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政府委員(竹中恒夫君) ただいま議題となりました
関税定率法の一部を
改正する
法律案外三
法律案について、提案の理由及びその概要を御
説明申し上げます。
最初に、
関税定率法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
最近における経済情勢の変化に対応し、関税率等について所要の調整を行なうとともに、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、関税率表を同条約の品目表に適合するよう改めるほか、関税の軽減、免除または払い戻しに関する制度を
整備し、その他関税についての申告納税制度の採用に伴う所要の規定の
整備を行なう等の必要がありますので、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の内容につきまして、その概要を御
説明申し上げます。
第一は、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約に加入するため、
関税定率法別表を同条約の付属書を構成する品目表の分類に適合するよう全面
改正を行なうことであります。わが国は、すでに昭和三十六年の関税率表の全面
改正に際し、
基本的には、この条約の品目表に準拠した関税率表を採用しておりますが、この際、本条約に正式に加入することが望ましいと判断し、今国会において条約の御審議をいただく予定にいたしております。今回の
改正は、この条約に加入するための分類の
整備でありますので、税率については原則として変更を加えないこととしておりますが、税表分類の変更に伴い、税率の均衡上、または税表の細分の範囲を商取引の
実情に合致させる等の必要から、若干の品目については税率
改正を行なうことといたしております。
第二は、最近における経済情勢の変化に対応して、関税率等について必要な調整を行なうことであります。
今回行なう税率等の調整のほとんどは、
関税暫定措置法に定める暫定税率にかかるものでありますが、
関税定率法別表に定める
基本税率につきましても、ノリ、コール酸等五品目につき現行税率を引き下げることとしております。
なお、砂糖について、その国際価格が高騰した特定の場合に、所要の関税の軽減または免除を行なうことができる規定を設けることといたしております。
第三は、輸出振興対策の一環として、保税工場の利用促進をはかるため、保税工場におけるスポット輸出の場合の振りかえ免税制度を創設することであります。
すなわち、保税工場において製造している製品につき外国から引き合いがあった場合において、保税原料品を使用して当該製品の製造を行なったのでは納期内に輸出することが困難である場合に、税関の確認を受けて、当該保税工場で同種の課税済み原料品または国産原料品を用いて製造した同種の製品を輸出したような場合には、その使用した課税済み原料品等の数量を限度として、その輸出の許可の日から六カ月以内に輸入される同種の外国原料品の関税を免除する規定を新たに設けることとしたのでありまして、別途関税法の
改正において予定している保税制度の全面的な簡素、合理化
措置と相まって、保税制度の利用促進と輸出の振興に寄与するものと期待されるのであります。
第四は、今国会に
提出して御審議をお願いすることといたしております
関税法等の一部を
改正する
法律案において、新たに関税について申告納税制度を採用することといたしておりますことに伴い、関税の課税価格の規定につき、従来の原則を維持しつつ、客観的具体的な基準を示して、申告納税方式に適合したものに改めるほか、所要の規定の
整備を行なうことであります。
第五は、無条件免税の対象品目として輸出品に張りつけるため輸入する品質保証ラベル等を追加することとしたほか、関税の再輸入免税及び再輸出免税制度について、所定の期間内に輸入しまたは輸出することができないやむを得ない理由がある場合には、税関長が所要の期間延長を認め得ることとする等、所要の規定の
整備をはかることであります。
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次に、
関税暫定措置法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
最近における経済状勢の変化に対応し、関税の暫定税率及び暫定的減免制度等につきまして所要の調整を行ないますとともに、新たにガス製造用揮発油にかかる関税の還付制度を追加するため、
関税暫定措置法の一部について所要の
改正を行なおうとするものであります。
第一は、最近における経済状勢の変化に対応して、関税の暫定税率について必要な調整を行なうことであります。現在暫定税率を設定しております品目のうち百十品目が本年度末にその適用期限が到来することとなっております。これらのうち、九十五品目につき適用期限の延長をはかるほか、経済状勢の変化等に対応して新たに十八品目について暫定税率を設けることといたしたのであります。これらの内訳を簡単に申し述べますと、暫定税率を新設する十八品目のうち暫定減税となるもの十六品目、関税割り当て制度を新設するもの二品目、またすでに暫定税率の設定されている品目について、その税率に変更を加えた上で適用期限を延長する品目十一品目、単純に暫定税率の適用期限を延長する品目八十四品目となっております。
第二は、今年度末に期限の到来する重要機械類の免税、肥料製造用揮発油等にかかわる関税還付等十四の関税暫定免除及び還付制度の適用期限をさらに一カ年延長することであります。なお、これらのうち、石油化学製品等製造用触媒の免税制度については、触媒製造用の触媒担体を免税の対象として追加することとしております。
第三は、都市ガス製造用揮発油について関税還付制度を新設することであります。ガス製造用原油については、すでに免税制度を
実施しておりますが、最近中小ガス事業者を中心にガス原料を揮発油に依存するものが増加している
実情にかんがみ、このような
措置をとることとした次第でありますが、この場合、大手ガス事業者につきましては、同じく公共事業である電力業の石油関税還付制度等との均衡に配意して、一定数量の国産石炭の購入を要件とするほか、すでに原油について免税を受けている点との調整をはかるため、揮発油に対する還付率も中小ガス事業者より低くすることといたしております。
第四に、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約への加入に伴う、
関税定率法別表の全面
改正とあわせ、別表の全面
改正を行なうほか、所要の規定の
整備をはかることといたしております。
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次に、
関税法等の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
最近における貿易量の増大に対処し、輸入貨物の通関事務の促進等をはかるため、関税、とん税及び特別とん税について新たに申告納税制度を採用するとともに、輸出振興等に資するため、保税上屋、保税倉庫及び保税工場にかかる許可、承認、届け出で等について制度の簡素合理化をはかるほか、開港及び税関空港を追加する等の必要がありますので、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の内容につきまして、その概要を御
説明申し上げます。
第一は、関税について申告納税制度を採用することであります。すなわち、入国者の携帯品や外国郵便物に対する関税等特殊なものを除き、関税について現行の賦課課税制度を申告納税制度に改めることであります。
申告納税の方式は、原則として、内国税における申告納税方式に準ずるものといたしておりますが、通関の
実情に即するよう加算税制度を設けないこととする等所要の調整を加えることといたしております。
さらに、申告納税の円滑な
実施をはかるため、税関は、納税申告に必要な貨物の税番、税率、課税標準等についての納税者等からの照会に対し、適切な教示につとめることとし、また、全輸出入貨物について税関が検査を行なうこととしている現行法のたてまえを改め、
実情に即して必要な検査を行なうこととする等の
改正を行なうほか、申告納税制度の採用に伴う所要の規定の
整備をはかることとしております。
第二は、保税制度につき、全面的な簡素合理化をはかることであります。まず、保税工場制度につきまして、外国貨物を保税工場に入れる際の税関の事前承認を廃止し、保税上屋の場合と同様、搬入届けだけで足りることとし、移し入れ後十五日を過ぎて蔵置する場合には承認を要するものとして、保税工場にも保税上屋の機能を営むことができるものといたしております。また、日曜日、休日その他税関の執務時間外の貨物の出し入れ及び取り扱いの許可制の廃止、保税工場における貨物の収容能力の増減、改築等の工事についての承認制を届け出で制に改めること、製造歩どまり等が安定している保税工場で税関長の指定したものについては、製造のつどの作業開始届け、終了届け、貨物搬出届けを廃止し、所要の定期報告にかえること等、抜本的な制度の簡素化を行ない、その利用の促進をはかることとしております。さらに、保税上屋及び保税倉庫につきましても、保税工場に準じ、制度の簡素合理化をはかることといたしております。
第三は、最近における外国貿易の
実情に顧み、新たに、苫小牧港、直江津港、田子の浦港、蒲郡港、尾鷲港、福山港、三田尻中開港、高松港及び八代港の九港を開港に、名古屋空港及び奄美空港を税関空港に追加することといたしております。
第四は、とん税及び特別とん税につきましても、申告納税制度を採用し、所要の規定の
整備をはかることといたしております。
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最後に、
関税法等の一部を
改正する
法律の施行に伴う関
係法律の
整備等に関する
法律案について申し上げます。
この
法律案は、ただいま申し上げました
関税法等の一部を
改正する
法律案に
関連して、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する
法律その他の内国消費税に関する
法律について、その
整備をはかるため、所要の規定の
改正をしようとするものであります。
まず第一は、関税法の
改正案において、新たに関税について申告納税制度を採用することに伴い、輸入する物品に対する内国消費税につきましても、申告納税制度を採用することであります。すなわち、輸入品に対する内国消費税につきましては、従来賦課課税方式によることとされておりましたが、今後関税につき申告納税方式による物品については、内国消費税についても申告納税方式によるものとし、その税額の確定、納付等の手続につきまして、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する
法律、酒税法等の内国消費税に関する
法律につきまして所要の規定の
整備を行なうことといたしております。
第二は、税関における事務処理の簡素合理化をはかるため、輸入品に対する内国消費税についての申告を輸入申告にあわせて行ない、適用法令、課税物件の確定の時期についても関税の場合と同一にする等、輸入品に対する関税と内国消費税の徴収の手続等の一元化をはかることであります。
第三は、関税法及び
関税定率法の
改正において予定しております保税工場制度の改善策に対応して、保税工場制度の利用の促進をはかる等のため、内国消費税に関する
法律の
改正を行なうほか、関
係法律について所要の規定の
整備をはかることであります。
以上が
関税定率法の一部
改正案外三
法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。