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須藤五郎君 この間も、参考人との間にもこれが問題になったのですが、要するに新潟
地震でアパートがひっかたいだ。これは形はそのまま残っておるけれ
ども、このアパートそのものは使いものにならぬ。だから、こわして建てかえなければならぬ。これは
経済的全損、こういうことですね。ところが、日本の家屋というものはわりと木造が多いのですね。それで、ひん曲がったりなんかするのが多いので、ぺしゃんこになったりするのは比較的少ないのです。東京の大
地震でも、ぺしゃんこになったものはないわけです。みんな火災で焼えちゃったということになるわけですね。そうすると、物理的全損という問題に当てはまらないし、
経済的全損にも当てはまらぬ場合が多いのですね。それを一体認定するのはだれかということになったのです。そうしたら、鈴木教授の言うのには、それはなかなかむずかしい問題ですと、認定の場合。普通の火災
保険でも、かけるときはうまいことを言ってかけさしておいて、
加入さしておいて、さあ火事になったというと、とやかく言ってなかなか全額払おうとしないわけですね。そうすると、
地震の場合は火災のときよりもよけいむずかしい場合が実際的に起こってくるわけですね。だから、この際、全損とはどういうものか。ただ、物理的全損、
経済的全損ということばを使われて、どういう
程度が全損なのかということが少しも示されていないわけです。そうすると、おそらく将来問題が起こったときに
保険会社と被
保険者の間に問題が起こるだろう。そういう場合、裁判所がきめる以外には道はありませんと、鈴木教授はこう言っているわけです。これは問題だと思うのですよ。こんなこと一々、
地震が起こったときに住む家がなくなった場合、裁判所に持ち込んで裁判所決定を仰がなければ金がもらえない、裁判なんか何カ月かかるかわからない、それじゃたまったものじゃないと思います。やはりこういうばくとしたことばを使わないで、やはりぼくは全損というものはこういうものだ、
経済的全損というのはこういうものだということをやはりこの法文の中に明記しておく必要があると思うのですね。
それで、ここへきょうはぼくは建設省の人にも来てもらっているんです。建設省の住宅
金融公庫法では全損ということばは使ってありませんよ。滅失ということばを使っていると思うのです。滅失という中には二つあるようにぼくは聞いているんです。滅失とは、当該家屋の
被害額が原則として当該家屋の罹災直前における価額の二分の一以上である場合をいい、家屋の損傷とは当該家屋の
被害額が原則として当該家屋の罹災直前における価額の五分の一以上二分の一未満である場合をいう、こういうことが建設省の建設省住発第一〇三号、それに出ております。建設省の住発の第六四号の一の住宅局長の通達として、滅失とは
損害のことだ、それから滅失とは全壊、全流失、全焼のことである、こういうことになっておりますね。それから、損傷とは半壊、半流失、半焼のことである、その他は上欄の比率が二〇%未満のもの、こういうふうになっております。それから、もう一つ、
災害救助法の場合を見ますると、
災害救助法の第二十三条の「救助の種類は、左のとおりとする。」という条項の第六の「
災害にかかった住宅の応急修理」という条項があるわけです。
災害救助法では、損壊は家屋の七割がこわれた場合、こういうふうになっておるわけです。こういうふうに建設省関係は、こういうものについてこういうふうに具体的に示めされているわけです。
ところが、この
地震保険法には、全損といい、物理的全損、
経済的全損というようなこんなあやふやなことばだけで発表されて、何も具体的に示めされていないんですよ、かけるものは迷いますよ。わからないですよ。そうして参考人に、
審議会でこれは問題にならなかったのかと言ったんです。そうしたら、ならないというんですね。それじゃあなた方どういうふうに理解するんだというと、裁判所が決定しますと。それは無
責任じゃないかと鈴木さんにぼくは言ったんですよ。おかしいじゃないか。それで、建設省なんかの判断と
大蔵省の判断、どうなんですか。そこら一ぺん建設省の意見を聞いておきたいと思うんです。建設省というのは全損というのはどういうふうに理解するんですか。