういうふうに配分されますか、その内容ですね。それから一方、地方債地方債計画を見ますと、一般会計債が千四百四十五億、それから特別地方債が六百二十六億となっておりますね。そのほかにいまの特別事業債が千二百億。ところが地方債計画の内容と、いまの財政計画の二千八百九十五億、この関係はどうういうふうになっておりますか、説明してください。
  28. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) ちょっと資料をいま…
  29. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 地方財政計画上見込まれております一般会計分の地方債は二千八百九十五億でございまして、その内訳を申し上げますと、一般会計債が千四百四十五億、それから地方債のうちで一般会計分が二百五十億、それから今回の特別措置で設けられました特別事業債が千二百億、こういう配分でございます。
  30. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、歳出のほうを見ますと、公債費が千四百七十六億となっておりますが、公債費というのは返すほうでしょう。これは公債の償還金及び利子ですか、そういうことになるのですか。
  31. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 歳出の公債費は、仰せられましたように、これまでの地方債の累計額に対します昭和四十一年度分の元利償還金並びに本年度の新しく発行いたします地方債利子分並びに発行費を計上してございます。
  32. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 地方債の残高はいまどれくらいございますか。
  33. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 普通会計分といたしまして、四十年度末で約一兆五百億と見込まれております。
  34. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大蔵省は、聞くところによりますと、赤字の見積もり額につきまして、最初は二千五百十億という案を大蔵省で出した。ところが、自治省のほうでは二千六百三十億という意見を出した。二つが対立して、それで結局政治的に解決して、足して二で割って二千三百億、そういう額を出したということがいわれておるんですね。この二千三百億の赤字の解決法はどういうふうに考えていらっしゃいますか、具体的に説明してもらいたい。
  35. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 先ほど申し上げましたように、赤字額はあの当時は三千億という説もございました、二千億ちょっとではないかという説もあったわけですが、これはあくまでも歳入、たとえば四十一年度地方税の収入をどれくらいに見るであろうかということによって違ってくるわけでございます。また、実際上地方団体の歳出を四十一年度にどれくらい見るであろうかということの積み上げ計算によって違ってくるわけでございます。そこで、ある経済情勢を想定いたしまして、国が四十一年度においてとっておりますいろいろな施策の前提となる経済の判断というものを同じように前提として計算をしていくと、いま申し上げましたような二千五百億の赤字になる、こういうようなことになるわけでございます。そこで、この二千五百億につきましては、先ほどもお話をいたしましたように、一般会計から千億、地方債で千二百億、残りの三百億につきましては、当初はこれはいろいろ国会で御議論のございました固定資産税等の増収百億によってまかなう、そうして二百億はこれは地方としても国と同じような行政経費節約でやっていただこう、こういうことによってこの問題の処理をしていこうと考えております。
  36. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はこう聞いているのですが、地方交付税引き上げによる増、これが五百八十六億円、それから臨時地方特例交付金、これが四百十四億円、それから赤字補てんの特別地方債が、これが千二百億円、それから固定資産税、都市計画税の増、これが百億、これは間違いないのですか。
  37. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 間違いございません。
  38. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 根本的なことをちょっと聞きたいのですが、福田大臣、この地方財政赤字ですね、この原因は一体どこにあるのでしょうか。
  39. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 最大の原因は経済の不況でございます、最大のものは。
  40. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは経済の不況にも関係がないとは言えませんけれども、しかし、私たちはその経済の不況が原因だと一口に言ってしまえない理由があると思います。こう私たちは考えているのです。地方財政赤字の原因は、これまたいつものことでありますが、自民党政府地方財政を通じて強行してきたところの地域開発政策、ここに最大の原因があると思うのです。その地域開発政策がうまくいかぬのは経済の不況にあると言えばそういうことにも関係があるわけですが、しかし、もともと地域開発政策の矛盾と破綻にこの根本の問題がある、こう私たちは考えます。  その例を私は一つ申し上げたいと思います。実際はあなたに質問するところなんですが、この例は。私は新産都市の日向、延岡地区、あそこに起こっている問題を一例として示したいと思います。これは延岡地区の建設に狂奔した宮崎県の例が非常に典型的な例だと思うのであります。この新産都市建設計画は、昭和三十九年から五十年に千四百億を投資する計画で始められたものです。すでに早くも百六十七万平方メートルの工業用地がつくられているのです。これに対して幾ら金をかけたかというと、十二億五千万円金をかけているわけです。そうして日産十二万トンの工業用水、これは十三億の金をかけて工業用水の設備をしたわけです。それから、一万トンの船の入る岸壁、港湾建設を完了しております。ところが、大蔵大臣に言わせると不況のせいだとおっしゃるかもしれませんが、これが生きていないわけです。その設備投資が予定されておった鉄鋼会社が、これが鉄鋼不況の波で着工の見通しがなくなった。工業用地はわずか四十四万平方メートルだけ売却して、残りの七五%は砂漠のような状態で放置されているという状態です。工業用水はどうか。計画の五%しか消化されていない、年間二億円の赤字を出しておる。こういうのが積もり積もって県財政に非常な重圧を加えておる。これが地方財政を困難な状態にし、赤字を出しておるすべての原因とは言いませんけれども、非常に大きな原因になっておると私は思うのですが、大臣、どうですか。
  41. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) やっぱり地方開発ですね、そういう負担が相当の圧迫要因になっておる、これもありましょう。ありましょうが、私が申し上げておるのは、何が地方財政を悪化させておるかと申しますものですから、私はその最大のものは経済の不況だと。いま御指摘の新産都市もそうなんです。あれは、見通しのように、経済が好調で、どんどん工場も建設されるということになれば、ああいうお話のような問題も解消するわけなんです。経済の状況が悪いものですから、交付税が減りますわね。それからさらに、地方の独自の財源が、まあ税収が減るわけです。これはもう国で、昭和四十年度でいいますと二千六百億円の減収を来たしたわけでありますが、国と大体財政規模の同じ地方団体ですね、これも同じ程度の影響を受けざるを得ないようなことになるのは自然の勢いであります。ですから、地方財政というのは、経済のいまの不況が回復されるというと様相が一変してくると思いますが、しかし、いま御指摘のようないろんな問題もありますので、今後の地方財政、これをどういうふうにやっていくかということは、今後なお精力的に詰めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  42. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣もやはりこの地方財政赤字の中にはそういう要素があるということは認められたから、私は深く追及しませんけれども、一体そういう経済の見通しを誤って、つくらぬでもいいものをつくって、新産都市というようなアドバルーンを掲げて民心を惑わして、ああいう投資をやらして、その結果こういうことになったというのは、やっぱりこれはぼくは自民党内閣の責任だと思うのです。政策の失敗だと思う。  それで、私はいま日向、延岡地区の例をあげましたけれども、こういうのが至るところにあるのです。大阪、これもかつては黒字だったのです。大阪でも盛んに埋め立ててですね、ドイツから九十億ですか借金して、それで土地がなかなか売れないのですよ。これももてあましているのです。この間私は岡山県の新産都市の計画というものを見てきましたよ。ここも大きな埋め立てをやっているのです、水島で。これもなかなか売れないんですね。千葉県にもこういう例がある。これはずいぶん至るところにこういう例があるわけですね。結局、地方財政赤字はこういうのが一つの大きな要素になっておる、こういうふうに私は思うのです。まあ大臣がそれをお認めになったから、私はこれ以上申しませんけれども、そういうことだと思うのです。  それから、先ほどもどなたか質問なさいましたが、地方財政計画の全歳出に占める投資的経費ですね、これが私は問題だと思うのです。この割合は、昭和三十一年には二六%にすぎなかったわけです。ところが、十年たった四十年度には三六・三%、全歳出予算の四割近くにこれがなっておるのですね。さらに問題なのは、この投資的経費の主要な部分を占めるところの普通建設事業に占めるところの国家財政地方財政負担の割合、これが問題だと思う。これがやっぱり地方財政赤字に非常に大きな関係があると思う。で、三十八年度の決算によりますと、道路、港湾、都市計画、清掃、住宅の五つの事業について、建設投資の財源の構成はどうなっておるのか。これはあなたのほうでわかりますか。
  43. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 自治省のほうから……。
  44. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 自治省のほうですか……。
  45. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 正確な数字をいま持ち合わせておりませんが、大体国庫支出金が三分の二程度ということでございます。
  46. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなた、正確なものをつかんでおらなければ、私のほうで調べたのを申しますが、国費が大体三一・四%なんです、国費が占める分が。それで、地方財源が占める分が六八・六%なんです。そうすると、非常に国費の占める分が少なくて地方財政の占める分が多いということなんです。これが非常に私は地方財政赤字がふえる大きな原因じゃないかと思うのですが、どうですか。
  47. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 私、ただいま申し上げましたのは、公共事業に占めます国庫支出金の割合がおおむね三分の二程度でございます。これに単独事業を加えて計算いたしますと、先生が仰せられましたような数字になる。
  48. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記とめて。   〔速記中止
  49. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記つけて。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この赤字の性格ですがね、せっかく大臣出ておるのですから、大臣に答弁していただきたいと思うのですが、今度の赤字と、かつて経験した昭和二十九年当時の赤字と比較しまして、その発生条件、赤字団体の性格などに質的に変わった特徴があると私は思うのです。どういうふうにお考えになりますか。
  51. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 当時の、つまり昭和二十八、九年ですね、あのころの状態は、まあ戦後立ち直りの過程ですね、まだ地方財政の体制なんかも整わぬ、そういう根本的な問題をはらんでおったと思うのです。そういうようなことから、五百団体をこえる地方団体が再建計画を立てる、これに対して中央でも援助する、こういう形で一応整理ができて、しかも、その後は経済が非常な高度の成長を遂げるという時期にずっと続いて来たものですから、まことに順調に地方財政も動いてきたわけなんです。ところが、一つのそういうレールが敷かれたところへ、また未曽有というか、非常に深刻な経済不況状態になってきておる。それがまた地方財政に反応しておる。先ほどから御指摘のこまかい点になりますと、いろいろな問題があります。ありますが、大筋は経済の波動を大きく地方団体もかぶって、難局に立ち至っておる、  こういうふうに見ておるわけであります。そういう意味会いにおいて、二十八、九年のころと今日とは違った面があると、こういう理解をいたしております。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はこう考えるんですがね。昭和二十九年当時の赤字団体は農村県が多かったと思うんですね。それはやはり戦時中に破壊されて、いろんな問題があって、それで農村県が経済的に立ちおくれて、それで農村県に赤字県が非常に多かった。それで、農村県、中小都市、そういうところに財政貧弱団体というものがあって、赤字団体となって、それで三十四団体がその当時の赤字団体だったということがいわれておるわけです。  今度の場合は、赤字団体が変わってきているわけですね。東京とか埼玉、岡山、こういう先進府県が赤字団体となってきておるわけですね、最近は。で、またその富裕団体といわれておる大都市、大阪、神戸、北九州、横浜、この大都市をはじめ、福岡、新潟、金沢、和歌山、岡山市など、県庁所在地の中心都市が赤字団体と、こうなっている。これが最近の赤字団体の特徴だと思うんです。二十八、九年ごろとすっかり変わってきておるわけですね、性格が。そこに私は問題があるんじゃないかと思うんです。  で、二十九年の赤字発生の主要な原因は、先ほど大臣もおっしゃたように、六三制の問題があったと思うんですね。こいつを急にやらなくちゃならぬ。それから赤字がふえた。それから、強制的な実施、戦中戦後を通じて国土の荒廃から来る大規模な災害復旧工事、それで一時的な集中的な財政需要と、これに伴う国からの財源保障の不足に大きな原因があって、ずっと当時赤字がふえた。ところが、三十七年決算以来明らかになってきた今度の赤字は、これはやはり自民党に責任があると思うんです。池田内閣の高度経済成長政策の強行とともに、この赤字が進行して、三十八年、三十九年、時の経過とともにこの赤字がだんだん深刻化してきた。これがごく最近の赤字の特徴だと思うんですが、大臣はこれに対して御意見がありますか、どうですか、お認めになりますか。
  53. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政が悪化した時期は、私は昭和三十七年とは思わないんです。三十九年ごろから悪化したと。つまり、これはもう景気循環と軌を一にしておる。ことにいまお話しの、集中化の激しい都市を中心とした地域の財政がぐあいが悪いと、これはもう端的に景気変動の余波を受けている、こういうふうに思うわけです。まあ景気変動をそういうふうに深刻にしたのはけしからぬという議論になれば、これはまた別の問題でありまするが、私は大きく見ますると、そういうことが実態であるという理解を持っております。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは景気変動は政府の責任じゃないとは言えぬと思うんです。自民党の責任ではないとは言えないと思うんですよ。やはり景気変動、景気変動って大臣あまりそこへ逃げ込まれると、やはりその責任を追及されることになりますからね。それもやはり自民党の責任だということなんですね。  それで、次に行きます。あまりもう時間がありませんから。国庫補助制度地方財政の不足を緩和するためのものではなく、反対に重い負担を強制すると、こういうふうに私たちは考えるわけです。決して地方財政負担を軽減するものではない、むしろ逆に重くするものである、こういう私たちは意見を持っておるのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  55. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 補助は、地方行政水準を向上し、よって国の全体の施策を進める上において大いに貢献しておると、こういうふうにまあ私は考えております。これが地方の苦痛の原因だとは考えていないのです。で、地方団体も苦しいことは苦しいと思います。思いますが、苦しい中をかき分けてその行政水準の向上、公共の施設をやっていかなきゃならぬ、公共の行政を高度にしていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
  56. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはね、十分に補助がされれば私は問題はないと思うのですよ。ところが、ちょっぴりの補助をして、そうして地方自治団体に責任を負わすということですね、そこに私はこの赤字が増してくる原因があると思うのです。まあたとえましたら、公営住宅の用地費坪当たり単価は全国平均で四千円、大都市などでは全く実際買収価格には非常にほど遠いものだと思う。四千円なんかでは土地買えませんよ。しかし、国がそういう費用を出す限りにおいては、地方団体は今度は逆に土地を買うて家を建てるというそういう責任が起こってくるわけです。だから、地方財政で無理をして土地を買わなくちゃならぬのです。だから、そういうことをするならば、地方財政赤字にならないように、困らないように、もっと私は費用を、補助金をふやすべきだと思うのですよ。一例あげますと、東京都なんですがね、政府の公営住宅建設費は一戸当たり百二十万円に対しまして、実際は百九十万支出しておるのですよ。東京都はね、五割以上の負担超過になっちゃうわけです。まあこういう問題が積もり積もってくるわけです。  それから、昭和三十九年度決算でこの地方財政超過負担額は千百四十三億円に達するのです。その内訳を調べますと、補助単価が低いことによる額が七百九十億円です。これだけ地方団体が超過負担をしておる。それから、職員数、建設坪数、補助基準が実態に合わないことによる額が三百八十五億円です。それから三番目は、補助対象とされるべきものが対象からはずされることによるものが六十八億円、まあこういう赤字がやはり地方団体にしわ寄せされておる。これも私は地方団体赤字の原因になっておると思うのです。これはまあ私のほうで調べた数ですが、自治省、何か意見ありますか。
  57. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま須藤さんが御指摘になっておる問題は、これは超過負担問題という問題かと思います。これはね、確かに補助単価なんかにも問題があるのですが、国だけの責任とも考えない面があるのです。つまり、補助するにあたりましては、一定のこの基準を示して、こういう仕事をやってもらいたいというのでありまする。が、その基準を趣えて地方団体が仕事をするためにまあ超過負担になると、こういうふうにいわれている面があるのであります。一がいに、超過負担が幾らだから、それが全部国の責任であるというふうな結論になるとは私は考えておりません。おりませんが、しかし、国の問題であると。国の予算の組み方なり執行のやり方に原因が全然ないと、こういうふうには考えておりません。これは逐次解消していかなきゃならぬというふうに考えまして、いまお話のありました学校建設のための単価でありますとか、あるいは住宅の単価の見積もり、これは四十一年度予算ではすっかり直しまして、東京あたりでもちゃんと所定の建築はできるというようにいたしましたが、なお問題は残されておると思います。これはまあ逐次段階的に調べまして埋めていきたい、こういうふうに考えております。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ私は、あとのほうのあなたの意見で、不満足ではあるけれども一応了承しますが、決して地方団体が、あなたの前段のように、程度を趣えて、限度を趣えてかってなことをやるからこんな赤字が出るんだ、そういう意見に対しては私は了承することができないんですよ。だって、そうでしょう。一家族に一住宅というようなそういう方針を立てられて、いま住宅問題に取り組んでいるときに、やはり国の政策に地方団体が協力するというのは、これは当然でしょう。そうでしょう。そのためにならば、あとのほうであなたがおっしゃったように、やはり補助金をもっとたくさん出して、地方自治体が赤字を出さないように、困難しないようにはかるのが、これが政治家の責任だ、こういうふうに私は思うのです。  それで、もう一つ、もう一問で終わりますが、三十八年度決算では赤字団体が三十一団体であったものが、今度は三十八団体にふえ、全国四十六都道府県の八割以上の団体赤字団体に転落してきているわけですね。その赤字額も、前年度百二十七億円から二百四十億円と急増してきているんです。三十七年から三十八年に至ってこれだけ急増している。それで、黒字団体は秋田、福井、和歌山、愛媛、岡山、福岡、佐賀、長崎、鹿児島、これだけ黒字団体だということを聞きますと、異様な感じがするわけです。これらの県は、福岡は別ですけども、ほかの県は決して富裕県ではないわけです。むしろ貧乏県です。私はずうっとこの辺を選挙運動で歩きまして、実情をよく知っているわけですが、これはむしろ貧乏県です。この貧乏県が黒字だということは、一体なぜか。自治省のほうではどういうふうに考えていらっしゃるんですか。この貧乏県が黒字で富裕県が赤字になってきているという理由は、一体どういうところにあるというふうに理解しているのですか。
  59. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) いま貧乏県ということで仰せられましたが、こういう府県が過去において赤字を出しておった。それが再建団体として非常な苦心の末、そうした再建計画を完了しておる。そうした過去の経験から、その後の財政運営というものについては非常に慎重な態度で行なわれておるということで、赤字に対しては神経質なほど注意をしておるというところから、その後の財政運営については、できるだけ赤字を出さないで運営しておるということになるだろうと思います。最近の赤字団体が比較的経済的にも恵まれた地域に多く出ておるということは、結局はそういう府県のいわば財政収入の面が現在の景気の状況からいたしまして従来ほど伸びてこない。いわばそういう府県がある程度の計画性を持った財政運営をいたします場合に、そうした予定された収入がいまの景気のために予定どおりの税収が得られなかったというような事情も、非常に大きく響いておるだろうというふうに考えております。さらには、現在の経済情勢からいたしまして、そういう府県について人口の集中といったようなことから、いろいろな面における財政需要が多く生じておる。そういう面で、やはり収支の面においてのアンバランスというものが生じたというふうに私どもは考えております。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あのね、この間和歌山に行ったのですよ。で、君のところ黒字県というのはおかしいじゃないか、何でだといって市民の人に聞いたのです。そうしたら、それは黒字は当然です、和歌山県というのは何もせぬ県ですと。これは和歌山県だけじゃないと思うのです。あなたは財政収支とこう見合わして手控えているというけれども、何にもせぬのです。何にもしないから赤字が出ないというわけです。何か仕事をしようと思えば赤字になる。それは国家の補助が足りないからです。交付金が足りないからです。だから、赤字になる。仕事をしたら赤字なんです。だから、仕事をした県は全部赤字になってきている。そこにもってきて、新産都市などというああいうものにつられて、たくさんのものをかかえ込んで、それがうまくいかぬ、それで赤字。そうなると、大臣がいつも、これは景気の不況が原因だというふうにおっしゃるけれども、あんたもいま同じようなことをいったけれども、経済の不況はだれの責任かといえば、結局自民党内閣の責任という、すべてそこに結びつく。アリ地獄ですよ。アリ地獄みたいに、すべてそこに落ち込まざるを得ないということになっている。(「それをいいたかったんだろう」と呼ぶ者あり)それを言いたいという意味でいったわけじゃない。まあそういう理屈になるわけですね。  もう一つ、四十四年度の見込みでは、地方税減収地方交付税の歳入減等、すでに一千億円の財源不足が見込まれているのですね一その上、人事院勧告による地方公務員の給与引き上げを加えますと、一千四百億円以上の歳入欠陥と、こういうふうになってきているわけです。地方財政赤字は普通会計のみならず地方公営企業で一そう深刻になってきているということは、皆さんもお認めになることだと思うのです。三十九年度の決算見込みでは累積赤字額は六百六十五億、前年度は三百七十六億ですから、七〇%の増になっている。こういうふうに赤字がどんどんと出る。そうしてその赤字総額の構成を私のほうで調べましたら、大臣、こういうふうになっています。交通が六七%、水道が二一%、病院が五%、こういうふうに赤字がどんどんふえてきておる。だから、この赤字がふえてくる原因をどう処理していくか、そうしてどうしてこの赤字をなくすかということが、これが私は問題だと思うのです。  で、結局言いますと、今度のまあ交付税率二九・何%を三二%にするというのですが、こういう措置をとっても、根本を直さなければ、量見を入れかえない限り、私は地方団体赤字というものは絶対解消するものじゃない、こういうような結論を私は持っております。大臣は今度の措置は完ぺきなものだと言って自慢していらっしゃるということを私は伺ったのですけれども、そうじゃない。やはり根本を、このもとを正さなければ、赤字は今後も解消するものではない。これはまあ私の意見ですから、御答弁はないと思いますが、私はそういうことを申し上げて質問を終わります。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間があまりありませんから、国の財政地方財政との関連についての基本的な問題に対して二、三質問したいのですけれども、この交付税率引き上げ、それからまた臨時地方特別交付税を計上しなければならなくなった一番の原因は、政府が本格的な公債政策を導入して、今後長期減税をやりますわね。また、本年度も減税やったわけですが、また減税地方財政に対する影響が一つあるわけですね。また一つは、景気変動によって地方自治体の税収が減るという面もあります。そのために地方財政の収入も確保できないということもあるわけですね。それとまた、政府が景気対策として大幅積極財政実施する、それが主として公共事業費中心ですね。そうなると、地方負担分がまた非常にふえる。そういう二つの面で地方自治体の税収入に大きな影響が出てくる。マイナスの影響が出てくるということと、それから、支出のほうに政府の不況対策としての公共事業を中心とする財政支出の増大ですか、それによる地方負担分の増大、この二つから地方自治体の財政赤字がいままでと違って多く出てくるということになる。  そこで、伺いたいのは、交付税制度のあり方は一体これでいいかどうかという問題です。前は平衝交付金制度であったのですね。平衡交付金制度ですと、たてまえとしては、基準財政需要に対して基準財政収入を比較して、足りない分を国が補てんするというたてまえではあったわけです。しかし、実際にはそうでなかったわけですから、赤字が出て、昭和二十九年、三十年に再建問題が起こったわけです。その後交付税制度になりましてから、所得税法人税と酒税の三税の何%ということで、そうなると景気の動向によって非常に収入が変動するわけですよね。絶えず不安定である。こういうやはり交付税制度というもののあり方、これは根本的にここで考え直さなければならぬ。前に自治大臣に質問したときに、自治大臣は、今後やはり根本的に考え直すと、こう言っておりました。それと、これにはもっと基本的に、国と地方との事業配分の問題にまでさかのぼらなければなりませんし、地方制度審議会でもそういう点についてこれまで何回も長い間研究はしてきているのですよ。してきているのですけれども、一向に進展を見せない。ですから、四十一年度から国の財政は非常に大きな変化を来たしたわけなんですから、この際、今後国の財政地方財政との基本的あり方について、特にその中で交付税制度というのは非常に重要な点であります。それともう一つは、さっき須藤君も質問しましたが、補助、負担金のあり方ということについても問題です。いわゆる超過負担とも関連して、まず交付税制度につきまして、大蔵大臣、どうお考えですか、今後。このままでいいんですか。ただ交付税率を何%引き上げるという、そういう臨時的な手当てですか、それだけでいいとお考えになっているのか。
  62. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 制度の根本論からいいますと、今日の交付税制度ですね。このほうが私はいいと思います。つまり、戦後何といっても地方自治ということが一つの行政の柱になってきているわけです。この自治の精神を生かさなければならぬ。平衡交付金というのは、そういう面からいうと、どっちかというと中央集権的な考え方になってくると思うんです。それを交付税、つまり自動的に国が徴収した租税地方に回っていく、これは私はそういう戦後の自治尊重という角度から見ますると、考え方としては大いに前進した考え方である、こういうふうに思います。その運営上いろいろのお話がありまするが、そういう問題は逐次改善していけばいい、考え方としては進んだ考え方だ、そういう認識でおります。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今後やはりこの交付税制度を基本にして、それで地方財政赤字については交付税率調整して、それでまかなっていく、そういう考えですか。
  64. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあ、いまこの制度の基本を変えていこうという考えは持っておりませんが、しかし、その運営の細目につきましては、いろいろ問題が起きてきます。そういうほうを改善していきたい。なお、根本的な問題につきましては、地方自治というような観点からどういう姿がいいかという問題がありましょう。ありましょうが、そういう問題は、なおこれは長期の問題として常に考えておかなければならぬ問題である、そういう考えでございます。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 運営について考える点があるという、それは具体的にどういうことですか。
  66. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあ交付税の率が適当であるかどうかという問題でありますとか、あるいは基準財政需要——配分方式ですね、そういう配分の基準をどういうふうにとっていくかというような問題とか、まあ時勢の変化とともに弾力的に考えていかなければならぬ多々問題があると思います。そういうことを言っておるわけです。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 交付税制度にも平衝交付金の精神というものはやっぱり織り込まれていると思うんですよ。地方交付税法の第三条ですか、とにかく三税の何%で交付税地方に与える、それでも地方公共団体財政がどうしてもまかなえない、赤字になるという場合は、それは交付税率引き上げていいということになっているんですね。そこのところは、これはやはり平衡交付金の精神というものは、そこでやはり受け続かれているんだと思うんですよ。で、非常に何というか、地方自治というたてまえから平衡交付金より交付税制度のほうが前進していると、大蔵大臣はそういう制度だと言われましたが、しかし、私は必ずしもそうは言えないんですね、実際から見ても。だから、平衡交付金考えが受け継がれておるとすれば、なぜそういう不足が生じたときに交付税というものの引き上げによってこれをまかなうということをしないのかどうかです。  たとえば四十一年度については、先ほども質問があったと思うんですが、地方公共団体のほうでは、自治省のほうでは、大体五・九%の交付税率引き上げを要求したんでしょう、五・九%要求した。ところが、結局二・五%の交付税率引き上げにして、それにプラス臨時地方特別交付税四百十四億ですね、それで千億手当てしたわけです。これは交付税制度は、さっき大蔵大臣の言われたようなのをたてまえとすれば、当然、これは臨時地方特別交付税というようなものではなくて、これはやはり交付税率の中に含めて、それで処理すべきではないかと思うのですが、どうなんです。
  68. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどから申し上げているんですが、いまの地方財政問題というものは多分に景気変動の余波を受けているんです。交付税でもそうです。これは三税の一定の率、こういうことになっておる関係上、景気がそのまま交付税地方交付額に反映してくるわけです。それからさらに、地方税収ですね、これもそういうことになるわけです。そういうことが一番大きな地方財政困難の原因であるというふうに考えております。これは景気変動でその二つの要因というものは非常に変わっていくわけであります。そういう過渡期において恒久的な性格を持った交付税税率を変える、こういうことは適当でない、こういう考え方なんです。しかし、恒久的な角度から見ましても、まあ四十二年度までの交付税率これは少し引き上げたほうがよかろう。ことに中央で減税をする、それに伴って地方でも減税をしてこれに協力をするというそういう面につきましては、特に交付税率上の配慮を使ったほうがよかろうという見地から、三二%までの税率引き上げということをしたわけなんです。いまこれを、ことしこういう財政状態だからそれに即応して根本的に変えちゃおうという考え方は私は適当ではない、こういう所見です。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣昭和二十九年に交付税に移行したわけですね、それまでは平衡交付金でやってきた。ところがちょうどそれから、三十年からずっと以後はいわゆる高度成長の段階に入ったわけですね。好景気の段階に入ってきたわけです。ですから、毎年多額の自然増収がずっとあったわけです。こういうことから、三税の何%というそういう交付税制度のあり方は、これは地方自治体には非常に有利であるというのですがね、自然増収のはね返りがどんどん出てきて、あって、財政としては非常に何というのですか、有利な交付税制度であったと思うのです。ところが、この不況の段階に入って初めてその交付税制度の欠陥というものがはっきりとここに出てきたのです。いままでは気がつかれていなかったと思うのですよ。むしろいい面ばかり出てきた。ですから、ここに景気変動で不景気になると、この欠陥がはっきりと出てきたのです。これは一時的な問題じゃないと思う。今後やはり景気変動がある場合、これはいまの資本主義経済がなくならない以上は景気変動がありますからね、そういう場合に、やはり今度の不況によって初めてこの交付税制度の欠陥がはっきり出てきたと思う。それを踏まえて、今後どうするかということを考えなければいけないので、ただ臨時的に二・五%引き上げ、そうして四百十四億の特別交付税で糊塗するということだけでは私は済まないと思う。それはもっと根本的にやはり考え直さなければならぬ。この交付税制度というものの欠陥が初めて出てきた。いままでは欠陥が出るような情勢ではなかったのです、自然増収が毎月あったから。ですから、非常に状況が変わってきたのです。そうして変わった条件に対して、交付税制度というものはこれは欠陥が出てきたのです。地方自治体の財政が景気変動にしょっちゅう影響されて非常に不安定になるという、こういう状態をどうして改善するかという、やはり根本的な私はお考え方が必要ではないかと思う。
  70. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) よく皆さんが三割自治とかいうふうに言われますね。あの三割は一体何だ。固有の財政収入の比率を取ってそういうふうに言われておると思うのです。ところが、その地方自治というたてまえからいいますると、それにさらに交付税というものを考えてみなければならぬ。交付税というのは、国が徴収はするけれども、これは実態は地方のほんとうの固有の財源を見なければならなぬわけで、そういう意味からいいまして、私は自治のたてまえからいって、この交付税、これは交付税という名前が示しておるとおりですね、交付税地方の固有の財源というふうに考えるべきものであり、非常に大事な考え方を示しておると、こういうふうに思うので、この考え方を後退させるという変革は私は好ましくない。やはり地方自治というたてまえから、自主財源というものを充実する、こういう考え方ですね、それを、中央から財源補給方式、地方の自主性というものをなくしてしまってただ単にお仕着せをするというような考え方ですね、これは私はどうも問題があるのじゃないか、そういうふうに思います。悪いところがあればこれを直していくべきだと思います。  それから、もう一つの問題は、交付税制度にしたら今度の不況でその欠陥があらわれてきたという話でございますが、これはそういう自主的財源であるという考え方からすれば、景気変動の影響を受けて自主財源が減ってくる。これは当然のことなんです。しかし、御心配になり過ぎておると思いますのは、いま政府では景気回復安定成長対策をとっているわけです。したがいまして、そのレールに乗って地方財政はこの方式で充実をされていく、こういうことになるのでありまして、いまお話しのような事態は私どもとしては考えておらぬ、この方式を順守していくということによって地方財政の強化になる、こういう考えなんです。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣はだいぶ地方公共団体の自主性ということを言われます。それなら、もう一歩進めて、もっと税金配分について地方公共団体に自主財源が行くような配分を、やはりこれはもうしょっちゅう地方財政審議会ですかでも問題になっているのですけれども、思い切ってこれを変える必要があると思うのですが。たとえば、さっき須藤君も言われましたですが、四十一年度で計算してみましたら、国税は三兆二千五百四十三億、地方税が一兆五千七百四十一億ですね、合計四兆八千二百八十四億のうち、国税が六七%で、地方税が三三%です。この税金を使う段になると、国のほうは二六・四%しか使わないですね、地方公共団体のほうは七三・六%使うと、こういうことになっているのですよ。そうなると、国は税金はうんと取り上げて、そして地方配分するということになっておりますから、そういう点から中央集権的な形が非常に強く出ているわけですね。そうなると、もっと地方に自主財源を与える必要がある。しかし、それだけでは足りないで、やはり格差が非常に公共団体で出ますから、そういう面でやっぱり平衡交付金的なそういう制度はなくすことはできないと思うのですよ。どうしてもそうしなければ平均の地方行政水準は維持することはできませんからね。だけれども、こういう問題はいま始まったわけじゃないわけですよ。これは前からもう問題になっているのですが、一向にこの点についての改善が行なわれていない。そこを私は問題にしているのです。もうこういう議論は、前から非常に行なわれているのでして、それから地方財政審議会ですか、ああいうところでもしょっちゅう問題になっているのですよ。ところが、一向にそれが改善されないということに問題があって、今度の四十一年度のように、あるいは国の財政地方財政を通じて大きな転換期に来ているのですから、そういう際にこそこういう地方財政についても根本的に考え直さなければならぬ、そういう時期に来ていると思うのですが、どうですか。
  72. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあ、中央、地方財政のあり方は常に検討していかなければならぬと思いますが、検討して適正なあり方という結論を得るようにしてというのには、私はもう少し経済が落ちついた時期がいい、いま流動的、変動的なこの時期で、恒久的な結論を出すということは、これはよろしくない、かように考えておるわけであります。  ただ、問題になりますのは、公営企業ですね、地方でやっておる公営企業、これはやはり非常な難関にさしかかっておる、こういうふうに考えるわけです。何もかも一緒にするわけにはいかない。そこで、いま昭和四十一年度の課題として、また四十一年度以降における最初の課題としては、これは公営企業財源の問題がある。これ一つことしは真剣に取り組もう、こういうので、いまそれに関する立法の御審議を、衆議院段階ですが、お願いをしておるわけであります。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つだけ。地方債利子負担なんですけれども、自治省の出しました資料によりますと、昭和四十年度末現在の負債額ですね、普通債と交付公債入れまして一兆四十億七千九百万円になっているんですね。そうして四十一年度の償還金が千四百七十五億になっているんですね。ところで、この公債費に対する国の補給金の状況は、四十一年度で六百五十八億なんですね。そうしますと、この千四百七十五億から六百五十八億を引きますと、残りが地方負担ということになるのですね。ですから、非常に地方公共団体は大きな債務をしょい、そうしてこの債務の多くの部分は、これは地方自治体の、この地方財政の膨張によるというよりも、むしろ国財政の膨張によって負担が多くなるという面がずいぶんあると思うのです。特に四十一年度なんか、千二百億ね、これは手当てしましたけれども、これは大蔵大臣、当然これは国が見るべきものなんですよ。というのは、国のほうの公共事業費がふえると、それに伴って地方負担分がふえるんでしょう。その分を地方公共団体地方債という形で財源措置をしているんです、千二百億ですね。それで、千二百億財源措置したからいいように見えますけれども、これは地方の借金なんですからね。しかも、そのうち政府は五百億しか資金運用部で引き受けない、残りは地方の縁故債で、地方自治体で償還しなければならぬというような状態でしょう。ですから、これについては、地方の債務負担というものはこういう状態ではますます私は大きくなる、もっと私はこれに対して地方公債費に対する国の補給金ですね、これをもっと私は増額する必要があると、こう思うのですが、どうなんですか。
  74. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政規模は四兆一千億、四十一年度は。それに対してまあ公募債を含めての借り入れ金依存ですね、その依存度、それから元利のいわゆる公債負担、そういうようなことからいいますると、戦前の水準、あるいは戦後の推移から見まして、決して過当な額ではございません。国はともかく昭和四十一年度でも七千三百億円の公債を発行する。政府保証債を四千億発行する。地方の負債の累積が大体幾らだとあなたもいま数字をおっしゃいましたが、そういうことから比べましても、そう過当な負担という状況にはなっておらぬ。それから、今後の地方財政全体の計画からも、この公債負担の割合、比率、そういうものがはなはだしく悪化するというふうには考えておりません。私どもは公債の問題ばかりではありませんが、中央、地方一体、つまり中央あっての地方であり、地方あっての中央であるという考え方で今後もやっていくわけであります。そうその、いま中央、地方のバランスを失しているという状態でないということだけは申し上げておきたいと思います。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私もいつも、国の財政地方財政を切り離して考えることは全く意味がないというので、絶えず私は国の財政地方財政計画と照らし合わせて見ているわけですよ。ですから、そういう点では私は何も大蔵大臣といま違った意見ではないのです。大蔵大臣、全く国家財政考えるとき、地方財政を除外して考えたら、全く意味がない。国の財政というのは両方からなっているので、半ぺらだけ問題にしても、問題の焦点がはっきりつかめないし、解決にもならぬと思っている。けれどもね、国の責任によって、当然地方公共団体に国がめんどうを見なければならぬもの、そういうものについての考慮が十分なされていない。そのために地方の借金という形になってしまうのですね。負債となって、地方の元利償還が非常に大きくなる、こういうことを問題にしているのです。特にさっき質問があったと思うのですが、一番問題になるのは何といってもこの補助負担金をも含めて超過負担の問題ですよ。これがずいぶんやはり問題じゃないかと思う。これはもっと法規どおりにちゃんとやれば、もっと国が負担しなければならぬのでありますしね。また、このごろ物価がどんどん上がっているときに、補助あるいは負担金の単価の計算ですね、単位費用の計算が非常にズレがあるのですね。ずっとおくれちゃうのです、いつも。特に土地とかいうものに対して毎年予算で単価を多少上げますけれども、みんなおくれているのです。ずっとおくれておりますから、いつでも地方負担になっているのですね。この超過負担の問題を、これをもっと、おざなりでなく、これは自治省でもいろいろやっているようでありますけれども、これをもっと根本的に考える、当面としては非常に超過負担の問題を解決するだけでもずいぶん役に立つものだと思う。  大体、いま超過負担どのくらい見ているのですか。自治省では、それで四十一年度は超過負担の解消に努力したといいますか、どのくらい四十一年度で超過負担の解決に手当てをしたのか。
  76. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 私どもが地方団体から資料を取りまして調査いたしました数字は、およそ千二百億程度であろう——これは事業費ベースの計算でございますが、千二百億程度であろうというふうに考えております。ただ、この数字は、先ほど大蔵大臣からお話がありましたのでありますけれども、国の立場で見た考え方と、それから地方での考え方とに、若干の相違がございますけれども、私どものほうとしましては、千二百億程度の数字であるというふうに考えております。昭和四十一年度の場合には、ただいまの千二百億の事業費ベースに対しましての超過負担の対象額は約三百三十億程度というふうに見込んでおります。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に、この交付税率二・五%引き上げる、それから臨時地方特別交付税四百十四億、これが地方財政赤字——これだけじゃないです、このほかに起債と、それから自己努力によって赤字を処理することになったのですが、最終の赤字は二千五百三十億という計算じゃないんですか。二千五百三十億を二・五%の交付税率引き上げ等によってやる。ところが、自治省では、自治省の案は最後は二千六百三十億でしょう、最後の赤字自治省計算では。それで、まあ大蔵省は大体二千五十億の赤字と見ておる、こういうのですね。それで、最後に二千五百三十億という赤字に折り合いがついて、その前提で、さっき言ったように二・五%の交付税率引き上げとか、四百十四億の特別交付税ですか出すということになった。これ、われわれわからないんですがね。自治省では二千六百三十億の赤字、しかもその前にはもっと、二千七百八十億くらい見ておったのですね。さらにその前には三千三百六十億だと、こういうふうに新聞では伝えられた。それで、大蔵省が二千五十億。こういう自治省との間にうんと開きがあるんですよ。それが最後にだんだん縮まって、そうして二千五百三十億で折り合いがついて、その処理をこの法案でやる、こういうことになっているんですから、その経過がどうもわからぬ。この縮まったのはどういうことで縮まったのか、これはわかるようにちょっと説明してくれませんか。
  78. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは木村さんもよく御承知のはずなんだが、予算の要求というのは、要求自体みんな多いのです。この交付税の要求も——交付税というか、要求の基本になります自治団体赤字、これは自治省ではどうしても多目に見る傾向があるわけです。それから、そういうことをまた、しかし、ただ単に大きく吹っかけるということはないです。やっぱり理論を立ててくるわけです。その理論というものが、自治省側の見るところによりますると、これは材料きわめて薄弱というか、少ないわけですね。つまり、税制は一体どうなるだろうか、地方にどういう影響があるか、あるいは交付税は現在の税率に従って一体どういうふうに入ってくるんだろうか、それから、景気の見通しですね、そういうものからいって固有の財源は一体どういうふうになるだろうか、それから、公共事業は大幅にふえるふえるというが、一体どの程度ふえるんだろうか、そういう点についてまあ資料不足です。ですから、それをある程度推定を加えまして、そして赤字額を算定する、こういうことになるわけです。そこにたまたま、先ほども申し上げましたように、予算要求側としての立場がありますから、それが加わりまして、どうしても当初自治省が言い出す赤字額、こういうものは大きくなる。しかし、だんだんと経済の見通しも明らかにされ、そうすると国の交付税税額も見当がついてくる。また、国有の税制の収入もわかってくる。さらに、国の公共事業が、建設省はずいぶん大きなことを要求したが、実際は大蔵省との間にその要求よりは相当低目になってきておるということも半面ある。さらに、税制改正、これが地方にどういう影響を及ぼすかということも半面ある。結局そういうふうに詰めていきますと、初めは三千幾らというふうに新聞には載っていた数字が、実は二千五百億とちょっとという状態になる、こういうことになるわけです。  まあそういう経過を抜きにして、そうして、二千五百億ということをしさいに御検討願いますれば、大体その辺が適正なところであるということの御理解がいける、かように考えております。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはもう質問じゃありません。最後に、私の感じとしましては、この自治省の最初の案と、大蔵省の最後の交付税率引き上げをきめるときの算定の赤字二千五百三十億、それとの開きが非常に大きい。それを大蔵大臣は、それは予算を要求するときにはいつでも概算要求は大きいのだ、こう言いますけれども、結局、私は、これだけの処理では実際の赤字は埋まらないので、実際の赤字は非常にもっと大きいものだと思うのですよ。ところが、こういう二千五百三十億の赤字ということでこういう処理をすれば、あとでその赤字はどういう形で処理されていくかといえば、さっき須藤君の言われたように、地方行政水準を低下させるということになると思う。結局、住民の犠牲になると思う。何も仕事をしなければ赤字は出ないのですからね。そういうことになってくると思う。あるいはまた、地方公務員のほうのいろいろな合理化への行政整理その他、たとえば欠員の不補充とかあるいは将来の定年制という問題がもう起こってきておると思うのです。そういう合理化によって公務員あるいは地方住民の負担になっていく。犠牲になっていく。そういうことをわれわれ心配するから質問したわけです。こんな程度のおざなりの処理ではとても済まないのであって、もっとほんとうは肝心な処理をすべきであるというのが、われわれの意見であって、これは答弁要りません。これで……。
  80. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 先ほどちょっと聞いたのですけれども、大臣に伺いますけれども、地方債が二千八百九十五億計上されておるわけです。それで、この公債費の償還のほうは千四百七十六億、大体半分は返さなければならぬ。残額の約千四百億というものが借金をしたところの新しい財源である、こういうことになるのですが、一方、国債のほうを見ると、大臣もしばしばおっしゃるように、今後さらに低圧経済が当分続いて、本年度は七千三百億の建設公債、来年度は一兆円近くになるであろう、再来年度は一兆三千億かなんかになっていくだろう、こういうような見通しですが、そうすると、やはり地方債というものも漸次これはふえていくんじゃないか、こういう感じがするのですがね。まあ当然これはそうなっていくでしょう。そうした場合に、いま地方債の残額は一兆五百億もある。これがだんだんふえていくのですが、どの程度、どの辺までなら地方債を発行しても安心なのか、どの程度が適正なのか。これから通るであろう地方債の今後の経過の方向といいますか、そういったような点について、ちょっとお伺いしたいのですがね。
  81. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私は、今後の財政の見通しとしまして、昭和四十二年度、三年度は、ことしよりは、中央の会計では公債の発行額がややふえ目ではないか、こういうふうに申し上げておるわけですが、これが四十二年度に一兆近くで、四十三年度には一兆三千億だというようなことは申し上げたことはありません。その辺ひとつ御了承おき願いたいと思います。それは中尾さんの個人計算のようであります。私のほうはやや四十一年度に比べると多目かと、こういうふうに思っております。ただ、今日の経済状態が二年くらいたつと改善をされると思います。租税収入が相当ふえてくる、こういうふうに見ておるわけでございます。四十四年度以降はそういう漸増の方向ではないだろうか、そういうふうに見ておるわけでございます。大体の傾向といたしましては、地方財政も同じ傾向をたどると思います。いま地方財政における地方一般財源公債費の負担は六%くらいになっておるわけです。大体これがそう大きく変化するというような状態ではない。大きく変化させないように地方財政の運営に当たっていかなければならぬ、こういうふうに思っております。その程度でありますれば、そう心配はない。
  82. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御発言もないようでございますので、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにして御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  83. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に反対します。  政府、自民党は、交付税の率を二九.五%から三二%に引き上げ臨時地方特例交付金四百十四億を交付することなどの措置によって、地方財政赤字を救済されると言っておりますが、今日破綻に瀕した地方財政は、これによって救済されるはずがありません。むしろ、政府措置は、固定資産税の増徴、地方公営企業料金の値上げ、地方債の増発、地方自治体労働者に対する定年制、首切り、合理化など、人民大衆に犠牲を押しつけ、地方財政自体をも一そう破壊させるものであります。  この際、地方財政について、自主的で、かつ、人民の立場に立った抜本策が必要であります。わが党は、独占資本の利益に奉仕し、地方財政の破綻をさせている地域開発、広域行政を直ちにやめること、委任事務や国庫補助事業の補助率単価を適正にし、地方自治体の超過負担をなくすこと、地方債利子補給起債償還を一定期間たな上げすること、地方交付税税率を大幅に引き上げること、独占資本に対する租税特別措置、工場誘致条例など特権的減免税や非課税をやめること、地方公営企業の独立採算制をやめること、工業用水料金、道路、港湾使用料等の特権的料金をやめること、地方自治体関係の労働者に対する合理化を直ちにやめること、を要求します。これによって初めて地方自治の原則にのっとった自主的で、かつ、人民の立場に立った地方財政の発展の第一歩が確立されると信じます。これに反する今回の措置については、わが党は反対をせざるを得ません。
  85. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それでは、これより採決に入ります。交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の諸君の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  87. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、次回の委員会は五月十日(火曜日)午前十時からとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会      —————・—————