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1966-03-22 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十二日(火曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 植木 光教君                 藤田 正明君                 中尾 辰義君     委 員                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 栗原 祐幸君                 木暮武太夫君                 西田 信一君                 日高 広為君                 柴谷  要君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君                 小林  章君    政府委員        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵大臣官房財        務調査官     川村博太郎君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省畜産局長  檜垣徳太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    参考人        日本開発銀行総        裁        平田敬一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○所得税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○法人税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○物品税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○相続税法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査) ○災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に  関する法律の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○都市開発資金融通特別会計法案内閣送付、予  備審査) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審査) ○国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査) ○農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  それでは、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。竹中大蔵政務次官
  3. 竹中恒夫

    政府委員竹中恒夫君) ただいま議題となりました外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本法律案は、アジア開発銀行への加盟に伴う出資財源その他一般会計歳出財源に充てるため、外国為替資金から一般会計繰り入れることができることとし、あわせて先般発効した財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国大韓民国との間の協定第二議定書に基づく対韓国清算勘定残高処理に伴う外国為替資金減額整理に関しまして、所要規定を設けることとするものであります。  すなわち、第一は、アジア開発銀行への加盟に伴う出資財源に充てるための外国為替資金一般会計への繰り入れであります。昨年十二月四日マニラにおいて調印されましたアジア開発銀行を設立する協定に基づいてアジア開発銀行が設立されることになりましたが、同銀行の授権資本総額は十億ドル、日本出資額は二億ドルであり、うち払い込み資本額は一億ドル、その二分の一が現金による出資残りの二分の一が国債による出資となっております。現金による出資五千万ドル、すなわち邦貨に換算して百八十億円は、昭和四十一年度から五ヵ年間に毎年度三十六億円ずつ分割して行なわれることになっております。この出資財源に充てるため、昭和四十一年度から昭和四十五年度までの五ヵ年間において外国為替資金から総額百八十億円を限り、一般会計繰り入れることができることといたしております。  第二に、昭和四十一年度における一般会計財源事情を勘案いたしまして、約百七億円を限り、外国為替資金から一般会計繰り入れることができることといたしております。この金額は、いわゆるインベントリーの残額から、アジア開発銀行出資財源に充てられる分及び次に述べます対韓国清算勘定残高に相当する分を差し引いたものでございます。  最後に、先般発効いたしました財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国大韓民国との間の協定第二議定書において、韓国要請があるときは、清算勘定残高にかかる債権賦払い金について韓国からの支払い並びにわが国からの生産物及び役務供与が同時に行なわれたものとみなすという処理を定めているのでございますが、これは当該債権について現実支払いがないにもかかわらず、その支払いがあったものとみなされるわけでございまして、これにより外国為替資金に生ずる損失を同資金の額から減額して整理することといたしております。  以上がこの法律案提出いたしました理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。岩尾主計局次長
  5. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して説明申し上げます。  この法律案は、外国為替資金を構成する原質のうち一般会計からの繰り入れにかかるいわゆるインベントリーに相当する部分につきまして、その一つは、アジア開発銀行への出資財源に充てるため、他の一つは、昭和四十一年度一般会計歳出財源に充てるために資金から一般会計繰り入れることができる措置を講ずるとともに、あわせて先般発効しました財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国大韓民国との間の協定第二議定書に基づく日韓オープン債権のみなし支払いに伴う会計上の処理といたしまして、資金減額整理方法を定めようとするものであります。  現在、外国為替資金持別会計におきます外国為替資金は、昭和二十六年度において旧外国為替特別会計から引き継いだ資産千百二十四億円と特別会計法施行一般会計から繰り入れた千百五十億円とからなるものであります。一般会計からのインベントリーは旧外国為替特別会計当時も百億円の繰り入れを行なっていますので、これを含めたインベントリーは千二百五十億円となり、一方、インベントリー以外の引き継ぎ資産は千二十四億円ということになりまして、両者を合わせた外国為替資金総額は二千二百七十四億円となるものであります。その後、昭和三十三年七月対インドネシアオープン債権の放棄に伴う損失整理のため六百三十七億円を減資し、さらに昭和四十年度においてIMF世銀への増資払い込み財源に充てるため百六十一億円を一般会計繰り入れることとしておりますので、これらの合計額七百九十八億円を控除いたしますと、資金残高は千四百七十六億円となります。これらの減少額外国為替資金のうちのインベントリー相当部分から控除して計算いたしますと、インベントリー残高は四百五十二億円ということになります。  次に、この法律案によるおのおの改正事項について説明申し上げます。  第一のアジア開発銀行への出資財源に充てるための一般会計への繰り入れ百八十億円でございますが、アジア開発銀行は、昨年十二月四日フィリピンのマニラ市で調印されたアジア開発銀行を設立する協定に基づき、域内十九カ国、域外十二カ国、計三十一カ国によって昭和四十一年度内に設立されることとなっています。  このアジア開発銀行への加盟については、前述協定とともに、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案提出して御審議を願っているところであります。この協定に基づいてわが国としましては、アジア開発銀行に対して二億ドル相当額出資を行なうこととなっておりますが、当初一億ドル相当額について今後五年間にそのうち五千万ドル相当額本邦通貨で、残りの五千万ドル相当額国債で毎年五分の一ずつ払い込むことになります。残余の一億ドルについては、今後アジア開発銀行の業務の運用上特に協定に定められた場合に、その請求に基づき払い込みを行なうことになっております。この現金出資を要する五千万ドル、邦貨で百八十億円の財源を確保し、今後五ヵ年度間における出資を円滑ならしめることが適当であると考えられますので、一般会計財政事情及び外為会計収支採算状況を考慮いたしまして、IMF世銀増資の場合と同様に、その財源外国為替資金からの繰り入れに依存することといたしたのであります。  第二の昭和四十一年度一般会計歳出財源に充てるための一般会計への繰り入れ百六億九千三百万円について申し上げます。  昭和四十一年度においては、租税その他の経常収入のほか、公債の発行により所要財源を調達することとしているのでありますが、このような財政事情のもとにおいては、過去において一般財源により蓄積されたインベントリー資金は、外為会計の運営に支障を来たさない限り、これを一般財源として活用し、もって国全体の財政資金効率的使用をはかることが適当であると考えられますので、昭和四十一年度において、ただいまの百六億九千二百万円の金額外国為替資金から一般会計の歳入に繰り入れることができることとしたものであります。  この百六億九千二百万円の繰り入れ額は、前述インベントリー残高四百五十二億円からアジア開発銀行出資財源充当額百八十億円及び次に述べます日韓オープン債権金額百六十五億円を差し引いた残余の全部に相当するものでありまして、これによりインベントリー日韓オープン債権相当額を別除すれば、すべて取りくずされたものといえるわけであります。  最後に、以上の措置とあわせて、先般、発効した財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国大韓民国との間の協定第二議定書に基づく日韓オープン債権処理に伴う損失整理について所要規定を設けることといたしております。  この第二議定書においては、これまで懸案となっていた日韓オープン勘定昭和三十六年一月末日残高四千五百七十二万九千三百九十八ドル八セントについて、今後韓国が十年間に分割して返済することを定めているのでありますが、韓国外貨事情を考慮して、同国の要請があるときは、その年におけるわが国からの生産物及び役務無償供与並びに韓国からのオープン債権賦払い金支払いがともに行なわれたものとみなし、これによりわが国からの無償供与総額及びその年の無償供与限度額がそれだけ減額されたものとする特別の処理を講じているのであります。  これは、日本韓国との間における協定上の関係といたしましては、韓国から現実支払いがないにもかかわらず、その支払いがあったものとみなし、一方、わが国からの無償供与現実供与がないにもかかわらずそれだけ行なわれたものとみなすこととするものであります。したがって、この要請があった場合、外為会計としては、その保有する外貨資産現実の弁済を受けることなく、消滅せしめられることとなりますので、外国為替資金にそれだけ損失が発生することになるわけであります。  この損失整理方法として、これを外国為替資金金額から減額して整理することとするものであります。  なお、昨年十二月十八日、協定発効後、韓国側からすでに第一回及び第二回の賦払い金おのおの四百五十七万三千ドルについてこのみなし支払いに関する要請が行なわれています。  以上、提案理由補足説明をいたしました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 本案につきましては、本日はこの程度といたしたいと思います。     —————————————
  7. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案都市開発資金融通特別会計法案交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案及び国民金融公庫法の一部を改正する法律案の以上九案を一括して議題とし、審査を進めます。  九案につきましては、提案理由説明はすでに聴取いたしておりますので、補足説明を聴取いたします。川村財務調査官
  8. 川村博太郎

    政府委員川村博太郎君) 所得税法の一部を改正する法律案外五つの税法改正案につきまして、提案理由補足説明をいたします。  まず第一に、所得税法の一部を改正する法律案でございます。  最近における所得税負担状況に顧みまして、中小所得者重点を置いて所得税負担軽減するために、所得税法改正を行なうことといたしておりますが、その改正は三つの柱がございます。  第一が、課税最低限引き上げでございます。所得水準上昇に応じます生活水準上昇、これに見合いまして、本年度におきましては、課税最低限を六十三万円に引き上げることを目的といたしまして、基礎控除配偶者控除扶養控除給与所得控除引き上げを行なうことといたしております。なお、企業減税一環といたしまして、事業所得者専従者控除を大幅に引き上げることといたしております。この諸控除引き上げによりまして、課税最低限現行税法では五十六万四千二百四十五円でございますが、改正の結果、初年度六十一万三千四百二十一円、平年度六十三万一千六百三十四円、約七万円弱の引き上げが行なわれることになります。  それから、納税人員でございますが、四十年の見込みで二千百万人でございます。これが四十一年改正前で二千二百九万でございますが、改正後二千六十四万人に相なります。したがいまして、この課税最低限引き上げによりまして、納税人員は百四十五万人の減少と相なるわけでございます。  それから、第二が、税率緩和合理化でございます。御承知のように、昭和三十二年以来税率の大幅な改正はほとんど行なっておりません。そこで、その後の所得水準上昇、あるいは物価の上昇等を考えますと、わが国現行税率はかなり中堅所得層において累進が急であるという見地から、この際、税率につきまして大幅な緩和を行なうことといたしたわけであります。で、中堅所得者層以下に重点を置きまするために、課税所得三百万以下の金額につきまして税率軽減を行なっております。  なお、昭和三十七年に最低税率を一〇%から八%に下げておりますが、これは当時行なわれました所得税から府県民税へ税源を譲与するということのために暫定的に二%引き下げたということでございますので、当時から、その後課税最低限引き上げる際に一〇%まで引き上げるということが予想されておったわけであります。今年度課税最低限が大幅に引き上げられましたので、〇・五%だけ最低税率引き上げまして、十万円以下の金額については八・五%の税率ということにいたしております。  第三の柱が所得税法整備でございます。最近保険契約高が累年増加いたしておりますので、生命保険料控除につきまして、現在最高三万五千円までの控除が認められておるわけでございますが、これを三万七千五百円までの控除限度引き上げたわけであります。それから、寄付金控除につきまして、教育、科学の振興、あるいは文化の向上というような見地から、現行では特定寄付金につき所得の三%をこえる部分所得の二〇%を限度としてその三割を税額控除するという制度に相なっておりますが、いまの控除限度所得の二〇%を三〇%まで引き上げるということにいたしております。  なお、整備合理化といたしましては、通勤手当非課税対象とし、あるいは変動所得範囲を広げ、あるいは勤労学生控除障害者控除対象範囲を拡大するという改正を行なっております。     —————————————  次に、法人税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  今年度は、経済の現状、それから今後の日本経済発展ということに顧みまして、大幅な企業減税を行なっておりますが、その一環といたしまして、税法改正では法人税法租税特別措置法、この二つが改正されております。法人税法につきましては、税率引き下げと、その他税法整備が行なわれております。  第一の税率引き下げは、まず法人税率、普通の法人税率引き下げであります。普通法人につきましては、現在年所得三百万以下の所得金額に対しましては三一%、三百万超の所得金額に対しましては三七%、それから協同組合公益法人等につきまして二六%という税率に相なっておりますが、これを、普通法人につきましては資本金一億円以下のものと超のものに分けまして、資本金が一億円以下のものにつきましては、先ほどの年所得区分に応じまして、二八%、三五%とそれぞれ引き下げることといたしております。それから、資本金一億円超のものにつきましては、所得金額区分を廃しまして三五%一律に課税することにいたしたわけであります。協同組合公益法人等につきましては、二六%から二三%に引き下げることにいたしております。なお、これに関連いたしまして、清算所得に対する法人税率を、現行普通法人四三%を四一%に、協同組合等三八%を三五%に引き下げることといたしております。  それから、同族会社留保所得課税税率でございますが、現在この留保所得課税につきましては一定の控除額が定められております。この控除額は、現行では所得金額の二五%または百万円のいずれか多い金額と相なっておりますが、この率及び額をそれぞれ三〇%、百五十万円ということに引き上げたわけであります。  その他の整備合理化といたしましては、最近の法人決算状況に顧みまして、いわゆる粉飾決算の場合における税額還付につきましては、当該事業年度粉飾事業年度までさかのぼることをいたしませんで、これを甲表に表現いたしました年度で欠損の繰り越し、繰り戻しの場合に準じて取り扱うという規定整備を行なっております。     —————————————  次に物品税法改正でございます。  物品税法につきましては、昭和三十七年に大幅に体系的な改正を行なったところでございますが、最近における負担状況及び最近の経済不況ということに顧みまして、健全な消費需要を喚起するということのために、物品税負担軽減合理化をはかることといたしております。なお、これに際しまして、納税手続簡素化等を行なうという整備合理化をもあわせて行なっております。  まず、物品税改正につきましては、第一に課税廃止でございます。課税物品消費の性質から課税を適当としないと考えられるもの、それから製造者企業規模が零細であって転嫁がかなり困難と認められる物品、これにつきましては課税廃止することにいたしまして、約十一品目にわたりまして課税廃止を行なっております。この十一品目は、室内装飾用品、茶道・華道・香道用具、飾りもの、玩具、双眼鏡、ネオン管等でございます。  第二が税率引き下げでございます。現在の物品税法は、製造課税につきましては二〇%を原則とし、小売り課税につきましては一〇%を原則とする、その上にそれぞれ加重税率軽減税率を設けるというのが基本的な考え方でございますが、国民生活水準向上に密接に関連する課税物品で、その消費拡大が量産によるコストダウンを通じまして輸出振興に寄与すると考えられるような物品につきましては、いまの二〇%の基準税率を一五%まで引き下げる。で、これにならいまして、各段階ごと税率の再検討を行なうという考え方で、約十七品目につきまして税率引き下げを行なっております。  なお、この税率引き下げに関連いたしまして、法律的な改正事項ではございませんが、家具とかあるいは喫煙具のように、零細な納税義務者の製造する物品で、税率引き下げよりも免税点引き上げのほうがより要望も強い、あるいは税の体系からも好ましいというような物品につきましては、免税点引き上げを行なうことといたしまして、そのための政令改正を準備しております。  それから、四十一年中に期限が到来いたしまする特別措置物品税法の附則で定まっておるわけでございますが、パッケージ型のルームクーラーアンサンブル式レコード演奏装置トランジスター式テレビ受像機、こういうものを含めまして、七品目に対しまして暫定軽減あるいは非課税措置を今後二年間継続するということにいたしております。  なお、最後に、課税合理化でございますが、現在清涼飲料につきましては一キロリットルにつき五千円という従量税方式に相なっているわけでございますが、これを五%の従価税方式に改める。  それから、現在課税が行なわれてはおりません新規物品温蔵庫船内外機関、これに対して新たに課税をするということにいたしております。ただし、温蔵庫等新規課税につきましては、負担の急激な増加を防ぎますために、実施を二年間猶予することといたしております。  その他未納税移出手続を簡素化する等の制度整備合理化を行なうことにいたしております。     —————————————  それから、次が相続税法改正でございます。  相続税法につきましては、昭和三十三年に大幅な改正をいたしまして以来、その後課税最低限につきまして若干の手直しをいたしましたほかは、ほとんど改正が行なわれておりません。ところが、その後所得水準上昇いたしておりますし、国民財産保有状況もだいぶ変わってきております。ことに、最近におきまする土地価格の騰貴、これがきわめて著しいために、現行相続税負担はきわめて重いものと相なっております。そこで、国民の適正な財産形成をはかるという見地から、相続税法につきまして大幅な改正及び整備合理化をはかった次第でございます。  第一は、課税最低限引き上げでございます。現在は相続人五人の場合の通常の相続の事例でございますと、五百万円までの遺産価額については課税が行なわれないということに相なっております。で、この五百万の課税最低限は、資産状況を翻訳して申し上げますと、東京の二流住宅地で、宅地四十坪、家屋二十坪程度の方が大体この課税最低限に見合うというような形でございます。したがいまして、今後の国民の適正な財産形成を考える場合には、これを大幅に引き上げるということが必要と考えられるわけであります。そこで、この五百万円を千万円まで引き上げるということを目途といたしまして、基礎控除等引き上げたわけであります。  その内容といたしましては、遺産にかかる基礎控除につきまして、現在被相続人について二百五十万円を四百万まで引き上げる。法定相続人の一人当たり五十万円の控除を八十万円まで引き上げることといたしております。  なお、後に申し上げますが、夫婦間贈与につきまして、婚姻期間が二十五年をこえる夫婦につきましては、居住用不動産贈与の場合に、現在の贈与税基礎控除四十万円のほかに、新たに百六十万円つけ足して控除をするということにいたしておりますが、この贈与税の四十万プラス百六十万、合わせて二百万の控除婚姻期間中に受けなかった者につきましては、相続の際に配偶者に二百万円の特別の控除を認めるということにいたしたわけであります。  それから、相続税の税率でございますが、先ほど申し上げましたように、三十三年以来税率は全然手を触れておりませんので、その後の財産価額の上昇に見合いまして、現在の累進度のきわめて急激なところを修正することといたしまして、全面的な改正を行なっております。  で、現在の税率で申し上げますと、実行税率が二四%でございますが、これが現行法のままで四十一年は三二・九%に上がることになります。今度の改正でこの三二・九%が三〇・六%まで軽減されるということになるわけであります。  なお、先ほど申し忘れましたが、課税最低限引き上げによりまして、相当程度課税人員が減少するということが見込まれます。  それからなお、贈与税につきましては、先ほど、婚姻期間二十五年以上の者につきまして居住用不動産贈与について、特別控除百六十万円が設けられたということを申し上げましたが、贈与税につきましては、一昨年、それまで二十万円の基礎控除でありましたものを四十万円に、一挙に倍額に引き上げておりますが、贈与税につきましては、課税最低限引き上げは行なっておりません。ただ、相続税の税率緩和に見合いまして、贈与税税率につきましては全面的に見直しが行なわれております。     —————————————  それから、次が租税特別措置法でございます。  先ほど申し上げました法人税と並びまして、租税特別措置法改正されることになっておりますが、これは柱が五本ございます。第一が企業の体質改善の促進の措置、第二が中小企業の体質強化の措置、第三が輸出振興措置、第四が農業の構造改善のための措置、第五がその他の税制の整備ということに相なっております。  で、企業の体質改善のための措置といたしましては、自己資本比率向上の場合に一〇%以下の税額控除を行なうということ、それから、一定産業の企業がスクラップを行ないました場合には、そのスクラップ化しました機械設備の取得価額の一〇%に相当する税額控除を行なうということ、それから、合併の場合に、合併による資本の増加割合の二割の率で税額控除を行なう、この三本のことが考えられております。  それから、中小企業の体質強化といたしましては、貸し倒れ引き当て金の繰り入れ限度額資本金一億円以下の法人については二割引き上げる、それから、中小商社の海外市場開拓準備金の繰り入れ率を一%引き上げる、あるいは中小企業構造改善準備金制度を設けるというような措置が講ぜられております。  なお、輸出の振興措置といたしましては、輸出割り増し償却制度につきまして、輸出比率の現行は八割まで割り増しができることになっておりますが、これを一〇〇%までできることに改めたのであります。  その他農業構造の改善につきましては、農地管理事業団のあっせんいたしました農地の譲渡につきましては、五十万円の特別控除をその譲渡所得課税について行ない、あるいは農地等の生前贈与の場合に受贈者が贈与者よりも先に死亡した場合には贈与税を免除するというようないろいろな措置が講ぜられております。  なお、所得租税特別措置整備といたしましては、地震保険につきましては、原子力保険の場合に準じまして異常危険準備金制度を設ける。それから、商品取引につきまして、商品取引責任準備金制度を設定し、あるいは証券業に対しまして売買損失準備金制度を設定すること等の所要整備を行なうこととしております。  なお、特別措置のこういう新規拡充に応じまして、従来設けておりました新規重要物産制度廃止するということにいたしております。  最後に、災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律改正案でございますが、現在天災地変等によりまして資産損失を受けた者につきましては、所得の五十万円までのものにつきましては全免、八十万円までにつきましては所得税の二分の一軽減、百二十万円につきましては四分の一軽減ということに相なっておりますが、これをそれぞれ百万、百五十万、二百万円に引き上げた次第でございます。  以上、所得税法外五つの法律改正案につきまして補足説明をいたしたわけでございますが。何とぞすみやかに御審議をいただきたいと思います。
  9. 徳永正利

  10. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) ただいま議題となりました都市開発資金融通特別会計法案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  従来、東京、大阪を中心とする大都市におきましては、首都圏及び近畿圏の既成市街地として、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律及び近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律により、作業場及び教室の新設及び増設が制限されているところでありますが、さらに積極的に都市環境の計画的な整備改善をはかるため、これらの大都市における重要な市街地内の工場等の移転あと地を地方公共団体が買い取り、都市開発の拠点として活用しようとする場合に、国はその買い取りに資することを目的として資金を貸し付けることとしております。  また、都市計画として決定された主要な道路、公園等の公共施設の用地を、将来における都市計画事業の円滑な実施に資するため、あらかじめ事業実施前の適当な時期において地方公共団体が買い取る場合にも貸し付けることとしております。  これらのいずれの場合におきましても、政府はその土地を買い取る地方公共団体に対し、長期低利の資金を貸し付けることにより、大都市における都市問題の解決に資することといたした次第であります。すなわち、工場等あと地につきましては、年利五分五厘、償還期間十年、主要な公共施設用地につきましては、年利六分五厘、償還期間十年を、それぞれ貸し付け条件としております。  しこうして、その貸し付けの財源の調達につきましては、一般会計から繰り入れを行なうとともに借り入れ金によることとしております。また、貸し付け金の償還金は、借り入れ金の返済に充てるほか、右の財源に加えて貸し付けに充て、事業は継続的に運営されることとなります。  かかる融資事業の経理につきましては、特定の歳入及び特定の歳出として特別の相互関係にある収支の計算を明確にし、合理的な判断に基づいた効率的な事業の遂行を期するため、一般会計と分かって特別会計を設けることが必要であると考え、ここに都市開発資金融通特別会計法案提案した次第であります。  なお、昭和四十一年度においては、この特別会計は、一般会計から五億円の繰り入れを受けるとともに、資金運用部から年利六分五厘、償還期間十年の条件で十億円を借り入れ、合計十五億円を財源として貸し付けを行なうことを予定いたしております。  その他この会計の予算及び決算の作成及び提出、決算上の剰余金の処分、余裕金の預託、一時借り入れ金の借り入れ等、この会計の経理に関し必要な事項を定めることとしております。  以上、この法律案提案理由を補足して御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。     —————————————  続いて、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  昭和四十一年度の地方財政の見通しは、まず歳入面におきましては、最近の経済情勢を反映して、国税三税の自然増収があまり期待できないために、地方交付税の増も例年に比して少ない上に、所得税及び法人税の画期的な大幅減税が行なわれることによりまして、地方交付税の額は前年度に比べてかえって減少することになり、また、地方税につきましては、国税と同様、最近の経済情勢を反映して大幅な自然増収を期待し得ない状況にあり、これに加えて、住民税の減税等によって自然増収の幅はさらに圧縮される見通しであります。これに対し、歳出面におきましては、四十年度に実施されました給与改定の平年度化等によって給与関係費が増加するほか、社会資本の整備をはかるため公共投資を拡大する国の施策に対応して、公共事業の地方負担が増加する等、歳出需要は相当増加するものと見込まれております。このような諸要因によりまして、四十一年度の地方財政は近来その例を見ないほどの困難な状況に立ち至ると考えられるのであります。  このような事情を考慮いたしまして、政府におきましても特段の努力を払い、四十一年度の地方財政対策として、総額二千二百億円を措置することといたしたのであります。その内訳は、交付税率の大幅引き上げ及び臨時地方特例交付金の交付により、合計一千億円の財源措置を講ずること、及び、地方債計画におきまして、政府資金債五百億円、縁故債七百億円、合計千二百億円の特別事業債を見込むことの二点であります。このうち本法律案に直接関係がありますのは、交付税率の引き上げ及び臨時地方特例交付金の交付であります。  まず第一は、交付税率の引き上げでありますが、これについては別途地方交付税法の一部改正を行ない、地方交付税率を現行の二九・五%から二・五%と大幅に引き上げて三二%に改めることとしているのであります。四十一年度の地方財政は、さきに申し述べましたようにきわめて困難な財政事情に立ち至るものと予想されますが、その主たる原因は、最近における経済の臨時異常な停滞にあると考えられます。ただ、地方交付税減少は、四十一年度所得税及び法人税の減税に伴うもので、恒久的要素もあり、また地方財政自体にさしたる自然増収も期待できないという例年と特に異なる事情もありますので、これらの事情を総合勘案の上、この際交付税率を二・五%引き上げ、地方の一般財源の強化をはかることとしたのであります。この交付税率の引き上げ措置によりまして、地方交付税交付金は五百八十六億円増額されるわけであります。  第二は、臨時地方特例交付金の交付でありますが、これについては別途今国会に昭和四十一年度における地方財政の特別措置に関する法律案提案し、この法律に基づいて、四十一年度限りの措置として、臨時地方特例交付金四百十四億円を交付することとしているのであります。  この臨時地方特例交付金は、たばこの売り上げ本数に案分して不交付団体を含め各地方公共団体に交付される第一種特例交付金二百四十億円と、普通交付税の配分方式に準じて交付団体に交付される第二種特例交付金百七十四億円との二つに分かれております。  第一種特例交付金二百四十億円は、今回の地方税制改正にあたり、住民税負担の現況にかんがみ、各種控除額引き上げ負担軽減をはかることといたしまして、三百億円の減税を行なうこととしたのでありますが、これに関連して、税制調査会の答申においては、所得税の一部を移譲して、住民税所得割りを強化することにより、二百三十二億円の住民税の増収をはかることとしていたのに対し、このような税源移譲方式は、住民税だけを見れば増税となる納税者が少なくないこと等の点より、これを採用せず、結局、四十一年度においては税制調査会の答申の趣旨を尊重しながら、不交付団体をも含めて配分する方式として、製造たばこの本数割りによって配分することとしているのであります。  さらに、第二種特例交付金百七十四億円は、四十一年度の地方財政のきわめて困難な事情を考慮して交付することとしたものでありまして、その交付の趣旨から見た最も合理的な配分方式として、普通交付税の配分方式に準じ、交付団体に交付することとしているのであります。  以上の措置に伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計につきましても、所要改正を行なうこととしているわけであります。すなわち、第一に、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れ金額で、所得税法人税及び酒税の収入見込み額を基礎として算定するものの算定率を、百分の二十九・五から百分の三十二に引き上げ、第二に、昭和四十一年度の臨時地方特例交付金の交付に関する政府の経理を同特別会計において行なうこととするとともに、臨時地方特例交付金に相当する金額は、予算で定めるところにより、一般会計から同特別会計繰り入れることができることとしているのであります。  以上、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について提案理由を補足して御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  11. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 佐竹銀行局長。
  12. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  第一は、国民金融公庫の理事の定員を一名増加し、七名とすることであります。これは最近における国民金融公庫の業務量の増大に加えて、同公庫において昭和四十一年度には特に環境衛生関係営業に対する融資の充実を予定している次第もあり、この際、公庫業務の円滑な運営をはかるためのものであります。  なお、昭和四十一年度に予定しております環境衛生関係営業に対する融資の要点を申し上げますと、一、環境衛生関係営業の近代化、合理化のための特定の施設等に関する国民金融公庫の融資目標額を二百億円とすること、二、融資条件として、金利は一般金利八分四厘を適用することといたしますが、償還期限、据え置き期間、一貸し付け先当たりの貸し付け限度につきましては、相当弾力的に運営することといたしております。すなわち、特定の設備につきましては、償還期限は七年をこえ十年まで、据え置き期間は一年をこえ二年までとする。また、一貸し付け先当たりの貸し付け限度につきましては、従来の限度であります三百万円をこえ六百万円までとすることとしております。また、これに関連して、同公庫に担当部課の設置を予定しているところであります。  第二は、国民金融公庫の監事の権限を明確にしようとするものでありますが、これは提案理由説明で申し述べたとおりであります。  以上をもちまして補足説明といたします。
  13. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上九案につきましては、本日はこの程度にいたしたいと存じます。     —————————————
  14. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題とし、前回に引き続き両案の質疑を行ないます。  ちょっと速記とめて。     〔速記中止〕
  15. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記起こして。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  16. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、簡単ですが、この両法案に質問を少ししたいと思いますが、日本開発銀行は、私、一点だけ質問いたしたいと思いますので、そのほうから早く済ましておきたいと思うんです。  私が聞きたいところは、貸し出しの表を見ますると、四十年度から四十一年度を通じまして、計画、実績、見込みなどを見ましても、多いところは電力、海運、地域開発、石炭などが多いと思うんですね。そこで、御返答しにくい点もあるように聞いておるんですけれども、この電力、海運、地域開発、石炭など、会社別に、どこの会社にどれだけ融資しているかという点を具体的に示していただきたい。
  17. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) お話のとおり、比較的貸し出し額の多いのは電力、海運、石炭でございます。また、大口なのも比較的その辺が多いのでございますが、会社別に融資を示しますのは、金融の関係もありまして、一般的には、相手方の取引先の意思を聞かないで公表するのはいかがかと思いまして、銀行から進んで一件別に公表しますことは差し控えておる次第でございます。したがいまして、企業別の額は何とぞお許し願いたいと思うのでございますが、概況をつかんでいただくために、要点を以下申し上げまして御参考にさしていただきたいと思います。  大体、電力会社の電力の融資は、残高で申しますと、三十九年度末、すなわち四十年三月末で、件数で二十九件、金額で三千二百八十六億円になっております。したがいまして、おのずから相当大口の貸し出しが多いということは御理解いただけるかと思います。  それから、海運が百五十九件で二千二百九十億という数字に達しております。次に、石炭が百十二件で、五百六十六億でございます。  なお、地域開発のほうは、額は最近だいぶふえておりますが、これはむしろ、大企業も若干ございますけれども、地元企業等の中企業が大部分でございますので、大口のものは比較的少ない状態でございます。三十九年度じゅうに貸し付け実行いたしましたものも大体同様でございますが、最近の傾向としましては、海運が、特に再建ができまして以来計画造船の必要性、海運収支の改善といったような点からだいぶふえておりまして、三十九年度じゅうに貸し付け実行したものだけを申し上げますと、電力が三十六件で百八十五億円、海運が五十六件で四百五十八億円、石炭が三十二件で百九億円、その他はそれほどまとまって大口のものは少のうございまして、ばらつきがございまして、大体融資額の多いのは、いま申し上げましたように、電力、海運、石炭、それの大手各社ということに相なりますことを御説明申し上げておきたいと思う次第でございます。
  18. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この開発銀行の金というものは、これは国の財政から出ておる金だと思うのです。この国の財政から出ておる金が、私たち国会議員に具体的に示されないような条件で融資されておってよいものかどうか。やはり開発銀行としても、国会には、質問があれば、それに答える責任があるのではないかと思うのです。それは発表されて会社のほうでは喜ばぬ点もあるかもわかりませんが、その喜ばぬ点という問題が私は問題じゃないかと思いますね。当然の金の貸し借りならばそんなものを発表されてあたりまえのことじゃないか。何もそんなに隠す必要がないのです。それを喜ばないというのは、一体どういうために喜ばないのか、何でそれが発表できないのか。私は当然国会に報告すべき性質のものだと、こういうふうに思います。どうですか。
  19. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) まことにごもっともなお話でございまして、これは須藤先生も十分御承知のように、開発銀行資金の源泉は、まさによって来たるところは財政資金であります。したがって、それにつきましては、御承知のように毎年会計検査院の検査がございます。したがいまして、検査院はすべて詳細を見ておりますが、その際に万が一不当な事項あるいは非違の事項がございますれば、それを指摘して、毎年国会の決算委員会において御審議をいただいております。すなわち、その決算報告は決算委員会、つまり国会に毎年きちっと報告を申し上げておる次第であります。
  20. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは検査院が検査するのは当然だし、それは決算報告されるのは当然なはずですが、それでは、大蔵委員会においてはそれはつぶさに報告をすることができないが、決算委員会なら報告するとおっしゃるのですが、大蔵委員会においてそれが報告できないというのはどういうことなんですか。
  21. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) その点は、先ほど開発銀行の総裁が申し上げました点を若干補足いたしますと、つまり、現在御承知のように企業というものはそれぞれコマーシャル・ベースでやっておる。その個々の企業の、つまり個別融資の問題でございますね。つまり、何々会社が何々銀行から幾らお金を借りているかという個別の問題。したがって、そういう個別の問題につきましては、これはいろいろ営業の秘密もございましょう。そこに何も不当不正なことがなくても、つまり営業の秘密というものは、これは現在の社会においてあり得るわけでございますから、そういった意味で、個々の融資の内容につきまして、特に問題があればまた別でございます、問題があれば当然これはそういう問題に対してお答え申さなければならぬわけでございますけれども、決して問題がない場合に、それを何と申しますか、一般的に個別融資を一つ一ついわば公開すると申しますか、公表するということは、これはもう従来ともいたしておらない、そういう慣行になっておるわけであります。
  22. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 不正があるかないかということ自体は、私たちの前にそれが公開されない限りわからないわけですよ。私たちとしては、政府の金が、国の金がどういうふうに使われておるか、電力会社ならどこの、東電にどれだけ融資されておるか、関電にどれだけ融資されておるか、船会社ならどこどこの船会社にどれだけ融資されておるかという、そういう具体的な点がわからなかったら、金の使途というものがわからないじゃないですか。だから、やはり私たちはそこまで知らないと、こういう開銀の運営そのものに対して突っ込んだ意見が述べられないということになってくる。私たちが知らぬ間に——私が知らぬということは国民が知らぬということです。国民に何ら具体的な問題が知らされない中でこんな大きな金が自由に動かされているという点が——私はこれは不正があるということを前提にして言っているのじゃないのですよ。しかし、不正があるかないか、はたして妥当な金が使われておるのかどうか、その使途が妥当であるかどうかということを判断する資料がなくて、私たちは審議できないじゃないですか、そういうことは。
  23. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 先生のおっしゃることはよくわかるのでございます。そこで、問題は、つまり開発銀行の運営にあたりまして、たとえば電力向けは、いま総裁からお話がございましたが、電力に対して何件出ておって、その総額は幾らということは申しておるわけです。問題は、そうすると、そういう電力向け融資というものは一体どういう対象に向かってどういう条件で出されておるかということが、やはり一つの問題だと思います。個別の電力会社、たとえば東京電力に幾ら行っているとか、関西電力に幾ら行っているということは、これはもちろん先生がごらんになればそこを明らかにしなければならぬとおっしゃるかもしれませんが、私どもはむしろそれよりも、電力会社のつまりどういう設備に対して開発銀行というものは融資をしておるのか、それは一定の基準がなければいかぬと思います。その基準のワク内において個々の電力会社の事業計画をにらみながら、あと個別の融資を幾らずつ配分するか、この点は当然開発銀行総裁の裁量にかかっておるわけです。しかし、そのいわゆるのりを越え、基準を越えて、融資すべからざるものに出るということになると、非常にこれは問題かと思いますが、実は今日の開発銀行の運営につきましては、先生も御承知のように、毎年閣議の決定を経まして、その資金の運用の基本の方針につきまして政府が定めております。その定められた方針というものは、これは天下に公表されておるわけでありますが、その方針に基づきまして私ども大蔵省、監督官庁である大蔵省から毎年開銀総裁に対して通達を出しまして、その基準の中でおやりいただくようにしておるわけでございます。ですから、まあそうった意味における、電力ではどう、海運では一体どういうところというものがきちっとしておりまして、それが乱されておらぬ限りは、ただいま先生の御指摘のような御心配というものは一般的にはあり得ない。ただ、しかし、何ぶんにも個々の融資の問題でございますから、その点については、先ほども申し上げておりますように、会計検査院がこれを厳重に見まして、万が一にもそこに問題があれば、これは当然指摘をして国会に御報告をする、こういうことに相なっておるわけでございます。
  24. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その私が要求したように具体的に発表すると各会社が迷惑するという、その迷惑というのは一体どういうことなんですか。どういう迷惑をするんですか。
  25. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) どうも、その迷惑ということばがだいぶん誤解をいただいておるんじゃないかと思うのでございますが、これは先生お考えになっていただいておわかりと思うのですが、当然各企業は、株式会社組織でやっておりますものは、当然株主総会に対して公示原則、会社の業務内容を公示しなければならぬ。総会に対しては当然貸借対照表、損益計算書を出して、議決を得ている。したがって、その会社が総額現在何ほどの債務を負っておるかということは、これは天下に明らかになっております。ただ、その場合に、一体借り入れ金がどこの銀行から幾らといったものは、これはバランスシートをつくります場合にもやっておりません。商法の原則でも実はそこまでは要求していない。だから、やはり迷惑ということばはどうもはなはだことばが足りないのではないかと思うのでございますが、これは一種の商慣行と申しますか、営業の秘密といったようなものを、それを要するに一般的に公開するとかなんとかということはしないという、そういう慣行と申しますかということであろうかと思います。
  26. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 会社は、東電の株主総会を見ましても、開発銀行から幾ら金を借りているというような発表はなされないのですよ。私は、租税特別措置法で、今度会社が、政府発表は五千億とか六千億とかいう租税特別措置法による減税額を発表しておりますけれどもね、私はおそらくそんなものではないと思うのです。もっと会社はごまかしていると思うのですよ。それで、会社の経理をずっと調べようと思ってかかっているんですよ。ところが、会社は重要な点は全部隠しているんですよ。  会社では、大体帳簿を三つつくっているのですね。税務署に出すのと銀行に出すのと株主総会に出すのと、帳簿を三つ四つつくっているのですよ。私たちの目の前に出ておるのは、株主総会に発表するのと税務署に出すのと、それから株主に発表する、そのくらいしか発表しない。ほんとうの帳簿は金庫の奥底に隠されておるわけです。会社の実態は、これはなかなかつかめないのです。それが資本主義というものだと私は思うのですけれどもね。これはアメリカでもなかなかできないそうです。日本でも会社の実態をつかむということは容易なことではない。だから、今日までだれもこれをつかんでいる人はないわけです。大蔵省の人も、これはほんとうにつかんでいないのじゃないかと思う。そのつかめない一端はここにもあると思うのです。  あなたたちが、国の、国民の金を会社に幾ら貸したということを発表しないということは、一体どういうことですか。あなたたちは国民に発表しない。国民の委託を受けて国民の金を会社に融通しているのじゃないですか。その金を国民の前に発表できないというのはおかしいじゃないですか。私は、不正があるからというふうには断定しませんよ。あなたたちが不正をやっているというようなことは、私も考えたくないです。不正がないものなら、何で発表できないのですか。会社は、そういうことをいいことにして、そういうからくりをいいことにして、会社の経理なんというのはもう全くうやむやです。わからないです。五里霧中の状態です。株主から見てもそのとおりです。この開発銀行の株主は国民ですよね。その株主に、あなたたちはひた隠しにしようというのですからね、これはおかしいじゃないですか。そういう状態で、今日、実際、日本のそういう資本主義のからくりを明らかにするということはできないじゃないですか。それをいいことにして、租税特別措置法を例にとりましても、法人税を例にとりましても、みんなごまかしですよ。あんなものは私たちは信用しませんよ。全部ごまかしですよ。そういうごまかしをやっていることにあなたたちが協力しているということはどういうことですか。何でそれを発表しないのですか。
  27. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 会社の実態を大蔵省もつかんでおらぬだろうというお話でございました。これは先生御承知のように、証券取引法に基づく有価証券報告書という制度がございます。これは当然その会社の実態を示さなければならない。これは一つは投資家保護という見地から、会社の真相をつまりありのままに示さなければならぬという観点から、証券取引法が規制をいたしております。それと、あたかもこれは公認会計士が監査をするということ、国の場合まさにこの開発銀行の出資金はいわゆる税金でございますから、おっしゃるとおりで、それに対しては、会計検査院というものがあって、検査をする。同時に、国会があって、国会が監視をなさって、決算委員会にも報告をする、こういうしかけになっておるわけでございますから、決して国民の前に戸を閉ざしてひた隠しに隠すといったことではないわけでございまして、きわめて明々白々にお示し申しておる、こういうことでございます。
  28. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたたちはね、信用すべからざる会社の発表、税務署に対する発表、それを頭からうのみにしておられるわけです。また、あなたたちもうのみにしなければならぬというような組織になっておるわけですよ。大蔵省ですらも会社の実態がつかめないというような状態でね、私たちは今日置かれておるわけですよ。ましてや、われわれがそれをつかみ得る、つかむということは、なかなか容易なわざじゃないのです。おそらく不可能だろうと思うようなからくりです。しかし、そういう状態でほうっておいていいのかどうかですよ。  それじゃ、あなたたちは、国会に報告できない会社に対する融資、個々の融資を、会計検査院には報告しているのですか。どこの会社に幾ら融資していますということを報告しているのですか。
  29. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 毎年会計検査院からは実は厳重な監査を受けておる次第でございまして、そのとき、幾ら会社に融資しているか、その残高はどうなっているかということは、具体的に会計検査院の監査を受けております。
  30. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、会計検査院の人をここへ呼んだら、会計検査院は発表しますか。
  31. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 公表する、しないという問題と、ちょっとその問題が違うかと思うのでございますが、まあやはり先ほど銀行局長もお話ししましたし、私も申し上げましたが、会社によっては、おそらく有価証券報告書あたりでは、銀行別に幾ら借りているということを出している会社もあるかと思います。私が申し上げましたのは、その相手先の事情なり都合を考えないで、融資先から一方的にと申しますか、進んで公表するのはどうであろうかという意味で、控えさせておるということでございまして、決してくさいものにふたをするという意味で、公表することを差し控えているということではございませんので、その点御理解願いたいと思います。  会計検査院は、必要な文書その他も全部必要に応じて提出を求めまして、監査をいただいておりますので、その中に検査院の判断で不適当なものがあるという場合には、これは国会にも具体的に監査の結果を報告するたてまえになっておりますことは御承知のとおりでございまして、まあそういうシステムで、全体として公正を期しながら、かつ、融資という一種のそういう形における目的が、相手方の立場も考えながら、円滑に達成できるようにということが、実は私どもの融資にあたっての心がまえでありますことを申し上げさせていただきたいと思います。
  32. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、普通の市中銀行が言うことなら、それでも済むかもわからないですよ。しかし、いやしくも開発銀行というのは、国の金を使っている銀行でしょうが。国民の金でしょうが。その金を使っている銀行が、国民の前にその使途を具体的に明らかにできないということは、これはあんまりおかしいのじゃないか。それが一口にいって、資本主義のからくりだと言ってしまえば、それはそれで終わりかもわかりませんけれども、それはあんまりおかしいのじゃないか。だから、市中銀行に許されても、開発銀行にそういうことを許していいのかどうかということですよ。  まず第一に、会計検査院に報告ができることが、何で国会に、国民の代表である国会に、当委員会に報告できないか。何でですか。会計検査院に発表します、しかし当委員会に発表できません、それではおかしいじゃないですか、どういうわけですか。私たちを軽視するわけですか。
  33. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) とんでもないことでありまして、国会は国権の最高機関として、われわれ日ごろからこれ以上の尊重を申し上げているところはないわけでございますから、ただいまのお話の中に、おことばを返すようでございますけれども、開発銀行資金の使途が明らかでないというのはよくないじゃないかというお話がございましたが、開発銀行の使途はきわめて明瞭にお示し申し上げているわけでございまして、つまりどういう業種に対してどういう場合に融資をするかという基準もはっきりしておりますし、たとえば電力事業に対して総額が幾ら出ているか、海運に幾らどう出ているかということはきわめて明瞭でございます。したがって、使途はきわめて明瞭にお示している。ただ、先生のおっしゃるのは、その個々の会社に幾ら貸しているかということで、電力会社は御承知のように九電力というものがあります。九電力のやっている電力設備に対して融資をしている。その中の東京電力は幾ら、関西電力は幾らということは、これはもちろん、必要ないとは申しませんけれども、国民の目から見た場合に、その九電力というものの電力設備に対して今日開発銀行の金が幾ら出ているか、年々幾ら出ているか、これが非常に私は問題だと思います。これは毎年はっきり資料等によりましてお示し申しておりますし、これは御承知のように、財政投融資計画、これは予算とは違いますけれども、予算の付属参考資料としまして毎年国会に財政投融資計画を御提出申し上げておりますし、それに対してすでに説明も申し上げておるわけであります。そういう意味で、使途が明らかでないというちょっとおしかりを受けましたけれども、決してそういうことはございませんので、その点まあ御了承をいただきたい。
  34. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、会計検査院に報告して、国権の最高機関である国会に報告のできないということは、どういうことですか。
  35. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) これは会計検査院に発表しているというわけではございませんので、つまりこれは会計検査でございます。天下に公表しておるわけではないのであります。
  36. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 会計検査院が検査するためには、あなたたちのほうから報告が行かなければ検査できないじゃないですか。だから、各会社別の、どこの会社にはどれだけの融資をしておりますということは報告しているのでしょう。
  37. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) そのとおりでございまして、検査院には全部見ていただいております。ただ、私が申しておりますのは、つまり先生の御注文は、当委員会において発表せよ。これはつまり天下に公表するという意味でございますね。検査院の場合には、これは実は公開ではございません。検査院のみがそれを見る。なお、問題があれば、それはそこで初めて検査報告として国会に公表されますけれども、しかし、それ以前の段階においては検査院は公表しておりません。
  38. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 検査院の検査が正しいかどうかということを調べるためには、やはり具体的なそういう資料がないと、私たちが検査院自体をよく調べることができないわけですよ。だから、決算委員会において検査院を呼んで、こういうことになっておるが、実態はどうなんだというふうにすれば、検査院は発表するのですか。
  39. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) その点は事と次第によりましょうし、検査院の所管事項でございますので、ちょっと私のほうからどうこう申すわけにはまいりません。
  40. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは、私はあなたが幾ら説明しても納得のいかぬ点ですよ。国民の金をよそに融資する場合に、それを国民の目の前に明らかにしないで、あなたたちだけでうやむやのうちにこうしていると。これじゃ国民は納得できないし、私たち自身も納得ができないのですよ。まあ早い話が、こういうこともあり得ると思うのですよ。ある会社には非常にたくさんの融資をする、ある会社には要求があっても融資が非常に少ない、それである会社はそれに対して不満を持つ、何でそういうことが起こるのかというようなことで。一つ例をあげれば、そういう問題だって起こりかねないと思うのですよ。そういうときに、それを国民の立場に立って判断していくのは、資料がなければ判断できないですよ。何でここの会社にはこれだけのたくさんの金を融資して、こちらには融資しないのかということは、一つの問題になるんじゃないですか。それを判断する資料がなくて、私たちはそこまで入って意見を述べることはできないですよ。総裁にまかしておけば何もそんなこと国会議員は心配するな、おれにまかしておけと胸をたたいて済む問題じゃないと思うのですよ。  電力会社にはこんなにたくさん金が要る、船会社にはこんなにたくさん金が要る、しかし、たくさんの金が行かぬ点も出てくるんじゃないか、これはどうしたことだ、要求あっても出さないのかどうか、それなら何の理由で出さないのか、何の理由で出すのか。最近船会社がどんどん融資がふえてきた、それは一体何に原因するのか。それは個々の問題じゃなかったら、あなたたち説明するでしょう。しかし、各会社によるというとその説明ができない。私たちはそれを知ることができないわけですよ。  やはりこれは国民の前に明らかにしないと、私たちが国民から責任を負わされて国会の審議に当たっていて、私たちも知らないことを国民から聞かれた場合、開発銀行から東電に幾ら融資が行っていますか、関電に幾ら行っていますか、あまり営業成績のよくない中部電力や東北電力にはどれだけ行っていますかというようなことを聞かれた場合、私たちはそんなことわからない、国会で質問しても開発銀行の総裁は答えません、これで済むのですか。これじゃ国会議員は何しているのだということになるわけですよ。やはり国会議員はそれぐらいの権威を持たなくちゃ私はうそだと思うのですよ。どうですか。
  41. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) いまいろいろお話でございますが、たとえば、例を申し上げますと、一番大きな電力でございますが、電力につきましては、第一に、毎年の資金計画をきめる場合に、総ワクを幾らにするかということ、実は年度初めにきめることになっております。これは総ワクはしかも予算の説明書に、実は電力のほうは幾らということは載っかっております。毎年電力会社に対する融資の方針も若干ずつ変わっておりまして、たとえば最近の融資の方針といたしましては、電力会社に対しまして、全体として資金の不足を来たしているからという理由で電力会社に融資するといったようなことは、初期段階ではございましたが、最近ではそういう融資の方針をとっておりません。  で、特に最近では、まず一つは石炭火力の建設を対象工事として取り上げる。これはやはり電力政策であると同時に石炭政策、この両面から考えまして、石炭対策の一環として、国内の石炭をできるだけ電力会社に使ってもらう、そういう方針がきまりまして、それに応じまして石炭火力をまず取り上げるということになっております。これはもちろん開発銀行独自できめたわけではございませんで、通産省とよく打ち合わせをされてきめております。  第二番目は、重電機延べ払い資金ということで、電力会社に融資することにいたしております。これは御承知のとおり、海外からの重電機が実は非常に安い金利で長期の延べ払い条件をもちまして融資するという傾向がありまして、どうしても国産の重電機を使いたがらない。それに対しまして、やはりこれは金利の条件を、国際金利が大体六分以下でございましょう、そこで六分五厘くらいの金利にして、延べ払いの期間も融資の期間もある程度長くして、それによりまして国産の重電機を電力会社が使うことができるようにしよう、こういう趣旨に基づいておりまして、ほとんどは最近の電力融資の中心は実はこの二つに限っております。  それと、もう一つ原子力の開発でございます。これは御承知のとおりのような状態でございまするので、原子力発電の融資は、これは電力資金の中からワクを優先して出す。こういうやや一般的と申しますよりさらに大きな方針を、各省の意見も聞きまして、方針をきめて融資いたしておる、こういうことでございまして、そういう方向に従いまして、実は電力会社に融資いたしておるのでございます。  なおまた、海運につきましても御指摘ございましたが、これは御承知のとおり、海運収支が非常に実は赤字である、国際収支から見ると。それから、それではやはり日本の国際収支全体の改善に非常な問題があるというので、特に一昨年から昨年にかけまして、日本で新造船計画をつくって促進する必要がある、こういうことになりまして、実は最近急激に海運融資がふえている。海運会社は、その前には御承知のとおりたいへん業績が悪くてひどい目にあっておりましたが、海運の集約化が実現しまして、海運会社としましても相当な新造船を出すのに耐え得るような状態になってきましたので、昨年あたりから、そのような方針に従いまして政府が特別にこれは計画造船としまして年々つくる船を全体としてきめまして、それに従いまして政府から資金をもらっております。で、もちろんこれは個々の融資にあたりましては、それぞれ定期船をどのくらいにする、さらに一般の船は、専用船と申しますか、たとえばタンカーでございましても、長期契約のあるものを優先して扱う、それから石炭とか鉄鋼石につきましても、やはり同様に長期契約のものを優先して扱う、そういったようなふうに計画造船——造船の中におきましてもそれぞれの必要の度合いをよく調べまして、資金のワクで優先的に有効なものから融資していく、こういうようなやり方をやっているわけでございます。  もちろん、開発銀行といたしましては、銀行があくまでも財源が返ってくるということが非常に大事な判断の要素でございますので、金融ベースと称しておりますが、はたして財源が確実に所定の期間内に回収する見込みがあるかどうか、これは企業の体力の判断になってくると思うのでございますが、そういう点につきましても、個々の会社ごとに、あるいは一件ごとによく審査をいたしまして、審査の上、結果を待ちまして、それぞれどの会社にどういう大所高所の目的で幾ら貸すかということを精密に調べました上で決定していく、こういうことにいたしております。そういうことが累積いたしまして、結局一定のときは一定の会社に幾ら金を貸しておるということに相なる次第でございますが、そういったような趣旨で十分慎重に審査もし、さらに貸し付けも行なっているという実情を御説明を申し上げまして、御参考にさせていただきたいと存じます。
  42. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私、皆さんの説明を聞いても、実際は納得できなくて、やはり具体的に示されることが一番よいことだと思いますが、まあその示すことはできない、示さぬというのが今日の日本の資本主義の実態だ、こういうふうに解釈するわけですが、何か資料を出すことができるなら資料で出していただきたいと思うのです。  それから、委員長、きょうは農業基本法について私少しやる予定で、農林省の方にたくさん出席を願いながら、簡単に済むと思ったら、この開発銀行の問題がなかなか簡単に済まなくなってしまって、時間がなくなってしまったわけですよ。ですから、この問題もあとにやることにして、農業近代化の資金助成の問題はひとつ、もし午後当委員会が開かれるならば午後に回していただきたいし、もしもそうでなければこの次に譲らしていただいて、今日は非常にかってなことを言いますが、これで失礼をさしていただきたいと思います。
  43. 瓜生清

    ○瓜生清君 簡単なことを二つだけお伺いしたいが、一つは、開発銀行が融資をされる場合に、非常にきびしく条件をおつけになると思うのですが、逆に償還計画ですね、こういうものに対しても同様だと思うんですが、万が一それにそごを来たすというような企業があった場合、どういうふうな措置をとっておられるのか。おおまかでいいから、御説明を願いたいというのが第一点。  第二点は、総裁がこの間の委員会で、いわゆる企業倒産がいままでにあった数字を二十一社、十七億六千五百万円ですか、そういうお話をされましたが、その中に海運と石炭の企業があるのかないのか。  その二つだけひとつお伺いします。以上で私の質問は終わります。
  44. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 御指摘のとおり、個々のケースごとに実は償還見込みと申しますか、これを調べるのが一つは開発銀行の大きな仕事でございまして、調べまして、貸し付けにあたりましては、増資してほしいとか、いろいろな注文をくっつけておるのでございますが、なかなか、御指摘のとおり、事業は予想したとおりいかぬ場合がございまして、延滞等を生ずる場合がございます。そういう場合におきましても、現実にもちろん督促いたしまして、取り立てを厳重にいたしておるわけでございますが、まあ同時に、向こうが回収し得るようないろんな援助等につきましてもできるだけ考えまして、たとえば市中銀行との話し合いその他もいたしまして円滑にいくようにして、債権はあくまでも確保するようにいたしたいということでやっております。  延滞等になりますと、たとえば損害金を取るたてまえにいたしておりまして、そういったようなことも使いまして、極力回収の円滑化をはかっていく。その点は、率直にいきまして私ども気持ちとしては、財成資金でございますので、市中銀行よりもやや少しきびしいと言っちゃ言い過ぎでございますが、厳格になってもしかるべきじゃないかというぐらいのつもりで実はやっておりますことを申し添えておきます。  しかし、また同時に、産業を育成するということも一つの任務でございますので、何でもかんでも、将来見込みがあるのに、急に開発銀行の態度によってどうこうするといったような結果になってもまずいので、その辺のことも考えまして、事宜よろしきを得て、最終的にはあくまでも、大事な財政資金でございますので、回収をはかるというつもりで運用しておりますことを申し上げておきたいと思います。  それからなお、いま御指摘のものの中には石炭会社もございました。海運会社はございません。
  45. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御質疑もなければ、両案に対する質疑は、本日のところこの程度とし、これにて散会いたします。    午後零時十六分散会      —————・—————