○
政府委員(佐竹浩君) 先生御
指摘のように、やはり都市銀行も
中小企業金融に力を入れて、しっかりやるようにということは、従来とも大蔵省として強く実は
指導いたしてまいっているわけでございます。ただ、全体の姿をちょっと申し上げますと、現在都市銀行はじめ地方銀行、相互銀行、信用金庫あるいは
政府関係機関等々を通じまして、中小企業向けに貸し出しを行なっている残高というものは、大体十三兆円くらいあるわけでございます。これは、いわゆる大企業も含めました総貸し出しの残高というものが、三月末でもって約二十九兆円ぐらいございます。その割合というものは四三・九%、つまり全体の総貸し出しの中で中小企業に向けられておりますのは、四三・九%という実は姿になっております。その中で、相互銀行、信用金庫、これは中小企業の専門の金融
機関というふうにいわれておりますだけに、その貸し出しは、もうすべてこの中小企業向けというふうに実は見て、そういう計策になっております。それで見ますと、ことしの三月で見まして、相互銀行の貸出残高が大体二兆六千億円でございます。それから信用金庫は二兆約五千億円でございます。それに対し、都市銀行の中で中小企業向けに貸し出されております残というのは、先ほど比率で二三・八%と申しましたが、これを絶対額で申しますと、二兆六千億円実はあるわけでございます。つまり信用金庫は五百五十二全部でございますが、その全部合わせて実は二兆五千億円、それから相互銀行が全部で七十二行でございますが、それがあげて中小向けに流している金が二兆六千億円、都市銀行は大体十二行ございますが、その十二行の銀行は、相互銀行全部、あるいは信用金庫全部の貸し出し金とほぼ匹敵する二兆六千億というものを出している。それ以外のものは、じゃどうしているかということになるのでございますが、これはすでに御存じのように、やはり日本の全体の産業の中で、超大企業もございます、あるいは大も中もございますが、全体としてやっている。そうしますと、そういう中小企業以外の企業に対して、どうしても資金のめんどうを、じゃどこでみるのだということになりますと、やはり都市銀行がかなり主体になって見ていかなければならん。地方銀行もかなり見ております。地方銀行は、大体いま大企業向けと中小向けとがほぼ半々でございます。中小向けが約半分より高い五三、四%ございましょうか、そういうふうになっていまして、相互銀行、信用金庫は、それぞれほぼ一〇〇%、こうなっている。ですから、都市銀行が、いま申しましたように、ほぼ七・三の割合でやって、それで日本全体の金融が動いているということでございますから、この点は、二兆六千億という現実の融資があるということは、認めておかなければならんかと思うのですが、ただ、そうは言っても、私
どもも、もっとやはり都市銀行というものが中小に力を入れるべきだという点は、先生の御
指摘のとおりだと思います。
そこで、いまおっしゃいますような、冷淡であるとか何とかというようなケースが、これは私はやっぱり間々見られるのじゃないか。ですから、そういうことのないように十分気をつけろということは、常時申しておりますし、今後とも十分気をつけてまいりたいとかように思いますが、もう一点
お尋ねのいわゆる歩積み・両建てでございますが、これは歩積み・両建てというものを含めたいわゆる拘束預金というのが、一番実は問題になっております。でその拘束預金の面から見ますと、これは御
承知のように、いわゆる公取のアンケート
調査等でごらんになりましても、やはり都市銀行が一番低い数字を示しております。そのほかに、大蔵省としては、先生御
承知のように、いわゆる自粛対象の歩積み・両建てというものを定めまして、三十九年の六月以来今日まで、その整理を促進してまいっております。都市銀行、地方銀行につきましては、昨年の五月末で一応自粛対象部分、つまり非常に行き過ぎておる、度を過ごしておる、これは明らかにやめなければいかぬというものは、これはまあ大体整理が終わっております。相互銀行、信用金庫は、事の性質上、ちょっと一年余裕期間を置きまして、ことしの五月末でもって一応整理を終わるようにということで、実はやってきておるわけでございます。この報告が近くまとまると思うのでございますが、まあおおむね所期の目的をほぼ達しているのじゃないかと一思いますが、ただ、それにしても、これだけお金がゆるんできたというのに、依然として歩積み・両建てに対する苦情がやっぱり絶えない。そこをやっぱりわれわれは
考えなければいかぬと思います。いろいろ
国会御論議等を通じて拝見いたしておりますと、やはり今日残っておる問題は、なるほど自粛対象の預金は相当整理されたんだと、これはわかる、こういうふうに先生方もおっしゃってくださるわけです。ところが、どうもまだ拘束というものが相当残っておる。ですから、その拘束というものの度合いをもう少し落としていくべきじゃないかというまあ
お話でございます。したがいまして、私
どもも決して現状をもってこれで満足だというようなことは毛頭
考えておりません。今後、いわゆる第二ラウンドというようなこともいわれておりますので、まあ大蔵
大臣もそのように申しておりますが、ここで第二段の
措置を、十分また
国会の御意向も伺いながら進めてまいりたい、かように実は思っておるのでございますが、ただ、いま先生御
指摘のような、都市銀行は三割も何も認められておるじゃないかとおっしゃいますが、決してそういうことを公認されておるわけじゃございません。現に公取の
調査でも、都市銀行の拘束の割合というのは、昨年の十一月で一九・三%というふうに実は低くなっておるわけでございます。