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政府委員(竹中恒夫君) ただいま議題となりました
農業近代化助成資金の
設置に関する
法律の一部を改正する
法律案外五件について、提案の理由及びその概要を御
説明申し上げます。
最初に、
農業近代化助成資金の
設置に関する
法律の一部を改正する
法律案について申し上げます。
農業近代化助成資金は、農業協同組合等が農業者等に対して資本装備の高度化等農業経営の
近代化をはかるため必要な長期かつ低利の施設資金を貸し付けた場合において、当該農業協同組合等に都道府県が利子補給を行なうのに要する経費を国が補助するために必要な財源を確保する目的で、一般会計所属の資金として
昭和三十六
年度に設けられたものであります。
この資金には一般会計からの繰り入れ金及びこれを資金
運用部に預託することにより生ずる利子をもって充て、その利子のうちから利子補給補助に必要な金額を一般会計に繰り入れて支出してまいりました。
昭和四十
年度末の資金額は約二百九十五億円となる見込みでありますが、
昭和四十一
年度におきましては、
公債をも
発行して所要の財源を調達しなければならないような
財政事情でありますので、十億円を留保した上、その残余を一般会計の歳出の財源に充てるため取りくずすことといたしたわけであります。
以上が、この
法律案を提出する理由及びその
内容であります。
なお、農業
近代化資金の利子補給補助につきましては、一般会計の一般財源により十分これを確保し、今後の農業
近代化資金の融通に支障がないよう
措置することといたしております。
次に、
日本開発銀行法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
第一は
日本開発銀行の借り入れ及び
外貨債券
発行の限度を自己資本の三倍から四倍に
引き上げることであります。
日本開発銀行は、
昭和二十六年四月に設立されて以来、長期資金の融通により
わが国経済の再建及び産業の
開発の
促進につとめてまいっているのでありますが、
昭和四十一
年度の
財政投融資計画において同行の貸し出しは二千八十億円と予定されております。
このように、
日本開発銀行につきましては、業務量の一そうの
増加が見込まれているところでありますが、貸し出し等の同行の業務量は、自己資本の額と
借り入れ金等の限度額との合計額をこえてはならないことと定められておりますので、
昭和四十一
年度以降におきましては、この限度を改正する必要が生ずるのであります。
したがいまして、この際同行の
借り入れ金等の限度を自己資本の三倍から四倍に
引き上げ、これにより、業務量の限度の
拡大を行ない、同行の業務の円滑な
運営をはかろうとするものであります。
第二は、
日本開発銀行の監事の権限を明確にしようとするものであります。すなわち、監事が監査の結果に
基づき必要があると認める場合には、意見を総裁または
大蔵大臣に提出することができるよう、その権限を明確にするとともに、
日本開発銀行が
法律の規定により
大蔵大臣に提出する財務諸表等に監事の意見を付さなければならないこととしようとするものであります。
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次に、
都市開発資金融通特別会計法案について申し上げます。
政府におきましては、人口集中の著しい大都市において、その生活環境が近年とみに悪化し、将来にわたり一そうの過密化が予想される情勢にかんがみ、地方公共団体が、これら大都市から移転する工場等のあと地または都市
計画上主要な道路、公園等の公共施設の用地を、あらかじめ適時に取得することに資するため、その買い取りに必要な資金を長期かつ低利で貸し付け、もって都市機能の維持及び増進に寄与することとし、別途、今
国会に都市
開発資金の貸し付けに関する
法律案を提案して御
審議をお願いいたしております。
この都市
開発資金の貸し付けに関する
法律に
基づく地方公共団体に対する国の貸し付けに関しましては、その収支を明確にするため一般会計と区分して経理することが必要でありますので、ここに
都市開発資金融通特別会計法案を提案することといたした次第であります。
次に、この
法律案の概要について御
説明申し上げます。
第一に、この特別会計は、工場等のあと地または都市
計画上主要な道路、公園等の用地の買い取りを行なう地方公共団体に対する国の貸し付けに関する総理を行なうことを目的とするもので、建設
大臣が管理することとしております。
第二に、この会計の歳入は、一般会計からの繰り入れ金、
借り入れ金、貸し付け金の償還金及び利子並びに付属雑収入とし、歳出は、貸し付け金、
借り入れ金の償還金及び利子、一時
借り入れ金の利子、事務取り扱い費並びに付属諸費としております。
なお、
昭和四十一
年度においては、一般会計からの繰り入れ金五億円及び資金
運用部からの
借り入れ金十億円、計十五億円をもって貸し付け金に充てる予定であります。
このほか、この会計の
予算及び決算その他必要な事項を定めるとともに、この会計の
設置に伴って必要な関係規定の
整備を行なうことといたしております。
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次に、
災害被害者に対する
租税の減免、
徴収猶予等に関する
法律の一部を改正する
法律案について申し上げます。
この
法律案は、最近における
所得水準の
上昇及び所得階級区分の
異動並びに
課税最低限の
引き上げ等に伴い、
所得税の減免及び源泉徴収
所得税の徴収猶予を受けることができる
災害被害者の所得限度額の
引き上げをはかろうとするものであります。
すなわち、
住宅、家財について甚大な被害のあった者について、
所得税の全部が免除される者の所得限度額を五十万円から百万円に、
所得税が二分の一に
軽減される者の所得限度額を八十万円から百五十万円に、
所得税が四分の一
軽減される者の所得限度額を百二十万円から二百万円に、それぞれ
引き上げることとするとともに、源泉徴収
所得税の徴収猶予を受けることができる者の所得限度額についても百二十万円から二百万円に
引き上げることとしております。
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次に、
地方自治法第百五十六条第六項の規定に
基づき、税務署の
設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。
最近における
経済の
発展は大都市において特に著しく、この間の事情を反映して、都会地税務署の管内の納税者及び
課税物件等は年々
増加してまいりますとともに、これらの税務署の事務量、人員ともに過大となり、税務指導等納税者に対するサービスの面及び事務管理の面で支障を生じようとしております。
このような事情に対処して、東京国税局において、大森税務署の管轄区域を分割して、大田区の西北部の地域を管轄する雪谷税務署を
設置し、また、福岡国税局において、福岡税務署の管轄区域を分割して、福岡市の西部、糸島郡及び早良郡を管轄する西福岡税務署を
設置し、納税者の利便と税務行政の円滑な
運営をはかろうとするものであります。
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最後に、
通行税法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
政府は、さきに国有鉄道運賃法の一部を改正する
法律案を提案し、
日本国有鉄道の運賃の改定について御
審議を願っている次第でありますが、これとの関連におきまして、
日本国有鉄道の寝台等の料金につきましても改定が行なわれる予定となっております。この改定が行なわれました場合には、現行の
通行税法の規定のままでありますと、汽車等の二等の寝台料金の一部が新たに
課税されることになります。御承知のように、これまでは、一般大衆が主として利用する二等の寝台料金を非
課税とするよう、
課税最低限の金額が定められているのであります。
そこで、この
法律案は、寝台料金の
課税最低限を
引き上げまして、従来どおり、汽車等の二等の寝台料金を非
課税としようとするものであります。
何とぞ御
審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。