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1966-06-27 第51回国会 参議院 社会労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十七日(月曜日)    午前十一時四十分開会     —————————————    委員の移動  六月二十七日     辞任         補欠選任      鬼木 勝利君     小平 芳平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 亀井  光君                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 土屋 義彦君                 山下 春江君                 山本  杉君                 横山 フク君                 阿部 竹松君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        労 働 大 臣  小平 久雄君    政府委員        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省年金局長  伊部 英男君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        大蔵省理財局次        長        広瀬 駿二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民年金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○児童扶養手当法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○性病予防法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○労働問題に関する調査  (一酸化炭素中毒症対策に関する決議) ○雇用対策法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会開会いたします。  委員の異動についてお知らせいたします。本日、鬼木勝利君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。  暫時休憩いたします。   午前十一時四十一分休憩      ——————————   午後五時二十九分開会
  3. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  国民年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対し、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 大橋和孝

    大橋和孝君 では、前に続きまして、ひとつ御所見を伺いたいと思うわけでございます。  最初に、保険料引き上げ国庫負担について少しお話を承りたいと思うわけでありますが、国民年金保険料昭和四十二年の一月から引き上げられることになっておりますが、当初昭和四十一年度の予算要求では、厚生省保険料の額と同額国庫負担要求しておったのでありますが、これが認められずに現行のような二分の一に国庫負担を据え置かれております。また、この法案の要綱を諮問した国民年金審議会ですか、及び社会保障制度審議会答申におきましてもその点を指摘して、国庫負担率引き上げがはかられていることなど、保険財政の将来に問題を残す事柄が、非常に将来に対して残っておるわけであります。まことに遺憾なように思うわけでありますが、これと、最も妥当な意見として、政府は当然この両審議会答申を尊重して手直しをして法案を出すべきであるのではないかと、こういうふうに思うのですが、手直しをしないで、保険料引き上げだけ行なって現行のまま国庫負担を据え置いておられる理由がどうも私はよくわからぬわけでありますが、その点についてもちょっとお答えを願いたいわけであります。
  5. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 今回の保険給付引き上げに伴いまして、保険料にも相当のはね返りがあるわけでございますが、所得伸び等を考慮いたしまして、とりあえず百円の引き上げにとどめたのでございます。国庫負担要求につきましては、厚生省の原案といたしましては国庫負担保険料同額要求をいたしたのでございます。その理由は、過去五年間は古い現行法による保険料が支払われております関係上、いわゆる整理資源が発生しておるのであります。この整理資源をこの機会解決したいという考え方を持ちまして要求をいたしたのでございますが、整理資源の問題は必ずしもこの時点において解決を要するという性質のものではなくて、長期的に考えてまいればよろしいという性格のものでもございますので国庫負担引き上げが行なわれなかったのではありますが、給付の改善は実施をする。整理資源の問題につきましては、関係審議会におきましても、国庫負担等において考えるべきであるという御議論が強いのでございまして、そういった線で解決をはかってまいりたいという考え方をとった次第でございます。
  6. 大橋和孝

    大橋和孝君 続きまして、保険財政の問題であるわけでありますが、この国民年金では完全な積み立て方式といわれておるのでありますが、今後ともこの方針を続けられるわけでありましょうか。同時に、また、私は、この保険料利息が、四十年後にこの金額はどういうふうになるか。これからもずっと積み立て方式でやられたらどういうふうになるか。それから、また、現在は修正積み立て方式といいますか、そういうふうなものも変更されておるというふうにも思うわけでありますが、その辺のところで計算、あるいは、また、その様式をちょっと一ぺん説明していただきたい。
  7. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 国民年金制度は、発足の際の計算といたしましては、完全積み立て方式を基本として立案されておるのでございます。ただ、その当時の時点におきまして、引き続き完全積み立て方式を維持するかどうかという点は、永久にこれを維持するというたてまえであったわけではないのでございます。今回の給付改定にあたりましては、保険料完全積み立て方式による保険料まで引き上げておりませんので、したがいまして、いわゆる修正積み立て方式財政方式が変わった次第でございます。今後の見通しといたしましては、一応漸進的に所得伸びに見合って保険料引き上げていくと考えますと、五十三年におきまして四百七十二円の保険料をもって完全積み立て方式に戻ることに一応見込まれるのでございますが、しかしながら、保険料引き上げの問題は、もとより所得に見合って引き上げていかねばならないわけでありますし、何よりも基本的には国会の御審議をいただかなければならない問題でございますので、そういった点は整理資源解決の問題ともからみまして、所得伸びに見合いつつ妥当な結論を出してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは世界各国ではこうした方式はとられていないのであって、やはり先進国あたりでは賦課方式をとられているようであります、が、その点の見解も含めて伺いたい。
  9. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 御指摘のように、多くの国々におきまして賦課方式が採用されておりますことは御承知のとおりでございます。ただ、たとえばアメリカといったような国は日本と同様の修正積み立て方式考えてよろしいかと思うのでございますが、日本におきまして修正積み立て方式をなお維持する必要があると考えられますのは、今後五十年間に非常に急速に老齢化が進むのでございます。六十五歳以上の人口は現在約六%程度でございますが、それが昭和九十年には二割をこえる。現在の先進国におきましても、非常に老人の多いといわれております英国でも一二、三%でございますので、非常に大規模な、非常に激しい率をもって老齢化が進むのでございます。そういった状況下におきましては、やはり現在と将来の世代との負担均衡という点を考慮いたしまして、やはり現在程度修正積み立て方式が妥当であろうという考え方をとったのでございます。なお、各種年金制度におきましても、ほぼ今回の国民年金と同様な考え方をもって保険料を定めておるのでございます。
  10. 大橋和孝

    大橋和孝君 それに続いて、私はもう一つこれからお聞きしたいのは、財政の再計算の結果と将来の財政見通しを聞きたいのです。特に四十二年には三百五十円、それが四十四、五年には五十円上がり、四十六年には再計算をされてやっていかれる、こういうふうな形に相なっておるわけでありますが、まずその将来と、財政見通しについて御説明を願ってから……。
  11. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 将来の財政見通しにつきましては、いわゆる五年ごとの再計算によりまして、その時点において所得伸び、あるいは物価等に応じまして保険料引き上げその他の措置を講じてまいるわけでございますが、一応現在の考え方でまいりますと、現在改正案基礎にした推計をいたしてみますと、昭和九十年におきましては、年度末の積み立て金が五兆六千億円、収入が四千五百七十三億円、給付が四千三百八十五億円程度になる見込みでございます。
  12. 大橋和孝

    大橋和孝君 四十六年度で町計算をされるということになっておるわけでありますね。それで、私は、ここで附則の十五条を入れておられる理由がよくわからないわけであります。特に前の厚生年金の場合では修正が行なわれているわけでありますが、この場合にはこの十五条がなぜ入れられているか、それについて少し詳しく御説明願いたい。
  13. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 厚生年金におきましても、五年後の再計算の時期において五%の引き上げ実施するということが法律に害いてあるわけでございますが、この十五条の二項の趣旨は、今後段階的に保険料引き上げていくという思想をここにあらわしておるのでございますが、実際にはこの時期において給付引き上げをもちろん行なわなければなりませんし、その際の再計算時点におきまして、これも含めて実施をしていくということになろうかと思うのでございます。
  14. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは、そうすると十五条は削除するという意思はございますか。
  15. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 先ほど申し上げましたように、厚生年金保険におきましても、五年後の再計算の時期におきまして五%保険料率引き上げ規定がございますので、やはり今後の修正積み立て方式ということを明らかにする意味におきまして、やはりこの規定は存置いたしたいと考えるものでございます。
  16. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは厚生年金のときには修正されたのですが、実際からいえば、今度のこの国民年金の場合にでもこれを修正するのをうっかりして修正されてないというふうなことも見受けられているわけでありますが、それでもやはり存置せなきゃならぬという理由はあるわけですか、もうちょっとそこのところを詳しく説明してください。
  17. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 国民年金法第四条におきまして、保険料保険給付、か収支を償うよう定めなければならないという規定があるのでございまして、この趣旨からまいりまして、やはり将来の保険料のプログラムというものを定めておく必要がある。なお、かりに保険給付引き上げが行なわれない場合におきましては、この額以上の引き上げを行なうことはあり得ないという意味にも解釈されるのでございます。なお、厚生年金保険におきましても、四十五年五月一日以後における保険料につきましては、それぞれ千分の五を加えた率とするという規定附則十九条に定められておるのでございます。
  18. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは四十六年で再計算すれば要らぬのと違いますか。
  19. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 再計算をいたしまして給付引き上げが行なわれます場合においては、この五十円がおそらく保険料引き上げ額の内ワクになるかと思われるわけでありますが、現時点におきましては、この保険給付を定め、保険料を定めておるのでございまして、やはり修正積み立て趣旨からまいりまして、この規定は存置する必要があると考える次第でございます。
  20. 大橋和孝

    大橋和孝君 私はそこに少し疑義を持つわけでありますが、そう言われますので、一応これはそのままにしておきます。  特に私は、それならば、今度はこの国民年金成熟の時期ですね、それから、また、その給付の総額とその保険料積み立て金は幾らになっていくのか、これをちょっと説明してください。
  21. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 成熟ということばはいろいろ解釈のしょうがあろうかと思いますが、一応昭和九十年の時点をとって考えてみますと、収入が四千五百七十三億九千九百万円、給付費の支出が四千三百八十五億九千七百万円で、この時点における保有積み立て金が五兆六千億円程度見込みでございます。なお、四千五百七十三億のうち、利子収入は三千億円程度国庫負担金が約六百億円、残りが保険料といったようなことに現時点におきまして推計をいたしておるわけでございます。
  22. 大橋和孝

    大橋和孝君 この成熟期給付費に対する十倍にも当たるような五兆円に近い積み立て金を必要とする理由はどういうことですか。
  23. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 修正積み立て方式は、やはり世代間の負担均衡を保とうという趣旨でございまして、この積み立て金によりまして後代の負担が著しくならないということを考えてこれだけの積み立て金を保有する必要があると考えられる次第でございます。
  24. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、この九十年度の財政収支の概算が先ほどの御説明の中で五兆何ぼになる、それから利息収入が三千億になる、それから保険料収入が一千億ぐらいになる、あるいは、また、国庫負担が五百七十一億円ぐらいあるというので、この給付費が四千三百八十六億でまかなっていく予定であるというふうに聞いておるわけでありますが、この利子計算三千億は、これは五分五厘で計算されておる、あるいは、また、長期にわたるほうでも五分ぐらいになっておるのでございますが、その点をお知らせ願いたい。実際からいえばこれは六分五厘でありますので、金額からいえばもっとたくさんふえているのじゃないか、こう思うわけでありますが、その点はいかがですか。
  25. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 年金制度予定利率は五分五厘で考えてございます。これは長期にわたる制度でございますので、利率等における変動があり得るということを考えて、安全度を見て計算をいたしているのでございますが、実際には、御指摘のように、預金部資金預託率は六分五厘でございます。したがいまして、その再計算の時期におきましてこれの六分五厘によるいわば利差益というものは給付改定に繰り込んでいくということになるわけでございます。したがいまして、この実際の利率、まあ六分五厘が、かりに九十年まで続くといたしますと、この姿はまた変わってくるわけでございます。
  26. 大橋和孝

    大橋和孝君 現行において、この被保険者の資格は二十歳から六十歳までとなっているわけでありますので、いま実情から申しますと、今日都会へ就職してくるのは、中学校卒業の人であれば十五歳、高校卒業であれば十八歳でありますが、これが中小企業、あるいは、また、飲食店とか、いろいろなところへ参ります。これが厚生年金のあるところは別でございますが、小さいところへ入って坪生年金のないところにいる人を見ると、こういう人たちは二十歳になるまでは掛けれない。やはりもう少し何かの方法をとって、十五歳でも十八歳でも、早くこれを掛けられ得るような制度にすれば掛け金の期間が早く済むことになる。そういうことから考えて、こういう措置を何とかとれないものか、こう思うわけでありますが、こういう点についてひとつ御説明願いたい。
  27. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) ただいま御指摘の点は一つ問題点でございます。この法案作成にあたりましても検討いたした点でございますが、ただ、国民年金自主納付をたてまえとしております関係上、やはり事務的に雇用関係にあるのかないのかということを認定することがきわめて困難でありまして、やはり年齢をもって一つのいわば仕切りを設けていくほかないという結論に到達したのでございますが、ただ、ただいま御指摘の問題は、五人未満として厚生年金の適用を受けておらない企業労働者についての問題であろうかと思うのでございます。で、この点につきましては、五人未満の問題につきましては、かねて衆参両院におきまして、昨年の厚生年金法改正に際しまして、二年後を目標にしてこの解決をはかるように御決議をいただいておるのでございまして、この趣旨を体しまして、すみやかな機会にこの問題の解決をはかりたいと、かように考えておる次第でございます。
  28. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから、この前の機会にちょっと私関連質問でもさせてもらい、ほかの委員からも説明がありましたけれども、少しくどいようでありますけれども、もう一度私は老人対策について一、二この間まだ申し上げてなかったので、その分を追加してひとつ御質問したいと思うわけであります。  この前も森委員からも話がありました。厚生大臣に対してあの六十八歳の老人遺書を残してなくなったあの悲惨な状態について説明されたのでありますが、私は、こういうような悲惨な状態を含め、また、厚生省から発表されておりますところのいろいろな資料の材料を見てみましても、昨年の十二月に三十九年度の国民生活実態調査というのが厚生省から出されておるわけでありますが、それを見てみましても、高年齢世帯母子世帯が低所得者階層の中に非常にたくさん集中しておる。ことに高年齢世帯は八五・六%を低所得者の中で占めている、そして平均所得が二十一万三千円ぐらいである。いわゆるこうした非常な低所得階層の中でこういうふうな人が非常に多くなっておる、こういうふうな資料も出ております。また、四十年度の行政基礎調査、これは厚生省でやられておりますが、これにおきましても、高年齢者世帯が前年の七百十六万世帯から七百九十九万世帯、八十三万世帯もふえておるわけであります。そして世帯の総数に占めている割合は、三六年度では二・四%であり、三十七年度では二・六%、三十八年度になっては二・七%、三十九年度になっては、二・九、それから四十年度になっては三・一%になっておるというような、三%台にまでこれがふえておるというのが、この厚生省資料から出ております。あるいは、また、総理府の広報室で行なわれておる世帯調査によりましても、東京の新たちの場合、子供の将来について親孝行を求める人はわずかに二・九%と、こういわれておる。こういうような状態を発表されておる。あるいは、また、国民生活白書の中では、四十年の都市勤労者世帯の定収入伸び率は、昭和三十五年において最低の七・九です。それから消費者物価の上昇を引くと、実数はわずかに〇・三%しか増加してない、こういうことも発表されておるわけであります。それにもかかわらず、貯蓄のほうは七千三百七十円と、八・三%もふえておるわけであります。これについての理由は、たとえば将来非常に不安であるためにあらゆる努力をして、この物価が上がっている状態の、非常に苦しい中でも貯金をしなければならぬというような非常な心配から、無理やりに生活を切り詰めて貯金がされておるのだ、こういうふうに報告がされておるわけであります。あるいは、また、このような政府機関の統計をいろいろ調べてみましても、この中ではっきりしておりますことは、やはり老人対策は緊急の政策課題でありまして、この政策不在かやはり私は現在の老人たちに対して、先ごろ起こった悲惨な厚生大臣に対する遺書に示されたような例も出てくると思うわけでありますが、ここで私は、この植田老人ですかが切々たるものを述べられたのを森委員からも話されたように、非常な孤独な生活に困っておるというような場合、私は、政策的にこういう老人たちを救うのが非常に手が抜けておるのではないか、こう思うわけであります。こういう観点から、このいろいろの年金の諸政策に対して私は非常にまだまだ不十分なところがある。これを十分反省してみなければならないのではないかと思うわけであります。特に私はそこの中で、この間の大臣からの答弁でいろいろ御説明を願って、あたたかいお話がありましたので、私はその点は非常に了としているわけでございますけれども、なお一そう私はこの厚生行政の中で、こうした厚生年金、あるいは老人年金に対してもっともっとあたたかい気持ちでことにいろいろ配慮をしてもらわなければならない。特にその中で、この間も問題になりましたが、手続をうっかりしておったために打ち切られているという人も出ておるというわけでありますので、そういうこともあわせて考えますと、私は、もっともっといろいろあたたかい手を伸べなければならぬと思うわけであります。特にこの中で一つお聞きしたいことは、この老人クラブ、あるいは、また、老人のいろいろそういうふうなことの指導といいますか、いろいろなことが行なわれているのでありますが、いろいろまあ手は尽くされているという御説明はありましたけれども、この老人クラブというようなものをもっと活用する方法はないのか、あるいは、また、そうした実情PRの中で、もっと具体的なものは何か、もっとお考えになっていいのではなかろうか。あるいは、また、現在やっておられること、あるいは、また、将来お考えになっていることをここでもっと具体的に何か指導していただきたい。この間お聞きいたしましたけれども、もう一つ、私はこういうことは重大な問題でありますので、もう少し詰めさしていただいて、いろいろな見解を、あるいは、また、具体的な考え方をこういう時期にもう一度はっきりと国民のために、また、老人のそういう不安になっておられる人たちのために明確にし、ておいていただくことが、非常に私はそういう人たちのためのPRの効果にもなり、あるいは、また、そういう人たち気持ちをやわらげるものではなかろうかと思いますので、この点についてひとつ御所見をお願いしたいと思います。
  29. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま大橋さんからお話がございました老人対策老人福祉の問題でございますが、御指摘もございましたように、日本人の平均寿命が延びてまいりまして、急送に人口構造の中における老人層の占める比率というものが非常に大きなウエートを持つようになってまいったのであります。老人になりますとどうしても所得も不安定になりがちである、また、病気になる度合いも非常に多い。最近の社会情勢の変化に伴いまして孤独な老人世帯というものが、ふえつつある。そういうような諸情勢からいたしまして、老人福祉対策を総合的に強化をしてまいるということが非常に大切になってきたと政府におきましても痛感をいたしておるところであります。その最も基本的な施策が、この御審議を願っておりまする国民年金、あるいは厚年年金所得保障充実の問題でございます。この問題につきましては、政府におきまして、昨年、今年、厚生年金国民年金給付水準引き上げ充実ということにつきまして特に力を入れておりますのはそういう観点に基づくものでございます。  なお、老人福祉の対策といたしましては、御承知のように、老人クラブでありますとか、あるいは健康のすぐれない御老人につきましては養護老人ホーム、あるいは特別養護老人ホーム、そういうような施設をいま全国的に整備を進めておるわけでございます。なお、老人クラブにつきましては、昭和四十年までに四万ヵ所設置されておったのでありますが、四十一年度の予算におきましてさらに一万ヵ所ふやすようにいたしまして、全国に今年中に五万ヵ所老人クラブを設置をする、こういうことを考えておる次第でございます。私どもは、先ほどお話ありましたようなところの老齢福祉年金の時効の問題等につきましても、早急に制度的に改善を加える所存でございますが、今後とも、老人福祉対策につきましては、政府としては、福祉審議会の御意見等も伺いながら、十分な対策を進めてまいりたい、かように考えております。
  30. 大橋和孝

    大橋和孝君 老人クラブを一万ヵ所ふやして五万ヵ所にしようというお話でございますが、この老人クラブというのは内容的にどういうふうにして、そうして老人に対してどういうふうにされているか、老人ホームとはどういうふうな関係にあるか。特に私は、同時に、また、成人病の対策というものを相当考えなければ、老人に対しての非常にさびしいところを、あるいは、また、病気を非常にチェックすることができないし、同時に、また、非常に病気に対する不安感というものに対して安心感を与えるための施策も必要なわけでありますが、そういう三つの点をからみ合わせて、いまこの老人ホーム、あるいは老人クラブで行なわれておる状態をつまびらかにひとつこの際聞かしていただきたいと思います。
  31. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 老人クラブ、あるいは養護老人ホーム、あるいは、さらに特別養護老人ホーム、こういう施設は、福祉施設に御老人を収審をいたしまして、そうしてその施設の中の福祉的な事業を通じまして御老人の方々の生活を守り、あるいは病気等に対するところの療養等もやる、こういう施設であるわけでございます。老人クラブのほうは、お年寄りの方々が非常に孤独な環境にございますので、そういう御老人の方々が月に何べんか集まりまして、そうしてお互いに修養の機会を持つ、あるいは、また、娯楽、慰安の会合を持つ、こういうことによって老後の孤独感をできるだけ解消し、そうして楽しい老後を送っていただくと、こういうような趣旨老人クラブが設置をされておるわけでありまして、私ども、そういう意味合いから、御老人の方々が老後におきましても楽しく健康で、非常に老後の孤独感を去って、そうして楽しい老後が送れるように、そのために老人クラブの増設をさらにはかっていきたいと、かように考えておるわけであります。
  32. 大橋和孝

    大橋和孝君 たいへんどうも明確にそうしたあれをしていただきまして、私は非常にうれしく思う次第でありますが、私は、またこの老人ホームあたりでも、あるいは、また、老人向けの住宅といいますか、そういうものに対してもあたたかい手をなお一そう伸べていただきたい。特に私は、老人の実態について、実際に京都あたりで老人ホームを回って見ましたときに老人が訴えますのに、あたたかいみそ汁を飲むようなホームがほしいと、こう言っているわけです。ああいうところにおる老人あたりが、大ぜいで一緒に集団生活をするために、まことに無理な点もございましょうけれども、やはりそういう点で、非常な老人らしいと申しますか、そういう欲望が満たされないために、より一そうさびしがっている点もあるわけであります。そういう点から考えましても、やはり成人病を十分みてやる施設とあわせて、やはり老人向けの住宅も私はお願いしたい、こういうふうなことをあわせて希望さしていただきたいと思います。  それから、また、いろいろだ統一なんかの上からも見せていただきましたが、私は、老齢の福祉年金につきましても、高齢者世帯はやはり男が六十五歳以上、女が六十歳以上の者だけが、また、十八歳未満の子供が加わった世帯、こういうようなことで、生活状態が非常に何と申しますか、生活実態そのものが、こういうふうな非常に年寄りの世帯がさびしい状態にあるわけでありますが、特に私は、老齢福祉年金は七十歳からしか支給されない。また、その間にブランクがあるということば、非常にこういうふうな老人に対してさびしさというものがあるわけだと思いますが、これは六十五歳くらいまでに支給を開始するということにはならないものでありましょうか。
  33. 伊部英男

    政府委員伊部英男君) 実は福祉年金年齢の引き下げに伴います予算は相当の額にのぼるのでございまして、六十五歳まで引き下げますと、現在所要の額の約二倍を必要とするわけでございます。そのため、現在の考え方といたしましては、七十歳以上の御老人の方々に対する年金額をなるべく引き上げていく、あるいは所得制限を緩和して、なるべく広い範囲の方に受給できるようにしていくと、そういったことを当面考えておるわけでございますが、なお、この年齢の引き下げの問題につきましても、今後前向きの姿勢で検討いたしたいと、かように考えております。
  34. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから、次の一点ですが、拠出制の年金と無拠出の場合でありますが、これは発足当時に、拠出の場合は二千円で、それから無拠出の場合は千円であった。これはやっぱり無拠出の場合は五〇%に当たるわけです。今度の場合は、拠出制の場合五千円になりまして、無拠出の場合千五百円でありますから、これは約三〇%以下になるわけでございます。これにこういうような格差があるのはどういう理由か、なぜ三〇%にしたか、切り下げたかという点についてひとつ御説明願いたい。
  35. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御承知のように、老齢福祉年金につきましては、今日まで三面にわたって改善をいたしておるところでございます。拠出制の年金につきましては、ようやく今回、この制度か始まりましてから初めて厚生年金等との関係考えまして改正をいたした次第でございます。そこで、福祉年金につきましては、今後とも、毎年できるだけ一般の生活水準の向上に見合って改善を進めていきたい、かように考えている次第であります。
  36. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっと関連。  いまの年齢の引き下げも前向きの回答がありましたから、私はまあ前向きで、いいとは考えますけれども、実際は七十歳ということから、該当者の者と六十五歳の者との、もらえない人の立場から考えますと、こんなものはつくってもらわぬほうがよかったという意見が強い。精一ぱい不平を言っているんですね。これはもう前向きの回答をしてみえますけれども、次の国会ぐらいにはできるだけ私はこの問題はやっぱり統一したほうがいい。そうしなければ、六十五の人と七十の人との格差があまりにもあるということになりますと、いろいろな不服が年寄りの中に出て、保険をつくって不服が出ておる。この実態は政府に大きく反省してもらって手直しをしてもらいたい、私はこういう希望を申し上げます。
  37. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こして。
  39. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) その点につきましては、先ほど年金局長からお話がございましたように、政府といたしましても審議会等の御意見も伺い、前向きでひとつ検討を進めたい、かように思っております。
  40. 大橋和孝

    大橋和孝君 大蔵省のほうから来ておるそうでありますから、質問をそちらのほうへ移させていただきます。  いまちょっとお話を申し上げかかっております点は、積み立て方式でいまのようにして厚生年金保険、あるいは、また、国民年金制度でもって積み立てられてまいりますと、相当ばく大な積み立て金が貯蓄されるわけであります。昭和四十一年度末の推計でも、厚生年金では一兆八千億、それから国民年令では二千五百億に達する予定でありますし、また、この様子でいきますならば、そのピーク時になりますと三十四兆円の巨額に達する。これにまた国年では先ほど申されましたように五兆円、約四十兆に近い金ができるわけであります。私は、第一に、この積み立て金の使途を明確にしなきゃならぬと思うわけでありますが、この使途についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  41. 広瀬駿二

    説明員(広瀬駿二君) お尋ねの厚生年金国民年金積み立て金の使途につきましては、毎年度予算と一緒に財政投融資一画を策定するわけです。その四十一年度予算の説明という。パンフレットみたいなものが削られるわけですが、これの中に使途別分類表としまして、財政投融資計画二兆二百七十三億円の内訳を出しております。いろいろな原資の中にいろいろな資金があるわけですが、いま御指摘年金関係の資金は、国民年金厚生年金を合わせまして、そのほかに共済組合等のお金も多少入りますが、「年金資金等」として一括されまして、その使途を使途別に明らかにしております。それで、その使途の項目は住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小農林等々と十二項目にわたっておりまして、予算の説明金額を明記しております。
  42. 大橋和孝

    大橋和孝君 大蔵省のこの資金運用部のほうで預託されるところのいろいろな運用の計画はいま御説明になりましたが、この使途別分類表に示されておりますような年金の賞金等の使途は当該年度の積み立て金額についてのみでありまして、既往の貯蓄分の運用の状況、特にその年金積み立て金の回収及び再貸し付けの状況については全く不明であるわけでありますが、この点を少し明確に示していただきたい。
  43. 広瀬駿二

    説明員(広瀬駿二君) 毎年度の計画につきまして、毎年度の予算と河畔にお知らせする使途別分類表の中に明らかにするわけでありまして、それの過去の合計額、貸し付けの残高と申しますか、そういったものにつきましてはそれらの合計をもって充てるわけでありますが、それらの合計につきまして公表をしたものはいまのところございません。私のほうでいますぐここに手元に用意しておりませんが、大体予算とほとんど実績とは変わっておりませんが、多少また実績額が動く点はございましょう。多少はございます。それらにつきまして合計をすれば出るわけであります。  それから、回収の状況というものは、これは年金資金の回収もその他の回収も、これはそれぞれの資金について勘定が区分されているわけじゃございませんので、一本として経理されておりますので、その辺も十分にお答えできないのは申しわけないと思いますが、そういうような状況でございます。
  44. 大橋和孝

    大橋和孝君 こういうものは何か資料として提出してもらうわけにはいきませんか。
  45. 広瀬駿二

    説明員(広瀬駿二君) いままでの使途別分類の合計というものにつきまして資料を調整することは可能でございます。ただ、回収金のほうは、これはお金に色がないわけでございますので、全部を一括してどれがどれと、たとえば国民年金の回収分が幾ら、厚生年金の回収分が幾らというふうには分けがたいのであります。
  46. 大橋和孝

    大橋和孝君 それはどこへ回収されて、何ぼされているかわからぬ状態で、何にも把握しないで運用されているのは少しおかしいのじゃないかと思いますか。
  47. 広瀬駿二

    説明員(広瀬駿二君) 全部の回収金と申しますか、資金運用部の資金の回収金が幾らということは、これははっきりわかります。ただ、資金運用部に入っておりますお金は、その大宗が郵便貯金でございます。これが約半分ぐらい、それから残高が約半分ぐらいになると思います。それから残ったものの半分程度、したがって、全体の四分の一程度かと思いますが、これが厚生年令なり国民年金のお金なり、そのほかに政府関係のもろもろの特別会計の積み立て金、あるいは余裕金というものが全部通用部に一括して入っております。これらは全部一本として統一的に運用されております。回収も、それらが統一的に出ておりますので、統一的に返ってくることになる。全部別々には計算されていないのであります。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと関連。それは、あなた、答弁が不親切だとぼくは思うのです。大橋さんの質問されていることは、四十兆も資金が積み立てられる。毎年度の貸し出しだけは資金運用部で財政投融資でやっているけれども、全体の華金は五分五厘なら五分充填で複利計算して保険財政をやっているわけなんだけれども、そういうものをどういう方向で、その全体の資金を一年ごとじゃなしに、全体の資金を計画的に使っていくかということを明確にしなさいというのか質問ですよ。それをよくわかりませんというようなことじゃどうにもならぬし、この際、私はもう一つ質問をしておきたいけれども、厚生年金国民年金積み立て金だけは大蔵省がやっているけれども、共済年金の積み立てその他については自主管理さしてるんでしょう。民間の方々には二割五分の資金融通でなしに、もっと福祉還元融資をやらなきゃならぬということを大蔵省としては頭の中に入れて、共済年金積み立て金は自主運営さしておいて、不動産投資から、信託投資までやってるというようなことを知らぬ顔をしておいて、民間のところだけは七割五分きちんと取って、還元融資をどうするかということまで、私は全体の資金の配分、これは生産と国民生活との関係でしていくということを大蔵省は考えてもらわなければどうにもならぬじゃないかというのが大橋委員の私は質問だと思う。それを区分けがつきませんとか何とかかんとかで返事しちゃいかぬですよ。将来の資金計画というものをもっと親切に、そしていまここで答えられないならちゃんと表を出して、計画といまどうなってるということを、資料要求されたら出しますくらいのことを言ってもらわなければそれはちょっとぐあいが悪いじゃないですか。
  49. 広瀬駿二

    説明員(広瀬駿二君) 毎年度の資金運刑部に厚生年金なり、あるいは国民年金なりから積み立てていただく資金につきまして、これをどういうふうに運用するかということは、たとえば今年度は両方合わせますと四千八百八十二億、それを住宅等、国民生活に直結する部門につきまして三千八百七十五億、これはまあ非常に大きな部分、八割くらいになろうかと思いますが、を占めております。そのほかには国土保全等、これもやはり何といいますか、社会資本の充実といった方面に使われるということで、これらあげて国民生活充実するために、究極するところ、使われるといってもいいんじゃないかと思います。そういった意味での資金の使途別は毎年度これを明らかにしております。で、先ほどおっしゃいました、いままでの残高すべてをひっくるめたところどうかということにつきましては、お示しのように、資料をつくれという御命令でございますれば、さっそく調製するようにいたしたいと思います。  それから、先ほどやはり御指摘にございました共済資金等はもっとよけい還元してるじゃないかというお話、これは厚生年金及び国民年金の還元融資の比率は二五%、これは三十六年度でございましたか、国民年金法が創設されるときに、国会の御要望等によりまして、従来の一五%を二五%に引き上げたわけでございます。これはいま申し上げましたように、住宅その他、すべてこういう資金は国民の福祉になるように運営をされておるわけでございまして、さらにそれらの資金の特殊性にかんがみまして、また、こうした拠出をなさる方々のこの制度に対する御理解のためにも、さらに直接的なものに動くようにということで二五%の還元融資がなされたわけでございますが、共済組合のお金というのは、これまた資金の性質が多少違いまして、国民年金なり厚生年金はまさに国家資金ということでございますが、共済組合のお金は、これは国とは別の人格、共済組合のお金ということになるわけであります。で、共済組合の場合は三分の一がこの運用部に預託していただくということにしておりますが、まあこれはいわば共済組合の、何というのですか、厚生年金相当分というような意味で、三分の一の財政投融資の御協力を願うというようなかっこうになっておりますので、その辺必らずしも同一に比較するということはできないのじゃないかというふうに考えております。
  50. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっともう一つ。ぼくは時間を早くやりたいから、あまり発言せぬと思っておったけれども、あなたの言い方は根本的に間違ってるじゃないか。厚生年金と共済年金とは積み立て金の性質が逢うというが、何が違う、どこが違うね。同じように積み立て金長期所得保障の積み立て方式じゃないか。頭から違うから差別をするということ、そんな観念で大蔵省はこの資金を扱うというのなら、これはどういうことなんです。とんでもないことだと、そんなこと考えてたら。片一方の共済年金は不動産投資や信託投資してるじゃありませんか。そういうことを黙認しておいて、資金が違うからそれでもいいじゃないかというような、そういうものの考え方国民全体の所得保障を進めていくんだということになったら、それはたいへんですよ。そんな考え方で同じように所得保障を進めていくために住民の還元融資福祉をどうしていくか。国家資金に流用して、より建設、生産に向けていこうということは、所得保障を将来統一させていこうという、年金制度をこの考え方でいかなければならぬ。国がやっているのは違うんだ。これは自由にしていいんだ、民間がやっているのは。国家でやっているのは、これはシビアーに二五%でいいじゃないかという、そんなものの考え方で資金運用をやってもらうなら、これはたいへんですよ。
  51. 広瀬駿二

    説明員(広瀬駿二君) 私の申し上げましたのは、資金運用部資金法の条文に従って申し上げましたので、ここでは、国の国庫余裕金は、これは資金運用部に預託するものである。つまり国家資金として集まってくるものは資金運用部に一本で経理する。そのために資金運用部が生まれたわけでございます。また、従来も預金部というかっこうであったわけでございます。そういう意味で国家資金は一元的に国で統一管理するというかっこうになっているたてまえを申し上げましたので、(「考え方を聞いている」と呼ぶ者あり)考え方という意味におきましては、何と申しますか、両方とも拠出者の利益に還元するという精神でやらなければならぬとおっしゃる点は、まさしくおっしゃるとおりだと思っております。
  52. 大橋和孝

    大橋和孝君 ただいま質疑の中にあったように、この資料を明確になるように出していただきたいと思います。同時に、私は、まだまだ厚生年金国民年金の原資別に使途が明確でないので、これを明確にしていただくと同時に、また、融資の対象の機関、これの資金量についても不明でありますから、その点もできるだけ明確になるような資料を出していただきたいと思います。  私も時間がないので、急いでできるだけ早く聞きたいことだけをちょっとかいつまんでいきたいと考えておりますので、答弁ももう少し明確にしていただかぬと、つい関連質問が出る。簡潔にしていただきたいと思います。  次に、私お伺いしたいことは、これは三十五年の審議会答申の中に、「特別勘定として、他の資金と厳密に区別して、社会保障の目的を十分に達するように管理運営することを法律によって保障することが肝要である。」と、こういうように審議会の要望が三十五年十月十二日に、内閣総理大臣、あるいは、また、大蔵大臣厚生大臣に要望書が出ておるはずでありますが、これをしないのは私はどういうわけか。この要望書がずっと前に答申に出ているにもかかわらず、こうしないのがやはり不明瞭になるあれであると思いますので、これについて見解をちょっと。
  53. 広瀬駿二

    説明員(広瀬駿二君) ただいまおっしゃいました答申は社会保障制度審議会答申かと存じますが、これらに関連いたしまして、社会保障制度審議会、あるいは国民年金審議会等々から答申が出ておりますが、また、この資金運用部の資金の運用につきまして資金運用部審議会というのがございまして、ここでもまた同じ問題に関連しまして答申が出ております。そして結局、資金運用部審議会答申に基づきまして、当時、先ほど申し上げましたように 還元融資の率を一五%から二五%に上げる、あるいは運用利回りを六%から六・五%に上げる、それから審議会の構成を変える等々の改善措置を講じたわけでございます。そういった意味で、必ずしもすべてが満足されるような状況になっていないかと思いますが、いろいろな関係からそういうふうな状況になっております。
  54. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう一点だけ要望して私質問を終わります。  先ほど藤田委員からもお話がありましたように、この二五%の中におきましても一、いろいろなものが資金源として出されているわけでありますか、これは特に社会福祉のため、被保険者、あるいは、また、厚生福祉のためにということが明確になっておるわけでありますので、特にこういう運否の面につきましても配慮をしていた、だくと同時に、この辺の点、上水道だとか、あるいは、また、このあれに出ておりますようないろんな方面にこれが優先的に用いられているわけでありますが、こういうようなことも、いま特別勘定の設置をして明確にされることが必要であると思いますので、特に配慮を願いたいと思います。
  55. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民年金厚生年金積み立て金の運用にあたり逃しては、これを安全に運用するということ、そして、できるだけこれを有利に運用するということ、さらに、その運用にあたっては国民の福祉に寄与するようにこれを運用しなければならない、こういう点につきましては、政府も十分その趣旨に合致するように、今後とも、この運用には慎重に最前を尽くしてまいりたいと考えております。  なお、その使途を明確にいたしますために、た、だいま資金運用部の中に特別会計をつくるという問題等につきまして資金運用審議会に諮問をいたしておる段階でございますが、それらの御意見を十分聞いた上で、私どもただいま御指摘になりましたような方向でできる、だけ努力いたしたいと、かように存じております。
  56. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  57. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある力は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようてございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  国民年金法の一部を改正する法律案(閣法第八四号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  60. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、ただいま可決されました国民年金法の一部を改正する法律案に対し、各党の御了解を得まして、附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。
  62. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいま述べられました藤田君提出の附帯決議案を議題といたします。  藤田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  63. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって藤田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木厚生大臣から発言を求めておりますので、この際、これを許可いたします。鈴木厚生大臣
  64. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま決議されました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、今後政府におきまして最善の努力をいたしたいと考えております。
  65. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  67. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御言を願います。——別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  児童扶養手当法の一部を改正する法律案(閣法第六五号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  70. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  71. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 私は、ただいま可決されました児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対し、各党の御了解を得まして、附帯決議・案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     児童扶養手当法の一部を改正する法律案     に対する附帯決議案   政府は、児童福祉の観点から所得保障方式の  制度を確立することを目標として、次の事項の  実視について努力すること。  一 所得制限要件を緩和すること。  二 父親の死別、生別の如何を問わず、母子家   庭の援護に差別をつけないようにすること。  三 包括的な「児童手当」制度は、昭和四十三   年から実施できるよう、特段の努力を払うこ   と。  以上でございます。何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
  72. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいま述べられました佐野君提出の附帯決議案を議題といたします。  佐野君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  73. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって佐野君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木厚生大臣から発言を求めておりますので、この際、これを許可いたします。鈴木厚生大臣
  74. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま決議されました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重いたしまして、今後一そうの努力をいたしたいと存じます。
  75. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  77. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対し、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようてございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案(閣法第六六号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  80. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  81. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 私は、ただい左可決されました重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案に対し、各党の御了解を得まして附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。
  82. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいま述べられました佐野君提出の附帯決議案を議題といたします。  佐野君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  83. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって佐野君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木厚生大臣から発言を求めておりますので、この際、これを許可いたします。鈴木厚生大臣
  84. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま決議されました附帯決議につきましては、その趣旨を体しまして最善の努力をいたす所存でございます。
  85. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  87. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 性病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。別に御発言もなければ、質疑はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別にご意見もないようでございが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  性病予防法の一部を改正する法律案(閣法第九九号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  90. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。   午後六時四十二分休憩      ——————————   午後十時十四分開会
  92. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。   労働問題に関する調査を議題といたします。
  93. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この際、各党の御了解を得まして、一酸化炭素中毒症対策に関する決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     一酸化炭素中毒症対策に関する決議(案)  一、政府は一酸化炭素中毒被災者援護措置につ   いて、差当り炭鉱労働者に限り、今後一ケ年   以内に、立法措置を講ずるよう努力するこ    と。  二、政府は右の立法措置が成立する迄被災者に   対する療養その他の援護措置に現在の状態と   変らざるよう措置すること。   右決議する。  何とぞ御賛同のほどをお願いいたします。
  94. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいま述べられました藤田君提出一酸化炭素中毒症対策に関する決議案に対し、御発言はございませんか。——別に御発言もないようでございますので、これより採決いたします。  藤田君提出の、一酸化炭素中毒症対策に関する決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  95. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって藤田君提出の、一酸化炭素中毒症対策に関する決議案は、全く一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小平労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。小平労働大臣
  96. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして努力いたす所存でございます。     —————————————
  97. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 雇用対策法案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対し、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言顧います。
  98. 森勝治

    ○森勝治君 この前の会議で、総体的な基本的な問題について労働省の見解をただしましたが、きょうは細目、なかんずく、各条の問題点について項目別の質問をしてみたいと思うのであります。まず、この本案の第一条、本法制定の目的という段の中に、第一条の第二項には「事業主の雇用の管理についての自主性」などということばが見受けられるわけでありまするが、この雇用主の管理という中には、たくさんあるわけでありますか、この雇用主の管理という中には、いわゆる解雇、首切りという問題も含まれているのかどうか、ひとつ伺いたい。
  99. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 含まれております。
  100. 森勝治

    ○森勝治君 そうなりますと事業主の雇用の管理についての自主性を尊重するということは、雇用主の解雇の自由というものを保障しているのかどうか。
  101. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 同じ第二項の条文の中に、後段のほうをごらんいただきたいのですが、「労働者の職業を安定させるための事業主の努力を助長するように努めなければならない。」というふうに規定しておりまして、私どもは、雇用主の社会的な責任として、労働者の職業を安定させる社会的な責任がある、こういう考え方でこの第二項を締めくくっているわけでございます。そういう意味では、一方で事業主の雇用の管理についての自主性尊重の対象として、もちろん解雇の問題も含んでおりますけれども、他面、雇用主の社会的の責任として、労働者の職業の安定をはかる責任を明記いたしているわけでございます。
  102. 森勝治

    ○森勝治君 いま前段で事業主の自由な解雇を認めているという御答弁、かあったわけでありますね、よろしいですね。後段の説明はされましたが、私の質問の趣旨は、事業主の雇用の管理について事業主の自主性を尊重するということはどういうことか、解雇の意味もふくまれておるかという質問について、その意味がふくまれておると、こういうことである、そういう御答弁でしたね。非常に大事なことですから、重ねて確かめておきたいのですが、雇用主は自由に首切れるんでしょう、そうでしょう、そうじゃありませんか。
  103. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 先生御質問の最初の問題は、「事業主の雇用の管理」という中に解雇が含まれるか、これは含まれますと、こうお答えしたのでございますが、後段には事業主の社会的な責任を強調してある。同時に、解雇は、御指摘のように、自由だといっても、これは解雇権の乱用という問題がございますので、必ずといいますか、自由に対してもそういった限界があるわけでございます。
  104. 森勝治

    ○森勝治君 どうも私の乏しい頭脳で局長の答弁を理解するのは至難のわざに近いかもしれませんけれども、前段で、雇用主が解雇、いわゆる首切りが自由にできる、大なたをふるうことができる。そのあとでは、労働者の職業を安定させるための事業主の努力を助長するようにつとめる、いわゆる解雇権の乱用というものを戒める、こういう御答弁でしたね。そうですね、そうでしょう。雇用主の首切りは自由に認めるけれども、いいですか、みだりに解雇してはならぬ、解雇権の乱用はまかりならぬということがこの第一条第二項の前段と後段に分かれておる、こういうお答えですね。質問しておるのですから、お答えいただきたい。イエス、ノーでけっこうであります。重ねて質問しているのです、同じことを。
  105. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 解雇が自由だと申しましても、解雇権乱用の制約があるというお答えをいたしたのでございます。後段の「かつ、」以下の問題は、雇用主の社会的な責任を明記いたしておる次第でございます。
  106. 森勝治

    ○森勝治君 そういたしますと、この第一条第二項の前段で、「事業主の雇用の管理」の中には、解雇することも自由である、すなわち、管理の自主性を尊重しているということですから、首切りは自由でありますよと、しかし、労働者の職業を安定させるための事業主の努力を助長するようにつとめる、かりそめにも不当労働行為などということで首切りをしてはなりませんよということを後段では戒めている。こうなると、同じ条文の中で相矛盾せる二つの問題がここで露呈されておりますね。これは論理的に矛盾ではないかと思うのですが、差しつかえありませんか。
  107. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは矛盾ではないと思いますが、一つの具体的な解雇が正当な解雇であるか、解雇権の乱用であるか、あるいは御指摘のような不当労働行為に該当するか、これは具体的な状況によって判断する以外にないと思います。
  108. 森勝治

    ○森勝治君 具体的な状況などということを言われておっては困るのですよ。あなたのほうからの提案は、労働者が安定してその業務に精励をし、かつ、社会的に貢献することができ得るようにという大臣の提案理由説明があるわけでありますから、おのずから、雇用主といえども、この国の方策というものに理解と協力を持っていただかなければならぬ、かりそめにも労働基準法違反などということが今後絶対に起こってはならぬのであります。私はそう思うのであります。しかし、いまのようなお話ですと、労働幕準法違反を、いわゆる不当労働行為を経営者が一方的に行なって首切ればそれぞれの機関で処理しましょう、私の砥うに来たら御相談に応じましょう、こんな調子のような御答弁としか私は受け取れないのであります。私は頭が鈍いものですから、あなたのような鋭敏な触覚でものを言われると、どうも理解しにくいのです。私の申し上げているのは、経営者はいつでも首切れるのだ、私の表現がちょっとどぎついかもしれませんが、経営者の解雇権とか、そういう管理権というものをここで大幅に認めておって、しかし、あとのほうでは、労働者の職業を安定させるために雇用主は最大の云々ということが瞬いてあるわけですね。それならば、なぜこのようなせっかくこういう法案を用意されたのですから、事業主の首切りを自由に認めるなどということでなく、もう少し雇用を安定させるような、労働者が安心してその職につくような、そういうやり方はできないのですか。
  109. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 雇用主の社会的な責任として、労働者の職業を安定させるということは、これは一般的な責任として強調してあるわけでございますが、解雇が正当であるかどうかという問題は具体的な事情によって判断する以外に方法はない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  110. 森勝治

    ○森勝治君 それはめぐりめぐって、堂々めぐりのような質問をして恐縮でありますが、非常に大事なことでありますので、もう一度ことばを変えて——ことばをかえても類似の発言を申すわけでありますが、ことばを変えて、もう一度この点について見解をただしてみたいのですが、この「労働者の職業を安定させるための事業主の努力を、助長する」ということばの中に、労働者の解雇という手段を最後のぎりぎりの線まで行使しない、そういう事業主の努力が当然この中に含まれておる、あなたは解雇権の乱用と言ったが、従来は、よく基準法があったり、いろいろあるけれども、不当労働行為で盛んに百を切る。職安に働く仲間の諸君だってそうです。なかなか時間に出てこない、あるいはちょっとどうかしたとなると、もう再登録を認めないと、非常に最近はきびしくなりました。したがって、いま申し上げたように、あなたはみだりに首切りをさせないように、そういうふうにするという答弁をされておりますけれども、かりそめにも雇用の管理の自主性を発動する、かってに首を切ることはまかりならぬ、こういうことについては、それぞれもう事業主にそれぞれの立場で十分管理と指導と協力を求めることができるのですね、お約束願えますね。
  111. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この法律がなくても、解雇権の乱用は慎まなければならぬという一般原則がございますが、この二項の後段で、常識的には強調されておりまする雇用主の社会的な責任を法律上明記いたしておりますので、従来以上に乱用を慎む、あるいは雇用主の社会的な責任を強調して指導をするという裏づけができるわけでございます。
  112. 森勝治

    ○森勝治君 わが国の公共職業訓練体系というものは、御承知のように、中学卒業生を対象として行なわれておりますね。それが最近は高校全入などということばも出てまいりますように、高校の進学率が非常に上昇いたしました関係上、高等学校卒業者を対象とする訓練が主体になっておるわけでありますね、最近は。そうなりますと、当然もういまの職業訓練体系、現行の体系というものは実態に沿わなくなってきたのではないかと思うのでありますが、このことについてはどう考えておられますか。
  113. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) ただいま森先生御指摘のように、最近におきます高等学校への進学率は七〇%に達するような状況でございます。したがいまして、昭和四十五年から五十年ごろになりますと、新規学校卒業者の社会への労働供給の大宗を占めますのが高等学校の卒業生になるということはほとんど現在疑うことのできないような傾向になっております。したがいまして、職業訓練といたしましては、従来は中学卒業生がその大宗を占めておりましたので、それを重点にして職業訓練を行なってまいりましたことは、先生御指摘のとおりでございますが、今後は、四十五年以降に予想されます、ただいまも申し上げましたような傾向を十分考えまして、職業訓練といたしましても、高等学校卒業者の職業訓練をいかにするかということについては、十分検討をいたしてまいりたいと考えております。
  114. 森勝治

    ○森勝治君 十分お考えくださるということでありますから、質問の要もなかろうかと思うのでありますが、この種の諮問機関には中央職業訓練審議会というのが、御承知のように、あるわけであります。したがって、この審議会でも、私がいま質問いたしました内容については、当然議論がかわされておるのではないかと思うのでありまするが、そういう点についてはどのようになっておられるか、お伺いいたします。
  115. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 中央職業訓練審議会におきましては、ただいま総合部会を設けられまして、職業訓練全体が今後の雇用状況に応ずるようなものにするにはいかなる姿をとるべきかということについて、せっかく総合的な見地から御検討をされておりまして、ただいま先生の御指摘のような高等学校卒業生に対する訓練ということも、当然その御審議の中で議論になっております。現在の中学卒業生のものよりももう少し変わったもの及び高等学校卒業生が今後技能労働者となっていく場合の位置づけの問題等について御議論が進められております。
  116. 森勝治

    ○森勝治君 本案の第十二条でも「技能検定制度の確立」というふうになっておりますが、技能にふさわしい評価を受けるということを促進するというような内容が第三条にあるわけでありますが、この技能にふさわしい評価を受けることを促進するというこのことばは、具体的には一体どういうことを意味するのか、お答えを願いたい。
  117. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 技能にふさわしい評価といいますと、現在のところ、どちらかといいますと、年功序列型賃金とか、あるいは学歴による賃金とか、こういうようなことがございまして、それが各人の持っておる能力に必ずしも適合をしていない面が現実に存在するのではないか、こういうような御談談がよく行なわれておるところでございます。そういうことでなくして、その人の能力にふさわしい給与というようなもの、あるいは労働条件というものを考えるべきであろうというのが最近の非常に強くいわれておる状態でございます。そういう見地からいたしまして、技能を持っておる労働者がその能力にふさわしい評価を受けるようなものを今後雇用政策の中で考えていくべきではないか、こういう趣旨かと思います。
  118. 森勝治

    ○森勝治君 第三条第四号には、「労働者の職業の転換、地域間の移動、職場への適応等」云々、こういうことばがあるのでありますが、この職業の転換とか地域間の移動というものは当然混乱を伴うわけであります。すなわち、職種、地域間の賃金格差というものが全国的に業者間協定ということで各地域それぞれ定められておるわけでありますけれども、当然これは全国的に賃金格差というものが私は現在はまちまちであると、こう思うのであります。したがって、職業の転換とか地域間の移動というものが、いま申し上げたような職種間や地域間の賃金格差というものがあるために、その移動をしたりすることがなかなか困難であるということは当然おわかりのはずでありますね。現状はそうなっていますね。そう簡単に移動はできないということですね、賞金格差があるので。それはお認めになりますね。
  119. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 職種間、地域間の格差があることば事実でございます。
  120. 森勝治

    ○森勝治君 職種間、あるいは、また、地域間における賃金格差というものがあるとするならば、しかも、その賃金格差によっていま申し上げたような地域間の移動、職業の転換というものが困難性を増すということであるならば、当然賃金格差解消の手は、最低賃金の全国一律、こういう問題が当然出て来、これを実施するならば、いまのような問題は漸次解消していくと思うのでありますが、そういう点はどう考えておられますか。
  121. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先年御承知のように、最低賃金そのものは、いわゆる最低の賃金を法的に保障するということでございますので、地域間ないし職業間の流動性を増大するといったような、何と申しますか、標準的賃金と申しますか、一般に支払われておる賃金、流動化を促進するような技能なり力を持つような賃金ということと関連いたしました場合には、最低賃金だけではそういった技能を十全に発揮するということはなかなか困難な面があろうと思います。しかしながら、そういった格差是正という点につきまして下ざさえをするという意味においては何らかの意味を持つということにつきましては、否定できないのではなかろうかというふうに私は理解いたしておる次第でございます。
  122. 森勝治

    ○森勝治君 それば全国一律にしたほうが、この法案で盛られている職業の転換や地域間の移動などというものは、最賃制が全国一律にしかれれば、その問題については解消するのじゃないですか。ある程度までそのほうが便がよいじゃないですか。いまのように、昨年は一万三千六百円が卒業生の平均賃金、ことしはもう一万六千幾らにもなっておるけれども、千葉や埼玉の例を見てもわかるように、この前も私指摘しましたが、この最賃の金額というものが全国の卒業生の平均水準にも東京近郊でさえ達していない。名ばかりの業者間協定ということになる。しかも、ここでは職業を転換さしたり地域間の移動をさしたりするわけですね。しかも、職業転換をさしたり地域間の移動をさせるには、いま言ったような賃金がアンバラだから思わしくない、こういわれているわけです。これは職種の転換も、したがって、賃金がアンバラだから思わしくない。それから、地域間の移動もむずかしいということになれば、当然これはおしなべて賃金を同一にしておけば、そういう問題が、比較的その点についてはこの移動というのはしやすくなる、職種間の転換もしやすくなるのじゃないですか。将来はそういう面に向かって考えるべきではないですか。
  123. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 地域同格差等について下ざさえという意味において効果が期待できるのじゃなかろうかという趣旨を先ほど申し上げましたが、労働力の流動化とか、そういった問題につきましては、先ほど御指摘がありましたように、技能とか職務に応じた賃金が払われるといったような要素も必要でございますし、単に最低の線だけを確保するということだけでは積極的な効果は必ずしも期待できないのじゃないか。いろいろな方法が私はあると考えるわけであります。職務なり技術の質、量を考慮いたしまして適正な賃金を払うということも非常に大きな条件でございましょうし、いろいろあろうかと思うのであります。最低賃金はあくまでも最低でございますので、それをつくったからといって、地域間、あるいは職業間の流動化がなめらかに進むかどうかという点については、やはり一般に払われる賃金が相当のものでなければ積極的な効果が期待できないのじゃないかという意味におきまして、最低賃金だけでそういうものが期待できるということについては、何と申しますか、それだけでは足らぬので、いろいろな方法が必要ではなかろうかという趣旨を私は申し上げている次第でございます。
  124. 森勝治

    ○森勝治君 どうも局長、このごろはどういうわけですか、議会がもうほとんど閉会同様に、もう閉会に近づいたので気が強くなったのか、消極的な態度をおとりになったのか知らぬが、従来の御返答とまるきりただいまの答弁は違いますね。全国一律の最賃制については、大臣すらも前向きの姿勢で処理したい、そうやっていきたい、こういう答弁でありますが、あなたの答弁は当該大臣を上回るような、あと足で何かものをしゃべっているような、失礼ですが、うしろ向きですよ。そういうふうに受け取れてならぬのです。
  125. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) これは誤解をいただいては困るのでありますが、最低賃金制そのものの確立、将来どうあるべきかということについては、先般大臣が御答弁申し上げましたように、私ども真剣にこれに取り組んでいく所存でございます。ただ、最低賃金が、この地域間格差、あるいは職業間、あるいは技能間の格差を縮小するために、それが絶対で、それが唯一であるということは言い切れない、地域間格差などの底上げというか、底固めの意味はありましょうが、それをオールマイティーのように、流動化なり地域間格差の解消のための絶対有効な手段で、これがオールマイティーだというふうに考えるのはいかがかと存じますというだけでありまして、最低賃金そのものは、かねて申し上げておりますように、これは前向きで前進させなければならぬということを申し上げているわけであります。
  126. 森勝治

    ○森勝治君 私の持ち時間がもう尽きますので、きょうはこれ以上申し上げないで、この最賃の問題については後日ゆっくり議論をすることにいたします。  そこで、もう一点お伺いしたいのですが、第三条の第五号、「不安定な雇用状態の是正を図るため、」という文句があるわけでありますが、たとえば不安定な雇用状態の中には臨時工がありますね。人事院の立場からいえば「人夫」という表現を官公庁では用いております。臨時工の中にはいろいろありまして、たとえば社外工もあるし、パートタイマーもあるでありましょう。いずれにしても、民間においては臨時工三年とか、長いのは五年も不安定なままに置かれている。一体こういう問題をどう対処されるのか、あるいは、また、季節労務者、出かせぎ者等の不安定な雇用状態を是正するために従来一体どういうことをやってきたか、もちろんこれは失対の問題もそうでありますし、さらにこれらの労働者はいまどのような状態のもとに置かれているのか、特にいま申し上げたように、臨時という名前で三年も五年も使っている。具体的な事例で、学校卒業生が職安のあっせんによって工場、事業場に就職した。雇用条件と就職した後の採用条件というものはまるきり違う。そこで、それらの採用された新入社員は腹を立てて全部やめてしまったという具体的な事例もあるわけであります。安定所の紹介をもってかくのごとし、安定所の紹介でないものもたくさんあるわけであります。そういう問題についても、皆さん御承知のように、これはもう不安定な状態に置かれているわけであります。こういう問題について今後どう対処されるのか、それを聞いておきたいと思います。
  127. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御指摘のような不安定な雇用状態にあるものにつきましては、まず、その実態を把握いたしますとともに、常用雇用に切りかえるための積極的な指導を加えてまいりたいと思います。その具体的な事例としましては、ことしから建設業等に雇われている季節労働者等につきまして、通年雇用の促進融資制度をこの法律附則でもって創設してまいりたい、建設業が特に業種的にはこういった不安定雇用の形態が多いものですから、この点に重点を置いて指導してまいりたいと思います。
  128. 小平芳平

    小平芳平君 この雇用問題が非常に重要な問題であるところから、私たちもいろいろ問題点を持っているわけでありますが、いろいろの関係で時間が非常に少ないそうでありますので、ごく大綱的な、基本的な考え方をお尋ねいたします。また、簡単に御答弁くださってけっこうでありますので、基本的なことをはっきりお答え願いたいと思います。  まず、最初に私がお尋ねしたい点は、雇用対策法をつくる場合は、人間性を中心とした雇用対策法というものを私たちは期待しておりました。この雇用対策法によって労働者生活内容がどれだけ充実をしていき、どれだけ生活が向上していくか、しかも、産業経済計画の裏づけを持った経済の発展が労働者生活内容の充実、向上の裏づけとなっていく、つまり経済が発展していく、それとともに労働者生活、幸福が約束されていく、発展していくといった、そうした趣旨の雇用対策法を期待していたわけであります。ところが、現在出されているところの雇用対策法は、やはりいままでと同じような、ともすると労働者の流動対策といいますか、とにかくこちらのほうでこれだけ人が余ったから、こちらのほうへこれだけ就職するように政府が対策を立てようというような点について、いろいろありますけれども、もっと根本的に、たとえば昭和三十四年五月三十日の雇用審議会の完全雇用に関する答申にしましても、これも前回の質問のときに、答申はだいぶ尊重して具体化したというふうにおっしゃってはおられますけれども、それでは三十四年に答申が出てから、今日までなぜこんなに時間がかかっているか、完全雇用に関する答申が三十四年に行なわれているわけですから、雇用対策法としてこの完全雇用を実現するための法律がもっと早く実現されるべきではなかったか、その点についてはいかがでしょうか。
  129. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) お話ごもっともでございますが、今回の雇用対策法におきましても、その第一条の目的においてうたっておりまするように、「労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上」を期すると、こういうことを目的といたしておるわけでありまして、この法案ができましたならば雇用対策基本計画をつくるわけでございますが、この計画を政府が協力して、政府の責任において実施をいたしますことによって、人間としての労働者というものの経済的社会的地位を向上させるようにあらゆる努力を払いたいと、かように考えておるわけでございます。  なお、完全雇用の答申が出てから今日まで延びたのはこういうことでございますが、確かにもっと早くこういった法案が用意されればよかったかもしれませんが、政府といたしましても、あるいは、また、労働省といたしましてもいろいろ研究を重ねてまいり、最近の特に雇用審議会答申等をきっかけにいたしまして、その趣旨に沿うてこの案を用意いたしたようなわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  130. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、この答申の内容についてですが、まとめて質問いたします。  一つは、この完全雇用の答申では、「所得の低い就業者が完全失業君の十倍前後存在すると推定される。」と、このようにうたっておりますが、これについてのお考えはどうでしょうか。  また、「しばしば「偽装失業」とか「潜在失業」とかいわれるこの種の「不完全就業」が広く存在することは、工業化の著しくおくれた諸国にほぼ共通の現象であるが、わが国のように工業化の進んだ段階にあって、一方に近代的な「完全就業」の状態がすでに存在するにもかかわらず、他方になお「不完全就業」の状態が目立って存在することは、社会的緊張を促進する有力な要因とならざるをえない。」、こういうような点も指摘しておりますが、この点についてのお考え。また、そういうような現状からして、この答申では、「最低賃金制の確立」をはかるべきである、また、「家内労働に対する規制が同時に行われなければならない。」、また、「雇用形態の改善」として、「臨時日雇その他の不安定な低賃金労働者の採用によって解決する傾向を改め」なければならない、こういうように指摘しておりますが、どのようにこれを実現されようとしていらっしゃるか、あるいは、「労働の可動性の増進」、また、労働力を流動化するための増進の対策を立てるべきである、あるいは、「社会保障の充実」をはかるべきである、こういうようにその内容を指摘しているにもかかわらず、確かに政府としていままでとってきた対策も、もちろん最低賃金法はできた、あるいは雇用促進事業団もできたというような点もありますが、なおかつ、現在までの政府の雇用政策、あるいは、また、今回の雇用対策法をもってしても、やはり最初に私が指摘したような点に非常に欠けるところがあるというふうに私たちは感じますが、いかがでしょうか。
  131. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 三十四年のいわゆる完全雇用答申がその後どういうふうに実現しておるかという問題でございますが、これは一番大事な点は、この完全雇用答申の冒頭に指摘してありまするように、「雇用機会増大の基礎としての経済発展」という項に書いてありまするように、雇用量を経済の発展に伴ってふやしていかなければならぬということを第一に強調しております。これは三十五年当時から始まった高度経済成長に伴って雇用量の大きな伸びとなって今日に至っておりますが、その間において不完全就業者の問題がどういうふうに改善されたかということが問題になるわけでございますが、三十四年七月の就調によりまして、当時二百三十七かほど意識面から調査した潜在失業者がおったわけでございますが、昨年七月の調査によりますと百八十四万と、相当大幅に潜在失業者も減っておりますし、この不完全就業の解消という問題が今後の雇用政策の大きな課題でもございますので、完全雇用答申趣旨を尊重いたしまして、この雇用対策法におきましても、第一条の目的以下にその趣旨を十分取り入れて、 しかも、第三条の国の施策の中の第五号には、わざわざ「不安定な雇用状態の是正を図るため、雇用形態の改善等を促進するために必要な施策を充実する」ということを強調しておりますので、先生御指摘のような問題は、今後、対策法の成立によって十分対処してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  132. 小平芳平

    小平芳平君 確かに経済発展が雇用量を増大するということは、今日までも経済が発展して雇用量が増大したということは、これは当然の結果であります。ただ、私が申し上げていることは、雇用量の増大と、また、経済発展に伴う雇用量が増大しただけで、それでまことにけっこうな労働政策である、まことにけっこうだ雇用対策であるとは言えないのではないか。やはりそこに労働者生活内容を充実するための対策というものが置かれていなければ、人間性中心とした労働雇用政策というものがなければならないのじゃないか。むしろ経済がとんどん発展する、経済が発展するから、人が足りないからどんどん吸収する、また、経済が発展するほうへ雇用政策が追っかけられているだけであって、そういう意味の雇用対策には賛成できない。もっと生活内容、労働者のしあわせ、幸福というものを目標としたその裏づけになる経済発展でなければならない、そういうことを私は申し上げているのです。したがって、雇用量の増大とともに大半なことは、労働力の流動化にしても最低賃金の問題にしても、もっと生活内容を中心にしたものにして、具体的に雇用対策法ができたからこれでだいじょうぶだというんじゃなくて、もっと具体的な生活内容がよくなる方向でなくちゃ困ると言っているわけです。それから、第一、昭和三十八年に失対二法の改正を強行しまして、これは私たちもちろん反対したのですが、この失対事業の問題にしても、一体どれだけ経済が発展し、その失対事業に働いている人たちがどれだけ生活内容がよくなってきたか、そういう点についてそれでは労働省ではどのように調べていらっしゃいますか。
  133. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生の前段のお話は私ども全く同感なのでありまして、単に雇用量がふえたというだけで、労働者生活が質的に向上されないというようなことでありましては、これはならないのでありして、その間、今回の法律は、いわば雇用政策についての私はある意味では出発点であると思います。この法案か成立いたしますならば、先ほども申しましたが、政府が一体となって、これも先ほど申しましたとおり、労働者の究極的には社会的な、あるいは経済的地位の向上というものを日ざして努力をいたそうと、こういうことをこの法律をもって国民にお約束をいたすわけでございますので、いわばこの法律はそういう意味において私は出発点であると、かように考えておるわけであります。現状はまことに不十分でございますが、政府の意のあるところをひとつ御推察をいただきたい、かように思うわけでございます。なお、失対事業につきましては当局から……。
  134. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御指摘の三十九年から対前年比でもって賃金の上昇率を申し上げますと、三十九年は九・六%、四十年は一一・九%、四十一年ば一二%という上昇率でございます。もちろんこれで十分だとは思いませんので、今後ますます改善に努力して、まいりたいと思います。
  135. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、最後に、これで終わりにいたしたいと思いますが、この法律に対して非常に危惧を持っている面があるわけです。雇用対策そのものはしっかり確立していかなくちゃならない。また、していっていただきたいわけでありますが、しかし、ただ、いま労働大臣がおっしゃったように、これが出発であって、これから内容をしっかり充実していくのだということからすれば、それで私も了解いたしますけれども、要は、ただ中高年齢労働者を計画的に押しつけるのじゃないかとか、あるいはこのことによってかえって賃金の切り下げが行なわれるような結果になりはしないかということは、この労働力か流動していくたびに賃金はば切り下げられていくのじゃないかというようなおそれ、そのほか問題としていろいろ指摘されておりますので省略いたしますが、そうした企業にとっても労働者にとっても、何となくすっきりしない、まあ抽象的な法律といえば抽象的な法律であるからやむを得ないかもしれませんが、そうしたおそれを残さないように、また、そうしたおそれが現実となってあらわれないように、やはり雇用対策法を中心として、確かに労働者も職場に就職しやすいし、また、流動もしやすくなったし、また、生活内容も向上してきた、企業の面から見ても、確かにこの法律によって雇用がしやすくいくようになった、あるいは技能労働者も充足できるようになったというような結果の生ずるような、そういう法律の運用であってほしい、このように思います。
  136. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生から御注意いただきました点は十分今後気をつけまして、結果的に、一部に申されておりますような危惧ということが事実にあらわれないように、あくまでも本法の目ざすところを着実にひとつ実現できますように勇力をいたしたいと、かように考えているわけでございます。
  137. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、質問する前に、委員長にひとつ申し上げたいのだが、私に許す応問は制限があると思うのです。ここまで時間を制限しなくちゃならないほど私はきょうは窮迫した状態ではなかったと思う。朝十一時にきめて休憩になって、七時に招集して四案を通して、そうしていま再開して、そうして時間を一時間ぐらい私はほしい、こう思ったにもかかわらず、もうすでに五十分できょうは町間切れです。そうしてこの法案を上げようとするのです。こういう問題に対しては私は重要な問題だと思うんです。それだけに時間を制限するということであるならば、もっと事前に野党の質問に対しても質問の機会を与えるような運営をしてもらいたい。それができないようであれば委員長として私は重大な責任があると思う。この点はどうですか、時間を与えるんですか与えないんですか。
  138. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) この運営につきましては理事会に一応おはかりいたしまして、委員長は全く公平な立場で、そうしてみな理事の皆さんの相談の線に沿って運営しているわけです。そういう意味におきまして、時間のないということについては私もまことに残念に思っておりますが、理事さんたちのお話の結果、いまの時間のめどをおきめいただいたので、それに沿って運営している、こういう実情でございます。
  139. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それならば中間でどういう状態なのか、どういうことでどうなったのか、理事会の責任においてわれわれ野党に対しては連絡をとるべきです。それを一切連絡もとらないで、きょうこの時間になって時間を制限するというのは、私は委員長の不手ぎわだと思う。この点は今後そういうことのないように私は確認してもらいたいと思う、問題が問題ですから。
  140. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) その点につきましては、委員長の重々不行き届きであったということをここで率直におわびいたします。いろいろその間についての協議は、理事会でも何回も理事会を開いて相談なすっております。相談なすっておりましたけれども、その紆余曲折と申しますか、微に入り細に入りいろいろありまして、この段階でこれはこうだという段階が率直に言って私はつかめなかったのです、率直に言って。そういう意味合いにおきまして、理事さんたちと御相談しておったと、こういうわけでありまして、不明は率直におわびいたします。
  141. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それでいいんですよ、私は理解します。理解しますけれども、始まる前に、実はきょうはこういう状態になったと、したがって、質問もありましょうけれども、質問が以前から申し込んであるようですけれども、きょうはこういう状態でこうしてもらいたいということでなければ、ここに来ててんでばらばらで、あなたは三十分にしてくれ、二十分にしてくれと、失礼ですよ。もっと理事は理事らしく、これはきちっと運営するための理事会として設置されておる問題ですから、それは理事会として、また、委員長としてその責任を負って今後全うしてもらいたいと、私は希望意見を申し上げておきます。
  142. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) これは率直に言って、理事会がどうおきめになろうと、委員長が権限を持っておるわけですから、私がきちっとすればよろしかったのですけれども、やはり私としては民主的な運営をしたいと、委員長独裁は避けたいと、こういう意味で理事さんたちの御相談に沿ってやったと、こういうわけでございます。ひとつ御了承いただきたいと思います。
  143. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっと質問いたしますが、実は第一条に、「国が、雇用に関し、その政策全般にわたり、必要な政策を総合的に講ずる」と、こうおっしゃっておるのです。しかも、「国民経済の均衡ある発展と完全雇用の達成とに資することを目的とする。」のであるという、非常に意味深長な表現を使っておられる。この完全雇用の達成をしようとする総合的な政策は一体何か、具体的にいえばどういうことをお考えになっておるのか、ひとつ御答弁願いたい。
  144. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 第一条の目的にあります「国民経済の均衡ある発展と完全雇用の達成」、これはおそらく国政全般が、あげてこの目的に向かって努力しなければ達成できない究極的な目標だと思います。しかし、この法律では三条以下の国の施策ということを具体的に列記しておりますので、大体この三条に列記しておりまする施策をもって、この目的に向かって国の施策を総合的に、しかも、実効ある施策を展開していく、こういう考え方で雇用対策法は立案されておりますので、具体的にはこの三条以下の施策をもって対処してまいりたい、かように考えております。
  145. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなりますと非常に私は疑わしい点が出てくるのです。その次の列に労働者の職業選択の自由及び事業主の雇用の管理についての自主性を尊重しなければならないことはもとよりでありますと、こう言っておられる。最後のほうになりますと、労働大臣には、常時百人以上の労働者を使用する事業所であって、中高年齢者の雇用に著しい困難を伴うものに対して、雇用率の達成のために必要な要請ができることを職業安定法に規定するよう処置していくということが書いてあるわけです。したがって、相当労働大臣の権限がここに付与されると思うのです。そうですね。この点はどうですか、それだけ聞かしていただきたい。
  146. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 十九条以下の雇用率の設定条項がありますが、これは努力目標でございまして、強制力は持っておりません。しかし、先ほど御指摘のように、二項の自主性からいいますと、大きな国の指導目標でございますので、その点では自主性が制約されるということに相なると思います。
  147. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 制約されるということは、具体的に申し上げますと、たとえば年少労働者を五人雇う場合には中高年齢者も一人雇えと規制する考え方があるのかないのか、その点。
  148. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) いわゆる抱き合わせというような表現でいわれておりますが、私どもは不合理な抱き合わせをするつもりはありませんので、やはり何が中高年に適する職種であるかということを十分調査検討した上で、窓口において若年に集中する需要を中高年にできるだけ分散していくという指導はしてまいりたいと思います。
  149. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それは指導といわれるのと、労働大臣の権限がそこに付与されるというのとは大きな違いなんですね、その点が私は聞きたいのですよ。その指導だけで終わるのか、場合によっては、この法案が通ったらある程度の行政指導的なものを作成して、これに従ってくれ、こういう行き方をされるのか、この点は非常に重要だと思うのです。その点が聞きたいのです。
  150. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 漸次そういった方向へできるものはやっていきたいと思います。たとえば民間よりも官公小が率先してそういう目標を設定しながら、政府部内でまず率先して雇用率達成に努力する、次いで民間に普及していく、こういう形で漸次拡大してまいりたいと思います。
  151. 高山恒雄

    ○高山恒君 したがって身体障害者が、場合によってはある程度の職業訓練ができた、こういう場合にはかってに政府がやるというわけにいかないでしょうけれども、ある場合においては政府としては一つのプランを立てて、そうして身体障害者にもある一定の作業につけてやる、こういう方針なのかどうか。私はそれならけっこうだと思うのですが、そういうことがあいまいであるならばこの法律は何にもならないものだと私は思うから、もっとはっきりと確認したいのです。
  152. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 特に身体障害者の問題の御指摘でございましたが、これは御承知のとおり、身体障害者雇用促進法によって現にやっていることでもございますから、この法律によりましては、身体障害者のこともそうでございますが、一般的にこの中高年齢者に向く職種等については雇用率等を設定して、これが採用されるような条件をまたつくりながら事業主にもそれに協力してもらう、こういう方向で努力したい、こういうことでございます。
  153. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ聞きますが、この点が大事だと思うのですが、労働者の募集に関し、過当な求人競争による弊害を除去するため労働大臣が募集時期について規制をすることができるようになっているわけですが、一体どういう規制をされようとするのか、現実でも相当の労働省通達によって規制をされていると私は考えているのだが、具体的にはどういう規制をお考えになっているのか、これを明らかにしてもらいたい。
  154. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 学卒の場合と一般の場合といろいろございますが、学卒の場合であれば教育との関係考えながら募集の時期を調整する、あるいは地域によって過当な競争にならないように調整をするというような問題が当然予定されております。
  155. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それは過当な競争ということだけではこの問題は解決のつかない問題があるのですが、年少労働者を雇用する場合には各社から相当の求人要望が職安に対してあるわけですね。したがって、各年少労働者の職を求めている地域、これには少なくとも各社の出先機関があるわけです、求人の対策のための出張所というものがあるわけです。鹿児島だけで約六十何軒かあるのでしょう。宮崎で四十軒ぐらい、熊本で三十軒ぐらい、そういうふうに出先機関がございます。したがって、求人の過当競争をとめるということは私も反対するものではないですけれども、一体、しからば十五歳の年少労働者が、就職の前段にありました、本人が職を求める場合の就職の選択の自由をどうして十五歳の新制中学卒業生あたりが選ぶかという点ですね、この点が私は労働省の見解は非常に離れておると思うのです。皆さんの子供さんでも、十五歳の子供が一体就職をする場合に、どの会社がいいのか悪いのかの判定は私は無理だと思うのです。この判定は学校の教師が指導をするか父兄が指導をするか、そこらで相談をしなければ、選択の自由をここに大きく掲げてあるけれども、実際はできないわけです。ところが、その選択の自由ができないようにいま労働省の政策としては私はなっておると思うのです。たとえて申しますならば、いま新制中学を卒業しようとする人がそこにおると、そうすると各社は求人要求をしておる。ところが、そこにおるから、各出先機関はその子供のところに訪問はできないという規制を皆さんはしておられるはずです。そうすると、学校の先生に対して文部省がとっておる態度は、学校の先生が直接事業場の視察に行ってはならない、これは収賄の起こった原因はそこにあると、こういうことで、学校の就職係の教員も結果的には工場の視察もできないといういま規制になっておるんだろうと私は思うのです。しからば、一体十五歳の子供の就職というものはだれが選択の自由をするのか、だれがまたそれを指導をするのか、こういうことをほうっておいて、私はいかに選択の自由は本人にまかせると、こう言われても、私は選択の自由にならないと思うのです。したがって、この点は具体的にもっと政府としてはぼくは考えるべきだと思うが、一体、大臣はこの点をどうお考えになりますか。自分の子供だと思って考えてください、十五歳の子供を就職させる場合。
  156. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生のお話は全くごもっともでございまして、ようやく中学を卒業するという程度の子供にとりまして、ほんとうに就職先を見きわめるということは、本人にとっては私はほとんど不可能に近いことだろうと思います。したがいまして、どうしても父兄なり、あるいは学校の先生なりに十分就職先等の状況等をよく承知をしてもらって、その助言のもとに本人かきめられる、結局実際問題としてそれ以外には方法はなかろうと思います。そういう事情のもとで、いま先生が御指摘のように、あるいは行き過ぎと申しますか、実情にそぐわない指導の方法があるといたしますならば、これは当然改められなければなりません。そこで、労働省の立場においても、これは十分先生のお話の御趣旨に沿うように再検討もしますし、また、一方、文部当局とも十分その点は打ち合わせをいたしまして遺憾なきを期してまいりたい、かように考えます。
  157. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それでは、時間がありませんから、瞬間も急いでおられるようですから、それは理解します。いかに運営が悪かったにしても、そんなことにこだわりはしませんが、ただ、問題は、非常にこれは重要な問題だと思うのですよ。皆さんは官僚のほんとうに悪いくせですが、選択の自由だと言っていながら、一方においてはその機会を全然与えてない、これは全く実態を知らない人だと私は思うのですよ。したがって、私は要望として申し上げておきますが、少なくとも、この募集地域における職業の選択をやらすためには、学校の先生のやはり工場視察も許してやるべきだ。ただし、かつてにその会社、あるいは、また、その学校との直接のその見学をしない、これは地方自治体かあるんですから、中央の労働省からちゃんと連絡をとって、立ち会いの上でやるということなら収賄もそこで抹殺されるじゃありませんか。そのために私は中央指導部があると思うのです。ところが、今度労働大臣が募集地域については規制をすることができるという権限をここに付与すると、もっと一方的にがんがんとやられることができてくるということを私はおそれるんですよ。したがって、一方においては今度は家庭ですよ、家庭においては訪問はいかぬのでしょう、それも私は賛成いたします。訪問はいけないでしょうけれども、父兄に対する教育だけは、これは何を言おうとも、父兄が選択することであって、そうして自分の娘に対してどうか、こういう相談もありましょう。今日の子供はそのくらいのことは自主性を持っておりますから、そんなら行きましょうということで初めて選択の自由がそこにあらわれて、その十分なる理由ができるにもかかわらず、家庭訪問はいかぬ、学校の先生の工場見学はいかぬといったら、一体選択の自由の幅を認めながら、何にもそれにその適応措置がなされてないというのが私は現実だと思う。これは私は大臣にお願いしておきますが、ぜひこの希望をいれて、今後の指向として、私は十分なる対策で、そうしてしかも選択の自由ができるような幅を現実に与えてもらいたい、この希望意見を申し上げて、ひとつここで確認していただいて私の質問を終わりたいと思います。
  158. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生の御注意は十分ひとつ生かしますように、先ほども申しましたが、労働省としてももちろん善処いたしますし、文部当局ともよく打ち合わせをして、遺憾なきを期したいと思います。
  159. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止〕
  160. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こして。
  161. 大橋和孝

    大橋和孝君 私も時間が迫っておるので、まとめまして私一言質問しておきたいと思います。  それは、特に先ほども委員からも触れられたのでありますが、失対就労の問題です。これもいま高山委員からも言われて、子供の自由性を説かれたわけでありますが、この失対の問題についても同じようなことが一言えるわけです。特にこの失対の問題についても、認定とか処置とかいうことによってやはり失対の就労を阻止するという目的というものがはっきりあらわれてきておる、こういうようなことも私は言えると思うわけです。こういう観点から、こういうものがありながら、やはりこの対策法で完全雇用、だとか、いろいろなことが問題になっていままで取りかわされましたけれども、これはやはり言う、だけじゃなくして、実をとらなければいけない。私はそういう意味において、この下のしわ寄せを受けておる人たちを非常に心配するわけです。また、一面から言えば、既婚の婦人なんかの就職にしましても、これまた劣悪な条件のもとに置かれておる。一方では保育所もなければ、託児所も十分な完備がしてなかったらこの人たちは就労しにくくなる。だからして家内労働に追い込まれて、非常に劣悪な状態で働かなければならない、こういう実態がちゃんとあるわけです。ことにこの失対に携わっておる人は、おそらくそういう点でもって非常に私はこういうような法律ができることに対して危惧の念を持つと思う。それは何となれば、そういう実態に置かれておるからだと思う。この点はこの間もこの問題に触れて質問いたしましたけれども、これは非常に重大な問題であります。だからして、私はこういうことに対して、労働省、特に労働大臣にその所信を聞いて、そしていろいろな措置とか、そういうことによって就労ができなくなるようにするとか、そういうことのないように、あるいは、また、この失対法の十条の第二項で規定されておるような地域なんかではすぐ就労せしめるというようなこともちゃんと措置されておるわけでありますから、実際においてこれが行なわれていくような方法をとらなければならぬ、あるいは、また、高齢な失業者に対しましても、やはりこの紹介なんかを、認定の手続を早く簡単に進めて、そして就労せしめるという道をちゃんとあけてやらなければ、私は、これは失対の就労の口だけでは、それをやる、あるいは、また、自由を認めるといいながら、実際に行なわれてないというこの現状を私はどうしても打破しなければいけないと思うのです。だから私は、そういう点で、こういうことが実際前向きにはやりますと大臣からお答えを聞いておりますけれども、実際そうでないということを私は指摘をいたしまして、特に私はここで明確な答弁をいただきたい。また、それがなかったらこの法律は通るべきものじゃない、私はそういうふうな考え方を持っておるわけです。
  162. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生のお話もよくわかるところでございます。先般も申し上げましたと思いますが、今回の法案というものは、雇用対策全般についての政府のいわば力の入れぐあいというものを一段と高揚する、こういう関係からいたしまして、私は、いま先生から御指摘のようなもろもろの問題についても、今後この法律をいわば土台として逐次改善をはかれるものと、また、はからなければならぬものと、かように考えておるわけでございます。いま一々について申し上げませんが、私の気持ちはただいま率直に申したとおりなんでありまして、私は御指摘のような部面に対して今後最善を尽くす覚悟であります。
  163. 大橋和孝

    大橋和孝君 ここで一言だけお願いしておきたいことは、三年前に緊急失対法の改正がありまして、五年ごとに改正されるといっているわけでありますが、これも一つのやはりそうした失対就労の、何と申しますか、締めつけになるわけでありますから、こういうこともあわせて考えておいていただきたい。同時に、また、この失対に従事している者の賃金、これは非常に悪いわけでありますので、こういうものもあわせてひとつ考えていただきたいということを申し添えて、私の質問を終わります。
  164. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 御指摘の点、十分善処をいたしてまいるつもりでございます。
  165. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますか、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  雇用対策法案(閣法第一三六号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  168. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  169. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 私は、ただいま可決されました雇用対策法案に対し、附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。
  170. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいま述べられました佐野君提出の附帯決議案を議題といたします。  佐野君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  171. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって佐野君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。   ただいまの決議に対し、小平労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。小平労働大臣
  172. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてもこれを尊重いたしまして、極力御趣旨に沿う所存でございます。
  173. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   これにて散会いたします。     午後十一時三十五分散会