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政府委員(
高島節男君) 今後外国と対比いたしまして、
機械工業の
分野で特に
競争力を充実していかなければならないポイントと申しますか、という点をフォローしてまいりますと、まあ
日本の
機械それ自身が
機械工業の中における、また
機械をつくる
機械、
工作機械等の
分野で特に顕著でございますが、非常に
設備が老朽化した状態というものを抜け出し切っていないというところでございます。これは直ちに、
一つ二つの商売で勝った負けたということにはつながってまいらないかもしれませんが、ごく概観的に申しまして、一時は非常に耐用年数をこえた老巧
設備が多うございました。七、八%はそうであったと思いますが、それが最近非常に改善は確かにされてまいりまして、大体四〇%
程度は新鋭のものになった、こう言っております。しかしながら他方老朽化したものが依然として四〇%
程度ある。まあまん中のものが二〇%くらいございまして、老朽化したものがそう減っておらぬというところに
日本の特色があるかと思います。これは確かに過去において高度
成長を経てきまして、
設備投資中心のブームでございましたから、古い
機械もそのまま残しておくというような形が今日まできまして、その間の
スクラップ化ということが行なわれず、しかも新しいものが生まれている、こういったちぐはぐな状態であることが
一つ。これはやはり将来の
競争力としては残りました古いほうの面は感心したものではない。これは諸外国に見劣りのする抽象的な
一つのポイントであろうと思います。これを踏まえまして政策を
考えてみますと、やはり今後も開銀、
中小企業金融公庫等の
近代化資金をつぎ込んでいかなければいけない、こう思います。それが今後の施策の
一つの大きな重点になってくるのではないかと思います。
それから第二は、やはり
生産体制と申しますか、
生産をしている各
企業の業種ごとの中のあり方でございます。これはどうも私も新米で、まだ一々全部勉強しておりませんが、抽象的に申しまして、非常に多機種少量
生産という
体制が続いてまいっております。今度の
不況を
一つの反省期にもし、従来からの努力をさらに一歩進めて、金融をつけます際にも極力
体制の
整備が行なわれ、さらにあるいは共同化であるとか、あるいはできれば
合併とかというところまで進むような
機運になっていく部面に効率的に集中的に金をつけていくということが必要ではないかと
考えております。それを相当織り込んだ形でこの
体制整備をしていくということが必要である。これは諸外国においては、
日本ほどこまかに
企業というものが分かれているということはちょっと例がないものであろうかと思います。その
体制が整っていくための
手段として金融を使いながらやっていくということが
一つの問題であろうかと思います。
それから第三に、先ほどから御
指摘のように、やはり
技術のおくれというものは非常に顕著でございます。アメリカ
あたりで
技術開発の
企業の投資額は売り上げの三%以上ございますが、
日本の場合は最近相当上がってまいっても一%
程度であろうかと思います。そういったことの効果としまして、
日本の
機械工業は従来
技術導入にたよりまして、外の
技術を手っとり早く取り入れるという
方向に一生懸命になってまいりました。その間の意欲は非常にどん欲で、
技術導入の件数も多うございましたが、効果も相当にあがってきたと思います。しかしながらどうしてもこれは受け身になります。将来
輸出に伸ばそうというところまで問題を発展させてまいりますと、受け身で人の
開発した
技術に飛びついていくだけでは、
輸入の対策としてはあるいはでき得る
分野があるかと思いますが、
輸出にまで伸ばしていこうということであれば、
日本独自の
開発ということが特に必要になると思います。そういう意味から
技術的な一般的な
措置がいろいろございますけれども、当
法律においてもこういった基礎的な
機械関係につきまして、
技術開発の
計画というものを各年度あるいは
長期にわたって行ないまして、それに向かって進んでいく
方向をとる。そのためには、すでにございます鉱
工業の
試験研究の補助金等もそれを基準にして集中してまいりたい。またこういった
手段で
体制を整えていくということが必要ではないかと思います。
以上三つが大体大きな外国に対して劣っている点と、それに対する対策のあり方ではなかろうかと思っております。