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政府委員(
高島節男君)
機械工業振興法の
やり方を申し上げますと、盲目的に
機械工業に対しましてただやっていけという形で金を貸しましたり、
補助金を与えたりするという
体制ではございませんで、
法律の中にございますように、毎年の
振興計画というものをこしらえまして、その前提には五カ年
間程度の
長期の一応の見通しをこしらえて、こういうコストダウンを五年間にやっていく、それで毎年こういうものはこの辺まで下げ得ると、
——もちろん
企業ことではございません、
業種ごとでございますが、その行きどころをそれぞれとらえまして、それに応じて
計画に即してそういう
体制ができたものに対して金をつけていくと、こういう
やり方をとっております。したがって、その中にあります思想は、これはまあ繰り返し申し上げましたが、むずかしいことではございますけれども、
生産機種の調整とか
協調体制とかいったものが何らかの形において生まれ出てくることを
期待をいたしまして
計画を立て、
合理化をさせ、そして
当該業界の
体制整備に資すると、こういう
方向で運用する形になっておるわけでございます。で、その
実績を考えてみますと、これは
業種によりまして
成績に
相当波がございます。端的な
代表業種を申しますと、先生も御
承知の例の
自動車部品でありますが、これは
相当の効果をあげましたようでございます。した
がいまして
体制整備上の金もつけましたが、同時にそれに応じてかなりうまくいったほうの
業種の
代表ではないかと思います。それに比しまして
工作機械のほうになりますと、非常にこれは注文
生産的な要素の強いものですから、
一つ一つがやはり個別的な
生産体制に入りやすいくせのあるものでございます。
前回ちょうど
公述人の方々からもいろいろその不振を述べられまして、非常に
体制の
整備ということに骨を折っておる。したがって現在までのところの
成績はあまりよくはない、こういうような
感じが大ざっぱにいたしますわけでございます。で、結局こういった
法律があったことが
設備投資の過剰を逆に招いていくような
刺激剤になったのではないかという点でございますが、その点は
法律の
精神が
体制の
整備を
計画に基づいてやっていくということになっておりますので、
体制の
整備のためのいろいろな
計画、
合理化計画というものに即して助長してきたということでございます。ただ、その
計画の立て方が非常に
機種によってむずかしゅうございますので、こういう
程度にやっておけばよかろうというつもりであったところが、やや
事志とたがうようなことは、これは
機種によってちょこちょこ出てくるということはございますが、
自動車部品のように成功した
分野もあり、また
工作機械——これはいろんな
種類がご
さいますから一
がいに申せませんが、そのうちの一部の
分野のように、なかなか思うようにいかないというところもございます。ちょうど
経済全体の
流れから見てまいりますと、非常な
設備投資を
中心にした
高度成長を遂げましたときには、どちらかといいますと、こういう
体制整備ということは非常にやりにくかった面もございます。非常に強くこれは
伸びておるだけに歩調がそろいにくい。ところが、今度は非常な不況に落ち込んで、そのとき、あすのことを心配するという
状態になりましても、これもまたうまくいかない時期であったかとも存じますが、幸いにこれから先
経済の運営よろしきを得て、年率七、八%
程度の
経済の
伸び、それに見合いまして
財政需要を
中心にした
民間あるいは
政府投資の
需要というものとつながり合った形で
成長を安定的に遂げてまいります時期こそ、この
体制整備をやっていく上に、ちょうどころ合いの
状況になっていくのではないか、こういう
感じがいたします。したがって過去における
経済全体のかじのとり方の波によっていろいろと生じてきた問題があり、また機振
法自身としても、その
精神はあくまでも合理的な
体制と
計画に基づいてやっていくシステムになっておりますから、いろいろと
法律の予測には問題があったことも否定できないかと、こういう
感じを抱いている次第でございます。