○
政府委員(
乙竹虔三君) 先ほど
先生から綿紡の不況というのは独禁法上どうだろうか、非常に大きく割り込んでおるのではないのではないだろうかというお話がございましたが、非常に合理化をしておりますところでは、もうけをのけますと百六十円で、四〇でございますが、コストが四〇を百六十円であげておるごく例外的な
会社はございます。これは事実でございます。ただこれはもうけは出ておりません。一般的に申しますと、実は私のほうでいわゆる構造問題と取っ組みますために、どうしてもコストから入らなければいかぬということで、抽出
調査でございましたが、コスト問題というものは非常に調べにくいのでございますが、できる限りわけを話して
会社側の協力を求めまして、数十社についてコスト
調査をいたしたのでございます。四〇につきまして一番コスト・ダウンをしておるところは百六十円ちょっと割っております。しかし大体は百七十五円から、その上ひどいのになりますと百九十円近いというようなコストのものもございまして、私は市況の百六十円というものは、これは非常にコスト割れであると
考えております。なお十大紡の決算の状況でございますが、四十年の上期下期をとってみますと、十大紡がかつて三十九年には利益率三・五%近くございましたのが、四十年の上期には一・八%に落ち、四十年下期には〇・四%になっておる。これは一応利益は出ておりますけれ
ども、御
承知のとおり土地なり工場などを相当多数、二十数億売ったと聞いておりますけれ
ども、特に利益を計上して〇・四%のかろうじて黒を出しておるというのが十大紡の状況でございますし、また新紡の十社につきましても、かつて三十九年の三・五%前後の利益率が現在一%程度に落ち、ないしはそれが減りつつある。新々紡も同様、こういう状況になっておるわけでございます。そういうようなことでございますので、われわれは独禁法の
条件に該当すると思うわけでございます。
第二に新法について、これは
先生非常にお詳しいのであれでございますけれ
ども、新法の十七条によりますと、新法発足と同時に、まあ簡単に申せば余った精紡機ですね、需要に比べまして余った過剰精紡機と申しますか、ラフに申せば。これを凍結いたしたわけでございます。この凍結したということは、
考え方から申せば、新法が施行になったそのときから綿糸業界は自由競争に入ったということでなくして、新法が失効する四年後に自由競争に入る。新法の施行期間中は
法律でもって、旧法に比べますと、ラフではございますけれ
ども、一応需給の
調整をやって、そうして綿紡
会社に収益を確保させて、そうして自由競争時における綿紡
会社の体質改善を、新法施行という期間中に綿紡
会社に対し体質改善を達成させようというのを私は新法がねらったというふうに
考えておるわけでございます。ところが遺憾ながら、確かに先ほど御指摘のように、
通産省だらしがないじゃないかと言ってしかられたわけでございますが、新法を施行いたしましたとたんにカルテルを結ばざるを得ないほど大きく需要供給のバランスがくずれたということではないだろうか。私の
考えておりますのに、新法の施行期間中というのは、むしろ綿紡
会社に四年後における自由競争に備えて、収益をある程度確保して、そうして体質改善をなすべき期間というふうに新法で
考えておったのが、事志と違ったというふうに私は
考える次第でございます。確かにどうも
通産省見込み違いをしたと思うのでございますが、まあそれはともかくといたしまして、現在はそんなことでカルテルの延長を業界は希望しておるわけでございますが、ポイントは御指摘のように、こんな短期の需給
調整でつないでいってもどうも間に合いませんので、構造問題と取り組まなければならない。後進国の状況、先進国のマーケット、国内の労働の需給関係、また複合
繊維時代といわれております合成
繊維の進出等々を
考えました場合に、どうしても急速に綿紡各社を、いわゆる労働集約産業から
資本集約産業に脱却しなければならない、差し向けなければならないというふうに
考えておりまして、
大臣も申しましたように、目下
繊維工業審議会と産業構造審議会の共同の
体制小
委員会におきまして、この
体制問題に本格的に取っ組んでおるわけでございます。ただ、この
体制問題とカルテル問題との関係でございますが、私個人といたしましては、何を申せこの構造改革を達成いたしますためには、先立つものは資金が要る。この資金は国も極力これは支援をしなければならないというふうに思い、また国会にお願いしなければならないというように
考えておるわけでございますが、何を申しましても、主になりますのが綿紡各社の自力、体力だというふうに思うわけでございます。で、この構造改革に綿紡各社が向かいますためにも、ある程度の収益は確保してやらなければなかなか構造改革はスムースにいかないのではないか。これが現時におけるカルテルの位置づけではないかというふうに
考えておる次第でございます。