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1966-03-17 第51回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十七日(木曜日)    午後一時十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大河原一次君     理 事                 剱木 亨弘君                 小林 篤一君                 小野  明君                 鬼木 勝利君     委 員                 沢田 一精君                 高橋雄之助君                 二木 謙吾君                 阿部 竹松君                 小柳  勇君                 藤田  進君                 片山 武夫君    国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君         労 働 大 臣 小平 久雄君    政府委員         通商産業政務次         官       堀本 宜実君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    森  五郎君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         労働省職業訓練         局長      和田 勝美君    事務局側         常任委員会専門         員       小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (昭和四十一年度石炭施策及び予算に関する件)     —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。  昭和四十一年度石炭施策及び予算に関する件について、質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 小野明

    小野明君 最初に、社会党から、一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案というのが提案をされておりまして、現地におきましても、あるいはそれぞれ災害のありました炭鉱におきましては、すべてこの一酸化炭素中毒患者がおるのでありますが、この成立を非常に多く期待をいたしておるわけであります。この特別措置法案について、大臣は一体どうお考えになっているのか、その所見をまずお伺いしたいと思います。国務大臣小平久雄君) CO中毒患者に対しまする特別立法については、かねて社会党のほうから御提案がされてあること、それから、それについて組合等からも強い御要望のあることも承知をいたしておりまして、再三お話等も承っております。そこで、労働省としましても十分検討をいたしておるわけでございますが、労災保険のたてまえから申しまして、この種の特殊な疾病と申しましょうか、災害について特別立法でいくと、かりにそういうことになりますと、まあ他にも御承知のとおり、特殊の中毒患者なり、あるいはその他の類似事態もございまして、CO患者だけについてそういうことをやることがはたしてどうであろうかと、こういう点が一番実は問題になるわけでありまして、それらの方の健康その他について検討をいたしておるわけでございますが、そういう関係からいたしまして、いま直ちに特別立法に踏み切るというところまで、遺憾ながら、まだ結論が至っておらないのが実情でございます。ただ、しかしながら、もちろんこのCO患者皆さんが非常にお困りであるということは万々承知をいたしておりますので、現在の措置としましては、現行の労災保険法をもう最大限に活用いたしまして、できるだけ実情に即しつつ各方面の御要望にもこたえてまいりたいと、まあこういうことで、昨年末以来、組合関係皆さんとも何回かもう詳細な打ち合わせをしながらできるだけのことをいたすと、まあこういうことで今日に及んでおるわけで  ございます。
  4. 小野明

    小野明君 基準局長がくるまでほかの問題でお尋ねしたいと思いますが、炭鉱離職者緊急就労対策事業について若干お尋ねしたいのですが、事業費単価引き上げの問題ですが、緊急就労対策事業は、就労者漸減方針ということで、四十二年度まで閣議決定によりましてこの事業に対し予算措置を講じておるのであります。四十一年度の予算を見てみますと、一人当たり事業費単価が  一千九百円、二百円の引き上げということでありますけれども、この程度の額なり、あるいは就労ワクにいたしましても四百人の減でありますが、こういうことでは、この事業を現在の経済状態から見ますときに、効果があがるということは考えられないと思うのであります。この点のワク拡大なり引き上げということについてどのように考えておられるか、お尋ねしたい。
  5. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 緊就事業単価並びにそのワクにつきましては、ただいまお示しのとおり、単価につきましては、四十年度に比べ、四十  一年度は二百円増の千九百円、それから、規模のほうは、四十年度の五千八百人に対して四十一年度は五千四百人と、まあこういうことで予算をお願いをいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、この事業について、まあできるだけ予算編成の過程におきましても努力をいたしたのでございますが、最終的にはこのような事態になったわけでございまして、まあ予算関係では単価は千九百円ということでございますが、御承知のとおり、資材費等につきましても一般失業事業よりも高率の補助をいたしておりますし、あるいは交付税において措置している、こういうようなこともございます。まあそういう点からやむを得ないのだ、かように考えておるのでございます。まあワクの点につきましては、相当の年輩の方もおいででございますので、まずこの程度ワクでありますならば実施上そう支障なくやれるんじゃなかろうかと、まあかように考えたわけでございます。なお、詳細につきましては安定局長から御説明申し上げます。
  6. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 規模単価の点、大臣から御説明があったとおりでございますが、まあ私ども規模については、一昨年大蔵省との間で漸減方針閣議決定によりましてきめたのでございますが、最近の情勢を見てみますと、いままでのような一割縮減というふうな規模減では今日の実情に合いませんので、来年度は五千八百名から四百名減の五千四百名程度規模減にいたしたわけでございます。もちろんこれは三十四年から緊就事業というものは行なわれておりますが、三十七年の第一次調査団の答申によりまして、その後の合理化解雇者手帳方式に切りかえましたので、新規にふえることはないのでございます。したがいまして、この五千四百名の規模筑豊その他に配分いたすわけでございますが、その際には実情に合ったような運営をしてまいりまして、実際に首を切るというふうなことのないような運営をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  7. 小野明

    小野明君 実際に首を切るような措置は行なわれない、実情に合ったようにやると、こう言われるのでありますが、それはどういう措置でやるのですか。
  8. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) この緊就事業就労する就労者というものは、御承知のように、広域職業紹介にも応ずるという形で、安定所に対して求職者となって登録をされておるわけでございますが、ここに至ってはなかなかいろいろな事情がございまして、地元を離れられないというふうな事情のある方々が多いわけでございまするけれども、それでも、やはりぼつぼつ広域紹介のベースに乗って再就職をしておる、また、年齢その他の事情緊就就労できないというふうな方が引退をしていくというふうなこともございまして、いわゆる自然減耗というものも年々ある程度の数がございますので、そういった場合に規模を縮減していくという考え方で対処してまいりたいと思います。
  9. 小野明

    小野明君 規模を縮減するんですか。私が質問しておりますのは、賃金引き上げなり拡大という方向は考えられないのかと、こういうふうなお尋ねをしたのですけれども、先ほどのあれでは、実際にやっている者を首切るようなことはしない、何らかの措置をするんだと、こういうふうに言われているのですが、これはどうですか。ところが、縮小するというふうに言われておりますが。
  10. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 規模としましては、ことしが五千八百名であったものが来年度は五千四百名、四百名程度規模の縮小になりますが、これは先ほど申し上げましたように、緊就事業というのは、三十七年以前の合理化解雇者をその事業に吸収しております。その後の合理化解雇者手帳方式によって措置をいたしますので、新入生はないわけでございます。したがって、広域職業紹介その他で減っていく者、あるいは引退をしていく者、こういった減少が若干毎年ございますので、それに合わして規模を縮小していっておる、こういう状態でございます。
  11. 小野明

    小野明君 離職者のその漸減のテンポから見て、当然この四十三年度以降も残存するということが考えられるのでありますけれども、この予算措置は四十三年度以降も継続すべきではないかと思うのですが、どうですか。
  12. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ただいまのところは四十二年度までと、こういうことを一応やっておるわけですが、何ぶんにも、まだ相当数の人がおるわけですから、これはまあ率直に申して、四十三年度の予算編成のときにまたおそらく問題になるだろうと思いますが、私としてはぜひ継続したいものだと、かように考えております。
  13. 小野明

    小野明君 この緊就就労者雇用促進の問題について尋ねたいと思うのですが、この再就職について、いまいろいろ局長のほうも説明があっておりますけれども、はなはだ芳しくないと、逆に。こういうことを聞いておるのですけれども、その実情は一体どうなっておるのか。もし芳しくないということであれば、その原因はどこにあるのか。さらに、また、聞くところによりますと、緊就就労者が再就職の意欲が非常に乏しいと、こういうことから、職安当局はこういった人たちの再就職あっせんに全く熱意を示していない、放置状態である、こういうふうに聞いておるのですが、これでは全く棄民政策といいますか、捨ててしまう政策ではないのか、このように考えられます。この再就職促進のために職安は現実にどういった方法をとっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  14. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 緊就就労者の再就職について職安は見捨てているのじゃないかという御指摘がございましたが、決してそういう考え方ではございませんで、現にことしから、この緊就就労者が再就職した場合につきましても再就職奨励金を支給して、できるだけスムーズに常用雇用のほうへ就職促進させるという方向で積極的にやっております。ただ、何ぶんにも、三十七年以来今日まで残っておる方々でございますので、いろいろな事情があって地元を離れにくいという方々が今日になって大部分残っておるという状態でございますので、減少の速度は今後減ってまいると思いまするけれども、なお一段と安定機関を督励して再就職促進をはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 小野明

    小野明君 離職者求職手帳期限切れの問題ですが、有効期間が切れて就職不能の離職者が、昨年の四月以降、約現在まで千人に達しておるのでありますが、今後この数がますます増大してくるのではないかと考えられます。で、昨年以来、また、将来にわたって、政府はこういった離職者対策についてどういうふうに考えておるのか、これを説明願いたいと思います。
  16. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 昨年の四月以来、満三年の手帳有効期限が切れる方々が出てまいっておりますが、十二月末現在で九百二十人ほど手帳失効者が出ております。四十年度、この三月一ぱいまでに失効すると思われる見込み数でございますが、これは千二百三十人ほどに相なると思います。さらに、四十一年度中を見通してみますと、千四百六十人ほどさらに手帳失効者が出てくる。なお、今日、手帳保持者がどれくらいあるかということでございますが、約八千六百名ほどございます。私ども三年間の有効期間中に再就職を積極的にはかってまいるということで、安定機関の全力をあげてやっておるわけでございますが、いかんせん、こういった形で手帳失効がぼつぼつ出てきておるという状態でございますが、この失効者について今後どういうふうな身の振り方をするか、これについて筑豊地区について調査をいたしたのでございますが、大体の傾向といたしましては、自己就職または自営をするというふうな方が三一・九%、それから、何らかの形で家事に従事するというのが二四・四%、生活保護を受けておる者が一六・一%、それから、再就職をさらに引き続いて必要とする者が二七・六%ございます。大体三分の一から四分の一程度がさらに失効後も再就職対策を必要とするという比率になっております。また、年齢の点から申しますと、五十歳以上が七二・七%ございます。こういった事情でございますので、私どもとしましては、この失効後の要対策者といたしまして大体二七%、三〇%見当を見込みまして、これらの失効者の再就職を積極的にはかってまいりたい、こういう考え方でいま現地を督励いたしております。その具体的な対策といたしましては、たとえば筑豊を例にとりますと、先ほど申しました九百二十名の失効者、大体千名になんなんとしておりますが、これらの失効者に対しまして、公共事業、あるいは産炭地振興事業、あるいは鉱害復旧事業、こういった各種の事業に優先的に紹介をしようということで、三百十三人ほどの優先ワクをとりまして、現在失効しておる者で再就職を必要とする者については、この方面就労あっせんをいたしておるわけでございます。  なお、遠隔地広域紹介で出て行くという者については、さらに一段と大阪名古屋方面へ再就職あっせんをしていくという、二本立てでこれらの失効者の再就職の万全を期していきたい、このように考えておるわけであります。
  17. 阿部竹松

    阿部竹松君 関連。ただいまの小野委員の質問に出ております三年後に失効する者ですね、失効する方々が、いま局長の御答弁を聞くと、今年一千百ですか、また来年になると一千四百、これは一人でも減ったほうが御本人のためにも国のためにも望ましいことですが、しかし、失効のために職が見つからぬままにほうり出されるということになると、これは数字は忘れましたが、局長答弁の中にございました生活保護のほうへ入ってしまうというようなこともこれは考えられるわけです。先日、炭鉱職員組合諸君労働大臣あるいは職安局長にいろいろと陳情しておったとき、そばにおって聞いておりましたが、なかなかいま有馬局長答弁のように、広域職業紹介をお願いしても、例をとってみますと公団道路の札売りですね、これでも三十五過ぎたら雇わないという、札を売る作業場をさがしても、三十五以上になったらもう雇ってくれないという状態ですから、おそらく三年間この促進手当をもらっている方々も、何か原因があってなかなか職につけぬという方々が残るということになりますと、三十五過ぎればなかなか就職できぬ、こういうことになりますので、いまの御答弁は、おそらく現在の措置のままに幕切れになった諸君のことをどうするかということですが、国でもう少し手当てしてあげる方法はないものですか。たとえば延長するとか、何らかの方法を講じて、三年間で切ってしまいますよということでなしに、これをもう少し時間をかけて一生懸命職をさがしなさいというような方法はできませんか。
  18. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) この就職促進措置について三年間の期限がついておりますが、これは御承知のように、非常に臨時措置法改正をいたす場合に問題になったところでございまして、まあ私ども三年間の期限内に大部分の方々の再就職をはかってまいったわけでございますが、いろんな事情でいま申しましたような手帳切れ方々が出ておる、そして、また、その中で二七・何%という者がさらに再就職あっせんを必要とする者であるという大体の傾向が出ておるわけでございまして、まあ三年間を延長したらどうだというふうな御指摘でございまするけれども就職促進措置期間をさらに延長するということは、これは非常にむずかしい問題もございまして、私どもは三年間の期限内に何とか再就職をさせたいということで努力しておりますが、期限切れ方々についてさらに再就職措置が必要であるという者に対しては、いろんな形で再就職をさらに一段と促進をしていくように安定機関を督励いたしまして、これらの者の再就職をはかっていきたい。この若干残った者のために期限をさらに延長するということになりますと、これはいろんな問題が出てまいりますと思いますので、期限延長ということは当面考えずに、切れた者で再就職を必要とする者についての対策をさらに一段と強めるという方向で対処してまいりたいと思います。
  19. 阿部竹松

    阿部竹松君 もう一つ。きまった当時の時点におけるなぜこうなったかということを知っておりますから、これ以上局長の御答弁を、それはけしからぬということでなしに、また場をあらためてお話をしたいと思いますが、ただ、いままで四百五十円、今度の予算で、きょう労働省から説明を承ると五百七十円になって、百二十円努力していただいて上がった。しかし、三十日に計算すると一万五、六千円ですね。おそらく三年間残っておる者はなかなか、さいぜん申し上げましたとおり、職業紹介でいい職につけるような人がほとんどない。そうすると、いま、これは情けない話だが、生活保護を受けても大体その金額ぐらいもらえるわけです。まあ県で出すか国から直接出すか、何分の何はということで県が出したり国が出したり地方自治体が出したりするんだが、国の政策としては、国の保護などということでなしに、やはりこれを延長しても何とか最後までめんどうをみてやっていただきたい、こういうように考えておるわけですが、これは特にお願いしておきますが、きょうここでなくてもけっこうですし、予算もきまったことですから、いまどうするというわけにいかぬでしょう。しかし、これはやはり最後までみてあげるという気持ちに立って、これは政策問題でなかろうかと思うのですがね、ひとつ御考慮願いたい、こう思います。
  20. 小野明

    小野明君 その点一緒なんですが、大阪とかよそにやると言いますが、一応広域紹介で行ってもみな帰ってくるわけですよ。なぜかというと、家がないでしょう、住むほうの心配だけでもみな帰ってくる。それで、かりによそに世話しても賃金がきわめて安い、こういうふうな紹介だけになっておるし、給与が滞留してしまうわけですがね。そういうことから見て、いま阿部委員が言われるように、ぜひこの期限延長というものをやはり考えられぬものかどうか。
  21. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) この問題はいろいろな角度からやはり私は研究する必要があろうと思うのでございまして、もちろん労働省としてはできるだけあらゆる手を尽くしてめんどうをみると申しますか、やっていくことは当然だろうと思いますが、まあ何と申しましても、先ほど局長からも御説明申し上げましたが、年齢がとにかく五十歳以上の人が七三%近くという、こういう事実、あるいはこれも説明がございましたとおり、このような年配になれば、やはりそうよそへ行かずに、地元にできることならいたいということも、これもまた人情でございましょうし、そういう点もございますので、これをよその地に就職せよといっても、事実問題としてなかなか困難だろうと私も思います。そういう点からして一番いいのは、地元で働ける職場をつくるということが一番いいのだろうと思いますが、それもなかなか思うようにそう簡単にはいかぬという実情だろうと思います。いずれにいたしましても、この年限を延長するということが一番手っとり早いことかもしれませんが、本来の趣旨は、やはり職をこの期間に他にごあっせんするということが本来のねらいであることも、これも間違いなかろうと思います。したがいまして、できるだけ手を尽くして、あるいは職場をつくるように関係先と打ち合わせて努力をするというようなことやらいたしまして、できるだけのめんどうはみますが、その期限延長のことは、期限延長されてそのままだらだらといく、こういうことは、これもなきにしもあらずだろうと私は思います。で、せっかくのおことばでございますから、私どもとしても関係方面とも打ち合わせて、十分検討していきたいと思います。
  22. 小野明

    小野明君 それでは、時間もないようですから、あと二点にしたいと思いますが、石炭労働者に対する特別年金制度の問題ですね、これを早急に確立をしてもらいたいと思いますが、その点についてお伺いしたい。
  23. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 特別年金制度を創設する問題につきましても、各方面から御熱心な御要請を受けております。特に石炭鉱業調査団の答申なり、あるいは石炭鉱業審議会中間報告なんかにもうたわれておるところでございますので、労働省の立場からいえば、特に労働力の確保、こういう見地からぜひ実現をいたしたい、かように考えておるわけでございまして、御承知と思いますが、四十一年度の予算におきましては、石炭鉱業全体の施策とも関連するという意味合いから、とりあえず調査費が約二百万ほど通産省予算に計上されております。そこで、通産省、あるいは厚生省、それから労働省、この三省間で緊密な連絡をとって、ぜひ実現方向検討を今日までもしてまいりましたが、今後もいたしたい、こういうことによって炭鉱が魅力のある職場に少しでもなるということがきわめて望ましいと思います。
  24. 小野明

    小野明君 基準局長見えましたから、最初お尋ねしました問題を最後お尋ねしたいと思うのですが、CO立法の問題なんですが、三池の変災がありまして二年経過しておるのですが、患者は一向に減らない、おまけに現地では四十年の赤から以降、退院を強制というか、促進をしたり、あるいは入院を拒否する、あるいは職場復帰を今度は強要していく、こういったことが行なわれておる。それから、また、罹災者なりその家族の生活がきわめて生活保護程度の収入で、医療上から見ても人道上から見ても、きわめて問題が多い。これについて先ほども最初に申し上げたのですけれどもCO立法の制定を待ち望む声というものは非常に強いものがあるわけです。ところが、このいまの大臣お話を聞いてみますと、行政措置で、あるいは今度の労災法改正等によってなしくずしてしまうといいますか、そういったようなことがうかがえるわけですけれども、この制度促進をしていくという方向はとられないものかどうか、お尋ねしたい。
  25. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 一酸化炭素中毒発生状況を全産業について見ますと、たとえば昭和三十八年では千二百三十三人の死傷者及び業務上の疾病とされた方がございます。この千二百三十三名のうち、鉱業関係が千百八十四名でございまして、圧倒的に鉱業関係、なかんずく、御承知の三井三池の災害によりまして千百四十一人という圧倒的多数が石炭関係である。三十九年を見ましても、全産業で百三十六名の中毒患者である、そのうち、鉱業関係が五十二名、一般産業では八十四名である。三十八年は一般産業では五十九人でございまして、さらに四十年におきましては、御承知のように、北炭夕張日鉄伊王島山野鉱と爆発が相次ぎまして、石炭関係だけで四百二十七名という大量の一酸化炭素中毒の死者及び疾病患者が出たわけであります。そこで、一酸化炭素中毒問題を全産業一般の問題として扱うかどうかという一つの問題がございます。また、疾病類似したものとしては二硫化炭素などもございます。それで、一酸化炭素中毒特別立法を制定するという点からどのようなアプローチをするかという点について私どもいろいろ検討しておるわけでございますが、類似の他の職業及び石炭鉱業以外の他の産業では比較的少ないという現状にかんがみまして、一般産業についてどうするか、いろいろ問題がございますので、私ども一酸化炭素中毒患者の非常にお気の毒な状態については十分承知しているつもりでございますが、全産業の問題として扱います場合には、なお一段の検討を必要とするのじゃないかというふうな考えを持っております。しかしながら、さしあたり気の毒な三井三池の患者に対してどうするかという問題がございます。私どもしばしば関係労働組合とも接触を保ち、できるだけきめのこまかい措置を講じたい、それがためには、きわめて重度の患者から、比較的軽い患者がおるわけであります。そこで、長期療養保障の体制をどうするか、あるいは軽度の人の処置をどうするか、いろいろ疾病の度合いに応じまして対策を講ずる必要がある。そういう観点から、本年の十一月九日になりますと療養開始後三年の時期がまいりますけれども、なおなおらない方はどうするのかといった問題がございます。それを法律的な手段のみで解決するのか、やはり労使間の問題として善処できるものはないか、こういういろいろの面から検討しまして、実は一月の二十七日と承知いたしておりますが、関係労働組合の代表の方々とこの点をこまかく検討いたしまして、いま先生御指摘の、ことさらに退院さすとか、そういった措置について十分納得がいかないでやられているという点については、私どももはなはだ遺憾に存じまして、そのような場合の手続はどうするか、いきなり病院の所長さんと患者との話し合いにさすのか、そうでなくて、一度労働基準局で引き取りまして十分話をして、そうして話がつかない場合には、さらに一段上の専門医に判断を仰ぐとか、いろいろの手続につきましても一応了解点に達しまして今度具体的な処理に当たる、こういうような筋道で進んできております。問題の重要性は私どもも十分心得ておるつもりでございます。一般産業にも適用される一酸化炭素中毒特別法としてつくるにはどうしたらいいかという点については、なお検討さしていただきたい、かように存じておる次第でございます。
  26. 小野明

    小野明君 終わります。
  27. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 労働大臣お尋ねしますが、あなたの所信表明について二、三お尋ねしたいと思いますが、坑内の労働者の不足という、いわゆる労務者不足ですね、ここに「他面、一部の炭鉱において坑内労働者の不足という事態も見られるところであります。」と、こういうふうに載っておりますが、これは当然労務者不足ということはわかっておりますが、大体労務者が不足するということは、どういうわけで労務者が不足するのであるか、その点を労働大臣からお聞きをしておきたいと思います。
  28. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 炭鉱の労働者の不足はどうしてか、こういうお尋ねと思いますが、基本的には、石炭鉱業それ自体が、今日非常な苦境と申しますか、経営上いろいろの問題でお困りになっておられる、その安定性なり、あるいは発展性なり、そういう点でむしろお困りになっておられる、そういうことがまず第一にあげられるのではなかろうかと思います。さらに、その労働条件等につきましても、石炭鉱業が非常に盛んであったというときには、他の産業に比べましても、労働賃金を初めとする労働条件がむしろよろしい、優位にあった、それが今日では必ずしもそうではない状況に置かれている、あるいは地下産業でございますから、ましてや、ときどき相当規模災害を起こしておる、そういったようなことからする不安ということも当然考えられているであろうと存じます。まあ大体なぜ労働力が不足するかという原因は、その辺のところがおもな理由であろうと考えております。
  29. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  30. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。
  31. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、いま労働大臣の御説明で、なるほどそれは私らもそうだと思うのです。そんなことを、私が児戯にひとしいことをお尋ねしておるわけじゃないのですが、私のこのあれに対して答弁できますか、どなたでもあなた方……。それでは、労務者が不足するということはただいま大臣が大体概括的に、抽象的におっしゃいましたが、じゃあそういう原因に対して、重点的に労務者の不足に対する対策ですね、適切なる対策をどういうふうに立てられたか、具体的にひとつ承りたい。いま労働大臣説明したことに対する対策を具体的にどういうふうにやられたか。ただ第一次答申とか第二次答申とかということじゃなくて、そういうふうな答申のことばかり言わないで、あなた方自体がどういう対策を具体的に立て、どういう効果があがっておるか、その点を伺いたい。
  32. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 御指摘のように、労務者が不足をするという場面が出てきておりますが、これは御承知のように、一方で合理化で解雇をしながら、一方で足りなくなりつつあるという状態が昨年あたりから出ておりますが、これは根本的には石炭産業職場に対する魅力が薄くなってきたということが言えるかと思いますけれども、従来から、やはり石炭産業の労働者を十万なり十五万なり維持していくためには相当の出入りがあったわけでございます。最近二ヵ年間の状況を見ましても、三十九年度といいますと相当大幅な合理化をやっておった時代でございまするけれども、一方で二万八千七十人からの新規の雇い入れをやっております。それから、昨年も四月から十二月まで見ましても、一万七千二百六名の鉱員の雇い入れをやっておるわけです。こういった状態で、新規に募集をしていかなければ現在の十万ないし十一万の水準を維持できないという状態でありますることは御承知のとおりだと思いますが、これらの新規募集をどうやってやるかという点でございますが、私どもは、まず合理化解雇で解雇された離職者を優先的にビルド山へ復帰してもらうというふうな考え方で、現地を督励しながらこの離職者を再度ビルド山へ復帰する、再就職をはかる方向努力をいたしております。そのほか、会社側といたしましても、離職者の復帰だけでは足りませんので、縁故募集、あるいは許可を受けた直接募集というふうな形で新規に炭鉱労働者を雇い入れておりますが、昨年の下期について見ますと、直接募集で許可を受けて募集した人員が千九百三十五名というふうな実績が出ております。こういったふうに、まず合理化解雇によって離職した炭鉱労働者をビルド山へ復帰させる。それから、それでもなおかつ足りない場合に、募集方式によって募集していく、こういうことで今日までかろうじて必要最小限度の労働者の確保をやっておりますが、今後の問題といたしましては、石炭産業に対する魅力がないということになると、特に若年労働者、学校卒業したての労働者は炭鉱へきませんので、何としても労働条件、あるいは災害の防止というふうなこと、あるいは先ほど御指摘ありました今後の問題といたしましては特殊年金制度の確立というふうな、いろいろな手を打ちまして労働力の確保対策の万全を期していかなければ、合理化対策によって、ややもすれば雄山ムードが一昨年あたり相当出てきた実績もございますので、石炭産業を安定させるという前提のもとに各種の雇用条件を改善をしていくという方向で労務者確保の万全を期してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  33. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなたのお話を聞いておりますと、単なる労務者を確保するための方法論であって、一部具体的に優遇策もいまお話になっておりましたが、離職者昭和四十一年度は四十年度を若干下回る見通しである、これはスクラップがだんだん減ってくるのですから、合理化を早くやってしまったからこれは当然下回ると思いますが、四十年度の離職者と、それから今度四十一年度に見込んである年度末までのもの、その点どうなっておりますか。
  34. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 四十年度の十二月末までの実績は一万三千三百十名でございます。これに対しまして四十一年度の計画は一万三千三百名でございます。
  35. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体、局長なら、何十何人までわからぬでも、ほぼどのくらいまでわかっておらなければ失業対策の仕事はできぬじゃないですか。それで、あなた方が離職者に対する対策として、高能率炭鉱にお世話するとか、あるいは広域職業紹介を通じて再就職させるとか、あるいは職業訓練所に入所させる、まあさしあたりそういうことをやっていらっしゃるようでございますが、四十年度の職業訓練所に入所した方、つまり昨年一万三千三百十人の離職者が出て、それで職業訓練所に入所された方が何名で、そしてそれを就職をされた方が何名、あるいは全然職につかないで帰郷されたとか、そういう点についてひとつ具体的に説明してもらいたい。
  36. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) お答え申し上げます。四十年のおあげになりました炭鉱離職者は、三千五百八十一人が炭鉱離職者として訓練を受けられました。計画全体としては八千二百四十人でございます。なお、いま申しました三千五百八十一人が昨年の十月の終わりまでの入所者でございまするので、年度計画全体ではございませんから、その点はお含みをいただきたいと思います。この三千五百八十一人の方につきましては、まだ受けておられる方もありますので、はっきりいたしませんが、従来からの実績から申し上げますと、訓練を終了して就職が直ちにきまった方の実績は八三・一%でございます。それ以後、訓練終了時にはきまらなかったけれども安定所努力等によりまして、残りの大部分の方もそれぞれ就職をされているように承知いたしております。
  37. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは入所中は技能習得手当ですか、日額百五十円、それから、別居していわゆる寄宿している人は月に三千六百円という手当がある。通勤をしておる人は通勤手当がありますか。
  38. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 技能習得手当は四十年度は百円でございましたが、そのうち、三十円が通勤手当相当額でございます。一日三十円でございます。
  39. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうしたならば、通勤手当を三十円と、三十円ぐらいで往復する所というのは、それじゃあどこですか。今度は運賃も上がるが、そういう通勤手当の算定基準はどこから出しているのですか、通勤手当を三十円なんというのは。
  40. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 大体半年以上の訓練でございますと通学定期になりますので、非常に安い料金でまかなえます。大体従来通っておられます方の実績からいたしますと、通学定期を買っていただいて通勤可能な程度でございます。  なお、四十一年度につきましては、御存じのような国鉄の値上げもございますので、三十円相当を四十円ということにいたしておる次第でございます。
  41. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 定期券を買って、それで通勤手当が十分であるということになれば、なおまた私は現地をよく調べてみますが、この寄宿手当というのが月額三千六百円と、こういうことですが、三千六百円でめしが食えますか。
  42. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 訓練所にあります寄宿舎が徴収をいたします額が三千六百円でございますので、その全額を支給をするということにしておるわけでございます。
  43. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、それは全額でしょうが、三千六百円というその基準はどこから算定したんですか。それは一日に百二十円ですか。
  44. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 実際に一人当たり三千六百円よりは多少実は多く出ておると思いますが、ただし、本人から徴収する額は三千六百円でございますので、その分だけ支給をするということで、本人の負担は寄宿舎に入ったことによって一銭もかからない、こういう考え方でやらしていただいております。
  45. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、三千六百円というのは毎月徴収しておるのですか。あなたの説明はよくわからないんですがね。
  46. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 寄宿舎にお入りになりますと、月に三千六百円寄宿舎に入った方からいただくことになっております。で、その分を寄宿手当ということで私どものほうで支給していますから、そのもらったものを寄宿舎のほうに出していただきますと、御本人としての負担は一銭もかからない、こういうことになるわけでございます。
  47. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 じゃ、結局寄宿している者は一厘もやらないというわけだね。そうすると、自分の小づかいも全部すべてのことを自分でやれということだね。
  48. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 小づかいまで差し上げてございません。それは炭鉱離職者の場合ですと就職促進手当がございますから、それは小づかいを含む生活費になる。それから、寄宿舎に入るために特にかかるもの、それが三千六百円ですから、その分だけは別途支給をしておる、こういうことでございます。
  49. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、いまの話は、小づかいと言ったのはちょっとことばのあやだったが、いろんな訓練を受けるところの雑費というようなものは結局一厘も出さない、つまり教材費一切すべて出さないと、こういうことになるんだね。
  50. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 四十年度で申し上げますと、技能習得手当は、先生御存じのように百円でございまして、そのうち、三十円が通勤分、あとの七十円が文房具等でございまして……。
  51. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでやれということだね。
  52. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) そういうことでございます。
  53. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうしますと、職業訓練所で訓練を受けて、今度就職をする場合に地元就職をするような、それに見合ったような職業訓練、あるいは一般的に他県にでも就職のできるようなそういう職業訓練と、いろいろ種類はあると思うが、他県に就職をしておる人はどのくらいなパーセンテージになりますか、地元就職でなくして。
  54. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) いま資料を調べますので、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  55. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうすると、今度は安定所関係になると思うが、広域職業紹介で他県なんかに就職した場合に……。
  56. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 炭鉱離職の方だけの一般訓練所におきましては、三十九年の例を申し上げますと、千三百四十八人のうち、広域で出られた方が二百十八人、それから、総合訓練所のほうで申し上げますと、二千七百三十七人のうち、五百六十一人が広域で出ておられます。
  57. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうしますと、広域職業紹介によって他県に出られた、そういう人は安定所紹介で行くのだと思いますが、こういう方が、実際先方に行ってだいぶ帰ってきているんだ、また地元へ帰ってきているんだ、非常に約束が違うというわけだね。そういう場合に——安定局長来ていますか。安定所紹介をする場合に、事実その事業所を視察したり、あるいは事業所とはっきりそういう取りきめをやるのにタッチしておるか、あるいは向こうがその条件と同じ条件ではっきり採用しておるかどうか、そういうところを確かめておりますか。
  58. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 広域職業紹介をやる場合にはその点が一番大事なことでございますので、私ども安定機関としましては、その点は明確に確認をいたしてやっております。
  59. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 確認しておっても、話が違って、実際の自分の収入と、それから先方の言った収入と、これは自分の手取りの場合と話が違う、あるいは向こうには住宅があると言ったが、行ってみたところがないと、そういうように話が違って帰ってきている人がたくさんあるのですよ。そういう実態は、それは本省におって安定局長あたりが号令をかけて——こういうことはあなた号令かけておるかどうか知らぬが、実際現地においてそういう事実があるのですがね。そういうときに安定所が私は事務的にやっているのじゃないかと思うが、ほんとうに再就職の親切な気持ちでやっているのか、そういう点の実態をあなた方はもう少し把握しておるかどうかということなんです。
  60. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) これは需要地と供給地との連絡を非常に密接にやっておりますので、再就職の条件について、特に賃金条件、あるいは住宅という大事なところが食い違っているというふうなことは、まずないというふうに私どもは考えておりますけれども、現実に再就職をした者が一年以内にどの程度やめておるかという調査をやっておりますが、約八%ほどさらに離職をいたしております。したがいまして、この離職の事由についてはいろいろございまするけれども賃金が違っておった、あるいは住宅関係が話と違っておるというような点はほとんどないように私どもは考えておりまするが、まあ住宅の問題で、一年以内に社宅を用意するというようなのが、多少一年か一年半に延びると、そういったところが若干あるかと思いますが、私どもは、離職者用の宿舎については、一年を経過いたしましても、社宅なりあるいは公営宿舎なりが用意されるまでは立ちのいてもらうというふうなことはいたしませんので、住宅の問題についてもほとんど食い違いはないというふうに考えておるのでございます。
  61. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなたはまことに自信満々だが、実際現地においてはそういうことがままあるのだから、その点はなお厳重に今後ひとつ末端の出先機関に対して適切な指導を願いたいと思う。  いまの労研者不足の問題から、私、続いてお尋ねしたいと思うのですが、現在全国に炭鉱労研者のいわゆる組夫という人が何名いるのでございますか。
  62. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 十二月末現在で、いわゆる組夫というのが一万八千三百三十三人ございます。
  63. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これに対して、いつだったか、新聞で、組夫の実態調査、それから、組夫に対する措置労働省でいろいろ考究中だと、そういう新聞記事も私は見たことがあるのですが、組夫に対してはあなた方どういうお考えを持っていらっしゃるのか。組局労務者が不足しておる、ところが、石炭鉱業調査団においては五千五百万トン掘れと言っているが、労務者は足らない。答申では十二万を確保しなければならぬというのに、実際は十万を出たか出ないかで、勢い組夫でもどんどんこれを使っていく。そうしまするというと、これはいろいろな観点から、あるいは保安上の問題その他の問題もいわれておるわけですが、組夫がおるからこういうことになるのだと、それは全体じゃありませんけれども、その一部だと、一因だと、こういうこともいわれておる。そうしてああいう大災害が起こった場合に、組夫に対して十分なる手当て、処置ができないと、こういう状態。しかも、組夫でも使って出炭目標は果たさなきゃならぬ、勢い強制労働も生まれてくる、保安の問題も生じてくる、いろいろな問題で、私はこれは連鎖反応でそういうことになってくるのじゃないかと思うが、まず、その一番大事なことは、組夫をどういう位置に格付けするか、そうして万一の場合には組夫に対しても十分なる手当てをしてあげなきゃならないとか、そういう点において具体的にどういうあなた方は処置をとられておるか、どういうふうにあなた方は考えておられるか、考えておられるじゃない、どういうことを実際にいまやっておられるか、その点をひとつお聞きしたい。
  64. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) ただいま先生御指摘の、組夫の調査等について新聞で見たことがあるという御指摘の点は、おそらく昨年五月の時点をとらえまして、労働基準局で一斉に組夫の実態を調査したことがございまして、九月に新聞発表いたしております。おそらくその資料ではないかと存じます。この全国一斉の組夫の実態調査をいたしました結果、たとえば坑外、坑内それぞれに従事する事業場の数、大手、中小双方における組夫に対する依存率、つまり本鉱員に対する組夫の占める労務比率といったようなものから、労働時間その他の調査を終えたわけでございます。もともと組夫の使用につきましては、石炭鉱業における臨時的な労働である、本来の採炭作業でなく、臨時の仕事につきまして紀夫を使用するという方針が通産省で定められておりまして、そういった点から組夫の使用がなされているということを労働省といたしましても承知いたしているわけでございます。何ぶんにも、先ほど職業安定局長からお答え申し上げましたとおり、二万になんなんとする組夫が使用されているわけでございまして、労働関係、その他いろいろな点にわたりまして、今後検討を要する点が多々あると思いますが、最も基本的な問題としては、いわゆる組夫の勤続年数と申しますか、むしろ勤続年数以下の、つまり一年以下の移動率の労働者がはなはだ多くて、約六〇%に達しようとしているというような状態から考えまして、いわゆる労務管理の適正化がはかれるかどうかといったような点に労働省としては深甚なる関心を持っているわけでございます。直接の保安に関する問題については通産省で所管されているわけでございますが、私ども賃金その他の労働条件の確保及び労務管理一般の問題につきまして、どうしてこれを適正に行なうかという問題につきましては、先ほど申し上げました全国の一斉調査の資料をもとにいたしまして、それぞれ個別的な内容を考えまして、第一線の労働基準監督機関が監督をいたします場合の重点というものを定めまして、それに従って監督させているというような状況でございます。
  65. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは昨年の五月であったか六月であったか、私はいま知りませんが、あなた方は、こういうふうに考えております、努力しております、さようにいたしたいと思っておりますということばかりで、いつまでたっても、その間は、組夫の方はそういう悪条件のもとにおいて、労働条件の確保とか、労働条件を改善するとかということをあなた方おっしゃっておるけれども、組夫は正規の鉱員と差別して、そのままその間見殺しにしていると、こういうふうに解釈していいですか。
  66. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 調査の結果、私どもが把握いたしましたのは、たとえば労働時間については、元方事業場の労働者より労働時間は短い、時間外労働も少ない。ただ、反面、賃金の面におきましては、元方の労務者よりも賃金が低いとか、いろいろ個別的に労働条件の差というものを、石炭会社の本来の労務者の場合と比較いたしまして、一応状態をつかんだようなわけであります。でありますから、見殺しにするかという仰せでございますが、一応私どもつかみました事実の上に立ちまして、いわゆる労働基準法違反があるかどうかという観点から、法定基準にはずれるというようなものについてはもちろん監督を加えまして、是正させるということで処理してまいりたいと存じます。
  67. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは、さなきだに炭鉱労務者は今日の社会からもう見放されているんだ、まことに悲惨な条件のもとに働いておられる。しかも、石炭の調査団の答申によって五千五百万トンは掘れと、労務者が足らないと、だから組夫をどんどん働かしていこうと、それで、ただいまあなたのお話のように、採炭には従事させないと、だけれども、事実は採炭をやったり、あるいは坑内の最も危険な切り羽なんかでやっておる。だから山野炭鉱災害のような状態、あの場合なんかは大半が組夫である。事実はあなた方のおっしゃることとは相違しておる。しかも、労務管理は十分にやるんだとおっしゃっているけれども、何の労務管理もできていない、そういう点が私は非常に遺憾に思うんですよ。それは通産大臣であろうが労働大臣であろうが、口ではうまいことをおっしゃるけれども、実際現実的には想像もできないようなそごしたことばかりやっておる。それで、これは一般的に言えることでございますけれども、労働条件の確保だとか、あるいは環境の改善整備だとか、安全確保のためにこうやるんだと、保安はこうするんだと、年金制度も設けるんだと、いろいろなことをおっしゃっているが、すぐ何かというと、それは通産省だと、何かというと、それは労働省だと、なるほど一応そういうことであるかもしれませんが、であったならば、あなた方が通産省とこういう点は相議すべきものだと、なるほど災害のときなんかは労働省から通産大臣あてに勧告が出ております。それは私も拝見しております。しかし、単なる勧告の一通牒だけで事終われりとするのでなくて、いやしくも今日の炭鉱産業に対して、通産省労働省が互いに有機的に密接な関係のもとにどういう点をあなた方が相議され、どういう点を通産省と話し合ってやられておるのか。今日まで具体的に通産省と話し合われた点を少しあったら承りたい。
  68. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 先生御指摘のように、昨年も、遺憾なことですけれども北炭夕張とか伊王島とか山野で事故がございました。そういった点につきましては、御指摘の点は、法的に定められました方法としましては、これを勧告というふうな形で労働省の考えておりますことを通産省に申し上げておるわけでありますが、ただ一片の文書にとどまるのかという点につきましては、その勧告申し上げました内容がどのように具体化されておるかという点については、随時連絡をとっておるわけであります。ことに私どもの最大の問題といたしておりますのは、現地の出先機関が絶えず連絡をとりまして、いわば総合的な監督をなす、つまり通産省におかれましては鉱山保安の観点からいろいろされますが、先ほど私が申し上げましたように、労働基準法上の問題としまして、労働時間、賃金その他の問題がございますので、出先において十分本省の意図を体して、一体的にひとつ石炭鉱業に対する監督指導を行なうということでなければならないというふうに考えております。で、大きな問題としては勧告といったような方式を用い、それから、具体的な問題については個々の行政指導のやり方といったような点につきましても、鉱山保安局その他と連絡をいたしましてやっておるようなわけでございます。
  69. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 ここにまあ通産大臣もお見えになっておるが、いやしくも石炭産業に対しては超党派的でこれが促進、振興に御努力を願いたい、御協力願いたいと、こうおっしゃっておる。まことにごもっともなことでありますが、皆さん方はそういうふうにおっしゃっておるが、事実はこれは通産省だ、これは労働省だ、いかにもなわ張り争いみたような、通産省関係したことであったらわれわれは手をこまねいて見ておるというような態度でなくして、もう少し二にして一、互いにいまの局長お話のように、一体となって私はこれをやっていただかないというと、とうていこの石炭産業の振興というようなことはおぼつかないと思うのです。でございますから、石炭鉱業に働くところの労働者の労働条件の確保ということに対しては、あらゆる観点から、その所管事項が通産省にあろうがなかろうが、もう少し思い切ってあなた方が積極的に労働条件の確保ということに私は意を用いていただかなければ、実態は非常に悪いのです。あなた方のお考えのような状態じゃないのです。先日も私は石炭特別委員会の視察で長崎県下、あるいは福岡県下を回りましたが、実態はあなた方の想像以上なんだ。ここにいらっしゃる方はもうほとんど九州関係で、私ら地元のものでございますが、朝な夕なそういう悲惨な状態を見ておるのだ。だから、何もあなた方をことさらに私はいじめるわけでも何でもないのですけれども大臣もそうおっしゃっておるのだから、超党派で諸君やってくれとわれわれにおっしゃっておる。それを執行部のあなた方がもう少しそういう点をはっきりしてもらわないと、そういうことがあっちゃなりませんけれども、またもし万一炭鉱災害でもあった場合に、その大半は組夫であったなんということになるととんでもないことになる。それは正式な鉱員の方であってもとんでもないことでございますけれども、そういう点を、組夫のあり方ということに対して、一日も早く同じ条件で同じ場所で、同じことをやらして同じ賃金でやるなら私は問題ないと思うが、事実差別しているし、仕事はむしろ重いことをやらしている、そういう矛盾したことがあるのです。そうして労務管理は十分に行き届いておるなんと、そういうことは私は納得できない。十分その点はひとつ局長に御努力願いたいと思うのです。どうです、あなた答弁どうですか。
  70. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 先生御指摘の組夫の問題につきましては、私どもも十分問題がありますことを承知いたしております。ただ、こう申しますとおしかりをいただくかもしれませんが、組夫の使用そのものは、御承知のように、許可というような手続を経てなされておるわけでございます。したがいまして、そういった組夫の使用をどうするかなどの問題につきましては、労働基準局長としてお答え申し上げるのはいかがかという面もございますので、私ども担当いたしております分野におきましては、今後極力努力いたしたいと存じておりますけれども、その点についての答弁は、ひとつ差し控えさしていただきたいと思います。
  71. 藤田進

    ○藤田進君 議事進行。速記をちょっととめて。
  72. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  73. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。
  74. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いまの点について保安局長はどういうふうにお考えになっていますか。
  75. 森五郎

    政府委員(森五郎君) いまの組夫の使用につきましては、先生御承知のように、特殊な、あるいは臨時的な仕事に従事させるという意味で、合理化法の許可と保安法に基づく届出ということをやっておるわけであります。それの保安の確保についてでございますが、これにつきましては、先生御指摘のように、非常に組夫についてはいろいろ問題がある。したがいまして、われわれといたしましては、たとえばハッパをかけるときなんかも、組の係員というのがおりますが、それとその山の係員と両方ダブルチェックをやるというようなことで、組夫の作業に関する保安の確保については十分擁護をしていきたい、こういうふうに考えております。それは具体的には総合監督とか、あるいは巡回監督とかいう際に、十分にそういう点を監督してまいりたいというふうに考えております。  以上、お答え申し上げます。
  76. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは私の質問はこれで終わります。
  77. 藤田進

    ○藤田進君 先般の通産大臣の所信表明なり、それから、四十年十月六日の石炭鉱業審議会の中間答申、これを受けて十二月十七日に閣議決定ということで、閣議は、非常に短い文でありますが、対策を出されておるわけですが、時間もないようですから、本日は総括的にお伺いをしてみたいと思います。  端的にお伺いしますが、四十一年度予算の石炭局分、あるいは労働省その他の省分を含めて二百八十億余、石炭局分が約二百億、こうなっているわけですが、これで少なくとも四十一年度は何とか石炭産業は切り抜けてやっていけるということになりますか。
  78. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これはやはり何とか切り抜けてやっていけるということ、こういうことで予算編成を妥結したわけですが、金融問題というものはやっぱりまだ残っていると思います。しかし、そのほかの点では、十分とはいきませんが、何とかこれで抜本策が出るまでの間はつないでいこうという考えでございます。
  79. 藤田進

    ○藤田進君 さて、そこで表現にとらわれるわけではないが、予算委員会、衆議院においてもそうですし、当院においても、それから所信表明でも、それから中間報告、その他一連のもので「抜本的」というのが所々に出てきておりますね。これだけくどく出されている以上、何かどうも抜本策というものがあって、その間はいまの予算で、あるいは施策でやっていけるという——やっていけるいけないの点についてはわれわれは意見を異にいたしますけれども、所管大臣としてはそういうお気持ちのようですが、抜本策ということで、内容はまだ何もないわけですね、中間報告などを見ても。これは何かありそうなようにも思うんです。ところが、中間報告を読んでみても、その抜本策というものが、要するに私企業の経営の安定ということだから、個別の安定策もとろうといったようなことが出てきておる。とすれば、抜本的というものについても、六月答申を出そうかということのようですが、これを目途にする、審議会は審議会として。通産大臣とされては、抜本的というのは、要約すればどういうものを期待されておりますか。
  80. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは、結局は一つの問題点は異常債務の問題です。合理化を急速にやったので異常な債務が累積して、やはりこの負担というものが非常な重圧になっておる。これの財政の肩がわりというようなことが一つの柱です。石炭の過去の異常債務を何とかやっぱり処理したい。  その次には、これはある期間、石炭がいろいろな重油等の影響を受けても、そのために石炭がやっていけないようなことにならないように、異常債務をある程度肩がわりした後においても経営が安定していけるような方法、これをやっぱり考究したい、こういう前の異常債務と将来の経営に対する——ここで何十年も先というふうなことにはいかぬでしょうが、ある期間でやっていける解決策を見出したいというのが抜本策というものの一つの基礎になっているという考えであります。
  81. 藤田進

    ○藤田進君 それも一つ方法でしょうが、私も先進地域、後進地域の石炭産業の動態等を調べ、それから、前国会でかなり多数のバランスシートも提供していただいて、いろいろ検討を、相当期間かかりましたが、私もやってみた。しかし、このバランスシートは包括的に見ればつくりごとで、これは何の役にも立たなかった。全くのつくりごと、それはありありと出ている。専門家に見せてもわかる。そこで、過去の累積赤字というものの補てん、これに対しては利子補給するなりということだけで相当背負い切れない荷物になる、おろすことはできるでしょうけれども。石炭産業というものは、所信にもあるように、エネルギー革命の渦中にあるのだと規定しているんですね、通産大臣は。この革命というのは池田さんが使って、中小企業の革命とか、農業生産革命とかですね、そうして問題を起こしたわけで、特に保守党としてはなかなか使いがたいことばであったものがここに要約されて出てきているわけです。そこで、エネルギー革命の渦中にあるのだという認識が問題であって、そうして累積赤字を補てんするという、そういったことはまだまだこれは先になるんじゃないだろうか。先ほど来言われていた労務対策、出炭量の確保ということが問題であり、そのことは、むろん財政上個別企業の経理上の問題もありましょうが、他面、労働力の確保に非常に困難を来たす。同時に、また、離職者対策というので予算を組まなければならぬ、これは矛盾ですね。離職者対策に金を出して、ところが、一方、山では人が足りない、特に若年労働というか、質のいいものがむずかしい。そして一方、エネルギーとしての石炭の位置づけというものは、これは今後出すのだそうです。これは総合エネルギー調査会で出すことになりましょう。しかし、だれがどこの機関でやってみても、これはなかなか簡単ではない。そこで、財政資金をはじめ、経営一連のことを考えてみますと、もう私企業としての限界性がきているんじゃないだろうか。これはイタリアの場合を私は書物にも出しておきましたが、資本主義の政策をとっているところでも、各国の石炭事情を見てわかるのですが、これはもうどこの国でも石炭対策については苦悩しておりますね。そこで、三木通産大臣は就任された直後、いま資料を持っておりませんが、石炭企業については、私企業ではどうもいかがかと思うような御発言をすでにされているのです。あなたのもし進歩的政策があれば、言わなければおかしいのです。あなたの研究所等においてもいろいろ私は聞いておる。私企業に対して資本主義政策をとっていく。しかし、これに対して、造船もそうですね、利子補給がある。午前中も問題になったような繊維産業、私のところでも、数日前に繊維局にも来てもらい、研究会を持ちました。それから、労使にも来てもらった。こう考えてくると、ちょうど石炭と同じようだと言っているのですよ、やはり通産省方々は。しかし、ここで申し上げたいと思うのは、そんなに拡大して申し上げようとは思いませんが、いやしくも国家財政が出動する、あるいは利子補給をする、これも当面の脱却のために呼び水にというようなことで、過去に例があります。しかし、二百八十億に余るもの、さらに抜本的にという中身を聞けば、大体期待されているものは過去の累積赤字だ、借金だ、こうなってくれば、しかも、それで立ち上がって、私企業としての石炭産業がいつか国民に還元されてくるという可能性と保証があるかと言えば、それはない。いまここに並んでおられる社会党の委員は全員がメンバーですけれども社会党としてはどうするか。与党とか野党とかイデオロギーとか、そういったことよりも、どうすべきかということの結論としては、すでに党大会でも確認をされて、石炭の国有化要綱をさめたわけです。まだまだ不備です。不備ですが、ある意味では、もう私企業としての限界性をこえてきている。そうして弱い層、つまり労働者にはいわゆる炭鉱災害がある。まあこれは最大のものですけれども、こういうように所々にあらわれているものは、いまの石炭の私企業というものでは、もうどうにもならないということで、このことは財政出動でもうはっきりしているし、これはだんだんふえてきておりますね。そうなれば、ここらあたりで経営形態というものについて、すでにあるこの産業をつぶすわけにはいかない、国の重要な産業であるということであり、それから、また、同時に、これを再建していかなきゃならぬ。それには個別企業の資本、資金ではどうにもならぬということが国有化への成熟というか、熟し切っている。もうかってしかたがないということでも国有化されている例はたくさん各国にあります。日本でも砂糖がどうとか、いろいろ問題になります。そのようなことは時間がないので何ですが、私が申し上げるまでもなく、釈迦に説法ですけれども、抜本的ということは、その辺について審議会なり、審議調査をいたします議会なり、いわんや、執行権を持たれる政府においてお考えになりませんと、行き当たりばったりでやっていると、結局他産業に大きな影響力を及ぼす石炭ですから、これはたいへんなことになる。いますぐにどうするという御答弁はむずかしいでしょうけれども、石炭問題については、私は、相当前にすでに予算委員会でも触れたわけですが、もう私が予見したとおりになってきておりますね。したがって、二つの点ですが、エネルギー革命という認識——どういうふうに石炭の位置づけをするかはまだ審議会でもできていないわけですけれども、このエネルギーの革命的なということは、私は私なりに持ちますけれども、どういう御所信からであろうか。  それから、第二の点は、いま申し上げた私企業としての限界性についてはどうお考えだろうか。そういう施策を累年重ねてまいりましても、これはいかんともしがたい。こうなれば、中間答申の最後の五ですね、こう画期的な助成策を実施いたしますと、ここにも指摘しておるとおり、「監督を一層強化する」、それから「行政体制の充実を図る」といったようなことになり、会計経理等の監査は相当きつくおやりにならなければいかぬでしょう。しかし、私企業でそういう会計経理の監督を、まあ会計検査院を例にとれば、ああいった非常にシビアーにやることは、営業というものはなかなか非常に複雑なものですから、むずかしい。これは非常に疲弊産業、斜陽産業と言われているけれども、案外意外な、一見むだな金が出ているかもしれませんよ。そういうわけで、会計の非常な強化、これは「行政体制の充実」といっておりますが、こうなってきますと、私企業とは名ばかりであって、私企業の妙味というものは出ない、全く中途半端なものになるのですね。そういう例はほかの国でもあります。結局は国有化している。ですから、そういういわば企業形態ということについても、それはもう国有化がいいのか、公団、公社がいいのか、最近はまた資本主義がくずれんとするつっかい棒として、戦後やたらに公団、事業団、特殊会社が出てきましたが、この一連の政策の経過から見ますと、石炭がそういうことの論議が政府部内でもあるのかどうか知らないが、表面には何ら出てこない。これはふしぎでなりません。総括の第一として、以上二つの点を、速記があって困ればなくてもいいです。私は、速記をとってあなたから言質を取ろうと、そんな根性じゃおりませんからね。
  82. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 一つのエネルギー革命——保守党は「革命」ということばはあまりきらいなので、あえて使う理由はどういうことだって……。
  83. 藤田進

    ○藤田進君 そこがポイントじゃない。
  84. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そういうことでしたら、「革命」ということばを使うくらいのエネルギーというものは非常なやはり変化が起こってきておるわけです。それは第一番には、重油はこんなに値段が低廉になって、そうして石炭との競争上、非常にこんないい状態になるとは考えなかった。そういう点で、しかも、また、原子力時代というものも、案外にやはりいまキロ三円を割ると皆言われておるのですが、また原子力時代というものは案外日本の場合はよそよりも早く来ないとも限らない。そういう一連のエネルギーの変遷というものを考えてみたら、ほかのものはもっとやはり時間があるですね。こんなに急激に変化が来るということは、まさに「革命」ということばを使ってもオーバーじゃない。これはやはり問題の中心は、重油がこんなに安くなって、石炭よりも非常に有利な地位を占めているということから石炭というものがこういう苦況に立ち至った。そこで、抜本策、私は藤田君の言うことを否定しないのですよ、そういう立場はあり得る。企業形態について、これは私企業といっても、なかなかこれだけの政府がいろいろ財政的な肩がわりをするとすれば、私企業的な自由に何でもできるというわけでもないですから、やはり監督を強化しなければならないわけですから、だから、純然たる私企業としての普通の何でも国の助成を受けてないような私企業のようなわけにはいかない。また、国民の側としても、これだけのやはり国が財政的にいろいろめんどうをみた場合に、国の監督機構が当然になければおかしな片手落ちになる。そういう点であなたの考えは私は否定しようとは思いません。そういう立場はあり得る。しかし、まあ私どもがやろうとしておるのは、この間の十二月の中間答申にも、私企業としての基盤を強化していきたいということで十二月の中間答申も出されたわけですから、われわれとしても、私企業といっても、ほかのような私企業とは形が違うけれども、あるいは場合によったら抜本策のときには立法的な処置というものも私はいいかもしれぬ、これは。しかし、そういうことを考えてみると、普通の私企業とは違うけれども、まあわれわれの考えでは、私企業として、いわゆる所有権を国に移転しないで、やはり所有権は企業に持たしながら監督も強化していって、そういう点ではやることはやるけれども、基盤としては私企業の基盤でやっていこう、こういうのであります。だから、それは間違っているとは私は申し上げません。藤田さんのそういう意見もあり得るだろう。しかし、われわれは、一つのやはり私企業としてこれを盛り立てていきたいというのが当面の考え方でございます。
  85. 藤田進

    ○藤田進君 これは岸さんのときから池田さんのほとんど後半までは、日本のエネルギーのベースは何かと私は本会議でも特に尋ねた。石炭をエネルギーのベースとしますということでしたが、池田さんが去られる直前ころは、予算委員会で聞いたときに、石炭はすでにエネルギーの中心ベースではないと変わってきたわけですね。私の地元に松永というところがありますが、木履産業、げたの産業なんです。これが戦後急激に靴だとかビニールサンダルとかというように変わってきて、あそこの転業ということが、いまでもそうですが、問題になっております。あるいは岐阜ではじゃの目がさが、こうもりにかわってきた。これはすぐ国営にしろとか、法律をつくって、げたを何足持たなければいかぬとか、そんなことができるものでもないわけで、しかし、この石炭産業はまだまだ依存度が高いです。そうして御指摘のように、まさに革命だ、液体燃料に変わるとか、あるいは原子力に変わるかもしれない。そういう予想推定というものがあり、天然資源としての埋蔵量から見れば、まだ石油が多いのじゃないかと言うが、これもまあ不安定な燃料でもありますが、これは日本の現有設備等から見れば、石炭産業はそんならほうっておけばいいというものではありません。ですから、一連の産炭地振興とか何とかということのみならず、やはり、抜本的な石炭についての国の政策というものは捨てるわけにはいかないですね。そう考えると、そういう立場もあるが、自分のほうは私企業ベースでいこう、そうして要すれば立法措置も、これは監督の強化、特に財政、会計経理の監督油化ということしかないでしょう。これは私は、私企業とそういう監督の強化ということになりますれば、必ず経理の裏操作が出て、現在でも相当裏支出——私の見た限りではまともな経理じゃないと思っております。まだまだありますがね、これはとても得策じゃありません。これは自民党だからどうとかということじゃなくて、その辺のことが立法府なり行政府で出てこなければ国民に対して申しわけないと思うのですが、このままお続けになって、三木さんもやがて総理になると私は尋ねたくなるでしょうが、これは行き詰まりですよ。赤字の累積を何とかするというだけでどうにかなるというもう産業ではなくなっております。国有になれば無から有が生じて、合理化も進み、金も要らなくなる、国の歳入を黒字にして大蔵大臣が喜ぶ、そんなようなふうには考えません。離職者対策、つまりやめた人のいまの労働力の質と量を確保するということも、およそあれじゃないですか、人のことは知らないが、子供だけはおれのような炭鉱には入れない、おそらく親の気持ちはそうじゃないですか。なぜならば、非常に危険度が高い、そうしてどこへ就職するにしても、聞いてみると、あれはいつ倒れるかわからない、たいへんな借金しているそうだ、首切りとなれば何の補償もないというように、環境もよろしくない、こういうわけですから、なかなかこれは賃金のベースを上げるなり厚生施設なり、その他やるとしましても、まだまだ飛びつくほどの魅力のない産業でもあるわけですから、私は、三木通産大臣のときに、いま四十二年度あたりからとか、そんなことは言わないにしても、政府としては、審議会をつくられてしておるのですから、抜本的なという考えには、そういった面は、私は一つの立場はあるというようなことではなしにメスを入れてみて、どうもやはり比較検討の結果、私企業ベースがいいということになればいざ知らず、ただ漫然と惰性に乗ってこういかれたのでは問題があるのじゃないかと思うのです。ことし二百円かなんか、炭価は上がりませんか。これでやっていかれるというわけですが、炭価は三百円去年上がったわけですが、上げなくても二百八十億の措置で四十一年度いける、また上げないということが言い切れますか、来年。
  86. 井上亮

    政府委員(井上亮君) 先生御指摘のように、石炭鉱業の経理の状況はきわめて困難な情勢でございますので、経営につきましてはさらに相当な国の助成が必要になってまいると思います。先ほど御指摘予算等につきましても、利子補給をはじめ、近代化資金の貸し付けとか、いろいろな制度をやっているわけでございますが、本年度は、大臣もお答えになりましたように、今後の長期の安定対策ができますまでのつなぎとしましては、一応金融面について問題が残るかと思いますが、何とかやるのではないかと思っておりますが、ただ、コスト面を見ますと、なお相当部分の企業につきまして相当大幅な赤字が出るのではないか。したがいまして、これを普通の経済ベースの考え方で見ますならば、やはり企業収支を償うような価格形成が必要だ、ほしい、石炭サイドから見ますとそういう考え方がある。したがいまして、普通なら、石炭サイドから見れば値上げを必要とするようなコスト状況だと思います。ただし、現実では、それでは炭価引き上げをやるかと言えば、これはやはり石炭を売らなければなりません。そうなりますと需要部門との関係が生じてまいります。先ほど来御指摘のように、相当きびしいエネルギー革命の渦中にありますし、一方、石炭の対抗エネルギーである重油の値段は、やはり相当石炭に比べますと割安であるというような事情もありますので、軽々に炭価の値上げは私はできないと思います。むしろ値上げをするかわりに、それにかわって石炭産業の合理化、これは企業みずからの努力、労使の努力ということになろうと思います。それとやはり国の助成策というもので対処していく以外にないのではないかというふうに考えております。
  87. 藤田進

    ○藤田進君 これは石炭局長、三百円のときに参考人を呼びまして、桜内さんのときだったけれども、ぼくはだいぶやって、あなたは来年は上げなければならないようなことを言い出して、参考人もうしろのほうから不規則発言を出したりして、おれは五百円だと言ったのだが、めちゃくちゃに三百円にされてしまったと言い出したような幕があったわけですが、結局、大臣、石炭局長は三百円にしていただけば上げることはないのだということを、速記録を見なさい、結局言ってしまったことになる。うそを言ったことになるのだがね。政策的に物価全体の考えが政府にあるとすれば、そういった政策料金炭価として考慮されるかもしれないが、いみじくもいま出たように、財政面の援助、補助なり、それから、もう一つは労使の努力なり何なりということだから、結局労働力をここにいい質のものを、量も必要限度まではという、その雇用対策ということだってこれはくずれてくると思うのです。ですから、やはり私はここらで根本的、抜本的というものが、そうとらわれないで、企業経営者、社長さん方が大ぜいお集まりになったときに、どうなんですか、ほんとうに国家の産業を思えば、もう私企業としてはひとつ返上いたしましょうというところではないか。いや、われわれはこれは手放すわけにはいかぬと言うのです、もうはっきり。そう言うのならば、民の声ならば、通産大臣も私企業でやらせようということになったのかもしれませんけれども、私はその辺がどうも理解できない。全日空が落ちた、今度は飛行機のほうを合併していこうと、すぐ企業形態論に入ってしまう。造船産業はどうだと言えば、三菱重工業の合併、それから自動車では日産とプリンスの合併をやった。ところが、石炭のほうについては、これほど数があり、企業内容も千差万別ですね。そういういわばまことに放置できない状態なのに企業形態論というのが出てこないのみか、現状を維持していこうということが、なぜそう言わなければならないか、腹の底を聞きたいです。企業経営者がそう言えば、それならばおやりください、出炭量を確保してくれよということで投げ出してごらんなさい、それはやり切れぬですよ。ですから、いろいろな意味で、政治的にも、また、経営的にも、もう成熟し切っているのですよ。私はそう思うのです。過去のほかの産業から見てもそうです。なぜ私企業にしなければならないのですか。なぜでしょうか、お答えいただきたい。
  88. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) どうもわれわれのの考え藤田さんと違うのか知らぬが産業の国有化というものに対して、あまりそう国有化というものに対しては、かなり消極的な意見なんです。私もそうです。日本の場合、国有化というもので産業を国有化して、それが非常に能率よくうまくいくだろうかという危惧の念をわれわれも全般的にも持っている。まあしかし、石炭の場合は、これは私企業といったって、突き放せば自分でやっていけぬじゃないかという藤田さんの立場はわかるのですよ、これは。ただ、全般的な政策として、国有化にこれは非常に消極的である。まあやむを得ないものに対してはそれはそういう政策も必要でしょうが、できるだけ国有化はしたくない、私企業の形態でやりたいというのが自民党の基本的な立場です。石炭の場合はいま言ったような面もあるのですが、どうもそんな現状というものを、国有化ということに踏み切って、そうしてこの石炭の問題が解決できるかというと、やはり問題としては、国有の形式であろうが私企業であろうが、やはり解決せんならぬ問題というものは一ぱいあるのじゃないか。これが国有化したら、それならばこの赤字は一体どうなるか。これからも、いま言われたように、ある程度の出炭を確保して、それの安定的なやはり供給を考えていかなければならぬですから、そういうものは一体国有化という一つの企業形態の変更だけで解決できるかというと、必ずしもそうじゃないのじゃないか。だから、今度おそらく、まあ抜本というのは、藤田さんの言われるように、あまり使い過ぎるくらい使っていますが、われわれもいろいろ抜本抜本と、こう言うのですけれども、そういうことばを使ってあるというのは、ひとつここでやはり根本的な対策を考えてみる。ただ累積の赤字を肩がわりというだけではないのですよ。われわれが石炭局長にも督励して言っていることは、相当年数を入れたという改革案を出そうじゃないか。ここでやってみて、そうして私企業としてやってみて、それは私企業の中身というものはだいぶ違ってくるわけでしょうが、やってみて、そうしてもう少し安定した産業として石炭を持っていけぬかということが現在の考え方です。どうも一ぺんなぜやらぬか、もう国有化するような段階じゃないかといういまのお話ですけれども、あまり国有化という企業形態の変更だけで問題は解決できぬではないかという感じがあって、それが一つと、もう一つは、どうも自民党は国有化政策というものにはあまりなじんだ考えを持っていない。日本ではどうもうまくいかぬのではないかという感じ、これがやはり石炭の場合においても私企業として育てていこうというのがものの考え方の基礎です。それと、もう一つは、いま言われたように、産業界自体にも一つも起こってこないのですよ、寄ってみても。
  89. 藤田進

    ○藤田進君 うまみがあるからですよ。
  90. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) うまみでもないのでしょうがね。これはうまみというよりも、石炭の経営者というのはいまたいへんでしょうが、これを何か企業形態を変えようじゃないかという論議を私にした者は一人もない。そういうことも一つ政府考え方の中には、あまり民間がそういう何も意見が起こってこないのに企業形態の変更ということにちゅうちょする一つ原因になっているのです。こういうものがいろいろ組み合わさって私企業として育っていくというものの考え方の基本になっておるのであります。
  91. 藤田進

    ○藤田進君 いまの御説明は、どうも理解しがたいのは、もう三十に余る公社、公団、特殊会社でしょう。自民党内閣でこれはできている。その辺はおやりになって、石炭に関する限りは、これだけの財政が出ているのに、また、将来、累積赤字、これは大きいですね。肩がわりしようというのに、私企業というもので、日本の中でほかにこれに比較して大体同じような産業があったらひとつ教えていただきたい。  それから、その論を進める一環としてぜひお伺いしたいのですが、所信にもあるように、石炭鉱業の構造的な危機だという、いまの不景気は構造不況だという。自民党のほうはいつも構造ということを言われるのですけれども、これはいろいろな角度から見て、あなた方が構造的と言うその構造、この場合は石炭の構造危機ですね、これをひとつわかりやすく内容を示してもらいたい。構造的危機だというのに、その対策というものが、全然これも構造的危機とはかけ離れたものが、どうも所信に具体化されている一からずっと五まで書いてあるもの、また、石炭鉱業審議会中間報告、これなどを見ても、さっぱりそれとのつながりが出てこないのです。われわれの理解する構造的というものと少し違うのじゃないかという疑問があるのです。はたして構造的危機というのは、しかじかかくかくを称してこれを構造的というというものを聞いてみなければわかりません。
  92. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは先ほど藤田さんも言われたように、われわれの記憶にも新たなように、炭主油従政策ということで、石炭が基礎であると池田さん自身が、この間うちまで池田内閣であった人たちがそう言っておったわけであります。これがやはりもうそんなことは言えなくなったのです。産業におけるエネルギーの構造的な変化が起こったということに非常に重点が置かれておるのだ、そういうことで使ってあることばだ、構造的な危機、産業構造の中における石炭の地位というものが非常に違ってきた、そういうことがこの場合にいう構造的な危機ということばを使った背景にあると私自身は思っておるわけであります。ただ、しかし、藤田さんが言われようとする、まあ国有化できないにしても、何かやはり炭鉱の体制といいますか、そういうものが現状そのままでいいということにはいかないのじゃないかということは、われわれもそういうふうな感じを持つわけであります。いきなり国有化しないまでも、何かほかの産業にも体制整備というものが行なわれておるわけです。石炭にもやはり考えられてもいい。そういう意味の一つ方法論、体制整備は石炭だけがほかの産業と違って特殊で、体制整備ということは必要でないのだというふうには思わないけれども、ここに使っておる構造的な危機というのは、いわゆる産業界におけるエネルギーのウエートが非常なやはり変化を起こしたということを指して言っておるのだと考えております。
  93. 藤田進

    ○藤田進君 非常に狭義ですね。構造的、ストラクチャーとしてのものをとらえておる。それから、エネルギー革命の、いま言われた液体燃料なりそうだとすれば、あなた自身矛盾を感じませんか。そうなるとエネルギー革命なり、あるいはそういう意味の構造危機、これを乗り切ろうとすれば、その革命なり構造的危機に対応する政策が出てこなければならぬわけですね。このまま私企業で財政出動でこれをやっていこう、裏を返せば、石炭は漸次出炭量は低下するだろうし、してもやむを得ない、液体燃料に漸次切り変わっていくだろうし、原子力に変るだろう、これがエネルギー革命に対応したものだというなら、これは一本筋が通るのです。一体何を考えているのかという点が、これは三木さんも閣内におられて、あなた自身の政策というものがそのまま出せない点もありましょう、責任のある立場ですから。党の政策もありましょうが、これはまことに日本の政治の貧困というか、嘆かざるを得ませんけれども、われわれが何でもかでも、口を開けば国有化ということは、特に石炭については、これは国有化でとにかく逃げ込んでいくというのではなくて、これは一連の国有化であれば金融もやらなければならないでしょうが、段階的に部分的に考えていくというのが基本的な方針でありますから、考えはむろん自民党とは違うし、政策も違うけれども、石炭に関する限りは、ひとつ抜本的なという中には、そういう点も、いまはそうだと言えないでしょうが、十分ひとつ参考にして対処していただきませんと、同じことをまた来年、再来年も言うことになるだろうと思うわけであります。そのことは石炭局長や課長では、これはもう言うこともできない問題でしょうが、閣内なり、あるいは審議会にコメントするなり、やはりそういった面のことを重要視していただきたいことを要望いたしておきます。  以下まだあるわけですが、三時半といわれておりますので、皆さんをお待たせしますので、一応きょうのところは……。
  94. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) それは検討をすべき課題だと思っております。しかし、われわれの当面の考え方は先ほど申し上げているとおりであります。これは国有化する考えはありません。しかし、前段で言われた、エネルギー革命というなら矛盾じゃないかというが、非常にそういう点においては経済というものの面にはみな持っている、石炭ばかりでなしに。これは現にやはりエネルギーといったら、八五%は中近東のやはり原油に依存している。だから、そういうものが何らか変化が起こって、その原油が日本に供給できぬということになれば非常に混乱が起こってくる。そういうことを考えてみると、一つの企業採算に貫けないものがたくさんあります。それなら自由化だってそうです。安いものがよければ自由化したらいいじゃないかというと、やはりエネルギーの場合は、エネルギーの安定した供給を確保するという、一つのこれは採算を度外視した一面ですね。それから、やっぱり石炭とともに発展してきた地域社会には、これはやはりエネルギー革命だといっても、ちょっと、げた屋が転業するのとわけが違う。もっと大きい背景を持っている。そうなってくると、やはりそこはそういうエネルギーの安定的な供給の確保とか、地域経済社会の維持とか、こういうものとのやはり調和をはからなければならぬ面がある。そういう一つの資本主義の場合でも社会主義の場合でも、その論理で貫けないのが人間の社会だと私は思っているのです。その調和をはかっていかなければならない。だから、いま政府が危機だと、こういうことで、危機だと考えるならそれで貫けばいいじゃないかというが、貫けないところにやはり石炭政策というものが生まれてこざるを得ない。矛盾といえば矛盾だけれども、それは矛盾の解決の中に政治があるのかもしれぬ。矛盾がなければあまり政治というものは苦労が要らない。そういうことで、危機だという表現と、いまいった、それで石炭というものを別の角度から、これはある程度の出炭を確保していかなければならない、その場合には、重油を使ったら安くても、その採算を度外視して確保していかなければならないという要請もあって、そういうことであるから、エネルギー革命に対処しようということの間には矛盾はないのではないかという考えを持っておるものでございます。
  95. 藤田進

    ○藤田進君 最後に意見だけ。  それが私のふしぎに思うのは、所信表明もそうだが、練られたに違いないし、中間報告もそうだが、国民の納得する、したがって、わが国における石炭の重要性なんというものは、全然もうどこにもないでしょう。これは重要、そんなことはもう関係なしに金を出さなければいけない、こういうことなんだ、だから革命の渦中だと、そこに私自身読んでみて矛盾を感じましたから申し上げたのです。
  96. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私は、やっぱりそれは大事だと思う。これは財政的な肩がわりといっても、石炭が果たしてきた役割りというものは非常に大きなものがある。唯一のエネルギー資源として日本の産業をささえてきたのですから、そういう意味で、これはやはりもう少し石炭というものが果たした役割り、今後果たさなければならぬ役割りというものは、それは欠けておるとしたら、これはやっぱり将来において強調せんならぬ面です。それでなければ国民の税金を使って石炭を救済するという論理は出てこない。それは今後注意いたします。
  97. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止〕
  98. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記を起こして。  本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会