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1966-05-31 第51回国会 参議院 社会労働委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月三十一日(火曜日)    午前十一時七分開会     —————————————    出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 土屋 義彦君                 山下 春江君                 山本  杉君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        厚生省保険局国        民健康保険課長  信沢  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (厚生行政に関する件) ○国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題とし、厚生行政に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この委員会医療行政の問題、社会保障の柱としての医療保障の問題が、非常にいろいろの角度から、法律もたくさん出ておりますし、議論されているわけでありますけれども、薬の問題というのがどうも国民の納得がいくように動いていないように思うわけでございます。で、一昨日の放送討論会といいますか、聞いておりますと、国民の一人一人が、いまの薬、それから薬価、これについて非常な疑問を持っている。ことに私はあのテレビを見ましてそういう感じを受けました。それは何が原因をしておるかといえば、医療制度というのは保険制度で、その技術をやる医者の立場、それから、保険に加入しておる被保険者は、やはりその制度に入って監督を受けておるといいますか、そういう制度の中で進んでいく。ところが、その重要な役割りの三〇%以上を占める薬の問題について、自由制度自由販売である。そうしてこの保険制度の中でどういう役割りを求めておるかということが一つも明らかになっていない。ですから、国民の中でいろいろ疑問や不安が出てくるのは当然だと私は思う。この薬の問題について、私は、われわれ社会労働委員会医療制度を進めよう、医療保険保障を進めようとしたならば、もっともっと深くえぐって、この医療制度にマッチするような薬剤行政薬品行政というものをやらなきゃならぬと私は思うわけであります。先日のテレビを見ておりますと、第一に出てくるのは、なぜ薬の販売価格が書いてないのだ、いや、これは独禁法の違反だ、そんな理屈で私は解決できる問題じゃない。同じ薬でAのところは百円で売っている、Bのところは八十円で売っている、また、七十円で売っているというぐあいに、どこが基準やらわからぬような状態で薬の販売があらゆるところで行なわれているわけであります。売薬、要するに薬局で薬を販売する、そして医者がみて薬の調剤をして患者に渡す、薬価基準がある、そしてまた今度はやみの販買所があるということで、最近私が耳にするところによると、いろいろ模造品といいますか、類似品というものは十分の一で薬ができているのだ、それにもかかわらず、それが同じ前の値段国民に売られているじゃないか、こういうことを聞くと奇々怪々というか、これはもうほんとうに何とも言いようのない心境になるわけであります。私はちょっと一、二点調べてみましたけれども、たとえばアスピリンEA錠というものをかぶせると十五倍ぐらいの値段利益をあげているということを聞きました。真実は私は知りませんけれどもミクビタンという薬が出てきたら十分の一ぐらいでできる、これを売ったところにプレミアムで自動車が一台ぐらい当たるというような話が出ている。それからアリナミンにもそういう操作がある。クロマイに至っては、十分の一ぐらいで外国から輸入したやつを製造業者が中に入れて、そしてクロマイと同じ値段で売られている。国民専門科学者技術者でないわけですから、わからぬのですけれども、われわれの耳に入ってくるのはそういうことだけが入ってくるわけです。それでいて薬の値段、要するに値段はその商品に何にも表示しないでいる。そうして医療制度行政の中には薬価基準でどんどん入ってくる。それから卸、やみ、こういうことになってくると非常に問題がある。また、薬製造業者そのものが膨大な研究機関を持って研究をしていただいていることはまことにけっこうでありますけれども一流メーカー薬品研究所なんというものは、国ができぬような膨大なものをやってこれは社会に奉仕している。このこと自身はけっこうでございますが、それがどういうぐあいに、それでは国民負担との関係はどうなっているのか、それから、製造そのものはどんどんと無制限に製造して、もうテレビ、新聞、ラジオという、あらゆる今日の宣伝機関を通じて、この宣伝だけで薬を国民に押しつけているというのはちょっと言い過ぎかも知らぬけれども、毎日毎日それを見せられていると、その薬を買わざるを得ないような状況になっていく、それで問題が起きたりしているわけであります。だから、そういうことをまず製造がどういうぐあいに、それから国民の薬のいま需要限度製造量との関係の問題、それから、生産コストを厳密に発表せいといってもこれはできぬでしょうけれども製造原価販売価格、それから、販売価格を明示しないというのは何なのか、それから、薬というものが、しろうと考えで、何年も前につくった薬でもそれでも効果があるのかないのかという問題も明確になっていない。この間のテレビ討論を聞いていると、それはかくかくの用心をしてやらないからほかに現象が起きるのだ、だからこういう手続をやってもらえば起きないのだというようなことをそこで業界説明する。そんなことをなぜ薬に書いておかないのか、薬の包装やそこら説明書きをなぜ書いておかないのだという住民の皆さんの反発がある。それも答えられない。私はもっともっと医療制度がこれだけ進んできて、国民の保健を守る中で薬というのは非常に重大な役割りを持っている。その役割りを持っている薬が無放任のような状態でこのまま放置することはできない、こう思う。だから、これらについてひとつ大臣から見解を承って、こまかいことについては薬務局長からひとつ説明をしてもらいたい。
  4. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま藤田委員から薬務行政全般につきましての御批判、また、示唆に富んだ御意見が開陳されたのでございますが、私ども、この薬の問題につきましては、まず第一に、薬の生産、あるいは消費の過程におきまして安全性の確保ということを一番重視しなければならない、このように考えておるのでありまして、したがいまして、製造許可販売許可を出します際におきましては、その副作用等につきまして十分な動物実験なり、あるいは臨床例なり、そういうものを科学的なデータを基礎にいたしまして、薬事審議会におきまして厳重な審査をいたしまして、有効であり、かつ、安全なものを消費者に提供せしむるということに万全を期するようにいたしておるのであります。また、そのためにはどうしても研究開発ということに十分力を入れてもらいまして、そうして独創的な医薬品製造開発ということに努力を願わなければならぬということで業界指導に当たっておるわけであります。現在全般的に見まして、研究費に回されておりますのが収益の三%ないし五%というようなことであるのでありますが、私はもっともっと研究開発に力を入れ、そうして独創的なりっぱな薬を生産してもらいたい。現在四十年度の生産高は約四千五百億にのぼると、こういわれておるのでありますが、この中で欧米先進諸国からロイアルティーを払って特許を使用しておる、こういうものも相当の額にのぼっておるのでありまして、これはどうしても私は日本が独自に研究開発を進めて、りっぱな独創的な薬を生産するようにしてもらいたい、これが輸出の振興にもつながる問題であるわけでありまして、そのように業界指導をいたしておるのであります。それだけに、誇大な過度の広告宣伝、これに三百億、二百五十億というような膨大な費用を使っておる、それが消費者負担にもまたなるわけでありますが、そういう、面はできるだけこれを自粛をいたしまして、そうして研究開発等の面に十分努力をしてもらいたい、このように私は考えておる次第であります。価格の問題につきましては、私ども政府方針、また、保守党の方針といたしましては、価格の統制を直接やる考えを持っておりません。公正な競争を通じまして、そして正しいそこに適正な薬価というものが生まれるように、公正な競争を阻害しないように指導していきたい。それが往々にして先ほど申し上げましたような過当競争、あるいは誇大広告というような、乱に流れるというようなことにつきましては、厳にこの自粛を促しまして、そうして公正な競争、また、取引によって正しい薬価がそこに生まれるように指導していきたい、こう考えておるわけであります。また、医療保険制度のもとにおきましては、そういう正しい取引によって生まれましたところの薬価薬価基準の上に正しく反発をさせる、この面につきましては、不幸にして昭和三十五年以来、数年間にわたりまして医療紛争が続きまして、するために薬価基準改定というものがなされなかったのですが、幸いにして当委員会はじめ、各方面の御協力をいただいて、昨年の十月、十一月の中央医療協議会におきまして薬価基準改定を五年ぶりでいたしました。今後は、私は、この正しい薬価というものを保険医療の面の薬価基準の上に反映をさせたい、そのためには、毎年一ぺんは薬価基準改定を行なう、また、薬価について大きな変動がありました際には、そのつど一年に二度でも三度でも薬価基準改定を行なうべきものである、このように考えておる次第でございます。しかしながら、いま申し上げたような考えをもって業界指導いたしておるのでありますが、藤田さんの御指摘になりましたように、生産から流通、消費の各般にわたりまして、今日薬業界に対する薬務行政が十分にりっぱにいっておるとは私は考えていないのでありまして、常にこれを反省をし、いま申し上げたような点につきまして絶えず改善の努力を積み重ねていきたい、このように考えておる次第であります。
  5. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいま大臣から御答弁いたしましたようなことでございますが、先ほどの先生の御質問の中に、やや具体的な個々の問題の指摘がございましたので、それにつきまして若干御答弁を申し上げておきたいと思います。  医薬品生産額の問題につきましては、ただいま大臣から御答弁になったとおりでございまして、ちょうど一昨年から昨年にかけまして、逐次薬業界業績というものがだんだん不振の状況になってきたわけでございます。特に昨年の当初、アンプル入りかぜ薬の事故がありましてから、医薬品業界というのは従来にないような業績不振の状況を続けてきているわけでございます。で、生産額にしましても、ただいま大臣から申し上げましたように、四十年の生産額は四王五百億円ということで、対前年比わずか八%だけの生産額の増が見られているわけでございます。このことは、先生御存じのように、昭和三十五、六年くらいから三十九年くらいまでは非常に生産額が二〇%から二八%というような高い率を示して上昇してまいったわけでございますが、昨年はそのような一般的な経済界の不況も原因一つとして考えられますが、そのような事情のもとにわずか八%というようなことで、生産額は、ややここ数年来の傾向としましては、まことに著しく不振の状況になっているわけでございます。  それから、もう一つは、大衆薬といわゆる治療薬との関係でございますが、大衆薬というものが一昨年くらいまでは全体の比率は大体六割くらいの比率を占めていたわけでございます。残りの四割がいわゆる、医家向け治療薬というような状況であったわけでございますが、ただいま申しましたような事情も反映いたしまして、最近の私どもの計算の結果は、大体治療薬が五五%、大衆薬のほうが四五%ということで、この比率関係が逆転するような結果にだんだんだんだんなってきているわけでございます。つまり医家向け医薬品というものに各メーカーが相当重点を置くようになってきました。このことは、一つには、いわゆる大衆薬というものが、最近の情勢からしまして、やや不振の状況にあるということを物語っているのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。それから、もう一点は、昨年のそのような生産額の伸び悩みのほかに、最近の傾向としましては、いわゆる利益率利潤率利幅関係もやや漸減傾向を示してきているわけでございます。ひところのように、一般産業と比較しまして相当な利幅を持っていたといわれている製薬業界でありますが、だんだん利幅関係も低下してきておりまして、最近は売り上げ商に比較しますと、いわゆる純利益比率といわれるものは大体六%前後になってきているというふうにいわれているわけでございます。このような傾向のもとにおいて生産額も伸び悩み、それから、一方、利益率利幅も伸び悩んできているということは、薬業界の最近の情勢としまして、だんだん業績が振るわなくなってきているということをあらわしているわけでございます。で、私どもは、このような傾向のもとにおいて、今後日本医薬品業界がどのようにいくべきかという問題をいろいろ大臣の御指示のもとに検討をいたしているわけでございます。それはそれとしまして、一番最後に先生指摘のございました医薬品価格表示というものがないのじゃないかということにつきましては、確かにメーカーのほうから出しております医薬品販売価格というものは明示されていないわけでございます。これは私どもの現在の考え方としまして、薬事法というものによりまして医薬品規制をやっているわけでございますが、御存じのように、薬事法というものは、製造とか生産、それから販売その他の衛生上の取り扱いについて規制をいたしているわけでございまして、必ずしも価格の面まで薬事法で必ず明示しなければならぬというようなたてまえのものになっていないわけでございます。しかしながら、御指摘のように、一般消費者の方が薬局等小売り店医薬品を購入する際に価格表示がないということは、いろいろな意味において不便を来たしているということも考えられますので、従来から薬局等小売り店におきましては、販売価格というものを一般消費者の方に見やすいように表示をしてほしい、そして表示の上で販売するようにということの指導をやっているわけでございます。この面につきましては、大体全国的にそのような表示薬局等小売り店においては行なわれていると、こういうふうに私どもは承知いたしているわけでございます。  以上でございます。
  6. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まあ私が問題にしているのは、大臣、それから薬務局長、今日の日本産業界は、いいこととは私は思っておりませんけれども、七割から八割金融資本支配下に入っているという産業、それがよくいわれているわけで、しかし、あなたはいま不振だとおっしゃいましたけれども、その倍増計画で、高度成長経済で八%少なくなってこれは不振だというようなことを国民が納得するでしょうか。最低一割五分から四割までの配当をし、設備拡大も全部自己資本でやっているという、これは日本産業界にまれな薬業界なんです。それでいままでやってきたものを八%で四十年不振だなんというような見方を薬務局長がして、何を基本に見ていられるのか私は知りませんけれども、そういう認識で薬業界を見ておってはこれは解決しない問題だと、私はそう思います。  私はきょうは時間がありませんから、これ以上は質問いたしません。いたしませんから、ひとつ次の一週間後にもう一度詳しくやりたいと思いますから、資料を出していただきたいと、私はそう思う。資料は、まず第一に、薬を製造している会社名、それから製造量ですね、それと国内販売、正規なルートに乗っているのと、それから乗ってない分の、あなた方がお考えになって国内薬剤消費趨勢というものはあるわけですから、それとやみにどういつでいるか、輸出にどうなっているか、そこらの、要するに生産量の配分の問題ですね。それから、できれば卸売り価格販売価格関係。それから薬価基準ですね、薬価基準そこらと一、二特徴的な問題として私が申し上げましたクロマイ関係をひとつ明確にしていただきたい。やみ売りのクロマイ薬価基準クロマイ。それから販売定価が出てないですけれども、大体一般に出ているクロマイ値段、それから、いま外国からクロマイの原料を輸入すると原価は十分の一で済むといわれているが、その関係はどういうルートで入っているのか、その関係からくる薬価がどうきめられているか、そこらの問題も明らかにしていただきたい。それからアリナミンでございます。アリナミンはB12を加えることによってどうなっているか。アスピリン関係EA錠を加えることによって大体十五分の一ぐらいで原価ができるのを、平気で売っている。これは特徴的なもので、まだほかにたくさんあると思いますけれども、それからミクビタン、佐賀県での薬品使用ですね、たしか北陸製薬だと思いましたけれども、その薬品がどういうぐあいに生産されているかということを厚生省調査されていると思いますから、それもひとつ詳しく書いていただきたい。それから、医療行政の中における薬の量ですね、全体の量をどれだけ必要としているか。いまおっしゃいましたように、大衆薬がだんだん少なくなって治療薬が多くなってきた云々というお話がありましたけれども、これはいい傾向じゃないですか。厚生大臣としては、治療薬がふえてきて、そうして国民がそういう方向で病気をなおそうという傾向はいい傾向じゃないですか、むしろ。問題はほかのことと違って、病気になって、病気になったら待ったなしなんです。生命に関することです。これはお医者さんにみてもらって薬をやるか、またはお医者さんにみてもらわなくて急に間に合うように薬をやるか、生命に関する問題なんですから、だから私は、やはりその薬事行政の中で、医療行政医療保険医療保障の中に厳格に制度が動いているのに、薬剤のほうだけは自由だ。大臣お話にもありましたけれども自由主義自由経済ということをおっしゃりたかったんだろうと思いますけれども、それは自由だ、過当競争や何かがあるだろうけれども指導していきたいという一言だけではこれは処理できない問題だ。相手は国民生命に関する問題です。そこらあたり資料を一切まとめてこの次の委員会に出してもらいたい。その上で私は問題を明らかにしたい、こう思います。きょうは非常に前段だけで終わりましたけれども、いま御議論なされた関係する資料を全部そろえてひとつ出していただきたい。これをお願いをしておきたいと思います。
  7. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいま御要望のございました資料については、早急に調査なり何なりをいたしまして提出をいたしたいと思いますが、ただ、この中に、たとえば医薬品製造を行なっている会社名とかいうことになりますと、これは二千五百ぐらいございますので、そこらあたりは後刻よく先生と御相談いたしまして、資料のつくり方はどのようにするかということを御相談さしていただきたいと思います。
  8. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと一言。たとえば一つのAという薬剤が出たら、またたく間に類似品が百も二百も一ぺんに出てき、過当競争というか、国民は何を信頼したらいいかわからぬということですから、だからそこらを踏まえて、会社は二千何ぼだからどうこうということでなくて、そういうことで出してもらわないと困ります。それだけお願いしておきます。
  9. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) それでは、いま藤田委員からの要求資料、よろしゅうございますか。
  10. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) できるだけ御要求に沿うように、早急に提出いたしたいと思います。
  11. 山本杉

    山本杉君 私からも関連してちょっと局長お願いいたしますが、資料をおこしらえになりますにあたって、治療薬大衆薬が最近は反対のパーセンテージを示している、五五%になっているという話でありますが、それが診療の上にどういう傾向で使われているか、少し明確に知りたいと思います。そういう資料をひとつ追加してお願いをしたいと思います。
  12. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 私先ほど申し上げましたのは、世間でいわれておりますいわゆる治療薬、あるいは大衆薬という区分を申し上げたわけでございます。ここで言っております治療薬といわれるものは、いわゆる先生方御存じのように、薬価基準に収載されている医薬品のことを、簡単に申し上げますと、称して言っておるわけでございまして、大衆薬といわれるものは薬価基準には収載されていないけれども日常一般国民の方が薬同等で簡単に手に入れておられる医薬品を称しております。治療薬のほうはそういうわけでございますので、薬価基準に現在収載されて、各全国の医療機関で、それぞれ医者なり歯科医師等の方が治療なり予防のためにお使いになっている薬を治療薬ということで、こういうふうなことを考えているわけでございます。
  13. 山本杉

    山本杉君 いま局長から治療薬大衆薬の御説明がありましたけれども、そんなことをお願いしたのではなくて、このごろの趨勢として治療薬のほうが生産量が多くなっている、こういうことでしょう。それをどういうふうに薬価基準の中で診療に現実に使われているかということを厚生省はおそらく調べていらっしゃるだろうと思うから、それを知りたいと言ったのです。
  14. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまの趣旨、了解できましたか。
  15. 山本杉

    山本杉君 わかりませんか。治療薬医者が使っておりますね、たくさんの治療薬を。その中にはむだがあるんじゃないかということよりも、どういう薬を使っているかということなんです。さっきクロマイの話が藤田さんから出ましたけれども、そのクロマイも、どういう形でどういうふうに使われているかというようなことなんです。厚生省のほうでは査察されて、そうして医者のほうから申告があったのに対しては、相当これは使い過ぎるとか、いろいろなさるわけでしょう。だから、そういうことをはっきりと明示なさるからには、これはよけい使い過ぎているんだとか、これはむだに使われているんだとかというようなことも考えていらっしゃるだろうと思うし、調べてもいらっしゃるだろうと思いますから、そういう面を含めての資料をお示し願いたい、追加資料お願いしたわけであります。
  16. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) はなはだ申しわけないのですが、先生のおっしゃる意味が私ぴんときてないんですが、治療薬といっておりますのは、薬価基準に収載されている薬でございますので、こらはもう当然医薬品メーカーから各医療機関がそれぞれのルートを通じて購入している医薬品のことを言っているわけでございます。したがいまして、それがどのような形で、どういう方法で、あるいはどういうルート医者のいわゆる医療機関のほうで購入し、それがどういう使用のしかたをされているかということについては、私ども詳細に個々の医薬品の品目ごとに調べたデータがございませんので、そのようなもし御要望でございましたら、これはちょっと私どものほうとしては資料提出ができないんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  17. 山本杉

    山本杉君 いまの局長お話を伺っておりますと、厚生省では薬のことは携わっているけれども、これはただメーカー相手のことであって、保険、医療の中で使われているそういう使い方には関係がないんだというお答えに聞こえるのですけれども、そういうふうにばらばらなものかしら——おかしいですね。   じゃあ保険局長いらっしゃるかしら。
  18. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 大衆薬治療薬との関連から問題が出てきたわけでございますが、私の説明が十分でなかったためにあるいは先生におわかりにくかったんじゃないかと思いますけれども、私どものほうで現在考えておりますのは、いわゆる薬価基準に収載されている医薬品というものの全体の金額はわかるわけでございます。それからその医薬品の薬効別の分類、こういうものも大体ある程度わかるわけでございます。それから、大衆薬との関連が逆転してきたということを申し上げたわけでございますが、どのような事情でそのような傾向になってきたか、どういう種類の医薬品治療薬として非常に最近の傾向としては伸びてきたかというようなデータでございますならば、私どものほうで時間をかしていただくならある程度わかるのじゃないかと、こういうふうに考えております。
  19. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 先ほど局長は、治療薬が五五%、大衆薬が四五%で、そして大衆薬のほうがやや不振になったと、こういうことをお答えになったわけです。そこで、五五%の治療薬は、実際にお医者さんが適正に使っているのかいないのかということが問題の焦点だだろうと思います。というのは、クロマイについても、先ほど資料要求のように、ヤミ売りと、それから外国のと、それから薬価基準値段と、三つの値段資料要求があったわけですね。これが病気にほんとうに適正に使われているのか、使い過ぎになっているのか、あるいは使い不足であるのかという、そういう資料を、具体的なものを、全部じゃございませんけれども、ほしいと、こういうわけでございましょう。
  20. 山本杉

    山本杉君 そうです。
  21. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 関連してちょっと。   いまの資料の中で、私はまた別な角度から一ついただきたいのは、いま民間薬が医療薬のほうに非常にふえて、ウエートが大きくなった。というのは、民間薬を医療薬として出している。実は医療薬の中であるといわれておるが、実は民間に流れているのだ、あるいは貿易の面もどんどん出ているのだということで、この五五%の中に非常に差異があるのだということをわれわれ感ずるわけです。そういうことをデーターで出してもらいたいということを要求しておきます。
  22. 山本杉

    山本杉君 さっきから局長は繰り返し、治療薬というのは薬価基準に載ったものだという御説明があったのですが、そういうことはわかりきったことで、いまの御説明の中で、薬効別の分類はわかるとおっしゃる。薬がきいたかきかなかったかということは使った医者でなければわからないはずだと思うし、そういう分類ができるなら、それもひとつ見せていただきたい。
  23. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 薬効別と申し上げますのは、私どものほうで厚生大臣医薬品製造承認をいたす際に、この薬はどのような効能、効果を持っているのだ、こういうような申請がございまして、その申請に基づきまして一定の手続を経て医薬品製造承認をやっているわけでございます。でありますので、たとえばこの薬は強肝剤なら強肝剤、あるいは血液降下剤なら血圧降下剤というような、そういう意味の薬効というものを私先ほど申し上げたわけでございます。
  24. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) どうも御質問と御答弁がかみ合わないのですが、資料要求、御納得いきましたか。
  25. 山本杉

    山本杉君 いきませんけれども、しようがない。それじゃ保険局長からでも……。
  26. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 非常に大事な問題でございますから、よく御相談いただいて、やっぱり要求者の趣旨が生かされるようにひとつおつくり願いたいのですけど、いかがでしょうか。
  27. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) よく山本先生と御相談さしていただきます。先生の御意図をもう少し確実に把握いたしまして、私どものほうでできる資料は早急に提出いたしたいと、かように思っております。
  28. 森勝治

    ○森勝治君 関連で申し上げたいのは、いまのやりとりを聞いていると、薬の効果があるかないかという質問と答弁がなされているのですが、薬の効果が全然ないようなちぐはぐな答弁をされておるので、私ちょっと奇異な感じに打たれたのですが、しろうとだからおかしいと思っただけで、いずれ山本先生ととっくり御相談していただいて、局長もひとつ十分質問の趣旨を了解していただいて、ひとつ私どもの要請にこたえていただきたいと思うのです。  私は関連として一点だけ質問してみたいのですが、昨年アンプル事件が巻き起こされました直後に、このアンプル事件に関連して、厚生大臣は各製薬業界にどのような文書を何種数ぐらい出されたか。ひとつ項目別でけっこうですから、通達などをお出しになったはずですから、どういうものとどういうものとどういうもの、その内容はこれこれの内容だというひとつ説明を、項目別でけっこうですから、お伺いしてみたいと思います。
  29. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 昨年の冬起こりましたアンプル入りかぜ薬の事故のいわゆる前後措置としまして、私どものほうが各都道府県なり、あるいは関係メーカー等に指示をいたし、指導をいたしました点はたくさんあるわけでございますが、そのうち、おもだった点だけを申し上げますと、もちろんアンプル入りかぜ薬の使用の禁止ということはもう当然でございますので、そういう趣旨の通達は早急に出しております。それから、それに関連しまして、一般医薬品全体の問題としまして、薬の副作用ということについて一般消費者の方がよく理解をしていただく。そのためには、製薬メーカーのほうにおきましても、薬の副作用等については十分PRをする。たとえば、いわゆる効能書とか使用書等の適正な記載、そういうものを早急にするようにという通達が出ております。これはつまり副作用の問題、安全性の確保の問題でございます。これが一点でございます。  それから、第二点は、アンプル入りかぜ薬の使用なり生産の中止によりまして、関係メーカーにそれぞれ経済上の損失を与えないように、もし与えた場合にはこれこれの措置を考えているからということで、大体二点通達をしております。一点は金融上の措置でございます。それから、もう一つは税制上の措置ということで、税制上の損金に算入するとか、あるいは金融上、中小企業金融公庫、各県のそれぞれの融資の機関を通じて融資の道を開くというようなことを、大蔵省あるいは通産省当局とも相談して、しかるべき通達を全国的に出している。以上の二点が大体おもだった通達でございます。
  30. 森勝治

    ○森勝治君 禁止通達をするのは最終段階ですから、通達をする以前に製薬業界に対して、たとえば設備の不完全のなせるしわざという問題もあるから、そういう問題について設備が不完全ならば完備するようにというようなことの、口頭でも電話でも文書でも、いずれを問わず、そういう指示を与えたことはありませんか。
  31. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) はなはだ申しわけないのですが、当時私関係していなかったので、こまかい事情は承知しておりませんが、この事故が起きました直後、いわゆる製薬関係関係団体等に事故のてんまつ、それから、これからのあと始末、そういうようなものについて関係メーカーに対して十分注意していただくというようなことは、るる説明し、協力を願っているようでございます。したがいまして、いまお尋ねの、設備が不完全であるというようなことがもしかりにあったら、今後そのような点について十分注意してほしいというような点も、おそらく個々の具体的指示としてなされたかどうか、私確認しておりませんが、一般論としまして、今後十分製薬メーカー医薬品についての製造上の注意というものを十分遺憾のないようにやっていくということについては、当時としましては各メーカー側にPRをいたした、こういうふうに私承知しております。
  32. 森勝治

    ○森勝治君 その後段の点でありますが、何らかの示唆、指示、あるいは通達、そういう厚生省の立場で善処方を指示されたはずだと思うのであります。そのときに、その厚生省の示達に従って直ちに改善したところもあったと思うのです。ところが、いま言ったように、救済として、金融面、あるいは税制上のことで厚生省があっせんをされるというような案も出されておるわけですから、自力で改善のできない工場、事業所もあったと思うのであります。ところが、その厚生省の示達によって直ちに直した工場も若干あるやに私ども聞いておるのでありますが、直した直後になったら前のそのことは取り消したということで、朝令暮改をおやりになった、こういうふうに聞いておるわけであります。ですから、そう簡単に、厚生省業界に出したそういう改善方、あるいは全般の動きはもちろん含んでおるのでありましょうが、出しておいて、また二日か三日たったら、あれは設備改善しなくてよかった、あるいはこれこれの措置をやれといったが、これこれの措置はやらぬでよろしかったといって取り消しをされたように私どもは聞いておるので、そういう事実があるのかどうか。かりそめにも業界指導する立場でありますから、その業界を十分守るように善導されてしかるべきだと思うけれども、そういう点が朝令暮改をされたということであるならば、厚生省をばかにして、各業界厚生省の言うことを聞かなくなっちゃう。そうなれば薬というものの品位の問題についても効果の問題についても、また、世上とかく喧伝されるようないろいろな物議をかもすような品質の低下もまた招くようなおそれもあると思うのであります。したがって、厚生省みずからが業界指導するならば、指導するに価するような指導をしていただかなければならぬと思うのであります。ですから、当時はおらなかったから知らないと言われればそれまでですけれども、当時の記録がおありでしょうから、私も具体的なことは申し上げませんが、私が聞かんとするおおよその趣旨は御理解くださったと、山本先生の質問はさっぱりわからぬとおっしゃったけれども、私の賛同はよくわかるでしょう。山本先生は高度の専門家の質問ですが、私は低級なしろうとの質問ですから、しろうとが薬務局長の専門家に質問するのですから、あなた笑っておられるけれども、簡単におわかりでしょうから、ひとつ十分後日でもけっこうですから、きょうお答えできなければ、あとでいずれまたこの後も委員会が開かれるわけですから、その席上でけっこうですから、御調査の上、ひとつ御返答をいただきたい。
  33. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 個々の具体的な問題でございますので、私申しわけないのですが、当時のこまかい事情そこらあたりまでまだ十分承知しておりませんので、本日この委員会の席で御答弁はできないわけでございますが、ただいま先生の御指摘の点、私どもそのようなことがあったということであれば非常に遺憾なことでございます。今後またそのようなことがあってはならないわけでございますので、やはり厚生省と各医薬品メーカーとの間には、そこにどうしても一種の信頼関係がなきゃならぬわけでございますから、十分そういう点については今後配意をいたしていきたいと、かように考えているわけであります。
  34. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 本日は厚生省一般について、チブスの事件後の問題、あるいは、また最近たくさん赤痢が集団発生をしていますので、それに関連して、また、もう一つは、最近非常に食肉の管理ということに対しても、非常にハム、ソーセージの問題からいろいろ問題があるので、こういうことについて詳しくひとつ御質問さしていただきたいと思いますが、いま委員長からのお話では少し時間的なあれもありますので、それを時間があったらあと回しにいたしまして、先に私は看護婦の問題についてひとつ御質問をさしていただきたい、こう考えるわけであります。   それは、実は名古屋の保険医協会において看護婦学校が設立されておる。そうして、まあ御承知のとおりに、看護婦というのは全国的に非常に少なくて、医療機関もどこも看護婦がなくて困る。最近の新聞の記事を見ましても、あるいは療養所でベッドを減らしたり、あるいは、また、病院が看護婦がいないためにその機能を十分に発揮することができなくてベッド数を減らしたりするという現況で、あるいは看護婦の需給問題に対しては大きく世論として取り上げられておるわけでありますし、いかにして看護婦を確保するかということでいろいろな方面で苦慮されておると思うわけであります。同時に、また、厚生省におきましても、この問題についてはかなり高度の配慮をされておる、こう考えるわけであります。特にそういう意味から、今度の名古屋におきましていろいろ看護婦学校の問題についてトラブルが起きている聞いておりまして、実は最近ちょっとそのことでお話を承ったのでありますが、この問題についてひとつ厚生省のほうからいろいろ私のいまの問題点を御解明を願い、また、いろいろ御答弁を願いたいと思うのであります。特に私はここの中で、愛知の医師会におきまして、県医師会及び市の医師会で三カ所の看護婦学校を経営しておられる。それでありながら、また、保険医協会のほうでは、保険医協会として今度看護婦学校を設立された。その間の問題をずっと聞いて見ますと、やはり保険医協会に属しておられるところの先生方に対して、何か県医師会で行なっておるところの看護婦学校に対しての入学を制限したり、あるいは、また、そこを出た人の需要については比較的ハンディキャップをつけるという、何か医師会間のトラブルといいますか、何かそういうものがあったのじゃなかろうかと、そういうことによって保険医協会に属しておる人はいよいよ看護婦さんに困ったので、非常にいろいろなことを考えて、雇用促進事業団あたりからお金を借りて、そうして保険医協会で看護婦学校を新設され、しかも、百二十名という定員でこの四月から募集をされておる。そして、それに対する許可申請をされておるのに対して、なかなかうまくそれが進まない、こういうような問題を私ちょっと聞いたわけでありますが、そういうことにつきまして厚生省のほうでどのようにこれを把握しておられるか、どのように話し合っておるかということについてひとつお聞かせを願いたいと思います。
  35. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 御指摘のように、全貌につきましては、ただいまむしろ大橋先生からお話があったような状況でございまして、事の起こりは、もちろん看護婦不足の問題であろうと思います。これに対しまして、特に名古屋市の医師会の中の会員を主体とする保険医協会のほうで、主として九州、あるいは東北地方に看護要員の募集を行なっておりまして、一方、県医師会も同じような方法で看護婦の募集を職業安定所を通じて行なっていたようであります。で、両方が現地でしばしばかち合うというようなこともございまして、看護婦の募集というものを一本化しようじゃないかという話が大体三十九年ごろに起こったようでございます。で、四十年の初めになりまして、両方で調整をしようということで、県の衛生部が仲裁に入りまして、一本化しようというメモをつくったようでございます。そのメモは、募集は一本化しよう、そして待遇その他についてもある程度の協定をしようということであったようでございますが、そのメモの解釈に両派で多少意見の違いがございまして、県医師会側と保険医協会側で、メモに書いたことばの解釈に意見の相違があったということで、市医師会としては、いわゆる一本化しようという方法について検討をするということを申し合わせたのであるといい、県医師会のほうは、一本化することにきまったというふうに了解したというふうな食い違いがございまして、現実に四十年の募集がそれぞれまた独自に行なわれたという形でございます。しかも、ただいまも先生からお話がありましたように、募集をしてまいりましたいわゆる見習いといいますか、それは主として開業の先生方の手元で住み込み等の形でお使いになって、そうしてこれを准看の養成所に通わせようという方法でございます。したがって、募集する際の条件といたしまして、准看護婦養成所に通わせるということが条件で募集をいたしておるわけでございます。ところが、県医師会の開設いたします養成所は十一カ所でございますが、実際に集まってくる者が養成所の定員の倍以上でございます。したがって、保険民協会が募集してまいりました見習いの方々を児の施設に入れようと思っても、すでに県の、医師会で募集している者が二〇〇%以上にもなっております関係上、なかなかうまく入れてもらえない、そういうことから、ただいまお話のように、労働省のほうからのお金を借りまして養成施設をつくった。さて、つくって、建物は本年の春にできたわけでございますが、この准看養成所の認可の要件でございます実習施設の選定がなかなかできなかった。この実習施設の選定につきましては、保険医協会側がそれぞれ自分の関連するところを日当てにして交渉をいたしましたけれども、交渉して内諾を得ると、あとから直ちにまたお断わりが出てくるというような状況、まあそのお断わりが出てくる裏には、県医師会側が養成所の実習施設を引き受けるなというような示唆をしたというような風評でありますか、あるいは事実でございますか、そこら辺のところは私も正確に存じませんけれども、事実として断わられたということが繰り返されまして、そのために、どうしてもこの四月に開校すべき保険医協会の養成所は認可できない。そこで、また衛生部長が中に入りまして、県医師会と保険医協会の間で話し合いをつけていただこうということで、この春以来繰り返してあっせんをいたしたようでございます。しかし、そのあっせんもなかなか成功せずに、さらに国会議員の先生方もいろいろその間にお入りになってあっせんの労をとられたようでございます。しかし、それでもなおなかなかうまくいかない。ということは、数年来の対立感情といいますか、それが非常に元になっておりまして、どうしても感情的な融和ができなかったようでございます。しかし、それではせっかく応募してきた約百二十名の見習いの方たちが入る場所がない、もう早急にこれを解決したいということで、両方ともある程度歩み寄りまして、昨日私が県から伺いました情報では、大体話し合いの方向にきまった。といいますのは、実習指定病院をいままで断わっておりましたけれども、今度国鉄の名古屋病院、守山市民病院並びに医療法人の笠寺病院という三つの病院が実習施設を引き受けましょう、それに対して従来とかく県医師会のほうで妨害したといわれておりましたのが、県のほうも妨害といいますか、苦情はつけないというようなことで、大体この線でまとまるのではなかろうかという情報が入っております。そういう意味でたいへん長い間紛争を続けておりました准看護婦養成所の認可の問題も、大体めどがついたというふうに存じております。
  36. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いま局長から話を聞きますと、笠寺と守山、あるいは、また、鉄道病院と、この三つが大体実習病院を引き受けたという、それは引き受けたのでありますか、引き受けてないのであるか、私の聞いておりますのでは、なかなか引き受けてもらうためにいままで非常に問題があった。特に市の衛生局長の川辺局長も中に入って、そうして守山病院が市の病院であるためにあっせんの労をとった、しかも、きのうの段階ぐらいでは、名刺を出して、そうして守山の院長に、せいぜいそれを努力するようにというようなふうなことを申し上げた。だからして守山の院長も、それで自分の個人の責任では困るから、今度は県の衛生部長のところで川辺局長立ち会いのもとに判こを押してもらいたい。同時に、守山だけではなくして、鉄道病院のほうも同時に参加をしてほしいというようなふうな話が進んでおるやに聞いておるわけでありますが、ただいま局長からいえば、大体その方向でいけるというお話でありますが、それがいけば私はけっこうだと思うのであります。その辺のところをもう少し明確な話をしてもらわないと、せっかくこの話を私が伺ってもあいまいに、なるだろうではいけない。特にいままでの話を聞いておりますと、厚生省のほうの側からも、非常にこういうことに対してはできるだけ学校を認めようという線であり、ことに、また、現地の児の衛生部長もその方針で進んでおっていただいて、非常に好意的であるという話は聞いておりますので、私もそういう点からは非常にけっこうだと思っておるのでありますが、その間、その話が進んではくずし、くずしては進むということで二カ月を経過しております。同時に、話を聞いておりますと、その衝に当たっておる医者の人たちも熱心にかけ回っておる現状で、私は、むしろこういう状態で置いておくこと自身が、非常に看護婦の足らない時期であり、また、国民の医療を守る点からいっても非常に重要な問題である、こう思って実はきょう質問さしていただいたわけです。いま局長のおっしゃるように、明確にいけるということであればそのほうがありがたいと思うのでありますが、もう一度そのところを明確に御答弁願いたいと思います。
  37. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 御承知のように、この数カ月、准看養成所の認可のための実習病院を決定するのにつきまして、保険医協会側から幾つかの病院に折衝いたしまして、内諾を得るという段階までこぎつけますと、一日あるいは二日、あるいはすぐに追っかけて、あの内諾は取り消しだというような事態を繰り返してまいったのでございます。そういうようなことで紛争がなかなか解決しなかったのでございますが、昨日私が入手いたしました連絡によりますと、このたびの三カ所の病院は内諾はしたと、これについて、従来、このあとでまたすぐ内諾の取り消しが起こるのが例であったのでありますが、今度はそうはならないであろうという見込みである。したがって、県といたしましても、申請が正式に出ればこれを認可する方向で検討しようという段階であるというふうに承っております。
  38. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 たいへんどうもそういうふうに運んでいただけるならば私は非常にけっこうだと思います。しかし、いま局長おっしゃったように、次から次にまた内諾がくずれてきて、もとのもくあみになるといういままでの何回かの経験がありまして、非常に不安がられておると思います。だからして、局長のほうではもう一歩進めて、これにいつごろ判こを押してはっきりととり進められるかという見通しはおありであるのかどうか、いわゆる内諾だけでなくて、実際に判こを押すということはどういうふうになっておるか、もう少し話を進めていただきたい。
  39. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 従来は、いわゆる内諾という問題がすぐにひっくり返ってしまったということがございましたが、今度の場合は大体いろいろな方々が中に入られて、そうして大体この病院とこの病院に引き受けてもらおうということで話が落ちついたようでございますので、今度の場合は、直ちに追っかけて内諾の取り消しがくるというようなことではないようだと、したがって、正式の書類といいます場合には、正式の書類には内諾でなしに、承諾をしたという形式が整った書類が出てきて初めて認可の手続に入るわけでございますので、いわゆる内諾でなしに、今度は形式的にも承諾書という形のものが認可の申請書に添付されて出てくることと私どもは予想しているわけでございます。
  40. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そのようになりますればたいへんけっこうでありますが、特に私要望さしていただきたいのは、局長のほうから、どうかひとつ現地の衛生部長のほうに対しても十分そのアドバイスをしていただいて、こういうトラブルがいまのような形でおさまるように、ひとつ早くその承諾書類をつけて申請をして、そうしてともにやはり看護婦教育のために実績をあげて、看護婦が正規の教育を受けて、りっぱな看護婦がたくさんできて、そうしてこれが供給されるような運びにひとつ運んでいただきたい、これをひとつ十分にお願いをしたいと思います。  それから、私は、ここでもう一つつけ加えて質問させていただきたいのは、看護婦養成所というものの規定でありますが、私は私なりに多少は存じているわけでありますが、大体どういうふうにして指導をされているのか、いわゆる看護婦学校の定員というものはどういうところの割合で定員が計算され、いまどういうようにしてやられているのかということをちょっと聞かしていただいて、それについてちょっと私質問さしていただきたいと思います。
  41. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 定員がどういうふうにきまるかということは、養成施設側が大体この程度の定員で養成施設を開こうという意思できまるわけでございまして、何名でなければならぬというような規定はございません。通常は大佐三十名ないし四十名を単位とするということが一般の教育効果という点から見ましても適当であろうということで、看護婦等におきましては大体三十名ないし四十名、公立等の機関におきましては大体その程度を標準にいたしております。それに対して准看護婦の養成所のほうは比較的規模の大きいのが普通でございまして、五十名、六十名というのがしばしばあるわけでございます。  なお、今度の場合の愛知県下におきましては相当一五〇%、二〇〇%というような定員超過をして養成を行なっているところもございますので、それらについては教育効果、あるいは実習上の設備等から見ましても、著しい定員超過等のないようにということを現地の看護担当者を通じて指導いたしておるわけでございます。
  42. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それについてでありますが、名古屋のほうの愛知県の医師会でやっておられますのをちょっとこの間聞いたのでごさいますが、定員は、第一、第二、第三の准看護婦養成所を持っている。第一の養成所では定員が二百名のところが、実際はいま現在は二百四十四名の准看護婦が教育を受けている。第二では、やはり百二十名で二百四十名おる。第三の准看護婦養成所では夜間が許可を受けて、六十名定員のところを百四十人。それから第三の昼間に許可なくして百二十六名収容している。それから、また、最近の情報では、数日前にその医師会のほうから急に通達が出て、百二十名を夜間に追加募集をする、そして七日の日までに募集をして、何か七日の日に試験か何かして、八日か九日ごろ開校するという。パンフレットが出ているとなると、夜は百四十名のところを百二十名加えて二百六十名、定員六十名のところに夜間を施設するのだということをいわれているようだが、こういうことを考えてみると、いまおっしゃいましたように、定員の設置の基準なんかもあると思います。たとえば実習ベッドが定員の倍ほど要るとか、私の存じている範囲ではまだ不確実かもしれませんが、教室がいままでの名古屋の愛知県の医師会の准看護婦学校の規模においても十二教室が要り、あるいは教務主任が十二人専属の人が要るとか、いろいろな規定があるはずでございます。こういうものから考えてみると、非常に定員オーバーもはなはだしいし、現在県医師会がやっておるのを夜間六十名のところに百四十名を収容して、なおそこに今度は急激に百二十名を追加して募集するというような、こういうやり方では私は看護婦の教育というものは少々でたらめになっているのじゃなかろうか、こう思うわけです。その点はどんなふうにお考えでしょうか。実はこういう点で考えて、一体この看護婦の教育機関というものも、ある程度の範囲をあまりにも逸脱している。またほかの府県にもこういうものがたくさんあるのではなかろうかと思いますが、とにかく愛知児の実態というものはちょっと見ただけではよくわからない。それできょうはひとつ委員長にもお願いしたいと思うのですが、この社労委員会でこういう実態調査をして、そしてその教育というものがどういうふうにあるべきかということを一ぺん調べてみる必要があるのではなかろうか。あるいは祉労から現地調査をするのがむずかしければ、あるいは現地からそういう人を参考人として呼んでいただくか、何らかの形で実情を調査する必要があるのではなかろうかと思うのですが、そういうことを委員長においてもひとつあとからお取り計らい願いたいと思うのです。厚生省局長のほうに対してはこれについてのお考えをひとつ伺って、その後に委員長のほうで、あるいは、また、理事会のほうでひとつお取り計らいを願えたらありがたいと思うのです。
  43. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいま御指摘ありましたように、名古屋市における准看護婦の養成所が非常な定員超過をしておることは事実でございまして、私どもも、この点につきましては、県当局を通じまして、非常に著しい定員超過は是正するようにということを申しております。ちなみに、ほかの県にもいろいろあろう、こういうことを申されましたが、ほかの児にも多少の定員超過はございます。しかし、名古屋の県医師会と名古屋市にあります准看護婦養成所は、これはもう全く異常なくらいの定員超過をいたしております。  隣の三重県等におきましてはきちんと定員を守って、試験をして定員だけを入れるという形をとっておりますにかかわらず、隣の名古屋市及び愛知県が非常な定員超過をやっておりますのは、結局先ほど来も話がありましたように、県医師会と市を中心とする保険医協会とがそれぞれ別々に看護婦見習いを九州あるいは東北の現地に行きまして募集をしてくる。募集する要件に、必ず准看護婦養成所に入れてやるということを約束していってまいります関係上、試験をいたしまして落とすということになりますと、その募集の契約違反というようなことになって、県もあるいは保険医協会も、お互いに募集した人間に対してどうにもメンツがないというようなことから、やむを得ず試験はするけれども、全部入れてしまうというような不合理なやり方をいたしております。それも一本でやって、一本で募集し、そしてそれぞれ試験をして能力がなければ落とすというような約束でもしてあればいいのでございますが、両方が競争してやっております関係上、一方が落とすということになりますとそのほうの集まりが悪いというようなことから、この保険医協会と県医師会との競争が結局こういうところに悪影響いたしてまいりまして、結局ほとんど無試験と同様、試験はいたしておりますけれども、事実上落第者を出さずに全員収容するというような形になりましたためにこのような事態に立ち至ったわけでございまして、これらの点につきましても、ただいま問題になっております保険医協会の養成所も定員六十名で申請が出ておりますにかかわらず、募集してまいりました見習生は百二十名ないし百三十名、したがって、定員に対する二〇〇%以上の収容ということになりかねないのでございます。このような状態は、県医師会側のやっております准看養成所の中にも同じような例があるわけでございまして、これらのことは、ただいまのこういう両団体の紛争ということが大きな遠い原因になっておりまして、一挙にはなかなか解決できないかもしれませんが、これらの点も、それらの、両者の話し合いということを契機にいたしまして、何とかいい方向へ持っていきたいということで、これも県衛生部にそのような指導をしているわけでございます。
  44. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 先ほど大橋委員からの御要望は、この社会労働委員会として実情を調査に行くことが第一、それができなければ参考人を呼ぶなりして実情を調べる、こういう御要望でございますが、その件につきましては、後ほど理事会におはかりしていたしますから、御了承いただきたいとおもいます。
  45. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それで、もういろいろお取り計らいを願って、理事会のほうでお取りきめ願えればたいへんありがたいと思います。  同時に、また、最後に一つ局長のほうにお願いしておきたいのは、最も看護婦の少ないときでありますので、そうしていろいろ内紛があるにしても、県の医師会並びに保険医協会で、そうした相当の私財を投入して学校を経営していこうという意欲に燃えているのは、これはやはり看護婦が少ないからいろいろそういうふうにまで起こってきた問題だと思うわけであります。私は特にこの際お願いしておきたいのは、もっとやはり基準がございましょうから、基準に合うようにできるだけ指導をしていただいて、百二十名であれば百二十名のような施設を持つように、あるいは、また、うしろ向きで滅らそうという行き力でなくして、ふやしていくことに対してのいろいろな建設的な指導をしていただいて、そうしてこれを実際聞いておりますとあまりにもむちゃだから、これもひとつ調査さしていただきたいということでいまお願いしたわけでありますけれども調査する一面、やはり指導をして、できるだけその基準に合うような方向で施設を拡充し、あるいは、また、そういう要員、先生あたりを拡充して、そうして看護婦の養成がフルにできるような方向にひとつ御指導をいただきたいと、こういうことを申しまして、私のこれについての質問を終わらしていただきます。  時間があれでしたら続いて……。
  46. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  47. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こして。  暫時休憩といたします。午後二時に再開いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後二時十四分開会
  48. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、厚生行政に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  49. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 午前中に引き続きまして、厚生大臣に、厚生行政の問題について、特に公益質屋の問題について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  いま実は厚生省社会局生活課のほうから公益質屋の実態の調査表をいただいたのですが、そこで、まだ資料を実調べておりまするので、全体ヘ目を通していないのですが、ちょうどいま手元に厚生省で発行いたしておりまする厚生白書があるのですが、この厚生白書の「公益質屋」の項に、三十八年度の公益置屋の収入が四億一千四百一万円、支出が六億三千二百七十三万円、差し引き約二億一千九百万円の赤字を出しておると、こういうふうに白書に書いてあるわけです。で、この実態調査にも、これは三十九年度まで出ておりますから、三十九年度の赤字はこれはどこかに出ておると思うのですが、四十年度どの程度の赤字が出ておるか。それがもし大臣のほうでわからなければ社会局長のほうからでもけっこうなんですが、御説明していただきたい。
  50. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。  いま御指摘の三十八年度のこの赤字に関連しますが、三十九年度は全国で収入が三億九千二百十四万円、それから支出が、人件費その他を一切含めまして六億一千三百二十二万円で、合計しまして、差し引き赤字が二億二千百十七万円、こういう数字に相なっております。四十年度につきましては、先生からお話ございましたが、年度が経過しまして、毎年なるべく早くということでありますが、大体六月中にまとめておりますが、ことしは六月の二十五日までに府県を通じて全部五百七十の公益質屋の集計表が厚生省に出てまいるという状況でございますので、あとここ一カ月後にまとまった数字が出る予定でございます。
  51. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 私は三十七年に決算委員会で公益質屋の問題についてお尋ねしたことがあります。そのとき、当時の厚生政務次官でありました渡海君が、積極的に前向きの姿で公益町屋の問題に取り組み、検討し、改正すべきものはしていきたいというふうに答えておるのですが、一体その後厚生省は、全国に約五百から六百ありまする公益質屋の実態について、どの程度前向きで処理をされているのかを実は疑うわけであります。  そこで、実はきのうきょう、岡山で全国の公益置屋の総会が開かれておることを実は聞いておるのですが、ぜひ社会局長には来てもらいたいという要請をしたそうですが、どういう用件があったか知りませんけれども、課長補佐が行っておるようであります。社会福祉の中で重要な役割りをいたしておりまする公益質屋について、そういう態度では私はいけないのではないかというふうに思うのですが、そのことは別にしまして、これは社会局長にお伺いいたしますけれども、いま私がもらいましたこの厚生省の実態調査を見ますと、二の項に年次別結果の概要が出ております。そこで、その概要によりますると、公益質屋の総数は、三十七年度七百七十三、三十八年度六百八十八、三十九年度は五百九十になっておりまするが、厚生白書によりまするとその数字が実は違うのです。厚生白書によりますると、この厚生省の出しました私にくれました概要の三十七年、三十八年、三十九年を見ますと、三十七年厚生白書の質屋の数は八百七になっている。ところが、この実態調査では七百七十三になっておる。三十八年度厚生白書では七百五十六になっておる。ところが、実態調査では六百八十八。まあ三十九年度はもちろん出ておりませんが、したがって、三十七年度の場合に三十四の開きがあります。三十八年度で六十八の開きがあります。厚生白書が正しいのか、あるいは皆さんのほうで現実においてお調べになっておるこの実態調査が正しいのか、どっちが正しいのですか。
  52. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。  これは注釈をはっきりつけるのを、まあ簡単に計数だけつくったわけでありますが、実際はこういうことでございます。「公益質屋」、このお手元に差し上げてあります四ページの三十七年度の七百七十三、それから三十九年度の五百九十、この間に百七、八十の差がございますが、ここにありますのは、現実に貸し付け業務をやっておる当該市町村の公益質屋、あるいは社会福祉法人の公益質屋というものでございまして、厚生白書のほうにつけましたのは、正式に地方自治体、いわゆる都道府県のほうで認可をしておって、また、活動は停止しましたが、実際に認可取り消しが行なわれておらない、いわゆる事業活動してないが、事業活動はすでにやめておりますけれども、公益質屋という認可されたものがまだ取り消しにまで至っておらない、こういうふうな数字を入れましたので、実際の活動をしておるものと法形式上残っておるものとの差の食い違いでございます。私のほうの休止中のものの調査が不十分でございましたが、そういう事情でございます。
  53. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 局長はこの資料お持ちなんですか。
  54. 今村譲

    政府委員(今村譲君) 持っております。
  55. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 四ページでなく、三ページなんです。したがって、総数は変わりませんけれども、三ページには注釈がついております「休止中のもの別掲」と書いてあるのがありますから、いまおっしゃったのは休止中のものなんですね、そうですか。
  56. 今村譲

    政府委員(今村譲君) そういうことでございます。
  57. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 そうしますと、まだ食い違いがあるわけです。厚生白書と実態調査との差は、三十七年度の場合三十四になっておる。ところが、休止中のもので別掲にかかるものは三十八なんです。三十八年は、厚生白書とこの実態調査の総数とは六十八の食い違いがあるのです。休止中のものとして書かれておるものは七十七なんです。この食い違いはどうなるんですか。
  58. 今村譲

    政府委員(今村譲君) ただいまの点、三十七年度につきましては、休止中のものがこの表では三十八とありますが、白書は三十四で、四カ所の違い。それから、三十八年度では六十八、白書と違いますのが、この表で七十七というのは休止中のものであって、報告書の提出期限までにこなかったものというものがあとから追加というよりも、そこで締めた計数を書いておりますので、この四とか九という数字が違ってまいりますが、そこのところはもう一ぺん正確なものを積み上げて報告申し上げたいと思います。
  59. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 これはあとでお尋ねしたいと思うのですが、いま局長は、四十年度の実態調査は六月じゅうにということでしたが、公益質屋は金融機関なんですね、ある意味において。金融機関の決算が三月末でできておるのが六月じゅうでよろしいと、そういうふうなことで一体こういう事業が円滑にいく、健全に行なわれれるというふうに考えていらっしゃるのですか、その点はどうなんですか。ただいま私が聞きました総数の問題につきましても、そういうずさんなと申しますか、あるいは調査のおくれているというようなことをそのままにしておいて、そして金融機関としての性格を持っておる公益質屋をながめておる、あるいは監督しておるというふうなことでは、これはもう前向きどころでなしに、全くうしろ向きであるか怠慢であると思うのですが、その点はどうなんですか。
  60. 今村譲

    政府委員(今村譲君) 仰せのように、まあ公益質屋法という単独法に基づきますいわゆる法的な質屋業務を行なう施設ということで、法律の監督規制下にあるわけでございますが、本来からいいますと、銀行のように、非常にがんじがらめであって、一定の主務大臣がきめる貸借対照表を添えていついっかまでに出しなさいというように、非常に厳格でありますが、現在の公益質屋法におきましては、ほとんど実際の面は、都道府県知事に、認可なり、あるいは貸し付け限度額の設定などを知事のほうにまかしてあるという状態で、銀行ほど厳密な規制を中央でしないというふうなたてまえになっておりますが、おっしゃいますように三月三十一日、したがって、四月の少なくとも半ばぐらいまでにすぐ出せ、こういうふうなかっこうにいたしたいと思いますが、都道府県の集計業務や、あるいは公益質屋も人が非常に少ないものですから、その辺のかちっとしたものができ上がるのが若干ずれるということで、極力督促をいたしておる状況でございます。できるだけ今後早く報告がとれるようなことにいたしたいと思います。
  61. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 局長を責めるわけではないのですが、私はそういう姿勢で公益質屋を扱っておられるところに問題点があるのじゃないかと思います。あなたのほうで監督されております消費生活協同組合の三月の決算が済みましたら、大体五月一ぱいに全部総会を開いて決算報告して、明年の事業計画を立てているわけです。公益質屋の場合もそのとおり立法されているわけです。少なくともあなた方のほうでほんとうに指導の態勢を持たれるなら、三月末に決算したことは四月の初めか半ばごろにはおそくも決算ができるわけです。それをあなたのほうで六月一ぱいでいいと言っているから、監督に対する指導性は全くないのだというふうに私は考えざるを得ない。だから、その点はひとつ宿題にしておきます。  そこで、私は厚生大臣にお伺いしたいのですが、この白書によりますると、公益質屋の項で、「公益質屋は、低所得階層に対する簡易にして迅速な庶民金融機関であり、低所得階層対策としての公益性を十分発揮しうる質屋を確立するため」云々と書いておるのですが、一体この公益質屋法、あるいは白書が示しておりまする低所得階層とはどの程度のことをさしておるのか、その点をひとつ大臣にお伺いしたい。
  62. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 公益質屋を利用しております低所得階層、これは生活保護を受けております世帯でありますとか、あるいは、また、市町村民税の均等割りしか納めていない階層でありますとか、大体国民全体の十分位の一千万人ぐらいの方々が低所得階層、こういうぐあいにども認識をいたしておるのでありますが、実際に公益質屋を利用いたします方々はいろいろな生活上の事情、あるいは急に病気をいたしますとか、いろいろな不幸に見舞われるとか、そういうような事情にある方々がこの公益質屋を利用するのではないか、このように考えておるわけであります。ただ、近年公益質屋を利用する方がだんだん減少している傾向にあるのであります。このことはどういう事情か、私どももいろいろ検討をいたしておるのでありますが、医療保険制度が非常に普及をし、国民生活の中に定着をしてきた、こういうことも言えると思うのであります。また、月賦販売制度というようなことで、急に金の必要に迫まられる、支払いに迫られるというようなこと等も、この月賦販売制度等によって幾らか事情が変わってきている、そういうことも言えるのではないか。また、さらに世帯更生資金の貸し付けを一方においてやっておるのでありますが、世帯更生資金の利用者が非常にふえておるのであります。こういうようないろいろな事情が公益質屋を利用する方々が減少をしておる原因のおもなものではないだろうか、このように考えておるのでありますが、佐野さんが御指摘になりましたように、きわめて簡易で迅速に庶民の方々が利用するところの一種の金融機関でございますから、私どもは、この公益質屋の育成ということにつきましては、今後とも十分配慮いたしていきたい、こう考えております。
  63. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 いま大臣からお話がございましたように、公益質屋を現在利用しておるものはいろいろな層の人が実はあると思うのです。ですから、いわゆる低所得者層、その人たちが利用しておるのでなしに、中級のサラリーマン、あるいは小企業者が多くこれを利用しておるというのが最近の実態だと思います。そういうふうな実態を一体社会局長は御承知なんですか。どうですかその点。
  64. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。  いまおっしゃいましたように、三十九年度の利用者の、いわゆる職業別に申しますと、給与生活、いわゆるサラリーマンというのは、全体で二百八十九万人ということでありますが、サラリーマンが百三十二万、全体の四六%弱、その他の日雇い者とかいろいろな関係の人というのが約四十万人、一三%、中小の商工業者が、五十八万人、全体の二〇・二%、農林漁業関係が少なくて八万人、こういうふうな数字でありますので、おっしゃいますように、サラリーマンなり中小商工業者なり、必ずしもほんとうのぎりぎりの意味の低所得階層ということではございません。やはり不時の支出なり何なりというときに相当の程度の人も来られる。しかも、世帯更生資金あたりは、やはりいろいろな審査機構を経ておれば十日や三週間かかり、とても間に合わないというので、すぐに公益質屋においでになるという場合も相当あるかと思います。したがって、私どもとしましては、ほんとうの何といいますか、いま大臣が申されましたように、臨時緊急に間に合うというかっこうにして、いつでも手軽にできる資金源というような意味におきましてはこれの拡張をできるだけ早くやっていきたい、こういう気持ちでございます。  もう一つ利点は、世帯更生資金なり何なり借りる場合には、やはり家庭の事情とか何とかを民生委員さんなどに話をしなければならない。ところが、公益質屋になりますと、一々家庭の事情みたいなことは言わなくてもすぐに貸してくれるというので、非常に気楽に借りられるというような問題があります。そういう利点もあわせてこの公益質屋制度というものを伸ばしていかなければならない、こういうふうに思っております。
  65. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 いま局長からふうに適切なと申しますか、実態に合ったお答えがあったのです。そうしますと、この厚生白書には、すべての低所得者層に対する、あるいは低所得階層のためのというふうな表現と申しますか、考え方は、今日の公益質屋にはもう前時代的である、少なくとも帰納的な見方であるというふうにお考えになっているわけですね。少なくとも、公益質屋が生まれましたのは昭和二年です。当時は、おっしゃるように、低所得者のために、民間質屋で苦しむのでなしに、公益の質屋において安い利息で貸し付けしているということはあったと思うのですが、今日ではすでにそういうふうな発足当時の事情とは変わってきておるということはお認めになっておるのですね。
  66. 今村譲

    政府委員(今村譲君) これはいま申し上げました趣旨は、厳密な厚生省が普通考えております、いま大臣言われましたように、十分位階層といいますか、全国民を十に切って、一番下の約一千万というようなのを一般的に私たち考えておるのでありますが、必ずしもそれだけに限定されるのでなしに、相当それぞれの事情によってそれよりも上の階層の人もくることもあり得る、こういうことでございますが、やはり特別の立法をして、たとえば民間の質屋が九分というときに三分に抑えるとか、あるいは流質期限がどうこうと、いろいろな制約をつけて、しかも、地方公共団体にやらせているというので、普通の民営質屋と違いますような特別の規制を加えて、それから、それに対しては起債なり地方公共団体の費用なりというものを使って、なるべく資金コストを低くあげるということで、やはりその対象たるものが、いわゆる中級以上の人方じゃなしに、下の人方で、生活が苦しいから、それに対して公共的な資金をつぎ込む、公共的な規制を与えていこう、こういうことでございますので、低所得の概念をどこまでとるかという問題は別としまして、やはり相当以上の人方に対する施策ではなしに、下のほうの人方に対する生活援護、経済援護の一つ社会福祉施策である、こういうふうに実は考えておるわけであります。
  67. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 低所得者のための利用施設としての公益質屋の意味は、おっしゃるまでもなく、わかっているわけです、それで発足したのですから。しかし、実態は、いま局長自身も言われたように、少なくとも、利用している者の七、八〇%はサリーマンである、あるいは小企業者である、こういうことになりますると、そういう人たちのための時代に合うような公益質屋のあり方をこの際は検討しなければならぬのじゃないか。それが検討されないから、そういう対策が立てられないから毎年何億もの赤字が出てくる、そういうことになるのじゃないですか。その点どうですか。
  68. 今村譲

    政府委員(今村譲君) それはおっしゃいますように、最近ぎりぎりの低所得階層というものよりは、もう少し上の、いわゆる中間階層といいますか、そういうふうな階層に対して公益質屋の資金が十分に貸し出しができるようにということもわれわれいろいろ検討いたしております。ただ、問題は、そういうふうに公共資金をいろいろ貸し付け限度額を相当上まで伸ばすというふうなかっこうになりますと、ちょっとなかなか言いにくいのでありますが、民営質屋関係が一万七千軒ほどございます。厳密に警察庁の保安課の調べによりますと、三十九年度末で一万七千六百四十六民間の質屋さんがおられます。その辺との、何といいますか、バランスといいますか、急に民営圧迫というかっこうでも困るから、われわれのほうとしては低所得階層中心にして、ある程度これとの表価的なぶつかり方をなるべく少なくしていきたい。といって、いつまでわれわれのほうとしては、現実の用に立たないような小さな資金しか貸さぬということではございませんけれども、その辺も考えながら、逐次いろいろな制約条件を上げるという方向で進んでいきたい、こういうふうに苦慮しておる次第であります。
  69. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 いま民間の質屋の問題が出たのですが、いずれ私はこの問題についてゆっくりお尋ねもし、当局を含めまして検討いたしたいと思いますが、そこで、いま出ました民間質屋の問題、今日の民間質屋が一万七千ある、その一万七千ある民間質屋は、その民間質屋としての役割りにおいてやはり社会の生活に貢献しておると思う。したがって、民間質屋に対しても、育成助長の立場から厚生省としてはやはり考えていかなければならぬと思うのですが、民間質屋が高い金利で八分も九分も金利を取っているということはいろいろな事情があると思うのですが、少なくとも、資金難ということが一つの大きなウエートを占めていると思う。そうしますと、いろいろ政府が厚生行政をやる上において、民間質屋が果たしておる役割りをすなおにお考えになるならば、民間質屋に対してもある程度の援助をしてやるような、あるいは利子補給の形をしてやるようなことをしなくてはなかなか民間質屋は立ち直っていかないと思うのですが、そういう点について今後検討される用意がありますかどうか、ひとつ大臣からお伺いしたいと思います。
  70. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 民間の質屋も、これも庶民金融の上で相当の役割りを果たしておるのでありまして、これらを育成と申しますか、援効いたしますために、たとえば財投資金を一部融資をしてやるようなことを考えたらどうかとか、利子補給をしたらどうかとか、いろいろ要望もあるわけであります。私ども、公益質屋の育成の問題、これを第一義的に考えながら、それとの関連において民間の質屋をどういう形で政府が援助するか、こういう非常に微妙な問題もございますので、十分慎重に検討いたしたい、かように思います。
  71. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 これはいなかのほうではたいしたことはないと思いますが、東京もそうだと思うのですが、大都会ではいわゆるサラリーマン金融と称する、いわゆる町の高利貸しが非常にはびこっておるというか、繁盛いたしております。私は神戸の各事業所を知っておりまするけれども、その事業所でやめていく人の大体半分くらいは、やみ金融、いわゆるサラリーマン金融に依存しておって、知らぬ間に雪だるま式に利息が高まってきて、初めに借りたものが一年か二年の間に二倍になった、三倍になった。しかも、追及がはなはだきびしい。そこで、やめて退職金で勢いそれを支払うというような傾向が実は顕著になってきておるわけです。そういうふうな実態をどのようにお考えになっているのか知りませんけれども、少なくとも、それらは五分から八分、あるいは一割二分というような金利を取っております。また、民間の質屋のほうの表は九分といっておりますが、実際は八分であり、七分であるから、まだその質屋のほうが安いのですが、まだもっと高い金利でやみ金融に取られておる。東京でも手軽に貸しますといって宣伝をしておる。こういうものをほうっておきますと、厚生省の線でなしに、大蔵省かもしれませんけれども生産にも非常に大きな影響を与えておるわけです。私の知っておりますある電鉄会社ですけれども、給料日になりますると、ほとんど職場の人がいなくなっちゃう。それは給料日にはやみ金融の職員が催促にくるものだから逃げちゃう。そうして一日か二日隠れておって、あとこれだけでしんぼうしてくれということになるので、運転者もたいへんなことになるというので整理をしたことがありますが、そういうふうな不都合な現象が大都会ではどんどん出てきておる。これを除去するためには本人自身が自制しなければならぬですけれども、実際はそうはいかない。そういたしますと、厚生行政の面で、そういうふうなものに利益にならなくても済むような方法を考えなければならない。そのためには民間質屋に対してはある種度の援助が必要でしょう。特に昭和二年に生まれまして、すでに六百からある公益質屋に対して、もっと強力な指導厚生省としてはしなければならぬと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  72. 今村譲

    政府委員(今村譲君) いまお話のありましたように、何といいますか、正規の貸し金業者じゃなしに、パーソナルといいますか、やみ金融でサラリーマン相手にやったり、高利で貸すという実態はいろいろ聞くこともあります。極端にいいますと、ほんとうに生活の被保護者なんかにさえも時には金を貸してものすごい高利をむさぼるというふうな事例すらもあるということも聞きますので、少なくとも、福祉事務所で掌握します被保護者、あるいはほんとうのボーダーラインの人方というものについては、よく民生委員なんかを通じて、そういうことのないようにということで気を配らしておりますが、いまおっしゃいますように、基本的には例の「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」ということで、日歩三十銭というような法令がございますが、それに基づく相当思い切った取り締まりをやっていただかないと、むしろ低所得階層は被保護者というふうなかっこうなので、これは大蔵省その他にいろいろ事情を話して訴えてはおりますけれども、なかなか現実は一気にそれがなくなるというかっこうにはならないと思います。できる限り私どももそういう弊害のないように、警察なり大蔵省なりということをやっていきたいというふうに思います。ただ、そういうふうな家庭で、どうしてもサラリーマンで臨時に不時に金を借りなきゃならない、医療費なりなんなり。医療保障制度が完備しつつあるといいながら、いろいろございます。そういうふうな場合に、先ほど大臣からお話がありましたように、世帯更生資金というのが、御存じのように、民生委員さんの手で貸し付けをやっております。そういうふうなもので、そっちのほうはちょっと時間は一週間なり十日なりかかりますけれども、ある程度の無担保で金が貸し付けられる。それも年利三分ぐらいということにして、償還は事情によっては五年なり、あるいは十年というふうなこともございますので、できる限りそっちのほうもあわせて併用いたしまして、仰せのような、まあおもしろくない事態というものをつぶしていきたい、こういうふうに考えております。
  73. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 少し考え方としては甘い考え方があるようなんですが、そこで、もう一つお伺いしたいのですけれども、経済生活がどんどん変化してまいりまして、当然質物も変化しつつ来ているわけです。背は洋服があれば、洋服を質屋に入れて金を借りているのがあったが、いまはもう買うたものを着て、古くなればすぐ買いかえるというようなふうになっておりますし、だんだんそういうふうなかっての質物とは質物の変化が非常に急激に経済生活の変化で変わってきているわけです。そこで、いまおっしゃるような、大蔵省監督のもとにおけるところの信用協同組合組合のような方法ではなしに、いまおっしゃったような公益質屋の必要性、あるいはあり方というものの現実の利益考えますときに、単なる質物だけの貸し付けではなしに、この際、いまおっしゃったような信用貸し出しも考えるということについてのお考えはあるわけですね、どうですか。
  74. 今村譲

    政府委員(今村譲君) それはちょっと先生のお取り違いというか、私申し上げたことが不明確であったかと思いますが、公益質屋は、やはり担保を取って金を貸すという基本的な法体系になっておるわけでございます。それ以外に、併用して無担保信用ということは、現在の公益質屋法では認められておりませんし、それから、片方では無担保で貸し、片方で担保を取ってというかっこうは、非常に一つのこれも社会福祉機関だと思いますけれども、一方、金融的な色彩もございますので、そこのところははっきりしなきゃならぬというかっこうで、公益質屋は現在の担保制度で進んでいく。それ以外に、世帯更生資金というのは、国から三分の二出しまして、県が三分の一出して、総額を社会福祉協議会というものを通じて、市町村の民生委員さんが困った人に貸し付けできるような方策をとる、全然別建ての制度をつくっておるわけでございます。で、いま私の誤解かもしれませんが、先生のおっしゃったのは、公益質屋が一部門として現物担保の融資をし、それと同時に、公益質屋の中で無担保金融をあわせてやったらどうかというお話かと思いますけれども、これはやはりあわせて両方をやるということは非常にいろいろな問題が多いのじゃないかというふうに考えまして、そこまで、公益質屋を無担保信用の部面まで伸ばすということについては、考えてはおりますけれども、とてもまだ踏み切れないのじゃないかと、こういう気持ちでおります。
  75. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 世の中はどんどん進んでいるのですし、経済、あるいは生活、すべてについて変化のひどいときに、昭和二年の法律にいつまでもこだわっておったのでは、これは前向きの政治とは言えませんし、行政とも言えないのじゃないかと私は思うわけです。そこで、前々から公益質屋の諸君が、要望していると思うのですが、質屋ということばはやめてほしい、少なくとも、生活金庫という名前に変えてもらいたいという要求は、ここ数年来非常に強いと思います。今日実に六百余の公益質屋が毎年四十か五十つ、ぶれていっておるわけです。厚生省指導し、府県でも庶民のための——低所得者とはいいませんけれども、庶民のための金融機関として今日まで歴史を持ってきておったものがどんどんつぶれていかなきゃならぬというのは、今日的な時代に合うような営業のしかたと申しますか、あるいは運営のしかたをやっていないところに問題点がある。そこで、少なくとも、公益質屋の名前を何とか変えてもらえぬかということが時代の、要望なんです。したがって、そういうふうなことになりますると、当然公益質屋が生活金庫になりますか何になりますか知りませんけれども、名前が変わり、そうして質屋としての質貸し付けだけじゃなしに、現在他の社会福祉施設でやっておるところのものも一緒にと申しますか、あるいは合併をするか、もう少し前向きに庶民のための質行政をやるということにはお考えは向きませんか。
  76. 今村譲

    政府委員(今村譲君) いまお話のように、無担保信用もあわせ行なえるようにして、名称は、私は二十七、八年ころにやはり公益質屋行政を担当したことがございますけれども、その当時から出ておりますように、やはり基本的にはただ名称を変えるのじゃなしに、そういう無担保信用まであわせた機関をつくるということが、現在の世帯更生資金はその当時すでに始めておりましたが、更生資金との調整なり、これは銀行ではありません。預金の受け入ればやりませんから、銀行ではありませんが、非常に金融機関に近づいていくかっこうになる。その辺の大蔵省との関連とか、そういうふうなことでまだ決断がなかなか出ない、こういうふうな実情でございますけれども、いましばらく考える時間をいただきたいと思います。
  77. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 いましばらく考える時間をほしいということで、そうお考えになるのはけっこうだと思いますけれども、前向きで考えるのじゃなしに、うしろ向きで考えるのは、これは公益質屋は年々五十から六十減っています。また、そうなるべき運命にあると思うのです。そういうことについて厚生省のほうは、特に社会局長は、あなたが担当しておるのですから、今日の公益並屋の持っている役割り、きのうまでの役割りは別ですよ。今日の役割り、そして明日に果たす役割りについて、もっと前向きに庶民のために考えるというならそこまで考えるべきじゃないか。現在の質貸し付けだけにこだわっておって、そして現状の公益質屋法にこだわっておる限り、おそらくほとんどの公益質屋は、現在三分の一くらいは黒字のようですけれども、これも赤字になると私は判断しておるわけです。現在公益質屋の中で、前向きで無担保貸し付けまではしておりませんけれども、公債に対する貸し付けであるとか、いろいろなそういうことの証券貸し付けをやっておるところはある程度黒字でいっておるわけですし、そのことによってサラリーマン、あるいは小企業者は助かっておるわけです、高利貸しに行かずに。そういうことからそういうふうな要望がおそらくきのうきょうの総会では私は出ておるんじゃないかと思いますが、この際、大臣においても局長においても、前向きの姿勢でほんとうに取り組んでもらいたい。したがって、今日まで決算に三カ月もかかるというばかなことはぜひやめてもらって、早急に四十年度の業態の実態調査資料として提出をしていただきたいと思います。時間の関係がありますので、私はこの程度でやめますが、四十年度の実態調査の御報告の資料をいただいてから、あらためてこの問題に取り組んでみたいと思います。
  78. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 資料、よろしゅうござますか。
  79. 今村譲

    政府委員(今村譲君) 六月二十一日に全部が本省に集まる、こういう慣行になっておりますが……。
  80. 佐野芳雄

    ○佐野芳雄君 急いでください。
  81. 今村譲

    政府委員(今村譲君) 早急に督励いたしまして、でき次第提出いたします。
  82. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それじゃ前回に引き続きまして、一般的にちょっと御質問申し上げたいと思います。  この間うちからチフス事件が出まして、その後に無給医局員とか、あるいはまたインターンの制度に対していろいろ議論がもう尽くされていると思うのでありますけれども、私は少しきょうその一、二点だけ念を入れる意味でちょっとお伺いしたいと思うわけでありますが、このようにしてこの無給医局員に対しましては、今後厚生省としては、やはり医療制度をになっておるいわゆる底辺の者としてどのように処遇されていく考えであるか。それから、また、この無給の医局員が、中村文相はいろいろ三月二十九日の閣議後の記者会見で、とりあえず無給医局員を四十二年度から荘三カ年計画で千名を有給化したいというようなことをおっしゃっておられるわけですが、こういう構想を出しておられるわけですが、厚生省ではこういう構想に対してどのようなお考えを持っていらっしゃるか。  それから、また、これは非常に無給医局員の問題に対しては、医療制度の中でいろいろ関係が深いと思うわけでありますが、将来この点に対しては厚生省として具体的にどのような考えを持っているかということもあわせて伺いたいと思います。  それから、また、最近聞くところによりますと、厚生省でも、文部省の関係者だとか、あるいは大学の医学部長だとか、あるいは病院長などの参加を求めて、医学教育制度の改善のための懇談会、これは仮称らしいんですが、設けて意見を聞くというようなことにしておられるというようなうわさを聞いておるわけですが、これについてはどんなふうな進行状態にあるか、将来どういうふうにされるのかという点を聞かしていただきたい。ことに、またインターン制度の身分保障という問題に対して、やはり医師法の改正要綱をまとめたというふうに聞いておりますけれども、これについてはどんなふうな要綱をまとめられたか、あるいは、また、どんなことになっているかということをあわせて聞かしていただきたいと思います。時間がございませんので、ちょっとまとめて……。
  83. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私から基本的な考え方を申し述べまして、後ほど、医務局長のほうから具体的な御答弁をさせたいと思うのであります。  まず、インターンの制度でございますが、この問題につきましては、医学界はもとより、各方面から相当検討され、また、いろいろな御意見が出ておるところであります。厚生省といたしましては、大学で医学を学問的に研究をいたしまして、しかる後にインターンとして実地研修をする、その後に国家試験をやりまして、合格者に、医師の免許を与える、こういう従来の行き方に対しまして、この学問的な勉学をやり、一定の課程を終えました者に対しましては、国家試験をまずやりまして、そして医師としての資格を与え、しかるに後一カ年実地研修の義務を負わせる、こういうことを実は考えまして、そういう方向でいろいろ医師法の改正等を実は考えておったのであります。しかるところ、その後無給医局員の問題が、千葉医大の問題その他を契機といたしまして、非常に各方面からこの制度のあり方ということにつきまして、その早急な改善が要望されるようになってまいったのであります。この無給医局員の問題をいろいろ検討してまいりますと、そこに今度は医学博士という学位の問題が密接な関連を持っておる。学位を取るために大学のある教授のもとで数年間研究指導にあずかる。で、学位を取らなければ一人前の医者としての社会的な待遇の位置づけが得られない、こういうようなこと等からいたしまして、どうしても、無給医局員という制度がそこに生まれてくる。そのために、収入を得ますためにアルバイト等で民間の医療機関その他に出張して実際の診療行為に当たる、こういう問題がそこに出てまいったのであります。そういうようなことを考えました場合に、インターンの問題だけを切り離してこれを解決をするということはできない。インターン制度から無給民局員の問題、さらに学位の問題、それに関連する専門医の問題をどうするか、こういうふうな一連の問題がそこに総合的に検討されなければならないということで、ただいま文部省と厚生省におきまして、その研究、検討を加えますところの協議会をつくりまして、ただいまその研究に当たっておる段階でございます。文部省におきましては、昭和四十一年度の予算で、とりあえず千名だけ無給医局員を定員化する、こういう制度をとっておるのでありますけれども、私どもは相当の数に上りますところの無給医局員の定員化という問題につきましては、もっと全体として総合的な検討の上でその対策を確立すべきものだ、このように考えておるわけであります。そういうような意味合いからいたしまして、この国会でインターンの問題につきまして法律の改正を行ない、国会の御審議を願う予定でございましたけれども、全体の検討が行なわれるまで、しばらくこのインターンの問題につきましても今後の課題として鋭意検討を進める、こういうことにいたしておる次第でございます。
  84. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いま大臣から大体の方針を重ねて聞きまして、たいへんありがとうございましたが、いま申されました協議会、懇談会というもののいまの模様、様子、あるいは、また、進め方についての問題点、どういうところを主眼にしてこの問題を進めておられるかということを、もし発表していただけるものなら発表していただきたい。また、医療制度の問題、あるいは、また、いろいろ医療を担当するところの底辺のところをどう取り扱うかというような問題なんかも含めて懇談会の中で御討議願うのだろうと思うのですが、そのおもだったところをひとつ、骨子は何か、どういう筋でもってどういうところを柱にしていま進めておられるかということをひとつ御説明願えるとありがたいのですが。
  85. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) ただいまの文部省の関係と私ども関係との懇談会でございますが、この懇談会は、先ほど大臣答弁いたしましたように、私のほうでインターン制度のみを考えておりましたけれども関係するところが非常に多くございます。御承知のように、大学医学部のカリキュラムから検討に及ぶかもしれませんけれども、それから、出ましてからのインターン問題、それから無給医局員の問題、それから、先ほどの博士号の問題というふうに、非常に関連をいたしておりますし、また、ひいては臨床家としての専門医といいますか、そういうふうな種類の分野にも入ってまいります。そういうことで、ただいま文部省との間で、その懇談会に御出席願う委員の顔ぶれにつきまして検討いたしております。文部省のほうでは大学教授クラスの方の委員を多く出そうということでございますが、私のほうでは、やはり臨床関係の専門家も相当入れてもらわないと話がかみ合わない、そういうことで、いま委員の顔ぶれにつきまして文部省と相談いたしております。これもできるだけ早急にやりたいということで、一応の荒筋は来週中にでも落着するような段階でございまして、先生おっしゃいますような内容の問題につきましては、やはり少し懇談会が続くうちにわれわれとしましては相当広範囲な部面にまで議論が及ぶんじゃないかということで、まだ両省におきまして議題につきましてまで進んでおりません。こういう段階でございます。
  86. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 じゃ、これから進むに従っていろいろまた話を聞くことにしまして、この問題はそのくらいにしておきます。  続きまして、チフス事件の状態から、あるいは、また、最近では赤痢の集団発生を見ているわけでありまして、五月七日現在で一万九千七百九人、このようなことが発表されて、昨年の同期に比べると六五%もふえておる。特に東京の大森の保健所では、保健所の職員が七人も赤痢にかかっておるというようなことが報道されておるわけであります。ことに衛生管理をするべき任務の人たちがこのような状態であるというのでありますし、特に最近の新聞の何かを見てみますと、結局首都もチフスの町だといって報じられ、しかも、その感染源もつかめなくて厚生省は非常にうろたえておるという新聞の記事も出ていたように見受けられます。あるいは、また、この防疫が及ばないところの大病院というような見出しのもとに、あるいはいろいろ新聞をにぎわしておるわけでありまして、そうした新聞もたくさん持っております。あるいは、また、三百人をこすような無届けの私設水道とか、あるいは上水道、あるいは、また、簡易水道ということが原因になって非常に集団発生をしておる。あるいは、また、いたいけな子供たちが集団的に千人も出ておるというような報道を受けております。こういうようにして、最近は、国民の受ける感情といたしましては、伝染病というものに非常に脅威を感じて、しかも、その伝染病も、あまり重篤な伝染病、赤痢というものではなくしてそれが発しておるというような、非常な特異性のものが見えておるようでありますが、こういうものに対しまして、いま厚生省のほうではどういうふうにお考えになっておるのか、あるいはこれは当然ある程度の、まあ話によりますと、この赤痢の流行も七年ごとに周期をなしてくるのだ、ことしはどうもその周期にぶつかるから数が多いのだというような話を聞いておりますが、そういうことの受けとめ方でいいのか、あるいは、また、いまの行政の中で、もっと保健所あたりでこうしたものの防疫というものに力を入れたならば、たとえばあのチフス事件にしましても、あちらこちらにあれだけの大ぜいの発生を見る前に伝染経路を突きとめたならば、私はもっと早く食いとめることができたのではないかと思うのです。そういうことになれば、当然保健所の上医者が少ない、保健所の手が足りないからやむを得ないという御答弁が出るかもしれませんが、現在の機構の中でももう一つ考える必要があるのじゃないか。私はいま保健所の機能についても言及してお尋ねしたいわけでありますが、あそこの中で、非常に何と申しますか、統計的なものに対して非常に多くの職員がくぎづけにされておる。また、保健医であるとか、あるいは、また、そんなような環境衛生を取り締まる部門につきましても、私はもっと開業医にゆだねるべき部分をなお保健所でやっておって、しかも手がとられておるのじゃないか。もう少し保健所というものは、重大な伝染病、そういうような方面とか、あるいは環境衛生というところに重点を置いて、開業医にまかせられるものはまかして、もう少し保健業務を整理をすることによっていまのこの問題ももう少し何とかできるのではなかろうかという考え方を持ってお尋ねをしておるわけでありますが、いまの検疫に対して厚生省としてはどこで歯どめをして、そうして防疫をしておるのか、あるいは、また、感染をどこで食いとめていくのか、もう少し具体的な趣旨のもとにやっていただけたらどうかと思うのですが、そういう観点についてのお考えを具体的に示していただきたいと思います。
  87. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) いま先生からお話がありましたとおり、今年度におきましては赤痢、腸チフスが前年度に比較しましてふえております。これは事実でございます。従来までの傾向といたしましては、赤痢、も、それから腸チフスも非常に減ってまいりまして、非常によい傾向をたどっておったのでありますけれども、ことに昨年はいままでで最低を記録しておるわけであります。ことしになりまして当初からふえております。そのふえております原因として一体何が考えられるかというようなことにつきましては、もちろん一般の防疫対策をもっと十分にやったらよろしいという答えが出るのであろうかと思いますけれども、腸チフスにつきましてふえておりますのは、たとえば千葉、三島を中心とした一連の腸チフスの事件、あるいは東京都におきまして池袋その他におきましてことしは続発をしておる、なお現在、昨年度から続きまして姫路市におきまして腸チフスが終息しないで、ある地域にずっと出ておるというような事件が重なりまして、腸チフスが非常にふえております。したがいまして、集団発生という形でふえているわけではないわけでありますけれども、一県当たりの件数が腸チフスにおいて非常に大きい、それから、赤痢につきましては、これは六五%の増でございますけれども、これも赤痢につきましては一般の接触による伝染という、いわゆる個々の発生といいますか、そういうものと、それから集団発生というものに分けましていろいろ対策を練っているわけでございます。従来とも、やはりその大きな比重を占めるといいますか、要するに自己で注意が届かないで赤痢になるというようなことは集団発生がおもでありますので、集団発生に省は最近は非常に力を入れてまいりました。件数といたしましては若干ことしは減っておるか、あるいは去年よりは多くはないというふうに思っております。これは正確な統計が今年度まだできておりませんので、昨年度の正確な統計と比べてどうかと言われますと、はっきりとした数字はできませんけれども、大体におきまして件数がふえているというふうにはなってないわけであります。最近一つの、一件の集団発生で相当の多数の発生がある府県が相次ぎました。御存じのとおり、東村山の文化村のいわゆる赤痢、それから水道、井戸による赤痢、それから、現在まだ起こっておりまして防疫を続けております茨城県の那珂町における赤痢の集団発生、それから、熊木の三角におきましてほぼ千名近くになるところの一つの集団発生、それから、京都におきまして、いわゆる旅館を中心といたしました四百四十二人の発生があった集団発生、それから、水系によると思われる長野県のいわゆる四百二十一名の集団発生と、これが相次ぎまして、非常に世人の関心を呼んでいるわけであります。しかし、全体として見ますと、最近は集団発生よりも、いわゆる個々の接触というような件数が多くなっているように思いますが、この問題はなかなか原因がつかめないばかりでなくて、各個人のいわゆる注意というものが非常に大きな比重を占めるということになりますので、各個人の赤痢の予防対策に対する一つの注意を喚起するということに重点を置いていかなければなりません。それから、集団発生につきましては、これは飲食店とか、あるいは水ということがおもになりますので、飲食店の従業員、これの健康診断を厳重にやって、そしてその者から食品を介してお客さんあたりにうつっていくということを防止する、あるいは水系につきましては、簡易水道を含む水道の管理というものを厳重にいたしまして、水道による感染を防いでいくというようなこと、これが主体になるわけでございます。この面につきましては、先ごろ環境衛生局長と私との共同の通牒を出しまして、府県に対しまして一そうの注意を喚起したわけでございます。それで、残念ながら、現在のように、去年に比べて多いということで、私どもといたしましては一そうの注意をひとつ喚起をし、手を打っていきたい。防疫の対策につきまして、それでは何か特別な手があるかということになりますと、特別な新規の手というものはあまりないのでございまして、要するに感染源の対策と、感受性者の対策と、感染経路の遮断、この三つが大体原則でありまして、この三つに、ひとつ集団発生と各個人に分けまして、力の入れ場所を変えまして十分にやっていきたいというふうに考えております。   それから、防疫の職員につきましては、実は従来とも、保健所にも防疫の専任職員というものは、小さなところで一人、その他のところでは二人というふうに置いておりますし、また、県には防疫職員として全国に二百八十二名の職員を従来とも配置して、それでやっております。それは県によりまして、防疫の主体というものは元来が市町村に昔からあるわけであります。ところが、市町村の力が及ばないという点も多々ありますので、これに対する援助といたしまして、保健所なり、あるいは直接県のほうから防疫の職員が行きましてこれを援助していくという形になっておりまして、私は、いわゆる防疫陣というものが急に手薄になったというような問題ではないと思いますので、一そうの注意を私は喚起してやっていきたい、こういうふうに考えております。
  88. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この問題についてももっといろいろなことを尋ねたいのでありますが、だいぶ時間が迫っておりますのであれでございますが、五月号の婦人公論を読んでみたら、性病の蔓延のことが書いてあったのに、ベトナム、香港、神戸、東京というようなことがあるんじゃないかというようなことが書いてありました。これはもっとも信ずべきことではなかろうと思いますが、私は、この個人の接触による感染源ということで、もっともっといろいろな方面からどうしてこれを防止をしていくかという観点でいろいろ考えなければならぬと思います。また、一面、この集団発生の場合には、今度の新聞にも、あるいは、また、事件に出ておりますように、簡易水道とか、あるいは井戸を使うとか、こういうことがまた集団発生の原因をなしている。特に私はこの中で一応考えてもらいたいと思うことは、いわゆるその規定を犯してそうしたような簡易水道をこしらえたり、井戸でもって水の供給源をつくったということによってこれが起こる、これをやはり防止するためにはもっと監督を厳しくして、少なくとも、そういう法を曲げてそういうものをやったものに対しては、もっと厳しく私は処分をすべきじゃないか、特にそういうことが防疫上決して大きな支障を来たすことがあっては私はならないと思うのであります。これはどこでやってもらうのか、そういう詳しいことは私専門外でわかりませんけれども、少なくとも、行き当たりばったりの状態で井戸をこしらえたり、あるいは簡易水道をやる、そういうことによって子供たちまで影響するような大きな集団発生を起こさすということになれば、これは私は大きな社会問題だと思うわけであります。こういうことはもっと手厳しく監督するという意味で、そういうことをやった業者に対しては処分をするとか、絶対そういうことはやらせないとか、あるいは、また、そういうことに対しての許可は厳重にして取り締まるとか何とか、そういう方法があってしかるべきだと思うのであります。そういうような点でいろいろたくさんお願いや尋ねたいことがありますが、私は、もういままでそういう簡易水道でどれくらい起こったかという実績をひとつ表にして出して資料としていただきたいと思います。それで、また後刻詳しいこういうことについての質問をさしていただくことにいたします。  続きまして、食肉について私もう一つ質問させていただきたいわけでありますが、最近はこの食肉の需要が非常にふえてまいりまして、牛肉の値段は上がりっぱなし、だからしてその中でいろいろな代用の肉が考えられてくる。最近の話を聞きますと、去年あたりもアルゼンチンあたりから汚染をされた馬肉が入ってきた事件が起きております。続いてオーストラリアからカンガルーの肉が輸入されている。こういうようなことでもって正規の屠殺場を通じて市場に出てくるわけでありましょうが、こういうことについて厚生省は食肉に対する指導なり管理はどういうふうにされているか、ことに、また、カンガルーの肉なんかに対してはいろいろサナダムシがおるとか、あるいは、また、いろいろ鉛毒があるとか、いろいろなことが報じられておるわけでありますが、こういうものに対しても、食肉ばかりではなくして、あるいはソーセージであるとか、あるいはハムとかいうものの原料となっていくようであります。これらのことを考えてみますと、いままでは国内では、おそらく屠殺場法によっていろいろ規制をされておるわけでありましょうし、あるいは、また、食品衛生法によって食品になるときには規制されている。あるいは、また、死んだけものに対するものはその法律でもってやられておるというふうな形で、国内法律のもとにこれが規制されておると思いますが、また、輸入されておる場合のこういうふうな製品に対しましても、あるいは、また、その輸入のところで食品衛生法の何条かに照らしてこれが検査をし、合格をされなかったら、食肉には使えないというような形もあるでありましょう。あるいは、また、加工にする場合でもこれがいろいろ検査をされていると思うわけでありますけれども、私は、その中でやはり一番問題になるのは、食肉ではなくして、あるいはこれが何か豚のえさだか、あるいは、また、ほかの農林関係なり、あるいは、また、そういうふうなところから入ってくるもの、そういうことによってそれがこちらへ入ってからその食肉のほうに転換されていって、これが十分な検査をされずに入っているのじゃなかろうか。特にハムとかソーセージのように、いろいろなほかの食肉が使われているということが、盛んにこのごろ指摘されておるわけでありますが、こういう一般のことに対しては厚生省はどういうふうな食肉管理をしておられるか。いわゆる国内から供給される肉類に対してはどういうふうなことをやられているか、輸入のものに対してはどういうふうなことをやられているか、そういうようなことを分けて、それから、また、直接食肉とされているもの、あるいは、また、加工品にされているもの、あるいは、また、いま申したように、農林関係でそういうふうにけものの食糧として人れられたものが食肉のほうに転換されていくようなもの、こういうふうなものについてずっと逐次分けて現在の状況説明していただきたいと思います。
  89. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 食肉の衛生管理につきましては、国内の食肉供給生産場所たる屠畜場に対しましては、非常に厳重な設備基準がございますし、また、個々の屠畜食肉に対しまして検査を励行せしめております。それぞれの屠畜場には専門の検査員を置かしめまして検査をさせておるわけでございますが、施設がややもすれば老朽化しておるものが相当多いわけでございまして、これを十年計画で漸次改築を進めておりまして、国もこれに対して資金の供与をいたしまして、大方改築が終わりました。なお二、三割の部分が残っておりますが、これは小さい山間部の、数はなるほど相当数残っておりますが、大きく食肉を扱うところは大部分改修が終わりまして、非常に厳重な検査をいたし、わが国の食肉の検査結果も非常にいい成績でございます。それらのものが市場に出回ります場合の店頭の食肉、あるいは加工業者の加工品等につきましても、適時周期を置きまして検査をいたしておりまして、国内を流通いたしております食肉につきましては、かなり安全を期しておりますが、ただいま先生御懸念ございました輸入食肉につきましては、やや心配のかどがあったわけでございまして、従来、法律上の規定は、外国から輸入する場合は、外国の正式の屠場で屠畜をいたしまして、証明書を持ってきたものは一応無条件で入れてもさしつかえないような法律規定になっておったわけでございます。しかしながら、これらについて少し監視、監督を厳重にする必要を認めまして、昨年来、これらを全面的に検査をいたしております。その結果、一部のものにつきましては、相当多量の食中毒菌を発見いたしたわけでございます。したがいまして、それ以来、特に汚染のはなはだしいおそれのある食肉につきましては全量検査をいたし、安全でないものは一切入れないという処置をとっております。先ほどお尋ねのございましたカンガルーのごときは、はたしてこれが全量食肉に使われるのか、あるいは動物のえさに使われるのかわかりませんけれども、私どもとしましては、万が一をおもんぱかりまして全量検査をいたしております。輸入量は年間わずか三千トン内外のものでございますが、安全を期しまして全部検査をいたし、その約一割は不合格品ということで処置せしめておりまして、そのほか、従来から衛生国といわれている国の製品につきましても検査をいたしまして、安全性を確かめました上で輸入させるという基本方針をとっております。なお、特に汚染のはなはだしい国に対しましては、その国に係官を派遣いたしまして、その国の屠場をつぶさに視察をいたし、安全でない屠場のものは輸入させない。また、わが国が指定した検査方法によって検査をした証明書を発行せしめて、その証明書のないものは一切入れさせないという厳重な措置をとるように、いま国際的な折衝をいたしている段階でございます。
  90. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 国内でも、屠殺場で相当厳密でりっぱな成績をあげているという報告であります。あるいはそうでありましょうが、私は京都の屠殺場を視察したこともあります。あの状態でもって、いま局長のおっしゃったように、自信が持てるかどうかということを私は非常に疑義を持って見てまいりました。それも今後指導もされ、あるいは、また、京都の状態を聞いても、近く新築されますのでりっぱになると思うのでありますが、そういう点で、それもいいと考えますが、しかし、私は、これがあと流通の過程でいろいろ変化が起こる。あるいはいろいろ食品衛生法であったか、どちらかでは、摂氏十度以下の冷蔵庫を完備しなければならないとか、いろいろ法律があるようでありますが、こういうところで十分されているからいいとは言うものの、私は実際において自分で体験した例でありますが、あるところで肉を食べさせられたら、あとでそれがネズミの肉であったという話を聞いてびっくりしました。こういうことで、一体屠殺場で明確にされているものが、いつの間にかネズミの肉が入ってきたかという疑義を感じたわけであります。これはうそでない、実際自分が受けたことでありますが、それは冗談で言うたのだとは思いますけれども、安もののとんかつ屋でやきとりを食ったら、これはネズミの肉だ、こういう話も聞いたのであります。私が行くところはいつもそういうややこしいところであるのかもしれませんが、そういうことも実際において体験しております。そういうことから考えてみると、それはよく焼いて食べたのでどうも害はなかったのでありますが、そういうことがひんぱんに行なわれるとするならば、この現在の文化の進んだ段階で、やはりネズミの肉やら犬の肉が自然に入っているということになれば、これは厚生の行政としてはよほど注意をしなければならんことじゃなかろうかと思うのであります。これは国内的な問題で私は事実そういうものにぶつかっておりまして、厚生省としては十分なる配慮をしてもらいたいということを感ずるわけであります。  また、今度は、先ほどお話になりました、外国から入ってくるところの肉でありますが、新聞なんかに出ておりますように、おそろしい毒素のために汚染されて、トキソプラズマなんか、あの原虫が入っておりまして、非常に子供さんたちの体内でいろいろなものが生まれてくるということが実際において出ているわけです、報道されているところによりますと。こういうことは、こういうふうなことが歯止めをしております、こういうふうに検査をしておりますといっても、事実こういうことがあるわけでありますから、これはもう絶対にないような方法で、どこでどうされるのか、もう少し具体的な指導をやっていただかなければ、われわれ国民の側から見ると、ソーセージや何か、いろいろなものを食わされている間にそうしたものがあるのじゃないかということを思えば、私たち毎日の食ぜん生活に非常な不安を覚えるわけでありますから、こういうことに対しては、私はもっと徹底した取り締まりなり方法をしなければならない。先ほどおっしゃるように、現地のほうまで派遣して検査しておられる、非常にけっこうでありますが、私は、流通過程においてもいろいろ問題がある。内地でさえそういう問題があるわけでありますから、非常にこういう問題がまだまだたくさんあるのではないかと思うのであります。特に私は、外国から入ってくる肉に対して、あるいは食品にそれを使われる場合にはいろいろ検査もされているということを、いろいろ法律上から調べてみまして納得をしておるわけでありますが、その間をくぐるもの、これを特に私は考えてもらわなければいけない。特に私がここでいろいろ調べてみた結果から申しますと、入ってくるのは農林関係あたり、あるいは、また、そういうところから入ってくるから、これは厚生省関係ではないわけでありますから、わからない。ところが、業者が、流通過程においてそれがいつの間にか食用品の中に入ってきておる。これは事実あるわけでありまして、ここに報道されておる部分もあります。それからして、またその資料もあるわけでありますが、こういうものを出すからには、一体もう少しどういうふうにしたらいいと厚生省あたりでは考えておられるか、こういう点に対してもただしておきたい。
  91. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいま二つの点で大橋先生が御指摘になられた点は、いま私どもが一番困っておる点でございます。  第一点は、人間の食肉としてでない目的らしく輸入いたして、すなわち、魚のえさであるとか犬の食用であるとか称して入れておきながら、輸入してしまってから人間用にこれが途中で転用されるという事態、これをいかに取り締まるかという点が第一点でございます。  それから、第二点は、普通の場合はございませんけれども、まれな場合に食肉の中にいかがわしい動物の肉が入ってくる。それらの動物は必ずしも屠畜場を通らない、屠畜場で屠殺されれば、これは先ほど申しましたように、検査があるわけであります。とても屠畜の検査の対象にならないような動物が入るおそれがないかという点でございまして、これらをどうやって取り締まるかということは、私どもとして非常に重要な問題でございます。法律上、これこれの肉以外は食べてならないということに必ずしもなっていないわけでございまして、また、加工食肉、ハム、ソーセージのたぐい、これはどういう種類の肉を入れたものであるかという表示がわが国では法律上規定されておりません。多くの外国では、これはいかなる肉を使ったものであるかということの表示の規定がございますけれども、これを今後どう取り締まっていくかということが私どもの目下の頭痛の種でございまして、これをいま検討いたしておるわけでありまして、何とか衛生上心配のないようにいたしたいということで、外国から入ってきてほかの用途に転用されるものの防止は、先ほどカンガルーの例で申しましたように、必ずしも食肉という目的でなくても、あらかじめ港でつかまえてしまえば検査をする方法もございますけれども、加工の際にほかの種類のものがまぎれ込むという防止は、非常に実際上むずかしいわけでございます。これを今後どうやってまいるかということを、目下私ども鋭意検討中でございまして、何とか国民に安心をして食肉が供せられるような努力を続けてまいりたいと思います。
  92. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この点についても私まだちょっと七、八点質問したいのでございますが、時間がございませんから、私これを飛ばして、また後の機会にさしていただきます。  それから、もう一点、今度は輸血の問題に対して一点だけ御質問さしていただきたい。  最近は輸血の問題を、いままでは売血によっておったのが、献血、あるいは、また、預血によるということになっておりますが、現在では非常に各病院で血液がないので、非常に困っておる。患者さんも非常に困っておるわけでありますが、この問題に関して非常に社会問題にもなっておるのでありますし、実際その衝に当たっておる人たちは困っておるわけであります。最近では、家族をたくさん呼んで鮮血をとってやっとそれを間に合わしたりしているのが現状でありますが、これを考えてみますときに、いま現在厚生省はそれに対してどういうふうなお考えを持っておられるのか。将来輸血の供給を献血、あるいは、また、預血によってやられる方針はそれでいいと思うのでありますが、それに一体どういうふうに取り組まれるか。特に私はここで問題にしたいのは、日赤のほうで、預血センターというのをこしらえて、いまあちらこちらにセンターを波及しておられる。私は、こういうような大きな問題を厚生省は日赤にゆだねられて、それで輸血の問題が解決できると考えておられるのか。私は、むしろ日赤だけにゆだねて、非常に日赤に対して大きな設備投資、あるいは援助でやっていかれる。これは一つの方法だと思いますけれども、私は厚生省考え方については少し間違いではないかと考えております。そういう意味において、輸血の問題についていま厚生省のほうではどう考えておられるか。特に、また、いままでの売血は現在でも行なわれておるわけでありますが、そうしたために肝炎とか、あるいは、また、その汚染源であったりして死亡した例まである。また、いろいろな輸血に対しての問題が非常にたくさん起きているわけでありますが、こういう問題に対して、私は厚生省考え方を聞くとともに、現在輸血が行なわれているのは、いわゆる売血によってどのくらいのパーセンテージを占めておるか、また、現在に大体近い表をとっておられるか、そしてやられておる現在の資料、あるいは、また、今後どういうふうな。パーセントでこれを置いていかれるか、そういうことについて一ぺんお知らせ願いたいと思うわけであります。
  93. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) いまの血液問題は、実はお話のように、たいへん焦眉の緊急事になっておりまして、厚生省といたしましてもいろいろ施策を強力に進めつつある最中でございますが、まず、売血と献血の比率からお話を申し上げますと、いろいろ努力いたしました結果、献血のほうはほぼ四〇%でございまして、売血のほうはまだ六〇%ございます。ただ、いろいろ売血に関しましては問題がございますので、できるだけひとつ献血に切りかえようというので、ただいま努力中でございますが、なかなか思うように進んでおりません。これは御指摘のとおりでございます。その対策といたしましてどういう強力な手を打っているかという御質問でございますけれども、私の承知しているところでは、赤十字を中心にいたしまして進めることはもちろんでありますが、同時に、各府県等でも並行いたしまして進めておりまして、ただ、従来のように、献血車等でやるだけではこれは不十分でございますから、いまの一番窮状を救う道といたしましては、何といたしましてもPRをよくいたしまして、いわゆる出張採血という、集団——工場とか学校とか、あるいは自衛隊の人たちとかといったような集団的な献血でやるのがこの急場を救うのには一番いいのではないかということで、そちらのほうに主力を向けつつあります。従来の赤一字、あるいは府県等でやっております献血車の問題も、回転率と申しますか、効率と申しますか、必ずしもまだ十分とも申せませんので、個別個別の問題は効率化いたしまして、そしてできるだけ患者の皆さんに御迷惑をかけないようにということで、一生懸命努力中でございます。
  94. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 努力の模様はよく承っているわけでありますが、事実いまのところで、われわれまあ寡聞にして知らないのかもしれませんが、いわゆる厚生省として、あるいは、また、おやりになっていることは、まだ私はPRの段階ではなかろうか、もっといま前向きにやっているのは赤十字であって、そして厚生省としてはいまどういうふうにやられているのか、この辺まだ私のほうは納得いかないわけであります。ことに私は、もっと国立なり、あるいは、また、大学なり、あるいは、また、府県の単位においてそういうような施設をもっと拡充していくべきではなかろうか。私は日赤のシステムをとらえておやりになることに対していささかも反対するものではありませんが、私はもっともっと国がこれを十分に日赤以上にやらなければこの問題はなかなか解決しないのではなかろうか。特に私は、日赤にゆだねて、これがいわゆる愛の運動ぐらいの程度では、私はそういうようなことでは全然六〇%の線をなかなかくだきにくい。よくいったところで四〇、六〇が反対になるところでまた一年を経過するのではなかろうかという心配を持つわけでありますが、この点はいかがですか。
  95. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) お説のとおりだと存じます。そういう方向で鋭意努力申し上げたいと思います。
  96. 山本杉

    山本杉君 さっき大橋委員の御質問が出まして、せっかく話題が出たので、関連してちょっと公衆衛生局長に伺いますけれども、いまはやっている集団発生している赤痢の菌株です。それはどういう種類があるかということが一つと、それから、もう一つ、防疫の主体性が元来市町村にあるはずのものだけれども、その節、力が及ばなくなっているというようなさっきの御説明でしたが、そこをちょっとはっきりおっしゃってください。
  97. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) いま大体はやっておりますのは赤痢菌でDでございます。最近はこの形が非常に多くなりまして、従来はBが多かったのでございますが、逐次Dになってきて、その切りかわることになったためかどうかわかりませんけれども、症状それ自体としてはわりに軽い症状のものが多くなってきております。もちろん致命率も非常に低くなっておりまして、大体そういう状態でございます。  それから、防疫の主体が市町村にあると申しましたのは、防疫のいろいろの最終的な主体が、市町村が伝染病予防法のたてまえでそうなっております。ところが、市町村におきましては、そういういわゆる専門的な技術の職員、あるいは、また、それに近いような職員を十分に抱えておくというようなことがうまくいってないところも多いようでございます。したがいまして、何か発生が起きたようなときには手が足りない。したがって、大体におきましてそばにあるところの保健所にいろいろの指示を求め、あるいは、また、応援を求めたり、そういうようなケースが大体多いわけでございます。もちろん集団発生等がありますれば、これはその一保健所だけではとても手が足りませんので、県庁から直接——県庁には防疫職員が国から配置してございますので、それが直接行きまして、そこでいろいろ指示をし、援助して防疫対策を実施していく、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  98. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまの預血の問題、ちょっと資料お願いしたいと思うのですが、ここをどういうふうにしたらいいですか。最近の推移で、六大市ですか、大都会でいまどのところで何CCぐらいずつの血液が供給されておるか、あるいは日赤ではどれくらい、あるいは、また、どこで何ぼというようなことで、ことにそれの血液型によって資料を出していただきたい。特に血液型によっては、いまなくて非常に困っておられるという状態でありますので、そういう観点もちょっと調べてみたいので、六大市ぐらいでいいですから、この中ではどことどこでどれくらいずつの比重でどれくらいの血液型が何ぼ取られておるか、これは一年間でこういうふうな数字で月々どうなっておるということを、この一年ないし二年の推移をひとつ御報告していただきたい。
  99. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) いまの資料要求、よろしゅうございますね。
  100. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、水銀農薬の問題で質問したいのです。むしろ大臣にしたがったのですが、大臣お忙しいようで何ですから、次官でいいですが、最近農林省は、水銀を含んだ農薬に対しては使用を停止していこうと、こういうことで大体きめておるようでありますが、このきめ方が、メーカーがある程度その切りかえの準備が十分でないために三カ年間の期間を置いている、こういうことですね。したがって、この三年間の期間を置くということは、農林省としてはやむを得ない処置かと考えるのですが、しかし、社会的な問題になっております熊本の問題、新潟の問題、すべて工場廃液による水銀の問題がやはり中心となって社会問題になっておると思うのであります。これに対して、一体厚生省としては、何かの農林省との話し合いで対策を立てておられるのか、ただ農林省まかせで三年後にこの非水銀農薬を製造する方向に進むのにまかせておるのか、この点は厚生省はどうお考えになっておるのか、お聞かせ願いたい。
  101. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) わが国では、御承知のいもち病に対しまして多量の水銀を使うというところから、ほかの国に見られないように多量の水銀による国土の汚染があるわけでありまして、これが国民にどのような影響があるかということを私どもは終始非常に注意をして検査をし、これが非常に衛生上不安な状態にならない措置を講ずる必要があると考えておるわけでございまして、そのために、数年来、特別予算をもって、市場に出回っております各種農産物における、農薬水銀を含みますが、その他の有毒物質の含有量の調査を進めてまいっております。その結果、今日市場にあらわれております農産物に残っておる農薬の量というものは、危険量は一つもございません。しかしながら、毎年毎年水銀の量はふえる一方でございますし、また、突発的に非常に多い最のものも保証しがたいわけでございましょうから、私どもとしては、一日も早く水銀のような危険なものを使わないようにしてほしいという希望は出しておるわけでございますが、それよりも、一定の基準を設けまして、これ以上のものは使用に供してはならないというような措置を講ずることが一番国民のからだを守る上で必要である。たといほかの理由が何だろうと、危険量であればこれは許さぬという態度が一番正しい態度と、かように思っております。いままででも、砒素とか、その他鉛とかいう特殊なものについてはそういう基準量の設定をいたしてまいっております。ところが、水銀に対しては、従来何が危険量であるかということの世界的の意見の一致がございませんでしたので、その基準量がつくられなかったのが現状でございます。しかしながら、二年ほど前にWHOに世界の学若が集まりまして、フェニル水銀だけについてはこれが危険壁の境であるという数字が明確化されましたので、せめてそれを目標に基準量を設定して、それ以上のものは許さぬという措置をとりたいということで、いまその基準壁を設定する準備を進めております。それによりまして、たとい農薬がいかなる期間猶予されようとも、私どもとしては市場から危険物は駆逐するような借買をとりたい、かようなつもりでおります。
  102. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大体農林省に対して、あるいは、また、製薬会社に対してそういう希望を強く要請されておる、こういう点については安心してもいいと、こう考えますけれども、ここに出ておりますものを見ますと、日本人の体内に蓄積された水銀量は外人に比較して二倍ないし三倍だといっているわけですね。これは明らかに東大の浮田教授がはっきり言っておられるわけです。したがって、人害はない、こう言っておられますけれども、作物に対していまの段階においてはないとおっしゃられておりますけれども、私は、製造メーカー生産の切りかえをする期間が三年間もある、この三年の間に、外人のこの体格から見て、日本人には二倍も三倍もあるということであるならば、その三年間を待って切りかえるということは適当かどうか、医学的に見てそういう点が私は問題の焦点だと思うのです。これに対しては、厚生省は三年間はいいと認めておられるのか、いや、それはいかぬのだ、もっと早く基準をつくって、三年どころか、来年でもやめさせたい、こういう意思なのか、この点をお聞きしたい。
  103. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 御承知のように、現在、水銀をまき散らすおもなもとは、いもち病の消毒薬、フェニル水銀です。そのフェニル水銀にかわるものとして、抗生物費を基調といたします農薬が発見されておるわけで、現存でも相当な製造能力を持っておるように聞いております。したがいまして、漸次かなりな速力でこれに切りかわっていく状況にあるわけでございまして、三年の間現在の水銀農薬が使われ、三年目に一〇〇%からゼロになると、こういうことではございませんで、ただいま何十%か非水銀性の農薬が使われ、来年はそれがさらに倍になるということで、水銀は末細りになり、最後になくなるということでございますので、三年と申しましても、そのような傾向を追って、ついに、ゼロになるのが三年ということのように私は聞いております。  で、それでは今日の状態が危険量であるかどうかということは、これは実は私どもの短期試験では、水銀はもっともっとはるかに大量でなければ障害を起こさないものでありまして、一番問題になっておりますのは、十年も二十年も長い間に慢性的に何か有毒的な影響を及ぼしてきやしないかということをおそれるわけであります。そのために、材料としては私どもは動物を使うわけであります。人間を実験に使うわけにはいきませんので、動物を使うわけでございますが、動物を生かしておく期間というのは二年ぐらいが精一ぱいでございまして、二年間動物を見たからといって安全ではないという心配を持っているわけです。しかし、一応慢性毒性試験というのは、小動物の二年間の試験をもって行なうのが世界の通例でございまして、その範囲においては、いまの状況は危険量でないということが、先般衆議院の特別委員会において専門の先生方がお集まりのときにお話があったわけであります。しかしながら、将来は心配である、こういうお話があったわけでございまして、問題は、将来の心配の期間というのは実験上まだ証明される状態にないわけでありまして、私どもとしては、非常な危険状態をできるだけ危険に見てあらかじめ措置をしておく必要があるわけでございます。その意味で、はっきりしない、何年であぶないぞということを言い切れないで、一日も早くと、こういうことを言うわけでありまして、それでは三年間置いたら危険があるかというはっきりしたものはないわけであります。ないけれども、私どもとしましては、三年間いままでのようにフルに使うということはかなり危険である。というのは、それは国土に蓄積してまいるわけでございます。ただ、漸次切りかえて末細りになっていくということであれば、かなり使われる量は、実際は三年間続けましても減っていくことでございますので、いまにわかに国民に非常に危険の状態にあると言って騒ぐほどの慢性毒性はない、かように推測いたしております。しかし、これはただいま私がお話し申し上げておりますように、予測できない実験の分野の世界のことでございますので、万々一のことをおもんぱかって、私どもとしては一日も早く切りかえてもらいたいという切望の気持ちを持っている、こういうことでございます。
  104. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 まあ相当厚生省としては権威的に調査もされて、現段階ではそうした不安はない、こうおっしゃっておるのだろうと私は思うのです。ところが、テレビのこの農業問題のニュースなんかで、あるいは、また、新聞その他でやっておりますように、使用する方法ですね、これには一度水銀の入った農薬を使った場合には、二度とそれをしてはいけないとか、あらゆるこまかい点の注意を促しておるわけですね。だから、農村ではそうした注意の状態から考えて、かなり危険だと思っておるのです。かなり危険だと思って、もうこわごわ使用しておると思いますね。ところが、三年の間になくなるといいますけれども、その間の三年間は、やはり新しい抗生物質の農薬ができなければまた使うことになるだろうと思うのですね。だから、こういう点をやはり早急に、農民が安心して使える方法ですね、厚生省としてはこれに対する見解も明らかにして、したがって、最低基準をこういうふうにいまきめておる。私は、やはり農林省がやる以外に、厚生省としては農民に安心感を与えるためのやはり宣伝その他も重ねてやるべきだ、近い将来になくするというような方法をやるべきだと私は考えるわけです。  以上の私の意見を含めて質問を終わりたいと思います。
  105. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する費疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  106. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。   前回に引き続き、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。   ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  107. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こして。
  108. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょうど国民健康保険もこれで二回目でありますし、衆議院でもだいぶ審議がされたのでありますから、私の質問は大臣にお聞きしたいことがほとんどなんです。まあ次官がおいでになりますから、ひとつ次官の答弁大臣にかわるという意味で、ひとつ時間を五時までじっと私待っておるわけにまいりませんので、進めたいと思います。   第一の問題は、この三十六年に出発をした国民保険というのは、私は、やはり何といっても、根本は国の責任体制がこれほど明確なものはないと思います。ですから、国の責任の明確な行政の、特に皆保険保険宣伝をされた保険なんですから、その点はやはり明確に行政上生かしてもらわなきゃならぬというのが第一の私の願いであります。これは国民すべからくそうだと思います。ところが、その実態は、保険料によってまかないなさい、国庫負担というようなことは二の次に考えてやりなさいという発想でものごとがだんだん進んでいく。ですから、保険料を二年間に六割も上げるというようなこと、それから、その保険料を上げない限り調整交付金は出さぬというようなことを言っているということを聞きますと、これも私らとしては理解に苦しむわけでございます。政府が四年間で世帯員の七割給付をやろうとした、それじゃうちのほうもひとつやりますから、いままでは四分の三でありますが、今度は二割五分が定率四割にこれがなるわけですから、それをひとついただきたいと言うと、いや、割り当てが一番あとになっているから、あなた方がなんぼやったってそれはあきませんよというのが、たとえば東京都や横浜のごとく、地域にそういうものがある。それからいろいろ厚生省なりに勘案をして、そしてその補助金の支出ということをお考えになっているのでしょうけれども、目的は、国民がこの給付によって救われるということが第一の目的なんで、東京に住んでいようと北海道に住んでいようと、どこに住んでいようと、世帯員は五制給付が七判給付になることを願っているわけであります。ですから、そういうことが今日出てきているというのはどうも理解に苦しむわけであります。だから、そこらのことをひとつ順序立てて御答弁をいただきたい。
  109. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 皆保険計画が始まりまして現在までに、藤田先生おっしゃられるように、保険料の値上げありました点は事実でございます。しかし、片一方で国の負担も強化をしていくということで、当初国民健康保険につきましての国庫負担の義務的な支出はございませんでしたが、それを逐次義務的な支出に切りかえてまいりまして、現在は二割五分ということになっておりますし、また、調整交付金につきましては、世帯主並びに家族につきまして七割給付を始めるという五カ年計画のちょうどまん中の年でございますが、それにつきまして、最初は予算措置でもって二割アップ分の四分の三を補助するという形になって二カ年たちましたところでこれを法定義務費に改めまして、従来の二割五分の国庫負担を四割にするということで、ただいま御審議をいただいております国民健康保険法律改正案を提出をいたしたわけでございます。片一方、保険料が上がってきたという事実は、これは確かに御指摘のとおりでございますが、しかし、これもいわゆる世帯主なり、あるいは家族の七割給付を実施するということに伴いまして、各市町村では支出に見合う保険料というものをどうしても考えなきゃならないということで、御指摘のように、三十九年から四十年にかけまして二〇%ないし三〇%の値上げをいたしたわけでございますが、しかし、その間、健康保険に対しましての国庫負担の支出も大幅に増加をいたしております。それによりまして大体市町村の国民健康保険の財政は、赤字に苦しんでおる市町村を除きまして、私どもとしてはある程度安定の方向に向かいつつあるのではないかというふうに考えておりまして、今年度、四十一年度におきましての保険料の値上がり率等につきましては、過去二年に比べまして非常に激減をいたしております。市町村によりましては保険料を下げたところもございます。平均いたしますと、大体四十一年度では十三%ぐらいの増になっておりまして、四十年度が三六%位上げしたのに比べますと、保険料の値上がりというのは、趨勢としては非常に落ちておるということでございまして、これ自体でもってどうこうということを私は申し上げておるわけではございませんけれども国民健康保険に対します国庫負担の定率化、あるいは財政調整によります市町村財政のアンバランスの是正というような諸般の施策によりまして、ここ当面、各市町村の財政はここ数年にない安定の方向をたどっておるのではなかろうかというふうに私ども考えておるわけでございますが、ただ、御指摘のように、これだけでもって私どもはむろん決してよろしいというふうに申し上げておるわけではございませんので、今後とも国庫負担の支出の適正化、あるいは保険料率の一般的な趨勢等につきまして、いろいろと市町村財政当局と相談をしながら国保財政の安定の方向に努力をしたいというのが私ども考え方でございます。
  110. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はね、いま二二%四十一年度に上がったとおっしゃるわけですけれども、その二二%上がったということだけを問題にすれば、米の値上げやその他によって、多少そのくらい上がっているところがあるから、そうたいした議論をしようと思わない。しかし、二年間に何ぼ物価が上がったとしても、去年とおととしで六割も上げるというようなこと、私はそれも問題の一つだけれど、その値上げをしなければ調整交付金をやらぬというのは、これはどういうことです。ちょっと返事をしてください。
  111. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 私ども、調整交付金の配分につきまして、値上げをしなければ調整交付金を出さないというような指導を実はいたしておるわけでもございませんので、御承知のように、調整交付金は一定の基準がございまして、市町村の収入と支出のバランスを考えて、基準に基づきまして調整交付金の支出をいたしておるわけでございます。ただ、御承知のように、先生がおっしゃられますのは一つの例でございますが、今年に入りまして四十億の臨時財政調整補助金でございますが、これの配分等につきましていろいろと私どもで配賦基準をつくった場合に、市町村の財政の努力等を勘案をいたしまして、いろいろと指導として、中身の指導の際に市町村のほうにいろいろとこちらのほうから指導方針として申し上げたということはあるわけでございますが、財政調整のほうでそれをバックアップといったらことばは悪いと思いますけれども、財政調整のほうでその辺を勘案するというようなことは、これは極力避けておるわけでございます。
  112. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、その地域の住民の所得のぐあいや、それから、市町村の財政の窮迫状態やその他によって保険料が上げられないという県でも調整交付金は出す、こういうことですね。むしろそんならそういう市町村こそ減免の処置をされるとか、片一方で保護育成をし、減免の処置をし、それから交付金をよりたくさんあげて財政の均衡をはかってあげるというところに中心がなくては私はならないと思うのでありまするが、そのこともよろしゅうございますね。
  113. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 財政調整の中身といたしましては、市町村財政の収支のバランスを見ながら調整をすることを主体にいたしておりまして、おっしゃられるように、医療費が非常に上がって困るといった場合には財政調整のほうを多くするというような方式になっておりますので、おっしゃられるような趣旨でけっこうだと思います。
  114. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、その三十九年度から暦年にして四十二年度一ぱいに七割給付にするということになっているが、その東京、横浜というのはまず横へ固きましても、住民の願いによって、市町村の努力によってやりたいというところを、おまえのところは割り当てがないから、やらない、そうしてやっているところでも、年度がくるまではこの補助金は出さないというような現実はあるのですか。
  115. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 国民健康保険の七制給付の実現につきましては四カ月計画でやっておりまして、これは当初計画を立てるときにも、前の局長以来、当時の委員会におきましても御説明申し上げておるところだろうと思いますが、七割給付を実施する方向といたしましては、やはり市町村財政の国保財政のきわめて貧弱なところからこれを始めていく、財政が豊かなところはむしろあと回しにして、たとえば大都市等につきましては、これは後年度のほうに回していきますという御説明をいたしておると思います。何しろ四カ年で三千以上の被保険者の計画を推進していくわけでございますので、毎年四分の一ずつ市町村を対象にしていかなければならないわけでございます。したがいまして、御指摘の、弱い国保のほうからこれを始めていき、それで、大都市等につきましてはこれを後年度に回していくということで、当初からそれぞれ計画的にこれを進めておるわけでございます。おっしゃられる御質問の趣旨は、たとえばことし七割給付を始めるといった場合に、もともと実は一番後年度でやるというふうに方針をきめておった市町村が、たまたま七割給付によります四割の定率補助ができるという本法案の成立を見越しまして、後年度でやっております計画を一年繰り上げたいというふうな御要望が出た場合を想定いたしますと、これを直ちにそのまま三年度で認めるのがいいか、あるいは当初の計画どおり後年度に回すのがいいかという点に私は相なるんじゃないかと思います。これにつきましては、市町村の要望を全面的に私どもがのんだ場合には、これは四カ年計画の線をくずすことになりますので、その辺はひとつ従来の方針どおりの、また、市町村のきめられました方針どおりの線に従って実施していただきたいということを私どもは市町村の当局者に申し上げておる点でございまして、これは年度途中での大幅な変更ということは、なかなか財政その他の理由によって、また、計画的な年次の推進をはからなければならない立場上やむを得ないんではないか。したがいまして、この法律につきましても、その点を厚生大臣の指定する市町村から始めるというふうに書いておる趣旨であるわけでございます。
  116. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこはひとつ議論をしておかなきゃいかぬところなんですが、地域の農村地帯ですと、七〇%も八〇%も国保加入人口、近代都市、衛星都市になればなるほど国保の対象人口が減っていく。大体今日の人口割りからいって、近代都市、特に大工業地帯、帝業都市なら高くても三〇%、大体二〇%から三〇%が国保の組合員じゃないかと私は思うのです。そこで、そういうところの国保の組合員というのは、片一方では健保があるわけですから、より差がはなはだしいわけですね。だから、単に一がいに地方からやっていったらいいんだという方針をきめたとおっしゃるけれども方針がそうなって、計画がそうなっているからいまさら変えられぬとおっしゃるけれども、そんならそれで何とか納得さすような方法というものを十分に尽くさなきゃいかぬ。私はその議論に全面的に賛成はできないわけです。片一方では健保があって、そして二〇%か二五%だけが国保の、その都会の中で谷底におって、おまえのところは一番あとじゃという理屈というものはどうも通りにくいと思うけれども厚生省がそういう方針をきめているというのなら、きめているように十分に納得させなきゃ、われわれに聞こえてくる不平不満というのは、皆保険だから、われわれが皆保険の実をあげるためにやっているのに、なぜわれわれに割り当てがあとだからという一言のもとにけ飛ばして地方財政を苦しめておるか。住民の希望、意見、要求にたえられなくてやっているのに、これは困ったものだということの不平だけがわれわれに聞こえてくる。もっと厚生行政のうまみというものを出してもらわないと私は困るということをここで申し上げたいのです。だから、単に財政のあまり豊かでないところからやるのだということの方針が、そのうまみというものが全住民に知られておるかどうか、理解されておるかどうかという問題が残っておると私は思いますけれども、これは厚生省としては、行政上やはり例をあげますと、横浜や東京都なんかからたくさん不平不満がわれわれの耳に入るが、この点の処理なんかどうしているのか、聞きたい。
  117. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 四カ年計画を進めるにつきまして、やはり私どもとしましては年次計画というものを持たなければならない必要性はお認めいただけるのではないかと思うわけでありますが、先ほど市町村の財政というふうに私が申し上げましたが、むしろ市町村の被保険者の所得というふうにお考えいただきたいと思いますが、所得の高いところと低いところとどちらを優先するかということを考えれば、やはり、原則的には被保険者の所得の低いところを優先的に考えていく、年次計面を立てる場合に。こういうふうに私ども考えてスタートをいたしたわけでございます。それで割り当てをいたすというふうに申し上げてはおりますけれども、これは実は割り当てといったらおこがましい話でありまして、あくまでも市町村の希望を聞きまして、その市町村の希望に従って私どもが計画を進めていくという形になっておるわけでございます。ただ、御指摘のように、御不満があるということも私どもも十分承知をいたしております。しかし、その御不満の中にも、私どもと市町村財政の個々の当局者と話しておる場合に、もうそろそろ年次計画で出して御希望を出されてはどうですかということを従来ともお話しいたしておる場合に、いや、私のところは一番後年度でけっこうです、最初の計画もそうですからというふうなことで、しばしば繰り上げてやることにつきまして、反対といいますか、賛成を符られない市町村の方々が間々あるわけでございます。ところが、このたびの定率四割という法律が通過するというお話を聞きまして、実は計画を繰り上げたいのだというふうな希望を申し出られた場合に、先に大体希望を申し込まれておって、そこで計画も人員もきまっておった場合に、あとから割り込むような形になっては困るということを私たちが申し上げる場合は間々あるわけであります。こういった場合には、私どもは、やはりその辺は市町村の方々と十分納得ずくでお話をきめていくというふうに考えておりまして、決して押つけがましいことをいたすつもりはございません。十分話し合いをいたしまして、納得ずくで計画を進めていきたい、こういうふうに考えております。  それから、御指摘のように、東京都、横浜の場合、これも当初はやはり後年度に考えていくという方針考えておったわけでございますが、しかし、たとえば東京都、あるいは横浜等につきまして、すでに七割給付を実施しておる等の事情もございますし、この点は今後の計画年次を進めるにつきましてどのように考えておるかということは慎重に考慮いたしたいと、こういうふうに考えております。
  118. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、現在実施しておるところも、おまえのところは一番あとじゃからあと回しじゃというようなことじゃ私は問題があるのじゃないか。行政をやっておるところには、本来国からくるものが一切こないという状態で、これは市町村が肩がわりしなければならない問題になるわけです。そういうものをいつまでもほうっておくという行政はあまりよくない。どうしてそれなら出発のところでもっと相談してやらなかったかということになる。住宅のほうは一日も早くやってもらいたい、そこのところが十分に理解されて行政が進んでいないからそういう手違いの問題が起こる。横浜や東京都はやってもらったから住民は納得した。しかし、東京都や横浜にしてみたら困るという問題が現実の問題としてあるわけです。だから、そこらあたりが不平の出ぬようにしてそうことをやらなければ、おまえのところは割り当ては一番あとじゃということじゃ話にならぬじゃないか、私はそう言いたい。まあこれはいいでしょう。議論がありますから、いま慎重に、一番あとでというようなことでなしに、しっかり今日から取り組んでこの処置をしてもらいたいということを申し上げておきましょう。  それから、保険料の値上げの問題を先ほど議論しましたけれども、住民の負担能力というのにもおのずから限界があると私は思う。そこで、その限界というものを、たとえばこういう話があります。一般住民税の二倍にしたらいいんだというようなこともいわれている。東京の例は、ここに私も資料を集めましたが、大体住民税の二倍の保険料をとっている。そうして、また一方では、それはまた天井なしにやったらいいんだという話もあるわけです。そこで出てくるのは健保との関係においてどう処置するかということ。保険料の負担というものは、国保だからたくさん病気になってお医者さんにかかるというわけでもないんだから、そこらあたり負担能力の限界というものを考えなければいかぬと私は思う。そこらあたり考えてくると、大体保険料の標準というものはどの辺がいいのか。それじゃあ標準保険料をこしらえようとしたら、一般の便利のいいところと、無医地区や、無医地区でなくても、便利の悪いところのその保険料はどうしたらいいかというような構想がここに出てくるわけでありますから、保険料全体のいま私が申しましたような構想について厚生省保険局長はどう考えているか。
  119. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 御指摘のように、各市町村におきましての保険料の徴収が必ずしも精密ではないというのが現状であることは、これはやむを得ない今日までの事情があったわけでございます。確かに保険料の値上がりも非常に幅が従来はひどかった。したがいまして、一人当たり保険料額、あるいは世帯当たりの保険額も相当な金額になっておるわけでございます。これを全国的にやはり所得に応じた保険料を徴収するというのが一番望ましいことは、私どもも十分おっしゃられる御意見はまことにごもっともだと思います。ただ、これは国保関係者の間でもしばしば論議をされておるところでございますが、いわゆる標準保険制度的なものをなぜ早くつくらないかということでございまして、この点は、私どももぜひそういう形にすべきであるという考え方を方を持っておるわけでございますが、ただ、現在世帯主、家族につきまして七割給付を実施の途中でございまして、これが完成した暁には、模準保険料的な考え方は当然考えなければならない。しかし、いま年度途中で医療費七割給付になりますれば、医療費は当然上がってくる。それに見合う保険料をどの程度にするかということは、やはり計画年次を完成したあとでないとちょっと無理ではないか。世帯主、家族を含めて七割給付が完成しました暁におきまして標準保険料の制度というものをぜひ考えていきたいという考え方で私どもは対処していく所存でおります。
  120. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それはどうも逃げ口上だとぼくは思う。その世帯主の七割給付のときには、給付の二割増加する分のうち、四分の三だけ国が財政支出しましょうということでありました。今度は調整交付金を一〇%を五%に減らして、定率園庭負担を四〇%にしたというが、財政支出の面からいえば変わりはないわけだろうと思う。厚生省はいろいろとこれをどうとかと御意見をおっしゃいますけれども国民やわれわれの理解はそういう数字になっているわけなんであります。そうしたら、七割給付にするときに四分の三出すのだから、ここでそれじゃあその限界というもの、一定の限度というものを考えたらどうだ。単に財政健全化の負担保険料に全部ゆだねていくというものの考え方で、これは四割になっても、もうちょっとしなければどうにもならぬということになったら、いつまでたってもどうにもならぬ。限度が三万円のところがあるかと思うと五万円があり、七万円があり、九万円がある。それを赤字だから保険財政を確立しなさいといえば、だんだん取るところは十万円になり、十五万円になるということになっていくと、これは流れていくのです。そういうことは、いつの限度においても、その負担の公平というものは考えておかなければならぬ問題の点ではなかろうかと思う。だから、いま四割ができてからやりますということは、いますぐできないから二年間待ってください、そうしたらまた考えますということ以外に何ら理屈はないわけです。だから、私は、その考え方の、保険料として、保険税としての税負担の限界というものを、たとえば所得生活との関係においてどう考えているのかということを聞いておるわけです。だから、四割が完成したらやりますということとは違うのです。それはどうなんです。だから、そこのところを考えていない、考えていないということなら、それならそれではっきりするけれども考えているというなら、そんなところに逃げ口上を使わなくても私はいいと思う。
  121. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 私の説明があるいは悪かったかもしれませんけれども、標準保険料なり、そういった問題を考える場合には、やはりある程度各市町村の給付の中身につきまして不統一である場合に国が標準的なものを考える。むろん標準的なものを考える場合には、現在も財政調整を行なう場合に、われわれとしましては、一応の目安は政府管掌の健康保険の被保険者負担料を目安に置いて考えておりますが、この各市町村におきまして給付内容が必ずしも統一されておらない。いまそれを統一されるような段階になっておるときに、いわば所得に見合う標準的な保険料がどのくらいかということを算定することは時期尚早ではなかろうか。しかし、これが完成した暁におきましては、所得に応じました標準的な保険料というものを、医療費の動向、見合いと関連をいたしまして、これは統一的に全部一本の形になることはちょっと困難ではございますけれども、数段階に分けた保険料の徴収方法というものは、これはある程度きめていけるんではなかろうかというふうに私ども考えておるわけでございまして、いま直ちに標準保険料的な料率をきめるということは、算定すること自体ちょっと困難ではなかろうか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  122. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それではなおおかしくなってくる。四割がきまってからやるということはよけいおかしくなる、そういうことを言うなら。私の言っておるのは、住民の所得による税や保険負担というものはおのずから限界があるのだ、生活をしていく上には。だからそのことはいまどうのこうのということではなしに、常時考えておかなければならぬことじゃありませんかということです。だから限界というものをどこに定めていく。たとえば限界をきめるときには、標準保険料というようなかっこうできめなければならぬでしょう。ならぬでしょうけれども、それでは限界というものを一つ考えていなければいまのような話になると私は思う。たとえば、たとえばの話ですが、局長、たとえば国保が出発した根本精神というのは、その負担というのは均等割りはやむを得す五〇%にしよう、病気になれば同じだけれども、そこで、あとの五〇%を所得割りと資産割りにして調整をはかっていくというのが国保出発の大原則です。ところが、今日大都市を初め、そういうところには、もう所得割り、それから均等割り、そういうものが折半になって保険料が取られておるわけです。そうすると、りっぱな家に住んで、たとえば株式を持って配当で生活をしているような人、たくさん金を持って、そして利子で生活するような人は均等割りだけ払えばいいという、その利子の額が二百万円近くまでは無税なんですから。そういうゆうゆうと生活している人が均等割りだけ払えば税金は済むのに、弁当持ちで働いている人が年間二百万円も所得を得たらどれだけの税金が取られるか。そうしてたくさん税金を取られた人は高い保険料を払わなければならぬ。ゆとりのある生活をしている人でも、その人は保険料は均等割りでよろしいというようなことになっているのが今日の実態であります。そこを私は言いたい。だから、おのずから働いて生活している人の保険の限度というものはある。もっと極端に言えば、何百万という資産家がずっと負担能力に応じてやるならともかくとして、大体所得の一割見当ずっと上がってきて、そこから上は知らぬという取り方をみんなしている。そうでしょう。九万、十万取るところは百十万から百二十万のところを頂点にして、あとは同じだということ、そういうぐあいにして保険料をとっている。しかし、二百万も取ってゆうゆうと生活をしている人は均等割りの五百円か三百円で済むわけです。そういうことが今日行なわれているということと考えあわせて、これは例の数少ないことでありましょうけれども保険の生活上の負担というものはいかにあるべきか。国保が五〇%均等割りなら、あとの五〇%は所得割りと資産割りとによってやっぱり取っていく。これは税の問題がなければ、そういう減免措置がなければこういう議論は出てこないと私は思う。資産がよけいあったところで収入がないんだと言えば、それも理屈があるかもわかりません。実際減免措置でそういう事態というものが、今日の租税特別措置法や分離課税やその他を通じて出てきているわけです。そういうところは知らぬ顔をしておってはいかぬのではないか。そういうこともお考えになったことがあるのかどうか、私は聞きたい。特に私は京都なんかそれが多いと思う。年とったら京都で隠居しよう、そしてりっぱな家に住んでゆうゆうとした生活をして均等割りを出しておけばいい。片っぽうはスラムで、ボーダーライン二〇%近くあるというところで、そしてそれをしたら、その中間の人が百万から百十万円で、九万円か十万円そこら保険料を取られることになって、まだ赤字が十二億もあるという答えになってしまうわけです。それで赤字がどうの、一般会計から入れ入れと、こう言ったところで、住民の願っている市バスや市電や水道について、独採制といって、一銭の金も出してはいかぬということできびしく縛っておいて、この赤字は一般会計で埋めいとおっしゃるけれども、これは皆保険の国の責任体制というものがこういうところに出てくるのかどうかということも、私は保険料の確定に対して十分に頭を働かせなければならぬ重要問題ではないか。この京都市が所得割りと均等割りと二つ取っている。こういうことは、これは私は京都以外のところでもそういう例はたくさんあると思う。そういうこともいろいろ考えて、そして生活上負担の限界というものをやっぱり考えていくのが国保の重要な要件じゃございませんかと私は言いたい。
  123. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 藤田先生のおっしゃられる御意見は私はごもっともだと思います。ただ、所得に応じて取るのが原則であるという原則を貫くにいたしましても、被保険者自体の所得把握が特に困難であるということのために、現在市町村民税の課税所得を一応対象として考えておるわけでございまして、この点は、各被保険者の所得をどういう形で把握していくかという、把握の問題ともからむ問題ではないかと思います。おっしゃられるように、保険のたてまえからいいまして、ある程度バランスをとった、所得に応じた保険料を取るというのが原則であることは私ども十分御意見のとおりだと思いますが、ただ、おことばを返すようでございますけれども、たとえば健康保険のほうを考えていただきましても、高額所得者につきましてもやはり頭打ち制度があるわけでございます。 いままでは五万二千円でございましたのを、今度の改正によりまして十万四千円にいたしましたが、十万四千円以上の高額所得者に対しましても、やはり最高を十万四千円に押えざるを得ないという考え方があるわけでございまして、これを上をどこまで見ていくかというのは、やはり保険一般原則に連なる問題もあろうと思いますし、御意見はもっともだと思いますが、なかなか把握自体をどういうふうにしていくかという問題等を含めまして、やはり抜本的な検討の際に検討すべき事項というふうに私ども考えまして、今後どうするかにつきましては、十分慎重に検討していくつもりでおります。
  124. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、いまの議論がありましたけれども、あの健康保険負担の限界というものをどこに置くか。天井なしにしたらいいという意見があったけれども、健保のときに。あの十万四千円という率でいって、三千六百円というせいぜいそこらが限界であろう、十万円ぐらい取っている人の限界だろうというやっぱり理解なんですよ。十万円といったら月八千円以上払わなければいかんでしょう。そういうことになるでしょう。ちょっと説明してください。
  125. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 十万四千円の被保険者本人の負担ということになりますと、千分の三二・五でございますので、三千三百八十円、あと半分は事業主負担になりますから、三千三百八十円月保険料を支出する、こういうことになります。
  126. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そんなこと言ってるんじゃないですよ。これはその本人にしてみたら、使用者の払う分は半分あるけれども、国保でやったら、十万円の人は月八千幾ら払わなければいかぬのじゃないか、家庭経済から考えてみまして。それ違いますか、ちょっと言ってください。
  127. 信沢清

    説明員(信沢清君) 国民健康保険の場合には、先生の御指摘のように、年額の最高額を十五万円をめどとして市町村が割り出すわけでございます。それ以外は、先ほど御折摘のように、九万円とか七万円がございます。大体五万円が標準というふうになっておるわけでございまして、かりに年額五万円といたしますと、月の納付額はそれを十二で割るわけでございますので、大体四千円程度ということになります。これが最高のものでございます。
  128. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 初めからぼくは言っている。年間十万円の保険料だったら、月八千幾ら払わなければいかぬのじゃないか、一家庭で。健康保険の限界は総額が十万四千円で三千二百円で毎月済む。しかし、国保なら高い家庭は八千円も九千円も払うことになるじゃないですか。このままで赤字埋めのためにやっていったら、年間十万円とか十五万円ぐらい取るようになったら、その十分の一ぐらい払わなければならぬことになる。毎月の家庭における問題はそうなんです。だから国庫負担という問題がここに出てくるわけですよ。全体に高いところばかり言っているわけじゃない。国庫負担を上げたら、個人の家庭としたらそんなに負担ができはせぬ。それをおのずから家庭の負担の限界というものを、目的的税金であり、保険料であるから、おのずから限度がありましょう、こう言っておる。年額十五万円の保険金だったら、月に一万三千円か二千何百円払わなければいかぬということになる。健康保険は今度十万四千円という所得額をきめたけれども保険料というのは三千二百円で毎月払えば事は足りるということでしょう。家庭にしてみたら、生活したら同じことだから、限界というものがある。それじゃ健康保険の被保険者に当たる給与所得者であったら、三百万円取っていようが五百万円年額取っておろうが三千二百円で事が済む、そうでしょう。そこらあたり負担の限界じゃありませんか。だから国保の負担の限界というものを考える必要がある。それには、私が先ほど言ったような要件もある。要件というものを考えていかなければいかぬのじゃないかということを言っておる。あなたに二回説明してもらいましたけれども、それは初めからわかっていることでしょう。だから、それになかなかむずかしいのだということだけじゃいかぬのじゃないですかということを言っておる。それで標準保険料ということに、名前はともかくとして、おのずから負担の限界をつくって保険料を取って、全体をどうするかの問題は別ですけれども、やっぱり皆保険ということで国の責任体制を明らかにしていって、家庭生活をあまりおかさない限界においてそういう標準をきめざるを得ないのじゃないか。そこまで話がくれば、今度は無医地区とそうでない地区との限界をそのときにどういうふうにするかということも考えていかなければならないという話になってくるわけです。
  129. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) おっしゃるとおりだと思います。
  130. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、直営診療所とか、病院を建てたり新設をやるときにはめんどうをみているけれども、あとの修理とか運営に対してめんどうをみていない、そういうものに対して。そして少し直したいと思えば、新しいのを建てなさい、それなら補助金がありますというかっこうで行政が行なわれていると聞くのですけれども、その点はどうです。
  131. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 市町村が行なっております直営診療所のことだと思いますが、現存予算額一億九千万円で各市町村の要望に従いまして直診の補助を行なっております。むろん改造等につきましても積極的に補助金を支出するようにいたしておりまして、新しく建て直すとか何とかということでやっておるわけではございません。
  132. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは明確にしておきたいと思います。新しく建てるときには三分の一ですか、補助金がある。そして修理とか改造とかというものに金を出しておりますか。
  133. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 支出をいたしております。
  134. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 わかりました。  そこで、関連して聞いておきたいのですが、国保の国保組合という、特別国保といわれている。これについていろいろ問題があったのですが、全国の背は低いところを標準にしてその二割五分、それから上がりましたけれども、二割というかっこうになって、今度は四割に上がるわけです。二割五分から四割に上がるわけですが、国保組合に対する補助というものは今度の法案に出ていない。国保組合としても、同じような皆保険体制で同業者方が寄り寄りしてこの保険を守っているわけでしょう。それに補助金を出さぬというのはどういうことですか。いままでの二割五分に今度の四割をプラスをしていないということはどういうことですか。
  135. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 現在、国民健康保険組合につきましては百五十六組合あるわけでございますが、この百五十六の国民健康保険組合のうち、家族七割以上の給付を実施しておりますのが九十五組合あるわけでございます。それから、残りの家族七判給付を実施しておらない組合においても、世帯主について法定以上の給付を実施しておる等、財政的には比較的恵まれておる組合があることは御承知のところだと思います。ただ、非常に困っておる組合も中にあることは私どもも十分承知をいたしておるわけでございます。国保組合につきまして定率四割の補助をするということにつきましては、これは私ども市町村の四カ年計画の七割給付が実現いたします段階におきましては、むろん国保組合につきましても同じような考え方をとらなければならないのではないかというふうに考えておりますが、さしあたって、世帯主につきましての定率四割の補助につきましては、これは従来の取り扱いも、市町村の七割給付、家族につきまして七割給付を実施しております市町村につきまして補助金で四分の三を出しておりましたが、組合についてはこれは出しておらないのでございまして、今度の改正は市町村の四分の三の補助金の分を定率四割に改めるということでございますので、取り扱い上は、国保組合につきましては、市町村の七割給付が完成した暁におきまして、十分均衡を失しないように考えていくという方針で検討いたしたいと思っております。
  136. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 しかし、これも先ほど実は東京都と横浜の例をあげていいましたように、特に国保組合においては十割給付のところもあれば七割のところ、法定以外に付加給付のところが多いことはわかっているのです。わかっていますけれども、少なくとも七割給付がいま九十五組合あるというところであれば、百五十六の中で九十五もあるとすれば、私はいまのこれこそ初めからわかっていることでしょう。この四カ年計画を出発当初に横浜や東京はやっていたのだけれども、出発当初のときにこのことはわかっておるわけですから、皆さん方のいわれる方針にぴったり合った行政をおやりになっておることなんですから、四年済んだら考えますとか考えざるを得ないということだけではちょっと事がおさまらぬのじゃないですか。これが七−五でやっているというなら別ですよ。世間で七−七か、八−七か、十−七か知りませんけれども、家族の給付を。本人は七割以上やっているでしょう。それから家族が七割以上やっているというなら、当然その出発の当初に考えるべき問題じゃなかったのですかね、これ。
  137. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 御承知のとおり、国保組合につきましては、国民健康保険法上の取り扱いも、市町村につきましては負担をすることになっておりまして、国保組合につきましては補助という形に法令上の規定がなっておることは御承知のところだろうと思います。それで七割給付以上のところをやっております国保組合につきましては、これは従来もしその分につきましてこれを補助の対象にすると、つまり四分の三を補助の対象にするという取り扱いをいたしておるなら、これは別個の考え方に立たなければならないと思いますけれども、従来、国保組合につきましては特別補助金の対象にいたしておらないわけでございます。しかも、市町村のほうでも、七割給付以上を実施しておる市町村があることはあるわけでございますが、これにつきましても年次計画によってこれを認めていく。それで最終四十三年一月までに完成をするということでございますので、やはりたてまえといたしましては、市町村の財政対策を主体にしましたのが今度の定率四割の法律でございますし、また、現状を変えない、現状の四分の三の特別補助金を定率の分に吸収するというたてまえで改正案を出しましたのが今度の趣旨でございまして、現状と何ら変わりはない。国保組合につきましては現状と変わりはない。しかし、七割給付が完成した暁におきましては取り扱いを同一にするという考え方で私ども考え方を整理いたしましたので、御意見はいろいろと私どもよくわかるわけでございますが、いま直ちに国保組合につきまして、市町村がまだ完成しておらない段階におきまして、これを直ちに四割定率化にするということは現状とはなはだしく欠ける点も考慮いたしまして、なお慎重に検討する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  138. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 国庫の負担だからということで補助ということとは内容が違うんだ、内容が違うか知らないけれども、同じようにやってきた。こういうところに使い分けをするために負担と補助とが初めからそういう使い分けをしてきたのだ。三十六年始まって以来、二割五分というのも同じように今日までやってきた。だから、市町村に二割やるときには、国保組合にも二割の補助金でやってきた。金は同じでも、頭につけるのが違うということだけ、いまの説明は。それ以外に私を納得させる意見がない。それで、あなたのおっしゃるように、保険財政、健全なことをやりなさいということについては、国保組合は市町村という一般会計のなにがありませんから、みずからの金を出して健全バランス財政をやってきているわけですから、これは厚生省の期待に沿うようにしてやってきている。だから、なおさら第一番にその補助の対象を、あなた方がおっしゃるとおりやってきている国保を一番あとだというのも、どうもほかに理由があってあとになっているのか、そこらあたりをもうちょっと聞いておきたい。
  139. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) おっしゃられるように、国保組合につきまして、市町村と同じように二割五分の補助金を支出しておるのが現状でございます。ただ、現在、市町村と国保組合とが違います点は、市町村はこの二割五分の定率の補助以外に、七割給付実施に伴います給付改善の特別補助金が世帯主、家族についても出ておるわけでございます。これは特別補助金として出ておるわけでございまして、国保組合につきましてはその分が特別補助金として交付されておらないわけでございます。その交付されておらない国保組合につきましては、これは現実に特別補助金を支出しておらない市町村と全く同一でございます。現在七割給付をこれからやろうということで、まだ特別補助金の四分の三分をもらっておらない市町村と国の支出がないことは同一でございます。したがいまして、今回の法律の改正案が市町村に対しまする定率の四割というふうにいたしましたのは、七割給付をやっておりまして、四分の三の補助金を支出いたしております市町村の分を定率四割にする。金額的にはその分だけを二割五分に一割五分足すということでございまして、まだ四十三年までいわゆる四割の補助金をもらう市町村は、これから出てくる市町村が多いわけでございます。したがいまして、これが完成した暁におきましては、国保組合につきましても同一の取り扱いをするということを私どもは申し上げておるわけでございまして、完成しない段階におきまして、いまここで定率四割を国保組合に出すこと自体は、他の市町村とのバランスの関係を一見てどうかということでございます。この点は家族給付につきましても私どもの申し上げておるところでございまして、ただ一つ残された問題は、世帯主につきまして七割給付に対しましての四割分をなぜ出さないかという問題が最後に残された問題でございます。この点は、現実に世帯主につきまして七割をやっておるとすれば、当然その分の一割五分分を出すべきではないかということになるわけでございますが、これにつきましても、市町村につきましては、従来、財政調整交付金の中から支出をいたしておったわけでございまして、国保組合につきましては、これは市町村と違いまして、世帯主につきましての財政調整交付金というものは国保組合にはないわけでございまして、それをそのまま市町村分は四割のほうに家族分と一緒に持っていったということになりまして、どうしても国保組合のほうが取り残されたという御不満は私どもごもっともだと思います。しかし、この取り扱いをどうするかということにつきましては、私どもは今後十分慎重に検討いたしたい。これを全然無視してしまうということを申し上げておるわけではございません。御指摘のように、国民健康保険組合につきましては、多年国保事業につきまして熱心に推進をしていただいた方々ばかりのお集まりでもございますし、国保組合につきましての取り扱いについては、私どもは今後慎重に前向きで検討するというふうに考えてまいりたいと思います。
  140. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこらあたりがかなり議論のあるところだと思うのです。世帯主の上例納付に四分の一を出してきた。それは財政交付金から出してきておるのだから、補助金としては出してきていないじゃないか。そういう理屈があるものだから国保組合としても言いたくても言えなかった。そこで、今度国保が四割になるというなら、七割給付以上のところには一番にその問題がきそうなものだと思っておるのが、今度はおまえのところは一番あとだという理屈はどうもおかしいのじゃないですかね。負担はこっちが負担して、おまえのところは補助だから、それは理屈が違うという表現は、実費的には出してきたのだから、少しおかしいのじゃないですか。だから、いま局長の言われるのは、たとえば東京、横浜のように、この四年間に処理をする、要するに東京、横浜は、いまのお話を聞いておると、どうもおまえのところは一番あとだからというお話で、まあそうはおっしゃらないけれども、慎重に検討するというお話があったのですが、結局大都市は一番あとだ、国保組合は一番あとで処理をするのだということじゃ、少しそこのところは、初めから努力をして自分らが負担してやっておるものに対する処遇としては少し私はやはりいかぬのじゃないかと思う。だから、この点は、そんな四十三年になってからということじゃなしに、これも東京、横浜と同じように、いまから真剣に取り組んで問題の処理に当たるということにしておいてもらわないと、これは幾ら議論してみても、どうもだんだん議論が進めば盗むほど私はわからぬようになってくる。その点はひとつそういうかまえを持ってもらいたい、そう思うのですが、どうですか。これは大臣に聞きたいところだけれども
  141. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) この問題は衆議院のこの法案を検討する際にずいぶん問題になりまして、附帯決議の第五項に、この問題をぜひひとつ検討しろという附帯決議がついております。したがいまして、ただいま局長から御説明申し上げましたような事情でございますけれども、ただいまの藤田先生お話もございますので、一生懸命御希望に沿えるように検討してみたいと存じます。
  142. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから四十三年になってということじゃなしに、いまから検討して国保組合にこたえるということだと了解してよろしいですね。
  143. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) はあ。
  144. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 はい、わかりました。  それでは、これに関連して、大臣がまだお見えにならないので、一言だけ聞いておきたいと思うのだが、私は、皆保険ができてから一番住民の困っているのは無医地区の問題だと思うのです。無医地区の問題の処理、それから、もう一つは、無医地区ばかりでなしに、看護婦さんの不足の問題、これは非常に困っている問題だと思うのです。特に市町村がお医者さんを置く、看護婦さんを置くとしてもなかなか来手がない、ただ単に無医地区じゃなしに、大都会から少し離れればなかなか来てくれないという問題がある。だから、その点について私は、無医地区の問題と、それから、少し中心から離れたところのお医者さんの不足、看護婦さんの不足、この看護婦の不足の問題は全般についでありますが、この国保皆保険を進めるにあたってどういう心がまえでその二つの問題と取り組もうとしているか、聞かせていただきたいと思います。
  145. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 無医地区の問題につきましては、私ども国民保険を進めるにあたりまして、無医地区の解消ということで、先ほどお話し申し上げましたように、国民健康保険保険施設として直営診療所を逐次つくっていく。そこで診療所に勤務していただくお医者さんを募集していくという方針を進めておると同時に、一方、医務局のほうで、いわゆる無医地区対策といたしまして僻地診療所の建設を進めまして、両者相まって無医地区の解消にここ数年努力をいたしておるわけでございます。ただ、補助金を支出いたしまして診療所をつくりましても、そこで勤務するお医者さんがなかなかいつかないというふうな心情もありまして、非常にこの問題につきましては私どもその対策に苦慮をいたしておるわけでございますが、医務局のほうの僻地診療所につきましても、どうせこういう無医地区に診療所をつくった場合に赤字が出ることは必至でございますので、赤字に対しましても高額の国の負担、それから、僻地の私どものほうの直営診療所につきましては、その赤字分につきましては特別調整交付金でその運営費をみるというふうな措置をとりまして、無医地区解消につきましていろいろと努力をいたしておるわけでございますが、なお十分でないことは私ども十分認めております。今後とも、無医地区の解消につきましては、なお一そうの努力をいたすつもりでございます。また、看護婦不足等につきましては、前々から、大臣以下、医務局の局長以下、非常に対策の推進つとめておるところでございまして、この点につきましても厚生省としては全力をあげて努力する所存でございます。
  146. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その話は何回も聞くわけだから、だから熊崎局長は誠意をもって答えるとおっしゃればそのままそっくり承りなすけれども、しかし、現在どの地方にどれだけ無医地区があって、どことどこにどう無医地区があって、それから看護婦さんがどういうぐあいに不足しておって、その看護婦さんの養成をいまの状態では看護婦、准看護婦との関係で、たくさん看護婦の免状を持った人がおいでになるけれども、給与や、その他生活の問題で働かないという具体的な問題をあなた調べて、これにはこうするというぐあいにおっしゃってもらわないと、ただ努力をいたしますでは、それはどうもよく平生皆さんが看護婦の不足についてこうやって、こういうぐあいにやっている、医者の不足については、無医地区についてはこうやっているという具体的な問題がいつもわれわれ社会労働委員会提出をされておって、そうしてそういうものをわれわれ理解しているなら、いまの熊崎局長、さあしっかりやってくださいということになるけれども、そうはいかぬでしょう。もう少しあなた実のあることが言えないんですかね、これは。
  147. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 私どもの直接監督をいたしておりますのは、各市町村の直営診療所として運営をいたしております病院、診療所でございまして、その他市町村の国保の直診じゃない一般の市町村立の病院につきましての実態といいますものは、これは医務局のほうでつかんでおるわけでございまして、私のほうがつかんでおります診療所、病院につきましては、直診の看板を掲げている病院、診療所でございます。所管が違いますので、その点は私どもの直営診療所につきましての種々の統計は私ども整備いたしておるわけでございますが、ただ、申し上げられます点は、一般の公的病院と、それから、国保の直診につきましても、看護婦不足、その他の条件的な不備の点につきましては共通的な問題が多々あるわけでございまして、したがいまして、概括的な説明しか私申し上げることができなかったわけでございますが、直診の運営につきましては、私どものみならず、国民健康保険の連合会、中央会を含めまして、各県別にあります連合会におきましても、直診の医療従事者の確保につきましては、日ごろから私どもと連絡をしながら、鋭意その確保に努力をいたしておりまして、必ずしもその実があがっているというふうに私ども申し上げるわけではありませんけれども、やはり一般的な看護婦の養成計画にあわせて、私どもは受け入れ態勢としてこれを考えていくという立場でもって、医務局と相談をしながら、その不足数に対しまして努力をいたしたい、こういうこと以外にちょっとお答えはできないと思います。
  148. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういうことになると、こういう皆保険体制の国保をやるときには医務局長局長がいなければ課長がちゃんと来て、そうしてやはり態勢をとっておいてもらわぬと、私ども行政とは違いますと言う。私自身の知っているところでも、無医地区という地域については、お医者さんが行かない理由というのはこれとこれとあるというぐあいにわれわれはわかっている。わかっている問題をどうそれじゃ乗り越えてその無医地区を解消するかという話がなければ、これは話にならぬわけです。看護婦にしても、免状を持っている看護婦さんはいまの社会が求めているだけの人数は十分にあるわけです。看護婦と准看護婦との関係において、それが十分に看護婦不足という問題が解消していない。それをどこに原因があるか、どこにその看護婦不足の原因があるのかということは、何回も私は探究されてきたと思う。きておりながら、いつも同じことが言われる。それで答弁は、はい努力をいたしますだけではこれはどうにもならぬわけで、これは大臣がおいでになったですから、ひとつその無医地区の問題と看護婦不足のために皆保険に対して非常に大きな支障を来たしている。私は先ほども申し上げたのですけれども、皆保険として出発したのだから、この二つの問題があります。それから財政上、それから診療給付上、いろいろと国保は、むしろ利用者保険という谷間で、大都市になるほど比率が少なくなって困っているというのが今日の状態です。市町村がみなかぶさっているというのが今日の状態です、だから皆保険国保は、国の責任体制をもっと明確にしていかなければいかぬのじゃないかという先ほど質問をしたわけです。この二点についてまずお答えを願いたい。
  149. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま藤田さんから御指摘がありましたように、国民保険のもとに医療の保障を受ける権利が国民全体にあるわけであります。そういう意味合いからいたしまして、医療機関の配置を適正にする、特に御指摘がありましたように、離島、あるいは僻地等に無医地区があってはいけない。適正に医療機関が配置をされて、そうして国民保険のもとに保障された、医療の給付を確保する、これが私どもの責任である、かように考えております。しかし、現状におきましては、いろいろいろ御批判がございましたように、これが十分にいっておりません。私も岩手県の出身でございまして、この僻地の医療対策という問題につきましては身をもって体験をいたしておる一人であるわけであります。そういう観点から保険の直営診療所を増設する診療所ができたけれども医者の確保は一体どうなるのか、こういう悩みがあるのでありますが、この面につきましては、その地元地元の医師公等の御協力を得まして、そうしてその直営診療所にかわりばんこで勤務をお願いしたり、あるいは、また、その医療機関と医師の確保ができるまでの一つの補完的な対策といたしまして巡回診療車を回すとか、あるいは患者輸送車を増強するとか、そういう対策にも私ども努力をいたしておるのであります。昭和四十一年度の予算におきましても、そういう僻地医療対策ということにつきましては特別な配慮をいたしたつもりでありまして、今後もさらにこの面につきましては努力をする考えでございます。  また、看護婦の問題でありますが、これは養成機関を整備をする、この人員をたくさん養成、確保するということが一つであり、もう一つは、やはり看護婦さん等の処遇の改善をはかるということが看護婦対策のやはり重点でなければならない、こう思うわけであります。現在のところ、二十一万人程度の看護婦さんが第一線で働いております。なお、また、資格を持っていま家庭に入っておりますところの看護婦さん、御婦人も多数おるのでありますが、こういう方々に対しましても、政府としても、職場に出て現在の看護婦の不足に協力していただくように呼びかけておるところでありまして、全体の四五%程度の方々が家庭から職場に出て御協力をいただいておる、こういうこともやっておるのであります。そのためには、そういう方々の働きやすいように託児所をつくるとか、あるいは職場環境を整備するというようなこと等もやっておるのでありますが、そういう対策を講じても、なお三万人程度の不足がここにあるわけでありまして、昭和四十年度、四十一年度の両年度にわたりましては比較的応募者も多くございましたので、いまできるだけ看護婦さんの養成をはかるべく、国立病院、あるいは診療所、公的な医療機関、あるいは民間の御協力を得ましてその養成に当たっておる、こういう段階でございます。また、処遇の改善につきましては、先般来問題になっておりますが、人事院から勧告をされましたところの処遇改善の問題につきましても、政府としてできるだけの配慮をいたしておるところであります。今後とも、看護婦さんの養成確保につきましては一そう努力を払いまして、そして皆保険下における医療の確保ができまするように最善の努力をいたしたいと考えるわけであります。
  150. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大臣にもう一つお聞きしておきたい。その他のことについては次官にお伺いしましたから、重複をいたしませんが、お医者さんの不足とあわせて、歯医者さんの不足も同じであります。これはともにひとつ考えていただかなければ解決できる問題ではないと私は考えます。  それから、大臣に承っておきたいもう一つの問題というのは、この前も大臣がおいでになったときに私は申し上げたと思うのですが、国保会計の財政の確立云々というところで、昨年と一昨年とで六〇%の保険料を値上げした。ことしは一三%保険料の値上げをしている。物価値上げで困っている住民が、これによってなお困ってどん底に入っている。しかし、それに対して国保財政に織り込んだ財源というものは一般会計の支出であります。ことしは七十四億だというけれども、去年は八十九億ですか、百億近い金が毎年国保財政に注ぎ込まれている。それでいて、赤字がだんだん減ったというけれども、赤字の減った非常に大きなウエートをまだ住民、被保険者が持っている。一般会計から赤字を埋められない国保財政の赤字の問題もまだ相当残っている。こういう赤字の解消のために、私は一律にどうこう補助金を出しなさいというようなことは、やったところとやらないところがあるわけですから、これは地方財政の需要額に応じて地方交付税、特別交付税、それとの関係なしにこれの問題の処理は私は一気にはできないと思います。できないと思いますけれども、しかし、財源が不足してやれないというところに対して、厚生省が何とかしてこの財政上のめんどうをみてやらなければならぬのじゃないかと私は思うのです。たとえばその分の中の幾らかを財政補助をしてあげるとか、またはその赤字に対する利子補給というようなものを考える、それから、長期返還のそういう特別な低利の利子補給をしながら返還の道を講じてやるとか、何かやらなければ、地方財政というものは、塗炭の苦しみのところはその苦しみが永久に続いていく。どこからも援助がないということになれば、もう苦しい状態がいつまでも続いていくということになる。保険料を上げて取りなさいといえば、それは事は簡単でありましょうけれども、そう簡単に保険料が上げられないところに苦しみがある、私はそう思う。ですから、最初大臣にも強調したのは、三十六年にできたときには、国民保険、利用者保険との谷底の間に追い込まれているこの国保の国の責任というものを明確にして、そういう措置を何とかしてやらなければならぬということで先ほどから議論をしてきたわけでありますが、こういう点について、国保と、片一方の健保になりますと、使用者と両方が負担をして、そして負担の限界というものがむしろ議論され、それで限界点で話がきまるというかっこうでありますけれども、国保は赤字になったら何ぼでも取りほうだいだということじゃどうにもならないと思うんです。ですから、まず、市町村の財源をどう確立する中で皆保険を正常な形で伸ばしていくかという考え方について大臣から一言承っておきたい。
  151. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民健康保険の財政が、医療費の急速な増高に伴いまして、悪化をいたしております。そのために被保険者の方々にも、保険料、保険税の位上げ等で非常な御協力を願っておるところであります。しかし、政府は、被保険者にすべてをかぶせてしわ寄せをして手をこまねいておるかと申しますと、決してさようではございません。昨年私就任いたしましてから、八月でございましたか、臨時財政調整補助金といたしまして四十億円予備費から支出をいたしました。また、昨年の暮れの臨時国会では、補正予算の中に二百六億の一般会計からの補正措置を講じた次第でございます。このようにいたしまして、政府といたしましても極力努力をいたしております。今回の国保の改正の、昭和三十九年度から実施いたしておりまするところの計画に基づくところの家族七割給付を実施に移しておりまする町村に対するところの定率四割の国庫負担の問題、あるいは事務費の二百円から二百五十円に引き上げました問題等も、私どもが国保の財政の問題、特に被保険者の方々の負担を少しでも軽くいたしたいという熱意でこれに努力をいたしておるところであるわけであります。一般会計から昨年約九十億円、昭和四十年度に七十億余りの繰り入れがなされておりますけれども、この点につきましては、いろいろ調査をいたしますと、事情があるのでございます。たとえば法定の給付以上の給付をおやりになっておる、そこで上積みの給付部分について一般会計からこれを補てんをするというようなこともございます。また、保険税、保険料の収納率が非常に低い市町村におきましては、これまた一般会計からの補てんを願っておるといういろいろの事情がございまして、必ずしもその一般会計から繰り入れの全部が保険財政そのものの犠牲になった、こう言えない点もあると思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、今日市町村団体におきましても被保険者におきましても、この国民健康保険のために相当の御負担を願っておるということは、藤田さんが御指摘のとおりでございます。私どもはさようなことを考えまして今回の改正をいたしたのでありますが、特に今回低所得者に対するところの保険料、保険税の軽減措置、これにつきましては事務当局で計算をさせましたのでありますけれども、百六十億の調整交付金のうち、約三分の一の五十億円が今回の低所得者に対する軽減措置の拡大によりまして、低所得対策として充てられるのでございます。こういうぐあいに、私ども十分そういうにも配慮をいたしまして、御指摘がございましたように、保険料、保険税があまり被保険者負担にならないように、今後とも十分な努力をしていきたい、かように考えておる次第であります。
  152. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つだけそれじゃお尋ねというか、要望しておきたいと思います。  健保ですと、病気になったときには傷病手当がつくわけでありますね。国保には傷病手当がつかない、お産の手当も非常に少ない、二千円しか出ない。これは皆保険体制のいまの大臣努力の中の一つに加えておいてもらわぬと、病気になった場合、七割給付になって、三割だけ負担することによって医者にみていただけることになりましたが、農民や商業で働いている人が国保の加入者なんです。だから、何らかのその道を開いていただきたい。お産のほうは増額をしていただかなければどうにもならぬ問題ですが、傷病手当の問題も国保の中で検討していただきたいということを、特にいまの大臣のお考えの中に入れてやってもらいたいことを強く要望しておきます。
  153. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの二点につきましては、今回の改正に引き続きまして、医療保険全体の抜本対策を考究いたします際の重要な課題として検討を進めたいと考えております。
  154. 小平芳平

    ○小平芳平君 いろいろと藤田委員との間に質疑応答がありまして、いろいろ明らかにしていただいたわけでありますが、ちょっと私お聞きいたしたい点は、国庫補助を、いままでの厚生省方針として、療養給付改善をした場合の財源は、四分の三は国庫補助をするから、残りの四分の一は当然料金改定なり、そういうことによってまかないなさいと、また、逆に言えば、保険料を改定をしなければ国庫補助は出せないというようないきさつになっていたのですか。
  155. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 家族七割給付を実施をするということでございまして、四カ年計画を立案いたしましたときに、従来五割でありましたのを二割アップをするという際に、どの程度国が負担をするかということにつきましては、当時非常に財政当局と激突があったわけでございます。むろん財政当局の考え方といたしましては、高額の補助金を出すことについては絶対反対、むしろ保険の性質を貫いて、国が持つとしても、せいぜい半分以下であるというふうな主張で争ったわけでございますが、最終的な決定といたしまして、国保は低所得層が多いという実態その他を明らかにいたしましては、当時といたしまして最も高率である四分の三補助金を支出をする。しかし、保険であるたてまえ上、給付が上がるにつれて保険料の支出が全然ないということについては、これは問題ではないか。やはり当時におきましても、五割給付の場合に二割五分の国庫負担であって、あと残りの二割五分は保険料でまかなうたてまえになっておりました。なお四分の一分は保険料でもって支出するのを適当とするということにきまったのでありまして、それが今回の改正で、四分の三が一割五分として、定率のほうの二割五分にプラスされるということになりますので、残りの分は、やはり保険料でまかなうということをたてまえにするということに相なったわけでございます。
  156. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、したがって、ここで法律改正になって定率四割がきまっても、実際には四十三年一月一日から、ともかくそれまではこの法律改正によっても四割の国旗補助はもらえないというところができますか。
  157. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 家族分の七割給付を実施する場合に、前々から御説明申し上げましたように、ことしがちょうど、まん中の年でございまして、あと、ことしで四分の三分の市町村が完成をいたしまして、完全に完成するのが四十三年の一月でございますから、やはり家族給付につきまして七割給付を実施しない市町村はなお残るわけでございます。しかし、世帯主につきましては、これは全部七割給付を完了いたしておりますので、世帯主につきましては、各市町村一率に七割分につきまして四割の国庫負担が出る、こういうことになるわけでございます。
  158. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう点は先ほど来説明がありましたのでよろしいのです。明らかだと思うのですが、私がお尋ねしている京は、四割国庫補助がきまったけれども、現実には東京都の例ですね、東京都の例も先ほど来指摘されておられましたが、東京都の場合だったらいまのままだと、それじゃいつから四割国庫補助になりますか。
  159. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) この法律の中身につきまして、七割給付を実施する場合の定率四割を出す市町村につきましては、厚生大臣の承認という形になっておりますので、東京都につきましては、申請が出れば、これを承認をするという形で実施に移していきたいと思っております。
  160. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣が選定をするという場合ですね、その場合に、東京都の場合ならば、家族七割を実施し、それから保険料値上げをすれば来年からの選定に入るだろう。それが保険料を値上げしなければ来年も選定に入らないだろう、そういうようなことにはなりませんか。要するに、そういうことにはならなくて、東京都が保険料値上げをするしないにかかわらず、これが適用されるのだ、選定の基準に入るのだというなら、それでよろしいわけですが。
  161. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 東京都の保険料につきましては、先生御承知のとおり、昨年来、国民健康保険料の値上げにつきましどのような取り扱いをするかということが都議会においていろいろと問題になっておるわけでございまして、東京都自体も、他の大都市等の動き、その他を見まして、保険料につきましては、事務当局としては若干の値上げを必要とする。これは東京都自体、区で保険をやっておりますが、保険の運営上、やはりこの際若干の保険料の引き上げは必要ではなかろうかということで、現在の段階でもなおその準備を進めておるというふうに私どもは拝承いたしております。しかし、私どもは、保険料の値上げをするしないという問題は、これはその都なり市なりの財政の状況を見た上でその市町村の理事者の方々がおきめいただくものであって、上げるから対象にするとか、上げないから対象にしないとかというふうなことを私ども指導として申し上げておるわけではございません。しかし、東京都につきましては、その後の経過等もございまして、国民健康保険の問題につきましては、私どもは、七割給付を現実にやっておるところでもございますので、四割補助につきましてはすみやかに結論を出したいというふうに考えております。
  162. 小平芳平

    ○小平芳平君  要するに、東京都の場合もそうですし、そのほかの場合でも、保険料を値上げしなさい、そうすれば国庫補助があげられますと、保険料値上げしなければ国庫補助はあげませんというような、何となく国が地方議会なり地方の当局に保険料を値上げさせるように厚生省方針で追い込んでいくんだというようなことはないということでよろしゅうございますね。   それから、次に、これもこの前にもちょっとお伺いしてお答えがあったのですが、滞納処分ということが今度は新らしく入っているわけですが、それで、この点については、別に滞納処分を行なうことができることとしましたというのですが、特別変わることはないというような説明もありましたが、この点についてお尋ねをします。
  163. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 今回滞納処分につきましての規定を設けた理由といたしましては、前回御説明申し上げましたように、地方自治法の一部を改正する法律、これは昭和三十八年でございますが、その一部改正によりまして、市町村が徴収いたします保険料その他の徴収金は、昭和三十九年六月以降滞納処分を行なうことができないようになったわけでございまして、これは税金につきましては滞納処分は当然できるわけでございますが、ほとんどの市町村が九〇%ぐらいは税金でやっておりますけれども、一部保険料でやっておる市町村があるわけでございます。したがいまして、この同じ国民健康保険を運営する際に、片や保険税でやっておる場合には滞納処分ができ、保険料でやっておる場合には滞納処分ができないということは片手落ちじゃないかということで、当時自治省当局とも私ども話し合ったわけでございますが、法律で定めなければできないということになりましたので、機会をみて滞納処分ができるような構成に改めるという前々からの約束がございました。今回たまたま国民健康保険の改正法律案を出すことになりましたので、やはり滞納処分を受ける規定を設ける必要があるということで御提案いたしたわけでございました。片や税であり、片や保険料であるという差によって取り扱いが違うということは公平を欠くのではないかという趣旨だけの改正でございます。
  164. 小平芳平

    ○小平芳平君 その公平を欠くという点はわかりますが、時あたかも不況下の物価高という、あるいは、また、国民所得が頭打ちの傾向にあるときに、また、地方財政が特にここ苦しくなっている段階でわざわざこういう改正が入ると、さあこの辺でまた滞納処分ということで強圧的な、あるいは強硬な滞納整理が特別に始まるのじゃないかというふうな感じを受けるおそれがありますのでお尋ねしているのですが、そういうことはよろしゅうございますか。
  165. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今回の改正は、ただいま保険局長からお答えをいたしたとおりでございまして、この改正によって私ども苛斂誅求しようなどとはごうまつも考えておりません。この規定の運用につきましては、十分慎重に配慮いたす所存でございます。
  166. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。まあ十分に、配慮するという大臣の仰せでありますから、あらためて聞くまでもないと考えますけれども保険料その他、この法律の規定による場合の徴収金の先取りの特権の順位は国税及び地方税に次ぐものだ、こういうふうに認定しておられるわけですね。したがって、取り扱いの問題が、いま小平委員の言われるように、私も心配しておったところなんですが、一体こうして徴収しなければならない、たとえば税とひとしい処分をするということであるならば、これを均等にしなくちゃならぬという、その不均等な、いわゆるいままでに未収入であった組合がどのくらいあるのか、それが一つ。それで、税に次ぐものであるということであるならば、運営で考慮をすると言われますけれども、差し押さえもできるということになると私は思いますが、その点は、やはりそういう権限で万一の場合はやる場合もある、こうお考えになっておるのかどうか。非常に重要な問題だと思うのです。
  167. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) いままで私どものほうで保険料の滞納分の推計をいたしてみましたところ、大体三十九年の五月末現在で十四億円程度ということになっておるわけでございますが、私どもとしましては、いま大臣が申し上げられましたように、保険料の滞納処分につきまして、非常に無理をして徴収するというふうな考え方を持っておるわけではございません。ただ、非常に悪質の滞納があるといった場合に、その処分すらできないでこれが放置されるということにつきましては非常に問題ではないかというふうに考えて、均衡を考えましてこの規定を置いたわけでございまして、実際に所得を喪失して保険料が払えないというものまでこれを追求していくというふうな考え方は持っておらないわけでございます。ただ、先取特権その他につきましては、これは普通の取り扱いと同じような規定にしてあるということだけでございます。
  168. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いや、ここで法律にこう盛る以上は、そういう特権が出ると私は思わざるを得ないわけです。しかし、資格を喪失するというのも一つの方法じゃないかと思うのですが、いずれにウエートを置くのか。資格の問題は考えていないのか。保険料を滞納しておる場合には資格を喪失すると、これも一つの方法で、もう被保険者でないということになるわけですね。その程度なら私もやむを得ない処置ではないかと思いますけれども、税と同じような権利をもって徴収を最悪の場合はやる、こういうことになるとちょっと趣旨が違うではないかという感じを持つわけですが、この点どうですか。
  169. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは社会保障の一環としての医療保障、これを国民にひとしくその医療給付を保障しようという制度でございますから、私ども、全部の方がやはり国民健康保険の被保険者の資格をいつまでも持って、そして、医療給付制度の恩恵に浴するようにいたしたい、このような考えを持っておるのでありますが、いまの滞納処分の問題につきまして、悪質な滞納者に対して、善意の他の被保険者の立場を考えまして、やむを得ず行なう場合が間々あろうかと思うのであれますが、経済的な事情その他で保険料が払えない、そういう方々に対しましては、先ほども申し上げましたように、今回の改正では低所得者に対する軽減措置を大幅に広げる、調整交付金の三分の一をこれに充てよう、こういう考え方で低所行者対策を推進する際でございますので、決して所得が減り、経済的な事情で納められない者までこの法律の改正の条項を当てはめて法的に措置しよう、そういう考えは持っておらないことをはっきりここで申し上げておきたい。
  170. 小平芳平

    ○小平芳平君 あと一点で終わりたいと思いますが、今度の改正によりまして、国庫負担四割、それで保険料が三割、それから、家族七割給付が実現した場合に本人負担が三割、こういうふうになると思います。それでお尋ねしたい点は、まず、問題は、被保険者の一人当たりの療養給付費、あるいは一人当たりの保険料、これは厚生省からいただいた資料で見ましても、過去五年間に倍以上になっているように思いますが、それでよろしゅうございますか。
  171. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 医療費につきましては、一人当たりの額が三十五年が二千五百十四円、それが四十年になりますと七千三百三十八円ということになりまして、相当ふえております。これは、その間、医療費の改定並びに給付の改善が行なわれたわけでございます。それから、保険料につきましては、一人当たりの額は三十五年が八百十四円でございましたのが、四十年度ではこれが二千三十四円ということになっておりまして、額としては相当ふえておるということは言えるのじゃないかと思います。
  172. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、大臣から私ども非常に熱意を持って事を処してきたんだ、また、今後も処していくんだというお話でございましたが、問題は、家族が七割給付になっても、その先ほど医療費そのものがどんどん上がっていきますと、そこで低所得階層の人たちは、またその面から医者にかかるのが非常に困難になってしまう。せっかく七割給付になったからには、国家も四割補助しますが、保険料も若干上げます、七割給付になったから、本人負担は、かりにいままで千円のところを五百円払っていた人が、今度は三百円払えばいい勘定になりますが、なったとして、医療費全体が上がっていけば、せっかくの自己負担が減ったはずだけれども、もとが上がってしまうから、それでかえって医者にかかれない。ですから、こうした面の国庫負担の問題、あるいは本人負担を軽減していく問題、これももちろん大事ですが、と同時に、また根本的に医療費がどんどん上がっていったのでは結局何の効果もない、かえって苦しくなる、そういう結果にならない配慮が必要じゃないか。特に現在そういうことが必要だと思いますが、いかがでしょう。
  173. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今回の国民健康保険法、また、先般御可決いただきました政府管掌の健康保険等三法の改正、これはあくまで臨時応急の当面の対策でございます。私どもはこれでもってこの制度が十分なものとは考えておらないのでございまして、引き続き、わが国の、医療保険制度全般についての抜本的な改善策を進めなければいけないと、かように考えておる次第であります。給付の内容等も、また、被保険者負担の不均衡な面におきましても、皆保険のもとに、公平な、平等なやはり医療給付がなされるということが理想でございますから、私ども、そういう点につきましても根本的な改善をいたしたい。特に結核、あるいは精神等につきましては公費医療の制度があるわけでありますが、そのほかに低所得層に対するところの医療扶助の拡大の問題、さらに不採算医療、あるいは高度医療というような問題につきましても、今後医療保険制度とともに検討を、要する問題ではなかろうか、さらに、また、人口構造の老齢化が急速に進んでおるわけでありますが、そういう老人層に対するところのこの国庫負担なり、そういう面につきましても特別な配慮が必要ではなかろうか。いろいろ今後被保険者負担を軽減しつつ、わが国の医療保険制度がほんとうに国民の健康を守る制度としてりっぱにやっていけるように改善をぜひしなければいけない、かように考えているわけでございます。そういうような意味合いから、診療報酬体系の適正化の問題と、それから、各種医療保険制度の根本的な改善、これを車の両輪といたしまして、私ども十分な検討、対策を立てていきたい、かように考えております。
  174. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。   それでは、これより採決に入ります。  国民健康保険法の一部を改正する法律案(閣法第五二号)を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願いますす。    〔賛成者挙手〕
  177. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  178. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ただいま可決されました国民健康保険法の一部を改正する法律案について、各党の御了承を得まして附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     国民健康保険法の一部を改正する法律案に     対する附帯決議案    政府は、国民健康保険における負担の適正化  及び給付内容の充実を図るため、次の各項につ  いて、その実現に努められたい。  一 被保険者の所得の実情に照らし、保険料   (税)の軽減措置及び一部負担金の減免措置を    活用して、負担の軽減に努力すること。  二 被用者健康保険との間に均衡を失しないよ   う、給付内容の改善を図ること。  三 各市町村の保険財政に対する調整機能が十   分に発揮できるよう、調整交付金の増率その   他国庫負担の強化を考慮すること。  四 各保険者間の保険財政負担における地域格   差を是正するため、保険料(税)率及び事務費   に関する標準の設定について検討すること。  五 保健婦及び直診について、市町村の保健行   政との関連を考慮し、助成措置の強化を図る   こと。  六 国保組合について、国庫補助の増額を検討   すること。  右決議する。  以上であります。何とぞ御賛成くださるようお願いいたします。
  179. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいま述べられました藤田藤太郎提出の附帯決議案を議題といたします。藤田藤太郎提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  180. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって藤田藤太郎提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。
  181. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま御決定をいただきました附帯決議の件につきましては、当委員会の御趣旨のあるところを十分尊重いたしまして、今後政府におきましても十分な検討を進めたい、かように考えております。
  182. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回の委員会は六月二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会