運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-31 第51回国会 参議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十一日(木曜日)   午前十一時五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 岸田 幸雄君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 吉武 恵市君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君                 永岡 光治君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        中小企業庁長官  山本 重信君        中小企業庁次長  影山 衛司君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会におきまして協議いたしました事項について報告いたします。  本日は、中小企業関係三法案の審査を行なうことにいたしましたので、御了承を願いたいと存じます。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 衆議院送付の、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題として、昨日に引き続き質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 昨日に引き続いて若干御質問を申し上げますが、今度の改正案の中で「小売商業連鎖化計画」というものがあるわけなんでございますが、これとレギュラーチェーンと一体どのように内容的に違っておるのか、この点を一応御説明願いますと同時に、この目的とするところは一体どこにあるのか。たとえば経営近代化考えて、この目的達成のためにこういうふうなことを計画されておるのか、この点お尋ねいたします。また組織機構についての構想、こういう点についてもあわせて御答弁願います。
  5. 山本重信

    政府委員山本重信君) チェーンの中には、先生お話のございましたように、レギュラーチェーンボランタリー・チェーン二つ種類のものがございます。レギュラーチェーンと申しますのは、同一企業各地に分散して店舗を持つことでありまして、その資本が同じ資本であるというところに一つの特徴がございます。それに対しまして、ボランタリー・チェーン個々の店が独立性を持っておりまして、その相互の間に一つの同志的な団結を結成するという行き方でございます。そうして、両者いずれも広く網を張ることによりまして規模利益大量流通機構としての能率を発揮するということをねらっておる次第でございます。特にボランタリー・チェーンの場合に、私たち考えておりますのは、一方におきまして、現在かなり複雑になっております流通機構をできるだけ効率的なものにするという、いわゆる流通機構改善ということ、それから第二に、個々小売商地位チェーンを結成することによって向上させてまいる、この二つ目標を持っておる次第でございます。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 ボランタリー・チェーン共同仕入れ機構とどのように差異があるのか。またボランタリー・チェーンのほうがその組織なり共同仕入れなりにおきまして販売面でメリットが多い、こういうことでございますか。
  7. 山本重信

    政府委員山本重信君) 従来からございます共同仕入れ機構というのと、今回のボランタリー・チェーンはかなり類似の点がございまして、仕入れ共同にして、それによって能率化をはかるという点はおおむね共通であろうと思います。これに対しまして特に非常に違っております点は、ボランタリー・チェーンの場合は同志的な結合ということが非常に重要な要素になっておりまして、ある意味におきましては、企業体としては独立しておりますけれども、業務執行の面においては同一経営体にやや近い運営をしてまいる。比喩的に申しますれば、ある意味では運命共同体的な要素がかなり濃厚であるという点が指摘できると思います。したがいまして、そのチェーンに入りますと、本部が取り扱います商品については個々加盟店仕入れの義務を負う。その点は普通の共同仕入れ機構は都合のいいときだけ一緒に仕事するというかなり部分的な、ある程度任意選択の余地が多いというところに両者の差があるように考えます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 ボランタリー・チェーン計画のうち、政令できめる基準ということでございますが、その内容についてどのようなことをあなたのほうとしては予定しておられるのか。それからその基準貸し付け対象を限定し過ぎたり、また貸し付け条件を厳重にするようなことがあるのではないかということが予想されるのですが、この点はどうですか。
  9. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回小売り商業連鎖化を推進いたします場合に、特に政府として育成すべき連鎖化計画というものを政令で定める基準で判定をいたすことにいたしておる次第であります。その政令で定める基準として現在考えておりますのは、まず第一にそのチェーンの事業が加盟小売り商効率化効率向上させるために適切なものであるという点が第一であります。それから次に、このチェーンに加盟する小売り商業者の数がある最低限度の数以上であること、あまりに少ない業者の集まりでは対象としては適当でないということでございます。現在おおむね三十店程度考えております。それから参加する小売り商が必ず本部に出資をするということでございます。それから最後に、そのチェーン運営加盟小売り商全部の利益のために運営されるような組織になっているという、これらの点を政令で定める基準として考えております。  それから次に、このチェーンに対する貸し付け基準をあまりきびしくしてそれを限定的にしますと、いろいろ問題が出てくるわけでございますが、私たちとしてはできるだけたくさんの小売り商をこのチェーン参加させて、小売り商地位向上をはかりたいというふうに考えておる次第でありまして、したがいましてその業種、取り扱い商品等につきましては、特に現在制限をいたす考えはございません。商品種類によりまして、またチェーンのあり方もいろいろ相違が出てくると思いますけれども、その点につきましては、できるだけ弾力的に広い範囲に適用するようにいたしたいと考えている次第であります。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、ボランタリー・チェーンで扱っていくところの商品は何でもかまわないと、こういうことになるのか。それから外国日本の既存のチェーンを見まして、扱いよい品物とそれから扱いにくい品物、こういう面が出てくると思うのですが、この点はいかがですか。
  11. 山本重信

    政府委員山本重信君) お説のように取り扱う商品によりまして、扱いよいものと扱いにくいものとがございます。外国例等で見ますと、加工食料品と申しますか、それと耐久消費財というようなものがその主力になっておりまして、特に食料品につきましては、外国ではかなりチェーン組織率が高くなっておりますので、日本におきましても、これからチェーンがだんだん普及してまいります方向といたしましては、いわゆる取り扱いやすい商品がその中心になってまいることと予想いたしております。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 ボランタリー・チェーン消費物価対策との関係は一体どうなっているかということと、それから商品によって大いに下がると思われるものがあると思うのですが、この点はどうですか。
  13. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回のボランタリー・チェーン構想目標は、先ほど申し上げましたように、一方におきましては小売り商地位向上ということでございますが、もう一つ流通機構合理化改善ということでございまして、その結果として、消費者物価対策としての効果も発揮することを期待いたしておる次第でございます。その場合に特に法令をもって強制的にチェーンで取り扱うものについては価格を下げろというようなことは、現在の機構から言って適当でないと思いますので、そういう措置は考えておりませんけれども、ボランタリー・チェーンを積極的に推進してまいります過程におきましては、物価対策のねらい募るということをよく徹底してまいりまして、チェーン運営する際にその点も十分考慮して運営してもらうように要請をいたしたいと考えております。そういう状況でございますので、具体的にどういう商品についてどの程度値下げが期待できるということは、現段階ではまだ確たる見通しを申し上げる段階ではございません。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 問屋中心としてボランタリー・チェーンというものが組織された場合に、問屋系列化を招くというふうなこともございますし、小売り商におきましては隷属化すると、こういうふうなこともあろうかと思うのですが、この点はどうですか。
  15. 山本重信

    政府委員山本重信君) ボランタリー・チェーン形態としてはいろいろな形態考え得るのでございますが、政府対策対象として育成考えますボランタリー・チェーンは、あくまでも小売り商地位向上ということが眼目でございますので、問屋参加を全面的に排除するものではございませんけれども、ねらいはあくまでも小売り商地位向上と、この目標を絶対にはずさないということを十分に配慮してまいる考えでございます。ボランタリー・チェーンを結成しますと、従来の個々小売り商は特に販売をする部門を担当するのでございますが、同時にみんなが集まって、共同仕入れをする面、それからさらには個々販売業務についての指導業務、あるいは共同宣伝というような仕事が出てまいりますので、ある面においては従来の卸商経験者知識経験を活用するという面が必要でございますので、そういう範囲で、もし同志的な結合で、しかも小売り商主体とする運営がはっきりと確保できるようなものにつきましては、卸商参加も認めようということでございます。その点はあくまでも主客転倒しないように、いまお話しのように卸に小売り商が隷属するというようなことはあくまでも避けたい、こういう考えで推進してまいるつもりでございます。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 せっかくあなたのほうで計画されまして、問屋側系列化隷属化、こういうことになりますと、あなたのほうの御趣旨と違ってくるわけでございますから、その点は今後の指導面において、あなたのほうが十分対処していかなければならないと私は思うのです。それについてのあなたのほうの心がまえといいますか、それはいかがですか。
  17. 山本重信

    政府委員山本重信君) ただいま御指摘の点は、私たちとしては最も重要な方針として考えておる点でございますので、助成対象として取り上げます場合に、まずその計画内容についてもそういうことが確保されることを十分に確認をいたしたいと存じますし、その後も運用の面につきましても、その本来の目的を逸脱しないように十分に指導いたしてまいりたいと存じます。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 それから開銀の明年度融資にもボランタリー・チェーン関係資金が予定されているというふうに聞いておりますが、その金額とただいまの助成法チェーン資金、これとの関係はどのようになるのですか、この点お尋ねいたします。
  19. 山本重信

    政府委員山本重信君) 中小企業庁予算で計上いたしておりますボランタリー・チェーン予算は、ただいま申し上げましたように、小売り商業中心ボランタリー・チェーンでございます。それに対しまして開発銀行のほうで今回融資をするワクをきめておりますが、この十五億円の融資対象となりますものは、大企業中心ボランタリー・チェーン主体になると思います。したがいまして、そちらのほうはどちらかといいますと、流通機構改善というところにより大きな重点を置いておりますし、中小企業庁の取り扱うものは、小売り商地位向上、その連鎖化による体質の改善ということをむしろ主眼にいたしまして、あわせて流通機構改善あるいは消費物価対策に貢献する、こういうふうに重点の置き方がやや違っておるというふうに御了承いただきたいと思います。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 これは二十八日の毎日新聞にもちょいと出ておりましたが、大企業販売系列がますます拡大している現在におきまして、ボランタリー・チェーンがそれらの販売系列によって占められていくというような危険があるんじゃないかというふうに思うのですが、この点はどうですか。
  21. 山本重信

    政府委員山本重信君) 流通機構は、相当に現在複雑でございますので、これからこうしたチェーン化という傾向が今後いろんな面から推進されると思います。したがいまして、中にはいわゆるレギュラーチェーンとしてメーカー中心チェーンも現在よりますます進められるかと思います。また大企業中心ボランタリー・チェーンも出てまいると思うのであります。それだけに、私はそういう事態に対処して、放置しておきますと小売り商地位がますます脅かされるということが懸念される次第でございまして、それだけに小売り商中心とするチェーン化というものに力を入れて、特に政府がそれに対して助成をすることによって、一方的に大企業中心チェーンに圧倒されることのないようにいたしてまいりたいと思います。この点は、アメリカ等の例を見ましても、レギュラーチェーンの進出ということが一つの刺激といいますか、契機になりまして、それに対抗するという立場からの小売り商連鎖化というものが活発になった、こういうことが言えるかと思うのでありまして、わが国の場合も大体そういう方向考えて、今後小売り商中心制度育成に努力したいと思う次第でございます。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 チェーンに入っている商店と、今度はチェーンに入らない商店と、こうできてくるわけなんです。そういたしますると、この商店間におけるところの格差というものが大きくなるというふうなことも一応考えられるわけでございまするから、その点は一体どのようなことで調整がされていくか。さらにまたチェーンに対しましてはだれでも、いわゆるどの商店でも入れるのかどうか、すなわち加入、脱退の自由というものが認められておるかどうか、この点はどうですか。
  23. 山本重信

    政府委員山本重信君) チェーンに入らない小売り商がどうなるかという点でございますが、これは今後われわれがこのチェーン育成をはかっていきます場合に、非常に重大な配慮を払っていかなければならない点であろうかと思います。現在私たち考えておりますのは、粒の大きな小売り商は、どちらかといいますと、ある意味から言うと、独立して方々の卸商との連絡がとれますので、われわれが育成してまでチェーン化をそう推進する必要がないという面があろうかと思います。したがいまして主力は小規模小売り商小売り商の中でも規模の小さいものに主眼を置いて連鎖化をはかってまいりたいと思っております。したがいまして、どの店でもチェーンに入ろうと思えば入れる、こういう制度にいたしてまいりたいと考えておる次第であります。ただ初年度予算がきわめて少額でございまして、私たち心がまえも、まだ一挙に非常に大規模ボランタリー・チェーン育成ということを考えていない段階でございますので、その点はさらに次年度以降におきまして、できるだけ早くたくさんの小売り商で希望するものがこのチェーン参加できるようにいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 そのレギュラーチェーンというのは、やはり先ほども長官言われましたが、同一企業各地に分散するところの多数の小売り店舗を有する組織、すなわち本支店関係組織、それからボランタリー・チェーンというのは各地に分岐する多数の小売り商卸商、これを含めて組織した独立したお互い組織であるわけなんです。そうすると、各地に分散するというんでございますから、どうしても一定地域でやるわけじゃないんでございまするから、この範囲というものは広い。そうすると、やはり入るものと入らないものと、こういうものが各地に私できてくると思うんです。これはたとえば小地域一つボランタリー・チェーンというものができるということになれば、そこの地域小売り商が相当加盟するということも考えられるわけですけれども、やはりこれが広範にわたっての各地に分散する組織、こういうことにもなってくるから、なかなか私は入るのに対しても、その商店によっては困難性というものがあろうかというふうに思うんですが、この点の調整というものはあなたのほうは、どのようなお考えを持っておられますか。
  25. 山本重信

    政府委員山本重信君) ボランタリー・チェーンの最も中心をなすものは、それに加盟する小売り商の間の同志的な団結ということでございまして、先ほども申し上げましたように、一種の運命共同体的な要素を持ったつながりというふうに言えるかと思います。したがいまして、そのお互いの間には一つの有無相通ずる関係、かなり緊密な関係が必要でございます。そういうことから考えまして、同志的な結合が可能な範囲のものであれば、あえて相当距離をおいて分散しているという条件がかなわなくても、そこは弾力的に考えてまいりたいと思います。実はかなり粒の大きい企業ボランタリー・チェーンの場合は、その加盟者の間の距離等が非常にうるさい基準になって、お互いに相当離れている、競合関係がないということをかなりきつく打ち出していこうという傾向があるようでございますけれども、小規模小売り商対象にして考えてまいります場合には、そこをあまり厳重に考えることは適当でないと思いますので、なるべくその辺も弾力的に考えて、お互いに同志的な結合がし得るような背景、基盤を持っているものであれば、あえて距離の遠近を問わず、同一チェーンに加盟して差しつかえないと、こういう運用をしてまいりたいと思っております。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 最近の東洋経済新報に「ボランタリ・チェーン育成具体策」という社説が載っております。これで見ますると、商業近代化策としては、チェーンだけではない、日本商業近代化をおくらしたのは、一連の零細商業保護政策にある、チェーン育成としては中規模以上の商店をねらえと言っている。私どももボランタリー・チェーン育成は、名前は中小企業対策でも、やはり小売り商上層部育成中心になりやすいという心配があるわけなんで、それもやむを得ないことではございましょうけれども、それでは下層部小売り商のために何をしようとしておられるのか。このねらいというところを先ほど来答弁されておる点から考えましても、これは小売り商全般についてと言っておられますけれども、大体こういう組織というものは、どうしてもそのグループの上層部のほうの対策ということになりやすい、これは昨日も私質問の中でいろいろ言いましたように、中小企業のいわゆる優等生のほうばかりに力を入れる、こういうことにおちいりやすい点があろうかと思うんですが、この点あなたのほうのお考えがあれば、ひとつこの際お尋ねしておきたいのであります。
  27. 山本重信

    政府委員山本重信君) 商業部門におきましては、特に小規模零細企業のウエートが高いのでございまして、この小規模零細企業の問題を考えないで、いわゆる優等生教育だけをしておったのでは、この商業問題は全く解決できないというふうに私は考えております。その場合に二つ方向考え得るのでございまして、現在ある姿のままで小売り商がそのまま全部存続できる、あるいはそれがいいというふうには私は結論できないと思いますけれども、それをより近代化合理化していく方法といたしましては、一つ一つ小売り商単位として、より合理的なものになっていく、そのためには、もし必要があれば店舗共同化をはかるとかいう、単位を強くし大きくする方法がございます。これが従来中小企業庁の施策でも取り上げてきたおもな点でございます。そういう方向を今後ますます推進していきますことと同時に、その個々単位単位との間をチェーンでつなぎまして、そうして一つ一つ規模がかりに小さくても、総合して大きな規模利益も発揮できると、こういうねらいがあるのでございまして、今回のボランタリー・チェーン対策は、特にその点非常にはっきりと小規模対策という性格を打ち一出してまいるつもりでございまして、決して優等生あるいは規模の大きいところ、だけをピックアップしてそれを育成していくという考えは持っておりません。これは非常に重要な点でございますので、今後運営の面につきましては、先生の御趣旨の点をよくわれわれもわきまえまして、本来の目的を達成するように努力いたしたいと存じます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 日本ボランタリー・チェーン協会常務理事宗像平八郎というこの方は、ボランタリー・チェーンの第一線の指導者だということでございますが、この方がこういうことを言っておられるのです。流通対策として最も効果的な手が打たれたことに意義があり、これを足がかりに助成を拡大してほしい、共同仕入れにせよ、店舗改装にせよ、それに必要な資金調達のために、できればボランタリー・チェーン専門金融公庫を創設して、低利資金供給を望んでやまないと。いわゆる金融の面でこのボランタリー・チェーンというものに、将来若干の苦しみというもの、苦悩というものが出てくるのじゃないか。そこで一体政府としてはこの金融面についてどういうふうに考えていくか、たとえば商工中金あり、あるいは中小企業金融公庫がございますが、これらにあなたのほうは依存してやらせていこうとしておられるのか、また宗像氏が言っておられるように、将来やはりボランタリー・チェーン独自の金融公庫というふうなものが持てるかどうか、そこまではあなたのほうは、まだ独立した公庫まではお考えになっておられないと思いまするけれども、将来の構想としては、このことがいいのか悪いのか、こういう点あなたのほうで何かお考えがあるならば、この際お尋ねしておきたいのであります。
  29. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回の予算におきまして、ボランタリー・チェーン本部施設につきましては、助成金を出すことにいたしておりますが、それと並行いたしまして、政府系王金融機関の機能を活用いたしたいと考えております。ボランタリー・チェーン自身は多くの場合に組合組織になることが多いと思いますので、その組合運転資金等につきましては、積極的に商工中金を活用いたしたいと思います。またチェーンに加盟します個々店舗につきましても、このチェーンをつくる機会に、店舗の改造というようなことが行なわれる場合が多いと思います。そういう面につきましては、商工中金、国民金融公庫及び中小企業金融公庫、この三公庫を動員いたしまして、の改装資金供給を確保いたしたいと考えております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 次に、中小企業構造改善準備金制度政策目的というものは那辺にあるかということ、本制度中小企業近代化資金助成法改正により規定しようとしておりますところのその理由は、どこに置いておられるのか、その構造改善とはどういう意義及び内容を持っておるのか、高度化と一体どこが違うか。この点についてお尋ねいたします。
  31. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回の構造改善準備金制度のねらいは、一方におきまして中小企業近代化高度化の推進、他方におきまして事業の転換の助成ということでございます。第一の近代化高度化につきましては、一般会計の予算の面で従来いろいろな助成が行なわれておりますけれども、それが税の面においては、部分的にしか恩典が与えらていないのでございまして、今回この構造改善準備金制度という新しい制度をつくることによりまして、組合員があらかじめ積み立て金を積み立てまして、将来組合として共同施設をつくる、あるいは工場団地を育成するという準備をしようという場合に、その税の恩典によりまして積み立て金が積み立てやすいようにしようというのが第一のねらいでございます。  それから第二に、業種によりましては、設備過剰、生産過剰等の現実に対処しまして、自主的に業界で一部の人の転廃業の促進をしようという申し合わせができました場合に、転廃していく人に対する見舞い金をみなが積み立てる、その場合に税の面での恩典を与えて、そういうことがしやすいようにしようということでございます。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業構造改善事業の共同化、それから工場等の集団化などのほかに、事業者の自主的事業の転換を促進するための事業も含まれておるといいまするが、この改善事業の内容というものはどういうものを考えておられるのか、この点いかがですか。
  33. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回の改善事業の内容といたしましては、ちょうど先ほど申し上げました政策目的とおおむね一致しておるのでございますが、第一は、事業の共同化、そのための工場、あるいは商業の場合は店舗の集団化でございます。それから第二は、事業者の自主的な事業の転換を促進するための事業、これがその主要なものでございます。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 この改善事業の事業を実施しようとするところの組合というものは何をさしておられるのか。それから事業協同組合のほかにその他政令で定める組合となっておりまするが、政令でどのような組合を指定されようとしておられるのか、この点はどうですか。
  35. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回の構造改善事業の対象としては、特定組合ということばをつかっておりますが、これは個々の固有名詞の組合をいうのでございませんで、組合種類を定めるという趣旨でございます。具体的に申し上げますと、事業協同組合のほかに、事業協同小組合、商工組合商店街振興組合、環境衛生同業組合及びこれらの組合の連合会を予想いたしております。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 その特定組合がその事業計画について担当大臣の承認を必要としておるわけでございますが、承認を受けることによる利益というものは一体どんなような利益というものがあるか。それからこの担当大臣の承認を必要とせなければならない理由というものは一体那辺にあるか、この点はどうですか。
  37. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回の構造改善卒業につきましては、政府の承認という段階を設けたのでございますか、これは、その構造改善計画が法律でねらっております構造改善中小企業近代化高度化に寄与するもので適切なものであるということを認定することでございまして、その利益としましては、それによって税制上の優遇を与えるということでございます。それから税制上の優遇措置でございますが、具体的に申し上げますと、組合員から賦課金として組合に納めます金額をこの構造改善準備金勘定に繰り入れます場合には、その特定組合は、普通の場合ですと利益として計上しなければいけないんですが、この場合にそれを利益として計上しなくてもいいということであります。そしていよいよそれを具体的に実施するために取りくずすときにこの利益金に算入いたす。ただし、その取りくずしの目的共同施設を取得するという目的であります場合には、特に今回恩典を与えておりまして、準備金取りくずし額の三分の一の特別償却を行なうことができるようにいたしております。また、その目的が自発的な転廃業者に対する見舞い金であります場合には、これは損金として処理できることにいたしております。これらのことは、別途租税特別措置法のほうで規定をいたしております。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 転廃していく者に対してはいま見舞い金を出していると、こういうことでございまするけれども、いままで転換する前までに一応の利益をあげ、そしていろいろと協力してきた、こういうものを、ただ見舞い金だけでこれはいいものかどうか、何かそこに、一つの見舞い金にしても内容的にまたこれは違ってくる問題もあろうかと思うのですが、この点おおよそあなたのほうは、ただ見舞い金ということでなくして、これに対するところの基準というふうなものを考えていかなければならぬのではなかろうかと思うのですが、この点のお考えはいかがですか。
  39. 山本重信

    政府委員山本重信君) 具体的に個々組合がどの程度の見舞い金といいますか、転廃業者に対する転廃業資金組合員が拠出するかということは、それぞれ自主的に相談をしてきめられるわけでございますが、一般的に考えられますのは、資産の控除損、あるいは従業員の退職金の支払い額、それから転換費用、こういうようなものが一応の基準になると思います。具体的に、たとえば繊維工業とかあるいは鋳物工業等におきまして転廃業をどうしていくかということをいろいろ議論しておるようでございますが、やはりその業種のその当時の経営状況とか、転廃しようとする人の従来のその組合に対する貢献度とか、いろんな問題がおそらくそのときに議論されて具体的にきまることになると思いますので、制度上これを一定のものにぴしっと基準をきめて固定化するという考えはないのでございますが、一般的な考え方として、ただいまも申し上げたようなことを予想いたしておる次第でございます。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 これは、特定組合は当然組合員に経費を賦課するということでございまするから、その賦課する額というものがいろいろと変わってくると思うのですね。たとえば業種によって、また客観的な基準、こういうものもきまってまいりましょうし、それからいろいろと基準そのもののきめ方というものも、なかなか私は多岐にわたってむずかしいのではないかというふうに思うわけであります。その点はどうですか。
  41. 山本重信

    政府委員山本重信君) 組合員に対する賦課の基準は、あげてその組合の自主的な申し合わせによるわけでございますが、先生お話しのように、業種の実態によりましていろいろなことが考えられると思います。たとえばほんの例でございますけれども、織物業の場合には、その保有している織機台数、あるいはマッチの場合にはその個々の業者の出荷量、それから洋がさの骨の場合にはその生度本数というような、それぞれの業種でその適当なものを選ぶようにしております。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 税制につきましても、組合員から納付された賦課金を中小企業構造改善準備金として積み立てましたときに、どのような所得税、または法人税の特例というものを設けていこうとしておられるのか、この点はどうですか。
  43. 山本重信

    政府委員山本重信君) 従来ですと、組合組合員から賦課金を徴収いたします場合に、その用途が、たとえば将来共同施設をつくるためだとか  というような場合には、それが益金として算入されまして、その組合種類によりますけれども、二六%の普通の税率で課税が行なわれるのでございますが、今回のこの制度で主務大臣の承認を得ました場合には、そうした場合に、取りくずしするまでは益金として算入をされないという恩典があるわけでございます。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 次に、投資育成会社法について若干お尋ねをするわけでございますが、投資育成会社は発足以来、今までどのような活動を行なってきているのか。また、どの程度の効果というものをあげてきておるか。この投資活動は、当初の予定どおりに必ずしも私は円滑にいかなかったんじゃないかというふうにも考えるのですが、円滑にいかなかったということについては、何かそこに理由があろうかと思うのですが、その点おわかりでございましたならばお示し願いたいと思います。
  45. 山本重信

    政府委員山本重信君) 投資育成会社は御存じのように、東京、名古屋、大阪の三カ所に設立されたのでございますが、ことしの二月の末までの一年余りの間に、投資決定件数は合計百十二件、それに対する投資決定額は三十三億円余りとなっております。新しい試みでございますので、いろいろな機会にその宣伝、趣旨の説明には努力をいたしたのでございますけれども、ただいま御指摘のように、必ずしも当初の目的を、目標を十分に達成したとは言い得ない点があろうかと存じます。その原因としては、一つには、たまたま最近の不況期に遭遇いたしまして、一般的に増資ということについてみんなが慎重、消極的な空気になったことがあげられるかと思います。しかし、基本的にはおおむね所期の方向に進んでいるということは申し上げられるのでございまして、発足当初でもございますので、三社とも経営にはかなり慎重な態度でおりますけれども、今後だんだんになれてもきておりますので、これから順調にその業務を拡大することが期待されておるような次第でございます。
  46. 近藤信一

    近藤信一君 東京、大阪の投資育成会社は、名古屋に比べまして投資件数が比較的少ない。この表をいただいて見ましても、合計で見まする際に、東京は四十、それから大阪は三十四、それから名古屋が三十二と、こうなっておりまして、非常にその比率からいきますると、私は少ないように思うのですが、投資額もあまり多くないと思うのですが、それから繰り越し金が出ておるというふうに聞いておるのですが、これは四十一年度に繰り越して投資をするということになってくるのか。もしそうだといたしますると、その原因はどこにあったか。これに対して名古屋だけは比較的に件数も多くなっておるのです。資金不足を来たして投資育成会社法を改正して、これに対処しなければならぬようにこれはなったと私は思うのですが、この点はどうですか。
  47. 山本重信

    政府委員山本重信君) 東京、大阪と名古屋とを比較をいたして見ますと、先生御指摘のように、名古屋が最も積極的に業務を拡大しておるのに対しまして、東京、大阪はそれよりは若干おくれているというふうに言えるかと存じます。これは一つには、その経営者の積極的な態度いかんということにもよるのでございまして、名古屋の場合は特に管下の各県等もかなり積極的に協力をしたというようなことがあげられるかと思います。しかし、東京、大阪の場合も最初の段階でございますので、やや慎重に厳選主義でやっているという点がございますけれども、決して非常な大きな障害があって業務がおくれているというような実情ではございませんので、これから漸次東京、大阪、名古屋三社雁行して拡大の方向に進むことは間違いないというふうに私考えておる次第であります。  それから名古屋は、当初の資本金も少なくて発足いたしましたために、事業の拡大に伴いまして資金の不足を生じましたので、今回特に名古屋につきまして増資をする必要が生じたような次第でございます。
  48. 近藤信一

    近藤信一君 現在、投資育成会社は東京、大阪、名古屋、こう三カ所ございまして、東京の場合には、北海道からずっと静岡まで十八都道府県を統轄しておりまして、さらに大阪の場合は福井、滋賀からずっと鹿児島まで二十三府県を統轄しております。名古屋は愛知、岐阜、三重、富山、石川の五県だけで現在やっております。こういうふうに見てみますると、非常に広範にわたって東京、大阪などはやっておられるわけでございます。たとえば東京の場合には、北海道からこの申し込みもあるわけなんですが、その場合に東京までわざわざ来なければならぬという不便があろうかとも思いますし、大阪の場合もそのようなことが考えられる。これをもう少し分割して、資金面などにおきましても、これをもっと見ていくというようなことは、あなたのほうはお考えになっておられないのかどうか、この点どうですか。
  49. 山本重信

    政府委員山本重信君) 大きな方向といたしましては、まさに先生が御指摘のようなことが非常に必要であるというふうに考えておる次第でございます。当面、東京、大阪等広い管轄区域を持っておりますところは、とかく遠隔の地にまで十分その手が及ばないうらみがございますので、とりあえずの対策といたしましては、中小企業金融公庫の網を使いまして、その窓口で極力その趣旨の説明あるいは取り次ぎ等をいたしておりますし、また、おりを見て投資育成会社の役職員が巡回相談等もいたしておるのでございます。この面の活動は御指摘のように決して現在の状況で十分であるとは考えておりませんので、具体的にどういう方法が一番効果的であるか、投資育成会社自身もある意味では株式会社でございまして、採算というものを常に考慮しなければならない立場にもございますので、そういう点と、一方におきましては中小企業の自己資本の充実を応援するという、こういう公共的な任務、その両者の調和点を具体的にどういうふうにしていったらいいか、会社の当事者のほうともこれからよく相談してまいりたいと思います。そうしてできるだけ先生の御指摘のような点に遺憾のないようにその対策考えてまいりたいと思います。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 この表を見ましても、おおむね三都市に集中されております、東京、大阪、名古屋と。大阪投資育成会社のほうは全体の件数は三十四件で、そのうち大阪だけで二十三件、さらに東京育成会社の場合には全体の合計が四十件でございまして、東京で扱ったのが二十二件、名古屋育成会社の場合には全体で三十二件でございまして、名古屋で愛知県が十八件、こういうおおむね三都市に集中されたような形であるわけなんです。これはやはり工業地域といいますか、それを中心として発展していっているというふうにも私思うのですが、その他の府県に対しましては、一件なり二件というような小範囲であるから、これはまあ当面東京育成会社、大阪育成会社、名古屋育成会社と、このような分布状態であなたのほうは押し進めておられるわけでございますが、やはり将来を考えました場合には、なかなか不便も伴うことでありますし、地方的にもっと育成し、そうしてこれを指導していくというふうなことを考えるならば、これは地方的に分散した場合に、私利用度というものはもっと高まるのじゃないかというふうに私考えるわけですが、この点はどうですか。
  51. 山本重信

    政府委員山本重信君) 現在三つの会社の活動が主として東京、大阪、名古屋の一地区にかなり集中をしておることは御指摘のとおりでございます。この投資育成会社の投資先になり得る企業の分布状況を調べてみますと、約その六割がいまの三都市に集中しておるような状況でございまして、一般的な傾向としては、ある程度やむを得ない点があろうかと思います。しかし同時に中小企業対策自体としては、やはり地方の産業にもそうした助成の手を延べていくことは絶対必要でございますので、ただいまお説のように、その点について対策を何とか考えたいと思っております。その場合に別の投資育成会社を、たとえば北海道とか九州とかいうところに別につくるのがいいのか、あるいは支店を設けていくのがいいのか、その辺は採算面とのかね合いもございますので、今後さらに一そう検討いたしたいと存じます。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 今度の法改正におきましては、名古屋投資育成会社の増資ということで法改正というものが出されたわけでありますが、東京及び大阪の投資育成会社は現在においては増資する必要がないというふうに判断されて今度の法改正になったのか、さらに今後の資金計画をどのように考えておられるのか、中小企業金融公庫からの借り入れ等を考えてあなたのほうはやっていかれようとしているのか、この点はどうですか。
  53. 山本重信

    政府委員山本重信君) お話のように、今回は名古屋の投資育成会社の増資だけをお願いしておる次第であります。東京、大阪につきましては、現在従来の事業資金の繰り越し金が相当まだございますので、四十一年度におきましては、従来の資金繰りで十分まかなえる状況でございます。四十二年度以降につきましては、またそのときの新しい情勢に応じまして、増資あるいは中小公庫からの借り入れ金、そういったものを当然考えなければならないと思いますが、その点は今後の問題として、会社のほうでもただいま検討しておる段階でございます。
  54. 近藤信一

    近藤信一君 現在投資育成会社が三地方にあるわけでございますが、いずれも同じように言っておられることは金利が若干高い、こういうことを言っているわけなんです。金利をもう少し引き下げて、この投資育成会社の運営というものを考えていただけないものかどうか、こういう陳情も私どものところにきておるわけでございますが、この金利の面に対しまして、政府としてはどのように考えておられるのか、この点あわせてお尋ねしておきます。
  55. 山本重信

    政府委員山本重信君) この金利負担の点が投資育成会社の採算面、ひいては今後の活動にかなり大きな影響を与えることが考えられますので、先般中小企業金融公庫がこの投資育成会社に対する融資を行ないます場合の金利につきまして、政府部内でいろいろ検討をいたしたのでございます。中小企業金融公庫の金利はちょうど明日、四月一日からさらに三厘下がりまして、八分四厘になるのでございますけれども、いま申し上げましたような点を考慮いたしまして、この投資育成会社に対する金利は特別に低い金利ということで七分五厘という金利を決定いたしまして、とりあえず四十三年度までこの金利でまかなおうという話し合いになっております。四十四年度以降につきましては、そのときの会社の経理状況をさらに十分に検討して、自後の措置をいたしたいと思っております。
  56. 近藤信一

    近藤信一君 昨年五月の投資育成会社法の改正によりまして、新たに会社の業務に追加されました転換社債の引き受け業務、この現況はどういうふうになっているのか。また、これによりまして資本規模の比較的小さな中小企業育成されているのかどうか、この点はどうですか。
  57. 山本重信

    政府委員山本重信君) 昨年の法律改正によりまして、投資育成会社の業務に転換社債の引き受けが追加されたのでございますが、七月からその引き受けを開始いたしまして、ことしの二月末までの八カ月の間に、二十三社に対しまして五億三千六百万円の投資が決定を見ております。いまお話のように、この転換社債の引き受けは、株式の引き受けよりはある意味でリスクが少ないという点もありまして、資本金の規模の比較的小さいものにも適用が行なわれる可能性があるのでございます。実績の上でもいままでの株式の場合でございますと、企業の中の一千万円から二千万円までの比較的適用対象の中では小さい規模の層に対しまして、株式の場合は全体を一〇〇といたしますと、一〇%がこの層に向けられておったのでありますが、転換社債につきましては二一%がそれに向けられておる次第でございます。
  58. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 関連。投資育成会社に対して中小企業金融公庫から今度一億五千万の、これは名古屋の育成会社に対して増資になるわけですね。ところが先ほどの金利の話なんですが、これまでは年間八分四厘だったんですか、金利をとっていましたのは。それをいろいろお話し合いの結果、明年度からは七分五厘に抑える、非常に金利が安くなることは育成会社の経営が楽になることですからけっこうなことでありますが、政府が三育成会社に対して出しておる資本金の引き揚げ時期、返還の時期というものを定めていますね。十年間でしたか、私ちょっと記憶ございませんが、たしか十年間だったと思います。ところが、地方の銀行なりそれから公共団体なども同様に出資をして、そしてまあこの会社というものができておるわけですが、この政府の出資しておりますものの引き揚げの時期、あるいは政府関係機関である中小企業金融公庫に支払われておる金利同様の何を地方団体なり地方の都市銀行などについても、育成会社は同じような金利を払い、あるいは同じような時期にこれを返済するというような条件が、政府関係機関と同様の条件になっていますか。
  59. 山本重信

    政府委員山本重信君) まず第一に金利の問題でございますが、名古屋の例について申し上げますと、まず出資でございますが、政府出資は従来一億でございまして、今回お願いいたしております法律改正によりまして、さらに一億五千万これに追加するわけでございます。これは金利という観念ではないのでございまして、いわゆる出資でございますが、これは優先株式になっておりますので、六分五厘の配当を優先的に払うことになっております。で、この六分五厘は、そのときに支払いができなければ先に繰り延べて、元本の償還が済んでからあとに徐々に返すということになっておりまして、実際問題としてはまだ配当するような状態でございませんので、政府出資の分については、出資が行なわれて、それに対する配当が行なわれない状態でございます。それから名古屋につきましては、資金繰りの関係がございまして、今回五億円の融資中小企業金融公庫から行なわれたのでございます。その金利でございますが、中小企業金融公庫の一般金利は、昨年の九月三厘引き下げを行ないまして、引き続いて明日四月一日付でさらに三厘の引き下げを行ないまして、八分四厘になるのでございますけれども、この投資育成会社の公共的な性格にかん、かみまして、政府部内でいろいろ検討をいたしました結果、輸出産業向け等の場合に中小企業金融公庫の特別の金利として七分五厘という前例がございますので、それにならいまして、投資育成会社に対する融資は、一般金利の八分四厘でなくて七分五厘ということで融資をいたすことになったのでございます。それから資本金の中には、政府出資のほかに地方公共団体、金融機関等の出資がございますが、そういうほうの出資につきましては、政府出資の分とは性質が違いまして、特に優先配当の性格もございませんし、また期限がまいりましたら償還をするという性格もございませんので、それは一般の商法の規定による株式の取り扱いを受けておる次第でございます。
  60. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 政府政策としてこの三つの育成会社をつくられて、しかも政府出資が優先的に一定の年限を経過すれば償還することができるようになっておるのに、地方公共団体なり金融機関等で実施をしておる分については政府よりも条件が悪い、こういうことでは、私はやはり育成会社というものの必要を認め、しかも政府政策としてこういうものを設置させておるという国の意思からいいますと、ちょっとこれは冷淡ではないか、こういう点についてはもっとこれは考える必要があるのではないかと思います。山本さんそういうふうにお考えになりませんか。
  61. 山本重信

    政府委員山本重信君) 投資育成会社の性格、あるいはそれに対する政府出資をどういうものにするか、一つの立法論としては先生のいまのお話はまことに傾聴に値いする御意見でございまして、もっともっと積極的な態度で、政府が出資したものを期限がきたら償還してしまうのだということでなく、じっくり腰を据えてやらなければならぬと、こういう御意見は、私は一つの見方であろうかと存じます。ただその点につきましては、私の前任者の当時だと思いますけれども、いろいろ立法的に議論をしました末に、現在のようにそういう特殊な性格を政府出資分に与えておるのでございまして、ただその場合に、償還と申しましても五年間据え置きまして、そしてさらにその後十年にわたって長期にまあ償還をしていくということでございますので、これが非常に短期に行なわれますと、投資育成会社としてはたいへん困ると思いますけれども、その点は運営上さして支障なくいけるのではないかという配慮で現在のような制度が生まれている次第であります。しかし率直に申しまして、これは今後の運営いかんにかかっている点でもございまして、先般の名古屋の投資育成会社に対します五億円の融資の金利をめぐって、政府内部でいろいろ議論をいたしましたときに、とりあえず四十三年までひとつ七分五厘という金利でやっていこう、四十四年度以降についてはどうするか、そのときにまた実情を検討して新しい方針を協議しようということになっている状況でございます。その際には発足してから相当日がたって実績もはっきりしてまいりますので、場合によれば、いま先生御指摘のような点も含めまして検討する時期があるのではないかというふうに考えております。
  62. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 政府政策としてこういう会社の設立をし、そうしてその中小企業の健全な経営ができるように、上場株にできるところ一まで育成しようということで発足しているのにかかわらず、政府出資が民間の金融機関あるいは地方公共団体の出資金より優先的に引き揚げができるというふうなへっぴりへっびり腰では、私は中小企業対策について本腰を入れているとは考えられない。ですから、この問題は四十三年度ということに政府部内の話はあったかもしれませんですけれども、やはりもう少し政府出資の分については条件を緩和して、少なくとも地方公共団体の出資と同じような条件にしていくくらいの積極さがほしいと思います。これはひとつ大臣にも何してもらいたいのですが、今度いろいろお骨折りの結果、育成会社に貸した政府関係機関の融資の金利が八分四厘になっていたのを今度七分五厘に明日から下げるということ、これは一歩前進です。ところが開発銀行などの金利はもっともっと安いのがあるんじゃないですか、もっと長期で。造船などに対しては、造船はこれは国策としてやったわけですが、これも国策の一つです。その利子補給までやって、長期に、しかも金利は五分くらいにしている融資政府関係機関の中であるわけです。そういうものに振りかえてでも低金利にして会社の運営を楽にさせ、そうしてめんどうをみる、会社の負担もしたがってそれによって安くみてやることができるというようにやってこそ、私はほんとうに政府中小企業対策に本腰を入れておるということが見れるのであって、引き下げ引き下げしてようやく実力大臣のお骨折りで七分五厘に金利が下がった。一方開発銀行などのなにを見ますと、中小企業金融公庫よりももっと長期で、しかもその金利ももっと安いものが政府資金の中にある。財投の金を回しているところでそういう金融機関がある。そういうところにまで金利の点を引き下げていく。それから地方公共団体や金融機関に出資の条件を付しておる程度にまでは少なくとも政府出資の引き揚げ条件というものはやはり緩和していくぐらいの積極さがほしいですね。大臣どうですかね。
  63. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) これは七分五厘、中小企業金融公庫を経由しておるので、ちょっと利ざやをかせいでいるわけですよ、中小企業金融公庫一がね。これはやはり研究して、できるだけ金利は下げていくような方向で検討したらいいと思いますが、ただ、これは議決権がないですから、出資といっても融資みたいな性格のものですね、これは。このものは議決権を持っていないですから。そういう点で民間よりも政府のほうが有利なとは言えない。優先株で配当といったところで、何がしかの配当できるような状態にならなければ配当せよとは言わぬわけですから、非常に政府が有利な条件であるとは思わない。しかし、この四十三年がきたら十カ年ですから、これはまあ政府政策としてやっているのですから、そんなに十年きたからもう引き揚げると、そんなことは、しゃくし定木に考える必要はないと私は思っています。
  64. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 それはお話の点わかりますが、議決権がないのだから、少しは公共団体や民間金融機関よりも条件がよくたってしょうがないじゃないかということですけれども、政府政策としてこの会社の設立を打ち出して、そうしてこれほどやるのだから、お前らも協力せいということで協力さしてきているわけでしょう。それに優先的にこう期限がくれば──引き揚げはされないと思うけれども、引き揚げができるような条件を置いておるということは、これはやはりあまり積極さが見られない。それから中小企業金融公庫からこれは融資しておるから、七分五厘やそこらはそれは要るでしょうし、多少利をかせがぬと金融公庫もめし食えませんから、それはやるでしょうけれども、開発銀行にはもっと安い金利があるのだから、そのほうに振りかえてでも、もっと安い金利でいけるような取り組みというものが私は通産省としては必要じゃないかと、こう思います。重ねて御方針を伺います。  いま一点、そういう条件で出資をしておきながら、通産省はこの三育成会社に対して報告の義務であるとか、あるいはその仕事のやり口について何かとかくこう発言があって、自由奔放に商売をしかねておるというようなことが去年もちょっと問題になったと思うのですが、その後改善をされておりますれば、そういうことについての改善のあとをあわせて御説明をいただきたい。
  65. 山本重信

    政府委員山本重信君) 第一の点でございますが、政府が関与するしかたとして、何か中途はんぱでないかという御指摘の点は、これは私はその当時立法論としていろいろな関与のしかたがある中で、議論の末にこういうことになったのでありまして、お話のように普通の政府出資の場合と若干違うやり方である、やや不徹底な点があるということは、これは認めざるを得ないと思うのであります。問題は、こういうことで発足をいたしておりますので、運営に支障のないようにしていくのにどうしたらいいかということに、われわれ今後一番配慮してまいりたいと思うのでございまして、まず第一に償還の問題でございますけれども、据え置き五年でその後十年という非常に長期でもございますので、それまでの間に会社の運営の実態をよく見まして、実情に合ったような対策をとる余裕は十分にございます。その点はよく考慮してまいりたいと思います。一つには、こういうことになりましたのは、会社の運営をできるだけいわゆる特殊法人でなく民同ベースで創意くふうをこらしてやっていただくということもあったのではないかと思うのであります。経理の面での圧迫を避ける意味で、配当も六分五厘がこれは頭打ちでもございますし、それから、そのときに配当ができなければ元本の償還が済んでから配当を行なうというようなことにもなっておりますので、その点の経理面への圧迫はかなり軽減といいますか、緩和されているというふうに考えていいのではないかと存じます。  それから、なお金利の点でございますが、中小企業金融公庫の全般の金利があしたから八分四厘になるのでございまして、この投資育成会社に対する金利は、実はいままで融資したことがありませんで、今回初めて五億融資することになりました。それを幾らにするかでいろいろ議論しました結果、一般金利よりは優遇して七分二五厘に決定いたしたのでございます。  それから第三に、報告義務その他いろいろややっこしい制限といいますか、監督をしておるという点でございます。これは実は基本的には、私たちは投資育成会社は相当りっぱな方々が経営の責任をとっておられますので、できるだけ自発的に、自主的に運営していただくということを心がけております。したがいまして、たとえばどの企業に投資するかというようなことにつきましては、完全にそれぞれ会社のほうにおまかせいたしまして、政府として口ばしを入れるようなことは一切いたしていないのが実情でございます。なお、書類の提出その他でもし改良すべき点がございますれば、いつでも思い切ってその点は簡素化をしてまいりたいと思っております。
  66. 永岡光治

    ○永岡光治君 いまの中小企業金融公庫、平均して八分四厘に回っておるわけですか。
  67. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) あしたから……。
  68. 永岡光治

    ○永岡光治君 高いね。預金部の資金というものはそんなものじゃないですね。ああいう財源は、おそらく郵政の貯金なり保険の資金から相当積み立てて出ておると思うのだが、郵政への還元というのはそんな高い利子じゃないね、非常に低いですよ。六分五厘ですか。それだけのさやをとっているのはけしからぬと思うな。どうしてそんな金利をとらなければいかぬのですか。
  69. 山本重信

    政府委員山本重信君) 中小企業金融公庫と国民金融公庫、さらに商工組合中央金庫、この三つの金融機関が中小企業金融政府系金融機関としてあるわけでございます。特に三木大臣は、御着任以来この三機関の金利引き下げには非常な御熱意を示されまして、私もしょっちゅうたいへんに督励を受けて努力をしてまいっておるのでございます。実はもともと九分であったわけです。それが非常に高いといえば高かったわけですが、それを昨年の九月にまず三厘引き下げまして、そして何となく三厘下げたから、ほっとするような気分で実は三機関おったのですが、そこをさらにまた大臣の御方針で督励をいたしまして、さらに三厘下げるということにいたしたのであります。それから中小企業金融公庫の場合は、どっちかといいますと、政策的な金融ということで、時と場合によりますと、支店とか出張所も、必ずしも採算の合わないところにも支店、出張所を出すようにというように私たち指導しておりますので、そういう点で片一方において合理化につとめておりますけれども、また経理の面、採算の面を若干はずしてでも、この支店網の拡大をするというようなことをいたしておるのでございます。それから従来の収支の状況から申しますと、実は中小企業金融公庫は、今度の三厘の引き下げをするにあたりましても、実は特に政府から出資をしなくても自力でできるという点で、若干の余裕があるということはこれは申し上げられると思います。ところが、片一方国民金融公庫のほうは、もうぎりぎりのところへまいっておりまして、今度の三厘の引き下げをすることによりまして、四十一年度約八億でしたか、赤字がもう出ることになっております。したがいまして、一方において合理化は極力していく必要がありますが、それにも限度がございますので、金利を下げていくというためには相当巨額の政府出資を注ぎ込んでいく必要があるわけでございます。中小企業公庫のほうもいままでは自力で下げられましたが、今後さらに下げるということになりますと、中小企業公庫のほうにも相当の政府出資をしなければいけないという状態になってまいっております。しかし、どちらにいたしましても、中小企業に対する金利負担というものは相当大きな問題でございますので、今後ともその点につきましては、十分に引き下げ方向に努力をいたすつもりであります。
  70. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはいまお話がありました地方の普及の問題もありまして、相当人件費がかかるというようなお話もあるわけですが、まさに大蔵省が高利貸しを政府資金でやっているというような気を強くするのですが、おそらく郵政の還元はいま六分五厘くらいだったと思う。ずっと昔金利が上がってから六分五厘くらいだったと思いますが、全国的にあのくらいたくさんの窓口を持っておりますから、大蔵省はやめて、郵便局融資にしたほうが人件費が助かる。もっとこれは再検討する必要があると思う。ほんとうに九分なんというのは高利貸しですよ。中小企業としたら大へんだと思うのですよ。再検討しなければいかぬと思うのですが、いずれにしても、金利をもう少し大幅に下げるように大臣一段と努力してもらわなければいかぬと思う。元が安いのだから。
  71. 山本重信

    政府委員山本重信君) よく開発銀行と私たち比較しながら、開発銀行が下げた場合には、政策的な観点から中小企業向けの金利を下げなければならぬといっているのですが、実は開銀の逆用はかなり中小企業関係金融機関に比べると楽でございまして、まず第一に過去において政府出資が相当入っておることと、それから貸し付けをします対象が大きくて限られておりますから、あまり手間ひまをかけないで貸し出すので、そのコストは安いわけです。それに比べますと、中小企業金融公庫の場合はおそらく全国で八万件くらいが対象になっております。国民金融公庫の場合は八十万件くらいの金融対象になっております。非常にコストが高くかかるようになっております。これは実情をただ申し上げるだけでありまして、引き下げの努力をする積極的な意欲については仰せのとおりでございます。今後努力するつもりでおります。
  72. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 開発銀行が体制金融で例の石油化学、それから特殊鋼などに三十八年度以来出しておりますね。あの金利は一体なんぼ取っているのですかね。
  73. 山本重信

    政府委員山本重信君) おそらく、私の感じでは基準金利で、基準金利はいま中小企業公印と同じでございますので、ことしの一月から八分四厘になっております。ちょっとその点はっきりいたしませんので調べて……。
  74. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私もいま資料を持っているわけじゃありませんからなんですが、相当比較にならぬような長期で、金利も据え置きがたしか五年なり十年なり開発銀行にはあって、二十年とか二十五年とかで返すようになっている。大きい企業にだけ出すのでしょうが、金利も八分四厘なんというような金利は取っていないと私は思っている。これは豊田さんなんかよく御存じだろうと思うが、それだけ取っていないのではないか。きょうも新聞で見ますと、ある自動車の会社は二百二十億、ある会社は百五十億からのちゃんと利益をこう計上しておる。そういうところへまた四十億じゃ四十五億じゃといって開発銀行の金を貸そうとしておるわけです。そういう何かあるわけですからね。これは政策としてこういう中小企業投資育成会社というふうなものを政府としてもつくられたの、だから、何か安い金利で貸せるということは、救済を受ける中小企業の負担が軽くなるということに通ずるわけですからね。中小企業公庫の金じゃないと使えぬということになっておるわけでもないのです。そういう点をひとつもう少しお考えいただいたらどうかという気がしますが、国民金融公庫中小企業公庫、それからもう一つ商工中金とありますが、これは大臣、中小企業関係の金利をもう少し全体として、政府として下げてもらうようにお話し合いをこれは抜本的にしてもらわなければいかぬように思うのですが、いまそんならそうしょうというお返事をいますぐに聞くことはできぬと思いますけれども、御方針だけはひとつ示してもらいたいと思いますがね。
  75. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私は中小企業の金利は、これは資金の貸し出し先も非常に多いし、信用の程度も弱いし、いろいろそういう面から文句があるでしょうが、しかし、考えようによったら中小企業の金利というものは政府機関がやるのですから、営利事業ではないわけです。そういう点で中小企業の金利はいろいろこう資金のコストといいますか、それからいったら文句はあるにしても、大企業より、安くていいというのが私の意見なんです。そういうことで、ずいぶんまあ皆さんは簡単に高い高いというけれども、これが九月にやってまた四月にやったということは、この予算折衝でもこれが一番最後に残ったのです、金利の問題が。なかなかこの問題は続けざまに六厘下げるわけですから、そういうことで、しかしこれで満足はしていないので、やはり中小企業の金利というものは、一般のこの相互銀行とかいろんなものはこれは別として、やはり政府金融機関の金利というものは、やはりだんだんともっと下げていかなければならぬということで、一ぺんに椿さんの御満足できるようには参りませんけれども、これはやっておるのですよ。九月、四月とひんぱんに金利を下げておる。今後とも努力をいたしたいと考えております。
  76. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は具体的に二つだけ質問しますが、まず中小企業近代化資金助成法、今度追加となりますやつを具体的に聞くのですが、設備ですね、貸し付け対象になる事業の共同化に著しく寄与する設備、この中で質問があったと思うのですけれども、たとえば集会所など加えるのかどうか、具体的にこれは教えてもらいたいと思うのです。
  77. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回高度化資金対象としまして、いわゆる共有機械といっておりますが、組合の一部の者が利用する機械、従来の組合員全部が使うものは共同施設として対象になっておりますけれども、そうでなく、一部の組合員が共同で利用するものを対象にすることにしたわけでございまして、具体的な一つの例を申し上げますと、たとえば工場団地で、隣合わせの工場のまん中にクレーンを一つ置きまして、そしてその両方の工場が共通で使う。必ずしも組合員全部が使うものではない。そういうものは従来は組合共同施設とはいえませんし、対象にならなかったのですが、それを今回やることにしたのでございます。  それからついでで恐縮でございますが、先ほどお話ございました体制金融は、開発銀行のほうも基準金利によっておりまして、八分四厘でございます。
  78. 小柳勇

    ○小柳勇君 クレーンはわかりましたが、具体的に幾つくらい今度考えておられるのですか。
  79. 山本重信

    政府委員山本重信君) ただいまお話のございました二以上の組合員が共同で使用することが効果的な設備というので、これはいろいろな機械が考えられますが、先ほど申し上げました起重機のほかにボイラー、それから集塵装置とそれから超音波の加工機で、必ずしも全部の者が使わない、一部の者が使う。それから静電塗装の装置等々でございます。一企業当たり一千万円程度を限度として考えております。
  80. 小柳勇

    ○小柳勇君 何ですか、最後のほう。
  81. 山本重信

    政府委員山本重信君) 一企業当たり一千万円。
  82. 小柳勇

    ○小柳勇君 一企業と申しますのは、一つの工場集団がございますね、その集団に対して一千万円ですか。
  83. 山本重信

    政府委員山本重信君) これは一つの標準的な考え方でございますが、一団地にたとえば三十企業入るといたしますと、その一企業当たり四台、先ほど企業当たり一千万円と申しましたが、一台が二百五十万円くらのものを考えますと、四台で一千万円であります。一企業当たり四台で一千万円、その団地に入っております企業が三十企業あるといたしますと三億ですか、その程度一つの標準として考えております。
  84. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうすると、これはその機械だけで、設備たとえば集会所とか事務所は、事務所は近藤委員が前に聞いたらしいのですが、集会所などは入らないのですか、施設として。
  85. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回のこの共有機械の対象としては、いわゆる機械設備に限定をいたしておりますので、集会所等はこの対象には入りません。ただし、組合全部の者が使う共同施設というものがほかに従来からございますので、その中にそういうものは入り得るわけでございます。
  86. 小柳勇

    ○小柳勇君 たとえば組合員の、工場でありますと作業服などよごれますから、洗濯機械などを共同で使用したいというような場合には適用できますか。
  87. 山本重信

    政府委員山本重信君) いまお話のようなのは、ちょうど工場団地の中の共同施設になるわけでございますから、今度の新しい制度でなくて、従来の制度でその対象に取り上げ得るようになっております。
  88. 小柳勇

    ○小柳勇君 具体的にもう少し、問題が起こりましたら教えてください。  第二の問題は、中小企業設備貸与事業、貸与機関ですね、このことで具体的に質問いたしますが、中小企業貸与事業を行ない、貸与機関は云々とありまして、公益法人であって、「地方公共団体により出資又は拠出されていること。」と書いてございますね、第十五条に。これで、出資割合とか役員の構想など、何か具体的に法律の中に構想があるわけですか。
  89. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回機械貸与制度の実施主体といたしまして、公益法人というものを考えたのであります。これは機械貸与という制度の性質からいいまして、県自体が県の予算で、たとえば特別会計等をつくって運営をいたしますと、貸与するために調達する機械が県有財産になったりいたしまして、その管理等の手数がたいへんに繁雑になりますので、これを別働隊にしようということで、県が全額出資する公益法人をつくってもらうということでございます。ある意味からいいますと、県の別働隊というような感じでございますので、ほかからの出資は期待いたしてないわけでございます。
  90. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは、中央は直接中小企業庁がその総元締めになりますか、または別に各県の公益法人をまとめた中央機関というのができるのですか。
  91. 山本重信

    政府委員山本重信君) 中央は中小企業庁がすべての仕事をいたすつもりでございまして、特にその公益法人をまとめたような特別な機関をつくる考えはございません。
  92. 小柳勇

    ○小柳勇君 この公益法人の役員などは、県独自で選定してよろしいということでございますか。
  93. 山本重信

    政府委員山本重信君) これは全く県の自主的な運営にまかせるつもりでおります。
  94. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後ですけれども、中小企業構造改善事業助成の中で、所得税または法人税の特例を設けると書いてございますが、具体的に何かありましたら教えていただきたい。
  95. 山本重信

    政府委員山本重信君) 今回の構造改善準備金制度の創設によりまして、組合共同施設を将来つくるため、または自主的に転廃業をする人に転廃業資金を給付する、そのための積み立てをいたします場合に、税法上の特典を与えようというのがこの趣旨でございます。若干具体的に申し上げますと、従来の税制のもとにおきましては、組合員が組合に対して賦課金を納めますと、その部分はその組合にとっては利益となりまして、税金がいわゆる組合に対する二六%の税率がかかるのでございますが、そういうやり方ではなかなか積み立てしにくいので、今回の特例によりまして、それは損金として算入をします。税金はかけない。ただしその準備金の勘定を取りくずす場合に税金をかける。まあ一種の税金の猶予でございます。免税ではございませんが、それによって積み立てしやすくなることをねらっております。それから準備金の取りくずしの場合でございましても若干の特典を考えておりまして、一つは、共同施設を取得します場合に、その施設の償却につきまして、三分の一の特別償却をできるようにいたしております。建物につきましては十分の一、それからその準備金の取りくずしが転廃業資金であります場合には、これはいわゆる必要経費になりますので、取りくずしましても組合には課税は行なわれないという仕組みでございます。
  96. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。終わります。
  97. 近藤信一

    近藤信一君 小柳委員の質問で、投資育成会社法から若干はずれておりますので、再び投資育成会社法について、あと二問ほどお尋ねしたいと思うのですが、投資育成卒業を行なっていく上におきまして、中小企業の同族性ということが非常に障害になっているのではないかというふうにも考えられるわけなんでございますが、今後育成会社は、どのような態度で事業を行なっていったらいいか、この点はいかがですか。
  98. 山本重信

    政府委員山本重信君) 中小企業の同族性ということは、実は中小企業近代化推進にとりましては、かなり重要視して考えなければならない問題であろうかと思います。同族性というものの非常によい面もあるのでございますけれども、中小企業が近代的な経営をしていく、安定性を増していくというためには、ある面でこの同族性というものを卒業して、新しい経営体制に入っていくことが必要であるように考えます。そういう点で、今後もこの同族性を脱却して近代的な経営に移っていくための指導その他に力を入れてまいりたいと考えております。それから特に投資育成会社の対象になりますような場合は、将来その株式を株式市場に上場するということが一つのねらいでもございますので、一そうこの同族性からの脱却、卒業ということが重要でございます。そういう点について十分に指導をしてまいりたいと考えております。
  99. 近藤信一

    近藤信一君 昨年秋、非上場会社株式の新規上場再開にあたりまして、東京、大阪の各証券取引所とも、これは理事会決議をもって、新規上場にあたっては、当分の間三億円、名古屋は二億円以下の会社は取り扱わない、こういうふうにされたわけでございますが、これによって投資事業にどのような影響を与えるのか、これによって、また投資育成資金量を増大しなければならぬことになると思いますが、政府といたしましては、これに対してどのように対処していかれるというのであるか、この点お尋ねしておきます。
  100. 山本重信

    政府委員山本重信君) 投資育成会社の活動は、ただいまも申し上げましたように、中小企業の株式を上場する橋渡しをしようというところにねらいがあるのでございまして、今回上場審査基準改正ではございませんけれども、暫定的に引き上げられた次第でございまして二、これは当然投資育成会社の活動に非常に大きな影響を与えるものと見ております。まず第一に、投資育成会社が株式を保有する期間が相当長くなると思いますし、また上場可能な企業が若干減るおそれもございます。そういう点で、上場審査基準がほんとうに変更になりました場合には、現在の運営について格段の配慮をする必要があろうと存じております。ただいまのところはとりあえずの暫定の引き上げでございますので、いましばらく様子を見て、さらに本格的な対策考える必要があろうかと存じております。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 最後に、大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思うのですが、昨日来、中小企業三法に対しましていろいろと審議をしてまいりました。そこで、今回の三法の改正におきましては、中には画期的な改正もございまして、中小企業、特に零細企業としては、この法の改正によって非常に大きな期待を持っておるのではないかというふうにも考えるわけです。さらに、昨日からの質問の中で、長官にも私御質問を申し上げ、長官としての態度もお聞きしてまいったわけでございまするが、中小企業が一番困るというのは資金の面でたいへん困る。特に金融面は、中小企業三行といわれておりまするところの国民金融公庫中小企業公庫、さらに商工中金と、こうございまして、これに依存する点も大きいと思うのであります。ところが、通産省とこうした中小企業三行との連絡というものが従来緊密になされていない、やはり連絡が若干欠けておる点があろうかと思うのです。それがためにせっかく通産省で団地計画をされて団地の発足に当たった、ところが事業をやっていく上において若干資金の面で行き詰まりという点も出てくるわけなんであります。こういうときに、やはり商工中金なり中小企業公庫に行きましても、まあ最初はいろいろと言うでございましょうけれども、せんじ詰めてまいりますると、やはりそれらの公庫といたしましても独立した公庫でございまするから、何もわれわれは政府に全面的に見てもらっておるわけじゃないんだと、その中の一部分、だけ政府に依存しておるだけでございまするから、何も政府の言うことを御無理ごもっともで聞いていく必要はないんだといういうこともしばしばあるわけなんで、やはりこういう面においては、将来この中小企業三行と通産省とは定期的に連絡会議というふうなものを持って、金融の面に対していろいろ善処方を話し合っていく、こういうことも私は大切なことでなかろうかというふうにも考えますし、今度の改正の中で特に工場貸与制度、機械貸与制度、こういうものについては、私は零細企業としては非常に大きな期待を持っておることは、私もこれを肯定するわけでございます。こういう大きな改正で、また画期的な改正だともいわれておりまするから、ただ改正されて、あなたのほうがこれでまあ中小企業の諸君の期待にこたえたんだと、こういうことでは私はいけないと思うのです。やはり法改正して期待を持たれておる法律でございまするから、今後これをどのようにあなたのほうで指導育成していくか、また相談に乗っていくか、これが私は中小企業将来の事業の上においても重要なことであろうかと思います。したがいまして、今後法が改正されたというだけであなたのほうは手をこまねいておるんでなくして、これらの指導育成については十分に善処方をしていただく、こういうことでなければ、せっかく法を改正いたしましても、これは何もならぬということに終わるわけでございまするから、それらの点について、大臣から最後に御所見を承っておきまして、私の質問を終わります。
  102. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) いま近藤さんの御指摘になりましたことは、いずれもごもっともなことで、三金融機関のこれは独立して経営されることはいいですけれども、しかし財投にしても出資にしても、これは政府との密接な関係のもとにある金融機関でありますから、今後連絡を十分にいたしますために連絡会議を設けまして、そしてこの新しい政策の実施に対して通産省と金融機関とが緊密な連絡をとれるような機運をつくることにいたします。それといろんな新しい制度が、制度だけを生んで予算をつけたということでは意味がないので、これを実際に中小企業に対してこういう政策というものを実施して、どういうふうにこれがうまくいっておるかというアフターケアの問題というものは、実際大事な面だと思います。こういう点で今後とも、ただ新しい制度を生みつ。はなしというのでなくして、これを実際に中小企業に喜ばれるような施策といたしますように、十分な注意を払っていきたいと思います。
  103. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより一案の討論に入ります。討論は三案を一括して行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、三案の討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます  それでは、これより三案の採決に入ります。  まず、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  106. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 全会一致と秘めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべもきのと決定いたしました。  次に、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を問題に供します、本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  107. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  108. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ若あり〕
  109. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会