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1966-02-15 第51回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十五日(火曜日)    午後一時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 岸田 幸雄君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 小柳  勇君                 永岡 光治君                 藤田  進君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君    政府委員        公正取引委員会        委員長      北島 武雄君        経済企画庁長官        官房長      澄田  智君        経済企画庁長官        官房会計課長   平山 正隆君        経済企画庁調整        局長       宮沢 鉄蔵君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君    説明員        通商産業大臣官        房参事官     吉光  久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (昭和四十一年度通商産業省施策及び予算に  関する件)  (昭和四十一年度経済企画庁施策及び予算に  関する件)  (公正取引委員会業務概況に関する件)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会におきまして協議いたしました事項につきまして報告いたします。  本日は、昭和四十一年度通商産業省施策及び予算に関する件、昭和四十一年度経済企画庁施策及び予算に関する件、並びに公正取引委員会業務概況について、それぞれ説明を聴取いたすことにいたしましたので、御了承をお願いしたいと思います。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) それでは、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、まず三木通産大臣から、昭和四十一年度通商産業省施策について説明を聴取いたします。三木通産大臣
  4. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 通商産業政策重点事項について御説明を申し上げることにいたします。  政府は、本年における施策重点不況克服とそれによる経済の立て直しに置き、本格的な公債政策を取り入れるとともに、大幅な減税を断行することにより、財政面から積極的に景気回復をはかり、経済均衡ある発展国民生活安定向上を実現していく方針でありますが、通商産業政策もこのよな基本方針に沿って強力に推進してまいる所存であります。  すなわち、昭和四十一年度における通商産業政策は、流動する国際経済環境に対処しつつ、わが国経済の持つ発展力を十分に発揮させる基盤整備し、本格的開放体制下における均衡のとれた経済成長計画的推進をはかることをその基本方針とし、特に、施策重点輸出振興経済協力推進中小企業施策拡充浸透技術開発促進産業国際競争力強化総合エネルギー対策推進適正立地環境整備流通消費者行政拡充に置いて、その積極的な展開をはかる所存であります。  通商産業省一般会計予算につきましては、本年度約六百十六億円に対し、昭和四十一年度におきましては約三〇%増の約八百三億円を計上するとともに、通商産業省関係財政投融資計画につきましても、本年度当初計画に比べ約二三%増の総額五千九百三十一億円を計上することといたしました。これらの措置により、通商産業施策の一そうの充実をはかり得るものと考えておりますが、以下重要項目ごと施策概要について御説明申し上げます。  施策重点の第一は、輸出振興経済協力推進であります。申すまでもなく、国際協調のもとにおいてわが国経済の二長期的発展をはかっていくためには、輸出安定的拡大をはかるための施策を強力に批准するとともに、発展途上国経済開発促進し、わが国との緊密な経済関係を樹立することによってこれら諸国との貿易拡大をはかっていくため、一そうの経済協力推進することが必要であります。このため、日本輸出入銀行資金拡充日本貿易振興会事業強化、その他各般にわたる輸出振興施策を一段と拡充するとともに、最近とみに国際的要請の高まっている発展途上国対策については、わが国が出超となっている発展途上国の一次産品の輸入を促進することによって、わが国との貿易を維持拡大するため、一次産品買い付け促進体制整備をはかることとし、明年度においては日本貿易振興会に、この事業資金に充てるため三億円の出資を行なうこととしておりますが、これは暫定措置で、今後さらに抜本的対策を確立していく所存であります。  施策重点の第二は、中小企業施策拡充浸透であります。すなわち、中小企業誌本法趣旨に沿って、中小企業近代化体質改善を積極的に促進するため、次の諸点重点を置いて中小企業施策を大幅に拡充するとともに、その際小規模企業育成振興には特段の配慮を払っていく所存であります。このため、中小企業関係金融機関資金量拡充、金利の引き下げを行なうとともに、中小企業設備近代化資金中小企業高度化資金拡充貸し付け条件改善を通じ、設備近代化事業共同化推進することとしております。特に資金調達力の乏しい小規模企業近代化及び協業化を積極的に進めるため、新たに中小企業機械類貸与制度及び中小企業共同工場建設貸与制度を創設することとしております。  また、中小企業税負担軽減自己資本充実をはかるため、法人税率引き下げ構造改善準備金制度創設等中小企業関係税制改善を行なう所存であります。さらに、中小企業に対する経営診断技術指導等中小企業指導事業拡充強化をはかるため、新たに各府県ごと中小企業総合指導所を逐次設置して、中小企業指導体制整備をはかりたいと考えております。なお、当面の不況事態に対処して、中小企業経営の安定と倒産の防止には特に留意することとし、これに必要な金融対策下請対策等を強力に推進してまいりたいと考えております。  施策重点の第三は、技術開発促進であります。開放経済体制下における国際競争力を決定するのは技術開発力であり、わが国としてもこの際独自の国産技術を積極的に振興する必要があります。このため国、民間におけるそれぞれの試験研究促進とあわせて学、官、民協力して技術開発に当たる体制整備することとし、特に明年度からは、わが国の将来の産業発展のために開発を必要とする重要技術であって、その開発にはリスクが大きく、民間のみでは開発し得ない大型プロジェクトについて、国が全面的に資金的リスク負担し、民間への委託、国立試験研究所における特別研究流動研究員制度等を活用する研究開発体制を確立いたしたいと考えております。  施策重点の第四は、産業国際競争力強化であります。本格的開放経済体制に直面して今後ますます激化が予想される国際競争に対処していくため、企業集中化による規模利益の追求、企業間の協調体制の確立による投資効率の増大、自己資本充実老朽設備の更新による体質改善等を一そう強力に推進して、産業国際競争力強化をはかってまいる所存であります。このため、税制面から合併促進自己資本充実機械設備スクラップ化促進するとともに、金融面からは、体制金融拡充をはかる等、所要の対策を集中的に講じてまいることといたしております。  施策重点の第五は、総合エネルギー対策推進であります。エネルギー革命の進行に対処して、石炭、石油、電力等エネルギー経済性安定性国民経済的利益との調和等総合的観点に立って各エネルギー産業徹底的合理化と安定をはかるため、総合エネルギー対策を早急に確立し、推進してまいる所存であります。特に、石炭については、総合エネルギー調査会における石炭の位置づけの検討を待って、抜本的対策を確立することとしておりますが、当面石炭鉱業経営悪化を極力防止し、安定出炭及び保安体制確保をはかる等のため、現行利子補給制度の大幅な拡大炭鉱近代化資金拡充等措置を講ずることとしております。  施策重点の第六は、適正立地環境整備であります。地域開発推進産業基盤整備及び産業立地適正化をはかるとともに、国民生活向上産業発展との調和をはかるため、地域開発対策工業用水確保対策産業公害防止対策等、従来からの施策を強力に推進するとともに、産業適正配置等の抜本的な産業立地対策検討を進めてまいりたいと考えております。  施策重点は第七は、流通消費者行政拡充であります。消費者物価の安定をはかることは、本年の重要な政策課題でありますが、通商産業省といたしましては、流通機構合理化近代化をはかるため、小売り商業者ボランタリー・チェーン化促進卸総合センター設置推進等につとめてまいります。また、消費生活の一そうの合理化をはかるため、商品テスト拡充苦情処理消費者教育充実等を積極的に進めてまいることとしております。  以上、今後の通商産業政策重点事項について、基本的方向具体的施策概要を申し上げたのでありますが、私といたしましては、これらの施策中心わが国通商産業発展のために全力を傾注し、わが国経済安定的発展をはかっていく覚悟でございますので、今後とも各位の一そうの御協力をお願いいたす次第であります。
  5. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、藤山経済企画庁長官から、昭和四二年度経済企画庁施策について説明を聴取いたします。藤山経済企画庁長官
  6. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 当面の経済運営の基本的な考え方については、先般の経済演説において明らかにいたしたところでありますが、本委員会において、承れて所信の一端を申し述べたいと存じます。  昨年のわが国経済は、従来にない深刻な不況に終始し、しかも、その中にあって依然消費者物価上昇を続けました。政府は、昭和四十一年の経済運営にあたっては、不況克服消費者物価の安定を当面する最も緊要な政策課題とし、これに積極的に取り組んでまいる所存であります。  不況の問題につきましては、政府及び民間経済界において、それぞれの立場から有効需要拡大需給バランス改善企業体質改善中小企業経営の安定などに全力をあげて取り組、景気早期回復をはかってまいりました。現在、ようやく、その効果をあらわし始める時期に差しかかっており、今後経済は徐々に明るさを増していくものと期待しております。  昭和四十一年度経済運営にあたりましては、本格的な公債政策を導入して財政支出大幅増加と画期的な大幅減税実施して、有効需要積極的拡大をはかることといたしております。予算実施面においても、公共事業の繰り上げ実施措置をとるなど、政府は強い決意をもって不況克服に臨んでおり、また民間経済界景気対応策進展も期待されるので、経済は次第にゆるやかな回復過程をたどり、おおむね本年下半期までには景気の順調な上昇局面を迎え得るものと考えております。  不況克服及び消費者物価の安定とともに、近年の成長過程において生じた経済社会のひずみの解消は、わが国経済の当面する重要な政策課題であります。住宅その他の社会資本不足企業体質悪化農業中小企業等の低生産性部門近代化の立ちおくれ等は、国民生活に少なからぬ脅威を与えているとともに、不況を予想以上に長引かせ、経済全般生産性向上を阻害しております。政府は、旧民生活向上経済均衡のとれた成長をはかるため、これらのひずみをすみやかに是正するよう、各面からの施策を強力に推進してまいる所存であります。  また、最近における国際経済の動向を見ますと、米国経済は引き続き好況を持続しており、西欧諸国もおおむね順調な発展を示しておりますが、米国における公定歩合の引き上げ、開発途上国における外貨不足等影響もあって、世界経済拡大は若干の鈍化を免れないものと予想され、先進諸国における合理化投資進展等と相まって、海外市場における輸出競争はますます激化するものと考えられます。したがって、現在わが国国際収支は順調な推移をたどっておりますが、その前途は必ずしも楽観を許さないものがあり、今後とも経済質的強化をはかって輸出振興に一そうの努力を尽くす必要があります。また、国際経済協力につきましては、アジアにおける先進国として、国力に相応して積極的に推進してまいりたいと考えております。  以上のような認識に基づいて、昭和四十一年度経済運営基本的態度としては、健全にして弾力的な財政金融政策中心とする経済政策の適切な運用により景気回復をはかり、消費者物価安定化につとめるとともに、経済各分野における質的充実に意を用い、経済均衡ある発展及びそれと講和のとれた社会開発推進することとし、昭和四十一年度を、均衡がとれ安定した成長へ乗り出す年としてまいる所存であります。この結果、昭和四十一年度わが国経済は、実質七・五%程度の堅実な成長を実現するものと期待しております。  次に、消費者物価の問題について申し上げます。現在の物価上昇国民生活にとって重大な脅威であり、さらにまた、わが国経済長期にわたっての安定的成長を阻害する要因となる危険性があることは、政府としても強く認識いたしております。今日まで諸般の物価対策実施してまいりましたが、しかし、消費者物価上昇構造的要因による面が大きいだけに、その解決は決して容易ではなく、必ずしも十分な成果をあげるに至っておりません。この際私は、新たな決意をもって物価問題と取り組んでまいる所存であります。このような見地に立って、政府は昨年末、臨時物価対策閣僚協議会及び物価問題懇談会を設け、広く国民的基盤に立って、真に実効のある物価対策を推し進めることといたしております。また、昭和四十一年度予算においても、物価の安定を特に重要な政策目標として、生鮮食料品対策流通機構合理化など、各般にわたる物価安定対策財政面から強力に推し進めることといたしました。さらに、物価上昇による家計への影響を考慮し、所得税などの減税社会保障充実についても十分配慮いたしており、昭和四十一年度財政は、不況対策と同時に物価安定対策としても効果をあげるものと期待されます。  以上のように、政府は、消費者物価定安をはかるため今後あらゆる努力を傾注してまいりますが、昭和四十一年度はその上昇を五・五%程度にとどめたいと考えております。  なお、国鉄運賃私鉄運賃郵便料金などの公共料金については、今後とも経営合理化に徹し、コスト増加要因を吸収して、今回の値上げに伴い、今後数年間は値上げをしないで済むよう措置してまいる所存であります。  次に、地域開発について一言申し上げます。ここ数年来、道路、港湾、その他の輸送施設整備工場地方進出等によって地域開発も相当進んできておりますが、所得水準雇用機会等地域差は依然として大きく、農山村からの人口が流出する一方、大都市過密化が続いており、公害等の社会問題も生じております。このような情勢に対処するため、政府公共事業地域開発金融等積極的拡大をはかり、産業基盤生活環境整備促進し、産業人口を適正な配置に導くことによって、過密の弊害を除去し、地域均衡ある発展推進してまいる所存であります。このため、まず地方開発拠点となる新産業都市及び工業整備特別地域について、すでに決定されている基本計画に基づいて重点的に事業実施してまいりますが、その際、地方公共団体負担軽減、の誘致、公害防止等について十分に配慮してまいる所存であります。また、自然的社会的条件の不利な後進地域については、従来に引き続き低開発地域開発離島振興その他各種の施策を講じてまいりますが、さらに、山村振興にも十分の努力を払ってまいります。過密都市対策としては、既成市街地における工場等の新増設の制限、分散の促進のほか、今後特に大都市の再開発を積極的に推進してまいりたいと存じております。   なお、産業開発発展人口増加に伴い、水資源確保並びに水質保全必要性がますます高まってきている現状にかんがみ、特に、重要河川における水資源の総合的な開発及び利用の合理化を積極的に推進するとともに、公共用水域における汚濁防止のために一そうの努力を傾注してまいる考えであります。   政府は、昨年長期的経済通常の指針として中期経済計画を策定したのでありますが、その後における経済情勢には、公債発行による新たな財政政策展開消費者物価の大幅な上昇など、計画とかなり違った事態が生じております。このため、政府としては中期経済計画を廃止し、新たな計画作成に着手することにいたしましたが、さしあたり今後三年程度の間、わが国経済均衡がとれ安定した成長確保し、国民福祉向上を期するための、次の諸点重点を置いて経済を運営してまいりたいと考えます。  すなわち、第一は、財政政策の積極的かつ弾力的活用であり、第二は、国民生活の安定と向上をはかることであり、第三は、農業中小企業流通等生産性部門近代化であります。第四は、消費者物価の安定をはかることであり、政府部門のあらゆる施策を傾注して、今後三年以内にその上昇率を三%台までに落ちつかせたいと考えております。第五は、企業経営健全化をはかることであり、第六は、技術開発促進輸出振興であります。この結果、今後三年間、わが国経済は七ないし八%程度経済成長が達成されるものと期待しております。   この際、私は特に民間経済界においても健全なる経営態度を持し、いたずらに政府にたよることなく、みずから積極的に企業基盤を整えるよう望みたいと思います。中でも資本構成の是正、企業間信用の解きほぐし等企業体質改善強化につとめるとともに、秩序ある競争協調を通じて産業体制を整えていくことが基本的に重要であります。さらに、景気回復した後においても、過度の投資競争に走ることなく、必要な投資効率よく行ない、適正な操業状態確保していくよう強く期待するものであります。  以上、経済企画庁の主要な政策にいて申し述べました。わが国経済の安定した発展国民生活向上のため、今後とも一そう努力を傾注する所存であります。
  7. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、北島公正取引委員会委員長から、公正取引委員会業務概要について説明を聴取いたします。北島委員長
  8. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 昭和四十年中の公正取引委員会業務既略につきまして、お手元に資料をお届けいたしましたが、そのうちおもな点につきまして御説明いたしなす。   まず、昭和四十年には、本委員会で御審議いただきました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律及び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律がそれぞれ施行され、下請関係業務も従来にも増して一そう強力なものとなり、また仙台地方事務所設置、定員の十一名の増加などにより、公正取引委員会の活動も漸次充実されてまいりました。   次に、独占禁止法施行に関する業務といたしましては、まず国際契約等届け出は六百四十件にのぼりましたが、企業合理化をはかるための技術援助契約が七割以上を占めております。会社合併、営業譲り受け等の届け出は、それぞれ八百八十六件、百九十八件となっており、前年に比較して合併届け出件数は若干減少しておりますが、依然として中小規模会社合併等が多く、特に問題となるものはございませんでした。  再販売価格維持契約の締結の届け出は二十二件ありましたが、公正取引委員会といたしましては、現在物価対策等見地からこの制度について再検討を進めております。  次に、昭和四十年は不況事態が一段と深刻化し、公正取引委員会に対する不況カルテルの申請は独占禁止法制定以来最高を数え、構造用合金鋼をはじめ十七品目について不況カルテルを認可いたしましたが、公正取引委員会といたしましては、一般消費者及び関連事業者利益を不当に害するおそれがないかいなかについては特に十分な検討を加えた上、不況カルテル不況克服策としてもあくまで応急的なものであるとの見地から、必要最小限の業種についてなるべく短期間に限って認可することといたしており、認可後もその監視を厳重にいたしております。合理化カルテルにつきましては、合成染料など七品目について、いずれもその継続を認可いたしました。  不公正な取引方法に関する業務といたしましては、不当な歩積み、両建て預金につきまして、三月末及び十一月末の二回にわたり、貸し出し先中小企業者を対象として、その実態に関するアンケート調査実施いたしましたが、三月末現在においては若干改善のあとがうかがわれるものの、まだ十分満足すべき状態ではなく、また十一月末の結果につきましては、ただいま取りまとめ中であり、追って、御報告できるものと思っております。公正取引委員会といたしましては、大蔵省の行政指導成果をも勘案した上、なお改善の実が上がらないと認められれば、独占禁止法に基づく適切な措置をとる所存であります。  次に、独占禁止法違反被疑事件につきましては、昭和四十年中に百九十九件につきまして審査を行ない、そのうち法的措置をとったものは、審判開始決定を行なったもの一件、勧告を行なったもの三十二件、審決を行なったもの四十一件でありました。審決を行なったもの四十一件の内訳は、価格等の協定に関するもの三十件、不公正取引に関するもの九件、その他二件となっております。  次に、下請代金支払遅延等防止法施行に関する業務といたしましては、先般の改正法に基づきまして、同法第五条の規定に基づく書類の作成及び保存に関する規則及び同法第三条の規定に基づく書面の記載事項に関する規則を改正し、法改正趣旨を十二分に発揮させるための体制を整えました。  また、昭和四十年には、下請代金支払い状況中心に二千四百三十五の親事業所調査を行ないましたが、そのうち二十件につきまして、法第七条の規定に基づく勧告を行ない、百三十八件につきまして、行政指導による支払い改善措置をとりました。また、民間の有識者からなる下請取引改善協力者五十名を委嘱し、同法の運用体制の一そうの強化をはかることといたしました。  次に、不当景品類及び不当表示防止法施行に関する業務といたしましては、不当な景品類提供を行なった販売業者二名及び不当な表示を行なった宅地建物取引業者二十一名に対して排除命令を行ない、また不当景品類提供を行なった事業者六十名及び宅地建物取引その他に関して不当な表示を行なった事業者百名に対して厳重な警告を行なったほか、チョコレート業及び写真機製造業につきまして、公正競争規約を認定いたしました。また、同法の運用消費者意見を反映させるため、消費者モニターを二百名選定し、景品付き販売不当表示等についての意見を求め、これを公正取引委員会の行なう消費者行政に反映するようにいたしました。  このほか、経済実態の調査といたしまして、昭和四十年一月末を時点として企業間信用調査を、また資本金からみた上位百社につきまして、系列化と資本集中の実態調査を行ないました。  最後に、昭和四十一年度公正取引委員会予算案でございますが、本国会にお願いいたしております公正取引委員会関係の予算は総額三億六百三万二千でありまして、昭和四十年度と比較して四千三百二十六万七千円の増額となっており、広島地方事務所の新設、定員三十名の増員がおもな内容となっております。機構、定員の拡充につきましては、独占禁止法の一部改正案を今国会にお願いいたしますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。  今後、公正取引委員会業務は、従来にも増して繁忙の度を加えるとともに、重要性を増すものと考えられますが、皆さま方の御支援を得まして、重責を果たしたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導御鞭撻のほどをお願い申し上げます     —————————————  今後、公正取引委員会業務は、従来にも増して繁忙の度を加えるとともに、重要性を増すものと考えられますが、皆さま方の御支援を得まして、重責を果たしたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導御鞭撻のほどをお願い申し上げます
  9. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、吉光参事官から、昭和四十一年度通商産業省予算について説明を聴取いたします。吉光参事官。
  10. 吉光久

    説明員(吉光久君) 昭和四十一年度通商産業省関係予算案及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  まず、昭和四十一年度通商産業省所管一般会計予定経費の要求額は、貿易振興経済協力推進中小企業施策拡充技術開発促進石炭対策強化等、現在特に強く要請されている諸施策を強力に推進していくため、前年度の当初予算六百十六億二千万円を百八十六億三千万円上回る八百二億五千万円を計上いたしてございます。  次に、重点別に内容を御説明申し上げます。  第一に、輸出振興経済協力推進をはかるため、八十九億七千万円を計上いたしました。これにより、日本貿易振興会等の輸出振興関係機関の活動の強化輸出振興体制整備、海外投資促進、技術協力充実等をはかることとしておりますが、特に、わが国との貿易バランスの不均衡から長期貿易関係の確立に問題を生じている発展途上国からの輸入を促進するため、これら諸国の割り高な一次産品の輸入を促進することとし、日本貿易振興会にそのために必要な三億円の基金を設けることとしております。また、昭和四十五年に開催予定の日本万国博覧会の準備費として二億六千万円を計上いたしました。そのほか国際経済協力費八億四千万円等がおもな内容でございます。  第二に、中小企業施策拡充浸透をはかるため、前年度を五十四億三千万円上回る二百二億八千万円を計上いたしております。これにより、設備近代化資金の貸し付け対象の拡充、高度化資金の貸し付け条件改善、小規模事業対策充実中小企業に対する指導事業強化等、従来の施策を引き続き拡充強化するとともに、新たに小規模事業者の協業化と設備近代化をはかるため、中小企業の共同工場建設貸与制度及び中小企業者に対する機械類の貸与制度を創設することとし、それぞれ十六億円及び二億八千万円を計上しております。また、中小企業金融の円滑化をはかるため、政府関係中小企業金融三機関の貸し出し金利の引き下げを行なうこととし、これに必要な二十五億円を商工組合中央金庫に出資するとともに、大蔵省所管経費でございますが、中小企業信用保険公庫に対する七十五億円の出資を計上し、信用補完制度運用強化を期することといたしました。さらに、小売業者のチェーン化の推進、都道府県の総合指導所の設置の助成等、中小企業に対する各般施策拡充強化することとしております。  第三に、国際競争力の根幹をなす技術の開発促進するため、技術開発促進と特許行政の強化のための経費として、前年度の九十八億円に対し百二十九億五千万円を計上してございます。特に、四十一年度からわが国独自の技術を積極的に開発するため、技術的波及効果の高い大型工業技術につきまして、十億三千万円の研究開発費により学、官、民が一体となった研究開発体制整備し、その開発推進することといたしております。なお、特許行政につきましては、出願等の処理の迅速化の見地から特許及び実用新案制度の改正を行なうための所要の経費を含め、二十二億二千万円を計上してございます。  第四に、産業国際競争力強化をはかるため、十三億七千万円を計上いたしました。金属鉱業の体質改善をはかるための金属鉱床の精密調査等を引き続き拡充するほか、新たに繊維産業の構造整備促進するため五億五千万円を計上いたしました。  第五に、総合エネルギー対策推進するため、前年度を五十七億二千万円上回る二百九億七千万円を計上いたしております。特に石炭対策につきましては、昨年十二月の石炭鉱業審議会の弔問答申の趣旨を尊重し、合理化資金利子補給の拡大、保安坑道の掘進の促進、鉱山の施設等の近代化推進等のため、石炭鉱業合理化事業団への出資の増額、安定出炭確保のための炭層探査の助成等の諸施策を講ずることとしておりますほか、鉱害復旧事業量の増大、産炭地域振興対策拡充等をはかっております。なお、鉱山保安の確保につきましては、監督検査の強化、保安施設の整備促進等をはかることとしております。これらのほか、天然ガスの探鉱の拡充、電源開発促進等、エネルギー関係施策拡充強化することとしております。  第六に、産業適正立地環境整備につきましては、八十三億三千万円を計上いたしまして、工業用水道事業実施産業公害対策充実等をはかることとしております。  第七に、流通及び消費者行政拡充につきましては、消費財の商品テスト等を行なう日本消費者協会に対する助成の拡充等消費者行政及び流通近代化のための経費として四千万円を計上した次第でございます。  以上、通商産業省所管一般会計のほか、特別会計といたしまして、まずアルコール専売事業特別会計でございますが、歳入として七十一億一千万円、歳出五十八億四千万円、専売納付金十二億七千万円をそれぞれ計上してございます。輸出保険特別会計につきましては、歳入歳出とも二百八億一千万円でございます。機械類賦払信用保険特別会計につきましては、歳入歳出とも十一億五千万円を計してございますが、歳入のうち五千万円は一般会計からの繰り入れを予定しております。中小企業高度化資金融通特別会計につきましては、歳入歳出とも八十一億三千万円を計上しておりますが、歳入のうち七十九億八千万円は、さきに御説明いたしました一般会計からの繰入れでございまして、残り一億五千万円余が償還金収入であります。次に、当省関係の財政投融資計画について御説明いたします。昭和四十一年度の当省関係の財政投融資計画総額は五千九百三十一億円でございまして、これを昭和四十年度当初計画に比べますと、千百十一億円の増加となっております。以下、機関別にその概要を御説明いたします。  まず、日本輸出入銀行でございますが、プラント類を中心とする輸出の伸長と経済協力推進するため、運用規模を二千三百三十億円に拡大し、このため出資三百七十億円を含め、千五百二十億円の財政資金を投入する計画でございます。  次に、中小企業関係政府金融機関につきましては、各機関の貸し出し規模を四十年度当初計画に比して約二〇%拡大するとともに、貸し出し金利を昨年九月の引き下げに加えて本年四月以降さらに年三厘程度引き下げることといたしており、中小企業金融公庫千三百十億円、商工組合中央金庫六十五億円、国民金融公庫千百二十九億円の財政融資等を計画しております。なお、名古屋中小企業投資育成株式会社業務充実をはかるため、中小企業金融公庫を通じて一億五千万円の出資を行なうことといたしておりますが、中小企業金融公庫にはこのための所要の財政出資を含めて計上いたしております。  日本開発銀行につきましては、施策重点産業国際競争力強化流通消費者対策拡充総合エネルギー対策推進技術開発促進地域開発促進等に置き、従来の施策拡充強化をはかるとともに、新たな施策といたしまして、流通機構合理化をはかるため、小売り業者のチェーン化の推進に十五億円の融資を予定するほか、液化石油ガスの備蓄川タンクの整備卸総合センターの建設、自動車タイヤ工業及び電線工業の体質の改善等の施策促進するための融資を予定いたしております。このため運用総額は二千八十億円に拡大するものとし、これに必要な財政融資等千四百六十億円を予定しております。  電源開発株式会社につきましては、引き続き石炭火力発電所三差の継続工事と大水力電源開発の工事推進に主力を注ぐことといたしまして、出資十五億円を含め二百五十八億円の財政投融資を予定しております。  石油資源開発株式会社につきましては、引き続き海外における原油の探鉱を拡大するため、二十億円の財政出資を行なう計画でございます。  石炭関係の機関につきましては、石炭鉱業合理化事業整備資金に五億円の財政融資を予定いたしておりますほか、産炭地域振興事業団が営む事務に新たに運転資金の貸し付け、工業用水事業等を加えるとともに、鉱害基金の業務についても、新たに鉱害復旧事業団に対する長期運転資金の貸し付けを加えることにより、両機関の事業拡充をはかることとし、このためそれぞれ三十八億円及び十三億円の財政融資を行なう計画でございます。  金属鉱物探鉱促進事業団につきましては、探鉱融資規模を二十四億円に拡大し、このため出資二億円を含め二十億円の財政投融資を計画しております。  日本航空機製造株式会社につきましては、中型輸送機YS−11の量産事業に必要な資金として、四十八億円を政府保証によって調達することといたしております。  公害防止事業団につきましては、本年四月以降、公害防止施設等の貸し付け金利の引き下げ及びこれらの施設を年賦払いで譲渡する際の金利の引き下げを行なうとともに、公害防止施設に対する貸し付け事業の対象として従来の共同施設のほか、新たに公害多発地域における個別施設を加えることにより、事業拡充をはかることとし、このため四十五億円の財政融資を行なう計画といたしております。  以上をもちまして、通商産業省所管の一般会計及び特別会計の予算案並びに財政投融資計画の御説明を終わります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  11. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、澄田官房長から、昭和四十一年度経済企画庁予算について説明を聴取いたします。澄田官房長
  12. 澄田智

    政府委員(澄田智君) 昭和四十一年度経済企画庁予算案につきまして、簡単に御説明申し上げます。  昭和四十一年度経済企画庁予定経費要求額は、全体で二百六十六億二千九百万円でございまして、前年度予算額二百二十億一千五百万円に比較いたしますと、四十六億一千四百万円の増加となっております。このうち、行政部費の要求額は二十二億四千七百万円でございまして、前年度予算額十七億三千六百万円に比較いたしますと、五億一千百万円の増額となっております。これに対しまして、公共事業費のほうの要求額は二百四十三億八千二百万円でございまして、前年度予算額二百二億七千九百万円に比較いたしますと、四十一億三百万円の増額となっております。  まず第一に、行政部費の増加額のうち、おもな施策となりますものは、経済企画庁の項で申しますと、国民生活行政推進のため国民生活向上物価の安定等国民生活充実に関する経費でありまして、このうちには国民生活研究所に対する補助金の増加分も含まれております。その他、長期経済計画策定に関する経費、山村振興地方産業開発促進等に関する新規経費を含むところの国土総合開発に関する経費、水質調査強化促進をはかるための経費を含む水資源開発に関する経費、経済資料整備促進をはかる経費を含むところの内外経済事情調査に関する経費がそれぞれ増加となっております。次に、国土調査費の項では、国土調査促進特別措置法に基づきます国土調査事業十カ年計画の第四年度分といたしまして、地籍調査規模増加したことによる補助金等が一億五千七百万円増加となっております。次に、経済研究所の項では、大型電子計算機運営に関する経費、昭和四十年国富特別調査に要する経費等で七千七百万円の増加となっております。また豪雪地帯対策特別措置法に基づき豪雪地帯として指定された地域における降雪時の交通途絶による障害をすみやかに解決するため、多目的の雪上車を地方公共団体配置することといたしたいので、雪上車購入費用の一部を補助するに要する費用として、新たに一億円を要求いたしております。  第二に、公共事業費の増加額のうち、おもな内容について申し上げますと、国土総合開発事業調整費の項では、要求額は五十一億五千万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、七億円の増額となっております。次に、離島振興事業費の関係では、要求額は百千四億八百万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、二十億二千百万円の増額となっております。増額となりましたおもな理由は、離島の後進性を除去するために、基本的に重要な施設である道路、港湾等交通体系の整備、漁港、林道、土地改良等産業基盤整備、電気、水道等生活環境施設の整備などにつきまして、本上との格差を是正するため、全国公共事業費の伸び率を上回る増加となっております。次に、水資源開発事業費の項では、要求額は七十七億七千四百万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、十三億八千百万円の増額となっております。この内容を御説明申し上げますと、水資源開発公団が行なう印旛沼開発事業、群馬川水及び利根導水路の建設事業に要する経費、並びに四十一年度に完功予定の矢木沢ダムほか五つのダム、利根川河口堰の建設事業に要する経費等の増加であります。  最後に、当庁関係の財政投融資計画について御説明申し上げます。まず、海外経済協力基金につきましては、わが国対外経済協力政策の活発化に伴い、海外経済協力基金の業務は最近とみにその業績を高めつつありますが、四十一年度は韓国、台湾への借款も開始されますので、一般会計からの出資金七十五億円のほか、同額の財政融資を計上して所要原資の確保をはかっております。  次に、東北開発株式会社につきましては、四十一年度におきましても前年度に引き続き、会社の再建をはかることに重点を置くことにいたしておりまして、事業資金の総額は三十六億七千万円といたし、産業投資特別会計からの出資金十四億円と公募債等二十二億七千万円計上しております。  次に、水資源開発公団につきましては、その事業拡大に伴い、総事業費は前年度の二百十億円から、四十一年度は四十四億増の二百五十四億円を確保することにいたしております。  また、北海道東北開発公庫につきましては、運用資金は前年度の三百七十億円に対しまして、四十一年度は十五億円増の三百八十五億円を予定しております。ただし、前年度には新潟地震による災害復旧融資四十億が含まれておりますので、実質的にはこれを加えたものが、四十一年度運用資金の増加と見られるわけでございます。原資調達の内訳としましては、産業投資特別会計からの出資金五億円、財政融資及び公募債で二百五十五億円、自己資金は百二十五億円となっております。  以上をもちまして、経済企画庁の一般会計及び財政投融資計画の御説明を終わります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  13. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 以上をもちまして、通商産業省経済企画庁及び公正取引委員会に関する説明は終了いたしました。  本日の説明に対する質疑は、これを後日に譲ることにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後一時五十七分散会