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1966-03-24 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時三十四分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 中尾 辰義君     委 員                 伊藤 五郎君                 大谷 贇雄君                 栗原 祐幸君                 木暮武太夫君                 西郷吉之助君                 西川甚五郎君                 西田 信一君                 日高 広為君                 木村禧八郎君                 柴谷  要君                 野溝  勝君                 北條  浩君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君                 小林  章君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵大臣官房財        務調査官     川村博太郎君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省関税局長  谷川  宏君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省農政局長  和田 正明君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        農林省農林経済        局参事官     岩下 龍一君        日本専売公社生        産部長      黒田  実君    参考人        日本開発銀行裁        総        平田敬一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農業近代化助成資金設置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律案内閣送  付、予備審査) ○関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査) ○関税法等の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関  係法律整備等に関する法律案内閣送付、予  備審査) ○所得税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○法人税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○物品税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○相続税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査)     ―――――――――――――
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案の以上二法を一括して議題とし、前回に引き続き、両案の質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  3. 柴谷要

    柴谷要君 農業部門近代化をはかり、生産性を高めることは、今日の農業政策基本であると私は思うのであります。農業近代化助成資金は、財政に余裕のあった三十六年度に設置をされて以来三十九年度まで、一般会計から二百八十九億円を繰り入れてきたものであって、財政事情が苦しくなった現段階で、一般財源として扱い、吸い上げることが何か当然のような印象を受けているのであります。しかし、農業近代化助成資金は、名のごとく、現在の日本農業近代化して、そうして苦しんでおる農民階層水準を高めていこうという大目的のために私はこれを設置されたものと想定をしておる。それを吸い上げてしまうということは、どうも本旨にもとるのではないか、かように考えるわけでありますが、これに対して、決してそういうことではない、前進するのだ、こういうような御意見がありとするならば、お聞かせいただきたい、こう思うわけでございます。
  4. 岩下龍一

    説明員岩下龍一君) 本年度、四十一年度におきまして、近代化資金利子補給のための金を生み出します助成資金につきましては、財政事情等ございまして、約十億を残しまして吸い上げられたわけでございます。しかし、このように吸い上げられましても、近代化資金利子補給には何ら差しつかえございませんし、また、そのワクも四十年度の七百億より四十一年度には八百億と増加しております。さらに、金利利子補給の額もまた増加しておりますし、この吸い上げというものが直接何ら助成資金悪影響を及ぼさないと考えております。さらにまた、今後財政事情によりましては、この助成資金にさらに繰り入れがあることも農林省としては期待しております。
  5. 柴谷要

    柴谷要君 どうもいまの説明では、ぴんとこないのです。私の聞いていることを言ってくださっておらない。今回の改正によって、農業近代化助成資金としてわずか十億残して、他は一般財源に繰り入れる、そういうことをすることによって、政府が今日まで考えておった農業近代化というものに対する考え方が急に変わってきたわけです。その変わり方というのは、大蔵省農林省との間において妥協をした、財政的に苦しいのだから、ここでひとつ妥協しようじゃないかというので妥協した、こういうふうに私は見ている。そのことが農業近代化を立ちおくらせている原因ではないか。今日まで立ちおくれてきている原因も、そういう精神によるから私は立ちおくれてきているのじゃないか、こういう点をあわせて追及していきたいと思うのです。この点について、前段の私の質問といまの質問をあわせて、明快にひとつ、参事官、お答えをいただきたいと思う。
  6. 岩下龍一

    説明員岩下龍一君) 助成資金の取りくずし自体農業近代化を阻害する、あるいは悪影響を与えるかどうかということでございますが、農林省といたしましては、農業近代化を行なう一つ手段として近代化資金を持っているのでございまして、さらに近代化資金実施する一つ手段として助成資金を持っているわけでございます。その一つ手段であります助成資金が一時的に取りくずされましても、それにかわります利子補給その他の措置がさらに規模におきまして従来より拡大されることになっておりますので、そのこと自体近代化悪影響を与えておる、こういうようには解釈してございません。
  7. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連。これはこの間総理大臣が本会議で、農業基本法も再検討しなければならぬ段階だということを、社会党柴谷議員質問答えているのですよ。それで、柴谷さんが質問しているのは、もっと根本的な問題を質問しているのであって、事務的な問題では私はないと思うのですよ。農業基本法ができたとき、私たち共産党社会党さんも反対したのですね、あのとき、柴谷さん。
  8. 柴谷要

    柴谷要君 そうです。
  9. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは農業基本法というものは決して農村農民のためじゃないのだ、農業基本法日本農村を破壊するものだと、一口でいえばそういう立場で私たちは反対してきたのですよ。ところが、そうじゃないのだと、農村を立て直すためと、こう言っていますけれども、それからわずかまだ四、五年しかたたないのに、すでにもう破綻があらわれておるわけです。あんたみたいに近代化資金をふやしたからどうのこうのというようなそういう小手先の技術的な問題じゃないと思うのです。私は、農業基本法によって日本農村がね、どういうふうに変革したか、農業構造改善事業によって日本農村が救われたのかどうか、今日日本農村はどういう姿になっておるのかどうか、そういう点を私はもっと大きい見地から説明してもらわぬと、おそらく柴谷さんも満足しないだろうし、聞いている私たちがぴんとこないのですよ。だから、もっと大きな見地からはっきり説明してほしいと思う。そのことをこの間も私は言ったのです。
  10. 岩下龍一

    説明員岩下龍一君) まず、総理が、農業基本法を検討する、あるいは農業基本法につきましての基本的なあり方を十分検討する等と申されたことにつきまして、総理が具体的に農業基本法改正を考えておられるのではないだろうと思います。総理農業基本法農業憲法のように考えられておりますから、そう簡単にこれを改正する、こういうような意味ではありませんとも申されております。また、農林大臣も、基本法については、私はいまのところ変更する必要はない、現状で十分であり、またこれは確信を持っているからでありますと、こう述べられております。  御承知のように、農業基本法農業者と他産業部門との所得格差是正をはかることを主要内容としてありまして、このために名般の施策を講じておるわけでございまして、ただいまの近代化資金もその一つの方途でございますが、基本法制定以来すでに五カ年を経過しております。この間に他産業の伸びが著しかったために、三十九年度、は農業所得格差は前年と比較しまして若干――それで最近でございますが、最近の傾向を見ますと、すでに大臣も何回も申されておりますように、一町五反以上の農家所得というものがある程度伸びておりますし、また農業資本あるいは農業装備等も増加しておりまして、農家所得水準等もある程度向上のきざしを見せておると、こう考えております。したがいまして、いま直ちに農業基本法改正する、これを根本的に改めるということは、この際考える必要がないんじゃないか、こう考えております。
  11. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたの意見を聞いていると、農業基本法には何ら改める点はないのだ、それで政府最初の所期の目的は着実に達せられているというようなことで、農村は決して困っていないというような答えですが、そんなことを言ったら百姓おこりますよ。あなたたち、今日の農村実態をほんとうに見ているのですか。百姓生活を見ているのですか。見ていないでしょう。この間の選挙を通じまして私たちがわかったことは、これは自民党には気の毒なことだけれども、今日日本農村は、自民党農村が最大の票田だったわけです。ところが、農村の票は自民党からどんどん逃げつつありますよ。それは事実ですよ。私たち農村に入りますと、これまで共産党なんか相手にしなかった農民が、年とったおじいさんが出てきますよ、私たちの話を聞きに。それで、今日の農村の困難な生活を一体どうしてくれるのだということを、率直に訴えてきますよ。これを見ましても、今日の日本農村がどういう状態になっているか、それが何に原因するのかということがわからなければならない。それはあなたたちはそうではないのだ。われわれに失敗はないのだ、ちゃんと成果をあげていますというようなそんな無反省な答えでは、日本百姓さんかわいそうじゃないですか。私はもっと、今日の日本農民実態について農林省が責任を持って、そうして考えなければいかぬ。おそらく佐藤さんはその点、気がついているのじゃないかと思うんですよ。  朝日新聞に「”基本法農政”のカベ」という題で、数日前に記事が出ていますよ。「米不足が大きく響く農業改善事業目立つ計画の遅れ」、こういう見出しで出ていますよ。「農林省は今年で農業基本法制定後五年になるのを機に、今月から、この間の農政実績とその功罪について、多面的な再検討を始める」、こういうことが書いてあるのです。関連質問だから、私はそう長くしゃべることは柴谷さんに御迷惑だと思いますから、あとでやりますけれども、あなたのそういう態度ではちょっと了承することはできませんよ。
  12. 岩下龍一

    説明員岩下龍一君) 私のほうとしましても、御指摘のような実情のあることは十分承知しておりまして、そういうことに対しましては今後施策を改善していきたいと、こう考えておりまして、基本法実施に関しましては、事態の推移と相まちまして、基本法そのものというよりも、それに応ずる施策等を検討して、改善していきたいと、こう考えております。  また、なおおことばを返すようではございますが、統計的に見ますと、三十九年度の農家経済調査によりますと、二戸当たりの農業所得は三十一万五千円と、こうなっておりまして、一田五反-二町の平均は約六十万円をこえている、こういう数字が出ております。その六十万円という数字が、おおむね都市の勤労世帯所得に匹敵する数字ではないかと考えられます。さらに、御指摘のように、困る、こういうこともあろうかと存じますが、特に出かせぎ等の問題もそれに関連いたしまして、そういうふうに解されておるのではないかと考えられますが、最近農村農家生活水準も非常に上昇いたしまして、これに応じてさらにいま所得を増加しようという要請、さらには、農家におきます機械の導入によりまして、労働、手が省ける面が相当ございますが、これらの方が農家所得獲得の機会に向かっておられる、こういうこともございますが、そういう面もあろうかと存じますが、それは必ずしも窮迫のために出かせぎに出ておられるかどうか、疑問があるわけでございますが、それらの点もよく認識いたしまして、今後この施策実施段階で、さらに改善していきたいと考えます。
  13. 柴谷要

    柴谷要君 参事官である立場から、相当答弁も慎重にやられているようですけれども、所管の農林水産委員会等には非常に、何というか、大胆率直に方針を話されておる。ところが、他の委員会、たとえば大蔵とか商工とかに来ると、なぜか形の整った、何かワクに押し込められたような答弁しかしておらない。そういうことではなしに、率直に言ったほうがいいではないか。別に大蔵省に気がねは要らないのだから、農林省立場ですっきり言われたほうがむしろいいのではないか、こういうふうに思うんです。  そこで、農業近代化資金融資残高は今日、千五百億円といわれておる。その資金効果の評定は困難ではあるけれども、あまり実効があがっておるとは私どもは言えないと思うが、これはお認めになるかどうか、この点をひとつ承っておきたいと思う。
  14. 岩下龍一

    説明員岩下龍一君) 御指摘のように、近代化資金貸し出し残高が累計いたしましておおむね千五百億円に達しております。そして、これによりまして、近代化資金発足以来――近代化資金目的は、農家施設整備でございます。この近代化資金によりまして、農家施設整備されました状態を見ますと、農家固定資産額の八%――固定資産額と申しますか、装備額の八%に達しております。八%という数字は、農家の、ことに最近におきまする限界的な装備類等を見まして、相当の効果をあげておる、こう考えております。  申すまでもなく、これと基本法関連して申し上げますと、基本法目的は、先ほど申し上げましたように、農業と非農家所得格差是正でございます。ところが、農業というのは御承知のとおり、日本においてだけでなく、世界的に見まして、その成長率には自然的に非常に限界がございまして、たとえば耕種農業等で年率三%の成長率というのはほとんど見られないほどに非常に高い成長率でございます。高いといいましても、限界はせいぜい三%程度でございます。これに対しまして、鉱工業の成長率ははるかに上回る率を示すことができるわけでございます。したがいまして、このように成長率が異なる場合、所得格差是正しようとしますると、幾つかの方法がございますが、一つは、農産物の総体の価格を引き上げる方法でございます。しかし、これは国民の消費生活を圧迫し、さらに物価の悪循環を来たすというような意味で、あまりこの施策を強く進めるわけにはいかない、こう存じております。第二は、所得を割る労働力という意味におきまして、労働力そのものの、農業労働者そのものの数を減らすこと、このことが一つ所得格差是正する方法であるわけでございますが、いまの日本農村社会実情、さらには労働力移動状態といたしまして、なかなかこれも積極的になし遂げることはできないと思います。したがいまして、所得格差是正の次の方法は、農家資本装備高度化する、したがいまして、そによりまして、先ほど申し上げましたように、労働費を節減する、こういうことでございまして、一番大きな重点は資本装備高度化であると思います。  この場合、資本装備を高い金利の金でつくることになりますと、この建設費等が増加いたしますが、この場合六分五厘あるいはそういう基準で資本装備高度化ということには、いまの基本法体制が非常に大きな役割りを果たす、こういう意味におきまして、近代化資金によりまして八%の装備が造成された、しかも六分五厘の金利で造成されたということは、企業体制を進めていく上に非常に効果があった、こう考えています。  さらに、私たち実態調査もしてまいりましたが、実態調査等を見ますと、近代化資金を借りて大いに役に立ったというような人が、二百何件を調査いたしまして、約八一%に達した例もございまして、私が参りましたところでも、近代化資金原動機を入れましたが、まあ農家は会社と違いまして、原動機を入れたためにどのような利潤が浮いたとか、こういうことはなかなかっかみにくい話ですが、その人の話ですと、二時間ほど労働時間が短縮された、その間ほかの収入もあげられたと。さらに、一番重要なことは、いままで農業を忌避しておりましたいわゆる次の世代の者が、こういう機械化することによりまして、非常に農業に愛着を覚えた、こういうような例もございます。したがいまして、近代化資金そのもの基本法体制の推進にあたりまして相当貢献しておる、こう見られると思われます。  また、先生の御指摘になりましたような事例も、私らも聞いております。しかし、これにつきましては、この実施段階で役に立たない方面に近代化資金を使ったということは、できるだけ是正していきたい、こう考えております。
  15. 柴谷要

    柴谷要君 資金の種類には、一号資金から六号資金まで分かれておりますね。一号資金は農舎、畜舎の建造資金、二号資金農機具購入資金と分かれているんですが、この中で五号資金のほうは五・五%、六号資金のほうは五%という利率が制定されておるわけです。その他は六・五%、こういうちょっと高い利率になっておるのですが、この差を設けた理由。それから、この一号資金から六号資金までの――これは聞くのは無理かな。参事官に聞くのは無理だろうから、よそう。よしますが、大体この利率の差のある点は、参事官あるいは御承知だろうと思うんだが、これを説明してもらいたいのが一点。  それから、この区分けによって資金がどれだけの効率をあげているか。一番効率をあげているのは、たとえば家畜購入資金なら家畜購入資金の四号資金が一番高度に活用されてきている、あるいは一号資金が一番実績をあげておるんだ、こういうような点がおわかりであったらば、ひとつ知らしてもらいたい。
  16. 岩下龍一

    説明員岩下龍一君) ただいまの第一点でございますが、第一点の資金には、土地改良に対する資金等を組んでおります。基盤整備という意味がございまして、特に利率が低くなっておる、こういうわけでございます。  それから、この各資金のうちどれが最も効率をあげておるかということでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、たとえば農家経営自体から見まして、どれが一番効率をあげておるかということは、これは短期的に見ますと、最も育成資金的なものが効率をあげておるわけでございます。  それから、借り入れ状況を見ますと、農機具、あるいは育成資金といいますか、非常に長期的でないようなものが出ておるわけですが、その需要のほうからそれを測定いたしますと、農機具、こういうものをあげておるようでございます。  それから、先ほど申し上げましたように、農家といたしまして相当主観もございますので、一がいにどれがいいかわかりませんが、いま申し上げましたような農機具関係、こういうことになるだろうと思います。
  17. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 岩下参事官に申し上げます。もう少し大きな声で、みんなにわかるように、質問の要点をつかんで御答弁を願います。
  18. 柴谷要

    柴谷要君 参事官を責めることだけが本委員会の能じゃないから、私は質問をやめたいと思います。それよりもむしろ、農林水産委員会農林省局長以上大臣に至るまでの答弁議事録に載っておるので、それをずっと読んだから、もう聞かなくても実はいいわけだが、その中で二、三聞かぬと、大蔵委員会法律をあげるのに質問しなかったじゃまずいから、聞いたわけです。もうやめます。あなたから聞いておってもだめです。議事録読んだほうがわかりやすいから、議事録で読みます。質問はこれで終わりますが、もう一人、二人関連質問があるらしいですから、それをやってみたい、こう思うわけです。いつまでも質問を続けておって、わからぬ答弁をされておったのじゃ、法律をあげたいので、自民党先生方がやきもきしているだろうから、多少相手方の気持ちも察しなければならぬから、そういうことで大蔵委員会はあまりけんけんがくがくとやるところではありませんから、お互いの気持ちを察しながらやろう、こういうことでやめます。  しかし、農林省も、他の委員会に来たらば、遠慮しないで、農林水産委員会でしゃべるくらいのことはどんどん言いなさいよ。それだけはぼくは注意しておきますから。それで、大蔵省がいるから、どうもへたなことを言うと次の予算に関係するのじゃないかなんて遠慮しちゃうのはいかぬ。こういうときこそ大いにしゃべって、農林予算獲得のためにはひとつみんなに聞いておいてもらうというくらいの熱意でもって、参事官やられたほうが賢明じゃないか。苦言を呈して、私の質問を終わります。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大蔵省のほうに伺いますが、インベントリーの取りくずしは、これと、それから外為ですね。これでインベントリーは全部なくなっちゃうのですか。
  20. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 今回取りくずします農業近代化外為で、現在のところインベントリーで蓄積をしておるものはありません。これでおしまいでございます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これが設置された趣旨は、一つ財政健全化ということがあると思うのですが、公債等を発行しなきゃならない、資金のやりくりがどうにもつかないから、この際全部裸になってしまう、公債を出すくらいだから、そういうような含み資産と称するものは全部出してしまうのだ、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  22. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 含み資産というのは、ちょっと誤解を招くかと思いますけれども、先ほども御質問がございましたが、近代化資金目的というのは、農家資本装備というものを高度化しようということが目的でございます。そのための手段といたしまして、系統資金を活用して、そうしてその利子負担については、県から利子補給をする、その利子補給の半分は国が持とう、こういう手段をとったわけでございます。さらにまた、その利子補給補助をする金をどっから出すかという場合に、一般会計からストレートに出してもいいわけでございますけれども、従来財源のありましたときに、最初は三十六年度は三十億でございましたけれども、三十億を積み立ておりました。別に一般会計から資金をつくりまして、それを運用部に預けて、その利子を今度はその補助に使っていくという手段をとったわけでございます。この制度の目的である農家資本装備高度化しようというためには、そういうような資金をどうしてもつくらなければならぬということでは決してないのでございまして、目的高度化のためであるということでございます。そこで、その積み立てておりました資金というものを、今度は財政の苦しいときに引き出して、そうして一般財源に充てていく。しかしながら、近代化目的である農家資本装備というものを高度化するためにも、来年におきましては、全体の系統資金資金ワクを七百億から八百億にふやし、あるいは保証業務についてさらにこれを拡大する、あるいは利子負担も軽減していくというようなことで、むしろ従来よりは近代化施策というものを前進さすということをやっておるわけでございます。まあそういう意味合いで、従来財源のありましたときに、積み立てておったといいますか、貯金しておったといいますか、横にのけておいた財源というものを、ないときに使う、こういう趣旨でございます。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 近代化資金のあれはどうだこうだということは、私は百も承知しておるんです。そうでなくて、インベントリーを取りくずすということ自体が、今度の財政上どうにものっぴきならないから、やるんだという趣旨ですかと、こういうことを聞きたいんです。
  24. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) そういう趣旨に御了解いただきたいと思います。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次に、農林省関係に簡単にお尋ねいたしますが、何といってもですね、所得格差是正ということには近代化資金というものは大きな役割りを果たすんだと、こういうふうに農林省は評価しておみえになります。そうして利率平均は何といったって六分五厘になっております。これはまあ農協の系統資金ですから、資金コストが高いから、まあ精一ぱいのことだということはわかるのですよ。しかし、高度化に寄与するためには、六・五%という金利がいいか悪いかという問題が一つあると思う。こういうことについてはどういうふうにお考えになっておるんですか。
  26. 森本修

    政府委員(森本修君) 近代化資金は、おそらく先般来御説明を申し上げておると思いますが、農業経営を近代化するために、特に当面必要な資本装備の増大という目的のために、近代化資金制度が創設されておるわけです。金利の問題でございますが、われわれとしましても、農家実情あるいは経営の近代化の必要性といったような点から見ますならば、できればなるべく低い金利近代化資金を貸し出すということが必要であろうと思っております。したがって、制度を創設いたしました際には、出発当時は実は七分五厘ということでやっておったわけです。三十七年に六分五厘まで下げてまいりました。来年度からはさらに六分まで引き下げるということで、できるだけ金利の低下に努力をしておるわけでございます。  ただ、御指摘がございましたように、何ぶんにも系統資金を活用して貸し出す、そういう制度になっております。したがって、農協なり系統全体の預金金利といったようなものとのバランスも当然考えなきゃならない。そういうふうなことがございまして、大体来年度実施を予定いたしております六分程度が、そういったバランスからいえばかなり勉強した水準になっておるのではないか、そう思っております。  ただ、御指摘のように、農業経営との関係からどうだということになりますれば、もちろん、もう少し金利を下げたほうが経営の近代化に対して非常に効果的だということは、私どもも実は認めておるわけです。資金の性格からいって、系統資金を使っておりますので、そういったところに、いまのところは六分程度で来年度は出発したい、そういうふうに思っております。
  27. 野溝勝

    ○野溝勝君 関連。もうけておるんだな、農林中金は。コールでばかに大きくもうけたんだよ。そのコールがこのごろはうまくいかないんだね。それに対して相当金がだぶついておるわけなんだが、ばかに百姓をいじめるじゃないか。六分五厘から今度六分にすると言っておるけれども、一般の市場金融その他の金融から見ると、これは農業近代化して構造改善をして、大いにこれから生産を上げようという農家の熱意にこたえるためには、当局はこの間少し努力したのかね。経済局長は、農林中金その他にその金が余っておる、そこをつけ込んで、農民のために、農業のために、何か努力したことはありますか。それはそれでそのままほおかぶりというわけかね。
  28. 森本修

    政府委員(森本修君) まあ御指摘のように、系統に集まってまいります預金が、ずっとこう最近は非常に系統利用率が高まってきまして、組合から信連、信連から中金というふうに、こう余裕金のうちで系統に預け入れる金がかなり高まっておる。したがって、余裕金が中金にかなりたまってきておる。最近では、御承知のように、少し前まではコールなりインターバンクで金の運用がかなり高利の運用ができておったわけですが、最近は御承知のような客観情勢で、かなりその収益は落ちてきております。
  29. 野溝勝

    ○野溝勝君 百姓に返したらいいじゃないの。
  30. 森本修

    政府委員(森本修君) そこで、中金でも、一つは、一般の貸し出しよりも低利で融資をするというふうな制度を三十九年度から設けております。たとえば構造改善推進のために地元負担の金がありますが、そういう金に対して系統資金を利用するといったような場合とか、あるいはいわゆる選択的拡大といったようなことで、畜産なり果樹なりをやるときに系統資金を利用する、そういうふうな項目については、一般の金利よりも相当低利に貸し出しをするといったようなことをやっておるわけでございます。それから、一般の金利につきましても……。
  31. 野溝勝

    ○野溝勝君 いいよ、あとは。関連質問だから、いいがね。そういう最近の資金需要が多くなったとかそんなことでなくて、あなたのほうの統計にも出ているのだ。基盤整備をはじめ構造改善の仕事が、まだなかなか中途半端で計画どおりにいきやしないのだな。だから、あなたがそういう方面に努力しておるとか言ってみても、実際は金利が高いということと、その内容においてはなかなかめんどうなところがあって、なかなか手につかないのですよ。だから、そういう点を考えると――私、答弁は要らぬ。あなたのような答弁だけでお茶を濁しておいても、それじゃ絵にかいたぼたもちで、なかなかそうはいかぬのだよ。だから、私は現実にある程度のあなたのほうの計画、パイロット計画なりあるいはその他の計画なりが、中途半端に今日ある状態をもっと深く調べて、それでこの資金計画あるいはその他の施策においてもっとあれしないと、先ほどだれかの質問にあったように、それはうまくいきませんよ。  私はまあ農林大臣大蔵大臣のいるところでよく聞くつもりだが、日本農業を一体どうしていくのか。自給自足の方針でいくのか、名目的近代化基盤整備だけで形だけでいくのか、こういう点は非常に重要な問題ですから、またあらためて深く聞くことにいたしましょう。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ぼくは意見をまじえて最後に申し上げておきますが、何といったって農業近代化資金はうんと出さなければいかぬと思うのです。しかし、それは低利でなければならぬし、長期でなければならぬ。そうでなければ格差是正にならぬ。どんなにやっても、ならぬ。そのときに農協の貸し出しの標準金利は、たとえば九分五厘なら九分五厘と踏んでおられるところに、それだけの資金コストの高いものを使わなくちゃならぬところに問題があると思うのですよ。これが一つです。ですから、一体農協に金を集約してやって、その農民の金を使うのだという構想は非常にいいと思うのです。いいと思うけどれも、そのことを逆にいえば、金利が高くなっておるということに壁があるわけです。とするなら、その壁を破るにはどういう方途を今後やるかという、利子補給をうんとふやすのか、それならあまり農協がうま過ぎるじゃないか、農協の資金系統の人がうま過ぎるじゃないかという意見もあると思う。そうでなくて、一般銀行のほうに入れたって、それも一つの方途だと思う。そういうような金利を下げて、しかも長期な金が貸されることを考えなければいかぬと思う。もういまの農協系統資金を使ってやればいいということじゃなくて、ぼくはもっと根本的に考え直すときが来ておるのじゃないか、壁にあるのじゃないかということが言いたいのですよ。そういうことに対する、総括的なことですから、所見を、たとえばあなたは来年は六分にすると言っておる。それだけで私は解決する問題ではないと思う。そういうことに対する所見を承りたい。
  33. 森本修

    政府委員(森本修君) 農業の構造改善とかあるいは近代化、そういうために、一つは金融的な措置としましては、財政資金をもって低利長期の金を貸し出す。これは通常の金融機関では貸し出しがなかなかむずかしいというふうな分野について、農林漁業金融公庫が御案内のようにございまして、そこからかなり長期低利の貸し出しをしておるわけでございます。たとえば基盤整備事業でありますとか、あるいは構造改善事業の推進とか、また果樹なりあるいは畜産の経営拡大といったようなことで、計画的にあるいは当面最も必要な経営の改善のためには公庫資金を活用して現在やっておるわけです。系統資金のほうは、御案内のように、近代化資金では資本装備の増大ということで、個人個人が農舎を改造するとか新設する、また機械を導入するとか家畜を入れるとか、そういった式のやや中期的な資金といいますか、公庫資金よりはやや期間が短い、そういった資金近代化資金で貸し出す。それから、系統資金のほうは、御案内のように、それ以外の短期資金あるいは生活資金といったようなものを貸し出しておる。そういう分類に実はなっておる。系統資金のほうの合理化なりあるいは資金のコストの引き下げということは、これはきわめて重要なことではございますけれども、御指摘がありましたように、またそれをやっていくのは非常にむずかしい問題がございます。  運用の面におきましてもそういう点がありますと同時に、組織関係にも検討を要する点があるわけであります。御案内のように、末端では総合農協ということで、信用事業もやればあるいは経済事業もやる、指導事業もやるといったようなことでやっておるわけです。そういった総合経営といった点が一つ系統資金活用の組織的な問題点というふうにも思われる。それから、三段階制といったような系統内部の組織問題もございます。そういった組織的な問題を、今後低利にしていくためにはどう解決していくかという点が、私ども今後検討しなければならぬ点だと思います。  それから、運用上の問題としましては、何としてもいままで高利に運用ができておりましたから、知らず知らずの間に高コストということになっておるわけですけれども、最近のような金融事情の変化もございまして、そういったややもすれば高コストに流れつつあるというのをできるだけ是正するように私どもも指導はしております。系統機関としても自主的に現在努力いたしておる、そういうふうなこと。御指摘のように、そういった検討なり努力を通じて、できる限り系統機関の合理化がはかられ、農家のために低利で貸し出せるような体制に持っていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは非常に、そんなこまかい話は百も承知しておるからいいのですよ。そういうことじゃなくて、いまのもう農協の系統資金を使っておるということに方針をきめるなら、もっとどうやったら低利にする、それができるかということなんです。そのことが聞きたい。あるいはそうじゃなかったら、もっと抜本的な改正農林省が乗り出さなければ格差是正にはならぬというふうに考えておるわけです。そういう基本的な話を承りたい。あまりこまかいことは、系統資金は何分で何年貸しておる、そんなことはいいです、わかっておりますから。そうじゃなくて、もっと抜本的なことを、私ら農水委員会じゃないから、所管委員会じゃないから、そういう話を承りたい。ところが、あなたのお話を聞いておると、検討しますということでおしまいみたいな、あまりやらないような、熱心でないような話で、何かちょっとずれちゃっているのでね。これは意見ですから、よろしゅうございます。
  35. 日高広為

    ○日高広為君 この前の委員会質疑いたしまして、資料が出ておりますので、要点だけを御質問いたしますが、先般出されました農業近代化資金の中で、たばこの施設に対しましてどのような融資をなされておるか。昭和三十六年以降でけっこうでございます。それに対する金利がどうだということ。
  36. 森本修

    政府委員(森本修君) 近代化資金の中で、たばこに対しまして貸し出しております資金の大きなものはいわゆるたばこ乾燥施設でございますが、あるいはお手元のほうに資料が行っておるかと思うのですが、全体の借り入れ額と、それからそのうち近代化資金で貸し出しておりますものと比較をして、年次別に資料を差し出してございまして、それを見ていただきましてもおわかりになりますように、近代化資金で貸し出しておりますものは、三十九年度二十三億、全体が二十七億ということで、かなり利用をしていただいておるという形になっております。伸び方からいきましても、近代化資金の全体の伸び率よりも、たばこ関係に近代化資金が貸し出されておる伸び率のほうが高くなっておるということは、お手元の表でお読み取りをいただけると思います。  金利でございますが、金利は、施設でありますから、従来は末端金利が六分五厘、先ほども御説明申し上げましたように、四十年度からは六分にする予定で現在進んでおります。
  37. 日高広為

    ○日高広為君 そこで、お伺いいたしますが、農業改良資金の問題で、ただいま近代化資金はやはり六分五厘ということですが、農業改良資金のこの助成法の関係を見てみますと、たばこの関係でありましても、これに該当するものがあるのではなかろうかという気がするのです。したがって、農政局長にお伺いいたしますが、この農業改良資金助成法の第二条ですが、この中で三項目にわたって書いてございますけれども、これは三項目全部適合しなければ該当しないのかどうか。その点ひとつ。各項目ごとに適用できるのかどうか、全部適合しなければならないかということです。第二条、これはあなたのほうからもらった資料ですが。
  38. 和田正明

    政府委員(和田正明君) 改良資金助成法の第二条は、技術導入資金生活改善資金農業後継者育成資金という三種類のことを書いてあるわけでございますが、それぞれ資金の性質が違うわけでございます。
  39. 日高広為

    ○日高広為君 そこで、その第一項の中の「能率的な農業」という中で、「畜産業及び養蚕業を含む。」ということは、結局能率的な農業というのはどういうようなものですか。
  40. 和田正明

    政府委員(和田正明君) これは新しい技術の導入資金ということで、現在貸し付けの対象になっておりますのは、たとえば保温苗しろあるいはキュウリ等の蔬菜の新しい栽培技術のために必要な、たとえばビニールハウスでありますとか、そういうふうな新技術の導入のために必要な資金でございます。
  41. 日高広為

    ○日高広為君 そこで、そういうような解釈にいきまして、結局「政令で定めるもの」となっております。そこでお伺いいたしたいのは、施行令の第一条の中にありますところの技術導入資金の種類につきましては、ただいま説明されたとおりでありますが、たばこの場合におきましても、これに似通った電熱育苗施設を使っているわけですが、その場合に、いまこれには適用されておらないが、私は当然これと同じような性格のものであると思います。ただ、管轄が日本専売公社の管轄であるためにこの恩恵に浴しておらないのじゃないかという気がするわけであります。したがって、「保温苗代を設置するために必要な資材の購入に要する資金」ということにつきましても、たばこを耕作をする場合におきまして、保温電熱育苗とか、あるいはそれに類するものがあるわけであります。その場合に、該当すると思われませんか。
  42. 和田正明

    政府委員(和田正明君) 先生御案内のように、農業改良資金助成法によります技術尋入資金は、ただいまも一、二の例をあげましたように、新しい技術導入ということと結びつきますので、農林省が別に実施をいたしております農業改良普及制度というのがございまして、各地に普及員が置いてございますが、その普及員の技術指導との結びつきの中でこの資金の貸し付けをしてまいりませんと、新しい技術でございますから、農家の技術の習得の度合いも低いし、それからそれに伴う収支経営の問題もあるということで、そういう面での改良普及員の技術指導と結びつけて貸し付けをするということに今日までいたしておりますわけでございます。たばこの電熱育苗施設等についてのいまのお尋ねでございますが、現在までは入っておりません。ただ、専売公社等のほうからそれについての貸し付け等の希望が正式に出てきておりませんので、私どもいままで検討いたしておりませんが、そういう御要望がありますれば、同種の技術導入資金もございますことでございますので、農林大臣の特認事項というような形で認定することは、法律解釈上問題はないと思います。でございますので、専売公社等からの話がございますれば、今後そういう方向で検討をしてみたいというふうに思います。
  43. 日高広為

    ○日高広為君 非常に適切な答弁ですから、これ以上もう申し上げる必要はないのですが、ただ、私がここで御認識いただきたいのは、おたくの普及員制度と同じように、それ以上に強力な指導陣というものを専売公社の技術陣は持っているわけです。大体全国で三千ないしそれ以上ですか、これは生産部長に聞けばわかりますけれども、強力な指導員というものを持っております。したがいまして、普及員と同じような性格を持ちつつ指導員というものが専売公社の技術員の中にいるわけです。これを的確に把握いたしまして、指導して、新しい技術を導入していく。したがって、いまおっしゃるようなことができるといたしますれば、正式にこういうことに対する取り扱いを専売公社のほうから打ち合わせをいたしますから、そのときにはひとつ善処してもらいたいと思います。そのことをお願いいたします。  次に出ております中で、技術導入資金の種類の中の三の二に該当する、「野菜又は草花の不時栽培を行うための施設設置するために必要な資材の購入に要する資金」、これなんかも、たばこの場合におきましては、早期育成のためのトンネル栽培をやっているわけです。これもほとんど性格は同じです。  次に出てきております三の六の「畑地において土じょう線虫を防除するために必要な資材の購入に要する資金」、これも土壌線虫の防除をやっているわけです。したがって、この中で、私が指摘いたしました中でも、三項目指摘されるわけです。それともう一つは、第十の「土層を改良するために国有又は都道府県有のトラクターにより深耕を行うのに必要な資金」、これもたばこの場合は必要であります。この中で適用できるものがあると私は判断するわけです。したがいまして、いまの答弁で了解いたしますが、そういうものを集約いたしまして、最後に、「前各号に掲げるもののほか、都道府県が農林大臣の承認を受けて承定する資金」ということが書いてありますが、したがって、こういうふうなことを考えますと、やはり都道府県におきましては、ここに書いてある文言の資金対策しかやらないわけです。したがって、上の段階におきまして、日本専売公社と農林省農政局とも協議の上で、そういうものを採用していただきますと、全部適用できる。  したがいまして、それに対する農政局長の御意見を承りましたから、そこで、専売公社の生産部長にお伺いいたしますが、先ほど私の質問に対しまして農政局長答弁されまして、おわかりと思いますが、これに対する生産部長の考え方をひとつお願いいたしたいと思います。
  44. 黒田実

    説明員(黒田実君) 改良資金の問題でございますが、実は私どものほうへも、たばこの耕作団体の代表の方々から、地方で、農林省のほうではこういうようなことをおやりになっているので、公社のほうで行なっているたばこのほうに対してもああいうような制度を適用していただくと非常に都合がいいというような御要望もしばしば受けております。また、一部の府県の特殊の方々からもそういうような御要望も受けておりまして、農林省側の担当の方と若干そういうことをお話ししたこともございますけれども、いまのところそういう適用を受けていない、こういう状況でございます。先ほどの農政局長の御答弁を承ったわけでございますが、そういうような制度をたばこの耕作のほうにも適用していただけるものであれば、これはたばこ耕作のやはり近代化、合理化に非常に役立つわけでございまして、非常に私どもとしてもけっこうなことだと、かように考えております。  なお、つけ加えて申し上げておきますが、公社といたしましては、特に融資するとか、そういうようなことでの奨励制度は持っていないわけでございますが、これと同じような目的で新しい技術をたばこ耕作農家に普及して合理化に役立たす、こういうような目的のために公社で委託費を出しまして、いろいろな耕作試験とか、あるいは技術開発試験とか、こういうものをやっているわけでございます。これは特定の農家に新しい実用化し得るような技術を委託いたしまして、そういう技術を使ってもらって、それを周囲の耕作者の方に見ていただいて技術の普及に役立たせようということで、目的は大体同じようなことでございますが、かような形をとっているわけであります。そういうようなことでございます。
  45. 日高広為

    ○日高広為君 最後に、先ほど野溝先生からもお話がありましたが、二十三億の近代化資金をいままで借りているわけですよ。そうしますと、その利息が六分といたしましても一億三千八百万円。ところが、いまの何というか、農業改良資金ですか、これを借りますと無利子でしょう。そういたしますと、一億三千八百万円というのがほんとうにこれはむだになってしまうのですね。したがって、ただいま生産部長の話では、農林省のほうが納得すればということですから、先ほど農政局長がああいうしっかりした答弁をされたのであるから、ひとつ技術的に打ち合わせをされて、できるだけひとつ早い機会にこれを処置するようにお願いいたしたいと思います。以上でございます。
  46. 須藤五郎

    須藤五郎君 変な質問ですがね、さっきからの答弁をずっと聞いておりますと、皆さんの答弁がどうも地についていないような感じがするわけです。こう言っちゃ失礼かもしれませんが、皆さんわらじばきで実際にほんとうの日本農村のすみずみまで入って、ほんとうに生活に困難している百姓さんたち農民たちとひざ突き合わせて話し合ったことがあるのですか、どうですか。そういうことをしていらっしゃるのですか、していないのですか。下からの報告だけで済ませていらっしゃるのじゃないですか、どうですか。
  47. 和田正明

    政府委員(和田正明君) おことばでございますが、私ども行政を担当いたしております以上は、実情の把握は機会があるごとに努力するのは当然でございますから、機会があれば現地のほうに参りまして話し合いをいたしますし、また、いろいろ東京等で会合があります機会においでをいただく方々が部屋にお見えいただきますれば、そういう機会をとらえてできるだけ実情の把握につとめるように努力をいたしておるつもりでございます。今後ともそういう努力はいたしたいと考えております。
  48. 須藤五郎

    須藤五郎君 さっきの参事官の話を聞いていると、どうも私たちそういう点がぴんとこないのです。実はこの間、私は岡山の西大寺というところへ行ったのですよ。そうすると、たんぼ一町半つくっている百姓さんが来まして、昔はたんぼ二町、一町半つくっておればりっぱに生活が成り立ったもんだ、こう言っているんですね。ところが、今日はたんぼを二町半つくっても、一町半つくっても、どうしてもやっていけない、だからどうしても兼業しなければならぬ、そこで鶏を二千羽飼ったというわけです。ところが、鶏の卵を一キロ百七十円から百八十円で、これでえさ代と合うというわけです。一キロ二百円くらいしないと農家の収入源にはならぬ。ところが、卵の価格というものは常に変動して、鶏を飼うても農家の収入になかなかなるところにいかぬ。最近卵の値が下がったので、この二千羽の鶏をひねりつぶして肉鳥に全部処分するんだ、こう言って嘆いているのですよ。  それから、小さいことになりますが、おまえ、鶏どうしているんだといったら、日本の鶏とアメリカの鶏と産卵率が違うという。年に八十個くらい差がある。そこで、アメリカの鶏を皆が競うて飼うことになる。ところが、鶏の卵を買おうとすると、アメリカは鶏の卵を売らぬというのです。全部ひな鳥にしないと売らぬという。ひな鳥の雌だけしか売らぬ。雄は一匹も売らぬ。雌雄の鑑別をして、雌だけ売ってくれる。だから、日本で卵をよく産むアメリカの種卵をとることができない。そうして一羽二百円でひな鳥を売るというのです、アメリカは。そうしてひな鳥二百円はいつまでもつきまとうわけです。私、この間岐阜の養鶏の国立の研究所に行ってこの点を確かめましたですよ。そうしたら、事実だと言っていました、岐阜の研究所で。  そういうふうに百姓さんはたんぼ二町つくっても食えぬ、一町半つくっても食えぬ、鶏飼うてももうからぬ。そうして農村に行きますと、バタバタの耕うん機に家族が乗って夕方ずっと帰って行く。ちょっと見たら、ほほえましい風景に見えるわけです。この間鳥取に行って鳥取の農村を歩いていたら、そういう風景に接したわけです。それで、農村もずいぶん変わりましたねと言った。そうすると、この百姓さんが言うのには、これは耕うん機が走っているのと違いますよ、先生、これは借金が走っているのですよという話です。そうして聞いていると、農村は軒並みに百万円からの借金をみなかかえているのです。そうしてその百万円の借金の利子払いに困っている。これが農業近代化資金実態じゃないですか。どうしたら日本農村は救われるんですか、そこをぼくは聞きたいのです。  それと、日本農村からどんどん人口が減っていくでしょう。これも農業基本法の結果ですがね。三十五年に三千四百五十四万人あった農家が、四十年には三千万人に滅っている。この五年間に四百四十三万人農家の人口が減っている。百万内外が出かせぎに行っているわけです。戸数でいったら、百万戸減っているわけです。こういう農村政策というものはありますか。これがあなたたちの言う農業近代化農業基本法実態じゃないですか。こういうことでいいんですか。  そうしてどんどん日本の主食の米や麦の生産が減っていくのですよ。毎年どんどん輸入がふえているじゃないですか。去年の米は四十二万トンですか、どれだけですか、輸入。これは政府のほうが、二十億ドル、金でね。小麦もふえている、大麦もふえている、大豆もふえている、ずっと。このように日本の食糧の輸入がどんどんふえている。日本はこの食糧をこういうふうに外国に依存していかなければならない。これも農業基本法の結果こういうふうになってきているのですよ。これが農業近代化実態です。ぼくはそこに農業近代化というものの問題があると思うのです。こういうふうな農村を一体どうするのですか。  私が例にあげた岡山の西大寺のその農家、たんぼ一町半つくって、鶏二千羽飼っても、借金がどんどんふえて困る、利子払うのに困る、そう言っている農家をあなたたちはどうして救おうというのですか、聞かしてください。
  49. 和田正明

    政府委員(和田正明君) いま先生、非常にいろいろ大きなことを言われまして、しかも、日本農業行政の基本にかかる問題でございますから、私のような一小役人がお答えすることが適当であるかどうかよくわかりませんが、一応私の考え方を、あるいはまた地に足がついておらぬというおしかりをいただくかもしれませんが、簡単にお答えしてみたいと思います。  農家人口が非常に減少しておって、それは基本法のせいだというふうにおっしゃられるわけでございますが、そういうふうには私どもはやっぱり考えておりませんで、限られた耕地面積を前提にして、日本農家農業だけの所得生活ができ、他産業との間のバランスのとれた所得をあげようということに考えますれば、当然分母であります農家の人口、戸数は減少しなければならないので、それができなければ、実際に二戸当たりの農業所得が他産業とバランスがとれるようには基本的にはならないと思います。しかし、そういうことが社会的に、あるいは経済的に無理なく行なわれますためには、そういう農業から離れていきます人たちの完全な就業の機会でございますとか、あるいは就業の条件でございますとか、あるいは各種の社会保障制度でございますとか、そういうものが相当程度完全なものにならなければならないわけでございますから、そういう意味では、現段階は必ずしもそういう面において十分な手当てが、いろいろ努力はいたしておりますけれども、できていないということについては、御指摘のように、これはあるかもしれません。  しかし、たとえば、今回農林省として国会に提案をし、御審議をいただいております農地管理事業団法なども、農地を手放して農業から離れる人たちの、その農地を経営規模の拡大のほうに系統づけていくというようなことで、経営規模の拡大なり、それに見合う農業所得の増加なりということを政策として出しておるわけでございます。その他、今後逐次他産業への就業機会の確立なり、あるいは就業条件の改善なりということも、労働省等ともよく協議をし、また各種の社会保障制度の確立等につきましても、厚生省等の関係省と打ち合わせをして、そういうことも進めていかなければいけないと思っておりますが、やや過渡的にそういう暗い面も御指摘のように出てはおりますけれども、先ほど岩下さんから若干数字をあげて申しましたように、日本農業の全部が全部暗い面ばかりではないわけでございまして、いろんな面で将来を期待できる多くのきざしも現実に、統計的にあらわれているように私どもは思っておるわけでございます。  それから、第二に、食糧の輸入量が非常に増加をしたことも基本法の責任だというふうにおっしゃられたわけでございますが、米について申し上げまするならば、毎年の気候の若干のよさ悪さで五十万トンや六十万トンの減収、増産というようなことは非常に多くあらわれてまいります。おっしゃるように、本年度は米につきましては約百万トン程度の不足と見込まれますので、それの輸入の手当てをいたしておるわけでございますが、坂田大臣もいろいろな機会に繰り返し申しておられますように、主食である米に関する限りは、やはり基本的に国内で自給をはかるという態勢で明年度の予算にも新規にいろいろな生産対策の予算の計上等もいたしまして、せっかく努力をし、できるだけ自給態勢をはかっていきたいと考えておりますが、全部のものが自給できるというふうには必ずしも言い切れませんので、やはりものの実態に応じてできるだけ自給度を上げていくということは努力いたしたいというように考えております。  その他まだいろいろお尋ねがあったように思いますが、一応それだけお答え申し上げます。
  50. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは私は、もっと農政一般についていろいろ突っ込んだ話を聞きたいと思いますが、またあらためて大臣に伺うことにしまして、きょうはやめます。  それで、大蔵大臣がせっかく見えて、時間がないので大蔵大臣に対する質問を早くやれ、こういうことで、せっかくお見えくださったのですから、一、二問。  ずっと調べますと、予算ワク実績との間にだいぶ違いがあるのですね。助成資金の額がその差がだんだんとふえてくるのですよ。三十九年度は予算ワクが六百億ですか、それに対して実績は五百三億、八四%、今度四十年度になると予算ワクが七百億で実績は四百億という見込み、こういうふうに予算ワクよりも実績のほうがどんどん減ってきておる。それは一体何に原因するのか。おそらくこれにはいろいろ原因があると思うのですが、やはり貸し出しの利子が高いこと、お百姓さんは金がほしいのだけれども、利子が高いために返すのに困るということで、実績が少なくなる。それから、期限が短いということも一つ原因だと思うのです。  それと、もう一つは、こういうことが考えられるのじゃないですか。今日の日本農村がどんどん生活が困難になってきておる。だから、農協なり農林中金が農民に金を貸すのを手控えるということがあるのと違うか。そうすると、今度は、その次には地方財政が困難になって、地方財政の困難ということがはね返って、やはり地方財政は農協なり農林中金なんかに利子補給をする、その額がふえることを好まないということも一つの理由じゃないか。その最たるあらわれが、国家財政の赤字によって、今度せっかくの金を全部取り上げて、千億だけ残しておいて、二百何十億という金を国庫へほうり込んでしまう。これも、国がこの赤字財政をかかえてやっぱり資金まで取りくずしてしまおう、こういう考え方ではなかろうか。今度取りくずす資金二百何十億という金があれば、大体十年くらい食いつぶしていけるというようなことになるので、政府はそんなことを考えているのじゃないですか。そういうふうに政府も考え、地方自治体も考え、それから農協などが出しおしみをするということになったら、ますますこういう傾向はふえてくる。そうしてそれが農民を苦しめる結果になるのじゃないか、そういう点が一つ。  それから、もう一つ。かためてやりますが、今度大蔵大臣御自慢の減税、三千億という減税をなすって、歴史始まって以来の減税だということを言っていらっしゃいますが、この減税措置を受ける農家というのは一体どれだけあるのか。一体、農家というものは非常に収入が少ないために減税措置を受ける人は非常に少ないのじゃないか、こういうふうに思う。農家の何%が減税措置を受けるのか、その点をひとつ聞いておきたい。
  51. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま繰り越しがあるじゃないか、使用未済があるじゃないかというお話ですが、これはああいう種類のものは大体繰り越しがあるもんなんです。つまり、相談は進行中だが、あるいは相談はきまったけれども、決済が、つまり貸し出しの実行がおくれておる、こういうような傾向があるわけなんです。それが事業計画と比べて実行が少なくなっているという主たる原因と思います。  それから、もう一つは、ある程度農業金融というものが相当進んできておる。それで、いいプロジェクトがだんだんと狭まってきておると、こういうような関係もあろうかと思います。  それから、ただいま須藤さん御指摘のいろいろな事情、これは私もなしとは考えませんが、そういう状況かと思います。それから、今度の減税につきましては、これは農家もひとしく均てんするわけです。私、ただいま何戸がということを記憶しておりませんが、もともと農家は非常に所得税の納税額が少なくなってきておる。これは所得税の特例法なんかもある関係も響いております。そういうようなことで、昭和四十一年度減税を行なわなかった場合の農家所得税納税額は二十何億になりますか、そんな程度であります。  今度の減税、これはもう下の階層に大きく響くわけであります。したがって、その二十何億というのが、これは下の階層でございますから、今度の減税の響き方も農村所得税納税者には大きくなるわけであります。したがって、私たちの見込みでは、昭和四十一年度の農村の納税額は十億台になるであろう。これは数字は出てきておるのですが、私いまここで数字を持ち合わせないのですが、十七、八億ぐらいになるんじゃないか、そういうふうに見ております。それから、納税人口でいいますと、二十二万人のものが二十万人になる、大体一割程度減る、こういうふうに見ております。相当均てんされるわけであります。
  52. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 先ほど地方財政のほうの負担が多いんじゃないかというお話がございましたが、この利子補給につきましては県がやるわけでございますが、その半分を国が補助する。残りの半分は県が負担をするということで、この負担につきましては地方交付税の算定に入れることにしております。したがって、四十一年度でございますと、二十七億の利子補給を国が出すわけでございますけれども、二十二億、いわゆる交付団体でございますと、二十二億は交付税でそのまま行くということになりますので、決して地方公共団体の負担がつらいということはありません。
  53. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣に一問だけお伺いしますが、これは近代化助成資金として農民に貸すことになっておりますが、先ほどから当委員会で問題になっておりますのは、その利子自体がもう少し安くならないのか、ここに焦点が置かれておるわけです。御承知のように、農協のほうは農民の金を集めて、約一兆円金が余っている。その金を、私らが耳にするのは、農民に貸したんじゃ、なかなか貸し倒れ等もあってもうからない。だから、中小企業やその他、あるいはコール資金に回して、肝心の農民のために集めた金をほかの方面に貸しているじゃないかという、そういう声も聞かれるわけです。ですから、地方と国が折半をして、実質的には六分五厘になっておりますけれども、近代化資金の名前にふさわしく、これはもう少し安くならないものか、その辺のところを大蔵大臣に私はお伺いしたい。
  54. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 農業金融は相当いろんな問題があるわけです。それで、ことに一つの問題は、資金のコストが高い。これが普通の金融機関に比べますと、割高になっておるわけです。したがって、農協資金の貸し出しという金利は、ほおっておきますと相当の高利にならざるを得ない。しかし、農村で集まる資金農村にできるだけこれを還元すべきである、そういうふうに考えまして、数年前から利子補給制度をとることにいたしたわけです。  それで、六分五厘ということでやってきたのでありますが、いま長期金利がだんだん下がってきておる、そういうような際に、六分五厘で据え置くことがいいか、ただいま中尾さんの御指摘のような感触も出てくるわけであります。そういうことを考えまして、四十一年度から六分にしようと、こういうことに考えておるわけであります。いまの日本金利は世界水準の中でも高いほうでありますが、その高い日本の長期金利体系の中で、六分の金というと、まあ相当サービスになるだろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  55. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御発言もなければ、農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案、以上の二件の法案につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。よって、質疑は終了いたしました。  まず、農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案につき討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  57. 柴谷要

    柴谷要君 農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して、反対をいたします。  農業部門近代化をはかり生産性を高めることは、今日の農業政策基本である。農業近代化助成資金は、財政に余裕のあった三十六年度設置されて以来三十九年度まで、一般会計から二百八十九億円を繰り入れてきたものであるが、財政事情が苦しくなってきたとして一般財源として吸い上げることは、本法の設立精神に反するのみならず、近代化助成資金の制度設立の考え方からして後退を示したと言わなければなりません。政府は口を開けば、農業政策を充実強化すると言明しながらも、期待を持って今日おられる農民の上にどのような政策を確立して、現実の農民にどうこたえんとするのか。  そこで、本改正案は、第一に、財政上の理由から農業政策において著しく後退したということ、第二に、別の面で手当てをしたといいましても、その制度そのものは不安定な要素を加えたということは、納得することができないのであります。第三に、今回の改正によって農業近代化助成資金としてわずか十億円を留保することになる、この理由は了解に苦しむものであります。十億円留保したということは、今後利子補給財源一般会計への繰り入れを復活せしめる考えの布石でもあるかのようであり、これは政府部内、たとえば大蔵、農林両省間の妥協の産物ではないかとさえ勘ぐられるがごとき本法については、強く反対するものであります。
  58. 藤田正明

    ○藤田正明君 私は、自由民主党を代表し、農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成いたします。  今回の改正案は、この資金を十億円留保した上で取りくずし、二百八十一億円を一般会計財源に充てようとするものであります。  明年度の財政は、七千三百億円にのぼる多額の公債発行をもって財源を調達するほどの事情にあり、外国為替資金へのインベントリーをも取りくずすことになっております。このような事情のもとで、財政に余裕のあった昭和三十六年に設置されて以来昭和三十九年度までに、一般会計から繰り入れられた資金を取りくずし、一般会計財源として使用することは、財政資金効率的活用という見地からすれば、むしろ適切な措置と申すべきであります。農業近代化助成資金を取りくずすと申しても、近代化資金の融通の円滑化を否定しようとするものではありません。むしろ発展的に拡大しようとするものでありまして、資金の取りくずしが農業近代化政策の後退を意図するがごとく即断することは、あまりにも観念的過ぎると断ぜざるを得ないのであります。現に、今国会には農業近代化資金助成法の一部改正案、農業信用基金協会法の一部改正案が提案されており、制度の拡充強化をはかるほか、四十一年度予算について見ても、農業近代化利子補給補助は二十七億円が計上され、新たに農林中金に対する近代化資金利子補給金も計上され、さらに農業信用保険事業助成交付金四十四億円等の画期的な配慮がなされているのであります。  今回の改正は、このような拡大された施策を裏づけとして講じられているものでありまして、現下の財政事情を勘考し、当面する措置としてとられた適切な措置であると考えるものであります。  以上の理由により、本案に賛意を表するものであります。
  59. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、日本共産党を代表しまして、この農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案、これに反対をいたします。  そもそも、この法律が出てまいりましたもとは農業基本法にあると思うんです。農業基本法提出されましたとき、私たちは、この農業基本法は決して日本農村を幸福にするものではなく、破壊して、そうして日本の貧農たち農村から締め出し、日本農村を資本主義化するものだという立場で、農業基本法に反対をいたしました。したがって、そこから出てまいりました農業近代化資金、この法案にも反対をし、また、そこから出てきたこの助成金の法案にも実は反対してまいったわけです。  そうして農業基本法ができましてから五年間、その五年間の間、日本農村をつぶさにながめましたとき、私たちの予測したことが的中しておるように思うんです。農業基本法によって日本農村が、ほんとうに日本農民が幸福になったかどうかというと、決してそうではない。いろいろな問題が今日農村に起こってきて、非常に日本農村の悪い面が多くなっているということです。それは先ほども申しましたが、農家の人口がこの五年間に四百四十三万人も滅っておる。そして百万人内外が出かせぎに出ておる。その出かせぎの結果、いろいろな悲惨な事件が起こっておる。これは決して日本農村にとって好ましいことではないと思います。これが農業基本法から出てきたことです。  それじゃ、農業近代化でもって日本農民生活がよくなったか。これも、私は反対討論ですから詳しい例をあげないでおきますが、いろいろな面で矛盾が起こって、日本農民生活はよくなっていないと思うんです。その証拠に、専業農家がこの五年間に百万戸も減っておる。日本農家の総数から四一・四%も専業農家が減っておるということは、今日日本農村がいかに困難をしているかということがはっきりすると思うんです。こういう日本農村の困難をほんとうに真実援助するための資金ならばともかく、今日の資金利子が高いこと、期間が短いというようなことで、日本農民はほんとうに救われていないんです。こういう点におきましても、私はやはりこの助成資金に賛成することはできないわけです。特に、今回のやり方というものは、利子や期間を長くするというようなことには触れないで、その資金を取りこぼしてしまうというようなこういうやり方でありますから、ますますこれは私たちの考えたほうとは反対の方向に行ってしまうという結果になると思うんです。  以上述べましたような理由によりまして、私たちはこの法案に反対をいたします。
  60. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  62. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。日本開発銀行法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  65. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決されましたこれらの法案について議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  67. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律案関税暫定措置法の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律案及び関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の以上四案を一括して議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。竹中大蔵政務次官
  68. 竹中恒夫

    政府委員(竹中恒夫君) ただいま議題となりました関税定率法の一部を改正する法律案外三法律案について、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  最初に、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近における経済情勢の変化に対応し、関税率等について所要の調整を行なうとともに、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、関税率表を同条約の品目表に適合するよう改めるほか、関税の軽減、免除または払い戻しに関する制度を整備し、その他関税についての申告納税制度の採用に伴う所要の規定の整備を行なう等の必要がありますので、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、関税定率法別表を同条約の付属書を構成する品目表の分類に適合するよう全面改正を行なうことであります。わが国は、すでに昭和三十六年の関税率表の全面改正に際し、基本的には、この条約の品目表に準拠した関税率表を採用しておりますが、この際、本条約に正式に加入することが望ましいと判断し、今国会において条約の御審議をいただく予定にいたしております。今回の改正は、この条約に加入するための分類の整備でありますので、税率については原則として変更を加えないこととしておりますが、税表分類の変更に伴い、税率の均衡上、または税表の細分の範囲を商取引の実情に合致させる等の必要から、若干の品目については税率改正を行なうことといたしております。  第二は、最近における経済情勢の変化に対応して、関税率等について必要な調整を行なうことであります。  今回行なう税率等の調整のほとんどは、関税暫定措置法に定める暫定税率にかかるものでありますが、関税定率法別表に定める基本税率につきましても、ノリ、コール酸等五品目につき現行税率を引き下げることとしております。  なお、砂糖について、その国際価格が高騰した特定の場合に、所要の関税の軽減または免除を行なうことができる規定を設けることといたしております。  第三は、輸出振興対策の一環として、保税工場の利用促進をはかるため、保税工場におけるスポット輸出の場合の振りかえ免税制度を創設することであります。  すなわち、保税工場において製造している製品につき外国から引き合いがあった場合において、保税原料品を使用して当該製品の製造を行なったのでは納期内に輸出することが困難である場合に、税関の確認を受けて、当該保税工場で同種の課税済み原料品または国産原料品を用いて製造した同種の製品を輸出したような場合には、その使用した課税済み原料品等の数量を限度として、その輸出の許可の日から六カ月以内に輸入される同種の外国原料品の関税を免除する規定を新たに設けることとしたのでありまして、別途関税法の改正において予定している保税制度の全面的な簡素、合理化措置と相まって、保税制度の利用促進と輸出の振興に寄与するものと期待されるのであります。  第四は、今国会に提出して御審議をお願いすることといたしております関税法等の一部を改正する法律案において、新たに関税について申告納税制度を採用することといたしておりますことに伴い、関税の課税価格の規定につき、従来の原則を維持しつつ、客観的具体的な基準を示して、申告納税方式に適合したものに改めるほか、所要の規定の整備を行なうことであります。  第五は、無条件免税の対象品目として輸出品に張りつけるため輸入する品質保証ラベル等を追加することとしたほか、関税の再輸入免税及び再輸出免税制度について、所定の期間内に輸入しまたは輸出することができないやむを得ない理由がある場合には、税関長が所要の期間延長を認め得ることとする等、所要の規定の整備をはかることであります。     ―――――――――――――  次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近における経済状勢の変化に対応し、関税の暫定税率及び暫定的減免制度等につきまして所要の調整を行ないますとともに、新たにガス製造用揮発油にかかる関税の還付制度を追加するため、関税暫定措置法の一部について所要の改正を行なおうとするものであります。  第一は、最近における経済状勢の変化に対応して、関税の暫定税率について必要な調整を行なうことであります。現在暫定税率を設定しております品目のうち百十品目が本年度末にその適用期限が到来することとなっております。これらのうち、九十五品目につき適用期限の延長をはかるほか、経済状勢の変化等に対応して新たに十八品目について暫定税率を設けることといたしたのであります。これらの内訳を簡単に申し述べますと、暫定税率を新設する十八品目のうち暫定減税となるもの十六品目、関税割り当て制度を新設するもの二品目、またすでに暫定税率の設定されている品目について、その税率に変更を加えた上で適用期限を延長する品目十一品目、単純に暫定税率の適用期限を延長する品目八十四品目となっております。  第二は、今年度末に期限の到来する重要機械類の免税、肥料製造用揮発油等にかかわる関税還付等十四の関税暫定免除及び還付制度の適用期限をさらに一カ年延長することであります。なお、これらのうち、石油化学製品等製造用触媒の免税制度については、触媒製造用の触媒担体を免税の対象として追加することとしております。  第三は、都市ガス製造用揮発油について関税還付制度を新設することであります。ガス製造用原油については、すでに免税制度を実施しておりますが、最近中小ガス事業者を中心にガス原料を揮発油に依存するものが増加している実情にかんがみ、このような措置をとることとした次第でありますが、この場合、大手ガス事業者につきましては、同じく公共事業である電力業の石油関税還付制度等との均衡に配意して、一定数量の国産石炭の購入を要件とするほか、すでに原油について免税を受けている点との調整をはかるため、揮発油に対する還付率も中小ガス事業者より低くすることといたしております。  第四に、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約への加入に伴う、関税定率法別表の全面改正とあわせ、別表の全面改正を行なうほか、所要の規定の整備をはかることといたしております。     ―――――――――――――  次に、関税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近における貿易量の増大に対処し、輸入貨物の通関事務の促進等をはかるため、関税、とん税及び特別とん税について新たに申告納税制度を採用するとともに、輸出振興等に資するため、保税上屋、保税倉庫及び保税工場にかかる許可、承認、届け出で等について制度の簡素合理化をはかるほか、開港及び税関空港を追加する等の必要がありますので、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、関税について申告納税制度を採用することであります。すなわち、入国者の携帯品や外国郵便物に対する関税等特殊なものを除き、関税について現行の賦課課税制度を申告納税制度に改めることであります。  申告納税の方式は、原則として、内国税における申告納税方式に準ずるものといたしておりますが、通関の実情に即するよう加算税制度を設けないこととする等所要の調整を加えることといたしております。  さらに、申告納税の円滑な実施をはかるため、税関は、納税申告に必要な貨物の税番、税率、課税標準等についての納税者等からの照会に対し、適切な教示につとめることとし、また、全輸出入貨物について税関が検査を行なうこととしている現行法のたてまえを改め、実情に即して必要な検査を行なうこととする等の改正を行なうほか、申告納税制度の採用に伴う所要の規定の整備をはかることとしております。  第二は、保税制度につき、全面的な簡素合理化をはかることであります。まず、保税工場制度につきまして、外国貨物を保税工場に入れる際の税関の事前承認を廃止し、保税上屋の場合と同様、搬入届けだけで足りることとし、移し入れ後十五日を過ぎて蔵置する場合には承認を要するものとして、保税工場にも保税上屋の機能を営むことができるものといたしております。また、日曜日、休日その他税関の執務時間外の貨物の出し入れ及び取り扱いの許可制の廃止、保税工場における貨物の収容能力の増減、改築等の工事についての承認制を届け出で制に改めること、製造歩どまり等が安定している保税工場で税関長の指定したものについては、製造のつどの作業開始届け、終了届け、貨物搬出届けを廃止し、所要の定期報告にかえること等、抜本的な制度の簡素化を行ない、その利用の促進をはかることとしております。さらに、保税上屋及び保税倉庫につきましても、保税工場に準じ、制度の簡素合理化をはかることといたしております。  第三は、最近における外国貿易の実情に顧み、新たに、苫小牧港、直江津港、田子の浦港、蒲郡港、尾鷲港、福山港、三田尻中開港、高松港及び八代港の九港を開港に、名古屋空港及び奄美空港を税関空港に追加することといたしております。  第四は、とん税及び特別とん税につきましても、申告納税制度を採用し、所要の規定の整備をはかることといたしております。     ―――――――――――――  最後に、関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、ただいま申し上げました関税法等の一部を改正する法律案関連して、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律その他の内国消費税に関する法律について、その整備をはかるため、所要の規定の改正をしようとするものであります。  まず第一は、関税法の改正案において、新たに関税について申告納税制度を採用することに伴い、輸入する物品に対する内国消費税につきましても、申告納税制度を採用することであります。すなわち、輸入品に対する内国消費税につきましては、従来賦課課税方式によることとされておりましたが、今後関税につき申告納税方式による物品については、内国消費税についても申告納税方式によるものとし、その税額の確定、納付等の手続につきまして、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律、酒税法等の内国消費税に関する法律につきまして所要の規定の整備を行なうことといたしております。  第二は、税関における事務処理の簡素合理化をはかるため、輸入品に対する内国消費税についての申告を輸入申告にあわせて行ない、適用法令、課税物件の確定の時期についても関税の場合と同一にする等、輸入品に対する関税と内国消費税の徴収の手続等の一元化をはかることであります。  第三は、関税法及び関税定率法改正において予定しております保税工場制度の改善策に対応して、保税工場制度の利用の促進をはかる等のため、内国消費税に関する法律改正を行なうほか、関係法律について所要の規定の整備をはかることであります。  以上が関税定率法の一部改正案外三法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  69. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 引き続いて、補足説明を聴取します。谷川関税局長
  70. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 関税定率法の一部を改正する法律案等関税関係の四法案につきまして、補足説明を申し上げます。これら四法案は相互に関連するところが多いので、法案ごとに御説明をするかわりに、各法案に盛られております主要な内容を一括して御説明申し上げます。  第一は、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、わが国の関税率表を同条約の品目表の分類に適合するよう改めることであります。  わが国は、すでに昭和三十六年の関税率表の全面改正に際し、基本的にはこの条約に準拠した関税率表を採用しておりますが、この際、本条約に正式に加入することが関税及び貿易の分野における国際協力の見地から望ましいのみならず、ひいてはわが国の貿易の発展のためにも益するものと判断いたしまして、この条約に加入することを予定し、今国会に同条約及び関係議定書の承認を求めることとしておる次第であります。   〔委員長退席、理事藤田正明君着席〕  今回の関税率表の改正は、この条約に加入するための分類の整理や品目の表現の変更であり、税率については原則として変更を加えないこととしております。したがって、税表分類の所属が変わるものについては、原則として新しい分類の項に細分を設け特掲して現行税率と同率にいたしましたが、新しく組み入れられる分類における税率の均衡上あえて細分を設け現行税率のままとすることが適当でないと考えられるものや、税表の細分の範囲を商取引の実情に合致させることが望ましいと思われる若干の品目については、新分類による号の税率とし特掲しないことといたしました。したがって、これらは税率の変更を伴うこととなっております。このような品目は全部で十五品目であります。  このような趣旨で、関税定率法及び関税暫定措置法の別表につきまして、それぞれ全文改正を行なうことといたしております。   〔理事藤田正明君退席、委員長着席〕  第二は、最近における内外の経済情勢の変化に対応して、関税率等について必要な調整を行なうことであります。  その内訳を申し上げますと、まず税率関係においては、関税定率法及び関税暫定措置法を通じ、今回の改正により実際に適用される実行税率の変わってまいりますものが三十七品目、本年三月三十一日に暫定税率の適用期限が到来するものの適用期限を延長するものが八十四品目、合計百二十一品目となっております。  実行税率の変更となりますおもな品目は、銅、コーヒー豆、カカオ豆、ノリ、アンモニア製造用揮発油及び都市ガス製造用揮発油等でありまして、いずれも現行税率を引き下げるものであります。また、燐酸アンモニウムについて新たに関税割り当て制度を採用することとし、さらに、砂糖について国際価格の高騰した特定の場合に所要の関税の減免を行なうことができる規定を設けることとしております。  また、現行暫定税率をそのまま延長適用するおもな品目は、バナナ、パイナップル、バター、米、小麦、酸化アルミニウム、人造プラスチック造花等であります。  次に、暫定免税または還付制度につきましては、現行の重要機械類の免税制度等十四の制度について一年間適用期限を延長することといたしております。このほか、都市ガス製造用揮発油につきまして、関税還付制度を新設することとしております。都市ガス製造用原油については、すでに免税制度を実施しておりますが、最近、中小ガス事業者を中心にガス原料を揮発油に依存するものが増加している実情にかんがみ、このような措置をとることとした次第であります。この場合、大手ガス事業者につきましては、同じく公共事業である電力業の石油関税還付制度等との均衡に配意して、一定数量の国産石炭の購入を要件とするほか、すでに原油について免税を受けている点との調整をはかるため、揮発油に対する還付率は揮発油の負担している原油関税のうち三百二十円相当分とし、中小ガス事業者の場合の還付率、揮発油の負担している原油関税のうち五百三十円相当分よりも低く押えたのであります。  これらの関税率及び免税または還付制度の改正については、大蔵大臣の諮問に応じ、関税率審議会において慎重な検討がなされたものでありまして、今回の改正は、同審議会が昨年十二月二十四日及び本年一月十四日に行なった答申を基礎としたものでございます。  第三は、保税制度の改正であります。  今回この保税工場制度につきまして、輸出振興に資する目的で、その利用の一そうの促進をはかるため、制度の大幅な簡素合理化を行なうとともに、保税工場におけるスポット輸出の場合の振りかえ免税制度を創設することといたしております。  次に、保税上屋及び保税倉庫についてでありますが、これらは関税未納の状態において外国貨物の一時蔵置あるいは長期間の蔵置を認める制度でありますが、これらの制度につきましても保税工場制度の改正に準じた簡素合理化を行ない、業界の利便をはかることといたしております。  なお、輸入物品に対する内国消費税につきましても関税に準じた保税制度の改正を行なうこととし、関係法律整備法案において規定しております。  第四は、関税について申告納税制度を採用することであります。御承知のように、最近における貿易量の増大は著しく、さらに今後もその一そうの増大が予想されるのでありまして、このような事態に対処し、輸入貨物の通関事務の促進をはかるため、従来の賦課課税方式を改め、納税者の信頼の上に立つ申告納税制度を採用することとしたのであります。関税について申告納税制度を採用することに伴い、従来関税にあわせて賦課課税方式をとっておりました輸入品に対する内国消費税についても申告納税制度に改めることとし、このため物品税法等の内国消費税法につき所要の改正を行なうため、関係法律整備法案を提出することといたしたのであります。なお、関税と同じく税関が徴収しておりますとん税及び特別とん税につきましても、この際、申告納税制度に切りかえることといたしております。  第五は、関税と内国消費税との取り扱いの調整であります。輸入品に対する内国消費税につきましては、関税と同じく税関が取り扱うこととなっておるのでありますから、納税者の利便及び税関における事務処理の簡素合理化をはかる見地から、極力その取り扱いの統一を行なうこととし、課税物件の確定の時期、適用法令、納税の時期、延滞税の起算日、更正決定等の期間制限等につき、関税と内国消費税との取り扱いを同一にすることとしておるのであります。  第六は、開港及び税関空港の追加であります。外国貿易の円滑な発展に寄与するため、最近における外国貿易の実績、港湾造成の進捗状況、地域開発の進展状況等を勘案し、九港の開港、すなわち外国貿易船が自由に出入し得る港として指定するとともに、新たに国際航空路線が乗り入れることとなった名古屋空港及び奄美空港を税関空港、すなわち海の開港と同じく外国貿易機が自由に出入できる空港に指定することとしております。これにより、わが国貿易の発展と地域開発の一そうの進展に資するものと考える次第であります。  以上のほか、関税の無条件免税対象の追加、再輸出免税または再輸入免税規定の合理化等、所要の規定の整備をはかることといたしております。  以上、関税関係四法案につき補足説明を申し上げました。
  71. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上四案につきましては、本日はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  72. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上五案を一括して議題とし、審査を進めます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  73. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  74. 柴谷要

    柴谷要君 衆議院の大蔵委員会で資料要求がかなり出ましたね。その衆議院の大蔵委員会に出した資料を一括して参議院にも出してもらいたい、同じものを。いいですか。
  75. 川村博太郎

    政府委員川村博太郎君) 大蔵委員会委員会要求資料でよろしゅうございますか。
  76. 柴谷要

    柴谷要君 そうそう。委員の要求資料が出たでしょう、社会党から。
  77. 川村博太郎

    政府委員川村博太郎君) 個人要求と委員会要求がございますので……。
  78. 柴谷要

    柴谷要君 委員会要求の資料と、それから個人のおもなるものの参考になるやつを。
  79. 川村博太郎

    政府委員川村博太郎君) 承知いたしました。
  80. 柴谷要

    柴谷要君 それをお願いします、早いとこ。
  81. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。  五案につきましては、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三十二分散会      ―――――・―――――