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1966-05-10 第51回国会 参議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)    午後一時二十六分開会     —————————————    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      永岡 光治君     野上  元君  四月二十八日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     白木義一郎君  四月三十日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     矢追 秀彦君  五月九日     辞任         補欠選任      野上  元君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 小柳  勇君                 鈴木 一弘君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        通商産業省重工        業局長      高島 節男君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本万国博覧会準備及び運営のために必要な  特別措置に関する法律案内閣送付予備審査) ○機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会におきまして協議いたしました事項について報告いたします。  本日は、日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案及び機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案審議を行なうことにいたしまするので、御了承願いたいと存じます。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、委員の変更について御報告いたします。  去る四月二十七日、永岡光治君が辞任され、その補欠として町上元君が選任されました。昨日、野上元君が辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  4. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、予備審査のため本委員会に付託されました日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案議題といたします。  政府から提案理由の説明を聴取いたします。三木通産大臣
  5. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げたいと思います。  御存じのとおり、日本万国博覧会は、昭和四十五年を期して大阪府下里兵陵において開催されることとなっております。十九世紀半ば以降、世界においては二十数回にわたり大規模な万国博覧会開催されてまいりましたが、その開催地はいずれもヨーロッパ、アメリカ大陸に限られていたのであります。このたび、日本万国博覧会が一八五一年の第一回ロンドン万国博覧会以来一世紀余の歳月を経て、初めてアジアの地において開催されることとなったのは、世界文化経済の歴史の上で大きな意義を有するものと存ずる次第であります。  万国博覧会開催目的は、一般に世界各国産業文化成果を一常に展示することにより、諸国問相互理解を深め、世界の平和と繁栄に寄与することにあるといわれております。このたび日本万国博覧会開催により、わが国を広く世界に理解せしめ、日本の伝統ある文化と高度の産業技術水準を示し、諸外国との文化交流輸出飛躍的増大をはかり、さらに、わが国国際観光に資するところが大であると考えるのであります。また、この万国博覧会開催を契機として、経済開発社会開発を促進し、国民の福祉向上に寄与するとともに、わが国国際社会において確固たる地位と実力を築く絶好の機会であると存ずるのであります。  政府といたしましては、この国民的な世紀の大事業である日本万国博覧会開催を四年後に控えて、その開催準備体制を一段と強化することが必要であると考え博覧会開催の直接の責任者である日本万国博覧会協会に対し、資金調達人材確保との両面についてできる限りの協力と応援とを行なうため、オリンピック東京大会の例にならい、この法律案を提出することとした次第であります。  次にこの法律案内容について御説明申し上げます。第一は、国が日本万国博覧会協会に対し、博覧会準備及び運営に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができることとしたことであります。  第二は、日本万国博覧会協会の行なう資金調達事業に関し、国及び三公社の援助に関する規定を設けたことであります。すなわち、その一つは、郵政省が博覧会準備及び運営のための資金に充てることを目的として、寄付金つき郵便切手を発行することができる旨の特例を設けたことであります。その二は、日本専売公社が、博覧会準備運営資金に充てることを目的とし行なわれる製造たばこの包装を利用した広告事業に対し、便宜を供与することができるものとしたことであります。その三は、日本国有鉄道が、博覧会準備連帯資金に充てることを目的として行なわれる国鉄施設を利用した広告事業に対し、便宜を供与することができるものとしたことであります。その四は、日本電信電話公社が、博覧会準備運営資金に充てることを目的として行なわれる電話番号簿を利用した広告事業に対し、便宜を供与することができるものとしたことであります。  第三は、日本万国博覧会協会業務の円滑な運営を期するため、国及び地方公共団体から適任者を採用する場合が予想されますが、こうした場合の人事交流円滑化をはかるため、これらの者が日本刀国博覧会協会職員から再び国または地方公共団体職員に復帰した場合には、公庫公団等に出向した後復帰した場合と同様に、共済年金等に関し在職期間を通算する措置がとられることとしたことであります。また、日本万国博覧会協会業務の厳正を期するため、同協会の役員及び職員は、刑法等の罰則の適用について、公務員とみなすこととしたことであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。
  6. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、衆議院送付機械工業振興脇措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 近藤信一

    近藤信一君 機械工業臨時措置法改正に伴いまして、若干の質問をするわけですが、先般、機械類賦払信用保険臨時措置法改正が本委員会で成立を見たのでございますが、これは臨時措置法恒久法にしようと、そういう考えのもとにあの措置法というものが成立したわけであります。この機振法は、さかのぼって考えまするならば、過去二回、昭和三十一年に五年間の臨時法としてこれが制定されました。その後三十六年にさらに五年間これが延長されて今日に至ったわけであります。ここで今般また改正が出されまして、さらに三度目の五年間これを延長しようという考えからこの法律案が出されたわけでございますが、この三回も延長するというふうなことになってまいりますると、これは私どもの考え方からいきまするならば、五年経過して、その五年間に成果があがらなかった、そこでさらに五年間を延長しようということで、五年五年とこう延長していくというふうな考え方でこの法律案というものが進められるということでなくして、私はやはりこの法律案そのものが、通産省としてりっぱな法律であるというふうにお考えになっておられるならば、これは臨時措置法は五年間の臨時法ということでなくて、なぜこれを恒久法として、今度の三回目の改正にこれを提案をされなかったのであろうか。一体、今回もこれを五年間という時限法にされたこのあなたのほうのお考え、それでこの五年間で、当初のあなたのほうの考えておられた目的というものは達成できるかどうか、この見通しも私はなければいけないのじゃないかと思うのです。五年間で目的達成見通しというものができなければ、この場合私は恒久法としてなぜ政府はこれを提案しなかったか、この点について大臣から御答弁が願いたいと思います。
  8. 高島節男

    政府委員高島節男君) お答えいたします。  機械工業振興法が今日まで五年刻みで二回目の延長に差しかかってきておるということは、ただいま先生指摘のとおりでございまして、この機械工業振興法がこういった年限を限った立法になぜなっているかということでございますが、この京は機械工業振興法考え方というものが、ある機械工業の中での特定の伸ばさなければならない分野をとらえまして、それを御承知のように振興計画、五カ年間の基本計画と毎年の実施計画、この二段に分けまして、毎年その関係をフォローして、機械工業一定合理化、あるいは当該業界内での体制整備というものが計画的にはかられていくということを一つの大きな目標にいたしておるわけであります。それで法律性格といたしまして、一定目標をもってその間に達成する。すなわち、一定の期限を切りまして、その間にあるいは資金を集中的に当該部門に投入しまして、合理化近代化を進める、設備の老朽化しているのを新しくするということをやり、片方体制整備のためには、合理化カルテル指示カルテルとして、政府指示に基づくカルテルとしてやらせていく、これは元来ならば自由競争原理からいいますと、一つの例外になりますが、これも一定年限を限った一定期間内での特例措置である、こういう考え方から手段をそろえておるわけであります。したがいまして、一定目標というものを置いておいて、その間にぐずぐずと長期にわたるということではなく、その期間の間に集中的に金を入れ、合理化をし、カルテルを結ばせて体制整備しよう、こういうねらいでございますから、目標手段との両方の性格から、この法律をやはり一定年限を限っていくべきものではないか、こういう考え方をいたしております。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 この問題については、私はあとでもまたいろいろと内容について質問いたしまするけれども、やはり私は通産省の当初の考え方と実際の運営の上においては若干の見通しが甘かった点があるのじゃないか、これは成功しなかったというふうに私は受け取るわけなんですが、私はやはりこの当初通産省のほうでお考えになられましたその考え方と、実際は業界はいま別な方向へ向いておるのじゃないかというふうに私は感ずるのですが、この点局長どうですか。
  10. 高島節男

    政府委員高島節男君) 私も就任後数日でございまして、過去のその間の感じをまだ端的にとらえていないかと思いますが、機械工業につきまして、こういう特別の法律をつくった気持ちというものを振り返ってみますと、機械工業は御承知のように、非常に多種少量生産になりやすい。また現実のベースで考えてみまして、設備自身が非常に老朽化しておるという点に非常な欠陥がございまして、これが五年前、あるいは十年前、それぞれ問題意識を持ってあの法律を制定し、それを延長しましたときの一番のむずかしい問題点であったかと思います。それで、それを直そうといたしますと、非常に多数の企業がありまして、しかも注文の体制をとって物をつくるということでございますから、一律に一定の頭のそろった品目が出てくるという体制でもないだけに、非常に過去においてこの業界競争力強化のための施策の手の打ち方というものは苦心をしてまいっているようでございます。法律のそもそもの目的は、先生承知のように、国際競争力強化のために体制整備し、合理化を促進するということにあるわけでございますが、何ぶんにも相手が非常に多種多様なものだし、それであるからこそ、こういった特殊の手段をとりまして、一つ法律をつくったという経緯にも相なっているかとも思いまするので、その間の実績はなかなか思うにまかせぬ面もあるかと思いますが、いろいろと苦心をしてきている次第でございます。  現在までの経緯を見てまいりますと、御承知のように、機械工業設備投資と直接つながる伸びを示しておりますが、昭和三十八年程度までは日本経済成長設備投資中心にして非常にラピッドに上がったということは御承知のとおりでございます。そういう成長がありますことは、確かにある意味では恵まれた面でもございましたが、しかし業界体制整備していくということのためには、強い成長というものが、そういったきっかけをつくることとは逆にいった面がどうも多分にありそうでございまして、今回の不況ではむしろ逆に落ちるというようなみじめな目にあい、これから安定成長ラインにじわじわ上がっていく機運になってまいりますが、その機運のときにこそ、ほんとうの体制整備の打ち込みが行なわれ得るのではないか、こういう感じがいたしております。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 昭和三十一年に制定されました当時には、この機振法というのが柱として、底辺部門の引き上げ、それから二重構造の是正、こういう二つの部門が柱となって制定されたわけです。昭和三十六年に五年延長になったときには、いわゆる貿易自由化に備えて、これは国内の工業強化しなければならぬ、産業強化しなければならぬ、こういうふうなことから昭和三十六年の改正案が出た。そこで機械自由化もほぼその作業は完了しつつある今日、一体これから五年間延長をされる柱として、あなたのほうはどのようなことを考えておられるのか。いろいろと新聞やその他の報道を見ますると、やはり今度の改正延長にあたっては、やはり新技術開発の問題だとか、輸出振興の問題だとか、体制整備とか、いろいろなことが新聞等においてはうたわれておるわけなんでございますけれども、やはり五年間延長する場合には、通産省として、その柱というものがあるであろうと思うのですが、それを一応詳細にお示し願いたいと思います。
  12. 高島節男

    政府委員高島節男君) ただいま御指摘ございましたとおり、三十六年に改正いたしまして延長します際には、当時ちょうどIMF八条国に移行をいたします問題がございまして、日本の各産業の中で将来非常に需要の伸びも大きいし、技術開発の余地も大きいし、伸びが大きいだろうと期待される機械工業部門に一番問題がありまして、非常にわれわれとしては、自由化が行なわれることを端的に言えばおそれたわけでございまして、そのため、当時機械工業振興法延長いたします際に、一番に意識がありましたことは、まさに御指摘のとおり貿易自由化のために、貿易自由化をうまく泳いで、消極的ではございますが、他からの競争を、こちらに競争力をつけて対抗をしていくといった、そういう意識が非常に強かったわけでございます。その後に次第に自由化は進み、片方いろいろ本法の効果だけではございませんが、機械工業自体もそれぞれ苦難の道を経ながら競争力がついてまいりましたが、このあたり民間企業の非常な努力があったわけでありますが、自由化一つの刺激になって今日までなって、まいったと思います。ただ、いまの時点に立ちまして情勢を見てみますと、競争力輸入に対してついていくというだけでは、将来の日本経済成長をささえる形には現実になっていかないわけでございます。それで、ただいま御指摘のように技術開発とか、あるいは体制整備とかいうことをあげてございますが、これはいずれも手段でございまして、目標はやはり今後数年間に機械工業というものを輸出における花形にしていく、それだけの競争力をついたものにして、積極的に外に押し出していくというところが、本法延長していこうというゆえんとしてあるかと思います。ちなみに、ここ数年同、ちょうど機振法が制定されました三十年に比べまして、鉱工業生産は大体三・五倍程度になっております。それに対して機械生産は実に六・五倍程度まで上がってまいっております。そういうふうに生産が上がってまいっておりますが、輸出に対しましても非常に大きく飛躍をいたしておりまして、全体の輸出が大体四倍程度十年間に伸びておりますが、その中で機械は実に十倍といった大きな伸びを示しております。したがって、一見いたしますと、輸出も相当好調ではないか、こういうふうに思いますが、その内容を分析いたしますと相当に問題がございます。日本輸出は、機械輸出と称しましても軽機械関係でございますとか、あるいは船舶とか、そういうものに非常に片寄っております。他の先進国は、輸出に占める機械の割合が大体半分くらい、日本は三分の一程度でございますが、その機械の中でも日本はどうも造船とか、あるいは軽機械に片寄って、しかも向け先がどちらかというと後進国のほう、それではこれから先経済成長の中で輸出が申すまでもなく大きなささえになっていく、また輸出伸びていかなければ外貨事情から成長率は制約されることになりますから、その柱になるものが現在すでに三分の一、将来は四割から五割になってほしい機械工業というものにつきまして、やはりこの段階で積極的に目を向けていくべきではないか、したがって、共通部品等をとらえて、業界体制整備に手をつけました第一次の時代と、貿易自由化に対処して大急ぎでやらなければいかぬという意識で消極的ではありますが、スピードアップをはかった第二期と、今度はいよいよ輸出として産業の基礎がためをしていかなければならないという第三段の時期になっていると、こういう感じをいたしております。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 いま局長からいろいろと御答弁がございましたが、いろいろとまたあとから具体的に問題を明らかにしていきたいと思いますので、過去の実績等についていろいろと今日まで問題がございましたが、これもこれから質疑する過程において明らかになってくるだろうと思うのです。  で、試験研究に関する振興計画の策定を追加するだけで、いわばほとんど今度単純延期じゃないかというふうに私ども考えるのですが、当初は通産省としては先ほど私が申しましたように、これを新機振法といいますか、こういうことで恒久法考えておられたが、それが大蔵省との折衝でどうもうまくいかなかったというふうにもまた新聞等にも報道されておるわけなんで、ここ二、三年の間にあなたのほうでいろいろと機振法の問題で頭をいためておられたのではないかと思うし、それから業界といたしましても、これはいろいろと検討が加えられてきたと思います。そこでやはり別個の新法というふうなことをあなたのほうで考えられたのではなかったかと私想像するわけでございますが、新しい問題としていろんな面を追加していこうということであなたのほうも努力しておられることは事実であろうと思うのですが、しかし結局こういう単純延期といいますか、今度の改正案でもう一ぺん五年間延長しよう、こういうようなところに落ち着いたのじゃないかと私は思うのですが、やはりこういう問題については他の省庁との関連もございまして、なかなか簡単にはいかないのじゃないかと思いまするけれども、やはり業界としてもこれは一つ大きな注目の的になっておるのじゃないかとも思うので、その点を通産省としても、いわゆる重工業局としてももう少し大胆に打ち出していくというふうなことが考えられなかったかどうか、この点はどうですか。
  14. 高島節男

    政府委員高島節男君) 機振法の目的は、大きく申しまして国際競争力強化によって輸入防遇はもちろん、輸出の柱にしていこうというところにございます。したがって法律内容というのは、それのための手段ということに限られてまいりますが、これはいろいろ手段の中身については、毎年通産省としても新政策としていろんな角度からどうやったらいいかということを検討を繰り返しておることは事実でございます。ただ本件の機械工業産業機械工作機械あるいはその素材、部品といった分野について何をやっていくべきかということを体系的に整理いたしてまいりますと、結局現行の機振法の柱になっております数項目になってきたわけでございます。  その第一点は、先ほど申し上げましたように、まず業界一体をなしまして部門ごと長期基本計画、それから毎年の実施計画というものをきめて、そこへいこうではないかという点をまとめるということがこれが第一でありまして、それを柱にして、何といっても業界ごと老朽設備を新しいものに直していく、あるいは新規の設備に合理的なものを採用していくというために所要の資金確保をやっていく、これが一番の中心になっていくのではないか、したがってそういう計画ができたところへ開発銀行あるいは中小企業金融公庫といったあたりからやってまいることになりまして、これが全体のやはり中心部分であるという点においては異論がなかったわけでございます。  それから第二に、若干それを補足するものとして基本計画実施計画実施に向かいますために、合理化カルテル指示によってやっていくというたてまえをとりておるわけであります。この合理化カルテル指示という制度は、業界体制がある程度自主的に盛り上がってくる機運がないと、頭ごなしになかなかいくわけではございませんが、これも不況を経ましたこれからこそ、業界意識も進んでいく方向ではないだろうかという観点から、この事項を特に取り上げていくという点はやはり必要であり、今後もこれは一つの柱であるという感じを持っておるわけでございます。そのほかに合併あるいは共同出資というようなもの、不況を経ましてようやく業界体制も強くなってまいりました。これに伴って税制上の特例を設けております。こういった措置が今後も必要だ、こういう点でこの機振法の改正というものは、したがって技術開発に伴い、技術開発計画というものを特に取り上げて、これに追加をする以外に特に大きくいじる必要がないではないだろうかという、こういう形をとってまいったわけでございます。  ただ、本法と直接からみながらやや概念の範囲を異にいたしますが、今回の税法改正によりまして、設備スクラップ化に対して特定税額控除が行なわれております。また合併を一歩促進するたてまえもとっております。これらは機械工業に限りませず、化学工業もありますし、あるいは鉄鋼業もございます。自動車のシャーシーメーカー等ございますが、そういった分野をひっくるめまして、特に税法措置が新たにとられたというようなことは、本法と結びつきまして、さらにこういう体制整備には役立っていこうかと思います。したがって、いろいろと法律のワクの外でも議論いたしましたものが実現しているものがございますが、この法律としては、最低限現行体制技術開発計画というものを付加していけばいいのではないか、いろいろ議論の過程がその間にあったかと思いますけれども、結論はそこに落ち着いたのだというように承知いたしております。
  15. 近藤信一

    近藤信一君 貿易自由化を見越してこれは国際競争力強化しよう、こういうことで五年間の延長になったのでございまするが、その後機械工業不況に見舞われて、現状を見てみますると、いわゆる工作機械等においても何百という業者がある。そうしていま機械工業関係においては群雄割拠というふうな状態ではないかと私思うのです。これに対するところの通産省として何らかの措置を講じていく腹があるのかないのか、ただこの機械工業振興臨時措置法の五年間の延長で若干の改正を盛っただけでは、私は今日の不況のおりに機械工業界としてはなかなかむずかしいじゃないか、こういうふうにも考えられるわけなんですが、この点はいかがですか。
  16. 井川伊平

    ○井川伊平君 少し大きな声でやりたまえ、聞き取りにくい。
  17. 高島節男

    政府委員高島節男君) 本法の対象といたしておりますねらいどころは、合理化を進める、あるいは体制整備する、そうして長期的に競争力をつけていくということが主眼的になっております。したがって今回の不況に際会いたしました短期的な調整措置としては、若干それには欠けるものが出てくることはやむを得ないかと思います。短期的な問題といたしましては、特に不況自体が深刻になりました若干の物資については、御承知のように不況カルテル等を一時的に公正取引委員会の認可を受けてやっておりまして、それによってこの短期的な不況を切り抜けようと、こういうことを心がけておる面がございますことは御承知のとおりでございます。そのほかに短期的な問題といたしまして、ショックを相当に受けておる分野でございますから、下請等にしわが寄らないように、すなわち下請等の保護の措置を講じてまいりますとか、あるいは中小企業の信用保険の運用等でいわゆる連鎖倒産的な現象が起こらぬようにその面を防止する等、一般の不況対策の一環として機械工業もその中の一つとなって対策のカバーを受けておる。そうしてさらに積極的に申しますと、今回の予算措置、あるいは地方公共団体を含めました大幅な意味での財政の措置によって、極力有効需要を官の面から喚起していく、あるいは中小企業の官公需の優先確保等の形からも機械等にも影響が出てくるということでございまして、この機振法自体がこの短期の不況に向かっていく手段ということはほとんど予想をしていない。むしろ長期のロングランの話、そうして将来不況がきたときにそれに十分に耐えていく体質をつくっていくというのが、この法律のあり場所ではないだろうか、こういうように考えております。したがって、短期の対策、当面の不況対策は、一般の不況対策の一環としての措置をとっていく、こういうことに御了承いただきたいと思います。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 わが国機械工業がこれまで飛躍的な発展をとげてきたということは、これは一応認められるわけでございます。しかし機械工業生産額、こういう面を数字的に見ますると、昭和三十八年が六兆三千億、それが製造業総生産額に占めるウエイトは、昭和三十年の一五%から二八%へと上昇しておるわけなんです。また輸出について見ましても、昭和三十九年は二十一億九千六百万ドル、わが国輸出総額の約三三%を占めているわけであります。このような実績を示しておりますけれども、これが政府の説明にもありますように、先進国機械工業とこれを比較してみますと、やはりまだ不十分な点が相当ある。そうしてここ二、三年というものは、機械工業不況の波にさらされているというようなことから考えまして、今回この改正案がまた出てきた。そこで今後わが国機械工業振興のために先進国と対比して改善していかなければならない問題点というものがあるであろうと私は思うのです。というのは、日本機械工業は相当技術的にも発展したと、こう見受けられるわけでございまするけれども、輸入機械のほうも相当工作部面においてはあるわけなんですね。わが国で優秀なものができれば、何も外国から輸入をしなくとも十分間に合うわけなんだけれども、一方においては三三%も占める輸出の率を持っておりながら、さらに外国の工作機械等輸入せなければならない。ここに私は一つの矛盾というものが考えられる。そこで、やはり外国の機械工業と対比した場合、今後一体どのような問題点というものが残されておるだろうか、これについてやはり通産省としても一応の見通し、また見識というものを持っておいでになると思うのですが、この点いかがですか。
  19. 高島節男

    政府委員高島節男君) 今後外国と対比いたしまして、機械工業分野で特に競争力を充実していかなければならないポイントと申しますか、という点をフォローしてまいりますと、まあ日本機械それ自身が機械工業の中における、また機械をつくる機械工作機械等分野で特に顕著でございますが、非常に設備が老朽化した状態というものを抜け出し切っていないというところでございます。これは直ちに、一つ二つの商売で勝った負けたということにはつながってまいらないかもしれませんが、ごく概観的に申しまして、一時は非常に耐用年数をこえた老巧設備が多うございました。七、八%はそうであったと思いますが、それが最近非常に改善は確かにされてまいりまして、大体四〇%程度は新鋭のものになった、こう言っております。しかしながら他方老朽化したものが依然として四〇%程度ある。まあまん中のものが二〇%くらいございまして、老朽化したものがそう減っておらぬというところに日本の特色があるかと思います。これは確かに過去において高度成長を経てきまして、設備投資中心のブームでございましたから、古い機械もそのまま残しておくというような形が今日まできまして、その間のスクラップ化ということが行なわれず、しかも新しいものが生まれている、こういったちぐはぐな状態であることが一つ。これはやはり将来の競争力としては残りました古いほうの面は感心したものではない。これは諸外国に見劣りのする抽象的な一つのポイントであろうと思います。これを踏まえまして政策を考えてみますと、やはり今後も開銀、中小企業金融公庫等の近代化資金をつぎ込んでいかなければいけない、こう思います。それが今後の施策の一つの大きな重点になってくるのではないかと思います。  それから第二は、やはり生産体制と申しますか、生産をしている各企業の業種ごとの中のあり方でございます。これはどうも私も新米で、まだ一々全部勉強しておりませんが、抽象的に申しまして、非常に多機種少量生産という体制が続いてまいっております。今度の不況一つの反省期にもし、従来からの努力をさらに一歩進めて、金融をつけます際にも極力体制整備が行なわれ、さらにあるいは共同化であるとか、あるいはできれば合併とかというところまで進むような機運になっていく部面に効率的に集中的に金をつけていくということが必要ではないかと考えております。それを相当織り込んだ形でこの体制整備をしていくということが必要である。これは諸外国においては、日本ほどこまかに企業というものが分かれているということはちょっと例がないものであろうかと思います。その体制が整っていくための手段として金融を使いながらやっていくということが一つの問題であろうかと思います。  それから第三に、先ほどから御指摘のように、やはり技術のおくれというものは非常に顕著でございます。アメリカあたり技術開発企業の投資額は売り上げの三%以上ございますが、日本の場合は最近相当上がってまいっても一%程度であろうかと思います。そういったことの効果としまして、日本機械工業は従来技術導入にたよりまして、外の技術を手っとり早く取り入れるという方向に一生懸命になってまいりました。その間の意欲は非常にどん欲で、技術導入の件数も多うございましたが、効果も相当にあがってきたと思います。しかしながらどうしてもこれは受け身になります。将来輸出に伸ばそうというところまで問題を発展させてまいりますと、受け身で人の開発した技術に飛びついていくだけでは、輸入の対策としてはあるいはでき得る分野があるかと思いますが、輸出にまで伸ばしていこうということであれば、日本独自の開発ということが特に必要になると思います。そういう意味から技術的な一般的な措置がいろいろございますけれども、当法律においてもこういった基礎的な機械関係につきまして、技術開発計画というものを各年度あるいは長期にわたって行ないまして、それに向かって進んでいく方向をとる。そのためには、すでにございます鉱工業試験研究の補助金等もそれを基準にして集中してまいりたい。またこういった手段体制を整えていくということが必要ではないかと思います。  以上三つが大体大きな外国に対して劣っている点と、それに対する対策のあり方ではなかろうかと思っております。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 機械工業の主要材料はおおむね鉄鋼であるわけなんです。その価格や品質が機械製品の価格、品質、性能に直ちに影響を与えるということは御承知のとおりだと思います。わが国の鉄鋼の品質はいまでは世界的にも優秀であって、外国の製品にも負けないというぐらいこれは認められているわけですが、問題は価格を安定的な供給というこの体制を整えていかなければならぬじゃないかと思います。ところが、わが国鉄鋼業界は急速に設備拡張をやりまして、いまや粗鋼の生産は五千万トンをこえるという驚くべき生産過剰の状態を続けておる。そこで粗鋼の勧告操短が行なわれているわけなんです。勧告操短をめぐって公取と意見の対立や、それから住金問題等がございましたけれども、やはりこうした問題は、あなたのほうとしてもいろいろ努力されたわけで、一時は鉄鋼界はどうなるかというふうなことまで問題になったわけでございまするけれども、一応鉄鋼界におきましても足並みがそろったように見受けられるわけなんです。粗鋼のほかにも特殊鋼、これは不況カルテルが行なわれております。それから機械工業の主要原材料でございまするところの鉄鋼の価格安定と安定的供給という問題から見まして、現在の鉄鋼業の状態についてあなたのほうはどのように認識していられるのか。一応おさまったような形にはなっておりまするけれども、過日私どもは鉄鋼大手の六社の社長、常務の方々に集まっていただいていろいろと意見はお聞きしました。表面的にはお互いに円満にいくかのごとくにお話があるわけなんですけれども、やはり腹の中ではお互いに競争意識というものは十分見受けられるようにも私ども考えたわけなんですが、こうした問題から考えまして、鉄鋼界の将来というものについては、あなたのほうも一応の見通しというものを持っておられることでありましょうし、また日本の鉄鋼は優秀であり、またその技術も相当認められておるけれども、価格の問題ではやはり高いんじゃないかということが養われておる。過日も、「エコノミスト」だったと思うんですが、かん詰めのかんに一体どれだけかかっておるかというと、二〇%から二五%がかん代だというので、私どもかん詰めを食べておっても、二割か二割五分というものはかんを食べなきゃならぬ、こういうことであろうかと思うんですが、この点はどうですか。
  21. 高島節男

    政府委員高島節男君) 鉄鋼業のあり方は非常にむずかしい問題でございます。将来にわたってどういう体制で進んでいくか、現在産業合理化審議会の鉄鋼小委員会という専門の検討の場所を設けまして、学識経験者や業界の方に集まっていただいて方向をいろいろとあらゆる角度から検討してまいる姿勢をとっております。そういうことをいたしておりますゆえんは、いままさに先生から御指摘がありましたように、鉄鋼業は一児現在品質もよく、価格もものによって、いろいろ議論はございましょうが、不況の影響もあって相当に下がった、それが下がり過ぎという問題を起こしております。若干景気がよくなってきまして、その辺も持ち直してまいって……
  22. 村上春藏

    委員長村上春藏君) もうちょっと声を大きくして。
  23. 高島節男

    政府委員高島節男君) ようやく安定の段階に入りそうだという感じのところまでまいっておるわけでございます。どうも小さい声で恐縮です。したがって、鉄鋼業の将来は長期的にはたしていまのままでいき得るのかということが一つの大きな問題であろうと思います。現在でも相当の設備余力が粗鋼段階においてすら感じられます。いわんや圧延とか製品段階にまいりますと、かなりの設備過剰状態に部門によってはなっておるわけでございまして、これから先数年間の投資のしかたというものは非常に気をつけねばならぬ段階にまいっております。昔と比べまして、高炉一本立てました場合の出銑及びそれに伴うところの粗鋼の出方というものが、技術の革新によって非常に商い水準になってきております。一高炉系列をつくることが大きな需要を食っていくという形になっておりますので、今後の投資についてはいかにあるべきかは、業界全体としても反省をし、鉄鋼の値段が非常に景気変動に左右されやすい、あるときにはおそろしく暴落する、あるときには逆に不足して急騰をするというようなことがないように、将来にわたってのあり方を考えていかねばならぬかと思っております。現在のところ鉄鋼価格の水準は、ごく概観的に申しまして、国際価格水準、あるいは若干この不況のために実勢価格としてそれよりも下回る状態のものも多くございます。しかし将来にわたっては、むしろ公販制等の活用の方法も考えてまいりまして、不当に価格が騰貴するのを押えてまいりますと同時に、設備の合理的な計画というものが業界全体の納得の上に成り立つようにしていかねばならぬかと思います。いずれにいたしましても、長期にわたっての大きい問題でございますので、小委員会の結論を極力練りまして、この夏一ぱいぐらいのところで方向を出してみたいと考えて、目下せっかく努力をいたしておる次第でございます。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 鉄鋼に次いで銅も機械工業にとりましては主要な原料であります。これは世界的に銅の価格というものが値上がりしております。そこで銅が払底しておるというようなことが、電車のあの電線まで切ってそうして売り飛ばすという電線どろぼうといいますか、こういうようなことまでいま流行しておるという現状であるわけであります。わが国工業にいたしましても、やはり銅を主原料として相当ここで発展しておるわけでございますが、そこでやはり今後この銅に対してどのような影響を与えるのであるか、こういう点についてひとつ説明を願いたいと同時に、いわゆる銅に対する対策をどのようにお考えになっておられるか、この点をお聞かせ願いたいのであります。
  25. 高島節男

    政府委員高島節男君) 銅の問題は、確かに機械工業にとりまして非常に重要な問題でございますし、これは鉄と違いまして、もう一つむずかしいのは資源的に絶対の制約が世界的にございますものですから、これに対する対策というものは非常にむずかしくなってまいります。非鉄金属全体がその点で非常に価格の安定性を欠く性格の物資でございます。そういった条件の悪さはございますけれども、できるだけの対策をその場に応じて講じていかねばならぬかと思います。現在長期的に考えていきますと、やはりまず国内の資源を極力探し出すということでございます。日本の狭い国土は非鉄金属の宝庫として、ある意味ではひとわたりくまなく探してあるかと思いますが、最近探鉱の技術も相当進んでまいっておりますので、あらためて広域的に探鉱をやっていく、これは鉱山局あたりで探鉱事業団等を活用いたしまして、国内の資源の発見につとめていくという点に力を注  いでいることは御承知のとおりでありますが、この方策をいよいよ拡充してまいるべきだと思います。また国内の資源には限りがございますから、海外には未開発の相当の資源があるということはよく聞くわけでございます。しかし、これはやはり有効に開発いたしますには諸条件がございまして、主として未開発地域の東南アジア、アフリカ、豪州というようなあたりでございますから、開発はなかなかむずかしい、先方の開発担当者のあり方、あるいはその資金の調達能力、あるいはさらには技術的なやり方についての未熟さ等々、障害がございまして、日本側のほうからよほど力を入れて乗り出さねばならぬかと思います。目下海外経済協力基金が一定資金確保しております後進国に対しての経済協力援助ということも、先般の東南アジア開発閣僚会議以来相当に雰囲気が盛り上がってまいっております。そういう経済協力の一環として、特に資源の乏しい非鉄金属、なかんずく銅というものの資源の確保に大きく力を注いでいくべきでないかと思います。  そのほか、アルミニウム等で代替がどれだけきくかという代用品の研究でございますとか、そういう辺に基本的には力を注いでいかなければなりませんが、ただ当面、むずかしいとはいいながら、われわれが焼け石に水だとは思いますけれども、やっていますことは、銅関係のいま輸出は、地金あるいはスクラップまで含めて、全面的にこれは禁止措置をとっております。これによってどれだけの値段に対する効果があるかは別でございますが、こういう事態になると、たてまえとして、そういう方法をとらざるを得ない。また、アメリカその他かなり世界で資源を押えておる国に対しましては、外交上の問題がございます際にも、その資源が日本に対して円滑に流れてくるために、あるいは鉱石の買い付けでございますとか、あるいはアメリカ系統の銅山の日本による開発を後進地域でやるというようなことについても、機会あるごとに接触を続ける努力をいたしております。  それから最後に、先般関税暫定措置法改正いたしまして、銅に対して関税を暫定的に無税にいたしました。国内の資源を開発いたしてまいりますと、これはその車の両輪として、片方やはり関税で相当の障壁を設けておかねばならぬということになります。海外価格がこのように高騰いたしました臨時の時期には、関税を無税にして、資源の開発と同時に、値段はすでにものすごく高くなっております。先方から入ってくるものは、少しでも関税負担を臨時にまけてやろうという対策をとっております。恒久対策と臨時対策と二つに分けまして、その三点ずつぐらいのところであろうと思います。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 これはあなたのほうの担当と違いますが、鉱山局ですが、やはり銅の生産力、生産額、生産量はこれは年々減少していっておるように聞いておるわけなんです。今度世界的にみまして銅が値上がりしたというのも、私はそこにあるんじゃないかと思うのです。これは日本だけの現象でなくして、世界的にも銅というものは、だいぶ生産量が減少してきておる。そこで銅の値上がりということになってきたんじゃないかと私思うのです。そうすると、やはり将来機械工業に対して、いま局長答弁されましたように、銅にかわり得る原料、材料というものが必要になってくるわけなんです。銅にかわり得るということになると、アルミニウムではかわりにならぬわけなんで、やはり粘結力の強いということになってこなければならぬと思うのですが、こういう点は何かあなたのほうでも、いま御説明ありましたけれども、やはり銅にかわり得るもので対処していくというふうなことまで研究にかかっておられるのかどうか、この点はいかがですか。
  27. 高島節男

    政府委員高島節男君) 残念ながらアルミを除きまして、これはという銅の代替品というものの発見は、現在の冶金技術上できていないようでございます。相当の大量生産をいたしながら、しかも金属としてのやわらかさを持ち、かつ電導性を持つということが銅の要件でございます。したがって、これに代替する金属になりますと、非常にその性質上限られてまいります。鉄の場合は、たとえばプラスチックとか、固さ、強さといった面からの代替性で済みますが、電導性ということになりますと、ある意味では非常に貴重な一つの特色を持った金属になりますから、これにリプレイスするものは、現在の技術としては発見されていないように承知いたします。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 この四年後、万国博覧会が千里ケ丘で開催されるわけですが、今度の万国博は、主として機械工業関係なんかも相当出品されるのじゃないかと思うのです。これは各国が腕を競って機械工業なんかも相当量出品されると思うわけなんで、やはりわが国といたしましても、この機械工業は先ほども申しましたように、世界的に一応水準は認められており、輸出も三三%を占めているというくらいでございますから、やはりこの万国博には各国の優秀な機械というものがざっと並んでくるということは当然だと思う。これに対するところのわが国機械工業の振興という意味からも、政府はこれに対するところの対処をしていかなければならぬと私は思うのですが、この点はどうですか。
  29. 赤間文三

    ○赤間文三君 ただいまの万国博覧会機械技術のあれを上げるということについての御質問に関連して、私も意見を申し上げたい。  御承知のように、戦後のわが国機械工業というものは、長い間戦争のために非常に技術が劣悪といいますか、話にならんほど、外国から見ますと、おくれている。それが非常な努力によって、輸出においても、質においてもよくなっている。私の記憶では、大阪で国際見本市を始めましたが、あれによって非常に各国の優秀な機械が大阪に陳列せられたのでありますが、初めは話にならなかった。外国品に太刀打ちできるどころの騒ぎじゃない。出品もどうかと思うくらいであった。それが国際見本市のたびを重ねるごとに、外国の機械日本機械とが非常に近づいてきた。私はこういうふうに考えるのです。あれが日本機械技術を高めるために役立った。私はいま、いつも考えているのは、日本機械技術というものが外国に比べて見て、まだやはり相当劣っている。非常に進歩はしたが、劣っている。まあこの技術開発力が不足しているという点も顕著に認められると思う。なおまた生産面の合理化がまだやはり日本では不徹底じゃないか。さらにまだ生産面の合理化に精を出さなければならんような点もある。あるいはまた御承知のように企業体質が非常に脆弱だ、自己資本が少ないということが昔からずっとある、こういう点。なおまた生産体制整備がおくれているというような、いろいろな原因がありますが、いま近藤委員がおっしゃいましたように、日本で初めての、東洋でまた初めての万国博が大阪で行なわれる。これは産業だけでなく、もう広く文化からあらゆる面に、広範な面にわたって日本の実力なり、また今後のあり方を示すので、なにも産業だけの問題ではないと思いますが、近藤君の御質問がありましたように、私もこの博覧会をひとつ契機といたしまして、おそらく各国からすぐれた機械も出品せられる、わが国においても、各社が自己の費用において優秀なる技術を競うていくであろうと考えるのです。どうかひとつ、通産省においてこの機会をとらえて、やはり機械技術の水準を万国博によってひとつ水準が一そう上がるように、機械のレベルが上がるように、ひとつ御努力を願うことが大事じゃなかろうか。とにかく非常に博覧会分野が広いものですから、あれもこれもたくさんありまするが、私としては、日本産業の将来を見ても、今日もうすでに輸出の大宗をなすように機械が占めておるわけであります。この際、機械が一大飛躍をするように御指導を願うことは非常に大事なことじゃないかと考えております。特に、また今回は東南アジア等からもたくさんな人がやってくると思うのであります。こういうところにいろいろ日本機械の優秀性を見せるというだけでも、私はまたとない非常にいい機会であると思う。今日、戦後私たち外国に行って、日本のことは外国も非常によく知っておると思っておったのですが、行って見て調べるというと、日本というのはまだ芸者とか富士山とか、ごく昔のような考えを持っておるような国がまだ相当多いようにわれわれは世界を回ってみると考える。ごく日本を知り尽くしておるのは、インテリというか、日本関係のある特別の人で、大半の国民というものは、まだ桜とか富士とか、ああいうくだらぬ過去のことだけです。日本の今日のような機械文明なんか実際に知らしたら、非常に日本の国力、日本の地位というものが世界的になる。そのためにはやはり機械工業の水準を博覧会で十分発掘をせられるように、私は質問よりも特に希望を関連して申し上げたいと思います。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 赤間さんのお話ですが、万博はこれから四年ですから、この法律は五年で一つ機械類の振興ということ、万博までにということは一つ目標たり得る。何か目標があったほうが張り合いがありますから、ことに日本の貿易の将来を考えてみると、どうしてもやはり機械類というものは、これは将来はやはり低開発国というものは、貿易の比重が非常に重くなっていくでしょうから、次第にそうなればやはり機械類というものはこれはやはり貿易の中心に──いまでもなりつつありますが、一そうなるわけであります。紹介をしたり、日本もまたそれを目標にして、いろいろと改良、くふうを加えるのにも万博というものが非常にいい目標になり得る。これは延長をお認め願えれば、万博までにということで大いに気合いをかけることにいたしたいと思っております。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 やはり今度の改正案で五年の延長なんだから、万博に間に合うように考慮もあろうかと思うのですが、やはり万博ではこれは何といっても技術競争なんで、これはただ工作機械だけでなくて、自動車もそうだと思うのですが、そのために自動車産業においてはいろいろと行政指導をしておられるわけなんですが、自動車を初め工作機械、その他いろいろな機械が主体になるのじゃないかとまで私は万博というものを見ておるわけなんで、それだけに私は重要だと思うのですね。この四年後の万博でどのような機械が出てくるか、これはまた私どもの一つの興味のある問題だと思うのですが、その万博で優秀技術を競うわけなんで、それに打ち勝つべくいろいろと体制整備だとか、いろいろと今度出ておるが、これは私やはり適当な考えだろうと思うのですが、やはり四年という期間は私はあっという間に過ぎてしまうんじゃないか、こういうことを考えると、若干私は不安があるわけなんで、その点やはり重工業局としてもよほど腹をきめて対処していかなければ、あれあれというふうな結果になるんじゃないかと思うので、その心がまえというものが私は重要だと思うのです。それについてひとつ御答弁願いたいのであります。
  32. 高島節男

    政府委員高島節男君) 機振法のこの内容でございます各種の合理化計画基本計画等を立てて、それを実現に移していくということは、やはりいま御指摘がございましたように、あるときまでにどうしてもやらなければいけないという一つのめどがあることがこれは必要でございます。実は自由化対策としてやりましたときに、自由化の時期というものがどうなるかということがはっきりしませんこととからみまして、非常に当時苦心をいたした記憶がございます。対外関係がございますから、自由化とこちらの競争力の充実というもので、いつこれは自由化するからそれまでにやれと個々の品物について申しますと、対外折衝の場において手のうちをすっかり見せてしまうというようなことで、片方業界の指導には、いつまでだぞということは言えないといけないという矛盾で、非常に不徹底に当時は扱わざるを得なかったように記憶いたしております。今般は自由化のほうの話は一段落といいますか、まあ関税の一括引き下げはございますが、ある程度意見のほうは落ちつき、さらに積極的に技術を導入して国際競争力をつけていこうというねらいでございますから、あるいは一見これは永久の政策であるというふうにお考えになるのも一つ考え方かと思いますけれども、人間はやはり何日までに宿題をあげなければいけないということでやりませんと、旗を振りますわれわれのほうも、また実行に移ります業界のほうの人の踏み切りもなかなかうまくいきませんので、やはり五年という年限を万国博とぴったり合うかどうかは別といたしまして、その程度のめどをつけてやっていかなければならないじゃないか。したがってわれわれのほうといたしましても、法案が幸いに御協賛を得てこれで通りますれば、直ちに業界の意見等も徴し、専門家の意見も徴しまして、審議会等でそれぞれの機種ごとの合理化計画、あるいは体制整備のあり方等の具体的審議に入ってまいりたいと思いまして、その日の早くくることを非常に望んでおるという段階にあるのでございます。
  33. 近藤信一

    近藤信一君 三十六年の改正のときには、機械の規格の制限に関するアウトサイダー規制命令の項を入れたわけなんです。これはまあその後今日まで五年間経過いたしまして、アウトサイダーに対するところの規制命令というものは発動されておるのかどうか、その点はいかがですか。
  34. 高島節男

    政府委員高島節男君) アウトサイダーの規制命令の規定は、規格につきましてだけ三十六年の改正で入れましたわけでございますが、実際問題といたしまして、これを発動するケースは現在までのところ結果としてなかったわけでございます。そういうふうになかったゆえんでございますが、全般にほかの事項でも、機械工業振興法に限らず、一般的にアウトサイダーの規制命令という規定は他の法律でもこれがあるというこことが、結局当該業界の中で協調体制がまとまっていくという、まあいわばにらみをきかした伝家の宝刀的なファンクションをしているということが多いようであります。私過去の事例をつまびらかにいたしませんが、今日までの経緯のところ、具体的にこれを発動するというところまでいかずに、品種の制限の協定ができてまいったという実態ではなかろうかと推察いたします。
  35. 近藤信一

    近藤信一君 三十六年の改正当時には、このアウトサイダー規制命令が必要だと、こういうことでこれは改正のときに条項を入れられたわけでございますけれども、いま御説明がございましたように、発動したのはもう一件もないとこういうことでございまするが、五年前の、じゃこの規制命令を入れなければならなかったという判断といいますか、状況、業界がいろいろといわれただろうと思うのだけれども、それが五年間一件の発動もなかったというのは、何かこれが必要だといって改正したのに、それが必要でなかった。この五年間一件もその発動がなかったというのはどうもおかしいのじゃないかというふうに思うのです。当時の業界はどうしてこれが必要であったのだろうかということがおわかりでございますならば、この点の御説明を願いますと同時に、今後この規制命令を発動をすることがあり得るというふうにあなたのほうはお考えになっておられるのかどうか。私はいまの業界の状況からみますると、やはりアウトサイダーはたくさんあるわけなんですが、これが放置されておるということもおかしいのじゃないかというふうにも考えられるわけなんですが、どうもこの辺が業界が混乱しておるように私思います。この点について御答弁を願いまして、きょうはこの程度にして質問を私は終わっておきます。
  36. 高島節男

    政府委員高島節男君) 三十六年の改正のときに、特に規格の制限につきましてアウトサイダー規制命令を置いたわけでございますが、そのときの気持ちは、規格と申しますのは一定のこういったものだということを一つきめますと、これにちょっと横ヘアウトサイダーが出ますと、それ自体で全滅になってしまうものでございましたので、特にアウトサイダー規制命令がこういう分野については必要であろうと観念的に考えて設けたものだと思います。非常に合理的な主張だと私は思います。それで三十六年から今日まで非常に何といいますか、膨張過程を通ってきたのであります。したがって、そう苦しむというか、生産の増加でブームに対処したという立場にございましたために、業界体制整備が行なわれにくく、かつ業界の話し合いが最後まで煮詰まって、初めてアウトサイダー規制というものが出てまいりますが、そこまで煮詰まらぬままに残念ながらきた面があるのではないか。今後スローダウンされた成長率の波に乗っていくよりほかに日本経済は道はないと思いますが、その間におきまして、業界体制も次第に整備される。そうなりますと、最後のところでアウトサイダー規制命令というものはやたらに出すのはよくないと思うのですが、しかしそういう必要があった場合には出していける体制にあるのだということは、どうも絶対に必要ではないかという感じがいたします。これから本番にかかるような感じも抱いておりますので、過去において現実に発動されておりませんが、今後は非常にこれがあることは、発動されるかどうかは第二段といたしましても、現にあることは絶対必要ではないかと思います。
  37. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 資料要求で。先ほど弱小メーカーが非常に多いということと、それから多種月メーカーにおいて多いので、重工業の中で工作機械があれになっておるということが言われたのですが、多種目メーカーに分かれているものですね、たとえばボール盤メーカーだと思いますが、それの生産数量だとか、会社の名前はけっこうでありますけれども、こういうふうに分かれておるというふうな種目別で出していただきたいということと、いま一つは、私はふしぎに思っているのは、ちょっとギアカッターのことを聞こうと思っていたのですが、ギアカッターの関係では、どうも日本の国産がうまくいかないようなんですが、何か問題になっておるのか、その点について資料がありましたら、お願いします。
  38. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日のところこの程度にしたいと思います。本日はこれにて散会いたします。   午後二時四十四分散会