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阿部竹松君 いま
局長のおっしゃったとおりであろうと思いますが、さてそれを実施するにあたって、これはどういうものさしを使ってやるかということ、これがたいへんである。国会で法文化する場合にはいとも根本問題で簡単ですから、
あといろいろ政令にゆだねるか、省令でおきめになるか、あるいは
石炭協会に一切まかすかは別として、昨年の暮れに新聞に出たように、八百億か一千億か幾らかわかりませんけれ
ども、国で暫時の間肩がわりしてあげようということになれば、さしあたりどの会社が、あるいはどの炭田がどれだけ肩がわりしてもらうのかというようなことになる。したがって、そのときに、いま申し上げましたとおり、どなたがどういうものさしで裁定されるかは別として、さしあたり頭に浮かんでくるのは、三井がお世話になるだろう、あるいは北炭だろう、三菱だろう、住友だろうということが頭に浮かびますね。そこで、私は三井の例をとって申し上げますが、山野
炭鉱、それから田川
炭鉱、これは三井の第二会社にしていますね。ところが、田川
炭鉱には、時の
総理大臣を当時の三井の栗木社長が案内して田川
炭鉱に行って、日本で最後に残る
炭鉱はここですよといって
総理大臣に見せた。それを三井が第二会社にした。あるいは山野
炭鉱も第二会社にした。その第二会社にするまでは一応了としても、その負債を全部三池なり田川なり、芦別なり三井鉱山株式会社で背負って、この山野
炭鉱会社の借金が
一つもない。資本金五千万円で、大爆発を起こした山で、千人近く従業員がおる、何万トンという
石炭を出す、借金は全部三井本社の借金、こっちは膨大な黒字になっている、こういうことが許されておる。三井鉱山は一番借金があるから、今度国が肩がわりしてやるといったときにはどうなるかわかりませんけれ
ども、一番三井鉱山が国のお世話になる。こっちの山は第二会社に五千万円の資本金で膨大な黒字を出して、こちらの赤字を埋めて国がお世話する、重役は三井本社の重役だ、法人格では違うのでこちらと
関係がない。もし三菱高島、住友赤平なりが赤字会社を第二会社にしてしまって、借金は全部出すなり借金を埋めてやったらどういうことになりますか。法的には何ら抵触しない。しかし、政治的には大問題ですよ。これを
通産省がお認めになっている。こっちの借金を全部こっちへ持っていって、こっちは黒字だといって膨大な利潤をあげている。今度一番借金があるからといって、
国民の
税金の中から
融資して肩がわりされたその半分以上を使うということは、これは
局長、許されますか。しかし、現実の事実としてそういうことになろうかと思います。こっちの借金を全部こっちが背負う。やはり
鉱害でも三井本社でやるといって
一つもやっていない。貝島のような山であったら、
炭鉱の若いときにろくなことをやらんで、いまごろ腰の曲がっているときに何を言ってるんだと笑っておられるけれ
ども、その後の三井鉱山は一千数百億を国を通して肩がわりしたときに、第二会社として残しておいて、そうしてそっちは黒字を出しておる。これはもう私の前に吉武
先生が
炭鉱に若干
関係あったので、よく御存じだと思う。こういうことを吉武
先生ならかんかんになっておこる。おこらなかったら知らなかったということになる。そういうことをやっているのですから、それに金を出す必要が一体あるのか。私などは三井鉱山に一銭も出さぬでもよろしい。
総理大臣を連れてきて、最後まで残ると言った第二会社であってそういうことをやっておるのですから、それに今度一番金を貸してやらなければならないという理屈はないでしょう。まだこれから案が出てくるので、金を幾ら
融資するかという話が出てきませんから、これ以上申しませんけれ
ども、もし肩がわりする場合に三井鉱山が一番多いといったら、これは天下の大問題になる。
局長の御
見解を承りたい。