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1966-03-22 第51回国会 参議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十二日(火曜日)    午後一時五十四分開会     —————————————    委員の異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      久保  等君     永岡 光治君   出席者は左のとおり     —————————————     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 剱木 亨弘君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        公正取引委員会        委員長      北島 武雄君        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省重工        業局長      川出 千速君        工業技術院長   馬場 有政君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君    説明員        工業技術標準        部長       西家 正起君     —————————————   本日の会議に付した案件機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○工業標準化法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会で協議いたしました事項について御報告いたします。  本日は、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由説明を聴取いたしました後、工業標準化法の一部を改正する法律案及び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案審査を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、予備審査のため、本委員会に付託されました機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。堀木通商産業政務次官
  4. 堀本宜実

    政府委員堀本宜実君) 機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  機械工業は、御承知のとおり、これまで経済成長のにない手として、飛躍的な発展を遂げてまいりました。さらに、今後においても、開放経済下におけるわが国産業構造の中核として大きな役割りを果たすものと期待されております。現行の機械工業振興臨時措置法も、このような機械工業重要性にかんがみ、その振興をはかるため、昭和三十一年六月に制定されたものであります。当初は、五年間の限時法でありましたが、昭和三十六年に貿易自由化に対処して、その内容を拡充、強化し、五年間延長されたものであります。制定以来十年間、本法機械工業設備近代化生産体制整備を通じ、機械工業体質改善に相当の効果をあげてまいりましたが、本年六月をもって廃止されることになっております。  しかしながら、わが国機械工業は、設備近代化生産体制整備について、なお解決すべき問題をかかえております。すなわち、機械工業設備については、新鋭設備が増加した反面、老朽設備の比率もまた増加しております。また、専門生産体制の確立や企業規模拡大も、たまたまこの十年間が機械工業躍進期に当たっていたこともあって、必ずしも十分な成果をあげ得たとは申せません。他方、従来までの機械工業成長は、活発な設備投資を中心とした内需の伸びを基盤としており、輸出は相対的に立ちおくれていたのでありますが、今後は、内需拡大もさることながら、輸出について従来以上に積極的な努力を傾注しなければならないと考えられます。  かかる情勢のもとにおいて、今後のわが国機械工業がその課せられた役割りを果たすためには、これらの問題を解決し、その国際競争力をさらに強化することが必要でありますので、この際、さらに本法有効期間昭和四十六年三月まで延長するとともに、機械工業技術水準の向上をはかるため所要の改正を行なうことといたしたいと考える次第であります。これが本法案を提出するに至った理由でございます。  次に、本改正案内容について、その概略を申し上げます。改正の第一点は、ただいま申し上げました理由により、本法有効期間昭和四十六年三月三十一日まで延長したことでございます。  改正の第二点は、今後の機械工業振興をはかるためには、生産面合理化に加えて、技術開発を促進する必要がありますので、特にその必要の強い分野について技術開発に関する振興基本計画実施計画を策定することができるようにしたことであります。  以上、本改正案の要点を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださらんことをお願いいたします。
  5. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 自後の審査はこれを後日に譲ることといたします。     —————————————
  6. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、本院先議工業標準化法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 工業技術院長にこの前の大臣答弁を受けて質問いたします。  まず第一は、昭和二十四年にこの工業標準化法制定され、これに基づきまして、三十九年度末現在までに六千余件の工業規格制定されておるのでありますが、まず初めに、わが国工業標準化現状について御説明を願いたいと思います。
  8. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 工業標準化につきましての経緯は、いま先生のおっしゃったとおりでございますが、これがそもそも制定されました当時におきましては、物がむしろ足りないというような状況であったわけでございます。そこで物を急速に、しかも品質のよいものを確保するというためには、こういうふうな工業標準化事業を推進いたしまして、一定の規格をきめまして、そうしてつくればものも安くなるし、また急速にそういうものを補給することができると考えた次第でございます。いま御指摘のように、その後官民力を合わせまして、現在の規格は六千五百になっておるわけでございまして、その場合に指定品目は千四十、それから表示許可工場は八千五百というような数になっておる次第でございます。この表示許可工場延べの数でございまして、一工場におきましても数種の指定品目をつくっておるところがございますので、指定品目に比べまして表示許可工場が八千五百、こういう状況でございます。現在のところこの規格に関しましてはわりあいに、もちろんまだいろいろな問題が残っておるわけでございますけれども、ある物につきましては、すでに世界的な水準にも達しております。また品種によりましては、いろんな規格に幾つかのグレードをつけまして実際の用に供するようにいたしておるわけでございます。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 具体的にはあとで聞いてまいりますが、まず初めに現状を聞きましたが、今回これに加工技術を加えようといたしております。たくさん標準化しなければならぬ工業があるのでありますが、規格制定長期計画のようなものがあれば、その概要を御説明願いたいと存じます。いまおっしゃいました数字のほかにたくさんございますから、今回は加工技術を加えるけれども、将来はこういうものも標準化したいというような長期的な構想をお伺いいたします。
  10. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) いま長期計画について御質問があったわけでございますが、概略説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国経済あるいは技術現状におきまして、国家規格として必要とされております規格の数は約一万二千でございます。このうち緊急なものとして考えられておりますのは約八千という数になっておるわけでございまして、先ほどのお話にもございましたとおりに、このうち現在制定されておりますのは、この八千のうちの約八割、六千五百程度でございます。この程度のことで現状におきましては、ほぼ産業界の要求を満たしておるということでございますが、しかしながら最近の技術発展に伴いまして、いろいろな規格対象となりますものがますます複雑になってまいりました。現在そのような状況でございますので、いろいろこの民間要望、あるいは工業標準調査会その他のところから御要望がございますので、一気にこの一万二千の目標にまで到達することはなかなかむずかしいのでございますが、こういった方面の調査あるいは研究といった面を逐次充実いたしまして、産業界からの強い要望のある重要度の高いものから、毎年現状におきましては約三百程度規格制定しておる、また今後も制定していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。この計画につきましては、昭和三十二年に日本工業規格制定長期計画というものを一応策定したわけでございますが、その後毎年これを見直しまして、現在行なっておりますのは、昭和三十八年につくりました長期計画に基づいてこれを進行しておる次第でございます。先ほど申しました昭和三十二年の計画に次ぎまして、昭和三十八年に今後五カ年間に制定すべき規格を選びまして、日本工業規格制定五カ年計画というものをつくっておるわけでございまして、現在はこれに基づきまして毎年各年度ごと標準化事業計画というものをつくりまして、これによって規格制定あるいは改正を行なっておる次第でございます。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 細部のことですから担当官のほうでけっこうですが、今回加工技術標準化されようとするものが、業界でも長年待っておったということであります。五カ年計画の中で、今回はメッキ染色ということが主体でありますが、五カ年計画概要業者の心がまえもありましょうし、空理空論だけでは工業技術が前進しませんから、通産省の考えを聞いておきたいので、細部の点もう少し御説明願います。
  12. 西家正起

    説明員西家正起君) 五カ年計画の中には一々具体的な規格制定する目標品目を掲げておるわけでございますが、これは毎年見直します。現在考えております五カ年計画の中に入っております品種が全部五カ年の間にやるということにはあるいはならないかと思いますが、現在加工技術の中でこの五カ年計画に入れておりますのは、金属電気メッキあるいは金属熱処理、それから染色関係、これを一応計画の中には入れておりますが、非常に規格そのものをつくることはむずかしい、こういうことでございますので、ちょっとどうなるかわかりませんが、現在考えておりますのはその三つでございます。  なお金属電気メッキにつきましては、すでに現在若干不完全でございますが、すでに規画制定されておるものでございます。あとの二つはまだこれからつくるものでございます。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 五カ年間の計画の中で、いま電気メッキ熱処理染色とおっしゃいましたが、それから先の展望というのはいまないわけですね。
  14. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 五カ年計画の中には入っておりませんが、いろいろ考えられます加工技術はそのほかにもたくさんございます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 どういうのですか。
  16. 西家正起

    説明員西家正起君) 金属表面処理、それから溶接といったようなたぐいでございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 第二の問題は、これは一応大きい問題ですから、院長から答弁していただきます。  わが国工業標準化欧米とは異なりまして、実は国家がきめる規格で、JISだけが標準化対象となる傾向がありますが、業界の自主的な計画による団体規格の発達がなければ、真の工業標準化はできないと思いますが、現在の民間業者団体などの標準化活動現状はどうであるか、お聞きいたします。
  18. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) ただいまお話のごとく、欧米各国においては民間規格主体になっておるところが多いのでございますが、日本においては、先生の御指摘のとおり国家規格ということになっておる次第でございます。これのこういうふうになりました事情につきましては、いろいろの従来からの問題がからんでございますので、こういうふうな形態を日本ではとっておるわけでございます。こういうふうなことでございますが、この標準化事業というものを推進する上におきましては、工業標準化の骨格をなすものとして団体規格育成をはかることが当然必要なわけでございます。全体といたしまして、この国家規格とそれから団体規格というものが密接な連携を保ち、そこで初めて目的が達し得る、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。こまかい数字になるわけでございますが、先般おもな団体約二百三十に対しまして、団体規格に対する調査を行なったわけでございますが、このうち回答のございましたものは百三十団体、そのうち団体規格を有するものはそのまた半分弱の五十六団体というのが現状でございます。しかしながら、中には電気関係団体のように、自発的に、かつ積極的に団体内の標準化を進めておるというようなところもあるわけでございます。しかも数で申しますと、標準化のために、電気関係におきましては百数十の団体規格を有しておるわけでございますが、その他は大体において低調でございまして、数規格ないし十数規格というのが現状でございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 その団体が自主的に標準化を進めるような方向に対する政府の援助あるいは育成、そういうものをやっておるのかどうか、もう政府がしてくれるから、それに沿うような製品をつくりなさいというようなことであるか、その点のところをお聞きしておきたいと思います。
  20. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 現状におきましては、原局と相談して指導しておるという程度でございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 これは部長から答弁していただきますが、この法の第十二条に「利害関係人は、省令の定めるところにより、原案を具して工業標準制定すべきことを主務大臣に申し出ることができる。」と書いてありますが、こういうのが実際出ているか、あるいは利害関係人から出ているのかどうか、出ておればその件数などをお知らせ願いたいと思います。
  22. 西家正起

    説明員西家正起君) 法律の第十二条に基づきまして、原案を具して申し出をしたというのはきわめて少のうございます。年に一件あるかないかという程度でございます。いままでございましたのはチェーンブロック、それからそろばんあたりが出ております。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 次の問題は、これも少し大きな問題ですから院長さんにお聞きいたしますが、どんなりっぱな規格ができましても、これが民間企業で尊重され、実施されなければ何もならぬのでありますが、企業家の間には、標準化は金がかかるからといって渋っているような向きもあると聞くが、工業規格民間企業にどの程度尊重され、取り入れられているか、お聞きいたします。
  24. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 現在民間企業に取り入れられておりますのは約八〇%という数字になっております。民間のほうで指定を受けます場合におきまして、規格そのもののこの標準化事業と申します性格といたしましては、むしろこの施設とかあるいは資金とか、そういうものにのみたよらないで、むしろ技術水準を向上する、あるいは品質管理というようなことによりまして、品質を保持する、維持するというたてまえから、資金を使わないでというと語弊がございますが、あまり資金を要しないでこういうものができるようにするというのがこの目的でございまして、しかし、御指摘のように、この指定を受けますときに政府検査があるわけでございますが、その検査に合格するということのために、あるいは指定を受けるために設備を改良する、あるいはいろいろな試験機を整えるというようなことが必要になるという場合もあるわけでございます。こういう場合、特に中小企業関係におきましては、そういった問題が起こるケースがあるわけでございまして、この問題につきましては、前回にもこの御質問があったわけでございますが、このときにこの表示許可を受けるというときに、そういった整備をしようというようなときがあった場合につきましては、現在私どもも考えております加工技術種目の場合に、加工技術におきましては中小企業の場合が多いわけでございます。そういったところに対しまして、中小企業近代化促進法に基づきまして、この指定業種として指定されております。いま目標としようとしておりますものにつきましては、指定されておるわけでございます。したがって、これらにつきましては減価償却の特例が認められておりますほか、中小企業金融公庫の融資を優先的に受けるということになっておるわけでございまして、各企業がこれらの優遇措置を十分に活用し得るように、関係諸機関とともに十分な連絡のもとに企業の指導につとめる考えでおります。なお、今後あらわれますもので、指定業種になっていない業種につきましては、加工技術種目指定と並行いたしまして、この中小企業近代化促進法指定業種にするよう努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  25. 近藤信一

    近藤信一君 関連。ちょっとお尋ねしますが、最終的には規格表示というものは調査会で決定されるわけですね。そこで調査会委員というものが法律で二百四十名以内、これは第四条に二百四十人以内ということがはっきりと示されておるわけなんです。だから人員に対して、ここに規定されておりまする今度の各部門に対する、特に金属関係加工部門に対する規格調査というものがふえてくるものなんですが、これに対して人員改正は何ら法律には出ていないわけなんですが、この二百四十人以内の人員で、新たにできるところ加工部門に対するところ調査というものができるかどうか、この点いかがですか。
  26. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 調査会の定員につきましては二百四十名以内で成っておりまして、学識経験者をもってこれを形成しておるわけでございますが、このほかに専門委員という方がそれぞれの専門にございまして、このほうは人数につきましては制限がございません。したがいまして、もしもこういうふうな点まで不足するということになれば、この専門委員を活用いたしまして、このことに当たっていただくようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  27. 近藤信一

    近藤信一君 現在調査会委員は二百四十名以内と第四条にうたってございまするから、二百四十名必ず要るとは断定しがたいと思うのですが、現在調査会委員は幾人であるか、さらに何名で調査会を構成しておられるか、それから専門委員がございます。いま馬場委員長から御答弁になりましたように、専門委員で今度はそれをやるから差しつかえないとこういわれるが、現在調査会委員はこれは手当がついておるかどうか、さらに専門委員を委嘱した場合に、これに対するところの費用というものは無報酬であるのかどうか、この点いかがですか。
  28. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) お答えいたします。現在調査会委員の数は二百三十九名でございます。  それから第二の点でございますが、したがいまして、この専門委員のほうには手当がついております。もちろん調査会委員の方もついております。
  29. 近藤信一

    近藤信一君 報酬があるということになりますると、その予算というものは、今度の法律改正の中でどこにもうたってないが、これはふえるということになれば、専門委員もふえるわけでございますから、それらに対する報酬予算というものはどこからあなたのほうはおつけになるのか。
  30. 西家正起

    説明員西家正起君) 専門委員臨時委員のほうは個別の案件を審議するために委員会を設けまして、それが終わりますと、かえるという仕組みになっておりまして、必要な規格に対しましてそれぞれそのつど専門職を設けることになっております。現在四十年度でこの委員手当調査会委員専門委貧臨時委員合わせまして二千七百五十四万円ついておる次第でございます。したがいまして、入れかえることによりまして、加工に関する規格制定する場合も専門委員会をつくれると考えております。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 従来専門委員会というものは一体どれくらいの回数を持たれておるのか、この点おわかりになったらお答え願いたい。
  32. 西家正起

    説明員西家正起君) 委員の総数が一万七千名ばかりでございます。大体会議が年間、専門委員会の数にいたしまして、延べの数にいたしまして二千二百回くらいです。
  33. 近藤信一

    近藤信一君 いま御答弁を聞きますと、専門委員が一万七千名おるということですが、この一万七千名の専門委員があり、これに二百三十九名の調査委員がある、これは専門委員に対してはどういう身分的なあれがあるのか、ただ委嘱しておるだけであるのか、この点どうですか。
  34. 西家正起

    説明員西家正起君) 専門委員に対しましては、通産大臣が任命をいたすことになっております。
  35. 近藤信一

    近藤信一君 この専門委員の一万七千名委嘱する、この専門委員というものは、全国的に各地方々々でこれを委嘱しておられるのか、それを中央であれするということになっているのか、それとも業種別にあなたのほうはやっておられるのか、地方別でなくして業種別でやっているのか、この点どういう形ですか。
  36. 西家正起

    説明員西家正起君) 一応専門部会刑と申しますか、規格対象になる専門別にそれぞれの業種から選びましてやっておりますが、その大体選ぶ地域は全国的にわたっております。しかし、数から申しますと、やはり在京の方が過半を占めているような現況でございます。
  37. 近藤信一

    近藤信一君 さらに、もう一つお尋ねしますが、今度の改正金属部門だけに限定ぜられておるようです。メッキその他金属熱処理金属表面処理、こういうことでございますが、加工部門関係になりますると、まだその他にも私はあるのではなかろうかと考えるのですが、今度特にこれを金属関係だけに限定されて改正を出されたというのは、一体どういう理由があって金属だけに今度は限定されたのか、この点お尋ねいたします。
  38. 西家正起

    説明員西家正起君) 特に金属部門に限ったと、あらかじめ限って選んだというわけではないのでございますが、加工技術といたしまして現在考えられますのは、ただいま申しましたような電気メッキ業、あるいは金属表面処理業、あるいは金属熱処理業、そのほかには染色とか、塗装とか、印刷物の加工とかいったものが考えられるかと思いますが、目下その製品自身品質を向上する必要があるもの、あるいはでき上がりました製品が、国際競争力を持つようないいものをつくる必要があるものに限定いたしまして、その結果、とりあえず金属メッキ業といったものが現在浮かび上がっているような次第でございます。必ずしも金属に限定するつもりはないのです。
  39. 近藤信一

    近藤信一君 当面は鉱工業製品の問題で、特に金属関係の問題で重要性を認めたのであるから、金属関係の問題について今度この改正案をあなた方のほろから出してこられた。それからその他についてはまたいろいろあるといま答弁されましたが、そうすると、その他の問題について将来必要性を生じた場合に、ふたたびこの法改正ということで、あなたのほうはお出しになられるのか。今度この改正をされるときに一挙にその他も含めて改正ということになれば、一回で済むのに、また二回、三回と今後こうした改正案というものが続けられていくというふうに私は思うのですが、この点はいかがですか。
  40. 西家正起

    説明員西家正起君) 法律改正といたしましては、加工技術金属メッキ等に限るような方法でこのたび出しておりませんで、大臣が必要と認めて加工技術種目指定をした場合には、その指定した加工技術について表示制度が適用できる、こういうことにいたしておりますので、染色等、将来加工指定する必要ができた場合には、大臣がその種目指定することによって法律改正をせずにできるようにいたしておるわけでございます。あと考えられますのは、金属関係をはぶきますと、染色関係外二つか三つぐらいしかないと考えます。したがいまして、あらためてそのときに法律改正をする必要はないかと思います。
  41. 近藤信一

    近藤信一君 もう一点。この薬品なんかも工業の中に入って指定業種に入っているわけですね。ところが、あれは包装に対しては、これは一応この中に入っている。ところが、包装はこれは商標だということで特許庁の関係になっていきますか。そういうことになりますると、たとえば薬品なんかの内容そのものについてはあれですが、その容器ですね、容器の問題について、またこういうようなケースというものが出てきた場合に、この容器についてのあれはどういうところが所管するのか。これは容器は特許庁のほうであれするのか、この容器に対して規格表示をしたいという問題が出てきた場合に、あなたのほうがこれを取り上げていくのか、その点はどちらですか。これも加工の一つになるのだと思うが。
  42. 西家正起

    説明員西家正起君) われわれのほうで取り扱っておりますのは試薬でございまして、試薬はJISに合っておりました場合に、その薬試が大臣によって指定された場合に、その試薬がJISに合っているということを示す表示をその試薬の容器なり包装にいたすことができるわけでございます。その容器自身を今度は容器のJISがかりにできまして、その容器がJISに合っておるかどうかということを示す必要があります場合には、それはまた容器にその点の表示をすることになろうかと思いますが、現在その容器に関するJISがないわけでございます。ただし段ボールといったようなものにつきましては、今後これを統一いたしまして規格をつくりまして、なるべく統一していこうという気がまえはございますが、その場合は段ボールそのものにつけるかと思います。その場合に、しかし中の品物を混同しないような適当な方法を講ずる必要があるかと思います。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 大臣がせっかくおられますから御質問いたしますが、いま質問いたしておりますのは、このJISというのは各業者が喜んでこれを守って品質を改良し、技術を向上するためにある。そして、それが世界的にも認められて外国貿易を伸張する、こういうことでなければならぬと思います。そこでいま日本のJISは政府がきめまして、それを業者が取り入れまして、これに追っつき追っつきJIS化していく、製品を。日本でも相当優秀な民間団体ができましたから、この団体で自分のところ製品の作業工程なり技術はこういうところであるから、われわれの団体が推薦するJISを、標準を国の標準としてくれないかという下からの標準化運動、標準化というものがなければならぬと思うが、これに対して大臣の御見解をお聞きいたします。
  44. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) まあ業種によってはそれを重要なやはり参考にすべきだと思いますね。下のほうからのそのものをそのままというわけにも、やはり業界自体と政府考え方と必ずしも一致しない場合もあるでしょう。しかし、そういうふうにいまお話のような、きちんとした業界の組織ができておって、そういうふうな何というのですか、申し出というか、そういうものがあったときには、それはできるだけ尊重するということが目的を達成するために好ましいと思います。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 これは標準部長のほうが知っていると思うが、ここ数日、私が業者の意見を聞いてみますと、加工技術についてメッキ業者団体などは数年来、早く標準化するように運動してきました。それがやっと今度かなえられそうだ。通産省の方針としては、現在の法律を読みかえることによっていいではないかという意見もあった、しかしわれわれはそれでは満足しないから、今回の法律改正をしてもらいたいのだ、こういう意見があったわけですが、そういうことの事実、それからほかの団体にも、いま改正しようとする団体ではなくて、ほかの団体にも、現在われわれの団体ではこういうものをひとつ国の標準としてくれないか、こういうようなものがあるのじゃないかと思うが、いかがですか。
  46. 西家正起

    説明員西家正起君) 金属メッキにつきましては、先生指摘のように、昭和三十六、七年ごろから加工技術のJISはあるけれども、指定制度がないので、指定対象にするようにという強い希望がございました。それで当時はその法律の「鉱工業品」ということばの中に、メッキが読めるのではないかといったようなことで、だいぶ長期間にわたって検討しておったのでございますが、適用するしないでずいぶんひまがかかりまして、結局はメッキというものは鉱工業品ではないという最終結論を得ましたので、法律改正をすることに踏み切ったわけでございますが、その際、その点だけを改正するのではなくて、十七年間工業標準化法を運用してまいりました関係上、一ぺん全部見直すということで、一昨年から委員会をつくりまして、一年以上も審議をした結果、今回の改正案がまとまったような次第でございまして、希望団体の希望に対しましては、ややおそいような感じがいたしますけれども、その間の事情はそういうわけでございます。  それからメッキ以外につきましては、たとえば熱処理その他についても、それぞれ業界から希望がございますが、そのほかになおそういう加工した品物を使う業界からも、メッキ並びに熱処理等につきましては非常な希望が出ておるような次第でございます。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 この法律の第十二条でさっきお伺いしたのですが、利害関係人原案を具して工業標準制定すべきことを大臣に申し出ることができると書いてあるが、この思想をもう少し広げまして、自己開発型の標準化というものを法制化する必要があるのじゃないかと思います。そうしますと、各工場はいま試験所を持っているし、研究部門も持っておりますから、もっと日本工業技術というものの水準が向上するのではないかと思うが、こういうことで省内で検討されたことがあるかないか、お伺いいたします。
  48. 西家正起

    説明員西家正起君) 自己開発型の規格と申しますと、大体諸外国がやっておりますような民間が主となって国家的な規格をつくっていく、こういうことだと思います。これにつきましては、やはり先ほど申しました法律改正の部内の検討の際に、一年以上これは外部から先生方も入れてつくりました委員会でございますが、その検討の結果は、どうも日本の現在の状況あるいは国民性等から申しまして、やはり国が中心となってつくったほうがいいじゃないか、こういうような結論にはなったわけでございます。ただ自己開発型と申しましても、国家規格以外の、団体の間で通ずる団体規格、こういったものにつきましては、できるだけこれを育成するような方向に持っていく必要があるといったような方向の結論が現在出ておるような次第でございます。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 いま標準化法の総論的なものを質問中でありますが、大臣予算委員会が開会されると退席されるそうでありますから、大臣に緊急な問題を三つ質問しておきまして、すぐの御答弁は、あるいはどうかと思いますが、省内で十分御検討くださいまして、あとまた一般質問で私いたしますから、御検討願いたいと思います。  その第一は、北九州の中小企業がいま危機に瀕しておりますものですから、昨日五十名くらいの商工業者の皆さんに集まってもらって、数時間懇談会をいたしました。通産局からも関係者に来てもらいまして、いろいろ討論、意見を聞いてもらったのでありますが、その中で大きな問題が三つ出てまいりました。一つは、下請代金支払遅延防止法という法律があるけれども、これはてんでしり抜け法で何にもならん。その一番大きな理由は、遅延されたものを下請企業が申告しなければ親企業調査をしてくれないし、それが働きかけにならん。申告いたしますとすぐわかるというわけですね。すぐわかりまして、それは親企業からボイコットされてしまう。だから下請代金の支払いが遅延されましても、申告する者はだれもおらんというわけです。そういう法律があって、これでもう下請代金の遅延はないのだというふうに考えておったらたいへんでございますということですが、これについて大臣はどのような御見解を持っておられるか。
  50. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私はやはり下請の組織化ということが必要なんじゃないか。いまの場合は個々にいくと、いま言ったような実際問題としてそういうこともあり得るのじゃないかと思います。下請が一つの組織をつくって、個々には弱いですから、そういうことで取引においても、あまり手形済度の長いということは、これは中小企業としては力ないですから、それはなかなか苦しみが大企業よりもひどいかもしれない。そういうことでいくということが好ましいのではないか、組織化で。それから政府のほうとしても、ざる法といっても、ああいう遅延防止法があるのですから、その精神というものは、なるべくやはり品物の受け渡しがあれば、代金の決済は早くやるということで、いまとにかく手形で渡して、しかも手形の期間が長いということにざる法的な性格があるので、これはやはり行政指導を通じて、しわ寄せが中小企業にいかないように、地方通産局なども通じて、これは一段と運用を通じてそういう事態が起こらないようにすることも必要だ。いままでやっておるのですけれども、こういう不況だということも影響があるのですね、不況ということで大企業も苦しいのですから、そういうふうないま環境が悪いということもあるけれども、しかしいずれにしても、何か私もこの方法については、もう少し中小企業を守る効果的な方法はないかということを、これは検討をいたしたいと思っておる点でございます。
  51. 小柳勇

    小柳勇君 いまのその点、御検討の点を宿題にしておきまして、次に一般質問のときにまた質問いたしますが、いま組織化ということをお話しなさいました。きのうもずいぶんそういう意見が出ました。中小企業は一緒になれない、手をにぎれない、お互いに競争相手ですからね。同種の企業はそれなりに競争相手ですから、一緒に手をにぎれない。いま大臣は組織化ということばをお使いになりましたけれども、大臣の対策、頭の中にはどういう方法が浮かんでまいっておるんですか。
  52. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 協力会のような、やはり競争があっても組織をつくって、そうしてそういうふうな共通の課題については、その組織体を通じて親会社と話をするということになれば、個々の場合よりもずっと私は強力だと思う。だから組織化というのは、やはりその親会社に対して、主たる下請会社などが寄って協力会のような組織というものを通じて、そしてあるいは団体交渉的な性格を共通の課題にして持たすということを私の頭の中には考えておる次第です。
  53. 小柳勇

    小柳勇君 その協力会もどんどんとこれができておるわけです。第一次下請けには何々会とかですね、第二次には何々会とかあるんですけれども、それがなかなかそういうことでありまして、そういう人の声として、いま切実に下請代金支払遅延等防止法などというものはざる法であるということが出ておりますから、もう少し御検討くださいまして、さっそく実施できるような、適用できるような方法をひとつ御明示願いたいと思います。  それから第二の問題は、この前も予算委員会質問いたしましたが、官公需の発注が大企業にだけ流れまして、あれよあれよという間に、もう九月、十月ごろ、仕事はほとんど大企業に発注されてしまう。表面上はきれいなことば、口ではきれいに出ますけれども、官公需の発注を地元、たとえば地場産業に回せなどということは、きれいですけれどもなかなかできがたいことで、それは地場産業あるいは工業の受け入れ体制の弱さもありましょう。しかしそれはそれなりに、これを助けていかなければ、口頭禅ですね。どんなに国会で論争いたしましても無意味です。新聞だけはきれいに出ますよ。政府はこんなにやっているのだ、あたたかい政府の慈愛あふるる方策が新聞には出ますけれども、実際はいまああいうことでやっておるということで、実際には皆政府を信頼していないし、政治の貧困を嘆いておるわけですが、先般の予算委員会では通産大臣は法制化も考えておるんだと、検討したんだとおっしゃった。大蔵大臣はそこまでせんでも行政指導でできるとおっしゃった。これはまた私も根本的に深く議論しなければなりませんが、これはもう一回大臣の御見解をお聞きしたい。
  54. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) いまこれは立法化を検討を加えて、各省ともいろいろいま折衝の途中にあるわけです。きょうの予算委員会でも大蔵大臣と私に質問があった。そして大蔵大臣も相当前進をした答弁をきょうはしておりました。できる限り立法化を考えてみたいという趣旨の答弁をしておる。これは実際立法の手続としては、立法技術といいますか、立法技術的には御承知のようにむずかしい点がありますが、完全なものでなくても、そういう立法化ができることは、相当やはり中小企業の分野を確保する意味において効果がある程度あるのではないかということで、理想的にはいかなくてもそういうことを義務づける、ある程度義務づけるような法律ができれば好ましいという意見で、中小企業庁長官も督励してできるだけそういうことにしたいと思って、各省との間で折衝を始めておるわけです。まだ結論は得ていないわけでありますが、それはやろうという方針のもとに検討を加えておる。ただしかし、いろいろな公共事業などに対しての政府の積極的な予算の面から、これに対する請負なども始まるわけですから、建設省においてはABCDくらいにクラスを分けまして、一億円以下を中小企業の請負分にしておったが、一億五千万くらいに上げて、一億五千万以下のものは大企業がそれは請け負ってはいけない。下のほうの段階も上げまして、だから地方における公共事業に対しては、地元の土建関係の人たちが前よりもずっとやっぱり改善されるものだと期待をしておるわけです。立法化といっても、これはいまできておるわけじゃないのですから、一方においてそういう仕事の請負などが実際に始まりますから、それで事前にそういうふうな改良を加えまして、中小企業を守っていこうという方針を打ち出しておるわけでございます。
  55. 小柳勇

    小柳勇君 いまの問題ももう少し具体的に検討してもらいたいが、地元の地方自治体などに対しましては、地元の通産局が行政指導の一つの窓口だと思うのですが、法制化の前に通産省内の行政指導と申しますか、地方自治体に対する指導、そういうものについて大臣は早急に手を打っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  56. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) それは通産省は、非常にそういう面においては、役所の中でも推進力になっておる役所であります。地方通産局などは、絶えずこの問題は仕事の大きなやはり任務の一つですから、こういうふうな積極的に予算も組まれた時期でもありますので、これはいままでもやっておりますけれども、一段と積極的に努力をいたすことにいたします。
  57. 小柳勇

    小柳勇君 もう一つは、昨年の暮れにばたばたと通りました中小企業信用保険臨時措置法の第二次下請、第三次下請に対する処置、これは近藤委員が再三再四質問しておりまして、中小企業庁長官は、第二次、第三次下請にも適用するがごとくしないがごとく、まず初めの答弁は、そういう場合には無担保の二百万の信用保険があるのだから、これでいいではないかということであって、だんだん追い込まれまして、近藤委員質問に対しまして、第二次、第三次の下請まで最悪の場合には適用するのだということを答弁しておられた。ところが、きのうずっと確かめますと、もう現地の指導は第一次下請だけですよと、はっきり指導体制が出ておるわけです。法律化して。あるいはそういうことであったかもしれぬが、しかし、われわれはやはり法律をつくる上では議事録が法解釈の基礎になりますから、私はそういうことに解釈しておったのですが、そういうことは適用されません。したがって、きょうは中小企業長官がおりませんから、答弁は求めませんが、この点も私は緊急に大臣質問したいと思いますから、御検討くださいまして、いまもう第一次下請だけでは用をなさぬ。同時にどんなに法律をつくりましても、商工中金に金が行かなければ何にもならぬということですね。金がなければ何にもならぬ。この問題を同時に御検討していただきまして、いまほんとうに政府も信頼していない、政治も信頼していないので、自分で暗中模索しながら倒れていく中小企業の危機、こういうものを早急に対策を立てなければならぬと思いましたものですから、大臣にこれは特に質問したわけです。その点はひとつお願いをします。  それからもう一つの問題は、会社更生法が株式会社いわゆる大会社だけの適用であって、その他の会社についてはもうこれも無意味である、あれだけ大きく騒がれましたけれども、実を結びましたものは社内預金だけくらいの問題ではないか、あとは会社更生法というのはしり切れトンボでほとんどほかの会社には無意味の存在になっておる、こういう切々たる訴えもございました。あらためてこれは別の機会に質問いたしますけれども、緊急の問題としていま私は質問したわけですから、大臣の頭に入れておかれまして、ひとつ省内で早急に結論を出してもらいたいと思うのであります。  次に、前の質問に戻りまして、標準化法の総論的な質問を続けてまいります。いままでずっと質問してまいりましたように、本来JISの目的は、国内の技術水準の向上をはかることにあり、したがって、産業の技術水準をリードするような内容でなければならぬ。それがあまり高過ぎても産業界がついていけないし、低過ぎてはまた意味がない。このような関係はむずかしいと思うが、工業技術院としてはどのような方針で指導しているのか、すなわち技術水準の位置づけですね、位置づけをお聞きいたします。
  58. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) ただいまお話のごとく、工業標準化目的というものは、技術水準の向上によりまして国際競争力をつけるというふうなことも一つの大きな目標でございます。しかしながら、このような場合におきましても、業界の実情というものを十分考慮しながら漸進的に規格改正し、商いレベルのものに持っていきまして、逐次目的に合うようにいたそうと、こういうふうな考えでやっておるわけでございます。したがいまして、最もトップレベルのものばかりにいたしますと、ただいまのようにそういったものがつくれない、実際には行なわれない、実情に合わないというようなこともございますので、規格に幾つかの種類を設けまして、そう高いレベルのものが必要でない部分には、それに合った規格のものを使っていただく、こういうふうな考えで現在やっておる次第でございます。
  59. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、規格に一級、二級、三級と、こういうような標準をきめていくということでございますか。
  60. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 規格の中に等級を設けておるわけでございますが、精度その他におきまして等級を設けておる、こういう次第でございます。
  61. 小柳勇

    小柳勇君 いま二重構造といわれまして、大企業中小企業がありまして、大企業では簡単に考えられる標準でも、中小企業にとりましては非常にシビアにとるところもございましょう。機械、設備人員、あるいは技能、いろんな面でですね。したがって、その調整がなかなか困難だと思うが、中小企業育成強化、このこともこの改正では考えておかなければならぬと思うわけです。そこで今回この改正されようとする加工技術というものの中に、大企業中小企業とのJISの区分といいますか、等級づけといいますか、そういうものを具体的に考えておられるのかどうか、お聞きいたします。
  62. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 今回の改正に含まれております加工は、特にメッキのようなものは中小企業がむしろ大部分でございます。そういったことでございますので、むしろ今回の加工業に関する限りは、むしろ中小企業に重点が置かれておる、こういうふうに考えております。
  63. 小柳勇

    小柳勇君 中小企業もだんだんにありまして、三百人のところ中小企業、あるいは五十人のところ中小企業メッキなどは人によりませんで、施設にもよりますが、さまざまです。大きいといいましても、たとえば三百人のメッキ工場が五十人のメッキ工場に下請をやりまして、その製造の名前だけ変わって出ていくというようなところもあるわけですが、そういうものを大、小とかあるいは高級、低級という、それをどういうところで差をつけようとしておられるか。
  64. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいまお話の中で、たとえばメッキに例をとりますと、メッキの中で特にその製品に、そのメッキ加工品質製品に及ぼす影響の多いものということから考えますと、たとえばメッキの中でも工業クロームメッキ、こういったのが第一番の対象になるかと思いますが、その場合にメッキの場合につきましては、現在等級というものを設けるつもりは持っていないのでございますが、ただ工業クロームメッキの利用面におきまして、たとえば金型をつくる場合とかあるいはシリンダー類にやる場合とか、ゲージ、ダイス類をやる場合、それぞれその利用面の目的に応じまして、耐摩耗性をよけい必要とする場合とか、あるいはそれほど必要としない場合とかございまして、これはそのメッキの厚さで分類していくことになろうかと思います。その場合には、たとえば非常に薄いメッキはできないが、厚いメッキはできるといったような場合には、そこで種類分けすることになるかと思いますが、ただいまの現状で申しますと、大体メッキに関しましては、それほど等級をつけなくとも、クロームメッキにつきましては、それほど等級をつけなくとも実行できるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  65. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、その他のもの、たとえば熱処理とか染色では一級、二級というような等級をつくっていくべきである、それは中小企業育成あるいは弱小企業育成にも通ずるものである、このように理解してよろしゅうございますか。
  66. 西家正起

    説明員西家正起君) 金属熱処理業の場合には、これはまた別の意味でいろいろ使用目的に応じまして、材料別にあるいは使用目的に応じまして熱処理のやり方が違いますので、これはむしろそういう分類よりは使用目的に応じたやはり分類になるかと思うのでございます。ただ中小企業の場合と大企業の場合と、一ついい例を申し上げますと、たとえば現在加工技術でございませんが、製品にボルト等がございますが、ボルトの場合には、これはボルトのネジの精度によりまして、現在一級から三級まで分けておるわけでございます。たとえば航空機とかそういうものに使いますネジの精度が非常に厳密なものを要求するようなものとか、ナットにつきましては一級、それから普通の構造物に使うような場合にはそれほどの精度は要りませんので三級、こういったような等級をつけておりますが、この場合には、一級はつくれないような企業でも、二級、三級がつくれるような場合には、二級、三級という表示を明確にいたしましてその面の許可をする、こういうことにいたしまして、一級がつくれない企業に対しても保護していくということになるかと思います。熱処理の場合とメッキの場合につきましては、たまたまあまり例がよくないのでございますけれども、これは大体ほとんどの中小企業でやっておるわけでありまして、分数する場合には、能力というよりはむしろその利用面での分類というものが主となるかと思います。
  67. 小柳勇

    小柳勇君 その問題はもう少し先で、条文の質問のときにも聞くことにいたしましょう。  次には、規格原案の作成方法及び作成状況について説明を願いたいのですが、第十二条にもありますように、「原案を具して」ということであります。政府としても、この法律改正をいたしまして、それから加工技術のJISを制定するわけでありますが、もうすでに大体の原案なるものはできておるのじゃないかと思うのですが、できればここに説明を願い、あるいはこの委員会に提示願いたいと思いますが、いかがですか。
  68. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 規格原案の一般的な作成方法と作成状況について御説明申し上げます。この規格原案の作成の方法といたしましては、主務大臣がみずから規格原案をつくる場合、それから主務大臣技術水準の公正さを考慮いたしまして、関係の学・協会に委託いたしまして規格原案を作成する場合と、それから利害関係人から規格原案を申し出る場合、この三つのケースがあるわけでございます。最近におきましては、先ほども御説明申し上げましたとおりに、だんだんと規格対象がこの技術の進歩とともに複雑になってまいりまして、規格原案をつくりますために大幅な調査あるいは研究というものを必要とする場合が多くなっております。したがって、第一に申しました、主務大臣がみずから作成する場合、あるいは利害関係人規格原案を申し出る場合、こういう場合は第三のケースでございますが、第三のケースは少なく、主として関係の学・協会に委託いたしまして規格原案を作成する、こういう場合が多くなってまいっております。なお、詳細の数字その他につきましては標準部長より御説明申し上げます。
  69. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいまのようなことでつくっておりますが、御指摘の今回の指定加工技術に対する規格につきましては、加工技術の中でメッキにつきましては、現在メッキの厚さだとか耐蝕性、耐摩耗性、均一性、それから密着性、その他必要な品質、それらの品質をどうやって試験するかという試験方法、検査方法等につきまして、現在の規格はその内容を規定しております。  それから熱処理等につきましては、これは現在規格はまだないのでございますが、ただいま検討中なんでございますが、これは熱処理の種類、たとえば焼鈍とか浸炭、そういった熱処理専門別に、また材料別にかたさとか、引っぱり強さとか、衝撃値、あるいは雰囲気、浸炭層の厚さ、窒化層の深さといったものをただいま規格として規定いたしたいというふうに考えております。
  70. 小柳勇

    小柳勇君 その規定をいたしたいところを、もう規定しておかないと、この法律が通りまして、あと専門員や調査員を呼んでさっそく始めなければならぬので、いま質問しているわけですから、もう少し聞きます。  この規定の制定改正には、技術上の調査や基礎研究の充実がはかられなければならない、工業技術院としてはJIS規格制定改正に必要な研究などについてはどのように取り組んでおるか、その現状を具体的に聞いておるわけです。
  71. 西家正起

    説明員西家正起君) 規格をつくります際の規格原案となるべき科学的な根拠がない場合、技術的な根拠がない場合につきまして、ただいま工業技術院といたしましては、試験研究ということをやっておるわけでございます。その方法といたしましては、三通りございまして、一つは、国の試験所、おもにこれは工業技術院に属する各試験所でございますが、これらの試験所に試験を依頼いたしまして、この試験所の特別研究といたしまして、標準化の基礎となる技術的根拠を解明していただくというのが一つの方法でございます。それからもう一つは、民間団体の中にかなりそういう研究をいたします下地がございまして、かつ、民間が共同して研究体制がとれるといったようなものでありまして、その上にさらにそういう研究をやった結果が民間に非常に利益をもたらすという場合には、これを民間の共同研究体制のもとでその研究をやらせることにいたしまして、補助金を国から出す、こういうような方法をとっております。それからなお、もう一つのケースといたしましては、やはり民間の中に試験研究機関と申しますか、この場合は、研究のほかに広い調査を必要とする場合があるのでございますが、そういう広い調査研究をやる能力があります場合に、そういう民間団体調査研究を委託する。この場合は補助金でなくて、全部、金額出すわけでございます。委託をして研究をやってもらう。こういう三つのケースがございます。  最初の、国の試験所がやります研究といたしましては、四十年度大体千八百万円くらいの金額が出ております。それから補助金の場合には、これもやはり昭和四十年度千七百七十万円という補助金が出ております。それから最後の調査委託研究でございますが、これは昭和四十年度三件ございまして、五百八十一万二千円というものが国から出ておるわけでございます。  内容を申しますと、たとえば国でやっておる試験研究と申しますと、巻き上げロープの安全度の試験といったようなことをやっております。それから業界でやっております補助金を出しておるのは、たとえば道路照明用の設備標準化の研究とか、自動車機関の排ガスの清浄化といったようなものにつきまして、出しております。それから調査委託研究のほうは、たとえば、先ほどちょっとお話が出ました包装のモジュールと申しますか、包装の寸法、単位仕様といったようなものを統一してやろうといったような調査、それから既製衣料が現在日本人のからだに合っておりませんので、そういうものの日本人の体格調査をやる、こういったようなことを、それぞれの関係業界に研究委託をしておるような次第でございます。で、熱処理とかメッキの場合には、大体技術的なデータがそれぞれのところにございますので、この場合には、原案委託といったようなことで、そういう研究をしないで原案をつくるというふうに考えておる次第でございます。
  72. 小柳勇

    小柳勇君 少し問題がありますが、もう少しこのいまの説明されたやつを具体的に説明願います。国の研究に千八百万、それから補助金が千七百七十万、調査委託研究が五百八十万とありますが、国の研究はいいですが、補助金とこの委託研究ですね、具体的にどういう品物をいまどこに頼んでおるのか、御説明を願います。
  73. 西家正起

    説明員西家正起君) 最初に委託研究調査のほうをちょっと御説明申し上げますが、五百八十万円出ております。これは三件ございまして、一つは、先ほど申しました包装のモジュール、包装の寸法、単位仕様といったようなものを統一しようということでございまして、これは包装協会に委託をしまして四十年度百五十万円ということでございます。三カ年計画ということでございます。それから既製衣料の寸法基準の統一のための日本人の体格調査でございます。これは昨年四十年度から始めておりまして、二カ年計画ということで四十年度百八十七万円。それからもう一つは、建築材料の性能試験。これはプレハブ等にも関係いたしますが、建築材料の性能試験の方法ということで、これは建材試験センターに委託いたしまして、三百八万円という金額を出しておる次第でございます。  それから試験研究——補助金のほうでございますが、これは四十年度、真円度の高精度測定の自動化というテーマで、これは株式会社の小坂研究所というところに三百三十万円、それから自己干渉平面度計の試作ということで、これは旭光製工株式会社に二百十万円、それから道路照明用器具の標準化ということで、日本照明器具工業会に三百三十万円、自動車機関の排ガスの清浄化ということで、自動車技術会に対しまして六百二十万円、それから国産の八ミリ映画撮影機の画質の向上ということで、光学工業技術研究組合に対しまして二百八十万円、計五件で千七百七十万円、こういうふうになっておる次第でございます。
  74. 小柳勇

    小柳勇君 これは私も勉強不足なものですから質問いたしますが、補助費の問題は、これは問題があるようですけれども、この包装協会というのは、これはどういうシステムなんですか。
  75. 西家正起

    説明員西家正起君) 包装協会、先ほどちょっとことばを省略さしていただいたのでございますが、正式の名称は社団法人日本包装技術協会ということでございまして、包装の標準化運動を組織的にやろうということで、現在この技術協会が中心となってその運動をやっておるようなわけでございます。これに対しまして、これを応援しておりますところ団体は、そのほかに約二十ばかりございまして、これらの団体が実際にはこれを応援しておるといったような次第でございます。
  76. 小柳勇

    小柳勇君 院長にお伺いいたしますが、工業技術院が研究されることは当然であります。内部で研究する体制にかけられる比重と、外部に委託研究するこの比重は大体持っておられるんですか。
  77. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 現在のところでございますと、大体の関係は、内——工業技術院内が四、それから外部に出しておりますのが六と、こういったような比重になっております。
  78. 小柳勇

    小柳勇君 内部のほうで四といいますから、予算もそういうふうな割り振りで大体使われていくと思うんですが、この六の外部委託の研究ですね、こういうものは、委託基準などというものは細部工業技術院のほうできまってあるものでしょうか。
  79. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 大体の基準は持っておるわけでございます。
  80. 小柳勇

    小柳勇君 標準化の問題もそうでありますが、日本工業技術水準の向上ですね、それに工業技術院が取り組んでおられて、研究体制をしいておられることも十分承知しておりますが、これはまあ、ちゃんと初めからもう何年間か、計画的に研究を委託されるわけですね。したがって、その研究の速度なり研究の実績なり質度なり、おたくのほうで監督しておられると思うんですけれども、四対六の研究体制、この六のほうの外部の研究体制については、まだ私も勉強不足ですから十分わかりませんが、どうなんですか、院長がごらんになりまして、十分な体制で指導もしておるし、内部における研究体制と外部における研究体制というものはそう変わらぬのだと、あるいは、かえって外部のほうの研究体制がいいんだということでありますか、あるいは、そうでないか、もう少しその点を御説明願いたいと思うんです。
  81. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) これは、内部でやったほうがいいか、あるいは外部でやったほうがいいかということの進め方——研究の成果をより効果的に、また、すみやかにどちらのほうがあげやすいかということで、私ども、内部でやる場合、それから外部でやる場合についてきめておるわけでございまして、私のほうに属しております研究機関、これの人員とか仕事の配置、あるいは予算といったものがあるわけでございますが、すでに、ある程度の基礎的なデータ——この規格関係いたします問題を取り扱っております場合にはこちらで、内部でやったほうがよりすみやかによりよい成果が得られると考えられるわけでございますが、外部においてそういったこの技術なり、あるいは研究の成果、そういったものを——これに関連いたしますような成果をすでにお持ちのようなところに対しましては、その外部に委託、あるいはその他の方法で外部にお願いしたほうがより効果的であると判断いたして、外部に出しておる次第でございます。
  82. 小柳勇

    小柳勇君 私もまだ十分勉強しておりませんので、資料を出していただきたいと思うんです。この六割ぐらいを外部に委託して研究されております、その重要項目と予算、その研究体制、それから、それがいままで——その経過ですね、いつごろからその団体が研究しておられるのか、過去の実績なども参考事項として書いて、次の審議までにお出し願えるでしょうか。
  83. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) いまの資料、準備いたします。
  84. 小柳勇

    小柳勇君 さっきの問題に返りまして、たとえばクロームメッキの場合に、調査研究しておられて、この法律が通りましたら、直ちに専門委員あるいは調査会を開かれて、JISが制定されて、それに従いまして、各工場にその基準が流されていくと思うのですけれども、その手順については、この法律が通りまして、どのくらいかかるのですか。いまの現状の体制、それから見通しですね、そういうものをお聞かせ願いたいと思うのです。
  85. 西家正起

    説明員西家正起君) 先生のおっしゃいました工業用クロームメッキにつきましては、規格はすでに現在できております。熱処理等につきましては、これからつくるわけでございますが、その場合には、問題が非常にある場合と、ない場合で、期間が、過去のいきさつから申しますとずいぶん違っておりまして、比較的早くできるものは半年くらいでできるかと思います。時間のかかるものは一年くらいかかる場合がございます。
  86. 小柳勇

    小柳勇君 私、昨日、工場を一社ですけれども見学いたしましたが、これはいま日本メッキ連合会の副会長をしているところ工場ですがね。そこは二百人くらいの工場ですが、祭日ですけれども前の日に連絡しておいたから作業をしておりましたが、試験員がいるのです。研究室があるのです。二百名くらいの工場に試験室を持って研究員を置かなければならないというのは一体どうであろうかと考えたのですよ。工業技術院でも研究しておられる。そして、ここに一つの標準ができる、そういたしますと、その原料を買ってくる、原材を買う。これもJISですね。あるいは研摩の基準がきまる、あるいはメッキの工程というものがきまってくる、あるいは仕上げの工程がきまっています。作業工程が十か十五かわかりません。少ないのは四つか五つでできるでしょう。そうすると、わざわざ工場に試験部門、研究員などというものをおかなければならぬであろうかということを考えたわけですがね。そういうものについてはどうですか。この標準が、JISができましたら、もう工業技術院のそれを一つの基準にして、それに寸分たがわぬような作業工程をやれば、ちゃんとオーケーされる製品ができると判断するわけですがね。そういう問題についてはどうでしょう。
  87. 西家正起

    説明員西家正起君) 現在工業用クロームメッキにつきましてつくっております規格内容と申しますのは、でき上がりました、加工技術を施した最後の製品におきますところ加工品質をきめているわけでございます。たとえばメッキの厚さとか密着性とか、そういった最後の結果につきましてJISにきめているわけでございます。実はそのほかにメッキの作業標準というのが一応規格にはできておりますけれども、これは一つの作業標準を示すものでございまして、このたびの表示制度につながるものといたしましては、先に申しましたようなそのメッキ自身の品質規格に合っているものができるならば、それに表示許可を与える、こういうことになるかと思います。したがいまして、途中の工程は、これは一々十分に検査をして、常に一定の品質ができるかどうかということは検査をする必要はございますけれども、その工程における方法といたしましては、必ずしもその作業標準によらなくても、それぞれの企業の中でやり方をきめていただきまして、最終結果がいわゆるメッキのJISにきまっておりますとおりにでき上がれば、それは表示許可を与える、こういうようなつもりでいるわけでございます。試験研究機関、企業の中の試験設備と申しますものは、おそらく、できました品質がJISのとおりに合っているものであるかどうかというような試験をする必要がございますから、そのための試験設備はもちろん必要でございましょうし、それから、もっと新しくメッキのいい方法をやろうといったような試験機関、これはやはりそれぞれの企業では必要な場合もあろうかと考えるわけでございます。
  88. 小柳勇

    小柳勇君 その点もう少し研究してもらいたいと思うのですが、作業工程、たとえば十といたしましょう。十工程にする。素材を買ってきまして、研摩から始まりますが、十工程といたしまして、そして、薬の温度とか濃度とか、あるいはクロームメッキなどでは、やはりいろいろ工程がありましょう。その工程は一つの基準であります。それは五つであろうが、八つであろうが、十三であるかもしれませんけれども、最後の製品がJISでございますと、そうなのか。たとえば十の工程プラス製品、これがJISであるというのか、この点をもう一回御説明願います。
  89. 西家正起

    説明員西家正起君) 一応最後の製品がJISにきめられたとおりの加工が施されておるというものであればいいわけでありますが、ただ、一回限りその製品がたまたまJISにきめられたとおりの加工が施されておっても、これは許可を与えることはできないのでありまして、そういう意味では、途中の工程も詳細に検討するわけでございますが、工程ごとに取り上げました場合には、一つの基準どおり工程がいっていなくても、それぞれその企業の中で、合理的な方法で工程がきめられる、しかも、品物の品質上のばらつきがないように加工が施されまして、最終製品がJISに合ったものであるという場合には、表示の許可を与える。そういう意味では、むしろ最終製品にねらいがあるかと思います。
  90. 小柳勇

    小柳勇君 非常に重要な問題なんですが、十の工程があるといたしますと、それにずっと同じように十工程を経ますと、同じような品質が出る。それはそうでしょう。これはそのとおりです。たとえば人を減らしたい、あるいは別の機械を入れて、そのために二つの工程を抜きたい、八つの工程で製品ができる。それが試験の結果は、何じ、イコールであるかもしれない。見た目にも、あるいは試験しても、厚さにしても、光沢にしても。ところが、二つの工程を抜いたために、どこかにメッキの十五年耐えるものが十年になるかもしれない、八年になるかもしれない、あるいは一年でメッキがはがれるかもしれない、その辺までの試験というものはいままでの技術でできましょうか。それを商品としては、できたとき検査するときイコールであればいいわけですから、将来はそれはJISマークで保証いたしますけれども、いまあなたがおっしゃったこと、工程ということは基準でございます。製品はテストケースでテストいたしますときに基準といたしますということになると、いま言ったように、業者は研究室を設け、あるいは研究員を置きまして、なるべく工程を少なくして、費用を少なくして同じ製品をつくることに努力いたします、テストケースを通ればいいわけです、何回かの試験官が来たときに、その試験にイコールであればいいわけですから。その点について、もう一回聞いておきます。
  91. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいま先生の御指摘のございましたように、やはり最終製品がJISに合っているということが主眼だと思います。それで、たとえば、できましたメッキが五年間耐えるか、あるいは十年間耐えるかという問題につきましては、これは直接にはその品物を使ってみなければわからないという場合が多いかと思いますが、これは間接的に、たとえばメッキできました品物を切断いたしまして、メッキの厚さを見る、その他の方法で間接的にこれを試験することはできますけれども、そういうことがこまかく規格にきめられておるわけでございます。したがいまして、そういう判定法によりまして、JISどおりできておる場合には、これは表示許可を与えるという方向だと思います。しかし、それがたまたまできるのでは困るのであります。常にそういう品物ができるということが前提になるかと思います。工程につきまして、先生の先ほど御指摘のございましたように、十工程のものを八工程にして同じものができるという場合は、これは非常にけっこうなことだと思いますが、実際問題として、なかなか工程を、一つの標準の工程から非常に変わった作業のやり方をやりました場合には、なかなか思うようなものはできないということが現状でございます。
  92. 小柳勇

    小柳勇君 私の見た工場の例で恐縮ですけれども、その工場に入りますと、一つの秘密の部屋がありまして、これは見せないのです。これはまだ試験中でありまして、これはちょっと秘密にさせてもらいたいと言って見せない。で、いまあなたがおっしゃったようなことでありますと、各工場に試験員を置きまして、研究員を置きまして、なるべく手数を省いて、その品物をJISに合わせる製品をつくる努力についてはけっこうです。けっこうですが、いまのクロームメッキの工程が十工程、あなた方がちゃんと試験をして、金をかけて研究をして、これが一級のJIS加工であるときめる。そのきめたものが、これは製品だけではないのじゃないかと私は思う。加工そのものを一番能率よく、加工が一番少ない経費でできる、加工のできた品物、いわゆる加工技術、これが今回つくる皆さんの法律の精神ではないかと思うわけです。品物だけなら、いままでJISマークがあったわけです。加工技術というものを、いわゆるメッキ技術あるいは染色技術熱処理技術、このことを標準化してきめようというのがこの法律の精神じゃないか、あるいは業者の希望じゃないかと思う。どっちですか、それは。
  93. 西家正起

    説明員西家正起君) 一応標準化いたしますのは、加工技術を施した最終製品ところで押えておるわけでございます。そういう最終製品が、JISに合った最終加工品質のものがどうやってでき上がるかということにつきましては、クロームメッキの場合には、一つの作業標準というものがございます。したがいまして、大体はその標準に従ってやった場合に、目的加工品質が得られると思いますけれども、必ずしもそれによらない場合でも、最終的にそういう品質のものができれば、これはこれでいいというふうに考えておる次第でございます。
  94. 小柳勇

    小柳勇君 この問題、少し、私ももう一回現地に行きまして、工場を見ながら、現地の技術者と勉強してまいりますから、この問題、保留しておきます。次の機会に、もう少しあなたの意見を、私も少し機械わかりますし、きのう聞いた工場長の意見も少し違いますし、また、あなたがいまおっしゃったようにいたしますと、もちろん、各工場に試験員を置き、工程をうんと省きまして思うような製品ができるように勉強する。そして、その製品が一級JISに合えばそれでいいのですから、だから工業技術の向上なりに協力しながら、もうける方向になるべく工程を省いて、そして優秀な製品をつくるように努力するのですから、それも一つの方法でしょう。それも一つの方法でしょうが、そういうことでこの法律をつくられるものといたしますと、また私も少し考えを変えながら、別の角度から討論しなければなりません。私は、いま小さい工場にまで試験員を置き、研究員を置いてやっておるようなことよりも、むしろ、標準化ということは、一つの原料があれば、それから出発をいたしまして、そのまま研摩からメッキ加工、あるいは電気を使うものは電気、薬品を使うものは薬品、温度でも密度でも、そういうことを皆さんがちゃんと標準化する、そうすると、必ずその製品ができるのだ。この加工技術、これができますと、そうすると、今度は国家的に、どんどん途中の工程を省いたり、あるいは安い材料を使ったりして、安い材料を使ってもいい品物ができますという研究を国家的にやります。試験員も要らないのだ、そのJISに合うようにどんどんやっていく、そうして品物をつくる、それが外国に行ってもJIS一級として通るのだ、そういうものが法の精神だと思っておったものですからきのう行きまして、ここに試験員がおられる、あるいは試験室がある、あるいは表示許可工場で研究しておられる、こういうものも要らなくなるなと思ったものですから、しかし、あなたの答弁を聞いておりますと、今後ますますそういうものをやらなければもうからぬようになりはせぬかという一つの心配もありますし、そういうことを考えたものですから、この問題は少し保留さしていただきましょう。そうして技術的なもの、これは私、メッキだけを見ましたものですから、ほかの熱処理の問題——熱処理の問題はもう少しむずかしいですよ。これは製品だけじゃありません。やはり、御存じのように、これは温度とか、使用する液体とか、いろいろありますから、熱処理の問題はもっとむずかしい問題が出てくる、加工技術として。そういうものこそ、熱処理などはほんとうに標準化されますと、工業高等学校を出ました一年生でも、あるいは三十年年期を入れました人でも、ぴたっと皆さんがきめた標準的な加工をやればその品物ができるようになる、なるはずですね、標準化しますと。加工技術というものは、国家的にやるならばそうならなければならないのではないか。ただ、絵をかくとか、あるいは自動車みたいなのは、これは形はいろいろ好きがありますから、毎年変わってまいります。しかし、その部分品は、部分品の加工はJIS化されて、工業高等学校を出た一年の人でも、そのとおりやりさえすればその品物ができるという標準加工、そのあと製品については、自動車はやはり新しい型が毎年毎年出ますから、その型まで標準化したら、これはちょっと人間の社会が単純化されますから、それは反対ですね。ただ、加工の途中は、これは標準化していくべきであろう。その思想というものが標準化法改正の中になければならぬと思うのですが、その点はどうなんですか。これは技術院長から聞きましょう。
  95. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) ただいまの部長説明につきまして、多少不十分なところもございまして、御理解が十分できなかったのではないかと思います。この表示工場を許可するとかしないとかいう場合につきましては、もちろん、途中の加工技術ところ検査はいたすわけでございます。で、それが十分そういった品質を維持するに足る技術を持っているかどうかということを十分に調べまして、それによって加工技術につきまして許可するとかしないとかいうことを見るわけでございますが、最終の判断におきまして、製品品質のテストをいたしまして、それによって判断する、こういうふうな手順でございます。  それから研究と標準化関係でございますが、メッキにつきましては、御指摘のとおりに、もちろん大工場、大企業においてもやっておるところもございますけれども、主力は最近におきましては中小企業が大部分になっておる。今回お願いしておりますような部門につきましては、加工技術中小企業のものが多いという状況でございます。  例をメッキにあげますと、メッキの場合は、従来どちらかと申しますと、産業における主体となるような技術ではなかったわけでございます、従来の状態は。したがいまして、メッキ技術というものは、どちらかといえば非常におくれたものであったわけでございます。私どもの試験所におきましても、御承知のように、特にクロームメッキの場合、これはご承知のとおり、ニッケルロームメッキをいたそうという場合には、いきなりやりましてもなかなかうまくいかない、途中にいろいろ工程を経ておるわけでございますが、これに関しましては、私のほうにございます機械試験所におきまして、過去において、どういうふうにやったらいいかという研究をやったわけでございます。そういうようなことに基づきまして、従来の作業の標準化を、それをもとにし、また、外部の御意見も加えまして、こういうふうな技術について標準化が行なわれておる、こういうふうな経過をとっておる次第でございます。  このほか、熱処理なんかにつきましても、あるいは、これとは違いますが切削加工などもあるわけでございますが、こういったものをどういうふうな——私のほうのことばで申しますと、標準作業と申しておりますが、標準作業がどういうふうにしたらいいかということを従来研究をいたしまして、それぞれ、その成果を外部に、これは標準化とは関係ございませんけれども、いろいろなところに公表をいたしておる、こういうふうなことをやっておる次第でございます。しかし、それが現在の技術段階におきまして、もはやそれ以上の進歩はないかということを考えますと、これは当然のことでございますが、さらに工程を簡略化することによって品質を落とさないようなことは当然考えられるわけでございまして、この点につきましても、もちろん、現場におきましても、あるいは、われわれといたしましても、そういうことを常に念頭に置きながら進歩をはからなければならぬ、こういうふうに考えております。
  96. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっとまだ納得できませんので、この問題保留して、この次また少し私、勉強してまいりますので、保留さしていただきます。  次に、検査の体制ですね。いまおっしゃいました作業工程とか、あるいは製品とかいう検査でありますが、現在JISマークをとりますために、初めに検査に合格いたしましてJISマークをとりますと、表示工場といいましょうか、そういうところに、年に何回くらい検査ができるものか、検査体制について御説明願います。
  97. 西家正起

    説明員西家正起君) 現在、表示許可工場数は、先ほども申しましたように、延べ八千五百でございます。ところが、検査関係予算は大体毎年約八百工場、そのほかに審査の分が八百程度ございますが、受けたあと検査としては、毎年八百工場分でございます。したがいまして、予算面から申しますと、必ずしも十分ではございません。
  98. 小柳勇

    小柳勇君 ちょうど十年に一回くらいの検査になっておりますが、JISマークをとりますと、それが世界に通っていくわけでございますが、この検査体制についてどのようにお考えであるか。もちろん、これはもう少し予算をふやして検査体制を強化しようとおっしゃりたいのでしょうが、今度のこの法律改正によりまして、検査体制はどういうことになりますか。プラスになりましょうか、マイナスになりましょうか。
  99. 西家正起

    説明員西家正起君) 今後とも、御指摘のように、予算確保につきましては、一層努力をいたすつもりでございますが、なお、運用面におきまして、できるだけ今後は、一つには重点的な検査を行ないたい、問題のあるものに対しまして、これを密度を増しまして検査をするというのが一つでございます。それからもう一つは、検査と申しますと、非常に時間のかかる検査なんでございますが、そのほかに若干、規格制定状況調査のための旅費がございまして、そういうもので職員が行った場合に検査の必要があるかないかということをあらかじめスクリーンをするとか、こういうことによりまして、検査の効率を高めたい。それから最後に、今回の改正に出していただいております「報告徴収」というのがございます。「報告徴収」によりまして、検査の若干足りない点を補いたい。この三つによりまして、検査の足りないところを補いまして、JISの信用が落ちないように努力したいと考えております。
  100. 小柳勇

    小柳勇君 現在法の二十一条に「(表示についての申出)」というのがありまして、「第十九条第一項の表示の附してある指定商品がその表示に係る日本工業規格に該当しないと認める者は、主務大臣にその旨を申し出ることができる。」と書いてあります。こういう申し出の実績が過去にございましょうか。
  101. 西家正起

    説明員西家正起君) 申し出ました例は過去ございません。ただし、法律に基づかずに、いろいろなうわさ等で耳に入ることはございます。その場合には、それ相応の処置をいたします。
  102. 小柳勇

    小柳勇君 検査に行かれて、JISをとっておるはずの品物が該当しないと、これは不適格であると、こういうような判定をされるようなことは年にどれくらいでございますか。
  103. 西家正起

    説明員西家正起君) 検査をいたしまして全然jISに合ってないものを出しておったという悪質の場合は少ないのでございますが、たとえば規格改正になりまして、改正になったあと検査に参りました場合に、改正された規格どおりやってないというケースが往々にしてございます。そういう意味で、そういう際には、一時販売停止とか、あるいは、そういう品物をつくらせないといったような行政指導をやっておりますが、これは年に数十件ございます。
  104. 小柳勇

    小柳勇君 外国などで、日本のJISマークを持っておってけしからぬではないかと言って、外国の大公使館やあるいは通産省などに言ってきた実績はございませんか。
  105. 西家正起

    説明員西家正起君) いままでございません。
  106. 小柳勇

    小柳勇君 私ども少ない経験ですけれども、外国に参りまして、日本の商品は安かろう悪かろうでよくないという話を聞きまして、非常に赤面したこともございます。これは大使から直接聞いた話でございますが、JISマークのところまで突っ込みません。それはJISマークがついておったかということまでは聞きませんが、日本の商品は安かろう悪かろうというそしりをいまでも受けておるんだという話を聞いております。標準化されましたものが外国の商品と比較されるのですが、そこで国際機関の問題を一、二聞いておきたいのですが、ISOあるいはIECがありまして、これに日本も加盟しておりまして、国際的な活動をやっておられるが、どんな人が委員として派遣されておるのか、あるいは民間人であるのか、あるいは大学の教授であるのか、そういう面、具体的にお教え願いたいと思うのです。
  107. 西家正起

    説明員西家正起君) 現在国際的な標準化をいたしております機構といたしまして、ISO、これは国際標準化機構と言っております。ISOと、それからIEC、これは国際電気標準会議と言っておりますが、この二つでございます。この二つに対しましては、日本の場合は、工業標準調査会がこの二つに加入をいたしております。これは閣議決定によって加入をいたしておりまして、工業標準調査会が加入しておる関係上、外国におきまして会議がありました場合には、調査会委員の中から選ばれまして実際には出席いたしております。IECの場合には、現在その代表者の方が大体固定いたしております。現在、東洋大学の先生の山下教授が大体日本の場合は代表として参加されております。
  108. 小柳勇

    小柳勇君 外国のPRに負けないように日本標準化日本のJISを外国に知らせるというPRがなされておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。この前、大臣質問しましたように、予算が減っておりますし、まあ予算説明を受けましたけれども、今年度の予算は減っておりますし、貿易自由化になりまして、この際こそ、日本技術の標準を外国に知ってもらわなければならぬわけですが、大学教授が一人、二人でなくて、あるいは調査員が若干でなくて、にこういう会議に出ていって、うんと宣伝しなければならぬと思うが、その決意を院長からお聞きしておきたいと思います。
  109. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) お説のとおりでございまして、私どもといたしましては、現在の予算の許す範囲におきまして、この日本のJISはもちろん日本語でできておりますが、これを海外に知ってもらうために、英文に英訳をいたしますこと、あるいはJISそのものを英文化すること、また、そのJISに関するいろいろな英文の説明書などをつくりまして、それぞれ海外に宣伝につとめておるのでございますが、まだそれで十分であるとはもちろん現在考えておりませんで、今後ともなお努力をいたさなければならぬというふうに考えております。また、このISOあるいはIEC、これに専門委員会その他がございますが、それにできるだけ多くの人を派遣するようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  110. 小柳勇

    小柳勇君 国内的な宣伝啓蒙についてはどういたしておられるか。国民も工業標準化の問題については深く理解をいたしておりませんと、せっかくこの制度ができましても、技術の向上にはならないと思うのですが、予算面から見た国民に対する啓蒙宣伝活動について御説明を願います。
  111. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) 先生お話しのとおりでございまして、JISを制定いたしただけでは不十分でございまして、これを十分に活用してもらうということが一番大事なことでございます。そこで、業界に対しましては、規格制定されるとできる限り説明会を開催するというようなことでこのPRにつとめておるわけでございますが、一般に対しましては、その対象が非常に広範囲にわたります。そこで、各都道府県とか、あるいは日本規格協会というのがございますが、この規格標準化の普及宣伝をすることも一つの仕事にしておるのでございますので、この日本規格協会あるいは日本商工会議所あるいは業界団体その他と緊密な連絡をとりまして、ここでテレビとか、あるいはラジオとか、あるいは講演会、展示会といったようなものを随時開催いたしましてPRにつとめておるわけでございます。また、例年の秋には、工業標準化振興期間というものを定めまして、この期間におきまして、大ぜいの人が集まる所にいろいろな掲示をするとか、あるいは家庭用のものもございますので、これはJISマークの商品ガイドといったようなものを、これはパンフレットでございますが、そういったようなものを作成いたしまして、このPRにつとめておるわけでございます。この国内向けの直接の予算は、大体百十万円でございます。
  112. 小柳勇

    小柳勇君 昭和三十八年四月に、行政管理庁から「官庁物品の調達および管理に関する行政監察」が出されて、その中で、調達数量の大きい各省庁共通の庁用物品などについては、各省庁を通ずる統一的標準規格の設定と標準仕様書の作成について考慮することという勧告が出されておるが、自来三年近くたった今日、このような物品はどのように改善されてまいったか、お伺いいたします。
  113. 馬場有政

    政府委員馬場有政君) この点、ただいまお話しのように、「官庁物品標準化及び国産品使用推進本部」というものが総理府に設けられて、各省庁と大いに連絡を密接にとりながら、統一的な施策を講じておるわけでございます。どういうことをやっておるかということについては、ただいまお話がございましたので、どういうふうな効果があったろうかということを、これをむしろ御説明申し上げたほうがいいのではないかと思っておるわけでございます。で、そういった運動の結果、大体消耗品のようなもの、これは文房具——消しゴムとか色鉛筆とか鉛筆とか、あるいは、いろいろな使います用紙、こういったものにつきましては、ほぼ一〇〇%こういうものが標準化して使われておるわけでございます。ただ、備品類でございますと、たとえば鋼製の机あるいはいす、ファイリングキャビネット、あるいは事務用の書庫、ロッカーあるいは木製家具、こういったものの六つの標準仕様書がつくられておるわけでございますが、この普及率は六〇%くらいでございます。こういったようなことをやっておる次第でございます。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 これから各論に入るわけですが、つまり、今回の改正に対する質問に入っていくわけでございますが、その質問の中心は、さっき保留いたしましたあの問題が一番中心でありますから、これから先の問題は保留いたしまして、さっき申し上げました一つは試験関係の資料と、それからもう一つは、保留いたしました問題をこの次もう一回、私も勉強して確かめますから、院のほうでも意思統一をして、ここで発表していただきます。それがこの法改正の一番中心だと考えますので、きょうの質問は以上で終わらせていただきます。
  115. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に関する質疑は、この程度にいたしたいと存じます。     —————————————
  116. 村上春藏

    委員長村上春藏君) なお、ただいま委員の変更がございました。久保等君が辞任され、永岡光治君が選任されました。     —————————————
  117. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、衆議院送付の、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、先般、提案理由説明を聴取いたしておりますので、本日は、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  118. 近藤信一

    近藤信一君 だいぶ時間もおそくなりましたけれども、せっかく北島委員長に御出席をいただいておるのでありまするから、二、三の点について御質問を申し上げまして、また後日に譲ってみたいと思います。  特に、北島委員長が就任されて以来というものは、国民経済的見地から非常に意欲的な活動を続けてきておられますので、その点につきましては、私どもといたしましても、大いに北島委員長に対しまして敬意を表したいと思います。さらに、独禁法というものが発足いたしまして、もうすでに二十年間を経過するわけなんです。その間にいろいろと公正取引委員会といたしましては、いろいろな面で活動を続けてこられた。しかし、あるときには、いろいろとある方面からの圧力もあり、これはもう公正取引委員会というものが不要じゃないかというふうな批判すら一時はされたときもあったと私は思うんです。その中で、何とか公正取引委員会というものを本来の姿にしなければならぬ、こういうことで御努力されておることは、私どもよく承知しておるわけですが、特に特振法が国会に提案されましたときには、公正取引委員会といたしまして、非常に政府原案に対しては、いろいろとこれに対するところの反対の立場をとられまして、最終的に提案されるときには、やむを得ずこれを公正取引委員会としては了解して、これが国会に提案された。しかし、この特振法が国会で廃案になりまして、その後の動きというものは、私どもとしてはまことに不満足な点があろうかと思うんです。なぜなれば、今日の姿としては、あたかも特振法が生きておるかのごとき動きというものが見られるんじゃなかろうかと思うんです。それはたとえば通産省におきましていろいろと行政指導ということで企業の調整をはかっておられる。そうして、これは私ども考えますならば、公正取引委員会としてはまことに意に反するようなことがなされておるじゃなかろうかというふうにも私ども考えざるを得ないんです。しかし、その中で公正取引委員会というものが本来の姿を維持していこう、こういうことで御努力しておられるわけでございまするが、今日までの二十年間、この長い期間、いわゆる消費者保護のために公正取引委員会は御努力をされてきたわけでございまするけれども、この二十年間に、どれだけの消費者保護のために公正取引委員会としてその実績というものをあげてこられたか、まず、この点からひとつ伺っておきたいと思います。
  119. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいまいろいろ御鞭撻いただきまして、まことにありがたいと存じます。  独占禁止法が制定されまして、すでに十九年、満二十年になんなんといたしておりますが、この間において、公正取引委員会に関しましては、いろいろ紆余曲折があったと思いますが、おかげさまで、今日までどうやら健全な発展をしてまいりましたのは、ひとえに諸矢生方の御鞭撻のおかげであるとここに厚く御礼申し上げます。  そこで、ただいまお話がございました公正取引委員会は消費者の保護のためにどういうことをしたか、そういうお尋ねでございますが、これは実は数字的に申し上げることは、まことにむずかしい問題でございまして、御案内のように、独占禁止法第一条におきまして、すでに、独占禁止法の厳正な運用が一般消費者の利益の確保になる、ひいては、国民経済の民主的で健全な発達ということになっています。具体的に数字をあげることはまことに困難ではございますが、私どもは、独占禁止法を厳正に運用してまいったこと、これがやはり多かれ少なかれ、いろんな意味において一般消費者の利益になってきたのではなかろうか、こういうふうに一応考えておるわけでございますが、具体的にどういうことかと申しますのは、また、いろいろ御質問に応じましてお答え申したいと思います。
  120. 近藤信一

    近藤信一君 一般消費者の保護のたてまえをとった場合に、やはり生産点から考えますと、若干の矛盾が出てくるような点も、私は今日までの二十年間には、しばしばあったんじゃないかというように思うのです。たとえば、一般消費者に対しては、なるべく負担のかからない低廉な安いものをひとつ需要のために充てよう、こういうようにあなた方が考えられた場合に、生産者のほうにおきましては、それだけ消費者のために努力するためには、自分の企業の利潤というものを無視してやらなきゃいかぬというようなことが起こってくる。その場合には、その企業におけるところの対策というものはまた別個に変わってくる場合があると私は思うのです。そういった場合に、公正取引委員会としても非常に矛盾を知りつつも、一方を押え、一方を助長させなければならない、こういうふうなことも今日までしばしばあったんじゃないかというふうに私は思うのです。特に歴代の公正取引委員長がいろいろと苦労された点もそこにあるのじゃないかというふうに私は思うのですが、この点はいかがですか。
  121. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) まことにむずかしいお尋ねでございますが、独占禁止法の目的は、最終的には「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ということになっているのです。具体的な内容としては、公正かつ自由な競争を促進すること、これがやはり法の中心でございまして、「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、」、こうなっていますが、本来生産者におかれても、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意が発揮されて有効な競争が行なわれておるならば、自然にそれは生産者のためにもなる。同時に、最終的には、それは消費者のための利益に帰する、こういう考えでございますので、最終的には、私は矛盾するものとは考えておらないのでございますが、具体的な個々の場合になりますと、ただいま、御案内のように、不況カルテルが十六ございますが不況カルテルの認可申請がありました場合におきまして、はたしてそれがこの独占禁止法でいう不況カルテルの要件に当てはまるかどうかということの認定につきましては、実を申しまして非常にやはり悩むところもございます。ただ、考え方といたしましては、一応、不況カルテルにおきましても、最終的には、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害することのないようにという大きなワクがございますので、そのワクの範囲内において、生産者がもしかりに不況カルテルを結ばなかった場合における生産者並びにその他経済に及ぼす悪影響と、それから不況カルテルを実施することによって消費者、関連事業者のこうむる不利益と、両方勘案いたしまして、不況カルテルを認めるかどうかをきめている、こういうような悩みも非常に持っています。それからまた、中小企業関係におきまして、中小企業団体法におきまして多くのカルテルが認められておりますが、これを通産大臣から認可の御協議がありました場合におきまして、中小企業の立場はこれはよく私どもわかりますが、はたしてそれが長く続くのか、続くことによって、かえって中小企業者の不利益になるのではないか、こういう点も十分に考えながら御協議に応じておるようなわけでございます。具体的の場合になりますと、どちらをとるべきか非常にむずかしい場面もございますが、究極におきましては、この独占禁止法第一条の目的に照らして、はたしてこの行為がいいかどうかを判断する、こういうふうにいたしております。
  122. 近藤信一

    近藤信一君 ただいま委員長が御答弁されましたように、独禁法の第一条の目的の項にはいろいろとあるわけなんです。「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、」云々とございまして、ここに目的をたくさん書いてあるわけなんです。一つ一つを実際調べていきますると、なかなか私は公正取引委員会としてのやりにくい点があろうかと思うんです。たとえば、この中で、特に昨年来不況克服のために企業の合併等が相当なされてきております。紡績工場の合併、レーヨンまた化学工場の合併だとか、また、自動車産業の合併その他粗鋼の問題等々いろいろあるわけなんです。それを厳格な意味からいきますると、通産省がこれに対しましては行政指導して調整をはかっていくんだ、いわゆる過度の競争を防いでいくんだ、こういうような理屈はいろいろとこれはつきます。どろぼうにも三分の理ということがございますから、理屈はいろいろとあげられるのでございますが、やはり厳格な意味から検討していきまするならば、私はこの独禁法に抵触する点があるのではなかろうかというふうにも考えるわけでございますが、従来とられましたいろいろな行政指導に対しましては、これは全面的に独禁法に抵触する筋はないんだ、こういうふうにあなたのほうではお考えになっておられるのかどうか、この点お伺いしたい。
  123. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 行政指導というものは、私は行政官庁の権限と責任においてできると思います、各省設置法の範囲内におきまして。ただし、それにはおのずからやっぱり限度があるのではなかろうか、行政指導としての限界というものは、それを相手に強制することができないことじゃないかと思います。各省各庁がその所管の事務につきまして業界を誘導するということは、私はある場合によっては必要であり、中央の官庁がいろいろデータを持っておるわけでございますから、そのデータに基づいて業者を指導していく、これは私は当然のことかと思います。ただし、それがもし、いわば生産調整のような勧告操短というようなことになりますと、そういう事態を必要とするならば、それは独占禁止法で不況カルテルという制度があるわけでございますから、そういう方面をいわゆる行政指導によって行なうことは私どもは好ましくないというたてまえを堅持しております。そして、もし行政指導による生産調整を必要とするような事態があるならば、それは独占禁止法上の不況カルテルによるべきだ、こういう見地でございまして、公正取引委員会はその方針でずっとまいったわけでございまして、行政指導のすべてが私は独占禁止法に反するものだとは毛頭思っておりませんが、往々にして独占禁止法の精神に抵触することもあり得る。その場合には、やっぱり行政官庁に十分御注意願わなければならぬのではなかろうか。それとともに、私どもとしましても、そういう点に関する注意を喚起する必要が大いにある、こう考えております。
  124. 近藤信一

    近藤信一君 私どもが見ておりますると、この二十年間公正取引委員会が運営されましたが、今日これを予算的に見て非常に少ないんじゃないかと思います。また、定員というものは非常に少ないんじゃないかと思います。そうした予算の問題、それから定員の二十年間の推移、さらにまた、その機構というものがどういうふうに移り変わってきておるか、それを簡単に御説明願いたいのでありますが、これをいま予算面で私が調べたところによりますると、政府公正取引委員会の強化ということを盛んに力説しておるわけでございまするけれども、三十一年度からの国家予算及び公務員の増加状態と、公正取引委員会のそれと比較してまいりますると、あまり変わりはない、すなわち、国の予算は、三十一年度の一兆三百十九億から、今日では四兆三千百四十二億円と、四倍以上ふえているわけなんで、これに対しまして公、正取引委員会予算はどうなっておるかというと、三十一年度の一億百六十四万から三億六百三万円と、三倍しか増加していないわけなんです。この点、予算の伸び率からまいりますると、公正取引委員会は悪いのじゃないかと思うのです、国の総予算の伸びの点からいくとですね。人員のほうはどうかというと、国の予算定員について見ますと、三十一年度百五十六万五千人から百九十三万八千人と、一・二四倍ふえておるわけなんです。これに対しまして公正取引委員会は、二百三十七名からやっと三百七名、これは一・二九倍と、あまり大差はない。この点について、あなたのほうとしては、どのような計算をしておられるのか、これをちょっと御説明をしていただきたいと思います。
  125. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 公正取引委員会の機構、人員につきましては、創立当初は二百八十四名、翌年度の昭和二十三年度において三百二十七名という、一番のピークに達したときがございますが、それ以後は漸減いたしてまいりまして、ごく最近まで、昭和三十七年度、三十八年度までは二百四、五十名程度であったわけでありますが、三十九年度、四十年度、ことに四十一年度において三十名という相当大幅な人員の増加がございましたので、やっとお話のような数字になっているわけであります。これで三十一年度と比べまして、人員の伸びは一般国家公務員全体よりも多少多いが、予算のほうの伸びは一向多くないのではないか、こういうことでございますが、ここは公正取引委員会予算が、ほとんどその大部分が人件費であるということに基づくものではないかと考えております。昭和四十一年度三億六百万円の予算でございますが、そのうちの八七%が人件費でございます。国の予算のほうは、人件費よりも事業費、事務費の伸びが非常にその間に多かったのではなかろうか、公共事業費の伸び等を考えましても、それは容易に看取できるところでございます。一方、定員はできるだけふやさない、こういう方針からいたしまして、三十一年度に対比して四十一年度の国家予算は四倍なのに、公取の予算は三倍程度にしかなっていない、こういうことになっているのではないかと思います。ただ、人員の問題につきまして、私ども、現在の公正取引委員会の仕事を遂行するにあたりまして、非常に私ども手不足の面が多々あったと思います。これにつきまして、四十一年度においては、政府できめました前年度の予算額の三割以内の概算要求ということで縛られておりましたので、残念ながら、五十七名の人員の要求しかできませんでしたが、五十七名に対しましては、予算的には三十三名の増員を認められておりますので、これは各省に比べては格段の相違でございます。これは公正取引委員会の私どもの仕事の重要性というものがだんだん認められてきている証拠ではないかと、こう考えておるわけでありますが、しかし、この程度で満足いたしておるものではございません。
  126. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、現在は二百七十七名で、今度の改正案で三百七名と、三十名の増員をあなたのほうとしては法改正で願っておられるわけであるが、公正取引委員会としては、やる仕事というのは非常に私は多岐多様にわたって、複雑でもあるし、非常に人員的にも、私は相当の人員というものが必要でないかとも考えるわけなんで、それが徐々にふえてきております。ところが、実際に今度ふえた数は三百七名で、実際今日までの活動から言って、どれだけの一体活動というものを今後あなたのほうは見込んでおられるのか、私どもから言って、わずか三十名ということは言い得るわけですが、まあ公正取引委員会としては、三十名は多いほうだとお考えになっておられるのか、実際は一体どれくらいの人員構成というものが必要であるのか、あなたのほうの考えというものについて、一応お聞きしておきたいと思います。
  127. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これはまあ直ちに実現性の有無は別といたしまして、私どもが一応理想的に考えますと、とにかく現在三百七名に対して、約倍の人数は必要なのではなかろうか、倍と申しますと非常に大きく聞こえますが、何と申しても、私ども、地方事務所の人員が非常に手薄でございます。一ヵ所平均十名程度では、ほとんど仕事にならぬ感じでございます。この点では、来年度広島に一ヵ所設けられますが、さらにブロック的に考えますと、四国に設ける必要もございますし、それから一地方事務所十名ということは、何としても仕事ができない、こういう点、独占禁止法は東京だけではございませんので、地方の手足のほうも充足しないといけないと考えております。こういう点も頭に入れて、約六百名程度人員は将来必要であろうと考えております。
  128. 近藤信一

    近藤信一君 いま委員長から将来六百名くらいの人員が必要だと御答弁されましたが、私どもは、やはり今日の人員では非常に不足しているのではないかと考えるのです。そこで、なぜ、改正を今度される場合に、わずか三十名の定員増の要求でなくして、もっと思い切って公取委員会は大幅にこの機会に人員の要求をし、予算の要求をされなかったか、私は当然そうされるものと思っておりましたけれども、法改正では、わずか三十名の要求である。特に昨年から今年にかけまして、公正取引委員会としてやらなければならぬ問題は私は相当あると思うのです。これは徐々にこれからまた後日お尋ねを申し上げたいと思うのですが、一体あなたのほうは、今年度法改正を願って三十名だけでがまんされたのは、いろいろ通産省にも遠慮し、また大蔵省にも遠慮し、そうして、このわずかの少人数の法改正しか申請ができなかった、この点、委員長としてどのようにお考えになっておられるのか、それとも、まあ当面は一三十名で満足だと、これで十分やっていけるというふうにあなた自身はお考えになっておられるのか、この点もあわせてお聞きしておきたいと思います。
  129. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは予算要求しますにつきまして、通産省のほうは全然考えておりませんから、まず御了解いただきたいと思います。大蔵省に対しましても、私どもは五十七名の増員要求につきまして強く要求いたしまして、結局、予算的には三十三名でございまして、これは三十三名認められるまでに第七次の復活要求が出ております。そういう点ひとつ御了解いただきたいと思います。政府といたしましては、定員の増加というものは絶対に避けたい、各省各省で全体として定員の増加は絶対に避けたいという強気の方針であります。しかも、一方、行政管理庁が委員会を持ちまして、定員並びに機構の増加というものをきわめてシビアーな態度でいっております。この間におきまして、予算的に三十三名とれたということは、この時期においては私はまずまず成功ではなかったかと、こう考えておるのでございまして、あるいは、おまえ気が弱いじゃないかというお話でございましたが、第七次の復活までいたしております。しかも、最後のところは結局、実行の可能性も頭に入れまして、すぐ三十三人ほかから人が降ってくるわけでもございません。実を由、しますと、各省各省の協力を得ませんと、この人員の充足はなかなか困難でございます。そこで、本年度はこの三十三名、実人員三十名の増員でございますが、まず、これをひとつ優秀な人でもって、各省各省から応援を求めて埋めていきたい、こう考えておるわけでございますが、各省各省も、例の定員不補充の原則に縛られておりますので、なかなか公正取引委員会にも人を出したがらない、こういう関係でございますので、昭和四十一年度としては、三十名の定員増加は政府としても大奮発である、私としてもとり得る最大の限度である、こう一応考えておるわけでございますが、もちろん、これをもって満足しておるわけではございません。
  130. 近藤信一

    近藤信一君 今度の三十名の定員増加に対しまして、広島地方事務所を一カ所設ける、こういうことで、広島地方事務所は一人ですか、人員一名ということのようでございますが、一体、今度の増員についてどの部門が強化されるのか、また、あなたのほうでどの部門を強化して今日の状態に対処していこうと考えておられるのか、この点、お尋ねしておきます。
  131. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 一応定員の配置といたしましては、本局の審査関係で一課を増設いたしまして八人を充てたい。それから、管理価格の調査につきまして、五名をもちまして、これは調整課に仕事をさせたい。それから、再販売価格維持契約、その他再販売価格維持行為の実態調査並びにその他の不公正な取引方法のために、一課を取引部に設けたい。それから、広島に地方事務所を設けて、これは定員六人を充てる。あと大阪、名古廃に両方で三人増員すると、このような考えで三十三人予定いたしておりますが、なお、本局の取引部の下請課、現在十三人の定員のところを六人増加いたしたい、こう考えております。こういった配置をいたしまして、来年度、違法な価格協定とか、あるいは再販売——いままでとかく調査に残念ながら手抜かりがございました再販売価格維持行為等の実態の究明、それから従来からも手不足でございました下請代金支払遅延等防止法の実施の強化等につとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
  132. 近藤信一

    近藤信一君 現在の予算と、法改正後の人員で、公正取引委員会としては正常な業務がやっていけるのか。  それからまた、この予算要求というのは、やっぱり人員増による予算だけであって、ほかに別にあなたのほうでは要求されるようなこともあまり聞いておりません。そこで、ただ人員をわずかずつふやしていくというだけでなく、いま実際やらなきゃならぬ問題は、立ち入り検査等も、相当人員さえあれば私はもっとできるんじゃないかと思うのです。それが、現在の状況というのは、あまり立ち入り検査なんかできない、申請されたものに対して、状況を判断して立ち入り検査するとか、申請による問題をあなたのほうは審査するとか、そういう方法しか現在はとられていないと私は思うのですが、業務の問題について。やはりほんとうに業務を強力に推進していこうということになれば、人員そのものが必要になってくる、こういうことが考えられるんじゃないかと思うのです。ただ、そうして、その他に大きな、また予算面においても、あなたはもっと十分使ってやらなきゃならぬ問題があるんじゃないかというふうに私思うのですが、この点はどのようにあなたのほうは判断しておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  133. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お説のとおり、人さえふやせば、しかも、働き手が実際におりますれば仕事が進む、仕事は私のほうはうんとございます。御指摘のように、下請代金支払遅延等防止法に基づくところの立ち入り検査励行、それから定期検査、定期調査の拡充ということもあるわけでございます。まあ、下請法関係につきまして、今回、いままで十三人のところを六名の増員でございますので、相当公取としては事務の改善を期待しているわけでございますが、なお、人員関係だけでなく、その他の予算面につきましても、従来はなはだしく貧弱でございました公正取引委員会の事務経費、これも昭和四十一年度は従来に比べまして相当獲得いたしております。ことに、必要な検査もできないような旅費は、絶対にこれは避けまして、検査旅費等につきましては、私どもは今回の予算でもって現在の人員ならば不足はまずないと、こう考えておる程度予算も獲得いたしましたから、何とぞ、ひとつ御安心いただきたいと思います。
  134. 近藤信一

    近藤信一君 公取でいつも法律改正というと、先ほども申しましたように、人員増だけの法律改正になってくるわけなんですが、それは、先ほどから言っておりますように、人員が不足しているから、小出しに人員増が出てくるわけなんですが、ただ、人員増の改正だけじゃなくして、その他にも公正取引委員会全般について何か改正せなければならぬような点があるのかどうか、もしあるとすれば、どの点をあなたのほうは改正されなければならないというふうに考えておられるのか、当面はもう、そういう他のもろもろの問題については改正する必要がない、現在の法律で十分に間に合っているんだというふうに判断をしておられるのか、この点をお尋ねいたしまして、たいへんもう時間もおそいのでございますから、あとの問題については、後日お尋ねすることにいたしまして、きょうはこの程度にして私の質問を終わりたいと思います。
  135. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 毎年、定員機構の拡充につきまして、独占禁止法の改正をお願いいたしておりますが、今後もおそらく毎年お願いいたすことと存じます。  なお、これ以外に必要はないかと、こういうお尋ねでございますが、この点は、私どもといたしましては、当面の問題といたしましては、現在の独占禁止法を厳正に守っていくことがまず第一だ、こう考えております。さしあたり実行いたしまして、私どものほうとして特に改正しなけりゃならぬという点は、私ども、ただいまのところ思い当たっておりません。実行上大体解決いたしております。
  136. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に関する質疑は、本日のところ、この程度にいたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会      —————・—————