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1966-06-21 第51回国会 参議院 社会労働委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十一日(火曜日)    午前十一時二十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 土屋 義彦君                 山下 春江君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省年金局長  伊部 英男君        厚生省援護局長  実本 博次君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○児童扶養手当法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○国民年金法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————   〔理事藤田藤太郎委員長席に着く〕
  2. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 大橋和孝

    大橋和孝君 前回に少し質問させていただいたので、続きまして、重複を避けてお伺いしたいと思います。なお、この児童扶養手当法と、現在厚生省考えておられるところ児童手当法との間に、どうもまだ私自身が了解しにくい点があるわけでありますが、一応もう一回これについての御説明を願いたいと思います。
  4. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま御審議をお願い申し上げております児童扶養手当制度は、これは所得保障の範疇に入るものと考えておるのでありますが、生別母子家庭に対しまして、子供の養育上、負担軽減いたしますためにこの制度を創設いたしたのでありますが、ただいま政府におきまして鋭意調査検討を進めております児童手当制度は、これは生別とか死別とか、そういう母子家庭だけを対象とするものでなしに、児童福祉観点に立ちまして、また、その扶養の立場に立ちますところ家庭負担軽減をはかる、こういうような観点からいたしまして、広く児童手当支給しよう、こういう基本的な児童福祉所得保障対策である、こういうぐあいにども考えておる次第でございます。
  5. 大橋和孝

    大橋和孝君 それでは、その児童手当法はいつごろから行なう予定ですか。
  6. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) まだ具体的な今後のタイムテーブルは決定いたしておりませんが、私どもといたしましては、昭和四十三年度の予算編成に間に合うように、四十三年度から実施に移すということを目途にいま鋭意検討を進めておる段階でございます。
  7. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうなりますと、また、同時に、私は、この国民年金の中の母子福祉年金、あるいは、また、いまの特別児童手当法なんかの問題、こういうものにいろいろ関連があるわけでありますが、そういう観点からも、この児童手当法はもう少し早くやってもらいたい。ことにこれが所得保障意味で完備したものに早く踏み切ってもらうことのほうが重大だと思いますので、ここであわせてそれをお願いしておきたいと思います。  それから、この児童扶養手当法の中で、日常生活費を補うという意味味よりは、いわゆるこの介護手当も必要だと思うのですが、考えられておると思いますが、この児童扶養手当法の中でもう少しいろいろな意味ですっきりとした、筋を通したというか、そうした意味がほとんど出ていないように思うわけであります。特に私はその中で思うのは、特別に所得保障という意味において考えられるのでありますけれども、特にいろいろのいまの子供たちの複雑な状態から考えてみますと、一人に対して引き上げられる金額、これはもっともっと幅を広げて行なわれるべきものだと思うわけでありますが、この辺の点についてはどんなふうに考えておられるか。
  8. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この特別扶養手当制度でございますが、御承知のように、昭和四十年度まで重度精薄児対象といたしましてその支給を行なっておったわけでございます。しかしながら、重度肢体不自由児、あるいは重度精薄であり、かつ、肢体不自由子供たち、こういう子供たち重度精薄児と同様に今回その対象にしよう、支給範囲を広げるのが今回の法改正の第一の点でございます。  それから、もう一つの点は、支給いたします場合に所得制限があったのでございますが、その緩和をはかろう、こういうことが改定の第二の点であるわけであります。私どもは、先ほど申し上げましたように、今後児童福祉観点からいたしまして、児童手当制度の創設をできるだけ早く行ないたいということで準備を進めておるわけでございますが、この特別児童手当のほうは、ただいま大橋さんからも御指摘がありましたように、むしろこれは所得保障というよりは、ハンディキャップを負ったところ子供たち、そういう子供をかかえておる家庭精神的、物質的な負担の過重というものの軽減をする介護費という意味の、そういう性格の特別の手当である、こういうぐあいにども考えておるわけでございまして、今後この制度につきましては、そういう観点内容充実をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。先般衆議院社労委員会で御審議をいただきました結果、この手当引き上げの額につきまして修正をいただいたわけでありまして、今後政府におきましてもこれを尊重いたしまして、その線で実施をしてまいる考えでございます。
  9. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうなりますと、やはり介護費という性質のほうが主のように考えられるわけでありますが、そうなると、少しは私の論点とは違うかもしれませんが、やはり児童扶養手当を、先ほど申し上げましたように母子福祉年金のものと比較してみますと非常に大きな差がある。これはやはり多少そこには所得保障意味も一方にはあるからかもしれませんけれども、私はこの二つを並べてみますときには、やはりもう少しいわゆる福祉年金と同じくらいまでにこれを上げたらどうか、こういうふうに考えるわけです。一方では、母子福祉年金では改正前で千五百円ですか、今度は千七百円になっているわけですが、そういうものから比べてみても相当大きな差がありますので、こういう観点でもう少し不均衡を是正するお考えはないのかどうか。
  10. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今後経済事情、その他一般国民生活向上等の諸般の事情を勘案いたしまして、介護費という性格をはっきりさせながら、この制度充実給付水準引き上げということにつきましても、引き続き政府としても努力をしてまいりたい、かように考えております。
  11. 大橋和孝

    大橋和孝君 ここで、じゃあ私ついでにお伺いをしておきたいのですが、わが国重度障害児対策、こういうような問題もいまの問題から波及して考えなければならぬと思うわけですが、そういうところ考えてみますと、やはりこれに対してリハビリテーションのいろいろなこと、あるいはそうしたいろいろな施設内容ということについて非常に大きな欠陥がまだまだあるわけです。同時に、そこにつとめておる職員に対してのいろいろな問題があって十分に対策ができない。こういうふうにして施設がいま非常に不十分であるために、やはりこの施設に送り込むことができない。したがって、家庭におる人に対しては非常に状態が悪い。しかも、そこにわずかなお金しかもらえないということになれば、私はそこのところ一つ非常に矛盾を感ずるわけなんであります。こういう機会にやはり重度障害者に対する施設というものに対して、もっと大きくいろいろないまの含んでおるところの欠点を是正して、そうしてここらにおるところの軽い従業員、あるいは看護婦さん、こういうものに対しては特別な考慮が必要だろうと思うわけであります。特に、また、この重度障害児に対しましては、これはなおる見込みがないわけでありますので、また、そのコロニーとかリハビリテーション、そういうものに対しての見込みはないことはない、だんだん回復はするでありましょうけれども、いろいろなそういう施設をもっと拡充していかなければならない。これをこの扶養手当法と同時に、私はそちらの方面にももっと大きいこの際に考えを入れていただきたい、こういうことに対して私は思うわけでありますので、特にその点についても御配慮を願いたいと思いますが、いかがですか。
  12. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま大橋委員から御指摘がありましたように、私ども重症心身障害児なり、あるいは重度精薄児なり、あるいは重度肢体由児という子供たちに対しましては、基本的には、やはり収容施設整備をして、できるだけ一人でも多くの子供をこれに収容し、療育をする、これが基本である、このように考えておるわけであります。そういう観点に立ちまして、昭和四十一年度の予算編成にあたりましては、国立収容施設整備年次計画でこれを整備することにいたしまして、その第一年度といたしまして五百二十ベッド整肢療護園も含めまして、全国で十一カ所の収容施設をつくろう、また、コロニーにつきましても、一つのモデル的な施設といたしまして、群馬県高崎市郊外に約六十万坪余りの用地をきめまして、そうして今後コロニー建設計画を推進をしたい、このように考えておるわけであります。今後におきましては年次計画で、少なくとも昭和四十五年ごろまでに五千ベッドくらいの収容施設全国整備をしたい、かように考えておる次第でございます。この収容施設療育をする、これが基本でございますが、しかし、全部が全部の子供さんを収容することは困難でございますので、その間における在宅の子供に対するところ療育の指導、あるいはその際における扶養手当支給、こういうような意味合いでこの特別扶養手当制度を拡充をするということにいたした次第でございます。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 ありがとうございました。いまお聞きしました中に、高崎市にりっぱななモデル的なものをつくるのであると、これは前々から私も聞いておるわけでありますが、おそらく企画のほうではいろいろ外国のほうの調査もしておられるだろうと思うのですが、そういうことを含めて、このモデル的なコロニーをこしらえられるこの施設の展望、あるいは、また、いままでの調査の結果などが明らかになっているところがありましたら、ひとつお聞かせ願いたい。
  14. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) コロニーにつきましてはわが国で最初のことでございますので、諸外国状況、また、国内の特殊な状況、こういったものを勘案いたしまして、どういったものをつくったらいいかということで、昨年の十月にコロニーについての懇談会を設けたわけであります。それには施設従事者、あるいは学識経験者その他の方々を含めまして検討していただいたわけでございますが、その検討の結果といたしまして、昨年の十二月にコロニーに関する意見というのが出されております。それによりますると、コロニー基本的な考え方としましては、こういった重度心身障害児、あるいは者に対しまして、人間の尊重、こういう基本的な精神をもって運営に当たるということでございますが、大体重度の者はもちろんでございますが、中度軽度、そういった身体障害者精神薄弱者重症精神障害児、こういうものを対象といたしまして、一つ生活共同体である、また総合的な施設である教育制度、また、保護授産制度訓練、それから、また、病院、研究所、それから職員養成所、こういったものを入れました一つ村づくりと申しますか、心身障害者の村、こういうような考え方でございます。しかしながら、やはり社会復帰できる方はもちろん社会復帰する必要がございますので、そういう面でも職業訓練の問題、あるいは地元の産業との関連、そういうことについても十分お話をいたしたいと、かように考えております。大体対象といたしまして千五百名程度対象としておりますが、四十五年までにはこの施設を完成したいという考えでございます。  それから、諸外国状況につきましては、ことし四月に一人ヨーロッパのほうに派遣をいたしましたが、来月にはアメリカのほうにもう一人派遣いたしたいと、かように考えておる次第であります。
  15. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまのお考えの中で、やはりそれはかなり外国でいろいろないい例もあるだろうと思うわけでありますが、そういうものも含めての構想でありましょうが、なお一そうこれに対しては、外国ではどういうところが一番よくあるかということをぼくにちょっと知らしていただきたい。どこを対象にして調査されたか、やはり外国に派遣されたところを。
  16. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 外国につきましては、西ドイツにございまする「べーテルの家」というのがございまして、これは非常に規模が大きうございますが、約八千名程度心身障害児、あるいは者、また、そのほかに非行の少年等を収容しております。ここに二週間ほど行ってもらったわけでありますが、そのほかはスエーデンの国立重度精神薄弱児施設、それから、また、オランダにおきましては授産所がございますので、そういった授産所を数カ所見て回っております。大体ヨーロッパのほうはそういうことでございましたが、アメリカのほうではウィスコンシン・コロニーというのがございまして、そこを主体に見学していただくというふうに考えております。
  17. 大橋和孝

    大橋和孝君 ありがとうございました。非常にいい試みでありますので、外国のいいところを十分に取り入れて、りっぱな施設をこしらえていただくように希望したいと思います。  それから、続きまして、衆議院のほうでも論議をされていたと思うのでありますけれども、この児童手当法性格から見まして、公的年金受納制限は撤廃していいのじゃないかと、こう私は思うわけであります。この公的年金受給制限制度との関連について、あるいは、また、こういうことによって阻害されないような付帯条件もついたわけでありますが、この辺の考え方について、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
  18. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) この手当性格自体介護費性格を持っておりますので、そういう面から考えてみますると、所得保障にプラスをして介護の費用を出すということが本来性格上出てくるのじゃないかと考えるわけでありまして、そういう面で公的年金併給という問題も私どももぜひ実現したいと考えておるわけでございますが、現状はまだそこまでいっておりません。今後とも公的年金併給は、所得制限緩和と同様に努力をいたしたいと、かように考えております。
  19. 大橋和孝

    大橋和孝君 撤廃されないならば、ぜひ私はこの際この公的年金併給してもらうようにひとつ取り計らいを願いたいと同時に、私は、この法律ができるならば、おそらくこれはそうすることを付帯条件とするほどにしてもらいたいと私は希望するものであります。特にその点については厚生省のほうにおいても配慮されて、どうかひとつ併給は必ずするように希望する次第であります、  続いて、この扶養手当法国民年金の別表の障害度が一致していないような点があるわけでありますが、この点についてひとつ御説明を願い、そして、また、それに対する理由もちょっとお知らせを願いたいと思います。
  20. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) ことばの点からいたしますると、確かに先生指摘のように、異なっておるわけでございますが、しかしながら、特別児童扶養手当の中に考えておりますことは、身体障害のために日常生活において常時介護を要する、こういうことでございまして、大体国民年金考えております範囲と同様に考えていただいていいのではないかと思います。
  21. 大橋和孝

    大橋和孝君 同様でなくて、やはり実際的に違っている面があるように思うのでありますが、これは何でしたら、あとから一度その差を出していただいて、そして私一ぺんその違いを明確にしておいていただきたいと思うわけでありますが、たとえて言えば——それはおわかりでしょうか、
  22. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 内科的疾患に基づく身体障害を除きますると同じでございます。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 そこの内科的の問題なんかもこれ含めてあるわけでありますが、それ以外には一緒であろうとしても、そうしたことでやはり差が出てきておるので、やはりこれはある程度同じく取り扱わなきゃいかぬと思うわけでありますが。
  24. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 内科的疾患につきましては、子供の場合は医療を加える必要があるという問題がございまして、そういった点につきましては、御案内のように、育成医療というものがあるわけであります。そういった育成医療によって障害を除去し、または軽減するということで、ここに考えております手当の場合は、むしろそういったものを行なった後に、いわば症状画定状況で廃疾と、そういうのが対象になっているわけであります、したがいまして、たとえば心臓病のような子供につきましては手術によりましてこれがなおるということでございますので、そういうものは含めないほうが適当ではないか、かように考えております。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから、私いま内科のほうのことも聞いたわけでありますが、ことに私は、そういう重症治療するものも含まれますけれども、ことに結核児童、あるいは、また、精神障害児、こういうものがいわゆる内科的なものといわれておるわけでありますが、こういう精神、あるいは、また、身体に多少変化のあるもの、こういうのが比較的まだ経度であると、それから、また、それに身体障害が加わっておるというような合併した障害がある場合、こういうのが程度が低いというので、これに含まれない場合があるわけでありますが、それを重ねることによってかなり同じようないろいろ手当てをしたり介護したりするのに、重度のものと同じような変化を来たしておるものがあるという場合があるわけであります。こういうものが含まれていないというのが私は欠陥じゃないかと思うのでありますが、こういうものが重なっておるような場合はどういうふうに考えられるのか。やはりこういうのも当然この中に含まれるべきじゃないかと思っておるのですが、その含まれない理由をひとつ。
  26. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 重度結核児につきましては、現在児童福祉法、あるいは結核予防法等によりまして入院または治療を加えておる、こういうことでございます。また、精神障害児につきましては、これも当然精神病院等に収容して治療を加えるということが必要であろうかと考えるわけでありますので、そういう面からいたしますると、まだこの対象としてよりも、むしろ医療対象として考えるほうが適当である、かように考えております。それから、また、ほかの障害と合併した場合でございまするが、主たる病気が重度精薄か、あるいは重度身体障害かということで私のほうは範囲に加えるということであります。
  27. 大橋和孝

    大橋和孝君 その限界が非常にあいまいにされて、実際問題としては困っておる家庭がたくさんあると思うのでありますてそれから、やはりこれは結核があるからまだなおし得るものだ、あるいは、また、精神の異常があるから精神のほうでやるべきものだといって、実際問題でできないで家庭におる人がたくさんあるわけでありますし、ことに身体のほうに何か変化があれば特にそういうような入院治療もできにくいようなものもあるというような形で、谷間におる人が非常にあると思うのですね。それがどちらも相当高度のものであればそちらのほうに収容されるでありましょうけれども中等度くらいのものでそうしたケースはわりあい多いと思うのです。こういうようなものも除外しておいたのでは、やはりこの児童扶養手当として出すならば、私はそういうものに当然含めてあげたほうがそういう人たちのためにはいいのじゃないかと思うわけでありますが、それはもう少し限界点にさまよっておる人に対するところ考え方を明確にしていただきたい。
  28. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 特別児童扶養手当対象となりますのは、重度精神薄弱、あるいは亜度身体障害でございまして、介護に非常に手がかかるということに着目をいたしましてつくられた制度でございますので、中度軽度障害につきましては、現在のところ、これを範囲に加えるということは考えてないわけであります。判定の問題につきましては非常にむずかしい問題が実際上の問題としてはございますけれども、そういった点につきましては今後なお努力をしていきたいと、かように考えております。
  29. 大橋和孝

    大橋和孝君 この点なんかも、これは私の希望でありますけれども扶養手当法のたてまえからいえば、当然私はこういうようなものも一諸に入れるような形で進めていただきたい。特にそういう程度を決定する場合には、私は幅を広くしてもらう、そういう意味で、これも私は、ひとつできれば修正意見付帯条件に入れていただいて、当然政府のほうとしても重要にこれを考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それから、なお、最後にちょっと統計で数を調べてみましたが、こういうような対象の人員は大体どのくらいに踏んでおられるのか。それから、また、それは年なんかでいいましたならばどういうふうになっておるか、あるいは、また、性別なんかについてはどういうふうになっておるか、世帯数はどのくらいあるかということがわかりましたら少し知らしていただきたい。
  30. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 今回の対象となっておりますのは、重度精神薄弱児につきましては約一万三千でございます。それから、重度身体障害児は約六千、こういう推定をいたしております。先生の御指摘のような男女別、あるいは年齢ということにつきましては、重度精神薄弱児につきましては今年度調査をいたしまして、しっかりした基礎資料を得たいと、こういうふうに考えております。身体障害児につきましては昨年度調査をいたしましたので、そちらについて御報告いたします。身体障害児の数は全国で約十一万六千六百という数字でございまして、その内訳は、視覚障害が一万四千四百、聴覚障害が二万六千、肢体不自由が七万六千二百、こういう総体の数字でございます。  それから、年齢別に区分をいたしますると、零歳が六万四千九百、一歳が一万二千三百、二歳が八千八百、三歳が七千、四歳が二千八百、五歳から九歳までが一万三千七百、十歳から十四歳が五千七百、十五歳から十七歳が千三百、こういうような内訳になっております。性別につきましては、ただいまちょっと手元に資料がありませんので、また後刻御報告いたします。
  31. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから、いまのそういうような御報告を聞いているうちからも感ずるわけでありますけれども、いままでにこうしたいわゆるこの重度障害児に対する予算が組まれておるが、その予算消化率を見てみますと、非常に低いことを感じたわけです。特にいままでは所得率のあれもありましたでありましょうけれども、非常に消化率が低いわけです。こういうような点についわては、私はどこに問題があるかということがよくからないわけでありますが、何でこの予算についての消化率が低かったのか、そういうことについてちょっと御説明を願いたい。
  32. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 第一は、この身体障害児につきまして三十九年から始まったわけでございますけれども、まだ十分なPRが届いていないのじゃないかということが考えられます。  それから、第二番目には、やはりまだこういった子供を持つ親の方々として、やはり世間から隠したい、こういう気持ちがあるわけでございます。それから、第三は、所得制限がやはり相当きびしゅうございますので、所得制限の問題があるのじゃないか。それから、第四番目としましては、事務手続上、やはり医者の手によって判定されるということでございますので、そういう手続をおっくうがると申しますか、めんどうがる方もいらっしゃるようでございますが、大体そういったことで、この予算の消化が悪いのじゃないかと考えます。
  33. 大橋和孝

    大橋和孝君 それはよく考えられるわけでありますが、特にこの中で問題にしなければならぬことは、もちろん手続なんかも複雑でありましょう。これをまた簡単にできるだけやってもらうことも必要でありましょうが、私はこの認定のきびしさというものがかなりあるのじゃないかと思うわけでありますが、そういうことは当局としては感じておられないのでありますか。私はもっとそういった点で範囲を拡大するような、同じ限界点についての、先ほども申したわけでありますが、それがここにあらわれているのじゃないかと思うのでありますが、それをどういうふうに認定しておられますか。
  34. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 精神薄弱児につきましては、やはり医者の認定、あるいは知能テスト、そういったものが必要でございますので、そういうことで認定をやっておるわけでございますが、むしろやはり問題といたしますのは、認定の問題よりも、むしろ私どものほうでは所得制限の問題ではないかと、かように考えておる次第でございます。
  35. 大橋和孝

    大橋和孝君 ではひとつこういう点には十分配慮を願って、拡大してしていただくようにお願いしておきます。  それから、もう一つ、あわせてここでお伺いしておきたいのは、こうした手当をもらうのは、生活保護を受けている人でありますと、いただいたものは生活保護費から差し引かれることになっておるわけでありますが、そうしますと法の意味とはずいぶん話が違うように思うのでありますが、その点はいかがですか。
  36. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 生活保護を受けている世帯につきましては、この手当は、加算の制度によりまして、実質上控除されるということがございます。
  37. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうすると、これは上に積まれるわけでございますね。
  38. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) さようでございます。
  39. 大橋和孝

    大橋和孝君 特にそうでないといかぬと思うわけであります。  それから、また、今度はこの低所得者に対してだけ支給されることになっているわけでありますが、その中間の階層の人たちで、教育費だとか多額にかかる人なんかには、支給されても、実際生活が苦しいわけでありますから、こういう人にはある程度みる方法はあるかないのか。やはり所得額がきまってしまっておっても非常に苦しい人があるわけでありますね。非常に多子家族であったり、教育費とか、あるいは、また、あるわけでありますが、そういう点についてはどういうふうになっておるか。  それから、特に私はその中で年六千円以上の税金なんかを払っているような家庭、そうしてそういうところでは月に五百円くらいの税金が免除されるわけでありますけれども、そういう特典を受けてないような方には法の盲点があるはずなんですが、そういう点についてひとつお聞かせ願えたらいいと思うのですが。
  40. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 現在の所得制限の点につきましては、二十四万円以下の収入があるということでございますので、二十四万円と、それから子供一人につきましての扶養控除がございますが、そういうものをプラスされたものがこの手当を受けるわけでございます。したがいまして、それ以上の所得がある場合にはこの手当支給されないのでありますが、ただ、先生が御指摘になられました精神薄弱児、あるいは身体障害者につきましては年六千円の税金の控除があります。したがって、月額に面しますと五百円ということになるわけであります。現在のところはそれだけの制度でございますので、今後の問題としましては、所得制限緩和の問題と、また、税金額の控除の引き上げということに努力をいたしたいと、かように考えております。
  41. 大橋和孝

    大橋和孝君 大体いろいろお伺いしたわけでありますが、これをずっと考えてみますときに、やはり私は、まだまだこの法の盲点になっている人、あるいは、また、その限界点に達して恩恵に浴せないという方が非常にあるわけでありますので、そういう点をひとつ特にこの法律をつくるときには配慮をしていただいて、そして増額とともに、もっとそういう人たちにもまんべんなくできるだけ範囲を広げて適用できるような方向に進むのが当然じゃなかろうかと思いますので、特にそうした面の取り扱い、特に少しの谷間でそれを救うことのできるような範囲人たちについては、特にあたたかい手が差し伸べられることが必要だと思いますので、そういうことの御配慮を願いたいと思うわけであります。
  42. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 特別児童扶養手当につきましては、ただいま政府のほうからも考え方を御説明をいたし、また、大橋委員からも御指摘がございましたように、今後所得制限につきましては大幅な緩和の措置を講ずるようにしたい、また、公的年金との併給ができまするように、そういう方向で努力をしたい、かように考えております。
  43. 森勝治

    ○森勝治君 大臣にお伺いしたいのですが、児童福祉法にも明らかに定めてありますように、「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」とありますね。さらに第二項では、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と、こうあるわけでありますが、ことしの社会保障費の予算は六千二百十七億、福祉費が五百十一億ですね。ということになりますと、この児童手当という小なる部分をとってみますと、これは非常にいま言った児童福祉法第一条のこの心というものが行政の面で具体的に必ずしも万全を期しておらない。ここに社会保障が全きを期し得ない日本の政治情勢という背景があることはもちろんそうでありましょうけれども、やはりわれわれ政治に携わる者としては、少なくとも法が厳然として定めるところに従って、やはり児童の問題につきましても、これはもう万遺憾なきを期すというのが当然の責務だろうと思うのであります。ところがいま申し上げましたように、社会保障にいたしましても、さらに、また、その部分の苦心にいたしましても、社会保障費のわずか一割程度、すなわち六千二百十七億円に対して五百十一億円ということになります。そうなりますと、法律ではなるほど国民を守るがごとく見せかけておるけれども、さて現実の場においてはりょうりょうたる予算であるとするならば、この理想と現実の谷間にあえぐ国民こそ、さらに第二のこの国家を背負って立つところ児童こそ非常にみじめな環境に据え置かれておると言わなければなりません。したがいまして、大臣は、大臣就任早々から、社会保障に対して、さらに、また、第二国民の育成に対しては大いなる御熱心の御発言と承っておるわけでありますけれども、一体そういう問題についてどう今後対処されるのか。大臣は、従来、大蔵大臣とけんかしてもわが厚生予算は取ってくると盛んに言われ、特に各種団体の陳情の場においては、私にまかせてください、来年度予算を獲得すると昨年度は言われた。ことしもまた、先ほどの御答弁だと、ことしの予算じゃなくて、来年度の予算考えるなどというようなことをしばしばの委員会で言及されておるわけでありますが、私は未来を語るのももちろん必要でありましょうけれども、現実の場に対処するのもまた政治の衝をあずかる大臣としても大切なことではなかろうかと思うのでありますので、この点について、ひとつとくと御意見を拝聴したいと思います。
  44. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 児童福祉の行政を進めるにあたりまして、児童福祉法精神を体してこれをやってまいるという点につきましては、政府も今日までこの児童福祉法精神の趣旨を生かすべく、いろいろ努力をしてまいったところでございます。ただ、御指摘もございましたように、全体の社会保障費の中に占めるところの福祉行政、こういう面につきましては、今日まだ児童手当法の広く児童全般を対象とした制度ができておりません関係もございまして、予算的には、御指摘のとおり、まだ十分とは言えないのでございます。しかし、今回の児童扶養手当法改正並びに特別児童扶養手当法の改正等を行ないますにあたりましても、児童福祉、特に生別母子家庭でありますとか、あるいは、また、ハンディキャップを負ったところ重症心身障害児等々の子供さんの扶養手当等につきましては、できるだけこれを充実をしてまいりたいということで、今年度の予算編成にあたりましても配意いたしたところでございます。また、福祉年金国民年金法改正にあたりましても、この点は十分とは言えませんけれども、やはり配慮をいたしております。また、重症心身障害児等の収容施設整備という面につきましても、不十分ではございますけれども一つの柱がここに四十一年度において立ったのでございます。また、乳幼児等の健全育成の面につきましても、母子保健法の実施を通じまして今後も努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。森さんから御指摘になりましたように、現状におきまして必ずしも私は十分とは考えておりませんけれども、毎年度の予算編成にあたりまして、逐次緊急を要する点から改善を加え、そうして昭和四十三年度を目途に、児童福祉観点から児童手当法を創設をするために鋭意準備を進めておる、こういうことでありまして、児童福祉法精神を体し、今後とも努力を進める考えであります。
  45. 森勝治

    ○森勝治君 それでは具体的に質問をしたいと思うのですが、児童扶養手当に対する社会保障制度審議会の答申が届いているわけでありますが、その内容についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  46. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 児童扶養手当につきましては、「児童扶養手当の額は国民年金法による母子福祉年金と同額に引き上げる要がある。」、こういう社会保障制度審議会の答申でございます。
  47. 森勝治

    ○森勝治君 ただいまのお答えとおりでありますと、一体本件については答申案を尊重されたのでしょうか黙殺されたのでしょうか、いずれでしょうか。
  48. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) この答申につきましては、次の来年度の問題として尊重してまいりたいと、かように考えます。
  49. 森勝治

    ○森勝治君 くどいようでありますが、それでは答申をされたのは、今年度の予算案に反映するために答申されたのでなくして、未来に向かって諮問されたのですね。
  50. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 答申につきましては、今年度の問題として答申がなされたものであります。
  51. 森勝治

    ○森勝治君 本年度の問題について諮問し、これについて答申されたと言う。ところが、提案されたものは、母子福祉年金と同額にすべしという社会保障制度審議会の答申を尊重する尊重すると言いながら無視して、母子福祉年金は千五百円が千七百円に引き上げられたにもかかわらず、児童扶養手当というのは千四百円になったばかりであります。とするならば、社会保障制度審議会の答申を全く尊重しないものと言わざるを得ないのでありますが、この点についてはどうでしょう、ひとつ大臣からお答えをいただきたい。
  52. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 森さんもすでに御承知のことでありますが、社会保障制度審議会からの答申がございましたのは今年の二月でございます。すでに予算の編成は昨年の暮れに政府各省間で詰めておったのでありまして、今年の予算が固まりましてからこの答申をいただいたと、こういうことになるのでありますが、私どもはこの答申が行なわれた時期とはかかわりなしに、やはり先ほど来お話がありましたように、児童福祉法精神を体しましてできるだけ内容の改善に当たりたい、こういうことで、不十分ではあったのでありますけれども、今回の改正案を提案したと、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  53. 森勝治

    ○森勝治君 そういたしますと、これはちょっと古い話をして恐縮でありますが、ガン対策費の大蔵省折衝にあたりましては大臣たいへん御奮闘されまして、大なたふるわれたものをだいぶ復活されましたね。そのように政治折衝で片づく当時の状況ではなかったでしょうか。私はそう思うのでありまするが、その点は私がそういうふうに理解を持つことが一体無理なのでしょうか。素朴にガン対策費でも厚生省が所期の目的に到達——予算額的にはできませんでしたけれども、ある程度復活させたそういう御努力が本件にも払われてしかるべきであったのではないかと私は思うのでありますが、この辺は私どもがそう勘ぐるのは失礼なことになるでしょうか。
  54. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この二月十四日に出されましたところの社会保障制度審議会の答申の線には行っておりませんけれども、御承知のように、児童扶養手当等の改善は、昭和四十年度におきましても二百円引き上げが行なわれ、また、昭和四十一年度予算の編成にあたりましても引き続いて二百円の引き上げを行なったと、こういうことで、政府としても、毎年予算の編成にあたりましてできるだけの努力を払っておるところでありますが、御指摘もございますように、最近出されましたところのこの制度審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、四十二年度の編成にあたりましては、福祉年金とこの児童扶養手当のアンバランスの是正という面につきましては、さらに一段の努力を払いたい、かように考えておる次第であります。
  55. 森勝治

    ○森勝治君 そういたしますと、厚生大臣、衆議院の本会議における答弁の内容修正されたというふうに私は理解してよいかどうか、お尋ねをしてみたいと思うのであります。私は、この母子福祉年金も、それから児童扶養手当も同額にしなさいという考え方を持つわけであります。これは大臣がせっかく諮問された社会保障制度審議会の答申も、いま局長がいみじくも御答弁いただきましたように、同額であるべきという答申がなされているわけであります。したがって、いま大臣の、来年度については母子福祉年金とのかね合いを見合ってということは、同額にされるというふうに私は承るわけでありますが、衆議院本会議におけるわが党の代表の、質問につきましては、大臣はそのようにお考えになっていない。どういうふうにお考えになったか、私がいまさら申し上げるまでもありませんけれども、会議を進める過程におきまして、それが私のほうから申し上げたほうが議事進行になるかとも考えますので、失礼ではございますが、申し上げてみますと、この児童扶養手当母子福祉年金というものは性格が違うから、必ずしも金額は一致するにあたらぬと大臣は衆議院でお答えになっているわけであります。ところが、もしそういう思想で固まっているとするならば、社会保障制度審議会の答申は同額にすべしという考え方でありますから、大臣の考えとは全く平行線をたどるわけであります。大臣はこう言われております。「児童手当の金額をなぜ母子福祉年金やその他の手当と同じように引き上げないかというお尋ねでございますが、この児童扶養制度は、お話もありましたように、生別母子世帯を対象としたものでございまして、子供さん一人一人についての扶養手当でございます。母子福祉年金の場合におきましては、母と子の生活を保障する、こういう目的でできておりますので、必ずしも金額は一致すべきものとは考えておりません」云々という御答弁がなされておりますけれども、くどいようでございますが、衆議院の本会議ではこういう答弁をされましたが、昭和四十二年度、すなわち来年度の予算編成にあたっては、社会保障制度審議会が答申した趣旨にのっとって母子福祉年金と同額にする、こういうふうにお考えを直されてきたというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  56. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この点につきましては、先ほど来大橋さんの御質問の際にもお答えを申し上げておったのでありますが、児童生活の福祉の面を考えまして私ども児童手当法という制度をただいま検討を進めているところであります。したがいまして、この母子福祉年金も、また、児童扶養手当制度も、そういう児童対象といたしましたところ扶養手当所得保障制度であるわけでございます。したがいまして、私は、今後児童福祉観点から、この児童所得保障としての手当制度、あるいは年金制度というものを根本的に再検討すべき段階にきている、かように考えているのであります。たまたま社会保障制度審議会からもこういう御答申があったのでありますから、政府といたしましても、その点につきましては十分御趣旨を尊重して、今後そういう方向に向かって努力をしたい、このように考えておるわけであります。
  57. 森勝治

    ○森勝治君 どうも重ねて発言をして恐縮でありますが、どうも私ははっきりしないと心がよくないたちでございますので、しつこいようでありますが、いまの御答弁というのは、いわゆる先ほど局長が答弁されましたように、社会保障制度審議会の答申の趣旨に沿って、他の手当等と勘案してひとつ善処する、こういうことでありますね、そういうふうに理解してよろしいですか。
  58. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) さようでございます、
  59. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。午後は一時三十分から再開をいたします。  暫時休憩をいたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  60. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  この際、土屋委員から資料要求についての発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  61. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 私は、過ぐる太平洋戦争における戦没者の遺骨の収集及び墓参について二、三の資料提出を当局にお願いしたいと思います。  まず、第一点といたしましては、太平洋戦争におけるおもなる激戦地においてなくなられました戦没者の概数。第三点といたしましては、遺骨の収集及び墓参の実施状況。第三点といたしましては、太平洋戦争の激戦海域の沈没艦艇と、海底に眠ったままになっておりまする遺体の数。この三点につきまして資料提出をひとつお願いしたいと思います。いずれあらためまして御質問をさしていただきます。
  62. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま資料の御要求のありました点につきましては、できるだけ御趣旨に沿うような資料を取りまとめて提出をいたします。     —————————————
  63. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案に対する質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  64. 森勝治

    ○森勝治君 大臣にお伺いしたいのですが、身体障害児童、いわゆる十八歳未満の身体障害児童というのは全国的にどのくらいおられるのか。さらに、身体障害の中でも、いろいろ大別すれば二つ三つというふうに分かれますけれども障害別でもけっこうですから、ひとつ概数をお知らせ願います。
  65. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 数字にわたることでございますので、児童家庭局長から御説明申し上げます。
  66. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 身体障害児童についての御質問でございますが、昨年調査いたしました身体障害児童につきましては、全国の推計数が十一万六千六百でございまして、その内訳は、視覚障害が一万四千四百、聴覚障害が二万六千、肢体不自由障害が七万六千二百、こういった数字になっております。
  67. 森勝治

    ○森勝治君 そうすると、合計すると幾らになりますか。
  68. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 十一万六千六百でございます。
  69. 森勝治

    ○森勝治君 これが身体障害児の総数ですか。
  70. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) さようでございます。
  71. 森勝治

    ○森勝治君 この中には、いわゆる精薄児といわれているものは入りませんね。
  72. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) この中に精薄を伴います重症心身障害児というものは入っているわけでございます。
  73. 森勝治

    ○森勝治君 ちょっと千人ぐらいですからかまわないといってしまえばそれまでですが、何かおたくのほうの調査では十一万六千とおっしゃったが、何か十一万七千と発表されているように私の乏しい頭でちょっと思い出したのですが、私のほうの勘違いなんでしょうか。
  74. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 十一万七千といっておるといたしますれば、おそらく十一万六千六百でございますので、それを四捨五入いたしまして十一万七千、こういうことであろうかと思います。
  75. 森勝治

    ○森勝治君 それはわかりました。そうしますと、この十一万六千のうち、施設に収容をして教育あるいは保育する障害児というのは何名ぐらいおられるのですか。
  76. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) この中で施設に入所を希望し、また、必要とする障害児は四万三千八百人でございます。
  77. 森勝治

    ○森勝治君 それは収容をしようとするもの、それから希望するものが四万三千八百人ということでありますね。
  78. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) さようでございます。
  79. 森勝治

    ○森勝治君 そうしますと、いま重症身体障害児施設というものは全国三カ所で四百二十六ベッドということになりますね、現在は。そうですね。そうしますと、四万三千八百人の収容をしなければならないその該当者に対して四百二十六ベッド全国で三カ所ということになると、ちょっとこれは先ほどの、たとえば誠心誠意児童福祉のために挺身するという大臣のおことばとも思えず、りょうりょうたる施設ということばが出てくるわけですけれども、その辺はどうなんですか。
  80. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 私が申し上げました数字は、身体障害児全体の数について施設に収容を必要とする、こういうことでございまして、その中で重症心身障害児施設に入所する必要があると申しますのは一万六千人でございます。
  81. 森勝治

    ○森勝治君 ですから、まあ一万六千対さっきの四百、一万六千ないし一万七千といわれておるわけです、重症児は。それにしても、全国三カ所の四百二十六床というのは施設として少な過ぎるのではないか、こういうことです。先ほどの大橋委員の質問で、来年度は約五百三十ベッドですか、施設をふやす、こういうお話でありますけれども、それすらもまだこの収容しなければならぬ児童数に比較して非常に少ないということになりますね。合計あれして九百四十六床にしかなりませんから、一万七千にしては、これはもう約五分程度ということになりますね。まあ施設の四百二十六床に丘百三十床を加えるということになると、なるほど数字的には著しい増加ということが言えましょうけれども重症児の収容施設の。パーセンテージからいくと、必ずしも当を得たものでないと思うのであります。したがって、まあ来年度は五百二十というお話でありますけれども、それならばさらにその先はどうされるのか、これはひとつ大臣のほうから。
  82. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 重症心身障害児収容施設につきましては、現状は、お話がございましたように、民間の施設が四百二十六床あるにとどまっておったのであります。昨年政府におきましては重症心身障害児の実態調査をやりまして、その結果どうしても収容を必要とするところ児童が約一万六千人いるという実態の把握ができたのであります。そこで、たいへんおくればせでございましたけれども国立収容施設を早急に整備する必要があるということを痛感をいたしまして、昭和四十一年度の予算の編成にあたりまして、先ほど御説明を申し上げましたように、整肢療護園に対する四十床の増床を含めまして全国十一カ所で五官二十床の収容施設整備をする、こういうことにいたしたのであります。昭和四十二年度以降におきましてもこれを重点的に整備を急ぎまして、昭和四十五年度までに全体の三分の一程度を収存することを目途といたしまして五千床の整備を計画的に整備いたしたい、このように考えておる次第でございます。なお、その間、施設に収容できませんところ子供たちにつきましては、ただいま御審議を願っておりまするような在宅の子供に対する扶養手当、あるいは在宅の養育の指導、そういうようなものを並行いたしまして措置してまいりたい、かような考えでございます。
  83. 森勝治

    ○森勝治君 それでは次の質問に移りますが、いま大臣の御答弁の中で在宅児という表現がありました。なるほど在宅児に対して扶養手当支給すると、こういうふうにおっしゃっておられるわけでありますが、私は、この種のものは、むしろ扶養手当というよりも監護手当、療養手当、そういう名のような気がしてならぬのであります。そういうものだといたしますならば、いま千二百円から千四百円という額は、これもまた先ほど私が手前の部で指摘申し上げたように、額としては至って少ない、こういうことになりますが、この在宅児のそういうものについては、扶養手当という名称は用いてあるけれども、実態はいま言ったような監護手当というような、そういうふうな思想が根底におありなのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  84. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま森さんから御指摘がありましたように、重度精薄児、あるいは重度肢体不自由児重度心身障害児、この子供たち支給いたしますところの特別扶養手当と申しますのは、所得保障という児童扶養手当とは若干その趣旨が違うのでありまして、御指摘のように介護費の一部を扶助する、こういう趣旨のものと考えておるのであります。収容されました児童に対しまして特別介護費というものが支給されるのでありますが、ちょうどそれに該当する、こういうぐあいにども考えておるのであります。したがいまして、今後この特別児童扶養手当の取り扱いにつきましては、他の公的年金制度との併給考えたり、また、さらにこの支給制限の緩和と申しますよりは、大幅な支給制限の緩和措置というものをぜひ考えていきたい。また、その給付いたします金額につきましては、今回は、従来重度精薄児だけに支給しておりましたものを、肢体不自由児であるとか、あるいは重症心身障害児というものに範囲を広げること、さらに支給制限の緩和をはかる、こういう点に重点を買いた改正を行なわんとするものでございますが、今後は経済情勢、あるいは生活水準等の向上と見合って、この特別児童扶養手当支給額の充実改善をはかるようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  85. 森勝治

    ○森勝治君 御趣旨は大体わかりましたが、この扶養手当のその思想は、監護手当あるいは療養手当的な性格を帯びるものとするならば、これは当然もっと額を上げてしかるべきだと私は思うのです。これらの児童にはまことに気の毒ではありますが、生まれながらにしてもう宿命を背負わされている。これはちょっと表現がどぎついと思うのでありますが、ことばを知らないのでそういう表現を用いますけれども、そういう生まれながら、あるいは、また、生まれた瞬間、あるいは、また、弱冠にしてそういう宿命を背負わされているそれらの児童というものは、他の健康な児童に比較して、非常にそういう対社会的にも、精神的にも、肉体的にも重圧を感ずるわけでございます。したがって、そういう弱い子供たちにはやはり社会の手厚い愛情の手が差し伸べられてしかるべきであると思うのであります。したがって、いま申し上げたように、大臣が答弁なされましたように、これらの児童については監護料とか、あるいは、また、養育費、こういうことであるとするならば、当然この額をもう少し上げていただきたい。  さらに、もう一つ、大臣はこれら重症児を持つ父兄の経済的な負担を考慮されまして、大幅な制限緩和でしたか、というようなお話でございましたが、大臣がせっかくそういう親心を持っておっしゃっておられるが、今次提案されましたこの内容は、その制限は二十二万から二十四万と、わずか二万円しか上がっていないならば、これは大幅ではなくして、現実に小幅もはなはだしい。ですから、大臣が大幅なと言うならば、もっと二万、三万というけちなことを言わずに、いま言った社会的な愛情の手を差し伸べて——われわれ責任を持つのでありますから、何ら責任なくして宿命を背負わされているこれらの子供たちの将来に対する光を、ひとつさらに一そう投げ与えていただきたいと思うのであります。したがって、この点についての大臣のお答えをいただきたい。
  86. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほどもお答えをいたしましたように、今回の改正で私どもが重点を置きました点は、従来重度精薄児だけに支給されておりましたものを、重度肢体不自由児重症心身障害児というような、同じようなハンディキャップを背食った気の稀な子供たち、そういう人たち範囲を広げる、適用を広げる、これが第一点でございます。それから、支給制限の緩和をはかること、この二点であったわけでございますが、今後この特別児童扶養手当は収容児童の特別介護費というものに相当する趣旨の手当でございますので、公的年金との併給、これはぜひ私は次の段階で実現したい。また、所得制限の大幅な緩和、今回は他の制度との関係もありました関係上、若干の改定にとどまったのでありますが、この介護費という性質からいたしまして、大幅な所得制限緩和をぜひはかりたい。また、給付の額につきましても、私ども今回の改正でもって十分とは考えておりません。ぜひこれも実態に合うように改善をいたしたい。今後の課題として私は十分努力してまいる所存でございます。
  87. 森勝治

    ○森勝治君 大臣から前向きの御答弁をいただきましたので、大臣のそのおことばを私は尊重し、ぜひともその実現方をはかっていただくことを私のほうからも特にお願いをするわけであります。なかんずく、本件につきましては、大蔵省との予算折衝の場で、ややもすると、大臣がそういう衷情をお述べになられたけれども、その大蔵省との折衝の場になると、われわれの前でおっしゃっているようなことをおっしゃるであろうけれども、必ずしも大幅にどうも通りそうもない。まことに恐縮だが、今年度の厚生省の提案から見ましても、これは各種の問題が削られておる状態から推して、われわれも大臣の答弁を多としながら、そういう点についてはいささか心細さを感ぜざるを得ないのであります。したがって、せっかく大臣が御努力をなさるということを本委員会で言明なされたのでありますから、本件については、ぜひとも大臣言明どおり、大幅にひとつ手厚い愛情の手を伸べていただくことをお願いするものであります。重症児の中には各種の問題がもちろんありますが、私はここで一点、進行性筋萎縮症の問題についてその対策をお伺いしてみたいと思うのであります。  御承知のように、これらの障害児を持つ父兄というものは、もちろんほかの病気も父兄の心労をわずらわすところでありますけれども、本件につきましての父兄の心労というものは、われわれが想像にも及ばないような、非常に深刻なものがあるというふうに聞いておるわけであります。したがって、この筋萎縮症の問題については、聞くところによりますと、ガンと同様に、その原因を把握できない、追及できない現状だというふうに聞いておるわけでありまするけれども、はたしてどうなのか、ひとつ局長からお伺いをしてみたいと思います。
  88. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 筋萎縮症の問題につきましては、現在世界各国でその原因、あるいは治療という面で研究をされておるわけでございますが、現在のところ原因がまだはっきりわからない、こういうことでございます。厚生省のほうといたしましては、現在国立療養所の中に四百二十のベッドを持ちましてこういった子供さん方の治療と申しますか、収容いたしまして、そういう治療並びに原因の一つの研究の問題と取り組んでいるわけであります。
  89. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、ほかの身障児に比べると、この種の障害児の数は少ないかと思うのでありますが、いま局長がお答えになったように、まだ原因を探究することができないという現状であるならば、これはもういま申し上げたように、われわれもまことに心痛の限りでありますけれども、さて、それでは全国でどのくらい発生しておるものなのか、その状況について知りたいと思います。
  90. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 現在厚生省でこの調査をやったことはございませんが、アメリカなりあるいはイギリス等の資料によりまして推定をいたしますると、約五千人ほど日本にもいるのじゃないか、そういうふうにいわれているわけであります。今回の重度精神薄弱児扶養手当範囲の拡大の中にも、この筋萎縮症の人たちもだいぶ入ってくるのではないかと思うのでありますが、今度の支給に際しまして、あわせて実際の人数等につきましても調査をいたしたい、かように考えております。
  91. 森勝治

    ○森勝治君 何か厚生省の係官と申しましょうか、その関係の方がこういうことを言われているそうでありますが、真実であるかどうかお伺いしてみたいと思うのであります。「原因がわからないから治療のしょうがない。遺憾ながらこれまで放置されていたという現状です。アメリカでは三大業病の一つで、一説には二十万人もいるといいますが、わが国では四、左千人、病気としては非常に少ないし、症例もあまりなかった。だからいまでも、開業医ではたいてい小児マヒと間違えるし、病院でもすぐには気がつかない。」云々、こういうことを言われているそうでありますが、この種の病気というものはいま私がここで読み上げたような状態なのでしょうか、現実においては。
  92. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 大体先生のおっしゃいましたように、病気自体について十分な認識が足りていないという点で、親御さんの手記等を読みましても、小児麻痺の後遺症であるとか、そういうような診断を下されたようなことが間々あるようであります。
  93. 森勝治

    ○森勝治君 先ほど四百二十床というお話がありましたが、この四百二十床というのは、昨年この種の障害児を持つ親の代表が厚生大臣に陳情されましたおりに、大臣が、来年度は四百二十床厚生省としてはふやすつもりだ、こういう御答弁をされたそうでありますけれども、その答弁の趣旨に沿って、いま局長が言われたような四百二十という数字を実現されたわけですか。その点のちょっといきさつを聞かしていただきたいと思います。
  94. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) この筋萎縮症のベッドにつきましては、四十年度三百床、それから四十一年度百二十床、そういう増設と申しますか、改造をすることによりましてこれらの人を収容していこう。大臣が申し上げましたのは重症心身障害児について五百二十床という数字を出し上げたと思います。
  95. 森勝治

    ○森勝治君 それは三百床について四〇%ふやすから四百二十になる、数字的にはこういうことでありますね。
  96. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 四〇%と、別にそういうような基準はなかったわけでありますけれども、大体病院状況等も勘案いたしましてその数字をはじいた、こういうことであります。
  97. 森勝治

    ○森勝治君 そこでお伺いしてみたいのですが、千葉県の四街道に国の筋萎縮症の障害児治療所ができたそうでありますが、この運営状況についてひとつお聞きしたいと思います。
  98. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 千葉県にあります下志津病院につきましては、先生の御指摘のように、進行性筋萎縮症の子供を収容いたしておるわけでありますが、このほかにも全国に七カ所同じような施設をつくりまして運営をいたしております。ここにおきましては、県の養護学校も含められておりますので、中におる子供は、治療を加えられますとともに、また学校教育も受ける、こういうような仕組みになっております。治療の方法としましては、なおるという的確な治療もいまのところ見つかっていないわけでありますが、訓練とATPという注射がございますが、そういった注射、あるいは栄養剤、そういったものをもって現在のところ治療をしている、こういうことでございます。
  99. 森勝治

    ○森勝治君 ここに配置されている職員、一例で申し上げれば、たとえば看護婦ですね、これはまあ児童が患者ですから入院患者という表現を用いますが、入院患者に対する看護一人の担当はきまっておるわけでありますが、ここではどのようにされておられますか。
  100. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 筋萎縮症の子供につきましては、大体三人に一人というような基準をもって考えておるわけでございます。
  101. 森勝治

    ○森勝治君 聞くところによりますと、十人に一人というように聞いておるのですが、あなたのおっしゃったのは三人に一人とおっしゃるけれども、下志津のこの治療所においては十人に一人、定員を七名も八名も下回って、三交代でどうにもなりません、こういうふうに聞いておるのですが、そうではございませんか。
  102. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 十人に一人というようなことはないと私ども思っております。下志津のほうは私どもも視察をいたしましたけれども治療その他についてそんなに問題はないと見ております。
  103. 森勝治

    ○森勝治君 どうも私も専門家でございませんから、よくつまびらかにしないのでありますが、進行性筋萎縮というのは回復の見込みがなくして、座して死を待つばかりだといって、この種の障害児を持つ親からよく私どもは訴えられ続けてきたわけでありますが、実際座して死を待つばかり、暗いその日を送るばかり、太陽の光はからだに注いでも暗い壁に向かって座すごとく、こういうことだそうでございますが、まことそういうことなのでしょうか。
  104. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 手足の筋肉の萎縮のために動けないというようなことで、だんだん長ずるに従いましてからだ全体の抵抗力が弱まってまいりまして、この病気自体でなくなるというよりも、むしろほかの病気を併発してなくなる。したがいまして、あまり長命でないというように聞いておるわけでありますが、しかしながら、現在のところ、補装具の研究等によりまして、ある程度歩けるということもございます。また、できるだけ抵抗力をつけ、体力をつけるというようなことを、病院あるいは在宅の子供については指導をいたしておる、こういう状況でございます。
  105. 森勝治

    ○森勝治君 そういたしますと、的確に病源も探究できない、いまだ発見できないということでありまするから、そういたしますと治療全きを期すというわけにはまいりません。したがって、私がいま申し上げましたように、暗いその日その日を送る。普通ならば未来に向かって飛躍せんとするこれら児童が刻々として死を待つばかりという悲惨なこの現状というものをわれわれはだまっておるわけにはまいらぬわけであります。したがって、このような気の毒な子供たちには国が全力をあげてその保護をしなければならぬと思うのであります。したがって、アメリカでは三大業病の一つと私の先ほど読み上げたものには出ておりますけれども、こういう気の毒な、本人もたいへんでありましょう、もの心がさっぱりつかないからといってしまえばそれまででありますけれども子供もたいへんであります。その子供を持つ父兄の身もまたたいへんでありましょう。したがって、その親はあらゆることをされた。医薬にたよっても治癒の見込みが立たず、これはもう神に祈っても神は救いを伸べない。政治家に訴えても、国の政治が貧しいから手を伸べてくれない。したがって、親は刻々細りゆくわが子の顔を見て学校もやめさせて、せめてこの子の息のある間は自由にさせてやろうというので、子供の好きなものを何でも買って与えてやる、とうとうその子はなくなった。そうしたら各方面から、いかに子供がかわいいといいながら、もっと医者に見せたらどうだといってその親は批判をされたという。そこで、この親はこれを書物にして、このつらい業病にかかったわが子の姿をみずから世間にさらけ出して、同種の病いに泣く児童とその家族のために世の愛情にすがるという一書を発刊したというふうに私は聞いておるわけであります。そのことを聞くだけでも、われわれ政治に携る者といたしまして、国の政治というものが、本人の責任でない、しかも、救いようのない病気、いかに金をかけようとも、どんな名医に見てもらおうとも、その原因もわからない、解決の見通しもつかない、そういう気の毒な者には、やはりこの際国が率先してその生活を全額国庫負担でみてあげなければならぬというふうに私は感情的になりがちであります。もちろんこれはこの種の問題については、政府の手を差し伸べるものは他にもあるでありましょうけれども、こういうものにこそ、数が少ないといいながら、万全の措置があってしかるべきだと思うのであります。したがって、これの国庫補助、国の全額負担、こういう問題について大臣の所見をただしたいと思います。
  106. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この進行性筋萎縮症の子供さんの療育の施策につきましては、先般私も下志津の国立病院を視察をいたしまして、つぶさにその介護に当たっている先生や、また、看護婦の方々、さらに子供たち療育を受けている実態、また、親御さんたちのいろいろな要望、こういうものを私も直接見、かつ、御意見を聞きまして、今後の対策につきましていろいろ検討を加えておるところであります。私が現在感じておりまする点は、第一点は、この病気の原因がまだはっきりしない、したがって、効果的な治療の道が発見されていない、これが根本でございますので、来年度の予算編成にあたりましては、この研究費を、進行性筋ジストロフィーの病気の何ものであるか、今後できれば治療の開発、研究という面で研究費の大幅な増額をぜひ予算の面ではかりたい、これが第一点であります。また、この根本を究明しなければ効果的な対策は立たないというのが実態であろうかと、こう思うわけであります。  それから、第二の点は、私は下志津を見まして、収容されている子供はまだ幾分でもしあわせである、親御さんも救われる面がある、こういう感じを受けたわけであります。病院長はじめ、この子供たち療育にあたりましては、非常にあたたかい行き届いた介護をいたしておるのでありまして、親御さんたちも、この実清につきましてはほとんど満足をし、感謝をしているというようなぐあいに入院療育を受けておる子供たちは非常に私は恵まれた環境にあると、こう思うわけでありまして、したがいまして、今後そういう下志津のような収容施設をできるだけ全国各地に、国立病院なり療養所にそういう収容施設をつくっていくようにいたしたい、このように考えておるわけであります。  なお、森さんからもお話がありましたが、私、冒頭に病院で質問いたしましたのは、介護に当たる看護婦さんなり、あるいは保母さんなり、そういう者の定員の確保がなされておるかどうか、充足されておるかどうかという点をまっ先に聞いたのでありますが、その点は下志津におきましては、定員は全部満たされております。ただ、重症心身障害児等と違いまして、からだは自由にならぬのでありますけれども、頭は非常に明晰である。それだけに子供たちも自分の病気というものにつきまして相当深刻な悩みを持っておるのではないか。重症心身障害児よりもその点非常に気の毒な事情にあるように思うわけであります。したがって、その介護に当たる方々はできるだけそういう子供を元気づけ、そうして楽しく毎日を暮らせるようにするということ、そういう施設あるいは運営というものが必要ではないかということを私感じた次第でございます。  今後私どもは、この筋萎縮症の問題は、世界各国でもその原因の究明に全力をあげておるのでありますが、わが国も、おくればせながら、この問題につきましては真剣に政府としても取り組んでまいりたい、かように考えております。
  107. 森勝治

    ○森勝治君 ガンの問題といい、今度のこの筋萎縮症の問題といい、医学の分野というものは原因を探求するのに、なおかつ遼遠のような気がしてならぬわけであります。したがって、大臣もいまのお答えの中で触れられましたように、やはりこの原因を探求するためにはあらゆる学者に研究をしてもらわなければならぬことは当然であります。私どもがこの前、ガン対策でも研究費の大幅増額ということを盛んに主張いたしたわけでありますが、本件については、これは私が勘違いかもしれませんが、昨年度千八百万円程度というふうに聞いておるわけでありますが、今年度はどのくらな本件についての研究費の計上がなされておるのでしょうか。
  108. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 今年度の研究費につきましては、厚生省の中に治療研究費というのがございます。その中で百二十万円支出をいたしております。そのほかに国立療養所の中で研究費がございますが、それが約六十二万円程度でございます。大体研究につきましては、森先生も御指摘のように、きわめて少額であるということでございますので、先ほど大臣も申し上げましたように、来年度この研究費の大幅な増額をいたしたいということで準備をいま進めております。
  109. 森勝治

    ○森勝治君 どうも千八百万円などと言ったので、一か八かで発言したわけじゃありませんけれども、いま聞いて百二十万円程度というので、私はあいた口がふさがらないのでありますが、しかし、口をあけっぱなしですと質問が続けられませんから、勇を鼓舞して次の質問をいたすわけでありますが、どうも局長から情けない答弁を聞いてしまったわけであります。アメリカで非常に業病とされ、日本で救いようのない病気だとされているそういう問題について、国がいままで、私はあえてここで申し上げるのだが、放任しておくつもりではなかったのだろうけれども、該当者数が少ないので、弱い者はすみに押しやられてしまったような結果がこの予算数字の中にもあらわれてきたような気がしてならぬのであります。すなわち、該当者が少ないからどうしても研究費が少なく計上されているということではないかと思うのであります。ところが、私は特に厚生省に聞いていただきたいのは、やはりこうした原因がわからないものにはぜひとも多額の研究費というものを注入して、一日も早く原因の探求につとめてもらいたい。ガンの場合はもちろんそうでありますが、本件についてもまたそうであります。その他にもたくさんあるわけでありますけれども、当面するガンとかこういう問題については、ぜひともひとつ大臣も研究費を大幅にふやすというお話でありまするから、私は千八百万などと言いましたが、百二十万とか六十万という数字だったら、これは一体厚生省の答弁として聞くのじゃなく、その辺の地方の県か出先の機関としての対策費かと思って間違わられますから、そういう点は、ひとつ来年度は二けたも三けたも予算をふやして、可及的すみやかに原因の探求をしてしかるべきだと思いますので、この点についてぜひともひとつ善処方をお願いするわけであります。したがって、ガンのことはよう申し上げませんけれども、本件について来年度はぜひとも大幅に研究費を獲得する、こういうひとつお約束を願いたいと思うのであります。大臣、ひとつこの点に関して。
  110. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御指摘のとおり、私も実態をつぶさに視察をいたしまして、その感を痛切に感じておるところであります。したがいまして、先ほど申し上げましたように、来年度はぜひ研究費の大幅な増額をはかりまして、そうして病気の原因の究明、さらに進んでは効果的な治療等の開発、研究にできるだけの努力をいたしたい、かように考えております。
  111. 森勝治

    ○森勝治君 次の問題に移りますが、私が先ほど若干触れましたけれども、この種の障害児を持つ親、家族は非常に毎日暗い生活を送らざるを得ないのでありますけれども、これはもう環境としてやむを得ないと思うのでありますが、まことにそれはお気の毒であります。しかも、薬を買って飲ましても、きかない、医者にかかってもわからないということであります。しかし、人の子の親として、そう言われつつも、一筋のわらにすがりついて、何とかしてわが子の元気な姿を見たいということで、それぞれ親御さんはたいへん御苦労をされているわけであります。これはもう局長も大臣も御承知のとおりでありますが、したがって、健康な家庭よりもこれらの家庭は心労が多く、経済的な問題についても、その分、実入りが、当然子供のことばかり心配するから、なかなか事業も芳しくなくなる場合もあり得るわけであります。したがって、これはひとつ厚生省からも大蔵省に働きかけて、この種の障害児を持つ保護者については、ひとつ税金の減免の措置をとるように、こういうところにこそ私は生きた政治があるだろうと思うのであります。したがって、これはもちろん大蔵省の所管でありまするけれども障害児を担当する厚生省も、またこれは当然国民生活の安定をつかさどる専門の省でありますので、そういう面からも、ひとつ大蔵省ともこういう問題について折衝をし、その実現をはかってもらいたいと思うのでありますが、大臣、いかがですか。
  112. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この問題につきましては今後の重要な課題といたしまして、私どもとしても大蔵当局に十分実情を理解を願いまして、実現するように努力いたしたいと、かように思っております。
  113. 森勝治

    ○森勝治君 私はこの進行性筋萎縮症の児童の父兄にもお目にかかり、現実におとなであり、かつ、また、父兄でありまする患者の人にも会ったわけでありますけれども、この治療の医学的な原因はまだ解明されておらないと同様に、どうしてそういう身障児が生まれてくるか、自分たちにもよくわからないと、こういうことをよく言われるわけであります。しかし、原因がないところに結果は生れないだろうと、素朴に私は理解するのでありますが、どうしてこういう恵まれない宿命を背負った子供たちが生まれてくるのか、こういうことについては厚生省でも概観としておわかりだろうと思うのであります。ですから、おわかりになりましたらひとつお聞かせを願いたい。たとえばこういう形の場合にはこういう姿があらわれるとか、その他それは理論的にはおわかりのはずだろうと私は思うのであります。しろうとの私が思うだけでは理論的ではございません。これは感情でございますけれども、当然病理の発見、探求ということは解明されなくても、一体そういう恵まれない児童の生まれる社会的な背景というものがあるだろうと思うのでありますので、ひとつおわかりでしたらその辺のことを教えていただきたい。
  114. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 私も専門家でございませんのでよくわかりませんが、先生方の御意見によりますると、遺伝に非常に関係が深い。劣性遺伝ではないかというふうにいわれている、こういうふうに聞いております。
  115. 森勝治

    ○森勝治君 そこで、聞くところによりますと、どうもこの種の病気は男性にのみ多くして女性に少ないと、こういわれておりまして、現実に患者数も、女性と男性は著しい開きがあります。こういう点、何かやはり原因がおありなんでしょうか、ひとつ教えてください。
  116. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 先生指摘のように、男性に発現する場合が、四分の三ほどは男性、四分の一ほどが女性、こういうふうにいわれておりますが、これは色盲が男性にあらわれるのと同じような原因がやはり遺伝因子の中にあるのではないか、こういうふうに聞いております。
  117. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、最後にもう一点聞きたいのですが、たとえばいまの遺伝的な要素が多分にあるということでありますと、今度は治療の面は別といたしまして、原因のほうについてこういう場合にはこういう例があるから、これこれのことは避けたほうがよろしいというような指導はできるだろうと思いますが、いかがですか、その辺は。
  118. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) たいへんむずかしい問題でございますが、たとえばそういう劣性遺伝を持つ母親というのはある程度わかるようでございますけれども、その場合に子供に必ずそういう筋ジストロフィーの子供が生れるとは限らないわけでございます。そういう意味で、まだアメリカにおきましてもその他の国におきましても、そこまでは行っていないようでございます。指導としてはこういうことはありますということにとどまっているということがいまの現状でございます。
  119. 森勝治

    ○森勝治君 わかりました。  そこで、最後にもう一点だけお伺いしておきたいのですけれども、これはお伺いするというよりも、私は要望になるかと思うのでありますが、この種の障害児を持つ父兄、さらにその家族というものは、全くある日突然にわが身に降りかかってくるような恐怖を持っているわけですね、ご承知のように。そうしますから、したがって、学生の場合には学業にも身が入らない、成人になった者にとっては会社づとめが安心してできない、こういうふうに、これら障害児を持つ兄弟、特に家族は心痛の限りであります。したがって、これらの皆さんの心情を思いやるときに、われわれは一日も早く原因を探求し、その障害となるものを排除してあげなければならないと思うのであります。したがって、この種の問題は、ごく近年、父兄の間からこれのみずから防衛のために立ち上がって、これが社会的な問題となってきたわけでありますけれども、どうかひとつ厚生省におきましても、こういう問題のひとつ一日も早く数が少くなるように原因探求につとめられると同時に、これらの障害児を持つ家族や父兄の方々が安心して生活ができるような、ひとつより一そうの力強い社会福祉の手を差し伸べていただきたいことを私最後におきましてお願いして、私の質問を終わります。
  120. 大橋和孝

    大橋和孝君 ちょっといま森君から取り上げられたこの筋萎縮症の問題でありますが、大体質疑の中で申し上げることは尽きたように思いますけれども、いまこの種の病気を私も見ているわけでありますが、非常にいろいろな手当てをしてもどんどん進行する。家庭の中での悲劇というのは非常に大きなものがあると思います。大臣がお答えになりましたように、この病気に対しては前向きで非常に大きくやろうとおっしゃっているわけでありますが、私はそれになお続いてお聞きをしておきたいことは、厚生省の中でそうしたものの疾病に対して、ことに原因がわからない疾病に対して特別な研究手当をするのには相当大幅なものができるかどうか、私は、こういう問題は、やはり大学あたり、文部省側の研究費としての手当も大きく組まれるべきではなかろうかと思っているわけであります。ところが、いま大学はどこを見てみましても、ことに公立の大学あたりがたくさんあるわけでありますが、そういうところ、あるいは、また、官立でも地方の大学あたりを見ますと、一専門教室においてもわずか八十万とか百万、いまおっしゃいましたように、百二十万と六十万を出しているということでありますが、おそらくそういう金額でもって行なわれておって、こうした一方には非常にかわいそうな病気が解決されていない。こういう状態考えますと、私は非常に、いま大臣もお答えになりましたし、いまの質疑の中でこういう矛盾を——非常に気の毒で、ほんとうにじっと聞いておられないような状態に追い込まれるわけでありますが、こうしたことに対してほんとうに前向きな姿勢ができるのか。私はいまおっしゃいましたように、厚生省の中でこういう悲惨な病気に対して一つの目標を置いて、これに対して今年度は何千万円、次には何ぼというので、何カ年計画という形でもってこれが出るものならばたいへん私はしあわせだと思います。また、それをやるなら、一方にはまた文部省のほうから各種の大学研究機関にもっと研究費をふやす、こういうことに対しては、こういう悲惨なものにもつとつけてあげて、そうしてまじめに文部省の側でも予算措置をしてもらうというふうにしないと私はなかなか解決しないのではなかろうかと思うのであります。ことに重度精薄の問題、あまいは、また、重度障害児を見てみましても、私はこの中で解決のできるものがたくさんあると思います。生まれながらのかたわの子供が生まれてくるといいながらも、もっともう一歩研究できれば解決する、その辺までいっているのはたくさんあると思います。そういうことを考えてみますと、私は、その措置に対して何とかしようというだけでなくて、厚生省ではこの問題に対しては何カ年計画でああいうことをしよう、あるいは文部省と連携して話し合いを進めて、そうして文部省のほうでは研究費をどういうふうにしてもらおうというふうなことをもっと具体化してもらわなければこういうふうな悲惨な状態はいつまでたっても解決できないのではなかろうか。そうして、そういう状態を見てみますと、ほんとうに涙なくして接することができない。おそらくその研究に従事し、あるいは、また、医療機関に従事している人も同じ気持ちを持ってその悲惨な状態をまのあたりに見ているわけであります。特にいまも非常に問題になりました筋萎縮症なんかも、見ている間にどんどん年を追うに従って細っていく、そしてそれがなかなか訓練をしたり、いまできているところのいろいろ神経の刺激剤の注射もありますが、そういうものをやりましても効果がない。こういうことを考えてみるときに、非常に私は研究機関として、研究費としてこれをどういうふうにして処置するかということは、相当こういう時期には前向きな姿勢で考えていただかなければならぬと思うわけであります。もちろん先ほど大臣のお話の中に、施設をこしらえて、そしてそれをいたわることによって非常に救われる、私はそのとおりであると思いますが、しかし、それがなかなかできない状態でありますので、私は特にこの研究に対しては力を入れていただきたい、特に私はこの際、大臣にもお願いしておきたいと思いますが、いまのような形で二方面に対して、文部省に対しても、あるいは厚生省独自に対しても、こういう問題に対して特に考えていただきたいと思いますので、御所見をひとつ伺っておきたいと思います。
  121. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この進行性筋萎縮症の問題はもとよりでありますが、脳性麻痺の問題でありますとか、いろいろなまだ十分に医学的、学問的に究明をされていない問題があるわけでありまして、これらの研究並びに治療の開発の問題につきましては、今後厚生省におきましても大蔵当局及び文部省等と連絡をとりまして、何らか具体的な前向きの対策検討いたしたい、このように考えておるわけであります。厚生省独自といたしましても、今度東京の国立第一病院医療の総合センターといたしまして整備をいたしたい考えでありますが、そういう医療の総合医療センターの整備とも関連づけながら、こういう問題の研究ということにつきまして、もっと組織的な研究ができまするような体制を整備するように努力したい、こう考えております。
  122. 大橋和孝

    大橋和孝君 たいへんどうも前向きのお答えをいただいてうれしく思うわけであります。  私はここでもう一つ要望として申し上げたい。厚生省でそういうふうなものに取り組んでもらうならば、私は、どういう病気に対して研究する機関に対してはどういう補助をするというような形で、その年次年次において何かひとつ計画を立てていただいたらどうか。組織的なやはり国立病院で研究するということも私はけっこうだと思います。それはありがたいと思いますが、私は、もう一つこういうような問題で悲惨な状態がありますので、一つの問題に対して研究するから、この問題についてはひとつ補助をどういうふうにしようというふうな計画を立てていただいて、一つの問題ごとに取り組んでいく、それで、そういうふうになれば、私は、全国のあらゆる研究機関が、この問題に対して厚生省は今年度は重点的な方向でやられるので、それにひとつ向けていってその補助金をもらおう、こういうふうな形でもって進むことがこの狭い窓口を破る一つの方法ではなかろうか、こういうことを考えますので、そういう点につきましてもひとつ御配慮を願いたい、これが私の希望意見であります。  それから、いまのような筋萎縮症の患者は、いま大臣からもお話がありましたように、頭の程度はちっとも狂っていないわけであります。これが非常に重度になって、実際はからだも動かせないような状態になっている人がある。あるいは、また、車でももちろん外なんかに出ることもできないような、筋が萎縮してしまっている状態があるわけでありますが、こういう方が、いわゆる未就学といいますか、学問というものの恩恵に浴していない人がたくさんいるわけでありまして、それを調べてみますと、やはり日本は義務教育も進みまして、九八%といいますか、九九・八%ですかまで就学率が進んでいるといわれております。その〇・二%の問題でありますが、これがこういうような形でやはり精神の薄弱児だとか、あるいは肢体不自由の高度な人だとか、あるいは病弱児とか、いま言うような病気の人だとかというような形でもって、これが教育を受けられない。特にほかには養護学級とか、いろいろほかの施設もありますけれども、こうした方が非常に教育の恩恵に浴していないわけなんで、こういうことを考えてみますと、私はほんとうにこういう人たちに何か特に教育の場というものが与えられないと非常に私は気の毒に思うわけであります。こういうものの施設が、私は考えてみると、都道府県で官立というものが非常に少ないように思うわけです。わずか民間には三つ四つあるわけでありますけれども、非常にその学校が少ないし、ことに都道府県立の施設というものが非常に少ないわけでありますが、これらの点はどれくらいになっているか、どれくらいあって、どれくらい収容しているかというようなこともひとつ聞かしていただきたいし、これに対する厚生省考え方をひとつと聞かしていただきたいと思います。
  123. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 文部省の調査によりますと、就学免除者、身体障害、あるいは精神薄弱、そういった原因のために就学を免除あるいは猶予ということで教育を受けられない子供につきましては、就学免除者は九千六百余り、それから就学猶予者が一万二千人、合わせて二万二千人ほどが学校教育を現在受けられないということになっております。こういった子供につきましては、それぞれ養護学校というものをつくりまして教育をしているわけでございますが、特殊教育の問題がまだ日本の場合は非常に普及がおくれているということは先生指摘のとおりでございます。そういう面で現在肢体不自由児施設等におきましては、あわせて養護学校ができる。それから、また、通えない子供については、肢体不自由児施設の中で、いわゆるベッド・スクールというようなことで、分教場みたいな形で運営しております。それから、精神薄弱児も、施設に収容されました子供につきましては、施設の中でやはり同じような形で教育をいたしております。しかしながら、やはりこういった子供の教育というものは、やはり教育を受ける権利があるわけでございますから、そういう面からいきますると、学校の普及と同様に、家庭を訪問するような訪問教育と申しますか、そういう制度をとりませんと、ことにこうい筋萎縮等の場合には非常にむずかしい問題があるのではないかと思います。これは私どものほうも、文部省のほうとともに、こういった特殊教育の問題については、今後重点的に努力してまいりたいと考えております。
  124. 大橋和孝

    大橋和孝君 やはり教育法では養護学校を設立して、都道府県に義務を課して教育をするようになっているわけでありますが、いまおっしゃいましたように、やはりその施設は確かに少ない、特に官公立のものが非常に少ないわけであります。特にいま現在私の調べたところでは、肢体不自由児の養護学校というのは全然ないのが十五府県もある。また、精神薄弱児の養護学校の場合でも三十七ほど全然ない府県があるわけです。また、病弱児の場合に至りましては、やはり三十都道府県ほどそれがないわけであります。このように、どちらかといえば、もうないところばかりでありまして、あるところのほうがほんのわずかだということになるわけであります。こういうことに対しては、私はほんとうに不自由であって気の毒な人たちの、しかも、頭の働きは相当いいという、いわゆるあの小児麻痺はその中に入るわけでありますが、そういった人たちに、もっと積極的なあり方でこの教育というものを考えなきゃいかぬのじゃないかと思う。これは大臣、もちろん文部省の関係もあるわけでありましょうが、私は、こういう非常にかわいそうな子供たちを、直接携わる厚生省では、これはもっと声を大にしてもらわなければなかなか解決しない問題ではないかと思います。これは私は非常に大きな問題でありますので、特に大臣のほうにおかれても御配慮願いたいと思います。
  125. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの問題は、近年児童福祉の立場から各方面の関心、認識が非常に高まってきております。各府県におきましても、近年そういう養護学校等を設置するという機運が高まってきておりますので、私ども非常に喜んでおるわけでありますが、今後とも文部省等と十分連絡をとりまして、そういう教育施設整備につきましては特段の努力を払う所存でございます。
  126. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう一点だけひとつ質問さしていただきたいと思いますが、こういうかわいそうな子供たちを登録するための、その登録管理制度とかというものがあるはずでございます。これはいまどういうふうにして行なわれておって、どのようなふうに処理されておるのか、一応ちょっと御説明願いたいと思います。
  127. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 資料をちょうど持ち合わしておりませんので、概略で恐縮でございますが、身体障害児の登録管理につきましては、現在主として三歳児検診というものを効果をあげよう、こういうことで考えたわけでございます。三歳児検診によりまして発見されました子供についての異常の状況、また、その後の補装具、育成医療その他の諸対策は講ぜられたかどうか、こういうことで実施したわけでございますけれども、現在のところ、必ずしも十分それが活用されているということは言えないわけでございまして、この問題については、私どものほうでも今後母子保健法の強化をする必要がございますし、もっと乳児から発生したところからつかまえるべきではないかと、こういう気持ちを持っておるわけでございます。そういった改善の方向について現在検討を加えておりまして、ほかの制度とあわせまして、この制度が十分効果を発揮するようにいたしたい、かような気持ちでいま努力をしておる次第でございます。
  128. 大橋和孝

    大橋和孝君 この管理制度のもとに出てきたのが、先ほど御説明の中にありましたような、いわゆる障害児は二万何ぼあるとかいうことが出てきておるのでありますか。それとも、また、それは別の方法で推定されておるのか。
  129. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 登録管理が万全を期しておればもう調査する必要はないわけでございますけれども、現在のところ、まだそこまで至っておりませんので、別途に調査をいたしたのでございます。
  130. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、この登録管理がうまく行なわれていない原因がどこにあるかということを伺いたいわけであります。私の聞き及ぶ範囲では、こうしたことに携わるところの医者がいろいろそれを聞いて、それから都道府県に届け出す。これに対してわりあい詳しく調査をして出さなきゃならぬ義務があるようであります。こういうものに対して政府から一体報酬をどれくらい与えておるのか、あるいは、また、そういうことはほとんど私はゼロと聞いているわけでありますが、こんなことを義務づけておきながらゼロであるということがこの制度が十分円滑に行なわれない原因の一つではなかろうか、このように私は感ずるわけであります。それから、また、こういう登録された子供が、すぐうまくこれを処理されて、そうしてしかるべき機関にうまくいけるとか、あるいはその後の指導がうまくいく、そういうことがなければ、ほんとうに子供の側にしても、それを出してもらっても恩恵がない。こういうことも一つの原因をなしているのじゃなかろうかと思うのでありますが、いろいろこれを考えてみますと、非常に複雑であるだけであって、しかも、それに対する見返りは何もない、こういうような状態でこの制度を置いておくことは、非常に私はこの制度が十分に発揮ができない原因ではなかろうかと思っております。その点についてもいろいろ御説明願いたいと思いますけれども、同時に、また、この制度そのものは私は非常にいい制度だと思うわけでありますが、この制度をもっと完全に行なうためには将来どうしようというお考えを持っておられるのか、それをあわせてひとつ聞かしていただきたいと思います。
  131. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 登録管理の制度につきましては、これは制度として設けられていない、つまり法的な根拠を持っていないわけでございます。そういう面で、実施上についても、医者に対する届け出についても義務的なものではないわけでございまして、そういう面で、先生指摘のように、医師の届け出というのが必ずしもうまくいっておりません。これは予算上も金は出しておりません。そういう面がございまして、一番最初にチェックするのは医者でございますから、そこのところで押えるのが一番いいわけでございますけれども、そういった面で確かにうまくいっていない原因の一つがあると思います。  それから、御指摘のように、第二番目の、あとの補装具、あるいは育成医療その他が十分でないと、こういう点もありまして、登録管理が最初企図いたしましたような効果をあげていないところでございます。しかしながら、こういった登録管理が十分行なわれますれば調査その他につきましても必要がないわけでございますし、また、今後の対策を講じていく上にも一番基礎になるわけでございますので、私どものほうといたしましては、いま先生指摘のような、医者の届け出、あるいはそれに対する予算の裏づけ、それから、また、できれば法的根拠を与えたいということで準備を進めております。
  132. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまおっしゃいましたように、登録管理の制度というのは、私は非常にいい制度だと思うのです。これがなかったならば、ほんとうに何と申しますか、こういう困っておる人たちを十分に把握することもできないし、これを法律で法制化してやりたいというお気持ちを聞いて、私は非常に安心をしたわけでありますが、これはもっともっと早い機会にこれを充実さして、そうしてこれを改正をするところ改正をして私はこれをやっていただくことが、こうしたかわいそうな人たちをほんとうにしあわせにするのに第一の手がかりじゃなかろうかと思います。ですから、これに対しましては、特に大臣のほうにおかれましてもひとつお考えをいただいて、これを十分生かしていただくことに対しての御所信を聞かしていただきたいと同時に、これに対してほんとうに早く進めるような御努力を願いたいと思います。
  133. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) こういう子供たちに対する国の施策を立ててまいりまする場合に、何といっても実態の把握、また、管理、登録ということが前提になるわけでありますので、この制度を法的な裏づけによってりっぱなものにいたすように努力いたしたいと思います。
  134. 紅露みつ

    紅露みつ君 今日は児童政策並びに肢体不自由児についてだんだんと御質問がありまして、まだ研究のできていないというような部分も非常に多いので、これは一つにしぼるということはどうかと思いますし、先ほどから取り上げられております筋萎縮症でございますが、これは新しいというとおかしいことでございますが、最近発見された病気のようでございますので、したがって、これはまあ予算も小さかったのだろうと存じますが、それにいたしましても、ちょっと予算が百二十万円という研究費では少し小さ過ぎるように思います。それで、これまでいろいろどの病気についても研究はなされておるのでしょうが、現在でもまだ研究の余地があるといいますよりも、まだ原因や治療が十分わからないというような病気もございますけれども、この筋萎縮というのは、特に悲惨な私は救いのない状態に置かれておると思うのでございますね。曲がりなりにも、十分研究ができていないでも、何かの治療がなされておる。たとえばガンについても、ガンになったらなおらないというようなことをいわれておりましても、何らかの方法で治療がなされておるし、また、悪化を防ぐということも現に実現しつつございますけれども、筋萎縮というのは、全く手のつかない状態のようでございます。私どもが見聞きしておりますのは非常に狭い範囲で、たくさんを見聞きしているわけではございませんけれども、だんだんやせ細って小さく萎縮していくというあの状態はみんな同じでございましょうか、同じ状態でございますか。  それから、もう一つ伺いたいのは、五千人ぐらいというお話でございますけれども、まだ地方などに入ると、あまりにみじめな子供をやはりそのままに家の奥のほうに閉じ込めておくというような状態があるのではないでしょうか。どういうふうにしてこれは数をつきとめていらっしゃるのか、それらも伺いたいと思います。
  135. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 数につきましては、先ほども申し上げましたように、アメリカあるいはイギリスにおいても発現率というものが発表されておりますが、そういったものを日本の場合に推定をいたしたわけでございます。したがいまして、先生方の中には、こういったものが日本の場合には血族結婚がアメリカなどの外国よりも多い点から見まするとふえるかもしれない、こういうことがいわれておりますが、数字としては、先ほど申し上げましたように、約五千名ほどいるのじゃないかということでございます。
  136. 紅露みつ

    紅露みつ君 状態は同じでございますか。
  137. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 病気の状態につきましては、この種の病気が従来あまり研究されていなかったために日本の場合は十分な実情がわかっていないと、こういうことでございますが、比較的若い時代になくなる方と、それからあとで発生いたしまして五十ぐらいまでは生きられる方と、どうも二つともあるように聞いております。
  138. 紅露みつ

    紅露みつ君 ただいまのお話で、一様でないということもわかったのでございますが、これはどうもこういうことを願うわけではございませんけれども、頭がはっきりしておって何にも救いの道がないというような状態のもとで四十、五十というような年まで苦しめられるということは、ほんとうにこれはたえられないことのように思うのでございますね。だんだんとお話がございましたから、私は繰り返してそれを申し上げようとは存じませんけれども、どうかひとっこれは特別に調査の手も広げていただきまして、研究もいろいろと御考案いただいて、ただ国立というような、それは国立が中心でございましょうけれども、できるだけ手を広げて早急にひとつ研究を進めていただきたいということをお願い申し上げて、それで、私などは微力でございますけれども、皆さんと御一緒に予算のお手伝いもいたしたいと存じますから、思い切って、厚生大臣も非常に御心配になっておられる問題でございますし、どうかひとつ十分予算をひとつ獲得していただきたいと、かようにお願いを申し上げる次第でございます。だまっておるに忍びないので、つい私のほうの気持ちを申し上げましたが、小平先生ありがとうございました。どうぞひとつ……。
  139. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この進行性筋萎縮症の問題は、何といっても根本的な対策としては、研究を総合的に進めて治療等の道を早期に発見をする、こういうことだと思います。そこで、文部省等々ともよく連携をとりまして、大学の医学部、それから下志津等のこれらの患者を収容し、養育に当たっております国立病院等の組織的なひとつ研究体制を整備をするということ、もう一つは、研究費を計上いたしまして、有効な研究に対して国が助成をする、こういうようなことをぜひ来年度から力を入れまして、御趣旨に沿うように私ども努力したい、かように考えます。
  140. 小平芳平

    ○小平芳平君 私がお尋ねしたい点は、重度精薄扶養手当の問題と、それから児童扶養手当法との関係についてお尋ねしたかったわけですが、先ほどの森委員との質疑応答の中に、大臣から今後の基本的なお考えについての御答弁がありましたので、その点は私は了解いたしまして、それで、あと二、三の点を念のためにお尋ねしたいのですが、まず、第一に、私ども部外者であり、また、たいへん不勉強で申しわけないのですが、どうしてこういう児童扶養手当法重度精神薄弱児扶養手当法という、非常に内容的に同じような性格に感じられるわけですが、先ほども大臣のお答えでは、これは根本的に違うものである、重度精薄のほうは介護手当的なものであり、児童扶養手当法のほうは所得保障的な性格のものであり 基本的には全然違うのだというようなお話でありますが、それならば、いままでなぜ全く同じような状態でこの二つの法律が制定され、運用されてきたのか。たとえば手当の金額にしても、千二百円が今度またあらためて厚生省が千四百円に両方とも同じように上げるという案でありますし、また、先ほど大臣のおっしゃった所得制限についても、本人二十二万円を二十四万円、扶養義務者の制限は七十一万何がしを八十一万何がしに引き上げる、全く同じように運営してきているという点、したがって、なぜこうした基本的に違った性格のものが結果としては同じ金額、条件で成立し、運営されてきたか、この点についてお尋ねしたいのです。
  141. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 児童扶養手当法につきましては、国民年金法によります母子福祉年金ができたわけでございます。母子福祉年金は、死別の母子の世帯につきまして母子福祉年金支給されることになったわけでございます。そういう点からいたしますると、生別母子世帯につきましても、やはり生活困窮その他は同じようなことが考えられるわけでございまして、そういう面で児童扶養手当法と申しますのは、母子福祉年金の補完的な役割りを果たす、こういう趣旨でつくられたわけであります。しかしながら、重度精神薄弱児扶養手当がつくられました際は、重度精神薄弱については生活困窮の問題もございますけれども、やはり扶養介護に非常に手間がかかるという点も含めまして、所得保障介護的なものを含めまして手当てされるのだと、こういういきさつがございます。したがいまして、今後の問題といたしましては、児童手当を含めます際に、こういったいままで出されております手当、あるいは現金というものをもう一度根本的に検討すべきではないかということを大臣も申し上げたわけでありまして、従来の考え方はそういう考えで進められてきたわけであります。
  142. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう考え方で、全く同じようなものが運営されてきた。ところで、介護手当的なものといいますけれども、実際においては施設へ入ったほうがいい、実際には重度精薄、あるいは重症心身障害というような場合は、ほとんどしかるべき施設へ入ってめんどうみてもらいたい、家族も希望しており、また、国の政策としても介護手当というものも一つの行き方ではありますが、基本的には、やはり施設をもっとふやし、施設へ希望者は入れるようにしてあげるということが先決問題じゃないか。
  143. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまお話がございましたように、やはりこういう重症心身障害児重度肢体不自由児、あるいは重度精薄児、こういう子供たちはやはり施設に収容して療育をする。そのことが、ただに子供療育のためのみならず、家庭の御負担、肉体的、精神的な負担を怪くしてあげる対策として最も基本的な対策である、こう私ども考えているわけでありまして、そういう意味合いから、おくればせでございますが、四十一年度を第一年度といたしまして、今後四十五年度までに少なくとも全体の三分の一程度を収容できる五千床の収容施設整備いたしたい、こういうぐあいに考えております。
  144. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、この手当は当然にといいますか、第一義的には国が施設をつくってめんどうをみます。しかし、施設が間に合わない、そういう場合に、まあ全部が全部きょうあすすぐ施設へ入ることができない、実際問題として。したがって、やむを得ず介護手当を差し上げて自宅で療養してもらうというふうな行き方じゃないのですか。
  145. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 基本的な対策といたしましては、いま申し上げたように施設に収容する、そういう意味合いからいたしますと、在宅をして療育するということは、全部収容できません事情にありました場合の補完的な一つ対策として、在宅の療育の指導をやりますとか、あるいは手当を出しますとか、そういうようなことを国としてやろうとするわけでございます。したがいまして、手当を出すからということで私どもこういう子供たちに対する対策が十分である、こういうぐあいに考えておりません。今後とも、国はもとより、また、民間等のそういう施設に対しましてはできるだけの助成措置を講じまして、一人でも多くの収容ができまするように対策を進めていきたい、かように考えております。
  146. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、大臣のおっしゃる意味はよくわかりましたが、したがって、施設でめんどうをみてあげられない、また、中には実際問題として、ある家庭ではどうしても家庭でめんどうをみたいのだという人もあるとは思いますが、大体は施設へごやっかいになりたいのだが、施設がなくて困っておるのだと、そういうような家庭に対して千二百円、あるいは今度千四百円にするという、これは非常に少ないと先ほども指摘されておりましたが、何かやはりそうした施設をつくる、あるいは施設でめんどうをみるということと、この千二百円、千四百円との計算の基礎なりお考えの基礎があってのことでしょうか。
  147. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 在宅の人に対する手当でございますが、在宅に対する在宅手当の基準としましては、介護料の性格からいたしまして、介護に要する費用というものを具体的に調べればいいわけでございますが、ただ、すでに始まっております母子福祉年金、あるいは児童扶養手当、そういうようなものができましたので、それらとの関連からいたしまして千円というのが一番最初にできた当時の趣旨でございます。その後逐次上げてまいりまして今回千二百円、こういうことに相なっております。
  148. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、それは確かに児童扶養手当と額をそろえて上げようとすれば千四百円になるわけです。しかし、先ほど来のずっと大臣の御答弁をお聞きしてきますと、決して児童扶養手当と同じ性格のものではないのだ、これこれしかじかのものなんだという点からすれば、ここでもって国民年金のほうや、また、児童扶養手当のほうと金額を合わせる必要は全然ないわけであります。全然別個の家庭在宅のこうした重度精薄、あるいは重症、心身障害子供さんを持っている家庭に対しては、本来からいえば国がめんどうをみたいのだけれども、やむを得ず在宅で療養してもらうというそれに対する手当なんですから、したがって、いま局長のおっしゃるように、今後頭をそろえていく必要はさらにないと思う。あるいは千四百円というものは、結局そうした意味の根拠があったわけじゃなくて、ただ金額をそろえてきただけだということなんでしょうか。
  149. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御指摘のように、重度精神薄弱児に対する手当制度が生まれましてから今日までいろいろ改正がなされてきたのでありますが、確かに母子福祉年金なり、あるいは児童扶養手当なり、そういうものに準じまして、それに右へならえして改善がなされてきたということは御指摘があったとおりでございますし、特に児童扶養手当と申しますのは、先ほど来申し上げておりまするように、所得保障的な性格よりは、むしろやはりハンデキャップを負いましたところの気の毒な子供たち介護費の一部を国が補助する、こういう性格のものであると、こう私は考えるわけでありまして、今後児童手当制度をただいまいろいろ準備を進めておりますが、その際に児童関係の扶養手当、あるいは福祉年金、こういうものも全体として再検討をしていきたい、そうして児童福祉のためのこういう手当制度を合理的なものにひとつしたいと、こう考えておるわけでありますが、その際におきましては、この特別扶養手当というのは、所得保障というその範疇よりも、むしろはっきり介護費的なものに性格を明確にひとついたしまして、したがいまして、それに関連いたしまして当然考えられますことは、他の公的年金との併給、これはぜひやらなければならない。また、所得制限の大幅な緩和、こういうこともこの特別扶養手当性格からいたしまして、そういう方向に私ども制度の改善、充実をはかっていきたい、かように考えます。
  150. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ大体私の申し上げたい点もおわかりになっていただけると思うのですが、そのくらいにしまして、次に、この障害範囲についてですが、重度精神薄弱児のほかに重症心身障害児、それから重度肢体不自由児、それぞれ範囲を拡大していくと、大体該当する人数がこの三つでよろしいかどうか。それで、大体この三つでよろしい場合に、該当する人数はどのくらいになるかということ、というのは、現在どのくらいふえるかとこういうような見通しについてはいかがでございましょうか。
  151. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 現在、重度精神薄弱児扶養手当支給対象は約一万名でございます。今度範囲を広げます重度身体障害児というのは約六千名でございます。重度精神薄弱児扶養手当のほうにつきましては、制度の普及その他を考えまして、本年度一万三千名ほどになるんじゃないかという見込みでございますが、そういたしますると、両方合わせまして約一万九千名がこれらの特別児童扶養手当対象になるというふうに考えております。
  152. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、いままでは精薄児が一万人、今度一万三千人、このほかに身体不自由児は六千人程度ですか。
  153. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) さようでございます、重度身体障害児は。
  154. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、その手当支給する場合は、両方とも全く同じ条件で、それから、また、施設へ入った場合はどうするかとか、あるいは、また、別表でこういうような、何ですか、不自由の状態ですか、別表ができておりますが、そういうような判定のしかたとか、それはどこでおきめになるかというような運用面についてちょっとお尋ねしたい。
  155. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 重度精神薄弱児扶養手当は、施設へ収用されました場合には、施設におきまして介護あるいは生活費の全部をみるわけでございますので、これは支給されません。現在こういった重度精神薄弱児の点につきましては、もよりの医者の診断書を添えて出すと、こういうことになっておりまして、そういった点につきまして、府県に集まってきた場合に、府県のほうで整形外科、あるいは精神衛生、また、小児科、そういった先生に審査に当たっていただく。そこで審査をしていただいた者がこの手当支給対象になる、こういうことになります。
  156. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、こういうように範囲を広げた場合、もよりのお医者さんで証明書をもらえばいいといいますが、そこでもって問題が起きるのですよ。問題が起きやすいわけですが、それで、そういう点について不満があったり苦情があったりした場合、それはいかがでしょう。
  157. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) これは法律の中に規定がございまして、異議の申し立てということで、都道府県知事の行ないました手当支給に関する処分に不服があれば異議の申し立てをすることができることになっております。
  158. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは普通の場合は法律に定められているとおりにやればよろしいのであって、それから、今回も、法律に定められてある手続があるにしても、とにかく急にふえるわけでしょう、大体倍近い人が。ですから、そこでもってまたいままでの精薄児という一つ考えの中から、身体障害という、肢体不自由という別個の考え方のものが約倍にふえるわけですから、それについて特にお考えがありませんかというのです。
  159. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 重度精神薄弱児の場合は、むしろ非常に判定に問題があるわけであります。むずかしいわけでございますが、重度身体障害と申しますのは、外形的にもはっきり出てくるし、また、たとえば全盲でありますとか、両足の機能の休止状態重度身体障害でございますから、そういう面では専門のお医者さんに見ていただければ、これはあまり問題がないのではないか。現在考えておりますのは、児童扶養手当の中でも、そういう廃疾の状態にあります子供についてはそれぞれ審査を行なっているわけでございまして、そういう面では従来のお医者さんをもって足りるのではないか。なお、八月一日からこの申請を受け付けまして、九月一日から適用する、こういう準備をいたしておるわけでございます。
  160. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣はお急ぎのようですから、大臣にひとつ念のためにお尋ねをしておきたいと思いますのは、やはりこうした問題は、最終的に国がこれに応じて手当支給する場合、あるいは施設をつくり、あるいは施設を運営されていく、あらゆる場合に国が責任を持ってやっていくということを根本原則にしていくのがあるべき姿じゃないかと思うのですが、ということは、やはりそれはいろいろな形でいろいろな団体もありますし、また、施設もありますししますけれども、何といってもいろいろな条件が悪い現在、まだ日本の現状としてそうした悲惨な状態が非常に多い。先ほどのいろいろな具体的な例から考えても、今後改善をしていかなければならない問題がたくさん残されておる点が現にあるというような場合に、研究にしても運営にしても、国が全面的に責任を持ってやっていくのだ、そういうような考え方でいかなくちゃならないと思いますが、いかがですか。
  161. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 重症心身障害児でありますとか、あるいは重度精薄児肢体不自由児等の福祉行政につきましては、今日までも国が中心になりまして、たとえば民間の収容施設に対する療養費の補助等におきましても、御承知のように、十分の八を国が補助しておる。この手当等におきましても国がこれをやっておるというようなことでございまして、今回重症心身障害児のために国立施設全国で十一カ所設置をする。今後の五カ年計画で整備するということも、国が中心になってこういう対策を強力に進めなければいけない、こういう考え方に基づくものでございまして、ただいま御指摘のありました点を、十分私ども御趣旨を体しまして最善を尽くしたいと、かように考えております。
  162. 小平芳平

    ○小平芳平君 あと一つだけ局長にお尋ねいたしますが、別表についてですけれども、先ほどそういう心配はない、こうした児童扶養手当の場合でも、いろいろなそういうことはやりつけているから心配はないというふうに言われましたから、心配なく運用できればそれで私もけっこうだと思うわけですが、こうした今回の、たとえば特別児童扶養手当ですね、今回の別表は、これは大体何を基準にしておきめになったか、法律にいろいろなこういう基準が出ているようで、私どもしろうとではちょっとわかりにくいわけですが、この場合はどういう考えでどういうものが基準になったかということについてはいかがですか。
  163. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 国民年金法によりまする障害福祉年金がございますが、そういった障害福祉のことでございますので、これを基準にいたしまして特別児童扶養手当に関する基準を考えておるということでございます。
  164. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、国民年金の運用と同じようような運用になっているわけですね、結局。こうした別表は国民年金と全然同じですか。それで、どうしていろいろなふうにちょっと別表を変えたものをたくさんつくるかということについて、なるべくこれは同じでいけるなら同じもののほうがしろうとはわかりやすいわけですが、やはりそれぞれ少しずつ変えたものの別表をたくさんつくらなくちゃならないものかどうか、その点は。
  165. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 国民年金法障害範囲特別児童扶養手当障害範囲は大体同じでございますけれども、ただ「内科的疾患に基づく身体障害を除く。」という規定がございまして、この規定だけが国民印金法と違っております。また、ことばの問題でございますが、特別児童扶養手当は、先ほど申し上げておりますように、ということをいっておるわけでございますので、そういう面で、「日常生活において常時の介護を必要とする」ということばをつけ加えたものでございます。
  166. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も一つ二つお伺いをしておきたいと思うのですが、重度精神薄弱児扶養手当が一人に月千円、今度上がって千四百円、そして他の関係について聞いておきたいのですが、重度精神薄弱児手当法ですが、重度精神薄弱者、そこから上は制限されておりませんから、上の人がどうなって、どういう処置になっているか、これが一つ。  それから、重度身体障害者のことがあったと思いますが、身体障害者の保護処置、障害児身体障害児の保護処置、重度身体障害者の保護処置、 この四つがいまどうなっているか、ちょっとお知らせをいただきたい。
  167. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 重度精神薄弱児につきましては、児童福祉法によります精神薄弱児施設というのがございまして、そこに収容するということを原則にしております。それ以外の施設へ収容できない在宅の精神薄弱児につきましては、そこに書いてございます特別の児童扶養手当を出すということであります。十八歳以上の者につきましては精神薄弱者福祉法によりまして援護施設への収容、また、在宅の者という規定がございますが、在宅の場合につきましては国民年金法障害福祉年金支給されるということになります。それから、重度身体障害児につきましては、福祉法によりまして肢体不自由児施設へ収容する場合もございますけれども障害程度が手術等によって軽減または除去されるという場合には、育成医療によって手術を行なってその障害軽減または除去するということであります。それから、障害が固定いたしますれば義手、義足等の補装具の方法を行ないまして、そういった対策を設けておるわけでございます。  それから、おとなの身体障害者につきましては身体障害者福祉法がございまして、その福祉法によりまして施設へ収容あるいは授産等を行なっておりますが、なお、在宅の身体障害者につきましては国民年金法障害福祉年金支給されるということであります。
  168. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 身体障害者福祉年金支給される。身体障害児は——もう一度言ってください。
  169. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 重度身体障害児につきましては、特別児童扶養手当法律によりまして範囲を拡大いたしましたので、これが在宅の児童については支給される。
  170. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 幾らですか。
  171. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) これは千四百円です。
  172. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いまの重度精神薄弱児扶養手当法という、親がおってそうして保護されておる方々も、この額ではどうにもならぬと思いますけれども、一応そういう保護者がいるというかっこうなんですが、これと関係して、十八歳以上のおとなの薄弱者または重度身体障害者という人は、零歳から一生を終わるまで、子供であろうとおとなであろうと、事態自身はひとつも変わらないのが現状でなかろうかと思うのです。いずれにしても、重度の薄弱児であり、薄弱者であれば、同じ条件のもとに生存を続けている。そういうことで、収容施設があればいいけれども、なければ非常にこの方々の家族その他が困っているというのが現状でなかろうかと思います。  私は、ここでこの前一度議論をしたことがあると思うのですけれども、夫婦で二十九歳の娘さんの薄弱者をかかえて、一家がもうほんとうにやみのよう暗い、一生これで終わっていくんだと、何か収容施設、それから保護をするような何か特別な援助がないかということを訴えられて、私も返事のしょうがなくて困ったわけなんですが、こういう人は同様にたくさんおいでになるのではないかと私は思うわけであります。この重度精薄児の問題がいま議論されているわけでありますが、いずれにいたしましても、これ両方とも含めて収容施設というものがいかに不足しているか。この重度精薄児、まだ子供なんでありますけれども子供ができて非常にその家庭が暗い。収容施設に入れてもらいたいというけれども施設がない。施設が、たとえば関西で大津でできたのでありますけれども、さて入れるといえば、看護婦さんがおらぬという状態で、これが入れられない、こういう現象にぶち当たって非常に私も困ったわけでありますが、何としてもそういう全体的な重度の薄弱児、身体障害者収容施設というものが非常にいま望まれているのではないか、こう思うのです。私は質疑が重複したらまことに申しわけないと思いますけれども、最近になって、自転車振興会とか、ああいうところから金を持ってきてつくろうという動きもございます。早急にこれが前に進んできたときに、看護する人が実際に得られるかどうかということを考えてみると、意欲があっても、実際の現実の姿というのは非常にむずかしいというのが現状だと私は思うのです。いずれ実態の報告があって、これに対する構想が述べられるのだと思いますけれども施設が国の直轄なのか、地方の公共事業体がやっていくかっこうがいいのか、私の奉仕者というかっこうで、本来いえば国全体、社会全体がやるべきでありますが、急場の備えとしてそういう篤志家によっておやりになっているということも聞き及ぶわけでありますが、このおとなと子供の福祉施設を拡大していくのにはどうしたらよいかということについての構想なんかをひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
  173. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 先ほど私誤って申し上げた点がございますので、御訂正させていただきたいと思いますが、十八歳以上という先生のお話がございましたが、重度精神薄弱児扶養手当法では二十歳未満ということでございますので、正いただきたいと思います。  それから、ただいま先生の御指摘施設の問題でございますが、こういった重度身体障害または精神薄弱児という両方をかね合わせて持っている子供でございますので、非常に手間がかかるということは御承知のとおりでございます。こういった点からいたしますると、やはり宗教的な信念に燃えた方々がそういった施設を運営していただくということが私は非常に望ましい形であると思うわけでございますが、そういった面につきましては、日本の現状としては必ずしも十分でない。また、必ずしも財政的にそういったところが余裕があるわけではございませんので、そういう面からいたしまして、国のほうで直接施設を経営するということに踏み切ったわけでございます。しかしながら、国の施設だけでこの対策が十分であるかと申しますと、それも国の財政にも限度がございますので、やはり都道府県なり、あるいは民間の篤志の方々の熱意に対しては国としましても十分な援助をしてまいりたい、かようなことで施設整備考えているわけでございます。  なお、職員の問題につきましては、現在は児童の指導費というものが特別に見られまして、その中で考えていただくことにしておりますが、根本的には、やはり調整号俸というような形で待遇の改善もはかる必要があるのじゃないかということで、これは人事院とも現在協議している段階でございます。
  174. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですから、いまの困っておいでになる方々を総合的に解消をしていくのにはどのくらいの計画、構想でやっていくかということが聞きたいわけです。
  175. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 施設へ収容を要する重症心身障害児または者は約一万六千というふうに全国で推計をされているわけでございますが、第一次の計画の目標としましては、四十五年までにその三分の一、約五千ベッドを国または都道府県、法人、そういった両方の努力によりまして整備をいたしたい、かように考えております。
  176. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、いわゆる一番進んだ施設だということで、びわこ学園に行ったわけですけれども、私の奉仕者の仕事でありまして、今度国が直接やる施設というのはどういうかっこうで、どこへおつくりになっているのか。京都の亀岡に大木教の方が自転車振興会の金を云々という話があるわけです。そうしますと、どうもそこへ金をもらってそういう篤志家が中心になっておやりになるということを聞くわけですが、国が直接やるのはどういう計画ですか。この中でどういうことになっていますか。
  177. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 国の全体的な計画といたしましては、最初ブロックごとに一カ所程度設けたいということで国の施設考えたわけでございますが、やはりこういった施設につきましては、親の方々が面会に来る場合には、ブロックでありますとなかなか不便がありますので、そういった面からいたしまして、親の立場、あるいは子供の立場からいたしまして、各都道府県に少なくとも一カ所整備してまいりたい。これが五カ年計画の中の一つの重要な考え方でございます。そういたしますと、各都道府県につきまして国立でつくりますのは、現在すでに結核児童等を収容いたしまして、こういった問題について熱意があり、また、理解がある、こういった施設を選びまして、その中でこちらから約十カ所を選んだわけであります。場所といたしましては、北海道、宮城県、秋田県、新潟県、栃木県、千葉県、岐阜県、福井県、島根県、香川県、それから東京の整肢療護園、全部で十一カ所でございます。
  178. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これはことしの計画が十一カ所ですか。
  179. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) さようでございます。
  180. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは何人ぐらい収容ができるんですか、一カ所で。
  181. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 国立の療養所に付設いたしますものが四百八十床でございまして、整肢療護園に付設しますものが四十床、合わせて五百二十床でございます。
  182. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、四十五年までにこれを計画なさるわけでありますけれども、この看護人といいましょうか、看護婦さんというか、いま三万人も四万人も看護婦さんが足らぬわけですけれども精神病院で看護人というようなかっこうでの人がおいでになって貢献していただいているわけですが、ここで要するに扶養されるというか、看護される方々はどういう資格で、そしてどういう人を集めるだけの計画を持っていますか。ちょっとそれも聞いておきたい。なぜ聞くかというと、滋賀県のびわこ学園拡張で、都道府県がやって収容所ができ、療養所ができたのでありますが、看護婦さんが寄らぬので開店休業という、残念ながらそういう結果になっていることを聞きまして、この一カ所五百二十床なんというと相当な数なんです。これには相当な人が要る。一人に一人ずつくらい要るというくらいに私は想像ができるわけですけれども、そうすると、なかなかこれどうなんでしょうか、そこら辺の成算があるのでしょうか。
  183. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 国立の場合につきましては、来年の一月に子供の収容を始める、そういう予定でございます。そのために、現在国立病院または収容所におきまして、この施設で働きたいという方を選んでおるわけでございますが、そういった方々について、現在の施設へ実習に参りまして、研修と申しますか、そういうことで準備を進めております。国立施設につきましては、職員の確保については、私どもといたしましては大体見通しを持っております。こういった施設は、なお療養所の中に看護婦養成所も十一カ所の中に三カ所は持っておりますので、そういったところ職員の養成ということもあわせて行ないたい。大体こういう施設病院という形をとっておりますので、看護婦は少なくとも四人に一人はいなければいけないわけでございますが、看護要員といたしましては、現在看護婦、看護人、あるいは保母、そういった職種を含めまして、二人に一人という基準を持っております。
  184. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、将来の方向、四十五年までに五千床こしらえるというのだから、相当な努力だと私は思うのですが、一度にできないわけですが、これをもうちょっと努力をしていただきたいと思うのですけれども精薄児とか精薄者というものを、やっぱり非常に困っている人から順次ここへ入れていくということになるわけですね。私はこの際申し上げておきたいのだけれども、びわこ学園、あれを見まして、普通のサラリーマンの給与生活者の条件でああいう仕事がほんとうにできるだろうかという私は感じを受けたのです。これはお医者さんが一番たいへんでしょうけれども、次には看護婦さん、病気になったり苦しんでおられる人の看護をするわけですから、非常に苦労が要るわけです。やっぱり精薄児のお世話、めんどうというものはたいへんな苦労だと私は思う。どうもそこら辺から人が得られないということになるのではないか。だから、私は、看護婦さんがたくさん出られるのであるけれども、免許を持った人を数えてみたら余り返るほどたくさんおいでになって、実際働く人が何万も不足するということになるので、私はこういう施設をどんどんやっていただくわけでありますから、やはりそういう待遇やら環境というものをよくお考えになっていただかなければ問題が解決しないのではないか。それから、ちょっと私いま気がついたのでありますが、四百八十床と四十床とで五百二十床というものは、今年のこれは十一カ所の総計ですか。
  185. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 五百二十床と申し上げましたのは十一カ所の総計でございます。
  186. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どうも今年五百二十床というのは、私は一カ所五百二十床で五千二百床、なかなか努力してつくるものだと思っておったが、少しこれはどうでしょうかね、五百二十床じゃこれはとても話にならないので、そうすると、一カ所にすれば五十人足らずの収容施設しかできない。どうでしょうかね、これは今年は収容しなければならない者が一万六千人あるというなら、各県でこれを四十六で割ってみたら一府県どれくらいになるか、一府県のいま必要としているところ限界にして施設をつくって順番にやっていく、こういうことでなければ、それは経過措置で一年や三年じゃできないということはようわかりますけれども、たとえば北海道に三百人いまあるというなら、北海道の三百人の分をこしらえていく、秋田県に八十人あるなら、さしあたり秋田県の県でやるわけですから、八十人収容するものをつくっていくというくらいにどうもやっていくというのがすなおな姿じゃないですか。そうすると、各県も、よその県は、Aという府県はいま必要な分だけは全部とにかく府県と国とによって収容することができたのだ、じゃあ私どもところの県もやろうということで競争をして、一万六千人を四十五年三分の一ということじゃなくて、四十五年になったら全部ができるような方針をお立てになるほうがいいのじゃないでしょうかね。これは秋田県とか北海道といったって、五〇%とか三〇%ぐらいにして競争が起きて、そうして十分な収容もできぬということじゃあどういうことなんでしょうかね。そこらあたりはものさしをどこに置くのでしょうか。その重度の収容しなければならない人が一万六千人おって五千人目標だ、それで三三%か二九%ぐらいづつちょびちょびとアクセサリーみたいなかっこうで置いていくということでなく、せっかくつくるのですから、そこらあたりの考えは少し考え直していただくわけにはいかぬものでしょうかね。そこら辺はどうもちょっとうっかりしておりまして、どうも早のみ込みしてえらい悪かったですけれども、じっくり考えてみると、どうもちょっとその点はどうでございましょうかね。厚生省考えを聞かしていただきたい。
  187. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 昨年の調査によりまして、重症心身障害児全国的な推定というものがなされたわけでございますが、その中に年齢の小さな就学前児童がいるわけでございます。約一六%ほどおりますが、こういった子供たちはできるだけ早い機会に訓練をするということによりまして、現在のようなほうりっぱなしで重症になったというのが多かったわけでございますけれども、早くから訓練を行ないますとそういうことにならないで済むのではないか、かように考えておるわけでございます。そういう面からいたしまして、昨年予算的に一応五カ年計画で三分の一ということになったわけでございますけれども、来年度予算につきましては、またもう一回この数字検討してみたいと考えます。
  188. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は鳥取県に視察に参りまして、鳥取県の身体障害児施設があります。非常にりっぱなもので、私はほんとうに感心したのですけれども、小学校の分校もちゃんとあって、養護学校というのですか、非常にのびのびと、のも少のうございますけれども身体障害児の収容所に何百人も入っておられたような気がするのです。少なくとも三百人くらいは入っておられたような気がする。いまの日本の経済圏からいえば、鳥取県というのは農村県で、経済的にはあまり豊かなところではないと私は思う。ほとんど中卒の九〇%以上も出かせぎに出るような県なんであります。そのような県が、計画が立つのかどうか知りませんけれども、非常にりっぱなものをお持ちになっている。肝心な人口が集中している太平洋ベルト地帯の大都市にそういう施設がないということは何を物語っているだろうかということを私は考えさせられたわけであります。急速度の人口、住宅その他環境整備、小学教育、校舎建造というようなところにその町は追われてしまって、そうして傾向としては急速に人口のふえる地方自治体はそのことに追われてしまって、こういう養護施設とか、それから、こういう非常に困っている方々の保護というようなところに目が向かないという現象ではなかろうか。だから、単に富裕県であるとか富裕県でないとかいうものさしだけではこういう方々の解決ができないのじゃないかと、私はそう思いました。だから、そういうことも考慮に入れて施策をお立てになったほうがいいのじゃないか。現実に鳥取県というところにああいうりっぱなものができる。そうして大府県、人口の集中しているところは環境衛生整備で追われて、学校の校舎とか下水処理とか終末処理をやるとか、そういうことで追われてしまって困っている。地方自治体が本来やらなければならぬことが手がつかぬというのが現実の姿じゃないか。ところが、そういうところは富裕県だといわれる。そこで、こういう人口がたくさん集中するところに、そういうところに手を差し伸べられないというのが現実の姿ではないか。だから、そこらあたりから考えてくると、何をしたらいいのかということもよくお考えになるのがいいのではないか、私はそういう気がいまいたしておるわけであります。ですから、東京をはじめとして、大都市、財政的に豊かだといわれておる府県は、むしろそういうところに追われてしまってどうにもならぬというかっこうではないか。そのときにこういう福祉援護の処置を国がよほど突っかい棒せぬ限りは、もう人口の多いところ、密集しているところほど進まないのじゃないかという気がするのです。これはどうでございましょうか、厚生省はどういうぐあいにそこらあたりを見ておるか、これも聞いておきたい。
  189. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 鳥取県の場合は、古くから児童福祉に非常に熱心な県でありまして、そういった点が施設等にもあらわれているのだと思います。それに反しまして、富裕県であります東京、大阪等につきましては、こういう環境衛生、その他住宅等の施設に追われて、子供施設については十分な施設がされていなかったという点はあるいはあったかと思います。しかしながら、東京につきましては、本年度及び来年度計画といたしまして重症心身障害児の二百ベッド施設を現在建設に取りかかる、また、心身障害児センターというものもつくるようでございます。そういった面ではいままで比較的見過ごされていた重症心身障害児についても、東京をはじめ、大府県のほうでもそれぞれ計画を持って仕事が始められている、こういう状況でございますので、国といたしましてもそういった計画についてはできるだけの援助をいたしたい、かように考えております。
  190. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いやいや、その数字で二百床なんということを言うてみたって、東京は千百万にもなるとすれば、鳥取県が六十万か七十万、とにかく十五分の一くらい。鳥取県が百あるとしたら、千五百床か千八百床東京がつくって鳥取県並みだということになるわけです。あなたおっしゃるけれども、二百床で力を入れているということは、実際に国民対比となってくるとそれはもうお話にならないことになるわけです。だから、そういう点はどこに人口が集中して——やはり地方の財政能力と行政のものの考え方というものが私は違っておると思う。そこらあたりは、やはり厚生省としては、各府県十ずつあったら、東京は十五あったらそれだけ努力しているのだという勘定にはならないのじゃないかということをどうお考えになっておるかということを聞いたので、まあよろしゅうございましょう、そこらはね。そこらはよろしゅうございますけれども、いずれにしても、一年に五百二十床じゃちょっと少ないような——ちょっとどころじゃない、私は少ない。ただ、小学校にあがるまでの児童の保護というものを第一次的にやるんだというなら、それはそれで理屈が立つかもわかりません。それは厳格に小学校にあがるまでのものを大体全部収容するという企画でこれはおやりになっているんですか。そうなればいまの五百二十床というのが十一府県というのは腰だめですか。
  191. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 就学前の児童につきましては収容するということでなくして、通いの訓練センターをつくっていきたい、こういう考えで、児童の数、あるいはどういうふうにこれを整備していくかということを現在準備をしておるという段階でございます。
  192. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これ以上この問題についてはもうお尋ねしませんが、私は竹下局長にお願いをしておきたいのでありますが、先ほどから聞いておりましたが、小平さんもおっしゃったし、森さんも大橋さんもみなおっしゃったわけでありますけれども児童手当生別、そうして福祉年金は死んだ方・そこで差別があるのだという苦しい議論がされたり、児童手当法をつくろうというところからいくと、私は何かさか立ちしているような感じがするわけです。社会保障、重度身体障害児は別といたしまして、どうもやはりその辺がもう一つ割り切りが足らぬのじゃないかという気がするわけですから、そこらの関連もひとつお考えになって連絡をして、そういう収容所をつくるなら、看護婦さんや看護業務にはどういうことをやったらいいのかどうか、そうすると看護婦が不足しておるということに行き当ってくるわけであります。それから、児童の保護について収容施設がなければ千四百円だということで、これで実際にやれるのかどうかというようなことも考えてくると、いろいろな厚生省全体の行政とひっかかるところがたくさんあると私は思う。これはいま大臣おいでになりませんから、私はもう時間が——もちろん努力していただいていることだと思いますけれども、そこらを総合的に、単に生別だ、いや、死んだから事が違うのだというようなことじゃなしに、もっと私は総合的に、どの水準をどういうぐあいに上げていくことによって福祉援護ができるかという総合的な問題もよく御研究をひとつしていただきたいことを特にお願いをしておきたいと思います。  私は、きょうはこの程度にしておきます。
  193. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 確かに御指摘のように、従来の必要に応じてつくられたというような形からいたしますると十分でない面が多々ございますので、そういった点につきましては、児童手当の創設に際しまして検討を加えまして総合的なものをつくっていきたい、かように考えております。  なお、在宅の児童につきましては、現在児童扶養手当だけでございますけれども施設に収容した者とあまりに差が大き過ぎるというような問題がございますので、そういった点につきまして、たとえばホームヘルパーでありますとか、在宅の訪問指導のやり方、また、非常に介護に手がかかる、また、医療費に金がかかる、そういった面を勘案いたしまして、在宅と施設、そういった両方の総合的な対策を立てていきたい、かように考えております。
  194. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、私は、この際、われわれが勉強するために、ひとつこの児童憲章と児童手当との関係、重度身体障害児、それから精薄児、こういうものの、特に後進国のことは私は言いませんけれども、一応先進国といわれている国国がどうやっているのかという資料を詳しく調べて出していただきたいと私は思うわけであります。何か日本の国内で一人相撲をとっているようなことではいけないと私は思う。各国がともに栄えていこうということなら、なおさら私は必要ではなかろうか。特に関係してくるのは、いつも議論になるのは、あるいは経済力がいいとか悪いとかいう議論から始まって、国民分配所得が幾らであるのかどうかという議論まで始まると私は思う。だから、そこらの関連資料をひとつ一緒に出していただきたいということです。これは全般に言えることですけれども、特に竹下局長児童の関係ですから、児童手当と、それから身体障害児精薄児の保護処置が外国ではどうなっているかということを、五年も八年も前のことでございますとこれは話にならぬわけですから、去年とかことしの現状がどうなっているかということをひとつ資料にして出していただきたい。お願いしておきます。
  195. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 先生のお話になりました資料につきましては、私どもも必要な資料でございますので、十分勉強いたしまして提出いたします。
  196. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記をちょっととめてください。  〔速記中止〕
  197. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こしてください。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  暫時休憩いたします。    午後四時二十三分休憩      —————・—————    午後四時五十五分開会
  198. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  国民年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案に対する質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  199. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、国民年金法の一部を改正する法律案、大臣が提案説明をされまして、そしてフラット分の値上げを中心に国民年金改正法案がここに出てきたわけでございます。私はそのこと自身については努力された法案だと思うわけでございますが、しかし、ここへ出てくる国年というのは、一つは共済年金であり、一つは厚生年金であり、そして三つ目、あと残ったもの全部国年で、日本の主権在民国家における所得保障をどう苛めていくかという、非常に重要な意義を持ったのが国年だと私は思うわけであります。だから、われわれがこの法案を取り扱い、改善していく基本的な考え方というものは、何としても国民全体の生活にどう影響するかという、このことから私は出発しなければならぬのではないか、こう思っているわけでございます。ですから、出発当時から考えますと、官尊民卑の思想は恩給から出発して、そして戦時中にむしろこの恩給と、いま共済年金でありますけれども、同じような性格、同じような要件を持つ厚生年金が出発したけれども、戦後それががさっとくずれてしまった。私は、この所得保障の恩義というものの思想が、戦後の日本が国民主権の国家になってから一ぺんに瓦解してしまったというものの考え方をもって、そういう見方をしておるわけでございます。ですから、その事態がだんだん続くに応じて、憲法二十五条による、人たるに価する生活保護というものをしぼって、これと厚生年金とどう合わせていくか、そういう雰囲気の中で国年が生まれてきた。私はもう出発の当初に、国年が所得保障としての国年として出発したのでなしに、その生活保護のペースといかに合わせて年金制度をつくろうかというところから出発したところに大きな間違いが私はあるのではないか、こういうぐあいに理解し、私はそういう見方をせざるを得ないのであります。ようやくまあ五年目の改正で厚生年金が昨年改正をされ、そしてことしは国民年金に入ってきたわけでございます。そこで、私は、やはり国民年金というものが、今日、昨年もことしもそうでありますけれども、日本の経済の中でいかにこの所得保障を高めるかという、このことが柱となって私は国民年金と取り組まなければならないのではないか、私は昨年からそう思っておりました。ことしの国年の改正にあたっては、日本の所得保障、もう一つ大きく言えば生産と消費のバランス、この重要な役割りをもって国年というものをわれわれはつくり直さなければならぬのじゃないかということを、私はそういう考え方でことしを期待したのであります。で、一応またまた説明基本になっておるものは、厚生年金がフラット五千円になったからこれに合わせるのだと、これが説明基本になってきた。そうなら、なぜ共済年金と、または厚生年金の通算制の確立までしておきながら、なぜ差別を国年だけにしなければならぬか。私はそこらがやっぱし大筋としての議論の中心になるのではないか、私はそう思うのです。通算制を生かして、共済年金や厚生年金、その他の共済年金がたくさんできておりますけれども、こういうものを総体的に私は終着点五年後と、私は十年目にはいまの共済年金の水準に国民の所得保障年金をベースを合わすというぐらいの覚悟をせぬ限り、日本の経済は、いまのような国民経済自身が麻痺した状態を続けるであろうと、私はそういうぐあいに推測するわけであります。これは衆議院でも相当議論されてきた問題でありますから、私たちに与えられた時間は非常に少のうございます。少のうございますけれども、そのこと自身を厚生省はどう理解してこれに取り組もうとしているのかということが非常に重要なポイントでなかろうかと私は思うのであります。ここでそういう話が出てくると、いやいや、保険料が上がりますよとか何とかかんとかいう話になってくるわけでありますけれども、そんな問題はあとの問題だと私は思うのです。いかにして今日の日本の所得保障を拡大し、生産と消費のバランスをとりながら日本の経済を繁栄さしていくか、主権者国民の生活をどう高めていくか、こういうところの問題と無関係でこの国年というものを見ちゃいかぬと、私はそう思うわけであります。ですから、厚生大臣は非常に努力をされて、一応口では厚生省の方々は、これは厚生年金に合わしたのですよということをおっしゃる。私はそんなところ基本じゃないのですよ。合わすということを強調されるなら、なぜ条件も合わされないのか。一ぺんに私は厚生年金条件を国年に持ってこいとは言いません。しかし、少なくとも積み立て方式による年金制度をわれわれが理解をしてやっていくというなら、積み立ての意欲、そして将来の老後の保障ということを考えてくれれば、何で調整の条件というものを共済年金や厚生年金並みにされないのか、私は第一の疑問点がそこへ出てくると私は思うのであります。きょうはあまり時間がありませんから、あまり私は多く申し上げませんけれども、この問題はひとつきょう即答してもらわなくてもけっこうでございますが、十分にひとつ考えていただきたい。労働省の行政を厚生省の方はどう見ておられるか知りませんけれども、農民の生活がだんだん苦しくなってくる。だから第二種兼業、第一種兼業によってその生計を立てなければならぬ、そのために出かせぎで働く、そうして労働者が常々とためてきた失業保険をもって生活を維持するというほど深刻な農民生活になってきている。この農民の皆さんが中心になって国年が行なわれている。私は、どこの国もそうでありましょうけれども、積み立て方式によって多少の給付は違うでありましょうけれども、老後はどの職場におったって、私は社会に貢献をしてきたというこの基本に立って、老後の保障、身体障害児母子家族もそうでありますけれども生活の保障をしていく、私はこの概念を変えちゃいかぬと思うのですよ。あの人は官公や国家事業に働いていたから特に貢献が高いんだ、そのときに、いま発展している産業に働いている人を、その人は貢献度が高い。農民や零細企業に働いている人は、その国家に対する貢献度は下だという差別をつくっちゃいかぬと私は言いたい。そこらあたりの厚生省の皆さん方の考え方をひとつ聞いて、そして今度の処置というものをどうするかということにぼくは入りたい。法案自身の内容につきましては、いろいろと努力をされているところがたくさんございます。それは私もそれを否定するものじゃございません。しかし、基本的には、私はそういう問題を厚生省が明後年から所得保障児童手当に取り組もうとしておいでになりますけれども、それとあわせて、この所得保障というものを、それを表示するもののおもなるものは年金であります。児童手当を含むわけでありますけれども、こういうものに対してどうお考えになっているか。その当時の出発時が違うから差別があってもあたりまえですというものの考え方で私はこういう制度をつくっちゃいかぬ。現実のいまの生活において、どういう条件の中で、主権者国民がどういう条件ところで労働をして社会に貢献をしているのだ。どのような生活実態であるか、そのものをみんな守っていこうというものの考え方を私は統一した上に立ってこの問題に取り組まなければならぬのではないか。具体的なことはいいと思います。ここらあたりの御意見をまず大臣から聞かせていただいて、私は年金局長からも聞かせていただきたい。
  200. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 藤田さんから御指摘がございましたように、わが国所得保障の中心でありますところ国民年金、また、厚生年金、あるいは共済年金保険、こういう国民皆年金のもとにおけるところ年金制度は、私は本質的には給付の内容が究極において同じような平等な立場で行なわれなければならない、こう思うのであります。ただ、私がここで申し上げるまでもなく、被用者保険でありますところの厚生年金、あるいは共済年金保険というのは、被保険者としての期間が雇用状態にある期間に限定をされておる。一方、国民年金の被保険者であるところの農漁民、あるいは自由業者という階層は、これは四十年、五十年とその生業に携わっておる人々でございます。そういう生活の実態、所得の実態から考えまして、やはりそれに即したところ年金制度というものが組み立てられていくことが私は妥当であり、適当である、こう考えるわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、究極におけるところ所得保障としての年金制度というものは、私は国民にひとしく老後の生活の保障の大きなそれが支柱になるように、制度内容はそこにアンバランスがあってはいけない、かように考えておるのであります。今回の国民年金法改正は、そういう趣旨に沿いまして、昨年の厚生年金制度改正等も十分考慮に入れ、その厚生年金の定額部分に見合ったところの同じような給付ができるようにというのが改正一つの点でございます。また、この機会に、現在低所得階層、あるいは母子家庭、あるいは障害者等々に支給されるところ福祉年金の面につきましても、できるだけのこの際改善をいたしたい、こういうような趣旨で改正をいたしたわけでございまして、藤田さんが御指摘になりましたように、この重要な所得保障の柱である国民年金、共済年金、厚生年金等は、そこに不均衡があってはいけない、ともに国民の生活の保障の十分なささえになるものでなくてはいけない、こういう御趣旨に沿うものである、かように私は確信をしておる次第でございます。
  201. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 藤田先生指摘のように、各種の年金制度わが国において存在しておるわけでございますが、その年金制度相互の給付のバランスにつきましては、対象となります被保険者の生活実態に即しつつ、基本的には、大臣の申されますとおり、均衡のとれた、バランスのとれたものでなければならないと考える次第でございます。今回の改正案につきましても、これを念頭に置きまして努力をいたしたつもりでございますが、なお、御案内のとおり、国民年金制度は、いわば厚生年金でまいりますと定額部分のみの保険ということになるのでございまして、厚生年金は、このほかに報酬比例部分も含んでおる、あるいは共済組合は、昨年御審議いただきました厚生年金基金のプラスアルファ部分的な要素も含んでおるようにも思われるのでありまして、これらの点も御配慮を仰ぎたい点でございます。  なお、同様な問題といたしまして、国民年金法におきまして付加保険料、付加年金制度が別に検討をするように条文として定められておるのでございますので、これらをもあわせて、ただいま御指摘のようなことを基本に持ちつつ検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  202. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは主として年金の法案の改正のために携わってこられたのが伊部さんであり、網野さんでありますから、もう少し詳しく、私はいま大臣の思想の上に立って、あなたはどういうおつもりでこの年金と取り組んでこられたか、ここを少し私は聞きたい。統一の方向によって所得保障としていかしていこうというお考えであるなら、私は、一つは共済年金は五十五歳から支給される。厚生年金は六十からです。ここで大問題が一つあるわけですよ。皆さん厚生省だから、労働問題は知らぬとおっしゃるならそれでもよろしゅうございますが、五十五歳で定年制で首を切られて、長年その職場で働いてきた労働者が五年間どういう生活をしていくかという大問題があるわけです。そういうことをお考えになったのかどうか、私はこれもひとつ皆さん研究されているかどうかということを聞きたいわけです。それから、国民年金は六十五歳なんです。私は九十五がいいとか六十がいいとか六十五がいいとかという議論はまた別にいたします。別にいたしますが、外国制度は六十五からたいてい支給されている。しかし、この地球上に生まれてきた人間が、その国の全体の国民の幸福のために自分の持っている労働力をフルに生産を通して社会に貢献するというシステムが近代社会においてとられてあたりまえだと私は思う。そういう意味からいっても、年齢がどこが適切であるかどうかという議論が私はあると思う。しかし、今日そこにも五年ごとの差があるわけです。共済年金と厚生年金との差においては、日本の産業制度は五十五になったらみんな首を切る。五年間どうして生活するか、この保障も何にもないわけです。これをどう解決するかということが重要課題であると私は思うのです。今度国民年金はどういう要件で六十五歳になったかという説明がない。  それから、もう一つは、老後の生活をするだけの必要な所得保障はいかにあるべきかという問題が一つあります。一般的にいま統一していこうというなら、その上で調整金というようなかっこうで、雇用者に一定水準以上の、むしろ相互共済的な年金制度として発展していくにも幾つか課題がございます。私はこれも一つの方法だと思うのです。一般の生活が維持できるという上に立ってそういう方法をとっていくのもまた一つの方法だと思う。しかし、日本の現状において、それならそれでいくならいいとしても、その六十、一定の厚生年金と合わすというなら、なぜそこに二十年と二十五年に差別をつけたのかということが、そういうところをどういうぐあいに検討されてきたのかということを私は聞きたいわけなんです。  それから、もう一つは、先ほどから議論が出ておりましたように、福祉年金ではこれで六万円になるわけです。福祉年金じゃなしに、身体障害者母子年金は六万円になるわけであります。だけど、制度に入っていたらどうの、入っていないからどうのということで福祉年金になったりいまの児童手当になったりして、六万円と一万七千円と一万四千円という差が、ここで同じように母子生活しておってそういう差があるわけです。これはしようがないのだと一言で片づけられるのかどうか。それから、この法律が出発した日にちが一日でも違ったらそれでしょうがないのだということで片づけられるのかどうか、そこらあたりはこの改正案をおつくりになるときにどういうぐあいに考えになってつくられたのか、私はそこのところをひとつ年金局長や網野年金保険部長から、この法案に取り組んでこられたんだから、そのものの考え方を聞きたい。
  203. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 基本的に国民年金改正法案を取り組む姿勢といたしましては、先ほど大臣からお話がございましたように、厚生年金国民年金とのバランスということでございます。そこで、たまたま国民年金審議会におきましても、従前、国民年金の二十五年拠出の老齢年金が厚生年金の二十年の定額分と見合っておったと、かつ、その厚生年金におきましては二十年の定額分が障害母子の最低保障になっておるわけでございます。そこで、このバランスは絶対維持すべきであるという年金審議会の強い御意見によりまして、この従前の二十五年で二千円を五千円に引き上げ、かつ、これを障害母子年金の最低保障といたしたわけでございます。この結果、障害及び母子年金につきましては、おおむね最低保障に関する限り、厚年と国年とはバランスがとれるわけでございます。また、共済等におきましても、この月五千円という年金額を最低保障に考えておりますので、このため、国民年金制度も、いわばこの最低の保障のラインには到達できたといってよろしいかと思うのでございます。ただ、御指摘のように、厚生年金は二十年である、国民年金は二十五年で、五年の差がある、あるいは年齢の六十歳、あるいは六十五歳支給で五年の差があるわけでございます。そこで、この問題につきましては、やはり現状におきまして、自営業者の方々も、実際に就労される期間は、雇用されるということに基づいて適用されます厚生年金保険その他の被用者保険に比べまして長いのでございます。また、国民年金が自主納付のたてまえをとっておりますので、保険料も、いわば比較的には低額としつつ、給付としてはなるべく可能な限り、十分なものにいたしたいといったようなことを考えまして、この二十年と二十五年の従前存在したいわばバランスは、今回の改正法案においても、国民年金審議会の御意見もございまして、引き続き維持したわけでございます。なお、この点につきましては、老齢年金はいまだ支給が始まっておらないのでございまして、十年間の経過的な老齢福祉年金が四十六年に支給が開始されます。そこで、たまたまその四十六年が今回と同様な再計算期に該当いたしますので、この再計算期におきましてはこの問題も十分検討してまいりたい。いずれにいたしましても、藤田先生が御指摘のように、わが国の社会保障におきまして所得保障の占める比重は非常に諸外国に比して少ないわけでありまして、今後急速に年金制度充実、発展をはかる必要があることは御指摘のとおりでございまして、御指摘のような点は、老齢年金支給されるまでの間におきまして、ひとつ十分重要な問題として検討をさせていただきたいと、かように考えておるものでございます。  なお、福祉年金についてでございますが、これは一般会計の負担でございまして、財源の関係もございまして二百円の引き上げにとどまったのでございますが、その結果、今回拠出制の年金として支給されます年金額に比較いたしますと差が生じてきたのは御指摘のとおりでございますが、ただ、拠出制年金のほうは、いわば保険料を引き上げることによってその保障の程度を高めていくということでございます。そこで、御案内のとおり、諸外国に比して国民年金の、あるいは厚生年金の資格期間というのは非常に短いわけでございます。障害や遺族に関する限り、非常に短いわけでございまして、これらの点も考えまして、母子あるいは障害につきましては、この際、各制度を通ずる最低保障の線を確立する一方、福祉年金につきましては引き続きこの改善に努力をしてまいりたい、かような考え方をとった次第でございます。
  204. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一言私は局長に伺っておきたいと思うのです。その大臣の御意向があり、いまここで大臣の御意向に沿ってやるとおっしゃった、私はそこのところはようわかった。しかし、話を聞いていると、共済年金の最低保障にも見合うのだというようなことをおっしゃるわけですね。私はそのものの考え方を聞いているのですよ、局長の。その国民年金の拠出の年齢は、四年たって四十五年から十年かけなければいかぬといういまお話がございました。そのとき初めて満たす云々ということになったわけでありますけれども、しかし、共済年金も厚生年金も見合っているということになりますか、そこは。そのときにそれじゃ五十歳からこれをかけた人、四十五歳からかけた人、それ以上こえた人は、今度は国民年金支給のときにその差のある人はどうなるのだ、それ以上年が寄ってきて、終生その拠出をする条件がなかった人の生活はどうみるのか、それが一つです。福祉年金と、それから児童扶養手当の差がここにあるわけです。しかし、私は、こういう所得保障をやっていこうとしたら、その時限における母子家族がどういう生活をしているか、その時限における身体障害者生活がどういう条件にあるかということを考えてものごとを考えてもらわないと、一日違ったからこれは別だ、これはだんなさんが死んでおるから、これは生き別れしたんだから給付はこれで差があっていいのだというものの考え方が基礎で法律をつくって、国民に押しつけるようなものの考え方でこの年金をあなたが創案されたとするなら、私は理解ができないのですよ。いまの出発時におけるいまの法律上の事項として、残念ながら、保険経済の面からこうせざるを得ぬ、だから、順次それを時代が進むに応じて一歩一歩その不公平のないように、実際の生活をしている皆さん方に一歩一歩差別のないように考えていこうというような話ならわかるのですよ、幾らか。それを、そんなことはないのだというものの考え方所得保障という年金をつくるのだとあなたが何ぼおっしゃっても、私はそうは理解できない。五十歳の人、五十五歳の人が八十まで生きたときにどうなる、差別はそのままでいくのですか。福祉年金国民年金との差があっても、同じように生活していても、その事態において差があってやむを得ないということになるのか。そのときに、いかにして主権在民の国家の中の国民の生活——だから私は経済の面の話を少ししたわけでありますけれども、そういうことをだんだんと守りながら、制度の切りかえであるから多少矛盾があっても、終局的にはその矛盾を解消していこうというように皆さん方こそ努力していいのじゃないですか、そうでしょう。そのものの考え方を聞きたいのですよ。そのことが明らかにならなければ、社会保障の中の所得保障とか何とかかんとか幾ら言ってみたって、それはもうわれわれにはわからぬということです。私は、大臣はそんなお気持ちでおられないと思う。できる限り将来年金所得保障を統一していまの差別を順次的になくしていきたいと、大臣はそうおっしゃっている。そのことが皆さん方、年金局長と部長はそのことを腹に持っておやりになったかどうかということを、私がそんなことをここで言ったらいかぬかもしれませんけれども、どうもそこらのところあたりがすっきりしない。だから私は重ねてお尋ねをしているわけですから、そこら辺のところは、どうかやっぱり厚生大臣も大方針に乗って、実際に生活していく人を守っていくという、所得保障の本源に迫ってこの所得保障の方式を進めていくということを明らかにしていただかぬ限り、私は、この法律改正の底に流れているものに対して私の不信は消えない。そこのところあたりを、少し大臣の意を体して皆さん方がどう考えていくのだということを明らかにしていただきたい。
  205. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) ことばが不十分で申しわけございませんでしたが、拠出制の年金考えます場合におきまして、私は、やはり保険料の引き上げをはかることによりまして妥当な水準を可能な限り達成していくということは当然なことでございますが、一方、福祉年金は全額一般会計から出ておるのでございます。そこで、もちろんこの福祉年金の額につきましても、あとう限りこれを改善をし、特に障害母子につきましてはなるべく近づけていくという努力を今後ともいたしたいということを申し上げたのでございますが、ただ、五年ごとに拠出制年金は大幅な改善を再計算期に行なうことが例でございますので、一方、福祉年金につきましては必ずしもそれにこだわらず、従来も二回引き上げておりますし、今後も引き続き引き上げをやってまいりたいと考えておるのでございまして、その点におきまして、ある一時点におきまして拠出制と福祉年金との間に、結果的に拠出制年金引き上げたことによって格差が生じましても、その後の努力によって逐次これを詰めてまいりたい、かような趣旨で申し上げたのでございまして、ある時点において一般会計という制約のある福祉年金とそろえるということになりますと、拠出制の年金の改善を一般会計のワクということからチェックをする結果になるおそれもございますので、これらの点もいわば考えまして、拠出制の年金の改善につきましては、所得の向上等によりまして、保険料の負担の許す限りこれの改善をはかっていく。一方、母子年金につきましても引き続き改善をはかっていくというぐあいに申し上げた次第でございます。
  206. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 三十六年にこの法律が出発した当時の法律の第七条ですか、強制保険ですね、これは。国民すべからく厚生年金や共済年金に入っていない人は強制的にこの年金に入れようということになっている、そうでしょう。それで年がきめられ、年がはずれた人、これはやむを得ぬということで福祉年金にやるのだという断定をされるだけで、一応そろばんに数字を合わせるようなかっこうでいいのかどうかというふうなことを私は聞いておる。だから、いわゆる将来の姿において、あなたが、実際の生活をしている国民を守っていくというところで調整に努力したいとおっしゃるなら、その分はわかりました。  それから、もう一つ、あなたがおっしゃったように、心がまえの問題ですけれども、いまのような差別を大臣はなくしていきたいとおっしゃっておる。あなたは五年後にはその差別をなくするとおっしゃったと私は聞いたのです。これは間違いなら間違いでありますけれども、これはあなたの気持ちを私は聞いたのですが、これは大臣に聞かなければならぬ問題だと私は思う。だから、大臣がこれだけすなおな気持ちでおっしゃっておるのに、あなたのほうの局でその思想がゆがめられておって、所得保障の国民保証という、全体を守っていくといく思想がゆがめられてきて、所得保障のこのようなものを頭からきめていくというようなものの考え方があったとしたら所得保障なんて発展しないですよ、私はそう思う。だから、私は、この点だけは大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、いま年金局長との間に私は質疑をいたしました。どうも私たちの耳に入ってくるのは、何かそういう事務的に所得保障の問題を扱ってみて、そうして何か押えつけるような感じを私は印象として受けてきたから、そこらあたりの問題がどうも不信感が取り除かれないわけであります。だから、大臣は先ほどおっしゃったように、今度の法改正についてはいろいろの、また公平な、平等な、そして統一的な方向について、足らざるものがあるけれども、できるだけその統一をしていくという心がまえ、この三段階になっているようなものも、私は、少なくとも五年後の改正のときには取り除いていく、一歩でも取り除いていく。私は、共済年金と一本になろうというようなことはいま考えておりません。それは保険財政からいって考えておりませんけれども一つ一つでも取り除いていくという心がまえを聞かしておいてもらわなければ、私はこれ以上これを真剣に取り組むことができない、永劫末代こういう差別でこの所得保障考えられているんだというようなことを私は聞かしてもらっていたんじゃどうにもならぬというところなんです。そこらあたりの大臣の御見解をひとつこの際聞いておきたいと思います。
  207. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) わが国所得保障の柱であります年金制度、この年金制度につきましては、それぞれの制度の発足以来の発展の過程によりましていろいろ現状が違うわけでございますが、私は、先ほど申し上げましたように、究極におきましてはこれらの制度が均衡のとれた形で、そしてその給付の内容等におきましても、真に老後の生活の保障たるにふさわしい実体を持つものに逐次改善をされていかなければいけない、 また、そういう心がまえで私どもは今後わが国所得保障の改善、充実のために努力をすべきものだと、かように考えておるわけであります。今後事務当局におきましても、私は、各年金制度審議会等の御意見を十分聞きながら、いま申し上げたような方向で努力を積み重ねていくべきである、また、そういうぐあいに事務当局におきましても努力をするものと期待をいたしておる次第でございます。
  208. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 わかりました。そこで、私は具体的ないろいろな問題、年金の今後の問題についていろいろと聞かなければならぬことがある。だから、いま障害になるものをこの国会で取り除けるかどうかの議論もしなければならぬと私は思うわけであります。そういう意味で、私はきょうはこれで質問を終わりますが、あらためて機会を見つけて私はこの年金質疑を行ないたいと思います。
  209. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は六月二十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会      —————・—————