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政府委員(
岩尾一君) ただいま
議題となりました
都市開発資金融通特別会計法案につきまして、その
提案の
理由を補足して御
説明申し上げます。
従来、東京、大阪を中心とする大都市におきましては、首都圏及び近畿圏の既成市街地として、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する
法律及び近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する
法律により、作業場及び教室の新設及び増設が制限されているところでありますが、さらに積極的に都市環境の計画的な
整備改善をはかるため、これらの大都市における重要な市街地内の工場等の移転あと地を地方公共団体が買い取り、都市開発の拠点として活用しようとする場合に、国はその買い取りに資することを目的として
資金を貸し付けることとしております。
また、都市計画として決定された主要な道路、公園等の公共施設の用地を、将来における都市計画事業の円滑な実施に資するため、あらかじめ事業実施前の適当な時期において地方公共団体が買い取る場合にも貸し付けることとしております。
これらのいずれの場合におきましても、
政府はその土地を買い取る地方公共団体に対し、長期低利の
資金を貸し付けることにより、大都市における都市問題の
解決に資することといたした次第であります。すなわち、工場等あと地につきましては、年利五分五厘、償還期間十年、主要な公共施設用地につきましては、年利六分五厘、償還期間十年を、それぞれ貸し付け条件としております。
しこうして、その貸し付けの
財源の調達につきましては、
一般会計から
繰り入れを行なうとともに借り入れ金によることとしております。また、貸し付け金の償還金は、借り入れ金の返済に充てるほか、右の
財源に加えて貸し付けに充て、事業は継続的に運営されることとなります。
かかる融資事業の経理につきましては、特定の歳入及び特定の
歳出として特別の相互関係にある収支の計算を明確にし、合理的な判断に基づいた効率的な事業の遂行を期するため、
一般会計と分かって特別
会計を設けることが必要であると考え、ここに
都市開発資金融通特別会計法案を
提案した次第であります。
なお、
昭和四十一
年度においては、この特別
会計は、
一般会計から五億円の
繰り入れを受けるとともに、
資金運用部から年利六分五厘、償還期間十年の条件で十億円を借り入れ、合計十五億円を
財源として貸し付けを行なうことを予定いたしております。
その他この
会計の予算及び決算の作成及び
提出、決算上の剰余金の処分、余裕金の預託、一時借り入れ金の借り入れ等、この
会計の経理に関し必要な事項を定めることとしております。
以上、この
法律案の
提案の
理由を補足して御
説明申し上げました。何とぞ御
審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
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続いて、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由を補足して御
説明申し上げます。
昭和四十一
年度の地方財政の見通しは、まず歳入面におきましては、最近の
経済情勢を反映して、国税三税の自然増収があまり期待できないために、地方
交付税の増も例年に比して少ない上に、
所得税及び
法人税の画期的な大幅減税が行なわれることによりまして、地方
交付税の額は前
年度に比べてかえって
減少することになり、また、地方税につきましては、国税と同様、最近の
経済情勢を反映して大幅な自然増収を期待し得ない
状況にあり、これに加えて、住民税の減税等によって自然増収の幅はさらに圧縮される見通しであります。これに対し、
歳出面におきましては、四十
年度に実施されました給与改定の平
年度化等によって給与関係費が増加するほか、社会資本の
整備をはかるため公共投資を拡大する国の施策に対応して、公共事業の地方
負担が増加する等、
歳出需要は相当増加するものと見込まれております。このような諸要因によりまして、四十一
年度の地方財政は近来その例を見ないほどの困難な
状況に立ち至ると考えられるのであります。
このような事情を考慮いたしまして、
政府におきましても特段の努力を払い、四十一
年度の地方財政対策として、
総額二千二百億円を
措置することといたしたのであります。その内訳は、
交付税率の大幅
引き上げ及び臨時地方特例交付金の交付により、合計一千億円の
財源措置を講ずること、及び、地方債計画におきまして、
政府資金債五百億円、縁故債七百億円、合計千二百億円の特別事業債を見込むことの二点であります。このうち本
法律案に直接関係がありますのは、
交付税率の
引き上げ及び臨時地方特例交付金の交付であります。
まず第一は、
交付税率の
引き上げでありますが、これについては別途地方
交付税法の一部
改正を行ない、地方
交付税率を
現行の二九・五%から二・五%と大幅に
引き上げて三二%に改めることとしているのであります。四十一
年度の地方財政は、さきに申し述べましたようにきわめて困難な
財政事情に立ち至るものと予想されますが、その主たる原因は、最近における
経済の臨時異常な停滞にあると考えられます。ただ、地方
交付税の
減少は、四十一
年度の
所得税及び
法人税の減税に伴うもので、恒久的要素もあり、また地方財政自体にさしたる自然増収も期待できないという例年と特に異なる事情もありますので、これらの事情を総合勘案の上、この際
交付税率を二・五%
引き上げ、地方の
一般財源の強化をはかることとしたのであります。この
交付税率の
引き上げ措置によりまして、地方
交付税交付金は五百八十六億円増額されるわけであります。
第二は、臨時地方特例交付金の交付でありますが、これについては別途今国会に
昭和四十一
年度における地方財政の
特別措置に関する
法律案を
提案し、この
法律に基づいて、四十一
年度限りの
措置として、臨時地方特例交付金四百十四億円を交付することとしているのであります。
この臨時地方特例交付金は、たばこの売り上げ本数に案分して不交付団体を含め各地方公共団体に交付される第一種特例交付金二百四十億円と、普通
交付税の配分方式に準じて交付団体に交付される第二種特例交付金百七十四億円との二つに分かれております。
第一種特例交付金二百四十億円は、今回の地方税制
改正にあたり、住民税
負担の現況にかんがみ、各種
控除額を
引き上げて
負担の
軽減をはかることといたしまして、三百億円の減税を行なうこととしたのでありますが、これに関連して、税制調査会の答申においては、
所得税の一部を移譲して、住民税
所得割りを強化することにより、二百三十二億円の住民税の増収をはかることとしていたのに対し、このような税源移譲方式は、住民税だけを見れば増税となる納税者が少なくないこと等の点より、これを採用せず、結局、四十一
年度においては税制調査会の答申の趣旨を尊重しながら、不交付団体をも含めて配分する方式として、製造たばこの本数割りによって配分することとしているのであります。
さらに、第二種特例交付金百七十四億円は、四十一
年度の地方財政のきわめて困難な事情を考慮して交付することとしたものでありまして、その交付の趣旨から見た最も合理的な配分方式として、普通
交付税の配分方式に準じ、交付団体に交付することとしているのであります。
以上の
措置に伴い、
交付税及び譲与税配付金特別
会計につきましても、
所要の
改正を行なうこととしているわけであります。すなわち、第一に、
一般会計から
交付税及び譲与税配付金特別
会計に
繰り入れる
金額で、
所得税、
法人税及び酒税の収入見込み額を基礎として算定するものの算定率を、百分の二十九・五から百分の三十二に
引き上げ、第二に、
昭和四十一
年度の臨時地方特例交付金の交付に関する
政府の経理を同特別
会計において行なうこととするとともに、臨時地方特例交付金に相当する
金額は、予算で定めるところにより、
一般会計から同特別
会計に
繰り入れることができることとしているのであります。
以上、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を
改正する
法律案について
提案の
理由を補足して御
説明申し上げた次第であります。何とぞ御
審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。