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1966-06-07 第51回国会 参議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月七日(火曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員の異動  六月二日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     白木義一郎君  六月六日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     鈴木 一弘君  六月七日     辞任         補欠選任      西川甚五郎君     吉武 恵市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 吉武 恵市君                 宮崎 正雄君                 阿部 竹松君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君                 鈴木 一弘君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        中小企業庁長官  影山 衛司君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省計画局長  志村 精一君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君    説明員        日本国有鉄道理        事        仁杉  巖君        日本国有鉄道資        材局長      小林 正知君    参考人        全国中小企業団        体中央会専務理        事        稲川 宮雄君        株式会社成重建        設社長      成重 光真君        東洋能率工業株        式会社初長    伊藤 正夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○官公需についての中小企業者受注確保に関  する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会において協議いたしました事項について報告いたします。  本日は、官公需についての中小企業者受注確保に関する法律案について、午前中、参考人出席要求の御決定を願い、引き続いて参考人方々から意見をお伺いして、午後政府に対する質疑を行なうことにいたしましたので、御了承を願いたいと存じます。
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 衆議院送付官公需についての中小企業者受注確保に関する法律案(閣法第一四二号)を議題といたします。  ただいま議題といたしました本案審査のため、本日の委員会参考人として、全国中小企業団体中央会専務理事稲川宮雄君、株式会社成建設社長成重光真君、東洋能率工業株式会社社長伊藤正夫君の出席を求めて、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  お三人の参考人方々にすでに御出席をいただいておりますので、これから順次御意見を伺いたいと存じまするが、その前に、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多用中のところ、当委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員一同にかわって厚くお礼を申し上げます。  御出席皆さま方から、本法案に対する御意見並びに官公需現状問題点につきまして、御忌憚ない御意見を御開陳を願い、当委員会参考に資したいと存じます。  なお議事の進め方について申し上げます。まず初めにお一人十分程度で御意見をお述べ願いまして、そのあとで、委員から質疑がありました場合にはお答えを願いたいと存じます。  それでは、まず稲川参考人にお願いいたします。
  5. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) 稲川でございます。  日本におきます中小企業対策は、きめのこまかい対策が非常にたくさん講ぜられておりまして、その点では私は世界どの国にも比類のない中小企業対策の国であるというように平素から考えておるのでございますが、ただ、その中で外国で行なわれておりまして日本で行なわれていない対策一つに、この官公需中小企業向け発注問題がございます。したがいまして、私どもといたしましては、かねてから中小企業に対する官公需発注政策を強化していただきたい、そのための法律制定を強く要望してまいったのでございます。今回社会党、民社党とともに、政府提案によりましてこの官公需法国会に提出されましたことは、私ども多年の、要望でございまして、感謝にたえない次第でございます。したがいまして、この法律につきましては、私ども全面的に賛成でございまして、その内容につきまして、賛成でございますから特に申し上げることもございませんが、特にしいて申し上げますならば、この中におきまして、この官公需中小業者組合単位発注するという道を特に開いていただいたということは、非常に適切な方法であるというように考えるのでございます。中小企業対策振興する上におきましては、やはり中小業者組織化ということが必要でございますが、その組織を強化するためには業者の自覚が必要であることもちろんでありますが、何といいましてもこの組織を強化するための政策、つまり魅力を何かつけていただくということが非常に必要であるというように考えておるのでございますが、この官公需というものを組合単位発注していただきまして、それを組合に配分していくという方法が強化されますならば、組合組織化ということは非常に強化されるという意味におきまして、私どもはこの組合を取り上げていただいたということについては特に敬意を表する次第でございます。その他の点につきまして、部分的に問題がないわけではございませんが、要は運用でございまして、どんなりっぱな法律ができましても、その精神を体して官公庁がやっていただかなければ空文に終わるわけでございますから、問題はこれからの運用であると思います。したがいまして、この法律を基礎にいたしまして、今後中小企業者発注機会を大いに増大していただく、そういう方向に進み得るようないろいろな施策をぜひ行なっていただきたいということが、この法律に関連いたしまする要望でございまして、それ以上この法律内容につきまして特にこの点はということもないのでございます。  この機会に、この官公需受注現状問題点なり、あるいは国会政府等に対する要望を申し述べよということでございましたので、これに関連いたしまして二、三の点を申し上げたいと思うのでございますが、その第一点は、これは中小企業に直接発注される場合ではございませんが、国等から大企業発注のありました場合に、その代金は現金で支払われる場合も相当にあるわけでございますが、大企業はそれを現金で受け取りましても、これを下請に再発注する場合には手形延べ払いというのが非常に多いのでございます。国から現金で受け取っておきながら、下請中小企業に対しましては延べ払いであるというような点は、はなはだ遺憾であると存じますので、こういうような点を何とか是正するような方策をこの際お考えいただきたいというのが要望の第一点でございます。  第二点は、分離発注というか分割発注と申しますか、一つ発注におきましても、できるだけこれを分割して発注していただくというような方法をもっと講じていただきたいという点でございます。これはいろいろ都合もあることでありましょうから、そういかない場合もございましょうけれども、なるべくならば分割発注していただけるならば、やはり中小企業受注を受ける機会が多くなるのであろうというように考えるのであります。特に電気工事などにつきましては、やはり保安その他の関係もございますので、特に電気工事関係業者に直接発注していただく、こういうような方法関係業者としては非常な希望になっておるのでございます。  第三点は、組合一括発注の問題でございまして、先ほどこの法案にこれが入っておりますことは非常に私どもの意を強くするところであるということを申し上げたのでございますが、しかし建設業法などにおきましては、一括受注いたしまして、これをそのまま下請に出すということを禁止いたしまして、別に協同企業体をつくらせると、こういうような方法が行なわれておるようでございますが、これは組合を活用するという今回の法律趣旨に反する点があるのではないか、どちらの法律が優先するか問題があると思いますけれども、少なくとも組合一括発注いたしまして、組合自体はその仕事をするわけではございませんので、これをさらに組合員に委託をしていくということになりますると、いまの一括下請ということの禁止の条項に抵触いたしまして、組合単位発注することができないと、こういうことになりますので、この辺の道をひとつ開いていただきたいということを考えるのでございます。これには特認事項もあるようでございますから、ぜひ、せっかくの組合でありますから、組合単位に活用していただきたい。測量法におきましても同様の規定があるようでございまして、測量関係につきましてもやはり組合単位発注ができない、こういう現状になっておりますから、ぜひこういう点の配慮をお願いしたいと思うわけでございます。  それから、この建設業に関することでございますが、建設業につきましては専門家の方から後ほどお話がございまするので、私から申し上げるのもどうかと思うのでありまするが、建設業におきまするこの官公需工事単価が非常に低い。これは失業対策事業における賃金単価を基準にして定められておりますために非常に単価が低い。実情に合わない単価になっている。そういうものは受けなければいいではないかと、こういうお話があるかと思いますけれども、やはりお互いの競争が激しいために、無理であるということを承知しながらこれを受けざるを得ない、こういうような問題があり、そういうものは大企業のほうはあまり取らないのでございます。ほとんどが中小建設業者がそういう工事を請け負う、こういう関係になっておりますので、この単価失業対策事業賃金を標準にするというような点はぜひ改めていただきたいというのがかねてからの要望でございます。  次の問題は、この官公需の問題に直接の関係はないのでございますが、官公庁民業圧迫と申しますか、たとえば刑務所等におきまして印刷業などをやっておりますが、刑務所印刷をやるということは、これはやむを得ない点があると思うのでありますが、その単価が不当に低い。したがいまして、市価を圧迫し、市場を乱す、こういうような問題もございますので、これは官公需そのものの問題ではございませんが、関連いたしましてそういうような点につきましての御配慮がいただきたい、こういうように考えるわけでございます。  その他にもあろうかと思いますが、一応私どものほうにいろいろ申し出がありました要望事項は以上のとおりでございます。何とぞひとつ格段の御配慮をお願いいたしまして、私の公述を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
  6. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、成重参考人にお願いいたします。
  7. 成重光真

    参考人成重光真君) 私は約三十年ばかり零細な中小企業者として建設業に携わっておりますが、乏しい資本力中小企業はいつの時代でも大企業の下積みとなり、経済的にはしわ寄せされまして、苦難の道をたどってきておる者であります。ことに、この機会に、一昨年下半期以来の全国的な不況ではありますが、北九州地方は、もちろん国鉄なりその他の官公署官公需なり、あるいはその他筑豊炭田の閉山、八幡、小倉の両製鉄所等減産等に伴いまして、大部分の中小企業者はこれらに依存しておりましたので、いまでは全く倒産に次ぐ倒産のような不況を招来しておるのは御承知のとおりであります。こうした全国的不況中小企業者に対する問題は、最近最も重要な課題として議会なり、また政府当局におきましてもいろいろと御配慮をわずらわしております点につきましては、私どもは深く感謝をしております。特に、今回提案されました官公需についての中小企業者受注確保に関する法律案につきましては、私ども中小企業者として全面的にこれは賛成し、また大きな期待と喜びを持つものであります。本法案提案されますまでの各党の御努力なり、また政府当局に対しても、私どもは深く感謝の意を表しておきます。  本法案につきましては、すでに衆議におきまして、各党共同修正がなされまして政府案となり、本院においてただいま御審議の過程にあると存じております。で、法案内容につきましては、それぞれ目的なり、定義なり、契約の公表なり、各省庁の義務契約の特例、あるいは実績の報告とか勧告、政令への委任、通して見ますと、附則として、中小企業者に対するその発注確保する措置を講ずることにより、中小企業者事業活動機会確保し、もって国民経済の健全な発達に資するというのが御提案の大体の趣旨のように承っております。わが国経済の健全な発達を見るためには、どうしても中小企業振興がきわめて重要であることは論をまたないことと思います。もとより政府におきましても、中小企業への融資であるとかあるいは合理化近代化高度化など鋭意推進され、中小企業事業活動を一そう振興するため努力をされておることは周知のとおりでありますが、去る三十八年に公布をされました中小企業基本法第二十条に示す法の精神を、私どもは深く解明するならば、中小企業育成振興について、あるいは官公需等の問題ももっと早く何らかの具体的な対策が講じられなかったかと私どもは考えるのであります。いまや全く中小企業は大企業圧迫、かつまた最近におきましては、中小企業の私どもが従来やっておった範囲といいますか、あるいは限界と申しますか、そういう末端にまで大企業が進出して、中小企業を脅かし、この不況下では、中小企業は、全く建設業においては受注確保のできない深刻な苦難時代を招来しておる状態であります。このときにあたり本法案提案されましたことは、最も私どもは時宜に適したことと喜びにたえません。いずれはこの法案十分審議を尽くされまして、可決実施されることと信じますが、本法案提案理由説明のとおりに、法の精神十分末端官公署窓口関係者周知徹底を期して、最も有効適切にこの法案が適用されることを期待してやみません。  しかしながら、従来中小企業育成振興の問題に関していろいろ各種対策が講じられております。たとえば各種融資機関の設置であるとか、あるいは協同組合結成指導共同受注共同作業、特に下請作業者への支払い遅延防止法等法制化、あるいは指導はされておりますが、現実には決してその効果はあらわれていないと私どもは考えます。依然として中小企業は残念ながらまさに瀕死の状態にあると言ってもあえて過言でないと考えます。  したがいまして、本法案実施に対しまして、しいて希望意見を申しますならば、第一に、総体的に抽象的で、具体性に乏しい点があるのではないかと私どもは考えられます。第二には、官公需中小企業者によく認識させるということでなければならぬと考えます。中には、遺憾ながら中小企業者でこの官公需に対する理解がまだまだ乏しい点があると考えます。第三点は、官公庁中小企業者との意思の疎通の徹底が従来は欠けておるように考えます。第四点は、政府事業協同組合結成を推奨しておりますが、なかなか現在の中小企業のいわゆる組合結成ということは困難ないろいろな難点がありますが、具体的には省略します。第五点には、大企業中小企業への発注限界を定めて、その格差をできるだけ縮めるということが願わしいことであります。第六点は、地方公共団体地方中小企業との連絡の緊密な確立が必要であると考えます。第七点は、中小企業に対する官公需契約高等を私どもはもう少し明らかに具体的に示していただきたいと思うのであります。  以上述べましたことを要約しますと、少しこれは飛躍した意見になるかとも考えますけれども、私どもは簡単に考えて、中小企業をどうすれば育成振興できるか、こういうことを考えたのでありますが、それは中小企業が完全な組織をこれから私ども自身がつくって、そうして官公需受注入札等の資格を大企業並みにその組合の力によって認めていただくようにしなければならないのではないかと考えております。  第二点は、大企業下請をする中小企業に対する支払いの点であります。先ほども申されましたように、今日の状態は、実際は中小企業者に対する支払いはほとんど全部といっていいくらいに、大企業においては現金官公需においてもらっても、中小企業者には手形延べ払い現状であります。私どもは少なくとも月に三千万や五千万のそうした関係仕事もしておりますが、ほとんどが手形でありますために、年間を通じて最低五百万円や一千万円に近い手形割引料を払っておるのが現状であります。こういうことでは、これはどうしても中小企業の成り立つ道理が私どもは乏しいと考えます。  第三点は、従業員稼働者に対する確保の点でありますが、一番悩みの点は、中小企業者があるいは高卒、中卒等の青年を雇い入れて一生懸命に訓練をし、仕事を教え込んで、これがどうやら間に合うように、三、四年して一人前になりかけると、あるいは福利施設厚生施設 ある、は待遇、給与等が非常に大企業との格差があるために、優秀な者ほとんどその方面に流れ、引き抜かれていくというのが現状であります。こうした中小企業は、いわゆる稼働者、労務者の確保に関する点を何とか法的根拠に基づいて掌握しておくことができないものであろうか、こういう点を私どもは痛切に感じておるものであります。いろいろありましょうが、その他中小企業受注確保について、地方公共団体をもっと適切に指導していただかなければ実際は、ことわざでいうならば、親の心子知らずと申しますか、なかなか法案等においては理想どおりにできておりますが、実際に地方官公署において、こうした親心が末端に通じておるかということを私どもは疑問を持つのであります。したがいまして、地方公共団体の適切な指導をしていただきたいと念ずるものであります。  その他中央地方におけるところの官公需確保対策について、いま少し具体的な機構の整備が必要ではないか。あるいはまた、中小企業者に対して官公需契約手続とその方法指導、残念ながら零細なる中小企業者はほとんどそうした人手を持たないために、官公需等発注がありましても、あるいは公報等を見るのを忘れて、しまったと、あとで気のつくのが多いのであります。こういう点につきまして、中小企業者に対する周知徹底方法が考えられなければならぬのではないかと考えます。  最後に、これを機会にお願い申し上げておきたいことは、政府におかれましては、建設公債七千三百億のうち、公共事業費に今年度上半期においては六割五分程度を消化したいという御意向のあるように仄聞しております。これらをすべて大企業に偏向することなく、中小企業との格差ができるだけ縮まるように格段の御配慮をお願い申し上げまして、私の意見開陳を終わっておきたいと思います。 (拍手)
  8. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、伊藤参考人にお願いいたします。
  9. 伊藤正夫

    参考人伊藤正夫君) 私はスチール家具、と申しましても、特に役所でお使いになる机とロッカー、いす、そういった事務器関係の販売をいたしておるものでございます。少々私事になって恐縮ですが、私は昭和十六年に学校を出まして、役所に九年ほどおりまして、その後他社におり、この業界に入ってからやっと十年ぐらいでございます。この間、特に役所関係出入りをさせていただくべく、中央官庁公共企業体、その他政府機関と名のつくところはくまなく歩きまして、現在のところ中央官庁及び政府機関等に対する、いわゆるこの法律でいっております国等窓口を開いて登録をしているところが二百四十カ所ばかりございまして、約十年間、雨の日も風の日も、暑くても寒くても霞ヶ関はもちろん、その企業体の存在する都内近県をきょうまで歩いておりますが、今回この法律が制定されるにあたって、何か私たち精神的なバックボーンができたと、非常に力強く考えておる次第であります。  私は、前お二方の参考人からいろいろと大所高所からの御意見の発表がございまして、また、重複するようなことを申し述べてもどうかと思いますので、この法律は、やはり私たちの実際の体験から申しますと、会計法といいますか、予算決算令の一部でも何か改正をして、もっと具体的に何とかならぬものか、そうしてこれが実施になりますと、なかなか具体的に困難な——実際私たち窓口を歩き、受注を受けるにあたって、この法案精神はよくわかりますが、さて、具体的にどのように運営されるかということを非常に懸念するものでございます。それから、この官公需受注を受けるのに対して、私たちはやはり役所出入りをさせていただくのに、まず登録の申請の事務がございます。現在のところ審査の等級は三段階のABCに分かれておりますが、私たちのような企業はどうしてもCクラスということになります。と申しますと、したがって、大きな入札というのはAクラス、その次がBクラス、そうしてCクラスというのは三十万以下とか、そういうようなランク制になっておりまして、窓口を開いても、一、二年一生懸命苦労して歩いても、なかなか見積りに参加さしていただけない。あるケースになりますと、登録をして三年も通っておりますけれども、まだ一度も入札おろか指名入札おろか見積りにも参加できないというような現状でございます。  第三条は、私たちに非常に関係が深いと思いますが、これは非常に具体的にむずかしい問題と思われますが、運用については、各省各庁において特に御留意をしていただきたいことをお願いします。そして、本法案が絵にかいたおもちにならないように、特にお願いをしておきたいと思います。  それから第四条の、「中小企業者に関する国等契約方針作成等」ということになりますと、私たちのいう窓口係官義務とか努力規定のみでは、何かこうたよりにならない、信頼度が薄いようにこれは思われてなりません。これの予算の実行にあたっては、事務手続——事業目的等から購入の目標をつくっていただいて、国として一本化し、これを達成するための施策方向を基礎づけていただきたい。現行の官公需発注現状をよく把握して、これに即した方針を樹立しないと効果があがらないように思われます。たとえばデパート等発注をいたしますと、電話一本で何でも間に合う、そうして経費の節約にもなりますし、事務簡素化能率化にもなると思いますが、それとまた工事関係におきましては、大企業発注をいたしますと、まあ安心感もある、納期その他の点についても心配がないということになっているようですが、それを幾つかに、あるいは何社かにやらせるというような係官事務手続になりますと、非常に繁雑となり、不能率になることはよくわかります。わかりますが、これではこの法の精神に沿わないのではないかと思います。そこで、やっかいでも、少しは官庁事務が繁雑になっても、一部は地元業者に加わらせるというようなことをお考え願いたいと思います。特に私たちのスチール関係の業界では、入札、見積もり参加に、私たちの専門の商品であっても、デパートのみしか呼んでいただけないというふうなケースもつい最近ございました。  それから次に五条、六条は、別に私たちにあまり関係はないと思いますが、第七条については、私たちは近在の県市のほうも担当しておりますが、やはり先ほどもどなたか申し上げましたように、地方公共団体に対しても国が何とか、運用面で国と同じように強力な行政指導をしていただきたいということをお願いたします。  それから官公需受注現状問題点ということになりますと、先ほどもお話に出ましたように、この一、二年間は経済界の非常な不況によって、私どものような小さな業界はその影響を特にひどく受けまして、各メーカーには在庫が非常にたくさんございます。それで資金繰りにも困って、ここ三年くらいの間に約五、六十社同業者倒産をしております。それでこの民間需要を何とか官公需でカバーしようということで、各メーカーあるいは大企業あるいは小企業が、官庁、企業体に押しかけたために非常な過当競争となりまして、利益率がだんだん年とともに低下をいたしまして、最近では官公需受注は五、六%くらいの利益しか見れないような現状となっております。  最後に、これは国会政府に特に要望する事項と言いましても、お二方のほうでいろいろと申し上げておりますので、私が実際身をもって体験していることを一つ二つお願いして終わりたいと思いますが、先ほども申しましたように、大企業とかデパートに発注すると、官庁の事務簡素化されますが、この中小企業保護育成の見地からこのようなことを、要するに役所事務は少し繁雑になってもまあ少しは犠牲にして、私たちが汗みどろになって、くつの裏打ちもしながら歩き回っておるその誠意と努力を認めていただいて、本法のこの施行にあたっては、特に窓口係官指導と情熱によって、ぜひ何とか私たちのような小さな会社にもその努力と情熱の分け前をいただきたいと、このように思っております。  それから、この官庁関係出入りするのについて特にぜひお願いしたいと思って、まあ行った先の役所あるいは総理府、防衛庁関係係官、課長にもときどきはお話をしておりますが、まず官公需を受けようといたしますと、窓口を開く、それには登録申請書というものを毎年一回書きかえをして出す、新規登録あるいは更新と二つに分れておりますが、これがまた非常にやっかいでございまして、人手不足と、それから経費の関係でなかなか見落としをしたり、時間に間に合わなかったりして、せっかくの仕事の糸口をむだにしてしまうようなことも多いのです。この一番合理化されておるのは、総理府の官房会計課長に一通の申請書と付属書類を出しますと、それが行管、科学技術庁、あるいは委員会、内閣、宮内庁といったように十七カ所に一カ所で通用するのです。ところが、防衛庁となりますと、調達実施本部——調本にあり、また海にあり、陸にあり、空にあり、防衛施設庁にありといったように、防衛庁だけでも練馬にあり、松戸にあり、大宮にあり、あるいは富士学校にあるということになりますと、防衛庁だけでも三十カ所ぐらいになってきます。それと同時にその提出期日と内容の様式——フォームです。これが各官庁、総理府、防衛庁を除いて全部個々ばらばらで勝手なんです。そうして、またあるところでは二月十五日が締め切り、あるところでは二月二十日が締め切り、あるところでは三月末日が締め切り、あるひどいところになると、六月十五日なんという切りかえもございますので、それと同時に、ここに資料をお持ちしておりますが、役所登録するのには、大体自分の会社でやって一件七百円前後、それは申請書と付属書類のお金だけなんです。ですから、作成する労力、電車賃を入れますと、一件千円ぐらいかかります。私のところで大体二百カ所やっておりますから、毎年二十万ぐらいの登録更新に費用がかかるわけなんです。ですから、これをやはり経済官庁は経済官庁、労働省、文部省その他とか、これを官庁を四つぐらいに分けていただいて、ブロックにしていただいて、そうしてその出先、大蔵省の事務局は大蔵省本省に登録すれば、国税庁も関信も東京国税局も全部通用するというような、何かそういった面の合理化ができれば、中小企業者にとって非常に経費も節約できて、その労力と経費を営業に向けられるというようなことがございますので、ぜひこれをひとつブロック別の登録審査ということを御考慮願いたいと思います。  それからもう一つ、これはどうかと思いますが、調達係官が半年か一年でかわってしまいますので、大企業でマスコミに乗せてPRをしているところは、ああそうかということはわかりますが、私たちのような二十人くらいでやっている会社では、会社の状況から、過去の実績から、いろいろと係官にお願いをして、ようやく認識を得て理解をいただいて、まあ次には見積もりに呼んでいただけるだろうという一るの希望を持っておりますと、ポット係官がかわってしまう。しかも四人おる係官が半年くらいでみなかわってしまう。そうするとまた振り出しに戻って最初からやり直す、そういうことがやはりランク制実施しております官庁の発注に対しては、いつまでたっても小さい会社はCであるということで、なかなかBになりません。私のところも約十年でAにもしていただき、Bにもしていただきましたが、五、六年から約七、八年かかるような状態でございます。これは実際の事務のことでございますが、こういう係官の異動を、できればベテランを一人くらいは残していただく、三、四年は残していただいておくという人事異動も、やはり考慮に入れていただければ、この法案の具体的な実施についても、何とかその係官が長くおれば、情熱と指導力も自然とできてくるのじゃないかと、このように思います。  長くなりますが、続きまして、終わりにこんなことを申し上げると先生方にしかられるかもしれませんが、法律をつくるときは非常な努力と情熱とを、そして惜しみない時間を投入して、そして国会を通過して成文化されるのですが、私たち末端仕事をしている者には、この法律あとはどのようにどこから実施をされて、たとえばこの本法におきましても、どこから実施をされて、まず具体的にどんな段階からどんなふうになっておるのだろうということは、さっぱりわかりません。ですから前にも申し上げましたように、どうか立法化されて以後も、先生方、所属長官、衝に当たる方は、よくこれを監督、叱咤督励していただきまして、そしてこの法律がよちよち歩きでなく、地にどっしりついて前進をされるように特にお願いをして、私の公述を終わらせていただきます。(拍手)
  10. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 以上で参考人方々の御意見開陳は終わりました。  それでは参考人方々に対して質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  11. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 稲川参考人にちょっとお尋ねしますが、組合発注、今回明記されてまことにけっこうだということ、まことに御同感であります。それについては、組合発注確保するのにはどういう方法をとることが一番いいというふうに考えておられるか、これについて御意見を承っておきたいのであります。というのは、現在でも組合発注は受け得るようになっておる。たとえば指名競争入札などにも参加できるようになっているとはいうが、実際指名競争入札に参加ができなかったり、あるいは随意契約の対象にはできないというのが実情になっているものですから、この面においてどういう方法をとったならば、組合受注体制というものがほんとうに実行可能か、こういう点についていろいろとお考えを持っておられれば、その点を明らかにしておいてもらいたいと思います。いずれ午後われわれは政府委員に質問をしますから、そのときにそれらを基調にして、十分に具体的効果のあがるようにしたいと思っておりますから、その点は特に承っておきたいと思います。
  12. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) 組合を活用する方法といたしましては、まず第一番に国の、つまり官公需発注する側におきまして、組合を利用する面における御理解、御認識を深めていただくということがまず第一だろうと思うわけであります。従来、豊田先生から御指摘がありましたように、組合におきましては、競争入札でなく随意契約ができるという会計法関係になっておりましたけれども、ほとんどこれが活用されていないということは、一々大蔵大臣の協議を要する、こういうわずらわしい手続がありましたために、これが活用されなかった一つの理由であると思っておるのでございますが、この点は今回改正になりまして、大蔵大臣の協議は必要がなくなったということでございますが、しかし先ほども工事法なりあるいは測量法について申し上げましたように、組合というものを活用しないというそういうたてまえになっておるということが一つの問題でもございますから、ぜひそういう点の改正をお願いし、またその他の官庁におきましても、中小企業組織化ということ、あるいはまた個々に発注いたしまするのは、手続あるいは手数料等においてわずらわしい点がありますので、それを省略する、合理化するという意味におきましても、組合組織というものを活用するという方向でものを考えていただくということが第一の要件ではないかと、こういうふうに思うのでございます。しかしながら問題は、やはり受け入れますところの組合側にもあると思うのでございまして、せっかくそういう制度ができましても、よくその制度を知らないとか、あるいはこれを知っておっても活用しない、こういう点がございますので、今後組合の十分PRをいたしまして、組合が率先してこの制度を利用するように持っていかなければならない。また組合自体の体制におきましても、共同の受注になるものでありますから、どうも責任体制がはっきりしない、こういう欠陥もございまするから、共同の責任体制というものを組合においてとるような、そういう組合の内部機構というものを改めていく、あるいは検査機構というものを充実いたしまして、組合が責任を持って、納めたものにつきましては支障のないように、そういう検査機能を高めていくとか、あるいは納期の厳守、また規格の統一というような面におきましても、組合側がその体制を整備していく、あるいはまた信用の点につきましても、組合におきまして、そういう受注をする場合には共同の責任のとれるような、そういう共同の信用制度と申しますか、あるいは保証制度と申しますか、そういうものを確立するような、そういう組合の行政指導も必要ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  13. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの質問にも関連するのですが、協同組合あるいは企業組合結成というものが政府方針でも強く叫ばれているわけです。今度の法律組合受注できるというようなことでありますが、組合結成についての指導ですね、たとえば中央会なり、あるいは中小企業庁なりが組合結成について相当指導いたしませんと、なかなか組合結成ができないのですね。あるいは私どもがたとえば建設業者三十社なり四十社にすぐ集まっていただき、そうして懇談会を開き、それでは組合をつくろうじゃないかということで別れると、あとだれも音頭をとる人がいない。大企業はどんどん大きくなっていくが、中小企業組合のできないためにじり貧でいくという現象をとっている。この壁をぶち破らなければならぬのですが、稲川さんのほうではどういう指導をしておられるのですか。  同時に、企業庁長官見えておりますから、長官としてはこの法律を受けて、あるいは通産大臣のことしの施政方針政策施策を受けて、どういうふうに指導されていくか、答弁を願います。
  14. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) 組合結成指導は、私ども各府県の中央会が専門のようにして担当しておりまして、最近におきましては、この法律ができました当時のようなことはございませんけれども、着実に組合の設立数はふえているのでございまして、またできました組合も、睡眠組合といわれるようなものは最近ではほとんどございませんで、着実に組合はできておりまするし、その組合の設立につきましては、各府県中央会におきまして一切の手続をお手伝いする、こういう方向でお世話をしておりますので、無理やり組合をつくらせるということではございませんけれども、そういう御希望のありますものにつきましては、十分お世話をする体制をとっておるつもりでございます。ことに、この官公需法というものができまして、組合というものをこの方面において活用する道が開かれますならば、その面における組合結成促進指導というものに一段と力を入れてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) お答え申し上げます。  私どものやっております中小企業対策一つの大きな柱は、組織化でございまして、組合を中心にいたしまして、力の弱い中小企業の人たちが団結の力によっていろいろと近代化合理化、あるいは地位の向上ということをはかっていくというのが大きな方針でございます。だが、なかなか現実の場合におきまして、中小企業者が団結をし、組織化をするということにつきまして、先生御指摘のとおり、元来非常に中小企業者の意識といいますか、そういうものがまだ足らない点もございまして、非常にむずかしい点もあるわけでございます。これは中央会がそういう組織化のために専門の指導をやっていただいておりますので、そういうところを中心にいたしまして指導をいたしていきたい。ただ、その場合に、そういう組織化をいたします場合の指導者というものが非常に大事でございますので、そういう組織の場合の指導者の訓練といいますか、そういう者の養成ということも、あるいは中央会の研修、あるいは指導センターの研修というようなものを通じましてやっていく。それからもう一つは、やはりそういう組織化に乗りやすいというために、組合員に対するいろいろと助成策を講じまして、そういう組合員に対してインセンチブを与えるということが必要である、そういう方針でやってまいっておるわけでございます。
  16. 小柳勇

    ○小柳勇君 お三人の参考人から非常に有益な御意見がございましたが、お三人ともおっしゃいましたことは、地方公共団体をもう少し指導してもらいたいという意見で、三人とも同じような意見であります。けさいただきました中小企業庁のこの資料を見ますと、調達金頭にいたしましても、調達件数にいたしましても、官庁、公社、公団よりも、都道府県市のほうがいいわけです、数字の上からは。これはまあ地方中小企業の皆さんは地方公共団体によけい接触されますから、そういう感じを受けられるのではないかと思いますが、三人ともそういうお話がありましたから、稲川参考人、この点もうちょっと実績があれば、それをお話、お教えを願いたいと思うのですが……。
  17. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) 私の考えますのは、やはり中小企業者単位も小さいわけでございますから、どうしても中央官庁に結びつく機会というものが少ない。したがいまして、実績におきましては、数字にもあらわれておりますように、地方公共団体受注が従来多かったのであります。しかしながら、やはり地方とは中小企業は密着しておりまするし、もう少し地方公共団体が特に中小企業を見てもらってもいいのではないかということで、実績から申しますと、確かに現在でも地方公共団体のほうが多いのでありますが、もっと多くてもいいのではないか。中央官庁ももちろん必要でありますけれども、どうしても単位が大きいのと、また地方業者中央に結びつくことがなかなか困難であると、そういうような点で、実績の点ではまあ少ない。そういう感じを持っておるわけでございます。
  18. 小柳勇

    ○小柳勇君 成重参考人に一点御質問いたしますが、大企業に比べて中小企業受注が困難であったとすれば、その一番大きな理由はどういうところにあるのか、私が考えるところでは、たとえば発注価格が安過ぎるとか、あるいは技術や品質が中小企業は悪いからとか、あるいは施工や性能、期間が間に合わないとか、いろいろな点があると思うのでありますが、大企業に比べて中小企業が非常に受注が困難であったとすれば、その理由をどういうふうにお考えでありますか。
  19. 成重光真

    参考人成重光真君) たとえば官公需等に対して中小企業が常に大企業に対して劣勢であるとか、立ちおくれしておる、そういう点は、まず第一に技術面の官公署に対する信頼感の程度もありましょうし、大体がそういう指名入札の資格の問題、先ほどありましたお話のように、いつまでたっても私たちCクラスあるいはそれ以下の業者では、官公需に対する指名入札の資格をとり得ないというのが一つ、それからなお人的な問題において、大企業等はあらゆるそうした官公署の所在地に営業所なりあるいは出張所なり支店を置いて、常にそういう方面との連絡が、中小企業者とは全然格段の差がある、緊密なそういう官公署との連絡がとれている。そういうこともありましょうし、それから技術面の信頼感の程度もありましょうし、したがいまして、これからそういう点を打開するということについては、やはり何らかの方法を講じて私たちが反省して、そうして強固なるそうした組合をつくっていく。先ほどお願いしましたように、組合をつくった以上は、その組合を直ちにそういうAクラスなりBクラスに格上げしていただきたい。そうしてそういうものの指名なり入札に際して参加させていただきたいということを考えなければならぬと思っております。現状においては、先ほどこちらの参考人のおっしゃったように、三年あるいは五年たちましてもCクラスだと、三十万円とか五十万円のそうした仕事を一年に一回か半年に一回もらったのでは、これはとても資格だけもらっておっても、今年度一年間は仕事のほうは全然皆無だったというようなことを私たちは繰り返しておるのです。そういうことでは、これはいつまでたってもBクラスAクラスに昇格することは不可能であります。そういう点は実際の仕事の技術の面、あるいは能力の面、あるいはそういう会社の資金の問題、そういう点がある程度に達すれば、やはり何らかの方法を講じて、そうして仕事の問題について配慮願わなければならぬ。それでその資格をとるために、やはりどうしてもそうした組合の力でもあれする以外にないと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、中小企業者組合結成というものはなかなかこれは困難であります。私たちはいろいろそうした組合をつくっておりますけれども、商工中金の金の融資を受けようとすれば組合に加入しておるものでなければ融資をしない、こういうことがありますので、仕事をとるよりも、むしろ窮した場合の運転資金借り入れのために組合をつくらなければならぬというのが、いまでは精一ぱいのところであります。仕事をとるよりも、あるいは手形決済のために、どうしてもこの月は仕事がないのに金が要る、そうした場合に商工中金の金でも——普通銀行はそういうことは当然私どもの借り入れ相手の対象にはなりません。かりに三百万円普通銀行から金を借りようとすれば、少なくとも三分の一の百万円は定期預金をして、あと二百万円に対する根抵当担保を置かなければ、三百万円の手形割引をいたしません。ですから、私たちがかりに最近では五カ月、六カ月以上の手形を大企業からもらいますが、そういう手形を持っていっても、もし割引いたときに、それが月重なれば、あるいは三月か半年の間に三千万や五千万円の優に割引のワクをオーバーいたします。そうすると銀行はそれは割引しません。したがってそれは地方におけるいわゆる手形割引金融業者に五分も一割にも近いような割引料を出して、窮した場合には割引かざるを得ぬような状態でございます。こういう場合に商工中金等は比較的組合をつくっておれば、組合の保証によってそういう金融も割引もしてくれますので、ですから協同組合なり、そういう業者の私たち組合をつくるというその前提として、何かそこにやっぱり組合に入ったためにこういう特権があるとか、優位な何があるとか、恩恵があるとかいうようなことでないと、ただ官公需をもらうために、資格を得るために組合をつくろうじゃないか、そのために会費、費用を出してあれしようじゃないかというようなそこまで熱心にお世話をしてくださる人がないものですから、そういう組合結成がなかなかできない。ただ九州あたりで商工中金あたりの金を借り入れる場合に、組合員でないと貸さないという商工中金の代理店の前提条件がある。したがって商工中金の金を利用しようとすれば、それは窮して資金に困ったときの対策のための組合結成で、官公需等受注を目的とするような組合をまだつくっておりません。これからひとつこういう法律ができれば、ぜひその組合をつくれば、その組合に大企業並み一つの資格を与えていただいて、入札なり指名にそういうものが加わることができるということになれば、私たちは率先してひとつ組合を強固につくりたいと思っております。
  20. 小柳勇

    ○小柳勇君 建設省には後刻質問しますが、中央大手の建設業者、たとえばAといたしますと、それが東京辺だったらその本社がやりますが、九州や北海道になりますと、その出張所なり支店がやっておりますね。そうするとその出張所、支店はそうばく大な人数いませんから、ある技術屋とそれからその地域のB級、C級の建設業者を使って仕事をすると思うのですが、その場合と、これから組合結成して仕事をやる場合、中央大手メーカーにも匹敵できる仕事をやるのだという、そういう信用なりあるいは主体的にはみずからの自覚がないとこの法律は生きてこぬわけですね。そういうことについて、特にこの九州——成重さんは九州でありますから、その中央大手のA級のメーカーが出張していって向こうでやる仕事と同等の仕事組合でもやるのだ、ひとつそういうことに対する見解を聞きたい。これは私はあとで建設省に——中央大手メーカーが出張所を持っておりますと、あるいはB級、C級なりでも仕事をやる。建設省では通達を出しまして、直近上位と下位のものしかその仕事入札する権限がないということで指導はしておるようです。指導はしておりますけれども現状はそうでないのですね、実際は。その点についての成重さんの見解を聞いておきたいと思います。
  21. 成重光真

    参考人成重光真君) 御質問のとおりでありますが、私どもは八十人なり百人の大工、佐官あるいは鉄工、製かん、かじ屋まで擁しております。したがって工場といたしましても千坪なり二千坪の機械設備も持っております。ところが中央における大手会社は支店、出張所、営業所があります。多いところでそれは十人や二十人はおりましょう。しかしながら大部分のところはわずかな仮事務所を部屋借りをしまして、そこに五人や三人おりまして、ほとんどその大手会社は、たとえば八幡製鉄のごときは今度でも困っておりますが、三百五、六十の下請業者がおります。それは一つの会をつくっております。それからその他A、B、Cいろいろ大手の会社がありましょう。それらの会社の方々もほとんどそういう支店、営業所を九州あたりには持っておりますけれども、わずかな人数でおって、仕事はAの建設会社だったら、そのAの下に何々組合の何々会というようなものがあって、私どもも四つも五つもそういうものに加わっております。そうしますと、月に五千円なり一万円の金を納めても仕事があればいいですけれども仕事があってもなくてもそれに加盟して、そういう下請業者の組をつくってその会社の傘下におらぬと仕事がもらえないからおります。したがって、少なくとも常にそういう五つや十の大手メーカーの下請会社の資格を持つためにそういうところにおつき合いしなければならぬ。しかし、それは仕事がもらえるかもらえぬかわかりませんけれども、やはりそうしておかなければならぬ。ですから、これはそれらの会社がほとんど寄って、中小企業者なりあるいは零細業者一つのここに大きなビルを建てるとしますならば、少なくとも五十や八十の下請業者が集まって一生懸命に仕事をやる。それでそれらの人たちは三拝九拝して三ヵ月なり五月ない半年の手形をもらって、そうして細々ながらやっておるような状態であります。したがって、そういうものから二割なりそれ以上の天引きされたものを今度は中間の業者がまた一割も引いて、実際の零細の下請業者には二割五分ないし三割引いたものがくる。そうしてそれが、手形をもらって、そうして現金は、工賃はその月十五日、十五日に払わなければならぬということになりますと、結局は金が間に合わないから借りにいかなければならない、手形が落ちないから倒産する、これが現状です。したがって、どうしてもそれを打開するかということになれば、私どもは対等として、そういう中間搾取のできないような中小企業者組織を強固にして機構をつくって、それにいく以外には道がないのではないか。それにはこういう法案ができて、組合をつくって、そうしてそれを認めていただけるような方法をとっていただければ非常に私どもはしあわせだ、ぜひひとつそういうことにこの法を運用していただきたい、こう考えるわけです。
  22. 小柳勇

    ○小柳勇君 成重さんにもう一問。  最後におっしゃいました従業員確保の問題ですね。従業員確保の問題で、たとえば福利施設とか厚生施設とかいうことでありますが、一番根本は給料じゃないかと思うわけですね、給料がやっぱり。さっきの稲川さんの発言にもあったと思うのですけれども、コストの問題が——発注単価の問題ですね、発注単価の問題が安過ぎて、したがって中小零細企業は高い給料を出せぬものだからなかなかいい労働者が集まらぬということになるのじゃないかと思うのですが、これの現状と、それを確保するには一体どうしたらいいか、もうちょっとその見解をお聞かせ願いたいと思います。
  23. 成重光真

    参考人成重光真君) 一番のやっぱり中小企業者の悩みは、そういう最近における手形の乱用ですね。私ども手形というものはほんとうにありがた迷惑だと思うし、だれがあんなものを考え出したかと思うのです。困っておるのですけれども、といって私ども手形を簡単にそれにかわって利用できればいいですけれども中小企業者手形になりますと、出入りの商人すなわち鋼材屋、材木屋その他関係業者は、私たち中小企業者が隆々とやっておれば、いや、あなたのところの手形でもいいと言うが、ちっとでも評判が悪くなれば業者あたりが赤信号を出すようになるし、手形の決済がぎりぎりになるかあるいは翌日の交換に回ったときに、かろうじて朝早く金を調達して銀行回りをするようになりますと、翌日は直ちに銀行協会に赤信号が出る。そうすると直ちに仕事はストップしてしまうのであります。そうすると必然的にやはり何かの無理をしなければならぬ。これが一つ困る。  それから人間の問題、最近はやっぱり大手会社にいたしましても、それは八幡製鉄や、大きいところでは住友金属であるとか、そういうところの従業員の平均給与とわれわれ中小企業の平均給与というものは格段の差がある。そしてその給料もあるいは月によっては払えないで翌月に繰り越す場合もある。それから今度はいろいろな福利厚生施設等もなかなかそれは一生懸命にやってはおりますけれども 向こうはりっぱな大きな大浴場をやっておるが、われわれのところは五右衛門ぶろをまきをたいて、それにかろうじて入らせる。食堂にいたしましたところで、何かわずか板のテーブルを置いてお茶だけ出して、各人が持ってきた弁当なり昼食をとっていただいて食べさせるというのが関の山です。だから、いまのような中小企業者がそういうような浴場であるとか脱衣場であるとか、娯楽機関であるとか、厚生施設をつくる余裕なんというものは、これはとうていありません。そういうものがない。したがって学校を出た者は、それは私どももいろんな縁故で卒業生は雇うてはおります。特に高校程度の建築技術者などは来るには来ますが、三年くらい現地でもって監督をやらして、そして二級建築士の免状でも取りますと、それはいつの間にか何々会社の大手のほうに引っ張られるというのが現状です。これを何とか基準監督署かどこかであるいはこれを確保するような、あるいは制約をするような方法ができれば、これはいまは自由ですから、おれはいやだと言うて退職願いを出していけば、おまえなぜやめるかと言うて引きとめるわけにもいかないし、引っ張るわけにもいかない。一番の悩みです。どうするかといえば、やっぱり何とか会社の運営が、経営が、もっと軌道に乗れば、そういうものも大手に負けないように、あるいは少なくともそれに匹敵はしなくても、かつかつについていけるようないろんな設備もしなければならぬと思っております。これは私たち自身のそういうことに対する施設なり、手当てがやはり行き届かないからであります。そういうことも悩みでありますが、これはひとつわれわれでもってみずからが解決しなければならぬ問題であります。ただ、まあ早い話が、私どものところは幼年工の養成所みたいなものですから、最初一年や二年は役に立ちません。製図さしても十分書けませんから、建築図画を出してみてもわからず、監督にやっても、まだ実際は役に立ちません。少なくともそれについて二年、三年は教えてやらなければいかぬ、指導してやらなければいかぬ。期間を経て役に立つようになると、もうそういう者が出ていく。それが一番の悩みです。しかし、これは何といってもどうしようもない。これが現状で、ジレンマにおちいっております。そういうことを私どもこれから考えていくには、やはり中小企業が幾らかでも経営が豊かになるようになれば、そういうことも徐々に解決できるのじゃないかと思う。  まず第一は、待遇において大きな格差があります、給与において。それからそういう施設においてやはり劣勢であります。それはわかり切っております。それを十分あれすれば、これは解決できるのじゃないかと思う。それは要するに、中小企業がもう少しそういう経営の実態が楽になり、経営ができていけば、そういうことも解決する問題だと考えております。
  24. 小柳勇

    ○小柳勇君 私だけ質問しても何ですから、もう一問だけ。伊藤さんに登録手続の煩瑣の問題の話の中で、総理府に出すと、その接続する官庁は宮内庁まで一括よろしいという話がありましたが、そういうことをもうちょっとお話願いたいと思います。
  25. 伊藤正夫

    参考人伊藤正夫君) いまの御質問の点につきまして、総理府の官房会計課長に、要するに総理府を防衛庁は同じ申請書の様式を売っておるわけです。それを買ってきまして、付属書類を、要するに銀行の証明書から、納税証明、発記謄本、代表者の資格証明証、それから印鑑証書といったような、ここにも資料がありますが、それをつけて出しますと、総理府関係で申しますと、内閣から宮内庁、行管、科学技術庁、経済企画庁、それからここにございますが、十七カ所、一カ所に登録すると十七カ所に通用するわけです。ところが、今度は防衛庁は調達実施本部、調本がございますから、私どものお願いしたいのは、ここに登録しますと、防衛施設庁も、海も陸も空も自衛隊の会計隊にも通用する、あるいは防衛施設庁に、あるいは松戸にも、中央病院にも、富士学校にも、三十何ヵ所ございますが、そういったような防衛ブロック、総理府ブロック、あるいは経済官庁ブロック、あるいは文部、労働を含めたそういうブロックに分けて、中央官庁あるいは中央の省庁に登録すれば、出先の何々局、通産局あるいは国税局、そういうようなところにもそれが通用するように、何か登録窓口合理化ができないものかということが一つと、それからまた同じ役所であっても、出先の局と本庁とは中の内容は同じですけれども、申請する様式が違うわけです。ですから同じことを書くのにも、代表者氏名は今度はこっちへいっておる、社名はこっちへいっておって、営業の概要はこっちになる、そういうフォームがかなりみんな違っておりますから、この官庁の申請書のフォームを全部統一していただくと、私たち登録をする場合に、その同じフォームでもって全部それに書き込ましておいて、通産省の官房会計課長殿、厚生省の官房会計課長殿といって判をつくっておいて、押してそれを持っていけばいいということが一つと。それから受付の締切り日が、これがまたどういうわけか、その年によっても、官庁の御都合で違いますが、ある官庁では三月十五日が締め切りだ、うっかりして二十日に持っていったらば、もうだめだ、あるいは二月末だと、あるいは三月の末までいいんだと、あるところになると六月の十五日が切りかえだというような、登録も新規登録登録更新の二つに分かれておりますが、それは書類が全部同じフォームでございますけれども、三年も五年もやっておって、何もミスのない誠実な営業をしておるところの更新というものは、決算書と印鑑証明ぐらいでかんべんしていただくと、登記謄本をとるのにも、やはり会社の経理記帳をつくるのにも、七十円も百円もかかるというような経費と時間の浪費がだいぶ省けるとすれば、それが役所のそういうようなわずらわしい審査方法も何とか簡略にできて、事務能率化が行なえるのじゃないかというように考えております。
  26. 小柳勇

    ○小柳勇君 長官に質問しますけれども、おたくから「官公需契約の手引き」というものをいただいて、それを読むと、いまおっしゃったとおり書いてあるわけです。いまどこが担当かわからないけれども、そういうのを法律ができた機会に統一して、いまおっしゃった参考人意見もしんしゃくしながら、何か統一的にあるいは形式の統一とか、期日の統一とか、あるいはABCDEのランクの統一とか、そういうものに積極的に乗り出す決意がおありかどうか。どこが担当かわかりませんですから、長官の見解も聞いておきたいと思います。
  27. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 各参考人のただいまの官公需契約につきましての簡素化あるいは合理化、様式の統一というような点につきまして、非常にいい御意見だと思いますので、今後各省連絡会議等も通じまして、強力にこの件につきましては要請をしていきたいと考えております。
  28. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 さっき手形の問題が非常にいろいろ、特に成重参考人からお話があったのですが、この問題は機械金属の関係については百二十日をこえちゃいかぬ、それから繊維関係については九十日をこえちゃいかぬ、これは法律によって一本化する規定のしかたが困難だというところから、業種別にいま申したような基準を公正取引委員会中小企業庁で相談の上決定して、その通牒も出ているわけです。もちろん機械金属関係では百二十日より短いものはいままでどおりその短いままでいかなきゃいかぬが、最長百二十日をこえてはいかぬというふうになったのでありますが、この点成重参考人は御承知なのであろうかどうか、その点承っておきたいと思います。
  29. 成重光真

    参考人成重光真君) 十分承知しております。たとえば銀行にいたしましても、手形の割引等の場合に、歩積みをとっちゃいかぬとか、いろんなことは、これはいずれも銀行は制約されておりますが、実際の運用面においては表向きはその名前でなくて、何らかの名前において、たとえば定期預金をするとかなんとかいうような形の変わった面で、やはり銀行に対しては、私どもはそういうもので、これは搾取と申し上げますと、ことばは的確でありませんけれども、そういうことをやむを得ずされておる。それはきまりはそういうことになっておりますが、実際においては、苦しい場合には、相手方が苦衷を訴えられて、こうであるけれどもいいですかということを承知の上で私どもはもらっているのですから、いたし方ありませんですけれども、これは十分承知の上でそういう長期の場合ももらう場合があります。
  30. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 中小企業庁長官のほうでは、いまの趣旨徹底についてPRを十分しておられるのですか。
  31. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先般、先生御指摘のとおり、機械工業関係につきましては、取り締まりの基準を百二十日以上、それから繊維関係につきましては九十日以上ということを決定いたしまして、公正取引委員会との共同通牒を各団体に流しました。それから大きい親企業に対しましても流しました。それから全銀協を通じまして、各銀行にも趣旨徹底をはかっておるというような措置をとっておりますが、それが相当徹底いたしまして、たとえばバネの業界あたりにつきましては、親企業に対しまして下請代金を要求する場合に、私どもの出しました通牒を代金請求書につけて出しておるというようなこともやっておるようでございまして、不十分かと思いますけれども、相当徹底はさせておるというふうに考えておる次第でございます。
  32. 小柳勇

    ○小柳勇君 せっかくの機会でありますから、時間をちょっといただきまして、稲川さんに質問いたしますが、稲川さんも成重さんもおっしゃいましたが、国から大企業へのお金は現金でとっておいて、それが手形下請に払われるということですね。その点について、これは成重さんの公述がありましたけれども、何か特別な措置をとらなければならぬと考えるのですが、どうしたらいいかこれは大企業が自粛する以外にないのですが、何らかこういう点についてのお考えございますか。
  33. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) この前に、下請代金の支払いの問題につきまし三銀行が親企業融資するときに、ひもつき融資で必ず下請けに払ってやれ、融資をする、こういう方向が出たことがございますが、それと同じように大会社、親企業現金払いをするときには、関連下請企業に対しましては、やはりひもつきと申しますか、下請にも現金で払ってやれ、こういう条件か何かで現金を渡していただく、こういうふうな措置でもとっていただければ非常にありがたい、こういうふうに思っております。
  34. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二の問題は、組合一括発注禁止で、すね、一括下請禁止のところで、これで組合に対する発注一括発注と見られて禁止されておるものと理解する、こうおっしゃったけれども、そういうふうにいままでとっておられたのでしょうか。私ども考えてみて、これは組合でも下請一括発注の範疇外と考えておるのですけれども、いかがですか。
  35. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) 私ども実際その発注をとった経験はございませんので、これは会員からのいろいろ要望なんでございまするけれども、先ほど来申し上げましたように、工事並びに測量関係におきましては、別に協同企業体というものをつくってやるという制度はありますけれども組合というものは一括下請である、こういう見解のもとにこれには発注しない。ただしこれは原則でございまして、特に認可があればできるということにはなっておるようでありますけれども、実際問題といたしましては、組合に対してはそういう意味において発注がなされない、こういう現状であるということで、いろいろ要請を受けておりますので、この機会に申し上げたわけでございます。
  36. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、刑務所印刷が安いというこは知っています。あるいはその他の製品が特別に安いということは知っていますが、これは特殊事情であろうとわれわれは理解しておったのですが、ほかにもこういう仕事がございましょうか、この刑務所の作業以外に。何か御存じございますか。
  37. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) たとえば市あたりでガス事業をやっております場合に、ガス事業は都市ガスだけでいいではないかと思うのでありますが、プロパン事業まで始める、こういうようなことでプロパン業者が非常に困るということで、プロパンはひとつ民業にまかしてもらいたい、こういうような要請がかつて島根県からあったことがございますが、いま現在その点はどうなりましたか、解決ついたかどうか、正確に承知しておりませんが、そういうような問題があったわけでございます。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業団体が長年にわたって官公需発注の問題を要望しておられたので、これが今度政府案、さらに社会党、民社党案として審議されておるわけで、間もなく今国会でこれは私は成立をみると思うのですが、そこで、私は問題になると思うのは、まあこれは完全なものではないから、やはり将来またこの改正等についても考えていかなければならぬと私は思うのです。そこで、いままで各参考人方々から御意見を拝聴しておりますると、先ほど小柳委員が御質問をいたしましたように、官庁では現金で支払う、ところが、下請の皆さんのところには今度は手形でくる、こういうような問題がある。これは受注するほうも、官庁の仕事は安いけれども現金払いだからまあやっていこう、こういうことで受注される点が多いのじゃないかと思うのですよ。それがいまお話を聞いておりますと、親企業のほうは現金でもらっておりながら、その下請には手形で支払う。これはまことに矛盾した問題だと思うのです。今度は直接発注ということになりますると、そういう問題は解消されていくと思うけれども、全部が直接発注じゃない。やはり中には公共企業におきましては、大企業に対するところの発注、さらにそれを大企業下請発注するということがまた繰り返されていくと思うのであります。そこで、従来下請のほうには、そういう親のほうが現金でもらってくるのに自分のところには手形でくる、安いものがなお安くなる、こういうことになるから、従来しばしば問題になるように、手抜き工事などが出てきて不正が行なわれることも、私はそういう点からくるのじゃないかと思うのです。そこで、中小企業庁の長官にお尋ねするのですが、従来はそういうことで官庁では現金支払いをしておるが、その下にいくと手形で長いサイトで支払われる、これはまことに私は遺憾な点だと思うのです。これからやはり直接発注される分については問題はないと思うけれども、大企業に対する発注の場合、大企業から下請、さらにその下請、こういうふうにいくのが建設業界においては従来しばしば問題であると私は思うので、今後はそれらに対して、通産省はもちろんのことでございまするが、他の各省へ、あなたのほうが連絡会議を持たれた場合、そういう点もひとつ十分指示していかなければならぬ。そういう現金で支払った場合はやはり現金で支払え、こういう強い指示をあなたのほうでせなければ、私はこの法案を今国会で成立さした価値というものが薄らいでいく、私はこう思うのですが、この点あなたのほうの考えはいかがですが。
  39. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のとおりでございまして、今後発注官庁を通じまして、親企業をそういうふうに指導していくということを、各省に対しまして強い要請をしたいというふうに考えております。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 それから伊藤さんにお尋ねするのですが、おたくはだいぶ官庁関係に納入されておるように聞いておるのでございますが、全販売量のうちで官庁関係に納入しておられる割合というものは一体どれくらいでございますか。おわかりでしたらば、克明でなくておおよそでいいんですが、お教え願いたいと思います。
  41. 伊藤正夫

    参考人伊藤正夫君) いまの先生の御質問に対しましてお答えいたします。まあ私はこの仕事に入ってからまだ十年ぐらいで、まだまだ十年も二十年も苦労をなさっておる中小企業がありますが、私のところでは全体の四〇%弱でございます。しかも、大企業とか、デパート関係のおこぼれを十万、二十万、多いときでも百万以上ということは、年間を通じ、または過去八年か九年の実績においても、五百万以上の契約をしていただいたということはほんの数えるくらいしかございません。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 成重さんにお尋ねするわけですが、特に建設業界では大きな工事が多いと思うので、その場合に一括して請け負わせる点と、それからたとえば堤防の工事なんか、これは土建会社が請け負うのですが、これを中小企業に請け負わせる場合に、分割してこうずっと請け負わせる場合があるのですね。ここからここ、ここからここと。分割して請け負わせる場合に、あなたのほうは従来分割受注で、金額にしてどれくらいが最高の請負であったか、いわゆる受注があったか。この点いかがですか。
  43. 成重光真

    参考人成重光真君) まあ大体私どものところで最高五千万円程度工事は施工したことはたびたびあります。大部分が私は建築関係工事でありますが、そういう砂防工事であるとか、あるいは干拓工事であるとかいうようなのを分割して請け負った経験もたびたびあります。しかし、それは私どもの能力ではやはり五千万円程度でないと、期限なりそれから能力において。ですから一つの干拓工事に対するそういうものは、三人なり五人の業者がやる場合が出てきます。そういうことの経験はあります。金額の点においてはそういうことです。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 稲川さんに代表してお答え願いたいのですが、私どものところにいま陳情があるんですが、たとえば官公庁の問題に準じて、公益事業というものは政府から多くの援助というものを受けておる。だから今度の官公需中小企業受注法律が出たんだから、この際に公益事業関係、いわゆる電気、ガスですね。こういうところの問題も官公庁並みにひとつ扱ってもらえないか、こういうことをひとつ委員会でも主張してくれという陳情があるわけなんで、これは中小企業団体の皆さんは、やはりそういうふうな考えをお持ちになっておられる方々も私相当あるんじゃないかと思うのですが、こういう点について稲川さんはどういうふうにお考えを持っておられるのか、この点ちょっとお尋ねいたしておきます。
  45. 稲川宮雄

    参考人稲川宮雄君) 毎年大会などを開きます際も、やはり御指摘のような要望が出ておりまして、そういうこともいつも決議に入っておる。こういうことでございますので、やはりできるだけ本法の官公需に準ずるよう指導していただきたい。こういうのが私ども団体の従来からの意見であり、要望でございます。
  46. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ほかに御発言もなければ……。
  47. 成重光真

    参考人成重光真君) はなはだすみませんが、せっかく九州からこればかりで来たのですから、皆さんから、もう一ぺん念を押して帰りたいと思うのですが、どうもすみませんが。先ほど申し上げた三つの点は、ひとつ十分お含み御勘案の上、本法案の可決後におけるまた執行に対しましてもお願いしたいと思うことは、第一点は、私どもはいままで組合はつくっておりますけれども、先ほど申し上げましたように、中金あたりの金を借るためにほとんどつくっておる組合であって、実際のそういう協同組合をつくったのを大手並みに認めていただいて、そういうAクラスに乗り出す力は十分ございます。同時に契約にいたしましても、それだけの二十人なり三十人なりを合わせれば、それは天下屈指の建設業者よりも、実際の実力においては、その組合のほうが結束をすればあります。それは自信があります。そういうものをひとつ十分諸官庁においては、強固なる確実な組合ができたならば、それはひとつAクラス並みに扱ってもらいたいというととを御勘案願いたいということが一つ。  それから第二点の下請業者に対する先ほど来論議されております賃金支払い、工賃の支払い工事費の支払い等につきましては、十分ひとつ御研究願いまして、先ほど来金属業者に対する手形は百二十日以上ではいけないということになりますけれども、そういうものを出した場合、そういうものの罰則というものはこれという何はない。ただそういう通達なり注意によってやっているので、それをやったからといって、そういう長期の手形を振り出したからといって、それを何も罰するあれはないんですからね。しかしそれはやったほうは、百二十日が百五十日になっても百八十日になっても、もうしかたがないからもらいます。そういう点はひとつ今度は振り出すほうがそういう点を厳重に守ってもらう。もし守らなければ、何らかの罰則を考えるということまでいかなければいけない。そういう延べ払い等に対する支払い、そういう支払い点に対して十分ひとつ御研究願っておきたい。  第三点は、私たちの技術者、労務者の確保に対する中小企業者の悩みを解決する何らかの対策をひとつ、私たちも研究します、皆さま方においてもひとつ十分御研究願いたい。この三点だけは、この法案を可決後における、執行する上においてぜひこれは必要なことだと思います。重ねてこの三点をお願い申し上げておきます。  それからもう一つ最後にお願いしておきたいことは、最近はあらゆる地方における仕事は、全部といっていいほど銀行のひもつきです。Aの会社の仕事をやるから、ぜひ地元であるからわれわれが設計施工したいといいましても、あれは何々銀行のひもつきだから、その何々銀行は東京において、中央において業者を指定してきます。それは何億何十億という仕事ならばこれは別です。しかしながらわずか三百万円か五百万円か一千万円の仕事を、銀行がそこまで大企業者に対してひもをつけられたのでは困る。こういう点を十分御注意願いたい。必ず最近の仕事は銀行が中央からひもをつけてきます。施工主に行って三拝九拝してお願いしてもしようがない。銀行から金を借りる以上は、この銀行の言うことを聞かないと、わしが困るとこう言われると、私たちも困る。そういう点もひとつ十分御留意願って、何らかの機会がありましたら、銀行屋さんのほうにそういう点をひとつ中小企業育成の意味において、そういうひもをつけないようにお願いしたい。この四つをお願いしておきます。
  48. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 別に御発言もなければ、参考人方々に対する質疑はこの程度にいたします。  この際、参考人方々に一言お礼を申し上げます。本日はきわめてお忙しいところを御出席をいただき、また長時間にわたり御意見開陳質疑に対するお答えをいただきまして、まことにありがとうございました。重ねて委員一同にかわって厚くお礼を申し上げます。まことに御苦労さまでした。  午後は一時半より再開することにいたし、これにて休憩いたします。    午後零時七分休憩      —————・—————    午後一時五十五分開会
  49. 村上春藏

    委員長村上春藏君) これより商工委員会を開会いたします。  先ほど委員の変更がございました。  西川甚五郎君が辞任され、その補欠として吉武恵市君が選任されました。     —————————————
  50. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 午後は政府に対しまして質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  51. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この法律の制定を見ましたる場合に、その実効を確保するためには、どうしても具体的な措置に入らなければならぬと思いますので、私は特に具体的な問題についてこの際明らかにしておいてもらいたいと思うのであります。  まず第一でありますが、すでにアメリカで官公需発注中小企業に対する特別の制度を実行していることは、政府側でも御承知のことと思いまするが、これについては、たとえば日本の防衛庁に当たるようなところに対して、中小企業の実態のわかる役所側からそれぞれ当該官吏を派遣いたして、そうしてその当該官吏が発注の仕様書を見て、これは当然中小企業のこなし得るものだと考えた場合には、それに対して発注をさしていくという振り分けをやっておるのであります。アメリカにおいてもすでにこれぐらい徹底したことをやっておるのでありますが、今回のこの法律制定にあたっては、かような行き方を日本でもやる必要があるのではないか、そうでないとほんとうに実効があがらないのではないか。たとえば日本でやる場合には、一例でありますが、防衛庁あたりに、衣料品については通産省から中小企業のよくわかっている係官を派遣するとか、食料品関係については農林省から当該官吏を派遣する、その意見によって適正なる中小企業に対する発注をしていくということが伴なわなければならぬと思うのでありますが、これについてはどういう考えを持っておられるか、その点をまず第一に承りたいと思うのであります。
  52. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のとおり、米国におきましては、官公需発注にあたりまして、中小企業庁から発注官庁のほうへ担当官を派遣いたしまして、発注担当官と協議をして中小企業者のほうへできるだけ注文を回すという措置をとっておることは事実でございます。日本においてその措置をとるかどうかということにつきまして、これは将来そういう方向で私どもも検討をいたしたいと思っておりますが、中小企業庁の現在の職員の数というものには限りがあります。それで将来の方向としては検討いたしたい。それと同時に、各発注官庁のほうでも、この中小企業官公需確保に関する法律を制定実施するに際しまして、相当前向きで考えていただいておりますので、そういう各発注官庁の努力にも期待いたしまして、今後の検討事項としてやっていきたいと思います。
  53. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 前向きで、中小企業庁はもちろん、関係各省でも検討せられるということでありますが、これは早急に検討実現をせられたいと思いますが、さしあたりは、まあそれだけの人員も中小企業庁には乏しいというようなお話でありますから、これは一つの、かくもしてみたらという案でありますが、今回物価対策については物価担当官というものを各省に置いて、そしてこれを経済企画庁で統括していくという行き方をやったのでありますが、この問題については、中小企業担当官というようなものを発注官庁である関係各省に置いて、それも特設というところまでいかないまでも、兼務の形でこれをやる、そして中小企業庁で一つ方針のもとにこれを動かしていく、それぐらいのことは少なくともあってしかるべきだと思うのでありますが、その点はどうですか。
  54. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 各調達官庁に中小企業者の側に立って発注というものをチェックしていくという、各省の担当官を設置するという先生の御意見でございますが、非常に私ども参考として、実施にあたりまして、そういう方向で各省にお願いをしていきたいと思います。
  55. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この点については異存が政府側はないようでありますから、これは通産大臣が見えておれば、ここで念を押すのでありますが、その点は後ほど通産大臣が見えましたら、特に念を押しますけれども中小企業庁長官は前もって連絡をしておいてもらいたいと思うのであります。  ちょうど通産大臣が見えましたから。実は通産大臣、ただいま中小企業庁の長官が答弁をされたんでありますが、と申しますのは、要点だけ繰り返して申しますけれども、アメリカでは官公需発注中小企業に対する分について、実に手の行き届いた行き方をしておるのであります。これは中小企業の実態のよくわかる係官を、たとえば防衛庁のようなところに派遣をいたしまして、その判断によって、中小企業に向け得るというものは振り分け発注しておる。これについてどうかという質問をいたしましたら、前向きの姿勢で、中小企業庁はもちろん、関係各省ともこれを検討していく。実行もしていきたいという話であったんでありますが、目前のことといたしまして、もう一段ここで考えるべきは、関係各省、発注官庁のほうに、中小企業描出官というものを兼任でいいですから、さしあたり設けまして、ちょうど物価担当官を設けて、物価対策の推進、協力、横の連携をとっていこうというあの行き方を官公需発注にあたりまして、中小企業担当官を関係各省に兼務の形でそれぞれ任命し、これを中小企業庁で統制していくといういき方があって、初めて今回の官公需発注確保に関する法律も生きてくるのではなかろうかというふうに考えるのでありますが、中小企業庁長官はまことにけっこうである、やるつもりでありますということでありますが、事重大でありますから、ちょうどまたぐあいのいいことに三木通産大臣がお見えでありますから、その点特に念を押しておきたいと思うのであります。
  56. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) いまのお話は、非常にすぐれた着想だと思います。われわれもこういう法律をつくっても、このことが官公需中小企業向けに需要が拡大しなければ、これは立法の趣旨は貫徹できないわけですから、何らかのくふうが要るということを感じておったわけであります。非常に御提案は、これはすぐれた着想でございますので、御趣旨のように、形はどういう形になりますか、そういう豊田さんの精神が生かされるように、ひとつ考えてみることにいたします。
  57. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 一応満足いたしますが、どうか精神だけでなくて、具体的に実効が上がりまするように、三木通産大臣はこの法律提案するしないのときに、非常な御熱意をもって、多少抵抗もあったのを押し切られたそのいきさつもあります。ぜひとも実効の上がるように、しかもすみやかなる措置を願っておきたいと存じます。  次には、これに関連するのでありますが、やはり一つ官公需発注につきましては、発注基準、これをつくっておく必要があるだろうと思います。本来ならば法律くらいでいきたいのでありますけれども法律でいかないまでも、政令とか、あるいは内規とか、そこらでいったらと思うのでありますが、すでに建設関係につきましてはお聞き及びかと思いまするけれども、一億五千万円以下のものは中小企業に向けるということに決定、実行しておるようであります。建設部門についてすでにそうなんでありますが、かようないき方を発注官庁全体やはりとっていくべきであろう。それについては金額で押えるか、あるいは金額で押えにくい場合には資格で押えていくか、いずれかとっていかないと、絵にかいたもちになるおそれが出てくると思いますので、この点もひとつ伺っておきたいと思うのであります。
  58. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) お話のようなことは、この法案が通れば必要でございますから、何というか、工事にはあるんですけれども、物品の調達などについてもそういう基準が必要だと思いますので、これはつくることにいたします。
  59. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これもお約束ができましたので満足いたします。すみやかなる実行を期待いたしております。  次には、第三条に、今回組合発注法律で明記せられておるのであります。これを読みますると、「組合国等契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」、この「活用するように配慮」というのは、どういう用意をしておられるか。この点をまず承りたいと思うのであります。
  60. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先生すでに御承知のように、予決令の第九十九条の第十八号におきまして、協同組合等から直接に物件を買い入れますときには、随意契約のやり方でやることができるということになっておるのでありますが、ただ組合発注につきましては、あまり従来の実績から申しまして活用をされておりません。そこで今後これを法律趣旨に沿いまして活用をしていくという場合に、発注官庁側の問題が一つと、それから組合側の問題が一つと、両方あると思います。発注官庁側にお願いしたいことは、結局のところ競争参加の場合の資格の審査の場合に、組合登録等ができるようにしてもらう。その際に資格基準をきめる場合に、実績等を勘案してその登録をきめるわけでありますが、その場合に中小企業の個々の企業者の組合のメンバーの実績を加算したものが、協同組合の実績だというふうに認めてもらえるというようなことができますならば、組合の実績ということにつきましても相当見てもらえる。で大きいロットのものも受注できるということになるわけであります。そういう発注官庁側の発注基準をきめる際に、組合が参加ができるようにこれをしてもらうということが一つ。それから組合の側から申しますと、組合共同受注をやります際に、責任体制がはっきりしていない。あるいは検査の設備機構がはっきりしていないというような点もございます。それを私どもとしましても指導をいたしまして、信頼性のある協同組合というものに指導をしていかなければならない。この二つの問題がありますが、そういう方向でこの参加のできるように、活用できるように努力をしていきたいと思います。
  61. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 従来組合官公需発注の対象にしておる場合でも、御承知と思うのでありますが、たとえば指名入札からは組合なるがゆえに除外をしておる。実際問題としてはそういうような扱いをやってきておる例をしばしば聞くのであります。そういう点でいま随意契約の問題については触れられたのでありますが、指名入札等の場合においては、中小企業庁のほうから、全国の組合を見渡せば、これは指名入札などの中に入れてもしかるべきだというような優良組合はわかると思うのでありまして、これには事前に連絡をして、指名入札の中に入れるというくらいにはすべきだと思うのであります。あとの祭りになって、ああそういうことがあったのかじゃこれはどうも実効が上がらぬのでありますが、中小企業関係は、えてしてそういうことになるおそれがあるのでありまして、その面においては組合指導、それから組合受注を受けるについて適切なる結成指導、それからいま申す指名入札にあたっての事前の誘導、こういうようなことが必要だと思うのであります。この点について三木通産大臣の政治的御判断を承りたいと思うのであります。
  62. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 豊田さんの御発言ごもっともなことが多いわけであります。さような方法でないと、なかなか中小企業というものはいままでなれておりませんから、こういうことに。よほどこちらからそういう機会を与えることに積極的な努力をする必要があると思いますので、御指摘のような方法を講ずるようにいたしたいと思います。
  63. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 三木通産大臣、誠意をもってお答えいただきましたので、これは八百長質問でなく満足をいたします。そういう点におきまして、ぜひともいま言われたようなところは実行せられるように特に重ねて要望いたしまして、あと質問がつかえておるようでございますから、これをもって私の質問は一応終わります。
  64. 小柳勇

    ○小柳勇君 この法律の質問に入ります前に、午前中の参考人の御意見、貴重な意見がありましたから、これに対して大臣の見解を聞いておきたいと思います。  第一は、ただいま豊田委員から発言がありました組合結成することについての指導、そのできました組合を大手並みに扱ってくれないか。組合だけ結成いたしましても、それが大手の下請企業になってしまっておるような現状であるから、それはそれなりに見てくれぬかという注文がありました。大臣の見解をお聞きいたします。
  65. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) そのとおりに私も考えております。
  66. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二の問題は、下請業者に対する賃金支払いが、官公需として国からは大手企業現金で支払うが、あと手形支払いになっておる、しかもその手形をお受けしないと仕事をもらえないから、泣く泣く手形でもらう、ところが、これが機械工業であれば、たとえば百二十日、あるいは六十日なら六十日と期限を切ってある。それでやりくりがつかぬ。官公需一般の支払いは期限を短くして、そういう規制をしてくれないかと、特にこれは法律でやってくれという注文がありましたけれども、そういう点に対する今後の大臣の見解を承りたい。
  67. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) いまのお話の百二十日などは考えていないのです。これはやはり現金でくれば、下請にもやはり直ちに支払うように行政指導をいたします。
  68. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまのその行政指導の具体的なやり方について長官からお聞きしたい。
  69. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 発注官庁から親企業に対して現金で支払われた場合に、下請に対してもそれを手形でなくて現金で払うということにつきましては、発注官庁のほうにお願いをいたしまして、発注官庁が親企業に対して、発注の条件としてそういうことをやっていただくように要請をしたいと考えるわけであります。
  70. 小柳勇

    ○小柳勇君 第三の問題は、技術者、労務者などが中小企業ではやっとなれた者が大企業に引き抜かれてまいる。その労務者の確保が非常にむずかしい。それは原因はいろいろあるけれども、やはり賃金が安いのが第一の原因である。第二は厚生施設、福祉施設が劣悪である。私の考えるところでは社会保険などもほとんどはいれない、失業保険にいたしましても、労災保険にいたしましてもはいれない。したがって、その確保対策について今後ひとつ政府として考えてくれという注文がありました。まあ抽象的に言ってもしようがありませんが、私どもがいま一番考えておるのは、官公需として発注する場合にコストを、ちゃんと単価を計算するわけでしょう。そうしますと、材料の単価も一切きまってまいる。そのときに労務者の単価というものは下請企業にまかしておく。だから、私どもが言っておるように最低賃金制を確立いたしまして、まずひとつ労賃をちゃんと、どういう企業であろうと、こういう機具を注文する場合にはその職によって大体の賃金をきめておいて、労賃は幾ら、資材は幾らというふうにちゃんと設計のときに計算をすれば、その下請企業なり、零細企業なり、中小企業では、労賃については大体その単価を頭に入れておって払えばいいわけですね。そういうものが不備なために、この劣悪な賃金で働かざるを得ないという現状ですね。たとえば造船業界を見にまいりますと、表看板に働いているこの造船企業の労働者と、一番下で働いている下請労務者、同じ高等学校を出ました青年が賃金が半分ですよ。そういう現象をわれわれ見ています。したがって、われわれが言っているように、その業種における最低賃金制度、いわゆる賃金に対する規制を早急にやりませんと、中小企業の労務者確保というものはできないのじゃないか。第三は社会保険の適用ですね。五人未満の事業所に対する社会保険の適用は、最近労働省は積極的に取り組んでおりますけれども、これはやはり労働省だけでなくて通産省も、各官庁の問題ですね、それが指導しなければいかぬ問題ですよ。そういう問題については非常に冷淡ですね。労災については労働者、あるいは失保についてはこれは労働省でやりますけれども、そういうふうでありますから、この際そういう根本対策を考えなければならぬと思うのですが、大臣の見解を聞いておきたいと思う。
  71. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 大きな点からいえば、こういう人手不足の時代ですから、中小企業もやはり低賃金でその上に経営をしていくということは次第に困難になっていく。どうしてもやはり中小企業の生産性を高めて大企業に匹敵する賃金を支払える中小企業ということにならないと、例のいま御指摘のあった社会保険なんか、これはやはり将来検討されなければならない、五人未満の従業員の社会保険の制度などは。しかし、それだけで解決しないですからね。根本はやはり中小企業の持つ生産性を高めて、大企業並み賃金を支払うということでないと生き残っていかないですね、長い目で見れば。それは根本だとは思いますが、その発注団体があまり安い単価ということも、これはやはりいろんな意味において弊害があると思います。それはやはり適正な価格でないと、あまり値段を下げるということになれば、いま言っておった弊害の面も非常に出てまいりますから、そういう点では適当な価格でやはり発注するということが必要だと、しかし、中小企業の救済という意味が発注の中になかなか入ることは私は困難だと思う。そういう意味で、今後中小企業自体の体質の改善というものが必要になってくる。社会保険などについては政府はできるだけのことをしなければならぬ。最低賃金については、これは普及につとめておるわけですが、社会党の考え方とは多少違うのでありますけれども、最低賃金制度というものを、できるだけ現行の最低賃金制度を普及していこうという努力はいたしておるわけでございます。これにはどうもあまりすっきりしたお答えがないという——それはやはり本質の問題、中小企業の持っておるそれはやはり体質を改善して近代化していこうというこの努力も伴わないと、ただ現状のままで中小企業に、みな発注が非常に高くても中小企業のためにという考え方は、ちょっとやはり国費の使い方としての本質を曲げるきらいがある。中小企業自体の体質の改善を伴っていくということも伴わなければいかぬと思います。
  72. 小柳勇

    ○小柳勇君 その点については、大臣の見解少し不満ですね。この法案そのものには努力されておりますから、あまり他にくさしたいとは思いませんが、やはりこの法律の一番根本はそこにあらねばならぬのではないか、とにかくこの法律中小企業を何とかこの際救済していこうということが根本ですからね。それには参考人の公述もありましたように、人が集まらぬのだ、だからりっぱな仕事ができぬのだ、だから役所から信用してもらえぬからいままで仕事がないのだと述懐しているわけです。そうしますと、そとに優秀な技術者なり、あるいは若手なり優秀な従業員が定着いたしますと、いい賃金がもらえるということなんです。したがって、言うならば大臣はこの法律をつくられると同時に、その面まで、労働省なり関係省と連絡をとってもう少し優秀な人が集まるようにしようではないかという対策が別にうらはらにあって、それが表裏一体となってこそ、この法律は生きてくると思うのですね。それにはいまの業者間協定とおっしゃいますけれども、これはまだちょっとわれわれは最低賃金と思っていないのですよ。その地域で適当にやりますけれども、すぐにそれは通用しなくなってくるのです。何にもならなくなっている。したがって私どもは全国一律と言っておりますけれども、少なくとも大工なら大工、左官なら左官というものの横断的な最低賃金でもせめてやっておきませんと、中小企業者には人が集まらない。それだけきまっておりますと、それがコストになりますから、設計のときにちゃんとコストとして計算しますから、もう大企業中小企業も同じです。その面については同じの計算でいいわけでしょう。そうすると、ほかの面で利潤を追求することができるわけでしょう。その面についてはこの法律のもう一面として、重要な一面として通産大臣は積極的に努力さるべきであると思うが、もう一回見解を聞いておきたいと思います。
  73. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 最低賃金制はやっぱり地域別、業種別にやっておるわけです、一律ではない。こういう点でこれをやはり現行のそういう最低賃金制、これを地域別、業種別のものをできるだけやっぱり一般化して普及することになれば、いま御指摘のような場合のいろいろなコスト計算の中に取り入れられることになると私は思います。したがって、この普及をはかっていくということが必要だと思います。
  74. 小柳勇

    ○小柳勇君 これ以上言っても平行線のようでありますが、私の言うことはわかってください。でないと、この法律は仏つくって魂入れないようなと言いたいですが、あまりくさすとまた反対しなければならぬからあまりくさしませんがね。  第四点は、この仕事が銀行のひもつきで出てくるから困るという話がありました。これは二つの面があります。一つは現在の企業合理化——ちょっと赤字が出ますと銀行から銀行の重役がそこの重役として天下りしてまいりまして、合理化なるものをやるわけです。これは小野田セメントなどにその例がありました。赤字を何とかするために重役が来まして、そしてもう労務管理や仕事は十分わからないまま人間を切っていくわけです。人員を整理するわけです。そういう実例がありましたから、これは労働問題として先般の予算委員会で私追及しておいた。第二の問題は、初めからもう仕事に銀行のひもがついてあるという問題ですね。これはやっぱり少しブレーキかけておきませんと、もう金融が一切の日本の経済界をひっかき回すことになりますね。工業生産、一切のものを金融業者、金融関係筋でひっかき回すことになります。これは通産大臣の大きな責任じゃないかと思うのです、もちろん大蔵大臣も責任がありますけれども。こういう面についての大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  75. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) それはやはり官公需の場合だけの問題でないと思いますが、しかしこの発注官庁というのは、ひもつきでないのですからね、官庁自体は。だからそういうふうな銀行の干渉というものは発注官庁がやはりこれは排除していく、そういう指導を行なうこと以外はない。銀行がひもをつけてといっても、発注官庁自体はどこのひもつきでもないのですから、そういう弊害というものは排除できるはずのものでありますから、そういう点も注意をいたすことにいたします。
  76. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから第五点は、この建設業などに対する工事単価が低い、そのために実情に合わないで仕事ができぬという話、たとえば失対事業などで市役所、公共団体が発注します仕事単価がもうちゃんときまっていますね。そこに合わしていくわけだ。だから失対事業などでやったその労賃などの単価がその地方の労働者の賃金になるし、あるいは工事単価になる。これが現状に合わぬからこれを何とか改正してくれぬかという参考人意見です。これはしばしば予算委員会で問題にしておるのでありますけれども、こういうのがやっぱり中小企業仕事が回らぬ大きな原因じゃないでしょうか。たとえば失対事業などは中小企業でもできるわけですね。そういうものに対する工事単価が低いという問題に対する大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  77. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) これはしばしばいままででもそういう問題がありまして、単価を引き上げておるのですが、あんまり低い単価というものは、これは大企業の場合は全体の大きな計算の中で何とかつじつまを合わすのでしょうが、中小企業の場合はそういうこともできませんから、単価の決定ということについてはあまり低く押えないような配慮を加えることにいたしたいと思います。
  78. 小柳勇

    ○小柳勇君 第六番目は、これは長官からは答弁を求めたのですが、お聞きしたのですが、大臣と建設省、国鉄からも来てもらっていますから、この際私が実情を言って意見を聞いておきたいと思うのは、その登録の手続が非常に繁雑である。いいところは、たとえば総理府などでは、総理府に一回手続やりますというと、関係省庁十七カ所が一つ登録で済む。総理府の会計課に届けると恩給局、統計局、日本学術会議、公正取引委員会、土地調整委員会、首都圏整備委員会、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、経済企画庁、科学技術庁、内閣法制局、それから憲法調査会、国防会議、人事院事務総局等十七カ所が一回の登録手続で済むというわけです。ところが、その例を防衛庁にとって済まぬけれども、防衛庁の場合、防衛庁関係で同じ都内で三十回手続しなければならぬ。これだけで一年間に登録がえの手続費用だけで二十万円かかりますぞというわけです。しかも期日がまちまちである、二月あり三月あり六月あり。したがって、いろいろ官庁の事情もございましょうけれども、その登録手続を簡素化するようにしていただけないであろうか、そういうふうな話です。大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  79. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 防衛庁とも話しまして、手続の簡素化あるいは手続の規格の統一、こういうことは、これを改革いたしまして、中小企業発注があんまり繁雑にならないようにいたします。
  80. 小柳勇

    ○小柳勇君 防衛庁だけ言ってもらっても因るようでありますから、防衛庁だけでなくて各省庁とも手続の煩瑣なところは簡素化するように、どこが責任者になるかと聞いたら、まあ「中小企業契約の手引き」というものを出しておられる中小企業庁であろうということであったものですから、先ほど長官の意見を聞いたわけでして、通産大臣などに音頭をとってもらって、この法律が出た機会に担当官連絡会議などで十分論議してもらって、簡素化と期日の統一ぐらいはやってもらっていいのじゃないかと思いますから、ひとつ記憶にとどめておいてもらいたいと思います。以上が参考人意見のおもなる点、私の感じました点、問題点であります。  次は、この前の私の質問に関連しまして、衆議院の第三条の修正に対する長官の答弁が少し私が聞いておって間違いやすかったものですから、速記録を翻訳いたしまして読んでみました。全部読んでみますと、大体間違っていないようでありますが、念を押して先へ進んでいきたいと思うのです。それは、「会計法の大原則でございますところの——やはり国民の血税を使いまして発注をいたすわけでございますので、できるだけ中小企業者からも良質廉価なものを、会計法の大原則に準拠いたしまして納入をさせなければいけないというふうな留意規定をここに規定をいたしたわけでございます。」、これが政府原案ですね。そのことを長く説明してあるものですから、これが重点に聞こえるわけです。ところが、最後のほうになりましたところが、「根本的な思想といたしましては、そう変わっておるわけではございませんけれども、この修正されました「適正な使用に留意しつつ」ということばは、私どもといたしましても適切な修正ではなかったかというふうに考えておるわけでございます。」、最後のほうになりますと、この衆議院の修正というものが適正であろうというふうに書いてございます。そして結論のほうでは、「この留意規定に基づきまして、会計法上許される限りの受注機会の増大の努力ということを国等といたしましては努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。」、こういうふう最後の結論でございますから、この最後の結論のほうを私少し確認していきたいと思うのです。で、修正によって大原則と考えられるものを、留意規定を口実にして受注増大の大きな方針をみだりに制限してはならないと確認してよろしいか、こういうことです。これオーケーであれば、オーケーとおっしゃれば先に進みます。
  81. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) それは最初の原案では、「公正かつ効率的」ですか、何かいろいろな制限を加えて、それを受注の、これを中小企業に対して発注することののがれるそれが材料に使われるようなことがあってはいかぬ、それで適正のほうがいいということを中小企業庁長官が言ったと思いますから、だからいまお話しのように、これは需要を拡大するということが主たるこの法律の立法の精神であるわけでありますから、いま言われたように考えてけっこうでございます。
  82. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  次に、資料要求いたしましたのが資料で出ておりますから、これについて質問をして先に進みます。官公需調達の実績が、昭和三十八年度がここに出ておりまして、この実績から見ますと、金額において、官庁が三一・九%、公社、公団が二五・四%、それから都道府県は六八・五%、市が五八・六%、特別区が七六・三%ということで、合計いたしまして、中小企業は全体で四三・八%という実績が出ております。それから件数で、官庁が六一・四、公社公団が七二・二、都道府県が八五・八、市が八八、特別区が八八・六、平均いたしますと、中小企業は七五。そとで第一点は、昭和三十八年度は届いておりますけれども、三十九年度、四十年度はない。四十年度はちょっと無理じゃ一ないかと思いますが、ところが、三十九年度はないじゃないかと各官庁に聞いてみましたら、三十八年度は資料出せということで出しましたが、三十九年度は何とも言ってきませんという話、中小企業白書というのは毎年国会に報告するようになっておりますから、三十九年度というのをなぜ各省から報告をとらなかったか、まず聞いておきたい。
  83. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 三十八年度は、基本法を制定いたしますに際しまして、徹底的に地方官庁も含めまして調査をいたしたわけでございますが、三十九年度におきましては、地方官庁を調べるひまもございませんでした。中央官庁だけを調べたわけでありまして、その実績は中小企業が二〇・二%というようなことになっております。これは官庁及び公社、公団分の合計でございます。
  84. 小柳勇

    ○小柳勇君 三十九年度分もできたらまた資料を出してもらいます。  そこで、ただいま申し上げました資料を見てみますと、官庁のほうが悪くて、一番悪いのは公社、公団ですね、官庁が一三%ですからね。公社、公団は二五%、都道府県や市は六、七〇%あるわけです。参考人意見を聞きますと、地方公共団体を一生懸命指導してくださいと三人とも言われるわけです。官庁のほうはこれより悪いのに肌に感じないのですね。みんな、地方公共団体が悪いから自分たち仕事がないという感じを持っておられる。こういう点で私は官庁の仕事というものがほとんども中小企業とは無関係発注されているのじゃないかという気がする。たとえば受け入れ業者の認定の申請がむずかしいとかいろいろありまして、地方公共団体には入りやすい、入りやすいが、なかなかめんどうくさいもんだから、これを指導してくれといわれるけれども、官庁は高ねの花で中小企業の人は全然初めから窓口に行かぬのじゃないかと思っておるのです。そのためにこういう法律ができたのじゃないかと思うのですけれども、こういう問題に対して、官庁に対してよほど通産大臣、いままで苦労されたと思うけれども、これからもひとつ辞を低うして官庁に説得されませんと、これを四五%にふやすことはたいへんじゃないかと思うのです。何%まで伸ばそうと考えておられるか、大臣の見解を聞いておきたい。
  85. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 理想としてはやはり五〇%くらいまで持っていきたい。これはすぐじゃありませんよ、そういう考えでございます。いまこれを五〇%などということは容易なことではありません。したがって、年限をかけなければならない。その前にあるいは各省の局長などにも寄ってもらって、官庁の中小企業に対する発注機会の増大というものに対しては十分協力方を要請す出るような、じっとしておったんではなかなかふえてまいりませんから、今後積極的な努力をいたそうという予定でございます。
  86. 小柳勇

    ○小柳勇君 建設省の計画局長に質問いたしますが、いまの問題ですが、官庁の代表として建設省にきょうおいで願ったわけです。三十九年度はまた正確にあとでお聞きいたしますが、三十八年度が官庁の数字として三一・九%、金額で。件数では六一・四と出ておりますが、建設省では大企業中小企業は大体どのくらいの比率になっておるのでしょうか、おわかりであればお聞きいたします。
  87. 志村精一

    政府委員(志村清一君) ちょっと手元に資料を持ち合わせませんですが、大体五割見当は中小企業にいっておると思います。
  88. 小柳勇

    ○小柳勇君 公社、公団のほうが金額で二五・四%、件数では七二・二%になっておりますが、これは一件当たり三十万円以上を調査しておるような実態ですが、国鉄の場合に大体の概数はどのくらいになっておりますか、現状を御報告願いたい。
  89. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 三十八年度に調査いたしました、これは通産省の中小企業のほうで調査をされましたときに出した調査資料でございますが、大体金額におきまして、土木工事でございますが、土木建築で二九%が中小企業、残り七〇%くらいが大企業ということになっております。
  90. 小柳勇

    ○小柳勇君 国鉄の場合に、物品購入、製造その他大体の概数があれば御報告願いたいと思うのです。
  91. 小林正知

    説明員(小林正知君) 同じく三十八年度の先低どの中小企業庁長官御照介に基づく調査の資料でございますが、これは小柳先生おっしゃいましたように、三十万円未満のものはそのときの調査の要領で除いてございますが、金額にいたしまして中小企業のほうが約一六%、物品の場合。それは件数にいたしますと五三%程度ということになっております。
  92. 小柳勇

    ○小柳勇君 製造のほうは。
  93. 小林正知

    説明員(小林正知君) ただいま申し上げました数字の中には、物品として売買契約をいたしますものと、車両等新造製作請負になっているもの、ともに含んでおります。
  94. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に自書の関係で、いまの数字だけではこれはよくわかりませんから、もう少しあとの推移を見て、また別の機会に少しお聞きしたいと思うのですけれども、三十九年、近く四十年春出るでしょうから、そういう数字を見ながら今後の推移をいろいろ検討さしてもらいたいと思うのですが、この白書にあります官公需連絡会議というのがあります。官公需をふやしていくという方向で連絡会議がこの白書の四百九十ページに書いてあるのですが、これには「連絡会議を定期的に開催して」、「中小企業への発注割合等の相互比較を行ない、その改善を図ることにしている。」、そう書いてあるわけです。この連絡会議というものが強力に動いていただくと、もう少し中小企業発注どもふえてくるのではないかと思うし、ただいま問題になっているようなこともその中で論議されたと思うのですが、この会議の実態について、まず中小企業庁から説明を求めます。
  95. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 各省庁との契約担当官の連絡会議は、これは予算がきまりましたときには必ずやっております。その他問題が起こりましたたびに連絡会議をやっておるわけでありますが、これはやはり契約担当官ベースの連絡会議でございまするので、今後はこれを各省庁の局長ベースの連絡会議にしていきたいと思うのですが、従来相当の効果を上げてきたように考えております。それから地方局長の連絡会議、これは従来は行なっていなかったわけでありますが、今後これは予算もとれましたので、通産局別に連絡会議を開きたいと思っております。
  96. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの通産省の出先機関の活動についてはいま述べられましたが、各通産局に設置された臨時不況対策相談室でいろいろ不況問題の相談にあずかっておることが報告されておるわけですが、この機能なりその活動状況なり、各地方公共団体との連絡状況なり御報告を願いたいと思います。
  97. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) この臨時中小企業不況対策相談室は、昨年来の不況におきまして、だんだんと中小企業だけでなくて親企業自体、大企業自体も非常に不況に苦しみまして、下請等を中心とする中小企業者に対しまして発注も少なくなってまいります。それから不況時代に対処いたしまして関連連鎖倒産というものも起こってくるということで、個別に金融のめんどうをみる必要も起こってきたわけでありまして、そういう事態に対処するために、三木通産大臣から直接の御指示で各通産局に臨時中小企業不況対策相談室というものを設けまして、先ほど申し上げましたように、不況対策としての金融のあっせんと、受注のあっせんというものをやってきておるわけでありまして、大体全般をならしまして、受注のあっせんのほうが半分まではございませんで三、四〇%のところに実績がなっております。その中で官公需受注の具体的なあっせんというものは、まだまだこれは少のうございまして、東京で四十年九月から四十一年三月までの間に四件、広島で一件、福岡で六件、計十一件というふうに、件数は非常に少のうございますけれども、今後とも通産局が中心になりまして、そういう官公需についての受注のあっせんというものにもつとめてまいりたいというふうに考えております。
  98. 小柳勇

    ○小柳勇君 地方機関との連絡は、各出先機関でないとできないようですから、この地方における連絡会議などの強力な活動を私ども希望いたしておきたいと思います。  次に建設省のほうへ。同じ白書の中に、官公需受注増大のために、建設省に特にお願いしてあるのは、「国の発注する建設工事については、建設業者の級別格付けを行なっているが、最近においては、上位業者が小規模の工事にまで進出して、中小企業者受注機会を減少させている傾向がみられる。」、「そこで、公共工事について、中小業者受注機会が減少しないよう指導し、さらに発注標準金額の増大について、中央建設業審議会にはかることとしている。」、こういうふうに書いてあるのです。ここのところのあとのほうから先に御説明を願いたいと思います。
  99. 志村精一

    政府委員(志村清一君) 発注標準につきましては、昨年建設省の付属機関でございます中央建設業審議会におきましていろいろ御議論いただいた結果、従来Aクラスが一億以上でございましたものを一億五千万円以上、それからBクラスが三千万円以上であったのを五千万円以上、Cクラスが一千万円以上であったのを一千五百万円以上、Dクラスが二百万円以上であったのを三百万円以上、Eクラスが二百万円未満であったのを三百万円未満というふうに、発注標準を改訂いたしまして、これに沿って各発注者において措置をしていただくようにお願いいたしております。
  100. 小柳勇

    ○小柳勇君 それによって各省に勧告することができる、この中央建設業審議会が、こういう権限も建設業法によってできるようですが、そういうような実績があるのかどうか、各省とは各省庁、公社、公団なども含んでおるのかどうか、そういうことでございますか、いかがでございましょうか。
  101. 志村精一

    政府委員(志村清一君) 関係のある各省庁、公社、公団に対しまして、すべてこの勧告の趣旨を伝えております。
  102. 小柳勇

    ○小柳勇君 午前中の参考人意見でもそうでありますし、私どもの調査でも各省庁の級別標準金額というものは違うのですね、級も違うし、標準金額も違うのです。おのおの各省庁違うのですが、こういうものの統一まではなかなか困難でししょうけれども、ある程度の基準をきめて、各省庁統一しておいたほうが業者としては便利なんです。大企業だけではございません。これは大企業中小企業もおのおの建設省はこうだ、国鉄はどうだとかいうことでは困るのですが、これに対して建設省としてはどう考えておりますか。
  103. 志村精一

    政府委員(志村清一君) この発注基準でございますが、発注者の性格によりましてだいぶ違うと思います。たとえば地方公共団体等でございますと、一億五千万円以上はAクラスといいましても、一億五千万円以上の仕事はほとんどございません。そういう意味で、各発注主体に即応したような発注標準のランクがあるわけでございますが、しかし建設省とかその他大手の発注元であるところについては、特殊の事情でない限りは、おおむねこの標準によってもらうようにお願いいたしまして、大体その線で進んでいる、こういうように考えます。
  104. 小柳勇

    ○小柳勇君 国鉄のほう、いまの級別の基準というものはどういうふうでしょうか。
  105. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 国鉄の土木建築工事でございますが、ランクづけは、A、B、Cと三つに分けております。Aは土木において五千万円以上の工事、それからBは三百万、Cがそれ以下、それで規定のたてまえといたしましては、AクラスはB、Cまで下がり得る、BはCまで下がり得るというふうなたてまえになっております。それから電気関係工事につきましては、A、Bの二つのランクに分けておりまして、Aは金額に制限がございませんが、Bは発送、変電というような種類の工事につきましては三百万円以下、そのほか電車線信号、電気通信、電灯、電話、こういうようなものにつきましては、Bは二百万円までというようなランクに分けております。建設省のランクよりも少なく格づけをいたしておるということでございます。
  106. 小柳勇

    ○小柳勇君 通産大臣、きょうの午前中の参考人意見の中にも、A、B、Cの級別の標準金額による工事で、大企業地方に進出をしますと、地方では出張所、支店ですか、わずかの人間ですけれども、それが中央のランクでランクされながら工事を受け持つ。それで中小企業の人はその下請にしかならぬという話があったのでありますけれども、このA、B、Cなどにランクして、この登録申請しなければならぬかどうか、ここで厳しい選別をしなければならぬかどうかという点についての論議がなされたことはございませんでしょうか。
  107. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今度は公債を発行して、公共事業を積極的にやろうということでありますので、どうしても工事量が多くなってまいりますから、こういう場合に、今度の分け方を、いままでは一億円くらいであったのを一億五千万円にした。それは大手は参加してはいけない。それをまた五つに分けたりして、少し金額も上げて、これには大手が参加してはいけないということにしたのでありますから、非常にこれはやっぱり瀬戸山建設大臣の英断だと私は思うのであります。いろいろな大手からも憲法違反であるというような論議が出ておる。これはやっぱり大英断である。このことが下請でなしに、大手はこれに参加してはいけんのですから、中小企業受注量というものが非常にやっぱりふえた。このことは佐藤内閣が中小企業対策に熱意を持っておる大きなやっぱり有力な証拠である、こういうふうに考えます。
  108. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。級別標準金額をきめておくのが中小企業育成のために非常にいいということはわかりました。  次はそれに関連いたしまして、そういたしますと、中央大手の大きな業者はAランクになりますと、これは九州、北海道にある支店なり出張所、これもAランクであるということは確認していいわけですね。建設省から……。
  109. 志村精一

    政府委員(志村清一君) このランク制につきましては、各発注主体ごとにやっておりますので、建設省におきましては各地方建設局が発注主体になっております。ただ営繕関係は本省でやっておりますが、一般土木等に関しましては各地方建設局が発注主体になっております。各地建ごとの格づけということになっております。また格づけの性格でございますが、先生御存じのとおり、ある地方建設局で格づけをいたします場合に、今年度中にどれくらいの仕事どれくらいの数あるかということを一応調べます。そういたしますと、大きな仕事と小さな仕事、ちょうどピラミッド型になるわけでございます。それに対しまして各業者が指名願いと申しまして、先生先ほど登録とおっしゃいましたが、そういった登録の申請をいたします。それに順番をつけまして、大体相似形のピラミッドにいたしてランクづけをいたすわけであります。それでおのおのの階層に適合した仕事がおのおのに渡るという趣旨でございます。
  110. 小柳勇

    ○小柳勇君 中央におけるものと、今度は地方独自でまたランクづけしておるということではないでしょう。中央におけるところの業者の格づけはちゃんときまっておりますね。資本金なり、従業員によって格づけがきまりますね。工事契約によってきまります。その人が今度は地方にいったらまたBとか、Cとかになるということではないですね。
  111. 志村精一

    政府委員(志村清一君) 建設省におきましては、いわゆる指名の登録でなく、業者登録をいたしておりますが、その際いろいろな客観的な資料に基づきまして、おおむねどの業者は大体どのくらいの点数があるかというふうなことを一応作業をしてございます。各事業主体におきましても、そういった客観的な標準による点数のほかに、その当該事業主体をつかみまして、工事の成績がどうであったか、あるいは労務管理がどうであったかというような主観的な要素を加えましてランクづけをいたします。でございますから、建設省一本でランクをいたしておるわけではございません。各地方建設局、出先でございますが、そこでおのおのランクづけをしておるというのが実態であります。
  112. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこにやはり問題があるのですがね、中央におけるAという大手建設業者が、それは今度は地方にいったら、今度はC、Dまでにランクづけをされて、C、Dのほうまで仕事をやるということが問題になるわけです。ですから中央における大手のAランクは、やはり地方に行ってもその支店や支社である。それはAランクにランクづけされておるのか、いまおっしゃったC、Dまで客観的な情勢を考えてランクづけされておるのかどうかということを私は問題にしておるわけです。それをもう少し明確に。
  113. 志村精一

    政府委員(志村清一君) おっしゃるとおり、おおむねAランクのものはAランクというふうに大体きまっております。ただA、Bの間にちょうど介在するようなものが、あるところではA、あるところではBというように二つに分かれることはございますが、大体おおむねはAでございます。
  114. 小柳勇

    ○小柳勇君 その問題が将来中小企業組合をつくりました場合に、やはり少し抵抗になるようです。中央においてはAというランクづけで、地方に全部支店、出張所を持っておりますからね。ところが実際の人員配置というものは十人か二十人である。それが仕事は大きなAの仕事を取って、そしてその地方における業者を使って仕事をやるわけです。そういたしますと、もう組合も何も要らんわけですね。だからその中央におけるAという業者の出張所をAのランクにして、そのAが大きな仕事をするときには、全力を投入するということはわかります。ただそれを十人、二十人であるから、これはCである、Dであるというふうに下げておきまして、そして地方中小企業と一緒に競争でやらせますと、今度はいざとなった場合に、中央からの資金あるいは人員によって対抗いたしますから、地方のものなどはつぶれてしまいます。その点をどういうふうに建設省としてはランクをつけてふるいをかけておるかということを聞いておるのです。
  115. 志村精一

    政府委員(志村清一君) 地方の営業所がたとえ十人であろうと五人であろうと、当該会社のランクづけでございますので、客観的標準は高いのでございますから、おおむねAクラスと考えられるものは、Aクラスに大体ランクづけされるのが通例でございます。そのちょうど間にありますものが、主観的要素で上がったり下がったりするということはございます。
  116. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二は、共同請負制度の推進を聞いておきたいと思うのですが、各地方における共同請負制度の実態、それからその推進状況などについてお話を願いたい。
  117. 志村精一

    政府委員(志村清一君) 都道府県あるいは私どもの出先でございます地方建設局、あるいは公団等で、四十年度の実施状況を調べてまいったのが最近まとまりましたので、それを申し上げますと、共同体結成の数でございますが、都道府県関係では八百六十二、実施いたしておる県が二十四でございます。それから地方建設局あるいは公団に登録されておりますのが六百九十六、あわせまして千五百六十件程度契約件数とその金額でございますが、都道府県関係が三千八百余件、約九十五億ほどでございます。それから地方建設局、公団関係が九十四件、約六十四億、合計いたしますと、三千九百件の百五十九億程度仕事をいたしておるわけであります。そこでこれらの企業体の成功がどうであるかという問題でございますが、私どもが入手しました資料によりますと、まあまあ普通の状況だ、ただどうもまずい、非常にうまくいってないというのもございまして、わずかではございますが、契約件数の一%に満たない程度でございますが、そういうものもございます。そういった状況を考え合わせまして、今後の共同請負につきましては、ちゃんと施工をりっぱにやるものは十分その組織を尊重してやっていくように、また、ただ入札の指名をしてもらいたいということだけで、人集めで協同企業体という名前を使うというようなものは振り落とすようにというような措置を、ただいま通知をいたしておる次第でございます。
  118. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから建設省の最後の問題は、公共工事の前払い金制度がございます。この公共工事の前払い金制度の活用状況についてお話を願いたいと思います。
  119. 志村精一

    政府委員(志村清一君) 公共工事の前払い保証制度でございますが、昭和四十年度におきます保証実績でございますが、ただいま保証会社、北、東、西と三会社でございますが、その三社合わせまして、契約件数が約六万件でございます。金額にいたしますと、約二千八百億円の保証をいたしております。ただ最近、この前払いの保証に関することにつきまして、各公共団体の御理解が相当深まりまして、前払い保証をするということで進んでおりますが、一部の大きな受注者におかれましては、まだ前払いの保証制度を利用されない向きがございます。また町村工事等につきましても、財源等の関係もございまして、前払いの制度を利用しないところもございますが、逐次拡大しているような状況でございます。
  120. 小柳勇

    ○小柳勇君 建設省に。もう最後ですが、現在の契約方法なりあるいは入札などで、業者から問題になっておる点はないか、これは大企業中小企業を問わず、現在のような契約なり入札なりあるいは工事仕上がり検査などで不満なり陳情なり出ておるものはないか、特に業者団体などからそういう問題が出ておるのではないかということを、最後に聞いておきたいと思います。
  121. 志村精一

    政府委員(志村清一君) 業界からはいろいろな要望が出ております。先ほど先生御質問がございました、たとえば指名願いの登録の様式でございますが、これが各発注者によって全部違っておったわけでございます。そのために手間がたいへんでございまして、書き間違えて登録を受け付けていただけないというような事例もあったわけでございます。私ども皆さん方御相談いたしまして、この登録の手続の統一をいたしまして、関係各方面全部それを採用していただく、あて先はみんな違いますからやむを得ませんが、少なくとも手続だけは統一するというふうなかっこうで進めております。またそのほかに、こまかい問題でございますが、地方公共団体工事入札保証金とか、あるいは契約保証金というものが地方自治法の改正で一応取るというふうな問題等が出まして、これは自治省の通達によりましてだいぶ緩和されたのでございますが、なお問題がございまして、これは指名をいたしたというふうなたてまえでいきますと、国などがやっておりますように、むしろこういった保証金は不必要なんじゃないかという御議論があったわけでございます。業界からも要請があったわけであります。これにつきましても、自治省で新たに通知を出していただきまして、当該公共団体の工事をやった実績があって、それをじょうずにやったというものについてはこの保証金を免除するという通達であったのを、もう少し広げまして、当該市町村でなくて、一般国なり公共団体に同様の仕事をやって、じょうずにやったという場合には、信用があるので、保証金を免除することができるというふうに通達を変えてもらいまして、おおむね業界の意向が満足されたかと思います。また、契約制度自体につきまして、いろいろむずかしい問題がございます。それらにつきまして、業界の一部には、場合によっては指名競争入札をもう少し改めて、制限付競争入札というふうなことを考えたらどうか、しかし、いずれにしても、これはもう少しじっくり建設業の体質を考えていただかないとむずかしいというような御意見等もございました。これらをあわせまして、私どもといたしましては、現在建設省の付属機関でございます中央建設業審議会で、建設業全体にわたりまして十分な御検討をお願いしておるという段階でございます。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、同じような問題ですけれども、国鉄にお伺いしておきたいと思います。  三十八年の数字はわかりましたが、官庁及び地方公共団体に対しましても、公社、特にこれは国鉄ですけれども、ほかの公社はどうかよくわかりませんが、公社、公団は大体こういうふうなパーセントではないかと思うのですけれども、この法律ができますと、将来中小企業に対してもう少し育成する方向発注していただきたいと思っておるのですけれども現状についての見解を伺いたい。
  123. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 数字は先ほど申し上げたとおりでございますが、先ほど建設省のほうから御説明がございましたように、中央建設業審議会からの勧告が私の手元に参っております。なお、公共事業の促進を現在大蔵省が中心になっておやりになっておりますが、その席上におきましても、大蔵大臣からの御意向として、でき得る限り中小企業を活用するようにというような御趣旨がございました。国鉄といたしましては、この趣旨に従って指導をいたしておるのでございますが、ただ、国鉄の工事におきましては、これは土木建築、電気ともにございますが、多少特質がございまして、数多くの工事が現在線のすぐそばで行なわれるという特殊な条件がございます。これは山の中でありますとか、あるいは広い公団の団地をやるというような場合と違いまして、御承知のとおり列車の安全という面から事故防止ということを非常に強調をいたしております。この面におきまして、やはり大企業中小企業とは、人的要素におきましても、機械施設等におきましても差がございまして、実質的に出てまいります事故件数も、中小企業の場合には大企業に比べて多いというような実例もございます。そういうようなことがございまして、発注する側といたしましては、特に国鉄におきましては、地方工事局長あるいは管理局長に契約担当役を総裁から権限を委譲しているわけでございますが、この責任者が、大企業のほうが手がかからないというような点がありまして、どうも大企業に偏する傾向があるのは事実でございます。しかし、まあこの安全は、これはどうしても確保しなければならないという至上の命令でもございますので、その辺の調整が、かなり先ほど申しました、山の中の仕事であるとか、あるいは団地造成、あるいは団地におけるアパートの建設というようなものと違ってまいりまして、なかなか中小企業のほうにいく比重を高くするということがかなりむずかしい要素がございます。  それからもう一つ問題といたしまして、ただいま第三次計画をやりまして、土木、建築、電気ともどもに全国にわたりまして、かなり大型な工事発注をされております。それでこの工事が昔のように小さい駅の一部をいじるというような場合には、比較的小さい工事でございまして、中小企業の方に御担当いただく部分が多いのでございますが、大型の工事になりますと、やはりトンネルであるとか橋梁であるとかというような大型の機械を使うというような工事がふえてまいりますので、どうしても全体の発注金額に対する大企業の請負うような要素の多い仕事がふえてくる、決して中小企業のほうの仕事を減らすということではないのでございますが、ふえますが、ふえ方が大企業に適したと申しますか——向きの仕事が比較的多くなってくるというので、パーセンテージが大企業のほうに片寄るというような問題点もございます。  もう一つ、これはとかく誤解があるのでございますが、いまこれだけ全国でいろいろな工事をいたしておりますと、われわれの発注能力という面から考えまして、たとえばここに十億という工事があるといたします。これは十億という単位工事をするのがいろいろな運用面から考えて適切であるという場合がございますが、しかしその発注のしかたといたしまして、当初五千万円の下水道の工事をまず発注をする、しかしその工事が始まりますと、大部分の工事がその業者がやらざるを得ないというような事態がある場合がございます。こういう場合には、次々と出る工事が大企業にいくという形で、統計をとりますと、小さい工事を大業者が請負ったというようなかっこうが出てまいる場合がございます。こういう場合は、われわれのほうの発注の書類をつくる能力とにらみ合わせながら出しておりますので、こういうかっこうになる場合があるわけでございます。こういう点でなかなかむずかしい面もございますが、先ほど申しましたように、建設省の御指導、あるいは大蔵省、大蔵大臣の御指示、さらにいまのこの法律のような趣旨もございますので、地方におきます適正な規模の工事につきましては、できるだけ地方業者にやっていただくように、ことに指名等の組み合わせにおいて、大業者中小業者を組み合わせるというようなことは、とかく大業者仕事の流れる傾向がございますので、厳に戒めまして、なるべく中小業者を組み合わせて指名をするというような方向を指示いたしているわけでございます。  なお、先ほど資材のほうのパーセンテージで、かなり大業者のほうの比重が高いように出ておりますが、実はこの中に石炭であるとか、あるいは車両であるとか、あるいは車両用部品、これは車輪であるとかあるいはレールであるとかいうようなもの、あるいは橋げた、セメント、こういうようなものが非常に大きなパーセンテージを占めておりますが、これがみな大業者発注になりますので、その辺にウエートがかかりますために、数字上からはいまのように出ておりますが、なお、よく調べてはございませんが、中小業者でもよいような仕事に対しましては、かなりの比重で中小業者仕事が流してあるというようにお考え願いたいと思うわけであります。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後に国鉄のほうですね、国鉄の場合は指名願いが非常にむずかしいというような巷間のうわさがあるのですけれども、そういう点はどうなんでしょうか。
  125. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) むずかしいというお話でございますが、実は数年前までかなり書類をたくさん方々に出さなければならないというようなかっこうであったのでございますが、業者の方から非常に御不満もございましたので、現在では必要な書類を各地方の支社長あてに出すということだけにいたしまして、簡素化をはかったのであります。ただ、非常にこまかい計算をいたしますために、かなりこまかい資料を提出を願っているということでございますので、その辺があるいはなかなかたいへんであるという印象を与えているのかもしれませんが、われわれとしては、一生懸命で簡素化方向努力をいたしているわけでございます。
  126. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に関する質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会      —————・—————