○
参考人(
堀田庄三君) いま豊田先生の御
質問のございました点は、非常に重要な問題をはらんでおると思うのであります。確かに
アジアにおける
最初の
博覧会ということに
世界の興味、期待というものがつながっておると思うのであります。したがって、
アジアは、さっき申しましたように、
日本を除いては、あまりいままでたくさんの出品がないわけであります。今回はどうしても、
アジアというものにかなりウエートを置いて考えなければならぬ、むしろ
中心に考えなければならぬというくらいにすら思っておるわけでございます。したがって、その特色をいかに出すかということは、実は非常にむずかしい問題です。
アジアにおける工業国というと、何といっても
日本が第一で、それに続くものはずいぶん距離があるということでございます。したがって、工業の
展示だけでは、とうてい
アジアからは大したものは出ない。したがって、農業という問題、あるいは長い間の
アジアの伝統的な手工業というようなもの、さらには、できれば仏教というようなものといったような
方面から、何とかして
アジアの特色というものを出したいというふうに考えておるわけでございますが、これはニューヨークで聞いた失敗の例の
一つでございますが、ニューヨークでは宗教館をつくろうと考えた。
世界のあらゆる宗教を網羅して、そこで宗教を信ずる者、つまり神を信ずる者は同胞であるという考えに基づいて、「
理解を通じての平和」という
テーマに忠実ならんとした。ところが、遺憾ながらマホメットが
参加しなかったということのために、画竜点睛を欠いた。まあ七、八〇%は
成功したが、マホメットでいけなかったということを申しております。
日本で宗教を取り上げるかどうかはなかなかきまらなくて、このサブ
テーマ委員会でも問題になったそうでありますが、宗教というものは非常に多岐にわたっておりまして、キリスト教国と非常に違っております
関係上、
国内ですら宗教は紛糾を来たす、あるいはインドとパキスタンも紛糾を来たすというようなことがありまして、どうしたものであろうかということをさんざん論議した結果、このサブ
テーマには宗教は出ておりません。けれ
どもこれは、何らかの形で仏教国としての
アジア、少なくともそれだけでも意義のあることではなかろうか。仏教国ばかりではないかもしれませんが、そういう共通のものははめ込んでいく必要があるのじゃないかと考えておりまするが、せっかくこれはいま研究中でございまするから、もう少し瞬間をおかし願いたい。
二番目に御
質問のありました、いままでずいぶん
万博に
日本は出品したが、あまり
成功しなかったじゃないかという
お話でありますが、私もやはりそういうふうに考えておるわけであります。というのは、非常にスケールが小さい出品でありまして、あまり多くの費用をかけておらない。ブリュッセルの例をみましても、手先というようなことに重点を置いて、カメラとかトランジスタとか、そういうことが
日本のお家芸であるかのごとく誤解されるという危険があったのではなかろうか。今度地元でやります以上は、
世界水準に達しております
産業はかなりあります。おくれているものもありますが、この地元のホームグラントの
計画といたしましては、
相当日本の文化なり
産業なりを
世界に徹底せしめる絶好の
機会である。かように存じておりまするから、従来
世界の各地に出したような
展示のしかたとは全然違った、りっぱなものにしたい、かように考えております。
第三番に、名誉総裁、副総裁を置くかどうか、こういうことは、私
どもまだあずかり知らぬことでございまするが、
博覧会そのものと
博覧会協会とは違うと思います。紀元二千六百年、昭和十五年でしたか、そのときの構成をみますると、
博覧会の名誉総裁は秩父宮殿下であったと記憶しております。
会長は近衛公爵、副
会長は藤原銀次郎さんというふうに
承知しております。したがいまして、
万博協会でなく、
博覧会の名誉総裁とか副総裁というようなものは、あるいは今後
政府との話し合いによりまして、そういう偉い方が御就任になる可能性がなしとしないわけであります。これは
PRに役立ちますことは私も全く同感だと思います。だから、きめるならやはりちょっと早目のほうがいいのではないかというふうに考えております。
その次に、各府県に協賛会をつくるという
お話につきましては、私と全く同
意見のような御主張でございまして、たいへん喜ばしく存じます。この前昭和十五年に企画しましたとき、やはり前売り券を出しております。よく記憶しておりませんが、私の記憶では十二枚綴りを十円で出したのじゃないかというような気がいたしておりますが、これは明らかでございません。いずれにしましても、前り売り券を出すことによって
相当な
PRが行なわれるということであれば、これはひとつそう遠からざる
機会に企画をしていただこう、かように考えております。さらに第五番目に、
あと地の利用の問題がございました。これはもうこの際御指摘のとおりで、
あと地を売却するとなると黒字になり、売却しなければ、それではどうしてその費用を捻出するか、こういう問題は非常に重要な問題だと考えるのであります。これはまだ実は方針がきまっておりません。しかし、私個人の理想から申しますれば、せっかくあれだけの
土地を設営して、その
あとを全部売却して
資金を回収するということは、はなはだおもしろくないのではないか。なぜかならば、
先生方も御
承知のように諸
外国を見ますると、大都市の中には非常に大きな緑地帯、つまり公園を持っている。ブリュッセルの例を申しますと、ブリュッセルの公園は幅は十キロ、長さ二十五キロあると聞いておりますが、これはブリュッセル市がすぽっと入ってまだ余りある。これは市民のレクリェーションにかなり役立っているということを聞いております。フランスではブローニュの森
一つを考えましても、
相当な大きな緑地帯を持っている。
ロンドンは御
承知のようにバッキンガムのそばにハイドパーク、ケンシントン、キューの三つの公園がありまして、おそらく
ロンドンのシティが入ってしまうのではないかというぐらいの緑地帯を持っている。
東京ですら、三つあった公園が、いまやなきにひとしいような
状況であります。この大きな人口を持つ大都市には、やはりそういうレクリエーションの場が必要ではないか。
大阪などはほとんど公園らしいものがないのであります。それからまた近畿の都市を見ましても、これまたそんな規模の公園はありません。せっかくできましたものは、何か文化センターを兼ねた、あるいは学園都市を兼ねたレクリエーション・センターあるいは緑地帯といったようなことで、相なるべくは大部分をそういうものに残していただいたらどうだろうか。あるいは一部売却してそれを
大阪府の府債、市の市債というものの回収に充てるということもあるいは可能かもしれませんし、またそうしたほうがあるいはいいのかもしれませんが、その辺のところはまだ実はきまっておりませんが、御指摘のようにこの
あと地利用ということを早くきめなければ、いろいろな点において本格的な
計画がきまらないと私も考えているものでございます。ただ、
相当な買収費に金をかけておりますから、せめてその利息の補給ぐらいは国にお願いしたいというのが、府当局などの希望のように聞いております。いずれにいたしましても、
あと地の問題は重大でございますので、できるだけ早い
機会に
決定をみたい、かように存じております。