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大矢正君 この
事故の詳細は、現在行なわれておる
現場の取り
明け作業、それから奥にいるであろう十名の
不明者の遺体の
収容——おおむね見込みはないと思われますので。そういう
作業が一切終わってからでなければ確定的なことは言えないことは私もよくわかります。それから、もちろんそういうことでありますから、私のほうもこの
委員会で
質問するにつきましても、現在
局長から
報告をされた限度においてしか当然
質問ができないわけでありまするが、ただ、私は、先ほどの
局長の
報告の中で、若干理解に苦しむところがあるのは、先ほどのあなたの
報告によると、
ガス爆発、そうしてその
ガス爆発は
吐出ガスによって、結局防ぐことができない
状態で
ガス爆発が起こったのではないかというような感じのする御
報告がなされておりますが、しかし、内容を聞いてみますると、どうもあなたの言うそういうことでもないように感ずるわけですね、たとえば前日の三番方のときに
作業中の者が、非常に
ガスが噴出しておる、したがって、危険であるということがあったので、先ほど
阿部委員が
質問いたしましたとおりに、早々と明朝
入坑して、
ガス抜きその他のおそらく相談をやられたものと思うわけです。したがって、
保安担当の係員というものは、
かなりの数現にこの中におるわけですね。ですから、これは
作業中は
ガス量はほんとうにわずかであったが、急に吐出して、それが何らかの
火元があって引火をして
ガス爆発をしたという問題ではないわけですね、これは。そういうことになるわけですね。したがって、かりに前日の三番方の
作業中に当然
職員が巡回しているはずですから、
かなりの
ガスが噴出しているので、もしここで
火元がどこかにあれば必ず
爆発はするであろうということは
想像がつくわけですから、したがって、そういう
現場の
責任者として放置はしておけないから、当然
保安課長なり
課長代理なりという者が行って
調査をし、そうして対策を立てなければならぬことは当然だが、そういう危険なことはわかりつつ、十名を引き連れてこの
現場に行ったこと自身に私はどうも不可解なものがある。そういう危険なところであれば、ほんとうに
責任者だけが行ってよく調べて、そうしてその結果労務者を入れてもまあだいじょうぶだ、
ガス抜きをやろうじゃないかということになってくると思うが、そういうことを考えないで、直ちに自分の部下十名、それから組夫まで入れて
——係員であればおそらく検定機その他を持っているから、それぞれはかって
入坑する、また、
現場に入ることはできるが、組夫なんかはそういうことはないわけだね。たといそれが組夫の係員であっても、これは普通の
一般の係員とは違うわけだから、そういうことを一体なぜやったのか、これはやはり認識の上において誤りがあるのじゃないかということを私は感ずるわけです。
それから、かりに
吐出ガスが幾らあったところで、火源がなければ
爆発するわけはないのだから、何か火源となるべきものがあったはずだ。ところが、先ほど承ると、
北磐下坑道から奥には一切電気系統は入ってないという。そうすれば、電気によるまずスパークその他の火源というものは考えられない。何によって、何が一体火源になったかということになると、私自身もこの場では、もっと具体的な
報告を聞かない限り、判断がつきかねまするが、しかし、少なくとも
ガスが
かなり停滞をしている、もしくは噴出をしているという
状況である際には、これにつながって、
北磐下坑道で
磐打ち作業その他していた、たとえば三名とか、あるいは
桜沢斜坑におった七名とかいうものに対しても、ある
程度保安を管理する者としては、事前に
入坑をとめさせておいて調べてやるとか何かをやらなければならぬ措置があると思うが、そういうことがなされてない。たまたま
桜沢斜坑における七名は
自力で
脱出したから助かったものの、かりにもう少しこれが奥に入っておったら、これは完全にだめでしょう。しかし、このなくなった二名、
脱出した一名、これらの人々を見ると、この
北磐下坑道で
爆風によって死んでいると、こうおっしゃる。
かなりの強い
爆発があったことが想定できるわけです。しかも、
阿部委員の言われるとおり、
崩落が百七十メートルに及んでいる。及んでいるかどうか、これは取り明けてみなければわからぬ、想定だろうと思う。百七十メートルというのは想定だと思うけれども、それだけの
全面崩落が起こっているということは、
かなりの
ガス爆発があったということはまず言えるわけですね。それに坑内における
状況等を見ると、
ガス爆発であることは間違いないのだが、まず、第一点の問題は、やはりそういうことに対して、こんな危険の際における
保安担当職員のやはり措置等に対する教育というものが私は行き届いていない。しかも、
課長みずからが出て行ってこういうことをやるにおいては、これはもう何をか言わんや。普通の
保安職員が連れて行ってやる場合には、まだ幾らか聞きようがあるが、
保安担当の
責任者の
鉱務課長ですか、これがみずから行って十名もこういうかっこうにしてしまうということは、まず
保安の教育、あるいは
保安に対する考え方の上で
一つ非常に問題があると思います。
それから、もう一点、結局私ども問題点があると思われまするのは、
作業をしていないのに、一体どこで火が出たかということですね。なるほど、これは閉じ込められている十名の人を見ると、これはほとんど
保安係員、それから直接の指揮者である
鉱務課長ですか、でありますから、
作業はしてなかったと思う。
作業はしていないし、電気はないのになぜ一体火源ができたかということですね、こういうことに対して、現状では私がお尋ねをしてもわからぬと思うのだが、おそらくこれは私の
想像では、
仕事をしていなかったのではなくて、
仕事はしていなかったかもしらんが、何らかの
作業をこの中でやっていたのではないか。そうでなければ火源になるべきものが出てくるはずはないのですね。単に調べに行ったのなら、おそらくあれじゃないですか、
ガスがどの
程度の量があるか、どの辺から噴出しているのかとか、そういう
調査だけでも、別にハンマーを持ってそこらをたたくわけでもないし、火源が出るはずがない。それが火源があったということは、どう見ても、普通の
一般鉱員は入れてなかったけれども、
保安関係の
職員同士でここで何らかの
作業か何かをやっていたのではないか。それをもっと突き詰めていくと、
鉱員その他は危険性があるから入らないという何らかの意思表示があって、やむなく
課長以下が出て行って、そうして臨時応急な措置をやろうではないかというようなことで
仕事をしたのではないかと見られる節が、なぜか私には感じられるわけです。いま一、二点を私は申し上げましたが、
局長、そういう技術的な問題でありまするが、どういうふうにお考えになっておられるか、お答え願いたいと思います。