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1966-03-29 第51回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午後一時二十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大河原一次君     理 事                 剱木 亨弘君                 小野  明君                 鬼木 勝利君     委 員                 豊田 雅孝君                 二木 謙吾君                 松平 勇雄君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 小柳  勇君                 片山 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        進藤 一馬君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     森  五郎君        労働政務次官   天野 光晴君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査空知炭鉱の  災害に関する件) ○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。  空知炭鉱災害に関する件について調査を進めます。まず、本件について、進藤政務次官からその後の経過報告を求めます。
  3. 進藤一馬

    政府委員進藤一馬君) 昭和四十一年三月二十二日に発生しました空知炭鉱爆発災害について、さっそく当日現地へ参りました。炭鉱災害調査団をつくりまして、一名向こうへ参りまして、習二十三日に、私、団長といたしまして、労働省あるいは保安局から現地に参りまして、関係当局会社、あるいは組合等からいろいろ事情を聴取いたして入院患者を見舞ったのでございます。二十四日に札幌において調査団北海道関係官庁等合同検討会を開催いたしまして、当日午後引き揚げて来ましたのでございます。会社労働組合職員組合とも、目下全力をあげて罹災者救出に当たっております。具体的な要望はありませんでしたが、組合側から、遺族対策、特に請負組遺族対策保安対策強化要望がありました。また、会社組合等も、今後の救出状況等によって新たに要望することがあった場合にはよろしくお願いすると、そういう要望がありました。現在の段階におきましては罹災者救出全力をあげておるので、労使間におきましても具体的な交渉は行なわれていないようでございます。災害発生後、鉱務監督官によって調査実施されておりますが、現在まだ十名の行くえ不明者がありますために、この救出のために監督官も総力をあげておるのでございまして、この救出と並行して原因調査も行なっておりますが、罹災者救出の目途がつき次第、本格的に原因究明に当たる方針であります。  行くえ不明者を含めました労災保険による保険給付とか、そういう点につきましても、現地におきまして、受給権者において、年金給付によるか、あるいは年金一括前払い制によるか、そういう選択が決定しましたら直ちに給付ができるように手配をいたしておるのでございます。現地におきまして、二十二日、美唄の労災病院若松院長古屋精神神経科部長外一名現地に派遣されまして、二十二日には札幌医大より高圧酸素室治療要員として医師三名が派遣されました。  医療機材等の整備でありますが、災害発生と同時に、現地空知炭鉱診療所におきまして病床を確保する。二十三日に札幌医大より現地空知炭鉱診療所高圧酸素治療機を搬入、二十二日負傷者八名につきまして、被災直後、古屋部長を中心に、一酸化炭素中毒症につきまして諸検査を行ないましたが、発症は認められなかったのでございます。  今回の被災者の特徴としましては、熱風の影響が認められませんで、打撲、骨折等、衝撃による負傷のみでありまして、重傷の長時間在坑者にも一酸化炭素中毒発症のおそれはないと思われますが、引き続きまして医療体制を整えている次第であります。  災害発生の際に関係方面入坑者は三十五名程度救護隊現在百三十名程度入っておりますが、一酸化炭素中毒にかかわる健診につきましては、地元空知炭鉱災害対策連絡会議のもとで、道衛生部と道の労働基準局が協議いたしまして実施促進をはかることに決定いたしております。  遺家族救援状況につきましては、現在行くえ不明者が十名ありまして、その搬出に主力が注がれております。被災者遺家族に対する見舞い金、補償、就職、転職、職業再訓練、各種の資金融資等の労、使、公の援護対策は未決定でありますけれども、現在、道の民生部では援護計画検討中であります。計画ができ次第連絡会議を開きまして、その実施協力援助を行なうよう、体制を整えてまいったのであります。  調査団調査終了後、二十四日札幌市において、調査団札幌市にある関係官公庁関係者合同会議をいたしまして、その結果、札幌市に関係官公庁よりなる空知炭鉱災害対策連絡会議を設けまして、札幌通産局長世話役となりまして、主として今後の医療対策遺家族対策に関する連絡推進に当たることといたしました。負傷者の中には一酸化炭素中毒患者はいないのでありますが、災害当時関係方面入坑していた方々救援活動に従事した方々に、念のために関係官公庁が協議しまして、専門医師等によって健康診断をすることにいたしてまいりました。概略そういう処置をいたして帰ってまいったのでございます。  右御報告いたします。
  4. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまの報告に対しまして、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 阿部竹松

    阿部竹松君 進藤政務次官、たいへん北海道の雪の中、災害調査団長としておいでになって御苦労さまでした。  一週間以上も災害当時から日数が経過しておりますので、その後の若干でも状況をお聞かせ願えるというように判断しておりましたが、残念ながら、前回そういう対策については労働省基準局長、あるいは現況については通産省の保安局長からお聞きしたこととほとんど変わりがない。現地相当取り明け等について困難な状態にあるのですが、これはやむを得なかろうと思いますが、一、二点お伺いしたいことは、鉱務課長が何のために入坑したかということ、これをまずお尋ねいたします。
  6. 進藤一馬

    政府委員進藤一馬君) ただいまの御質問でございますが、向こうに参りまして、会社当局救援全力を注いでおります。参りましていろいろそういう点につきまして問いただしましたけれども鉱務課長以下十名とも、掘進方向決定というような面で入坑したのだろうということを申しておりました。
  7. 阿部竹松

    阿部竹松君 その方向決定ということは何をおっしゃるのかわかりませんけれども、確かにいま次官の説明の中で出てきましたように、前日から云々ということがございましたが、何かが現場で起きてガスが増量してきたのか、それとも、これが地質のことも考えなければなりませんけれども、地盤がゆるむとか、そういうようなことで確かに入ったに違いない。そうすると、おそらく会議を開いて、明朝何時から鉱務課長入坑すると、したがって、どなたとどなたと係員がついてこいと、こういうことになるわけですね。ですから、何のために入ったかぐらいは、救援作業でなくてもこれはわかっておるはずです。だまって掘進課長であるか鉱務課長であるかわからぬけれども、入るわけはない。したがって、何のために入ったかということをお尋ねしたい。
  8. 森五郎

    政府委員森五郎君) これは私から申し上げたほうが適当かと思いますが、実は、この間この委員会でも御説明申し上げましたが、現在、先生御承知のように、関係者はだいぶ死んでおります。それから、当時これに関係しておりました鎌田という生産課長、あるいは斎藤保安課長というのは生きておりますが、この方は現在救出の総指揮をとっておるという状況で、関係者から供述をとることは現在なかなか困難な状態にあるということでございます。したがいまして、この間申し上げましたように、前日の一番方、三番方でガスが多いというような報告を受けて、鉱務課長鉱務課長代理、あるいは保安主任開さく主任というようなものを連れまして平林という鉱務課長入坑をしたと、これは鉱務課長の職務は、こういう開さく関係仕事を受け持っておるということになっております。そういうことでございまして、現在そういう供述をとって、その辺の目的が那辺にあったかということをただしたいという努力をしておるわけで、現状はいま申し上げたようなことでございますので、もうしばらくの期間がたちませんとはっきりしたことは言えないという状況でございます。
  9. 阿部竹松

    阿部竹松君 保安局長、それはとてもわれわれの納得できない御答弁であって、おそらく何のために入ったかということがわからないなどということはあり得ない話です。少なくとも保安日誌というものがあって、前日の一番方はガスが何%あって、二番方はガスが何%あって、三番方になってガスが増量してきたとか通気が悪くなってきたとか、こういうことがちゃんと保安日誌に記入してある。前回も申し上げたように、この人たちは行くえ不明ということで、おそらく気の毒な犠牲者になられただろうという前提条件で私は話をした。あなたは遺族神経もあるというようなことで、私はもっともだと思ったからだまっておったが、それは何かあって入ったに違いない。もしその人たちが遺骸となって出てきたって聞くことできませんよ。しかし、前日の保安日誌ですね、最終の三番方が入っておったと思うのだが、三番方が入っておらなかったら二番方の保安日誌を見ればわかるはずになっている。なくなられた方々に聞こうたってわかりっこない。何のために入ったか、それが問題であって、そこが現在の保安法のあり方がいいか悪いかという問題になるから、そこでなんぼ大きい声を出してお尋ねしても、なくなった人は帰ってこない。しかし、将来のためにやはり参考にしなければならぬと思うのです。何のために入ったかということが明確にわかっておるはずです。お医者さんが自分のからだにみずから間違って注射を打ってなくなったと同じです。上級係員であったかどうか知りませんけれども、少なくとも何とか五本の指の中に入る責任者だ、空知鉱業所の。その人がなくなるんだったら、その山の保安体制なんて推して知るべしですよ。だから、今日になって何のために鉱務課長が入ったかわかりません、掘進課長が入ったかわかりません、そんなはずはないですよ。それはあなたのほうの怠慢だよ、それが事実とすれば。ちゃんと打ち合わせをして、前の人はこうこうガスが出たとか、あるいは山がゆるんできたから、課長みずから陣頭に立って点検をするとか、必ずそういうことでつき合って入ったに違いない。あなたの話では未来永劫にわからぬと断言してもはばからない。そんなばかな話はあるものか。
  10. 森五郎

    政府委員森五郎君) この前、当委員会で、前日の三番方に入った組の係員ガスが多いということの報告を受けて鉱務課長調査に入ったというふうにお答えを申し上げたわけでございますが、それ以上詳しいことは、現在確定的なことは申し上げられないということを申し上げておるわけでございまして、これは要するに先ほど申し上げましたような関係者は、まだ生きておる人もおりますから、その話を現在聞いておるわけですから、そういうところから供述をとりまして確実なことを申し上げたいと、こう申し上げておるわけでございます。大体のところは、そういうガスが多くなったという状況につきまして、それの調査をして今後の掘進計画を立てるために入ったというふうに承知いたしております。
  11. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういうことでは、とても保安局長、問題になりませんよ。この前もここで報告されたように、まあ不幸中の幸いであったと思うのですが、あなたのところの保安監督官で、滝川監督署監督官が十時ですか十一時に行かれた、そのときにすでに爆発してしまっておった。しかし、そのときに鉱務課長以下十名か十一名入らなければならぬような状態であったら、これは危険な状態です。その鉱務課長が入るくらいの大問題ですから、ほかの役所から行かれても、まず第一番にその問題に取り組んだと思うのです。ただ、今日は滝川警察署におさめておるか、あるいは歌志内警察署におさめておるかわかりませんけれども保安日誌を見れば一目りょう然です。それを全然見ておらない。
  12. 森五郎

    政府委員森五郎君) 前日の三番方の保安日誌はまだ書いてない状態で、口答で組の坑内係員がそれを聞き、それを鉱務課長に伝えたということでございますので、したがって、前日の三番方の保安日誌は書かれておらなかったわけでございます。また、二十一日の二番方あるいは一番方については現在どういうふうに書かれておったか、まだ調査をしておらないわけでございます。
  13. 阿部竹松

    阿部竹松君 ますます保安局長、ふしぎなことをおっしゃいますがね。大体三番方は七時か、おそいところでも八時に昇坑しますよ。爆発する前に必ず帰ってきたに違いない。そこにもし入っておったらその人たち犠牲者になるわけですから。そうしたら九時、十時までも三番方の保安職員が書かないということになったら天下の一大事ですよ。そんなばかな話があるものですか。
  14. 森五郎

    政府委員森五郎君) 先生おっしゃるように、確かに三番方の上がる時期はそういうことでございますが、われわれが聞いておる範囲におきましては、大体六時ごろ、その掘進先においてガス等について若干異常があるという報告を受けたというふうに報告をされたわけです。
  15. 阿部竹松

    阿部竹松君 いかなる山でも、これは進藤政務次官は特に福岡県第一区の選出ですから、それに直接関係はなくても、産炭地の出身の方ですから、これは若干でも御理解できると思うのですがね。あれは昇坑してきてふろに入るかどうかわかりませんが、その場で書くのですよ。うちへ帰って、また出てきて書くなんということはないわけです。それはたった一つの証拠物件ですよ、保安日誌というものは。だれが見ても一目りょう然にわかるようにしてある。あなたのお話のようなことではとても話にならぬわけです。あなたの話が事実とすれば、もう保安というものは皆無であったと断定しても差しつかえないわけですよ、そういう保安処置を講じておった鉱業所なり保安管理者がおったとすれば。九時、十時までも三番方が上がってそういうようなことであったというなら、保安というものは皆無であった。もちろんそういう担当の最高の係が行って爆発するくらいのことですから、山が悪かったか、滝川保安監督署指示、あなたのほうの指示、指令が悪かったかわかりませんが、私どもが一歩譲っても、そういうことはあり得ない。
  16. 森五郎

    政府委員森五郎君) 別の組の係員から報告を受けたのは三番方の時間内であったということを先生に御説明申し上げようと思ったのです。したがって、その三番方における保安日誌はまだ書いてなかったということを申し上げようと思ったわけであります。
  17. 阿部竹松

    阿部竹松君 くどいようですが、その三番方の係員、あるいは働いている人が上がってきて鉱務課長連絡をして、ここの現場はこうこうでございましたよということで、これはたいへんである、きのうときょうと若干様子が違って悪化した、しからばわれわれが点検をしようかと言って入って行った、さもなければ残っているわけですから。入坑する人、帰る人は保安日誌をちゃんと書いておくんですから。連絡を受けた鉱務課長以下全滅してしまったわけですけれども、残った人もおるわけですから、三番方の交代した人が残っておるんですから、その人から聞けるじゃないですか。全部が全部全滅したわけじゃないんです。なるほど連絡を受けて入った人は全滅したから聞けないにしても、出た人がいるんですから、その人に聞けば一目りょう然です。そとでがやがやわいわい騒いでいる筋のものじゃないんですから。
  18. 森五郎

    政府委員森五郎君) この組の係員は一名でございまして、これは一緒に鉱務課長と入っておりますから、これは聞けない。しかし、先生おっしゃるように、鉱員が一人生存者がおります。したがって、供述等をいまとっているところでございます。いずれ明らかになると考えております。
  19. 阿部竹松

    阿部竹松君 この問題について保安局長がそういう見解しかおっしゃらないということになれば、もう何をか言わんやで、あなたに言っても話にならぬ。  ところで、現場ではぼう大崩落をしておって、一日に〇・七メーターしか進行しないということで、大崩落です。これはワク金ワクだったんですか、それとも木ワクだったんですか。
  20. 森五郎

    政府委員森五郎君) 鋼ワクでございます。
  21. 阿部竹松

    阿部竹松君 金ワク、しからばガスは現在あるんですかないんですか。
  22. 森五郎

    政府委員森五郎君) 現在引き立てと申しますか、現在のところはちょうど大崩落の足のところまでいっておりますが、そこにおきましてはガスはほとんどございません。
  23. 阿部竹松

    阿部竹松君 ほとんどということはゼロということですか。
  24. 森五郎

    政府委員森五郎君) 先生御存じのように、風管を伸ばしまして吹いたときは若干ガスが出てまいる、それでしばらく吹いておりますとガスは減る。大体ほとんどありませんと申しましたのは、爆発するような程度にはガスがないという意味で申し上げたのでございまして、大体。パーセントを申し上げますと〇・五、六、多いときに風管を吹かしたというようなときに一%ないし二%程度ということでございます。
  25. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次にお尋ねいたしますが、かつてこの会社の親会社である北炭で、昨年の二月ですか、爆発したとき、ハッパをかけるな、ガスがあるといって、ハッパをかける電気スイッチにビニールを下げて、スイッチをひねっておったということを聞いて私ども、あ然としたんですが、風管ぐらいでガスを完全に排除することができるんですか。
  26. 森五郎

    政府委員森五郎君) 現在の崩落個所におきましては、大体この風管ガス排気は可能であると考えております。
  27. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると爆発することになるんですね、あなたのおっしゃるとおりであれば。
  28. 森五郎

    政府委員森五郎君) いまの崩落個所における現状を申し上げておるわけでございまして、作業中、坑道掘進中のことを申し上げたわけではございません。
  29. 阿部竹松

    阿部竹松君 掘進中はどうだったんですか。
  30. 森五郎

    政府委員森五郎君) 掘進中も風管通気をやっておったわけでございます。
  31. 阿部竹松

    阿部竹松君 何立方メートルぐらい大体入っておったんですか。これは完全にガスを排せつできなかったんでしょう。
  32. 森五郎

    政府委員森五郎君) 災害当時でございますが、手前の入気のところから局部扇風機によりまして風管を伸ばしまして、引き立てで空気を吹かすというやり方をやっておりますが、当時の風量は三百七十立方メートルでございます。
  33. 阿部竹松

    阿部竹松君 何メートルの金ワクかわからぬけれども、とにかくいまおっしゃったようなエンジンの風管では微々たるとにかく風量しか入っていかないので、ガスの量が若干ふえてくると完全な排気はできぬわけです。それはあなたのほうの滝川監督官が行ってそういうことを認められ、かつ、何度か点検に行ったと思うのですが、最終的にはいつ行かれたんですか。
  34. 森五郎

    政府委員森五郎君) 滝川監督署から行きましたのは、最終は二月の二十一日から二十三日にかけてでございますが、この三百七十立方の風量で、掘進中はメタンの量が大体〇・七%程度であったというふうに聞いております。
  35. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、二月何日ということになると、一カ月間も行かなかったわけで、ここで局長が再三私どもに御回答くださる点検とか何とかの実施は一カ月に二度は回れるのだと聞いているけれども、それが完全に一カ月も行かないということになるので、一カ月を経過しておったらそれはたいへんなことですよ。それは小さい炭石坑道とか何とかであればいざ知らず、これは膨大な主要坑道となる入気坑道ですからね。それを一カ月も行かぬなどということは、あなたがたびたび言明することと全然違うということになるんじゃないですか。
  36. 森五郎

    政府委員森五郎君) 過去一年間におきまして同炭坑に監督に入りました回数は九回でございます。
  37. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、この甲種炭鉱は、空知炭鉱甲種炭鉱ですが、やはりこの種の主要坑道ですね、あらゆる鉱業所あるいは鉱山でやっていると思うのですが、やはり一カ月なり一カ月半に一ぺんしか行かぬ、こういうことになるんですか。
  38. 森五郎

    政府委員森五郎君) 私が一カ月に一ぺんということを申し上げましたのは、四十一年で二十名の増員を認められまして、それによって予算を大蔵省に要求し、その旅費等から計算いたしまして、大体甲種炭鉱については一カ月一ぺん行けるようになるだろうということを御説明したわけでございます。四十年度は、したがいまして、この空知については、先ほど申し上げましたように、過去一年間で九回の監督をやっているということでございます。
  39. 阿部竹松

    阿部竹松君 確かに今年は予算が増額されて、二十名の増員が認められた。四月一日からあなたのととろへ行ってお仕事をなさると思うのですが、おそらく一年なり一年半なり二年なり訓練しなければ坑内に入ったってわかりませんよ。ですから、その人をほかの仕事へ回して、ほかの仕事をやっている有能の士を回すということならいざ知らず、私が言ったのは昭和四十一年度からと、速記録を見てごらんなさい、そう言うておらぬ。二十名ふえたからといって、この二十名がすぐあなたのほうの戦力になりませんよ。何年かやはり訓練しなければ、半年ぐらいで坑内へ入って、全然点検するどころか、歩くことさえ容易じゃないと思うのです。そんなものは詭弁ですよ。四十一年になって二十名ふえた。しかし、あなたは何回もここで、あるいは商工委員会で言明しているじゃないですか、社会労働委員会でも言明している。そうすると、いまの説を聞くと、二十名増員したからすぐ戦力になってプラスアルファになって回数がふえる、そうすると、いままではそうでなかった、こういうことなんです。
  40. 森五郎

    政府委員森五郎君) 私が御説明申し上げましたのは、四十一年度の計画について、四十一年度はどういう頻度になるかということを例をあげて申し上げたわけでございます。これで二十名増員になったからすぐそれが戦力になって云々ということは、これは阿部先生の御指摘のとおりでございまして、そのほか予算を増額していただましたので、そういった計画で四十一年度はやっていきたいということを申し上げたわけでございます。
  41. 阿部竹松

    阿部竹松君 大体前回も申し上げましたが、調査炭鉱数が半分になって、あなたのほうで点検、検査しなければならぬ機械置き場、あるいはその他の新らしい施設、これを二、三年前よりも半分ですね。しかし、あなたのほうの監督員は減らぬわけですから、いままで一回回ったやつを二回、二回回ったやつを四回ということになる。主要坑道というのは、日本に炭鉱はたくさんあるわけですけれども、これはそんなにたくさんあるわけじゃない。これを一カ月も放置しておく炭鉱経営者経営者だ、爆発してどうにもこうにもならぬというときまであなたのほうに連絡しないのもいかぬ。あなたの責任ではないと思うが、有機的なつながりというのが全然ないですね、有機的なつながりというのが。たまたま行くには行っておったが、全然爆発とかガスとか、主要坑道の話ではなくて、行ったのは全然ほかの仕事でお出かけになったというのですから、もう少しあなたのほうの監督署とのやはり密接なつながりがないと鉱山保安なりについて守れぬと思っているのですが、ただ機械的にこうこうということでなしに、そういうことは全然しないわけですね。
  42. 森五郎

    政府委員森五郎君) お説のように、監督を強化していきたいというふうに考えております。
  43. 阿部竹松

    阿部竹松君 監督強化監督強化と言うけれども、そんなことを聞くなら委員会を開かぬでもよろしい。あなた毎回言っているのですから、前回藤田委員もここへ出席して、毎回同じことを聞くと言っておったが、具体的にこういう災害が起きて、一体どうするのですか。これは現地を見られた政務次官の御答弁でもけっこうです。
  44. 森五郎

    政府委員森五郎君) これは従来からも御説明申し上げておりますように、われわれのほうといたしましては、こういう炭鉱災害につきまして、総合検査、追跡検査、一般巡回検査というようなやり方で十分監督を厳にし、こういう事故は起こさぬようにしていきたいというふうに考えているわけであります。
  45. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの保安局長のような御答弁は聞きあきている。現実には次から次へと大災害が起きている。去年だけでも夕張、伊王島、山野炭鉱、今度政務次官がおいでになった空知炭礦株式会社、こういうわけで、いかに論争してもなかなか絶滅を期しがたい。しかし、炭鉱をやっていく限りは、やはり努力をせんければならぬ。これは一体どうやればいいんですか。政務次官、災害を一〇〇%ゼロにするということはなかなか困難でしょう。坑外で仕事をしておっても災害が起こるわけですから、私も一〇〇%ゼロにせいと主張したいところでありますが、その大目標に向かって進まなければなりませんけれども、次官も現地を見られて、家族その他にもお会いしてきたと思います。このままで努力しますというくらいの答弁しか保安局長にいただけぬ、こういうことであっては将来の対策などゼロにひとしい、御答弁願います。
  46. 進藤一馬

    政府委員進藤一馬君) 通産省といたしましては、このような災害の絶無を期してやっているのでございますが、このたびもこういう災害が起こりまして、まことに遺憾に存じておるのでございます。まあそれにつきまして、私、帰りまして、さっそく自動警報機の取り付けの推進というようなこともまたこの保安対策の一環だと思っておりますし、また、ガス抜きの整備と申しますか、そういう点につきましてもさらに一そう徹底してやっていきたい。それとともに保安教育の徹底が大事じゃないかと考えているのでございまして、そういう点を今後とも大いに検討して、いけることから着々進めていきたい、それで何とかそういう災害の絶無を期していきたい、かように考えている次第でございます。
  47. 阿部竹松

    阿部竹松君 ことばを悪くたとえれば、今度の災害等は、まるでおまわりさんがどろぼうにやられたようなものです。ほかの人を守ってやるべき立場におられる人が自分がやられる、こういうことでは信用ならないので、課長以下、名前は知りませんが、一体どういう立場にいる人がやられたのですか。おわかりでしょうから、もし文書があったら配付してください。
  48. 森五郎

    政府委員森五郎君) 今回の事故で、空知炭鉱の職員といいますか、罹災されたおもな方は鉱務課長の平林、それから保安課長代理の松下、それから坑内保安主任の蛎崎、坑道開さく主任の樋口、開さく係長の細谷、こういう人たちがおもなメンバーであります。
  49. 阿部竹松

    阿部竹松君 まだおるでしょう。
  50. 森五郎

    政府委員森五郎君) このほかに組の係員が一人入っております。それから、組の鉱員を一人連れて行っております。
  51. 阿部竹松

    阿部竹松君 大体そういうところへ組を入れるなどということがそもそも問題なんです。この前、芦別で三年前ですね、坑内へおしを入れておったのですよ。それはあなたのまだ保安局長にならぬ当時ですから、私知らぬとおっしゃるかもしれませんけれども、たまたまおしが犠牲者になってそこでわかった。それが北海道の全部の監督行政だとはぼくは言いませんけれども、事故が起きれば必ずそういう問題が起きる。事故が起きて初めてわかる。いまお聞きしてみたら、それ以上の鉱内の保安の権威者はおらぬでしょう。なるほど保安法の改正によって、最後の責任は鉱業権者がとるということになっておりますから、その人が最終責任者ではないにしても、いま局長から列挙されたとにかくお名前を伺っていると、私の想像では保安に関するエキスパートが全部いかれたわけです。ですから、取り明け、あるいは、なくなった犠牲者を一刻も早く出さなければならぬという、こういうことが実際に全然できないのですよ。確かに進藤政務次官のお話を承りますと、よそから百三十名入ったといっても、赤間と空知でもって合計三十名もおらぬわけですから、そうすると、よその人たちが来ても全然坑道の内容がわからぬ。一番えらい人が全部犠牲者になった、そんなべらぼうな話が、保安局長、この世の中にあっていいのですか。いまだれが指揮をしてあれをやっておるわけですか。
  52. 森五郎

    政府委員森五郎君) 御指摘のように、この会社は非常に何と申しますか、機構が簡素になっております。現在幹部と申しますか、一生懸命やられておりますが、鎌田生産課長斎藤保安課長という人が交代で指揮をしておるというふうに聞いております。
  53. 阿部竹松

    阿部竹松君 そちらの保安体制はどうなっておるのですか。
  54. 森五郎

    政府委員森五郎君) 現在、滝川監督署並びに札幌の本部から監督官八名が交代に行って監督をやっております。
  55. 阿部竹松

    阿部竹松君 それで、見通しはどうなんですか。
  56. 森五郎

    政府委員森五郎君) お手元に「空知炭鉱災害について(第四報)」というのを差し上げてございますから、これについてちょっと御説明申し上げますと、一番最後に「災害箇所取明け見取図」というのを書いてございます。それでごらんいただきますと一番奥でございますが、これは基準点から千六百二十七メートル、引き立ての面から約百四十メートルのところまで一応ボタを乗り越えて、非常な小さな加背で二十五日にここまで到達したのですが、その状態では行くえ不明者はもちろん発見できなかったわけでございますが、非常にバレがひどくございまして、したがって、落ちたズリの上に打柱をして、それで天井を押えるということはかえって危険であるということから申しまして、方針を変更いたしまして、もう一ぺん千五百七十メートルのところまで約四十メートルばかり戻ることに決定いたしまして、二十六日からそのバレを取って本格的な取り明け作業をしたほうが、どうも崩落というふうな二次災害を起こさぬで済むのじゃないかという考え方をとりまして、二十六日からそれを始めておるわけであります。現在そこから約十八メートル進んでおります。この初めのほうはボタ崩落の足の下ですから比較的容易であったのでございますが、いよいよ本格的にボタの崩落のところへ取りかかりまして、先生御承知のように、矢木を打ら込みながらボタを取る、また矢木を打ち込んでボタを取るという方法をとっております関係で、なかなか進んでおりません。最近の二十四時間の成績は、たった二メーターしかそれがいってないという状況でございます。
  57. 阿部竹松

    阿部竹松君 次にお尋ねしますが、災害のたびに組夫が犠牲になる。去年の山野炭鉱の場合にはきわめて顕著なものだったが、今回もその組夫が犠牲になっている。それで、あなたのほうで組夫の使用について全然放任しておられるわけですか、組夫。
  58. 森五郎

    政府委員森五郎君) 本空知炭鉱におきまして、組夫の使用につきましては合理化法の許可もとっておりますし、なお、届け出も出されておるわけでございます。
  59. 阿部竹松

    阿部竹松君 何名ぐらいおるんですか、組夫というものは。
  60. 森五郎

    政府委員森五郎君) 空知炭鉱全部でございますか。
  61. 阿部竹松

    阿部竹松君 全部。
  62. 森五郎

    政府委員森五郎君) 空知炭鉱におきましては、四十一年二月末現在で三百七十五名でございます。うち、係員が四十三名の請負組夫を使用しております。
  63. 阿部竹松

    阿部竹松君 衆議院でも同じだと思いますが、参議院の石炭委員会、あるいは商工委員会で、組夫の多い問題、組夫の扱い方について常に意見が出る。空知炭鉱で組夫三百数十名というのは少し多過ぎませんか。それは少し多過ぎますよ。これはあなたはとにかく初めてですからあれですが、もうこれは一年、二年でこういうことが起きたんじゃない、前々から組夫のあり方について常に問題になっている。しかし、合理化法のあれによって認めておるからいいなどということは、これは法律論としてはいいかもしらぬけれども炭鉱のこの種の災害には、法律以外の行政指導とか、いろいろな問題が起きてくるでしょう。それから、ついでに労働省基準局長にお尋ねしますが、労働基準法によって、大災害が起きたということでなしに、いろいろ災害が起きた場合に、労働大臣から通産大臣、あるいは基準局長から保安局長等に勧告することができるという条項があったように私記憶しております。そういうことをなさったことがありますか。
  64. 森五郎

    政府委員森五郎君) それは確かに先生御指摘のように、空知炭鉱も直轄労務者に対する請負組夫は多いんじゃないかという、数字の上では確かにそういうことが若干言えるんじゃないかと私ども考えておりますが、しかし、この空知炭鉱においては、先生御承知のように、非常にガスも多く、自然発火もしやすい山でございます。したがいまして、この山は磐下坑道、磐下方式で採炭をするというかっこうをとっておるわけでございます。したがいまして、磐下の坑道掘進が非常に多いわけです。したがいまして、そういう関係請負組夫と直轄夫の比率が差があるというふうに考えておるわけでございます。
  65. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 労働大臣または労働基準局長から通産大臣または鉱山保安局長に対しまして勧告を行ないましたのは昭和三十一年二月二十四日、これは局長からいたしました。昭和三十五年十一月二十五日、これも局長からいたしました。昭和三十九年二月五日、これも局長からいたしました。しかし、昨年の七月七日に行ないました勧告は大臣及び局長からいたしておるような次第でございまして、この勧告におきましては、いま御指摘の組夫の問題についても、その使用の規制等についても勧告を行なっております。
  66. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣あるいは基準局長から、まあ中身はお聞きしませんけれども、私わかるような気がしますが、それについて通産当局、どうなっているんですか。聞きっぱなしですか。
  67. 森五郎

    政府委員森五郎君) 労働省から請負組夫に関するいろいろな勧告をわれわれいただいておるわけでございますが、われわれといたしましては、やはり届け出制度というものが保安法にございますので、これを届け出をさせる、それによって、先生御承知のように、改善命令等も出せるわけであります。これは改善命令を法律的にやったということはいたしておりませんが、それをたてと申しますか、それを伝家の宝刀といたしまして、行政指導によってこの計画を変えるとか、いろいろなことを行政指導をもってやっておるというわけでございます。
  68. 阿部竹松

    阿部竹松君 しかし、御答弁のとおり行政指導がなされておらぬ。そこで、通産政務次官にお尋ねしますが、何度も何度も勧告され、かつ、何度も何度も大災害が起きる。前回委員会でも、他の委員からだと記憶しておりますが、労働省は労働者のサービスセンターであって、通産省は生産省じゃないか。したがって、生産省の通産省にこの種の法律を置いてもいかぬ、このくらいもう災害が起きるのであれば労働省へ持っていって、労働省の力でもって守っていただこうじゃないかと、これは今回ばかりじゃない、いつも出るわけです。とても通産省頼むに足らず、端的に言うと。まあこういう声がほうはいとしてこの種関係者に起きておる。この点について前回保安局長にお尋ねしておる委員がおりましたが、これはやっぱり保安局長は御答弁できなかろうと思う。大臣もしくは大臣の代理であるあなた方が答弁なされることだろうと思うのですが、そういう点についてはいかがですか。もう何度聞いても同じことをお尋ねする以外に方法がない。同じことを答弁をする。勧告します、厳重にやります、それで災害が次から次へ起こる。いっそあなたの省に保安局を置く限りは、もう炭鉱を閉山しなければみんなの身を守ってやることができない。もちろん炭鉱状態は苦しいが、人命と保安は車の両輪だ、こういうことを池田さんが生きておられるときに言っておったが、そういうことになっていない結果がこれだ。ですから、そういうことについては労働省に基準局というのがあって、一般の労働者の保安のため身を守っている。あなたのところだけ鉱山保安に関しては押えているわけだ。なれない人が多い。もう二十二名も入ってこなかったら保安が確保できないなどと言っておるのですから、とても話にならない。ですから、あなたのほうで、ひとつ労働省よろしく頼むというようなことをおやりになったらどうですか。もしそれができないとすれば、労働省でやらぬでも、わがほうでこうして責任を持ってやりますというような御回答でも、どちらでもけっこうです。
  69. 進藤一馬

    政府委員進藤一馬君) いまの御質問の問題は、前々からずいぶんいろいろ議論されておるようでございます。まあそういう相当に長い期間にいろいろ検討されておりますが、私は、現状におきましては、やはり保安の問題につきまして、今度の問題につきましても労使ともに非常な注意をしてやってきておったのでございましたが、こういうことが起こりましたが、これはただ単に監督だけの問題でもないと思いますので、大体私は現状において将来十分注意をして、そういうことのないようにつとめていくという点において進めたいと、かように思っておる次第でございます。
  70. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういう抽象論でなくして、労働省の基準局と一緒にやってもらわなくて、あなたのほうで将来保証しますという理論的根拠がなければだめです。ただ労使双方の協力だといって、それは労使は協力をしますよ。爆発して死にたいというような人はあまりおりませんから。なんぼ労働者でもみんな命が惜しいし、人命は尊重さるべきだ、佐藤総理大臣ばかりじゃない。これは保安については労働省もみんな協力しますよ。これは会社に協力ということよりも、自分のことですから。会社に協力せんかったら自分がやられるのですから、みんな協力します。しかし、労働省にやれという声がほうはいとして起こっているにもかかわらず、あなたのほうには保安局というものを設けておかなければならぬということになれば、それなりの理由、あるいは裏づけがなければならぬ。毎回毎回、今度はだいじょうぶ今度はだいじょうぶ、断固として保安の確保をいたします、この約束を守られたことが一ぺんもない。そういっているうちに一、二カ月たったらまた事故が起こる。また同じことを繰り返さなければならぬ。ですから、あなた方のほうでやる限りにおいては、こういう方向で、こういうようにしてわがほうでは責任を持って保安の確保はいたしますという答弁があってしかるべきだし、もしどうしても責任を負えないとしたら労働省に頼みます。イエスかノーか、どちらかです。それしか聞きません。あと明確になったらまた再度聞きます。以上です。
  71. 進藤一馬

    政府委員進藤一馬君) この問題は所管の問題でございますので、当局から説明させます。
  72. 阿部竹松

    阿部竹松君 保安局をどうするかという大問題が一局長で答弁できますか、局長とか課長のところで。できなければできないとおっしゃればいい。あなた方の指名によって保安局長になったり何々局長になるのでしょうから、保安局長に聞くのだったらこの前聞いておきますよ。
  73. 進藤一馬

    政府委員進藤一馬君) 先ほど申しましたように、たびたびその問題が出まして、その結果、通産省に置くということになって現在にきておるのでございまして、これで責任を持って進みたいと思っております。
  74. 小野明

    ○小野明君 関連ですが、この前から、また、きょうの阿部先生の質問をお伺いしておりましても、空知炭鉱災害は何が原因なのか、そのときの状況は一体どういうふうだったのか、こういう点がどうも明確でないように思うのですが、その点を政務次官も行かれていることでもありますし、ひとつはっきりと説明をいただきたいと思うのです。
  75. 森五郎

    政府委員森五郎君) どうも先生御指摘のように、これは原因がはっきりして、そのときの状況がはっきりしなければ対策がもちろん立たないわけでございますから、われわれも全力をあげていま先生御指摘のことを明らかにしようと思っておるわけでございます。しかし、御承知のように、こういうふうな爆発が続きまして大崩落があったということで、なかなか取り明け作業が進まない。したがって、取り明け作業が完了いたしまして十名の行くえ不明の方を収容するということができますと、いろいろ判定材料も出てくると思うわけであります。したがって、現時点においてはあまり明確なことが申し上げられないことをわれわれも非常に残念に思っております。そういう暁には、はっきりした原因、あるいは周囲の状況その他を明らかにいたしまして対策を立てたいというふうに考えておるわけでございます。
  76. 小野明

    ○小野明君 それは飛行機の事故でも同じですけれども、ほんとうに決定的な原因を調べていくというのには、もちろんかなりな時間もかかるでしょう。しかし、保安責任をお持ちになっている、あるいは現地も見られた。そうしますと、空知炭鉱の欠陥といいますか、保安上の欠陥もあるだろうし、あるいは設備の上からの欠陥もあろうかと思うし、あるいは人的な構成の上からの欠陥もあろうかと思いますが、とりあえずは、この事故がどういった理由によって起こっているという推定をやはりされた上で今後の保安行政に役立てるのだと、こういうことにならないとやはり生きてこないのじゃないか。いつまでも時間ばかり経過してもこれはやはり問題ではないかと思うのですが、その辺、あなた方は保安専門家だし、どういうふうに推定をされておられるのか、そこをひとつ話していただきたいと思うのです。
  77. 森五郎

    政府委員森五郎君) 先生御指摘のように、今回の事故は、これはもうガス爆発であるということははっきりしているわけです。これは崩落状況、あるいは崩落のところに焼けたすすがついている状況、焼痕があるとか、そういうことからいって、これはガス爆発に間違いないということだけは、これはもうはっきりいたしているわけでございますが、しかし、この間もここでちょっと申し上げました、たしか大矢先生が御指摘になったと思うのですが、この災害現場には火源がないわけです。電線がいっているとか、そういう火源が全然ないわけです。したがいまして、火源が一体何であったか、ガスがあったこと、これは爆発したのですから、当然爆発限界以上のガスがあったということは事実でございますが、火源が何であったかということについては、われわれも技術的になかなか現在、これは推測は確かにいろいろございます。火源と考えられるものはいろいろ考えられるのですが、ただ、それをいま一々取り上げてここで申し上げて、その対策ということももちろん考えられるわけでございますが、これは一般的なものでありますし、したがいまして、火源が何であったかということが今回の調査の一番中心になろうかというふうに考えております。したがいまして、その火源がわかった暁におきましては、それに対応する対策をとりたいということを申し上げているわけでございます。
  78. 阿部竹松

    阿部竹松君 関連して。火気がない、電気のケーブルも何もいっておらぬわけです。ガスがなんぼあっても、火がなければこれは爆発しませんよ。ガスがどれだけあってもスケラアウトになって、二二%以上になると爆発しませんが、それは別として、絶対爆発せぬのに、ところが、爆発した。ですから、必ず前日の二番方、あるいは三番方と打ち合わせをしたときに、どういう措置をするといって話をして入っているに違いない。なくなった人から聞いてもわかりませんよ。その打ち合わせた人と会ったら必ずわかるのです、引き継いだ人。それをわざわざ北海道の果てまで進藤政務次官がおいでになったのだから、それがわからぬはずはない。生きている人があるわけですから、あなたたちは、保安局長交代になっても前の人から引き継ぐでしょう。あなたの前任者の方、今度気の毒になくなられた川原さんですか、あの人とあなたは保安局長交代になったときでも、必ずこれとこれとは問題ですよとやるでしょう。鉱務課長以下全部入るぐらいの重大問題ですから、必ず十分なる打ち合わせをやって入っているに違いない、そうしたらわかりますよ。なくなった人をあれしたってわかりっこない。何かやったに違いない。何かやらなかったら爆発せん。何かやるということは、どういうことをやるかということは話をしている。それをなくなった人が出てきてみなければわからぬというようなことは、大体あなたたちは保安をサボっているのじゃないかということを言いたいわけです。そのくらいのことがわからぬなんてばかなことはない。
  79. 森五郎

    政府委員森五郎君) たびたび申し上げているわけでございますが、前日の三番方に入っておりますのが係員鉱員三名でございます。それで異状があるということを会社の幹部が聞きまして一緒に入ったわけでございます。したがいまして、小村という、組の係員ですが、これも一緒に行くえ不明になっているわけでございます。したがいまして、その当時どういう火源で爆発が起きたかという判定は、現在のところ、なかなかわからない。確かに阿部先生御指摘のように、三番方におけるこういうガス状況というようなものは、鉱員等を通じて供述をとっております。それからあがってきた報告は、みな先ほど御指摘で名前をあげました鎌田課長であるとか、そういう連中が話を聞いているわけです。そういった話を総合して大体前日の状況をつかみ、かつ、取り明け後の現場状況から見て、証拠物件がありますから、確かにこれが火源だというようなことを判定したい、こういうふうに思っているわけでございます。したがいまして、若干それを判定するのには時間がかかるということを申し上げているわけでございます。
  80. 小野明

    ○小野明君 その火源の問題はこの前も出ているんですよ。しかし、やはりガスの吐出、あるいはガスが出てきたということ自体問題がある。それで、いまお話を聞いておりますと、どうも自然災害だというふうに思わせられがちなんですけれども、私は、やはりいままでの多くの炭鉱災害を見ましても、これは防ぎ得る人災だというふうに考えざるを得ないんですよ。そうしますと、この炭鉱のいろいろな保安上の欠陥、あるいは保安行政の上の、札幌保安局ですか、そういうところの月に一回か、あるいは年に九回ということもあるでしょうし、あるいは炭鉱の特徴といったようなものもこれはつかまえられておらなければならぬと思うのです。その点をお語いただきたいと思う。
  81. 森五郎

    政府委員森五郎君) 私も、もちろん先生御指摘のように、これは自然災害だということは考えておりません。これは必ず原因があって、どこかに欠陥があってガスに引火をしたのであるというふうに考えております。しかし、現在ここで、これが火源でこれが原因であるということを明確に指摘ができない状況でございます。ただ、一般的にこの山はガスも多いし、かつ、また、自然発火もいたします。保安としてはなかなかむずかしい山でございますので、前々から監督官が行ってそういった点は指摘をしているわけです。現実にこの掘進現場あたりも、炭層と申しますか、稼行炭層というようなものを切っておるわけじゃございませんが、それの端のほうを切っておるとか、そこからガスが出るとか、あるいは断層でもめているとかというようなこともございまして、相当一般的にはそういう他の普通の岩石坑道あたりと比べまして、そういうガスに対する十分な措置をするようにということは前々から注意しておったところでございます。
  82. 小野明

    ○小野明君 この一カ年に何回も事故が頻発をして、保安行政が徹底していない。保安が徹底しないということから考えてみますと、また、この空知炭鉱爆発から考えてみますと、やはり検査のやり方、あるいは保安行政のやり方、保安行政のあり方全般について大きな欠陥があるんじゃないか。先ほど検査については私も若干の疑問を持ったのだけれども、そういった点で専門家である局長の意見をお聞きしたいと思う。
  83. 森五郎

    政府委員森五郎君) この事故が起きているわけでございますから、これに対しては、私も保安行政のあり方について謙虚に反省をいたしたいと思っておるわけでございますが、ただ、これはまた私がそういうことを申しますと一般論でございまして、結局これはまず第一にやりますことは、原因の徹底的な追及、それを待ってそれに対する対策を立てたいというふうに考えておるわけでございます。
  84. 小野明

    ○小野明君 それはあたりまえのことですね。しかし、いままでも検査のやり方の説明を聞いておりますと、どうも不徹底だし、ほんとうにやっているのかどうか、保安官が山に行って実際に山を見て帰り切らないというような実態もあるのではないか、ごちそうになってすぐ帰ってくるというような、それは言い過ぎかもしれませんが、この検査のやり方、あるいは勧告を実施させるやり方というか、その辺に遺憾の点はないのですか。
  85. 森五郎

    政府委員森五郎君) 空知炭鉱監督、検査の状況でございますが、いま先生御指摘のような点は、私は監督官はまじめに行動しておったと思いますし、現実に、特にこの炭鉱については、先ほど申しましたように、自然発火並びにガスということを特に目標にいたしまして監督をやっておりましたので、特に監督上の欠陥ということは、現状のところ、考えられませんが、これはガス爆発原因その他を究明いたしまして、それに伴って、もちろんわがほうの監督体制の問題、こういうのも同時に謙虚に私は反省をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  86. 阿部竹松

    阿部竹松君 ちょっと関連して。局長、反省するとおっしゃるが、去年の二月に夕張で六十数名犠牲者が出た、二カ月たって伊王島で三十数名出た、それからまた二カ月たって福岡県の山野炭鉱で二百七十名。その反省はけっこうだが、一体だれが責任をとるのか。なくなった人の奥さんとか子供が責任をとらなければならぬでしょう、おやじがなくなったために責任をとり、一生苦しい思いをしているから。そういうふうに次から次に犠牲者が出るのにだれも責任をとったことがない。何十回ここで議論をしたかわからない、だれが責任をとったかわからない。気の毒な遺家族の人が責任をとってみじめな思いをしなければならない。反省をしてもらうのはけっこうだが、いま小野委員に対する答弁を聞いていると、どうもつじつまが合わぬ。あなたのお話を聞いていると、自然発火が出るような、きわめてあぶない炭鉱であったから注意しておりました、何回も行きましたとおっしゃっているけれども、私の質問のときに、一年に九回行きましたと言っている。一年に九回ですから、一カ月半に一ぺんしか行っていない。それでは話が合わぬじゃないですか。ほかの炭鉱は二カ月に一ぺん行っても、こんなところは一カ月に一回ぐらいは行かなければならない。片っ方では反省をしておって、あぶない炭鉱で自然発火も起きるから注意しておりましたと言って、しかも、一年に九回しか行かない、これはひどいです。起きた災害責任は全部犠牲者遺家族が負って苦しい思いをしなければならぬ。鉱業権者に責任があるのか、保安担当官に責任があるのか、最後の犠牲者遺家族責任があるのか、そのあたり明確にしてもらわなければ困る。労働省保安局をお移しになったらどうだと言ったら、いやです、私のほうでやりますと言う。それではあんた、あまりひどいじゃないですか。そこらあたり明確にひとつ回答願いますよ。
  87. 森五郎

    政府委員森五郎君) 保安責任については先生御承知でございまして、これはまあ釈迦に説法でございますが、あくまで鉱山にあるわけでございます。したがいまして、その山の保安は、その鉱業権者と労務者が相協力してやろうという自主保安体制になっておるわけでございます。われわれ政府側は監督、あくまでサイドチェッカーという立場におりまして監督をしておるということでございます。こういうことで今後もそういった体制を強化し、なお、かつ、サイドチェッカーであるわれわれのチェックのしかたも考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  88. 小野明

    ○小野明君 その今後も考えていきますと、こういうのは、いつでもどこでも、どの災害でもやはりあるわけですよね。これほど炭鉱災害がふえますと、もう検査についても、あるいは勧告の実施状況についても、あるいは保安の整備についても、もうやはり徹底的に、それこそ石炭産業に抜本的なということを通産大臣は言われるのだが、保安行政についても抜本的な個々の具体案、対策というものが立てられなければならぬ時期ですよ。そういうことについてどういうふうにお考えになっておるのか、それをお尋ねしたいと思うのです。
  89. 森五郎

    政府委員森五郎君) 炭鉱災害がなぜ起きるかということにつきましては、まあいろいろ原因があろうかと思います。非常に何と申しますか、遠因と近因と申しますか、そういうふうに分けていろいろ原因がある。で、まあやはり私は、基本には、現在の日本の炭鉱というものは本質的にガスが多い。なお、かつ、地表の近くを掘っているときにはガスが少なくても、深部を掘っていくとガスがたくさん出てまいるということもございますが、一般的に申しましてガスが多い。そのガスの多い炭鉱を採掘いたします骨格構造というものが、どうもガスが多いという状況に必ずしも対応していないということは非常に強く感ぜられる。これは昨年の炭鉱保安の技術調査団からも指摘を受けておりますし、その後の中央鉱山保安協議会あたりでも通産大臣に対して意見書が出ておる。私も現実にそう思うわけです。したがいまして、まず、私は、この炭鉱ガス爆発、炭じん爆発というようなものをなくすために、まず、坑内の骨格構造の整備というものが絶対必要であるというふうに考えております。これは御承知のように、四十一年度予算におきましても合理化事業団に出資をいたしまして、それから無利子の融資を炭鉱に出して坑道掘進を大いに進めて、そういうガスが多くてもこれが排除できるような構造にするという努力を現実にいたして、予算措置もやっておるわけでございます。ただ、その前提には、先生御指摘のように、石炭産業の安定ということがなければこれはどうにもならぬわけでございまして、これについては、大臣がたびたび言明されておりますように、抜本対策をとる、こう言っておられるわけであります。それで、そういう構造というものを、まず、ガスに対して排除できるような、保安確保ができるような構造にするということに対してそういう手を打つと同時に、もちろん保安機器とか、そういったものについて無利子の融資、それももちろんございます。そういった保安機器、設備については政府の助成をやっていくということと同時に、やはりこの管理というものは人間がやりますから、人間の能力というものはやはり限界がありますから、その限界を補なうために、たとえばガス自動警報器というような科学的機器を使っていきたいということに対しまして、これも同様に予算措置、中小に対しては補助金というようなことでいまやっておる。そういうことで、そういった片方で総合対策を進めつつ、また、われわれとしては、その進捗状況といいますか、それの実施の確保といいますか、そういったことをチェックしていくということでございます。
  90. 小野明

    ○小野明君 これで終わりたいと思うのですが、次官もいち早く現地に行かれまして視察をされてこられたのですが、まあ局長と打ち合わせての答弁でなく、率直なひとつ御感想をお聞きしたいと思うのです。
  91. 進藤一馬

    政府委員進藤一馬君) 問題は、やはり原因究明でございますが、あの際、私が参りました際には、十人の方々がまだ奥におられて生死不明になっておる。何とか一日も早く助け出すことが当面の問題だということで、会社なり労組の方々も皆全力を注いでおられまして、いろいろな方に原因について問いただすような間もないのでございまして、私は一応の話を聞いて、作業員の方々に対しましては、激励と申しますか、こういうお願いをして病院にお見舞いに参ったのでございます。そういうことで、原因究明というものが、いまだにまだ救い出されないし、はっきりしておりませんのでございますが、ほとんど鉱員のそういう係の方々が必死になっておられる際でありまして、そういう話もできないでおったのでございます。まことに残念でございましたが、やはりあとあといろいろなそういう方が落ち着かれてからお話を聞くとか、そういうことで原因を突き詰めていく以外にないのじゃなかろうかと思っておる次第でございます。
  92. 阿部竹松

    阿部竹松君 関連。保安局長、いまの小野委員のお尋ねに対しての答弁の中で、日本の炭鉱ガスが多い。ガスが多い順番に爆発するのだったら、これはあなたの答弁成り立つ。しかし、三菱の高島炭鉱とか松島炭鉱、これは自然発火をして爆発したということを聞かない。三池炭鉱なんというのはガスがない。しかし、世界一の大災害を起こしておる。山野炭鉱、上清炭鉱、今度の空知炭鉱、これは原料炭、瀝青炭が幾らか出ますが、これは高島炭鉱、松島炭鉱に比較してガスが少ないところです。そうするとあなたの御答弁は成り立たない。どこか保安の手ぬかりがあったに違いない、これは事実を否定することはできませんよ。答弁技術として、善処しますとか、これから取り締まりますとか反省しますとかいうのは、答弁技術としてはいいけれども、厳然たる事実の前には否定することはとうてい不可能でしょう。高島炭鉱とか松島炭鉱とか、こういうところでガスが多くて困りますというのなら話はわかるけれどもガスの皆無と称されるところが大災害を起こす。ガスはわが国は多いなんという理屈は成り立たん。やはり保安のサボタージュです。いみじくもあなたおっしゃった、石炭の安定がなくて云々と言っておる。石炭産業の安定が先で、人命を尊重するということがあとになるからこういうことが起きる。大体そこにメスを入れてもらわん限りは、おざなりの質問と答弁に終わってしまいますよ。進藤政務次官の御答弁をお伺いすると、通産省に保安局を置いて、断固やりますと、こうおっしゃるから、きょうはこれで私も了としますが、労働組合でも、これはこの経営者はけしからぬといって、怒り心頭に発するような経営者があるけれども、事、保安に関しては、どんな組合でも、どんな炭鉱に働く人でも、事、保安に関する限りは、自分の生命に関することだから、どんなつまらん経営者であっても、どんな人間であっても協力しますよ。ですから、経営者のほうをもう少しあなたのほうできびしくやっていただくと、相当の災害というものは防ぐことができる。ガスがあるところが爆発するんならまだわかるが、三池炭鉱なんかはガスが皆無で、乙種炭鉱だ。これが世界一の事故を起こすのですから、いかにサボタージュをやっているかということが明白だ。それを取り締まりなさいと言っておる。ぼくたち保安法の改正なんて言っておらない。いまの保安法さえ守られていないじゃないですか、こういうことが前提です。いまの保安法をあなた方にまかせておいてはとてもたまらぬ。毎年七百人も八百人も犠牲者が出るでしょう。炭鉱労働者は四分の一、五分の一にいま減っておるでしょう。それで戦争中とあまり変わらない犠牲者が出ている。なるほど戦争中よりは数は少ないけれども、人数が減りましたからけっこうだといっても、総体の数が減っておるから、減るのはあたりまえだ。これは抜本的の対策要望します。答弁は要りません。
  93. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ほかに御質疑のある方はございませんか。  本件については、本日はこの程度にいたします。  速記をとめて、   〔速記中止〕
  94. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記を始めて。     —————————————
  95. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、すでに提案理由を聴取いたしておりますので、本日は、これより直ちに質疑に入りたいと思います。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  96. 小野明

    ○小野明君 前回お尋ねをすることが漏れておったのですけれども、いまの炭鉱労働者の最低賃金の問題ですが、これは直接雇用の坑内夫にだけ適用されておる。つまり一万六千円ですが、いまの適用範囲の問題、あるいは額の問題、全体的にこの一万六千円というのはほとんどまあ最低の賃金の状態なんですが、これを引き上げ、この範囲を拡大していくということは考えられないのかどうか、これをまずお尋ねをしたいと思います。
  97. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先生御承知のように、石炭鉱業の最低賃金につきましては、昭和三十八年四月から大手炭鉱に出資をいたし、中小炭鉱につきましては昨年の四月一日まで適用を猶予されておったのでありますが、検討した結果、昨年の四月から中小炭鉱にも適用すべきであるというふうに決定されまして、目下その施行段階にあるわけであります。しかし、これも御承知のように、坑内夫に対する適用だけでありまして、坑外夫については適用がないわけであります。一方、その間、金額の改定及び適用範囲の拡大につきまして関係方面からいろいろな要請もございます。労働省といたしましては、いま申し上げましたような経緯を考えて、かつ、一方におきましては石炭鉱業審議会における再建方策の検討がなされておることでもありますので、そういった情勢等もにらみ合わせて、適当な時期にひとつ審議会で御検討願いたいと考えておるわけでございます。ただ、坑外夫につきましては、何ぶん職種が多いことでございまするので、坑外夫というような把握のしかたでいいのか、あるいは他の産業におきましても最低賃金が行なわれておるわけでありますから、そういった面との関連からどう考えるかといったような問題がございまするので、そういった問題をあわせまして慎重に検討してまいりたいと考えております。
  98. 小野明

    ○小野明君 どうも検討をするというのですが、お尋ねをしておりますように、範囲を拡大し、やはりこの一万六千円というのは低過ぎるわけですよね、お考えになっておわかりになるように。これを引き上げる方向でやはりこの検討をしていただきたいと思うのですが、どうなんですか。
  99. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御承知のように、この問題は中央最低賃金審議会の意見を聞くという過程を必要とするわけでございます。したがいまして、いろいろ考え方があり得ると思いますけれども、いま労働省側から引き上げるべきであるとかそうでないとかといったような考えを申し上げるのは、現段階においては差し控えさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  100. 小野明

    ○小野明君 それはまあそれに諮問をしなければならぬ、手続を経るでしょうけれども、省としては、あなたとしてはどういうふうにお考えになっておるのか、その点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  101. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 金額の値上げの問題を検討されます場合には、おそらく関係会社の賃金の実情、その他いろいろ検討材料があるわけでございます。御承知のように、昭和三十八年当時と比較いたしますれば、賃金が一般に上昇しておるということは、これは事実であるわけであります。そういった事実を踏まえて今後検討がなされるわけでありますから、その方向というものも、おのずから方向としては考えられるわけでございます。ただ、具体的にどのように考えるべきかという点については、この際、ひとつ遠慮させていただきたいと思います。
  102. 小野明

    ○小野明君 これは非常にまあ前回もお尋ねをしておるのですが、緊就の就労人員、並びに、四十三年度以降においても人員を確保し、対策事業を四十三年度以降においてもこれを存続するように努力するのだ、こういうふうに大臣の答弁があったと思いますが、その後いろいろ現地炭鉱労働者からも実情をお聞きになったと思うのですが、その点は間違いないですか。
  103. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 大臣の答弁で間違いございません。
  104. 小野明

    ○小野明君 次に、炭鉱離職者の臨時措置法ですね、これがいまのところ四十二年で終わると、こうなっておるのですが、われわれ四十三年度以降においても、いまの実態からしますと、ぜひ存続をしてもらいたい、こういう要望を持っておるのですが、この点はいかがですか。
  105. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 今度の措置法の一部を改正する法律案は、衆議院を通す場合に委員会から附帯決議が出されておりますので、労働省といたしましては、具体的にどうするという結論はいま出しかねる段階でございますが、その決議の趣旨に沿いまして、前向きで検討したい、そう考えておるわけであります。
  106. 小野明

    ○小野明君 これはちょっと続いてお尋ねしますが、小さい問題ですが、緊就事業に働く人で、子供の卒業式、入学式のいま時期なんですが、これに参加しますというと賃金をカットされるというのです。これはなんですか、やはり働かなければもちろんそうかもしれませんが、そうでなくても非常に低い賃金で働いておるのに、そういった賃金カット、あるいは、また、同じ仲間が手術をするようになっておる、手術をしなければならん、こういうことでほかに輸血をしてくれる人もないものですから輸血に行った、そうしますと、これにも賃金カットをぴしゃっとやられた、こういう二つの事例はあまり酷ではないかという陳情、訴えがきておりますし、私もそうだと思うのですが、これは何とかならぬものですかね、こういうものは。
  107. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 緊就は、御承知のように、一般の公共事業と同じで、請負方式でやっておりますので、その辺やはり働かなかったときには賃金がもらえないという一般原則でやっております。その点、失対は、私のほうで、特に卒業式、あるいは入学式というような子弟の学校関係の重要な行事に際しましては、働かなくても、賃金を支給するという仕組みにしてありますが、緊就事業はいま申しましたような制度で、失対と少し違っておる。そとで、現実的に失対のほうにはそういう便宜が与えられておって、一般の公共事業、あるいは緊就にはそういうものはないのはおかしいじゃないか、こういう陳情がございますけれども、これはちょっと請負工事なものですから、私のほうでとやかく干渉できない仕組みになっておるわけでございます。
  108. 小野明

    ○小野明君 その事業体に、実は一般失対のほうにはこういうふうにしておるのだが、これに御協力願えないかという指導あたりもできないのですか。
  109. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 私どももそこまで指導はいたしておりませんが、労使間の交渉の問題でございますので、まあ当事者間で話を進めてもらうことには差しつかえないと、かように考えております。
  110. 小野明

    ○小野明君 それは当然です。それは当事者間で当然話はありますよ。当事者間でそれは交渉もありましょうし、話もあるでしょうが、どうですか。
  111. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは一般の請負工事の場合と同様でございまして、その点は私どもから干渉がましく指導するということは差し控えておる状況でございます。
  112. 小野明

    ○小野明君 どうですかね、そう言われてしまえば身もふたもないのだが、やっぱり事が公共性を持っている緊急就労事業、これも特別いま事業を興こしておるのだが、そういう事業を興こした緊就の発生原因といいますか、この制度を設けた原因等から考えてみましても、そういった面を少しも考慮できないというのは少し酷じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  113. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これはやはり労使間の問題で解決しないと、その間の賃金補給を事業費単価の中でみなきゃなりませんので、そこはちょっとその緊就だけにとどまらず、一般の公共事業その他との平仄も考えなきゃなりませんし、失対事業については特にまあそういった制度を設けたわけでございますが、緊就についてそこまで踏み切ることについては、どうも私どもいまほかの事業との関連上いかがかと、かように考える次第でございます。
  114. 阿部竹松

    阿部竹松君 いかに戦争中、終戦後の復興に炭鉱労働者が協力したといっても、いつまでも国のお世話になっておるというわけには、これいかぬ。しかしながら、法改正によって四百五十円を五百七十円にしていただいた。ほかに女房が二十円、子供が十円十円というのがありますから、まあ六百円くらいの金になりますけれども、生活保護法によっても一万八千円もらえるのですね。そうすると、これは産業予備軍的性格を帯びておるのですからね。予算を組んでしまったからやむを得ないという御答弁になるかもしれませんけれども、これはしかし何とかならぬものかということは小野委員と同じ気持ちですが、たまたま石炭の抜本的最終的答申になろうかと思いますけれども、六月ですね、有沢調査団によって出されると思います。そのときに労働省当局も含めてお考えいただけるかどうかということ、やっぱり何といっても、これは生活保護法適用者よりも安いということになると、これは国のお世話になるのはやっぱり限度があって、国民の税金でやるわけですから、私どもも強く主張することはなかなか不可能である。しかし、いま申し上げましたとおり、生活保護を受けている人よりも山で仕事を見つけてやらなきゃならぬという者が安いというのは、暫定期間であるだけに、国でもう少しめんどうをみてあげてもいいではないかという気持ちを持っておるのです。ですから、きょうやれと言うても政務次官としては無理でしょう。しかし、六月にはもうこの問題で大きな問題が出てきますから、その大きな問題を処理するときにこれは処理していただけぬかどうかということです。
  115. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 本来なら、今度の場合、やはりいまの問題等もございまして、一般生活困窮で困っている者が受ける補助よりも、大体まあ家族の手当を出してもそこまでいかないじゃないかということでいろいろ議論もあったわけでありますが、いろんな事情やむを得ざる形で、この単価でおさまったわけでございますが、いま阿部先生のおっしゃる、六月の最終的な答申になるであろうといわれておる有沢調査団の答申があった場合に抜本的に考える意思はないかという御質問のようですが、その答申の内容によっていまここで具体的に値上げをするかしないかという法律案が出ているのに、すぐ追っかけてまた値上げをするということは、とうていここで答弁できる問題でございませんし、いま仰せられた答申が出た場合においては、総合的に検討する余地のある場合においては徐々に検討を加えていきたい、こういうふうに、ひとつこの程度の答弁で御了承願っておきたいと思うのですが。
  116. 阿部竹松

    阿部竹松君 政務次官は福島県出身ですから、常磐炭田の中身をよく知っておられると思うので、私くどいこと申しません。ただ、あの生活保護法を受けても、別に人間卑屈になる必要はごうもないけれども、やはり生活保護法の適用によって国のお世話になるのと、やはりこちらのほうのお世話になるのとは、やはり人間気持ちの問題として、あすから何かやらなければならぬという、気の毒な国民を引きずっていくという意味において、同じ金を出すんだったら、こちらのほうで、労働省とあるいは厚生省と違うかもしれませんけれども、出すところは大蔵省で一つですから、そういうところを配慮願えぬかということなんですが、いまの御答弁で、答申が出れば考慮しましょうと言う。しかし、次官、あの答申が出てからではすでにおそいと思うのです。ですから、大臣、次官のお力によって有沢さんにこの種の問題を出させるようにすると、あなたのほうで大蔵省と交渉するのにきわめてやさしいでしょうから、いまからあなた運動してくれぬかということをぼくは言いたい。
  117. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 個人としてなら努力をいたしますと申し上げたいが、いまここで政務次官の立場で答弁をせよと言われても、ちょっといまの段階では、私の立場で阿部先生の了解のつくような、納得のできるような答弁はいたしかねるところですが、いまおっしゃいましたように、生活保護をするのが目的でなくして、私どもも、要するに転職をせしめるために職を与える期間助成をするわけですから、それが生活保護を受ける者と対等以下であるというようなことは常識的にも考えられないと、私個人的にはそう思っております。そういう点で、でき得るだけ個人として努力をいたしますということでひとつ御了解願いたいと思うのですが。
  118. 阿部竹松

    阿部竹松君 個人としてやるのであれば、ぼくは野党の社会党ですし、あなたは自民党だから、それはあなたのほうは若干顔がきくかもしれぬけれども、個人としてやったらゼロですよ。労働省政務次官天野というところで大蔵省なり有沢団長が聞くのであって、個人としてだったら、別にここで委員会で正式に頼む必要はごうもない。しかし、そういう生活保護法は厚生省でやるわけだ、あなたのほうは、まず、有馬局長が中心になっておやりになるんでしょう。仕事にありついて、しかし、そのあとの産業予備軍ですから、そしたらあなたのほうでかかえるのは当然なんです。そうすると、厚生省の生活保護適用者よりも産業予備軍が安いということは常識的にも考えられない。どうですか、あなたは労働政務次官としてやってください。
  119. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) そのとおりだと思いますよ、私もその問題は。しかし、いまここでこれだけの増額をするのに、まあこれほどと申し上げると、おまえら力がないからじゃないかとおしかりをこうむるかもしれませんが、悪戦苦闘をやってこれだけ確保したという今日の段階ですから、六月に答申が出てくるというと、これは中二カ月きりないことで、それにまた御期待に沿えるだけのものを盛り込めるかどうかということについては相当問題があると思う。これは自然に出てきたものであるならば、それは当然十分考慮の余地がありますから、その点については最大の努力をすることはやぶさかでございませんが、そういう点で、いまここでようやくこれだけのものを確保して、まあわが省としては一生懸命努力したつもりでありますが、ようやくこれだけ確保したものをいまきめる段階において、二カ月後にもう一度上げろという約束をしろということだとなかなか容易でない。だから、そういう前向きの形で努力をするということでひとつ御了承願いたいと思います。
  120. 阿部竹松

    阿部竹松君 いままでお世話になっておる人だけであれば次官お話のとおりだと思いますが、今年もあなたのほうで、まあこれは通産省の計画で、したがって、あなたのほうで受け入れ態勢を整えておるんだと思うが、今年やはり有沢最終答申に出るかどうかは別として、一万一千何百名かのこの法によってお世話になる人をきめておるわけですから、有沢さんは、とにかく石炭を出すということと、何々会社の借金をどうするかということ以外に、労働者はどうするかということは必ず有沢答申の中に盛り込んでくると思う、一万幾らですね。ですから、その前にやはり労働省としてやってもらわにゃこれはどうにもならぬのです。一万何千人の切られる労働者のほうは五百七十円で終わり、しかし、会社の借金、あるいはその清算については、いかに有沢さんでも、そこまではやらぬと思うので、当然労働者はどうするかということを、労働者の皆さん方が満足するかどうかは別として、出してくると思う。その以前に、あなたのほうは労働者のサービスセンターだから、これはやってもらわにゃ困るということになるんですよ。いままでの分以外にことし出てくるわけでしょう。出てくる人数については安定局長にお尋ねいたしますが、それを含めてひとつ御答弁願います。
  121. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 事務的にも相当いままでのいきさつもあると思いますので、一応事務的な考え方を局長から申し述べさせたいと思います。
  122. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) ことしの合理化解雇者の発生見込みは、御指摘のように、一万一千人程度を見込んでおりますが、これももちろんこの就職促進手当をやがて受けることに大部分の方々がなると思います。しかし、先ほどからこの額の点について、いろいろと生活保護世帯の月額と比較をいたしまして議論が出ているわけでございますが、これは御承知のように、促進手当は失業保険の延長という考え方で上のほうを五百七十円で切っているわけでございます。したがって、世帯単位で生活に必要な経費という観点から割り出した生活保護世帯の支給額とは考え方の基礎が違うわけです。したがって、比較が非常にむずかしいのですが、先ほどの筑豊地区で一万八千円見当になるかと思いますが、これはあくまで四人世帯といいますか、標準世帯の場合でございまして、この就職促進手当の最高額六百円、扶養加算を含めて六百円をもらう方々が月額に換算いたしますと一万八千円になるわけなんですが、この場合に何らかの地元における仕事をやって収入を得ているというふうな場合も相当ございますし、それから、世帯数も四人世帯でない場合も相当ございますので、なかなか生活保護との比較はむずかしいのでございます。まあ今回の改定措置によってもなお不十分だというふうなおしかりがあるのでございますが、私どもはこの手当をつくったときの考え方を今日の時代に即するように当てはめて修正をしていく、それが今後の再就職賃金との関連においても、産炭地炭鉱離職者の在籍中の賃金の状態からいっても、一番合理的な割り出し方ではないかというふうに考えて、今回の五百七十円という額をきめたわけでございます。生活保護との比較論においてもっと上げるべきだという御意見はよくわかりますけれども、先ほど政務次官から御答弁ございましたように、抜本対策の際に、やはり石炭鉱業審議会としてはこの問題含めて検討すると思いますので、私どもとしても、できるだけ再就職の場合、再就職までの生活の安定がはかられるような金額にしていきたいと、かように考えておりますので、その際はさらに努力をいたしたいと思います。
  123. 阿部竹松

    阿部竹松君 安定局長、その努力ですが、四百五十円のときも百六十円の頭打ちがあった。今度五百七十円にしていただいたわけですか、それも頭打ちになっている。頭打ちをはずすというわけにいきませんか。これをきょうやれということを申し上げているのじゃありませんよ。六月答申のときに頭打ちをはずすと。
  124. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 失業保険は、御承知のように、半年なり九カ月それぞれの在職期間に応じて支給されるわけでございますが、それをそのまま頭打ちなしで三年間続けろと、こういう御意見だと思いますが、この促進措置は、御承知のように、財源が一般会計でございまして、失業保険の延長という形で頭打ちなしでいけということになると、やはり失業保険の原理をそこに持ち込んでいかなければならない、そういうふうな問題もございますので、まあ頭打ち制を踏襲していくことが一般財源からこの種の手当を支給するには一番都合がいい、考え方としまして。もし失業保険の額をそのまま三年間踏襲するということになると、保険の関係から労使の負担額をどうするかというふうな問題にはね返ってくると思いますので、その点はさらに慎重に検討はいたしますけれども、非常にむずかしい問題が出てくるのじゃないかと思います。
  125. 小野明

    ○小野明君 関連。先ほどの局長の答弁を聞いておりますと、五百七十円は上に上げられない、筑豊地帯の現状を見ると、ほかに何かやっておるようなということばがあった。ほかにいろいろな内職をやっておるから五百七十円以上あげられないのだと、こういうふうにまあお聞きをしたわけですが、どういう根拠で局長は言われるのですか。
  126. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) その五百七十円の促進手当をもらいながら仕事をしているケースが多いじゃないか、こういう話をしたのは、先ほど生活保護の月額との比較論が出ましたものですから、生活保護の場合ももちろん勤労控除ございまするけれども、そう多額の収入を別途生活保護を受けながらもらうということは不可能でございます。したがって、そういう場合には差っ引かれるわけでございますが、この促進手当の場合にはそういった差っ引き制度もございません。もちろん生業についた場合には手当の支給を打ち切るということになりまするけれども、そういった違いもあるということを比較論の場合には考慮に入れる必要があるのじゃないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  127. 小野明

    ○小野明君 おかしいね、それはおかしいんだ。あなたは先ほど——これは議事録を読んでもらってもいいのだが、ほかに何か内職をやっておるから、ほかで働いておるから、それで五百七十円でもいいのだと、こういう答弁が確かにあっておるのだ。だから、それはどういう実態調査というか、どういう根拠に基づいて言っておるのか、それを私は尋ねておるのですよ。
  128. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) ちょっと私も認識不足だったのですが、促進手当をもらいながら何らかの収入を得ておれば同じように差っ引きの問題が制度上あります。これは先ほど私が申し上げた点が間違っておりますので、ここで訂正さしていただきます。
  129. 小野明

    ○小野明君 その点だけじゃないですよ。それはいまの答弁だが、その前に……。
  130. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長、百円よそでかせいできたら百円差っ引くのか。それは差っ引かぬのだったら、それはありがたい。
  131. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 臨時措置法の十八条の第六項で失業保険と同じような控除の制度がございますので、私が先ほどこっちの場合には差っ引かれないと申し上げたことは訂正さしていただきます。
  132. 片山武夫

    ○片山武夫君 関連。いまの先ほどからずっと御答弁聞いておりまして、いろいろ矛盾が出ておる点があるのですけれども、もう少し理解を深めるために質問したいと思います。  その一つは、いまちょっと五百七十円の算定基礎の問題について御答弁になったわけですけれども、これは確かに低いことは事実だと思います。それで、その算定基礎をもう少し明らかにしてもらいたい、比較の上において明らかにしてもらいたいことが一つ。  それから、先ほど次官がお答えになりまして、まあ低いから上げるように努力をしよう、個人的にはやりたいという御答弁があったわけですけれども、公私を問わず、低いという観点には相違はないと私は思う。近いうちに有沢答申が出てくる、そういうときに考慮の余地があるようなお話ですけれども、その時期はそう遠くはないのですが、したがって、予算措置もこの五百七十円でしてしまうと、これはなかなか先にいって修正はむずかしい、また、人員も増加する要素もある。そういう段階ですから、この際、政府当局でも、そういうふうに低いと、こういう観点に立っておるならば、抜本的にいま少しこの五百七十円という問題をとらえて再検討する気持ちはないのかどうか、その辺をもう少し詳しく御説明願いたい。
  133. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 私の申し上げたのは、先ほど阿部先生がおっしゃった生活保護の手当を受けている者との比較で、それよりも低いのじゃないか、そのとおりだと思います。で、これは因果関係がございまして、すでにさきに御案内のように、四百五十円という限度をきめてあるものでございまして、いまの比較論からくると、あるいは客観的な情勢等をにらみ合わせてみると、あるいは低い点もあるかもしれませんが、いわゆる今度のはわずかだとおしかりをこうむればそれまでですが、これだけ増額するにも労働省としては相当努力をした結晶だと私たちは承知しているわけでございます。そういう点で、いま有沢調査団からの答申は六月に出てくるであろう、いまここでこの値上げをきめて、いまさっそくそれではどういう調査団の内容が出てくるか、審議会の内容は存じておりませんが、かりに強力なかっこうでこれが出てくれば、私はだいじょうぶその時点において増額することが可能であるのではないかというお話を申し上げたわけでございまして、その点ひとつ誤解のないようにしていただきたいと思うのです。私の考え方としては、先ほどおっしゃったように、生活保護との比較検討からいうと、まだ相当上げてもいいのではないかという感じは持っておりますが、しかし、さきに四百五十円というすでに因果関係のある額が出ておるものですから、相当長い間——長い間と言っても三年ですが、三年の日数がたっておって、これは安いから上げろということで相当議論になっておったわけでございまして、それはようやくここの段階まで持ってくるのが、そう言っては失礼ですが、われわれの力としては精一ぱいであったのだという御認識の上に立ってひとつお話を願いたいと申し上げたわけでございます。その点ひとつ理解ある考え方を持っていただきたいと思うのです。
  134. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは三十八年の四月にこの手当制度ができましたときに算定の考え方がきまったのでございますが、その際、炭鉱離職者の失業保険金の日額の分布状況を見まして、その平均日額、それから産炭地の再就職賃金、こういった諸要素を考慮いたしまして四百五十円と、こういう決定をいたしたのでございます。その当時四百五十円で頭打ちになりますので、四百六十円以上の失業保険金をもらっておる者の分布状況を当時の状況で見ますと、五一・二%が四百六十円以上の失業保険金をもらっておった、大体半分ぐらいは四百六十円以上の金額をもらっておった、こういう比率が当時出ております。今度三年後に炭鉱の賃金も年々若干づつ上がってまいっておりますので、この状況は四百五十円でもし頭打ちの状態を続けるとするならば、昨年の十月時点でその頭打ちの状況が六七・八%、非常に比率が高くなるわけでございます。それほど炭鉱の賃金が若干上がってきておるという状態でございます。今度これを改定いたしまして五百七十円にいたしますと、頭打ちの状況が五〇・八%というふうになりまして、大体この三年前にこの制度を設けたときの頭打ちの状況と同様な状況になります。これで大体この制度を創設したときの趣旨が貫かれるのではないか、かように考えて五百七十円を決定いたしたわけでございます。
  135. 片山武夫

    ○片山武夫君 先ほど次官からお話がありましたいままでの経過についてはよく承知しているつもりですけれども、ただ、問題は、この五百七十円そのものが現在情勢に比較して非常に低いという観点に立ってのいま質問をしているわけですが、要するに、今度有沢調査団報告の中に、もしこういった問題について触れる、こういう問題がありとすれば、これはもうあと二月、三月の間に出てくる可能性があるわけだし、そのときにこの五百七十円が安かっただのどうだっただのとかいうことになると、これは問題になると思う。したがって、もう少し慎重にこれは労働省として考えてもらって、そのときになって改定の必要のない金額を求めてもらうという努力はさらにできないかという気がするわけです。それは次官も個人的には確かに低いので努力したいと思うのだと、こういう気持ちを披瀝されましたし、これは個人であり、やはり公人であることでありますから、これはやはりそういう答弁を聞くと、聞く者は期待を持つことは大きいので、何かその五百七十円そのものに問題があると思うので、その点をもう少しはっきりしていただかないと問題が残るのではないか。要すれば、問題は、数カ月後の調査団の結論の中にこういった問題が含まれる可能性がありとするならば、もう少し抜本的にお考えを願えないかと、こういうわけです。
  136. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) まだ有沢さんと内容について検討をしてみたわけでないものですから、その答申の内容に盛られているということがはっきりわかればこれは問題はないわけですが、その点まだ不明でございます。その点で一応先ほど局長から答弁いたしたように、三年前にこの創設されたときの時点と大体同じレベルで増額が決定したというわけでございますので、労働省の立場としては、この時点ではこの五百七十円で御決定を願いまして、先ほど来、阿部先生から御質問がございましたように、調査団の御意向等がございまして、抜本的に石炭問題全般にわたりまして検討を加えるときに、もしも大きな要因になっておるとすれば、この問題も含めて検討するというようなことで御了解願えれば大へん助かる。私個人といたしましては、いま申し上げましたように、できるだけの努力はいたすつもりでございます。
  137. 阿部竹松

    阿部竹松君 あと二日間でこの法律ができてからまる三年になるわけですから、相当数の炭鉱に働く人がお世話になっていると思う。そこで、今月分はわかるかどうかわかりませんが、大体現在、九州、常磐、山口、北海道、小さい県は別として、その四地方でどのくらい現在お世話になっているかということが第一点と、それから、さいぜんもお尋ねしたこの法律に本年お世話になる人、四十一年度にお世話になる人が一万一千三百人おる。ところが、炭鉱をやめてこの法律のお世話にならない人もおる。失業保険をもらっていて、そのうち職を見つける人がいる。よそに行って兄貴の工場に行ったとか友だちの工場に行ったとか、全然お世話にならない人もある。山に帰ってお百姓になる人もある。いろいろな人があるが、この法律で一万一千名お世話になるということになれば、一万七、八千人の人が首を切られることになる。この法律でそれだけお世話になるわけですから、いま言ったように、あらゆる産業に行くわけです。そうすると、一万七、八千の炭鉱労働者が四十一年度に整理されると、こういうことになる。したがって、本年度の予算折衝のときに通産省の話を聞いて、あなたのほうでは企画立案して大蔵省に金よこせという話をなさったのだろうと思うのです。これは一体どこの地域でこんなに人が減るわけですか。一万何千人減っても五千三百万トン使うと言っておるのですから。そうすると、いま残った人で一万五千人分を出さなければならぬということになるので、そこでどこの地域で一万人も二万人も減るわけですか。
  138. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 第一点の、現在滞留をしておる手当といいますか、手帳を持っておる方々の地域的な分布状況でございますが、総数は八千六百八十七名でございます。これは昨年の十二月末現在でございます。北海道が千トンで十八名、それから、福岡が圧倒的に多いわけですが、五千三百六十八名、あと佐賀が三百六十五、長崎が三百三十一、福島が二百七十と、山口が四百二十六、こういった地域別の分布でございます。  それから、さらにことし四十一年度の合理化解雇者の見込み数が一万一千名と申し上げましたが、これの地域別の内訳は、北海道が二千二十四名、それから東部常磐ですが、これが三百八十二名、西部が四十二名、九州が八千六百五十六名、こういった地域別の内訳を考えております。  それから、なお、先ほどこの一万一千名が出るならば、手当をもらわないで身の振り方をきめる方々も相当いるはずだから、一万一千名は一万八千名くらいになるのじゃないか、こういうふうな御指摘がございましたが、この一万一千名の中で、促進手当を支給する方々はうんと減るわけでございまして、大体従来の傾向を見ますと、一年以内に再就職する者の比率が五三・六%、半数以上は一年以内に再就職をいたしております。ということは、結局失業保険というのは、大体失業保険の受給期間中に大部分の人が再就職をしておる、こういうふうな実績もございますので、一万一千名の新規発生合理化解雇者が全部手当を支給する対象人員になるというわけではもちろんございません。
  139. 阿部竹松

    阿部竹松君 ですから、その促進手当をもらわぬ人がおるから、さいぜん申し上げましたとおり、兄貴がたんぼを持っておるから、兄貴のところに行く人もありましょうし、工場へ行く人もありましょうし、そういう人がたくさんおるから、この実績を合わせると相当数の離職者がことし計画されておるということがわかるわけです、数字がでたらめでなければね。どこをさしてあなたのほうでは計画を立てておられるのか、こういうことをお伺いしておるわけです。
  140. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御承知のように、合理化対象者というのは法律で要件がきまっておりますので、その要件に合致したものだけを私どもの離職者対策の対象に一応考えております。そこで、もう一つ、この合理化解雇者の中で、どの程度実際にこの手当の支給を受けておるかという実態でございますが、これは積算の基礎として四十年度は一日に平均五千六百五十名、それから、四十一年度は一日平均二千六百名、こういうふうな内訳になっております。したがって、前年からのいろんなずれ込みがございますので、その年に発生した分がこの中へどれだけ入っておるか、これは非常に計算がむずかしいわけでございますが、一応そういった積算の基礎の上に手当の予算総額がきまっておるのでございます。
  141. 阿部竹松

    阿部竹松君 労働省当局では、まああらゆる資料をとって統計資料を出しておられるが、いま有馬安定局長に御説明を受けると、これは一例ですが、福岡が五千三百五十名で北海道が一千名、福岡は五倍ですね。そうすると、確かに休廃山になったのは福岡が多いというのは常識的に私わかります。しかし、北海道の五倍もとにかく休廃山になったとは考えられない。失対労務者の率等においても福岡が多い。そうしますと、ある市なり町に行くと、詳しいことはわからぬわけですが、失対労務者に対して地方自治体も出さなければならぬから、そういうお金は。市役所の吏員になったとか、そういう失対労務者が多いものですから、この法律には直接関係がありませんけれども、もう市でも村でも、当初予算は全部——学校を建てる話も橋の話も道路の話もできぬというようなのが次から次へとあるわけですね。私、ふしぎに思ったのは、なぜ福岡が五倍も減っておらぬのに、福岡にこの促進手当をもらう人が五倍もおられるか。労働省の広域職業紹介がへたくそだといいませんけれども、これは一つの例ですよ。どういうわけで福岡の人が滞留しておるのですか。これはあなたのほうばかりではない。これは失対労務者はやっておりませんけれども労働省関係、これも福岡が多いでしょう、全国一でしょう。あまり手柄になる話ではありませんけれども、あすこは滞留する。あなたのほうの熱の入れ方がやはりちょっと足らぬと言ったらことばが悪過ぎますが、そこらあたり、歯に衣を着せずに聞かせてくださいよ。
  142. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 石炭の合理化問題を私ども十年来手がけておりますが、やはり筑豊を中心とした福岡県が全国の六割程度のウエートをもって今日まで来ております。しかも、福岡県は、御承知のように、石炭を除くと、関連部門を含めまして、非常に産業の伸びが大県のわりにはよくない。   〔委員長退席、理事小野明君着席〕 そこに大量の石炭離職者を中心とする失業者が滞留するというふうないろいろな悪条件が重なりまして、依然として今日でも筑豊を中心とした、いわゆる何といいますか、失業多発地域的な様相が非常に深刻になりつつある。私どもも、この緊就の問題、それから手帳切れの問題、それから一般失対の問題、これら三つをあわせ考えながら、何とか福岡を中心に四十一年度は積極的な失業対策事業を展開しなければ、このままでは過ごされないのではないかというふうな観点から、四十一年度はさらに一段と重点を福岡県に置いて施策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  143. 阿部竹松

    阿部竹松君 職業紹介所を通して、地方のあなたのほうの下部にたいへんお世話になっておると思うわけですが、そのお世話になる比率は、北海道とか、あるいは山口、常磐、福岡、そういう比率はどうですか、やはり福岡が少ないですか。
  144. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 安定所の数もやはり福岡はそれなりに多く設置してありますし、それから、この関係の職員も、特に各県からも応援を得て、福岡中心に離職者対策を強力に展開しておる、こういう状態でございますので、福岡県がほかの県と比べて手薄になっておるということは決してないと思います。
  145. 阿部竹松

    阿部竹松君 実務に携わっておる局長の答弁ですから、そのとおりかもしれませんけれども、どうも失対労務者にしても、この種のお世話になっておる人も福岡県はきわめて多い。どういうわけか、私どもふしぎでならぬ。やはり全国平均一つのベースがあって、そう違うものじゃないわけですよ。にもかかわらず、福岡県はきわめて失対労務者が多い、数も多い。ですから、そこら辺に何か原因があるのではないかと私は思っておるのです。したがって、いま局長の御答弁を聞くと、職員も多く置いてあるし、個所も多いと言われればそれに尽きるわけですよ。しかし、ここに何か手を打たなければ、地方自治体においても県においてもこれは困るだろうと思う。したがって、これは労働省だけの責任でないでしょう、他の省が力を合わせてやらなければならぬことですが、さしあたり、やっぱりあなたのほうが担当ですから、あなたのほうに本問題は解決策をお願いせにゃならぬ、そういうことなんですが、政務次官いかがですか。
  146. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 現在の状態がそうなんですから、その労働行政が行き届かないからというより、まあ失対が多いとか離職者が多いとか、やはり現実の数が多いわけでございますから、その点につきましては、労働省の立場として、まあ他に転職をせしむる、いま転職をせしむるまでの手当の問題を審議してもらっておるわけでございますが、そういう手薄の状態が続いているというようなものではないと思います。   〔理事小野明君退席、委員長着席〕 ともかく現在の実態が、離職者も多い、失業者も多いという現実の実態に即して努力を続けているわけでございまするので、その点御了解を願いたいと思います。
  147. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは政務次官、今回に始まったことでなしに、私の乏しい知識をもってしても、もうずっと過去数年来にさかのぼってこういうのが実例である。何%か出入りはあるでしょう。しかし、いままでことし去年から始まった問題でなくて、平均が多いわけです。これはやっぱり労働省当局としても、さいぜん申し上げましたとおり、あなたの省だけやってくれとはいいませんけれども、やはりこれは抜本的対策を立てなければ地方自治体はつぶれてしまう、このように私は判断しておるのですがね。
  148. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これはもう抜本的な対策としては、石炭産業にかわる産業を地域に振興しなければこれだけの地元の失業者を吸収することはできないと思います。しかし、それを待っておれませんので、失対事業、あるいは緊就、さらに一般の公共事業、鉱害復旧事業、こういった各種の事業を総合的に集中的にこの地区に重点を指向いたしまして、何とかこれらの滞留者に職を与えていく、こういう努力を一段と強めたい、かように考えておりますが、抜本策は、最初申しましたように、石炭にかわる産業を地域に振興する、これ以外に方法はないと思います。  なお、私どもが福岡につぎ込んでおりまする四十一年一月末の実績でございますが、これは四十年度の実績になるわけですけれども、大体福岡のみならず、九州一円で九千七百六十名の前年度からの滞留者がございました。これにさらに昨年、四十年の新規離職者が八千百五十名加わりまして、合計一万七千九百十名を対象にわれわれの職業紹介活動を展開いたしたわけでございますが、この約半数に当たりまする八千三百十名を一月末現在で安定所紹介によって再就職させております。この内訳を見ますと、やはり地元に産業がないために、六割見当は大阪、名古屋方面に広域紹介で出ております。実数は四千五百八十名という内訳になっておりますが、こういうところの九州の離職者対策が非常にむずかしい。むずかしいけれども、広域職業紹介に乗っけて、できるだけ需要地へ宿舎を用意しながら再就職をはかっていく、こういう努力をさらに続けたいと思います。
  149. 阿部竹松

    阿部竹松君 あとで大臣にお尋ねする機会があるようですから、私の質問はこれで終わります。  最後にお尋ねしておきたいことは、この法案の改正によって四百五十円が五百七十円になって、百二十円値上がりすることですから、これはありがたい。国のお世話になって、まあありがたいことなんですが、しかし、実際問題としてこれでは生きていかれぬわけですね。ぜいたく言うなとおっしゃられるかもしれないけれども、かりに職をさがしても、四十五、五十になるとなかなか仕事がない。それも四十五、五十になって中学生をかしらにして、小学生の子供が二人もおったらやっていけないから、当然ほかに仕事をさがしに行く、国の世話にならぬほうがよろしいわけですから。しかし、ただ、高年齢層になってどうにもこうにもならぬ人がある。ですから、これだけはひとつ何とか——さいぜん小野委員の質問にもありましたが、もし全部みてあげるということができなければ、五十を過ぎてなかなか職をさがすといっても困難ですし、そういう人のためにも、まあ衆議院のほうの決議にもついておるようですが、そういうことだけひとつ御配慮願えぬものかどうかということを最後にお尋ねします。
  150. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 先ほども申し上げましたように、衆議院の附帯決議が三つついておるのですが、これで大体炭鉱離職者関係の総体的のものが全部含まれていると言っても差しつかえないのじゃないかと思うのでありまして、この附帯決議を尊重いたしまして、特に就職できかねる高年齢層について非常に転職もむずかしい、その土地を離れてほかには行きたくない、いろいろな事情のある方があるようであります。そういうものにつきましては、附帯決議を尊重いたしまして、十二分に処置をとるようにやりたいと考えております。
  151. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 他に御質疑の方はありませんか。——御発言がありませんから、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会      —————・—————