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1966-05-31 第51回国会 参議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月三十一日(火曜日)    午後一時五十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 宮崎 正雄君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君                 藤田  進君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省重工        業局長      高島 節男君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会において協議いたしました事項について御報告いたします。  本日は、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案の審議を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 衆議院送付機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 工作機械の問題がこの重化学工業輸出の隘路であろうということは、もうこれは重々わかっているわけなんですが、その点について、いま持っている業界生産能力というのはどのくらいなのか、それをまずお伺いしたいと思います。それについて現在は一体どのくらいの生産を年間しているのか、生産能力生産高とは違うわけですが、在庫量はどのくらいなのか、企業の数はどういうふうに推移を派してきたか、簡単でけっこうですから説明していただきたいと思います。
  5. 高島節男

    政府委員高島節男君) まず簡単なところから申し上げますと、企業数でございますが、企業数前回説明いたしましたように、総企業数で二百五、六十になっております。ただ工業会の会員といたしまして相当実績その他がトレースできるグループに属しておりますのが約百、それに残りがその工業会のアウトサイダー、こういったような構成に相なっております。  それで能力のとらえ方、これは非常に機械でございまするからむずかしゅうございます。何億円ぐらいの生産能力があるか、こういうとらえ方以外にちょっとないと思いますが、不正確でございますが、大体現在ございます能力として千二百億円ということがいわれております。いろいろな見方があるかと思います。  それから生産でございますが、生産は四十暦年で七百三億円。したがって操業度が直ちに十二分の七だと、こういうわけにもいかない数字だと思いますが、七百三億円程度のもので百四十億円見当輸入をやっております。それに加えまして輸出が八十九億円こういった形でございまして、内需としては七百五十四億円という需給数字が一応出ております。見方によって、これは機械でございますから、いろいろな押えようがあると思いますが、一応のスタンダードになるかと思います。それから在庫の押え方、これがまたむずかしゅうございますが、一応メーカーのところの段階在庫で押えて——これはほとんど流通段階はないかと思います。したがってその部分だけで見ましたものでは、おおむね二・四カ月見当のものが、四十年の十二月末のところで押えて二・四カ月分と、大体こういった形の実態に相なっておるわけであります。
  6. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあ生産能力が非常につかまえがたいということですが、千二百億円あると、それに対して現存の生産高は七百億若干である、在庫量は二・四カ月分が四十年十二月にあった、まあそれ以後多少は変化したかもしれませんけれども、その原因がこの機振法の関係で、機械振興という名のもとにとにかく振興しろ、幾らでも資金のほうは考えてあげるというようなことで、無計画設備投資というものを振興していった結果ではないか、こういうふうに言われているわけでありますが、その点については実態としてはどうなんですか、分析されている状態は。
  7. 高島節男

    政府委員高島節男君) 機械工業振興法やり方を申し上げますと、盲目的に機械工業に対しましてただやっていけという形で金を貸しましたり、補助金を与えたりするという体制ではございませんで、法律の中にございますように、毎年の振興計画というものをこしらえまして、その前提には五カ年間程度長期の一応の見通しをこしらえて、こういうコストダウンを五年間にやっていく、それで毎年こういうものはこの辺まで下げ得ると、——もちろん企業ことではございません、業種ごとでございますが、その行きどころをそれぞれとらえまして、それに応じて計画に即してそういう体制ができたものに対して金をつけていくと、こういうやり方をとっております。したがって、その中にあります思想は、これはまあ繰り返し申し上げましたが、むずかしいことではございますけれども、生産機種の調整とか協調体制とかいったものが何らかの形において生まれ出てくることを期待をいたしまして計画を立て、合理化をさせ、そして当該業界体制整備に資すると、こういう方向で運用する形になっておるわけでございます。で、その実績を考えてみますと、これは業種によりまして成績相当波がございます。端的な代表業種を申しますと、先生も御承知の例の自動車部品でありますが、これは相当の効果をあげましたようでございます。したがいまして体制整備上の金もつけましたが、同時にそれに応じてかなりうまくいったほうの業種代表ではないかと思います。それに比しまして工作機械のほうになりますと、非常にこれは注文生産的な要素の強いものですから、一つ一つがやはり個別的な生産体制に入りやすいくせのあるものでございます。前回ちょうど公述人の方々からもいろいろその不振を述べられまして、非常に体制整備ということに骨を折っておる。したがって現在までのところの成績はあまりよくはない、こういうような感じが大ざっぱにいたしますわけでございます。で、結局こういった法律があったことが設備投資の過剰を逆に招いていくような刺激剤になったのではないかという点でございますが、その点は法律精神体制整備計画に基づいてやっていくということになっておりますので、体制整備のためのいろいろな計画合理化計画というものに即して助長してきたということでございます。ただ、その計画の立て方が非常に機種によってむずかしゅうございますので、こういう程度にやっておけばよかろうというつもりであったところが、やや事志とたがうようなことは、これは機種によってちょこちょこ出てくるということはございますが、自動車部品のように成功した分野もあり、また工作機械——これはいろんな種類がごさいますから一がいに申せませんが、そのうちの一部の分野のように、なかなか思うようにいかないというところもございます。ちょうど経済全体の流れから見てまいりますと、非常な設備投資中心にした高度成長を遂げましたときには、どちらかといいますと、こういう体制整備ということは非常にやりにくかった面もございます。非常に強くこれは伸びておるだけに歩調がそろいにくい。ところが、今度は非常な不況に落ち込んで、そのとき、あすのことを心配するという状態になりましても、これもまたうまくいかない時期であったかとも存じますが、幸いにこれから先経済の運営よろしきを得て、年率七、八%程度経済伸び、それに見合いまして財政需要中心にした民間あるいは政府投資需要というものとつながり合った形で成長を安定的に遂げてまいります時期こそ、この体制整備をやっていく上に、ちょうどころ合いの状況になっていくのではないか、こういう感じがいたします。したがって過去における経済全体のかじのとり方の波によっていろいろと生じてきた問題があり、また機振法自身としても、その精神はあくまでも合理的な体制計画に基づいてやっていくシステムになっておりますから、いろいろと法律の予測には問題があったことも否定できないかと、こういう感じを抱いている次第でございます。
  8. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの答弁で、いわゆる機振法に言われている振興ということは体制整備であるとか体質改善国際信用の付与ということだろうと思いますが、その点で設備投資が過剰になった、それが現在の工作機械の沈滞を招いているというようなことは、政府のほうの計画にミスがあったということに、一応そういうふうなニュアンスに私どもはとったわけですけれども、その需給の見込みというものは非常に立てにくいとは思いますけれども、今後輸出のことあるいは輸入機械のことを考えるというと、かなり振興していって国産機械というものを大幅にふやす方法を考えなければならぬ、そういうことも需給計画の中には織り込んであるのですか。
  9. 高島節男

    政府委員高島節男君) ちょうど法律が御承知のように十年目までまいりまして、ことし延長していく段階に入ったわけであります。ちょうど万博時期くらいを目安にしてこの五年間、非常に大事な勝負どころであると思います。個別の振興計画のほうは法律体制が固まりましたところで、各産業界と個別に協議に入っていきまして、内容を確立してまいりたいと思いますが、前回から御説明いたしましたように、これから先の持って行き方としては、一つは第一期の時代から申しますと、第一期の時代は、とにかく基礎になる機械について合理化をやろうという形で出発しまして、二回目の五年間のときに、ちょうど自由化の問題が出てまいりました。自由化に対抗するという意味において機種を選び合理化に邁進はしたわけでございます。まだ関税が残っております分野もございまして、一がい自由化体質がついたというわけでもございませんし、おもなものでまだ輸入制限しているものもございますが、そういう時代を過ぎまして、これから先五年間延長して運用してまいります際の一つ重点は、やはり輸出を伸ばしていくということであるかと思います。したがって、ものによっては相当輸出も、工作機械に限りません、一般でございます。機械一般として輸出を考えていく体制へ持っていこうとしているわけでございます。ただ工作機械につきましては、むしろものによってはまだ輸入依存度の高い分野がございます。そういう分野には依然としまして輸入対抗力をつけるという受け身が焦点にこれはならざるを得ないところも相当あるかと思いますが、今後の手段といたしましては、従来やってまいりました生産体制業種ごとに整えていく。すなわちA、B、Cと企業者がおりまして、甲、乙、丙という機械をそれぞれ全部つくった、三つずつつくっているというような体制を、Aは甲に、Bは乙に、Cは丙にと、極端な言い方でございますが、そういう集中体制に移っていくということのほかに、さらに企業の中でいろいろと技術導入をしたり、設備を更新したり、古いものをスクラップ・ダウンしたりいたしまして、新しい体制に乗り移っていくということにつとめさせていこうと思っておりまして、それを振興計画内容にそれぞれ織り込んでおります。ただ、それに加えまして、技術のやはりおくれというものが非常に大きく感じられるわけであります。従来やってきましたその二つ手段も、一つの目標は外国からの技術を学びまして、そうしてその二つ手段によって追いついていくといったのが一つ機械工業のとらえどころであったと思います。今後は自分みずからの力で技術開発できるようにという点に特に重点を指向いたしまして、技術開発をこの法律においても一つポイントにとらえるために、従来の規定に加えて技術開発計画を立てさせて、その開発計画に沿った援助をしていく体制に持っていく。すなわち国産技術というものの開発は、単に機振法だけではとてもいかない。広い広範な政府援助民間努力を必要といたしますが、その一環の手がかりとして機振法においてもそういった方向を打ち出していくということによりまして、外国からの機種に対抗する力を、直ちに一年とかそこらのことではなしに、相当長期をかけて養い得る方向努力を続けていって対抗力をつけていく、こういう計画を持っておる次第であります。
  10. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 技術のおくれの問題はあと大臣に含めてお伺いしたいと思っておりますが、まず輸出のことで多少お聞きしたいのですが、これは政府資料だろうと思いますが、わが国の場合は、昭和三十六年から四十年までを見ますと、工作機械輸出台数は確かにふえて急激な伸びを示して二倍近くになっております。しかしこれが外国の例と比べてみると、生産高に対して輸出額というものが日本の場合は非常に少ないということが言えるだろうと思うのです。生産額は確かに大きいけれども、輸出額は非常に少ない。西ドイツなどの場合には、生産の半分が輸出されておるし、その他の国々でもそれ以上という状態だろうと思うのです。大体他国の例では一体どのくらいな程度になっておるか。詳しいことがわかりませんので、ちょっと聞かしていただきたい。
  11. 高島節男

    政府委員高島節男君) ちょうどいま御指摘のありましたポイントのコントラストになるような例で西独の例で申しますと、西独生産三千億見当に対して半分の千五百億くらいの大きさで、半分は輸出に向いておるということでございまして、これは古来ドイツ機械というものは、戦前から日本に対して非常なリーダーシップを持っておったことからも推察でき、根についた企業技術、力というものがここにあるからだと思います。これに対しまして日本の場合は、三十七、八年ごろの生産高は一千億あるいは九百五十億という見当でございます。それに対して三十億から四十億の輸出という実績でございます。最近は設備投資内需の減退よりまして、生産総額は七百億見当まで下がっております。結局最高時の三十七年の七割でございます。その七割になった七百億に対しまして、輸出のほうは比較的ふえてまいって九十億ほどの出方をしております。したがって輸出の総体に占める割合は、ドイツとはこれはちょっと比べものにならない形ではございますけれども、だんだん増加する方向にはある。しかしその間の相対的な関係は非常に格差があろうかと思います。アメリカの場合の例をとってみますと、ドイツと同じ大体三千億見当、荒っぽい話でございますが、それに対しましてこれも同じく輸出は千二百億見当のところになっております。まあ半分に近い形を工作機械としてはとっておるわけでございます。日本機械類が非常に最近伸びたという場合に、工作機械という焦点に合わすよりは、自動車その他の車両、船舶、軽機械といった方向のものを機械と称して大きく伸びているわけでございます。工作機械の絶対数値は御指摘のとおりまだ低い、しかしその生産に占めるシェアはだんだんに上がっておるという傾向にあるかと思います。
  12. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 状況はわかりましたが、この「仕向国別輸出状況」というのを見てみますと、三十八年から三十九年四十年と、こうなっております。それを見るというと、特に四十年度においては、イギリスに対しては前年度比六一%という工作機械輸出になっておる、フランスの場合には一二・九%、それからインドに対しては、特に後進国のほうにわが国工作機械が出ているという話があったのですが、インドに対しても五三%とおっこっておる。ビルマに対しては九〇%以上前年度より減って五・九%になっております。実際は輸出振興を真剣に考えていかなければならないのに下がってきております。非常にふしぎに思うわけです。理由は何でしょうか。
  13. 高島節男

    政府委員高島節男君) 御質問のポイント工作機械にぴったり合った私の推測であるか、ちょっと自信がございませんが、一通り情勢判断いたしてみますと、まず工作機械のこの国別輸出は、絶対額が非常に少なうございますから、出るときと出ないときとの間の波が非常に激しいので、それが非常にイレギュラーに数字が出てくる感じ一ついたすわけでございますが、背景にあります大きな流れとしては、先進国に入っていくにはまだそれだけの力がなかなか充実しておらない、ある時期はぽんと入るけれど、あとが続かない。後進国のほうは相当もぐり込めるかと思える面もございますが、後進諸国はやはり一般的に申しまして、外貨不足等によりまして輸入制限をする、思うように買えない、こういった形がずっと続いてまいっておると思います。まあ先進諸国に最近比較的いいニュース——契約ベース等で統計にずれてまいりますから上がってまいりませんが、いいニュースを聞きますのは、やはり米国における景気が過熱方向にあることの影響によりまして、米国それ自身、あるいはヨーロッパ諸国等の引き合いが若干あって、そこへ伸びる好機をとらえ得るのではないかという面も明るい面としてはございます。それに対しまして後進国は、一帯に外貨事情が、インドネシアほどひどいところではなくても、それぞれ戦争あり内乱あり等々で思うにまかせていないので、これに対する輸出は商談があってもなかなか決済面等で円滑にいかないというのが一般状況かと思います。ただ工作機械という分野にそれをぴたり当てまして、私のいま申しました推理が当たるかどうか、やや機械一般という方向のとらえ方であろうかと思いますが、工作機械の場合でもやはりそういった傾向が読み取れるのではなかろうかと考えております。
  14. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 金額も少ないかもしれませんが、ビルマの場合が、三十九年度に五億三千万が三千百万円になったと、これなんか確かに減り方としては、金額は少ないにしてもあまり減り方が激しいだろうと思う。やはり後進国のことは別にしても、先進国工作機械のほうは輸出伸びていくのでなければ、本格的なものではないだろうと思うのですが、それに対しての対策はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  15. 高島節男

    政府委員高島節男君) 工作機械に限らず機械一般について、輸出という観点からいろいろと考えている面が多いわけでございますが、大きく分けまして、この波打ちぎわから先と申しますか、いわゆる貿易政策的な輸出振興等と、それから国内企業基盤をしっかりしてその体質を改善し、業界全体の力をつけて輸出が出るようにするという方向と、まあ大きく言って二つあるかと思います。前者のほうは、ただいま申しましたような後進国等期待をいたしますと、これは外貨事情問題等が出てまいりまして、これは普通のコマーシャルな決済条件ではなかなかうまくいかない場合が出てまいります。先般東南アジア経済閣僚会議等もございまして、後進諸国から強く政府ベースでの経済協力を求められております。これは国連のアンクタッド以来の一つの大きな流れでございますが、その線に乗りまして政府後進国援助の姿勢が積極化していくに伴いまして、後進国市場もさらに開けていく可能性があるのではないかと思います。ただ、これもひだのこまかい工作機械といったあたりになりますと、なかなかそう大きな市場として期待はできにくい面があるかと思います。これに対しまして先進諸国に対してでございますが、やはり日本機械メーカー実力をよく知らせるといいますか、そういう方向努力が、非常に卑近ではございますが、案外欠けているのではないか。現在、輸出振興観点から、シカゴとかあるいはヨーロッパのジュッセルドルフとかいうあたり展示室等を設けまして、相当補助金を出し、工作機械等展示につとめております。非常に簡単なことではございますが、そのあたりから逐次日本品実力の備わった点を海外に宣伝していくということが必要ではないか、こういう観点一つ貿易振興策としてあるかと思います。そのほかでは、貿易振興策としまして考えてみますと、輸出全般についてではありますが、あるいは日銀の輸出貿手引き受け金利国際金利並み日本金利水準よりも安くしていく。また機械類でありますから、輸出入銀行延払いに対しまして国内で融資をつけてやって、それのための必要な資金ワクを確保してまいりますこと、あるいは場合によっては政府間ベース援助的なものになりますと、経済協力基金によってプロジェクト・ベース援助をしてまいる等々の面で輸出振興海外へ向けて伸びていくような形をとっていきたい。そのほか、税法上もいろいろと輸出であるということに対するメリットは、特別償却とかその他の点でいろいろつけてあるわけでございます。やはりその波に乗っていくということではないか。で、先般ここで公聴会の際にちょっと出ました問題としまして、いわゆるグループ化というようなことがございましたが、これも輸出の際に、窓口一本の体制になって過当競争をしないで、しかも経費をお互いに節減して輸出に向かっていこうという機運が見えて、私も勉強になったわけでございます。そういう方向努力もある意味で非常に必要な段階ではなかろうかという感じがいたします。   国内対策といいますか、基盤を固めるほうは、むしろこの法律の御説明で繰り返しました体制整備合理化、それから技術の充実ということに尽きるかと思います。こちらのほうは説明を省略させていただきます。
  16. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それで、この前に私は資料を要求していただいたわけでございますが、工作機械の問題でございますが、この中で特に輸入の場合の資料をいただいたのですが、その輸入依存度というものは前より確かに下がってきておる。三十八年の輸入依存度二〇%というのに比べるというと、二〇%が一八%というように四十年度下がってきていますが、その中で歯切り機械だけを調べてみると、四八%が五四%に上がっておる。輸入が四十年度を見ても三十九年を見ても、いずれも日本の国の生産よりも輸入のほうが大きい、完全に上回っている、こういうことになっているわけです。この具体的内容についてあとで伺いたいのですが、ほかにもこういうような工作機械はございますか、国内生産量よりも輸入量のほうが多いという機械は。
  17. 高島節男

    政府委員高島節男君) 全体をちょっとつまびらかに当たっておりませんが、いわゆる歯切り盤系統以外ではブローチ盤あたりにそういった——的確な数字はちょっと記憶いたしておりませんが、輸入が非常に多いといいますか、輸入に対する依存度国産よりも多い傾向というものがはっきりあらわれておるのではないか。このあたり日本の従来の工作機械の弱いところと申しますか、技術整備されていない、また生産体制のおくれているといった分野であるのではないかと思います。
  18. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その歯切り機械の場合、ずっと資料でいただいたもので調べてみますというと、この外国製歯切り機械を要求している、その設備されているいままでの台数ですね、この台数から見ても、ほとんどが歯車の形削り盤とか、傘歯車歯切り盤なんというのは外国産の要求がほとんどでございます。しかも、それが自動車産業の場合にほとんどそういうようにされている。こういうようになっている原因ですね、この原因について伺いたいのです。
  19. 高島節男

    政府委員高島節男君) 歯切り盤の中にもいろいろな種類がございますわけですが、その中で、たとえばホブ盤のような外国機械に比較しまして大体技術的にも一応対等であるというところまできておりまして、一部輸出の希望も持てるというような分野もございます。これは歴史が古うございまして、戦争中から、むしろ軍需とのかね合いでそういった面が相当進んでおったから、それだけの歴史と力とを備え得たのではないかと思われますが、逆にこの傘歯車歯切り盤と称しまして、非常に精密な自動車工業等で使います歯切り盤のようでございますが、そういった分野ではアメリカのグリーソン社と申します大きな御承知メーカー等がございまして、この技術が非常に強いといいますか、世界的に風靡しておる。ちょっと電子計算機のIBMみたいな感じにとれるのでございますが、そういった技術を持っているものがあり、その力に対してこちらのほうは非常に劣っている形であって、自動車産業のほうは量産体制に次第にいま移りつつあるわけでございますから、こういった歯切り盤に限らず、全般的にいろいろと需要は大量化してきており、精度の高いものを求めているわけでありますが、遺憾ながらそういったものでは国産のほうは追っついていない。したがって輸入に依存せざるを得ない形で今日まできているといった状況ではなかろうかと考えております。
  20. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで、やはり一番のネックになっておるのは、おそらく技術の問題というのはいまの御答弁からわかるのですけれども、一つのアメリカならアメリカのグリーソンという会社が世界中の自動車歯切り盤を押えてしまっている。日本の場合も自動車メーカーを見ていただければわかりますけれども、傘歯車のところはほとんどグリーソン一社である。戦争中には非常にそのためにこの機械をまねてつくろうとしてもできなかったというようなことも聞いておりますけれども、日本工作機械の安全保障ということはおかしゅうございますけれども、一朝事あるときの安全ということを考えると、機械は十年なり十五年たてば精度も狂ってくるものでありますし、当然技術開発というものを相当強力にやらなければならないのじゃないか。非常に近代的に日本の国は進んでいるというけれども、実際問題としてはこういうような精密なものを見ていくというと、四等国、五等国になっている。これでは一体通産省は何をやっていたんだということになるわけです。急激な対処が必要である。一体技術開発についていまの問題ですね、どういうような計画をいま持っていらっしゃるか。それからメーカーに対しては一体どういうふうな計画でこういうふうな一番のネックになっている歯切り機械についてはお考えになっていらっしゃるのか、その点を聞きたいのです。
  21. 高島節男

    政府委員高島節男君) 歯切り機械の問題につきましては、非常にこれはむずかしい点があるように考えます。特に傘歯車歯切り盤あたりにつきましては、なかなかむずかしい問題であろうかと思います。いろいろな機種についていままで御説明しまして、その中でこちらは積極的に輸出までしようと、少なくとも輸入防遏だということは抽象的、一般的に申し上げてまいりましたが、いまお突きになられた点について、それもそうかと、こうおっしゃられますと、私自身としてもまだ日が浅くてしろうとでございますが、成算がむしろないと申し上げたほうが率直ではなかろうか。どういう点に問題があるかと申しますと、やはりこれだけのものをつくっていく、さらにそのつくる機械、こういった機械をつくる体制というものを整えてまいりますためには、相当大量生産をしていかないとペイしない。世界の需要を相手にしたようなグリーンソンの出方というものが、一つは非常な力になっているわけであります。技術的に考えてみて、かりに追っつくかどうか、非常にむずかしい問題だと思います。それれにいたしましても、さらに需要がどこまで取っていけるかということの成算がないと、なかなかメーカーとして、この生産資金を投じ、あるいは大きな技術開発という段階でございますから、それに金をつぎ込んでやっていくということは非常にむずかしい分野ではなかろうかと、しろうとながら非常に憂慮している機種ではないかと思います。一般にこれと違いました分野では、むしろこれから技術開発国内でいろいろと積極策を講じていくことによって追っついていき、自分自身として大いにやれる体制になっていくべきであり、そういう努力をしていきたいという分野は非常にございますが、御指摘の点については、むしろいまの体制を前提にいたします限り、輸入に依存していくという面も相当やむを得ない分野ではなかろうかと思います。ただ、さらに問題の焦点を分析いたしてみまして、できることならば国産方向へ移向させるようにしたいと考えておる次第でございます。ただ一つ付言いたしますと、グリーンソンが非常に広い特許——パテントを持っております。このパテントに拘束されまし手が出ないという面も聞いておるわけでございます。そのあたりになってまいりますと、なかなかパテントに触れない新しい技術開発するということにならざるを得ませんから、非常にむずかしいものが出てくる。それではロイアルティーを払って向こうから技術導入するかということになると、これだけ独占的な力を世界的に持っておりますと、なかなかそれに応じてこないというところになかなか苦しいところがあるのではないかというふうに思っております。
  22. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 非常にその点は困難だということもわかるわけです。主要メーカーの大体の概要というのを見ると、グリーンソンの従業員の数は二千七百人である、こういうことです。わが国の場合、歯車の会社の従業員全部を合わしても八百人程度ですね。もともと全世界的なシェアを持った一つメーカーとして出発したわけでもないだろう、そう思うと、出産高、従業員云々よりも技術開発というものも相当進んでくるまでに時間はかかったろうと思うのです、何十年となく。自動車の場合、傘歯車機械といえば、もうグリーンソンときまっています。日本自動車工業始まって以来のものです。そこでほんとうを言えば、あのタイプでなくて、ほかのタイプの形でつくるということだって、これは機械としてはあり得るだろうと思いますし、何もあそこのパテントを買わなければできないというものでもなかろう、自動車メーカーがどうしても一番使われておりますので、そういうところで自動車メーカーとの共同開発ということは考えられないかどうか、これを一つ伺いたい。  それからこれは大臣にお伺いしたいのでございますけれども、戦争中は工作機械は非常に困ったということで、国家からばく大な援助というものがされていたわけです。そうしてさっき話が出ましたブローチ盤であるとか、歯車ホブ盤というような専門の機械についてはかなりのウエートを入れた、ホブ盤だけは歴史的にも技術的にも開発をされたいうことは、通産省からいただいた資料によってもそういうことが書かれている。そういうような非常な高度な機械につきましては、国家援助というものをさらに大きく考える必要があるのではないかと思いますが、その点についての御見解を承りたいと思います。
  23. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 機械器具というものは、将来日本輸出する場合においても、やはりこれは重点工業の一つだと思いますから、だから場合によったならば、そういう部門も開かなければならぬというふうに考えております。
  24. 高島節男

    政府委員高島節男君) 現在の段階において自動車メーカー歯切り盤、ことに傘型のものについて共同にやっていくというところの動きは、残念ながら現実の問題としてはまだございません。しかし一般論といたしましては、資本の自由化等も今後日程にのぼってまいりまして、日本の産業の競争力、技術のためにはいろいろな意味で全力を上げていかないといかぬ段階にまいっております。日進月歩の技術革新のあとから追っかけていくということだけでなくて、もしうまい手がかりが出てくれば、共同開発なり何なりで新技術の把握につとめていかなければならぬと思いますが、ただこれは先生がよく御承知のように非常に時間がかかるのでございますが、手っ取り早く追っつこうとすると、やはりパテントをもらって追っつくという形になってまいります。向こうは強い立場にあるのでいろいろと条件は悪くなりますし、今後資本の自由化その他の問題ともからんで日本の立場は弱くなっていくかと思います。したがって今後大いにいろいろろな意味で研究開発等を同時に進めてまいりまして、相当長期のかまえでいくということでいかざるを得ない現状にあるのではないかというふうに考えます。
  25. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは工作機械の中では一番どこのメーカーでも着手し、その理由が局長の言われたように、相当資金相当長いところの研究段階がなければ開発できないというところの機械です。それはよくわかる。それをするのに、先ほども大臣に申しましたように、相当国家において大量の資金援助しなければ、とうていできないことだろうと思います。いつまでも一番おくれている部分があってよろしいと、アメリカ依存でよろしいというわけにもいかないだろうと思いますし、その点で相当前進的な行き方をしてもらう、自動車メーカーとの共同開発もかなり困難だろうというけれども、困難だというような考え方でなくて、専門的にお考えになっていって、まさか自動車メーカーもすべて機械外国でよろしいというわけじゃないと思います。その点は積極的な手はずというものをこちらから席をつくってやるように努力をしていただきたいと思います。  それからやはりこの問題の一番の問題は、この機械に使われる軸受けだとか、あるいはその他の品物が高精度が出ないということが言われているわけです。通産省からの資料によってもそういうように書かれている。一体高精度のものが出ないと言っても、戦争中はあれだけの飛行機をつくったりなんかして、精度を上げることにずいぶん努力して来たろうと思う。そうすると、通産省としての努力というものは高精度を上げることはいまだにできないという段階なんですか。そんなに精度を上げろと言っても、外国の精度を追い越せというわけでもないだろうし、向こうの精度がどんどん伸びるということでもないだろうと思うので、同じような程度までいくことはできたろうと思うのでありますが、その辺は手をこまねいておられたのかどうか、はっきりと追いつくように手を打ってこられたのかどうか。
  26. 高島節男

    政府委員高島節男君) 私もちょっと過去の経緯は十分の自信はございませんが、軸受けに関します限りは、相当最近のところでは精度が上がってまいっておりまして、一部輸入はございますが、逆に輸出をしているような段階にもございます。ただ御指摘の当該工作機械あたりになりますと、一番弱いところであるから、あるいは軸受けの問題まで入ってくる技術的な。ポイントがあるのじゃないかという感じはこれはいたすわけでございます。通産省としまして、従来から鉱工業の技術研究の補助金というのが御承知のようにございます。四億数千万円程度出しております。この補助金がこういった分野相当額入ってまいりまして、機械開発中心点を置いた運営をやってきております。したがって、今後も御指摘のようにあきらめてしまうという体制でなく、あくまでも努力をしまして、業界の、特に需要者との協調、当該業界の研究の助成等を結びつけまして、極力国産化に向かって努力していかなければならないと思います。
  27. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ここで今度は技術の問題に移りたいと思うのですが、その前にこれは大臣お伺いしたいのですが、五月二十九日の日本経済によると、通産省と科学技術庁で技術振興策の大筋をきめた。そして産業構造審議会の部会に意見を求めるということになったといわれておりますが、その中で鉱工業技術開発法というのをつくりたい、制定を考慮しておる、こういうふうに言われておるわけです。この問題については、すでに三十八年から三十九年にかけて、政府で重要鉱工業技術開発促進法案というものが前に検討されたけれども、ついに国会まで提案されないで終わったと思いますけれども、今度の鉱工業技術開発法というのをつくられるその制定の意図は、前の重要鉱工業技術開発促進法案そのものを復活させようとするものなのかどうなのかということが一つと、それから前回のこの促進法案でございますけれども、どうしてつぶれてしまったのかということです。その二点についてお伺いしておきたい。
  28. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) まあこれからの通産省としても、国産技術開発というものに相当力を入れていかなければならぬ。それで資本の自由化が行なわれる日がやがてくるでしょう。そういうことになってくると、やはり全く開放経済体制ということになると、それのよりどころは結局優秀な技術を持っておるかどうかということになるわけですから、いまたとえばそういう技術開発を進めていく上においての立方的な措置とか、あるいは研究の準備会、こういうもので私企業——政府が全部というわけにもいかんわけですから、ウエートは政府ももっとやらなきゃいかんわけですけれども、しかし民間のほうでも、みずから国産技術開発する意欲を持つためには、税制上においても便宜をはかる必要があるのではないか、こういうことで、そういう面からもいま研究を加えておる段階で、前のものをそのまま出してきたというわけではない。相当時代も違ってますし、いろいろ現在の状態において考えて、そういうものも必要なんではないかということで、まだここでこういう内容のものだということを申し上げる段階ではないのですけれども、いま、言った税制上、そしてまた技術開発を促進するような、そういう立法というものは検討を加えておることは事実でございます。
  29. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 前回の促進法とまるっきり同じではないかというお話だったのですが、それならば、前の促進法のときにも同じようなケースで自由化を控えるということになれば、こういうようにして重要機械については指定をして政令できめてやろうと、こういうことになっておったわけです。今度の機振法を見ると、同じように機種の政令指定ということがあるわけでありますけれども、前のまでには、戻れないけれども、機振法の一部技術開発についての条項を入れて、そうしてつなぎにしようという、こういうお考えで今回の改正案というものがなされておるのかどうか、その点についてはいかがですか。
  30. 高島節男

    政府委員高島節男君) 前側の法案につきましては、私タッチいたしておりませんので、これを扱ってまいりました際のこまかい動きはよく存じませんが、結局結果的には、いま大臣のおっしゃいます税制上あるいは補助金その他のいろいろな助成手段によって技術開発を遂げていこう、こういうねらいどころにあったわけでございます。したがって一本わざわざ法律を起こすかどうかは、あくまでも助成手段としてどういう法的形式をとったらいいかということにおそらくなってまいったんだろうと思います。その結果が、税制上はすでに特別償却その他の制度もございますし、その辺の運用上あるいは若干の既存制度の改正等々で実質的な充実が期し得たので、あらためて特別に法律という形の姿をとらなかったものと思われます。その機会にたまたま機振法の改正、ちょうど期限切れになりまして、延長ということがあったわけでございますが、御指摘のように技術開発が非常に大事であると、こういうことで技術開発計画というものをちょうど合理化計画と同じように中に織り込んでやっていくたてまえにおいて、指定されます基礎機械その他の機械工業分野ではやっていこうではないか、こういう形になったわけでございますが、そこから出てまいりますいろいろな助成手段というものは、やはり先ほど申し上げました鉱工業の研究の補助金とか、あるいは税制上の措置とかということと結びついてまいりますので、こちらの法律で取り上げられたものに集中的にそういう補助手段というものがからんでくる。こういったことが大体大勢になって、あらためて法律の立案はなかったものと承知しております。  四十二年度の新政策は、いままだ事務段階でああでもないこうでもないと議論をしている点でございますが、その一端がおそらく御指摘のように新聞に出たのだと思いますが、大臣指摘のように、前のものをそのまま盛っているという感じではないのでございまして、技術革新に対処するため、特に必要な条項として税法上の現在の優遇制度では不十分ではないかとか、あるいは鉱工業の指導をさらに突っ込んでいかなければならんのではないかということに触れております。これが法案になりますか、改正ということになりますかは、従来のところそういった性格の取り扱いをしておりますので、ちょっと予測がつきにくい段階にあろうと思いますが、いずれにせよ、積極的な助成策をここでとっていこうということで、政策を検討しておるということは間違いのないところでございます。
  31. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 日本産業界というものが、これから外国技術依存から抜けていくという過程には、かなりの研究開発費というものをつぎ込まなければならない。先日のことでありますけれども、オランダの科学研究費の増加というものが非常にふえてきているということがうたわれております。それを見ると、国民総生産のうち二・六%までが研究開発費につぎ込まれている。それに対してわが国の場合には非常に少ないということが言われておるわけですが、民間企業の場合とそれから政府の場合との両方、別々にどのくらい研究開発費がつぎ込まれているのか。
  32. 高島節男

    政府委員高島節男君) 日本の場合は三十九年度のGNPに対します研究開発費は、御指摘のオランダの二・六%に対する数字としては、一・四九%という実績が出ております。それの内訳になりますと、ちょっと三十九年度のがこざいませんが、三十九年度は総額で三千八百十八億円という数字が出ております。これに見合う三十八年度が三千二百十一億円という数字が載っておりますが、その三千二百十一億円を内訳を申し上げますと、そのうちの政府部門と言いますか、国と地方公共団体も入れました部分が八百九十一億円、大体二七・七%ということでございまして、民間の部分が二千三百十六億円、したがって七十二・何%になりますか、残りのものというふうに分かれております。結局政府のほうが約三割に満たないくらいの比率の投資でございます。
  33. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、まあ金がないからと言われればそれだけのことになってしまうことですが、日本の場合は、いまもお話があったように、大体二七%が国の研究費である。オランダの場合には、これも非常に輸出振興ということに力を入れているので、四四%が政府や公共機関から開発費が出ている。民間関係は五六%。そういうわけで極端にこれは多いのかもしれませんけれども、この比較をしてみると、同じように輸出で生きていかなければならない国としては、日本とオランダと同じだろうと思う。同じようなそういう輸出入の体質を持っているわが国としては、非常に少ないと思うわけでございますが、これについては四十二年度はいまも局長からも、また大臣からも、御答弁がございましたが、いろいろ税制の問題等について考えるという具体策があらわれるようですが、その点について国の援助とこうものは、いろいろ面がありますが、直接的に上げていくものを四十一年度はかなり増加させる、二七%線上に持っていくという何か具体的な目標なり心組みはございませんか。
  34. 高島節男

    政府委員高島節男君) 四十二年度の政策内容といたしまして、具体的にどういうものを取り上げるかというところまでまだ到達いたしておりませんので、この二七%見当であるものをどうしていくかというところに触れる形にはなっていないわけでございます。三十六年度で二六%で、三十八年度で二七・七%でございます。まあ微増しておると申しますか、まあ全体が相当大きくふえているのに対して、政府としても微増——シェアのほうは幾ぶんふえるというくらいに来ておりますから、財政当局も相当努力はしてまいっておるとは思いますけれども、本年度特に感じますのは、国産技術面での立ちおくれが今後の競争力の隘路になって、輸出の面から国民経済成長率を制約をしてくる心配が非常に感じられますので、これから衆知を集めて具体策を立てて、いかに臨むかを検討してみたいと思います。しかし、やれます手段としては、やはり国みずからやります研究その他を充実いたしてまいりますこととあわせて、民間側のほうの試験研究等のやり方を助成をしてまいる方法と、まあその二つほどに結局は手段はなりまして、前者に対しましては、既存の機関の充実に力を注ぐということになり、後者については、いろんな先ほどから話されました助成手段をいかように有効に活用していくか、具体策の範囲でふやしていくという方法になってくるかと思います。そのあたり見当をつけまして、今後さらに検討をいたしてみたいと思っております。
  35. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは大臣から御答弁がなかったのですけれども、財政の許す範囲でということになると、具体的な目標というものがはっきり出てこないわけです。実際問題が、各工場を見ても、かなり古い機械を使っている。これは通産省重工業局から出した資料を見ても、すでに年数十五年もたった機械が三九・一%というような大きな分量を占めている。これはできてくる製品がそれだけ悪い品物ができるということになるわけです。そういうふうな古い設計の機械や古い技術というものが、日本機械工業の大きな部分を占めているということになりますと、なかなか企業としても伸展が望めないし、といって技術開発ということになれば、長い期間と多額の資金が要る。これは結局、研究開発費というものをオランダのように思い切ってふやしていく必要があるのじゃないか。企業のほうとしては研究開発ということについても、あまりにも資金がかかり、長期化ずるということは企業としてペイできないということになりますので、これはどこまでも、外国の例を取り上げて言うわけではありませんけれども、国における比率というものを向上させなければ、ほんとうの技術開発というものはただ口で言うだけでは、企業のためにもなかなかならないということになりやすい。具体的にはまだはっきり出ないと思いますけれども、大幅な増加ということが望めるかどうかお伺いしておきたい。
  36. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 技術開発関係は、諸外国ではつまり軍事費が相当にあるわけですね。予算の大体三〇%の軍事費を使っている。これがやはり研究費に相当回っている。日本の場合は一〇%にも足りないわけですから、なかなかやはり、日本の国防予算の中から研究費に回るというようなそういうゆとりのあるものではないと思います。アメリカなどではやはり軍事費の中から研究、科学技術、それはやはり産業にも結びつくわけですが、いろいろな役割りを果たしている。そういうことを考えてみると、日本ではやはり政府技術開発に対するみずから今度大型プロジェクトなど、あれは一つの考え方として非常にいい考え方の芽が出ているわけです。この金額もやはりふやしていかなければならない。初めは十億という非常にモデレートなものですが、これは相当金額もふやしていかなければならない。また、その他政府補助金などのようなものもふやさなければならぬし、そうして日本の場合は、もう少し政府技術開発、これはもっとしっかり力を入れなければならぬ部門だと思います。だから技術開発に対する日本のいままでの政治というものの重点の置き方は、一ぺん考えてみるべき時期に来ておるのじゃないか。来年度の予算編成において相当大幅に技術開発費というものは増額をするように努力することは当然のことだと思います。
  37. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それで、これは局長に伺いたいのですが、民間の場合と国や公立機関の場合と、技術開発の場合にも二重になるわけですが、同じものを研究する場合が出てくる。そこで方向としては、私ども考えるのは、基礎研究の部門というようなものは、どこまでも民間よりも国公立のほうでやったほうがいいんじゃないか、それからいわゆる応用部門、開発部門ということになれば、民間企業のほうにウエートを多くする、そういうような大まかな荒筋というものをお立てになることが必要じゃないか。基礎研究がはっきりできなければ、それからの大きな飛躍はできないわけですけれども、民間ではあまりにもその点において大きな投資を要するということになれば、これはできないわけであります。そういう点について通産省としては、これは科学技術庁とも御相談しなければならぬ点かとも思いますけれども、そういうよう方向性を与えていく必要はないかどうか。
  38. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) そのとおりだと思います。やはり国としては基礎研究と、それとまた非常にやはりその研究がリスク等を伴う、私企業ではそのリスクの負担にたえられない。これはやはり国がしなければならぬが、大きな区分としては基礎研究は国がやる、応用研究は民間でやる、こういう大筋で、いま言ったようなそのカテゴリーの中に全部入れることはできないが、しかし大筋としては御指摘のとおりだと考えております。
  39. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ひとつその方向で御努力願いたいと思います。  それから大企業並びに中小メーカーとの技術の差というものがあるわけですが、今度いろいろグループもできてくるようでありますけれども、それは当然グループ間の中で技術交換をするとか何とかということが考えられなければ、この差は埋まってこないだろうと思うのですが、その技術交換まではたして踏み切れるものかどうか、非常に先日の状態を見てみても心配なんでございますけれども、その点についてはどういうように技術の差を埋めていくようにお考えですか。
  40. 高島節男

    政府委員高島節男君) 工作機械の現在のグループ化と称しております集まりの程度は、先般参考人のほうからもいろいろお話がありましたように、まだその結束の内容、具体的な進み方というものは十分に発揮いたしていない段階でございます。ただ期待できますことは、いままではめいめいが一人々々でばらばらにやっていく傾向が非常に強かった、これは工作機械身の性格が注文生産品でもありまして、めいめいの技術、おれ一人でやっていける注文品というようなかっこうで、量産の体制、協調というようなことにはほど遠かったわけでございます。そういう非常に困難な状況ではあるけれども、とにかくまあ集まって新しい方向を握ろうというところの努力には大いに期待をいたしていいのじゃないかと思います。どういう点から具体的に入っていくかという点はまだ明らかでございませんが、販売条件の正常化とか、輸出に向かっていく場合の協同化とかいったようなあたりから比較的手近に考えられているようでございますけれども、同時にこの技術の交流とか共同研究とかいったようなものは、相当に各グループとも考えておるようでございます。通産省としまして、あまり積極的にと申しますか、手をとるような介入のしかたも、こういったゆるい結合関係中心にまず企業企業との間の団結ということをねらうたてまえからいって、いかがかと思う面もございますが、技術のおくれを取り返していくために、極力相互の間で技術の交流と申しますか、たとえば技術者に互いに工場を見せ合うとか、あるいは特許の総合利用や公開とかいったような方向に進んでいくことを、できるだけ勧奨してまいりたいと思っております。また現実にそういった方向に歩みを進めようと計画を持っており、緒につこうとしているものも中には相当あるように見受けられます。
  41. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今度の法案でございますけれども、その中に軽工業における技術開発を促進するため、特に生産技術に関する研究を促進する必要がある機種で政令で指定したものということがうたわれておるわけでありますけれども、どういう機種を指定するという予定になっておりますか。
  42. 高島節男

    政府委員高島節男君) まだ具体的に確定をいたしたというわけではございませんが、比較的目の前に考えております検討対象材料という点で御説明をいたしますと、現在のところのねらいとしては、輸入相当多い、しかもそういろ分野というのは概して高性能のものが多うございます。たとえば数値制御コンピューターコントロールという新しい分野が出てまいりまして、ある種類のたとえばフライス盤ならフライス盤というものでも、コンピューターコントロールになるというような高性能のものになりますと、日本の場合、まだ技術開発それ自身が行なわれていないという面がございますので、機械種類としてこつ然と新しいものが出るというよりは、既存の概念にある機械で高性能の基礎機械等の開発中心になってまいるのではないかと思います。若干の例をあげますと、コンピューターコントロールの単軸の自動盤とか、あるいは同じくコンピューターコントロールのフライス盤とか、あるいは冷間成型のプレスとかいったあたりにその例を見るわけでございますが、いずれにしても高性能という意味において、性能自体にプラスアルファーの出るようなものに対して、特にその技術開発の目標をこの法律に基づいて与えていくということになるのではないかと考えております。
  43. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの御答弁の中に、各グループの販売条件の正常化というようなことがうたわれていたわけですが、大体工作機械の六割が商社ので売られておる。同じ製品がメーカーの直売のと商社販売とで競合するということが、競争するという場合がある。業者間の過当競争ということもあるわけですが、そうして安値というようなことがかなり問題になったりしているわけですけれども、その商社のほうがいわゆる秩序立った販売というものができるように、そういうような環境整備ということがこれから先必要になってくるのじゃないか。そうしませんと、メーカー側のほうである程度の建て値をつけたくても商社側が乱売するということになれば、注文は取れるけれども、かえって苦しくなるという結果を生むわけでございます。そういうような点についての具体策はどうお考えでしょうか。
  44. 高島節男

    政府委員高島節男君) 販売条件の是正は、観念的に申しますと、非常にやさしゅうございますが、具体的になりますとなかなかむずかしい問題でございまして、特に景気の、圧力が非常に強く、需要が少なくて押し込み販売になっている場合には、商社の段階においてもまたメーカー段階においても、取引条件をとかくくずしがちであるかと思います。ただ一般的に商社、メーカーを一応分けずに申しますと、あるいは販売条件をお互いの間で調整して、一定の割賦の条件その他にしても、あまり極端なものはやめるといったような公正な取引条件を整備していく方向もございますし、あるいはメーカーから需要者に機械を売ります場合に機械保険法もございますので、その際に販売条件の一定限度を越したようなものは引き受けないとかいうような、政策的、行政的な手段はこれは一つあるわけでございます。ただ、メーカーと商社の立場ということになりますと、一般機械類全般のむしろ議論としては、やはりメーカーに力がちゃんとついていけば、商社というものはそれに応じた売り方をしていく、やはりこれは貿易等でも商社が秩序を乱すということが現象的に出てまいります。確かに一次責任者はこれでございますが、その背後にはやはりメーカー自身の立場が強い競争力があって、がっちりと相互の間の体制整備ができておるということになって、初めて商社の姿勢も直ってくるというような経験も私もいたしておりますけれども、国内販売においても、商社の金融力でやりますところの延べ払いにしても何にしても、やはり限界があるわけでございまして、メーカーのやはり競争力を強くし、もとにさかのぼれば結局技術開発までまいりますが、メーカーの力を強くして秩序をつくっていくということが中心ではないかと思います。商社の売り方が悪いということがもちろん目に余る場合には、単純な行政指導等の方法で注意をしたりいたすわけでございます。しかし、それは現象を追っかけている感じでございまして、やはり基礎的にはメーカーを強くしていくということではないだろうかと感じております。
  45. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 工作機械のこれは実際に使用されている工場側を見ますというと、先ほど申し上げましたように、かなり古い機械を使っている。特に外国産の機械が入っている場合にはなおのこと占いものを使っておって、大正時代あるいは昭和初期のものをそのまま使っているという工場がかなりあるわけであります。その点はもうすでに耐用年数も過ぎちゃって、はるかに二倍も過ぎてしまっておるというような状態になっているわけですね。その点を何とか買いかえさせていくというようなことを考えなければ、いままでの一千億という生産能力に対して七百億程度のものといった、あるいは輸入のほうが減ってきているとはいっても、思い切ってそこまでいかないという現象を生むわけですが、その点の指導と申しますか、これは機械全体に関する問題、工場全体に関する問題でありますが、その点について。
  46. 高島節男

    政府委員高島節男君) 確かに御指摘のように、日本機械工業の持っております機械を洗ってみますと、耐用年数を越える分野のものが約四割くらい、ただ弁解ではございませんけれども、逆に四割ぐらいのものが相当更新されて新しいものになった、こういったような感じで、老齢層と新しいものと両方が四割、四割できたような感じになってきております。問題はもちろん老朽しているほうの四割にあるわけでございます。現存その点に着目いたしましてとっております政策は、それが新しいものに変わっていく、新しいものにすることを促進すると同時に、古いものをつぶすという方向が出てこなければなりませんが、本国会で通りました税制の改正で一つの大きな方策は、現在こういった機械をスクラップ・ダウンしまして新しいものに変えていくというリプレースをやっていく企業に対しまして、取得価格の一割でありましたか、程度の税額控除をしてやる。これはプラスアルファになりますから、非常な奨励措置、単に償却を促進するというだけじゃなくて、かなり踏み切った、ある意味ではスクラップ補助というものを出してとるべきものを与えて、補助金を出していくような感じになります。税制上は非常にいろいろと論議がございますが、スクラップ・ダウンの緊急性にかんがみまして、税務当局も思い切って踏み切ってくれた。今期からその線が動いてまいりますが、相当にこれによってインセンティブとしての効果はあげ得るんじゃないか。また機械工業振興法自体の運用といたしまして、老齢機械をかかえております場合には、その振興計画内容としては新しいものを設けなさいということと同時に、スクラップ・ダウンをすることをあわせて計画の中に入れていくということで本法の運用にも心がけてまいりたいと思います。
  47. 近藤信一

    近藤信一君 大臣が他のほうに所用があって退席されるそうでございますから、その前に一点だけちょっと大臣にお尋ねをしておきますが、これは機械工業の不況の問題でございますが、昭和三十六年末をピークといたしまして、非常に機械工業に対しては不況になってきた。特に工作機械業界におきましては、受注も頭打ちになってずっと下降線をたどってきておる。それから三十八年以降は、これははっきりと大臣も御承知のように、不況色に塗りつぶされたというような形になって今日になっているわけです。そこでその原因といたしましては、基本的には金融の引き締めによりますところの一般経済界の沈滞、これがございますけれども、やはり何といいましても、積極的な設備投資メーカーは減価償却、それから金利負担、こういうふうなことがかさむ一方でございまして、非常に沈滞をしていっている。いわゆる好況の波に無理に乗り過ぎたというぐあいな傾向だと私思うのです。この問題はやはり業界にも責任はございまするけれども、他方におきましては、機振法に基づく政府工作機械国産化へと非常に意気込んでおられた、それが業界を刺激した、そういう点で政府の施策の甘さというものも批判されておるのは現実でございます。そこでやはり合理化目標は達成されたと、こういうふうに実績の上においても残されておるようでございますけれども、今日の深刻な不況というものは一体どういうところに一番大きな原因があったか、まあ設備投資の問題があげられるのでございましょうが、他の点で一体どこに大きな原因があったか、そうして今後通産省としてこの対策をどのように考えていかれるのか、いま機振法を審議しておりまして、この問題についてはいろいろと技術の革新やいろいろな問題があげられておりますけれども、今日的には一つの大きな柱というものがなければならぬ、こういうふうに私思うんです。今日の不況についての大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  48. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今日の不況は、結局はやっぱり需給のアンバランス、相当設備を持っておるにかかわらず、これに対して需要が伴わないということで、その間非常に過当競争が行なわれて企業の採算も非常に下がってきておる、もうからなくなってきておる、こういうことだと思うんですが、しかしこれはまあ平面的に考えた場合で、今後はやはり考えなければならぬことは、そう一挙に設備投資というものを、行き過ぎたから、しなくてもいいかというと、そうではない。欧米ともにいろいろな設備ということが大型化していく傾向を持っている。国際的に国の範囲を越えたような大きな会社の統合なども行なわれて、鉄鋼のごときは非常に大型化していく。だから設備が余っているといっても、国際競争力の上からいったならば、相当日本もやっぱり老朽施設に対してはスクラップ化して新しく設備もやっていかなければならぬ。いま余っておるからといって、じっと設備投資を押えていくということはできない。どうしても国際競争力を強めていく上からいったら、相当日本設備投資もやっていかなければならぬ。設備投資をやる場合に、いままでのような高度経済成長ということで、設備さえすれば、ものをつくればもうかるという時代でないんですから、そういう設備投資に対する質的な検討ということは必要でしょうけれども、やはり今後は相当設備投資をしていかなければならぬ。現に、いま不況で設備投資の意欲というものは、民間がほとんど意欲を失なっておるようでありますが、最近景気回復のきざしが見えてきて、設備投資というものがだんだん生まれてくるような気配が経済の指標の中に出ておるわけでありますから、やはりこういう国際競争力強化の見地からいって、設備投資というものも今後また意欲を取り戻していく。その場合に、何でも設備をすればというんでなくて、あるいはシェア競争のためにするというんではなくて、そういうときには強い通産省の行政指導が要る、ただ設備だけというのでなくして、やはり質的にそれが真に国際競争力をつける形の設備投資が行なわれていくようにこれは指導していかなければならぬ。しかし、そういうことから考えてみて、日本機械工業の前途が非常に悲観的なものとは私は思わないのであります。
  49. 近藤信一

    近藤信一君 大臣お急ぎのようでありますから、もうあと一点だけでございますが、やはり私どもはずっと過去振り返って考えてみまするならば、池田内閣当時の経済成長政策による設備投資、これの失敗が今日の不況をもたらしたものじゃないかというふうにも考えられる。ただこの点は機械工業界だけでなくて、当時私も本委員会で質問したことがあるんですが、幾ら設備投資をして拡大生産をはかっても、実際、では生産量だけが高まって果して貿易面においてそのバランスがとれるかどうか、こういうことであるならば、幾ら設備投資して生産増強をやってもだめじゃないかということで私もここで質問したことがあるんですがね、それが今日尾を引いておるんじゃないかというふうにも私どもは考えるわけなんですが、この点大臣いかように考えておられますか。
  50. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) それはやはり設備投資をしただけではだめでして、やっぱりこういうふうになってくると、経済の大義が、国際競争力ということが非常に大きな尺度になってくると思うんですね。そういう意味において、ただ設備投資というものでなくして、そのことが真に国際競争力を持つかどうかということが大きなやっぱり尺度になり、そのことが国内における設備拡充の尺度にもなるし、また輸出機械そのものの輸出にしましても、やはり質的に日本機械というものが競争力を持たなければ——まあ非常なソフトな条件で低開発国なんかにはいけるにしても、やはりそういうことがいろいろほかの条件が伴わなきゃならぬですから、正常な貿易とは言えないわけです。どうしてもやはり日本機械そのものが海外市場において競争力を持つと、その尺度に当てはめて日本の今後の産業政策というものは考えていかなきゃならぬ。そういう近藤さんの御懸念がまあ池田内閣当時にあったんだということなら、まさにそのとおりだと私も考えております。
  51. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私、あと残りがわずかですけれども、先ほど技術公開の問題で伺ったんですけれども、メーカーが多種であるということになれば、多種で多くのメーカーがあるということになると、どうしても互換性が失われる。同じ旋盤でありながら、歯車が会社が違うと同じサイズのものであっても全然合わない。これが非常に大きな欠陥になるわけです。で、互換性の問題が機械工業では一番言われてるわけですが、ドイツあたりの製品を見ると、ほとんどが互換性というのが最初からできている。小さい例ですが、機械ではありませんが、ボールペンの中を見れば、ニューマンであろうとシェーファーであろうと、全部同じようにできている。そういう互換性というものが一番大事だろうと思うんです。その辺がはっきりしないと、幾ら技術が進んできても、輸出力においても、歯車をかえることもできない、故障した場合には困ってしまうということで、かえって輸出を阻害する条件にもなる。その点についてどう考えられるか、その指導はどうなっているか。
  52. 高島節男

    政府委員高島節男君) まさにいま御指摘の部品等について互換性がないことが機械工業の量産体制、あるいはコストダウンということの非常に大きな障害になるかと思います。現状に見てそこに欠点がございますが、過去においてそれぞれの自由企業で独立してやってまいりました経緯から積み重なった歴史の姿として、企業間にそういった問題を今日残しておるわけで、これの解決はまことにむずかしいものであるかと思います。先般行なわれましたグループ化というものも、それぞれグループの中においてどういうテーマを取り上げていくかという点については、まだ問題を残し、明確な進路をはっきりさせないものも多いわけでございますが、私のちょっと聞きましたのでは、自動盤でありましたか、自動盤の懇談会というものが工作機械工業会の中に一つできまして、一般グループ化等の機運もできている際、自動盤あたりの比較的手をつけやすい分野のほうから部品の互換性をつけるのにどういう方向に持っていったらいいだろう、その具体的な検討に入っておるようでございます。この成果等も今後十分見ていきたいと思いますが、さらにまた自動盤に限らず、一般的に部品の互換性あるいは規格等といったあたりから逐次手をつけて事を進めていきたいと考えております。
  53. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは日本にも工業規格があるわけです。工業規格できちっと締めつけても、互換性が失われているというのが日本の現状です。これは国民性によるのかもしれませんけれども、ほんとうを言うと、すべての部門で私どもは大きなロスをしているだろうと思う、そのために。これは強力にドイツのDINあたりみたいにきちっと規制されるのもありますし、日本の工業規格のように、ありながら守られないというのもあるわけです。やはり守るような気風というものを業者間につくらなければならない。民間のほうでいろいろといまそういうものをお考えになっているようでございます、ということじゃどうにもならないだろうと思うので、その点のお考えを一つ聞かせてください。
  54. 高島節男

    政府委員高島節男君) いま御審議をいただいております機械工業振興法のねらいどころも結局はそこにあるわけでございまして、たとえばある機種をとらえて、それの内容として生産分野を調整する、同時に部品の規格の統一、あるいはさらに一歩進んでその互換性の一〇〇%の充実を期するという方向計画を立てまして、それのため所要の資金等々について援助をしていく、こういう方向に導いていきたいというのを大きい流れとして考えております。ただいまの自働盤の例等は、極力これは民間の自発的意欲ということを中心にやっていきたいという気持ちから、そういった形でおやりになっているというふうな表現を申し上げましたが、実は相当役所側のほうもその点に目をつけまして、そういうものをつくったらどうかということを、ややこれは役所の立場としては行き過ぎかもしれませんが、積極的に勧奨いたしまして、そして工業会の中にこういった検討の部会が生まれてきつつあるわけでございます。ただ、あくまで官製の指導というふうなものには抵抗がございます。したがって今後も極力民間の認識がそこまでくることを期待しつつ、じょうずにその芽を育てていくということが大事ではなかろうかという気持ちでおります。今後も相当そういう分野で私どもの及ばない知識の中でも問題点があるようでございます。具体的に取り上げて積極的に、幸いまとまりかけてきているグループ化等の意欲もある現在の段階において、積極的に指導してまいりたいと考えております。
  55. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いままでの互換性ということになると、自動車にしても何にしても小さないわゆるコックみたいな変なのですね。そういうもののネジぐらいしか統一されてなかったわけです。いま具体的にそういうことを進めていらっしゃるという話ですが、ここにおたくでいただいた資料で、舶用水冷ディーゼル機関というのがありますね。規格別製造状況というのをいただいたのですが、これも機振法によってつくられているわけです。このシリンダーの内径というのは五ミリあるいは十ミリ飛びで出て、みて見ると五ミリ飛び、あるいは十ミリ飛びぐらいで、二百七十ミリなら十七社、二百七十五ミリなら十五社、二百八十ミリなら十三社というように実にこまかく三百五十ミリから百五十ミリまでの間ができている。これじゃほんとうに機振法のねらいがそこにあるというのでは、むしろこういうようにこまかくなっていたのでは、かえってなお一そうばらばらにするのじゃないか。おそらくいままではこまかく百八十二とか百七十三とかいう整数でないものを、五段飛びの数にまず合わせたということだろうと思いますが、これをさらにこまかく合わせて、いま言われた趣旨をこまかくというか、もう少し少なくしてやっていかれて、趣旨を生かされるかどうか。
  56. 高島節男

    政府委員高島節男君) 舶用のディーゼル機関の関係は主務省でございます運輸省、船に使いますから、こちらの協力が非常に大事になってまいるわけでございます。御指摘のように確かにこの飛び方はもう一息シリンダーの内径規格に基づいて詰めていく余地がないものかと思いまして、先方の協力を積極的に求めているところでございますが、ただこういう仕事に従来から携わってまいりました方の経験者の話によりますと、なかなかこういうものの圧縮ということが一朝一夕にいかないわけで、長い間かかってもっと激しかったものをここまでに追い込んできているようであります。しかし今日競争力の観点から、業界全体の気風も何とかこういった分野体制整備につとめなければならぬという気持ちは強くなっておりますので、いま一息運輸省のほうとも知恵を出し合いまして、これの指導につとめてまいりたいと思います。
  57. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大臣一つだけ聞きたいことがあるのですが……。
  58. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 大臣は来ません。
  59. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それでは……。
  60. 近藤信一

    近藤信一君 前回に続いて御質問いたしますが、まだだいぶ二、三回質問しなければならぬけれども、きょう、どうしてもあげてくれと委員長が言っておりますから、私も簡単に質問いたしますから、局長のほうでもできるだけひとつ簡潔に御答弁を願って、そして御協力をさしていただきたいと思います。  今回の産業界の不況の中で、特に工作機械というものが不況色というものが濃厚であるということは局長もしばしば答弁の中で言っておられるわけでございます。そこで、やはりいろいろと機械工業界におけるところの倒産も相当私もあるのじゃないかと思うのです。その中で大きいのを数えてみますならば、般若鉄工などもそうでございます。そこで、機振法に基づく開銀融資、それから中小企業公庫融資、こういうものを受けていた会社で倒産した会社の件数というものは一体いかほどあるのか、この点おわかりでございましたならばお示し願いたいのであります。
  61. 高島節男

    政府委員高島節男君) 御指摘のように、機振法に基づきまして、開銀あるいは中小公庫といったようなところから政府資金を流しておりまして、これで三十一年からスタートいたしておりまして、現在まで約二千件程度全体で融資をいたしておるわけであります。その二千件のうちであるいは内整理とか手形不渡りを出したとかというものを拾ってみますと、大体二十五件くらいというのが出ております。したがって、二千二百件くらいのうち二十五件というのが出ております。
  62. 近藤信一

    近藤信一君 いままの三十一年から二千件ぐらいの倒産がある。この倒産につきましては、私ども本委員会におきましてしばしば中小企業対策、また不況対策と、こういうことでいろいろと御質疑をして、それの対策についての考え方を私どもただしてきたわけなんでございます。機振法に基づく融資を受けた会社の倒産問題は、この機振法の運用について重要な問題を提起するものだと私は思うのであります。やはり昨年の四月、これはボール盤の有力メーカーであった並木機械、これは資本金が二千四百万円でございますが、これが不渡り手形を出したときも、その行き詰まりの原因というもの、これは先ほど私が申しましたように、過剰投資の問題が原因しておるというようなことも言っておりましたし、これはやはり設備投資が破綻を招来しておるというのが、私はいろいろとあげられた倒産の中でもそういう会社というものがあげられる。そこで、せっかく機振法に基づいて育成した会社は、開銀融資をてこといたして育成いたしまするが、かえってそれがあだになる場合もあるわけなんで、これに似たケースとしては先ほど申しました般若鉄工もこれはあげられるわけでございますが、こういうふうに非常に融資の問題で機振法と合わないような点もあるのじゃないかというふうにも思われるわけなんでございますが、こういう点についてはどのようにあなたのほうでは受け取っておられますか。
  63. 高島節男

    政府委員高島節男君) 先ほどお答えいたしました二千二百件と申しますのは、融資をいたしました総件数でございます。倒産の件数ではございませんで、融資をいたしました総件数でございます。そのうちで二十五件だけが先生おっしゃるように、機振法の対象で融資を受けながら倒産をした、こういう形になっております。その中で般若鉄工は、業態その他からいいまして、積極的に機振法で推進すべきものとは認めていなかった経緯がございまして、これは融資対象になっておりません。ただ、並木機械製作所というあたりが、おっしゃったような趣旨で倒産になったと、こういう経緯でございます。それで、こういう倒産になってくる原因というものはいろいろ複雑でございますが、機振法の方向から問題をとらえてみますと、先ほど鈴木先生のお話にもございましたように、一応五年間の計画を立てて、ことしやるものの計画を立てる。その合理化計画に基づいて推進してまいる、こういったかっこうになっております。ただ、機種別にこまかく計画を立ててまいりますので、あるいはその計画自身のきめ方が、二十五件ほどとにかく現実出てきたことから反省をいたしてみますと、若干検討が不十分であったという点がある面も反省しなければいかぬと思いますが、それと同時に、やはりおっしゃるとおり、景気の波の変動が非常に激しいときに、大きく設備投資をして、これなら大いに注文もくるぞというかっこうで、お互いの間で調整をしていくということよりは、先へ進む方向で数年間きて、そのあとで横ばい、あるいは生産が減るというような状況に追い込まれることになりましたから、その間の反動というものは、やはり全般に及んできたのじゃないかと思います。ただその中で、二千二百件融資して、二十五件ほどそういった対象が出てきたということは、非常に過去の先輩諸氏の運用を顧みてみまして、わりあいにこのむずかしい仕事をよくやったという感じは私はいたします。しかし、そういうことが出るということは、これまた同時に先生御指摘のように、申しわけにもならぬ点がございます。したがって、今後の心がまえといたしましては、具体的に振興計画を立てます際に、経済成長ラインというものは、あくまでも七ないし八%程度の安定成長ラインである。設備投資は来年は大体本年度と横ばい程度のものでいって、財政投資が中心の動き方のスタイルになるという経済全体の動きぐあいを十分に頭に入れまして、個別の需要というものを考えていく、それに対してシビアな条件で行くべき方向をそれぞれ規制し、お互いの間の協調体制と相まって成長していく。ただ、単独に突っ走った成長ではなかなかうまくいかないということを頭に置きまして、融資対象の業種にも慎重な検討を今後加えていかねばいかぬかと思います。
  64. 近藤信一

    近藤信一君 わが国機械工業の弱点といたしましては、これは過日参考人も言っておられましたように、多種少量生産、これが非常に弱点ではなかろうかというふうに思うのであります。そこで、わが国の工業が非常に発展してきたにもかかわらず、この問題は、いまなお解決されていない。これは提案説明の中にもそういうことがいわれているわけでございます。そうして、その中で専門生産体制の確立や、企業規模の拡大、こういうことが主張されているわけでございまするが、これも十分な成果というものは私は今日まで上がっていないように思うわけなんですが、こういう専門生産体制の必要性というものは、これはいまに始まった問題ではなくして、長年にわたって工業界においては主張してきた点でございまするけれども、それが今日一向に実現していない。これは一体どこに原因というものがあるのか、これが機振法を改正していくまたおもなる今後の点でもあろうかと思うのですが、この点はどうですか。
  65. 高島節男

    政府委員高島節男君) 非常に基本的な問題点でございまして、私どもが機振法をいま一息延長してやっていかねばならぬということもそこから動機が出ておるわけでございますが、なぜこの体制——ねらっておりながら、言われるとおり非常に古い事柄でありながら、実現が思うようにいかないかという点になりますと、こういった体制を急激にとるためには、たとえば第一段階の三十年から三十五年あたりくらいの時期に思い切った輸入自由化等の方法をとるという方法もこれは一つあったかもしれませんが、しかし、そうやりました際には、おそらくは現在の機械工業相当のものが倒れるとか、業界として成り立たない、事業として成り立たない状態に追い込まれたであろうかと思います。したがって、ある程度政府としては輸入制限その他の措措によってこれを保護していく方向できたというのが現在までの経過かと思います。で、その個々の方向の姿勢で冷たい風に当たらないままでまいりますと、やはり一面、悪い面でございますが、体制整備をする合理化努力というものは幾ぶんそこは足ぶみ状態になってくる。将来は自由化されるからといいながら、やはり現実の足音が遠いと、そこに集中的に施策が進む意欲は薄く、なくなってきます面も確かにあって、この点は反省しなければならぬ点であろうかと思いますが、しかし効用その他の問題も考えましてこういう政策をとった。それから第二の点は、やはりこれは先生の御指摘のとおり、景気変動と申しますか、いままでの経済全体の動きぐあいに変動が非常にあったと思います。民間設備投資中心にしまして、三十七、八年あたり経済の動きというものは突っかい棒がきいておったわけです。これはまさに機械工業には非常な伸び需要を与えてまいっております。それが今回の調整過程を経るにあたりまして、三十九年に入りましたころからは、非常に沈滞に落ち込んできているという経緯をとっておりますので、過去において体制整備を余力をもって考え得る時期には、景気がある意味ではよすぎてそちらの方向に進まなかったし、今度は不況になりますと、その度合いは非常に激しかったので、不況のその日の対策に追われて体制が整わない、こういう経緯を経ていったんだと思います。今後経済成長ラインが安定的な方向になっていきまして、年率七、八%ということであれば、機械工業需要というものもモディレートな向きを示していくかと思います。そこに向かってそういった体制整備ということが進めば、問題はおのずから解決する糸口をつかめるのではないか、こういう期待を深くこの際持っておる次第でございまして、これがこの上延ばして、これからいよいよ本格的にやらなければいかぬという実感を持ちます理由でございます。
  66. 近藤信一

    近藤信一君 これから体制整備をしてしっかりやっていこうということでございますけれども、昭和三十六年の改正のときに、通産省としては合併の場合の課税の特例の規定というものが追加されたわけであります。そこで体制整備を目ざしてこられた。ところが自来今日まで五年間というもの、資料によりますと、合併の事例というものはわずか四件にしかすぎないわけでございます。共同出資の例を合わせると七件、体制整備をする機振法として、きわめてこれは企業数の多い機械工業としては、これだけの事例では、私はあなたのほうで意図された意図とたいへん違うのじゃないか。また過日参考人の方々に来ていただいていろいろ御意見を拝聴したときに、いまできているところのグループ化というものは将来の展望の上に立って、これは将来合併するのかどうか、こういうことを私のほうで質問いたしましたときに、局長も聞いておられましたように、そういう合併の問題についてはいま考えていないということをはっきりと言っておられたわけですが、そういたしますと、三十六年に改正した改正点と今日あなたのほうで意図しておられるその意図、工業会の大手メーカーの方が先日答弁されましたこのあれとは食い違っておるんじゃないか、こういうふうに受け取ったわけでございますけれども、この点については、あなたのほうは一体どのような見通しを持っておられるのか。この間参考人はああいうようなことを言っておられたのですが、やはり通産省としては、三十六年にこの合併の場合を考えて課税の問題をあれしたのだから、将来そういう方向であなたのほうでは指導していきたいというふうに考えておられるのか、この点をお尋ねいたします。
  67. 高島節男

    政府委員高島節男君) 私も行政官をしましていろいろな仕事をやっておりましたが、この合併の問題というのは非常にむずかしい、実現するのにきわめてむずかしい問題であるかと思います。確かに機振法には合併の場合税金がじゃまになるということがないように、税制上の特例の措置を講じて、合併をしようという際にじゃまにならぬような形をとった制度になっております。ところが合併ということは、縁談がととのうといいますか、そういうきわめて二つの歴史の違った企業が一緒になるということであります。これは体制整備として考えてみると、でき上がりはまことにそれは徹底した姿でございます。よけいな設備は切り捨てましょうし、本社費その他も大きく節約になりましょうし、まことにその姿はいいのでありますが、それぞれの企業に歴史もあり、また立場もあり、従業員のそれぞれの問題もあり、これが一緒になるということは、きわめてデリケートな問題でございまして、むしろ合併するぞ合併するぞと言ってあまり騒ぎ立てていくことは、かえってそういった機運をこわす面もある問題でございます。したがって、先般のグループの結成にあたりまして、合併を考えているかということに対して、まだその段階まで考えておりませんというのも、また無理からぬ返事であり、現在のグループ化程度から申しまして、まず技術の公開とか、販売体制整備というあたり重点段階ではなかろうかというふうに実態をにらんでいる次第であります。ただ、こうやってめいめい単独の企業としてやっていくのではなく、何か相携えてやっていかねばならないという集まりができてまいりますことは、将来場合によっては、お互いの間で合併の話というものもそういう雰囲気の中から出てこなければならない。そこが一番期待されるところであろうかと思います。したがって、私は大いに将来こういったグループ化なり業界の自覚なりがそういった合併の可能性等々も引き出してくるのではなかろうかという期待は大きく持っておりますが、工業会あるいは先般出された各グループの方々の御意見も、現在その段階にあるということもまた無理からぬことと思っております。一般の共同活動の中から自然に結びついてそういう合併の方向にいかれることを大きく期待しているわけでございます。
  68. 近藤信一

    近藤信一君 合併等の体制整備というものを進めていくと、当然そこに考えられることは、現に問題になっておりますように、日産の合併や吸収によって下請企業等はいろいろと問題があるということ、さらにそこの従業員の問題もこれまた合併等による大きな問題として、これが浮かび上がってくるわけでございますが、この影響というものは私はいろいろな面に影響すると考えるわけでございます。特にこれが好況の場合には私はそういうもろもろの問題というものは起こってこないけれども、特に不況の場合には合併吸収による体制整備によっていろいろな面に犠牲というようなものが出てくる、こういうことでございまするから、私はやはり下請け中小企業等の問題を抜きにした合併による体制整備というものはあり得ないと私は考えるんですが、この点はどのようにあなたのほうでは考えておられるのか、この点をお伺いいたします。
  69. 高島節男

    政府委員高島節男君) 合併に限りませず、企業体制整備してまいります場合に、親のところだけで体制を考えるということはまさに御指摘のとおり見当が違っていると思います。下請け企業をかかえてやっていくことの多い機械工業におきましても、下請けのほうもまた一つ体制ができて、それが自然に結びついていくという姿が理想であるかと思います。ただ、問題の起こり方のときに、イニシアチブのとり方はやはり親企業のほうが一歩先んじていく感じは、これは実際問題として強いかと思いますが、いろいろとたとえば機械の統一をする、生産分野の調整をするということは、同時に下請け、中小企業にとっても生産費引き下げの非常な利益を受けてくることにもなるわけでございます。したがって、そういう効果を下請けに及ぼすという形で指導してまいらなければいかぬし、機振法のいろいろな業種ごと計画を立てていきます場合にも、その点には十分注意をいたしてまいりたいと考えております。
  70. 近藤信一

    近藤信一君 機振法の功績として、第五条の資金の確保の規定による融資、これは開銀、中小公庫などをあげております。これは一応私も認めるわけでございますが、過去の融資による実績、それからこれまでの対象としては機械設備に限定されておりました関係上、業界ではその他の試験研究の設備だとか、それから検査設備、それから土地、建物、福利厚生、こういう全体の問題まで対象として拡大してほしい、こういうふうな要望が私は強いと聞いておりますが、政府はこういう面にわたるところの融資管理についての考え、これはどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねいたします。
  71. 高島節男

    政府委員高島節男君) 本法に基づきました過去十カ年間の融資実績でございますが、財政資金としては大体合計して四十年まで七百十五億円投入いたしております。うち開発銀行から五百五億、中小公庫から二百十億、こういう構成で資金が投入されて、四十一年度の予算といたしましては、繰り越し分を入れまして百億の財政資金の確保を予定いたしまして、開発銀行六十億、中小公雄四十億と、こういう構成に相なっております。この融資の対象範囲として機械設備に非常に狭く限定をしておる、これをもう少し対象範囲を拡大してやれぬか、こういう点の御賛同でございますが、現在開発銀行あるいは大蔵省等と、本法が通りましたら直ちに折衝に入りますわけでございます。そのときにいろいろと相談をいたしてまいらなければなりませんが、私どもとしましては、技術開発等も強く叫ばれている際でございますから、試験研究設備は優先的に中に入れてほしい、あるいは土地、建物等、機械とは若干縁が遠くなります分野につきましても、できれば融資対象にしてもらいたい、こう積極的に考えまして、目下折衝を進めようと思っておる段階にございます。できるだけこれは私としてもがんばってみたい、こういうふうに考えております。
  72. 近藤信一

    近藤信一君 次に、スクラップ・アンド・ビルドの問題についてお尋ねするわけでございますが、工作機械内需昭和三十七年に一千五百億近くまで到達したことは、これは先ほど私が申しましたような所得倍増ムードによった改善投資の行き過ぎがもたらしたものじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。今日の不況の大きな原因、これがこういう結果になっている。四十年度の内需は七百億程度にとまったわけでございますね。四十一年度を見通した場合に、主要の業界である機械工業を見ますと、民間設備投資の動向、特にこれまで工作機械需要を大きくささえてまいりました自動車業界が初めて設備投資を削減する、こういう方向でいま進んでいるようでございます。しかし、そういたしますると、内需というものはぐっとまた下回ってくるのじゃないかということも他方考えられるわけでございます。政府の景気振興対策が今後どのように効果を発揮してくるか、こういうことで産業界の経営状態というものが変わってくるかもしれません。しかし、この一千億をこえる生産能力を有するところの工作機械、それから稼働率はここ当分、先ほども言いましたようにずっと半分近く、四〇%ぐらい、こう下回ってきているわけでございますから、こういう点を考えますると、非常に今後もこの点が問題になってくるのじゃないかというふうにも考えるわけです。こういう点についてのひとつ所見を伺っておきたいと思います。
  73. 高島節男

    政府委員高島節男君) 御指摘のとおり、工作機械あるいは機械、工業一般につきまして設備過剰の現象があり、操業度も非常に数字的に抑えにくい分野ではございますが、よくないということはそのとおりだと思います。しかしながら、設備投資それ自身が全然ないかといいますと、もちろんこれでストップになってしまうわけではなくて、経済計画四兆五千五百億の大体横ばい程度のものがあると予測しておりますが、それが機械にどうはね返ってくるか、また政府の今度組みました財政の力、その繰り上げ使用の促進等がどういう影響を及ぼしてくるか、その辺にはまだ予測しがたい要素はございますけれども、相当に前向きな需要が出てくるのではないかという感じがいたしております。こういった工作機械の低操業度というものが極力有効需要によって引き上げられていくということに期待を持ちますが、先ほど鈴木先生からも御指摘がありましたように、非常に老齢化した機械分野もあるわけでございます。したがって、新らしいものをつくると同時に、やはりつぶしていくという努力は真剣に考えねばいかぬかと思います。幸わいに今度税制上も、取得価格の再評価したものの一割程度のものはスクラップ・アンド・ビルドをしたら税額で控除してやるという制度ができまして、これは相当税務当局としても思い切った、見切りをつけた一種のスクラップ補助金みたいな形を税でやっている感じの制度に踏み切ったわけでございますが、これもやはりこういった工作機械等実態を頭に置いてやった制度だと思います。いままで何も制度がございませんと、新設をする際にはリプレースしていけと言いましてもかなり困難がございますが、税法上の措置もできました機会に、極力両者を結びつけて、新設とスクラップ化というものを結びつけて操業度も上げていくという方向に積極的に努力をいたしてまいりたいと思います。経済成長も決してないわけではなく、七、八%にはまいりましょうし、また、そういった具体的な努力によりまして、今後の機械工業の直面している操業度を上げることは決して不可能ではないというふうに考えております。
  74. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、設備の近代化、合理化、新規需要を喚起させるために、どうしても今度は老朽機械のくず化ということが問題になってくるわけであります。そこで、機振法に基づく振興基本計画、それから毎年の振興実施計画の中で老朽機械のくず化が強調されているのでございますが、目標と実績との間に私は大きな差があるのじゃないかというふうに思うのです。それは配付されました資料によりましても、五年未満の新鋭機械が、本法制定当時の三十一年には六%程度であった。ところが、この十年間で四〇%まで向上したと、その実績を強調しておられる。その反面、じゃ、どうかというと、耐用年数の経過後の老朽機械の問題については、依然として四〇%をこえておる、こういうことでございまするから、今後くず化推進の必要性をあなたのほうとしては認めておる。で、一体これからこのスクラップ化の推進のために、あなたのほうとしてはどのように計画を持っておられるか。たとえば他の産業にありまするように、借り上げの機関をつくろうとしておるのか、それともまた、税制上の問題でこれを考えていこうとしておるのか、いろいろ対策としては私はあると思うのですが、このうちのどれであなたのほうとしては考えておられるのか、この点をお尋ねしておきます。
  75. 高島節男

    政府委員高島節男君) くず化の問題は、結局当該企業者がどうするかということは、これはいまの体制だと、きめるわけでございますから、こちらから強制するというわけにはなかなかまいらぬところにむずかしさがございます。過去における政府経済運営のせいもこれはあるかと思いますが、好況となれば、ぼろ機械まで動いた。だから、現在四〇%相当のものが老朽のままで残っておるということでもあるかもしれません。しかし、今後の経済方向というものは、決してそういうなまやさしい形では行けないんだという点について、民間企業にも十分認識してもらう。また、今度の不況が一つのそういう反省にもなりまして、そこの気持ちは非常に強く出ているだろうと思いますので、基本的には経済成長の鈍化と——成長はあるが鈍いというところの認識を持って将来を考えていく体制において、スクラップ化すべきものはこの際スクラップ化してもらうという基本の手を打ち出していくことが中心であろうかと思います。ただそれだけでなく、先ほど申し上げましたように、税制上もスクラップ化に対するボーナスもつけてもらいましたので、これを一つの手がかりといたしまして、機振法では年次別に計画をそれぞれ立てております。その際に、当該業界計画として相当のスクラップ化が行なわれるということを前提にいたしまして、そうして新設の設備をする、その新設の設備に開銀等の金をつけていく、要するに、スクラップ化の気合いが上がったところに優先的に業界として選んでいくという方向をとりまして、多少むずかしさはございますが、追い込んでいきたい、こういう気持ちでおります。したがって、機振法の運用それ自身によっても、スクラップ化を条件というと非常に語弊がございますが、スクラップ化するような方向に行くものに優先的に資金その他のめんどうを見るという形で業界の指導に実質的な手を打ってまいったらどうだろうかということを目下検討いたしておる次第でございます。
  76. 近藤信一

    近藤信一君 本法の提案説明のおりにも言われておりましたが、輸出は総体的に立ちおくれておると、今後は内需の拡大もさることながら、輸出について従来以上に積極的に努力を傾注しなければならないと考えますと、こう言っておられるのです。先日の参考人の方々の御意見でも、いわゆる今後輸出面におけるところの調整もやっていきたい、そのためのグループ化だというふうな御意見もあったわけでございますが、そこで、やはり今後の機械工業輸出の拡大ということ、これが重要な問題になってくるわけでございますから、あなたのほうとしてはこれをどのように一体努力をしていく考えを持っているのか、これについてお尋ねをいたします。
  77. 高島節男

    政府委員高島節男君) 輸出拡大の基本の姿勢といいますか、基礎になりますのは、本法に基づきまして機械工業それ自身に、あるいは体制の面から、あるいは企業内の合理化の面から、あるいは技術の進歩の面から力をつけていくということが、これは基礎であるということは申すまでもないと思います。ただ、それだけでは不十分で、いよいよ外国へ出ていく際の条件というものをできるだけよくするように応援をしていくというのが、狭い意味での一つ輸出振興策になってくるかと思います。現在われわれが考えておりますのは、機械類輸出はある意味で非常にむずかしい分野で、日本としてはあとから出ていった分野だけに、何かと立ちおくれておるかと思います。ごく卑近な点から言いますと、日本工作機械等の性能について諸外国の認識も薄うございますから、展示会その他の援助によりまして、こういうものを徹底的に宣伝していくということも必要かと思います。そのほかに、一般的に輸出振興策といたしまして、現在やっております輸出入銀行あるいは経済協力基金等、プラント輸出に対する応援体制、これはますます充実をはかっていきたいと思います。輸出をします場合の実績に応じまして、企業特別償却を見てやったり、あるいは原材料の関税の払い戻しをやったり、そういう体制は現在行なわれてもおり、今後ますます充実していかねばならぬかと思います。それと同時に、現在輸出の秩序ということがやはり考えられていかなければいかぬと思います。秩序の不整備のために市場を傷つけることをよく起こすわけであります。機械のうちには、これから伸びていこうという分野工作機械等ではございますし、相当実績をかせいだ造船その他のものもございます。自動車等もそちらにむしろ属するかと思います。そういうところでは秩序のある体制を整えてやっていくということでないと、相手国にすぐ輸入制限の問題が起こったり、OECDの造船部会等で非難を受けたりしまして、せっかくとった市場がたたかれていく、こういう問題も出てまいりますので、秩序のある体制整備するために必要な協調といいますか、ちょうど機械工業振興法分野の調整をしていくのと同じように、値段その他について、輸出条件の整備、販売条件のくずしをしないということを心がけてまいらねばならぬと思います。そのほかに延べ払い——一般機械類は延べ払いになるわけでございますが、そういった条件の許可にあたりましても、極力弾力的に、西欧その他の競争国に負けないような条件の緩和等も相応じまして、経済協力の一環として政府借款と同時に、延べ払い輸出も積極的に推進をしてまいりたい、そのための雰囲気としましては、先般の東南アジア閣僚会議等で、具体的に先方からの要望もあり、これと相結びまして、現在積極的な姿勢で取り組んでいる段階にございます。
  78. 近藤信一

    近藤信一君 通産省が日本機械工業連合会とともに調査した外国機械購入動機及び使用実態調査の結果によりますると、機械購入検討開始の動機は、外国機械の場合、商社の売り込み、それからメーカーのカタログ、展示会、同業者の意見、こういうものを動機として検討したものが、各機種ともに多いわけなんです。このことから海外市場開拓のためには、やはり機械の見本市を開催してカタログなどをユーザーに提供する、そういう方法や、それから商社の強力な販売網と申しますか、そういうものを利用する方法、こういうような方法でやってきたと報告しておる点もあるわけなんで、このことは、わが国の製品の輸出を促進する上において重要な示唆を与えておるのではないかというふうにも思えるわけでございますが、今後政府としては、具体的にどのような方法を講じていかれるのか、この点をお尋ねいたします。
  79. 高島節男

    政府委員高島節男君) 御指摘のとおり、外国機械の購入動機調査と申しますのは、むしろ国内外国から機械に攻め込まれてきまして、受け身でユーザーのほうはどういう条件で国産機を買ってくれるのかということを調べることを中心に発足したわけでございますが、まさに御指摘のとおり、これからの日本機械機種によっては、外国輸出されるものについて、先方がやってまいりました作戦というものは非常に参考になるものであろうかと思います。ただ、日本の立場としましては、やはり歴史が浅いせい、これはメーカー、商社を相通じましてそういう状況にありますために、とかく海外への機械類の売り込み宣伝というものは後手を踏んでおる状況にもあるように見受けられますので、先ほどちょっと御説明をいたしましたように、展示会等の開催に補助をいたしまして、いろいろとその宣伝につとめますほかに、アフターサービス等を企業としても大いに充実してもらうということでいろいろと援助をいたしまして、機械はやはりあと部品その他のアフターサービスということで、水の手が切れますと、せっかく売り込んでもあとが続きません。そういう面の対策に遺憾なきを期したいという点に重点を置きましてやっていくべきではないかと考えております。
  80. 近藤信一

    近藤信一君 さらに、仕様上満足できる国産機械があるにもかかわらず、この外国機械を購入した事例というものがかなりあるのでございますが、いわゆるそれの理由としては、いろいろあげられておるけれども、性能がよいと思った、こういうものが一五%から二〇%。それから操作しやすいと思ったというのと、それから経年変化が少ないと思った、こういうふうに思ったものがそれぞれ約一〇%。それから過去の使用経験から信頼が置けた、それから外国メーカーの名が知られていたからというのが、これも約一〇%内外。いずれも国内メーカーへの信頼感というものが欠けておるようにも思われるわけなんで、それが外国機械の購入というところへ押しやっておるような結果にもなっている。ところが実際には、国内機械の新品と外国機械の中古品で値段の点はどうかというと、この国内機械のほうが安いような点があるわけなんです。それでも外国機械ということで、日本業界は購入する点もあるわけなんで、こういう点を考えますならば、やはり政府国産機械の使用を奨励しておられる立場からいけば、もっと内需の点が活発に展開されていかなければならぬと私は思うのですが、この点はどうですか。
  81. 高島節男

    政府委員高島節男君) 国産機械を使わないで外国機械に魅力を感ずるといいますか、そうなってくる原因は、まさに御指摘のとおり、一つは、信頼度の問題といいますか、相当大きな設備投資をやる機械類等につきましては、特に一つ間違うとえらいことになりますので、やはり歴史のある舶来品を買っておいたほうが安全だろう。思い切って日本品に取っついてそれによって爾志と違った場合には、当該技術責任者としてもえらい責任を負うことになりますから、とかく安全第一という形で向こうに引かれるという、こういう、面が一つあると思います。これに対する対策といたしましては、現在電機械開発融資制度というものがございまして、国産機械をつくりまして、それに対しまして、ユーザーが使う場合に、開発銀行から低利の金を融資していくという制度もございます。もちろん政府としては、そういった姿で援助していく姿勢を示しておりますから、根本はやはりこちらのメーカー自身が向こうの信用も十分受け得る、 ユーザーの信用をとり得る実質なり、同時に、信用のつくように国内での販売努力というものをしていく必要がこれは多分にあると思います。そういう面で、単に融資制度だけでなく、いろいろな機械にユーザーとメーカーとの間の結びつきを考えまして、極力国産機のいいものなら国産機を買ってもらうということで、悪いものであるが国産機を買ってもらうということでなくて、いいから買おう国産機という感覚で大いにそういう機械を持つように努力いたしている次第でございます。   いま一つ海外のものに魅力を感じます動機というのは、品物はかりに信頼が置けるとこう思いましても、支払い条件、延べ払い条件で、かなり向こうから甘い手が伸びてくることが多うございます。そのために発電機などはとかく輸入品にたよる傾向がございますので、これに対しましては、従来からございます制度でありますが、開発銀行等からユーザーに融資をするということによりまして、向こうの売り込みに対する一種対抗措置と申しますか、先方が出てくると同じ条件で国産機がやっていけるように融資をユーザー側につけていくという制度を実行いたしておりまして、これによって相当の効果をあげているように考えられます。  いずれにいたしましても、こちらに対する実力を正しく認識してもらうことの努力というものが第一歩でございまして、そのための指導を行ないますと同時に、金融上も国産機械に対してそれを使う場合にいろいろと優遇をしていくという手段をかみ合わせまして、国産機の極力販路を国内に強く求めるように今後としても努力してまいりたいと考えております。
  82. 近藤信一

    近藤信一君 これは機械類に限ったことではないと思うのでございまするけれども、機械類で将来考えていかなければならぬことは、私は、自由国家からは高いものでも無理して購入する、また、安くてもこれを無理して輸出する、こういう傾向が非常に強いと思うのです。昨日も私は日本陶器でちょっと調べてきたところによると、現在軽工業の陶磁器なんかもそういう傾向が非常に強い。将来私は考えていかなければならぬことは、これは外国では自由主義国家群も共産圏も、私は同じようにどんどん売れるものはどこへでもどんどん売っておる。そうして買うものはなるべく控えておるというふうなことを外国では考えておるわけなんでございますが、ところが日本では、なかなか共産圏に対しては遠慮し遠慮してなかなか輸出しようとしない、こういう傾向で私は日本機械輸出の立ちおくれということがあるのじゃないかというふうにも思うわけなんですが、やはり今後こうした共産圏向けの機械類輸出というふうなことも私は大いに考えるべきではないか、こういうふうに私は思うのであります。で、政府としては今後こうした共産圏への輸出問題について一体どのように考えておられるのか。これはもう大臣がおられれば大臣から御答弁を願うところでございますが、これは局長からではなかなか私は困難だろうと思う。しかし、これは私は将来の日本輸出産業にとっては大きな問題になってくるのではないかと思うのであります。これは、私ども外国を回っていろいろとお話を聞いても、よそでは共産圏であろうと自由国家群であろうと、売れるものはどんどん売っていこう、こういう方針をとっておられる。現にアメリカでもそういう方針をとって民間貿易をどんどんとやっている、こういう傾向でございまするから、やはりこういう点、将来日本政府としても私は考えていかなければならぬ問題だと思うのであります。この点、局長からはちょっと無理かもしれませんけれども、お尋ねしておきます。
  83. 高島節男

    政府委員高島節男君) 私からお答え申し上げるのは僣越だと思いますが、一応現在の共産諸国に対しての機械輸出というものを数字的に見てみますと、四十年の一−十二で一億六千万ドル程度出ております。うち、問題の中共あたりには六千八百万ドルという程度は出ているわけでございまして、政府としては相当実績はあげている段階にはあるかと思います。したがって、共産主義諸国との間の貿易は相当積極的に行なわれている実績を示しているわけで、現実の障害は、結果としてはあまり出ていないようにも考えられるわけでありますが、ただ現在、御指摘のように、国交未回復国と申しますか、中共、北鮮等との間で延べ払いをやってまいります際には、輸出入銀行資金をこれは現在のところ使わせておらない体制になっております。この問題につきましては、私からお答え申し上げるわけにもまいりませんが、通産大臣も、しばしば各委員会でこの話は何とか解決すべき一つの懸案であるということを繰り返しておられまして、何らかの形で打開をしようという積極的な意欲をお示しになっているわけであります。実績相当にあがっているということと、輸銀資金としての問題はあるが、貿易を担当いたしますわれわれとしては、積極的な方向の姿勢でいきたい、こういう気持ちでいることをお答えして御了承願いたいと思います。
  84. 近藤信一

    近藤信一君 最近国産機械も非常に高く評価されておることは局長も御承知のとおりだと思うのです。特に、ベアリングなんかは、外国でもこれはもう世界一番だというように高く評価されておるわけなんですが、これは体質を改善していけば、輸出も当然増加してくると思うのです。機械工業については、そうした場合に、これは機械工業の将来の展望の上に立ってでございますけれども、さて、輸出ということになると、またこぞってどっと輸出に集中されて各業界過当競争をやっていく。その結果は、相当国におけるところの対策としてどういうことを考えられるかというと、海外市場におきましては、今度は制限の問題が出てくる。それはしばしば日本のいままでの他の輸出貿易に対しても問題が起こっておるわけなんです。将来この機械工業界の輸出が活発になってくれば活発になってくるほど、またそういうことも心配になってくる点があると思うので、これらの指導についてやはり私はよほど考えていかないと、せっかく輸出の道が開けて、また制限を受けなければならぬという結末になる危険というものはあるので、こういう点はどう判断しておられますか。
  85. 高島節男

    政府委員高島節男君) まさにわれわれもその経験をしばしば繰り返してまいりまして、機械の中にもいろいろなものがございますが、機械でとらえてみても、双眼鏡とかあるいはミシンとかベアリングとか、相当輸出実績をあげておりますものに限って、すでに過当競争の問題を起こしております。政府の立場といたしましては、極力業界を指導して商社ベースあるいはメーカーベースで、輸出入取引法による輸出の協定等を行なわせまして、歩調をそろえた形で数量あるいは価格等を安売りにならないよう、あるいはいわゆるフラッドと申しますか、洪水のように相手国に押しかけるというようなことがないように調整するために、いろいろと指導をし、現に協定等も多数しておりますが、現在輸出があまり伸びていないほうで問題があります機種も、幸い将来市場開拓をしてまいりますれば、また同じようなことを繰り、返すことの可能性が多分にあるかと思いますので、その点は、あたかも国内で競争力をつけるためにお互いの企業の協調というものが必要でありますということと同時に、海外に販売をいたします際にも、その間に協調の姿勢がとられなければならないわけでございます。要は、結局国内におけるメーカー中心とした生産者の間のグループがしっかりとした歩調で海外へも向かっていかないと過当競争問題を起こす危険が多分にございますので、コスト引き下げと、また、海外への販路を十分に守っていくためにも、協調の必要というものが非常に痛感されるというように感じております。
  86. 近藤信一

    近藤信一君 最後に一点所見をお聞きしておきたいと思うのです。これは、先ほど来鈴木委員が技術開発についてはいろいろと御質疑をされておったわけでございますが、わが国機械工業の水準を向上させて国際競争力を強化する、そのためには、どうしても技術水準の向上ということは必要であることは当然でございます。外国技術導入がやはりわが国の水準を向上させるのに役立ってきておることも、これは否定することができないわけでございます。技術導入にはしかし限度というものがありまして、悪くすると、外国資本による企業の支配というようなことも考えられるわけでございます。そういうことも私どもはおそれるわけなんであります。したがって、今後の方向としましては、独創的な国産技術開発、こういうものが非常に重要になってくるのじゃないかと私思います。このためには、一体、じゃ、どういうふうな通産省としては方向というものが必要であろうか、たとえば品質の改善だとか性能、精度といういろいろな面にわたってやっていかなければならぬと思います。そうして、先ほども申しましたように、機械技術の研究開発ということは、これは常になしていかなければならぬ問題でございまして、一日おくれれば一日それだけ技術的に水準というものが下がるわけです。だから、やはり私はこの技術開発中心になるのは、何といいましても研究問題だと思うのです。民間でそれだけの研究に対するところの投資ができるかというと、これはなかなか困難でございます。東芝だとか日本電気だとか、ああいう大きな企業になりますると、これは独自に、研究費用というものは何百億とかいうふうな予算が組まれてやれるわけでございますけれども、今日の日本の工業界においては、私は、失礼かもしれませんけれども、そんなに何百億という研究費を使うという企業というものはないと思うのであります。だから、こういう点はやはり通産省としていろいろな面で援助といいますか、めんどうといいますか、そういうものを見てやらなければ、なかなか技術開発ということも困難であろう、こういうふうに私考えるわけでございますが、この点について政府の見解をお伺いして、そうして私の質問を終わるわけであります。
  87. 高島節男

    政府委員高島節男君) 機械工業振興の問題の中核に、技術開発を積極的に推進することが非常に大事である、こういう御指摘は、先ほど鈴木委員の御質問に対しまして、大臣も、荒筋としてそこに来年度の政策の重点を置いて進みたいと、こうおっしゃっておりました次第でございます。私どもも、そのためにいろいろこれから具体的な方法論の検討をいたしまして、遺憾なきを期してまいりたいと思います。本法の中で新たに技術開発についての計画をものによっては立てまして、技術開発の目標を機種ごとにとらえていくというのも、そういった積極的な助成手段の前提として、こういう計画が確立することを期待しているからにほかならないわけでございます。それで、どういうところが対策になっていくかということでございますが、先ほどちょっと申しましたように、やはり政府みずからの基礎的なこれは研究でなければならぬと思いますが、基礎的分野中心にした政府みずからの研究体制整備される同時に、応用部面にわたりましても、民間の研究体制に対して民間のそういった研究を援助できるような、いろんな財政上あるいは金融上の手段が講ぜられていくということが大まかな筋道であろうかと思います。  それで、最後の点の具体的な内容、現在あります制度を中心に申しますと、補助金あるいは委託費といったものの交付といたしましては、先般指定いたしました鉱工業の技術試験研究の補助金、これが八億幾らか本年度の予算にも計上しておるわけでございます。電子関係を入れますと、半分あるいはそれ以上機械関係にこれがつぎ込まれております。  それから、同じ指定いたしました大型のプロージェクターに対しまして、特別に一貫的に技術革新の太い柱になるものとしてこれの援助措置を講じていくというような予算がすでに国会を通りまして、実施段階に移ろうといたしております。さらに、先ほど申し上げました融資の問題としても、重機械開発の促進のために、国産の第百万機に当たる機械に対して、特別の開発銀行の融資を行なうとか、あるいは税制上の処置といたしまして、試験研究川の設備民間でやります場合に、これに対して特別償却を認め、あるいは固定資産税をまけてやるとか、こういうような体制もございますし、また、世間が共同で、各社共同で試験研究をやってまいります場合、技術研究組合というものをつくらせまして、それに対して免税措置を講じておるというような形の税制上の処置もとっておるわけであります。これ以外に、何か新しい方法論はないかと、これから模索してまいるわけでありますが、十分に検討いたしまして、新しいものがあれば新しく取り上げると同時に、既存のこういった助成措置についても、さらに合理的に機振法の運営等とも歩調を合わせてやっていくように考え、なお内容の充実を一段とはかってまいりたいと、こういう気持ちで目下用意をいたしておるところでございます。
  88. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  それではこれより本案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございまするが、本案の討議は終局したものと認めて御異議ござい接せんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  90. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  それではこれより本案の採決に入ります。  機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  91. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会      —————・—————