○藤田進君 それも
一つの
方法でしょうが、私も先進地域、後進地域の石炭
産業の動態等を調べ、それから、前国会でかなり多数のバランスシートも提供していただいて、いろいろ
検討を、
相当長
期間かかりましたが、私もやってみた。しかし、このバランスシートは包括的に見ればつくりごとで、これは何の役にも立たなかった。全くのつくりごと、それはありありと出ている。専門家に見せてもわかる。そこで、過去の累積赤字というものの補てん、これに対しては利子補給するなりということだけで
相当背負い切れない荷物になる、おろすことはできるでしょうけれ
ども。石炭
産業というものは、所信にもあるように、エネルギー革命の渦中にあるのだと規定しているんですね、通産
大臣は。この革命というのは池田さんが使って、中小企業の革命とか、農業生産革命とかですね、そうして問題を起こしたわけで、特に保守党としてはなかなか使いがたいことばであったものがここに要約されて出てきているわけです。そこで、エネルギー革命の渦中にあるのだという認識が問題であって、そうして累積赤字を補てんするという、そういったことはまだまだこれは先になるんじゃないだろうか。先ほど来言われていた労務
対策、出炭量の確保ということが問題であり、そのことは、むろん財政上個別企業の経理上の問題もありましょうが、他面、
労働力の確保に非常に困難を来たす。同時に、また、
離職者対策というので
予算を組まなければならぬ、これは矛盾ですね。
離職者対策に金を出して、ところが、一方、山では人が足りない、特に若年労働というか、質のいいものがむずかしい。そして一方、エネルギーとしての石炭の位置づけというものは、これは今後出すのだそうです。これは総合エネルギー
調査会で出すことになりましょう。しかし、だれがどこの機関でやってみても、これはなかなか簡単ではない。そこで、財政資金をはじめ、経営一連のことを考えてみますと、もう私企業としての限界性がきているんじゃないだろうか。これはイタリアの場合を私は書物にも出しておきましたが、資本主義の
政策をとっているところでも、各国の石炭
事情を見てわかるのですが、これはもうどこの国でも石炭
対策については苦悩しておりますね。そこで、三木通産
大臣は就任された直後、いま資料を持っておりませんが、石炭企業については、私企業ではどうもいかがかと思うような御発言をすでにされているのです。あなたのもし進歩的
政策があれば、言わなければおかしいのです。あなたの研究所等においてもいろいろ私は聞いておる。私企業に対して資本主義
政策をとっていく。しかし、これに対して、造船もそうですね、利子補給がある。午前中も問題になったような繊維
産業、私のところでも、数日前に繊維局にも来てもらい、研究会を持ちました。それから、労使にも来てもらった。こう考えてくると、ちょうど石炭と同じようだと言っているのですよ、やはり
通産省の
方々は。しかし、ここで申し上げたいと思うのは、そんなに
拡大して申し上げようとは思いませんが、いやしくも国家財政が出動する、あるいは利子補給をする、これも当面の脱却のために呼び水にというようなことで、過去に例があります。しかし、二百八十億に余るもの、さらに抜本的にという中身を聞けば、大体期待されているものは過去の累積赤字だ、借金だ、こうなってくれば、しかも、それで立ち上がって、私企業としての石炭
産業がいつか国民に還元されてくるという可能性と保証があるかと言えば、それはない。いまここに並んでおられる
社会党の委員は全員がメンバーですけれ
ども、
社会党としてはどうするか。与党とか野党とかイデオロギーとか、そういったことよりも、どうすべきかということの結論としては、すでに党大会でも確認をされて、石炭の国有化要綱をさめたわけです。まだまだ不備です。不備ですが、ある意味では、もう私企業としての限界性をこえてきている。そうして弱い層、つまり労働者にはいわゆる
炭鉱災害がある。まあこれは最大のものですけれ
ども、こういうように所々にあらわれているものは、いまの石炭の私企業というものでは、もうどうにもならないということで、このことは財政出動でもうはっきりしているし、これはだんだんふえてきておりますね。そうなれば、ここらあたりで経営形態というものについて、すでにあるこの
産業をつぶすわけにはいかない、国の重要な
産業であるということであり、それから、また、同時に、これを再建していかなきゃならぬ。それには個別企業の資本、資金ではどうにもならぬということが国有化への成熟というか、熟し切っている。もうかってしかたがないということでも国有化されている例はたくさん各国にあります。日本でも砂糖がどうとか、いろいろ問題になります。そのようなことは時間がないので何ですが、私が申し上げるまでもなく、釈迦に説法ですけれ
ども、抜本的ということは、その辺について審議会なり、審議
調査をいたします議会なり、いわんや、執行権を持たれる
政府においてお考えになりませんと、行き当たりばったりでやっていると、結局他
産業に大きな影響力を及ぼす石炭ですから、これはたいへんなことになる。いますぐにどうするという御
答弁はむずかしいでしょうけれ
ども、石炭問題については、私は、
相当前にすでに
予算委員会でも触れたわけですが、もう私が予見したとおりになってきておりますね。したがって、二つの点ですが、エネルギー革命という認識——どういうふうに石炭の位置づけをするかはまだ審議会でもできていないわけですけれ
ども、このエネルギーの革命的なということは、私は私なりに持ちますけれ
ども、どういう御所信からであろうか。
それから、第二の点は、いま申し上げた私企業としての限界性についてはどうお考えだろうか。そういう
施策を累年重ねてまいりましても、これはいかんともしがたい。こうなれば、中間答申の
最後の五ですね、こう画期的な助成策を実施いたしますと、ここにも
指摘しておるとおり、「監督を一層強化する」、それから「行政体制の充実を図る」といったようなことになり、会計経理等の監査は
相当きつくおやりにならなければいかぬでしょう。しかし、私企業でそういう会計経理の監督を、まあ会計検査院を例にとれば、ああいった非常にシビアーにやることは、営業というものはなかなか非常に複雑なものですから、むずかしい。これは非常に疲弊
産業、斜陽
産業と言われているけれ
ども、案外意外な、一見むだな金が出ているかもしれませんよ。そういうわけで、会計の非常な強化、これは「行政体制の充実」といっておりますが、こうなってきますと、私企業とは名ばかりであって、私企業の妙味というものは出ない、全く中途半端なものになるのですね。そういう例はほかの国でもあります。結局は国有化している。ですから、そういういわば企業形態ということについても、それはもう国有化がいいのか、公団、公社がいいのか、最近はまた資本主義がくずれんとするつっかい棒として、戦後やたらに公団、
事業団、特殊会社が出てきましたが、この一連の
政策の経過から見ますと、石炭がそういうことの論議が
政府部内でもあるのかどうか知らないが、表面には何ら出てこない。これはふしぎでなりません。総括の第一として、以上二つの点を、速記があって困ればなくてもいいです。私は、速記をとってあなたから言質を取ろうと、そんな根性じゃおりませんからね。