運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-30 第51回国会 参議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十日(水曜日)    午後一時二十三分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 大谷藤之助君                 岸田 幸雄君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 吉武 恵市君                 小柳  勇君                 永岡 光治君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        公正取引委員会        委員長      北島 武雄君        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省重工        業局長      川出 千速君        中小企業庁長官  山本 重信君        中小企業庁次長  影山 衛司君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会におきまして協議いたしました事項について御報告いたします。  本日は、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案中小企業関係三法案の審議を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。     ―――――――――――――
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) まず、衆議院送付私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  前回をもちまして、質疑は終局いたしておりますので、これより直ちに本案討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより本案採決に入ります。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  5. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。     ―――――――――――――
  7. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、衆議院送付機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回をもちまして、質疑は終局いたしておりますので、これより直ちに本案討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認めます。  それではこれより本案採決に入ります。  機械類賦払信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  9. 村上春藏

    委量長村上春藏君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  11. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、以上衆議院送付の三案を一括して議題といたします。  先般、提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日は、これより直ちに質疑に入ります。三案に対して質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 ただいま提案されましたところの法律案でございますが、本来ならば、大臣にずっといていただいて御答弁を願いたいと思いまするけれども、予算分科会等大臣非常にお忙しいようでございまするから、まず最初大臣に対する質問だけをいたしまして、残余の問題、質問につきましては、中小企業庁または政務次官に対して御質問することにいたします。  この三案を一括して質問するわけでございますが、まず最初に、近代化促進法の問題について若干お尋ねをしたいと思います。近代化促進法では、業種別近代化計画というものを立てて、そしてこれを円滑に実施しよう、こういうものでありまするが、私どもの心配しているのは、その業種近代化して生産過剰になることはないかどうか、こういうことが心配一つになるわけでございます。さらに近代化計画の内容については中小企業白書にも出ておりますが、生産性向上、また設備近代化等が大きく出ているわけなんで、そのように能率的な生産になると、先ほど申しましたように、生産過剰になるという面が大きく出てくるのではないか、こういうことが非常に心配になるわけでございます。これは過去の経験及びまた将来の展望、こういうことについて大臣のひとつ所見をお聞かせを願いたいと思います。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり近代化計画を立てるときには、需要ともにらみ合わせて生産過剰におちいらないような配慮が要る。それと同時に、やはり需要開拓の面という点で、輸出などに対しても、これは中小企業輸出という面においても、国内需要だけでなしに、やはりそういう輸出もあわせて需要拡大努力をしながら、なおかつ、むやみに近代化ということで生産過剰におちいれば、元も子もなくなるわけですから、そういう場合には計画を立てる場合に長期的な需要の見通しというものも勘案した近代化計画でなくてはならぬ、そういう指導を行ないたいと思っております。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、やはり近代化設備というたてまえからいきますると、いま大臣が言われましたようなことになりまするし、またどうしても近代化するという前提は、これは生産を上げるということでございまするから、どうしても生産過剰になってくる。生産過剰になると、そこでまた過当競争なんということが起こってくる。また不況カルテルをやらなければならぬ。こういうことになると、これはせっかく近代化しても何にもならぬ。こういうことにもなろうかと思いまするから、その点将来広い面でこれはお考えになってやっていただかなければならぬのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 全く近藤さんの言われるとおりだと思います。そうしないと、近代化といっても生産過剰になって、それで結果として不況を招くということでは意味はないのですから、そういう点については、生産過剰におちいらないような近代化計画の場合における配慮というものは十分にいたさなければならぬと考えております。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 やはり近代化をやりますると、これは生産性向上ということにもなってまいります。ただ生産が上がればいいというものじゃないと思うのです。そこで、生産が上がってきた場合に、その生産に対する需要開拓というものをどう考えていくか。それからまた、それと相待って輸出の面についてもこれは努力していかなければならぬじゃないかというふうに思うのですが、この点のお考えはいかがですか。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは言われるとおり、国内需要喚起という点については、これはできる限り中小企業というものが、今度官公需の場合でもいろいろ検討を加えております。そういうふうな需要確保できるものはやはり中小企業分野における需要確保努力する。しかし、根本においては、ただ量だけでなしに、中小企業の製品が質的によくなっていくということがやはり需要喚起基礎になってくると思う。その上に立って、中小企業というものが大企業にいろいろな分野において荒らされることのないように、需要確保ができるような道をできるだけ講じていかなければならぬ。ことに輸出の面については、中小企業の場合は、海外の調査あるいは宣伝、販路の拡張、いろんな点で大企業のようなわけにはいきませんから、ジェトロというような機関中小企業というものに重点を置いて、そうして輸出の増進というものをはかっていくような努力をいたさなければならぬ。そうして情報を提供して中小企業輸出が増進できるような方向に持っていくようにいたしたいと考えております。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 輸出振興に対しましては、大企業相当努力し、寄与しておられる点が多いと思うのですが、特に現在中小企業輸出振興に対して寄与している面は相当大きなものがあるのじゃないかと思うのです。ややもすると、中小企業輸出に対する規制というものがいろいろな面であるというふうに私聞いておるのであります。しかし、それにもかかわらず、この輸出振興に対しましては、中小企業というものは非常に努力して、そのウエートというものも非常に大きい。やはり私は今後中小企業輸出に対してはできるだけの助成といいますか、指導といいますか、そういうことをもう少し通産省としても、大企業はもう指導しなくてもやっていけるのだから、中小企業に対しては、やはりそういう点は指導面でうまくやってやらないと、一つ間違うとこれがだめになる、こういうことが出てくるのではないかというふうに私は思うのですが、そういう点についての大臣の御所見を承っておきたい。
  19. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ輸出に限らず、通産省行政の中で、大企業というものはやっぱり自分でいろいろな知識も持っておれば、実力もあるわけですから、できるだけ政府は大企業がますます発展できるようなそういう前提条件を整備するために努力していく。それからやっぱり政治が関与しなければならぬのは中小企業分野だと思う。貿易の面においてもジェトロのような機関、ああいう機関というものが、中小企業に対しての貿易拡大サービス機関中心機関であるという自覚に徹する、そうしてやっていく。従来からそういう中小企業ウエートがあるわけですけれども、ジェトロは一段と中小企業輸出振興に対する中心機関である、こういうことで中小企業との関連性を深めていくことに努力をいたしてまいりたいと思います。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 近代化業極の中には、相当商工組合による調整事業をやっているものがあります。そういう業種については、現在の生産設備が過剰になっていて整理統合ということが必要になってきているというふうに私は考えるのですが、この点はどうですか。
  21. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ実際問題として、業種によれば整理統合というものは必要が起こってくると思います。だから、今度の場合、繊維の場合でもああいう転廃業資金というようなものを今度の予算にも計上したわけですが、そのほかにもそういうふうな事態の変化に応じて方向転換をしなければならぬ業種もできてくるでしょうから、やはり今後は、たとえば繊維なら繊維というある業種ごとにそういうふうな計画を立てて、そうして必要があれば転廃業に対しても指導を行なうというようなきめのこまかい行政というものがこれから必要になってくるのではないか。ただ大上段に転廃業、こういうふうに転廃業対策といっても戦時中のようなことをやるわけにもいきませんので、やはりそういう必要があるものに対しては地方の総合指導所のようなああいう指導機関を強化しようというのですから、それが相談相手になってやってあげる、あるいは業種ごと構造改革などが行なわれてきて、その結果として転廃業というものが出てくるものに対しては、その対策というものを十分に考えていく。まあ一律に伝廃業の旗を立ててやるというわけにはいきますまいが、またその必要もないわけであります。そういう業種ごとにそういう配慮が要るということは近藤さんのお考えと私も同じに考えております。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 いま大臣の御答弁の中で、繊維転廃業の問題に触れられたわけですが、政府政策というものを私ども見ておりますると、やはり整理統合というものが自然に行なわれることをあなたのほうは願っておるようにも思われるわけなんです。そういたしますると、たとえば優等生だけが生き残って、中小企業生産性全体としては向上するかもわかりません。しかし、優等生対策ということは、この三法のうちの投資育成会社法を見ましても、これを明らかだと私は思うのです。助成法でも、事実上は優等生だけが恩典に浴せるというふうにできておるようにも思われますし、近促法にしても、近促法で対象にする業種というものはどちらかといえばいいほうの、優等生業種が多い。こういうことになってまいりますると、やはり衰退産業はあまりにも均てんされていないのじゃないか。こういうふうにもまた思われますし、中小企業庁としても、また優等生だけの政策ということでやっていかれるというふうには私考えませんけれども、ややもすると、そういうふうな批判を受けるような結果にもなろうかと思うのであります。この点についていかがですか。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり私は優等生教育も必要だと思うのです。これは優等生がたくさん出ていくということも必要なんで、劣等生ばかりの中小企業というのは困りますから、なるべく優等生をふやしていくという、そういう政策というものも実際問題として必要である。しかしそういう中堅企業というものを育成すると同時に、零細企業に対する配慮というものは、特に御指摘のとおり必要なんで、そういう点ではかなり機械類貸与制度であるとか、工場の貸与制度であるとか、無担保、無保証の融資であるとか、いろいろな点で相当政府も気を配っておるわけですが、しかし何としても、私はこれから必要なことは、中小企業指導といいますか、相談相手になってあげるような、今度の全国的な規模ではないにしても、総合指導所のようなああいう組織というものがもっとこう整備されて、そして相当そこに働く人たちが、よい助言を与えられるようなスタッフを持って、そして零細な企業人たちに対して、皆が転廃業という必要もないわけで、協業もしなければならぬし、協業の面もあろうし、あるいはまたいまやっている分野を変更して違った分野にもいくであろうし、よい相談相手というものが要るのですね。だから中小企業対策は、一方において近代化なんかを促進していくと同時に、一方においては指導相談機関というものを整備していくということがこれから特に必要なんではないか。そうでないと、中小企業のやっぱり零細企業といわれる人たちは、東京に出てきてどうというのでもないわけですから、現地におって、いろんな相談にのってあげて、またこっちからも出向いて行って、積極的にこういうふうにしたらどうだというような面が零細企業対策の中には欠くべからざるものではないか。いろんな制度をつくっても、それとなじまないで、結びつく場合もあると思うのです、零細企業は。今度のボランタリ・チェーンなんかも、あんなのはできるだけ小売り商人たちがああいう組織の中に入っていって、そうして合理化すれば、小売り商というもののいまの不安定な基礎もやっぱり固まっていく一つ政策になっていくのではないか。そういうことを相談にのってあげるということが、これはやはり近代化と同じように、そういう柱は今後拡充していかなければならぬものだと考えております。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 優等生をよけいたくさんつくるということに対しては、私も賛成なんだけれども、それがためにいわゆる落第がふえてはこれは困ると思うのです。いまの学校教育もこれは戦前と違いまして、全体を引き上げていく教育というのがいまの教育方法でございます。それと同じように、やはり企業優等生になりたいといって努力をしておられる、中小企業努力をしておる。しかしどうやっても優等生になれないという業者業種もあると思います。それに転廃をせいと言っても、なかなか自分の長年やってまいりましたところの企業に対しては執着があるわけです。なかなか転廃もできない。そのうちに落第してしまう。こういうふうな結果が出てくるんで、いま大臣も言っておられましたように、それをどう指導していくかということが、私は非常にむつかしい問題であろうと思うのであります。そのために中小企業庁としても努力をしておられるわけでありますけれども、そうした努力をしておられるにもかかわらず、昨年から今年にかけての倒産の現象を見ますると、やはり零細企業に、だんだんと下のほうに下のほうにときておる傾向というものはあるわけなんです。その中でどうしてこの優等生を多くつくっていくか、これが私は問題であろうと思うので、そのためにいろいろとこの法律改正などもやって努力をしていられるわけでございまするけれども、やはりそういう点大臣はいま御答弁がございましたけれども、もう一度ですね、そういう努力をしながらも落第しなければならぬというこういうものに対して、ただ転廃業だけ押しつけるだけでは、これは解決はしないと私は思うので、この点はいかがですか。
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまも申し上げましたように、そういう零細な企業に対しては、指導の面というものが特に大事である。なかなか中小企業人たちがんこな面もあるのですから、やはり時代の変化に応じて改革していこうという点が、なかなか従来のしきたりをずっと守っていこうという非常に保守的な面もありますから、それはやはり現地指導というものが、総合指導所なんかできた場合に、その指導に当たる人たちというものが非常に大事になってくるんですね。そういう人たちの待遇などもよくして、いい人がやはり指導に当たられるようにして、そうしてそういう人たち相談に乗ってあげるということでないと、転廃業といっても、一律に零細な企業転廃業させていくんだというような方針というものは立てられるものではないので、またその必要もないわけです。そういうことですから、やはり中小企業のよい相談相手になる、そういう相談指導というものの機能を強化しないと、なかなか中小企業対策というものが、零細企業の末端まで浸透しにくいんではないか、いろいろな案をつくっても。そういう点で今後総合的に一元化した相当強力な指導センターのようなものをつくろうという考え方を、これを拡充強化していくということが実際的ではないか、こう考えておるんです。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 いま大臣の御答弁の中で、総合指導所の構想を述べられたわけですが、ことしは約十カ所ほどやろうということですが、来年はこれは一体どれくらい設置されるようなお見込みがあるのか、やはり今年の経過を見て来年もう一ぺんやろうと、こういうふうなお考えであるのかどうか、この点どうですか。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ三年で全国というのは、三年間の間に全国にみな置こうというのが計画ですが、うんとこれを計画を早める必要があれば、三年をもっと短縮してもいいですが、最初考えた案というものは、三年間に全国の各都道府県に総合指導所を置きたいというのが、最初計画でございます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 いま大臣から詳しく御答弁がございましたけれども、先ほど私申し上げましたように、優等生になりたいという業者努力をしておられるわけでございまするけれども、この優等生になれない業種それから業者、こういうものは中小企業白書にこれは転廃業が必要だというふうにも述べてあるわけなんです。そのものは一体どういうふうに転廃業するかというととの指示はしていない。近代職種業種の中の企業にとっても、これはいろいろと必要なことでもあろうかと思うのです。この点大臣の御所見はいかがですか。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 小規模共済事業団ですか、こういう制度もあるし、それから構造改善準備金というのも今年から置くことにした。こういうのが一つ転廃業などの対策とも結びつくことになるわけであります。これはいよいよというときにこういう制度もあるということで、それまでにいくまでの間というものが実際は大事だと思うのです。それで私は相談相手みたいな機関というものを強化する必要があるなという感じを非常に持っておるわけです。いざというときには、いまのような制度も設けてあるということでございます。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 もう時間がないようですから、もう一つだけ転廃業に関連して、小規模共済のことについてお尋ねしておきたいと思うのですが、転廃業対策一つといたしまして、先年制定された小規模企業共済法は、小規模業者掛け金をかけて転業や廃業のときに共済金を受け取る、こういう仕組みになっておるわけですが、掛け金の額に比較して共済金の額というものが非常に少ないじゃないかというふうにも思うわけなんです。転廃業のときの資金、また老後の生活安定の資金として共済金がもらえる制度は、これは決して悪くないと私は思うのです。そういう点から考えまするならば、自分掛け金をしていたお金に利息をつけて、そして共済金というものがもらえるが、これは自発的に定期預金でもしていたほうがよいというふうな結果になってきても、これは制度自身から考えるとよくないと思うので、この共済事業団に補助して、そして掛け金に比べて少し分のよい共済金を支払えるような方法、こういうことが考えられないかどうか。私といたしましては、小規模企業の円滑な転廃ということを進めて、そして小規模企業過当競争というものを防いでいこう、こういうふうにも考えていきますと、根本的にはこれは社会保障がりっぱにできていることが必要だというふうにもまた考えられるわけでございますが、小規模共済法について改正をする必要があるんじゃないかと私は思うのですが、あなたのほうといたしましては、これの改正について何かお考えを持っていらっしゃるのか、また当面現在の共済法でいいから改正する必要はないと、こういうふうにお考えになっておられるのか、この点はいかがですか。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 去年の十二月から発足したものですから、ちょうど年末にもかかって、こういう制度が浸透しなかったという点もあるのですが、近藤さんの言われるように、掛け金に対して給付金が少な過ぎると私も思う。近い将来に、これはいまここで改正案を出すと言うこともできませんが、近い将来にこれは改正をしたいと思っております。少しやはり掛け金給付金とが、あまり給付金が少な過ぎる、こういう同じような考えを持っています。近い将来にこれは改革をいたします。
  32. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 大臣一つお伺いいたします。いまの関連でございますが、中小企業白書を見てみますと、その中に昭和三十五年から昭和三十八年の間に三十三万六千という事業所がふえておるのでございます。その問の倒産件数は千ないし千二百くらいでございますから、著しく小さい業者がふえておるわけです。それはわが国の中小企業は御承知のとおりに過小で過多で、しかも過当競争をするということが構造上の非常な隘路、欠点になっておるわけでございますが、そのできるときの成立過程においては、営業自由の原則でやらしておいて、あと始末を中小企業庁がしていくというようになったのでは、これはもう幾らやってもやれないわけです。したがって、大臣考えられて総合指導所というものを置かれるということでございましょうが、少なくともそれは法律によらないで行政指導によって新しく業を始める中小企業は、もよりの市町村なりあるいは通産局なり、あるいは総合指導所なりに必ず一度行って、自分の始める事業体と実態とが合っているかどうかということを相談をしてからでも始めるようにして、何とか総合指導所全国的に普及されてできるまでの問でも措置をとらなければ、さいの河原ということばが当てはまるかどうかわかりませんが、非常な御苦心が残るのじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御指摘のように、これは営業は自由ですから、次々に小規模ないろいろな工業、商業の面にも新しいやはり中小企業がふえてくるわけです。しかし、これを登録制みたいなことも実際はできんでしょうから、いま御指摘のように、総合指導所ができますれば、普及室みたいなものをつくりまして、そうしてもっときめのこまかい相談相手になって、自分がやってみてもうまくいかないときには目的と違うわけですから、そういう行政指導を通じて成算のない事業所がむやみにふえるようなことは何か相談に乗ってあげるようなことができれば実際的ではないか、こう考えますので、総合指導所でそういうことも相談に乗れるような機能が発揮できるようにいたすことも非常にいいことだと思います。
  34. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 もう一つ、四月号の中小企業ジャーナルにも、せんだってのテレビの放送でも、通産大臣は、これからの中小企業の振興対策については太い線で臨まねばならぬということを非常に言われるわけです。結局いまの中小企業は軟廃業による資金のあっせんをするか、あるいは税の上で合併促進なりあるいは減免措置をするか、あるいは繊維産業のように除却処分に金を出してやるとかというようなこともありましょうが、このままの事態ではカルテルに逃げ込まして、そこで微温的に社会保障的な考えを加えながら、産業助長なり息をつないでやらにやならぬというような事態が見えるのでございます。そういう点について、新しい対策を立てて中小企業一つのビジョンとして太い線で臨むという大臣の構想の一端をお漏らし願いたいと思います。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 太い線というのは、これは諸外国に比べてみても、中小企業対策というのは日本はやっているんですね。もう何でも外国でこういう制度があると言えば、いい制度は取り入れて、こんなにきめこまかくやっている国は私はないと思う。ほんとうにいろいろなことがあるわけです。しかし、惜しむらくは中途はんぱである。それはやっておるけれども中途はんぱで、もう少しやはりこれから太い線というのは、これはいいというものに対しては中途はんぱでなしに、思い切ってやったらどうか、それは近代化中心とした生産性を高めるための中小企業自体の体質の改善、それからまた金融と税制がある。金融でも金利なんかもあれは次々に金利を下げたけれども、やはり中小企業は大企業よりも安い金利でいいと私は思っているくらいだ。それから今度も減税は全部計算すると、中小企業の減税は七百億くらいで、いままでにない減税なんですね。これもやはり最近では中小企業に七百億円の減税というようなことはいままでないんじゃないでしょうか。皆には中小企業に対してそんな非常に重点を置いた減税だというふうには受け取られておりません。だから減税というものに対しても、もっとやっぱり端的に中小企業というものはこれだけの減税を受けて、しっかりしなければならぬというような、減税についても減税の額と同時にやり方についても検討すべきものが要ると思う。それからもう一つ組織化という問題がある、どうしても弱いですからね。だから、できるだけいろいろな形の組織化が必要だ、とにかく一人では弱いのだから、組織化を通じてお互いに協業という面もあるでしょうし、あるいは地位の確保をしていく。下請の場合などは一人じゃ弱いですから、やっぱり組織を通じて大企業に対しても対等にものが言えるように、こういう組織化、協業とか、中小企業の地位の確保のための組織化ということ。もう一つはやっぱり中小企業に対する相談指導、こういう機関を整備していく。この四つ、体質改善と税制、金融の面と、組織化と、それといま言ったような指導の面、これをもう少し太い線で、中小企業対策というものを中途はんぱでなしに押し進めてはいけないか。そうすれば、中小企業者というものは大企業のように時代の変化に対する適応性というものが鋭敏でないですから、太い線が出てきて、相呼応して中小企業もこれで自分の地位を高めていこうということになることが、まあ必要なのではないかということが太い線、これが太い線と私が言う頭にある考えでございます。
  36. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 これは非常に自分の身近かなことになっておりますし、今日の大問題で、今日大臣にお伺いすることが適当かどうかは考えたのでございますが、お目にかかる機会がございませんのでお聞きしますが、中共貿易と見本市の問題でございます。これは御承知のとおりに昭和四十年は往復四億八千万ドルくらいの貿易をやったのでございますが、このさなかにおきまして、現在入国問題等が出て、ああして拒否をし、非常な社会党のほうからは不満を示されておるようでございますが、実は中共見本市が相互協定によりまして、中国で二カ所やればこちらで二カ所やるという民間協定がございまして、本年度この協定によれば日本で二カ所、一カ所は中部地区、一カ所は北九州地域というようなことが、民間ではそういうぐあいに心づもりをして、すでに中共からも関係者が入国して現地調査等もやっておるようにみえます。そうすると、非常に現地の者として憂慮されますことは、昭和三十二年に、当時の往復の貿易額はたしか一億四千万ドルぐらいの時代でございます。長崎で国旗の廃棄事件というものが起きまして、これで一ぺんに貿易を打ち切ったことがございます。そのために肥料、セメント、鉄鋼、その他港頭地区にも相当輸出量が堆積されておったまま商談が打ち切られまして、非常な迷惑をこうむったことがあります。今回は四億八千万ドルという貿易規模の中にあるわけでありますので、民間協定で見本市をやるのだから、民間が適当にやればいいのだからというので見逃されてどんどん進んでいきますと、やはりこれは現実に見本そのものの保税輸入の措置であるとか、あるいは警備の措置であるとか、あるいは宣伝だとかいう点で、これは地方団体が関連を持っておる、地方の治安も関連を持っておる。これは民間協定でやるのだから政府は関係しないのだということで進めておって、最後のどたんばになってこれがうまくいかないということになりますと、非常なまた対外的にも不信の行為になるのじゃないかということを心配しておる者の一人でございます。したがって、中共貿易そのものについては本年度はジェトロの視察団を送っておるくらいでありますから、これは佐藤内閣が前向きな姿勢であると私どもは考えておりますが、この具体的な問題としてすでに見本市がここまで進んでおるようでございますから、これに対する通産当局、大臣のお考えをお聞きいたしておきまして、今後われわれも進みたいと思います。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中共との関係は国交回復していませんしね。何か新聞紙で中共からの社会党との共同闘争ですかね、共同闘争の会議に入国したいということで、政府が拒否するということがあったようですが、これは政治の面で、貿易の面においてはこれはもう政治と切り離してやろうということですから、このことが日中貿易に影響があると私思っていない。したがって、見本市ですか、これも大体名古屋と北九州市で開かれるのではないか、こう考えておるのですが、そういう場合に、あるいは展示品を持ち帰る場合の税金とか警備とか、これは政府はできるだけこれが成功するような協力をいたしたいと考えております。こういうことは政治のいかんにかかわらず、そういう貿易面のことはもうやったらいいので、中共もああいう入国問題があったから、見本市も開かぬというほどけちくさい国でもないと思いますので、予定どおり開催されるものと考えておりますので、その場合はできるだけの協力を政府はいたします。
  38. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 近代化の効果というようなことにつきまして、お尋ねかたがた今後の方針等を伺っておきます。それは今回配られました昭和四十年度の中小企業の動向等に関する年次報告、詳細報告せられておるのでありますが、その中に近代化のコスト面への反映という調査が出ておるのでありますが、要するに、コストのいかに減ってきたかという調べなんでありますが、これによりますと、近代化促進法の指定前と変化の一向ないというのが六一・八%、それから指定前より逆に一割高のコストになったというのが八・八%、それから指定前より二割高になったというのが五・九%、合計しまして七六・五%は近代化促進法による指定前よりもコストが変わらないか逆に高くなった、かれこれ八割近いものがそういうふうになっておるのでありますが、中にはコストが下がってきておるものももちろんありますけれども、私はそのコストが下がっておるものが一部にあって、大部分が逆にコストが高くなっているというところに非常に問題があるように思うのでありまして、全面的に安くなっておらぬとかいうのだと、これはまあ労賃の問題だとかあるいはその他の金利の問題だとかというような点もあろうかと思うのでありますけれども、一部コストが安くはなっておるが、それは一少部分でありまして、大部分が指定前よりもコストが高くなってきておる、この点が一つの問題ではなかろうかというふうに思うのであります。  それからもう一つ、同じくこれに関連する調査でありますが、純益率の調べを見ますると、とれがまた指定前よりほとんど変わらないというのが約六五%、それから指定前よりかえって純益率が一割ないし三割下がってきたというのが八・八%、合計しますと七三・五%というものが純益率が下がってきておる。これがやはり問題じゃないかと思うのでありまして、この二点を考え合わしてみますると、近代化が無理を相当重ねてきておるのではなかろうか、あるいは外見上、あるいは一形式的にかっこうのいいようなことに持っていくために、業界自身にも無理があるのかもしれませんが、指導自身にも無理があるのではなかろうか。こういう点を憂慮いたしますので、今後いかなる方針で進んでいくべきだろうかという点につきまして、大臣御熱心にこの中小企業問題に取り組んでおられるものでありますから、大臣の御所見を伺い、そうしてあるいはもっとこまかいことになれば、長官の御意見を承っておきたいと思うのであります。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この統計を見てみると、指定前と変わらないというのから原価が減ったというのは、それも入れると、まあ相当高い。率は変わらないというのも入れると相当高い率になっている。それからまた利益率が上がったのとそれと変わらないのと入れたら、それもまた相当な率になると思いますので、この統計というものは、やはり一つには不況時である。これをいつまでのかといったら、去年の十二月までというのですから、中小企業としてはやっぱり不況の時期です。これが一つ。経済環境というものはかなり悪いときであった。もう一つはやはり賃金ですが、労銀というものは急速に年々、これは労働の需給関係というものは逼迫しますから、労賃が相当に上がって、もしこういう近代化をやらなかったときには、この労賃の値上がりというものをこの程度に吸収できたであろうかどうかということは私は疑問がある。これは中小企業のやっぱり賃金の上昇というものは非常な急激なものがある。ですからまあ近代化をやって、そうしてこの程度に押えられたのではないかという見方も成り立つのではないかということで、いま豊田さんの言われた無理があるのではないかということは、われわれとしても絶えず検討しなければならぬが、いま言った不況時であるということ、労賃の上昇がやっぱり急激であること、こういうことを頭に入れて考えますと、この近代化というものの施策をいままで進めてきたということが、かなりやはり効果をあらわしておるのではないかという評価をすべきではないかというふうに考えるのでございます。
  40. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 相当よくなっておるということがはっきり私は出てしかるべきじゃないかと思うのです、これは相当金を使ってやっておることなんでありますから。しかし、お話のような点もあろうかと思いますが、それだって全面的にやっぱり変わらないとかというぐらいのことになるのだと、お説のとおりかと思うのですけれども、よくいっているものもあるのです。これが少なくて、大部分が悪い。そこに大部分が無理をした、あるいは場合によったら無理をさせてきておるというような面もありはしないだろうかという点を心配いたすのでありまして、そういう点から私のほんとうに言いたい点は、この中小企業対策はやはり環境の是正、要するに中小企業の不利、不平等なる点、これを是正していくことに国としては最も力を注いでいかなければいかぬのではなかろうか。大企業については大臣も特に言われておるのでありますが、むしろ自然にほうっておけばよくなっていくのだ。しかし、これはやはり中小企業にもその点はあるのでありまして、障害であるとか、あるいは不当な不利不平等、これを排除していく。金融、税制面、あるいは事業分野の調整、あるいは官公需の発注関係等につきまして、これをほんとうに是正していく。場合によれば近代化自分で自然にやっていくというような面があるのではなかろうか。その点環境の是正もやっておられぬことはありませんけれども、いろんな諸般の情勢からついついおくれかげんで、そして近代化のほうにわりあいに力を注ぐが、そこにこの無理が出ておる。それがこの数字にあらわれているようなことではぐあいが悪いのじゃないかと思いますので、その点について、特に今後近代化は実質本位に判断していく、そうして少なくともコストが下がるとか、あるいは純益率が上がっていくとかということがはっきり出るような指導を端的にしていくべきではなかろうか。同時に環境是正にもっともっと力を注いでいかなければいかぬのだろうと思うのでありますが、その点についての御所見を承りたいと思いますことと、それから時間も時間でありますから、ひとつ大臣の御答弁に関連してお尋ねをいたしたいのでありますが、組織化の点についてお触れになりましたが、私はもう全く同感であります。ところが、この組織化が十分に行なわれておらぬというよりも、むしろこれを阻害しておるような点がある。これは今回のこの近代化促進法改正でも企業組合は中へ入ることになったのでありますが、協業的にやる協同組合はこの中へ入れておらぬ。ところが、この組合優先主義というような、組織中心主義というような点からいうと、これはぐあいが悪いのじゃないか、むしろ組織中心主義を阻害しておるのじゃないだろうか、冷却さそうとしておるのじゃないだろうか、こういうことが一つあります。それからまた金利関係につきましても、政府関係三金融機関については非常に大臣の御努力によりまして、四月の一日から三厘下がってくる。しかしながら商工中金から組合関係で借りる金利、それも下がるが、それ以上に今度中小企業金融公庫なりあるいは国民金融公庫から個人、会社として借りる金利はもっと下がる。いつまでたってもカメとウサギの間隔は縮まらぬのでありまして、これでは組織組織化といっておるけれども、組合中心主義、組織中心主義というものがはなはだぼやけてきておるということになろうと思うのでありまして、業界にも、どこまでこれ組合についていったらいいだろうか、国策は組織化であるけれども──というような声は相当に出ておるのであります。ここらでこの組織化につきまして、大臣非常に御関心がありますだけに、しっかりした線を太く打ち出される必要があるのじゃないかと思うのでありますが、ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  41. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 近代化促進法の中に協同組合が入らなかった、これは割り増し償却制度というものに対して税法上のいろいろな関係があってなかなかまとまらなかったのですが、これは近い将来に協同組合もはいれるように私はいたしたいという考え方を持っております。これは衆議院でも附帯決議がございまして、これに対してできるだけ実現するように努力するという約束をしたわけでございます。  商工中金の金利のほうは、御承知のとおり組合が金利の点で優遇を受けていないわけであります。これは是正していかなければならぬ点だと思うのです。いずれにしても官公需の場合も、中小企業ということで官公需をやる場合に、やはり組合なんかの受注できるような形にならないと、どうも個々だったら、零細な企業というものはなかなか官公需に対しては入札するような場合も入りにくいですからね。そういう点もあるし、それからまたいろいろ組織化されて、経営の合理化の面にいろいろ協業などをする場合でも組織化というものは便利であるし、あるいはまた下請なんかの場合でも、団体交渉のような形を持っていくほうが非常にやはり地位を高めるでしょうから、だからそういう政府のやっていることは必ずしも組合育成ではないではないかと言われれば、そういう面もあるわけですが、しかしそれ以外に私は中小企業の地位を確保する道はない。中堅の中小企業は力を持っているわけですが、零細企業というものが個々に散在しておったのではなかなかやはりうまくいかないのではないか。そういう点でいろいろ政府政策の中に矛盾するような点もありますが、しかし中小企業対策のこれは大きな柱でなくてはならぬというふうに考えております。そういう矛盾したような点は今後是正をしてまいりたいと考えております。
  42. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 環境是正についての今後の姿、これを特に官公需発注関係の問題もありまするし、それからまた事業分野調整をもっと本格的にやるという問題もありますので、その点をなお伺っておきたいと思います。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はやはり立法化したらいいという意見です。なかなかこの法律というのは、豊田さんお考えになっても、これは法律立法の技術的に非常にやっかいなんです。事務当局はいやがる法案なんですよ、こういうのはね。これを法律で規制するとなると、なかなかやっかいなんです、立法技術的に。しかし、完全なものがなくても、そういうふうなやはり一つの多少ざる法といえば語弊がありますが、完全なものというのはなかなかむずかしいが、そういうふうなある一つ法律の効果が生まれるならば、それをまた改善していけばいいので、何とかこの国会に出したいということで、いま中小企業庁に対しても督励をしておるわけでございます。何とかこの国会に提案をしたいという考え方で、関係各省との間にいま折衝をいたしておる次第でございます。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 せっかくですから、もう一点大臣にこの場合御所見を承っておきたいと思うのですが、四月二日の東洋経済には、「春なお遠い中小企業」とこういう見出しがついておりますし、またエコノミストの三月二十九日号には、「春まだ遠い福井機業地」とこういう見出しで、今日の中小企業不況の状況ということがいろいろと述べてあるわけなんです。東洋経済の中にこういうことがあるのですよ。「中小企業がせっかく意欲をもって近代化しようとしているのを、うまく誘導して、立派な成果を得させてやる政策配慮が必要なのではないか。中小企業分野に、大企業が資本力にモノを言わせて強引に割り込んだり、強引な単価の切り下げで合理化のシワを下請けに寄せることなどは、中小企業をより困難な立場へ追い込むことにほかならない。これまでの中小企業近代化政策が、個別企業生産力増強政策にかたよっていたということはしばしば指摘されているが、今後、近代化・合理化を円滑に進めてゆくためには、中小企業自身の体質改善に力を注ぐと同時に、中小企業をめぐる環境、なかんずく大企業との関係改善に目を向けてゆく必要がある。」、このように東洋経済では述べておるわけなんですが、こうした点からいきますると、いろいろとまた中小企業は前途困難なものがあると私思うのですが、この点について大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 倒産件数などはあまり減らないですね。二月五百四十二件が四百二十九件、そういう限りにおいては二月よりも減っておるといっても、何百件も倒産がある。それだから中小企業にはまだ春は来てないという表現は私はそのとおりだ。「まだ遠い」というところはちょっとオーバーのようにも思いますが、しかし、まだ中小企業が回復したという段階ではない。しかし、悪くなっていっておるという傾向はないんですから、だからこれ以上経済が悪化していくということはもうないわけです。非常に中小企業の注文がふえているというようなところまではきてないことは事実です。しかし、これだけの政府自体も景気刺激策をとろうとしていますし、それから中小企業に対しても、公共事業なんかに対してはもうある金額以下は大企業が出てはいけぬ、中小企業に請け負わさなければいけぬということで、相当政府も公共事業の予算を執行するについては配慮を加えておりますので、そういうこととも相まって、中小企業もこういうふうな時期からは次第に脱却していくことは間違いがないと考えております。それにつけても、いま環境の整備というものは、いまの不況というよりかは、全体としての中小企業対策の中で非常に大きな部門をなすわけであります。だから私は自分行政を通じて、不必要に中小企業でやれるものを大企業が進出するということは極力抑制していきたい。これはいろいろ大企業でもこのごろはやはり中小企業分野までまた進出してこようという傾向はありますが、できるだけこれは抑制して、中小企業がやっていける分野というものは相当広い分野がやはり確保されなければならぬという点と、いま言った官公需要に対しては何とか中小企業分野というものを確保できるようにしたい、あるいは輸出の増進についても中小企業というものが輸出を伸ばしていけるようなそういうふうな努力もしたいということで、中小企業をめぐる非常に不利益な環境というものはできるだけこれを改善していくということは、中小企業対策の中で重要な政策一つであると考えて今後努力をいたしてまいりたいと思います。
  46. 永岡光治

    ○永岡光治君 いま大臣中小企業分野確保するために中小企業庁において法律をつくるようにということを督励しているのだというお話ですが、私は法律にどういうことを書いても、まあ書かないよりましですけれども、その前に政府はなぜみずからやらないのかということを言いたいわけです。たとえば問題になった官公需の建物の問題、一体中小企業にどのくらい請け負わせておりますか。これはないですよ。そして最近は、たとえばその例を申し上げてたいへん恐縮ですけれども、運送業者である日通が一つの例ですけれども、建築やその他いろんな分野まで進出してきているという大企業の今日の状況です。大企業も苦しいから地方の局舎、あるいはその他の建物建築までどんどん進出してくる。政府はそれを指名しなければいいのです。ところがしているのです。だから私は法律をつくるのもけっこうだが、官公需を持っている政府みずからがなぜやらないのかということです。だからこのことが一番大切だと思うのですよ。これを中小企業庁指導するのだけれども、なかなか各省は言うことを聞かない、こういうことです、問い詰めた結論は。それでは済まされないので、国はみずから自分の建物を建てるのですからね。電電公社のときも中小企業庁からいろいろ話を聞きましたから、私も電電公社を呼びましていろいろ聞いたところが、私のところは電気産業の一大ユーザーです、いわゆるそういう方針に従って、技術革新の非常に進んでおるところだから、大企業でなければ済まされないところがたくさんあるけれども、中小企業でも間に合うもので大企業でつくっておったものはみな中小企業におろす、また中小企業のものをまたその下の中小企業におろすということでどんどん育成強化して、どんどん資本の援助だとか技術指導をやっておるのだ、こういう話ですが、そのとおりにみずからやればできることですから、ぜひ政府みずからがやってもらいたいと思うのです。これをむずかしいことでも何でもないことです。たとえばいまの建設のことでも、指名業者に大企業を入れるな、これをできることなんだからぜひやってもらいたいと思います。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これを一億五千万円以下の事業には大企業は入れるな、非常に厳重な公共事業に対する指示を行なっておるわけであります。今度の場合は、今後公共事業費を使う場合に四段階ほどに分けまして、ことしの場合はいつもと違いますよ。非常に厳重なことを地方に対しても申し渡して、これはお調べになってみても、相当やはり改革されたと思っておるのです。これは法律といったところで、法律をつくる前にいろいろな公共事業費の割り当てがありますから、非常に厳重な地方に対する申し渡しをする、こういうことで履行をされておるということをわれわれ聞いております。
  48. 永岡光治

    ○永岡光治君 まあ大いに期待していますが、建物ばかりでなしにいろいろ需品の発注があります。何も大企業でやらなくても中小企業でやれるものがたくさんあるわけですから、みずから率先してとにかくやってもらいたい。そのことが非常に刺激にもなるし、中小企業のまた張りも出てくるわけですから、率先をぜひお願いしておきたいと思います。
  49. 赤間文三

    ○赤間文三君 三木大臣中小企業のために非常な成果をあげられつつあることは、われわれもよく承知をしておりましてあるがとうございました。先にもお話がありましたように、中小企業のうちで輸出産業に携わっておるものは、ひとつ将来また適当な方向で思い切って中小企業輸出振興という題目のもとに施策を講じていくことも一つ中小企業の非常に大きな分野じゃないか、さように私聞きまして非常にこの点ありがたく、かつ今後期待しております。  それから次に、これは決して急がないのでございますが、将来だんだん時勢が変わってまいりますと、やっぱり時代の要求だとか産業の変遷とか、幾多の目まぐるしき産業界の変遷もあると思うんです。それでひとつ予算の面につきましても、ひまなときに農業に対する政府予算、あるいは中小企業に対する政府予算というようなものも御検討願っていくことも私は必要なことじゃないか、こう考えております。あるとき、私は中小企業予算をもっとふやしてもらったらということを大蔵省に陳情に行ったことがあるのであります。まあ過去がこうだからとか、大体バランスがあるからというようなことをあまり上の人じゃない下の人が頭に持っていて、過去なんか言うよりも、時代が変わるから思い切ってひとつ今日の時勢に合うような予算を組まなければいけない、頭を新たにして、なお露骨に言うならば、過去にとらわれぬで必要なところは思い切って組むし、冗費は節約するというような行き方、大蔵省はそういう方面はあまり賛成できぬということを言うたことがあるんです。何ぶん三百五十万も事業所があると聞いておりますので、将来ひとつ、他の石炭のような産業に比べての中小企業予算の額、あるいは農林漁業等に比べての予算の額、国全体の予算から見た中小企業予算の額、こういうものもひとつ国会が終わりましたらゆっくりと御検討を部下に命じていただいて、実力大臣三木さんのようなでき物の人のいるときに、思い切って中小企業の一大進展をはかっていきたい、こういうことを考えております。  それからなおあわせまして、これは中小企業じゃございませんが、繊維工業というものがやっぱり斜陽めいて、何もこのごろの問題ではありませんが、こういうものについても、ひとつ通産省としてはやはり積極的に、日本の繊維産業については過去の惰性から離れて、今日の時勢に合うような政策を思い切って立てていただいて振興をはかっていく必要があるんじゃないか、そのことを私は考えております。それにつきましても、大臣は非常にお骨折りをいただいて感謝しておりますが、繊維産業について将来どういうふうな指導をしていくか、なおまた鉄鋼業のようなものも非常な通産省のお骨折りで驚くべき発展をして、われわれも非常に満足はしておりますが、これも今後はやはりアメリカとの関係で、鉄鋼業をどういうふうにして今後も安定させ、しかも発展さしていくかというようなことについてひとつ大臣の御所見を承っておきたい。  私はとにかく、日本の通産省予算は思い切ってふやせば、そのふやしたものの何十倍何百倍になって必ず国力の進展に役立つというような私は気がするので、こういう方面に国としては商工業発展のため予算もつける、特にまた中小企業等についても、さきにお話のありました輸出中心とする中小企業とか、いろいろなあれをつかまえて三木実力大臣のときに、こういうものの進展をはかっていくことが非常に大事じゃないかと考えておりますので、お差しつかえのない範囲内で御所見をこの際承りたいと考えております。
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま御指摘のように、輸出の増進を含めて中小企業の振興策というもの、予算のまぎわになっていろいろやってもだめなんで、来年度の予算というものを先週から始めております。こうやって今年度の予算を御審議を願っている最中ですけれども、少しやはり前広く中小企業対策というものを四十二年度の予算を目ざしていまから研究したほうがいい。それで各方面の意見も聞こうではないかということで、私出たのですよ第一回の会合に。これは四十二年度ですから、いまから研究して、中小企業対策というものを相当太い線で推進できるようにできないかということで研究を始めた。そうでないと、予算編成期になってわあわあ言っても、なかなか思いつきだけでもいきませんから、そういうことを御指摘のとおりに考えている。これは研究を始めている。  それから繊維のほうは、これは韓国など新興諸国の繊維産業というものは、必ずそういうところがら手初めに産業が起こっているわけですから、これと競合するようなことになって、全部新興諸国の繊維産業の芽をつんでしまうということになれば、これはうまくいかないのです。どうしてもやはり日本は高級な繊維産業に脱皮していかなければならぬ。それからまた繊維産業自体が非常なやはり過剰設備を持っておりますから、そこで石炭の次には繊維だろう、取り組まなければならない。個別企業としては、いま繊維産業に対する構造改善について、繊維産業の構造政善に関する審議会でいまこれと取り組んでいる。一カ月に一回くらいの審議会ですが、何回も開いて取り組んでやっているわけです。これはどうしても業界の協力を得なければいけませんから、相当に過剰設備の整理という問題もあるわけでありますから、そういうことでそれと取り組んで、六月ごろまでに何らかの一つの結論が出ないかというくらいのスピードでやっておりますから、こういうふうな検討とあわせて、われわれとしても繊維産業というものが斜陽産業ではなしに、イギリスでもアメリカでも斜陽産業でないのですから、そういう安定した産業というものに繊維産業が構造改善を行なっていくように、今後指導していきたいと考えております。  鉄につきましては、これは大問題がいろいろあるわけですから、この鉄鋼の問題については小委員会を置きまして、産業構造審議会の中にメンバーなども、大阪からも入ってもらう。ごく少人数でこれを検討して、鉄鋼業の構造というものをどう考えていくかということで検討してもらうことになって、近く発足することになっています。鉄鋼の問題も、これは基幹産業でありますから大問題である。御承知のように大企業がみな設備をふやしていく傾向があって、そうなれば混乱も起こるわけですから、一体設備というものをどう考えていくかというような問題から始まって、鉄鋼業の構造というものをどういうふうに将来の需要ともにらみ合わせて考えるかどうかということを、十分検討してまいりたいと考えております。
  51. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記をつけて。
  53. 近藤信一

    近藤信一君 近代化促進法で、指定業種近代化の実施状況は今日までどのようになっているのか、お尋ねいたしますが、これとわが国の経済の不況の深刻化の中にありまして、はたして予期した効果というものがあがっているのかどうか、また業種別にこれを具体的に御説明を願いたいと思います。
  54. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 近代化促進法の実施状況でございますが、現在までは六十八の業種指定が行なわれまして、そのうち三十九業種につきまして、すでに計画が策定されて推進がはかられております。先般そのうちの十七業種についてサンプル的な調査をいたしました結果を、若干まだ時期尚早で中間報告的なものでございますが、白書に掲げたのでございます。その点につきましては、先ほど豊田先生から御指摘がございましたように、非常に顕著な効果をあげておるというふうに申し上げられない点もございますけれども、ある意味では着実に進捗している状態がそこから把握できるように思っております。  それから特にコストの面でございますが、業種によりまして、五年間にどの程度のコストダウンをするか、また中には労賃の上昇を考えると、とうていコストダウンまでは期待できない、せめてコストの上昇を防ぐ、これを目標にしている業種が比較的に多いのでございまして、そういった点で、おおむねわれわれが予期した線で動いておるというふうに判断していいのではないかと思います。先ほど申し上げましたように、五年計画のうちの中途の段階でございますので、まだ明確にその目標を達成したというようなものはもちろんないのでありまして、それから個々の具体例につきましては、近代化促進法の指定によりまして、業種の中で特定の企業がたとえば割り増し償却の恩典を受けましたために、設備近代化ができまして、生産能率を二割あげることができたとか、あるいは企業合同の恩典を受けますために協業化をいたしまして、その結果生産規模を拡大をして合理的な生産体制をとることができた、こういう具体例は幾つかあがっております。たとえばミシン部品の製造業、作業工具の製造業、機械和紙の製造業等につきまして、かなりそうした顕著な改善の例を示しておるものがございます。たいへん概略でございますが、現在の促進法の進行状況は以上のとおりでございます。
  55. 近藤信一

    近藤信一君 近代化計画の推進手段といたしまして、本法による割り増し金あるいは割り増し償却制度というものが設けられておるのでございますが、この制度は、このいただきました資料で見ますると、効果の点が四つほどあげてあるわけなんです。しかし効果をあげなかった点も私はあるのじゃないかと思うのですが、この点は、効果をあげているのといないのと、どのように分析されておるのか、お聞きいたしたい。
  56. 山本重信

    政府委員(山本重信君) ただいま近代化促進法の推進をいたしますために、地方ごとに推進協議会をつくりまして、そして特に長期計画のほかに毎年の実施計画作成いたしておりまして、いま御指摘のような特別償却で効果を上げてないというその逆の例等を調査するようなまだ段階にまいっておりませんので、いま直ちにここで具体的な例は申し上げかねるのでございますが、当然そういった点も十分にこれから注意をいたしまして、総合的に全体として効果が上がるようにしていく必要があろうと考えております。
  57. 近藤信一

    近藤信一君 また、中小企業金融公庫の設備近代化のための特別融資は、一体どのように行なわれているのか、この点をお尋ねいたします。そうしてまたこの実効というものはどれほど上がったか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  58. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 近代化促進法業種指定をいたしました場合に、その業種につきましては、中小企業金融公庫から特別金利の資金が供給できるというのが一つの特徴になっておりまして、その貸し付け状況は昭和四十年の三月から十二月までの貸し付け実行額として四十億になっております。ただ、これは特定の機械を選びまして、そのものにつきまして特に安い金利の資金を供給するという趣旨でございまして、年度間で四十年度は五十億のワクをつくっておりますが、そのうちのものでございまして、来年度はこれを八十億にふやす予定にいたしております。このほかに特定機械以外のものについての所要資金が同じように中小企業金融公庫から相当額出ておるのでございまして、そうした特利及び中利両方の金融によりまして、相当近代化計画が大幅に推進をされているという状況でございます。
  59. 近藤信一

    近藤信一君 近代化促進法の大きなねらいとするところは、生産の適正規模ということにありましたが、本法を実施してから適正規模の達成がされた業種というものがございますか。
  60. 山本重信

    政府委員(山本重信君) ただいま御指摘のように、近代化計画をつくります場合には、その業種として適正規模を目標として掲げておりまして、現在その適正規模の実現のためにいろいろな面からの推進をいたしておる次第でございます。つい最近に十七業種につきまして調査をいたしましたが、その結果たとえば金属、玩具、絹、人絹、織物、綿、メリヤス、機械すき和紙等につきまして、かなり適正規模の実現を見るものがふえております。適正規模に到達したと思われるものが、最近の調査で四百三十一企業、それからほぼそれに近い規模に到達したと思われるものが三百二十一企業ございます。
  61. 近藤信一

    近藤信一君 現在までにこの業種指定されたものが六十八業種、先ほど御答弁ありましたが、四十一年度の業種指定はどのような方針であなたのほうは行なおうとしているのか、またいかなる業種を選定してどのぐらいの業種を指定しようとお考えになっておられるのか、この点もあわせてお聞きしておきます。
  62. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 四十一年度の業種指定の対象を選定いたします場合の基準でございますが、これは従来から業種指定をします場合にとっておった方針を踏襲する考えでございます。まず第一に、中小企業相当ウエートを占めておる業種である。それから第二に、その業種近代化を推進することが国民経済の健全な発展を促進する業種である。やや抽象的でありますが、たとえば産業構造の高度化または国際競争力の強化等をその具体的な目標として考えております。そこで現在四十一年度の指定業種は具体的に検討しておる途中でございまして、まだここで申し上げるところまで結論を得ていないのでございますが、当初目標は二十五業種ということで希望業種を募りまして、その中でいま申し上げました基準に合致しておるものを選んでおります。今日の段階では、おおむね希望業種のうちの二十一業種がこれに該当するということで、いま政府部内で審議を進めておる段階でございます。
  63. 近藤信一

    近藤信一君 来年度はおおよそ二十五業種計画しておられまして、その中で検討して現在二十一業種がほぼ目標になろう、こういうことでございますが、そういたしますと、これに残される業種というのは、あとまだ相当あろうかと思うのですが、そういう点についてのお考えはどうですか。
  64. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 今回中小企業近代化促進法業種指定の期限を二年延長いたすことになっておりますので、さらに四十二年度、四十三年度におきまして新しい業種を追加いたしてまいりたい。毎年おおむね二十一ないし二十五くらいの業種考えております。おそらくそういたしますと、大体先ほど申し上げましたような基準、すなわち中小企業相当ウエートを占めておる業種でありまして、近代化相当強力に推進する必要があるという業種は、おおむねそれでカバーできるのではないかというふうに考えております。おそらく全中小企業の製造業の生産額のうちで約三分の一程度がこの近代化計画をつくって、近代化を推進することになる予定でございます。
  65. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど豊田委員から御質問されまして、大臣答弁されましたが、このたびの法改正にあたりまして、企業組合を本法の対象にされたが、事業協同組合はされなかった。それに対しまして、大臣答弁は、将来加えていきたい、こう御答弁をされましたが、今回事業協同組合を対象にしなかったということに対しましては、何らかの理由があろうかと思うのですが、その理由として、あなた方のほうでどういう点でこのたびの改正では事業協同組合を加えなかったか、この点をお聞かせ願いたいのであります。
  66. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 経緯を率直に申し上げますと、事業協同組合は今後の中小企業近代化を推進します上に非常に重要な役割りを果たすものでありますので、今回企業組合を追加いたします際に、事業協同組合も追加したらどうか、加えたらどうかという意見がかなり強かったのでございます。私たちもそういう線で当初計画を進めてみようかと思ったのでございますが、それに対しまして、別の観点から意見がございました。一つは、この近代化促進法で取り上げておるものは、従来会社及び個人でございまして、それに企業組合を加えるというのは、一つの事業の主体としての存在を取り上げておる、それに対して事業協同組合は、税制の面でいいますと、その事業体に比べてかなりいろんな面で恩典がもうすでに与えられているから、そこにバランスの問題があるのではないかという意見一つございました。それからもう一つは、事業協同組合自体が最近新しい時代の要請に応じまして、いわゆる協業化がかなり進んでまいっておりまして、その観点から、組織全体について再検討して、新しい組合法をつくり直す必要が出てまいりました。現在中小企業政策審議会の組織小委員会で鋭意検討を続けておる段階でございますので、そちらのほうの検討を待ちまして、事業協同組合と企業組合との関係をどうするか、また協業化が非常に進んだ法人の取り扱いをどうするか、この辺についてはっきりした結論を得た上で、この近代化促進法のほうにどういう位置づけをするかということをきめたほうがいいのではないか。こういう意見がございました。そういった点も勘案いたしまして、今回はとりあえず事業協同組合をここに加えることは見合わそう、今後とりあえず組織小委員会のほうの検討を待ちました上で、はっきりした位置づけをいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 近藤信一

    近藤信一君 組合の健全性という点からいくと、私は企業組合より事業協同組合のほうが健全性というものを持っておるんじゃないか、こういうふうに私思うんですが、この点はどうですか。
  68. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 現在は組合の数も全国的に非常に多うございまして、個々の組合によりまして千差万別であろうかと思います。もともと事業協同組合というのは、協同してある経済行為を行なう、それは組合員が一応主たる事業をいたしまして、それに対する補助的な副次的な事業を協同組合が行なうということでできておる制度でございます。その点は、企業組合のように個々の組合員が、ある点からいいますと、独立した事業者としての地位をやめて組合の中に没入しているという形とはかなり違っておるわけでございます。それからいま健全性のお話がございましたが、これは個々の組合について、たとえばそこの指導者が人を得ているか、あるいはその営んでいる事業が適正であるかどうかとか、そういうことによるのでございまして、ちょっと一がいには申し上げにくい点であろうかと存じます。
  69. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ちょっと関連して。いまの近藤委員の質問、また長官の答弁に関連して承りたいのですが、企業組合でほんとうに近代化の実が上げられるだろうか、今度の改正によってそういう見込みの組合がどの程度あるのか、それから同時に、業種別にいって、かくかくかような業種については直ちに近代化の実があがるだろうという見当がついておられれば、承りたいと思うのであります。今回税制改正から波及してこういう改正になったけれども、改正はしてみたが、一向その効果はあがらぬのだということではどうかと思うので、その点承っておきたいと思います。
  70. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 企業組合は、現在おおむね五千ほどございます。その中にはかなり活発に事業をいたしておりますものもございますし、また中には必ずしも十分に活動いたしていないものもございます。現段階におきまして一応調査をいたしましたところでは、積極的な活動をいたしております組合は、約三百ぐらいはあろうかと思います。その中でも特に食料品の関係とか、あるいは木材、製紙等、いわゆる規模の小さい事業者が集まって、ほんとうの意味の協同化を達成したような組合で、かなり積極的な運営をいたしているところがございますので、今回この法律改正によりまして、企業組合がその指定を受けますと、その恩典を受けるところはかなり出てまいるというふうに考えております。
  71. 近藤信一

    近藤信一君 今回の改正案では、割り増し償却の恩典を受けることになる中小企業者の範囲をぐっと広げていると思うのです。そこで中小企業者の比較的大きいものまでその恩典に浴するわけでございますが、これで利益する企業数は一体どのくらいあなたのほうでは見込んでおられるのか。また今度の改正では、資本金が五千万円をこえても従業員が三百人以下のもの、また逆に従業員三百人以上でも資本金が五千万円以下のものがこの恩典に加わるわけでございます。この二つに分けて、どのくらいの企業が見込まれているのか。また業種別には一体どんな業種に多いのか。また恩典によって税がどのくらい助かると見込んでおられるのか、この点をお聞かせ願います。
  72. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 今回の改正が実現いたしますと、中小企業という範囲が、中小企業基本法及び実はこの近代化促進法の定義と、それから今度の税の恩典を受ける中小企業の範囲とが一致することになるわけでございまして、いままでは税の恩典を受ける企業のほうはやや狭くなっておった次第でございまして、そのギャップにあります企業を調べてみましたところが、約七百でございます。業種別に見ますと、繊維関係が一番多うございまして二百八十五、続いて運輸関係が二百二十五、それから鉄鋼、機械関係が六十、農林関係が二十四、それから軽工業関係が八十四というようなところでございます。それから従来は従業員三百人という制限と、資本金五千万円という制限とが二重にかぶっておったのが、今回はそのどちらかの要件が満たされればいいということになるわけでありますが、今回のそのギャップに相当しているところを調べてみますと、ほとんどが従業員はもう三吾人以下でありまして、資本金が五千万円という制限がはずれることによってこの恩典を受けるというところがその大部分でございます。
  73. 近藤信一

    近藤信一君 いま御答弁がございましたが、そういたしますると、先ほどの議論ではないけれども、比較的中小企業の中でもいいほうが恩典に浴する率というものが多いように思われるわけなんですが、この点はいかがですか。
  74. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 実は近代化計画作成いたします場合にも、ちょうどこのギャップに入っておるような企業も当然従来対象にして計画をつくるときには中に入っていたわけでありますが、税の恩典だけが受けられなかったという、いうならばちょっと片手落ちになっていた次第であります。実は当時のいきさつを調べてみますと、税務当局のほうが徴税の関係かなんかでどうも「または」にする、とても扱いにくいというようなことで、しかも当時期限が非常に切迫しておりましたために、税務当局との話を十分につけるひまがなくて、やむを得ず若干ゆがんだようなかっこうのままで実は法律を提出せざるを得なかったようないきさつがあったのでございまして、もうちょっと時間の余裕があれば、もう少し税務当局とも話を詰めて、ちょうどここでお願いしておるような改正をしないでも済むような状態でほんとうは提出すべきであったのじゃないかと思います。したがいまして、決してここで特に上位のほうに特別な恩典を与えるというわけでございませんで、もうすでに前から、より規模の小さいところが受けておった恩典を、そのちょうどギャップに当たるところにまで同じように均てんさせようという趣旨でございます。
  75. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど豊田委員も言っておられましたが、企業組合を今度対象にされたわけでございます。そこでこの企業組合の近代化ということは、私はそう簡単にはいかないのじゃないかと思います。というのはなぜかと申しまするならば、本庁におきましては、この法を改正して、法に基づいてこれによって運営していくのだというふうに考えておられるけれども、実際地方に行きますと、なかなか手続上やらいろいろな面でむずかしい点がある、せっかく近代化をやろうといたしましても、ひっかかる点がしばしばあるわけなんですね。こういう点でいろいろとやはり企業組合というものは、なかなか今後困難な事情があるのではないかというようにも私考えるわけなんです。そういう点の指導ということを重点的にこれからもやっていかなければ、せっかくこういう制度ができて、それが利用できないという場面が出てくる点もあろうかと思いまするから、この点ひとつよくあなたのほうでも指導育成といいますか、そういうことをやっていただきたいと思うのですが、これは各都道府県を通じて申し込むわけなんでございまするから、なかなかむずかしい点が多多あるわけなんです。この点について、あなた方の今後の指導育成ということについて御見解を承っておきます。
  76. 山本重信

    政府委員(山本重信君) ただいまお話しのように、企業組合というのは普通の会社組織になっているところとも違いますし、なかなか近代化を進める点においても、しにくい要素があることは御指摘のとおりであろうかと思います。先ほども大臣も申し上げましたように、できるだけ中小企業に対する指導の網を広げまして、いい相談相手になれるような組織を広げたいと思っておるのでございまして、特にこの企業組合につきましても、特に組織化の推進の一環として、今回も中央会の系統の指導員の数も増員をすることになっております。それから総合指導所の充実もいたしますので、そちらのほうの系統と、それから近代化計画の推進のための各地方の推進協議会、そういうところのタイアップを十分にくふういたしまして、そしていま御指摘のような点にこの指導の漏れのないように十分に配慮いたしてまいりたいと思います。
  77. 近藤信一

    近藤信一君 次に、資金助成法の点についてお尋ねしたいと思うのですが、四十一年度予算に計上されました近代化資金というものは、百二十五億円でございます。こまかいようでございますけれども、この百三十工億円の使い方、今後どのようにあなたのほうでは使っていかれるのか、この考え方をひとつお伺いいたします。
  78. 山本重信

    政府委員(山本重信君) ただいまお示しの百三十五億円の内訳でございますが、大きく分けますと、設備近代化関係が五十五億、その中には新しく設けます設備貸与専業の二億八千八百万円が入っております。それから高度化資金のほうが八十億でございまして、その内容は、工場団地の関係が二十三億四千万円、商業卸売り団地が十三億六千万円、商工業協業資金が二十六億、この中には小売商連鎖化の資金一億二千二百万円が入っております。それと共同工場貸与事業十六億、以上が高度化の内容でございます。
  79. 近藤信一

    近藤信一君 いま内訳をお聞きしたわけでございますが、この点についてはまたあとからお伺いいたしますが、共同工場は約三十カ所、それで機械貸与機関はわずか八県を予定しておられるようでございますが、これは各府県から希望があって、その希望に応じてあなたのほうではその八カ所というものを予定されておられるのか、それとも、あなたのほうでこことここだということで指定をされて、この八カ所というものを予定しておられるのか、また四十二年度、四十三年度、これもどのようにあなたのほうは見込んおられるのか、今年八カ所ということで、明年度さらにこれをふやしていく、その次にさらにこれを多く持っていく、こういうことであなたのほうではお考えになって、この計画というものを立てておられるのか、この点はいかがですか。
  80. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 機械貸与制度は、とりあえず八県に実施するようにいたしておりますが、これは今後ぜひ都道府県ごとに普及させるという方針でおります。特に八県を取り上げましたのは、一つには今回私のほうで考えております制度は、直接県が実施するのではなくて、県が出資をいたします公益法人で実施するという方式をとっております。そういう方式に乗り得る県がたまたまちょうど八県ございますので、その八県を対象にいたしておる次第であります。また特に新しい制度でございますので、最初はまず実施をいたしてみまして、そこでいろいろ改善を要する点がありましたら改善をして、さらに今後数年間に全都道府県が一斉に実施するような方向に持ってまいりたいと存じております。
  81. 近藤信一

    近藤信一君 共同工場の貸与制度もそれから設備貸与制度も、都道府県を実施主体としているように私思う。ところがいま長官は、公益法人をつくってそれが主体としてやっていきたいというふうにも言っておられましたけれども、いずれにいたしましても、これを財源というものが必要になってくる。特に今日、地方財政というものは逼迫しておりまして、そういう地方財政が逼迫しているところに都道府県にこういう制度というものが回ってまいりますると、やはり地方財政というものを圧迫するんじゃないかというふうにも考えます。政府といたしましては、これに対するところの対策を十分御配慮になってこういう計画というものをお進めになっておられるのかどうか、この点いかがですか。
  82. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 実は今回、設備貸与制度及び共同工場貸与制度考えまして、関係方面と打ち合わせを始めました過程において、一番問題になった点の一つが地方財政の問題でございます。この点につきましては、自治省のほうとも十分に連絡をとりまして、自治省のほうとしましても、地方財政の負担する分につきましては、設備貸与のほうにつきましては地方交付税交付金を交付するという方針を決定をいたしておりますし、また共同工場貸与制度のほうにつきましては、特別に起債を認めるということで、その点の了解ははっきりついておりますので、地方財政負担分については現在すべて解決をしていると、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
  83. 近藤信一

    近藤信一君 それから中小企業設備近代化資金及び高度化資金の貸し付け状況、それから貸し付け条件について説明していただきたいと思うのですが、この貸し付け金のうちにやはり回収困難になったのも相当にあるんじゃないかというふうに私思うわけなんですが、現在におきましてうまくこの回収がいっているのか、それとも回収がなかなか困難な状況に追われている、特に昨年から今年にかけましての不況状況下においてどのような回収率になっているのか、この点おわかりでございましたならばお示しが願いたいのであります。
  84. 山本重信

    政府委員(山本重信君) まずお尋ねの従来の貸し付け実績でございますが、設備近代化資金のほうは、昭和三十八年度が百十三億八千万円、昭和三十九年度が百二十九億四千万円、昭和四十年度の予定は百七十七億円でございます。次に高度化資金のほうは、昭和三十八年度が四十五億九千万円、三十九年度が五十六億円、四十年度の予定は九十九億となっております。従来貸し付けいたしました中で完全に焦げつきといいますか、回収不能ということになっているのはほとんどないのでありますが、やはり延滞といいますか、期限を延ばし延ばししておって実際には現在なかなか回収がむずかしいのではないかと思われるものが三、四億円くらいあろうかと思います。
  85. 近藤信一

    近藤信一君 回収不能になっているのはほとんどないと、延納になっているということでございますが、私が知っている範囲でも団地なんかでつぶれたのがあるわけなんですが、つぶれればこれはもう回収できないわけなんです。それは現在延納という形になって残っていると私判断するのですが、実際その高度化資金の貸し付けをやって、うまくいっているところもあるけれども、うまくいっていないところも出ている。こういうことを判断すれば、やはり回収不能になるのじゃないかという点も考えられるわけなんです。いま長官はうまいこと延納だと、こう言われた。私あえてそのことを追及するわけじゃございませんけれども、やはり延納と回収不能というのは、これは時期の問題であろうかと思うのですが、この点はどうですか。
  86. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 事業が中には不幸にして挫折いたしたものがございまして、そういうものにつきましては、将来どうしても回収できないというものが出てくるおそれがあろうかと思います。現在の仕組みが国の資金が県に交付されまして、県が等額をそれに加えて業者に貸し付けるというかっこうになっておりますので、現段階ではいずれも県が何とかしてまず回収をしようという努力をいたしておるような段階でございまして、はっきりとこちらにこれだけの分はもう絶対回収できないと、こういう状態になったという報告にはまだ接していないというのが真相でございます。しかし、今後はある程度そういう事態がはっきりして出てくることを覚悟しなければならないというふうに考えております。
  87. 近藤信一

    近藤信一君 設備近代化資金の貸し付け率というものが二分の一でございます。この貸し付けの基準単価というものが現在非常に安いのじゃないかと、低いのじゃないかと、こういうふうに思うのですね。所要資金の二割強にも満たないというようなのが現状であろうかとも思います。そのためほかの資金を求めなきゃならぬ、いわゆる金融機関から借入しなければならぬ、こういうことにもなってまいりまするから、どちらかというと、金融機関から借入する度合いのほうが大きい場合があるわけなのであります。そこでやはり、実効が上がらないということにもなるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  88. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 近代化資金の貸し付け限度が所要資金の二分の一ということになっておりまして、中にはこれは低く過ぎるという御意見も伺っておるのであります。また金額自体が現在三百万でございまして、これが窮屈過ぎる、こういう話も聞いておるのでありまして、今後この限度につきましては、もう少し弾力的な運用をしていく余地はないだろうかという問題、その運用方針について現在検討いたしておる状況でございます。一方におきまして、この近代化資金は特に小規模零細企業を対象にして考えておりますので、あまり限度を上げまして大きな企業がそれを利用するようになりましては、またぐあいが悪い点もございますので、その辺は加味して限度については検討いたしております。  それから二分の一という率を変えることでございますが、そういうことも確かに一つ政策として考え得るかと思いますが、今回はその率の改正によるかわりに、零細中小企業のために機械貸与制度を設けてみよう、そうして従来近代化資金によります場合は所、要資金の二分の一を国及び県から借りて残りの二分の一を自分が調達しなければならなかったのでありますが、今度の機械貸与制度によりますれば、自分が直接資金の調達をしなくても、まず現物が借りられるという、こういう制度によってその点を何とかして解決をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。私は今回の機械貸与制度は、先ほども御指摘がありましたように、ごく限られた県でしか実施されておりませんし、現段階の施策で、完全にいま先生御指摘の点に対する問答になったと実は考えていないのでございますけれども、今後機械貸与制度をさらにほかの県にも拡大をいたす、それから近代化資金の限度額についてもさらに検討するというようなことで、できるだけ実情に合った解決策を発見していきたいと、かように存じます。
  89. 近藤信一

    近藤信一君 政府の基準単価というものは非常に低いわけなんです。これは何も通産省だけでこれを引き上げるというわけにも私はいかぬだろうと思うので、やはり住宅公庫にいたしましても住宅公団にいたしましても、また農林関係につきましても、やはり各省庁の貸し付け基準単価というものが非常に低い、それがために苦労せなければならぬ。住宅なんかも三分の一以上足りない、こういうことになるわけなんで、その点は通産省だけで、じゃ、すぐ基準単価というものは高めることができるかというと、これはなかなか困難でございますから、これは各省庁とよく御相談をされて、そして大蔵省側に──この基準単価の引き上げということを将来考えていかなければ、私はいつまでたっても十年、十五年前にきめた基準単価で貸し付けるということでは、私はせっかく制度ができても、うまく円滑にいかない、こういう面が出てくるのではなかろうかと思うのですが、この点についてはどうですか。
  90. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 基準単価の問題は非常に重要でございまして、御指摘のとおり、しばらくうっかりしておりますと、実情から遊離してまいりますので、その点は常に注意深く実勢を見守ってまいる必要があろうかと思います。幸いにして今度高度化資金につきましては、かなり大幅の改善をすることができまして、工場団地につきましては、従来土地の単価を坪四千五百円としておったのでございますが、新年度から五千五百円に引き上げます。また卸商業団地につきましては、土地が坪七千円でございましたのを一万円に引き上げることにいたしております。従来はこの基準単価というのが実は最高限でございまして、それをこえることは一切できないという運用をしておったのでございますが、今回その基準の水準を高めると同時に、これは必ずしも最高限度という意味ではなくて、実情に合わせて、場合によればこれをこえるものも認めよう、弾力的な運用をしようという話し合いがついておりますので、そういった点で実情に合った運用をいたしたいと考えております。
  91. 近藤信一

    近藤信一君 設備近代化資金貸し付けと今度は設備貸与とが並列して行なわれるわけでございますが、あなたのほうとしてはどのように並列したのを運用していかれるお考えでございまするか、この点お尋ねいたします。
  92. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 今回機械類貸与制度考えましたのは、従来の設備近代化資金制度では自己調達が半分ございまして、その分の調達がなかなか困難であるという人たちのために新しい貸与制度考えた次第でございます。したがいまして、もしその二分の一の自己調達分が調達できるような中小企業には、なるべく従来の近代化資金を活用してもらいまして、そういうことができないような、より困っておる小規模、零細企業者の方に新しい機械貸与制度を適用をいたしたいというふうに考えております。
  93. 近藤信一

    近藤信一君 設備貸与制度が採用されていくわけですが、これに対する資格条件とか何とかというようなことが考えられなければならぬと思うのですが、その点はどうなっておりますか。
  94. 山本重信

    政府委員(山本重信君) これはあくまでも零細企業小規模企業を対象にして考えておりますので、その資格要件としましては、中小企業の中でも特に零細企業、原則として従業員二十人以下の小規模企業を優先して考えたいと思っております。例外的にそれよりもちょっと規模が大きい程度のものは、もし余裕があれば適用をいたしたいと思いますが、その場合でも最大限五十人以下ということを一つの限界に置いて考えております。
  95. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 いまのに関連して。設備貸与それから近代化資金貸し付け、この両方を比較した場合に、金利の点とかあるいは税金関係、あるいは資金総額、限度額、こういう点その他を比較して、いずれが有利であるかということを具体的に聞いておきたいと思うのです。
  96. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 設備近代化資金のほうは所要資金の二分の一を国または県から貸し付けるのでありますが、その場合は無利子でございます。それに対しまして今度の設備貸与の場合は、貸し付けました場合に貸与料を徴収するわけでございまして、その場合には元本見合い分とそれから貸与利息とを合計した金額を年賦払いで払うことになります。その場合には年利五%以内ということを考えておりまして、金利を計算いたしますと、おそらくさして大差はないということになろうかと思います。しいて申し上げれば、貸与制度によるほうがまず第一に資金の調達面で楽でございます。それから金利の面その他統合計算いたしますと、若干こちらのほうが有利というふうになろうかと思います。もちろんこれは比較いたします場合に前提がございまして、設備近代化資金として半分無利子の資金を国から借りた場合に、残りの半分をどのくらいな金利で借りられるか、そっちのほうの条件にもよる次第でございますが、大体実情から判断いたしますと、機械貸与のほうが若干有利という程度でございます。
  97. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 税金関係は。
  98. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 税金関係は同じでございます。
  99. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業高度化資金におきまして、多額の不用見込み額というものが生じております。特に昭和四十年度の工場団地の新規計画というものは三十一カ所当初予定されたのでそれに基づいて予算を計上をされた。ところが実際には十四カ所しかこれが実行できなかったということになっておるのでございますが、一体あなたのほうの最初の予定とこの実績とは、ではどこでどう食い違ったのか。これは経済不況の関係でこういうことになったのか、特に中小企業の団地計画というものをあなたのほうでは推進しておられるわけでございますから、不況であればよけい中小企業者は工場団地というものを求めておるのじゃないかというふうにも思うのだが、それが逆な現象で四十年度というものが終わった。一体これはどこに欠陥というものがあったか、あなたのほうでどうこれを判断しておられるのか、この点お聞かせ願いたいのであります。
  100. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 実は四十年度は工場団地につきましては、当初計画と実績とがたいへんに食い違いました。われわれとしてもいろいろその原因を探求いたしまして、今後の運営には誤りなきを期したいと思っておる次第であります。  経緯を申し上げますと、最初に昭和四十年度の予算を組みます段階で、一応全国各府県に照会をいたしましたときに出てきました計画の中で、まあこれならばと思われるものが実は三十一あったのでございます。そこで、それをベースにしまして予算を組みましたところが、いよいよ正式に申請を出す段階になりまして、相当部分のものが計画の実施を延期したいということの申し出がありました。その結果十六団地に減ってしまったのであります。さらに、その中で一つの団地は、政府からの助成金をもらわなくても自己調達でできるということでございました。それからもう一つは、助成の基準に合致いたしませんのでこれをはずしまして、結論においていまお話のように十四団地ということになった次第でございます。実は最初に各衆から希望を徴しましたときは、各県ともまだ従来の好況の当時からの一つの惰性というような感じもありまして、まだかなり積極的な投資力を持っておったのでありますが、予想外に景気がよくないというようなことから、こういう計画の繰り延べという事態が出てまいったものと思います。その前年あるいは前々年の当時の実績と考えてみますと、早い時期の団地ほど計画において、若干計画が十分に練られていないようなものがありました。そういう意味では、この昭和四十年度の経験は非常に貨車な経験であるというふうにも考えております。われわれとしましては、今後団地計画を立てていきます場合に、十分に練りに練って、少しぐらいの景気の変動で右往左往しないだけのしっかりした基盤を立てて計画を立ててもらって、そしてそれを推進していく必要があろうかと存じております。昭和四十一年度の計画立案につきましては、その経験を十分に参酌いたしまして、堅実な考え方で計画を立てておりますので、四十年度におけるような計画と実績のそごはきたす心配はないというふうに考えております。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 あなたのほうではいろいろといままでの工場団地計画に対して効果をあげた点、また欠陥があった点について御検討されていろいろと研究もなさっておられると私も思うのです。ところが実際に工場団地に入ってみますると、非常に困難な面というのが多いのじゃないかというふうに私聞いております。したがって、せっかくあなたのほうで御指導されて工場団地をつくられて、運用の面で失敗してつぶれたというもの若干ございます。そこでやはり私は将来の問題としては、中小企業庁で工場団地だけ計画して、器だけつくってやれば、あとはまあうまくやっていくであろう、こういうふうな安易な考え方を持っておられると私は大きな失敗というものがその裏で待っておる、こういうふうに私思うのです。たとえば工場団地で一番欠陥になっておるのは、運営の面でなかろうかというふうに思うのであります。で設備資金には助成金を出してめんどう見ておるけれども、運用の面では野放しになっておる、運用の面では資金中小企業金融公庫なり商工中金のほうで一切やっていくであろう、こういうふうにあなたのほうは考えておられる。ところが実際の面におきましては、なかなかそれはうまくいかぬ面が出てきておる。特にいままで小さな町工場の経営者であった人が団地へ入って共同経営をやるということになりますると、一挙にふくれ上がるわけなんです。そうして大きな一つの経営母体というものになるわけでございまするから、従来の自分自身のやり方と団地のやり方というものには大きな違いが生じてくるわけなんです。そこでいろいろとその衝に当たられる幹部諸君は、がらっと経営自体が変わるから苦労も多いわけなんです。そこで運用の面で資金調達に困る、そうすると市中銀行からこれを融資を受けてこなければならぬ、こういうふうなことで、いろいろと複雑な問題がその裏に出てくるわけなんですね。そこでやはり将来通産省としても、器だけつくるというのでなくして、やはりその中身に対しましても指導育成ということを考えていかなければ、ただ成功するというあまい考えだけでは私はだめじゃないか。いま長官が言ったように、その助成金をもらわなくてもやっていけるという団地も中にはありましょう。しかし、おおむね団地に依存しようというのは助成金が出るし、それから無利子だと、こういうことで飛びついて工場団地へ入ってくるというのも往々にあるわけでございまするから、この点通産省として、特に中小企業庁として今後どのようにその運用の面で指導していかれるお考えを持っておられるのか、その点私お聞きしてみたいのであります。
  102. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 工場団地の運営につきまして、ただいま近藤先生からお話がございました点は、非常に私たちも重要な点と考えております。率直に反省をいたしまして、従来は工場団地をつくる、生み出すことに一生懸命であって、そのあとのアフターケアが必ずしも十分でなかった、こういう御指摘は率直に私たちも認めざるを得ないと思います。特に従来小さい規模でやっておられた業者がお互いに同志的な団結をしまして、新しい組織をつくって運営を始めるわけでございますから、当分の間政府、県、あるいは関係の金融機関が十分にあたたかい目で応援をしてあげる必要があるのでございまして、その点につきましては、具体的に今後のアフターケアのやり方について十分に考えてまいりたいと思います。実は新年度中小企業庁に施策普及室という機構をつくることにいたしております。これの主たる任務は名前の示しますように、中小企業施策をできるだけ中小企業者に広くわかりやすいような形で普及するということにあるわけでございますけれども、同町に重要な任務の一つといたしまして、中小企業行政のレビューということを考えておる次第であります。したがいまして、工場団地のように特に新しい政策につきましては、実際にそれがうまくいっているかどうか、十分にあとを見届ける、こういう役割りもその施策普及室でやってまいりたいと思います。その場合に、運営の面の診断の活用とか、それから特に金融機関との関係等につきまして、何らか一つの仕組みを考えまして、組織化して、自然にそういうアフターケアができるような体制をつくってまいりたいというふうに考えております。
  103. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 関連。いまの団地化の効果の点について、関連してお尋ねしたいのですが、近藤委員も質問せられたごとく、大体団地の実績はあまり上がっておらぬというふうにいわれてきておるのですけれども、このやはり年次報告を見ますと、団地化の効果は、生産実績としては団地移転前に比べれば一四八になる、それから利益は一〇七になっておる。稼動率は八九で、稼動率はかえって下がってきておるにかかわらず、利益と生産実績は上がってきておる。ところが、さっきぼくが質問した近代化のほうは、コストも下がっておらぬもののほうが多いし、それから利益率も上がっておらぬもののほうが多い。評判のそれよりも悪い団地化のほうは、この統計によるというと、全部生産実績なり利益は団地化以前に比べればよくなってきておる。どうもこれは実際と合わぬような感じがするのですが、この点についてはどういうふうに見られておるか、端的率直に見解を承っておきたいと思います。
  104. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 工場団地の効果につきましては、一応この白書でも計数的に発表いたしたのでございますが、何となくこの団地全体があまりうまくいってないというような印象が一般に強く与えられ過ぎているように思います。大部分の工場団地は実はまあ比較的順調に進んでおるのであります。しかし、いずれにしても御存じのような不況下でございますから、当初考えただけの効果はなかなか発掘しがたいというのが実情でございます。どちらにいたしましても、従来の九十四団地のうち、完全に失敗をして急遽再建をしなければいけないというものが二団地、それから計画から遅延しておるものが九団地、それを除きましてはおおむね計画どおりにいっておるわけでございますので、この点は工場団地がいま先生御指摘のようにある程度の効果を上げている、稼動率が下がったにもかかわらず利益は上がっているというのは、やはりそれだけ合理化がうまく実施されているということを示すというふうに考えていいかと思います。これが景気が回復して安定成長路線に乗ってまいりますれば、この拡大された生産能力がその威力を発揮してまいりますので、これはまた収益の面にも大きな貢献をしてまいるかと思います。それから先ほど近代化のほうの効果の点でお話がございました。これは先ほども申し上げましたように、まだ近代化計画推進の途中のラップタイムでございますので、その点まだこれだけからこの評価をするのは実はちょっと時期が早いという点もございますので、その点お含み置きをお願いいたしたいと思います。
  105. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 近代化のほうは個人みずからのおそらく申告でしょうが、税の関係等から辛く申告する、それが統計にあらわれてくる。団地のほうは集団的な関係もあって、直接税関係などに及ぼす不安感が少ないというような点から甘く報告してくる、そういう点が統計に出てくるというようなことはないかどうか、どういうふうに見ておられるのか、その点も承っておきたいと思うし、今後そういう眼光紙背に徹するような行き方による統計の作成、同町に指導をやってもらいたいという感を深くしておるのでありまして、その点についても所見を承っておきたいと思います。
  106. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 近代化促進法の関係の実態調査は、相当数の企業を対象にして抽出調査をいたしました関係で、その申告の内容の信頼度その他についてチェックするところまで実はまいっていないのでありまして、あるいは先生御指摘のような点が若干はあるのではないかというふうにも考えますので、その辺さらにわれわれが確信を持って発表できるような調査をするように今後くふうをいたしたいと思います。
  107. 近藤信一

    近藤信一君 団地で一番困っておるのは運転資金の面だと思うのです。そこで設備資金を運転資金のほうへ回してしまうというような傾向もあらわれてくるわけなんであります。そこでこの団地の、じゃ金融の面はというと、商工中金なり中小企業金融公庫なりで融資をしてもらいなさい、こういうことでございまするけれども、やはり中小企業金融公庫にいたしましても、また商工中金にいたしましても、政府機関というものの、これは独立した一つの金融機関になって、そこで思うようにいかない、まあ極端な例が何言ってるんだ、うちのほうは政府から二割そこらしかめんどうは見てもらっていない、あとはみな自分らでやっているのだ、だからそんなにめんどうは見られないというふうなことも言われるというふうにも私聞いておる面があるわけなんであります。そういたしますると、どうしてもこれは運転資金の面で行き詰まりを生じてくる団地が多いと思うので、そのためには私はやはりその中小企業庁中心となりまして、そういう政府機関の金融関係である同工中金なり中小企業金融公庫なりと、月に一回ぐらいずつは連絡会議というふうなものを持って、そうしていろいろとそこで意見を述べて、中小企業庁としての意見もあろうし、また商工中金なり中小企業金融公庫なりの意見もあろうから、そういう定期的な懇談会というふうなものを持って、やはり工場団地の運転資金等についても円滑にいけるようなことをあなたのほうは考えておられないのか、またそういうことを将来ひとつやっていきたいというふうな構想を持っておられるのか、この点はいかがですか。
  108. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 工場団地がほとんどの場合に資金の面では設備資金相当多額の投資をいたしました結果、運転資金で苦労しておるという現象が出ておりまして、先ほど申し上げましたようなアフターケアを政府政府系金融機関が十分に積極的にやらなければいけないという点については、私も十分に認識をいたしております。いまお話しのような連絡会議を設けることも、実は最近もうすでに実施をいたしております。今後さらにそれを組織化いたしまして、定期的に具体的な案件につきまして突っ込んだ意見の交換をして、そして実際にそれが役に立つようなやり方をするようにこれはぜひ実現をいたしてまいりたいと思います。
  109. 近藤信一

    近藤信一君 ただいま長官からそういう連絡会議のようなものを持って将来円滑にやっていきたい、こういう御答弁でございまするから、私もそれに対しましては非常に賛成をするわけでございます。何といたしましても工場団地の失敗というものは、私はそういう面からくる、特に金融面からくる点が多いと思うのです。それからいま一つは、やはり団地になりますると、どうしても共同作業をやっていくのでございまするから、いろいろな面で合理化する、そうすれば製品というものはいままでの倍くらい上がってくるのですね、生産が高まってくるわけなんです。これは現実に各工場が分散して自分のところでこつこつとこうやっておる場合には、たとえば生産が百とします、そうすると団地へ入りますと、これが百五十なり百八十なりと高まっていくわけなんです。そうすると、そこで一番困るのは今度は販売面に対して困ってくるわけですね。いままでは各工場百ずつつくっておれば十分販売面でもうまく販売ルートに乗っていったわけでございますが、今度はこれが一ぺんに百五十なり百八十なりということになりますると、販売面が今度は困ってくる。ここでまた一つの行き詰まりというようなものもくるという傾向もあるわけなんで、やはりそれらのことをずっと総合して考えますると、先ほど長官が言われましたようにアフターケアをやっていかなければならぬ。そこまで手を取って、あなたが販売面までああせい、こうせいというようなことはこれはできないでございましょうけれども、やはりそれに対するところの一つのサゼスチョンなんか与えてやるというようなことはできるのじゃないかというふうに思うのです。やはりそういうことをしなければ、団地つくっただけでは私は決してこの団地が成功するとは考えられない。特に中小企業庁長官としては、団地造成のためには毎年毎年計画して、そうして予算を計上されるわけでございまするから、いままでは失敗が若干ありましたけれども、その失敗の経験の上に立って、これからの団地に対しては全面的にひとつ成功させるのだ、こういうひとつ態度で中小企業庁としても臨んでいただきたい、このように私思います。中小企業庁長官のひとつ御見解といいますか、それをお聞きしておきます。
  110. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 工場団地につきましては、私は中小企業政策の最も重要な眼目の一つ考えております。一方においてはこれによりまして協業化を進める、同時に他方におきまして従来の中小企業が個々の形ではできなかったような近代化が実現できるわけでございますので、今後も私は中小企業政策の中で最も重要な政策として工場団地を推進してまいりたいと考えます。その際に、すでに過去数年の間に経験をいたしました事柄を十分に反省いたしまして、そしてお話しのように工場団地はこれからつくるものはもう絶対に成功させる、失敗するようなおそれのあるものは最初からもう計画を練り直すなり何なりしてもらう、そういう角度でやってまいりたいと思います。  それから先ほどお話がございましたような連絡会議、アフターケアの仕組みをつくりまして、そこの場では、もし必要があればその工場団地の運営自体につきましても、率直にいろいろ運営の面について気のついたことをアドバイスをするというところまでやはり乗り出してやってまいりたい。ただ一つには、中央でそういうことをするだけでは隔靴掻痒の感がございますから、その具体的なそうした指導につきましては、それぞれの県とも十分に連絡をとって、従来よりもまた一歩踏み込んだ徹底した協力、指導をいたしたいと、かように考える次第でございます。
  111. 近藤信一

    近藤信一君 長官から決意のほどをいまお聞きしましたが、私はやはりこの中小企業政策の一番大きな問題で団地計画というものが計画されておりまするから、やはりこれは全面的に成功さしていく、こういうことでひとつ十分今後力を入れていただきたい。  次にお尋ねいたしますることは、物的担保の不足等によりまして資金調達力の乏しい小規模企業者については近代化協業化があまりこう進んでおらないように思います。政府が明年度新しく機械類貸与制度及び共同工場建設貸与制度を創設することにしておられますが、小規模企業対策として従来の貸与制度によらず、この物的──物融制度といいますか、物融制度をおとりになりましたのには何らかの理由があろうかと思うのですが、その理由についてお尋ねいたします。
  112. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 小規模対策として今回特に物を貸す制度、いわゆる物融制度としまして設備貸与制度と共同工場の建設貸与制度考えた次第であります。その背景をなす考え方は、ただいままさに先生が御指摘のとおりでございまして、従来いろいろと設備近代化あるいは高度化の施策をやってまいりましたが、いずれも原則として所要資金の半分を調達、資金を供給するという制度でございました。残りの半分が調達できない人には、いわば高ねの花であったのでございます。そうした面で各方面から何かそこを打開して一歩前進する方策がないかという要望をお聞きしましたので、いろいろ考えました結果、今回このような新しい構想を打ち出した次第でございます。初年度でございますので、いずれも予算も限られておりますし、設置の個所も少ないのでございますけれども、これは一つには初年度という意味でございまして、これでまずテストケースをやってみて、できるだけりっぱなモデルをつくりたい。それを模範にいたしまして今後できるだけ早い機会に質量ともに充実して、ほんとうに当初ねらいました小規模企業対策事業として実のあるものにしてまいりたいという考えでございます。
  113. 近藤信一

    近藤信一君 共同工場貸与にいたしましても、また設備貸与にいたしましても、制度としては私はほんとうに今度は画期的な制度であろうと、こう思うのです。まあいろいろと従来の考え方からいけば、一歩前進したとも言えましょうが、ところが、実際その予算というものをこう見てみますると、金額的には非常にこれは少ないのじゃないかと思うのです。制度はりっぱな制度であるが、金額、予算が非常に少ない。こうなりますると、今度は数多い小規模企業に対しまして、一体どれだけこの恩恵に浴することができるだろうか。こういうことが私非常に心配になるわけなんでございますが、との点あなたのほうは小規模企業に対してどれくらいの。パーセンテージが見込まれておるのか。この点ちょっと無理かとも思いまするけれども、もしあなたのほうで見込んでおられる予想というものがございますれば、お聞かせ願いたいと思います。
  114. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 御指摘のように、四十一年度の予算は非常に限られておりまして、機械貸与制度のほうは八県で、その件数としましては二千三百件ぐらいと一応予想しております。それから共同工場のほうは全国で三十カ所、それに収容できます小規模企業はまあ六百企業程度でございます。まことに九牛の一毛という感がいたすのでございますが、これはあくまでも最初のテストケースという性格のものでございますので、その点は御了承いただきたいと思います。将来どこまでこれを拡充していきますかにつきましては、現在まだ申し上げるような見通しを実はつくっておりませんですが、これは初年度の実績を見ながら、ぜひ画期的に拡大をしてまいりたい。先ほども大臣中小企業対策について太い線を出そうということを言っておられましたが、まあ私は私なりにそれを解釈いたしまして、中小企業対策にこれから厚みをつけていくことが必要だというふうに思いまして、こんな制度もそういう意味で新しい道をつくっただけでなく、それに厚みをつけてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  115. 赤間文三

    ○赤間文三君 近藤委員の質問に関連して私も御質問申し上げたいと思います。この今度の通産省が出された機械貸与あるいは工場アパートの計画、これは非常に画期的なもので、山本長官のときにこういう制度が起こされたというのは長く歴史にも残るくらいに私は自分なりに考えております。非常にいい制度であるというふうに私は惜しみなく賛辞を呈するのでありますが、ただ近藤委員もおっしゃったように、国の施策としては非常に量が少ないのじゃないかということは全く同じ考えです。やはり全国中小企業というと、三百五十万とか、零細企業にしましても実に多い。その全部に行き渡るようにやれというのは、言うほうが無理かもしれぬが、相当そのことが効果を零細企業の育成に貢献をする程度のものをやるべきではなかろうか。大体常にその初めのときは試験的と言う。試験的なものは将来大阪府とか東京あたりにおやりになって、国家がこれをやるからには、もう必ず効果が一〇〇%あがって間違いがない、こういう制度をやられて、国が試験的制度をやられることについては私は研究の余地があるとこういうふうに考える。私は大阪の知事を十二年やっていましたときには、中小企業制度というものは通産省と連絡とりまして、いいか悪いかわからぬようなものは大阪府が時の知事の責任においてやってみた。よかったらその効果を通産省にいち早く報告して、間違いないから御採用願いたいということで十二年間私は努力をしてきた。それはやはり国費は重要なものであり、いいか悪いかわからぬうちにこれを始めるということは慎むべきことかもしれない。しかしながら、もういいときまったら、やはり相当のこれだけのことをやればこれだけの努果があると、それまでまたあとからこれだけのことをやったから、これだけ国費を費やしたからこれだけの効果があがったと、数字であがるものは数字でこれを発表せられると非常にありがたみがわかる。数字で言えぬものがある、そういうものは文句でこんな効果が上がったということをやられるようにされたほうが私は親切であり、また徹底をするんじゃないかと思う。たとえばいまの制度なんかは、まあ私はしろうとであまりわかりませんけれども、漏れ承るところによると、たとえば東北の宮城県でしたか、どこかがやって、効果が何か相当上がったとか何かということも漏れ承っておるから、もう試験の域を脱しておる。こういうものこそ相当やっぱり零細企業にこたえる程度の施設をおやりになるということがよくないか。これは私はいま思いついて言うのじゃなくて、過去からまあいいか悪いか試験的な意味があるから予算も少ないということをたびたび聞かされる。ほかの例にもあるのです。そんなものは府県に命じてどんどん何ぼでも試験研究をさせられたら、おそらくいやとは言いますまいと私は思う。そういう意味からひとつやる。やれば、いま近藤委員がおっしゃったように、一〇〇%の効果が上がり、そうしてやっただけの大きな期待が持てるということに、将来の行政をやられることが望ましいのじゃないかというような私は私見を持っておるのです。それが第一点。  それから、それについてどういうふうに考え、将来おやりになるものはいやしくも相当こたえると、こたえると言っちゃおかしいが、何と言いますかな、効果が現実に相当上がる程度の規模のものをおやりになるということについての御所見はどうか。試験研究は府県にどんどん仰せつけられるように。それでいままでどれだけ試験研究を府県に仰せつけられたか、あるいは府県でそれを喜んでやったか、あるいは断わったか、こんなことの実例もあるならばお教えを願いたい。  それから、これは少しくどくなるかもしれないが、どうしても私は承らなければならぬと思うのは、この百番の中小企業の動向等に対する年次報告の八十五ページの第二十四表ですね、二十四表に、いろいろな近代化をやって、指定前よりも一割ないし三割この純利益率が低くなった、あるいは指定前とほとんどもうやったけれども変わらぬというのが六四%とかという表が、さっき話があったのでありますけれども、これは非常に私は聞いてもわからないのです。ほっておけば下がったので、これはこの程度のもの──というのは、そういう御説明は私にはわからない。私も困ったときにはそういうことを背は答弁したことがあると思うけれども、やらなかったらもっと悪かったのがこの程度に食いとめたので、これはありがたいことであるというのは、これはせっぱ詰まったときにそういう答弁は過去において私もやったことがある。しかしながら、いやしくも近代化をやれば、やらぬときよりも少なくとも私は大体二割でずっとやってきた。近代化のときには二割以上の成績が上がるというものに近代化をやる、そのかわりにその機械のどこの部品を取りかえ、どこの施設を取りかえればどうなるかということを事前に診断員とか何とかというものを回してやって、そうしてそこには大いに近代化をやる。上がるか上がらぬかわからぬようなものはもうあと回しにしていく。この点何か豊田先生がお尋ねになったそうだけれども、何か私の聞き違いか知らぬけれども、やらなければもっと下がってたかもしれぬけれども、この程度に食いとめたというような御説明にはどうも納得がいきにくいと思うから、その点をひとつお伺いをしたい。  第三点は、こういう近代化はもっとやっぱり手続を簡単にする。その中小企業の生命ともいうべき設備近代化などは、診断員などを思い切って国じゅうにたくさん置かれて、中小企業設備を徹底的に診断をして、この部面をやれば一割能率があがる、この部面をやればあがるというようなものを各府県と協議されて、徹底的に大じかけにやられて、もし大じかけにやられるなら、一年に百億とかいうそんなはした金ではやれないと私は考えておる。今日機械の新設その他いろいろのものをやることを考えておる。そういう点からみて、その点について重ねて御質問を申し上げるが、どうもわかりにくいということであります。  それから第三点は、農林関係の予算とこの中小企業予算とは、財政投融資の点を計算に入れると、大体においてバランスがとれているというような説明をたびたびにわたって聞いておる。ところが、われわれが地方に出てみると、中小企業に対する政府の力の入れ方が少し足らないのじゃなかろうかという人があるから聞いてみたところが、三百五十万からのあれがあるのに、予算が比較的少ないというようなことをわれわれはよく聞かされる。こういう点についてやっぱり予算と財政投融資というふうなものを一緒にするということは私は意見がある。財政投融資が多いから予算が少ないんだ、合わせれば匹敵するんだ、その点私はわからない。私はやはり予算予算、財政投融資は投融資で性質が違うと考える。財政投融資を主として考えるのは、大蔵省を根幹として金融その他の点については当然考える。やっぱり通産省としては経済政策からいうならば、予算相当組むというところに助長行政通産省のあれがあるんじゃないか、こういうことも考えられる。それと通産省の要請としては、方針をきめれば業者はひとりでやっていくだろうということはよくわかるが、戦後はすっかり変わったから、やはり私は行き方は農林省の予算と大体似たような組み方のほうが適当じゃないかと思う。  以上、ちょっと私関連であまりやると御迷惑でありますから、ぼくもはしょりまして、私の言うことがよくわからなかったかもしれませんが、大体想像しながら御答弁を願うということにしてもらいたいと思います。
  116. 山本重信

    政府委員(山本重信君) お答えいたします。まず第一に、国が施策としてやる以上は、単なるテストケースというようなことでなく、本格的に量的にも十分にやるべきだ、必要があれば県の段階で試験的なことをやってもらったらどうかという御意見でございまして、それは私はまことに貴重な御意見だと思います。実は今回機械貸与制度を取り上げます際も、各県の経験をいろいろ調査をいたしたのでありまして、それは非常に参考になったのであります。現に宮城県あたりではたいへんうまく運営しておりましたので、いろいろその点でわれわれのほうの制度の中にもそれを取り入れた次第でございます。そこで、それならば思い切って最初からもっと量的に拡大してやったらどうかという御意見でございます。実は本件はいよいよ具体的にやるということになりましたのが若干時間的にも切迫をいたしておりまして、実施機関は特に県段階でございますので、県のほうの受け入れ体制をとらせるのも若干時間が切迫し過ぎたという点もありまして、はなはだ少ない県しか対象に取り上げられないということになったわけでございますが、この点は、御趣旨の点は十分に私どもわかりますので、できるだけ早い機会に、これは全面的にできるだけたくさんの県がやるように、そしてまたその規模も大きくするように努力をいたしたいと思います。そういうことで御了承をお願いいたしたいと思います。  それから第二の点は、白書にありますが、近代化促進法の関係の統計の数字でございます。これは先ほど豊田先生からもいろいろな角度から御質問いただいたのでございますが、若干ふえんとして申し上げますと、八十五ページにあります「原価の節減割合」という表でありますが、近代化計画を推進いたします場合に、原価につきましては、各業種ごとに五年後の目標というものをつくっております。で中には、たとえばマッチでありますが、マッチは一方においてやはり賃金が相当上昇する、それに対して合理化をする、あるいは原材料費の節約をはかりまして、プラスとマイナスを総合して、五年後には八%コストダウンをしよう、これが一つの目標になっております。それから家具につきましても同じような過程を経まして、五%切り下げという目標が出ております。それから片方、たとえばみそとか、しょうゆでありますが、これは労賃の上昇、それから片方合理化による効果と彼此勘案してみますと、どうしても引き下げまではいかない、よほど合理化を努力することによって、目標としては、コストの上昇を防ぐということを目標にしておるようなものがございます。これは業種によってかなり幅がございまして、コストが上がるのはやむを得ないという業種はこれはございません。一番悪いところでコスト上昇防止というのを目標にしております。それからコストダウンを最も大幅にやろうというところで大体二割というのが一つの限界でございます。そういうことからこの八十五ページの表には、原価は指定前と変化なしというのが六割余りになっております。一つには、これは五年計画のうちの途中のラップ・タイムでございますので、その目標と必ずしも一致していないんでございます。それから原価が指定前よりも引き下げができたというのが、八割前後と九割前後というのを合わせまして、二三%ぐらいになっております。二三%はコストダウンができた。それから原価が高くなったというのが一五%ぐらいだと思います。ですから、ある業種ではやむを得ず高くなった、しかしそういう業種はおそらく原価上昇を防ぐということに懸念になっている業種というふうに読まざるを得ないかと思います。それから、これはある意味で不況下の状況を反映しておりますので、そういう点でこれが経済が安定成長の路線に乗ってまいりますれば、もう少しいいデータが出てくることが期待できるのじゃないかというふうにも考えます。それから、実は先ほど豊田先生からお話がありましたが、どの程度正直にこれは申告しているかという点でございます。これは相当たくさんの企業から一斉に中小企業庁で集めましたものを集計しましたために、その点のチェック等は必ずしも十分にいたしておりませんので、その辺にも若干なにがあろうかと思います。  それから第三の予算と財政との関係でございます。これは、これから中小企業政策を実行していきます場合に、私は端的に言いまして、相当画期的に予算はまだふやしていただかないといけないんじゃないかという気持ちを持っております。その点は農業の予算等も御参考にいたしまして、どの程度の規模にまで持っていったらいいか、また中身にどういうものを織り込んでいったらいいかというような点については、次の四十二年度予算を目標にしてせっかく検討をいたしたいと存じます。
  117. 赤間文三

    ○赤間文三君 よくわかりました。
  118. 近藤信一

    近藤信一君 今町の共同工場貸与制度とそれから工場団地制度、これは非常に似通ったものであると私思うのですが、この似通った制度で両方並列してやられるわけでございまするから、どこかにまた相違点というものがあろうかとも思うのです。相違点は一体どこにあるのかということと、それからこれらは似通っておるのでありまするから、工場団地と共同工場、これの併設というふうなこともあなたのほうではお考えになっておられるのかどうか、この点いかがですか。
  119. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 今回工場アパートを考えました動機の一つは、従来の工場団地という方式では対象にしにくい小規模企業の代近化、協業化を推進しようというねらいでございます。したがいまして、両者の相違点の一番根本は、対象が違うということであります。工場団地に入る人はある程度の規模で、五十人とか百人くらいの従業員を持っているところが普通だと思います。それに対しまして、共同工場のほうは原則として二十人以下、家内工業的なものも含めた小規模零細企業がその主体になる点でございます。その結果、自己資金の負担割合でございますが、工場団地の場合は二分の一でございますが、それに対しまして共同工場の場合は、最初は二割だけ自己調達をする。それも実はまたいろいろめんどうをみることを考えておりますが、二割以内ということで負担を軽減をいたしまして、零細企業でもこの共同工場に加入できるようにいたしておるのであります。  それから運営の主体は、工場団地の場合は組合でございますが、共同工場の場合は県が運営の主体になるのであります。  それからでき上がりの形を想像して見ますと、工場団地はある地区に工場がそれぞれ敷地を並べて独立した工場が集まるという形でございますが、共同工場の場合は一むねに幾つかの小規模企業が一緒に入る、こういう形になると考えております。  そこで、この両者が並存し得るかどうかということでありますが、二重に助成するということは、これはむずかしいのでございますが、たとえば団地のすぐ隣に工場アパートが隣接してつくられる、そして実際には工場団地の中の一つのメンバーとして共同工場が機能を営むというようなことは十分に考え得ると思います。
  120. 近藤信一

    近藤信一君 今度の共同工場はやはり工場アパートというふうなかっこうであるわけなんで、やはりアパートということになりますると、立体的なものをおつくりになるお考えであるのか、それとも長屋式のことを考えておられるのか。または貸与されるわけでございますから、貸し住宅みたいに一戸一戸独立した、団地の計画のような独立した小さなのをおつくりになられるのか。いまあなたのほうの構想としてはどちらの部類に属してお考えになっておられるのか、この点ちょっとお聞きしておきたい。
  121. 山本重信

    政府委員(山本重信君) まず、むねは原則として一つのむねに集合して入るということを考えております。これはその作業の性質その他によりまして、必ずしもどうしても一むねでなければいけないと、いうことはないと思います。場合によれば分けることも考えられますが、一軒一軒が独立して小さな小屋みたいなものが並ぶということは考えていません。  それから平屋か、立体式かという点であります。実は最初「工場アパート」ということばを使ったのを途中で「共同工場」というふうに変えましたのは、工場アパートというと、つい立体的なものがすぐ連想されます。それでそれを避ける意味で共同工場というふうにしたのでありまして、これは作業の性質、それから場合によりますと、土地の価格等とも勘案して、その実施の主体になります県が最も適当な形を考えてもらえばいいと思っております。したがって、あるものは立体式のものもありましょうし、あるものは平屋式のものもあろうとふうになろうかと思います。
  122. 近藤信一

    近藤信一君 共同工場でございまするから、やはり何といいますか、事務所というふうなものが若干必要になってくる。これはたとえ小さくても事務を処理する部屋というものが要るわけなんでございますから、そういう事務所などはこれはほんとうの共同というほうが、私は効率的であり、またいろいろな経理面からいきましても、このほうが少なくて済むのじゃないかというふうに考えるわけでございまするけれども、やはりこれはあくまで独立した工場、特にこれは小規模を対象にしておられるわけでございますから、曲がりなりにも小さな工場の中で小さな事務所を持ってそれぞれの施設をやっていくというふうに考えておられるのか。それとも、そういう共同でできる問題は共同のところに一カ所で一つの施設というふうなものをあなたのほうで考えてこれを貸与されるのか、この点いかがですか。
  123. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 共同工場の設計は、その実施母体であります県において設計をいたしますので、第一次的にはその県が、そのときの入居者の希望、それからその業種業態等を勘案して、最も都合のいいものをつくっていただければいいわけであります。しいて私のほうのいま考えております線を申し上げれば、できるだけこの機会に共同化を進めていただきたいという希望があるわけでございます。したがいまして、事務所等につきましても、なるべくもう共同の事務所を一つつくって、そこに入っている人は、事業者としては一応独立ではありますけれども、事務はもう共同のところで済ます、こういう形が最も好ましいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  124. 近藤信一

    近藤信一君 小規模事業者を対象とするのでございまするから、それはあくまでも既存の業者というものが対象になるのか、やはり小さな工場を持ちたいと考えて、現在実際は工場をやっていないけれども、そういう制度もあって、そういう工場を借りられるならば、自分もひとつ工場をやろうというふうに考えておられる人もあるわけなんでございますが、この貸与対象というものは一体どの辺に置かれておるのか、この点をお尋ねいたします。
  125. 山本重信

    政府委員(山本重信君) とりあえず新年度の実施計画といたしましては、すでに三十の計画相当具体的に出ております。その具体的な計画におきましては、すべて既存企業者が集まるという形でございます。おそらく今後も当分の間は新企業者を考えるよりは、やはり既存の業者協業化、それによる合理化を考えることのほうがより緊要であろうかと思いますので、とりあえずただいまのところでは新企業者というものは考えていない状態でございます。
  126. 近藤信一

    近藤信一君 共同工場貸与制度の対象としては、あくまでも小規模企業が対象になるわけでございますが、そこで問題は業種を限定されるのか、同じ業種一つのところにお集めになられるというお考えを持っておられるのか、それとも業種は幾ら変わっても何でもいいんだ、いろいろと鉄鋼関係あり、木工関係あり、繊維関係ありというふうに、業種は雑種であってもこれが対象になっていくのか。また建設を予定されるわけでございまするが、一体建設地区というのはどこに置かれるのか。たとえば安い資金でつくるわけでございまするから、とんでもない遠いところに安い土地を求めて建てるということもございますし、また市内からほど遠からんところに建設するということもあり得ると思うのですが、一体その建設の予定地区というのはどういうところに一体あなたのほうはお求めになっておられるのか、この点もあわせてお尋ねをしておきます。
  127. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 業種につきましては、特定の共同工場に入る人は同一または関連業種に属する零細企業者というふうに考えております。実は過去におきましていわゆる工場アパート、貸し工場というものが民間ベースで行なわれたことがございまして、相互間にあまり関連のない人がただ空間を使うために借りて集まっておるというようなことが行なわれた例がございまして、どうも必ずしもそれによって協業化の実はあがらないし、十分な成果をあげなかった例もあるように聞いております。今回の制度は、これによって個々の企業者の近代化をはかるということのほかに、これによって協業化を進めるという大きなねらいがございますので、やはり共通の目的を追求する業種あるい関連業者であって、お互いに有無相通ずる関係にある人が同一個所に集まることによって能率をあげ、また規模の利益を追求できるような体制をつくるということにしぼって考えておる次第でございます。したがいまして、もう最初から入る人を予定して、そして具体的な入居者を予想して、一番使いやすい工場アパートを建設するということにいたしたいと思っております。  それから次に建設地区でございますけれども、特に限定してまいる考えはございませんけれども、多くの場合に、都市計画その他まあ市街地の整備計画のあるところが多いと思いますので、そういう一環として、そちらの観点からも特に支障がない、あるいはむしろ積極的に進められるようなところを選んで立地することが望ましいと考えておる次第でございます。
  128. 近藤信一

    近藤信一君 設備貸与制度の実施機関は民法法人の貸与機関ということでございまするが、都道府県が直接これを実施したほうがいいのでなかろうかというふうに考えますし、また工場貸与制度のほうは実施にあたって実施機関というものが設けてないわけでございまするが、これは一体なぜ実施機関というものを設けなかったか、この点はいかがですか。
  129. 山本重信

    政府委員(山本重信君) やや類似したこの二つの制度の実施機関を異なる制度考えましたのは、まず第一に設備貸与制度でございますが、これは県が出資する公益法人に実施してもらうことにしております。その理由は、県自体が実施いたしますと、貸与すべき機械が県の所有になりまして、なかなか県自体で取り扱いがしにくくなる点がございます。それから機械貸与を通じましていろいろ指導事業もあわせてやっていく必要がございますので、県自体でなく、別働隊をつくりまして、そしてある程度きめのこまかい指導も続けてまいれるような体制をつくることが必要であるということから、設備貸与のほうは別働隊を考えた次第でございます。  共同工場のほうは、実は地方公共団体でおおむねこれに類似しました建設事業を直営でやっておる経験が相当ございますので、県のほうの意向でも、これは県自体がやることで支障ないという見解でございます。それからすでに府県におきまして、住宅公社とか、開発公社というようなものがありまして、これに類似した事業を別働隊でやっておりますところには、県からそうしたところに委託できる道を開きまして、それによって実情に合った運営ができるようにいたしたいと考えております。
  130. 近藤信一

    近藤信一君 設備貸与機関組織機構について、あなたのほうはどのように考えておられるのか。それから名称とか組織とか、その業務方法の基準、こういうことについて何か統一した具体的な方法であなたのほうではきめて、この事業の運営をはかっていくというふうに、何かの具体策というものがあろうかと思うのですがこの点はどうですか。
  131. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 今回の機械貸与制度を運営いたします機関は、性質上公共的な機関であることが必要でございますので、法律上貸与機関は地方公共団体から全額出資する公益法人に限定をいたしておりまして、さらに法律上一定の要件を定めておる次第でございます。具体的な貸与機関組織機構につきましては、おおむね総務関係の部門、審査関係部門、それから貸与関係部門及びその後の指導関係の部門、こうした部門を持つことが必要であろうと考えておる次第でございます。
  132. 近藤信一

    近藤信一君 機械貸与制度は、もうすでに各府県でやっておるところもあるように私聞いておるわけでございますが、今度国の助成でこれができるということになりまして、現在府県からの申し込みというものがほとんどないということを聞いておるわけなんですが、これを一体各府県でもうすでにやっておるというところもあれば、これはその他の府県におきましては、もっとたくさんの申し込みがあってもふしぎじゃないと思いますが、この点あなたのほうではどう判断をしておられるのか、お尋ねいたします。
  133. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 御指摘のように、現在すでに機械貸与制度あるいはそれに類似の制度をやっておるところがございまして、東北地方の宮城、山形、福島等がそれでございます。今回国で新しい機械貸与制度を設けることになりますと、こうした県では従来からやっております制度の中にこれを新しく組み入れまして、そして国の補助を得てやる事業と、それから県が独自でやっておる事業とを両者併存して運用するということになろうかと思います。と申しますのは、県でいたしておりまする制度は、必ずしも小規模零細に限りませんで、かなり規模の大きいところも対象にしておるようなところもございますので、そういう点におきましては、従来からの制度をそのまま続けていく、国のほうの小規模企業を主体とする制度は、さらにこの際国の補助金も得て規模も拡大をして、そちらのほうに重点を置いた運営をするという考え方でやってまいる方針でおるように県のほうから聞いております。
  134. 近藤信一

    近藤信一君 機械貸与制度でこれは工場近代化していこうということでございまするから、相当高額な機械というものが貸与されることにも相なろうかとも思います。額の少ない機械であれば、これはあなたのほうとしても幾らでも貸し出しができるわけでございますけれども、これが高額な機械ということになりますると、非常にこの予算面からいきましてもなかなかたいへんなことになろうかと思うのですが、あなたのほうでは一体機械の限度額というようなものを何か考えておられるのかどうか、この点はいかがですか。
  135. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 対象になります業者が小規模零細でございますので、おのずからそう高額な機械はないかと思いますけれども、一応どこかに線を引きまして、あまり高額なものはかりに希望があっても遠慮していただくというようなことが必要じゃないかと思っております。現在のところまだその限度を幾らにするかについては結論は出ていないのが実情でございます。
  136. 近藤信一

    近藤信一君 衆議院の附帯決議の中で、建設機械を除くように附帯決議になっておるわけでございますが、現在建設機械の貸与制度というものが行なわれておるわけなんです。建設機械貸与何とかといって中央にありますし、今度はそれを各地方に建設業者がつくりまして、地方にもこれの組合を結成したのでありますが、一体この現在の建設機械の貸与制度の内容というふうなものについて、あなたのほうで何か把握しておられますか。
  137. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 今回機械貸与制度を実施するにあたりまして、民間ベースでの建設用機械貸与業というものが相当あるという話を聞きまして、建設省とも連絡をとりまして実情調査をいたしましたところ、全国で約二千くらい貸与業をしておる業者がある、いずれもその大半がいわゆる中小企業でございますので、私たちといたしましては今度機械貸与制度をつくるのにあたりまして、せっかくそういう中小企業が建設用の機械について貸与制度を運営しておるとすれば、そういうふうにものをこの新しい制度によってじゃまをするということは全く本旨ではないので、機械貸与の場合の建設用の機械は当分の間これを除外をいたしまして、そこでなお実績もよく検討しました上で、かりに将来必要であるというような事態が来ましても、その場合にはよく実情を調べて、万が一にも既存の業者に影響がないように、この点は慎重に配慮をいたしたいと思っております。結論といたしまして、当分の間建設用機械は適用対象からははずす考えでおります。
  138. 近藤信一

    近藤信一君 これはあなたのほうと直接関係はないから御存じないかもわかりませんが、やはり建設業界がやっておりまするところの機械貸与に対して、国からこれは助成金なんというものが出ておるのか、何かの応援をやっておるのか、この点おわかりでございますならばお聞かせ願いたいと思います。
  139. 山本重信

    政府委員(山本重信君) ただいまのお尋ねの点につきましては、私のほうの調査が不十分でございますので、なおよく実情を調べまして、その上で御返事申し上げたいと思います。
  140. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 たいへん時間がおそくなって申しわけないのですが、いま審議されておるものとは別の問題でもよろしゅうございますか。
  141. 村上春藏

    委員長村上春藏君) どうぞ。
  142. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 長官にちょっとお伺いしたいのですが、実は農協のスーパーの購買活動が非常に活発に行なわれてきておるので、小売り商業者が非常にいま悩んでおるのです。実はきょうも全国の商工会の会長会議がございまして、ある県の会長からも切実な問題としてこの問題を取り上げてくれと、そういう点で議論が活発に出たんです。内容はもうすでにあるいは長官は調査されているかどうか知りませんけれども、農協が堂々と新聞に織り込みをして、そして物資を日用品、雑貨まで安く売ると、こういう点で小売り商業者が非常に脅威を感じており、こういう問題に対して長官は中小企業者特に小売り商業者の現状を調査されて、農協スーパーとの摩擦がある市町村はたいへんあるのだけれども、そういう点について調査されたことがあるかどうか。  それからそれに関連して、小売り商業者は特に税金も納めなくちゃならない。それからマージンによって生活しなければならない。ところが農協のほうは、農協全体の経営の面から考えて物を売るのですから、販売価格は相当薄利で売るというような点については確かにやれるわけなんです。ところが、商業者はそれに対抗できない。それである町村においては、農協と小売り商業者との摩擦が非常に行なわれているところも私ども実態を見て知っておるわけでありますが、これに対していい案があるかどうか。  それからもう一つは、農協を監督する農林省のほうの関係と、それから通産省、特に中小企業を担当の中小企業庁あたりでこの問題を上の段階において調整する意思があるかどうか。実はわれわれの県で、その問題について農協の経済面の関係の幹部と商工関係と一堂に会してこの問題を取り上げていこうじゃないか、こういう点で話し合ったのですが、追いつかなかった。これは追いつきっこないのです。ひどいのは経済連が各町村に出張所を設けて、出張所を設ける場合には補助金まで出して、そして購買活動を活発にやる。こういうことまで堂々とやっておる現状でありますが、この点をどう対処していったらいいか、どう考えておられるか、ちょっと聞いておきたいのです。
  143. 山本重信

    政府委員(山本重信君) 農協スーパーの進出が最近非常に顕著になりまして、そのために小売り商が脅威を受けているという話は、実は再三耳にいたしまして、私自身も非常に気にしておるのでございます。いままでの経緯からいきますと、農協は農協の守備範囲で仕事をするということで、一応たてまえはそういう問題が起こるはずがないようになっておるのでありますけれども、私おそらく実際問題としてはそううまくいっていない、方々で問題を起こしているというのが実情であろうかと思います。それで、お尋ねのそれについて実態調査をしているかという点でございますが、これは率直に申し上げまして、網羅的な調査をまだいたしておりません。ですから、これはできるだけ早い機会によく実態調査をいたしまして、そしてこの問題の所在をもっとわれわれ自身としてもはっきりつかんでまいりたいと思います。それから個々の案件につきましては、たとえば新潟県とか佐賀県とか、特恵の地域で特定の商品について問題になったもので、持ち込まれておるものもございまして、それについては農林省のほうに連絡をとって、農林省がまず実情を調べるというようなことになっておるようであります。しかし、その体制が必ずしも切迫した現状に合うような政府側の体制になっているとは私自身もちょっと考えません。若干こちらのほうの手の回りかねておる点もございますけれども、かなり問題が深刻になっておりますので、私もできるだけ早い機会に本腰を入れて実態調査をし、さらにその解決をどうしたらいいかについて積極的にひとつ考えてみたいと存じます。
  144. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 そこで農協の関係は、やはり全国的な組織を持っておる。購買関係もやはりしっかりした組織を持っておりますし、それから主体は組合員の利用ですから、結局販売の面で金が上がらないということはないわけです。結局農産物を出荷したその預金のうちから差し引くということができますから、相当安く売っても心配がない。そういう点は非常に農協は強みだろうと思う。しかしその回りの付近にある中小企業、ほんとうの小売り両業者は、現実に物を売って利益を得て、税金を払って生活をしておる。貸しができた場合には、これはなかなか今度はやっていけな  い現状になっていると思う。そういう点から考えて、これは各地でこの問題に対して各県連で取り上げて、大会を開いて、これをもっと農林省と中小企業庁あたりで折衝できる段階まで持ち込まなければ、相当脅威が今後続いてくるのじゃないか、こういうことを非常に心配しておるわけです。いま長官の答弁を聞いておって、そう切実な問題でない点もあるように感ぜられるというのは、ちょっと私たちから見ると認識が薄いと思うんです。これは実態調査を至急やっていただいて、この問題に積極的に取り組んでいただきたい、この点を特にお願いします。  それからもう一つ聞きたいのは、こういうことを言っておるのです。いわゆる農協が物を売って、結局員外利用を非常に獲得しようということで、チラシまで入れてやっていることは事実です。これを許しておいたらたいへんです。それと採算の面から考えれば、税金の関係がこれは商人と違いますから、結局農協全体の経営の面で考えているから、税の面なんか考えなくてもいいし、利潤も少なくてもいい。そういう点から考えると、商業者から言えば、できれば購買活動はやっちゃいかぬとは言わぬけれども、それだけ独立した物の販売体制に持っていっていれば、利潤もある程度見なければならないし、それから組合員の利用ということにできるだけ制限をしていったらどうかというようなことにまで話し合いを持っていけないかどうか。その点にもう一つ留意せられて、この問題に積極的に取り組んでいただきたい。これに対して長官がこれからいろいろ調査されると思うのですが、これは非常に差し迫った問題が各地にある。問題が起きつつある。この問題について真剣にひとつやっていただきたい。この点を特に要望しておきます。
  145. 山本重信

    政府委員(山本重信君) ただいまお話のありました点につきましては、相当に問題が重要かつ切迫してまいっておるように思いますので、早急に実態調査をいたし、そうしてその対策を積極的に考えるように努力いたしたいと思います。
  146. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 いまの近藤委員の発言に関連してですが、豊協関係の事業分野の調整は、この膨大なる年次報告にも全然出ておらぬのです。小売り商業関係については、百貨店法関係ぐらいのものが出ている程度で、これでは中小企業省をつくらんならぬなんという議論が出てくるのですよ。ここに問題があるわけなんだから、少なくとも早急に調査せられることはもちろんだけれども、来年度からの年次報告には、事業分野の調整については、大企業関係のみならず農協関係、それも農協スーパー、農協デパートなどについて精細なる調査が出てこないと、君などが一番おそれをなされる中小企業省創設の必要ありという議論が、また具体的な問題として出てくるであろうことを警告して、今後十分にひとつ、いま近藤委員の触れられた問題について真剣なる調査を整えられるように要望しておきますが、御意見はどうですか。
  147. 山本重信

    政府委員(山本重信君) ただいま御意見のございました点、私も十分にその御趣旨がわかりますので、その線に沿いまして早急に努力をいたしたいと思います。
  148. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発祥もなければ三案に関する質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。午後五時八分散会