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1966-03-29 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午前十時五十九分開会     —————————————    委員の異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      植木 光教君     松野 孝一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 中尾 辰義君     委 員                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 木暮武太夫君                 西郷吉之助君                 任田 新治君                 西川甚五郎君                 西田 信一君                 日高 広為君                 松野 孝一君                 木村禧八郎君                 柴谷  要君                 野溝  勝君                 須藤 五郎君                 小林  章君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        警察庁交通局長  内海  倫君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省関税局長  谷川  宏君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        運輸省自動車局        車両課長     隅田  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○関税法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関  係法律整備等に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  それでは、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の以上五案を一括して議題とし、審議を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 中尾辰義

    中尾辰義君 最初に、税法に入る前に、今年度の景気見通しについて私はお伺いしたいのです。最近、新聞等の報道によりますと、昨年の年末ごろ底をついた生産部門は、景気が上向いて明るいきざしが見えたように書いてあるのもありますけれども、この際、大蔵大臣の見解をひとつお伺いしたいと思います。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今日、経済実態は非常な設備過剰で、その設備自己資本でまかなわれないで、他人資本、つまり借り入れ金によってまかなわれておる。その設備が遊んでおる。その設備に対する人件費負担、またこれに投じた金利の負担ということで企業収益力が悪化する、そういうことがあらゆる業界に起こっております。これが今日の不況の実態である、こういうふうに認識しておるわけです。   〔委員長退席理事藤田正明君着席〕  それで、その設備過剰の程度相当深刻であると、こう見ておるのです。まあ三兆円の設備過剰という人もある、あるいは五兆円もあるという人もある。私はおそらく三兆円程度のものじゃない。相当設備過剰である。設備に対しておそらく三割方の過剰になっておるのじゃないか、そういうふうに思うわけであります。  それを、その設備過剰を消して、適正な操業度、まあ八五%から九〇%といわれております、その程度まで操業率回復する、これで初めてほんとうの意味の企業採算というものが確立するわけでありまするが、そこまでいくには私は二、三年の日子を要すると思うのです。一挙に、公債を大いに増発し財政をもってその設備過剰をとめてしまえというような議論もありますが、それはできないことでもあり、また、したら非常に危険である、そういうふうに考えまして、ともかく昭和四十一年度を通じて平均七・五%程度上昇成長にとどめるべきじゃないか、そして二、三年をかけてデフレギャップというものを埋めていく、そういう考え方こそがインフレなき経済回復、こういう道ではあるまいかというふうに考えまして、そういう施策をとっておるのです。  すでに昭和四十年度におきましても、そういう考え方から財政をある程度拡大いたしまして、そうして経済回復を考えてきたのでありまするが、昭和四十年度はいろいろな事情がありまして、財政支出相当おくれてきております。十一月から公共事業支出が本格化する、こういう状態であります。それが相当の作用を及ぼしておると思うんですが、経済諸指標は、十一月、十二月を境といたしまして、非常に変化を示しております。つまり、鉱工業生産にいたしましても、あるいは出荷指数にいたしましても、あるいは製品在庫指数にいたしましても、あるいは百貨店の売り上げ指数というようなものをとりましても、いずれも調子が変わってきておるわけであります。もちろん、月によりましては、二月あたりは鉱工業生産が一月に比べますると多少減っておる。しかし、一月が異常な伸びであります。三・七%でありましたか、これを年率にしたらたいへんな伸びになるわけでありまするが、まあそのたいへんな伸びを示した一月に比べると、二月の鉱工業生産は多少落ち込んでおりますが、しかし、十一月、十二月、これに比べると相当増加である、こういう傾向であります。それから各業界中小企業を含めまして話を聞いてみると、あるいは地域ごとの話を聞いてみると、これはもう非常に産業界は意欲的になってきております。もう景気は底だという判断もいたしておるわけであります。そういうことを総合いたしまして、私はまあ景気は昨年をもって底をついて暮れから回復過程に入っておる、こういうふうに判断をしております。  それから、四十一年度は、先ほど申し上げましたような考え方で積極的な大型予算。しかし、大型ではあるけれども、のりを越えてこれが非常な過大な予算ではない、そういう程度予算を組んでおるわけで、しかもその予算上半期に繰り上げて契約を六割以上達成するというまあ方策を進めておりますが、暮れから始まりました景気上昇のカーブは、そのまま順調に昭和四十一年度、四月以降の動きに乗っていくと、こういうふうにまあ考えております。ただいまのところ、経済計画に見ておりますように、七・五%の年間平均実質成長、これは達成可能ではないか、かような判断をしておるわけであります。
  5. 中尾辰義

    中尾辰義君 いま、財政支出を早めなきゃならない、こういうお話があったわけですが、具体的には、公共事業費等支出につきましてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昭和四十一年度において公共事業費、つまり予算の名目上科目におきまして公共事業費と銘を打っているもの、それと、これに準ずべき学校建設でありますとか、あるいは住宅だとか、そういうもの、これを総合いたしますと二兆五千億ぐらいになります。この二兆五千億円の支出を対象とするわけであります。で、二兆五千億円は一般会計特別会計政府各機関、これにそれぞれわたっておるわけであります。で、それらの経費につきまして、これを契約ベース上半期に六〇%以上を達成したいと考えておるのであります。  それで、それを間違いなく実現するために、政府のほうでは公共事業等実施促進本部というのをつくりまして、私がその本部長となりまして、鋭意実施計画の策定に当たったわけでありますが、実施官庁から提案を見ましたプログラムを見ますと、七二%の契約を達成すると。こういうことになりますと、六〇%を相当大幅に越えるわけであります。しかし、私はまあ今後天候の都合等も、あるいはその他不測の事態もありまして、七二%というのがある程度スローダウンされるおそれなしとしないとも考えまして、いまその七二%というものを採用し、そしてこれを実施するための諸施策をやっておるわけであります。  で、政府におきましては、地方団体に対する補助金支払い、これを大幅に繰り上げることを考えております。それから、地方団体で行なう事業につきまして起債というものがありますが、この起債、これも要請に応じて敏活に出すと。資金の面で地方団体に迷惑はかけない、そういうまあ仕組みをとっております。それからさらに、交付税支払いですね、これもむろん早期に実行する、こういうふうなことをやっておるわけであります。それから、中央官庁におきましては、一番むずかしい問題は、予算は御審議を願っておる。ところが、審議を願っておる予算というものは非常に大づかみのものでありまして、その実施計画ですね、これが従来非常におくれたわけであります。予算は三月一ぱいで成立する。ところが、実施計画のほうは五月になっても六月になってもできないというのが多かったんです。それを、予算審議中でございまするが、とにかく実施準備にもうすでに入っております。そしてもう実施準備の完了したものもずいぶんあります。四月一日予算が成立するやいなや契約を行なう、こういうふうな準備をいたしております。  さようなことで、中央、地方相携えまして、今度は予算が、六〇%は相当上回ると思いますが、その程度の繰り上げ実行が可能である、かように考えておる次第であります。
  7. 中尾辰義

    中尾辰義君 大体わかりましたんですが、今度は財政の面から、きのう大蔵大臣答弁を聞いておりますと、財政展望からいうと、四十二年あるいは三年あたりが最も苦しいときである、こういうふうに大臣説明をされました。いまの景気見通し等と考え合わして、財政の面から苦しい事情ですが、こういう事情でこういうふうになると、もう少しどうですか、具体的にお話を願いたいと思います。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一番根本的な原因は、昭和四十一年、二年、三年、この三年度ぐらいはいわゆる低圧型経済である、こういうふうに見ているわけであります。そういう状態下におきましては、租税自然増収というものがそう多額を期待できない。もちろん経済成長があるわけでありますから、その成長を上回る税収、つまり弾性値ということばをよく使いますが、その弾性値を求められるくらいなら相当増収はあるのでありまするが、企業設備過剰を解消し、その収益力が非常に改善される三、四年後に比べますると、まだそういうふうないい状態ではない。したがって、租税収入はそう改善はされない、こういうふうに見るわけであります。一面、低圧経済でありまするから、やはり財政景気に対して指導的な役割りを演じなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。そうすると、国の公共支出、そういうものは依然としてこれを拡大基調に持っていく必要がある、こういうふうに考える。歳入歳出両面から見まして、四十二年度、三年度、これは非常に苦しい、こういうふうに観測しております。
  9. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、そのように財政がしばらく苦しいとなりますと、当然これはまた公債発行ということになるわけですが、今後公債発行見通しですね、これは予算委員会でしたか、大臣はここしばらく公債発行を続けて、四兆円ばかりになるだろう、そんなようなことを私聞いておりますが、そこら辺のところをもう少し具体的におっしゃってください。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昭和四十二年度、三年度は、ただいまの展望といたしますと、私はいま申し上げましたような事情で、公債発行額昭和四十一年度に比べてやや増額するのではないか、こういうふうに見ております。それから、四十四年、五年、その辺が公債の今後発行額がどういう方向をとるかという境目になるのじゃないか。つまり、自然増収がふえてくるという情勢一つあるわけです。それから、もう一つは、景気回復して財政がそう大型の投資をする必要がなくなる、そういう時期に際会するわけですが、そういう時期になってきますれば、自然、公債依存をするという度合いが低下する、こういうふうに見るわけであります。  非常に将来の展望というものはむずかしいのですが、まずGNP、これが一体どういうふうになるであろうか。GNPがきまる、そうすると、そのもとにおいて租税弾性値がどういうふうに見られるであろうか。それから、景気の動向に応じて歳出規模を見ていきますが、その歳出規模が一体どうなるであろうか。いろいろな想定をつくって国は将来のことを検討してみておるわけですが、答えが何十というくらいよけい出てくる。したがって、これを数字をもって国会でごらん願うというのは誤解を招くおそれもありますので、そういうことはいたしておりませんが、非常にいい状態で国の経済財政も推移するということを考えますと、まあ大体昭和四十七、八年ごろ、一つまり四十一年度において発行する公債償還期を迎えるころには、景気調節ということを考えれば格別ですが、ただ単に財政上の理由だけから公債を発行するというような必要はなくなるということも考えられるわけです。  悪い場合を考えますと、まだ公債依存というものが数年間残っておる、こういうことであります。しかし、私は公債発行というものは悪とは考えない。やはり適度の公債を発行するという政策は、これは財政方針として維持していく、そうして景気がよくなった際には公債をほとんど出さないとか、あるいは低めるというふうにしますが、景気が非常に落ち込んでおるという際にはいつでも公債が出動して民間の財政活動をカバーする、こういう体制、これを考えていくべきだ、こういうふうに存じておりますが、財政運営上必要であるかどうかというような点から考えますと、数年後には相当今日と事態が変わってくる、こういうふうに見ておるわけであります。
  11. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、公債発行高昭和四十四、五年あたりがピークと、こういうことになりますか。  それから、もう一つは、公債発行が今後だんだん累積していくわけでありますから、一体どの程度までいったら危険信号というのか、公債発行の限度というのか、その辺のところをひとつお伺いしたいと思います。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ公債を抱く程度の問題でありますが、それは国力によると思うのです。いまイギリスは、長期債だけをとってみましても、国民総生産の八〇%以上の長期債を持っておるわけです。それから、アメリカでも四〇%をこえるような長期債をかかえておるわけです。わが日本はどうかというと、長期債でいうと二%ぐらいしか今日は存在いたしませんので、その点ほとんどないといってもいいくらいなんです。  今度新しい考え方公債を発行する。いまお話しの昭和四十五年ぐらいですね、ちょうど五年先くらいにどのくらいの累積になるかというと、まあ四兆円程度だろう、そう思います。それが一体日本国力に対してどうかということになりますと、これは一つは、国民総生産に対する割合から見るということが一般的でございますが、五年後の国民総生産というのは、おそらく四十五兆くらいになっているのじゃないでしょうか。あるいは四十兆くらいになるか、とにかく四十兆をこえる程度に進んでいくものと思います。そういう際に四兆円、こういう程度公債累積されるということは、私はそう負担ではない。そのころになると、財政のほうも相当拡大されます。そういうことを考えますに、四兆円の累積国債を持っている、これはどこの国に比べましても、非常に軽い負担である、それほど負担ではない、かように考えます。
  13. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、今度そういうふうに多額公債発行累積していくわけですが、昭和四十年度のいわゆる赤字公債というのは七ヵ年計画である。そうしますと、四十一年度以降の公債発行はかなり長期償還期限である。そうなりますというと、昭和四十一年、四十二年、四十三年、ずっと公債償還額というのは累積いたしまして、各年度の発行された公債償還額と合わせてどのくらいになっていきますか。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昭和四十年度に発行いたしました二千五百九十億円の公債は、これは赤字公債じゃない、歳入補てん公債ですね、そういう性格のものですから、これは償還期限の来る昭和四十七年に、これを全額償還を、現実償還をするという計画を進めたいと思っています。  それから、昭和四十一年度以降の公債は、これは財政法四条に基づく建設公債でございます。そういう性格からいたしますと、私はきのうもちょっと申し上げたのですが、この公債は、ほんとうは二十年という期限をつける、まあできなければ十五年、こういう長期もので出したかったのです。つまり、この公債が何であるかというと、公債財源として、あるいは道路がよくなり、あるいは上下水道ができる、あるいは住宅ができるとか、あるいは学校がどういうような、将来の国民財産として残るものが建設される。その耐用年数というものを考えてみますると、これは何十年となる。まあ四十年、五十年の耐用年数を数えていいものですから。それに見合う公債ですから、公債期限というものは、七年でなくて相当長くしていいんです。ところが、市中の消化の状況を考えますと、そういかない。そこで、やむを得ず七年というふうにいたしたわけなんでありますが、さて七年の期限がきた際にどうするか。初めに二十年もので出しておけば、七年後には償還期限は来ないのです。ですから一償還期限をその時点になって延長するというような考え方をとりましても、この公債を発行した当初の意義と少しも矛盾するところはない、こういうふうに考えるわけです。  したがいまして、四十一年度に発行する公債については、現実償還努力をいたします。そのための積み立てなんかもいたしていきます。いきますが、相当大きな部分は借りかえ、つまり償還期限のつけかえですな、それをやっていくということも考えたいというふうに考えているわけであります。
  15. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうすると、今度の公債を七年間償還することになっておりますが、いまの答弁では、借りかえも場合によってはある、そのときの情勢による、こういうことですか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうです。
  17. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、最初私の質問しましたのは、四十年度が二千五百九十億、四十一年度が七千三百億、逐次増額をして、四十五年あたりが一番山じゃないか。それまでに大体四兆円ばかりになるのだ、こういう大臣お話だった。そうしますと、四十一年、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年と、毎年償還額増加していくわけですね。ですから、その辺のところを、大体四十三年、四年、五年と、年間にどのくらいの償還額になるのか、それを聞きたかったわけです。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ですから、四十一年に発行いたします公債は、一部は四十八年になりましてから現金償還されるわけですが、相当部分がまた借りかえということで延びていくわけです。それが私は借りかえによって、そのときの市場の状況にもよりましょう、十年というふうになるかもしらぬ、あるいは十五年というふうになるかもしらぬ、そのときの状況によりましょう。それから、今度、四十二年で発行される公債が、また償還期限が四十九年にやってくるわけです。それも現金償還努力をしますけれども、また借りかえのものが出てくる。そういうふうに考えましても、この五年間公債相当出ていく。それ全体考えてみても、四兆円内外のものである。それの償還、またそれの利子負担、これは国民総生産から見ましても、あるいは財政規模から見ましても、これはそうたいした問題じゃない、そういうふうに考えているわけです。
  19. 中尾辰義

    中尾辰義君 私が心配しているのは、従来大臣は、今後の償還に際しては、経済の発展を期待して、そこに自然増収が何がしか出る、その自然増収の中から償還をしていく、こういうふうに私聞いているのですが、そうしますというと、減税とからんでくるわけです。自然増収の中から、当然これは減税もしていかなければならない。ことしは三千億で、来年はどのくらいおやりになるのか。きのうのお話では、減税の将来における基準というものは、今後の景気見通しとか、あるいは財政事情等を勘案して弾力的にやる、こういうふうなことで、はっきりしたような、はっきりしないような答弁でありましたけれども、償還のほうに回されたのでは、減税ということがあまり大幅にできないのじゃないか。自然増収というものは公債償還に食われてしまって、減税するものがなくなるのじゃないか。そうすると、減税というものは、公債を発行して、実質的にはその公債によって減税をする、こういうふうになるのじゃないか、こういう気もするのですが、その辺のところはいかがですか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 減税といいましても、なかなか容易じゃないのです。ことに四十二年度、三年度の財政状況は、非常に窮屈です。ですから、きのうも申し上げたのですが、四十二、三年度はそう実質的な大きな減税はできないんじゃないか。努力はしますけれども、そう多くを期待することはできないんじゃないか、こういうふうに思うのであります。お話のように、減税をする場合におきましては、これは租税収入増加をしていく——これがなければできないんですが、その租税収入増加一般経費財源をまかない、さらに余剰ができたというところで初めて減税可能になるわけであります。公債を発行して減税というわけにはいかないわけでありますから。そういうことを考えると、なかなか減税政策をやっていくということは容易なことじゃないんでありますが、しかし、国民負担を軽減する、これはどこまでも考えていかなければならぬ。そういうようなたてまえから、乏しき中でもできる限りの努力をいたしまして減税政策を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  21. 中尾辰義

    中尾辰義君 乏しき中からこれは当然減税をしなければならぬが、公債発行いたしまして、大臣はいまの日本の高度の経済の中においてはインフレになるようなことはないと、こうおっしゃっているわけですが、かなりインフレになる傾向も多いし、物価も高くなってまいりますと、当然これは減税をやっていかなければならぬ、こういうふうに考えるわけですがね。  それで、財政の面から、毎年毎年財政規模は一〇%ばかり、今年は一七・八でしたかふえておりますが、その中で当然毎年ふやさなければならない支出ですね、いわゆる社会保障費だとか、公共事業費だとか、あるいは公債返済額だとか、いろいろな支出経費があるわけですが、今年の歳出予算ではいわゆる当然増経費というものがどのくらいございますか。また、それが昨年に比べましてどの程度当然増経費伸びておるのか、その点をひとつ。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 当然増というのは、なかなか、それをどういうふうに定義するかによりまして変わってくる性格のものでありまして、これを一がいに幾らどうしてもふえるのだとも言い切れないのです。ふえるといいましても、皆さんに法の改正でも御審議願って減らすということもできるわけなんですが、大づかみにいいまして、今年四十一年度法律を執行する、あるいは政府間の約束ごとがあるというようなことで、自然にふえてくる経費は二千八百億くらいはあったかと思うのです。まあそういう趨勢が今後一体どうなるかということは、これはその前の年の国会においてどういう法律ができるのか、そういうものに左右されるわけで、毎年毎年イコールじゃございません。しかし、趨勢としては社会保障費なんかどうしてもふやさなければならぬ趨勢にありますので、これはどうしてもふえる傾向にあります。しかし、その他の問題になりますると、たとえば日韓条約できめたものは、これはそれだけふえますが、あるいは賠償なんかも予定の協定に従いましてふえてくる、しかし、これは払い切れなくなった際にはそれだけ引っ込むわけですから、それは減少要因も働いてくるわけです。そういうように協定とか条約でありますとか、あるいは法律でありますとか、そういうものに伴いましてどうしても義務的にふやさなければならぬ、あるいはそれに類似するものというのは、その年度年度で異なってきます。  ただ、ことしの予算が一七・九%ふえた。それはなぜふえたかというと、その中には物価要因ということを私は見のがすことはできないと思うのです。たとえば公務員の人件費というものがふえております。これはまた年度の途中で人事院の勧告がありますと、またふやすということになります。ことしの予算は昨年の人事院勧告……。つまり、この人事院勧告はどうしてできたのだというと、これは四、五月の民間の給与の状態。その根底には物価問題というものがあるわけです。ですから、物価の動きというものを人件費の算定には包含しているわけです。一七・九%ふえたというが、物価要因を捨象して考えた場合に、一体どのくらいふえたのだろうかというと、これは結論のつかない問題でありますが、相当実質的にはその一七・九%よりは減っておる、こう見なければいかぬと思います。今後、私どもは物価の安定政策をとっているわけですが、この物価安定政策が成功いたしまして、昭和四十年のような騰貴がないというようなことになれば、予算規模に対しましてはこれは非常に大きな影響をもたらしてくるわけであります。  そういうようなことを考えまするときに、どうも、予算が一体今後どういうふうな動きをしますか。私は昭和四十一年度のような大幅な伸びということはだんだんとしないでも、財政が大きな役割りを果たし得るという状態予算が編成できるのじゃないか、そういうふうに考えております。     —————————————
  23. 藤田正明

    ○理事(藤田正明君) 委員の異動について報告いたします。  本日、植木光教君が委員を辞任され、その補欠として松野孝一君が選任されました。     —————————————
  24. 藤田正明

    ○理事(藤田正明君) どうぞ。
  25. 中尾辰義

    中尾辰義君 財政規模は今後はやはりふえていくと思うのですが、いま申し上げた義務的経費、当然増経費といいますか、食管の赤字だとか人事院だとか、それがふえていって、それにまた減税をしなければならない。その当然増経費というものは、大ざっぱで今年二千八百億ばかりあった。来年はもっと上回るだろう。それにプラス今度は減税をしなければならぬ。そうすると、どうしてもこれは五千億ばかり要るということになりますが、そうすると、その程度の自然増が出なければやはり減税というものは公債依存しなければならない、単純な考え方ですけれども、こういうふうな気もするのですが、その点はいかがですか。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 減税財源は、昭和四十二年度以降は公債とは一切関係ない。公債建設事業費ですね、公共事業及びこれに準ずるものの財減としてのみ使う。一般の経常費の財源は、これは通常収入、経常収入によってまかなう。この経常収入というののほとんど大部分が税ですからね。その税の自然増収が一体どのくらいあるか。それで、ただいまお話しのような当然増その他の新規の経費をまかないましてなお余りあるという際にのみ、減税ができるわけであります。そう考えておるわけですが、歳出も、できる限り冗費は節し、それから歳入につきましては、景気もとにかく七・五%上昇するということでありまするから、それに弾性値を乗じただけの財源は見積もり得る、こういうふうに考えております。その歳入歳出のバランスを見るときに、昭和四十二、三年度というものは非常に苦しい、こういうことになるわけです。しかし、できるだけ努力して減税目標を一歩一歩実現していきたい、こういう考えであります。
  27. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ、大蔵大臣は、減債基金制度というものがございますが、これに対してどういうお考えを持っていらっしゃるのか。これはあってもなくてもいいようなものだ、こういうようなことを言う人もあり、将来どうしても公債の発行というものが放漫になりやすいので、やはりこういう基金を設ける必要もある、こういう意見もございますが、大蔵大臣の見解はどうですか。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま日本では、減債制度としまして、前年度剰余金の二分の一を積み立てる、減債基金特別会計に繰り入れるわけであります。そういう制度があるわけです。はたしてそういう方式がいいのかどうか、これはまあ根本的に考えてみる必要がある。それから、各公債の銘格に応じまして減債制度というものをとっておる国もあります。わが国においてそういう制度を導入することがいいかどうか。まあいろいろ考え方がある。今日大体の先進国における趨勢というものは、財政状況によって償還額をきめていく、一定の積み立てをしないという傾向に動いております。動いておりますが、それじゃどうも国民が安心感を持たないのじゃないかという見方もあるわけです。その辺をどういう制度でどういうふうにしたらよいか、これはこの一年間をかんがみてよく検討してみたい。そして次の国会では、そういう問題も具体的な問題として御審議をお願いしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  29. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、減税と物価につきましてちょっとお伺いをいたしますけれども、本会議の税法に対する質問に対する大臣答弁の中に、「四十年度の課税最低限を、消費者物価の上昇にもかかわらず、実質的にそれを維持するというためには、一体幾ばくの減税が必要であるかということを考えてみますると、約三百億円であります」、まあこういうあなたの答弁があったのですが、その点をもう少し具体的に詳しく説明してもらいたい。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 四十年度におきましては、課税最低限が五十六万円になっておるわけですね。その課税最低源五十六万円という点が、一方において物価の上昇が四十一年度においてはあるわけです。これはいま私どもは五・五%程度、こう申し上げておる。それを物価が上がるというと課税最低限五十六万円というものはそれだけ意義を失うわけであります。そこで、五・五%の物価上昇がないという場合の実質が五十六万円の最低限ですから、これが五・五%の物価上昇があるという際には、その上昇のない五十六万円そのものの価値を上昇のある四十一年度においてそれだけの効力を発揮せしめるというためには幾らの減税をしたらいいだろうかと、こういう問題になるわけです。で、そういう角度からいうと、三百億程度減税はしなきゃならぬ、課税最低限の引き上げのためには。そういうふうにまあ見ておるということを申し上げたわけであります。
  31. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ、お伺いしますけれども、まあこれはきのうもお話があったようですけれども、今度公共料金をはじめ諸物価もみな上がっているわけですが、国鉄の平均二割五分の値上げでどのぐらい増収になるのか。また、米価の八%値上げで幾らほど増収になるのか。これからまあ健康保険も上がろうとするのですが、どのぐらいの増収になるのか。それから、また上がりましたね、医療費が。そういうものでどのぐらい増収になるのか。一ぺんひとつ聞かしていただきたい。
  32. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) これは木村委員が昨日おあげになった数字でございますが、米価が六百億円、政管健保が四百二十八億円、国保でございます国民健康保険百五十億円、国民年金四十四億円、郵便料金二百九十億円、国鉄料金千六百五十億円、私鉄料金が三百億円、これを単純合計いたしますと三千四百六十二億円となります。    〔理事藤田正明君退席、委員長着席〕
  33. 中尾辰義

    中尾辰義君 これ、本会議で私も質問したわけなんですけれども、まあ一種のこれは大衆課税にもなりますし、また所得税の初年度の減税額千四百億ですか、そういう点からも考えて、どうも私どもは今度の減税というものがよく政府が言うような大幅な減税じゃないのじゃないか、こういうように感ずるわけですね。場合によっては増税になるのじゃないかというようなことも考えられるわけです。  そこで、具体的に大蔵省の出しました「改正案による所得税の負担軽減調」というものを見てみますというと、給与の収入金額三十万円、これは独身者で軽減額が八百五十六円、これは初年度です。それから、六十万円の収入の方で夫婦の場合二千二百七十四円の減税、さらに六十万円で親子三人の場合は年間三千二十四円の減税、親子四人の場合六十万円で同じくやはり軽減額が三千百三十二円、百万円で親子五人の場合には一万一千三百五円、こういうようになっておるのですがね。結局、まあ六十万円の家族の方で年間三千円、まあ一月大体三百円足らず、こういうふうになりますね。そうすると、一日に大体これはまあ十円程度ですか、現実的に具体的にいいますと。こういうことになるわけです。この程度減税というものと、いま物価の値上げ等を考えてみて、どうも大臣がおっしゃるように——パーセンテージですぐごまかされちゃうんですよ。実際はこの程度減税です。はなはだもってこれは減税じゃないんじゃないかと、こういう感じがするのです。その点をひとつ大臣の親切な答弁をお願いしたいと思います。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共料金などの引き上げを総合しますと三千億をこえるような状況になります。ところが、それらを全部ひっくるめましてのことでございますが、消費者物価は幾ら上がるか。私どもは五・五%だ、こういうことを言っているのです。一方、所得は幾らふえるか。これは国民総生産で見るほかないのでありまするが、これは一一%以上ふえるわけです。そういう際に、三千六百億円の規模減税が行なわれる。これはもう非常な負担軽減になるわけなんです。公共料金などと税だけを並べて議論されることは私は当たらぬと思う。私がただいま申し上げた筋道に間違いがある、こういうなら格別ですが、所得がうんとふえるのです。一一%以上もふえる。そこへもってきて公共料金の引き上げだ何だと、こういうようなことがあるわけであります。それを全部差し引いて考えても、実質の所得は七・五%ふえる、こういうふうに見ているわけです。そこへ大幅な減税がとり行なわれる。私は、いままだ法律案の段階ですから国民は実感を持っておりませんが、これが実施され、その実績が出てくる来年のいまごろになれば、これは相当減税であるということがはだで感ぜられるということになる、こういうふうに思っております。  それから、いま数字で中尾さんいろいろとおっしゃいましたが、この減税の割合です。数字は小さいのですが、納める額がもともと小さいのですから、たとえば百万円の所得の夫婦・子三人というところで見れば三〇%減る。これは相当減税になるわけです。百五十万円の人につきましても、一九・三%減る。これも相当減税だと思います。どこが減税でないのか私にはよくわからないのであります。
  35. 中尾辰義

    中尾辰義君 どこが減税でないのかわからないなんて、そういう答弁じゃ困りますな。ですからね、じゃ三十万円の独身者でしたら、いま税金は五千九百二十九円払っているでしょう。それが八百五十六円だけ安くなる。たったですね、八百五十六円。これも一月じゃないですよ、一年でしょう。八百五十六円というものを、それじゃ一月に換算したら、幾らですか。七十円ぐらいのところでしょう。この程度じゃ、あなた、この三十万円クラスの人は明らかに増税であるということがはっきりしているじゃないですか。次の六十万の親子三人の場合でも、三千円ですから、一月に三百円と。ですから、パーセントとおっしゃればそういうふうになるかもしれませんけれども、現実論でいきますというと、所得は七・五%上がるのだからそれでいいじゃないかと。そうはいかないと私は思うので、そういうところを、国会答弁としてはそれはパーセントであなたが説明しても通るかもしれませんが、大衆はそうは思いませんよ、実際。そこら辺のところをもう少し釈明しなければ、結局もう三千億減税なんて物価高で帳消しになってしまって私どもには一つも役に立たない、こういう声が国民の中から聞こえるわけですからなあ。だから、大蔵委員会を通じて国民向けの報道をひとつやってください。お願いします。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま国としてしなければならぬ仕事がたくさんあるわけです。道路を直さなければならぬ、あるいは公害対策を講じなければならぬ、あるいは共同住宅、こういう問題と取り組まなければならぬ、上水道、下水道、あるいは学校の施設、まあいろいろな問題があるわけです。また、施設じゃないけれども、国の政策として社会保障政策、これは進めなければならぬ。そうすると、国で金が要るのですよ、これは。この金で国で仕事をせぬでいいと、こういうことを御承認なさるなら、これは何をか言わん、これは見解が全く違うのです。しかし、中尾さんは、どうも道路は整備が不足じゃないか、あるいは住宅が不足じゃないか、これはそう考えられると思う。そう考えられれば、国で金が要るわけですから、これは財源は何に求めるかというと、従来の行き方からいうと増税にこれを求めるよりしかたがないでしょう。それを増税をしない、増税をしないのみならず減税をするというのですから、その一点だけを見ましても、これは非常な大減税をしておるのだと、こういうことが御了解いただけると思います。ふやすべきところを三千六百億円逆に減らすというのですから、こんな大減税はないのです、これは。  また、先ほども申し上げましたように、公共料金の引き上げ、そういうものを考慮いたしましても、とにかくそれは物価にはね返ってくるわけです。そういうものもすべて考慮いたしましても、実質所得は一一%以上ふえて、そこへそれだけの減税が行なわれるというのですから、これは響きがあるに違いない。これがないというのは私は理解ができない。
  37. 野溝勝

    ○野溝勝君 ちょっと関連で。いま中尾委員の質問されたところね、これは非常に重大な国民が疑問としている点なんですが、それは大臣は、何といいますか、大幅減税、史上最大の減税だと言われておりますが、この点非常に問題があるのですから、その点はもう少しすなおに大臣は耳を傾けたほうがいいのではないかと思うのです。あなたの考えは考えとしてわかりますが、また国民の観点からすると問題があるのです。  と申すのは、今度の減税は大幅の減税とあなたたちは言っておりますが、大体蔵相にひとつお聞きしたいことは、あなたは所得減税企業減税は六対四で、所得減税に重点を置くということを言っておられたのですな。ところが、今度示された減税案というものは、額においては史上最大の減税であるかもしれないけれども、中身はこれは大企業減税になっているんですね。そこで、まず蔵相にお聞きしたいのは、どうしてこういうふうに六対四の方針から変わったかという点について、ひとつ、聞いておきたい。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 従来、減税というと、所得税が八割くらいで、その他が二割くらいのウエートだったかと思うのです。ところが、昭和四十一年度におきましては、とにかく史上最大の大減税である、平年度になると中央、地方で三千六百億円になる。こういう際に、いままで国民から要望されておった諸問題も片づけておきたい。その一つは相続税です。これはいままで五百万円をこえますと相続税がかかるという状態を改善する。まあ健全な国民の資産形成という見地であります。それから、もう一つは、所得税の低いほうの税率の問題なんです。これもずいぶん言われておるのです。いままでは控除の引き上げ引き上げで来ておりますが、しかし、控除の引き上げだけでは足らない。低額所得者の税率調整をすべきである、こういう議論がずいぶんあったわけです。これも片づけておきたい。それから、もう一つは、物品税の問題です。物品税につきましても同様の要請がある。この三つをこの際片づけることにしたわけです。そうしますと、どうしても所得税プロパーの、つまり控除引き上げを中心とする所得税減税というものは、それだけ食われるわけでありまするから、まあその規模が小さくなる。これは自然にそういうことになるわけですが、しかし、とにかく五十六万円のものを一挙に六十三万円にまでもっていく。これは私は相当大幅といってさしつかえないのじゃないか、そういうふうに思うわけです。  それから、その他の問題につきましては、企業課税が入っておるわけです。法人税、これは一般税率のほかに考えなければならぬことは、中小企業の問題なんです。中小企業につきましては、これは長期不況でありまするから、ことに困窮しているに違いない。これを金融の面、いろんな面で援助をしておりまするけれども、税の面においてもできることがあったらという配慮をする、これはまた当然のことじゃないかと思う。そういうことで中小企業減税をする。  それから、もう一つは、中小企業じゃないが、一億円超の法人につきまして、いま非常に体質が悪化しておる。これは結局、これらの法人が体質が改善され、発展いたしますことは、中小企業にもいい影響があり、かつ、国民所得の中で重要な勤労所得、これの源泉をつちかうものでもある。それに対する配意もいたそう、こういうことになってきておるわけです。  それらを総合したものが今度の減税案なんで、まあそうバランスが取れないというふうには考えておりません。むしろ、これは昨今の経済状態から見て適宜の配分をしておる。野溝さんの言われるように六対一じゃない、六対四です。
  39. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は六対四と言っている。聞き間違いでしょう。関連ですから、そう時間を食うわけにはいきません。あと、簡単にしておきますが、特に今日の減税が私は大企業中心の減税と思う。まっとうの減税内容と少し違いはせぬかという意味において、聞いたのです。  そこで、いろいろと説明もありましたが、特に私の疑問としておるのは、納税人口を減らさぬで、この減税を企画しておる。このことが非常に私は問題点だと思うのです。と申すのは、納税人口は十年に倍増していますね。そうして課税の対象は戦前の四倍以上です。納税人口は、昭和三十年に一千万人、昭和三十九年は二千万人。倍増ですね。まあ大体、昔は、戦争前は、月百円の所得がなければ税金はかからなかった。そうすると、課税対象は、戦前は平均国民所得の倍額以上の階層から課税しておったわけです。現在では、平均国民所得の半分以下の階層から課税しておるのですね。それで、まあきのうも質疑があったのでございますが、八十万円以下を無課税にするというようなことは、これは私は数年後にするなんということではなくて、今日の問題だと思うのです。数年後にはどうなるかわからない。そんな数年後の先のことまで、いまの大きな経済異変のあるときに、そんなことをまじめに聞いちゃおれないと思うけれども、しょうがない、大臣はまじめに答弁されているのだろうから。私は、そう自民党内閣が六年も続かれたら困るよ。私は新聞を見てちょっと憤慨したんです。  そこで、それはそれとして、とにかく所得税は大衆収奪の税制だというようなことを、私は先ほど申しましたけれども、ちょっとおかしいですよ。今回の減税案が、三千六十九億、初年度は二千五十八億。ところが、所得減税として初年度は千二百八十九億で、平年度が千五百五億、家族五人の標準世帯の課税最低限が六十三万一千円。これからいろいろ検討してみると、実際ふに落ちないのは、納税人口の点で、四倍以上になっている、いま申したとおり。この納税人口がふえているという点が一つ。それから、各種の公共料金の値上げ分が約三千億、この半分と見たって、平年度で一千五百五億、もちろん初年度の四十一年度は千二百八十九億。そうなるというと、減税分は、これは実際の減税というよりは、物価騰貴その他値上げでもって減税にはならぬのだね、実際は。表向き減税であって、中身は増税という表現も、私は使えると思う。だから、そういう点から見て、今日の減税というのは、実際大企業は確かに減税になっておりますけれども、大衆に対しては、実際この減税ということばはあまりにも距離があり過ぎる。  そういうような点で、あなたがこの点をもう少しよく詳しく説明してくれれば、また私としては一応それに対するあれもしてみたいと思いますけれども、いまあなたが、中小企業に対する点も十分考えてこの減税案を出したと言うのですけれども、中小企業には、そういう一つ思恵といいますか、減税に対する期待というものがあまり持てない内容なんですね。私は、あなたの言うとおり、むしろ六千件倒産の、それは大企業も入っているのですけれども、ほとんど全部といってよいほど中小企業なのですね。だから、大企業減税をねらいとしたものじゃないですか。この点、ひとつお聞きしたい。  さらに私は、農業と他の産業との、農工間の格差の問題ですね、これの減税案をお聞きしたいのでございます。これは先般大臣と約束しましたから、私は農林委員会でお聞きいたしますが、その点だけひとつ大臣、忌揮ないお話を願いたいと思う。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず中尾さんにお答えしたことを繰り返して申し上げますが、どうでしょうか。
  41. 野溝勝

    ○野溝勝君 いや、そういうことがいかぬというのだ。それはそういうことじゃなく、それも含んでという答えにしなければいかぬですよ。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ですから、それで、まず第一に、中尾さんにお答えした点なんですが、減税になっていないじゃないか、公共料金がふえるじゃないか。これは非常に大事な点ですから、繰り返して申し上げさせていただきますが、これは国家の財政需要というものがふえるのです。ふやさぬでいい、こういう前提ならば、これはまた結論は違ってくるのです。私どもは、これはもう道路の状態を見ましても、あるいは上下水道の状態を見ましても、あるいは公害の現状を見ましても、あるいは住宅のことを考えましても、国家の財政需要というものはふえる。そうすると、それをどういうふうにまかなうかというと、従来の考え方でいえば、税でまかなうほかはない。増税になる。それを増税をしない。しないで、逆にここで三千六百億円の減税をするのです。ですから、相当のこれは減税があったんだというふうに考えてもらっていいと思うのです。つまり、国が仕事をする。これはだれのためにするのだというと、国民のためにするのです、国民の共同施設がそれだけできるのですから。それを税でまかなわぬで公債でまかなう。それだけの減税幅というものがあるわけです。その上にさらに上乗せで三千六百億円の減税をする。私は、これは減税でないとは言えないと思う。  それで、さあそれじゃ実質はどうだ、こういうことになりますと、公共料金が上がります。国鉄のことを例にとりますると、国鉄の公共料金が上がる。これは上がったその金を何に使うのだ、こういえば、この殺人状態の解消、あるいは安全の確保とかあるいは合理化、スピードアップ、こういうものに使う。そうしてこれは利用者へのサービスとしてはね返ってくることはもちろんでありますが、同時に、これはことごとく人件費として国民所得の増加につながってくるのです。そういう国民所得の増加の趨勢が、これは国鉄の運賃を上げたに伴う消費者物価の上昇を消してなお実質七・五%上がります、こういうのです。そういう際における三千六百億円の減税でありまするから、野溝さんが内容の議論に触れられておりまするが、内容の議論はあとにするといたしまして、内容の議論を抜きにいたしまして、総体で見まする場合に、これは実質的に非常に大幅な減税である。私はこれを信じて疑いません。  内容につきましては、その三千六百億円というものがどうも大企業偏重じゃないか、こういうようなお話でございまするが、これは中小企業相当行っているのですよ。三千億円の国税の減税の中で七百億円、七百二十五億円は中小企業向けなんです。大企業には幾らというと、これは約四百五十億円であります。で、そういうようなことを考えましても、いろいろバランスを考えて、また今日の中小企業の不況というものも頭に置きまして、その減税案というものができておる、まあこういうふうにこちらは考えておるわけなんです。
  43. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、大臣答弁もわからぬことはありませんよ。公共料金上げましても、いずれ人件費になってはね返ってきて、それが国民所得の増加ということになっていくのだから、それでいいじゃないか。まあそれも確かにそのとおりだと思うのですけれども、それともう一つは、さっきおっしゃったのは、税額そのものが少ないのだから減税のほうも少ないのだと。この二つの見解をおっしゃったように思うのですけれどもね。しかし、現実においては、物価が上がっていきますというと、この程度減税ではなかなか大衆はぴんとこないわけですね。ですから、減税のやり方というものをもう少し伺いたいと思う。  こういう、この下の低所得の人は、あなたがそういう理論的答弁をなさっても、現実においては、これはもう明らかに、三十万所得の人で八百五十六円ぐらいの減税、六十万所得の親子三人当たりで三千円程度減税では、どうしてもこれは増税になってくる。ですから、減税のやり方を、下のほうをうんともう少し軽くして、その辺のところをまあ私ども言っているわけなんです。そうしなければ、幾らあなたが、三千億減税だ何だかんだ言ってみたって、大衆はぴんとこない、実際問題として。その点はいかがですか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだこれが実施されないから、ぴんとくるもこないもないのですよ。これは来年のいまごろになってみなければ、相当減税になったかどうかわからない。現に、いままでの調子でいきますれば、これは税金が来年はかかるなと思っている人が二百万人も税金かからなくなっちゃうのだから、これは減税の効果だ。しかも、その低額所得者については税率が低いと、こういうのでありますから、私はこれはもう——いま大衆がどうのこうのと言って、大衆が税法を研究しているわけじゃございません。やはりこれが実施されてきて、来年のいまごろになってどういう感覚になれるか、これによってひとつ御判断を願いたい。
  45. 中尾辰義

    中尾辰義君 いまぴんとこないと言いましても、この前税金を払ったにもかかわらずですよ、確定申告を。この前私は質問しましたけれども、とにかく税収の欠陥もかなり出たのだから、あなたのほうでははっぱかけなかったか知らぬけれども、実際面においては二年さかのぼり三年さかのぼって、実際ことしはおかげさんで去年の四、五倍払わされた、そういうところも耳にしておるわけだから、そこへもってきて、税金だ。減税構想が新聞等に出れば、今度は幾らぐらい安くなるのだ、そのくらいのことは考えていますよ。ぴんとこないと言っているが、おそくなればなるほど物価は上がっていくのですからね。まあそれはそれでいいでしょう、議論になりますから。  最後に、いまの減税の特別措置法ですね、その特別措置法と税負担の公平という面から考えてみて、どのようにお考えになるのか。できればやはり税の公平というものは守っていかなければならない。そうしなければ、やはりこれはいつも大蔵委員会で問題になりますよ。ですから、私が聞きたいのは、それは会社の内容もよくしなければならぬ、開放経済に備えていろいろな措置も講じなければなりませんが、減税以外にそういう対策はないのか。財政金融の面あたりで、特別措置法でなくして、そういう面で措置をする方法はないのか。その辺のひとつ見解をお伺いしたい。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ特別措置といたしましては、貯蓄奨励的なものが非常に多いわけです。つまり、利子、配当に対する特例、これが特例措置による全体の減収二千二百億円の中で千五百億近くなるわけです。それから、次いで多いのが内部留保の充実のための特例措置約四百億円、それから三番目が産業の助成の特例措置です。  で、これを特例措置をやめてしまって何か他に手段あるかと、こういうと、私はないことはないと思います。それは歳出でそれだけのことをやる、こういうことだろうと思いますが、これはもう手数がとても繁雑で、とてもやりきれない、まあそういうことかと思います。そういうようなことを考えて、税の面で政策的意図でただいま申し上げたような特例があるわけであります。  しかし、私は、この特例というのは、やっぱり特例だから、なるべく早く特例がなくなる、こういう状態がいいと思います。そういうようなことで今後も努力をしていかなければならぬが、しかし、今日の時点において、それぞれいずれも政策目標を持ち、しかもそれが一つの事実となっておるという今日でありますから、急にそれを一挙に清算する、それはなかなかむずかしい。むずかしいが、これがない状態がいいということは基本方針として堅持して、これが整理を常に検討するという態度はとっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  47. 中尾辰義

    中尾辰義君 主税局長でけっこうですが、この四十一年度の税制改正による増減収額ですね、これを見ますと、資本構成改善の促進で平年度で九十六億、合併の助成で三十億、スクラップ化の促進で二十九億。このスクラップ化とか、合併の促進とか、こういうものはどういう積算によったわけですか。まあそういうのがあるわけですか。
  48. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 企業体質の改善の意味で、ただいま中尾委員の御指摘のような特別な措置を講ずることとしたわけでございます。その積算の根拠はという御質問でございますが、まず第一の資本構成の改善の促進は、私どもは三菱経済研究所の資料をとりまして、三十六年以降の法人の資本構成の改善のあった法人を選び出しまして、それから今後の見通しを加味いたしましてつくりましたのがこれでございます。次が合併の助成でございますが、これは公正取引委員会におきまして、一定年度における合併を調べ、その合併におきますところの資本の増加割合を計算いたしまして積算いたしたものでございます。スクラップ化の促進は、これも各業界におけるところの最近の設備の廃棄状況等を基礎といたしまして、さらにまた今後の近代化計画を各省からいただきまして、この近代化計画に基づきましてどういった程度のスクラップ化が行なわれるか、これをもとにいたしまして計算したのがこのような計算根拠になるのでございます。もちろん、それに対しましては、一応の減収計算で、これは企業体質改善の一環でございますので、企業体質の改善のためにどの程度減税規模が割り当てられるかということをまず最初にきめまして、政策的ウエートに重点を置きまして、資本構成の改善には百億円程度、合併の助成、スクラップ化の促進は三十億程度になるような減収額を予定いたしまして、それに基づきまして、いま申し上げました積算根拠で計算いたしたのがこの数字でございます。
  49. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ最後に、この法人税は三百万円を境に二段階になっておるのですね。きのうもちょっとお話あったようですが、やはり中小の所得者はもう少し安くならないか、二段階を四つの段階ぐらいにできないものか、こういうことをよく耳にしておるのですが、ところが、あなた方の答弁によりますというと、法人税というものは税金の概算払いだからそういうことができないということがありましたけれども、その間の事情をもう少しひとつ詳しく御説明願いたい。できないのか、できるのか。
  50. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 中尾委員御指摘のような法人税は何かということは、学界並びに各国の税制におきましてもきわめてむずかしい、いろいろ考え方もございます。いろいろな考え方が数多くあるのでございます。現在の税制は、大まかには個人株主の所得税の前払いというふうに、法人税の昭和二十五年のシャウプ勧告に基づきます改正以来とっております。しかし、どうもそれが全体徹底しておりませんので、過去の残滓でございますところの法人は法人企業として特別な負担を負うべきであるといった税制が多分に残っておりまして、私は、現在の制度はたてまえといたしまして法人擬制説のようなたてまえが多いけれども、しかし、過去の法人独立説のようななごりが残り、また大法人のような社会的な実在の強い法人に対しては、世の中の常識から見まして制度の中にも法人独立説的なたてまえをとっておられる、かように考えます。  その一例といたしましてあげられましたのが、いま中尾委員の中小法人の担税力の弱さという点だと思います。個人株主の前払いというならば、むしろ中小法人の株主のほうが、その所得の大部分は株主のものであり、上積み税率の高いほうが多いわけでございます。そういたしますと、むしろ法人税は中小法人の高いほうが適切ではないかという考え方も出るかもしれませんが、しかし、そんなことよりも、むしろやはり事業の社会におきまして競争している面を見ると、何といっても大法人のほうが競争力が強い、蓄積力があるということを考えますと、資金の調達力が多いと考えますと、これはやはり独立説的な考えを入れなければならぬということで、昭和三十年以来、国会の御要望によりまして、中小法人の担税力の減殺を救う意味で、所得の金額に応じまして軽減税率を設けたのでございます。現在は二段階になっております。このこと自体が、私は一つの法人がまず所得を株主に分配する前に所得をあげる発生段階においてお互いに競争している、そこを着目したものだと思うのでございます。  そこで、今回は、これをもう少し中小法人の競争力の点を考えまして、これまでは技術的な理由でその軽減税率を大法人の下積みの三百万円にも適用いたしておりましたが、今回は世の中にふえんいたしておりますところの中小法人の競争力の弱さを救う意味での税制上の措置をひとつ徹底しようということで、資本金という新しい基準を入れまして、中小法人には特別な中小法人だけ軽減税率を適用することにいたしました。  しかし、そこでもう一歩進めて、中尾委員の御案は、これを何段階かの税率にしたらどうか、これもなかなか言われる案でございます。しかし、私は法人税を独立税的に考える場合には、これは一つ企業に対する負担だと考えることであろうと思います。そして企業の所得に対する、純利益に対する課税だと思うのでございます。御存じのように、企業の純利益は非常に浮動いたします。景気のよしあしで浮動し、ある年はうんともうけますが、ある年はむしろ欠損になるような場合がございます。これは私は大法人のみならず中小法人もまた同様だと思うのでございます。その点が個人所得とまるっきり変わった私は性格だと思います。そういたしますと、何段階かの所得に応じましての累進税率を設けますと、非常にある年には減り、ある年には減らないことになる。それからまた、欠損なんかの場合には、現在の欠損の繰り越し期間が五年といったようなことになりますと、非常にもうけたときには取られたけれども、損したときには返してくれないようなことになる。私は、そもそも企業の所得に対しますところの税率というものは、本質的に累進税率にならないのではないか。これはどこの国で見ていただきましても、法人税率が非常にフラットな比例税率であり、せいぜい二段階程度の税率になっているのは、これはもう法人税の宿命であり、いわゆる応能負担というよりも応益負担が多いということから来ておる。さらにまた、利益のあったときには課税いたしますが、損をしたときにはやはりある程度の範囲において税を返すといったような事業所得に対する課税の宿命から来たものでございます。そんなような意味から、ときどき浮動いたします、それに対して累進税率を適用するということは、たとえ中小法人でも適当ではない。ことに大法人におきましても、そういった欠陥は、繰り越し期間、赤字の場合等を考えてみますと、累進税率で取るということ自体が私は適当ではない。これは外国の例でもおわかりになられる点ではないか、かように考えております。
  51. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大蔵大臣は、今度の減税三千億につきまして、これは史上最大の減税だと自画自賛をしておられるように思います。はたしてこのいわゆる史上最大という減税は一体だれのための減税であるか。大企業と配当、利子などで生活しておるところの不労所得者に対する減税か、それとも、勤労所得者、農民、さらに中小企業家など、働く人民に対する減税であるかどうかという点を、まず最初に……。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 中小企業者、農民、勤労者等を中心とする減税であります。
  53. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどの質問を聞いておりますと、中小企業家に対しましても減税をやっておると、こういうお答えでありました。しかし、この中小企業家に対する七百億余りの減税そのものも、実際今日仕事に困っておるような中小企業家に対する減税ではなく、この七百億余りの金というものは、大企業の下請をやっておるところの中小企業が倒れてしまうと大企業に大きな影響を来たすおそれがある、そういう点を心配されてこの減税がなされたんではないだろうか。ほんとうに下積みになっておる小企業者、それを救うというならば、これぐらいのことでは救うことはできないと思うんです。でありますから、大臣中小企業家、働く人たちに対する減税だと言っても、私は事実はあなたの答弁とは全く違っておるんではないか、こういうふうに考えます。そしてわれわれの考えによっては、働く人たち、人民に対する減税だと言っておるが、働く人民に対しては史上最大の増税に逆になっておる。  それも先ほどから中尾委員も質問いたしましたが、もう一ぺんその質問を繰り返しまするならば、政府発表でも米価の値上げは六百二十八億だと、国鉄は千六百五十億だと、国民保険が百五十億円。まだまだほかにずうっとありますが、こういう公共料金の値上げは三千二百億というふうに数えられております。この公共料金の値上げ、米価の値上げ、国鉄の値上げ、国保の値上げ、これは一体どういう性格のものであるか。これは一種の私は消費税と見るべきものではなかろうかと思うんです。第一、国家権力によって強制的に値上げし、強制的にそれを取り立てられるということになっております。第二は、しかも、これは貧乏人も金持ちも同じように払わされるところの金であるということです。だから、こういう点を勘案しますならば、所得税の減税どころじゃない。いわゆる重税になるのではないかという点が一点です。  それから、一方、大企業、不労所得者には史上最大の減税がなされておると思うのです。四十一年度、国税におきましても租税特別措置法に二千二百二十億の減税がなされます。しかし、実際はそんなわずかなものではありません。政府は大企業に至れり尽くせりの減税をやっていながら、それを隠しておると言わなければならないと思うのです。この特別措置法ももちろんけしからぬことだと考えますが、その前にもっとけしからぬことをやっておると思います。いろいろの名目を使って、大企業に対し免税、非課税の恩恵を与えております。たとえばガソリン税、物品税、さらに地方税では固定資産税、電気ガス税、この四つの税目で免税、非課税の金額は幾らあるかという点、また課税されて税収となった金額は幾らか、その点を、三十八年度から四十一年度までひとつお答えを願いたいと思います。
  54. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 私は、まず第一の、企業に対しまする減税が隠されたという点がよくわからないのでございますが、御趣旨の。まず第一に、租税特別措置の二千二百二十億円以外に、地方税で国の行ないました特別措置の結果、どの程度のいわゆるはね返り減収があるかという点にしぼり、さらに、この地方税だけで特別な非課税規定がございます。しかし、これはおっしゃったように、大法人だけではない。たとえば公益法人等の非課税あるいは農業協同組合等の非課税、住民税に行なわれております。それから、固定資産税につきましても、農協の倉庫、事務所等の非課税がございます。  これらをかりに政策的な減税といたしまして、これを数字を申し上げますと、まず第一の、国の特別措置による地方税のいわゆるはね返り減収が、四十一年度には六百三十九億円と見積もられます。同時に、いま申し上げました非課税規定等による地方税の減収見込み、これはもう大法人だけではございませんが、いま申し上げました農協とか、そういったものまで含められております。これが七百五十六億円というふうに四十一年度は見積もられます。  隠されたと申されますが、私どもは航空機の揮発油の免税等も特別措置のほうに入っております。さらにまた、いま申し上げました地方税の中には、電気ガス税の非課税も入っておりますし、固定資産税の非課税も入っております。しかし、地方税のほうは大法人と中小法人、あるいは大企業中小企業の区別はむずかしいので、現在はなされておりません。なお、電気ガス税等は、そもそも産業用に対して課税するのがはたして消費税の本質から出てくるか。しかし、地方財政が苦しいから電気ガス税も課税されておるのでございます。しかしながら、輸出等の見地を考えまして、電気の使用料が特に高いところに電気ガス税が軽減されておる。こういった結果、いま申し上げましたような七百五十六億円のうちの計数の一つになるわけでございまして、電気ガス税はその中に入りまして、約二百二十一億円ばかり計算されることになり、固定資産税は小計で二百九十四億となっておりますが、これはむしろ大企業よりも、ほとんどいま申し上げました農協とか、日本赤十字社とか、それから日本放送協会等がございます。もちろん、償却資産税が相当その中に含まれておりますが、必ずしも大法人ばかり免税されておるものではございません。
  55. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣ね、あなたから答弁をしていただく点があるのですが、いま私が前半に述べましたように、あなたは減税だと言っていますけれども、要するに国鉄の値上げがある、公共料金の値上げがある、それで三千二百億の要するに増収になるわけですね。ということは、人民の立場からいいますならば、それだけよけい取られるということになるわけですね。しかも、それが普通の取り方ではなく、税金と同じように、要するに強制的に、いや応なしに取られる金であるから、税と同じに見るべき性質のものだと思うのです。そういうふうに考えますならば、三千億減税したとおっしゃいますけれども、逆に三千二百億、これだけ取られる。そこへもってきて、また物価の値上がりとかなんとかというので、国民のふところからいや応なしに取られる金というものは……。国民のふところに関係のあるのは所得税の百六十億ぐらいですが、要するにそれよりも二倍、三倍にもなるような金がいや応なしに国民のふところの中から取られるということは、これは増税と見てもよいものではないか。どうしてこれで史上最大の減税ということができるかというのが私の言いたいことなんです。こういうものに対しては、政府はどういうふうに考えておるか。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほども申し上げたのですが、国鉄に例をとりますと、国鉄の料金改定は国鉄のサービスの改善になるわけなんです。これは国民の利益となって、利用者にはね返ってくるわけであります。と同時に、そのサービスの改善を通じていろいろな注文が行なわれるとかいたします。そういう面もあるし、また同時に、国鉄職員の賃金となってあらわれる部面もある。すべてこれは賃金となっていくわけなんです。ですから、国鉄の料金改定による増収というものは、これは勤労所得の上昇、つまり国民所得の上昇という上にそれだけ貢献をするわけなんであります。その点を見のがして議論をするということはできないと思います。  米の場合もそうです。消費者米価が引き上げになる。これは引き上げしなかったら一体どうなるかというと、それだけ増税をして食管会計に繰り入れなければならない、こういうことになる。それを、米価の改定をしたがゆえに増税をせぬで済む。それから、もう一つの問題は、消費者米価の改定をした金を一体どういうふうに使うかというと、これはみんな生産者米価の引き上げになって農民を潤すじゃありませんか。これはまた農村の所得の上昇となって、国民所得の上昇に寄与するわけなんであります。  そういうものが寄り重なって、一面において料金改定いたしますと、あるいは米価を引き上げますと、消費者価格に影響します。影響をしますけれども、影響をひっくるめまして一一%の国民総所得の上昇になる。それだけ国民は平均して所得が上昇するわけなんです。また、実質に物価の上昇というものを考えないでも、七・五%の実質所得の上昇がある。そこへ三千六百億円の減税が行なわれる。これは減税と言わぬで何と言いますか。私にはむしろおっしゃられる話のほうがわからない、こうお答えするほかありません。
  57. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 国鉄のサービスをよくするために金がかかる。だから、それを料金の値上げによって国民から取る……
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 利用者からですね。
  59. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういう米の値上げをするのは、それは農民に米の値を上げるためだ、どうしても政府が仕事をしようと思えば金が要るんだ、だから、その金を税金で取るとおっしゃる。簡単にそうおっしゃいますけれども、政府が仕事をするために金が要るなら、われわれ国民から税金で巻き上げなくても、まだ金を取るところはたくさんあるわけです。その点は私はこれから少し申し上げたいと思いますが、取る方向が違うのと違いますか、大蔵大臣、取る金の方向が。片方には免税、非課税にして金をどっさりもうけさして、そうして国民の乏しいふところから金を巻き上げよう、これがいまのあなた方のやり方なんです。そのやり方を変えない限り、いつまでたってもこういう不合理な問題は解決しないのです。そこを私は言うのです。  いま政府委員に、三十八年度から四十一年度までの免税、非課税の額を示せと私は申しましたが、それは示されておりません。いろいろ言いわけ的な説明はいたしました。しかし、その額は示されていないと思うのです。
  60. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) ただいま私は四十一年度の数字を申し上げましたが、それでは、三十八年度からひとつ国税地方税に分けまして申し上げます。  三十八年度の国税におきますところの特例措置は千六百六十六億円でございます。三十九年度は二千九十八億円でございます。四十年度は二千百十七億円でございます。これはいずれも国会に御提出申し上げました。四十一年度は先ほど申し上げました。  次は、同じ調子で地方税にはね返りました国の特例措置による地方税のはね返り減収額を申し上げますと、三十八年度は三百九十三億円でございます。三十九年度は五百四十九億円でございます。四十年度は五百七十七億円でございます。四十一年度は先ほど申し上げました六百三十九億円でございます。  そこで、次は地方税独自の非課税規定による地方税の減収見込み額でございます。三十八年度は五百六十億円でございます。三十九年度は六百五十五億六千五百万円でございます。四十年度は六百九十七億円でございます。四十一年度は先ほど申し上げました七百五十六億円でございます。しかし、内容は先ほど御説明したとおりでございます。
  61. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大蔵大臣、まあちょっと伺ってもいまのようなことですが、私たちが三十八年度の国税庁統計年報で非課税、免税分を計算してみました。それによりますと、総計四千六百七十億となっております。しかも、その中身を申しますならば、たとえばガソリン税を見てみますると、石油化学用、航空機用、化学工業用のガソリンが免税になっておるのです。その額は二千九百二十八億円です。一方で、一般市民の乗るタクシー、自家用車、小企業の営業車、農漁民、林業用のガソリンには一キロ当たり六一%の高い率で税金がぶっかけられておるのです。その額は二千二百一億になるわけです。他方では、いま申しましたように、石油化学、航空機、化学工業など独占資本には免税をして、そうして大衆からは二千二百一億という税金を取り立てておる。ここにも独占資本のための免税政策がはっきり出ておると言わなければなりません。——聞いておってください、私言っておるんだから。  その次は物品税です。これも同じことが言えるわけです。ごく一部の重化学独占資本だけに免税をして、それ以外のものに税金をぶっかけております。特に物品税で問題なのは、輸出用の免税だと思うんです。ダンピング輸出のほうは免税し、国内価格をつり上げて国民に買わせるほうには税金をぶっかけておるんです。重化学工業製品輸出、この輸出の中にはことしはベトナム特需が大体三億ドルぐらいあるだろうということがいわれておりますが、これもその中に入る問題ですが、計算によりますると、この重化学工業製品輸出の免税は千八十六億という数字が出ております。こういうふうに片方では税金をまけておきながら、それ以外には、大衆からは千三百九十一億という税金を巻き上げておるんです。  固定資産税の非課税に至りましては、独占資本のためのものであることがあまりにも私は露骨過ぎると思うのです。人民の固定資産に対しましては、犬小屋以外は全部課税をしようというのが政府考え方じゃないでしょうか。しかも、今度は新たに評価がえを行なって人民からしぼり取ろうとしておる。ところが、一方では電力会社、ガス会社、鉄道、NHKなどの持っている土地の四四%を非課税にしておる。会社の建物や償却資産を非課税にしておるわけです。その額は何と四百二十三億になると思います。そうして人民の家、土地には全部課税です。今度新しく評価がえをされるならばもっともっとふえるだろうと思いますが、今日二千七百二十二億の固定資産税をぶっかけておる。  電気ガス税を見ましても、同じようなことが言えるんです。鉄鋼、電気化学、合成ゴム、パルプビニロンなどの産業に使う電力、ガスは免税にしておる。これが百三十九億、ところが、一カ月三百円以上の零細な家庭や中小企業からは七%の税金を取っておる。これが五百四十一億です。片方には百三十九億の税金をまけ、片方からは遠慮会釈なく五百四十一億の税金を取っておる。  政府はこういう政策をやっておると言わなければなりません。こういう非課税、免税が三十八年度で、先ほど申しましたように四千六百七十億です。それに政府発表の三十八年度租税特別措置による三千三百億、これは地方税を含んでおりますが、それを加えますと、政府発表でも八千億、しかもその大部分は大企業のための減税だと言わなければなりません。このやり方が三十九年も、四十年も、四十一年度も一貫してやられておるわけです。これが企業減税の実体ではないですか。これで何で人民のための所得税減税か。政策の柱といばることができるんですか、大臣
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま須藤さんからのお話の数字につきましては、私も唐突のお話なんでちょっとつかみにくいんです。つかみにくいんですが、特殊な目的の場合に、特別措置以外においても減税しておる場合があります。たとえば一番大きなのはおそらくガスだと思うが、ガス会社の使うガソリン、重油、そういう免税が一体どういう効果をあらわすか。これは決してガス会社を援助しているわけじゃないんです。これはガスを使う大衆を保護しているという性格のものです。一々そういうふうにいずれも理由を持っておるわけです。ですから、いま須藤さんから伺うお話も、三十八年度で四千億というお話でございまするが、その内容をお示し願いますれば、一々それがこういう趣旨のものであって、これは国民生活にこういう影響を及ぼすんだということを申し上げることができます。
  63. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたの言うのはこうだと思うのですよ。ガス会社に税をかけると人民に対するガス代が高くなるから、だから、ガス会社の免税をして、それだけ人民に使うガスの値を下げよう、こういう考え方から出ておるのだと、こうおっしゃるのです。それならば、人民が使うところのガスですね、いわゆる一カ月三百円以上の零細な家庭や中小企業が使うそういうガスは、全部非課税にしなければうそだと思います。そうしてこそ初めてあなたのおっしゃることが言えると思うのです。ところが、そういうものは税を取っておいて、そうしてそういうへ理屈をつけて、一見もっともらしいような理屈をつけて、そうして大きなガス会社、電気会社、そういうところから鉄鋼や電気化学、合成ゴム、パルプ、ビニロンなどの産業に使う電力やガスは特別措置によって免税にしておる、こういうやり方がおかしいじゃないか、こういう点です。
  64. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  65. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 電気ガス税というのを須藤さん頭に置かれてやっておると思うのですが、これは地方の財政の見地からやっておるわけなんです。国税じゃありません。地方ではどうしてそれじゃやっておるかというと、やはり電気、ガスの使用料に応じて——これはやはりしかし使用料に応じてとはいいますけれども、零細な企業に対して特殊の考慮を払います。払いますが、使用料に応じて負担を願う、こういうたてまえでやっておるわけです。つまり、地方財政の維持という目的があるのです。そういうことで課税をしておるのですが、先ほどお話しのガスに対して免税をしておる、ガス会社に対して重油課税の免税をしておる、これは全体としてのガス需要者に対しての負担の軽減ということを考えて国税面でやっておる、こういうことなんです。ただし、それを、あなたはそれじゃ地方税を免税したらいいじゃないかというが、地方は地方の財政を維持しなければならぬという事情がありまして、電気、ガスの使用料というものに着目し、電気ガス税というものが存在しておる。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の言うのは、要するに、片方で固定資産税を見たら、もっと私ははっきり露骨にこれが出ていると思うのですが、固定資産税は、NHKはじめ鉄道、ガス会社、電力会社、こういうところの建物、設備、そういうものを非課税にしているのですよ。ところが、人民の家、土地に対しては、ちっぽけな家でも課税の対象になっておる。これは一体どういうことなんです。
  68. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) これは税の本質と申しますか、考え方に非常に関係する問題でございますので、大臣にかわりまして、私からちょっと御説明を申し上げたいと思います。  特別な政策減税と税の本質による減税との差は、確かに紙一重の差かもしれません。先ほどの大法人と中小法人に税差を設けることは、私どもは特別措置と考えておりません。このことは、私は、税法において担税力を考慮する点は、まあこれは当然税制の仕組みであり、基本的な税の使命である、かように考えておりますので、特別措置と考えておりません。  で、御指摘のこれは、主として間接税が多いようでございましたが、たとえば物品税につきまして、輸出免税はけしからぬ、こういうお話がございました。これはどこの国でもそうでございますが、消費税というものは国内消費に対して課税すべきものであります。外国がその税制をとっていないような場合に、外国に対しまして負担をかけるようなことは、国際競争上これは当然不利益となるということで、輸出免税に対しましては、当然、税の本質から、これは課税すべきではない、かように考えられておりますので、どこの国でも、こういった輸出免税をしていない国はないということが言えるかと思います。  ガソリン税は、先ほど大臣が申されましたが、これは道路特別税ということで、道路の使用者に対して非常に高い負担を課するものでございます。まあ、それがガス会社でナフサの形でガスの原料になりまして、これに課税することは、ガソリン税の目的からもまた出てこない。さらにまた、大臣がおっしゃられましたガス料金の高さを考えますと、これも出てまいりません。  それから、電気ガス税は、先ほど申し上げたのでございますが、一般的に物品税法はその性格でございますが、産業のコストとなるような税、これはよほど慎重にいくべきだろうと思います。本来、私は、税は所得と財産——これは個人の所得と財産に結局は帰着するものだと思うのでございます。そうしますと、帰着の不明確なる電気ガス税、ことに産業に転嫁するようなものは、産業のコストを通じて消費者に転嫁するようなものは、これはよほど慎重にならなければならない。電気ガス税は、これは外国にもないような税でございます。しかし、日本地方団体は、先ほど大臣からお話がございましたように、非常に貧弱なる財政である。したがって、戦争中設けられました電気ガス税を取られておりますが、これは消費抑制の考え方でございます。少なくとも個人の消費は抑制されるべきであり、産業のコストは少なくとも低かるべきであるということが、税にも当然要請される、かように思います。  固定資産税でも、主としておっしゃいましたのは償却資産税でございます。これもまた、産業のコストとなる税でございます。これはやはり、主として利潤から税は払ってもらうべきでございまして、コストとなる税というのは帰着がきわめてあいまいなものだと思います。ことに、国際競争上、考えて、償却資産税という、シャウプ勧告によりまして日本だけが実施しておるような税であります。これはそういった角度——しかも、それも全部かけているわけでもございません。電気のように、国が援助しながら設備を拡張をしていくような電気に対しまして、償却資産税は、これはしばらく遠慮をいたし、電気料金を低めにしよう、こういう目的で設けられたものでございます。  そういったことを考えますと、私は、確かに須藤委員のおっしゃったように、隠されたる特別措置がもう少しあるのではないかというふうなお考えで、それが特別措置の減収金額のほかに別途の隠されたる補助金あるいは特別措置が大企業にあるというふうなお考えのようでございますが、私どもは、こういった減税はすべて、税の本質から来る税の基本的な仕組でそう考えなければいかぬ面がある、かように考えております。もちろん、地方税の中に、固定資産税のようなものの中には、確かにおっしゃるような政策的なものもあると思います。あると思いますが、基本的には、大部分はいま申し上げましたような考え方でございます。固定資産税、償却資産税は特別措置の中に入れて、須藤先生には、特別措置の減収額の中に入れてお話し申し上げたつもりでございます。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣は、衆議院での答弁によりますと、その特別措置とかで免税したり非課税したりするのは、日本の富の根幹をなすところの日本企業を育てなくちゃならぬ、企業を守らなければならぬ、だからこういう措置をとっているのだというような意味のお答えをなすっていらっしゃるようです。これまでの答弁を聞きましても、やはりそういうにおいがするわけです。  NHKの建物を一つ例にとりますと、NHKはわれわれから聴視料を取りまして、そうして年何十億という剰余金を出しているのです。それでどうしたかというと、それで方々へ建物をどんどん建てるわけです。そういうものには一切課税しないで、そうして人民がちっぽけな家を建てると、それに課税するというのは、おかしいじゃないですか。そういうやり方というのは、おかしいじゃないですか。  むしろ、私は、こういう生活困難をしている、税を払いかねているような人から税を取るのではなく、大企業から税を取ったらどうだ、こういう考え方です。勤労者こそが国の宝と違うのですか、大臣。決して大企業や独占が国の宝じゃないですよ。ほんとうに国の宝を生み出すものは日本の勤労者です。労働者です。その労働者からあなたたちは遠慮会釈なく税金を取っている、いやおうなしに。日本税法を見ますと、国税通則法によりましても、納税者は申告納税になっている。ところが、私たち勤労者は、税の申告をしたことがないのです、収入の。われわれからは申告も何もしないで、源治徴収で頭から税金を差っ引いてしまうわけです。この源治徴収の違憲の問題については、私、日をあらためて大臣とまたやってみたいと思います。きょうは時間がありませんから、そこまでは入ることをよしますが、ここにも大きな問題があるのです。  こういうふうに、国の宝を生み、富をつくり上げる労働者、勤労者から遠慮会釈なく、そういうふうに過酷に税金を取っておきながら、大企業には免税や非課税の特典を設けている。本来ならば、勤労者こそ私は非課税にすべきものだ、こういうふうに考えるのです。ところが、それとは、私の意見とは逆に、大企業本位の経済政策をやって、大企業中心の膨大な免税、非課税、減税をやって、勤労者を搾取し、収奪したからこそ、大臣たちが頭を痛めているところの現在の深刻な不景気、こういうことになったのではないでしょうか。それなのに、さらに大企業中心の経済政策租税政策を続けるという、これこそ、アメリカに従属しながら、危険な軍国主義、帝国主義復活の方向にあなたたちが行こうとしているのだ、こう言わなければならないと思います。  大蔵大臣が自信を持って、企業減税は必要だ、何らうしろめたいところはないのだ、こうおっしゃるならば、堂々と国民の前に、企業減税の実体、金額を示してごらんになったら、どうでしょうか。この政府の資料に、税制調査会の資料に、二十六年から三十九年に至りますところの租税特別措置の減収額、それがずっと表になって出ております。毎年どんどんとその額がふえまして、三十九年度には二千九十八億、こういうふうになっております。  ところが、ふしぎなことには、ことしも——先ほどその表が提出されまして、私たちも存じております。ことしは二千百十七億、こういう表が出されておりますが、ふしぎなことには、これは予算ベースの表でしょう。ところが、決算ベースの表というものがどの年度を調べても出てないのです。一体これはどういうことですか。予算ベースの表を出す以上、決算ベースの表を出すのが当駅じゃないですか。出してください、それを。どうですか。
  70. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 予算ベースの表であることはもう間違いございません。決算ベースと申しますか、この予算ベースの表も一般税収入との関連におきまして見積もりました表でございます。決算と申しますか、その年度の収入に照らしましてこの表を修正することは可能でございますので、御要望でございますので、提出することは考えてみてもよろしゅうございます。  そこで、いまの日本放送協会でございますが、日本放送協会はどの建物でも免税しておるわけではございません。日本放送協会は、御承知のように特殊な、政府が財産を持っておるような特殊な法人でございます。地方税法を見てみますと、「日本放送協会が直接その本来の事業の用に供する固定資産で政令で定めるものに対して課する固定資産税の課税標準は……二分の一」と、こういうふうになっておるのでございます。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だって、ぼくの言うとおりNHKの建物の中で免税になっているのがあるでしょう。ないですか、全然。あるでしょう。
  72. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 固定資産税のいま三百四十九条の三の十項を読みましたが、日本放送協会の課税標準の特例は、固定資産税におきましてはこの一項だけと承知しております。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だから、免税になっておる分は全然ないということじゃないでしょう。あるでしょう。
  74. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) もちろんございます。
  75. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうでしょう。では、個人の家はどうですか。免税になる分はないじゃないですか。わずかな小さい家を。
  76. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、産業のコストとなるような税というものは極力避けるべきであり、また、そういった制度が外国にないような場合には、国際競争の見地からも税の上でそういった課税は避けるべきであるという一つ考え方がございます。先ほども申し上げましたように、租税の帰着は何かというと、結局は法人の法人税ですら個人に帰着するというような意見もございますが、やはり消費税の本質は消費抑制でございます。個人の消費に課せられるべきであり、またその帰着は個人の財産あるいは個人の所得、そういうふうに考えられるべきでございます。そんなような意味から、産業のコストとなるようなものにつきましては、できる限り外形標準的な課税は避けられるというたてまえが全体的に、例外がないわけではございませんが、税制の中にございます。そのことを御指摘でございますが、個人から取らずに企業から全部取ったらいいではないかというような考え方、これはロシアのように取引税だけで、取引税で大部分、これは所得税はロシアにございますが、価格のうちにこめて取る体制ならば別でございますが、資本主義社会ではできる限りコストとなるような税は避けられる。その利潤のうちから払われる。しかも、主として個人の所得あるいは個人の財産から支払われる考え方が強いように見受けられるのでございまして、日本の税制も大体そういった形の税制に従っておる。その点を御指摘だと思うのでございます。
  77. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その日本の税制の根本理念ね、それが私たちと違うわけなんですよ。そこを私たちは責めているわけなんです。私たちの考えのようにするべきである。それを単にわれわれからは、人民からは遠慮会釈なく税を取り立てておきながら、いわゆる独占資本を肥え太らせるという立場に立ってやっている。  大蔵大臣は今度の公債発行でもこんな大きなことを言っていらっしゃると思う。これは国民を富ますためのものだということを言っていらっしゃる。ところが、われわれの側からいったら、公債は税金の先取りですよ。あの公債においてわれわれが富み太るなんということは全然考えられませんよ。日本の勤労者があの公債発行をみて、どれだけ肥え太らせられるか。そんなばかなことないですよ。私たちは取られる立場。あなたたちは、大蔵大臣は一体これほど手厚い手当てを独占資本にはしておきながら、一般人民に対してどれだけの手厚い手当てをなすったか。全然私はなされていないと思うのです。  そこで、ここに「日本の税金」という本がある。お読みになりましたか。大蔵大臣、ぜひ読んで下さい。「日本の税金」という本で、山城吾郎という著者が書いた本です。この「日本の税金」によりますと、大体この著者が試算をしたところによりますと、一兆二百五十億、こういう租税特別措置と、それから先ほどの非課税、免税四千六百七十億、プラスしますると驚くなかれ一兆五千億になるわけです。そこへもってきまして、いわゆる交際費五千億というような金が出てくるわけですね。こういうものを加えますと、二兆億近い金がいわゆる独占にはあらゆる名目で国で援助されていると申しますか、やられておる、こういうことが言えると思うのです。ただ大蔵大臣が、国は仕事をしなければならぬ、仕事をするためには金が要るんだ、だから税金を取るんだ、こうおっしゃいますけれどもね、仕事をするために金が要るなら、このような金、すなわち取れば取れる金、何でこういう金を取らないのですか。その金はそっとこちらのほうに、人民の目のとどかぬところにそっと置いておいて、そしてわれわれのふところから金を巻き上げようと、これはたいへんじゃないですか。私のいま申し上げました額はすべてが大企業だと、そこまでは私ども言い切れませんよ。しかし、大部分が大企業向けのものではないか、こういうふうに私は考えます。  そこで、もう一つ、この地方税の中で、千葉県、岡山県などに顕著にあらわれておりますところのいわゆる新産都市に対する工場誘致条例による補助金があるわけです。これを加えますならば、一体どうなるかということです。私は先日自治省に対しまして、日本全国の府県でこの工場誘致条例による補助金の金額がどれだけあるか、資料として出せと言ったんです。ところが、この資料を出すためには三ヵ月かかりますという自治省のお答えなんです。それで、私は岡山県、千葉県だけでもいいから、国会の質疑に必要な資料であるから出せと言ったんです。ところが、それでも三ヵ月かかるという答えであります。出そうとしないのですね。これがほんとうに全国的に合計されて出てきたら、私は独占企業に対する手当てというものはもっともっと増額するものだと思うのです。  そこで、私はここに一つのグラフを持っておるのです。これは税制調査会が三十七年度に発表したものでありますが、日本の十産業に対する免税部分と課税部分がグラフとなってあらわれておるのです。まず第一に、一番免税部分が多いのは肥料です。肥料を見ますと、課税部分が四八・九%、免税部分が五一・一%です。製鉄は課税部分が五二・九%、免税部分が四十七・一%、化繊が課税部分が五六・二%、免税部分が四三・八%、電力が課税部分が六〇・五%、免税部分は三九・五%、貿易が課税部分が六三・一%、免税部分が三六・九%、銀行が課税部分が六五・七%、免税部分が三四・三%、製紙が課税部分が七三・八%、免税部分が二六・二%、鉱業が課税部分が七八・八%、免税部分が二一・二%、電機が課税部分が七九・一%、免税部分が二〇・九%、紡績が課税部分が七九・九%、免税部分が二〇・一%、こういうふうになっておるわけですね。これから見ましてもね、この日本の十産業しかここには出ておりませんけれども、いかに免税部分が多いか、いかにこういう企業があなたたちの手によって守られておるかということがわかる。  そこで、私はもう少し具体的にするために、東京電力を調べてみたのです。ここに有価証券報告書の総覧、東京電力という面がありますがね、これからずっと数字を拾ってみまするとね、こういうことになる。四十年三月一日から四十年の九月三十日までに至る期の東京電力のを調べますと、純利益が、税引き後の利益が七十三億四千六百万円、それから法人税等が三十五億四千九百万円ある。こうなりますと、当社の税込み利益が百八億九千五百万円となるわけですね。そこへもってきまして、特別措置の貸し倒れ引き当て金が一億一千万円、普通償却費、すなわち減価償却費が一億三千百万円、特別償却費が二百七十八億五千百万円、これを合計いたしますると、三百八十九億八千七百万円となるわけです。それならば、これに四十年度のいわゆる実効税率四八・二五%をかけますと百八十八億一千百万円と、こういうふうになるわけです。これは東京電力が当然払うべき私は金額だと思うのです。ところが、東京電力がね、実際に負担した税金は幾らかと申しますと、三十五億四千九百万円なんです。したがって、実効税率は幾らかというと、一八・八七%しか実効税率は払っていないのです。一体これはどういうことなんですか。これがすべて、私がいままで言ってきたところの措置によって東京電力が持っている金だと思う。東京電力一つ見ましてもそうです。日本には九つの電力会社がありますよ。それを言ったら、もっともっとたくさんの金を、当然取るべき金を取らないで、向こうに与えられておる。  これを、日本の十産業ね、これから見ましてもね、いかに免税部分が多いかということがわかる、パーセントがね。これをずっと合計して、そうしてこれから取るべき金を取ったら、大蔵大臣が頭ひねらぬでも、公債を発行せぬでも、ちゃんとやっていけるのです。国鉄が運賃値上げせぬでもやっていけるのですよ。健康保険料を上げなくてもやっていけるのですよ。今日日本の健康保険は四十万、月収四十万以下の人が九〇%占めているのですよ。こういう低所得者から健康保険料を取らなくても、全額国庫負担で健康保険やることができる。取れる金を取らないで、一部の独占にこの金をやって、そうして国民にそのしわ寄せをするというのが、今日の皆さんの税制のやり方ではないでしょうか。  大体ね、あなたたちの税行政の根本精神というものは、国民のふところにこれだけの余裕があるからこれだけの税金をもらおうというのじゃないです。それはほんとうだと思いますよ。ところが、福田さんね、あなたの——別にぼくはあなた鬼と思いませんけれどもね。しかし、あなたたちの、日本の大蔵省の税金の取り方というものは、頭から、これだけ仕事するためにはこれだけの金が要るのだ、この金をどこから取るのだ、その金は国民のふところから取るのだというふうにきめられて、それで税を取られる。人民の生活とは何ら関係がないのですよ。人民からこれだけ取るのだということを最初きめていく。そうしてかかっていく。余裕があろうとなかろうと、そんなことはおかまいなしにそれで取るのですよ。それは今度の固定資産税の引き上げなんか見てもわかっているのですよ。非常な不合理なものがたくさんありますよ。しかし、そんなことはおかまいなしに、取れるものは取れというそういうやり方でしょう。そしてくどいようですが、申し上げますが、要するに独占には手厚い奉仕をやっておる。  もっといえば、アメリカ帝国主義のアジア侵略政策に協力をするために金がかかる。きのう自衛隊で発表したように、今後、武器弾薬、軍艦をつくったり戦車つくったりするのに七千億からの金を使う。その金も国民から捻出しようというわけです。あれはアメリカ帝国主義の侵略政策に協力するための金です。そういう金をどんどん使っていく。  こういうやり方をしておっては、国民は納得しませんよ。国民は税務署が税金を取りに行くと、実際怒りに燃えるわけです。このことは、そういう納税者がどんな気持ちを持っているかということは、税務署の人が一番知っているはずです。そういう状態だと私は思うのです。  私がいままで申し上げたことに対しまして、大蔵大臣、何か御意見があったらひとつ。
  78. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうも残念ながら、初めからしまいまでこれは見解の相違のようでございます。一番見解が違っているのは、須藤さんのおっしゃられることを聞いていましてね、所得の配分のことばかりが頭にあって、国全体の所得をどうやってふやしていこうというところに頭をお使いになっておらない。私どもは、国の経済を発展させる、その経済を発展させるためには何をしなければならぬか。企業を多く育てなければいけない。これは中小企業含めてのものです。中小企業、零細企業をも含めての問題です。そこで初めて働く人の所得を得る場も生まれるわけです。所得を得る額も大きくなっていく。その、場の問題、所得の額の問題を度外視して、終始議論が行なわれておる。私どもはそういう縮小的な考え方を持っておりません。これはもう日本経済はますます拡大していく、そしてみんなにその恩恵が行くようにということを念じておるわけです。
  79. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その考え方がね、おかしいと言うのですよ。あなたはね、国民すべてにうまくいくようにと言うけれども、そうじゃないのですよ。資本主義というものはそんなものじゃないのですよ。国民のこと、人民のことは考えないのですよ。わずかの資本家のこと、利益のことだけしか考えないのですよ。その資本主義のあなたは番頭さんだから、そういうことを言って済ましますけれどもね、われわれ国民の立場に立ったら、人民の立場に立ったら、あなたのそういう考え方を、ああそうでございますかと、いかに財政通といわれる福田さんの考え方でも、私たちはそれはすなおにいただけないわけですよ。私たちは、意見の相違があるといえばそうでありますけれどもね、まあそういうことだと思うのです。  そこでね、まあ少し理屈に入ってしまいましたから、今度の減税について少し質問したいと思うのですが、今度の課税最低限を六十三万円とした根拠は一体何なんですか。これは木村君も質問したと思うのです。いわゆる労働力の再生産に要する費用なのか、その費用をそこに値踏みされたのか、それとも、いわゆるあなたたち力の恩恵ということで六十三万という最低限をおきめになったのか、どちらなんですか。
  80. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 財政の現状からいいますと、そもそも減税なんかができるような状態じゃないのです。先ほどから須藤さんの言っているところに一つ問題があるのはね、私どもが仕事をする、金がかかる、国民にこれをみんな押しつけちゃうのだ、ぶっかける、こういうようなお話ですが、私どもはそういう考えを持っておりません。仕事はしたい。そして国民共同の施設をつくりたい。それには金がかかります。その金をあなたのおっしゃられるようにぶったくらないですよ。これは……
  81. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ぶったくっていますよ。
  82. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) われわれは、財源を増税に求めてはいかぬ。金を持っている人から金を借りなければなりません。借金をしなければならぬ。外国から借りるんじゃないんです。これは国民から借りるんです。国民の最も確実な資産になるわけです。のみならず、ここで大いに減税をしておこう、こういう考え方なんですからね。いま根本的にあなたの私どもに対する見方が間違っておるということを、まず指摘しておきたい。  第二に、課税最低限六十三万円をどうしてきめたか、こういうお話ですが、なかなかつらいところですが、公債政策をとり、そうして財源の調達もする、そういう状態下において、できる限りの最低限の引き上げを行なおう、そういうぎりぎりのところが今日六十三万円である、こういうことであります。
  83. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、課税最低限をきめたのは、国民の生活にこれだけの金が要るとかなんとか、そういう理屈じゃなしに、最低限はぎりぎりのところまで、ここまで上げたんだ、課税最低限を何とかしなくちゃならぬというのでいじった結果、とにかくここに落ちついたんだと、こういうことなんですか。それは何ですか、いわゆる恩恵的な意味ですか。
  84. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それが基本です。
  85. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 恩恵的な意味が基本なんですか。
  86. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 別に恩恵とかなんとかというふうに考えていません。これは国民の税制でありますから、国民の代表である国会できめる問題です、最終的には。恩恵とかなんとか、そういうような考え方は毛頭ありませんが、しかし、いま国の財政状況ということを考えるときに、課税最低限はまあ八十万ぐらいまで持っていきたいというが、その財政の力関係からいって、ぎりぎりのところが六十三万円であると、こういうことです。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の考え方が、ただ収入の面だけ、所得の面だけ考えておるというようにおっしゃったけれども、われわれだってやっぱり政権を担当するときが来れば、いま以上にりっぱな世の中をつくりますよ。りっぱな仕事をしますよ。しかし、その仕事をする金の取り方が違うんです、皆さんとは。皆さんは取れるところで取らないで、取ってはならない方向にばかりあなたたちは顔を向けている。それがぼくらとあなた方の考え方の違いなんです。そこを言っているのです。われわれもやはり考えてはおりますよ。全然考えていないんじゃないんですよ。  それで、六十三万というのは私たちにはどうにもふに落ちないのです。一体六十三万が最低限としたら、五人家族でやっていけるのかどうか。大蔵省は百八十円のメニュー、献立を発表しましたよ。大臣、あしたでいいから、百八十円で三食つくって、現物をここに持ってきてくださいよ。実際見せてくださいよ。どんなものができるか拝見したい。それをしないで、六十三万というのを合理化するために、百八十円でできるんだ、りっぱに六十三万円で暮らせるじゃないかということを言わんがために、あれを出したと思うのですよ。くやしかったら、ここに持っていらっしゃい。実物を見ようじゃないですか。
  88. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あれはちゃんとメニューもついていますから。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いや、今年はありませんよ。あれは去年の……。今年のメニューは、いかな大蔵省も、さすがの大蔵省も恥ずかしくてメニューが出せないんだと思いますよ。去年は出しましたよ。それで非常な不評をこうむったわけです。だから、今年は出さない。金額だけです。ところが、去年と今年と比べると、物価が上がっているのですよ。あんなものでできるわけがない。去年ですらあのメニューではできないんですよ。それを出して六十三万を合理化しようとしても、それは無理ですよ。くやしかったら、持っていらっしゃい。あした、朝、昼、晩と持っていらっしゃいよ。試食しましよう。
  90. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 百八十円のメニュー発表して得々としているような大臣に、昼めし食わす必要ないよ。  大臣、ところが、六十三万円ではどう考えても三度のめしは食えない。これはあなたと直接関係のない話かと思いますが、地方税は今度は四十三万というふうに、もう二十万切り詰めにきたわけです。国税ですら六十三万を必要経費だとして課税の最低限にしたのに、地方税を四十三万にしたということは、一体どういうことなんですか。
  93. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) この点につきましてもいろいろな考え方がございます。まず、御議論になっております課税最低限が何を示すものかという点でございます。おっしゃるように、生計費等も密接なる関係があり、できる限り生計費は控除をして所得に対する課税は完全にすべきである、こういう要請で課税最低限ができ上がっていることは事実でございます。しかしながら、御存じのように、課税最低限につきましては、国に対する費用もこれは一つの生計費のうちに入れるべきではないかというような考え方が一部にございますし、国税につきましてはその考え方は少ないわけでございますが、地方の住民のように、住民が相寄って共同体を組織いたしまして、その共同体を維持する費用はやはり生計費のうちに入れるべきではないかという考え方が、住民税の場合には特に強いのでございます。したがいまして、課税最低限は国税よりも低い考え方が強いわけでございます。  さらにまた、地方税の住民税は、御存じのように最高税率が一四%でございますが、一四%というふうに、国税が七五%であるのに、累進税率の最高が一四%、こうなっておりますことは、非常に比例的な応益負担的なものでございます。所得税のように課税最低限を越しますと相当な、八%でございますが、高目の税率からスタートするのに比べまして、地方税は非常に二%という低いような税負担でございます。須藤委員の御指摘のような富の分配の促進という見地よりも、共同体の費用の分担という考え方が地方税では高い。そんなような考え方——是認されていない方もおるかと思いますが、考え方のもとに住民税の控除は国税より低目である。もちろん、財政事情がよければそういった課税最低限は住民税におきましても高いほうが望ましいことはもちろんでございます。しかしながら、住民税につきましては、ただいま申し上げましたような考え方で、国税と違いました課税最低限ができ上がっているのが実情でございます。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私が言うのは、国税の六十三万というのは、これが大蔵省発表の一日百八十円の食費にしても、これで五人家族でぎりぎりなんですよ。めし食うことは地方でも同じですよ。だから、国税でのがれた四十三万という所得者が、国税を払わぬでも地方税を払わなくちゃならないということは一体どういうことです。ますます食えなくなるのじゃないかということを私は言っているんです。もっとあなたと議論したいが、委員長がじっとにらんで、あそこで二時までに済ましてくれよと言っていますから、私は敬意を表して、とにかく二時までに済ませようと思うから、こういう問題はまた後日に譲って議論しましょう。  そこで、あなたに質問しますがね、一体、動物園の動物は食費幾らか御存じですか。お調べになったことありますか。象は幾らですか、一日。
  95. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 先般予算委員会で、東京都が、畜犬の場合の費用は幾らかという御質問を受けて、初めてそのとき七十円幾らという話もございましたが、課税最低限には直接関係がないと思いましたので、ちょっと調べておりません。
  96. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 調べなかったら、ぼくが教えてあげましょう。象は一日に二千円ですよ。ライオンは千二百円ですよ。それから、チンパンジーが千円、馬が二百円です。馬が二百円で人間が百八十円、馬よりも人間を下にするということはばかにしていることじゃないですか。そうじゃないですか。こういうことをやっておりながら大きな顔ができませんね。それは大臣、大いに反省してもらいたいと思うのですよ。そういう点で、もう少し人間は丁重に扱うべき性質のものじゃないでしょうかね。大蔵省、どうかね、もう少し丁重に扱いなさいよ。そうでないと恨みがみんな大蔵省に行きますよ。  そこで、こういう無理があるから、無理でもなんでも金を取らなきゃならぬというので、大蔵省当局はとにかく税務署員に対して徴税の強化を大しておる。本人が病気だろうが何だろうが、とにかくしりひっぱたいてやっておる。それが全国からたくさんの例がぼくらのところに報告されてきております。これも時間があったら私は一々読んでひとつ皆さんをつるし上げたいと思うのですが、時間がありませんから、これも後日に譲りますけれども、しかし、実際に税務署員がどんなに困難をしているかということを考えなきゃいかぬです。それでないと、上におる人たちみんな恨まれますよ。みんな恨んでおるのですよ。税を取る者すらも今日の大蔵省のやり方は恨んでいるのです。税を取られるものはもちろんです。病気だろうが何だろうが、療養することも許されず、しりひっぱたいて無理な徴税をやるから、納税者との間には常にトラブルが起こっています。全国的にこのトラブルは起こっておる。そういうことのないために、よほど私は気をつけてもらわなければならぬ。これは最近私がちょっと耳にしたことですが、大蔵大臣知っていらっしゃるかどうか存じません。大蔵省の高級官吏だけしか知らないのではないだろうかと思うのですが、こういう情報が入っておるのですよ。  今度日韓会談が成立して韓国に有償無償五億ドルの援助をするということになっておる。ところが、この有償無償五億ドルの金をどこから捻出するか、これを在日朝鮮人から税金として取ればいい、そういうことがいわれておる。俗に朝鮮人征伐、こう言っている。そのために、大蔵省は朝鮮人のリストをいま急いでつくっておるということが私たちの耳に入ったわけです。これはしかし、確証を握るということは、文書も何もないから、いまのところできておりません。それは正直に申しましょう。しかし、そういうことがいわれておるということだけは私は耳にしたわけです。こういうことに対する答弁は要求しません。
  97. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事は重大ですから、お答え申し上げますが、朝鮮人ですね、これに対して特別の課税をするというようなことは断じていたしておりません。もしそういうようなことがありますれば、厳重にこれは取り締まります。
  98. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最後に、締めくくりをしなくちゃならぬと思いますから、締めくくりますが、私たちはいままでずっといろいろの意見を述べてきて、どうも大臣とは意見の相違が非常に多いように思うのですが、私たちの党は、独占資本のための財政政策租税政策を人民のための政策に切りかえろ、この大転換の時期がいま来ているんではないか、こういうように考えております。毎年一兆数千億にのぼるところの独占資本への減税、免税、非課税を全部廃止すること、そうして高度累進税率を採用してやること、第三は、標準世帯、夫婦・子供三人で年所得百万円は非課税にするということ、それから低所得者の負担の大きい酒、たばこ、入場税など消費税は悪税であるから一切廃止をするということ、その後は税制を民主化し、権力的な徴税制度を廃止すべきであるということ、それから六は、インフレの要因であるところの公債政策は即刻やめるべきであるということ、これが党の政策です。私たちはこういう見解のもとにいままで質問をし意見を述べてきたわけです。  私の質問はこれで終わります。
  99. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 午後は三時から再開することとして、これにて暫時休憩いたします。    午後一時四十六分休憩      —————・—————    午後三時十一分開会
  100. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  午前に引き続き、五案について質疑を続けます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  101. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは少し物品税関係ではいかがかというような意見もあるかと存じますが、自動車全体が今後自由化というような大きな問題に対しているわけですが、そこで一応通産省のほうから、自動車は一体大きくどんなふうになっていくのか、いわゆる資本の自由化まで法律は一応予定しておるわけですが、そういうようなことについて、一応将来の展望というようなものを、まずお知らせ願いたいと思います。——通産省はだれも見えませんか。  それでは、私は、自動車がいろいろのことはあるけれども、大体将来輸入というようなことを考えられるような情勢になってくると思います。そういった場合、左ハンドル、右ハンドルというようなことになって、これが交通部門に非常に重大な影響があるというところまでは行っていないと思いますけれども、まず、交通行政を担当されるほうの側から見た場合に、運転手さんは右でも左でも同じことなんだ、これはどっちでもいいんだ、こういうようなお考えなのか。大体左側通行をされるというのが日本の法規できめられた一つのものであるとするなら、それに準じたような右ハンドルに、できたらそろえたほうがいいというふうに私は考えておるわけです。一応そういうことに対して担当の方から、まず意見をお聞かせ願いたいと思います。
  102. 内海倫

    政府委員(内海倫君) お答え申し上げます。  自動車のハンドルにつきましては、現在日本におきましては、右ハンドルを原則として、運輸省及び警察庁におきましては実際には行政指導を行なっておるところでございまするが、まず右ハンドルか左ハンドルかという問題について考えますと、国際的に見ました場合には、左側通行の場合が右ハンドル、右側通行の場合は左ハンドル、結局日本が現在とっております方針が国際的な慣例になっておるわけであります。それを分析して考えてみますと、車に対する関係、自分以外の他の車との関係から見ていきますと、事故防止の上からも、あるいは安全運転という観点からも、あるいは運転者の心理的な安心感という面からも、右ハンドルのほうがいい、こういうふうに実際に運転する人の立場からもいわれておりますし、合理性もあるわけです。半面、左ハンドルの長所としましては、左側通行の場合には左側の部分が非常に気がつきやすい。したがって、自転車、荷車等は自動車の左側を通りますから、こういうものも見やすいし、また歩車道の区別のない道路におきましては、歩行者を見るという面には便利でございます。また、路端を見る場合にも、左のほうが右に比べると見やすい、こういうふうな点が言えると思います。また、今度は運転者の隣にすわっておる者の乗りおりという点からいいますと、当然運転者の左にすわる人が乗りおりにも便利でありますが、もし左ハンドルでありますと、車の通る側にすわるわけですから、これは非常に乗りおりに不便であるし、場合によれば危険でもある。こういうふうなことで右側の長所は場合によりますと左側の短所になってあらわれますし、相互に長所、短所はありますけれども、しかし、結局自動車交通というものの現状からは、車と車との関係というものを重視して、国際的にも左側通行の場合は右、右側通行の場合は左ハンドルというものが一応慣例的に採用されているものと私どもは考えております。そういうふうな観点から、日本におきましては運輸省と警察庁におきましても十分話し合いをしながら、運輸省におきまして右ハンドルを行政指導しておる、こういうふうな状態でございます。  ただ、左ハンドルゆえに起こった事故とか、あるいは右ハンドルゆえの事故というふうなものは統計上明らかにいたしておりませんし、実際上もそれだけを理由にして事故が起きておるというふうな例は少ないと思います。しかし、言えますことは、きょうまで右ハンドルに非常になれた人が突然何らかの事情で明日から左ハンドルにかわるというふうなことは非常に混乱を招いて、あるいは事故の原因になるかもしれない、こういうふうに考えます。
  103. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 行政指導ということばを使われたわけですが、この左を通れということも、これも法規ではなくて行政指導なんでしょうか。
  104. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 自動車あるいは自転車その他車両の通行につきましては、道路交通法に左側を通行することということが明瞭に規定してあり、左側を通行しない場合には、罰則をもって担保いたしております。
  105. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、車のハンドルについては、左側通行は道交法で規定をされておるが、車の問題については行政指導で右のほうが好ましいよという、そういう指導が行なわれておると、こういうことなんですか。これは各国も大体こんなような情勢でしょうか。
  106. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 私どもの調べました範囲では、特にハンドルについて法律上規定をしておるという例はまだ聞いておりません。
  107. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 交通局長のほうから、まあ右ハンドルのほうがいいという行政指導をされるということになれば、それはいいからそうなっておると思いますが、各国ともあまりそういうことについては行政指導なんかない、こういうことならそれでもいいと思いますが、いま外車はどのくらい輸入されておるのか、あるいはどのくらい走っているかというような数字がわかりませんでしょうか。
  108. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在外車がどのくらい走っているかというのは、ちょっと統計上わかりかねますが、どのくらい輸入されているかということは、通産省の輸入のほうの統計を調べてみますと、三十九年度におきまして一万三千台ほど輸入されております。
  109. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは輸入が三十九年は一万三千とおっしゃったんですが、三十八年とか、そこをちょっともう少し毎年の数字をあげていただけませんか。
  110. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 三十七年におきまして六千二百七十九台でございます。それから、三十八年度におきまして一万一千七百三台でございます。それから、三十九年度におきまして一万三千五百七十七台でございます。それから、四十年度はまだわかっておりませんが、推定されるところではやはり一万三千台ぐらいであろうということでございます。
  111. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ほとんど乗用車と見ていいわけですね。
  112. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) さようでございます。
  113. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 交通警察のほうでは、一体車両というのはどのくらいいま走っておるわけですか。日本全体でどのくらい車両が走っておるのですか。これは警察のほうの統計じゃわかりかねますか。どちらでもいいですが、どのくらい走っていますか。
  114. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 大体七百六十万台ほど走っております。
  115. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私の言わんとするところ、お願いしたいと思うことは、交通局長のほうからも、これが左ハンドルであるがゆえに直接事故があったという結論を出すのは早計だというお話でございますが、あるいはそうかもしれないと思います。しかし、左ハンドルよりも右ハンドルのほうが行政指導をされるほど妥当だと思うわけですから、そこで、何か左ハンドルで入ってきたものは使ってはいけませんよといったって、部品がないからつけかえられない、あるいは車種が少ないからそういう部品も送ってこないとか、また、輸入する場合に、十台とか二十台ぐらいしか入れないんだから、ことほどさように左右をかえるということも容易じゃないというような御意見もあるかと思いますが、一つは、輸入というようなものを、自由化に備えて関税等で国内産業を保護するというたてまえから、これをチェックするということも一つ考え方だと思います。  それから、もう一つ、一番大きな問題は、やはり交通行政の立場から私は言いたいわけですけれども、こういうようなことについて、アメリカへ行ったときでも、日本の車で右ハンドルで走っておるものもあるんだから、ああいうやかましい、自動車がうんと走っておるところでも、右ハンドルの車もあるじゃないか、日本から持っていかなくてもイギリス等の車もあるじゃないか、そういうようなものも走っておるんだからいいじゃないかということだけでは、私は済まされないと思うんです。それじゃ、来年からこうあらねばならぬということもまだちょっと言うには早計かと思うんです。しかし、日本の道路事情からいい、そしていまお聞きしますと七百六十万台という自動車が走っておる。しかも、これは年々歳々ふえておる。道路の問題よりも、拡幅あるいは舗装等の問題よりも自動車の増加のほうが多いわけです。そういうような問題から勘案して、何かぼくは適切な、この問題について現状どおりでいいとおっしゃればそれまでかもしれませんが、もう一度、いま申しましたような二つの並列の問題じゃなくて、私は交通の問題が主だ、輸入の問題は副になってくると思いますが、そういうような立場に立って一度御検討を願いたいと思うのです。いままでそういうことは検討されておると思いますけれども、何かひとつきっかけにしていただきまして、御検討いただければけっこうでございます。また、機会を得まして、その結果等についてはあらためて御質問申し上げたいと思います。きょうはこういう点のお願いだけ申し上げまして、この問題に関しての質問を終わりたいと思います。
  116. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  117. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  118. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一口にいって、相当耐久消費財の物品税が下げられておる。そうして昨日大臣から御答弁をいただきますと、通産省のほうでいろいろとこの問題がイコール値段に直結をする、すなわち税のかけられたものだけ下げるように努力をしておみえになるようなお話を聞いたわけですが、そうじゃなくて、これで一体、最初に伺いたいのは、物品税のかかっておる品物というものはどのくらいありますか、それが一つと、それにからんで、いわゆるカルテル行為をやっておる品目が物品税の中にどのくらい入っておるかというようなことがわかったらお聞かせ願うとともに、今度免税点の引き上げなりあるいは税率の緩和されたものがカルテル行為をやっておるものとの関連はどのくらいあるか、まずお答え願いたいと思います。
  119. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) まず、物品税の課税されておる品物の数でございます。御承知のように、法律におきまして物品税が課税されることになっておることは当然でございますが、それに基づきまして政令におきまして、その法律の趣旨の範囲内におきまして、なおこまかくその定義を掲げておるわけでございますが、法律で掲げておる品物の数は五十九品目でございます。  で、そのうちカルテル行為をやっておるものというものがどの程度あるかという御質問でございます。カルテル行為ということばの意味でございますが、独禁法の規制をするところでございますので、これをどういうふうに考えますか、不況カルテルの要件を備えまして、これに基づきまして認可を受けてカルテルをやっておるもの、あるいはそれを越えて、なお事実上経済的な意味においてのカルテル行為をやっておるものということがあろうかと思います。私どもその点をこまかく調べておりませんけれども、マッチは御承知のとおりに生産調整をやっておりますし、最近の状況では、私の知り得る範囲内では、写真機は最近の過剰設備等の状況からカルテル的な、これは認可を受けておるかどうかは私も詳しくございませんが、生産調整をやっておるように伺っております。そのほか耐久消費財はまだカルテルの認可等を受けておりませんが、そんなような空気があるとか、いろいろな話は伺っておりますが、詳しくはなお御要望がございますれば調査いたしまして、資料としてお答え申し上げたいと思います。
  120. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 おっしゃるように、私、法的に基づいて認可を得た、いわゆる公取が認めたものが、きょうちょっといろいろなこまかい資料を持っておりませんから、あるいは間違っておるかもしれません。大体私が知り得ておるのは十八業者、並びに品目にしまして千六百ぐらい、これは大体全日本でいろいろと消費されておる品目は四千ぐらいある。大ざっぱに見てそのうちの約三分の一というものがカルテル関係に入る。こういうものが値段が下がらないところに、一つは消費者物価の下がらない大きな理由があるのじゃないかということを言われておるのを承知しておるわけですが、そこで、今回少なくも物品税の減税をおやりになるということになるなら、あくまでも消費者のためというような立場でおやりになったということが表だろうと思いますけれども、私は不況カルテル行為との関係がありはしないか。そういうような面からやられたとするなら、若干企業のほうのこともお考えになっての、物品税を下げていくというようなこともありはしないかと思う。いわゆる不況、景気対策としておやりになったのではないかというたてまえから、質問をいたしたわけですけれども、もしそういう立場で、ざっくばらんにいって、そういう立場であるとするなら、今回おやりになったもので、これはいろいろなこともあるけれども、若干企業のほうのことも勘案しつつやった結果、それは下げたということが売れるということだから、全部の企業にも影響があるといえばそれまでですけれども、そういう意味ではなくて、もう少し企業のほうにウエートを置いて考えたものがあるとするなら、それは何でございましょう。ないというなら、それで……。
  121. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 非常に経済的な御質問でございまして、カルテルとの関係まで調べて物品税を減税したかどうかという御質問になりますと、私どもはそこまではせんさくいたしませんでしたということを率直に申し上げたいのでございます。私は本質的に、たびたび申し上げておりますように、物品税は消費税の一種であり、消費税ということは、消費者の負担である、かように考えております。したがいまして、今度の物品税の減税は、まず第一には、消費者の負担の軽減であり、そのことは課税物品の価格の引き下げの形で実現される、かように考えております。  しかし、そうかといって、全く企業のことを考えていないかと申すと、私たちは決して、そういう意味で申し上げますと、全く考えていないというわけではございません。私たちがまず第一に考えましたのは、大量生産の基盤を通じて輸出振興を、輸出奨励をはかる、輸出の基盤をつくるということを考えたのでございます。これも私たちは、企業の立場を考えたというよりも、国民経済全体の立場を考えたわけでございますが、その結果として、その関連する企業にとりましては、利益を受けることはもちろん言うまでもございません。しかし、私は、そのことはいわゆるお尋ねの意味の企業の立場を考えたということにはならないと思っております。  それから、もう一つ、たびたびこれも申し上げておりますが、中小企業の立場は、これは全く私たちは物品税の減税を通じまして考えたのでございます。御存じのように、中小企業の製造する物品、ことに零細企業の製造する物品の中には、消費者から見ると、負担力のきわめて高いように見えますところの高級な品物が相当あるわけでございます。こういったものに消費税をかけざるを得ないのでございまするけれども、しかし、現在の消費税のたてまえは、これもたびたび申し上げておりますように、消費者から直接徴収するという手段がございません。したがいまして、非常に消費者から遠い位置にあるところの、そのものを製造する製造者、企業——企業までいかない中小企業者、零細企業者から取らざるを得ないのが、物品税の宿命でございますし、まあそういった意味では、間接税の性格を帯びておるわけでございます。  ところが、そういった間接税も私は窮極的には消費者の負担になると思うのでございます。零細企業者がつくるものでも、あるいは中小企業者がつくるものでも、まあ種々の調整過程等は必要でございましょうが、結局は私は消費者の負担になると思うのでございますが、しかし、何と申しましても、消費税は、価格の自由な形成を通じまして、税金の負担を消費者に求めるものでございますから、市況の状況によりまして、なかなかその転嫁がむずかしい場合もある。ことにそのことは大企業の場合には比較的容易でございましょうが、中小企業や零細企業者の場合には、買いたたかれといったようなこともございましょうから、その消費税の転嫁がなかなかむずかしい場合がございます。さらにまた、税務の調査を受けることの苦痛、あるいは申告手続、税法の理解等につきまして、零細企業者、中小企業者の負担は、これは私はやはり相当なものがあるであろう、かように考えます。  そんなような意味で、今回の物品税の減税は、そういった零細企業者、中小企業者の負担を軽減する方向の点は、全く考えたのでございます。そんなような角度から、減収額が、もうこれからの課税額が少ないようなもの、さらにまた輸出振興に役立つようなものにつきましては、その物品を製造する中小企業や零細企業者の負担を緩和する意味で、そういった意味では企業の立場を考慮いたしまして、軽減をした、こういうことが言えると思います。
  122. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 話はこまかくなって恐縮ですが、今度全然非課税になってしまったわけです、ネオン管というのが。これはバランスでいうと、電球ではないというのかな、そういうようなことから、ネオン管までということになったのでしょうが、私も大体これずっと見ると、たとえば室内装飾、茶道用具、飾り物、玩具、囲碁用具、薬きょう、羽ぶとんなど十二ありますが、ちょっと見て、大体中小企業といいますか、零細企業のほうが多いと思うのです。羽ぶとんは、西川さんのような大きいところもあるかもしれませんけれども、大体中小企業である。ところが、ネオン管は大企業が大体やっているような感じがするのですが、これはちょっとぼくの認識不足でしょうか。
  123. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) もう物品税にお詳しい成瀬委員でございますので、私から特に詳しく申し上げる必要はないかと思います。過去の物品税の審議の経過におきましても、このネオン管はたびたび問題になった点でございます。私はその記憶がございますが、まず第一に、ネオン管というのはどのあたりから課税するか、据えつけたものから課税するかどうか、工賃まで課税になるかどうかというような議論がありまして、この課税自体も多分に疑問を持たれたことがあります。第二には、これは大企業の製造するものではなくて、大体中小企業者がやっているものが多いわけでございます。製造者の数は二百三十四ございまして、そのうち従業員数十人未満のものが七七%、こんなような分布を示しております先ほど申し上げました課税標準の経過も非常に問題でございますが、このネオン管の管自体をつくっておりますメーカー自体、ただいま申し上げましたような零細企業者が多いわけでございます。
  124. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは実は、私はこんなに事業所が多いと申しますか、十人未満のところが百五、六十ヵ所もあって、そういう中小企業の人がつくっておられるというのは——もっとぼくは大きいところを想像しておったのですが、これはわかりました。  それから、貴石あるいは貴金属の免税点を、今度一万五千円に全部統一してしまったわけですね。この貴石の中に、いろいろな石があると思うのですが、今度この貴石は何と何と例示されると思いますけれども、何というのですか、このごろ化学的にできるようなものがあるわけですね。こういうようなのはどうなっておりましょうかね。
  125. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) まず第一の貴石と、それから真珠以下の貴石以外の、何と申しますか、いわば宝石まがいのものと申しますか、身辺用細貨と申しますが指輪等に使われるものでございますが、これの免税点はおっしゃるようにいままで差別があったわけでございます。一万円と五千円の差別がございましたが、今回これを全部一万五千円に統一いたしました。  この理由は、成瀬委員御存じのように、この物品は第一種物品と申しまして、小売り課税の形態をとっております。で、大体どういった方が納税義務者となるかと申しますと、百貨店の貴金属部、時計部は別といたしまして、百貨店以外のところでは大体時計屋さんが納税者の大部分でございます。知識が十分にございますれば、その免税点の見分けも非常に楽でございますけれども、貴石、半貴石、それからそれと真珠との区別、あるいは貴金属製品を用いたらどうかというような複雑なことは非常にむずかしい。私どもも国税局長をやっておりまして気がつきましたことは、最も物品税でトラブルの多いのはこの第一種物品のうちの時計屋さんが納税義務者になっていただく貴石類、それからまた真珠類、べっ甲類、こんなようなものの製品でございます。今回幸いにいたしまして、先ほども申し上げましたような角度から物品税が減税になったのでございますが、そんなような機会にはぜひひとつこういったトラブルをなくし、小さい時計屋さん方の悩みをできる限り少なくしたい、かように思いまして、免税点を統一いたした次第でございます。  なお、しかし、こういったものは、いわゆる奢侈品と申しますか、ぜいたくなものでございますし、一万五千円にいたしましても、先般も衆議院でお話がございましたが、非常に値幅は広いわけでございます。工業製品と違いまして、ピンからキリまで何百万というものがございますので、そういった意味ではむしろ小さな業者の方々の苦しみをできるだけ少なくしたい、こういう意味でございます。  第二の、合成のものはどうなるかという御質問でございますが、これは定義がございまして、貴石及び半貴石には合成または再生のものを含みますというふうにはっきりと定義がしてございます。
  126. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、一万五千円がいいとか悪いとかという議論の前に、非常に解釈がむずかしくて要らないトラブルが起こるということは、どっちもうれしいことじゃないと思うのです。出すほうも集められるほうもたいへんだと思うのです。そこで、業界等ともいろいろと私はある程度相談もされ、実態も調査されて、まあここら辺のところに筋を引いたら、一応半貴石というのですか、合成関係のようなものまでやって、大体まあトラブルのないような線がここら辺じゃないだろうかというようなところの結論が出て一万五千円が出たものなら、私も要らぬことを言う必要はないと思っておりますが、その辺のところはどういうことで一万五千円という数字が出てきたわけですか。
  127. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) どうして一万五千円の免税点がきまったかという客観的な基準があるかというような御質問かどうかがいます。私どもは、免税点をきめるにあたりまして、まず第一に念頭にありますのは、何といっても減収額が基礎になることでございます。そこで、免税点は、大体まあ私どもの考え方では、これまでの物品税の減税等の経過を考えまして、平均二割程度の免税点の引き上げを考えたのでございます。三十七年度にも物品税の軽減、免税点の引き上げが行なわれたわけでございます。今回それ以来の減税でございますが、過去の経過を考えまして平均二割を考えたのでございますが、その際に、なおトラブルの多いものにつきましては、少し多目の免税点を考えたらどうか。で、真珠あるいは貴金属製品にとりましては、これは三倍の免税点となっておりますし、貴石、半貴石は五割でございます。そういった意味で免税点を考えまして、この免税点の引き上げは、真珠類等から見ますと三倍という多目でございます。貴石類はこれはいままで一万円でございましたのを、五割というかっこうになっております。この結果、どの程度のものが課税になるかということが結果的に出てまいりますけれども、これは結果としての基準でございますが、一応そういったような考え方のもとに免税点を考えた次第でございます。
  128. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 清原飲料ですがね、これは前に従価であったのを従量に直して、また従価に戻るように記憶するのですが、これはそうじゃないですか。
  129. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 清涼飲料税は、成瀬委員御存じのように、明治以来の税法が、清涼飲料税法という税法がございまして、ビール税法と並びまして有名な税であったわけでございます。私どもがまだ課長時代は、まだ清原飲料は独自の税法がございまして、もうこれは明治以来従量税でございます。従量税と従価税の長短両方ございますが、間接税から申しますと——間接税と申しますか、所得税や法人税より精緻な支払い能力に合った税法だと思います。間接税はそれを補完するものであり、そういう意味ではできる限り簡単なもののほうがいいということになりますと、間接税は従量税のほうが結果としてはすぐれておるとも言えると思います。もちろん、その反面に欠陥がございます。その欠陥の一番大きなものは、たとえば、今回の清涼飲料税の改正の動機でございますけれども、値段の高いものにも値段の安いものにも同じ税負担というところが非常な欠陥になる。今回の改正の動機は、こういった中小企業者のつくるようなサイダー類、中にはサッカリン、ズルチンのような合成甘味剤を使うものが多いわけでございますが、したがって、値段は低い。そのものに対しまして同じ税負担を課するということが欠陥だといわれたわけでございます。そんなような意味で、今回はひとつ清涼飲料を従価税に直し——すでに御承知のように嗜好飲料につきましては従価税でございます。そういうようなバランスから見まして、ことに中小企業負担を緩和する意味から、清涼飲料につきましては従価税五%に統一した次第でございます。
  130. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 租税特別措置法で年限つきでやっておったものを、今回また二年間やるというような形で、たとえばそれはアンサンブル・レコード装置というようなものが大体もう二年間据え置きになったというのですかね、延長された暫定税率がそのままになりましたが、これは何かぼくは条件が前のときに、ちょっと記憶がないんですが、この七品目に対しては何か少しいきさつがあったように記憶しておるのですがね。それがどうして二年にずばっとこうなってきたか、御説明願いたい。
  131. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 今回の物品税の改正後も、七品目だけにつきまして、なお二年間本則的な税率に引き戻さないことにいたしておるものがございます。八品目ございましたが、一品目だけは今回の改正によりましてその必要がなくなりましたので、七品目となったわけでございます。  一品目と申しますのは、小型乗用車でございます。三十七年の改正の際に、乗用車につきましては本則税率を二割にする。一五%というのは昭和二十九年からの税率でございますが、これは幼稚な時代の産業に対する助成という意味で一五%にしたのだという意味で、なお特別措置を設けて、だんだんと二〇%に近づくような引き上げ方をいたしたのが、その改正の経緯でございます。そうしてこれを今年度据え置きますれば二八か一八にすることになったわけでございます。今回の改正によりまして、小型乗用車は本則税率一五%、こういうことにいたしましたが、乗用車はその必要はなくなったわけでございます。  残っているのは七品目でございます。これも大きく分けまして二つばかりの理由があろうかと思います。まず一つのカテゴリーは、自動車と若干似ておりまするけれども、新しく課税したものが三十七年にございます。新しく新規課税である、そうなりますと、いかに課税競争物品との関係で課税といいましても、急速には無理であるというわけで、しばらくの猶予期間をもちまして徐々に上げていこう、こういうことにいたしたものでございます。そのカテゴリーは三つございまして、パッケージ型クーラー、これは業務用というものをできるだけ軽減課税にするというたてまえに某づきまして、一つの解釈といたしまして、大型のものという考え方で非課税の取り扱いにしたルームクーラーのうちにパッケージ型が入っておる。これはやっぱりウインドー型のクーラーとのバランス上悪いということで、課税し始めたのでございますが、これは一挙に無理だということで例外を設けました。カークーラーも、これは成瀬先生御存じでございますが、ルームクーラーは課税になっても、カークーラーはルームクーラーと構造上違うということで、課税になっていなかったのでございます。これも新規課税のものでそういった暫定期限を設けることにいたしました。ステレオも従来は部品課税でございましたが、これを統一物品の課税にいたしましたので、これもしばらく猶予を置く。この三つでございます。  その次は、若干政策的な、自動車に似たような競争関係と申しますよりも、むしろ政策的にしばらく育成措置を講じようというものが四つばかりございまして、トランジスタテレビ、カラーフィルム、カラーテレビ、小型レコード、この四つでございますが、これはまあ政策的な幼稚産業の段階、さらにまたカラーフィルム、小型レコードのように海外の製品と競争さすという意味におきまして、特別な暫定期限を設けまして優遇措置を——優遇措置と申しますか、低い税率をしばらく適用しよう、かようにしておる次第でございます。
  132. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  133. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  134. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ちょっと簡単な点を一、二点伺いたいのだが、コカコーラというのは一体これは清原飲料として扱っているの。
  135. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 清涼飲料でございます。
  136. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで、清原飲料ということになりますれば、最近の一体このコカコーラの売り上げというものは、これは私はたいへんなものだと思うのだが、これはどのぐらいですか、調べがついたものありますか。
  137. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 私どももその点は調べております。
  138. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大体わかりませんか。
  139. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) ちょっといま資料をさがしますが、サイダーあるいは嗜好飲料と比べまして伸び率を比較してみますと、コカコーラが一番伸びております。資料はちょっといまさがしますから、お待ちいただけますれば、さがしてお答えいたします。
  140. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  141. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  142. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 清涼飲料の今度の改正の際に私ども調べましたこれは競争物品の伸び率でございますが、サイダーが、三十六年を一〇〇といたしますと、三割七分六厘伸びております。コカコーラは四八三%でございますから、約五倍ばかり伸びております。それから、嗜好飲料、これはまあジュース類でございますが、これは三十六年から二割三分、最も低い伸び率でございます。こんなような関係で、現在のところ清涼飲料と嗜好飲料は税の構成も違っておりますので、今回の改正はそういった点を統合しよう、こういうことでございます。なお、三十九年におきますところのサイダー類の売り上げ金額は七十一億五千三百万円でございます。コーラ類は百億一千九百万円、その他の清涼飲料が六十三億四千九百万でございます。したがいまして、清原飲料関係の売り上げ金額は三十九年度におきまして二百三十五億二千百万円、かようになります。
  143. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それは私はコカコーラという特殊名を言ったんだが、やはりペプシコーラとかそういうものもまぜてのでしょうね。コカコーラのほか、全部。
  144. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) さようであります。
  145. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで、これは大体外国の原料を中心にやっておるので、これは関税関係の問題もあるのでしょう。
  146. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 原液を外国から持ってまいりまして、日本でそれを希釈あるいは調合するといったものでございます。その原液に対しましては、御指摘のように、関税がかかっておるはずであります。
  147. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それはあなたのところではちょっとわかりませんね、関税のあれは。
  148. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 分担が違っておりますので、詳しくは存じておりません。
  149. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、いま一ぺん、この提案理由の説明の最後に、法文に掲載をしている以外で、政令において課税最低限の制度及び物品の特殊性による非課税の制度を設けておると言っておりますね。これについても「法律における減免とバランスをとりつつ、課税品目の整理及び課税最低限の新設ないしは引き上げを行なう」、こういうんですが、これは数はたいへんなものだから品目はお聞きしませんが、一体これはどういうものが大体主としてなって、どのくらい数があるんですか。
  150. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 御存じのように、物品税は法律のみならず政令におきまして種々の事柄が規定され、さらにまた、先ほど申されましたように、税率の軽減のみならず免税点の引き上げ等が行なわれるわけでございます。その内容につきましては、先般、衆議院の大蔵委員会の御要求によりまして、物品税の施行令の一部を改正する政令案要綱といたしまして国会に御提出申し上げました。おそらくお手元に到着しているのではないかと思います。  このような要綱でございますが、先ほど来、成瀬委員からお話のございました貴石類から始まりまして化粧品のうちの染毛料まで、こまかい品目を例示いたしまして、その免税点を示し、さらにまた課税を廃止される品目を具体的に例示してございます。
  151. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私どものところにはまだその資料が回ってきませんので、重ねて伺いますが、そういう数が非常に多いんですね。政令を一ぺんにやるというわけにいかないのですが、その品目についてこれは政令で行なうというような処置はどういう判断でおやりになるんですか。
  152. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 御指摘のように、非常に数の多い、こまかい品目を規定したものでございます。これをどういった時期にどういう基準でやるかという御質問でございます。私どもは法律の改正が行なわれる際に、物品税は法律だけ考えましても全体的な事柄をつかめませんので、たとえば今回の基準といたしましては、法律におきまして税率を軽減するものにつきましては、これは政令において免税点は触れない。さらに、免税点は特に中小企業者の製造しておる物品について特に配慮をしようということで、税率の引き下げ、それとバランスをとりまして、免税点の引き上げを個々の品目につきまして行なおう、こういうものでございます。  品目が多いから一度にはなかなか無理ではないか、何回にも分けて行なうということも考えられはしないかというふうに承ったのでございますが、先ほど申し上げましたように、私どもは物品税の減税の機会に一つの減収金額を当てがわれまして、その中でバランスをとりつつ考えますので、私どもは法律の改正が行なわれるこの機会に政令を改正することで足りるではないか、それ以後の改正は、よほどの事情がありますれば、これは法律でもございませんので改正をすることもございます。しかし、その範囲はきわめて限局され、特殊用途免税とか特定のきわめてわずかな減収しか生じないようなもの、あるいはだれが考えてもどうも不合理なもの、こんなふうに限局されておるようでございます。そんなような意味で、今回もこの法案が通りますれば、ひとつ政令をこれと合わせまして改正したい、かように考えております。
  153. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、今度の法案が通ると作業をやるわけですが、やはり一定の金額の標準の中でやるとか、それから、いまあなたの言われた、これは中小企業関係のものだから特にやらなければならぬという、こういう二つの柱を中心として大体おやりになるのですか。
  154. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) いま申し上げましたように、物品税の全体の個々の品目との間のバランスをとるという意味が第一の中心でございますが、先ほど申し上げましたように、免税点はおおむね二割ぐらいひとつ上げていこう。しかし、その中でも零細企業の製造する物品等につきましては、先ほど申し上げましたように、トラブルをなくする意味において上げていこうとか、そういった基準をひとつとったわけでございます。そんなような意味で、すでに法律を御提案申し上げる際に、すべての品目につきまして各方面の御意見を伺いながら一応の御意見をいただき、そうしてそれをまとめましたものが現在私どもがお示ししておりますところの政令案の要綱でございます。
  155. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと、物品税でなくて贈与税について伺いたいのですが……
  156. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その前に物品税について一つだけ質問がありますが、この中にずっと読んでみますと、今度物品税を下げる、その下がったものを明示しろということがこの中に書いてあるのですよ。しかし、これは何ら義務づけられていないのじゃないかと思うのです。そうすると、結局、一応下がって、そのときは下がりますから、買う人たちは一応ものが安くなったような感じを受け取らぬではないですよ。ところが、これに対する義務づけがないから、下がったのを幸いとして、またいつかはお客さんの知らぬうちに値が上がってくるのですよ。それで結局、お客さんは、物品税は下がったけれども、結局同じだけ金を払わされるという結果が起こりがちだと思うのです。それは入場税なんかで試験済みなんだ。入場税を下げろ下げろといって、映画の入場税を下げた。そのとたんは値が下がったかもしれぬ。それがいつの間にやら税金以上に料金がはね上がっちゃっているのですね。まんまとお客さんはごまかされてしまって、それで結局得をしたのは映画会社なんです。こういう結果が出ておるわけですよ。それと同じようなことが物品税の税率の引き下げで起こりはしないか。それを起こさぬためにどういう措置をとるか。
  157. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 確かに御指摘のように、値下げが一たんは行なわれるけれども、いずれまたそれが隠れた形でまた値上げすれば、もとのもくあみになりはしないかという御心配でございます。その原因は、値下げということを義務づけられないからだということが原因ではないかという御指摘だと思うのでございます。私どもその点非常に考え、さらにまた、そういったことのないことを期待して行政指導を続けていきたいと思います。基本的には、物品税は、先ほど来申し上げておりますように、消費者の負担と本来的に考えるべきものでございます。しかし、それも間接税という名のあらわしますように、物の自由な価格形成を通じて転嫁をする。その場合に市場の状況によりましては転嫁もできないようなこともあり、あるいはまたそれ以上上がることもあり、なかなかそのあたりがむずかしいのでございます。そんなような問題でございますから、納税義務者にいたしておりますから、増税しても値上げをしろということもいたしませんし、そのことを法律上規定できませんし、減税いたしましても、逆にこれを値下げしろという義務づけも法律ではできないというその点、もの足らないと言われればもの足らないのでございますが、価格の形成を通じての消費税でございますので、そんなことになるわけでございます。  しかし、このことも、私は昭和三十七年以来の経験を見まして、やはり物品税の業者の方々は将来の減税の期待もあるわけでございます。   〔委員長退席理事藤田正明君着席〕 そういった意味で、私どもは三十七年には相当強力に指導いたしましたところ、おおむね所期の目的が達成された、かように思います。今後もそういった、須藤先生の御心配のないように強力な指導を兼ねて、さらにまたしばらくその事情を監視いたしまして、今後のまた物品税の減税の機会があります際に、ひとつこれを参考資料といたしまして、利用するというようなことも考えておる次第でございます。
  158. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうようにお答えになりますけれども、非常にむずかしいのですね、この点は。  それから、今度のこれを見ると、税率を下げているものには軽電機関係が非常に多いのですね。そうすると、軽電機はいま不況なんですね。不況だから、むしろこれを見ると、不況のてこ入れのような感じがするわけなんですよ。不況だから税率を下げる、それだけ値が下がる。そうすると、購買者がふえるということは、結局不況の軽電機会社をもうけさすために、品物を売るためにこういう処置がとられたのじゃないかというふうにも考えられるわけです。それと、いま申しましたようなことがやはり軽電機関係でも、一応値は下がるかもわからぬけれども、しかし、それはある時期の問題であって、すぐ上がって——何とか理屈つけることはうまいですからね、みんな。だから、すぐ値が上がるんじゃないかというようにぼくたちは考えている。これはどうも軽電機の不況に対するてこ入れをあなたたちがやっているのじゃないかというふうにも考えられるわけです。これが一点です。  それから、もう一つは、私が音楽家だから言うのじゃないけれども、ピアノとかトランペットとか、音楽専門家にとりましては生活必需品なんです。この間も音楽家が連名でぼくのところに請願よこしましたよ。というのは、ピアノを、せめて専門家が使うピアノは無税にしてもらいたい、非課税にしてもらいたいという請願が来ています。それはもっともだと思うのです。音楽学校の学生には非課税になっているのですね。そういう便宜が与えられている。ところが、学校を卒業して自分が一本立ちの専門家になると、非課税にならないのです。ピアノは税金取られちゃうのです。ピアノはぜいたく品のようにとられますが、しかし、音楽家にとっては決してぜいたく品じゃない。これは生活のために絶対必要な品物なんです。だから、せめてこういうものに対してはやっぱしぼくは非課税、専門家に対しては非課税にすべきじゃないか、こう思うのです。これはピアノに限らず、バンドの連中が使うサキソホンにしろ、トランペットにしろ、すべてそういうものに対しては非課税にするのが本筋じゃないか。
  159. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 第一点の、家庭の電気器具に対します物品税の引き下げが不況対策ではないかという御質問でございます。私どもは、先ほど来るる申し上げておりますように、今回の物品税の減税一つの大きな柱といたしまして、有効需要の拡大ということを申し上げましたが、その趣旨から、特に家庭電機だけを取り上げたわけではありません。全体のバランスを見ながら引き下げたわけでございますが、その結果といたしまして、家庭電機につきまして軽減が行なわれ、値段が引き下げられますれば、家庭電機関係につきまして需要が起こる、これは結果として起こるだけのことではない、またそのことが同時に大量生産の基盤をつくり上げまして、輸出につながるということも私ども期待しておるところでございまして、しかし、そのことは家庭電気器具だけを取り上げたことではございません。全体的なバランスのもとで私どもはできる限り努力したつもりでございます。  第二の、音楽家が購入するピアノ、トランペット類の楽器に対する免税はできないか、ことに音楽学校の生徒には免税でありながら、職業専門家であるところのピアニストに対しましての免税措置がとれないかという点でございます。これも須藤先生からも午前中ずいぶん御指摘がございました。消費税は、やはり消費に対する課税と考え、その企業に対する課税と考えておりません。したがいまして、その消費が個人の自由なる選択にゆだねられるものについて消費税を課せられるべきである。職業専門家のように、私はぜいたく品というよりも、選択の余地がない、それを職業専門家として生きていくには使わざるを得ないのだと思います。したがいまして、そういった業務といいますか、職業用のものにつきましては、できる限り課税しないほうが消費税の理論からいたしまして適当ではないかと、かように考えております。そんなような意味で、将来の職業音楽家を志しますところの音楽学校の生徒につきましては、これは私が税制二課長をしておりましたときに、免税をいたしたわけでございます。そのときに、職業専門家の話が出まして、何かいい手はなかろうかと。で、私どもが一番心配いたしますのは、学生のときにも悩んだ問題でございますが、それがまた横流れをするということがあってはまた非常に困りますし、そう横流れがあるからといって、税務署がめちゃくちゃににしろうとの方々の居宅まで訪問いたしまして調べるということも、これまた適当でない、そういうことのないように私どもは考えたわけでございます。そこで、私は範囲をしぼりまして、音楽学校の学生ならば支払う能力も少ない、親のすねかじりでございますし、またさらに学生である証明も学校が責任を持って出せる、そうしてこれが何個に限るということもできる、さらにまたその楽器も、性質上そんなにぜいたくなものでもない。何か私もその際においても特別な表示をして、たれかがそれを買えばわかるようなことができないかと言ったわけでございます。これはなかなかまだ実現されておりません。   〔理事藤田正明君退席、理事青柳秀夫君着席〕 そのときに、職業専門家が、どうもうまくいかない。音楽会のみに使える会場に据え置かれておるものが何か考えられぬかというようなことも研究したことがございますが、これもなかなかむずかしいし、大方の納得も得ませんで、現在は課税の結果を示しておるのでございますが、このあたりにつきましては今後研究していきたい、かように考えております。
  160. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 相続税のことでお尋ねしたいと思います。今度減税は百五十億予定されているようですが、平年度で。初年度は五十億ですか、一体年々相続税というのはどのぐらい入ってくるのか。これは捕捉率というのは、この間九・六・四ということを聞きました。所得税が九で、事業税が六で、農業所得が四、だから、クロヨンだと、こういう話を聞きましたのですが、この相続税はどのくらいの捕捉率を予定しておられるのか。   〔理事青柳秀夫君退席、委員長着席〕
  161. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) お手元に差し上げております租税印紙収入予算額では、相続税は四十年度の補正額では四百九億五千六百万でございます。これは御存じのように、相続税につきましては延納という制度がございまして、五年あるいは十年の延納がございますので、毎年毎年課税になるものが直ちに、あるいは若干の時期をおくれて入るようなものではございません。その点は所得税や法人税と違っております。そんなような状況でございます。
  162. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いやいや、捕捉率はどのくらいと認めるか。
  163. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 第二点の、捕捉率の御質問でございます。実は、捕捉率がわかれば私どもも苦労しないで一〇〇%といきたいところでございますが、捕捉率を正確に数字的に申し上げることは不可能でございます。まあしかし、常識でいわれておりますように、土地、家屋、不動産類の課税が中心となっておることは御存じのとおりでございます。課税財産のうちの構成を見ますと、六割までは不動産類でございます。
  164. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、あとダイヤモンドとか宝石ですね、そういうものや有価証券等は、なかなか容易じゃない。有価証券等は譲渡だから、それでいいと言えばそれまでですけれども、改正案では一億五千万をこえたものが七〇%ですか。相当、何というかな、金持ちだといわれた人が、洗ってみたら五億ぐらいしかない、世評じゃもっとたくさんある、国税庁があわてておるという話を聞いたことがあるけれども、なかなか相続税の捕捉というものは容易じゃない。いまおっしゃるように、不動産関係で六割あるとか、その六割は一〇〇%だと言われるかもしらぬけれども、この不動産ですら私が怪しいと思う。ですから、相続税というものは、このことを頭から否定するということになると、家族制度の否定とかいろいろな問題になってくる。相続税をどう今後持っていくかということが私は大きな問題だと思っている。しかも、贈与との関係からいえば、何か、改正案では千五百万円以上が六五%ですか、贈与の分は。ここらあたりのバランスから見ても、どうも相続のほうがよくて、贈与のほうがきついように思っておる。もう少し、日本も近代国家になっていくには、一つは——一挙に家族制度を否定するほど私は強いことは言いたくない。しかし、税のほうもなかなかえらいことだけれども、社会保障事業等に先進諸国が相当寄付されていることも事実だと思っておる。うらやましいことだと思っておる。そういうことが、たとえばアメリカ等において、イギリス等において、あるいはフランス等においても、相当いろいろな——日本もこのごろぼつぼつそういうような人もありますけれども、まだそういう諸国に比較したら、非常にそういう点は少ない。そういうような方向に持っていくということは、私はこの一つの相続税の、何というのですか、あり方というようなことが大きな指針になると思っておるわけです。  それで、一応一億こえたものを、今度一億五千万円に引き上げられる。五千万円引き上げられたのですね。何か相続税を逆進をされるような、逆になっていくような気がするのですが、ですから、どういうふうにお考えになっておるのか。まあ取り組む姿勢は、大臣お見えになりますけれども、大臣お忙しいようですから、局長のほうからお答え願いたい。
  165. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) まあ相続税もいろんな考え方があることは御存じのとおりでございます。しかし、私は、所得税と並びまして、相続税が税制のうちで最も大事なものだと、かように考えております。法人税は多分んに応益的な企業負担でございますが、個人が構成いたしますところの社会におきまして、最も所得のあるいは富の分配の促進をはかるものは所得税であり、その次は相続税であると思うのであります。ことに、御承知のように、生きておるときは、その人がきわめて能力があり、社会からその財産を信託されて有効に動かす意味におきまして、所得税はそんなに高い課税もできない。しかしながら、その方が死にました際、相続人がはたしてそれだけの能力があったかどうかわからない。こういった機会にひとつ富の一部を社会に還元するという意味の相続税は、私は非常に大事なものであり、これはよくする方向で常に考えていきたい、かように思います。  まあしかし、現実問題、御指摘のように、なかなか捕捉もむずかしい、財産の評価も問題がございます。さらにまた、成瀬先生のお話では、相続税に比べて贈与税が税率が高いように見えるがというお話でございますが、これは計算してみていただきますと、相続税のほうは遺産額であらわれておりませんので、財産の取得額であらわれておりますので、必ずしも贈与税の税率と単純な比較ではむずかしいわけでございます。多数の相続人の方々に毎年毎年うまく贈与してまいりますと、相続の際にかかる累進税率は巧みに逃げられます。そういった意味で、贈与税は相続税の補完税でございますが、なかなかこれもうまく、財産の贈与のしかたでうまくいかない、こういうことでございます。  しかし、今回の税制が、成瀬委員の御指摘のように、高額財産についてだけ引き下げられたのではないかという御質問でございますが、課税最低限が標準相続の場合には倍ぐらいに上げられたということ、このことは財産の少ない者にとって有利なことでございます。税率もこれは下のほうほど上げ幅を大きくしてございます。しかし、上にまで相当大幅な引き上げになっておりますのは、これ  は私どもがしばしば申し上げておりますように、相続税は毎年毎年変更すべきものではない、やはり安定した税制にすべきである、こういった見地から、思い切って引き上げ、その後しばらく安定さそう、こういう趣旨でございます。
  166. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これはぼくの思いつきで、党の考えとかということではないのですが、一つのアイデアとして申し上げますが、たとえば土地の値上がり等があって、大体固定資産税等とは違って、相続税というものは若干時価に近いような査定が行なわれるわけです。ですから、固定資産税は大体百分の一とか、二百分の一とか、時価に比較してそういうような場合があるのですよ、農村に入りますとね。ところが、財産税のほうは、若干それよりも時価に近づいておる。そういうことを勘案して、二、三百万ぐらいまではもう税金は取らぬでもいいじゃないかという考え方一つあるのです。下のほうは取らぬでもいい、そのままいってもいいじゃないか。ということは、なるたけ私はみんなが平等になっていくということを考えているのです。みんながですね。ですから、額の小さい人まで税金は取らなくても、少なくとも恒心は恒産があるところにあるということからいえば、みんながそういう資産を持つようになる、同時に、大臣の言う豊かな暮らしになるように、そういうふうにみんながしていく。そこである一定限界までは税金を取らない。そのかわり、逆にいえば、一定標準以上のものになったら、その額が一億がいいのか八千万がいいのか私はわかりませんけれども、それ以上のものは国にみな税として納めるということになれば、これは社会保障事業等に寄付していくのじゃないかと思っている。しかし、いま言ったように、これ以上のものは、全部税として一〇〇%課税するぞよということをやる場合に、あまり低い額ではいかぬと思う。したがって、その額がどこら辺がいいかしらんということは非常に問題になると思いますけれども、五億ほど高くする必要はないと思うのです。それはなぜかというと、いま言ったように、時価に近いだけの話であって、それが何といっても時価はうんともっとそれより多くなりますから、ですから、ある一定以上のものは一〇〇%にする。もう少し累進して一〇〇までいくというような、そういう考え方はどんなものでしょうか。
  167. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) むずかしい問題でございまして、たとえば所得税と相続税の最高税率をどういうふうにするか、租税学者あたりで議論のあるところでございます。相続税をもう少し高くすべきであるという考え方があり、過去にはそうなっておりましたが、現在のところ、住民税との関係がございますので、所得税のほうが高くなっております。しかし、私は現在のところ、相続税の税率の刻みから見まして、特に私有財産を認め、その私有財産の蓄積ということが、また同時に個人の勤労に考えますれば、現在程度の税率で至当ではないか。これ以上引き上げますと、やはりいま申されました捕捉率とかいった問題で不公平な結果も出てまいりますし、勤労意欲あるいは事業意欲その他種々の弊害もございますので、私の経験から見まして、この程度の税率で、七〇%という税率は私は高目だろうと思いますが、適当ではないか、かように考えております。
  168. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あまり議論をしてもいけないのですが、私はいま言ったような、ある一定水準以下は免税して、だれでも持てる。たとえばある会社に勤めた人がししきゅうきゅうとして残されたものとして、それが二百万残ったとか三百万残ったとかいって、家をやっとこさ建てられた、土地を小さく買って、五、六十坪の土地を買って、そこに家を建てられたというようなものは、それを子供に残してもいいじゃないか。その土地はいろいろなところがあるのですけれども、土地でも、坪でも、銀座の一坪と私のほうの山のほうの一坪ではえらい違うかもしれませんが、少なくともこれはやはり土地として、大体のところ固定資産として、あるいは相続税として評価されるというのは、二、三百万円のものは落としてもいいのじゃないか。そんなところに税をかけて、延納までさせて納めさせるというのは、子供が二万五千円か三万円の給料で今度は相続税の財産を納めなければならぬということは、私はちょっとそれは悲劇だ。そんなものは落としていく。そのかわり、一億あるとか二億あるというような人は、まあこれはそれ以上はもう遺産としては認めぬというようなことをしても、大体ぼくはあまり——どん欲な人の話もさることながら、随筆のようないろいろなものを読んでおりますると、たぶん残しておる人は、一定程度までいくと、子供のためにこんなものは残す必要はないが、しかし、子供のためには、いま申しましたように、ある額までは残して、それ以上は社会保障に寄付してもいいのだというような気持ちがあると思うのですね。ところが、いまは税法上、残していくと子供のために残っていくようなところに問題がある。したがって一この七〇を、七五をつくるとかあるいは八〇をつくる。一〇〇ということは一ぺんにいかないにしても、せめて八〇%までのものをつくっていく、あるいは九〇くらいまでのものをつくっていく、そういう方向に助成をしていくということは、私は相続税の持っておる一つの大きな意味があると思うのです。  しかし、これは国全体のそういうものに対する姿勢がこういうところに出てくると思うのです。このことは私有財産を否定しているわけでもないと思うのです。なるたけみんなが平等に、持てる者と持たない者との差があまりにも傾斜のないように、あってもいいけれども、それをゆるやかにしていくという、そういう立場からいろいろなことが考えられるのだ。  これはまことに個人的な私見で申しわけないと思いますが、ぜひ私は——いいからといって、むしろこれは黙っておると、この次は二億ぐらいになってしまって、一億がすでに一億五千万円になっちゃったんですから、こういうふうにだんだんとふえることはいかがかと思っております。こういうことは改悪で、むしろ私は一億でやってもらいたい。しかし、下のほうの三十万が六十万にふくれ上がったことはこれはいいですよ。これにこっちも合わせて一億を一億五千万円に上げていったのだということは、ちょっといただけないのです、考え方としてね。ちょっと議論になってえらい恐縮ですが。
  169. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) まあ税率はいろいろな考え方ができまして、先ほども申し上げたとおりでございます。しかし、三十三年の税率刻みを見まして、財産価格は二・五倍、二・六倍になっております。こんなことを考えますと、三十三年の一億ということ自体も無理があるのでございます。考え方は別でございますが、私有財産を考え、さらにまた私有財産を子供のために残すということも、また一つ経済を維持するシステムと考えますと、まずこの程度がいいのではないかと、繰り返して恐縮でございますが、お答え申し上げる次第でございます。
  170. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと約束の時間が長くなりまして失礼いたしますが、国務大臣としてひとつお願いしておきたい。固定資産税の評価は、これは地方行政委員会ですが、ひとつ閣議でがんばってもらいたい。国務大臣としてひとつお願いいたします。  三年に一ぺんですね、いま評価が三年に一ぺんなんですよ。したがって、発展途上にある都市なんかでは地価が三年たちますと、いまはそんなことないですよ、ないが、この前の景気のよかったようなときですと、何と二倍になっているんです、地価が。たとえば一いままで五十万しておったところが八十万ないし百万になっているところがある。ところが、三年に一ぺんのために、固定資産評価委員の人たちがこれを倍に一挙に持っていくことはなかなか容易じゃないのです。ですから、実際は五十万しておったものがいま八十万しているといっても、三年たったらこれは百万になってしまうわけです。ところが、三年たって百万ということはできないから、六、七十万に見る。この矛看の蓄積がいまずっと来ているのです。これが一番いま大きな問題だと思う。  そこで、これも私は全部を調べたわけじゃございませんけれども、私は名古屋でございますが、名古屋の固定資産評価委員の人たちに、事務当局の方に、三年に一ぺんというやつを毎年やったら事務的に非常に困難で不可能であろうかと言ったら、いいえそういうことはありません、毎年やっても差しつかえないと。ですから、今度固定資産税の問題が地方行政のほうで非常に問題になっておりますが、なるたけならばこういうような問題は時価に近づけたほうが、私は公平の原則からいえば、それに近づけるほど公平の原則になると思う。しかし、片一方でいえば、売ればそうであるけれども、営業をしておるというか、そこに住んでおれば何ら収入がないのだから、固定資産の土地が、自分の土地がそんなに上がっても何にも、売ったときはいいが、住んでいるときは何にも恩恵に浴さないから、そんなに固定資産税が上がってはたいへんだということもわかりますけれども、何とかなるたけ時価に近づけるような努力をするために、三年に一ぺんというのを毎年やるというようなふうに、大臣、閣議でひとつがんばってもらいたい。
  171. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ちょっと速記を……。
  172. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  173. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  174. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣に一点お尋ねしたいのですが、それは関税に関連して物価問題なんですが、これは政府が物価対策に非常に熱意を入れていることは、これはわれわれもわかるし、それからまた、物価閣僚懇談会を開催して非常な強い手を打っておる、それはよくわかるのですが、関税の問題と物価の問題で、これが非常に放任されている面というものが多いわけです。たとえば大体後進国から入るものが非常に多いわけです。砂糖にしても、果実、ノリ、魚。ところが、ものによっては、ほとんど禁止税に近いような関税をかけておる。そうしてそのこと自体は、関税審議会においてたびたびこれが、たとえばバナナに七〇%かかっている、バナナ自体というものは、これは一つの主食の補給品だ、こういうものは国際的に見てもおもしろくないからというので、関税審議会が五〇%にし、これが三〇%に昨年度しなければならない、たびたびそういう答申がいままで出ておるわけです。しかし、それはもうほとんど無視されて、相変わらず七〇%。これはあえてバナナだけの問題じゃないのですが、ほかのものにも相当あるのです。  これは言うまでもなく、国内の生産を保護するというたてまえからいって、これは与党だけでなく、野党においてもこの問題については相当な強い突き上げがあることは、これはわかっておるのです。この問題をやはり物価問題と関連して広く考えられると、かなり私は物価の安定といいますか、あるいは物価を下げるといいますか、そういう点に関税の問題を少し深く考慮していくということになると、かなりいい影響があるんじゃないか、こういうことを常々われわれは考えておるんですが、この点に対してひとつ率直な御意見を伺いたい。
  175. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御説のとおりなんです。いまお話しのバナナに七〇%もかけるというのは、禁止関税みたいな実際実態ですが、これはどうしてかけるかというと、リンゴなんです。リンゴの需要を圧迫すると、こういう一面農村側の要請があるわけであります。非常に強い抵抗がありますので、バナナの引き下げがなかなかできない。ノリのお話がありますが、ノリは、これはもう国内でも相当つくりているわけであります。ところが、韓国側の生産費がうんと安い。それを入れるととても内地のノリ生産は立っていかないと、こういうような状態になる。まあ非常に残念なんですが、遺憾ながらわが国の農村、ことに農村ですね、これが集約農耕というか、小規模でやっている、生産性が低い、こういうようなことでございまして、どうも外国の近代農耕に比べて太刀打ちができない。だんだんと農村のほうの改善をしながら、いまお話しのような関税自由化の方向に持っていかなければならぬと思います。また、持っていくことをそのうちに要請される。つまり、ケネディ・ラウンドとか、いろいろそういう国際貿易自由化の大勢でありますから、好むと好まざるにかかわらず、そっちに持っていかれる傾向があるんですが、それに対しては抵抗を示しながら、しかし、同時に、みずからも近代化の努力をしなければならぬ、こういう非常に苦しい立場に置かれておるわけであります。   〔委員長退席理事藤田正明君着席〕  御指摘の点はごもっともと思いますから、まあ一生懸命農村問題をやって、そして物価問題なんかにも寄与できるような関税、それを実現していくというのは、長い目でということになるかもしれませんけれども、これは一つの目標でなければならぬと、こういうふうに考えます。
  176. 藤田正明

    ○理事(藤田正明君) それでは、暫時休憩いたします。    午後四時四十九分休憩      —————・—————    午後六時十五分開会
  177. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  それでは、関税定率法の一部を改正する法律案関税暫定措置法の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の以上四案を一括して議題といたします。  四案につきまして、質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  178. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 こういうことが問題だと思って、あまり貿易の問題になって日本の国の輸出の信用にも関係する問題ですから、私たちもあまり声を大にして言いたくないわけですけれども、少なくとも日本検数協会があって、これは大蔵省ではなくして運輸省の所管関係等にもなってくるわけですが、私は知っておって、関税局長のほうから運輸省に対してきつく言って是正をしてもらいたいと思います。ということは、何にいたしましても、輸出する場合あるいは輸入する場合に、そこにいままでもいろいろないきさつがあったけれども、日本検数協会というものができて、そしてそれを明確に立ち会ってやることになっておるわけです。したがって、両方が出て、荷主側とそれから船主なら船主側の代表が出て、それを受け取ることになっておるわけです。ところが、この両方を一人でやってしまう。いわゆるダブル検数ということですね、そういうことばがあるわけなんです。あるいは脳足りんというのがあるのです。何も頭が悪いのじゃなくて、人が全然立ち会わずに実はやっておるわけです。しかも、これは逆にいえば船荷証券にもなってくるわけです。こういうことは非常にけしからぬことだ。それから、もう少し言いますと、これは資格のある人がやることになっているのに資格のない人がやっておる。しかも、ダブル検数になるとどういうことになるかというと、両方から手数料を取っておるわけです。事業運送法からいいましても、これは法律違反になっている。それから、もう一つは無資格者の人にやらせているということになれば、これは職安法違反になるわけです。しかも、こういうことは日本の国の、いま申しましたように対外輸出の場合等については重大な私は信用の問題であると思いますから、ないようにしてもらうとともに、これ考えてみれば、このダブル検数をやった者に対して手当を実は出しておる。ある港では封筒に入れて、たとえば柴谷という人にダブル検数を頼みますと、この人がダブルで、二人でやるべきことを両方で、二人でやるべきことを一人でやったことになりまして、プラス・アルファの金を出しているわけです。それを封筒に入れて渡しておるのです。あるところは、そうではなくて、これは封筒に入れて出すほうが巧妙でごまかしているわけですが、そうじゃないところは、ダブル検数をやった者に対して、色紙で刷って、どこに幾つ立ち会ったかということまでちゃんと記入をして、そういう用紙までできておるわけです。これは片方でいうならば脱税の問題にも発展してくる。ですから、そこらあたりへくると、あなたのほうの私は問題にも関連してくると思いますから、そういうことについては十分ないように注意してもらうとともに、一度あらためてこの委員会で、私はほんとうはやりたくないのですけれども、もし改まらないとするならば、重大な問題だから警告をするという意味で、一度何というのですか、まっこうからこの問題について取り組まなければならない。重々そういう点をお伝え置きを願いたい。これは質問というよりも、こういうことについてお伝えが願いたい。こういう点で、私は質問にかえて終わります。
  179. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) ただいまのお話、まことにごもっともなことでございまして、私どもそういうことがあってはならないと思います。ただ、この検数協会の監督が運輸省にございますので、十分実情を調査して、そういう輸出振興の弊害になるようなことが少しでも起こらないように、運輸省側のほうで検数協会に対する監督を一そう厳重にしていただくよう、よく十分連絡をとってお話をしてまいりたいと思います。
  180. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 検数協会は社団法人ですからね、公認の取り消しぐらいやってもらわなければいかぬと思うのですよ。それぐらいのことまで言ってください。
  181. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより四案につきまして一括討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、四案について一括して採決に入ります。関税定率法の一部を改正する法律案関税暫定措置法の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、以上四案を問題に供します。四案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  184. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、四案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、これら四案につきまして、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十二分散会