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1966-06-02 第51回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二日(木曜日)    午後一時二十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大河原一次君     理 事                 小林 篤一君                 小柳  勇君                 鬼木 勝利君     委 員                 石原幹市郎君                 亀井  光君                 高橋雄之助君                 徳永 正利君                 吉武 恵市君                 大矢  正君                 藤田  進君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     森  五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君    参考人        産炭地域振興事        業団理事長    新海 英一君        産炭地域振興事        業団理事     堀坂政太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠互選の件 ○参考人出席要求に関する件 ○産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  この際、おはかりいたします。小野明君から、都合により、理事を辞任したいとの申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと思いますが、互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御異議ないと認めます。それでは、理事小柳勇君を指名いたします。     —————————————
  5. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 次に、参考人出席要求に関する件をおはかりいたします。  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案審議のため、本日、産炭地域振興事業団理事長新海英一君及び理事堀坂政太郎君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 大矢正

    大矢正君 私は、先日、事業団側から、事業団融資状況、また、業務方法書等資料をいただきました。あわせて、私は、現地から実際にこの事業に携わっている方々資料も手に入れまして、今日事業団が行なっている融資現状と、それから、その内容等について二、三お尋ねをしておきたいと思うのであります。  まず、第一は、融資限度額であります。これは私の記憶に間違いなければ、業務方法書の中では、一応四千万円までが限度という形になっておりまするが、しかし、今日の産炭地における誘致事業、それから、実際に使用されている働く人々現状等を見ますると、必ずしも当初期待したような効果をあげていないように思われるのであります。その理由としてはいろいろありまするが、いま私が申し上げました四千万円を限度とするという、この融資金額限度額の点も、ある意味においては規模の大きな産業誘致産炭地にできないことの理由にもなっているのではないかという感じがいたしまするが、そこで、この際、お尋ねをしますが、融資限度額を早急にもっと引き上げて、規模の大きな事業誘致するような方向への転換を考えておられないかどうか、まずここからお尋ねをいたしたいと思います。もちろんこれは石炭局長ではなしに、事業団からお答えをいただきたい。
  9. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) 大矢先生の御質問お答え申し上げます。  御指摘のとおり、私ども業務方法書には、融資限度額原則として四千万円ということになっておるのでございますが、この点につきましては、中核企業融資等についてはこれでは非常に不十分であるということで、一昨年からこの四千万円の限度実質上は引き上げて運用することは差しつかえないということになっておるのでございまして、石炭局よりの通牒をいただきまして、今日におきましては、大体二億円程度までは運用をしてきたのでございまして、さらに中核企業融資に必要であります場合におきましては、政府のほうの御了解も得まして、さらに大幅な融資をも行なえるようにいたしたいと思っておるのでございます。
  10. 大矢正

    大矢正君 いま億を単位の融資も現在の段階としては考えておられるというようなお話でありまするが、私がもらっている資料範囲内におきましては、なるほどあるにはあるのでありまするが、非常にわずかであるということもありまするし、これは繰り返し申し上げるようでありまするが、融資規模が小さいということは、それだけ小さな規模事業体しか融資することができないということにもなりますので、この点はもっと前向きでもう一度御検討をいただきたいと思うのであります。もとより通産省、さらには大蔵省関係等もあると思われまするから、その面はまた別の機会に私が大蔵省その他には直接話をしたいと思いまするが、事業団それ自身がもっと積極的に融資限度額を拡大をするような方向でひとつ御努力願いたい。  第二点目は、この業務方法書を同じく見ますと、貸した金の据え置き期間は三年を限度とする、こういうことになっております。特に最近は経済不況が深刻でありまして、当初景気のよい時期に融資した段階では償還計画というものもある程度円滑に進んだと思うのでありますが、最近は経済の全般的な趨勢から見て、なかなか思うように償還ができないという状態であります。そこで、これまた資料を見ますると、三年の限度において、すなわち、据え置き期間は三年が限度であるといわれておりまするが、一年というのがほとんど大部分で、わずかに二年をこえるものもありますが、しかし、なお見ますれば、約七割までは一年ないし一年何カ月ということで、二年にも満たないという結果が出ております。これでは、せっかくの三年を限度にするという考え方現実には適用されないことになりますし、こういう面でもまた事業の進出が困難になっておりますので、この際、この据え置き期間というものは、業務方法書に三年というものがありまするので、その限度額までおおむね認める方向で検討されてはどうか、こういう気がいたすのであります。で、ほかの、たとえば金融機関政府関係機関等をながめて見ましても、大体私の見ているところでは、限度をきめた際には、限度目一ぱい見てやるというのが一般的な慣行のように私は見受けるのですが、ところが、この事業団は三年間という限度を持ちながら、現実にはもう一年とか一年二カ月とかという据え置きしか認めないということでは、私はどうも納得できないので、少なくとも業務方法書に書いてある三カ年びっしり特別の事業を除いては認めるような方向にしてやらないと、今日のように、経済不況が深刻に企業にも反映されておりますので、この点どうお考えになっておられるか、お答え願いたい。
  11. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) ただいまの据え置き期間の問題の前に、先ほど御指摘のございました四千万円をこえる融資についての前向きの姿勢でございますが、実際上いま四千万円以上の運営をいたしているのでありますので、私どもといたしましては、やはり大衆の方々がこの業務方法書等によってそれ以上のものを融資できるのだということを知っていただくようにいたしますために、できるだけ近い将来におきまして業務方法書等改正について関係方面の御了解を得るようにいたしたいと存じます。  第二点の据え置き期間の問題でございますが、現状は、御指摘のように、据え置き期間が一年半程度のものが非常に多いのでございますが、実際に私ども融資決定をいたします場合におきまして、企業より事業のもくろみと申しますか、収支見通し等をいただいて、それで金融機関を通じ、あるいは私どものところでその企業の将来性について検討いたしました場合におきまして、まず、事業を始めてからその程度期間を待てばほぼ正常な運転になり得るのではないだろうかという見当をつけましたときから御返済を願うような形で今日までやってまいったのでございます。もちろん理事会におきましては、産炭地という特殊なと申しますか、産炭地という、工業立地上必ずしも有利でない地域事業をやるのでございますので、他の既成工業地帯におきますよりも、より一そう余裕を持たせるようにできるだけ実はつとめてきたのでございますが、御指摘のように、なお短いという実情にあることは非常に遺憾に存じておるのでございますが、現実の問題といたしまして、当初企業がこの程度返済が開始できるといっておったにもかかわらず、事情の変化によりまして据え置き期間延長してくれという御要望があります場合におきましては、そのつどお申し出をいただきまして、審査をいたしまして据え置き期間延長の措置をとっております。ただ、今日までにおきましては、三カ年をこゆる延長につきましてはまだ認めてないのでございますが、個々の企業実情に沿ってその据え置き期間延長をはかっておりますことを御報告申し上げたいと思います。
  12. 大矢正

    大矢正君 あなた三カ年まではひとつできる限り認める方向に、これは据え置き期間でありまするが、努力をしておるつもりであるという御発言だが、あなたのほうからいただいた資料を見ましても、三年目一ぱい見られた企業は、北海道の関係だけを見ましても、この三年間にわずか二件しかない。あとはみんな一年なり二年ということで、限度までいかない状況なんですね。ですから、言われておることはよくわかるが、実際はそうではないということなんです。それと同時に、あなたのほうの出先は非常に頭がいいのかどうか、私はあなたを認めてやりたいのだが、ほかのほうがむずかしくて認められないというようなことで、責任をのがれて、よそに責任転嫁をしておるような傾向があるわけです。そこがうまいところかもしれないが、自分で断わるとぐあいが悪いから、大蔵省がいけないとか、やれどこがいけないとか言って断わる。これは気持ちはわかるけれどもと言って逃げる傾向が顕著に特に最近あらわれておるようであります。私は金を借りたことがないからわかぬが、話によるとそういうこともある。そこで、短兵急にお尋ねいたしますが、据え置き期間は三年が限度で、特にこういう経済情勢並びに立地条件からいって、あなたの言われるとおり、産炭地企業誘致することは非常に困難な面もあるわけで、それをあえてやらなければならないところに意義があるわけだから、したがって、据え置き期間を三カ年というのは、極力その限度目一ぱいまで認めるよう努力するつもりがあるかどうか。もしあなたから適当な答弁が得られなければいつまでもねばるから、ひとつはっきりした答弁をいただきたい。
  13. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) 据え置き期間のほうをできるだけ産炭地実情に沿うように修正する気持ちは、御指摘のとおり、十分あるのでございまして、今日まで融資いたしましたも一のにつきましても、先ほど申しましたように、その実情に沿うように据え置き期間延長については今日までもやっておりますし、これからまたいたすつもりでございます。今後の問題につきましては、すでにいかなる場合においても据え置き期間を三カ年のほうを原則とする、三カ年であることを原則とするというふうにきめますことにつきましては、これはやはり融資というたてまえでございますので、その企業がまず正常な運転を開始し得て返済余裕ができるような状態がいつになるであろうかということについて、従来より以上、一そうあたたかい気持ちで配慮いたさせるようにいたしたいと存じておるのでございます。なお、据え置き期間をいかに決定すべきかという問題につきましては、これは一に事業団責任の問題でございまして、三カ年をこえない限りにおきましては、他に責任を転嫁する何ものもないことを申し添えておきます。
  14. 大矢正

    大矢正君 いま据え置き期間の話だけをいたしましたが、結局貸し付け期間についてもそういうようなことが言えるわけですね。三年据え置きすると、十年ということになると、あと七年という結果が出てくると思うのでありますが、当然この十年が限度だとすれば、その範囲内で据え置き期間幾らにきめ、そうして貸し付け期間幾らにするかということになってくると思いますが、これとあわせて非常に問題が出ておるのは、申請をあなたのほうで受理してから実際に決定をされ、そうして資金貸し付けが行なわれております日にちというものは、短期間で解決する場合もあるが、おおむね長期を要している。信用を調べるとか、事業内容計画を調べるとかいうことはもちろん必要なことでありまするから、そういうものを省略せいと私は申しておるのじゃありませんが、しかし、より迅速にそういうことが運ばれるような方向努力をするおつもりがあるかどうか。これは結果を見ればすぐわかるわけでして、結果の資料が出るわけです。これはあなた方のほうでおやりになった実際の姿というものが資料としてまた再び出された際に、私がここで質問をして、そのお答えがあって、その答えたとおりの方向努力をしているかどうかということはすぐあらわれてくるわけです。一つ据え置き期間の問題それから貸し出し期間の問題、それから実際に書類を受理してから貸し付け決定するまでの期間の問題、これは全部期間の問題になるわけでありますけれども、あなたのほうでいかがですか。ここの委員会で私が質問してあなたのほうからお答えをいただいておるだけでは、なかなからちがあかん面があるのですよ。そこで、あなたのほうで、私が先ほどから申し上げている点について、文書でひとつお答えしていただけませんか。できれば、書類を受理してから実際に貸し出すまでの期間をいかにして短縮するかという問題、そこにあなた方がどういう誠意を示してもらえるかという問題それから、十年間という限度があるが、その中の据え置き期間というものを極力三年に近づけるように、三年にしますということをあなたにここで言えといっても、それは言われぬだろうと思うから、それはいいが、三カ年目一ぱい見るというような方向でおるだろうということと、あと、あわせて七年間の問題、三年の場合は七年になりますが、その十年以内という問題についての取り扱いの問題それから、四千万円をこえる限度額については、現に四千万円をこえているものはこれからもその方向努力をし、場合によっては業務方法書も直してもいいとあなたがおっしゃっておられるから、そういう点を文書にしてひとつ出していただけるかどうか。私はこの法律案が通るまでに文書でそのお答えをいただかなければ、もうこれは通すことに賛成いたしかねるわけでして、きょういま直ちにここで文書を出せとは申しませんが、この法律案があがるまでの間に誠意あるひとつ文書をいただきたい。もしそれがいただけるというのであれば、私はこれで質問を終わりたいと思います。
  15. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) ただいまの大矢先生の御要求文書につきましては、事業団より提出申し上げます。  なお、その融資期間等の問題についてでございますが、融資期間につきましては、私ども事業団融資自己資本借り入れ金によってやっておるのでございまして、借り入れ金財政資金でございます関係上、六分五厘でお借りをいたしまして、ただいま延長していただきまして、八年以内に計画的に御返済申し上げるようになっておるのでございます。したがいまして、資金からまいりますところの制約によりまして、全般といたしまして、政府に対して円滑に御返済申し上げるような貸し付けをいたさなければならないのでございますので、最高といたしまして十年というのがあります反面におきまして、五年で返済してもらうというようなものもなければならない事情になっておるということを御了承賜わりたいのでございます。  第二点の、資金借り入れ申し出から貸し付けまでの期間の問題でございますが、この点につきましては、私どもも、御指摘のように、非常におそくなっている実情につきましては、再三注意を払ってまいったのでございますが、そこで、根本的に実は問題がございますのは、私どもが調査をいたしております過程におきまして一番はっきり出ますのは、代理店銀行借り入れ申し出をいたしまして、その代理店銀行の窓口で正式に受理をいたしたというふうになるまでに実は相当期間がかかるという問題があるわけでございます。何ゆえにそのようになるかという問題になりますというと、これは産炭地に新しくできておりますところの事業が、ほとんど実は新しい、その地域といたしましては従来なかったような種類の産業が出るのでございます。したがいまして、そういう事業に対しますところの融資をいたしました場合において、これが正常に運営されるかどうか、また、返済されてくるものであるかどうか、あるいは担保力が十分にあるかどうかという点に非常な疑問を関係者は持たざるを得ないケースが非常に多いのでございます。したがいまして、正式に受理する前に、そのような条件についてのある程度確信を持たないことには、この銀行——これは単に産炭地関係融資だけではございませんが、中小企業金融公庫、あるいはその他の関係の分野についても皆同じであると私は了解いたしておるのでございますが、そのような確信を持つようになるまでに相当時日はかからざるを得ないというのが現状でございまして、それほど産炭地というところは新しい事業というものを興こすのについては、一般の金融原則考え方でいったのではなかなか興こしにくいところであるという根本論が実は介在をいたしておるというところにあるのでございます。しかしながら、事業団内部手続等の問題については、御指摘のようなことのできるだけないようにということを考えまして、私どもといたしましては、政府の御了解を得まして、近いうちには、一千万円以下の貸し付けにつきましては、今日、中少企業金融公庫が行なっておりますように、代理店決定にまかせるということによって現地処理ができるようにいたしたい。なお、一千万円から四千万円までの間の問題につきましては、審査を地方においてできるだけ実質上の審査を済ませて東京で決定をするというふうにいたしたい、このように実は改正をいたす所存であるのでございます。ただ、現実の問題といたしまして、このような審査等を実施いたしますためには、御承知のように、普通の銀行におきましても、小さな支店だといいましても、審査専門人等相当要るのでございまして、そのような審査に十分な力を持った人々を採用いたします場合におきましては、よほどの厚遇をもっていたさない限りは、このような事業団にすでに既成のそういう融資経験者というものは入れにくいという実情もございますので、その辺につきましては毎々政府のほうにもお願いをいたしておるものでございますが、処遇、あるいは定員等の問題についての御理解を得て、なるべく現地で解決し得るように、そして融資過程において間違いのないようにいたしたい、かように思っておるのでございます。
  16. 大矢正

    大矢正君 いまお答えをいただいたのだが、それをそのまま聞いて私も下がるわけにいかないので、たとえば十分な担保力があるかないか、それから、事業計画というものが、これは単に計画だけではなくて、現実見通しがあるかどうか、こういうものが全部立つなら何も事業団から金を借りなくたって市中銀行から借りるのだ。今日のように金融が緩慢になってくれば、多少リスクはあっても、産炭地振興という立場から、この際、金を貸して、事業一つでも二つでもその地域にふやすというところにねらいがあるのだから、それを一〇〇%市中銀行と同じような判断で貸し付けをやろうとするところにまず間違いがある。これは、しかし、事業団が考えていかなければならない問題だと思う。  もう一点は、御存じのとおり、近く審議会が新しい石炭対策答申をされると思う。その際には、勢い、その答申に基づいて、産炭地経済、また、財政、その他産業を維持するためにどうするかということも、当然のこととして一項目入ってくると思うのであります。したがって、そういうものが出ますれば、勢い、それが政府答申をされて、その答申に基づいて国が施策を講じなければならないという段階になりますから、いまのうちに事業団としては、より積極的にみずからの案というものを示して、どうすればいいかということを私は出す必要性がある。そういう意味においても、一つの例として、産炭地域企業誘致する際の融資条件を緩和するという方向をあなたのほうでいまのうちにお出しになる必要性があるのではないか。それが一〇〇%思ったとおりいくかいかないかということはここではおそらく結論は出ないことと思うが、少なくとも、石炭抜本策をいま検討しようという段階なんだから、案としてでもそれを提示して、それの実現に予算の関係があれば大蔵省というふうにして、積極的に私はやる必要性がある。  それから、もう一つは、あなたは財政投融資を受けるから期限が八年間だ、したがって、八年以上というものは現実にはむずかしいと、しかし、出資部分もあるわけだから、そういうものも突っ込めると、かりに七年とか八年とか九年とかいう数字が出てくるが、十年まるまる言ってみれば貸し付け期間とすることには困難さがあるとおっしゃられるが、しかし、たとえば輸出入銀行一つながめて見ても、輸出入銀行の場合には、輸出金利は年四分だ、四%だ。しかし、平均金利というか、そういうものは六分五厘ということをきめても、現に八割から九割は四分の低利で実際は融資している。そこで、最後にきて、しりを合わせるためにあとから出資するというかっこうで合わせているわけだ。ところが、あなたのほうの事業団だけは、財投はこれだけだ、出資はこれだけだ、この範囲内でやれば七年しか貸せないとか六年しか貸せないとか、金利はこれしかならないという、そういう計算ばかりやって先に計画を立てておったら絶対よくならないですよ。だから、それはもっとやはり有利な条件でもって貸してやって、そこでしりが合わなくなってきたら、それは国の出資なり何なりをより積極的に仰ぐということでやっていかないと、帳づらを合わせて、最初からそれに合うような貸し出し条件というものをつくったら何年たったってよくならない。だから、そのことをもっと十分考えてもらいたいと思うし、そういう意味もあってあなたのほうに私はあなた方の考え方文書にして出しなさいと言っているのは、そう意味のあることをお含みいただきたいと思う。  以上、別にこれはお答えはいただきません。
  17. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  18. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 先般のこの委員会通産大臣に御要望いたしましたように、衆議院特別委員会における堀坂参考人の御意見、非常に傾聴すべきものがありましたので、それを石炭政策抜本政策と関連しながら、大臣にも十分国政策を検討していただくように、この前に宿題を出しておいたところでありますが、きょう堀坂参考人が見えておりますので、この衆議院における陳述の順序に従って、あらかじめ問題点を一、二質問いたしておきたいと思うのであります。  第一点は、造成いたしました土地の価格が高いので、買う人もなかなか困るし、事業団ももっと困るのだという問題です。それで、お話の中にそういうのがありますが、事業団として、これをやっておられる当事者がどういうふうな施策をやったら事業団の目的にも合致するし、それから、それを利用する工業、あるいは商業その他の人もいいと、こういうふうなお考えがあるか、第一点にお聞きいたします。
  20. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) お答え申し上げます。  産炭地の振興は、企業誘致ができたかどうかということによりましてこの振興の成果が相当判定されることになるのでありますが、産炭地に私ども企業にぜひきていただきますように努力いたしますためには、やはり今日の現在の状態におきましては、企業産炭地にくることが他の地域で工場をつくるよりもより有利であるというようにしなければ、なかなか企業というものにきていただけないことは言うまでもないことでありますが、その点から考えました場合におきまして、私ども企業誘致にまいりますと、地価は幾らでございますかという話が出るわけです。この点については、私ども関係いたしております産炭地域の地形等も、決して工業団地をつくるのに有利な事情ではございませんです。また、地理的にも、いままでの既成工業地帯から見ましても辺陬の地にあるということが一般の事情でございますし、また、石炭の採掘をやりましたあと地でございまするので、そのようなところで安全な良好な団地をつくるのには経費がかかるという事情にもございますので、できるだけ私ども努力をしながら、安い良好な団地をつくるというふうにまず努力しなければならないことは言うまでもないのでございますが、これにつきましてはおのずから限界があるというように思っております。特にこの団地造成は、大体六〇%の借り入れ金資金はまかなっておるというような関係もございますし、限度があるのでございます。したがいまして、第一の問題といたしましては、非常に卑近な問題といたしましては、団地造成にあたりまして、その土地をできるだけ有効に使えるように、単に工業団地だけをつくるということではなくて、その工業団地と並用して、片一方に土をとったあと地というものが住宅なりその他の工業用地に使えるというような運用ができるように、あるいは工業団地として使えるものであっても、直ちに工場等がくることが困難なようなものについては、ある程度住宅用地その他として転用するということにいたして、資金の効率等を高めるというような面について御了解を賜わりたいという点が第一点の問題でございます。  それから、第二点の問題といたしまして、土地をつくりますところのコストにおきまして一番大きな要因になっておりますところの土地の買収費の問題でございますが、産炭地域振興事業団の土地造成につきましては、これはすべて契約ベースで土地を取得いたしておるのでございます。そこで、事業団が土地を買います場合におきましては、相手方の売るほうの御意思等も関係がございまして、これは政策目的だから安く買うというようなわけにはなかなかいかないのでございます。ところが、売るほうの立場のほうになってみますならば、産炭地域振興事業団に土地を売った場合においては同じような税金がとられる、もしこれを公共用地とか、あるいは住宅公団等の用地として売りました場合においては土地収用法の適用があるという、そういう性質の事業であるということだけの理由によりまして税金が非常に軽減をされているのでございます。したがいまして、これは売られるほうの地主のほうといたしましても、よほど高く売らないというと税金分が出てこないというようなことに実はなるのでございます。このような点につきましては、これはやはり産炭地振興としてつくります団地の造成が公共目的であるということの扱いをしていただけるように制度を直していただきたいという問題が第二点にあるわけであります。そういうふうな比較的行政的な御配慮によりまして得られます問題でも、なおかつ、これはその工場が、たとえば密集地帯から産炭地に移るという観点から見るならば、土地が割り高であるというのが実はこの地価の割り高論ということになっておるのでございまして、冒頭に申し上げましたように、企業に魅力のあるような土地、地価にするということによって企業がくるのでございますから、そういうふうな努力なり修正なりをしていただきました上においても、なおかつ割り高であるという分につきましては、政府産炭地域企業を立地させるのだという御趣旨を生かして、これは補助金なりその他の方法企業者のほうのめんどうをみていただくようなことが一番望ましいのではないか、かように思っておるのでございます。  もう一つ方法といたしましては、英国等でやっておりますように、この土地というものは国の土地として持っておって賃貸をするというような制度等も開いていただくことによりまして、土地に対する投資を行なわずに、企業がそのところで工場を設置できるというような制度も考えていただけないであろうかというようなことをいま政府のほうにお願いをいたしておるのでございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 石炭局長、いまの問題が三つございますが、一つは、工場団地と住宅地、あるいは商業団地、あるいは道路など、いわゆる工業団地造成をやる場合、ほかのほうに一緒にしたらもっと土地がプールして安くならないかということが一つ。この問題は、事業団法の十九条で、「鉱工業等の用に供する」ということで法律解釈としてはできはせぬかと思うが、その点いかに処理していかれるか、これが第一。
  22. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 先生の御指摘になりましたように、産炭地振興の一環としてやっております産炭地振興事業団の土地造成に関連いたしまして、造成費がわりあいに高くつく、したがいまして、コストが高いので販売価格が高い、なかなか誘致企業に魅力のある土地造成にならないという御批判を前々から私ども承っておりまして、ただいま先生が御指摘になりましたような点につきましても、過般来、私ども検討いたしておりまして、ごく最近でございますが、やはり単に工場団地ということに限らず、工場団地をつくりますときには、当然その社宅をつくるという問題も起こるわけでございますので、そういった意味合いで、住宅にも転用といいますか、利用し得るというような道を、ようやく大蔵省と話し合いをいたしまして、関係省と話し合いいたしまして、そういう方針にいたしました。したがいまして、少し従来よりは私その面では改善された。ただ、率直に申しますと、住宅そのものを目的とした団地ですね、これは住宅公団等の関係もありますので、それには産炭地域振興事業団がやるのはどうかという御意見も残っておりますが、工場団地をつくる、しかし、その周辺にやはり住宅として利用する、そういう場合にその住宅として使わせることはできるという程度までは、いま早急にそういう方向でやっておる、こういうことにいたしております。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 第二の問題は税制の問題です。いま言われたように、農地などを造成するのに売りたがらぬとここにも書いてあるが、「事業団に売った地主に対してはそのような恩典がありませんので、非常に売ることを欲しないのであります。自分が伝統的につくっておった農地を手離して、普通の業界に売ったのと同じような税金をとられるというようなことは、これは産炭地振興のためにあなたは犠牲になってくださいというような形に実はなっておるのであります。」と、こういうことで、税制の問題についても考えるべきじゃないかと思うのですが、この点の話はどうなっておりますか。
  24. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 税制問題につきましては、これは最近先生おっしゃったような実情を私ども聞いておるわけでありまして、この点につきましては、ただいまいろいろ関係省と打ち合わせておりまして、いましばらく検討事項にさしていただきたいというふうに考えております。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 第三点は、最後に言われた、国がこれを国のものとして土地を貸す、買えないだろうから。これは工場に貸すのだ、国が買い上げて。こういうようなことをこれはずっといままでの論議の過程でも、事業団が造成いたしました土地が全部売れていない、何分の一しか売れていません、残りますからね。そうしますとコストが高くなりますから、そういうものについては検討されたことがありますか。
  26. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 事業団が団地を造成いたしまして、通例ですと、これはそれを売り渡すというのが一応原則になっております。しかし、御指摘のように、売買を受けないで借りたいというケースもあろうと思います。あま例外的にそういった賃貸関係にさしているケースもございます。しかし、まだ一般的にそういう方針をとっておりませんので、まだ先生の御要望のとおりにはいまなっておりません。おりませんが、私ども考え方といたしましては、産炭地域振興事業団の土地造成の趣旨が、そもそも、やはり疲弊した産炭地を振興しよう、そのためにいろいろ工場も誘致したいし、あるいはいろいろ単に工場だけでありませんで、観光事業でもいいわけですけれども、広くそういった産炭地域の振興をはかろうということですから、やはりその目的に合ったような土地の利用ということが、やはり法の目的からしますとそう考えるのが正しいと思いますので、従来は、率直に言いまして、賃貸のケースというのは比較的少なかったわけでありますが、そういった点についても地元から要望があり、また、そういうケースがあり、しかも、そのことが産炭地域振興に裨益するというような場合には考慮してもらいたいというふうに考えております。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 それから、堀坂さんに質問しますが、中小企業金融公庫からお金を借りるには登録税は要らないが、産炭地域振興事業団からお金を借りた場合は登録税が要るから、これでは保護制度にならぬと言っておられますが、もうちょっと説明していただきたい。
  28. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) そのことは、たとえば中小企業者が、中小企業金融公庫と、それから産炭地域振興事業団の両方から金を借りたといたします。その場合には登録税法によりまして、中小企業金融公庫がその機関のためにする登録については登録税を課さないという規定があるのでございます。それにはいわゆる事業団というものは全然入っていないのでございまして、公庫、公団等のためにするものについては登録税が免除されております。したがいまして、これはすなわちどういうことかと申しますと、中小企業金融公庫が一千万なら一千万貸した、それの担保として抵当権を設定する、その抵当権を設定する場合におきましては、これは中小企業金融公庫のためにする登録であるということで、登録税が課せられないのでございますが、事業団がそこに指定をされておりませんので、これは単に産炭地域振興事業団だけでなくて、他のこの種のものはすべてそうでございますが、指定をされておりませんので、同じ時期に借りたのだけれども産炭地域振興事業団のために提供したものについては登録税を出さなければならない、かようになっております。この点がよく融資を受けた方々から、これは同じ事業中小企業金融公庫産炭地域振興事業団から金を借りて、あなたのほうには登録税を払わなければならぬというのは、どうも趣旨から言ってさかさまじゃないかというお話があるのであります。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 この前の当委員会参考人意見にもそういうのがありまして、三者協調融資というのがありまして、市中銀行と中金とそれからおたくから借りまして、おのおの税率だけじゃありません、歩積み両建てなどありましたが、少し意味が違いますけれども、そういう意見がありました。借りる人としてはそういう専門屋じゃないから、中小企業は特にわからぬわけですよ。こういう点は、やはりしろうとでもすなおにわかるようにしておきませんと法律上困るのですね。どうでしょうね、政府の見解としては、局長
  30. 井上亮

    政府委員(井上亮君) そういった先生御指摘のような不備があると思いまして、こういった点については今後私どもやはり取り上げまして、改善のための検討を行ないたいというふうに考えております。確かに少しおかしい点があると私ども感じております。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 それから、その次は、産炭地にくる企業家が喜んでくるようにするには一体どうするか。これは運転資金の問題もありましょう。設備資金だけは四割貸してやるけれどもあと運転資金を貸さぬので、一年か一年半で倒れた企業衆議院でも相当論議になっておりますけれども、同時に、行く以上は、非常にいい条件がないと行かないわけですね。そこまではまだなかなか政府としても手が出ていないのですね、誘致された企業に。そこで、堀坂さん、もう少しここに述べられておることを説明をしてもらいたいが、例を述べておられる補助金制度の問題などですね。たとえば機械に対する補助金とか、あるいは工場に対する補助金とか、将来はいいですよということでなくて、あるいは事業税を減免いたしますということでなくて、そのとき、もう当初から、いまのところ私ども理解しておるのは、設備資金を四割貸しますというのが一つの大きな目標です。あとはあまり変わらぬのじゃないか。そういたしますと、若い誘致された企業が、販路が十分確保されておらぬところにぽつんとできましてやっていけるはずがないじゃないかと思うのですね。よほど前もって手厚い保護を加えないと競争できないわけです、古い企業とは。したがって、この喜んで誘致されるというその条件については、堀坂さんからまずお聞かせ願いたいのだが、どういうものを考えられるか。あなた方は事業にいつも接しておるから、お話をお聞きしたいと思います。
  32. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) お答え申し上げます。  企業が喜んでその地に設置するということは、その企業がそこに行けば他の地域よりも早くもうけられるとか、あるいは早く償却ができるとかいうようなことが相当はっきりしておる必要があると思うのでございます。この点につきまして、各それぞれいろいろな制度があるのでございますが、欧州等におきましても、いわゆる産炭地問題というのは一般の地域開発政策の中で取り扱われておるけれども、日本における場合と同じように、突如としてある安定しておった地域経済というものが崩壊をする、それに対処する政策であるということからいたしまして、そのような産炭地企業等を持っていきます場合におきましては、たとえば設備補助金を上げますというようなことをやっておるわけでございます。英国の例を申し上げますならば、英国は昨年末までは、工場の建物につきましては二五%ないし三五%補助金を上げます。これは他の地域に工場をつくる場合はないのでございます。それから、機械及び装置につきましては一〇%の補助金を上げますということをいたしますとともに、いわゆる超過償却及び償却の割り増し償却というようなことをやったのでございます。それがさらに、英国が御承知のように、ポンド危機というような情勢もあり、経済の、特に工業の発展が諸外国に立ちおくれたというようなことを考慮いたしまして、昨年の十月において設定いたしましたナショナルプランに基づきまして、ことしの一月からはさらにその制度を改めまして、割り増し償却、あるいは超過償却という制度をほとんどやめまして、そして設備及び機械については四〇%補助金を出す、それから、建物については二五%ないし三五%補助金を出すというような制度をとっておるのでございます。そのゆえんは何かと申しますと、第一に、償却でみるということについては、これはいずれにしろ、財政上の負担になるけれども企業の成績とか種類によってその受ける稗益が違う、相当の投資をした数年後においてそういう利益が出てくるとか、そういうことである。一体これではどうも企業意欲を起こすのに十分でないということから、そういう機械等に対する補助金を大幅に上げたのでございます。なお、四〇%に上げると同時に、他の地域におきましても機械及び装置については二〇%の補助金を出すという新しい制度をつくりましたので、差は二〇%であるということでございます。それから、建物及び装置につきましては、他の地域で工場を興こした場合には補助金はございませんで、産炭地等の開発地域に行った人に対しては補助金は厚くなるわけであります。したがいまして、そういうふうにしますことは、開発地域に人口が集まって、そこで工業が興こっていく、あるいは人口が集まったことによるところの交通障害、大気汚染というような問題が起こる、それに伴うところの国家の支出が多くなるとか、あるいは既存の工業地帯の公共投資がむだになるとかいうようなことを考えれば、そういう補助金を出してもこういうふうな緊急なこの構造的不況地域企業を興こさしたほうが得であるし、そういうふうにすれば、同じ設備に他の地域で五億の投資であったものが、産炭地というような構造的不況地域でやれば三億の投資にしかならない、補助金をもらいますから。そうするならば、そこで十分に経済的に競争し得るようになるのじゃないか、こういう考え方であります。これは国民経済的にもそちらのほうが有利である。失業保険を出したり生活保護をしたり、あるいは過密地帯の大気汚染防止に非常に多くの投資をしたりする都市再開発をより一そうやっていかなければならぬというようなことの趣旨から考えれば割り安であるという考え方であるし、企業家にとっても、いわゆる労働力の安定した空気のいいところで産業を興こすことができるだろう、こういう考え方に基いておるのでございまして、これは英国と同じような補助金云々の問題が日本ですぐできるとは思いませんけれども、いまの日本の地域に対するいろいろな援助制度の中において、先ほど小柳先生がおっしゃいましたこの四〇%、六分五厘の融資ということが特に目立つというこの制度では、なかなか産炭地に工場を持っていらっしゃい、そちらのほうが有利ですよというふうにはなかなかいいにくいとわれわれは言っておるのでございますけれども企業家の人はそう感じてこられないということがございますので、まあそういうようなことが第一点であろうと思うのであります。  また、実はそういうようなところで産業を興こすのに非常に有利であるというふうにするためには、むしろ熟練した労働者等がそういうふうなところに移ることがむしろ奨励されるという実は制度がとられておるのでございまして、基幹労働者が工場密集地帯等からそういう開発地域に行って就職をするという場合については移転手当をやる、あるいはそういうところに近代的な都市をつくる、建物は低家賃住宅といいますけれども、非常にりっぱな住宅でございますが、そういったようなものをつくるということによって、そういう構造的不況地域に行っても文化的な生活ができ、教育ができるというふうな制度の政策の集中というものが行なわれておると思うのであります。そのようなことが企業者にとって私は非常に大きな魅力になるのではないかと思うのであります。  これ以外に、国によりましては、進出した企業については、損をした場合には国が補償するというような制度をとっておるところもございます。あるいは構造的不況地域については、一定期間金利一%までに利子補給をするというような制度をとっておるところもございます。いろいろな制度がございますので、それをすべて日本でやるということは非常に困難であると思うのでございますが、日本の現在の産業の太平洋ベルト地帯への集中という傾向ともあわせて考えますならば、かつて相当りっぱな経済地域であった産炭地等に、そうしてそこには相当多くの公共投資が行なわれておるわけでございますが、産業誘致し、そういう公共投資を生かしていく、あるいは地域住民の疲弊というものを救うということのためにも、もう一段の御援助をお願いしたい、こういうことでございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 大きく三つの問題で、一つは、私が大臣質問したいという、たとえば九州なら九州の、これが石炭産業を中心として発展してきて、いま陥没しつつあるが、これをどうするかという基本的な問題がありますが、あと質問しますが、第二は、設備資金四割貸すと同時に、もう少し機械設備なり、あるいは工場なり、その他の補助的なものをやるべきである、これは産炭地域振興事業団のほうでできるのかできないのかという問題が一つあります。それから、運転資金五億のもの、それをもう少し拡大をして有効に使いなさいという問題が含まれておる。いまの意見の中に大きく三つの問題があるようでありますが、政府としての一番基本的な考え方を聞きますけれども、第二の設備資金の四割のほかに、何とかもう少し企業誘致された企業が仕事始めのしやすいように保護するということがこの事業団のほうでできるのかできないのかという点、いかがでしょうか。
  34. 井上亮

    政府委員(井上亮君) お答えいたします。  ただいま御質問の、産炭地域振興事業団で、単に設備資金融資、四割程度融資という形でやるだけでなしに、産炭地誘致されました工場等の機械設備に対する補助ができないかというような御質問でございますが、私は、この点につきましては、政策の重点をもっと積極的、かつ活発に工場誘致をやるべきだということであれば、それを国全体でそういう方針を確認すればこの法律の対象足り得るというふうに考えます。  それから、なお、次に運転資金の問題でございますが、これはまあことしは、先生御承知のように、初めてことしから産炭地域振興事業団に、設備資金のみならず、運転資金融資業務を追加いたしたわけでございまして、この法律が通りますとそういう業務が開始されるわけですが、初年度でもございますので、予算等はまだ私きわめて不十分だと思っておりますが、これはまあ逐次拡大されるものと私は考えております。また、そうしなければいかぬと思います。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 次の大きな問題は環境整備の問題ですが、堀坂さんの御意見の中に非常にいいことを言っておられる。私どもも閉山したあとの山を回わります。年に何回か回わりますと、まことにこれもう荒涼たるものを感ずるわけです。で、閉山いたしますというと、宿舎はそのまま荒れ果てて、したがって、そこを政府が、閉山されたら政府責任でその地ならしをして、あるいは牧草を植えたりと、ここにも書いてあるこの点をもう少し堀坂参考人から意見を聞きたいのですね、環境整備の問題。で、早急に国が手を入れておいて、そうしますと今度企業者や商人でもそうですが、もう企業者などは一目見たらわかるでしょうが、車でずっと回わりますと、ボタ山があり、廃鉱のあとがあり、何しているというと寄りつきませんけれども、きれいにしておきますと何とかやろうかという気になりますね。それでちょっと堀坂参考人意見を聞いて、そのあと政府から意見を聞きます。
  36. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) 産炭地振興の問題は、まず、地域経済なり地域住民のこの疲弊感というものをぬぐってやるような実質的なものを備えるということであろうと思いますし、これが社会開発政策といってもいいであろうと思うのであります。そういう点におきまして、この環境を整備するということは、これはやはりこういう場合の地域振興の基本の問題ではないだろうかと思うのであります。今日までの環境整備は、これは政府のほうにおかれましても非常に御努力をいただいておるのでございまして、道路、あるいは通信等につきましては非常な優先的な投資をしていただいてきておるのでございますが、残念ながら、ボタ山なり、あるいはボタ山でないまでも、炭鉱の鉱業用地のあと地というものがこわれたままに放置されておる。したがいまして、この地域住民に、これらの地域が、ほんとうにわれわれの地域が急速に実は変わっていくんだ、より新しくいい社会に変わっていくんだということをほんとうに確信してもらうようにするためには、そうしたような見捨てられたということばを英国では使っておるのでござますが、そのような環境を早急に改善をして、われわれの地域もこのようにきれいな地域になり得るんだということを早急にしていかなければならないと思うのであります。この点におきまして、日本は鉱害地には非常に進んだ制度をとっていただいておるのでございますが、この鉱害復旧という点を除きましては、いまだ十分に手がついていない。したがって、その周辺の子供さん方は、人心が荒れ、非行行為を行なう人さえ多くなってきているという事情であろうと思うのであります。これを改善をするということは、これはいわゆる経済ベースの企業としては実はできないのでございまして、それはちょうど鉱害地を直し、あるいは道路をよくするような形の資金として早急にやっていく必要があるというふうに私は思っておるものでございまして、地域住民が、われわれの地域が変わって、赤さびの鉄骨やボタにおおわれいてる地域が緑の地になり、あるいは整とんされた土地になるということを知りました場合において起こすであろうところの喜びというものは、必ず地域の大きな発展の力になるであろうというふうに私は思っておるのでございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 石炭局長、いま大臣は来られたばかりですが、いまの問題はわれわれ常に考えておるのですが、地元に山がたくさんあるものですから、山がつぶれますと、そのあとはもう野放し。一番言うならば、ボ夕山を直ちに平地に、もとに返してもらいたい。鉱害はもちろん復旧しなければならない。鉱害は簡単には——安定期間が要りますから。その他、たとえば坑道の閉鎖とか、建て屋撤去とか地ならしとかをすることはできるわけです。合理化事業団範囲ではなさそうだ、合理化事業団は地下の問題になりますね。地上をやるとすれば、現在できておる法律はどちらに、どういうところに入りますか。どういう法律で適用できますか。そういうのを整備する法律ありませんね、どうでしょうか。
  38. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 現在産炭地域に見られますように、非常に疲弊し、かつ、荒廃した地域、これを私、わが国におきましても、先生御承知のように、後進地域の開発のための法律とか、あるいは離島振興の法律とか新産都市とか、いろいろ地域振興関係の諸法律があるわけですが、しかし、私、率直に言いまして、石炭をやっているから申し上げるわけではありませんが、やはり産炭地域の疲弊の程度は、これは後進地域とか新産都市あたりの程度とまるっきり違うわけです。ここは先生も御承知のように、失業の猛烈な多発地帯であり、また、炭鉱とともに栄えてきた町でありますから、その経済の中心を失えばとたんに廃墟と化す。しかも、御承知のように、膨大な鉱害が残り、かつ、ボ夕山という特殊のものが残るというようなことでございますし、しますから、この地域地域社会の疲弊というものは、閉山が進めば相当おそろしい事態になるというふうに私は考えておりまして、そういった意味で、特段の産炭地域に対する産炭地域の振興のための助成を行なわなければならぬというふうに私は考えております。そこで、産炭地域振興臨時措置法とか、あるいは産炭地域振興事業団法、これはこういった意味合いからできていると私は思っているわけですが、これはもう先生御承知のように、この法律は実は私つくってまいったわけでございますが、やはりなかなか実際にこれを適用し、運営してみますと、私は、まあ自画自賛するわけではありませんが、相当程度のことはこれでできると思いますけれども、また、現に相当な業務を事業団がやってこられましたけれども、しかし、産炭地域現状から見ますと、なおまだ非常に問題が残るだろうというふうに自覚をいたしております。で、今後こういった特異の疲弊した産炭地域に対して、地域開発からの観点なり、あるいは社会開発の観点からどういう施策をやっていくのかというようなことは、今後のやはり大きな一つの課題だと私は思っております。こういった施策に私はこの両法律をてこにして十分対処していけるんじゃないかというふうに考えております。現状に甘んじておるものではありません。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 いま局長がおっしゃったようなことが今度の抜本策といわれる答申の中に出るのか出ないのか。ただもう石炭産業のことだけ書いて、あと地域開発とか、あとのそういう炭鉱離職者の問題は当然入ると思いますけれども、そういう問題が出るのか出ないのか。
  40. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 今度の法案は、結論から申し上げますと、産炭地振興についての、特に石炭産業の今後のスクラップ・アンド・ビルド政策、これに関連いたしまして、直接にやはり産炭地域の問題に関連いたしてまいりますので、石炭鉱の再建策が主体になりますけれども、しかし、そういった関係がございますから、産炭地域振興についての基本的なやはりあり方の問題方針の問題、こういった問題は触れられると思います。しかし、第一次調査団でやりましたように、第一次調査団は、先生御承知のように、石炭鉱業の安定対策だけでなしに、産炭地振興に至るまで網羅的に、包括的に答申をお願いしたわけですが、今回のは、まず、第一次的には石炭鉱業の再建策、これが中心になってただいま議論されております。しかし、これは大臣からも特に御指示がありまして、当然この石炭鉱業の今後のあり方と関連して、産炭地振興政策についても大きなやはり反省を必要とするというような観点から、この答申はおそらくこの六月の末くらいまでには一応答申していただけるのではないかというふうに見通しておりますが、その直後にこの答申抜本策とも関連する産炭地振興についての検討をいたしたい。  なお、これまた先生御承知のことですが、私どもいろいろ諮問いたします審議会の組織の関係は、一応石炭鉱業審議会、それから、産炭地については、特に産炭地域振興審議会というのが石炭鉱業審議会と並んであるわけです。これは一本にできないかというような御議論もかつてあったわけですが、これは性質が違いますので、特に産炭地域振興対策になりますと、これは地元の県とか、あるいは地元の市町村、こういうところとやはり密接な関係がございます。要するに、審議をしていただきます委員さんもそういった地方の実情を把握され、かつ、指導をされる、こういった方々にも委員になっていただかなければならぬというような意味審議会を二つに分けてございます。先ほど申し上げましたように、抜本策が出次第、これとの関連において振興政策に取り組んでまいりたいという方針でおります。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 今度の改正運転資金五億円つくことは非常に私は賛成であります。これに反対いたしませんが、私は、堀坂参考人の言われたように、産炭地域振興事業団は、閉山になりました山を直ちに、人が見て、こんなりっぱな土地があとからできたのかと思うくらいにすることが一番中心の仕事でなければならぬではないかとかねがね思っていたわけです。たまたまいい口述がありましたから、それを中心に聞いておるのですが、一つの工業団地をつくるとか、ボタ山整理ではなく、この合理化事業計画で閉山がきまったら、直ちにさっと地上はあたりまえの国土に返す、これがもちろん一番大きな事業団の仕事ではないかと思うのですが、したがって、この法律で、いままでの法律でいいならば、そういう指導体制をとるべきではないか、そう思うわけです。ひとつまず局長から……。大臣、いまお聞きのとおりですが、身近な政策的な問題を質問していきたいと思います。局長、どうぞ。
  42. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 産炭地域の振興についての考え方につきましては先生のおっしゃるとおりでございます。私も全く同感でございますので、特に私から申し上げることもないわけですが、問題は、先生は本日こまかい点から大きな点までいろいろ御指摘がありましたが、こういった点を今後体制的にどう整備していくかというのがわれわれの今後の課題だというふうに考えておりますので、先ほど申しましたように、六月答申を受けまして、その直後にそういった広範な問題を議題といたしまして振興対策の樹立に取り組みたいというふうに考えております。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 いま局長から、答申が出た直後、そういう基本的な問題を根本的に考えようということであります。この石炭産業がこういうふうにやって借金を残してどうするかということ、そのことを追いかけることも大事ですが、それはそれとして、とにかくあと地域的にどうするかということ、これが基本的な問題ではないかと思うのです。  で、次に大臣質問をいたしますが、いまの閉山のあった山を直ちに国の責任でもとの国土に返すというこの段階から、もう一つは、先般、九州開発推進協議会の総会でも話が出ましたけれども石炭産業を中心にして栄えました九州北部が、もう経済的にも、あるいは人口としてもどんどん衰退して、急激に陥没しておるわけです。これは北海道でも近い将来そうなるでしょうし、常磐でもそうでしょうね。そういうものを国の政策として、ただこれを産炭地振興などということばで表現しては、これは抜本対策にならぬのではないか。私もEECの石炭鉱業委員会ですか、部会の意見を聞いてきました。それは、あの広い、たとえばドイツとベルギーと、あるいはイタリアと、そういう総合的な調整をやりながら対策を立てているのです。狭い日本で関東と中部と九州と北海道と調整できないはずはないではないか。それはもうほんとうに本気で政治家と政府がやったならばできないことはないではないか。単に福岡県なら県にまかせるとか、あるいは筑豊地帯にまかせるとか、おとといの危機突破大会じゃありませんけれども、市町村の議長まで来て、そうしてあそこで決議文をやらなければ解決しないということではあまりにもお粗末ではないかと思うわけです。国でちゃんとそのくらいはわかるのですから、石炭は今後こうなるということもわかるのですから、ここにはその次に工場をつくるんだと、それには国の費用でボタ山を取ってしまうんだと、こういうことがなぜできないか。そういうことを私ども常に考えておるのですが、ちょうど堀坂参考人意見もありましたので、それを中心にして質問しておるわけですが、大臣、いかがでしょう。
  44. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 産炭地振興の場合は、一つ地域開発という、これは全体の問題があるし、また、一方においては、急激なエネルギー革命による産業の変動等もあって、これはやはり産炭地振興というものは、ただ単純な地域開発とは違った面を持っておる。したがって、産炭地振興として問題を取り上げるほうが実情に沿うのではないか、一般の地域開発じゃなしに。そういう考えでありますが、しかし、実際問題としては、私も産炭地振興というものが所期の目的を達成できているとは思わないのです。いろいろ現地にも参りまして話を聞いてみると、いろいろな問題をかかえておる。だから、今後全面的に産炭地振興計画というものを、過去の経験にも徴して、いまの計画を今後は改定をして、そうしてもうこの産炭地振興というものが実効のあがるようにいままでのやり方を再検討する時期にきておるのではないかという感じを持っておるのでございます。そういう意味において、今後の実施計画というものは全面的な検討を加えたい、こう思っております。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 いままでずっと大臣が来られる前に、私こまかい問題を質問しておったのですが、私ども地元の問題ですから、朝な夕な見たり聞いたりしているわけですがね。この間も参考人意見の中に、あのボタ山の下にはわれわれの大事な土地があったんだと、それを安い値段で買い取られそこにボタ山ができた、したがって閉山になったら直ちにボ夕山をどこかへ持っていってくれると、あとにりっぱな土地が残るんだと、鉱害にしてもすぐ復旧してもらわぬと困ると、それを復旧したら、きれいな土地ができる。道路をつくり、水を持ってくれば工業団地なり、あるいは住宅団地なりになる。そこに木を植えれば公園にもなるわけです。また、川をさらえば、これまたりっぱな緑地帯もできるでしょう。それをやはりやるには離職者がいるわけですね、福岡県なんかも離職者で困っているわけです。で、私どもも、たとえば緊急就労事業の拡大とか、単価の引き上げとか、こまかい問題を言っておりますけれども、これは当然やらなければならぬわけですから、やろうと思えば幾らでも仕事があるわけです。ボタ山も、ちょっと計画的にやれば、これを海に持っていって団地をつくることもできるでしょう、あるいは飛行場をつくることもできるかもしれません。あれだけのボタ山があるのですから、あれを鉄道で運搬すれば飛行場の一つや二つはできるかもしれない。そういうものをやれば、いま産炭地域振興事業団に五億円の運転資金をふやしますというようなことでここでいろいろ貴重な時間を費して論議することは、あとから思ったらばかばかしいことではないかと思うのですよ。ほんとうにこの石炭産業がどうなるかというせとぎわでありますから、そんなものに一つ一つばらばらに取っ組まないで、基本的に、根本的な、今度こそほんとうにそういうものを考えなきゃならぬ。したがって、この法律がばらばらでいけなければ、基本的にまた一緒に法律をまとめてもよろしかろうし、そういうものについて、もう一回大臣から見解を聞いておきたい。
  46. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 先ほども申したように、産炭地振興の問題は、一切の問題を含めて、やっぱりこの機会に再検討してみたいという考えでございます。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 あと鬼木委員もおられますから、法律の内容についてちょっともう少しやっていきますが、運転資金の問題は五億円、これは初めてであるから、将来拡大していくということでありますが、その出資する対象が、現在まで誘致された企業も、将来誘致する企業も対象になるんだということは確認しておいてよろしいでしょうか。
  48. 井上亮

    政府委員(井上亮君) そのとおりでございます。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 第二の問題は、軽量骨材をこれから法律でもってやっていくんですが、これは当初は北九州にある一カ所の会社のようでありますが、将来はこういうのも北海道なり常磐なり、ほうぼうでつくるというような計画はございますか。
  50. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 本年度から産炭地振興事業団に、新たな業務といたしまして出資業務をつけ加えたわけでございまして、その御審議をいまいただいているわけでございますが、ただいま予定しております産炭地域振興事業団から出資します業務は、御承知のように、筑豊のボタを利用しまして軽量骨材をつくるという新企業をつくりたい。これは民間と合弁と申しますか、共同出資の形をとりましてやりたいというふうにいま計画を進めております。これはテストケースになりまして、もし成績があがれば、それは当然北海道についても将来考慮されるというふうに考えますが、ただ、この出資業務は、単にこの軽量骨材だけを考えておりません。産炭地域にやはり何か新規の、あるいは新技術のと申してもいいかもしれませんが、そういった企業で適当なものがあれば、それに対して積極的に助成する意味出資をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  51. 小柳勇

    小柳勇君 次は、工業用水ですけれども、これも一カ所ですね、鞍手のクリークの水が工業用水のあれになりますが、各地域からの陳情では、工業用水だけでなくて、飲料水も産炭地域振興事業団でやれるようにしてくれぬかと、事業の拡大を非常に望んでおるのですね。この間の大会でもそういう決議がありましたが、その点については何か考えておられますか。
  52. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 工業用水の建設につきましては、本年度からこの改正法案におきまして、新たに産炭地域振興事業団に工業用水の建設をやらせるという業務をつけ加えるわけでございますが、ただいまのところは工業用水ということで考えておりますが、私ども数年前から、筑豊地帯はやはり水が問題である、水がないという、そういった点が産炭地振興の非常に一つの阻害要因になっているというような点から、単に工業用水だけでなしに、多目的ダムができるかどうかというような調査も今日までやっております。これは農業用のかんがい用水、あるいは飲料水もありましょうし、それから、工業用水もあるというような多目的なダムの建設についても調査したこともございますが、まだこれを実際に実現させるだけのデータがそろいませんので、ペンディングになっておりますが、将来こういう調査を行ないまして、要すればそういったことについても考慮してまいりたいというふうに考えております。
  53. 小柳勇

    小柳勇君 これはわれわれも賛成ですから、早くやってもらいたいと思うのですが、その他の問題も陳情で相当強く要求されておりますから、この際に大臣のお耳にも入れておいてもらいたいと思います。  それから、大臣のおるすのときに、工場団地を造成したものの売り値を下げてくれという話と、それから、工場団地だけでなくて、宅地造成などにも、その他の公団などの仕事に割り込むようなことでなくて、適用してくれという話がございましたから、これは井上石炭局長答弁で了承してまいりますが、国の補助なども、できたら、やっぱりできたものを一応国が買い上げておいてというようなことも必要じゃないかと思うのです。事業団に仕事をやらしておいて実費主義で売るというようなことは、あまりにも考えがみみっちくありはせぬかと思うわけです。それで、そういう点を基本的に大臣の見解も聞いておきたいと思うのですが、ほんとうの商業ベースでこれをつくって、実費を計算しまして原価主義で売っているものですから、事業団としてもどっちも動けぬような情勢じゃないかと思っているわけですが、大臣の見解をお聞きしておきます。
  54. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 経済採算のベースでやっておるものですからいま御指摘のようなことになるのですが、これはある国によれば、補助金なども出して、必ずしも経済ベースだけでない国の例もあるわけですから、今後の研究題目とさしていただきたいと思っております。
  55. 小柳勇

    小柳勇君 次は、中核企業誘致してくれという要請が非常に強いわけですね。小さい中小企業、小企業だけでは産炭地振興にならぬ。したがって、二千人、三千人おる中核企業誘致していただくと、そこに失業者が全部吸収されて、失業がなくなれば非行少年もなくなるのだという切々たる訴えがありました。中核企業誘致するには一体どうするかといいますと、これはやはり資本別に考えるならば、三井なり三菱なりに当たりまして、三井の山がつぶれたのだから、三井のほかの企業を持っていかないかというような特別な勧誘措置をやりませんとなかなかいかぬのではないかと思う。それには、一千二百億の中の何億か特別に融資してもいいのではないでしょうかね。そういうようなものについては、どうでしょう、大臣、お考えになったことがございますか。
  56. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) どうも私も産炭地のいろいろ話を聞いてみて、何かやはり中核になるものが要るのではないか。まああまり中核になる産業というのではなしに、いろいろな種類の産業産炭地誘致されても、そういうもので全体としての産炭地経済力というものはそう強まってこないですから、だから、今後はこういう工場の誘致に対しても、いままでも熱心にやっているわけですけれども、いま小柳さんの言われたようにもう少しくふうをして、中堅企業誘致できるような何かくふうを加えてみる必要があるのではないでしょうか。そういう努力を、まあ努力というか、そういうくふうをしてみたいと考えております。
  57. 小柳勇

    小柳勇君 この前、田川の体育館で産炭地地域住民の意見を聞く会というのがございました。そこである青年が言いましたのは、かつて大臣が視察に来られたときに、たばこのフィルター工場をつくるとか、あるいは鉄道車両工場をつくるとかというようなことをおっしゃったと、地域住民としては非常に明るかったというわけですね。それがその後立ち消えになってしまって、大臣の約束も何にもならぬではないかというような話。だから、私は、なかなかいろいろの条件が必要ですから、まあすぐ実現はしないと思いますけれども大臣が言われたとなると、地域住民はすぐできると思って待っていますから、だから、ひとつ積極的に大きな工場の誘致などをされませんと、もう視察に行けないんですよ。石炭委員が行っても大臣が行きましても、行ったら放言して帰ってきて、あとは何もやらぬと、そういうことになりますから、もう何回も聞きますよ。それは鉄道車両工場を誘致する、たばこのフィルター工場をつくると言ったけれども一体どうなったか、そういうことですから、ひとつ通産省もほんとうに資本家を集めて、それだけの会を持っていただいてもいいと思うのです。あるいは役所の出先機関−国鉄でも呼んで話すぐらいの熱意を示していいと思うのですよ。でないと、いつまでたってもこれは解決しませんし、この設備資金の四〇%を七〇%に引き上げてくれないかという具体的な要請があるわけなんです。四割だけで、あと六割は自己資金です。銀行も、さっきの話じゃありませんが、歩積み両建てで半分しか借りられない、七割ぐらいに引き上げてくれという話でありますが、さっき堀坂参考人意見でも、たとえば機械に対する補助金とか工場に対する補助金とか、設備資金のほかに何とか具体的に補助金などの施策をとってもらいたいという話もありましたが、大臣から見解をお聞きしておきたいと思います。
  58. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) あの四割というものを、自己資本六割で、四割を頭打ちにしておる、そうでないのです。中核企業で有望なものがあれば、それは五割でも幾らでも出すことは可能です。だから頭打ちというようなことにはなっていないわけです。いずれにしても、いい中核企業たり得るものを誘致する。これに対して、少しいままでのようなことではなかなかむずかしいですから、いろいろこう知恵をしぼってみる必要がある。そういう点で今後くふうを加えていきたいと考えております。
  59. 小柳勇

    小柳勇君 同時に、いままで誘致された企業で、運転資金が足らないためにもう倒れようとする会社もある、あるいは倒れた会社もあるわけですね。これは衆議院の論議の中にも出ておりますけれども、そういうものに、石炭の山をみてやると同じような気持ちで、いままでの借金のたな上げならたな上げと、具体的にはいろいろありましょうが、何か運転資金を貸してやって、もう一年なり二年なり特別のめんどうをみてやろうと、こういう施策はとれないものでしょうかね。
  60. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 三百五十件ですかね、産炭地誘致された企業は。そのうち九件でしたね、まあ産炭地誘致された企業に倒産がある。われわれとしてもまことに残念なことですけれども、今年度から融資ができることになりましたから、こういう面で相当なやはり改善が加えられることになる期待を持っておるわけでございます。
  61. 小柳勇

    小柳勇君 あと、最後は離職者の問題ですが、具体的には黒い手帳、三年経過した人をどうしてくれるかという話。それから、中高年齢の再就職がなかなか困難です。これはおとといの参考人意見にあったとおりですね。こういうものが非行少年、あるいは生活保護家庭の崩壊の原因ですから、こういうものに対しては、これは労働省が直接は担当ですけれども、通産省としても無責任とは言えないですね。責任がないとは言えないですが、局長の見解を聞いておきたいと思います。
  62. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 石炭産業の今後の対策に関連いたすわけでございますが、やはり資源産業でございますから、老朽化すれば山を閉山していく。やっぱり新しいビルドの山を造成していくというような政策になろうと思います。そういったスクラップ・アンド・ビルド政策過程でどうしてもやっぱり今後も閉山問題は起こってくる。そういたしますと、やはり離職者の問題が出てくるわけでございまして、先生も御承知のように、私どもといたしましては、石炭鉱業合理化臨時措置法におきまして、これは長期の計画と年間の計画があるわけでございますが、この際にやはり閉山計画計画的に一応見通しを明らかにしたいと思います。それに関連して再就職計画をこれは労働省がやっておりますが、今後の閉山計画、それに見合った再就職計画というようなものを石炭鉱業審議会におきまして審議をいたしまして、再就職もほぼ見通しがつくということを確認した上で閉山施策を実施していくというたてまえになっておりますので、今後ともこの方針を貫いて労働省とも協力してやっていきたいというふうに考えております。
  63. 小柳勇

    小柳勇君 これは直接この法律と関係ないことですが、石炭政策の中で一つあるのは、機械貸与制度をやりますけれども、大型機械で、大手の山には適用できますけれども、小山の小規模炭鉱には適用できないようなものに片寄りがちでありますから、したがって、たとえばさく岩機にいたしましても、小山に使える機械についての機械貸与制度ができるのかどうか、できるようにしてもらいたいという意見がありますが、その点いかがですか。
  64. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 機械貸与制度は、これまた本年度からの新しい事業として実施いたすわけであります。先般、合理化臨時措置法の改正案で一応実施できるような体制ができたわけでございますので、早急にやってまいりたい。御懸念されておりますように、大手だけがこの貸与制度の恩典を受けるものではありませんで、本年度の計画としては、一応私どもは大手に一、中小に一くらいの割合で機械貸与をやっていきたい。本年度は予算も少なくて、どちらかといいますと試験的に貸与制度をやってみるということでございますが、来年度以降につきましては、ことしの実験成績をもとにして、むしろどちらかといいますと中小炭鉱の助成策としてこの貸与制度を活用してまいりたいというふうに考えております。ですから、むしろ重点は貸与制度は大手よりも中小というふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  65. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は、本論に入る前に、ちょっと大臣の御見解を承りたいと思いますが、当委員会大臣はあまりお見えにならぬように思いますが、それはたいへんお忙しいとは思いますけれども石炭特別委員会というのをむしろ軽視されているのではないか。ことに前回も、大野伴睦氏の三回忌であるからどうだとか、あとでそれは御変更になったらしいと思いますけれども、それのために委員会が流れてしまった。その間の事情はどういう御事情があったか、ちょっとよく知りませんけれども、もう少しこの委員会には出ていただいて、十分に石炭対策に対してわれわれに納得のいくようにお話を伺いたいと思う。この本法案にいたしましても、非常に皆さんお待ちになっているということは、十分われわれはわきまえております。だから一日も早く採決してくれというお話でございますけれども、こういう状態では審議が進まない。むしろ私はこれは大臣責任だと思う。その点について大臣の御見解を伺っておきます。
  66. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 石炭問題はきわめて重要な問題でございまして、近く根本的な対策を講じようとしているわけでありますから、石炭対策特別委員会の各位には特に御協力を願わなければならぬので、私がこの委員会を軽視するようなことは毛頭ございません。いままでいろいろな都合で出席の点が少なかったという御批判でありますが、今後はつとめて委員会にも出席をいたすようにいたしたいと思います。
  67. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大臣に私お気に召さぬことを申しましてはなはだ失礼いたしましたが、いまから本論に入ります。これからひとつなごやかに。  実は前の委員会のときに、これも大臣お見えでなかったから御存じないと思いますけれども、北海道の夕張市の市議会議長である本間良孝氏の参考人としてのお話で、北海道における事業団の機能を十分に発揮することができないんじゃないか。私ども現地においてやや不便を感じておる、中央にお伺いしなければできない事件が多い。それは事によりましては、内容によりましては、中央に行かなければならない、これは当然私も考えられますけれども、わざわざこの委員会にお見えいただいて、そうして陳情されるということは、私はよくせきのことであり、非常な御不便を感じていらっしゃると、かように感じたわけであります。聞くところによりますというと、北海道は支所である、こういうことでございますが、もう少し現地の皆さんが御不便を感じられないように何とかできないものか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  68. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) この札幌における北海道の支所、これはいま御指摘のように、強化をする心要があると認めますので、これはごく近い将来に強化することにいたしますことをお約束いたします。
  69. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 近い将来に強化することを約束するという大臣の御答弁で、現地の方もお喜びになると思いますが、問題は、現地からわざわざ陳情に来られて、あれは陳情でなかった、参考人としてわれわれお招きしたのでございますが、実態をここで訴えられて、そうして初めてそれに対して手を打つというようなことでは、すべて後手後手になるのではないか。大臣は、いつも抜本的に石炭対策はやるのだ、こうおっしゃっておりますけれども、これはもうわかり切ったことであって、かつては九州が石炭産業においては第一位を占めておりましたけれども、ここ数年間の急激ないわゆる合理化政策の強化によって九州も逐次縮小されまして、遺憾ながら、現在では北海道に一歩譲らなければならない。また、一歩譲っておるのだ、こういうような現状でございますが、そういうことは専門家の皆さんは実態は当然わかり過ぎるほどわかっていなければならない。しかるに、現地からそういう声を聞いて、初めてそれはごもっともで、さように考えますと、これでは何のためにベテランがそろっておるのか、私そういう点がどうも納得いかない。その点について、大臣でなくてもようございますから、御答弁願いたいと思います。
  70. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) これは参考人としておいでになって言われたからというわけではないわけで、それはもう実施にすぐ移るわけですから、これは必要を認めておったわけで、私がそれを促進をしたということでございます。いろいろな話があって、それから研究したというのではないわけでございます。むろん後手後手に回る場合もなきにしもあらずでございますが、石炭対策すべてが後手後手とは考えていないのでございます。
  71. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、石炭対策はたいへん御熱心に皆さんにしていただきまして、ありがたく感謝しておりますが、私も全部後手だとは申しませんけれども、自民党の実力者である三木通産大臣にしては、少し両の手から水が漏れておるのではないか、こう思っておるのであります。全面的に私はあなた方のおやりになっておることを否定しておるのではない。その点をひとつ御了解願いたいと思います。  先ほどから産炭地域の振興につきまして、各方面、各観点から論議されましたので、私あらためてどうということはございませんけれども、問題は、産炭地域振興がおくれておるということは、これは事実でありまして、炭鉱のスクラップに振興計画が追いついていけないその結果がこんなになっておるのだ。企業誘致にいたしましても、産業基盤の整備がおくれておるのだ、その点については、大臣でなくても、事業団の方からでもよろしゅうございますが、御答弁願いたいと思います。
  72. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) お答え申し上げます。  産業基盤の整備につきましては、これは政府のほうにおかれましては、国あるいは道、県それぞれのお立場によって所管せられるものが違うのでございますが、今日まだ表面的には出ていないにいたしましても、他の地域なり、あるいはいままでのそれぞれの地域におかれます状況から見ますならば、近い将来においては相当この基本的な面がよくなるという見通しがついているところも決して少なくないのでございますが、先ほどから御審議のございましたように、産炭地域が、ほんとうに産業基盤なり、あるいは環境整備ができたというふうになりますためには、先ほどからの御審議のように、もう一段の努力政府サイドにおいて受け入れられなければならないと思っておるのでありまして、私どもといたしましても、それらにつきましてのできるだけの努力をいたしたいと存じます。
  73. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 事業団の方からそういう御発言を私は待っておったわけなんであります。確かに九州の産炭地域に進出しておりますところの企業は約二百社くらいあると思われますが、いずれもこれは産炭地域振興の中核となるべき企業ではないのでありまして、それがほとんど大部分であります。先ほどからもお話がありましたように、中核企業誘致されないということになりますというと、これは地域経済の真の振興には私はならないと思います。だから、中核企業誘致という面におきましては、これは運転資金も本年度から、この法案が通れば出されるという手は打ってありますけれども、何をおいても産業基盤の私は整備がこれは先決である。そして中核企業誘致すると、しかも、本年度は初年度だから、わずかに五億の金でそれを融資するんだと、これでは大臣がおっしゃるような抜本的政策になるのか。いま事業団のほうのお話でも、もう少し強力にやってもらいたいと、こういうお話でございますが、その点大臣はどのようにお考えでございますか。御見解を承りたいと思います。
  74. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 産業基盤の強化については、数字から見ると、産炭地相当に優遇されておる数字が出ておるわけですが、しかし、どうも急激なそういう産業構造の変化で経済的には条件が非常に悪くなったのですから、少々率がいいということだけではなかなかやはり振興はむずかしい。そういう点で、国の産炭地振興について私は全面的にこの機会に検討してみたい。というのは、こういう産業基盤に対する国の助成というようなものも、この機会にあらためて従来の実績等から考えてみて、そして検討をし直してみたいと考えておるわけであります。これで三木さん十分と思っているのかという御質問だろうと思うが、十分とは思っておりませんと答えるよりほかにない心境でございます。
  75. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 結局先ほどから申しますように、破壊はやすく建設は難しと、全くそのとおりで、スクラップは急速に行なわれて、そのあと始末は遅々として行なわれていない。しかも、企業誘致でも、最も安易に手っとり早くこられるような、また、くるような誘致運動しか行なわれておらない。離職者のそういう点もあると思うのですが、離職者を早急に吸収するため、その見地から手っとり早く、弱体企業でも、とにかく離職者をそれにはめるんだと、何はおいても早くこれをやれと、そういういうところから、中小企業もせっかく産炭地に乗り込んできても倒産するというような、そういう経営不安定なものが私は今日大部分であると思う。そこで、それでは産炭地域経済の総合的な振興には私はならないと思う。一時の糊塗策であり、安易な産炭地振興計画であって、恒久的なものではない、一時的なものである。これでは大臣のおっしゃる抜本的解決にはならない。だから、今後私は、あくまでこの地域経済の中核となる大企業誘致すべきであると思うが、その点、大臣はどのようにお考えになりますか。これはもう当然のことだ、おっしゃるとおりだとおっしゃるかもしれないけれども
  76. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) やはりいまのは、産炭地企業誘致というものは、わりあい力の上からいって脆弱な企業も多いわけでありますから、もう少しやはり中堅といいますか、少し規模の大きい企業産炭地誘致されて、そうしてそれが産炭地経済全体によき関連性を持つようにすることが好ましいと思います。それにはいろいろな条件というもの、あまりこっちの政策的目標だけで企業誘致ということはできにくい点がありますので、これは何らか新しいくふうを加えなければ、いまのようなままではなかなかそういう中堅企業誘致というのはむずかしい。私が再検討をしてみたいというのも、いままでのような状態であるとなかなかやはりやってこないのではないか。そういうことで、もう少し中堅企業誘致できるような新しい構想をこの機会に練りたいということで、全面的に実施計画ども再検討してみようと申し上げているわけでございます。
  77. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大臣のおっしゃることはよくわかりますけれども、実態はなかなか大臣のおっしゃるようにいかない。審議会答申を待つということをよくおっしゃいますが、私は、産炭地域の振興は地域経済を振興するという点から、中小企業や弱小企業ではだめだと、こういうことは、これはもう私は答申を待たなくてもわかっていることだと思う。で、第一次答申、あるいは第二次答申におきましても、御承知のとおりと思いますが、第一次答申も第二次答申も、政府関係企業の積極的進出が大事である。第二次答申では中核となる大企業が望ましい。第一次も第二次答申も、産炭地における企業誘致は大企業でなければいけない、政府関係企業でなければいけない、こういうことを答申してあるように思っております。その点、いかがでしょうか。
  78. 井上亮

    政府委員(井上亮君) お説のとおりでございます。
  79. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、大臣にまた私ちょっとお尋ねしたいのでございますが、これはかつて、なき池田総理が九州に来られて、筑豊地方の産炭地に大企業誘致すると、例すれば専売公社とかあるいは造幣局、あるいは政府機関の被服工場というようなものを誘致するのだと、このようにおっしゃったことを私は記憶いたしております。そこで、私は、前通産大臣の櫻内さんですか、そういうことを予算委員会お尋ねしましたところが、櫻内氏いわく、私もそういう記憶がございます、こういうように答弁いたしております。その点について、今日私ら地元では首を長くして待っておりますけれども、その影すらもまだありませんが、三木通産大臣はその点御存じあるかないか、お勢ねします。
  80. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 池田総理が、私も当時新聞紙を通じて、そういう発言があったということを記憶しております。自民党内閣元総理の言ったそういう約束は、やっぱり政党内閣として、できるだけあとに続く者がやはりその実現に努力をする責任を持っておると思っています。ただ、池田さんが言われてから、ここにもありますが、自衛隊が移駐されたし、それから、工業技術院の九州工業技術試験所が行ったのと、フィルター工場が設置をされた。だから、全然池田元総理がただ放言をしたということではないので、まあかなりそういう意図のもとにできるだけのことはいままでやっておったという実績はありますけれども、これでは地元の期待に完全にこたえてもいないわけでありますから、今後やはりそういう形のほうが一番安定感がありますから、さらに今後その精神を受け継いで努力をいたしてみることにいたしたいと思っております。
  81. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、まことにまじめな御答弁をいただきましたが、これは私、三木大臣お尋ねするのは、いまあなたがおっしゃるように、何と申しましても天下の公党自民党でございますし、あなたも政務調査会長もなさっておったのだから、大臣発言した政策を、おれは知らなかった、新聞紙で見て知ったと、そりゃ発言を新聞紙を見て御存じになったのであって、内容はあなたも同一のお考えであったと思う。政務調査会長が知らないことを言われるわけがないと思う。そこで、まあ幾らかそれはフィルター工場やあるいは自衛隊、この自衛隊はその前からお話があっておりました。全然放言とは言えないかもしれませんけれども、だけども、かなりやったとは言えない、ほんの一部分であって、九牛の一毛にすぎないのであって、でございますので、単なる党勢拡張とか、あるいは選挙目当てのお話であったならば私どもは承知できません。まあなくなった池田さんの死人にむちうつようなことは私はいたしませんけれども、幸いにして三木通産大臣をわれわれはここに迎えておりますので、ただいまのお話のように、十分これの実現ができますように、池田さんが草葉の陰から喜ばれるようにひとつやってもらいたいと思うのです。その点、私の申し上げておりますことと通産大臣の御答弁はやや食い違っておるようでございますけれども、私ども地元としては、もうかなりやってもらったというような考えは毛頭持っておりません。その点ひとつ大臣、もう少しお考えを承りたいと思います。もうだいぶかなりやっているじゃないかというような、これはたいへんな開きがあるようです。それでもう一度念のために。
  82. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 地元とすればこの程度では御満足でないことはわかります。したがって、池田さんはあんなまじめな人ですから、放言をしたというようなことはないと思うわけでございますが、党勢拡張のためにそう大臣発言するというようなことは考えられません。私どもあとに続く者がその精神を受け継いで、まあ地元ではちょっとぐらいのほかはこの問題は実現していないという、そういう御感覚であるということでありますから、これをできるだけわれわれがこういう問題を実現をさして、地元の御期待にもこたえるようにいたしたいと思います。
  83. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 今度は、具体的に大企業誘致につきましてお尋ねしたいのですが、先ほどから私が申しましたように、産業基盤の整備について、北九州、筑豊地方のことを特にお尋ねしたいと思うのですが、道路あるいは港湾、用水、鉄道、網、こういう点について、どのように今日まで整備されたか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。
  84. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 先生も御承知のように、産炭地振興につきまして、産炭地振興臨時措置法に基づきまして、産炭地振興基本計画というものと実施計画をつくっておるわけでございまして、この計画内容は、単に通産省所管だけでなしに、先生御指摘産業基盤の整備という問題が非常に大きな問題でございますので、そういった計画産炭地振興基本計画並びに実施計画の中に盛られておるわけでございまして、これを総合いたしまして計画にいたしておるわけでございますが、ただいままで実施されました施策の大要を申し上げますと、たとえば産業基盤整備の中で、北九州産炭地周辺の道路というものの整備につきましては、これは先生は地元でございますので、私以上にお詳しいと思いますが、たとえば飯塚——直方間のバイパスというようなものは、昭和四十年度よりこれは懸案でございましたが、現に着工いたしております。  それから、なお、水の問題につきましては、久保白ダム、これはいままで長い間の懸案になっておったわけでございますが、これもようやく調査も終わりまして、ただいま国からも一定率の補助、これは従来二五%程度の補助でありましたものを、補助率も三五%に引き上げましてこれの建設に着工いたしております。  それから、なお、これは産業基盤整備の中で、これは私ども産炭地にかつて参りまして、私ども気がつかないで、非常に痛切な訴えをされましてこの施行計画の中に取り入れましたものの中に電話網、即時通話の実現をはかってもらいたいというような要望が各地からあったわけでございまして、こういったものも産炭地振興実施計画の中に取り入れまして、これは郵政省とも緊密な連絡をとりまして、集中局全国即時網への編入等につきましても相当な前進を見ております。いろいろな地点も想定されておりますが、これらにつきましては、大体四十年度末まで、まあ昨年末でございますが、大体実施されるところが相当数にのぼります。それから、なお不十分な点につきましては、引き続いてこういった措置を郵政省とも連絡しまして、促進するようにいま努力いたしております。  そのほか、道路、港湾等につきましては予算措置等で御承知だと思いますけれども、たとえば道路につきましては、全国平均の道路工事量の伸び率が一二、三%に対しまして、産炭地域につきましては二二%というような、この程度では不十分だというおしかりもあろうかと思いますが、いずれにしましても、優遇措置を講ずるように努力いたしまして、そういった実施をはかっております。  それから、企業誘致につきましては、同じく振興計画の中に入っておりますが、この点につきましては、先ほど来の御質問にありましたように、特に今年度からは融資比率の引き上げ、あるいは限度をこえましても、たとえば中堅企業等の融資等に際しまして、必要とあらば四割にとどまらず、五〇%、六〇%、七〇%程度でも必要に応じて出し得るというような体制を整備いたしておるわけであります。ただ、企業誘致が数百企業全国の産炭地誘致されておるわけでございますが、御指摘のように、中小企業が大半でございまして、ほんとうに地元が要望される中堅企業誘致がなかなかはかばかしくない、これらの点について私どもは座視して、ただ融資されるのを待っておるわけではございませんで、地元の市町村におかれましても熱心に中堅企業誘致努力しておられますし、私どもも側面から関係の大企業のほうとも打ち合わせをいたしまして、誘致方の懇請をいたしております。ただ、私がみずから歩きました範囲の感じでは、もう四、五年たてば行ってもいい気持ちはあるけれども、目下経済界は非常に不況でございますし、先の見通しがしばらく立ちがたいというようなことでちゅうちょしておられる大企業も数社ございます。しばらく景気の回復と経済見通しがもう少し明確になるまで待ってほしいというような意見の大企業もございます。しかし、先ほど大臣からもいろいろお答えがございましたように、そういった方針で、さらに私どもは中堅企業、要すれば大企業誘致を可能ならしめる諸条件を検討いたしまして、さらにこういつた点の改善をはかってまいりたいというふうに考えております。  なお、実施計画の実施状況につきましては、相当こまかい内容でございますので、私の説明はこの程度にいたしまして、また先生に資料等で御報告申し上げたいというふうに考えております。
  85. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体産業基盤の整備に対しては、今日までの経路は大体わかりましたが、私は筑豊地方にはたびたび参ります。先月も参りましたが、今月もちょっと行ってみようと思っておるのです。十分皆さん方に、より一そう努力していただかないというと、もう現地はあなた方のおっしゃるようなものではないのです。非常に基盤整備の仕事が山積しておると私は思う。  そこで、事業団の今の運転資金の問題ですが、五億ということで、これは初年度だからというようなお話でございますが、それは機械貸し付けならば試験的でもいいと思いますが、金を融資して仕事をやらせるのに、試験的でやられたのでは私は困ると思う。初年度であっても、先ほど事業団からのお話にもありましたように、五億円という金でとういうふうに  これは小柳先生からも詳しく話がありましたから、私も簡単に済ませたいと思うのですが、貸し付け期間、あるいは利率なんかもはっきりいたしておりますが、融資の対象をどういうふうに査定し、どういう基準でやられるか、実はこの前の委員会の場合にも、田川に進出していらっしゃる広栄堂の社長さんですか、お見えになって、数千万か、五千万か六千万かの金をようやくつくって、そして仕事を始めた。ところが、アンプルは発売禁止だということで、また再び仕事を新たに計画してやらなければならない。そうなるというと、運転資金は全然ない、市中の金融公庫には全然信用がない、つながりがないので、どうしようもない。今回運転資金が、この法案が通ってそういうことになると大いに助かりますというお話がありましたが、融資の対象をどのようにされるのか、わずかに五億の金を、そういう貸し付け方法、査定方法、基準というような点について少し承りたいと思います。
  86. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 産炭地誘致されました企業に対しまして、ことしから運転資金融資制度を設けたわけでございますが、予算は五億でございますが、これは鬼木先生、ちょっともし私の発言でそういったことを言ったとしたら、これは誤りでございまして、試験的ではございません。試験的と申しましたのは、この貸与制度につきましては、これは新機械を、特に新機種に限りまして貸与制度にしたい、つまり融資の対象に乗りがたいものについて、企業は危険がございますから、なかなか新機種は融資を受けて買わない、そういう冒険があるものです。そこで貸与制度でやってみようと、こういうことでございますが、運転資金につきましては、確かに要望額から見ますと、要望額は、私先般の参考人等の御意見も承りまして、大体二十億程度を御要望なさっておられるのではないかと考えておりますが、これに対して五億円でございますから少ないわけでございます。ただ、私どもは、この五億円で十分足りるという確信はいま直ちに持つわけではございません。ただ、この五億円を有効に使いまして、できるだけ産炭地誘致企業が困らないような配慮をしていきたい。もちろん五億だけで運用するわけではありませんで、ほかに中小企業金融公庫からの協調融資もありましょうし、あるいは商工中金の活用資金という問題もあるわけでございますし、なお、また、産炭地域振興事業団から新たに運転資金が出ていきますと市中の協調も得やすいという点もございますので、他の政府関係金融機関、あるいは市中とも連絡を密にして、できるだけ産炭地企業が困らないように努力してまいりたいというふうに考えております。
  87. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いまちょっと私聞きたいという点にも片りんは触れましたが、この従来の信用保証制度などの既存の制度はむろんそのまま活用に努力しなければならぬと思うのですが、新設企業が地元の金融機関と非常に関係が薄いと、だから先日お見えになった稲田社長もその点を切々と訴えておられましたが、そこで、政府関係金融機関から円滑に運転資金の供給ができるように、この法案で運転資金貸し付けはむろんできますが、なおかつ、政府金融機関でも円滑に運転資金の供給ができるように、そういう配慮が十分あるかないか、その点をもう一度ひとつ。
  88. 井上亮

    政府委員(井上亮君) できるだけ鬼木先生の言われますような方針、あるいは考え方で善処してまいりたい。私ども産炭地振興のために、あえてきていただいた企業でございますから、そういった意味で、できるだけきめこまかにお世話申し上げるような態度で融資制度を運用してまいりたい、そういうふうに考えております。
  89. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうふうに私どもお尋ねすると、なかなかりっぱな御答弁ですが、そうすると、前回のように、ああいう広栄堂の社長さんなんかあんなに綿々として切々たる訴えがなされたはずなんです。地域の疲弊し切ったどん底にある産炭地にせっかく企業誘致し、どうぞおいでください、ありがとうございました。それがああいう悲痛な訴えをなさる。その間の事情を承れば、あなた方は十分行き過ぎるように考えておりますが、そういう点が私は話がなかなかうまくぴたっと一致しないのだ、妙合しないのだね。もう少しまじめに、ただ答弁だけでなくて、やってもらいたいのだがね。
  90. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 私は、私のほんとうの行政指導としての信念を申し上げておるわけでございまして、本心にそう考えておるのであります。本日ちょうど参考人として、実際に融資の衝に当たられます産炭地域振興事業団の理事長、理事が見えておりますので、さらに私の方針に基づいて実施に当たられます理事長さん、理事さんの考えを聞いていただきたいと思います。
  91. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 問題は、われわれは悲痛な叫びをもって、おいでください、いわば助けてくれ、そしてお招きをしておきながら、その間、企業体を泣かせるようなことでは、これではどうかと私は思ったのですが、あの日痛感したのですが、その点ひとつ。
  92. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) 事業団としての考え方を申し上げます。鬼木先生のおっしゃいますように、実は産炭地に出ております企業運転資金を全部みるということになりますと、非常に足りない少ない金でございますので、この五億を、いかに進出をしている企業の中で最も苦しいものに重点的に充てるかというのが先生の御趣旨であろうかと私は思うのでございます。進出をしておる企業の中には、相当大きな企業のバックもございまして、市中銀行等の融資を受けることによって、円滑に回転をしておるものも相当あるのでございますが、先ほど来御指摘のように、特殊な問題にぶち当たって、そして運転資金も急に借りられないというようなところにその運転資金を供給することによって、先ほど大臣のお話もございましたように、産炭地にきたという、その誠意といいますか、熱意をお持ちになっている企業を倒さないようにする突っかい棒にするというのがわれわれ運転資金融資さしていただく趣旨であろうと存じておりますので、まず、進出をいたしておりますところの企業運転資金実情等につきましては、目下調査をいたしておるのでございまして、その中で、市中金融機関、あるいは関係政府関係金融機関から融資がすでに出ておるもの、あるいはそれでまだやれる、その方面に今後とも期待できるようなものは、ひとつこの際は少ない資金でございますので、できるだけ御遠慮を願いまして、そうしてできるだけ苦しい企業で、ここで突っかい棒をすれば今後とも円滑な回転をしていき得るという方向に重点的に与えるようにいたしたいと存じますとともに、さらに、その際におきましては、あわせて、私どもといたしましても、中小企業金融公庫、あるいは市中金融機関等と接触をいたしまして、協調融資等々をお願いをすることにいたしたいと思います。
  93. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういう点を私お尋ねしておったのでありますけれども、だから、先ほどから何回も、わずか五億円の金をどうしてどのように貸し付けるのだ、その査定方法貸し付け基準というのはどういうところに置くのかということがようやくいまわかりました。局長はなかなかいいことばかり言って答えを全部はずしてしまい、満足しないのですが、それでいまので大体よくわかりました。どうぞひとつそういうふうによろしく。  それから、これも先ほど小柳先生からお話が出ましたので、私詳しく申し上げなくてもいいと思うのですが、事業団の造成地の譲渡価格がどうもやはり高いのじゃないか。先生のおっしゃっておったように、やはり私は、進出企業にとって魅力的なものとなるように価格を引き下げて、あそこにああいう土地がある、あそこはいい、価格も安い、あそこにひとつ行ってやっていこうというような魅力的な——むりやりに客引きが引っ張るようなことでなくて、魅力的に向こうから進んでそこでひとつやろうというように、やはり私はこの造成地の低廉化ということがまず大事なものであると思う。この点事業団ではどういうふうにお考えになりますか。どういうふうにその坪単価をおきめになっておるのか。今日では坪ということばは使っちゃ悪いことになっておるのですが、これは御容赦をお願いすることにして、単位価格の算出基準と申しますか、それをひとつ承りたい。
  94. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) お答え申し上げます。  事業団の土地造成の原価構成及び売却のやり方でございますが、事業団は、この種の機関といたしまして全体といたしましては事業団の造成の原価が回収をされるということが必要であるのでございますが、産炭地を見ました場合におきまして、非常に整地が容易であるところと、容易でなくて、しかも工場を誘致したいところと、いろいろ実は差が大きいのでございます。したがいまして、造成地の値段を構成いたしますところの土地の買収費及び造成費、それから、政府からお借りしております金に対する利子、それから、事業団が造成をするに要しますところの人件費その他の管理費、これらで一応原価を各団地ごとに構成をいたしますが、その場合におきまして、立地条件がよくて割り安にできたところにつきましては、この造成原価の二〇%以内において若干の調整をいたして少し高く売るということがある反面におきまして、造成費が非常に高くついている立地条件の悪い方面に対しましては、造成原価の今度はまた二〇%以内におきまして調整をして低くするというようなことで、できるだけ全体として事業団関係しておりますところの用地についてはバランスがとれるように実はいたしておるのでございます。  なお、そのほかに、昨年来、この地価引き下げのことに関連いたしまして、実際に原価構成上六分五厘として計算いたしております金利が、自己資金等が若干入っております。そういう関係から出ますところの余裕金をも地価引き下げの財源にいたしておるのでございますが、現実問題といたしましては、各産炭地におきまして、いかに立地条件のいいところといえども、みずからの土地に工場にきていただきたいということで地主は土地を提供しておられるのであります。したがいまして、二〇%以内の調整をやります場合におきましても、あまりにも提供された用地費と、それから造成費、その他プラスの雑費のほかに、さらに大幅な調整、上向きの調整をしたということになりますというと、地元はなかなか御賛成、御満足がいかないわけでございますので、おのずからそこに限界があるという実情になっておるのであります。しかしながら、いままで地元等の御協力等によりまして、やはりもともと自然に考えました場合にいい土地であったと思われるこの粕谷方面というような地域におきましては、これはつくりましたときはいろいろ高いというようなお話があったのでございますが、今日におきましては、むしろ非常に需要が活発であるというふうな形。一力に筑豊の内部におきましては、造成費が五千円かかっておるが、三千七百円で売り出しておってもなお高いというようなことで売れないというふうな実情にあるのでございます。したがいまして、全体といたしまして、私ども事業団の許されます範囲内においての地価調整ということについてはいろいろ努力をいたしておるつもりでございますが、なお、この造成上の技術が未熟であるとかという点のいろいろな至らない点はあるかと思いますが、その点も省みつつ努力をいたしておるつもりでございますが、何でも、なおかつ、この地価が高いという問題は、主としていままで東京とか大阪、名古屋というような方面の近郊地帯に進出をしようというような関係企業というものにきていただくというような運動をいたした場合、あるいは新産業都市と申しますか、水島でございますとか鶴崎でございますとかというような、非常に大きなまとまった造成を府県その他の工事でやりますようなものというようなものから比べますというと、そのような企業がわざわざ産炭地に転出をしてくるという前提で考えるというと、まだ高いというところに実は根本問題があるのでございまして、それらの点につきましては、今日の自己資金プラス借入金で、なるべく原価で造成をするというところについては無理があるので、産炭地という特殊な造成上の困難な地形でもあるという御配慮をいただきまして、企業誘致という観点から、政府におかれまして、それぞれの地域に適した価格と造成費との間の、事業団ができるだけの先ほど申し上げましたような操作をいたしまして決定した地価との差額に開きがございました場合には、それについては何らかの国の補助を賜わりたいというのが私どもの趣旨でございます。
  95. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、私はお尋ねしたいのですが、この用地費というのは、これはむろんわかります。それから造成費というのがあって、なおかつ、その他事務費とか、あるいは人件費とか、そういうものが含まれておると、こう言っているのはどういう意味ですか。
  96. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) 造成費というのは、工事を請け負わしてできたのが造成費でございますが、そのほかに金利をお払いしなければならぬというもの、あるいは私ども事業団の職員がこの造成の工事の基本のあれをやっていますので、それらの人件費、あるいは事務諸費等が管理費としてかかるのでございまして、この点は住宅公団その他の政府機関の土地造成におきますやり方と全く同様でございます。
  97. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それから、その次は、立地条件ということをおっしゃっておりましたが、むろんそれは立地条件はあると思います。そこで私はお尋ねしたい。立地条件ということは、それは画一的に全部平等だということは言えない、あり得ないと思いますけれども、ある程度まではそのいわゆる産業基盤の整備というものができて、道路もあるのだ、工業用水もあるのだ、通信機関もあるのだ、それ以外の立地条件というのは、私はそうどうだこうだというべきあれはないはずだと思う。それに立地条件立地条件ということを言われるということは、先ほどから私が言ったように、産業基盤の整備ができていないから、何もそういうできていないところにばっと土地を造成して、さあおいでくださいといって来るようなばかはいはしない。この点を先ほどから聞いておるのだけれども、どうも石炭局長はうまく逃げてしまって、そうして、そこは私の信念であり、誠意を持って申し上げる。はなはだどうもそういう点がうまくいかないのだ、話は。どう思うか、その点、局長
  98. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 土地造成の問題を端的に申しますと、実はこの法律は、私、課長時代に関係してつくったわけでございますが、土地造成は、スタートは、御承知のように、これは第一次答申あとにできた法律でございます。御承知のように、第一次答申におきまして、七万人の人員整理と千五百万トンの閉山というような大きな政策を打ち出しておるのでございまして、これによって産炭地が非常に疲弊すると同時に、七万人にのぼる相当の離職者が発生するというようなことで、やはり終閉山に伴う環境整備の問題、あわせて失業対策というような観点から、ボタ山を処理しよう、このことが産炭地の環境をよくすることであり、かつまた、急激に発生する離職者に対して職場を与える仕事をつくろうというようなことからボ夕山処理を計画したわけでございます。これが産炭地域振興事業団に土地造成という名前でそういった仕事をやらせようといった動機でございます。今日まで産炭地域振興事業団がやっております土地造成の六割以上は、このボ夕山処理のために予算をとっておるわけであります。現在、大体、筑豊を中心にいたしまして、五百人程度の離職者をボタ山処理に使いまして、しかも、これは単に臨時雇用の形ではなくて、少なくとも五年以上安定した職場となるようにするというような配慮で現在土地造成をやっております。したがいまして、どうしても事業団に味方をいたしまして、コストの高いのを私はこれでけっこうだというつもりは毛頭ございません。ございませんけれども、いわば緊急就労的なボ夕山処理を土地造成としてやっておるわけでございます。そういった意味合いからしますと、これを経済採算ベースで、先ほど堀坂参考人が言いましたように、かかったコストをもとにして販売価格をきめていくというような考え方で、はたして企業誘致という観点に焦点をしぼったときに、そういう考え方でいいのかどうかというのが、これは一つの私は現時点における再検討すべき問題ではないかというふうに考えております。したがいまして、現在土地の値段が高いというような御批判もあります。それから、さらに、ただいま御指摘がありましたように、事業団の人件費までコストに入れるとは何事かという御質問もあるわけでございますが、こういった点も含めまして、ひとつこの事業団の土地造成について根本的に検討してみたいというふうに考えております。
  99. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  100. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。
  101. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その点ですがね。いま石炭局長がお話になって、やや私が聞いているところに近づいてきたのだが、立地条件の問題にしても、それから、先ほどおっしゃったように、経費がかかった分だけは全部それを計算するのだと。すなわち、事務費や人件費までも入れて計算する、こんなところは、どうもわれわれはその考えがちょっとうなずけない。事業団の方を責めたってしょうがないが、あなた方にちょっとお尋ねするのだけれども、そういう点に、私は、やはりあなたのおっしゃるように、これは大臣いないが、いわゆる大臣の言う抜本的改革をしなければいけないと思うのですね、そういう点からやっぱり単価が非常に高くなっているんだと思うのです。立地条件云々だなんというようなことは、それは炭鉱地に、まあ山はありましょうが、谷あり川あり海あり、飛行機で行かなければ行けないというところはないのですから、ある程度道路を整備したり、工業用水の完ぺきをはかる、あるいは通信網ですね、そうすれば立地条件はほぼ同じようなあれになるわけですね。そういう産業基盤の整備ということがまだ不徹底である。だから、一般的には甲地、乙地、丙地というように団地の差があって、便利なところ、不便なところ、いろいろあるかもしれぬけれども、何といったって地域の基盤をなす、産業基盤をなす企業誘致ということになれば、やはりすべての点から有機的に私は便利のいいところでなければこれはでき得ないと思う。  それから、一ぺんじゃ終わらぬから、またお尋ねするのですが、その次にちょっとお尋ねしたいのは、造成用地の代金の支払いですが、こういう支払い方法を少し緩和して、まあたとえて言うならば、いわゆる延べ払いで期間延長するとかいうような便宜ははかられないんですが、この点。
  102. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 現在は売り渡しが原則的な運用になっておりますけれども、これは貸与でも私は差しつかえないと思っております。  それから、さらに延納の問題ですが、割賦ですか、この点も事業団の経理と関係いたしますから、私ここで即断もできませんけれども、私は、この点もまあ誘致企業に便宜を供するという点からすれば、これは私はケース・バイ・ケースで考慮してあげていいのじゃないか。現に一、二そういった例もございます。ですから、これは別に実情によってやっぱりそういう配慮をしてあげていいと思います。ただ、事業団の経理との関係がありますから、その点を私ちょっと配慮しなければいかぬと思いますが、さように考えております。
  103. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 工業用地の造成にあわせて住宅用地もつくるのだ、造成するのだという事業団のお話でございましたが、私はこれは十分一つ推進していただいて、事業団の能率化、弾力化をはかっていただきたい。これは特に要望しておきます。  それから、鞍手の工業用水の件でございますか、これはとの程度の−むろんまだ計画でしょうが、これも先ほど小柳先生からお話がありましたが、クリークを利用いたしまして、そうして工業用水をつくるのだ、どういう計画でどういう構想でおやりになるのか、事業団のほうから。
  104. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) お答え申し上げます。  供給いたします予定の水の量は、日量大体二万二千トン、そのためのいわゆる建設費といたしまして三億三千万程度であると存じております。この事業は、炭鉱の採掘によりましてできました公害地の復旧にあたりまして、その用土をとるためにできましたクリークが二つあるわけであります。そのクリークに百万トン以上の水が常時たまっておるという事実と、それから、さらに鞍手町、あるいは中間市、遠賀町の範囲内におきまして、年間一千万トン、パーで三万トンになるのですが、一千万トンの水を公害復旧として排水をしなければならないというよう事情にあるわけであります。この捨てております水をできるだけ有効に利用するということが第二のポイントであります。さらに、もう一つ、炭鉱の採掘によって堆積いたしましたボ夕山から出てくる水によって汚染されている西川、この三つを有効に利用することによって、この二万二千トンの水を、主といたして事業団が造成いたしました工業団地にくる企業、あるいはそれに関連する企業等に供給しようとするものでございます。
  105. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 もう時間がありませんから簡単にしますが、それから、軽量骨材ですかね、これの基本調査といいますか、それから、将来の見通しなどは十分御研究が進んでおりますかね、その点をひとつ。
  106. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) ボタを利用いたします軽量骨材の問題でございますが、これにつきましては、欧州、特にオランダ、それからハンガリー、ポーランド、英国等においては相当古くから実用化されておるのでございます。日本におきましては、このボタを利用する軽量骨材というのはいまだ企業化されたものは一つもないのでございますが、御承知のように、数億トンのボタが堆積をいたしておるということ、それから、生産に伴いまして、石炭とほぼ同量のボタが排出をされなければならず、その捨て場に非常に困っておる。あるいは石炭の生産コストに相当の負担になっておるという事情等にかんがみまして、事業団が発足いたしました三十七年以来資料の収集に当たりまして、三十八年から通産省の委託調査費をもちましてボタの性状調査を全国的にいたしたのでございます。これの製造に必要な焼結等については、大学及び通産省の研究所、それから、これに関連する技術を持っておるプラントメーカー、あるいはコンサルタント等のお力をかりまして、二年間にわたって実際に検討をいたしてまいったのでございまして、できたものにつきましてはコンクリート試験等をもやっておるのでございます。このような事業につきましてはわが国におきましては初めてでございますので、いま先生の御指摘のように、十分であるかということになりますと、これは新しいことでありますだけに、一〇〇%十分でございますと、まあ十分といいますか、十分な研究はいたしましたという大それたことは言えないのでございますが、できるだけの検討をいたしてきたつもりでおります。
  107. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、私も、それは外国では、いまおっしゃったように、もうすでにやっておるということは聞いておりましたけれども、その点については全然私も未知でわかりません。またよく私も研究していきたいと思います。その次に事業団の方にお尋ねしたいのですが、これは筑豊のことですが、昨年公団で土を取って民家に非常に被害がある。それで、そういう点が、事業団なんかがおやりになる場合に、これは道路に支障はないか、あるいは人家に支障はないかということを十分お考えになっておやりになっておるのだと思いますが、昨年やられて、そして今日までそういうことがおわかりにならなかった、そういうことがあり得ますか。
  108. 堀坂政太郎

    参考人堀坂政太郎君) 私ども土地造成をいたします場合におきましては、その造成に伴いまして周囲にできるだけ被害を及ぼさないように十分な注意をいたしておるつもりでございますが、間々いろいろの問題が出ることはございますが、いま御指摘の、土を取って民家に被害を及ぼして問題が起こったということにつきましては了承をいたしておりませんので、なお調べてみたいと思っております。
  109. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、これはもう実は鉱害課長が九州に行っておるわけなんです。この件だけで行ったわけではないでしょうけれども、いま電話がかかってきたのです。いまここへ通知がきているのです。公団で昨年やって土を取ったところから三、四十メトール離れておるからだいじょうぶだとは思うけれども、すぐにその被害者のあれを知らせてくれというので、九州鉱害復旧公団からいま電話があった。事業団なんかがやはりそういう仕事をやられるというときには、十分私は注意していただきたいと思うのですね、これは事実であるから。いま電話してきておるのです。鉱害課長をその件だけで調べにやったわけではない、ほかに用があって行ったのでしょうが、これは事業団の方を責めているわけじゃございませんから、気を悪くなさらないでください。  それから、これは石炭局長に尋ねたいのですが、これも同じようなことなんですが、小竹町に日尾鉱業所といって、露天掘をやっておる。そのために町道が通れないようになっておる。雨でも降ったらどぼどぼでどうもこうもならない。だから、これはぼくは福岡の通産局で知っていないか、そういうことは。ところが、いま電話で返事がきている、道はたいへん悪いけれども、これは公団でやった工事ではありませんと。露天掘りなんか公団がするわけがありません。県のほうに調査を依頼しましたと、こういういま電話で返事があった。これは現地を見て道が悪い、だから、これは直ちに電話で通産局に問い合わせて−もう鉱害課長は何をしておるかわからない。これは鉱害課長のところに直ちに連絡がとれないのか。これは町道が全部だめになっておる。だから町の人が全部出て、だれも相手にしないならば自分たちでつくらなければしかたないだろうと、こういうことになっておる。そんな、むろん石炭も大事だ、露天掘りも大事だけれども、そういう大衆を殺してしまうようなやり方ではぼくは不都合だと思う。しかも、それが通産局あたりがわからぬなど。ただ通産局にじっと閉じこもって、何か事があったときにばっと飛び出して行く、そんなことでは出先は要らない、時々刻々どういうふうなことになっておるかということがわからなければ、それが掌握ができなければ。だから、直ちに電話で通産局に連絡をとって、そしてこの処理をしてもらいたいと思う。
  110. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 小竹町の日尾炭鉱の露天掘りによる道路の被害の状況につきまして、先生のおっしゃるとおり、さっそく電話で福岡通産局に連絡しまして、一ぺんおそらくそのお話では現場は見ていると思いますけれども、さらに念のため現場を視察して、原因が何からそうなっているか、それから、それに対する対策はどうしたらいいかというような点について至急連絡をいたします。
  111. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に、最後にもう一つお尋ねいたします。  組夫の位置づけですが、これも小柳先生がおっしゃったように、労働省の問題かもしれぬけれども、ついでのことだから。組夫の位置づけということに対してはどういうふうに話が進んでおるのか。あなたが知らなければ、これは労働省の問題といえばそれでおしまいだけれども、しかし、これは関係がないということはない。大いに大ありなんだ。あり過ぎるほどある、局長
  112. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 先生のおっしゃる組夫の位置づけという意味がちょっとわかりにくい点がありますが……。
  113. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 わかった。それじゃ具体的にいいます。たとえば災害を受けた場合とか、あるいはそれに対する補償、手当の問題とか、あるいは離職した場合の離職手当とか、そういうことがどういうふうになっておるか。たとえばだ、大体位置づけというのは、大体それくらいのことは感じなければね、局長。どういうことをおっしゃっておるのかわかりませんじゃ、話にならぬじゃないか、赤子の手をとって話をするようなことじゃ。
  114. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 組夫問題は、非常に広範な、いろいろな問題があることは承知しておりますし、先生にあまり的確な答弁ができなくても申しわけありませんと思いましてお尋ねをいたしたわけでございますが、災害が起こった場合の手当の問題、これはいろいろ労働省の関係、厚生省の関係、いろいろあると思いますが、離職者の、いわゆる離職しますときに、特に閉山等ありましたときに、閉山交付金と関連いたしまして、常用雇用の労働者に対しましては、その閉山に伴いまして退職いたしますときには加算離職金というのを、離職金は約一カ月程度の給料でございますが、相当のものを交付する制度、これには御指摘のように、組夫は入っておりません。しかし、これは他省の関係で、私正確にはお答えできませんけれども、ただ、まあ山野の災害等で、私現地へ一、二週間滞在いたしましたときの、災害対策本部におりましたときの体験、経験から申しますと、ああいった災害の際には、これは組夫も同様に享受できるというふうに存じております。
  115. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは労働省の管轄の問題であるかもしれぬけれども、やはりおりに触れ、時に触れ、他省との関係はあるはずなんだから、出炭を確保するためには、今日の事態として、正式な労務者が足らない、一応組夫の方を採用するんだと、そして国家の要望にこたえて出炭量の五千五百万トン、それまで出ておらぬかもしれぬけれども、それまではやるんだと、そして強制労働させたり、あるいは時間外にやらしたり、そして出炭を急がしておる。使うだけ使って、何か災害があったり、あるいは離職をする場合には関係ないんだと、たとい雇用関係があろうがなかろうが、その炭鉱の出炭に対して、炭鉱の事業に対しては、やはり差別があるわけがない。そういうことが、他省の問題であるからといったって、これは石炭局長として、また、通産省として、石炭はあなた方が掘らしておるんだ、人間の身分は労働省が握っておるかもしれぬけれども、掘らしているのはあなた方でしょうからして、それを他省の問題だからといって正確なことはわかりませんじゃ話にならぬじゃないか、それじゃ。
  116. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 閉山に伴いまして、離職しますときの交付金に関連しまして出ます離職金制度は常用雇用に限られておりますが、その他の災害等に際しますときの取り扱いについては、常用雇用と組夫は同じだと私承知いたしております。
  117. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だから、離職する場合、閉廃山で離職する場合には手当があるんだと、こういう意味ですか。
  118. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 閉山に伴いまして閉山交付金を支出するわけでございますが、その際には常用雇用の離職者のみが、見舞金といいますか、国からの離職金をもらうような仕組みになっております。しかし、それ以外の、つまり災害のときの犠牲者とか、こういった点についての扱いは、常用雇用の労働者も、あるいは組夫も、これはまあ同一の扱いを受けておるわけでございます。
  119. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、問題は、先ほど来私はたびたび申し上げますように、身分は労働省で扱かっておるかもしれないけれども、実際に仕事をさしておるのは通産省で、そして石炭を掘らしておるんだから、それをただ供手しておる、傍観しておるということじゃ、私はあなたたちもおかしいと思うのですよ。実際働かしておるのはあなたたちが働かしておるんだ。そして離職する場合にはそのまま、はいさよなら、はいそれまでよ、それでは話がこれはおかしいと私は思うのです。それに対しては労働省あたりとも十分に合議して、それじゃ困ると、それでなかったら労働省は、もう少しはっきりそういう組夫の方は別に就職させて、それにはもう使わないなら使わないと。ところが、そういうことになるというと、今日石炭は出ませんよ。だから、技術の点においても何の点においても何ら変わりないんで、長年の経験を持っておる人なんです。そういう人たちは、これは炭鉱にとってはとうとい人なんです。それを差別待遇するなんていうようなことは、そういうことは山元に、企業主にあなたたちが十分それは勧告すべきであると思う。その点はどういうふうなお考えを持っていますか、局長
  120. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 先生の言われた趣旨はよくわかるわけでございまして、なお、組夫のこういった取り扱いにつきまして、十分今後ともに研究はいたしてまいりたいと思います。ただ、閉山いたしました場合の離職金の問題につきましては、これはやはり常用雇用はそこで生涯を働くというような契約になっておりますが、組夫は、先生も御承知のように、臨時であり、かつ、その山専属ではございません。そういった性格がありますので、いわゆる常用雇用とは離職金については差別されるというふうに思いますが、その他災害によって犠牲を受けたというような場合には、それはまあ恩典は全く同じだというふうに私は了承いたします。
  121. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 正式の労務者と組夫の方は離職金においては差別があるといまあなたは言われた。差別があるというなら、離職金はあるわけですか。全然ないのとあるのと、あるけれども差別があるのか、その点はっきりしてください。
  122. 井上亮

    政府委員(井上亮君) ことばが少し不正確だったと思いますが、閉山をいたしますと、閉山しました山に組夫として入っておられる方は、一応その閉山とともにその山での仕事はなくなるわけでございます、その山では。しかし、組に所属いたしておりますので、組は、必ずしも閉山しました山に専属的に自分の組夫を雇用関係させておるわけではありませんので、転々としている。その意味では離職の事実はないということも言えるかと思います。ですから、そういった趣旨から、離職金の場合には、やはり生涯その山で働くというような雇用関係をしている常用雇用につきまして特に離職金を出しているというような制度でございますが、ただ、それ以外の点につきましては、これは先ほど来申し上げましたように、常用雇用と組夫とに差別はないように理解いたしております。
  123. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 しかし、それはむろん組夫の方は臨時だと思います。むろん手数も短かい。一方は親代々おったとか、あるいはもう十年も二十年も三十年もおったという方と、組夫として臨時に入っておられた方を離職金でも同等にやれ、それは理屈は通らない。そういうことを私は言っているのじゃない。しかし、たとい期間が短かいから、半年であろうが一年であろうが、臨時手当、臨時退職金、臨時離職金というものはあるはずなんだ。それがないというのはおかしい。たとえば個人のうちにたとえても同じだ。大体役所あたりでもそうなんだ。もう学校を出て、そしてあなたたちのように局長、あるいは将来は次官、大臣になるかもしれぬけれども、そんな方も、あるいはアルバイトで入ってきた人も当然の報酬を出すべきなんだ。これは臨時だから何にも出さない、これはまだ半年ぐらいだからやれない、そんなことはあるわけがない。個人のうちだってそうだ。個人の商売だって、番頭として長年おった人にはのれんを分けてやる、また、妻もめとらしてやろうし、財産も分けてやろう。だけど、一時的に手伝いに来たという人には、やはりその人と別れるときには、相当の報酬と同時に、一月であろうが二月であろうが半年であろうが、プラスアルファで、たいへん御苦労でしたと、当然あるはずです。常識で考えたってわかる。それをまだどうだこうだと局長が言うのはおかしい。
  124. 小柳勇

    小柳勇君 組夫の問題は、速記録に誤って載るとぐあいが悪いから、いまぼくらがここで要求するのは、通産省は、鉱山保安上、組夫は全然使わない方向で指導すべきであるということを言っておるので、その処遇は労働省の担当であるし、十分わかっていないようだけれども、組夫はその下請の組の雇いであって、その山と雇用関係がないから臨時退職金などない。労災のときに一緒に扱ったのは特別の措置であって、労災補償ではないのだから、誤まって速記録に載るとぐあいが悪いから、したがって、いま石炭局長答弁にわれわれが求めるのは、鉱山保安上、組夫はなるべく使わないように指導いたします、そこまででぼくはいいと思うのだ。あとの問題は正確にまた次の機会に答弁してもらいたい。
  125. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は先ほどから繰り返し申し上げておるように、これは労働省の問題だから、だから、いまここではどうしろこうしろとか、あなたにどうだとかいうことを言っているのじゃない。だが、しかし、いやしくも石炭産業に対しては、これは通産省の所管なんだから、そうして、働かしておるところの労務者に対してはあなた方も十分考えるべきだ、労働省の問題だからどうだこうだというようなことで傍観視しておるのは不都合だということを言っておるわけなんです。保安局長、どう考えますか。
  126. 森五郎

    政府委員(森五郎君) 先生御承知のように、組夫の使用につきましては、将来これはだんだんなくしていくということが基本方針であります。この前、内閣におきまして産業災害防止対策審議会でも、将来そういうものはだんだんなくしていくべきであるという答申もなされておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、将来そういった方向で考えていきたい。ところが、先ほど先生御指摘のように、いま炭鉱から組夫を締め出しましたら炭鉱の出炭はとまるということがございますので、したがって、この規制につきましては、鉱山保安上、組夫は何と申しますか、移動性が非常に高い、したがって教育がしにくいというようなことで、しばしば災害の原因をなすという場合も間々あるわけでございます。そういう点について今後とも十分監督をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  127. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 将来組夫はもうなくしてしまう、そんな簡単なことを言われちゃ困るのです。それは鉱山保安上、そういうことはそれでいいと思うのだけれども、なくすならなくすように生くべき道をはっきり——組夫の方々もまだ元気なお若い方がたくさんいらっしゃるんだから、そういう方々が将来十分生きていく道を与えて、そうして将来は組夫の方をなくすならなくすというようなことを考えてやってもらわなければ、単に鉱山保安上これはいけないからというのでやられちゃ迷惑する、困る。そんな血もなければ涙もないようなことを保安局長は言っておっては困るのですよ、保安局長
  128. 森五郎

    政府委員(森五郎君) 先生御承知のように、現在、組が担当いたしております仕事は臨時的な、かつ、専門的な仕事ということになっておるわけでございます。それで、これは先生御承知のように、合理化法で許可を得まして、保安法で届け出をするという組織になっておるわけでございます。したがいまして、これが全部なくなるということは、ちょっといろいろな炭鉱の仕事の内容から考えまして、全然ゼロになるということはちょっと考えられないわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、保安上、現状においては必ずしも好ましくないということで、これを将来はだんだんなくしていくような方向で考えたいということを申し上げたわけでございます。
  129. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 他に御発言もなければ、本案についての審議は、本日はこめ程度にいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会