○須藤
五郎君 その
日本の税制の根本理念ね、それが私たちと違うわけなんですよ。そこを私たちは責めているわけなんです。私たちの考えのようにするべきである。それを単にわれわれからは、人民からは遠慮会釈なく税を取り立てておきながら、いわゆる独占資本を肥え太らせるという立場に立ってやっている。
大蔵大臣は今度の
公債発行でもこんな大きなことを言っていらっしゃると思う。これは国民を富ますためのものだということを言っていらっしゃる。ところが、われわれの側からいったら、
公債は税金の先取りですよ。あの
公債においてわれわれが富み太るなんということは全然考えられませんよ。
日本の勤労者があの
公債発行をみて、どれだけ肥え太らせられるか。そんなばかなことないですよ。私たちは取られる立場。あなたたちは、
大蔵大臣は一体これほど手厚い手当てを独占資本にはしておきながら、一般人民に対してどれだけの手厚い手当てをなすったか。全然私はなされていないと思うのです。
そこで、ここに「
日本の税金」という本がある。お読みになりましたか。
大蔵大臣、ぜひ読んで下さい。「
日本の税金」という本で、山城吾郎という著者が書いた本です。この「
日本の税金」によりますと、大体この著者が試算をしたところによりますと、一兆二百五十億、こういう
租税特別措置と、それから先ほどの非課税、免税四千六百七十億、プラスしますると驚くなかれ一兆五千億になるわけです。そこへもってきまして、いわゆる交際費五千億というような金が出てくるわけですね。こういうものを加えますと、二兆億近い金がいわゆる独占にはあらゆる名目で国で援助されていると申しますか、やられておる、こういうことが言えると思うのです。ただ
大蔵大臣が、国は仕事をしなければならぬ、仕事をするためには金が要るんだ、だから税金を取るんだ、こうおっしゃいますけれどもね、仕事をするために金が要るなら、このような金、すなわち取れば取れる金、何でこういう金を取らないのですか。その金はそっとこちらのほうに、人民の目のとどかぬところにそっと置いておいて、そしてわれわれのふところから金を巻き上げようと、これはたいへんじゃないですか。私のいま申し上げました額はすべてが大
企業だと、そこまでは私ども言い切れませんよ。しかし、大
部分が大
企業向けのものではないか、こういうふうに私は考えます。
そこで、もう
一つ、この地方税の中で、千葉県、岡山県などに顕著にあらわれておりますところのいわゆる新産都市に対する工場誘致条例による
補助金があるわけです。これを加えますならば、一体どうなるかということです。私は先日自治省に対しまして、
日本全国の府県でこの工場誘致条例による
補助金の金額がどれだけあるか、資料として出せと言ったんです。ところが、この資料を出すためには三ヵ月かかりますという自治省のお答えなんです。それで、私は岡山県、千葉県だけでもいいから、国会の質疑に必要な資料であるから出せと言ったんです。ところが、それでも三ヵ月かかるという答えであります。出そうとしないのですね。これが
ほんとうに全国的に合計されて出てきたら、私は独占
企業に対する手当てというものはもっともっと増額するものだと思うのです。
そこで、私はここに
一つのグラフを持っておるのです。これは税制調査会が三十七年度に発表したものでありますが、
日本の十産業に対する免税
部分と課税
部分がグラフとなってあらわれておるのです。まず第一に、一番免税
部分が多いのは肥料です。肥料を見ますと、課税
部分が四八・九%、免税
部分が五一・一%です。製鉄は課税
部分が五二・九%、免税
部分が四十七・一%、化繊が課税
部分が五六・二%、免税
部分が四三・八%、電力が課税
部分が六〇・五%、免税
部分は三九・五%、貿易が課税
部分が六三・一%、免税
部分が三六・九%、銀行が課税
部分が六五・七%、免税
部分が三四・三%、製紙が課税
部分が七三・八%、免税
部分が二六・二%、鉱業が課税
部分が七八・八%、免税
部分が二一・二%、電機が課税
部分が七九・一%、免税
部分が二〇・九%、紡績が課税
部分が七九・九%、免税
部分が二〇・一%、こういうふうになっておるわけですね。これから見ましてもね、この
日本の十産業しかここには出ておりませんけれども、いかに免税
部分が多いか、いかにこういう
企業があなたたちの手によって守られておるかということがわかる。
そこで、私はもう少し具体的にするために、東京電力を調べてみたのです。ここに有価証券報告書の総覧、東京電力という面がありますがね、これからずっと数字を拾ってみまするとね、こういうことになる。四十年三月一日から四十年の九月三十日までに至る期の東京電力のを調べますと、純利益が、税引き後の利益が七十三億四千六百万円、それから法人税等が三十五億四千九百万円ある。こうなりますと、当社の税込み利益が百八億九千五百万円となるわけですね。そこへもってきまして、特別措置の貸し倒れ引き当て金が一億一千万円、普通償却費、すなわち減価償却費が一億三千百万円、特別償却費が二百七十八億五千百万円、これを合計いたしますると、三百八十九億八千七百万円となるわけです。それならば、これに四十年度のいわゆる実効税率四八・二五%をかけますと百八十八億一千百万円と、こういうふうになるわけです。これは東京電力が当然払うべき私は金額だと思うのです。ところが、東京電力がね、実際に
負担した税金は幾らかと申しますと、三十五億四千九百万円なんです。したがって、実効税率は幾らかというと、一八・八七%しか実効税率は払っていないのです。一体これはどういうことなんですか。これがすべて、私がいままで言ってきたところの措置によって東京電力が持っている金だと思う。東京電力
一つ見ましてもそうです。
日本には九つの電力会社がありますよ。それを言ったら、もっともっとたくさんの金を、当然取るべき金を取らないで、向こうに与えられておる。
これを、
日本の十産業ね、これから見ましてもね、いかに免税
部分が多いかということがわかる、パーセントがね。これをずっと合計して、そうしてこれから取るべき金を取ったら、
大蔵大臣が頭ひねらぬでも、
公債を発行せぬでも、ちゃんとやっていけるのです。国鉄が運賃値上げせぬでもやっていけるのですよ。健康保険料を上げなくてもやっていけるのですよ。今日
日本の健康保険は四十万、月収四十万以下の人が九〇%占めているのですよ。こういう低所得者から健康保険料を取らなくても、全額国庫
負担で健康保険やることができる。取れる金を取らないで、一部の独占にこの金をやって、そうして国民にそのしわ寄せをするというのが、今日の皆さんの税制のやり方ではないでしょうか。
大体ね、あなたたちの税行政の根本精神というものは、国民のふところにこれだけの余裕があるからこれだけの税金をもらおうというのじゃないです。それは
ほんとうだと思いますよ。ところが、
福田さんね、あなたの——別にぼくはあなた鬼と思いませんけれどもね。しかし、あなたたちの、
日本の大蔵省の税金の取り方というものは、頭から、これだけ仕事するためにはこれだけの金が要るのだ、この金をどこから取るのだ、その金は国民のふところから取るのだというふうにきめられて、それで税を取られる。人民の生活とは何ら関係がないのですよ。人民からこれだけ取るのだということを
最初きめていく。そうしてかかっていく。余裕があろうとなかろうと、そんなことはおかまいなしにそれで取るのですよ。それは今度の固定資産税の引き上げなんか見てもわかっているのですよ。非常な不合理なものがたくさんありますよ。しかし、そんなことはおかまいなしに、取れるものは取れというそういうやり方でしょう。そしてくどいようですが、申し上げますが、要するに独占には手厚い奉仕をやっておる。
もっといえば、アメリカ帝国主義のアジア侵略
政策に協力をするために金がかかる。きのう自衛隊で発表したように、今後、武器弾薬、軍艦をつくったり戦車つくったりするのに七千億からの金を使う。その金も国民から捻出しようというわけです。あれはアメリカ帝国主義の侵略
政策に協力するための金です。そういう金をどんどん使っていく。
こういうやり方をしておっては、国民は納得しませんよ。国民は税務署が税金を取りに行くと、実際怒りに燃えるわけです。このことは、そういう納税者がどんな気持ちを持っているかということは、税務署の人が一番知っているはずです。そういう
状態だと私は思うのです。
私がいままで申し上げたことに対しまして、
大蔵大臣、何か御意見があったらひとつ。