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1966-04-22 第51回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十二日(金曜日)    午後一時二十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大河原一次君     理 事                 剱木 亨弘君                 小林 篤一君                 小野  明君                 鬼木 勝利君     委 員                 石原幹市郎君                 久保 勘一君                 沢田 一精君                 高橋雄之助君                 豊田 雅孝君                 二木 謙吾君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 小柳  勇君                 宮崎 正義君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業省鉱山        局長       両角 良彦君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     森  五郎君        通商産業省公益        事業局長     熊谷 典文君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本件に対し、質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 二、三点質問いたしますが、第一は、この貸し付け機械が、衆議院でも、中小企業炭鉱などが十分使えるように、そういう配慮と、それから、指導体制を強化していくということをやっておりますが、具体的に御説明を願います。
  4. 井上亮

    政府委員井上亮君) 機械貸与の問題につきましては、今度の合理化法改正に際しましてお願いいたしているわけでございますが、先般の予算編成に際しまして、昭和四十年度から、新たに中小炭鉱に対しまして、なかなか金融ベースでは合理的な近代化政策が進め得ないというような事情もございまして、貸与制度を新たに設けたのでございます。この概要につきまして簡単に御説明いたしますと、ただいま考えております貸与制度は、大体新機種を中心に貸与してまいりたい。貸し付けます相手は、大手中小の両面について考えておりますが、どちらかといいますと、中小近代化促進のために今後この制度を大いに活用してまいりたいというふうに考えております。  機種といたしましては、一面に、合理化近代化資金貸し付け制度資金融資制度もございますので、それと貸し付け制度と併用することになります。で、その場合に、融資の場合は、一応通常の機械については融資制度ということになろうかと思いますが、中小炭鉱にいたしましても、あるいは大手にいたしましても、新機種を新たに使ってさらに近代化を進めていくという場合に、非常なリスク、危険がございます。したがいまして、そういう場合に自分のものにする、つまり融資を受けて買うというよりも、貸与制度のほうがより合理的だというような面がございますので、スタートにおきましては、そういうものについてまず貸与制度をやっていきたい。将来の方向としましては、これは会社経理の改善の見地から見ましても、なかなか融資ということになりますと、特に中小炭鉱につきましては担保力がございませんから、金融機関からなかなか融資を受けがたいというケースもございますので、そういう場合には貸与制度活用ということが非常に有効になってくるというように考えますので、そういうような運用をしてまいりたい。それから、対象機械としましては、いま申しましたように、新機種でございますが、まあこれは採炭、掘進等に関します機械を一応対象にして考えてまいりたいというように考えております。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 中小企業のほうの機械貸与制度は、県で協会をつくって、今度八府県ばかり適用しますが、あとでこれは譲渡するような仕組みになっておりますね、年賦で。これはどうなんですか。やはり中小の山、あるいは大手の山でもいいが、四、五年使ったら将来機械譲渡するような方法でも考えているのですか。
  6. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいまのところ、譲渡までは考えておりません。しかし、まあ今後の運用に際しましては、特にそれがほしいというようなことであればそういうことも検討して差しつかえないのではないか。ただ、現在のところは、一応あくまでも譲渡をするよりも——することを初めから希望される場合には、むしろ近代化資金融資や何かがありますから、そういうものにむしろなじむのではないか。ただ、自分のものにするのはちょっと危険性があるとか、機械に習熟するまでリスクがあるとか、あるいは買うよりもむしろ借りるほうが経理上有利だというような場合に貸与というようなことになりますから、初めから自分のものにしたい場合には、むしろ融資制度のほうになじむのではないか。しかし、使ってみるうちにやはり買い取りたいという希望も実際問題としてあろうかと思います。そういう場合につきましては、今後運用について検討してまいりたいというふうに考えております。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 まあ性善説をとって考えておられるようだけれども、ぼくはやはり永野さんの発言じゃないけれども貸し付け機械について、乱暴に扱ってこわれたからもう知りませんということになりがちじゃないか。したがって、やはり国のお金を使う以上は、若干でも、将来私がこれを買いますというシステムがあると大事に使いますね。だから、ただ貸与制度で国が買ってこれを貸しますのだという方式は、私はいかぬのじゃないかと思うのですが、これはまた検討していただきたいと思います。  それから、あと質問者がだいぶたくさんありますから、もう一、二お聞きしますが、次は鉱区の問題ですが。一応廃鉱にいたしましたものを、まま鉱区調整の必要上生かして使うとか、これは粗鉱の場合もあるだろうと思うのだけれども衆議院のほうで附帯決議しているように、保安の問題もあります。たとえば国鉄志免炭鉱閉山にするとき、粕屋炭田全体の問題として、三菱勝田が掘ったらどうかというような意見もありましたけれども保安の問題など考えたら非常に危険じゃないということで、これは反対しました。そういう問題についての配慮はどうなんですか。
  8. 井上亮

    政府委員井上亮君) 今度鉱区調整、特に消滅鉱区につきましての事業団からの譲渡に際しまして、保安問題があるわけでございます。特に消滅鉱区につきましては、これは一ぺん採掘した区域でございますから、したがいまして、場所によりましては古洞があるとか、あるいはそこから水の危険があるとかということが予想されますので、実際問題としてそういう消滅鉱区活用いたします場合に、事業団といたしましても国に出願をして取得するわけですが、そのときにやはり私どもとしましては、そういった消滅鉱区の実態を十分に合理化事業団に調査させまして、そういう危険のある場合にはやめさせるというようなことを配慮してまいりたい。なお、事業団から譲渡いたしますときに、やはり保安上の配慮、今度は譲り受ける鉱業権者に十分に配慮させる体制をとって政府側認可をしたい、こういうふうに考えております。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 事業団権限というのはどこまで考えておられるか知らぬけれども、非常に大きくなるような気がする。事業団認可は、いま合理化事業団意見を聞いて政府側の決定に反映したいという意向があるようでありますけれども、法文だけ見ますと事業団権限が非常に大きくなりますが、この点についてはどういうチェックのしかたを考えておりますか。
  10. 井上亮

    政府委員井上亮君) 消滅鉱区につきまして、事業団がこれを出願して取得する、それを再活用をしたいという隣接鉱業権者に譲り渡すわけですが、先生心配になるほど事業団権限が強くなるとも思いません。といいますのは、従来、鉱業権者が、まあ炭鉱が生きております場合、使っておりました鉱区鉱業権、これは御承知のように、閉山をいたしますと、昔はまあ御承知のように、事業団がその鉱区買い上げちゃうということをやりましたが、最近は、まあ消滅鉱区、消滅登録さして、実質上鉱業権を消滅させるということになっておりますが、ただ、それを一応合理化事業団が国に出願して一応取得する、これを譲り渡すだけのことですから、まあ事業団が特に権力が強大になるとかいうことはないかと思いますが、ただ、やはり事業団も国の機関ですから、実際に隣接鉱区鉱業権者の権益のためにその再活用を認めるわけですから、したがいまして、そういう過程で、変な表現でございますが、あまり官僚的な判断とか扱いを、不親切な扱いをしても困りますので、そういうような点については、私どもとして厳重に注意をいたしたいというふうには考えておりますが、御心配されるほどのことはないのではないか、この点につきまして。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 まあ合理的事業団炭鉱買い上げを主体として発足したのですがね。今回のこの改正で、これずっと権限拡大してまいりますと、地上権鉱業権との間の調整については、これは無関係ですか。文面からいいますと鉱区調整ということを書いてありますけれども地上権鉱業権との間の問題の調整などについては、全然これはタッチできないと、そう判断できますか。
  12. 井上亮

    政府委員井上亮君) 地上権との関係は、直接的には関係ございません。つまり消滅しました鉱区を、再び合理化事業団鉱業権者になると鉱業権取得するということですから、その限りにおいて、法律的には直接地上権とは関係はありませんけれども、しかし、実際問題として、それを再活用するということになりますと、特に隣接鉱業権者譲渡するということになりますと、事業団自体は採掘いたしませんけれども、譲り受けました鉱業権者は採掘をいたすわけですから、そうなりますと、やはり地上権者に対する配慮ということは当然起こってくるかと思いますので、そういう意味合いにおきまして事業団鉱業権取得するときでも、ただ取得をして使わないわけではないので、譲渡するために取得をするのでありますから、そういう意味では事業団地上に対する配慮消滅鉱区を復活させるときにやはりすべきであろうと、こう考えております。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 合理化事業団、いままで法律改正しない場面でも、鉱区買い上げその他についてはもろもろの条件を勘案してやっているわけですね。隣りの鉱区との問題、あるいは地上権との問題、これは新たに法律改正いたしまして、業務として入れますとストレートに法律が生きてしまいますから、一人歩きいたしますから、これを読んだ限りでは、非常に大きな権限を持つような印象を受けるわけです。したがって質問しているわけですから、法律的にまた私は暗いものですからわかりませんが、この点をもう一回、ひとつ将来に対する配慮として見解を聞いておきたい。
  14. 井上亮

    政府委員井上亮君) 先生の御心配になられる点も理解されますので、できるだけ合理化事業団がそういう大きなとにかく一つの新たな権能といいますか、権限を付与されることになるわけでございますので、この運用にあたりましては、やはり地上に対する配慮、あるいは保安に対する配慮、特に、同時に、地上の問題は主として鉱害になろうかと思います。鉱害に対する配慮、こういった点につきましては、十分私どもといたしましても配慮しながらこの事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 その他の事業の問題は他の委員に譲ります。  第三点は、輸送運賃の問題ですね、石炭輸送運賃の問題。大手のほうもこれは中小のほうも一緒なんでして、生産者運賃考えないで生産する、あるいは販売するなんということはあり得ない、自由競争ですから。特にここに来年の三月まで延納保証義務を設けました理由並びに一年間の大体の金額をお示し願います。
  16. 井上亮

    政府委員井上亮君) 御承知のように、国鉄運賃は先般値上げをされたわけでございますが、石炭業界は御承知のように、非常に経理関係も悪化しておりますし、近く抜本策を講じまして相当なる施策を充実さしたいというふうに考えておるわけでございます。何ぶんにも、現状におきましてはこの運賃値上げは相当な痛手でございまして、したがいまして、政府といたしましては、一年間程度運賃延納国鉄にお願いした次第でございます。ところが、大手につきましては、ただいま御指摘がありましたように、大手十七社の連帯保証ということで、これは国鉄から見ましても信頼ができるというようなことで、延納を現実にもう始めていただいておるわけでございます。ところが、中小炭鉱につきましては、中小炭鉱連帯保証ということはちょっととれません。それから個々の中小炭鉱、まあ担保力とか、あるいはしっかりした国鉄が信頼するに足るだけの保証人、これは個別にでもあれば国鉄運賃延納を了承していただけると思う。ところが、遺憾ながら、中小炭鉱現状においてはそういった保証関係が立ち得ないという現状にございますので、私どもといたしましては、合理化事業団中小炭鉱保証人になるというような制度を設けまして、その形を通して間接に国鉄に信頼していただくというような措置を講じたわけでございます。まあ大手中小合わせますと延納総額で大体三十億になります。で、大体中小炭鉱分につきましては三分の一より少し少ないかと思いますが、という程度中小炭鉱保証分というふうに考えております。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 合理化事業団のほうは、特にこのために担保能力を増すために何か配慮されるのですか。
  18. 井上亮

    政府委員井上亮君) 四十一年度の予算におきまして、合理化事業団中小炭鉱運賃延納保証をいたしますために、保証基金という制度を設けまして、これに対する予算措置を講じております。この予算措置は、まあ中小炭鉱が途中におきまして、たとえば来年になりまして支払いが全く実資問題として不可能であるというような場合には、合理化事業団保証人立場国鉄にその基金から支払うというような形に相なるわけでございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 その基金金額ですね、保証能力についてはどのくらいですか。
  20. 井上亮

    政府委員井上亮君) 四十一年度予算におきましては五千万円を一応計上いたしております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 まあ三十億の三分の一といいますと十億ですから、十億の保証に五千万円ですか。五千万円でしたかね。
  22. 井上亮

    政府委員井上亮君) 五千万円でございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 そういう思想は、ぼくは思想としてはおかしいと思うんですね。さっきちょっと雑談があったようでありますけれども、たとえば中小炭鉱大手一緒になって石炭協会をつくると、そしてその石炭協会保証すると、大手と同じに。大手だから信用が置けて、小山だから信用がならぬということも第一これはおかしいし、それから、合理化事業団だから担保をわずか五千万円で保証して、小山協会保証にならぬという考え方自体、何といいますか、官僚、役人にはたよれるけれども民間人にはたよれぬというようなものを感じますね。そういう制度については早急に検討すべきではないかと思うのですが、大臣のひとつ見解を聞いておきます。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは抜本策を最近に講じようと思いますから、こういう非常の措置ですね、一年間たな上げするわけですから。そういうことで、まあ今後はこういうことが起こらないような石炭抜本策を講じたいと思っております。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 まあいろいろ問題があるようでありますけれどもあと阿部委員もお待ちかねですから、私の質問はこれできようは保留いたします。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの同僚の小柳委員からいろいろ質問が出ておりますが、この合理化臨時措置法通産大臣みずからお考えになっておるこれで石炭産業のいつもおっしゃる抜本策の基本になるとは、通産大臣もお考えになっておらぬと思います。この委員会に出てくるたびに、通産大臣から抜本策抜本策ということをお伺いしますし、さいぜん井上局長が一回、大臣が一回、抜本策ということを述べられました。まあ抜本策は何かとお尋ねすると、有沢調査団がやがて答申するであろう結論を待って対策を立てるというようにおっしゃるかもしれませんが、しかし、それはそれとして、通産大臣として確たる信念のもとに抜本策具体策があるであろうと私は考えるのであります。石炭問題について、まあ気の毒ですが、おなくなりになった池田さんが通産大臣、いまの総理佐藤さんが通産大臣、今度三木さんが現役の通産大臣ですが、私どもは、三木さんが副総理であり、次期の総理大臣とも私どもも思っておりますし、まあ世論もそういうことを言うております。三代の実力者がこうおやりになって、今回も石炭産業にてこ入れできないとするならば、これはもう希望を失ってしまう。ですから、百日の晴天に雨の降ってくるのを待っておるようなかっこうで有沢調査団答申というものを待たず、抜本策というものは何かということをひとつ具体的にお示し願いたい。この三億円金を貸して、大手が二億、中小が一億、機械を買いますといっても、こんなローダー三つ買えば終わる。ローダー三つ買えばね。いま少なくとも五千万、六千万するわけですから、多く買っても四つか五つ。まあそれではとても抜本対策になりませんよ。小柳委員質問の中に出されました国鉄運賃のたな上げですね、これは払わなきゃならぬわけでしょう。結局きょう払うのをあす払うということですね、盲腸手術をせぬで、注射で一時痛みをとめたというにすぎない、ぼくの質問は口が悪いけれども。そうすると、有沢調査団結論結論として、通産省として、特に通産大臣である三木さんはどう考えておられるかということを、具体的にその片鱗をお示し願いたい。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ抜本ということは、私もいやになるぐらい使っておるわけであります。それはしかし、これは何かというと、まあ今度のいろいろな予算に盛り込まれた、四十一年の予算もですね、これはまあっなぎみたいなものですね、つなぎ。やはり根本的に対策を講じなければ、まあ石炭鉱業というものは、もうこれはたいへんなことになるということに立ち至っておることは、もうだれが見ても明らかであります。そこで、いまこのエネルギー調査会とか石炭鉱業審議会のこの答申も、われわれがその答申というものが出されることに対して、これもやっぱり重視しておりますのは、第一番に、このエネルギーの中における石炭位置づけというものですね、まあ先日も社会党、民社党の方々労働組合方々を連れて、五千五百万トンの目標というものを切っちゃいけないぞというお話です。これはやはり私どもとしては、それは目標目標として、一体こういうその根本策を講じて、また一年ぐらいしたらどうにもならぬようなことでは困る。相当なある期間安定してやっていけるような状態にするためには、そういう五千五百万トンという出炭目標から再検討してもらいたいと私は思う、そのエネルギー調査会に。そうしてこれだけのもう石炭というものは確保していくのだという、そういう上に立って、そんならばいままでのこの異常債務などをどう処理するかといったならば、どうしてもこれを財政の面で、どういう形をとりますか知らぬけれども財政の面において何らかのめんどうをみざるを得ない。それはやっぱり国民税金である。そういうことを考えると、やはりこの学識経験者といいますか、そういう人たちが寄って、これだけのことをするのは妥当であるというような答申が出るということが非常にやっぱり客観性を持つのではないかと、いま言ったその国民税金を使うのだと、しかも、出炭目標というものに対しても、これは相当長期的な位置づけをするのだということになると、通産省独自でこうやりますということをきめて推進するだけでは、どうもやっぱり今度のような相当な荒療治をしなけりゃならぬ石炭鉱業の場合に、やっぱり適当ではないという感じがするのであります。やはりそういう長いこと苦労してきた人たちが、こういうエネルギーの急激な革命の中にあって、石炭というものをどう考えるかという意見も徴して、その意見を徴しながら通産省としての方針をきめて、むろん政府方針もきめなきゃならぬわけですが、そうするほうが私はこの問題を処理するしかたとしては好ましいのではないか。だから、阿部さんもいまここで、おまえ考えているのを言ってみいと、こう申されますが、それはやはりいまいったように、非常な国の財政の上にも影響があるのですから、そういうその答申も出て、それをも尊重するということで、参考にしながら政府方針をきめるという、こういう手続をとることがこの問題の処理として好ましいということで、まあここでいろいろこうだああだということを申し上げ、いつかはこれはむろん臨時国会でも、石炭国会みたいなことに臨時国会でやるとしたらなる可能性がありますが、十分な御批判をいただく、そういう機会のほうがいいのではないかと、いままあ非常に一生懸命に各調査会審議会でやっておるときに、それをこちらのほうですでにこうしていくのだというような何らかの案があるような形よりも、いま私がいったような手続のほうがやはり問題の処理としては好ましいのではないか、こう考えておるのでございます。
  28. 阿部竹松

    阿部竹松君 確かに通産大臣のおっしゃるとおり、通産省独自では問題の解決にならぬということは理解できます。しかし、私どもと違って、通産大臣は毎日総理大臣に会うことができるし、これと関係ある大蔵大臣、あるいは労働大臣とも連日お会いして、この問題の処理についてお話し合いができる立場にあるだろうと私は思う。したがって、あくまでも審議会なり政策委員会は、あくまで審議会であり、政策委員会なので、やられるのはあなたであり、行政府の長なんです。ですから、最高責任者として、答申がどうであろうとも、こうやるという一つのものがなければならぬとぼくは思う。そこで、私は、この法案が委員会にかかって審議されるということを聞いたので、衆議院とダブっては、石炭局長、あるいはほかの局長さんも見えられることであるし、特に大臣は忙しいということを考えて、衆議院速記録を読んでみた。ところが、いろいろ論争しておるけれども、全部審議会ということで、最後の重要なことは全部審議会答申待ちということになって水掛け論にすぎない。そういうことで、しからば答申はどうなっているかということで、古い答申ですが、三十七年と三十九年と、それから昨年の十二月に出た三つの答申案を読んで見たが、これは守られておらぬ。小さいことですが、たとえば健康保険というのがあって、炭鉱のけが人、あるいは犠牲者がたくさん出るわけですから、一切そこへ療養手当なんかやるのが、これも全然やっておらぬ。三回にわたって中間答申を含めての答申ですから、いろいろありますが、答申が出ても守っておらぬです。守っておらない。そうすると、大臣の御答弁を聞くと、学識経験者にゆだねて十分審議していただいた結論を、再度政府がいろいろ審議されて、その立法化されるものは立法化されるのでしょうが、この答申案の前例を見てもおやりになっておらぬ。これは一〇〇%やっておらぬとは私いいませんけれども、ですから、有沢さんのやられている審議会がどういうように言うても、あなたは責任者ですから、私としてどうするということを私は聞きたいわけです。そういうことをただ抽象的に抜本対策なんだから有沢さんの答申待ちだということであれば何をかいわんやであります。この委員会でやる必要はないというように、これは極端なことになりますが、私はそう考える。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは十分にそういう案が出れば御審議を願わなければならぬ。立法、あるいは予算措置が伴うわけですが、ただ、私と阿部さんとの考えの違いはいま言えと、こういうことですが、これは大問題であるし、世界各国とも、西欧諸国でもこれは一番頭の痛い産業の課題であることは間違いない。どこの国だって石炭政策で苦労してない国はどこにもありません。みんな苦労しているわけです、非常なむずかしい問題ですから。だから衆知を集めてこの問題というものを処理して、むろん労働組合意見もいろいろ私は聞くような機会も持ちたいと思います。これは衆知を集めて結論を出すということがこの問題の処理としては好ましい。それは何かといったらば、ただ石炭鉱業だけで処理できないのですから、財政的な措置が伴うものですから、だから、いまこう考えておりますということを通産省だけの視野で言うことは適当ではないのではないか。ここで私が言っておることは、私は、石炭問題というものに対しては答申も出るしするならば、今年中に、答申は六月ごろ予定しておるわけでありますが、この根本的対策というものを立ててこの問題の処理に対して責任を負いますと、こう言っておるわけです。この段階ではその程度で御了承を願わないと、いろいろなほうで皆研究しておるのに、私はこう思うというようなことを言うことは、時期として適当ではないのではないかということだけでございます。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 一カ月か二カ月前にこういう問題が起きたのに対して、いまどうするかというお尋ねであれば、阿部君、そうせっかちなことを言っても困るよという答弁になるかもしれませんが、しかし、これは通産大臣として三木さんが手をかけるのが初めてかもしれませんけれども、まあ与党の幹事長という重要な立場もとられたこともあるわけですし、御承知だと思うのですが、歴代の通産大臣のしわ寄せがあなたのところへみんな集まってきて、さあ三木さんどうかというので、たいへん恐縮ですが、いまたまたま通産大臣は外国の例を引用されて、外国でも困った問題である。確かに日本だけ石炭が悪くて、外国が全部いいということでないことは私も知っております。しかし、この一例をあげてみても、ドイツなどは、さいぜん小柳君が国鉄運賃たな上げについて話をしておりましたが、ドイツあたりも二五%補助しておりますね。日本のようなたな上げでない、二五%、これも二つの方法でカバーしておるわけですが、補助しておる。まあイギリスあたりは九億ポンドというから、日本の金額にして九千億円ですか、こういう負債ができたのに対して、四億ポンドですから、四千億円の金を動力省から石炭庁に出しているわけです。日本でも五年にも六年にもなるわけですから、確かにいまこの時点で、さあどうじゃ、さあどうじゃというのはどうかと思うか知りませんけれども、ずっと長い歴史があるわけです。ですから、私がいま大臣どうですかというのは、決してせっかちでもなければ、お尋ねする時期尚早だと思いません。いままで全然手当てをせぬできたわけですから、こういう点についてはいかにお考えになるでしょうか。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは言われるとおり、石炭政策のあとを振りかえってみると、まあこれはそのときそのときというような感じが、あとになって価評すればそういう批判が私は当たると思う。しかし、そのときはまあ一生懸命に、何とかしてこれはいけぬかといってやっても、エネルギー革命の速度が早いのです。石炭というものと重油との価格の差というものがこんなに急速に出てくるというふうには考えなかったわけですね。そういうことで責任をエネルギー革命に転嫁するわけではないのですけれども、どうもやっぱり考えておったよりも速度が早いということで、どうも政策というものを振りかえってみると、いずれもまあ後手後手というような感じがするわけです。私が願っておるのは、何十年もこれで安定するような策は出ぬにしても、もう少し長期に石炭鉱業というものが安定できるような案ができないかと、一応通産省で交付公債のような案も考えておる面もありますけれども、ただ異常債務を肩がわりするだけでは、やっぱりそういうことも考えられてもいいでしょうけれども、根本的な解決ということにはそれだけではならない。そういうことで、いろいろな点で、いまはこれを根本的に、ある期間はもうこれで石炭産業というものはやっていけるのだという解決策を出したいという、そういう気がまえのもとにいろいろな案というものを検討を加わえておる。通産省自身でも、また、一方においていろいろな審議会においても研究を願っておるので、今度の場合は国民もこれは納得してもらわなければならぬわけでありますから、あまりこの案で通産省も突っ走らないほうがいいと思っているのです。私がいまここでこういうことをやります、ああいうことをやりますと言って突っ放してやるということは、これはあまりこの問題の解決を今回必ずやろうという場合に、あまりそれがためになるであろうか、阿部さん自身も石炭に関心を持たれて、今度はぜひ解決をさそうという激励の立場をしょうから、そういう立場から考えたら、まだ固まっていない通産省の案を、こう思っています、ああ思っていますと言ってこの委員会で発表することが私は適当だとは思わない。しばらく時間をかしていただければ、これはいま言ったように、臨時国会でも開くような心づもりでございますので、十分に御批判を願い、御審議を願う機会があると思うのでございます。
  32. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はたった一つ理解できないのは、行政府でもなし、立法府でもない有沢さんのところにこれほどの大問題をおまかせして答申待ちというのは、立法府にしても行政府にしても、あまりに無責任過ぎやせんかというような気がするわけです。ですから、通産省ならば通産省一つの案を出して、それを補ってもらうとか、あるいは、また、助言してもらうとか、こういう方向に持っていくのであればいざ知らず、通産省にいま聞くと、表現はりっぱですが、私ども端的に、少し口が悪くなって恐縮ですが、ずばりと言うと、どうも案がなくて、一切をあげて審議会に頼んでおると、これは曲解でしょうが、こういうようにもとれる。ですから、私は、行政府あるいは立法府が責任を持ってこれでいきましょうと、しかし、なお、学識経験者、その道の練達な人にお知恵を拝借ということにならなければ、あげてそちらのほうに頼んで、その答申を待って一切やる。しかし、その答申でも、さいぜん申し上げましたとおり、全部実施に移っておらぬと、こういうことですからね。その点はいかがでしょうか。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは長い過程としては、民主主義のもとでは、やっぱりそういう過程としては一つの意義があると私は思ってるのです。役所だけでこんな大問題、しかも、国民の負担にもかかわるような問題というものを役所だけでやるという形、これは一つの民主政治のもとにおいて、何でももう審議会なんかみんなやめてしまって、行政府が責任を持ってるんだからやればいいじゃないかとも思ってない。あまりに審議会は多過ぎるとは思っていますけれども、やっぱり審議会という形態は民主政治のもとで意義を持っている。そこで、われわれ責任を回避するんじゃない、みんなやっぱり学識経験者も寄って、この大問題、しかも、国民に多額の負担をかけるような大問題を、みんなの衆知を集めて、その意見も聞きながら、最終的に責任を負い、最終的に決定するものは政府であることは間違いないのですよ。その過程においてはそういう過程も要るのではないか。こんなに大問題を通産省だけでということよりも、やはりもっと視野広く問題を考えて、この機会においてはこういう解決策よりほかにないという、そういう民間側の意見も徴して、最終的には政府の責任においてこれをきめて、そして立法府においては相当な審議期間を置いて御審議を願うと、こういうプロセスというものは責任回避しておるのじゃないかという御批判は必ずしも当たらないのではないか。あまりにこういう大問題を役所だけということになると、役所としては役所としてのいろいろな視野の限界というものもなきにしもあらずですから、もっと広く私は労働組合意見も徴したいと言っているぐらいですから、そういう国民全体的課題として石炭問題を解決したいのだと、そのためには、審議会のような過程というものも必要なんだと、こう思っているのです。
  34. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 関連。いま通産大臣のお話を聞きますと、大体わからぬでもないのですが、私もこの点については非常に疑問を持っておるのです。ただいまおっしゃっている審議会は必要だと、衆知を集めてこういう大問題はやるべきだと、ごもっともです。私もそれは賛成です。ところが、石炭問題というもののこういう難問題がいま急に起こったことでなくして、もうここ数年長い間の問題なんです。あなたのおっしゃることはなるほどわかるのでございますが、これは従来の通産大臣を悪く言うわけでもございませんが、第一次有沢調査団に諮問する、第二次答申が出る、それに全部審議会におんぶしたような、全部それにゆだねておったような感が私はする。結果論からいいましても、有沢調査団答申結果において抜本策をとっていくんだ、あるいは炭価の引き上げをやるとか、あるいは利子補給をやって、これでまず石炭はだいじょうぶだというような安易な考えを持っておったために、先日あなたの所信表明においても、出炭の不振とか、労務状況の不安定、企業の資金繰りの深刻化、こういうものが極度に悪化してきた。さあこれはたいへんだ、じゃあひとつ今度は石炭審議会の植村さんに調査してもらおうじゃないか。中間答申が出た、じゃあこういうふうにやろうじゃないか、そうかと思うと、今度は本答申が出なければまだ何とも言えない、こういう点を総合して考えてまいりまするというと、石炭対策というものに対して、その所管大臣である通産大臣が指導的立場ではっきりした法案というものをお持ちになるべきであると私は思う。なるほどいまあなたがおっしゃられないということは、それはわからぬでもありませんが、しかしながら、あまりに審議会答申待ちだ、時間待ちだ、あまりに審議会というものにゆだね過ぎている。いつまで待ったらいいのか、それはいまさら起こったことでもない、もう五年も十年も前からの問題です。いつまでもいつまでも、やれ調査団だ、やれ審議会だ、それから出てきたらこうやる、出てこないからまだ言わない、こういうことで、しかも、そのあとからいつも追っていくような状態。これで大臣はしょっちゅう抜本対策抜本対策とおっしゃるけれども、これはほんのびほう策であって、私は抜本対策でないと思う。結果から申しましても抜本対策になっていない。いま阿部委員のおっしゃったことを私ずっとお聞きしまして、私もその点を実は徹底的にひとつ大臣に御所見を承りたいと思っておったところなんです。まことに遺憾です、こういうことでは。しかも、自民党の政策審議会会長もなさっておった老練な実力者で、そういうことでは私は日本の石炭の将来ということに対して非常に不安を感ずる。くどいことは申しませんが、それはなるほどおっしゃるように、審議会もそれは必要でしょう。だけれども、あなたのおっしゃるような現実にはなっていない。石炭に対する対策の歩みというものを今日われわれが見てきた場合に、ただ審議会やそういうものにゆだねておって、一方的におんぶしてきておったという姿しか結果論としては出ていない。それを阿部委員は突いておられる。私も同感です。その点をひとつもう少しはっきりおっしゃっていただきたいと思う。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今度の場合、私が言っておることは、これはいろいろなエネルギーの変化が今後も考えられますから、何十年も先ということにはいかぬにしても、ある期間というものはやっぱり石炭が安定できるような解決策を講じたいということで、ここでわれわれが国会で申し上げておることは、その意欲とその責任は回避しないのだ、今回は。こういうことを繰り返して言っておるわけであります。ただ、しかし、いま時期はここでまだ結論にはなっていない。通産省としても、石炭問題というものは、いま当面の解決しなければならぬ最大の課題なんです。ほかの問題もいろいろありますけれども、まず石炭問題を考えておるわけですから、通産省としてもこれはもう検討を加えておるのですが、いまここでいろいろな通産省がまだ結論と言えないような案を申し上げるのは時期として適当ではないのじゃないか。せっかくそういう審議会もできておるから、答申が出ればその意見も徴して、そうして最終的な案を決定して、そのときには十分時間もかけて御審議を願ったらいいではないかという時期の問題だけでございます。これは今回はもうその審議会審議会ということで、審議会に責任を転嫁する意思はありません。政府が全責任を持って、かなりの期間これでやっていけるという案を出したいということの決意であることはことで申し上げておきたいと思います。
  36. 阿部竹松

    阿部竹松君 審議会のあり方について通産大臣から民主主義の講義を承ろうと思わなかった。なるほど民主主義の話を承ってみればそういうことになるのですが、まあ御承知のとおりで、政府を中心として、二百九十から三百くらいの審議会があるわけですね。しかし、この動いている審議会がおそらく一割もなかろうと、この石炭関係通産省関係エネルギーを中心とする審議会などは、総理関係の社会保障制度審議会と相並んで、最もよく動いている審議会だと思うのですが、それにしても、どうも審議会に一切のとにかく企画、立案、これをまかせるというのは酷のような気がするし、それから、もう一つ通産大臣お尋ねしたいことは、私ども社会党員ですから、政策的に社会主義政策ということを主張し、石炭でも国有、国管、国営です。しかし、現在のわが国の政治というものは、やはり何といっても自由主義経済であり、これはニューライトか何かわかりませんけれども、資本主義国家であるということは間違いない。しかし、諸外国において、さいぜんも申し上げましたが、社会主義国家でないところですら国のてこ入れ方が日本と相当違うわけですよ。資本主義国家であっても、自由主義経済でもやれる範囲というものはまだまだあるはずなんです。したがって、さいぜん通産大臣がおっしゃった赤字補てん、利子補給、金額が幾らになるかわかりませんけれども、それだけでは足らぬということを漏らしておりましたが、しからば通産大臣としてどういうことをお考えになっているか。答申が出なければいま申し上げる段階でないとおっしゃるならそれもいいでしょう。これ以上答弁せい答弁せいと言って私は質問しようと思いませんが、通産大臣としてどういうことをお考えになっているか。私はあとで、あのとき通産大臣がこういったじゃないかと、それをやらぬからけしからぬじゃないかといいませんけれども、たとえばこういう方法があるではないかということが幾つかあろうと思います。ですから、そういうことがもしおありになればお示しを願いたいと思います。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ一つには、過去の債務が蓄積されて、これが非常な経営の負担になっておりますので、過去の累積した負債を処理しなければならぬ、これが一つ。もう一つは、石炭の需給関係を安定しなければならぬ、この需給関係の安定。もう一つは、やはり石炭の価格問題、実際から、また、自由経済の論理からいえば、石炭なるものは使えないわけですからね。それを、やはりその価格政策というものをどうするか、負債の問題、需給の問題、価格政策、こういうものがやはり根本。それから、雇用の問題もやはり一つの大きな問題でしょう。こういう問題に一つの回答を与えるのが根本策だと考えておるのでございます。
  38. 阿部竹松

    阿部竹松君 その回答を聞きたいのです。それから先を聞きたいのです。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、時期がきたら十分時間を差し上げて御審議を願うから、この段階ではちょっと時期を待っていただきたい、こういうことです。
  40. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま大臣から御答弁していただきましたが、そこまではもうわざわざここに大臣の御出席を願って聞く必要がないほど一目りょう然、その先をお聞きしたい。しかし、まあなかなか御答弁がないわけですから次に進みますが、これは衆議院委員会の質疑応答の中にあったようですが、いま非常に貯炭が多いわけですね。そこで、昨年井上石炭局長炭鉱経営者を集めて、石炭を出さぬ炭鉱経営者には政府が応援してやらぬぞと、まあ局長は紳士ですから、こういうことばは使わなかったでしょうけれども、そういうように新聞に出ております。井上石炭局長のハッパで一ぺんに千万トンの石炭の貯炭がふえたとは思いませんけれども、とにかくぼう大な貯炭ができた。どうもその見通しが悪かったのか、それとも、電気関係が主たるお得意さんですから、電気関係との関連、因果性、これについて、公益事業局長が来ておりますから、ひとつ数字をあげて衆議院ではおやりになったようですが、そういう数字でなくして、具体的にひとつどうして電気のほうで引き取らぬのかと、こういうのをひとつ具体的に事業局長からお答弁願いたい。
  41. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) お答えいたします。  電気が引き取っておるか引き取っていないかという問題でございますけれども承知のように、四十年度の電力の石炭引き取り量は、当初お約束されましたのが千九百万トンでございます、御承知のように、産業界の状況が悪くなりましたので、電気の実は需用も落ちてまいっております。当初九%程度伸びると考えました電気の需用が、実際的には六%になっております。そういう関係からいたしまして、石炭に換算いたしますと、約二百万トン程度需用が落ちたわけでございますが、石炭対策関係もございますので、私どもとしては電力業界に要請いたしまして、約束の千九百万トンは必ず取るようにということをお話いたしました。四十年度につきましては、現実に消費は百万トンばかり落ちたわけでございますが、実際の引き取り量は千九百万トンを完全に引き取っておると、こういうことでございます。四十一年度の引き取り量の問題につきましては、現在石炭局と交渉といいますか、相談中でございますので、遠からずきまってまいる、かように考える次第でございます。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 しり抜け法案といわれておったわけですが、ボイラー規制法というのがありましたですね。若干ですが、まあ規制しておったはずなんです。いま原油で発電しておるところがありますね。たとえば関西電力尼ケ崎、あるいは中部電力の三重ですか、それと同時に、三重など、ときどき問題を起こすところですが、専焼とそれから混焼と、いろいろ区分けしておったのです。しかし、いまは全然そういう区分されておった交通整理が全部もうだめになってしまったやに承っている。この状態はいかがですか。
  43. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 御承知のように、重油専焼と、石炭と重油の混焼、あるいは石炭専焼というように設備は分かれておりますが、御承知のように、最近石炭を引き取りますだけに、電発会社等におきましては石炭専焼の設備をつくりつつあるわけでございます。九電力におきましても、先ほど申し上げましたように、千九百万トンといいますと相当大きな数字でございます。三十九年より落ちた数字ではなくて、さらにふえた数字でございます。したがいまして、いま御指摘の混焼の秩序が落ちたのではないかというお尋ねでございますが、そういうことはございません。やはり約束したものを消化するように業界といたしては努力いたしておるのが実情でございます。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 三十九年度より落ちた数字でないと事業局長はお答弁なさるが、第一回の答申は、昭和四十二年度まではまだまだ電気が消費する数字になっております。それはあくまで答申であって、政府の関知せざるところであるとおっしゃられればそれまでですが、局長、そういうふうに必ずしもなっておらぬでしょう。  それから、もう一つお尋ねしたいことは、たとえば電発でも火力発電所をやっておりますが、福岡県の若松に低品位炭をたく火力発電所がありますね、あそこなどはキロ当たり二十五、六銭安いはずです、石炭のほうが。にもかかわらず、十年の間に石炭が三三%ないし四〇%近い総エネルギーの中で占めておった地位が、経済企画庁の中期経済計画、これは政府のとるところにならなかったようですが、数字は間違いないでしょうから、この数字を引用してみると、一七%か一六%になってしまう、もう一、二年です。この原因はどこにあるか、おそらくお調べになっていると思いますので、御答弁願いたい。
  45. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) まず、四十二年度の二千三百万トンという数字でございますが、御承知のように、約束いたしましたのが昭和三十五、六年、これは民間ベースの問題でございますが、その程度はいくだろうということで計画がつくられたわけでございます。その後、当時の経済界の実情と最近の実情は実は相当変わってまいっております。電力量にいたしますと、二百億キロワット・アワーぐらい需要が当時の見通しよりも現実に落ちております。これは石炭に換算いたしますと八百万トン程度になるわけでございますが、そういう中におきまして、電力業界といたしましては、石炭の窮状も考えまして、できるだけ毎年石炭側と相談いたしまして、お互いに無理のない数字をとっていく、こういうことでいままでまいっておるわけでございます。特に四十二年度におきましては、先ほどお話を申し上げました電発の石炭火力が稼働するという予定になっておりますので、四十二年になれば少し石炭の引き取りがふえてまいる、こういう形になろうかと思います。なお、若松火力、あるいは西日本火力というように、石炭専焼設備としてつくりました件につきましての御質問でございますが、電力サイドから率直に申し上げますと、やはりこれは低品位炭でございますが、低品位炭を消化いたしますためには設備の容量も相当大きくいたすわけでございます。普通炭を使います場合よりも設備費はよけいかかるわけであります。したがいまして、これを経済的に動かしますためには、やはり低品位炭が入ってこないとなかなかむずかしいわけでございます。最近の実情を申し上げますと、逆に低品位炭が少なくなりまして、むしろその面で低品位炭の確保に苦慮しているというのが現実でございます。したがいまして、設備はつくりましたので、動かさないわけにはまいりませんので、低品位炭をできるだけ買う、ないところは多少油をまぜて発電をしておるというのが現状でございます。
  46. 阿部竹松

    阿部竹松君 その低品位炭がなくなったというのですが、炭鉱が休山、廃山、閉山になって、閉山になる山が特に低品位炭を出しているところが多いということですから、そちらのほうが先になるだろうと思うのですが、しからば、これは通産大臣にお尋ねしたいのですが、鉱区の整理等も、これは隣の山に残っておったのをこちらの山で利用できるわけですから、整理統合という形にはならぬでしょうけれども、実質的にはそうなるわけですが、たとえば北松炭田、あるいは常磐炭田等、これは大阪商船というのは住友糸、それから三井船舶というのは三井系ですが、商船会社は企業合同をやっている。ですから、三井、三菱と合併せいといってもだめでしょうけれども、ここに鉱区を持っているところが合併していけば有利にやっていけるわけです。重油より安い燃料を供給することができる。それが今度の答申に入ってくるかどうか、私はわかりませんけれども、この鉱区の整理統合をすることによって幾らでも法律以外にできるわけです。いま公益事業局長がおっしゃったように、安い燃料を提供できる。これは場所によるでしょう、場所によるでしょうけれどもできる。これは抜本対策一つとしておやりになる気持ちがあるかどうか、お尋ねいたします。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 鉱区調整というものは今後積極的にやりたいが、私は阿部君のいわれるように、合併もやはり相当あっていいと思っているのです。合併もそういう意味で、そういう面にこれは強制はできませんけれども、そういう方向でやはり指導していきたいと思います。合併したことが一番合理化になる場合もあると思います。そういう点で、これは全面的にというわけにもいきますまいけれども、ある会社、事業所によって合併のメリットというのは非常に大きい場合があり得るので、こういう指導もしていきたいと考えております。
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 船舶会社の例を申し上げましたが、船舶会社は、海続きですから、合併しても大阪にも川崎にもできるわけですが、炭鉱の場合には、常磐炭鉱と宇部鉱業所と合併してもこれは意味がないわけですけれども、同じ炭田で同じところに炭層が隣り合わせているところの会社が合併しなければこれは意味をなさぬわけです。ですから、いま事例を九州の北松炭田にとって申し上げましたが、あすこは日炭、日鉄、こういうのがある。したがって、そういうところの周辺の会社が一つになる、こういうような合併の方法ですね、これは今度のお待ちになっている答申案に入ってくれば幸いですけれども、入らない場合も通産大臣はおやりになることがあるわけでしょう。入っておらぬのは一切やりませんということにならぬと思う。足りない分は当然通産省で補なって国会にお出しになる、そういうような方法をそのときにひとつおやりになっていただけぬかどうかということなんです。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 鉱区調整をやることは合理化のために必要です。だから、ものによったならば、いま阿部さんの御指摘のような、地域的に隣接した地域の鉱区については、合併したほうが一そう合理化の目的を——鉱区調整というよりも、一歩進んでそこまでいったほうが合理化になる場合もあると思います。だから、これは一つの指導の方向として合併問題も取り上げたいと思っております。答申といっても、最終的に責任を負うのは政府ですから、答申はあくまでも尊重という基本的な態度の上でこれを参考にするわけでございます。最終の責任は政府でありますから、そういうことも当然今後の石炭根本策の中に指導していく方向の一つとして取り上げたいと私は思っております。
  50. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣阿部君の言うとおり、合併すれば、合理化になり得る場合もあるなどというように軽く流さぬで、なり得るから努力しますということでやっていただかぬと、これは完全にそれはもうその地域のあらゆる会社、あらゆる個人が持っている炭層一本について、わしは五万トン、わしは三万トンという坑口を設定することよりもいいことですから、これは特に考慮していただきたいと思うのです。  そこで、さいぜんに引き続いて事業局長にお尋ねしますが、膨大ないま貯炭があるのですね。これはあなたの責任ではなかろうと思うのですが、いずれにしても、さいぜん申し上げましたとおり、電力にやはり協力してもらわなければ、これは貯炭というものはなかなか解決できない。しかし、これはそれぞれ会社が私企業でやっていることですから、行政指導も限界があろうと思いますけれども、しかし、いずれにしても、あなたのやはり御指導、御協力がなければできぬわけです。これはいかなる方法でやっていただくことができるわけですか。
  51. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 四十一年度の問題と、それから、先ほど大臣からもお話がございましたように、もう少し長期見通しといいますか、二つの問題があろうかと思います。四十一年度の問題につきましては、御指摘のように、山元に貯炭がございますし、それから、電力会社のほうも約束どおりの炭を引き取りまして、ところが、需用が落ちている、たく炭の消費はそれほどなかったという関係から、実は貯炭が四百万トンばかりになって、昨年から比べますと百万トン以上ふえております。したがいまして、今後山元にもあり、四十年度に電力業界にそういう貯炭がある。さらにこれを増用するについてはどうしたらいいかという問題があるわけでございまして、御指摘のように、一般産業界の石炭需要というものは落ちております。実は率直に申し上げますと、本年の初め、一月ごろの見通しでは、大体四十一年度については、四十年度より電力サイドで石炭をよけい引き取れば大体問題は解決するのではないだろうかというような感じであったわけでございますが、一般産業の需要が非常に減りまして、現在のところ、それを電力側で肩がわりできないかという問題が出ているわけでございます。御承知のように、電力の石炭引き取りにつきましては、負担増対策というのが別な問題としてあるわけでございます。それとのからみ合いがございますので、いまこの程度の数字を引き取るということは、現段階においては申し上げかねるわけでありますが、その負担増対策の問題もあわせて解決いたしまして、御指摘のように、一般産業がこういう状況でございますので、電力がある程度のものを引き取らないと石炭の需給というのはおさまってまいらない、かような感じを持っておりますので、できるだけ引き取るようにわれわれとしては努力もし、指導もしたい。ただ、それがためには、ただいま申し上げましたように、いろいろな措置があわせて必要ではなかろうかと存じます。  それから、将来の問題でございますが、これは私どもといたしましては、今後の見通しを、やはり先ほど話がございましたように、はっきり石炭の出炭はどの程度になるかという見通しをつけて、その中で電力に対するものはどの程度になるか、はっきりした見通しをつけて、そのもとで、われわれといたしましては、現在の石炭専焼設備で足らなければ、さらに電発を中心にいたしまして石炭専焼の設備をつくるというような措置考えざるを得ない、かように考えております。その面につきましては、大臣の指示もございましたので、内容はまだ固まっておりませんが、そういう方向で現在検討しておるということを申し上げておきたいと思います。
  52. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭問題を論議するときに、電力とか油を等閑視して論議できないわけですが、鉱山局長さんおいでになっていると思いますので、石油のことをちょっとお尋ねしたいわけですが、経済企画庁の資料を見ますと、ここ数年の間に相当エネルギーの消費量が増加してまいりました。これは当然のことでしょう。しかし、石炭のほうはほとんど増加せずして、石油のほうが相当飛躍的に増加している、エネルギー総消費量の中で。しかし、私ども承知しておる限りでは、日本に入ってくる油の大体八〇%ぐらいは外国の資本のひもつきでしょう。ですから、外国資本の影響によって石油だけふえるという話が出るぐらいで、八〇%まで外国のひもつきですから、なかなか日本の資本でどうもならない。こういう点を解決するために、これも有沢さんのところかどうかわかりませんけれども、外国のひもつきを切らなければならぬというお仕事をなさっているやに承っておりますが、その状態をちょっとお知らせください。
  53. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御指摘のように、現在原油の輸入におきまして、わが国の企業が自由な選択を許されておる原油の購入のウエートは大体二割ぐらいかと承知しております。したがいまして、お話がございましたように、将来の石油の供給の安定性並びに低廉なる原油というものを確保いたしまするためには、どうしてもこの自由選択の原油の購入割合というものを今後とも高めていく必要がある。その高める方策といたしましては、最もわれわれが積極的に取り組むべき点は、海外におけるわが国企業による原油の開発ということでございまして、現在、御承知のように、石油資源開発会社等を通じまして、積極的に世界の各地に有望な油田を求めて探鉱活動を開始いたし、あるいは現に採掘いたしておる次第でございます。さような方向で主としてわが国の原油の自由選択度合いというものを高めてまいることが、エネルギー全体の安定、かつ、低廉な供給に資するゆえんである、こういう考え方でおります。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 私の質問が悪いためにかどうか知らないが、よく理解できないのですけれども、たとえば外国から入ってくるのは、どれに使用するかという権限が日本にあるがごとき形態にはなっているけれども権限があまりないのです。これは局長も否定せぬと思う。ところが、原油で七十万キロリットルも電力会社でたいているわけでしょう。原油でたく場合と重油、これはアメリカから入ってくるわけです。あと七〇%は中近東とアラビアから入ってくる。その税金関係はどうなっておるか。原油をそのままたいても法にひっかからないでしょう、税金は安いでしょう。そういうことをやっている。そうして某社のごときは半期に三十億ももうけている、人件費はかからない、タンカーとドラムかんを大きくした貯油所さえあればよろしい、こういうことです。それを野放しにしている。それを局長はよもや知らないとは思いませんけれどもね。
  55. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 原油のなまたきの問題につきましては、ただいま御指摘のございましたような問題もあると思いまして、われわれといたしましては、電力会社等におきまする必要最小限度の量につきまして、C重油にかわるなまたきの使用を認めるべきであると考えております。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長、重油にして使った場合と原油のまま使った場合と、たとえば一万キロリットルなら一万キロリットルで関税関係はどう違いますか。
  57. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御承知のように、原油関税は一キロリットル六百四十円、C重油につきましても現在六百六十円、ほとんど大差はございません。
  58. 阿部竹松

    阿部竹松君 次にお尋ねいたしますが、いま申し上げましたとおり、七十万キロリットル、ことしまだふえるかもしれませんね。それはますます増加する傾向にあるわけですが、まあ原油のまま燃焼する発電所ですね、これは増加する傾向にあるわけですか、ないわけですか。
  59. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 電力業界側とされましては、おそらくはなまたきの問題については、なお増量の御希望があるかもしれません。しかしながら、実際にそういう量を幾らの程度で、あるいはどういう割合で今後認めていくかという点は、目下慎重に検討中でございます。
  60. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから、将来に向かって外国のひもつきを切る、コストを下げる、こういうことをおやりになるわけでしょう。いつごろまでにできるわけですか。
  61. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 外国からのひもつき原油の購入を一朝一夕に切るということはなかなか困難でございまして、やはりこれには現在行なわれておりまする外貨ローンとの関係、あるいは外国系企業の出資の関係等、いろいろな複雑な関係が重なった結果でございます。したがって、将来新たな外貨のローンが行なわれるような際には、過去におけるような多くの割合のひもつきは認めていかないとか、いろいろと将来にわたってひもつきの程度を合理的に是正をしていくという努力を重ねまして、漸次改善をしていくということの方針処理いたしております。
  62. 阿部竹松

    阿部竹松君 それはあなたのほうの問題でなくて、外務省の問題ですから、まあ外務省と通産当局と両方力を合わせておやりになることになりましょうけれども、八〇%内外の外国のひもつきの油が入ってくるわけですから、二〇%しか独自といいましょうか、外国資本の力を借りないで入ってくる油はないのですね、それはどことどこですかね。
  63. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 企業別にはっきりいたしておるわけではございませんが、たとえば出光興産にいたしましても、あるいは民族系の各社にいたしましても、比較的自由選択度の高い割合の企業とそうでない企業とがございます。逆に申せば、たとえば日石精等は一〇〇%ひもつきの原油を購入しておる、こういうことでございます。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 次にお尋ねいたしが、経済企画庁で出された中期経済計画の数字ですね、 エネルギー、あれはあなたのほうでお認めになるのですかならぬのですか。
  65. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 中期経済計画の数字は経済企画庁において策定をされておられるのでありまするが、策定にあたりましては通産省とも事務的な連絡をいたしておる数字でございますので、われわれとしては認める認めないという問題は別といたしまして、一応承知をしておる数字でございます。
  66. 阿部竹松

    阿部竹松君 お尋ねする方法、ことばが悪かったかもしれませんが、その承知しておるということでなしに、あの数字を見せていただくと、何年度は総合エネルギーの中で、油が幾らで石炭が幾らで、原子力まで入っておらぬのですが、そういう明確な数字が出ておるわけです。ですから、あの数字どおりにあなたのほうで計画をお進めになるものか、ただ承知しておるというだけで、数字は知っておるけれども、あのようになるかならぬかわかりませんと、こういうことになるのですか、そのどちらなんですか。
  67. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 中期経済計画の数字につきましては、相当長期の数字でございますので、われわれとしては、将来、たとえば石油のウエートがそういう方向で上昇していくであろう、その一つの参考数字として了解をいたしておりまするけれども、現実の石油の供給計画というものは、たとえば四十一年度の供給計画、あるいは四十二年度の供給計画というものにつきましては、実際の需要というものの積み上げの上で供給計画を立てるということで、必ずしも中期計画から逆に供給計画を立てておるわけではございません。
  68. 阿部竹松

    阿部竹松君 逆に立てたのでなくて、あれは通産省ばかりでなく、経済企画庁は自分のところでそれだけの機関を持っておらぬので、あらゆる各省に連絡して、各省のとにかく事務当局の手をわずらわして、集合してそれを検討を加えた数字でしょう。ですから、あなたが知っておるとか、それを逆用したのでないとおっしゃれば、あの経済企画庁から出したのは、もちろん政府が取り上げるところでないようですから、いいわけですけれども、あなたのほうもそういうようにお考えであれば、経済企画庁の出したものはパーである、こういうことになるね。  そこで、続いて石炭局長にいまの油と関係してお尋ねいたしますが、さいぜん熊谷さんから、さしあたりの貯炭の問題について公益事業局長としてのおとりになるお話を承ったわけですが、石炭局としてはどうなさるのですか。
  69. 井上亮

    政府委員井上亮君) 石炭昭和四十一年度の出炭見込みにつきましてただいま検討中でございますが、これはまだ需給の関係もありますので、正確にどれだけの出炭計画を組むという段階には至っておりませんが、私の見通しでは、大体昭和四十一年度におきましては四十年度のほぼ横ばい、約五千百五、六十万トンになるのではないかというふうに考えております。出炭の見込みとしましては、大体前年度の横ばいということでございますが、需給の関係になりますと、一般産業向け、あるいは国鉄等の需要が毎年減少してまいっております。来年度におきましても、大体百五十万トンあまり年間で減少するのではないかというふうに想定されております。したがいまして、そういった現象につきましては、従来石炭政策といたしましては、一般炭につきましては主として電力、原料炭につきましては鉄鋼業界に引き取りをお願いしてきておるわけでございまして、これ以外に、少なくとも石炭の出炭規模を大体一定量確保する、横ばい程度は確保するというような前提に立ちますとそういった政策をとらざるを得ないというような観点から、従来ともに負担増対策も行ないまして、そういう政策を実施してきたわけですが、四十一年度におきましても大体従来と同様の考え方で、この一般産業向けの減少分につきましては、先ほど熊谷局長からもお話がありましたように、負担増対策等の配慮もしながら、増量について主として両業界、もちろんガス業界にも要請しなければなりませんが、そういった政策をとってまいりたいというふうに考えております。
  70. 阿部竹松

    阿部竹松君 さいぜん通産大臣が、炭労の諸君とも会いました、これからも会って意見を聞きたい、五千五百万トンという話をされたというお答弁がございましたが、私は必ずしも五千五百万トンにこだわって無理することはなかろう。いま石炭局長のお答弁で五千百万トンとか五千百六十万トンとおっしゃるが、これは石炭も多く消費していただくほどありがたいわけでしょう。しかし、現実の問題として、これだけの量を確保しなければならぬといって無理なさるよりも、交通整理をして、そうして山の労働者諸君にもそういう手当てをしてあげると、炭鉱も整理するんだというほうに重点を注いだほうが賢明ではないか。単に数星だけ確保しなければならぬというために無理がかかって多くの犠牲者が出る、線香花火のように山の経営が行なわれる、こういうことなんで、いま重油のお話も聞きましたが、重油の話についても、減るどころか、だんだん急激なカーブを描いて総合エネルギーの中で占める地位が拡大していく。しかし、石炭は横ばい、こういうことになりますので、そこのあたりは、撤収作戦というと語弊がありますが、もう少し交通整理をじょうずにやる方法がないかということを局長はお考えになったことはございませんか。
  71. 井上亮

    政府委員井上亮君) 石炭産業につきましては、先生承知のように、従来ともにスクラップ・アンド・ビルド政策というものを継続してやってまいっておるわけでございまして、これは資源産業につきものの政策と申しますか、資源でございます。やはり老朽炭鉱になっていけば、これはやはり閉山せぜるを得ない。そのかわり、新しい有望炭田があります場合にそれを開発していくというようなことに相なるわけでございますが、今後ともにこのスクラップ・アンド・ビルド政策は私どもとしてやってまいりたいというふうに考えております。ただいま問題になっておりますのは、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド、悪いものをつぶすというと語弊がありますが、必ず閉山されていくということでなくて、相当炭量等が豊富に残っておる山について、やはり需給の観点から、これはエネルギー革命の進行過程でございますから、これはやむを得ない事情があるわけでございますけれども、相当豊富な炭量がありながら、その需給の観点から、いわゆる生産調節のために閉山さしていくという政策になるわけでございますが、この政策につきましては、やはり広くエネルギー政策全体の見地から、資源政策の見地、エネルギーの安全保障の見地、あるいは地域社会に及ぼす影響というような観点から総合的に考えて、国民経済全体の立場からどう考えていくかという問題ではないかと考えております。
  72. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  73. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。
  74. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長からただいま御答弁いただきましたが、まあ新鉱開発にいたしましても、百万トンの山を新鉱開発する、そうしますと、一トン平均四千円という計算をしても四十億ですね、ですから、一年間に百万トンの山をつくっても四十億そこそこしか売り上げ金がない。ところが、百万トンの山をつくるには百億の金が要る。そうすると、百億の金を投じてこれが一年か一年半ででき上がればけっこうですが、百万トンの一つの山をつくるといったら最低四年半ないし五年かかる。百億の金を投じて年間これは四十億が四十何億しか水揚げがない。これはわれわれしろうとがそろばんはじいてもなかなか採算ベースが合いません。ですから、これをやろうとすれば、いまのようなとにかく局長の御答弁が政府の本心であるならば、並みたいての応援ではでき上がらぬと思うのです。これはどうですか、局長
  75. 井上亮

    政府委員井上亮君) だからと申しまして、やはり石炭産業につきまして、これはエネルギー政策全体の見地から、これは石炭は逐次閉山してよろしいのだ、炭は要らないのだという見地に立ちますれば、やはり静かな撤退をはかるための石炭政策いかんという問題になるのではないかというふうに考えております。これはまあ私といたしましては、国会の決議もあり、また、政府の従来の方針もあり、それから私個人の見解もある。私は、先ほど考えましたように、少なくともやはり日本のエネルギー政策の中で、五千五百万トンとは申しませんけれども、やはりそれ相当の一定量の石炭というものは維持していく必要があるのじゃないか。ただ、これが非常に固定的に五千五百万トンでなければならないとか、五千万トンどんなことがあってもずっと欠けるわけにいかぬということは、これは行き過ぎであろうと思いますけれども、やはりそういった考え方で、石炭エネルギー政策の見地からやはり維持していく努力はしていかなければならぬというふうに考えております。
  76. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長の言われんとする御答弁と出てくる法律の中身とは、この法律をさしてばかり言うのではありません。あらゆる通産省から出てくる法律をさして言うわけでありますが、全然中身が違うのですね、あなたの御答弁と。なるほど御答弁の中にあったように、民族資本であり、イギリス、あるいはフランス、ドイツのように、ドルを使ったりポンドを使って外国から油を入れるより、国内資本の基幹産業である石炭を使えというふうに割り切ってのお話であれば、これは全く了解いたします。しかし、一方は八〇%近い外国資本が入っている石油会社の石油にドルを使って、そして石炭産業のほうは、法律の出てくるのを見たら、どうも表現が悪くて恐縮ですが、一ぺん売り払ったあとを、まあ残飯整理のようなことをやろうとする法律が出てくる。これでは局長、話にも何もならぬでしょう。ですから、もう少ししっかりした法律を出して、新鉱開発これこれでやります、これはてこ入れをします。マラソンと同じで、同じスタートで、同じ条件で石炭と石油を並べては、民族資本の基幹産業が立っていかぬから、石炭の場合にはこうしますという法律であれば、これは全く了解しますが、この法律を見ましても、いま申し上げましたとおり、これはとてもお話にならぬ。三百トンとか三千トンの山の処理、あるいは三億円の金、三億円の金でも膨大ですが、現在の炭鉱機械のコストがべらぼうに高いから、三台か四台りっぱな機械を買えば金がなくなってしまう。これではいまの局長の御答弁と同じ理屈になりますか。
  77. 井上亮

    政府委員井上亮君) 御指摘のように、確かにこの法律は、今回の改正法案だけをごらんいただきますと、こそくで、本格的な対策とは言いがたいという御批判は当たろうかと思います。ただ、しかし、今回お願いしております法律案は、たとえば運賃延納の問題につきましても、先ほど私が御答弁申し上げましたように、特に中小炭鉱信用力が国鉄に対してない。で、大手は御承知のように、連帯保証ということで国鉄信用いたすわけでございますけれども中小のほうでは連帯保証ができない。したがいまして、だれかがかわって保証してあげなければいかぬ、そうなりますと、合理化事業団のような政府機関がかわって中小炭鉱保証人になってやらなければ国鉄信用しないというようなことがございますので、そういったことのできるような措置を講じた。あるいは、御指摘のありました鉱区調整の問題につきましても、確かにいわゆる私どもが政策的に申しております鉱区調整に比べますと、こそくであり、微々たるものであるという御指摘は確かだと思います。しかし、これも特にいま中小炭鉱を例にとってみますと、隣接した地域に事業団の保有鉱区があり、あるいは大手消滅鉱区がある、これを再活用すれば非常に経営の改善にも役立つし、資源の活用にも役立つというような場合があるわけでございます。そういった中小炭鉱の切実な要望もありますし、したがいまして、従来できなかったことを今回の改正によって可能ならしめたい、こういうような、確かにこれだけでそれ自体として私どもは意義を認めましてこの法律をお願いいたしておるわけでございます。ただ、阿部先生が先ほど来御質問になっております、石炭対策を今後どうするのだ、今日行き詰まった窮状にあるわけでございますから、これを打開し、また、新たな観点から石炭産業のあり方を考えていきます。そういった根本的な、抜本的なといいますと、また二度目であるといわれますので、根本的な練り直しという見地からいたしますと確かにこそくのように見えますけれども、私どもただいま検討いたしております抜本対策につきましては、これはいずれ阿部先生御指摘のように、鉱区調整の問題ももちろんさることながら、いろいろな面におきましてもう少し本格的な対策を考究してまいりたいというふうに考えております。
  78. 阿部竹松

    阿部竹松君 戦争以前は、鉄道の貨物輸送、貨車輸送の料金については、石炭が大体半分くらい国鉄に納めておったので、石炭産業国鉄にとってはいいお客さんであった。ですから、昔たいへん国鉄に恩を売ったのだからうんとまけろというと、個人であればこれはできるかもしれぬけれども国鉄も独立採算制であるから、それは無理だ。国鉄といえども、やはり赤字を出してはたいへんですから、これは石炭産業に昔お世話になったから、今度はお世話してあげましょうということは言えぬでしょう。ですから、国鉄にとっても、これは石炭局長、迷惑千万な話であろうと思う。したがって、私は、ドイツのようにたな上げにしろといっても、いつかだれかが払わなければならぬ金額ですから、これはやはりドイツの例を申し上げましたが、もう少しこういうような方法をおとりになったほうが石炭産業のためにもいいし、国鉄のためにもいいと思う。  そこで、委員長にお尋ねしますが、国鉄の理事さんがおいでになっておるというお話ですが、おられますか。
  79. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 先ほど小柳さんが国鉄質問したいということで要請があったわけですが、小柳さんがあとにしたいということでストップしてしまったわけです、恐縮ですが。
  80. 阿部竹松

    阿部竹松君 それではこの次にお伺いすることにして、前回の分も石炭局長残っておるわけですが、あれはどういう方法で片づけておられますか。いま万国博覧会の事務局長になった新井さんが石炭局長の時代に国鉄からやいやい言われて、えらいあわてた一幕もあって、あの問題も解決していないでしょう。また今度の問題も単なるたな上げということになると、問題はあすに移行したということにすぎないわけであります。これはしかし、今度の答申案で論議され、結論が出てくるわけでしょうか。
  81. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいまおっしゃいましたように、昭和三十六年に国鉄運賃の値上がりがあったわけでございますが、この値上がり分について半額延納という措置を当時いたしたわけでございますが、さらにそれは三十九年度に延納期限が切れたわけでございます。それをさらに再延長いたしまして、昭和四十三年度から返済するということに相なっておるわけでございます。ですから、簡単に申しますと、先般値上がりになりました分については四十二年度に支払う。それから、四十三年度以降に三十六年度半額延納分を支払うというような予定をいたしております。なお、それが支払えるかというような御疑問であろうかと思いますが、これらの点につきましては、国鉄当局も私に対しまして、これは再び再延納しないという約束をしてくれというような話も申しております。私どもといたしましては、国鉄に対しまして、ただいま抜本策を検討中でもあり、この抜本策はおそくも四十二年度には実現さしたい、予算化したい。で、大臣も再三御答弁されておりますように、できますれば臨時国会においてでも、できるだけ予算措置、あるいは法的措置を講じたいという方針でございますので、そういった根本的な対策の検討の中で、この運賃を再延納しないでも済むように、石炭産業が支払い可能になるような対策を織り込みたいというふうに考えております。
  82. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで、さいぜん小柳委員が、大手中小の差別について発言なさっておりましたが、大手は連判状で一年間延期していただく。中小事業団保証人だということで、中小はだらしないから信用せぬというのもこれは当然かもしれません。中小でも大手よりもりっぱな人がおるかもしれませんけれども、総体的に見て、合理化事業団に買ってもらうときには、どうも国鉄運賃の支払いについて問題を起こす山が多いからあたりまえかもしれませんけれども、しかし、大手の場合には、比較的政府筋から、開発銀行その他を通じて、近代化資金なり、いろいろ融資を受けておる。ところが、中小の場合にはなかなかこの方面も政府からめんどうみてもらうということが大手のようになっておらぬわけですね。企画はできておるけれども、埋蔵量が少ない、山が悪い、カロリーが低いわけですから、石炭局の当局としては大手中小の差はつけておらぬでしょうけれども、その融資対象となるものが悪いわけですから、これは資本主義社会だからやむを得ませんよということになるかもしれませんけれども、それにしても、やはり条件が整わぬためになかなか大手のようなわけにまいらぬ。そうしますと、これは市中銀行から融資を受けている中小の分について政府から肩がわりしてもらうというような方法についてはいかがでしょうか。
  83. 井上亮

    政府委員井上亮君) 中小炭鉱の問題につきましては、ただいま、先ほど申しましたような抜本策の中で、大手中小を問わず、いわゆる石炭対策として検討いたしておるわけでございますが、まあ中小は、御承知のように、大手と違いまして、特に金融関係が非常に困難な事情にございます。大手もまあ大同小異で、ほんとうはそう本質的な差はないのですが、御承知のように、大手も赤字でございますから、市中銀行からはほとんど相手にされていないというのが現状でございます。しかし、そうはいうものの、たとえば短期の資金等につきましては、まだ市中銀行もやはり大手を信頼いたしまして貸しておるわけですが、しかし、残高としてはもうこれ以上ふやさないというような態度で臨んでおるわけでございます。そういう意味では大手中小もそんなに、何といいますか、社会的に金融機関からの信頼という点では大きな違いはありません。しかし、違います点は、大手はまだ資産を持っておるとか、担保力があるわけでございます。この担保力も、まあ率直にいえば、そういばれる担保力ではありませんけれども、とにかく一応の担保力がある。中小炭鉱担保力がきわめて乏しいというような実情がありますために、中小炭鉱の苦境のやはり一番大きい点は金融問題にあるというふうに考えております。私どもとしましては、お盆とか暮れには、大体中小企業金融公庫等から越盆資金とか越年資金等の融資をいたしておるわけでございますが、先ほどお尋ねの、借り入れ残高の政府資金の肩がわりでございますか、この点はまあただいま中小炭鉱方々が私どもにもそういう意見を出しておられますけれども、単に借金の残高があるから政府の金で肩がわりしてくれということだけでは、なかなかやはり政策として私が努力いたしますのに、私は炭鉱のためにいろいろ努力する立場でございますが、なかなか関係方面の説得に非常な困難に逢着するんじゃないか。ですから、たとえばそういう残高についての肩がわりというのじゃなくて、やはりその責めに帰するにしてはあまりに気の毒だというような、この過重な負担、異常債務というようなものであれば、これは大手と全く同じような立場、私は、大手に肩がわりする場合には中小にも肩がわりするということは筋が通ると思いますが、単なる残高についての肩がわりということになりますと、正常な残高もございますから、金融機関からの残高といいましても、その程度の借金は企業経営としてはあたりまえというような残高もございますから、まあそんな点を考慮してやはり判断しなければいかんのじゃないかというふうに考えております。
  84. 阿部竹松

    阿部竹松君 その局長のおっしゃったことばの中の、異常債務を持っておるような中小はもうすっかり埋没して、ないですよ、実際。まあ全然ないということはないでしょうけれども、まあないといってもいいでしょう。ただ、私のいま申し上げたのは、たとえば佐賀県の場合は協和銀行から借りるとか、長崎県は親和銀行とか、福岡県は福岡銀行から借りるとか、それぞれ担保能力のあるのが借りておるわけです。しかし、その上に二重担保という力がないし、そうすると国からなかなか金を融資することができない。しかし、国から融資すると金利が安いわけです、市中銀行から借りるよりもですね。ですから、その担保物件を市中銀行から抜いて、そうして国の安い金利で肩がわりしてくれんか、まあこういうことで、異常債務中小炭鉱などというのは、いま申しましたとおり、ないとは言えぬでしょうけれども、おそらくそういうのは過去数年の間につぶれてしまっておる、こう考えるわけでお尋ねしたわけです。  ただ、そこで、さいぜん通産大臣のお話、石炭局長のお話をお聞きしておると、あげて答申待ちですから、質問するのもちょっと張り合い抜けしたようなかっこうですが、しかし、いずれにしても、石炭局長あるいは通商産業省を無視して、独自で有沢さんなり植村甲午郎さんの委員会結論を出すとは私は考えない。十分皆さん方の意向というものもお聞きになってどうするかという結論を出されるものだと私は考える。  そこで、委員長、まことに恐縮ですが、そのときにわれわれはどう考えておるということを二、三参考にしていただきたいので、もう少し申し上げてみたいと思うわけですが、一例をあげるとビルド鉱の資金ですね、昨年は二億円で、ことしは四億円、合計六億円を北海道、九州にやられるそうですが、やはりそのワクを拡大して、もう少しいまのようなあれでいくと、釧路の炭田などには全然配分がいかぬようなシステムになっておる。ですから、もう少しワクを拡大する方法がないものかどうか。あるいは、なるほどその開さくには五〇%の融資がなされることになっておるが、さてその選炭機をつくるにしても、御承知のとおり、五億も六億もかかる。そのほかあらゆる方面に金がかかるので、さいぜん申し上げましたとおり、百万トンの山には百億円かかるという理屈になりますので、そこらあたりの手当てについてはどうお考えになっておりますか。
  85. 井上亮

    政府委員井上亮君) 石炭鉱業に対する設備資金の問題だと思いますが、これは新鉱開発の場合と一般の近代化機械化のための資金問題であろうかと思いますが、新鉱開発につきましては、先ほど御指摘がありましたように、昭和四十一年度におきましてはまだ具体的に着手しております地点は有明しかございませんので、ただ、もう一つ、三菱の南大夕張が四十一年度から実行したいということでボーリングを二十本余り打ちまして、準備としては一応完了いたしておるわけでございますが、こういった地点を一応前提としての予算措置を組んだわけでございます。したがいまして、まあこれが初年度的な資金対策でございますから、予算としてはわりあいに少なかったわけですが、これを本格的にやるということになれば、今後この融資につきましては増ワクに努力をいたしたいというふうに考えております。  それから、一般的な資金の問題につきましては、先生も御承知のように、合理化事業団からの合理化資金融資と開発銀行からの融資ということでやっておるわけでございますが、まあ釧路に全然やらぬともいうような方針はとっておりません。釧路につきましても、開発銀行等の資金につきましては、これは当然まあ毎年近代化資金についても融資いたしております。ただ、まあ一般炭と原料炭の開発というような見地からいいますと、御承知のように、一般炭につきましては、これはまあ相当最近の事情からいたしましてもなかなか供給過剰の面もございますので、特に育成することはどうかというような見地もある。原料炭につきましては、最近鉄鋼業界の需要の石炭引き取りについての態度が少し従来よりも固くなってきておりますので、問題はありますけれども、しかし、当該開発すべき炭鉱、これの自然条件なり炭質なりがきわ立ってよろしいというような場合には、先ほども申しましたように、やはり石炭産業としては古い山は逐次整理される、そして新しい能率のいい炭鉱に移行していくという常道に従いましてこれはやっぱり開発に努力するというような方針でいきたいと思います。一般的に、予算につきましては、設備資金につきまして、近代化資金、開銀ともに、まあ相当な増大をいたしておりますので、まあ今後ともそういった方針で努力していきたいというふうに考えております。
  86. 阿部竹松

    阿部竹松君 私の申し上げたのは一般炭と原料炭の差をなくそうということで、近代化資金やその他のことは触れたのじゃございません。  その次にお尋ねするのは、これはその次にお尋ねする山野炭鉱の問題と関連しておるわけですが、まあこの答申案がどういうかっこうで出されるかわかりませんから、あまり深く触れてもどうにもならぬと思いますが、たとえば利子補給しなさいと、あるいは従来の累積赤字何%補償してあげましょうというようなことになった場合に、いままで盛んに企業努力した山が対象外になるという可能性もあるわけですね。どこにものさしを置くかわかりませんから、そう言うのは早計かもわかりませんが、赤字補償してあげましょうといったら赤字が俎上にのせられますので、これまで企業努力をして赤字を出さない山は、これは対象にならない。また、利子補給にしてもそのとおりと、こういうことになるので、これは将来の問題ですからはっきりお答えできなかろうと思うのですが、局長はこういう点についてどのようにお考えになっておられますか。
  87. 井上亮

    政府委員井上亮君) お説のように、まあ石炭産業には非常に経営成績をあげている企業ではなく、端的にいえば黒字企業もございますが、大部分は赤字企業でございますが、そういった企業によりまして、あるいは山の自然条件等にもよるわけですが、企業によりましてそういった経営力といいますか、経営内容の相違が相当あるわけでございますが、私どもは、必ずしもその何といいますか、悪い企業だけに助成するという思想でもございません。しかし、これは助成策の内容いかんになるわけですが、できるだけそういったバラエティーのある企業の実態、こういうものが地域差もございますし、いたしますので、できるだけ石炭政策として公平な配慮をする助成策をやっていきたい。たとえば肩がわり策というような政策でなしに、やはり鉱害対策、あるいは何と申しますか、赤字対策と申しますか、やはり中間答申の表現をもってすれば、安定補給金の構想とか、いろいろあるわけですが、あるいは坑道掘進等に対する補助助成の問題とか、いろいろあるわけでございまして、そういった諸政策をできるだけ組み合わせを考えまして、できるだけ不公平にならないような配慮をしていきたい。ただし、何と申しますか、自然条件も非常によくて現在黒字の会社は異常債務もないわけですね、これはたまたま過去において閉山合理化というような試練も受けてない非常に恵れた企業も中にはある。海岸炭鉱とか、あるいは離島等におきましてはそういう山もあるわけですし、こういうところは運賃もあまりかかりませんし、鉱害もない、自然条件もいいというようなことで、単にその企業の努力でよくなったとも必ずしもいえない。そういった地理的条件、あるいは一山一社として、要するにエネルギー革命の影響の受け方が比較的少なかったというような面、それから、鉱害が全くない条件にあるというような点で格差があるわけでございます、まあ非常に恵まれた条件で、今後とも黒字をあげて配当をしていくというような会社には、それはちょっと利子補給等について私どもはするのは必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えております。ただ、まじめにやっているけれども、なお過去の終閉山の負担、その金利が非常に高くついておる、あるいは鉱害の支払いに苦しんでおるというような場合には、これはやっぱり利子補給その他の助成策もいまやっておるわけでございます。やはり抜本策におきましても同様な配慮をすることになろうかと思います。
  88. 阿部竹松

    阿部竹松君 いま局長のおっしゃったとおりであろうと思いますが、さてそれを実施するにあたって、これはどういうものさしを使ってやるかということ、これがたいへんである。国会で法文化する場合にはいとも根本問題で簡単ですから、あといろいろ政令にゆだねるか、省令でおきめになるか、あるいは石炭協会に一切まかすかは別として、昨年の暮れに新聞に出たように、八百億か一千億か幾らかわかりませんけれども、国で暫時の間肩がわりしてあげようということになれば、さしあたりどの会社が、あるいはどの炭田がどれだけ肩がわりしてもらうのかというようなことになる。したがって、そのときに、いま申し上げましたとおり、どなたがどういうものさしで裁定されるかは別として、さしあたり頭に浮かんでくるのは、三井がお世話になるだろう、あるいは北炭だろう、三菱だろう、住友だろうということが頭に浮かびますね。そこで、私は三井の例をとって申し上げますが、山野炭鉱、それから田川炭鉱、これは三井の第二会社にしていますね。ところが、田川炭鉱には、時の総理大臣を当時の三井の栗木社長が案内して田川炭鉱に行って、日本で最後に残る炭鉱はここですよといって総理大臣に見せた。それを三井が第二会社にした。あるいは山野炭鉱も第二会社にした。その第二会社にするまでは一応了としても、その負債を全部三池なり田川なり、芦別なり三井鉱山株式会社で背負って、この山野炭鉱会社の借金が一つもない。資本金五千万円で、大爆発を起こした山で、千人近く従業員がおる、何万トンという石炭を出す、借金は全部三井本社の借金、こっちは膨大な黒字になっている、こういうことが許されておる。三井鉱山は一番借金があるから、今度国が肩がわりしてやるといったときにはどうなるかわかりませんけれども、一番三井鉱山が国のお世話になる。こっちの山は第二会社に五千万円の資本金で膨大な黒字を出して、こちらの赤字を埋めて国がお世話する、重役は三井本社の重役だ、法人格では違うのでこちらと関係がない。もし三菱高島、住友赤平なりが赤字会社を第二会社にしてしまって、借金は全部出すなり借金を埋めてやったらどういうことになりますか。法的には何ら抵触しない。しかし、政治的には大問題ですよ。これを通産省がお認めになっている。こっちの借金を全部こっちへ持っていって、こっちは黒字だといって膨大な利潤をあげている。今度一番借金があるからといって、国民税金の中から融資して肩がわりされたその半分以上を使うということは、これは局長、許されますか。しかし、現実の事実としてそういうことになろうかと思います。こっちの借金を全部こっちが背負う。やはり鉱害でも三井本社でやるといって一つもやっていない。貝島のような山であったら、炭鉱の若いときにろくなことをやらんで、いまごろ腰の曲がっているときに何を言ってるんだと笑っておられるけれども、その後の三井鉱山は一千数百億を国を通して肩がわりしたときに、第二会社として残しておいて、そうしてそっちは黒字を出しておる。これはもう私の前に吉武先生炭鉱に若干関係あったので、よく御存じだと思う。こういうことを吉武先生ならかんかんになっておこる。おこらなかったら知らなかったということになる。そういうことをやっているのですから、それに金を出す必要が一体あるのか。私などは三井鉱山に一銭も出さぬでもよろしい。総理大臣を連れてきて、最後まで残ると言った第二会社であってそういうことをやっておるのですから、それに今度一番金を貸してやらなければならないという理屈はないでしょう。まだこれから案が出てくるので、金を幾ら融資するかという話が出てきませんから、これ以上申しませんけれども、もし肩がわりする場合に三井鉱山が一番多いといったら、これは天下の大問題になる。局長の御見解を承りたい。
  89. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいま非常に事情に明るい阿部先生から、山野炭鉱と三井鉱山との関係を例に置いてのお話でございましたが、これは阿部先生は、ほんとうはもう少し実情を御存じのはずと思うわけでございますが、御承知のように、山野炭鉱は三井鉱山から離れて第二会社になったわけでございますが、これは当時三井鉱山としては山野、田川地方におきましては、この二山を閉山したいという希望を持っておったわけですが、ところが、なぜ閉山するかといえば、山野も田川も、やはり将来三井の相当大きな負担になるというような見地から閉山したい。三井としては、北海道の二山と、それから三池に集中したいというような計画を持っておったわけでございますが、この閉山に対しましては、当時やはり相当離職者対策等、非常に大きな問題がありまして、この雇用対策はそう簡単なものではございません。それから、同時に、地元にとりましても、いま一挙に山野と田川を閉山されますと、これはもうあの周辺の市町村は壊滅的打撃を受けるわけでございまして、そういった意味合いから、地元の要望、あるいは労働者、労働組合等の要請もあって第二会社として生きるということになったわけでございまして、しかし、第二会社として生きるためには、やはり三井鉱山が過去に背負っておる借金と申しますか、山野とかあるいは田川に投資しましたその投資の残高等につきましても、あるいは三井鉱山全体として背負った過去の累積赤字というようなものは、一応三井鉱山、親会社が背負いませんと第二会社としても生きられない。そういう負担まで分担されては、やはりとても山野も田川も生きられないというような事情から、全部そういった三井鉱山、親会社がその借金を全部ひっかぶった。で、山野と田川は身軽にして生きる措置を講じた。したがいまして、身軽になりましたので、あと山野、田川労使一体としてよくやっております。現在はとにかくペイする体制になったというのが今日の姿でございます。したがいまして、そういう経過があるわけでございますので、そういう過程から生じた三井鉱山の背負いかぶりました負担というものは、やはり山野がたまたま黒字をあげているからといって、何といいますか、当時肩がわりを予知してやった計画的なことでもございませんし、したがいまして、私は同情できる筋はあるのではないかというふうに考えております。ただ、今後ともに山野、田川は、先生の言われるほどの膨大な黒字ではございませんが、とにかく一応黒字体制になって黒字をあげておりますが、それはやはり山野が三井鉱山に返済すべき資金もあるわけですから、たしか十二億くらいか何か、鉱区を譲ってもらったり、何か返済するものがあるわけで、現在黒字の中からそれを三井鉱山に返済しているというような形でもあるわけでありまして、必ずしも三井鉱山が先生が言われるほど、山野との関係におきましては私は同情すべき余地があるのではないかというふうに考えております。
  90. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭局長が何のために三井鉱山のことを弁解されるのか、美辞麗句を用いておっしゃられるかわからない。それは表面だけの話であって、あれを分離するときに相当問題があった。それで、経営者についても大問題があった。あれは三井鉱山から優秀な技術者を置かなければならないというので、中村という人が行った。半年もたたずに本社に戻った。それから事故を起こした。三井鉱山の社長倉田さんがあの山の社長をやっております。したがって、表面的にはそうおっしゃるでしょうけれども、あなたのほうの通産省で直接金を貸しませんが、開発銀行なりよその近代化資金の中から金を貸してくれ、三井鉱山の裏判を持ってこい、よろしいというようなことをやっているでしょう。それをあなたが知らないわけはないでしょう。そうしておった、当時のそういうのは歯の浮いたような話です。これは法的に責める方法がない。しかし、経営者として、これは中小企業の経営者ならいざ知らず、日本一か二といわれた三井ともあろうものがそういうような最大の国の税金を使うことには納得がいかぬわけです。  これは余分のことですが、あれだけの争議をやったら問題が残っていることは理解できますが、今日でも大問題です。これは通産局長ですから、労働問題に関係ないから御承知ないかもしれませんけれども、日産自動車でも淀川製鋼所、北海道の室蘭製鋼、それから王子製紙、日本の終戦後二十年の間に起きた大争議はみな三井資本ですよ。ほかの資本でそんな大争議をやったところはない。いまいったとおり、労働省の人でないから局長はわかっていないでしょうが、しかし、局長、ああいう争議は新聞が書いてごらんになる、あれは全部三井です。何でこういう問題が日本で一から十まで争議のニュースが三井系から出ているか、それといま申し上げたのとは関係ないようですが、経営者として、国民税金炭鉱がお世話になっている中で、またお世話になろうとしているのですから、少しは良心を持ってやっていただかぬとこれはぐあいが悪いと私は思う。しかし、局長の答弁を聞くと同情しているのですから、これはほかの炭鉱より三井をめんどうをみてやるということになるでしょう。しかし、そんな理屈は通りませんよと私は思いますね。
  91. 井上亮

    政府委員井上亮君) 三井と山野の関係の経緯を申し上げたわけでございまして、その意味で三井鉱山に同情すべき点もあり、その点についてはということを申し上げたわけでございまして、私といたしまして、今後抜本策を立案ないし実施する過程におきまして、特に三井鉱山に有利になどということは毛頭考えておりません。それどころか、むしろ阿部先生御指摘の事情も存じております。そういう事情もあるということも存じておりますので、特に同情して差別的な考え方をするというようなことは毛頭考えておりません。  で、一言付言させていただきますと、私どもは、相当やはり今後助成策をやっていきます反面、やはりそれ相当の会社に対する監督、規制は強化してまいりたいというふうに考えております。たとえば先ほど三井と山野の関係でおっしゃいましたけれども、たとえばそういうことで山野に非常に大きな黒字が今後とも継続的に出るというようなことであれば、そういった点もやはり考慮しなければいけませんし、それから、同時に、経理面の監督、どなたかやはり御質問がありましたけれども、やはり三井鉱山が国の大きな助成を受けながら、かってに資産処分をする等の行為も、これは放置できません。やはり資産処分等についても国の認可を受けるというぐらいの強い経理規制は今後強化してまいりたいというふうに考えております。
  92. 阿部竹松

    阿部竹松君 次にお尋ねしますのは、さいぜん局長も若干触れておりましたが、原料炭の輸入状態ですね、五、六百万トン入ってきておるわけですか、したがって、いま原料炭の貯炭も、一般炭とは違いましょうけれども、貯炭がある。これはどういうことなのかというお尋ねが第一点と、それから次に無煙炭ですね、今度日韓条約を締結したので、いままでも入ってきておりましたが、無煙炭が膨大に入ってくるという話がある。朝鮮はわが国に輸出するといったら無煙炭とノリぐらいしかないわけですから、それが影響を受ける。もちろんこれはベトナムからもきておるというわが調査室長の話ですが、朝鮮から無煙炭がどんどん入ってくると、これはわが国の無煙炭は山口県とか、あるいは天草半島で出るわけですから、そういうところがきわめて影響が大なので、この関係はどういうふうになりますか。
  93. 井上亮

    政府委員井上亮君) まず、原料炭のほうでございますが、これは鉄鋼業界としましては、昨年の上期までの石炭の生産状況が非常に前途暗い姿でありました。上期の石炭の生産は、計画に対しまして百四十万トン程度の減産をいたしたわけでございまして、下期は、先ほど阿部先生から御指摘を受けましたように、これは経営者、労使はもとよりでございますが、私といたしましても、当時需要部門からおしかりを受け、供給責任等の問題も云々され、かつは、また、やはり長期引き取りにつきましては、約束を守った供給をしませんと、あと長期の引き取りをしてくれというときに話が通じないというような見地もありまして、下期に出炭を伸ばす努力を要請したことは事実でございますが、そういうような背景はあるわけでございますが、鉄鋼業界としては、何といいますか、上期におきます国内炭の出炭状況等がきわめて暗い見通しでありますために、私どもとしても輸入を認めました。五百万トンというのは強粘結炭が入っておると思いますから、いわゆる国内炭と競合いたします弱粘炭につきましては、これは百六、七十万トン程度だろうと思いますけれども、こういう輸入をいたしております。したがいまして、それが今日入ってきておるということは御指摘のとおりでございます。  今後の問題といたしましては、長期契約をしているようなものは、これはちょっと簡単に長期契約をやめろというわけにはいきませんけれども、それ以外のスポットものにつきましては、私どもは極力国内炭が余っております限り、これは輸入の割り当てを控えてもらうような措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  それから、無煙炭につきましては、これは特に韓国からの輸入問題、これが問題になっているわけでございますが、韓国とは先般政府がいろいろな諸協定を結んだわけでございますが、その際、韓国側から、韓国から日本に輸出するものが少ないというような関係で、無煙炭の韓国から見た輸出、この増量要請があったわけでございますが、これは私ども石炭行政をいたしております立場から、これを韓国の要求どおりに認めますと国内の無煙炭業界が非常に甚大な悪影響を受けますので、やはりそう申し出どおりのことを受け入れるわけにまいらない。しかし、従来韓国から二十万トン程度輸入されておったわけですが、まあ国内無煙炭業界に悪影響を与えない範囲でできるだけ好意的には考えなければいかぬ、そういう国際関係もございますというふうには考えておりますが、無制限に入ってくるというふうなことは私ども認めたくない。やはりあくまでも好意的には考えましても、国内無煙炭業者の立場もございますので、そういった指導方針でまいりたいというふうに考えております。
  94. 阿部竹松

    阿部竹松君 貿易の自由化ということで影響を受けるかもしれませんけれども、韓国、北ベトナムですか、ここを中心として五十万トン、六十万トンの無煙炭が入ってくる。これは石炭局長、タリフクォータ式にやるというわけにはいかぬものですか。
  95. 井上亮

    政府委員井上亮君) 無煙炭につきましても、原料炭、一般炭と同様に、やはり外貨の割り当て制度をいま励行しておりますので、割り当て制度の過程で必要な額にとどめるようなコントロールをいたしたいというふうに考えております。
  96. 阿部竹松

    阿部竹松君 わが国のコストと、ベトナムあるいは朝鮮から入ってくるコストの差をちょっとお知らせ願いたいのですが。
  97. 井上亮

    政府委員井上亮君) これはベトナムと韓国では、品質が、先生承知のように、違います。ベトナムものは、どちらかというと、鉄鋼原料等にも使う良質のものでございますし、韓国からきます無煙炭は、これはまさに国内の宇部、あるいは天草の一部等と競合いたします練豆炭用というような品質のものが多いわけでございます。したがいまして、競合といいますと、どちらかというと韓国の無煙炭と競合する度合いが強いわけでございます。ベトナムのも全然影響ないとはいいませんけれども、どちらかというと用途が全然違います。価格の点につきましては韓国のほうが少し安いというふうに聞いておりますが、具体的な金額につきましては、後日資料をもちまして正確にお答え申し上げたいと思います。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 価格はあとでけっこうでございますが、ただいま局長から答弁がございましたとおり、天草、あるいは山口県でほとんどとれる。山口県の山陽無煙炭鉱あたりは宇部資本ですから、ある程度競合が出ると思います。しかし、その他はもうほとんど無煙炭採炭をやっているところは弱小炭鉱ですから、韓国からごそっと、これしか売るものはありませんよということで輸入されると、これはたいへんなことになる。したがって、私は、タリフクォータ式にしてやられれば、わが国の弱小炭鉱の無煙炭業者にも影響がないというふうに考えるわけですけれども、日韓条約も締結されたことでもあるし、貿易の自由化ということがうたい文句ですから、なかなか食いとめるに困難であるというようには判断されますが、これはおそらくこの次の六月の答申案には出てくるということはなかろうというふうに判断しておりますので、いま石炭局長の格段の取り計らいをお願いしたいというように考えます。よろしゅうございますか。
  99. 井上亮

    政府委員井上亮君) 私ども先生のように考えております。先ほど申しましたように、外貨割り当て制度を残しておりますので、そういった面から国内業界に甚大な影響を与えないような配慮をしてまいりたいというように考えます。
  100. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 関連して。いまちょうど阿部委員から無煙炭についての御質疑がございましたので、関連いたしまして石炭局長にお伺いしたいと思うのです。  いま阿部委員のおっしゃいましたような無煙炭は、外国のベトナム及び韓国の無煙炭と競合いたしまして、これが多量に入りますというと、中小炭鉱でありますから、過去の経験に徴しましてもつぶれてしまうのであります。これは石炭局長は御承知かと思いますが、かつて前尾繁三郎氏が通産大臣のときに非常に好況であったから、好況に恵まれまして一般工業炭として無煙炭が入ってきた。ところが、急に政策の転換が行なわれまして不況になりましたために、その工業用無煙炭が実は練炭用に肩がわって横流れして入ってきた。そのためにその当時たくさんの中小炭鉱がつぶれた経験がございます。その後、通産当局も間に入られまして、そういった横流れのないように、そうして輸入も自由化になりましたが、無煙炭は、御承知のように、輸入制限ということで調整はされております。私はいまここで当局に文句を言うつもりはございませんけれども石炭局長石炭政策に対して御理解がありまするから問題はございませんけれども、やはり輸入するという通商関係になりますというと、先ほど阿部さんから御意見もございましたように、やはり韓国から買うものがないからというようなことで入ってくる可能性があるわけであります。過去の実績を見ますると、毎年輸入についての調整が行なわれて数量が決定されますが、いま私ここに資料を持っておりませんので、数字を申し上げることができないのですけれども、お調べいただきますと、過去数年間にいろいろな事情を加味されまして、内地無煙炭の生産はやや横ばいになっておりますけれども、輸入炭は相当ふえてきて、それが圧迫いたしまして、ことしあたりでも相当貯炭があるのでありまするから、石炭政策について、有煙無煙を通じて、相当通産当局は、先ほど通産大臣のおことばにもありましたように、御考慮になっておるとは思いますけれども、こういったささいな問題をよほど御留意いただきませんと、その影響によって中小炭鉱がつぶれた実例がたくさんございますので、ちょうど阿部さんから御質問がありましたので、関連いたしましてひとつ石炭局長に御見解を承りたい、こう思う次第であります。
  101. 井上亮

    政府委員井上亮君) 無煙炭につきましては、先ほども申しましたように、品位とか品質的に競合しないようなものは、これは輸入を認めなければならない。これは用途によりますというふうに考えておるわけでございまして、根本的にはそういうふうに考えておるわけでございます。なお、外貨割り当ての制度を残しておりますので、その面から今後コントロールしてまいりたいというように考えておるわけでございますが、なお、この輸入行政は、先生御指摘のように、通商局と私のほうにまたがっておるわけでございますので、通商局のほうにも絶えず私ども十分連絡いたしまして、私自身もよく状況を注意して遺憾のないように運営してまいりたいというように考えます。
  102. 阿部竹松

    阿部竹松君 吉武先生から強力な御発言がありましたが、吉武先生は日韓条約を推進なさった自民党の有力な指導者でありますから、その方が無煙炭が入ってきては困るということで、私と立場が違うのですが、期せずして意見が一致しているわけです。こういうことがあるから、吉武先生に日韓交渉は急がぬように再三お話をしたわけですが、残念ながら日韓条約が締結されたので、入ってきたらたいへんなので、それでだめ押し的に局長にお聞きしたわけですが、無煙炭に関連して、いまニュージーランドが日本の市場を新しく開拓するために膨大なセールスマンが来ているということが日経新聞に一週間ほど前に出ておりました。これは事実なんですか。
  103. 井上亮

    政府委員井上亮君) 私はまだその事実を聞いておりませんが、至急調べてまいりたいと思います。
  104. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次にお尋ねいたしますが、鉱害の問題ですが、これは膨大な鉱害あと始末なんで、一朝一夕にこれもできる仕事ではありませんが、大体現時点でどのくらいあるわけなんですか。これは衆議院段階でも相当論争したようですから、私はあまり深く触れませんが、とにかく膨大な数字になりますが、貝島炭鉱一社のみでも五十億、六十億近い鉱害あと始末が必要であるというように承っているわけですが。
  105. 井上亮

    政府委員井上亮君) 鉱害につきましては、私ども昨年一年かかりまして全国鉱害量の調査をいたしたわけでありますが、最近ほぼ集計を終わりまして、ただいま関係のところと調整——これはわずかな調整でございますが、中共において微調整の段階に入っております。今日までもそういった意味合いで、最終的ではございませんが、大体のところは、既採掘のものの残存区域といたしましては六百七十億の鉱害が残存している。これは従来よりもやはり三、四割程度ふえておりますが、それは昨年から今年にかけての時点で、何といいますか、鉱害復旧の評価をいたしましたために、評価がえのような形をとっておりますので額がふえております。なお、今後、将来の採掘区域に生ずるであろう鉱害量の調査もあわせていたしておりますが、これは二百八十億ぐらいになるのじゃないかというふうに考えるのでございます。これらの鉱害につきましては、私どもこの鉱害量調査、これを一応確定いたしまして、今後この復旧につきましては、できるだけ計画的な復旧をいたしたいというふうに考えております。特に既採掘分のものにつきましては安定鉱害になっているものが多いわけでございますから、これにつきましてはできるだけ計画的な復旧ができるように、そのためには、やはり予算措置においてもそのような予算要求をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  106. 阿部竹松

    阿部竹松君 その鉱害も明治、大正、昭和の三代にわたって、明治時代の鉱害もまだあるということは申し上げられないかもしれぬけれども、とにかく相当年代の古いのがあって、だれが掘ったために起きた鉱害なのかわからないのもあるし、あるいは無資力者とらく印を押されているのもある。また、資力があってもやらない、あるいは何度も筑豊の例ばかりあげて恐縮ですが、三井なんかも現地を見るとあまりやっておらない。  そこで、局長にこれをお尋ねするというよりも、おはかりするのは、小竹町などに行っても何百坪、何千坪という陥没地帯があって水がたまっている。筑豊のまん中ですから、労働者がたくさんおっても休養するようなセンター設備もない。労働者は昨年から毎年、今年は熱川、来年は大津というようにレクリエーションセンターをつくって、大企業の会社ですと休養設備があったり、設備が不完全であっても宿泊設備があったりするが、中小企業の従業員なんかにはなかなかそういう設備がないので、労働省で毎年一カ所ずつレクリエーションセンターをつくって、中小企業、あるいはその他の設備を持たぬところの従業員のために便宜をはかろうということで、日本全国に建てることになった。あの筑豊のまん中に行って見ると、ぽつんぽつんと散発的にある陥没地帯は別として、一カ所大きな池になっているようなところは、必ずもとの状態にして水田にしなければならぬという理屈もあるかもしれないけれども、また、利用方法によっては有効に使えるのですね。ですから、労働省と通産省と力を合わせてやるならば、あの池を利用してレクリエーションセンターでもつくると、これはわざわざあそこをたんぽにするために、膨大なとにかく石を運ぶとか、あるいは水を吸い上げるポンプを据えつけておかなければならないということはないわけです。そういうふうな方法であの陥没地帯を利用できぬものかどうかということを、あの付近を通るたびに私ども考えるわけです。しょせんしろう考えですから、ものになるかどうか別として、とにかく貝島なんという会社は五十六億とか六十億の鉱害復旧費がかかるそうで、これは永久にあの会社はやっていけませんよ。これはたいへん貝島という会社に失礼なことを言うことになるわけですが、とてもあの会社で鉱害だけでも五十億の金を払うだけの利潤をあげることはできないと私は思う。やっぱり国が無資力者ということでやってやらなければならない。そういう金を出してたんぽに直すのも必要かもしれませんけれども、そればかりが芸ではありませんから、そういうことをひとつ石炭局と労働省の基準局でお考えになってはどうかということを私は考えておるのですが。
  107. 井上亮

    政府委員井上亮君) 阿部先生のおっしゃることも一つの構想だと思います。ただ、私も先生のおっしゃいましたような地域を見たことがあるわけでございますが、なかなか筑豊の炭鉱地域、特に鉱害地帯におきましては、観光、レクリエーションセンターというようなことは、できないことはないと思いますが、もちろんその池を利用し、あるいは周辺の地帯を整備してレクリエーションセンターにするということは一つ考え方だと思いますが、必ずしも立地条件がどうかというような点もありましょうし、端的に言えば、常磐炭鉱——先生承知のように、温泉水を利用してハワイアンセンターをつくったというように、温泉でもありますとまた非常に成り立ちやすさもあろうかと思いますが、そういった事情もございませんので、なかなか実現には困難が伴うかもしれませんが、しかし、だからといってそういうことばかり申しておっては鉱害対策は何も前進しないわけでございますので、先生の御意見は参考にしたいというふうに考えておりますが、私どもいまやっておりますのは、そういうレクリエーションセンターというような意味でなくて、御承知のように、鉱害地帯に、ある地帯は特に陥没いたしますと水が非常にたまっておるクリーク水等もあるわけでございますので、そういった水をむしろ利用いたしまして、筑豊地帯は工業用水、かんがい用水が非常に不足しておりますので、むしろそういった用途にその鉱害地帯の水の利用をはかりたいというような意味で、御承知かと思いますが、産炭地域振興事業団におきまして、本年度からこのクリーク水だとか、そういった鉱害地帯の水を利用して工業用水をつくるという、そういう施設をつくるというような業務を今年から始めようといたしております。まだこの程度では十分な活用、あるいは鉱害対策として抜本的なあり方とは思いませんけれども、そんなような知恵を出しておる次第でございます。
  108. 阿部竹松

    阿部竹松君 鉱害対策に対する私の発言もとっぴであるけれども局長のいまの答弁もとっぴであって、工業用水にボーフラのわいたような水を、くんでしまったらなくなるような水をどうして工業用水に使えますか。見もせぬで答弁しているようですけれども、見たことがありますか、見もしないで工業用水云々といっても、私の案よりまだあなたの案が悪い。ですから、そういうことでなしに、それは一案だから労働省と話をしてみましょうという答弁をするのが礼儀でもあるし、常識ですよ。そういうような答弁だったら私はこれで質問をやめます。  最後に、膨大に質問がありますが、もう一回審査があるそうですからそのときに譲るとして、一点だけお尋ねしたいのは、たとえば貝島とかあるいは日炭高松、杵島、明治、こういうところは政府から特別にお金を借りておりますね。この融資にあたって、労働者の賃金は云々、能率は云々というように、金を貸すほどですから、幾多の条件をつけるの当然かもしれませんけれども、条件がつけられているわけですね。ところが、三%、この三%では、物価が御承知のとおり上昇して、もうとても物価の上昇が三%、四%じゃないものですから、常識的に生活が苦しいということはわかる。炭坑に入っておって期未手当が二万五千円くらいしかもらえない、これはたいへん気の毒だ。会社が出そうと思っても、これは政府からひもがつけられておりますからいけない、こういうことらしい。したがって、これは大蔵省から金を出してもらうために開発銀行を通じてやったわけですから、そこらあたりの折衝過程においてそのような話が出たかもしれませんけれども、三%で押えられたらこれはたいへん気の毒で、それはいかに坑内へ入って苦しいところで危険な作業をやっておっても、石炭産業が斜陽なものですから、ぜいたくはできぬでしょう。がまんしなければならない。しかしながら、三%で押えられることは不当なことであって、これは局長、何とかあなた方として方法はないものでしょうか。
  109. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいまのお尋ねの前に、前の御質問についてちょっと補足をさしていただきますが、先ほど申しましたクリーク水を活用して筑豊の工業用水の確保をはかる措置を産炭地域振興事業団がことしからやるわけでございますが、これは先生承知の鞍手地域の鉱害による陥没地帯のクリーク水、これを利用いたしまして、事業団が直営で工業用水を確保する施設をつくるというようなことをやりたいと思っているわけでございます。ただ、これにつきましては、まだこれだけで先ほどおっしゃったような疲弊した産炭地域の、特に鉱害地帯の対策にはなりません。先生の案を、お説のように、ひとつ検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、再建会社の問題でございますが、ただいま御指摘のように、これは筑豊地域の会社に多いわけでございますが、日炭とか明治鉱業、あるいは杵島、貝島炭鉱、この四社につきましては政府が特別に資金援助をいたしまして救済をいたしたわけでございますが、この救済に際しまして、これは今後やはり再建するというためには、やはり何よりも労使間の協力といいますか、あるいは努力が必要になってくるわけでございまして、政府のほうといたしましては、そういった体制に対しまして資金的な援助をし、あるいは金融機関から相当膨大な借り入れ金を持っておりますので、その金融機関との間に立ちまして返済猶予を金融機関にお願いをするというようなあっせんをお願いいたしたわけでございますが、その際、今後二年間程度は、やはり会社の苦境を切り抜けるために、賃金はやはりできるだけ会社の実力に合うように労働組合としても協力しようというような話し合いが労使で行なわれたことは事実でございます。中には三%程度という会社もあるわけでございまして、この点についてこれは気の毒ではないかというような先生のお話でございますが、私も率直にいいまして、かりに石炭産業一般の賃金の上昇が年間七%程度上がるというような場合に、非常に会社が不況にあるがゆえに、労使がんばって、再建の期間は少し低くても、会社の成り立つ範囲でがまんしようという御意見、これはごもっともと思うのでありますが、こういう姿でいいかといわれますれば、それは私もできるだけこういう状態から早く脱却できるような対策が必要ではないかというふうに考えております。ただ、しかし、現実問題といたしましては、会社によりましてそれぞれ事情もありまして、もっと具体的に申し上げますれば、同じ再建会社の中でも、非常に順調といいますか、計画どおり、あるいは計画を上回って努力しているところもありますし、あるいは再建計画をつくりましたときの計画に対しましてさらに下回っておるというような、これは何も必ずしも労使の責任とはいいませんけれども、諸般の情勢で計画どおりいっていないというようなところもありますしいたしますので、一がいには申せませんけれども、やはりある程度一般論としては、長期にわたってのこういう姿というのは好ましくない姿だと思いますけれども、やはりしばらくの間労使がしんぼうしようというようなことはやむを得ない場合もあるのではないか。ただ、私個人として、それがあるべき正当な姿かといわれますと、非常に気の毒な事情である、私どもとしては、少なくともできるだけそういう姿でないような政策の樹立に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  110. 阿部竹松

    阿部竹松君 確かに会社の経営内容が苦しいわけですから、ないそでは振れぬということになりましょうけれども、これは月収五万も六万もある人ならがまんできるわけです。しかし、実際問題として絶対量が足らないわけですから、その際にそういうことで頭打ちをされるとなかなか生活が困難であって、その賃金は押えるのだ、しかし、会社には協力せいといっても無理ですよ。しかし、一般相場とまでいかぬでも、せめて七割、八割までは出してあげますよ、そのかわり、会社が苦しいのは御承知のとおりだから、君たち出炭に協力せい、こういうのならわかるが、賃金はもう押える、そのかわり、会社には協力せよということでは、局長、筋が通らぬと思います。ですから、いまも御答弁いただいたわけですが、私は、経営者と会った際に、やはり前向きの姿勢で従業員と接すように格段の御協力をお願いします。
  111. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 他に御質疑の方はございませんか。−本法案に対する質疑は、本日はこの程度にいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会