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1966-05-10 第51回国会 参議院 社会労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)   午前十時四十八分開会     —————————————   委員異動  五月九日     辞任         補欠選任      野々山一三君     杉山善太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         阿部 竹松君     理事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委員                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 土屋 義彦君                 山下 春江君                 山本  杉君                 大橋 和孝君                 森  勝治君                 山崎  昇君                 高山 恒雄君    衆議院議員        修正案提出者   竹内 黎一君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省医務局次        長        渥美 節夫君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        厚生省保険局国        民健康保険課長  信沢  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。五月九日、野々山一三君が委員を辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より本案に対する提案理由説明を聴取いたします。厚生大臣
  4. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  国民健康保険につきましては、保険給付内容改善して被保険者負担の軽減をはかるとともに、その財政に対する国の援助を強化することが当面の急務と考えるのであります。このため昭和三十八年度から世帯主療養給付率を七割に引き上げ、これに引き続き、世帯主以外の被保険者についても、昭和三十九年度から四カ年の年次計画をもって逐次その療養給付率を七割に引き上げ措置を推進しているところであります。また、七割給付を実施した市町村に対しては、特別の補助金交付するなど、必要な財政援助を行なっているのでありますが、この際、世帯主以外の被保険者療養給付率を七割に引き上げることを法定するとともに、市町村に対する国の負担を強化することが必要と考え、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の概要を御説明いたします。  まず、第一に、世帯主以外の被保険者の一部負担金割合を十分の三に減ずること、すなわち、療養給付率を七割に引き上げることといたしました。  第二に、市町村療養給付費についての国の負担を現行の百分の二十五から百分の四十に引き上げるとともに、調整交付金の総額を市町村療養給付費見込み額の百分の五に改めることといたしました。  第三に、市町村が徴収する保険料その他の徴収金について、滞納処分を行なうことができることといたしました。  なお、本改正は本年四月一日から施行するものでありますが、世帯主以外の被保険者療養給付率引き上げに関する規定は、昭和四十三年一月一日から施行することとし、また、世帯主以外の被保険者療養給付費に対する国の負担については、その療養給付率引き上げ市町村に対し、逐次改正後の負担率を適用することとしております。  以上が、この法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 次に、本案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員竹内黎一君より説明を聴取いたします。
  6. 竹内黎一

    衆議院議員竹内黎一君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正部分について、その内容を御説明申し上げます。  その要旨は、「昭和四十一年四月一日」となっていた施行期日を「公布の日」に改めたことであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  7. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) これより本案に対し、質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 大橋和孝

    大橋和孝君 本会議において大体質問をさしていただいたわけでありますが、特に皆保険下にあって、この国民健康保険に対する厚生大臣としてのお取り組みの考え方、特に私は、非常にボーダーライン層が多い、そうした被保険者に対して、そして特に高齢者が多いのであって、非常に医療費もかかる。しかも赤字が非常に続出しておる、こういう段階で、もっと前向きに赤字を解消するために国から金を出すということが私は一番大事じゃないかと思うのですが、こういうような国民健康保険に対する全体の考え方をもう少し具体的に今後どういうふうにしようかという御所信を第一番目に聞きたいと思います。
  9. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民健康保険制度は、わが国の医療保険制度の中におきましても、その被保険者の数からいたしましても、また、ただいま大橋さんからもお話がありましたように、農山漁村民であるとか自由業者というように、多くの低所得者階層を被保険者として持っておりまする医療保険制度でありまして、きわめて重要な医療保障の柱である、このように考えておるのであります。したがいまして、政府といたしましても、この国民健康保険制度給付内容改善、あるいは財政問題等につきましては、数次にわたって改善措置を講じてまいったところでございます。私は、昨年六月に厚生大臣に就任いたしましてから、そういうように国民健康保険制度がきわめて重要であると同時に、保険財政が非常に窮迫をしておる、こういう事態を十分認識いたしまして、昨年の秋に臨時財政調整補助金といたしまして四十億円を特に計上し、また、昨年暮れの臨時国会には二百六億円の補正予算措置を講じまして、保険財政改善対策に鋭意努力をいたしてまいったところであります。また、各市町村におきましても、この保険財政対策につきまして鋭意御努力を願いました結果、政府措置と相まちまして、昭和三十九年度の決算、さらに四十年度の決算の大体の結果が出ておるのでありますが、全国を通じまして約百億円の黒字が生じておるところであります。赤字団体も二百六十二団体ございますが、その赤字額は三十七億円になりまして、昭和三十八年、三十九年に比しまして幾分改善を見ておるのであります。特に全国を通じまして百四億円の黒字が出ておるという点につきましては、関係者各位の御努力政府努力の結果であろうと、こう思うのであります。しかしながら、私は、これでもって国民健康保険が長期的に安定をしたものとは考えておりません。そこで、政府といたしましては、今回、昭和三十九年から四カ年計画で推進をいたしておりまする家族七割給付を実現いたしましたところの市町村に対しまして、従来、療養給付費に対しまして二割五分の国庫負担をいたしておりましたものを四割にこれを引き上げる。また、事務費につきましても、昭和四十年度に二百円でありましたものを二百五十円にこれを引き上げる等の措置を今回講じようといたしておるのであります。私は、幸いにして今回の法律改正案が当委員会の御賛同を得まして可決されるということになりますれば、国保財政、また、給付等の面におきましてもだいぶ改善を見るのではないか、かように考えておる次第でございます。
  10. 大橋和孝

    大橋和孝君 たいへんいま御説明を承りましてあれでございますが、私は、いまの御説明に対しましても少し意見があるわけでありますが、大体この国民健康保険国民全体の半分ぐらいが対象であるし、しかも、先ほど大臣がおっしゃいましたように、非常に低所得者も入っておるわけでありまして、これに対して黒字のところもあるというお話でありますけれども、私は、黒字という市町村というのは、わりあい郡部といいますか、交通不便のところがあって、私は、これに対してはまたあとから御質問さしていただきますが、現在各自治体がこの赤字を穴埋めするために費やしておる費用は、この間も申し上げましたように、莫大な費用自治体負担しておるわけであります。これはやはり自治体自治体活動をするのに大きな支障を来たしておるところがたくさんあるわけです。特に自治体なんかの声を聞きますと、もう国保はかなわぬから返上したいというような考えを持っている。ことにいま大臣は、国民健康保険に対しては相当積極的な御意思を持って、改善のために前向きに進んで考えておっていただくわけでありますが、自治体側ではそうではなくして、国民健康保険は逃げようと、むしろ逆な方向でこれに向かっておる。だからして、この国民健康保険の前向きの姿勢からいえば反対の方向で、診療機関も少なく、あるいは、また、これにかかる人たち不便等をできるだけ考えてやろうということは考えてない。特にそういうような形で、むしろこの国民健康保険を返上しようというような考え方を持っている。だんだんと国からの補助をつけておってはいただくけれども、やはり法律のたてまえからいえば、もっともっとこの赤字に対して国がこれを負担すべきであって、私は、そこに非常にまだまだ不十分なものがあるためにそういう結果を生んでいるんじゃなかろうかと思うわけであります。  特に私がここでお伺いしたいことは、いま事務費の問題が出ましたが、事務費はいま三百五十円ぐらいに上げたとおっしゃいますけれども、現実にいま要るのは五百円ぐらい要っているところがたくさんあるのです。五百五十三円出しているところもたくさんあるわけでありまして、これに対しては半額ぐらいにしかなっていない。私は、それは全国の平均からいえば、あるいはそれで理論的には成り立つかもしれませんけれども、実質的に赤字がそういうふうになって、必要な事務費が支払われていないためにこれが赤字になっておるわけでありますから、この赤字も相当大きな額に達しております。これに対して、実態に即した必要な事務費を完全に支払うというのが法律のたてまえでありますので、もう少しそこのところの基準の立て方を考える必要があるのじゃなかろうかと思いますが、この点についてひとつ。
  11. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 事務費につきましては、御承知のように、昭和四十年度に百五十円から二百円、さらに昭和四十一年度予算でこれを二百五十円、この両年度にわたりまして計百円の引き上げを実はやったわけでありまして、厚生省としても、この面につきましては、大橋委員が御指摘のように、できるだけ完全にこれを支払ってまいりたい、政府としても負担をしてまいりたいということで努力をいたしておるところでございます。  なお、この配分にあたりましては、御指摘にもありましたように、大きな都市等におきましては相当なやはり事務費がかかっておる。また、そうでない農村県等におきましては比較的経費が少なく済んでおるところもございます。そういう実態でございますので、それに即応したような配分にあたって配慮をする必要があるのじゃないかということで、事務当局に命じまして、配分についてのそういう点につきましての配慮をするようにということでやっておるところであります。今後とも、事務費につきましては、完全に国が支弁をするという方向努力を重ねてまいりたい、かように思うわけであります。  なお、事務当局から補足的に御説明いたさせます。
  12. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 大橋先生指摘のように、大体ここ三十九年度までについて申し上げますと、専務費交付割合というのは、御指摘のように、実績に比べてみますと五〇%前後という、きわめて率からいいますと、そう十分な交付割合にはなっていなかったわけであります。ただいま大臣が御説明申し上げましたように、四十年度におきまして五十円アップ、それから四十一年度におきましてさらに五十円アップ、ここ二年間に百円一挙に上げたことになりますので、結果的に四十年度におきましては大体六〇%の交付率、それから、四十一年度になりますと七〇%近くの交付率になるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、市町村によりまして一〇〇%交付しておるのと、それから、まあ非常に老朽職員が多いとかいうふうなことで、交付割合が非常に低率なところと、ばらばらになっております。一〇〇%交付をしておる市町村もあるわけでございますが、その辺は、ただいま大臣が言われましたように、今後とも実額に近いような形であくまでもその割合をふやしていくということで努力いたしたいと思いますし、また、四十年度、四十一年度にかけましても事務費実態調査を十分やりまして、対策をなお完全に行なうように努力いたしたいと思っております。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 事務費で私はちょっと伺っておきたいと思うのですが、いま二百円とされた基準をどういうふうにされたのですか。もっと詳しくちょっと説明していただきたい。
  14. 信沢清

    説明員信沢清君) 事務費金額の策定にあたりまして、私どもがやっておりますのは、ただいま局長から申し上げましたように、毎年実態調査をいたしております。その実態調査の結果によりまして、全国的にこの国保事務をやっていただくのについて何人の人間が必要か、まず必要人員数を出しまして、それを地方交付税地方職員単価がございますが、これによって全体の給与費計算する。それを逆に現在の被保険者数に割り戻すという形で被保険者一人当たり単価計算する、作業としてはさような段取りになっております。
  15. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  16. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記をつけて。
  17. 大橋和孝

    大橋和孝君 そういうふうな計算は私も存じているわけでありますが、しかし、それでもってやはり法のたてまえから事務費というものは国で負担しなきゃならぬというのに、ざつばに計算をして、そしてその全体に押しつけておる。実際においては、見てみれば半額ぐらいしか出ていないのだというところが相当ある。実際に要る事務費半額ぐらいしか出ていないというところがたくさんあるという実態をもう少し具体的にして、なら、私のほうで考えれば、その一〇〇%以上、一五〇%とか二〇〇%もらっている市町村があるのか、これはあれば話がわかると思うが、それがないのにかかわらず、一方は五〇%に置いておくということは納得ができないと思うわけであります。
  18. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 事務費交付につきましては、積算は、いま健康保険課長が申し上げたように、二百円なり二百五十円の基礎というものを一応積み上げて一人当たり単価になりますから、それで四十一年度は二百五十円ということできめておるわけでございますが、これは積算基礎でございまして、実際に交付する場合には、それぞれ市町村の実情に合うように交付方法をきめておるわけでございます。ただ、御承知のように、各市町村国保担当事務をやっております職員につきましては、実態が一様ではない、非常にばらばらになっておるわけでございまして、若い職員もおったり、あるいは非常に高給を取っておる職員もおる。それから、また、町村の場合と大都市の場合とでは職員構成が根本的に違うというような点もございまして、非常にこれを一律に、全部一本の二百五十円の事務単価でもって十分充足できるという交付方法を考えるということはきわめてむずかしい問題があるわけでございます。しかし、実態にあくまでも沿うような形で私ども交付していくということでやっておるわけでございますが、その交付の結果につきまして、四十年度の実態を簡単に申し上げてみます。一〇〇%交付しております市町村は全体で百二十ございます。それから、九〇%から一〇〇%の分が四百七十六ございます。それから、八五%から九〇%が二百三十三、八〇から八五が二百六十六ということで、八〇%以上の市町村というのは、大体三分の一は交付されておる。それから、大都市等になってまいりますとやはり職員構成が変わってきておりますので、非常に交付割合は少なくなってくるわけでございますが、一例を申し上げてみますと、十万以上の市になりますと大体四十九でございますが、そのうち、交付割合が大体五〇%程度のところが二四%ぐらいで十二団体、こういうことになっておりまして、大都市については、やはり多少交付割合が低い。しかし、極端な例といたしまして、大体二〇%から三〇%程度交付になっておるのが六市町村あって、非常に幅があるわけであります。二〇%の交付割合にしかなっていないのが六市町村ある。片一方で八〇%あるのが三分の一もあるという実態を示しているわけでございまして、これはどういうことかといいますと、たとえば二〇%程度交付しかないということは、その市町村に非常に無理があることは私ども承知をいたしておるわけでございまして、申請をしてくる場合、たとえばいろいろ兼務職員を合わせて全部事務費対象にするとか、あるいはきわめて高額の職員事務費対象にしてくれとかということで申請をする市町村とわれわれのほうの交付基準とが違うというような結果になってこのようなばらつきになっておるわけでございますが、なお、先生の御要望のような線で市町村の要求に沿うように努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  19. 大橋和孝

    大橋和孝君 最後に努力をするということを聞くと非常にこっちは弱いので、まあ努力してもらうということになるわけでございますが、私は、事務費国庫負担努力する姿勢はよくわかるのです。しかし、努力しておられても、実際において赤字が出ておるわけなんで、この赤字は、やはり法律のたてまえからは国がみるべきだということになっておるのに、これを行なっていないというところに私は問題があると思うわけであります。一ぺんにはいかないから、努力されるという気持ちはよくわかるので、それ以上何か言いたくないような気持ちにもなりますが、ここが私は非常にポイントであろうと思います。努力します努力しますというけれども、私いまちょっと話にも触れたのでありますが、いまのようなぐあいで、人件費でどのくらい、要るという、全部要るものを計算して、そうして割って二百五十円という計算が出たならば、どこかにマイナスがあればどこかにプラスがある。ところが、いま話を聞いていますと、八〇%をこえてもらっているのが何%かということになると、三分の一くらいがやっと八〇%以上、この八〇%以上がもう間違いなんであります。これは一〇〇%やれる規定になっておるわけでありますから、一〇〇%しなければならぬはずだと思う。ところが、大都市は低いんだ。しかし、それは高齢者を使ったり、非常にそこのところに無理があるから、それを直さす意味で上げないのだというふうに解釈できるわけでありますけれども、逆に言えば、いまおっしゃったことを言えば、そういうところにも行政努力をさせるために上げないのだ、赤字にさせるんだという考え方にも私は受け取れるわけでありますけれども、私はそうじゃないと思う。この問題は、もっと事務費の問題が徹底的に考えられるならば、私はこれで赤字の救う分は相当大きくなるんだ、もっと事務費というものは真剣に考えてもらわなければならぬ、努力じゃなくて、もっと考え方を改めてもらわなければいけないんじゃないか。特に私は、実際において要るものはどこの点とどこの点が悪いから、これを改正して、そしてこれだけを支給するというぐあいにして、実際にそれに使っておるけれども厚生省で認められた金額は払うような方向にしなければならぬと思うのですが、そういうところの計算基礎、あるいは、また、考え方努力じゃなくて、もう少し考え方内容を示してもらいたいと思います。
  20. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) いわゆるこれは一般的な問題でございますが、全額国負担する事務費職員費につきまして、各市町村が実際に支出しておる額と、それから、国がみる額とどのように調整をしていくという一般的な問題とも関連のある問題だと私は考えたいと思うわけでございますが、いわゆる補助職員と違いまして、全額国が持つという職員見方につきましては、予算の際にも私どもはいろいろと財政当局相談をするわけでございます。たとえば職員費といいましても、本俸以外にいろいろな手当その他が入ってくることは先生承知のとおりでございまして、それを全部みるか、各市町村によりましてもその取り扱いがおのずから異なることは御承知のことだろうと思います。したがいまして、やはり手当をみるにつきましても、この分の手当までは国がみる、しかし、これ以上はみる必要はない、たとえば補助職員等につきましては本俸だけというふうな見方もございますが、少なくとも国保職員につきましては、相当なところまで手当の分も含めてみるような積算基礎を持っておるわけでございます。しかし、それが必ずしも実態と合っていないという点は私どもも十分認めておるわけでございますので、今後の事務費折衝は、そういう点の問題を含めまして、三百五十円をさらに上げていくということで私ども努力していけば、その結果が交付率がほとんど満度に近いような交付率になるという結果になると思いますが、それでもなおかつ不満足な点は出てくるのじゃないか。やはりこれはどの程度まで持っていくか、一〇〇%交付まで持っていくか、その一〇〇%に持っていくまでの基準自体が非常に浮動性のあるものであるというふうに考えておりますので、やはりあくまでも金額を上げて努力をするということに私どもは考えたいと思います。
  21. 山崎昇

    山崎昇君 大橋委員のに関連して。二百五十円で何をみるのですか、本俸のほかに何をみるのですか、給与内容をひとつ教えてください。
  22. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 二百五十円というものを積算する場合の私ども考え方を私はいま申し上げたわけでございまして、つまりこれは被保険者人頭二百円とか二百五十円とかいうことを予算折衝の際に財政当局相談をしてきめるわけでございますが、実際にきめる場合の積算基礎として、先ほど大橋先生から御質問のありましたときに国保課長が答弁いたしましたように、積算基礎としていろいろな手当をそこまでみると、その結果が一人頭二百五十円あるいは三百円になってくるということでございまして、交付の場合の基準じゃございません。積算基礎でございますから、したがいまして、その手当をどこまでみるかということについては、私どもは全部みるわけにいきませんので、ある程度のところで一応二百五十円という基礎をつくるということになるわけでございます。
  23. 山崎昇

    山崎昇君 積算基礎だからお尋ねするのだけれども、それじゃあなたのほうで積算のときにどこまでみて積算基礎にしておるのか、聞かしてください。
  24. 信沢清

    説明員信沢清君) 積算の際に私ども事務費負担金対象と考えておりますのは、本俸、これは当然でございますが、そのほか暫定手当扶養手当、期末、勤勉手当通勤手当、大体公務員に支給される諸手当は全部入れてございます。そのほか、当然事務の執行に必要な旅費、出張費、こういったものがございますので、そういうものを含めて計算をする、積算上はそういうことをいたしております。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 私はこの点をひとつ事務費の中では明らかにしておきたいと思いますが、こういうふうにして計算されておる方法も一つの方法だと思うのでありますが、しかし、この方法でやる限り、やはり実態に即しないと思うわけです。それは初めからみない計算でされるわけですからみられないわけでありますが、これがやはり地方自治体に影響する赤字の額となってあらわれるわけであります。私は、やはりもっと積算考え方とか、あるいは事務費というものの計算のしかたを根本から変える必要があるのじゃなかろうかと思うのですが、というのは、実際必要な額を十分な程度にみていくという形で、もっと全体的な視野から、被保険者一人当たり何ぼということじゃなくて、実際に要った実態を報告さして、それをもっと案分する別な計算基礎はないものかと私は思うのですが、そういうことに対して根本的にこの事務費計算するにあたって、あるいは、また、支給するにあたっての考え方をもっと何とか考え直す、あるいは、また、改めるという方法はあるものかないものか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  26. 信沢清

    説明員信沢清君) 委員長
  27. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 信沢さん、たいへん恐縮ですが、お尋ねは事務的な問題でないので、ですから保険局長から答弁願います。
  28. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 実は、現在の交付方法につきましての再検討という御質問でございますので、全体の交付方法──相当実は各市町村実態を見た上で、手続上としては、私自身の感じ方も非常に細分化過ぎるのじゃないかと、私、保険局長になりまして中身を検討いたしましたときにも、人口と被保険者の数等につきましての区分も非常にこまかく分かれておりますので、あまりこまか過ぎるのではないかというふうな感じすら持っておるくらい、相当詳細な基準をつくりまして交付をいたしているわけでございます。ただ、予算積算単価という形で出てきますのが、いま申し上げましたように、被保険者人頭幾らという形になってまいりまして、この二百五十円ないし二百円といったものをどのように大都市、それから中小都市、僻地の市町村までに満足のいくような形で交付していくかということに、きわめて配付技術士むずかしい問題があるわけでございます。しかし、御質問のように、申請したものをそのまま国のほうで全部うのみにして予算の二百五十円の範囲内で交付してしまうということは、これは不可能に近いことでございまして、やはりそこに相手方も納得のできるような交付基準をつくっていくというところにこの問題のむずかしさがあるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、標準事務の処理方式を一応きめるという形でもって、つまり一般的に国保事務をやる場合にどのような標準の事務処理方式があるかということをきめまして、それに見合って予算の範囲内で交付していくという形にならざるを得ないわけでございます。これは実際に予算をいただいてから交付する場合の技術的な問題点でございます。しかし、御指摘のように、やはり予算自体を二百五十円じゃなしに、もう少し、たとえば大都市市町村を分けるとかいうふうな予算のきめ方もあるのじゃないかという御質問でもあるやに私とりますので、その点は今後とも十分検討してまいりたいと思います。
  29. 大橋和孝

    大橋和孝君 この事務費の問題については、私はまだ釈然としない点がたくさんあるのですが、特に再度考慮してもらうということを聞きましたので、ここでちょっとそれはこれでやめまして、続いて、補助金四割の定率化の問題でありますが、これに対しましては、現在厚生省としては、保険料もある程度厚生省のアドバイズのように上げたところでないとやらないとか、四割を定率しないとか、あるいは、また、ほかの、四割定率が七割給付をした場合にはすると言いながら、していないところがたくさんあるのですが、これについて、どこがしていないでどのくらい支給されているか、その様子をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  30. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは御承知のように、昭和三十九年度から四カ年計画で、四十二年度までに家族七割給付全国的に実施をしよう、その年次計画があるわけでございます。したがいまして、この年次計画に基づいて家族七割給付を実施いたしました市町村に対しましては、全部漏れなくこの四割定率の国庫負担をしよう。したがいまして、御指摘はありましたけれども保険料を上げないからとか、そういうようなことはこの四割定率負担給付の要件になっておりません。そういうことは考えておりません。年次計画で定めた計画に基づいて実施してまいります市町村に対しまして漏れなくこれを交付する、こういうことでございまして、その計画が後年度に属しながら、すでにもうおやりになっておるというところにつきましては、年次計画を前提に予算措置を講じておりますものですから、計画に盛ったものに交付をする、こういうことでやっておるわけでございます。
  31. 大橋和孝

    大橋和孝君 特に私がいま申し上げたいのは、いままで七割給付をしておって、いま大臣がおっしゃったように、それはまだしていないというわけでありますが、三十九年度以降にしたものにだけ四割定率化をして補助をして、それ以前にやっておるところにはまだやっていないということでありますが、私は、そういう場合にもやっていいんじゃないかと思うのですが、それはなぜやられないのか。
  32. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 国保の七割給付実施四カ年計画を立てるにあたりまして、七割給付をやって四割、つまり現在の法律を御審議いただいておりますその前は、二割五分に対しまして、七割給付をやる場合にプラス二割分の四分の三を特別補助金で出すということでございますから、結果的に四割になるわけでございますが、その計画を立てる場合に、やはり各市町村財政状況を考えて、いわば七制給付をやりやすいところから最初にやっていくということじゃなしに、非常に財政の悪いところ、あるいは郡部といいますか、都市を除きますようなところから最初やっていって、少なくとも大都市、あるいはこれに準ずるような都市はこれは後年度に回そうという一応の計画を立てまして、それでずっと現在まで指導いたしておるわけでございます。少なくとも大都市が七割給付を先にやった場合に、これを四割対象にするということは、国保の運営上、それよりも先に、まず郡部の財政力の弱いところから先にやるべきではないかということが当初から、一貫した計画でございまして、御指摘のように、実際に七割給付をやっておるところが四割はもらえないという実態があることは私ども承知いたしておりますけれども、しかし、各財政力の弱いところが、この際、財政措置をとった上で、まず予定どおりやらしてくれという強い要望があった場合に、これを無視して、逆に大都市のほうを優先的に取り上げるということは、この四カ年計画を立てました当初からの計画に反することでございますので、これは御遠慮していただくというふうな形で現在やってきておるのが実情でございますので、その点いろいろ問題もあるかと思いますが、私どもはその考え方は当初より一貫した考え方として踏襲してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  33. 大橋和孝

    大橋和孝君 先ほど大臣のほうからも答弁がありまして、保険料の値上げなどはアドバイスなんかはしていないのだ、そういうことに無関心で、七割給付になれば四〇%の定率負担をしておるのだというお話でありますが、私は、京都市の国民健康保険、あるいは京都府下の国民健康保険の中の実態から考えてみまして、非常にそうした意味の行政指導が多い。まだ国保はこれくらい保険料が上げられるというような指導も受けておるやに聞いておるのでありますが、やはりそういう指導はなかったかもしれない、直接的な言い方はことばの上にあらわれていないかもしれないが、実際に受ける場合には、ある程度その保険料も上げ、あるいは、また、そういうふうなことに十分な協力を示したあげくでなかったならば七割給付ということにはならないのだというような形での指導、まあ指導というか、そうした意味のことが非常に行なわれておるようでありまして、私は掛け金というものが相当高いと思うわけです。まあこれもある程度の意味では保険料、あるいは、また、保険税として徴収されている面で、非常にこの率が苦しい状態にある。こういうようなことも考えてみて、私は、この七割給付というものがもつと適切に行なわれなければ、それはいままでやっておったからそれでいいというやり方であっては、やはりいつまでもそうした負担が低所得者に対して加わってくるのではなかろうかという観点から、私はもう少しそういう面についても保険局長のお考え方をお聞きして、もっと保険料にしわ寄せをするような行政指導はないものにしてほしいと思うのでありますが、絶対そういうものがないものであるかどうか、お聞きしたい。
  34. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 確かに先生指摘のように、保険料につきましては、ここ数年来医療費の増高もございまして、ある程度引き上げを行なってくるという形になってまいりまして、全国平均で申しますと、ここ二、三年は一〇%ないし二〇%、場合によっては三〇%くらいの率で上がってきていることは事実でございます。しかし、保険料を上げるに際しましても、私どもとしましては全国的に見て非常に保険料が低い、全国一平均から見て低いといったものにつきまして、これを上げるということについては、これはその市町村財政事情その他を考えてみて、全国レベルまで上げることについてまでそれはいかないということを申し上げるわけにはいかないわけでございまして、ただ、全国平均よりもはなはだしく高く保険料を上げていくということにつきましては、これは少しどうかというようなことは考えざるを得ない場合が多いと思います。結果的に申しますと、四十年度におきまして対前年度三六%の引き上げを見ておるわけでございます。一人当たりにいたしますと、保険料は二千三十四円ということになっておりますが、四十一年度におきましては、それの引き上げはぐっと鈍化してまいりまして、前年度対比一三・四%、つまり前年度三六%も上げたのに比べますと、四十一年度におきましては一三%ちょっとということで、引き上げ率も近年にないほど縮小いたしております。これは結局まあ四十年度におきまして、過去非常に低かったところが、やはり財政状態その他と見合って保険料引き上げを終わったために四十年度は非常に鈍化したのではないかというふうに考えておりますが、ただ、保険料を全然引き上げないというような方針をとるのかどうかということにつきましては、あくまでも国保改定といいますのは特別会計でもございますし、また、住民の所得も自然にふえてくるという点もございまして、自然増的なものは、やはり所得がふえれば、保険料の料率を据え置いておいても、当然自然増として七、八%は上がってくるわけでございますから、その点はやはり自然増的な要素を、各市町村財政事情と見合った上で適正な保険料を考えていくということになろうと思います。ただ、窮極的には標準保険税、標準保険税率の設定その他の面もございますが、これは七割給付が完全に終わったところで私どもは真剣に検討いたしてみたい、こういうように思っております。
  35. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまの局長の答弁の中で、特に私は一つだけ尋ねたいと思うのですが、その七割給付が行なわれてしまってから考えるというのでなしに、私がいま聞いているのは、七割給付をやる中においてある程度保険料の値上げをすることをもくろみの中で行なわれていくということはあってはならないと思うわけでありますが、特に標準の設定の場合に、比較的いまおっしゃいましたように、自然に所得も上がっていくじゃないか、だからして上げていくのも当然だというような、そういう自然の状態で上げるの、だったら無理はないというように感ずるわけでありますが、私は、それをらち外に置いて、もっと保険料の標準設定を上げつつあるというので、私は、この物価の値上がりだとかいろいろなことで、いわゆる対象となる被保険者の生活実態を、いま局長がおっしゃったように、ほんとうに見きわめて無理でないものにしてもやはり相当無理がある、標準料金を設定されているところに無理があるわけであります。特に私は四割というものを、何と申しますか、油あげにして、そして実際はその保険料をいまの状態において上げていこう、標準を上げていこうという考え方は間違いであるというふうに考えますので、そういう点についてもう一ぺんお考えを伺いたい。
  36. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 保険料を各市町村引き上げる場合に、やはり市町村としましては、その市町村国保財政をどのように持っていくかという財政計画のもとに保険料を幾らにするかということをその年度年度きめていくわけでございます。したがいまして、やはり国保財政の健全化ということと見合って保険料はきまっていくというふうに私どもは指導をいたしておるわけでございます。ところが、定率四割というものがいつ自分の市町村のところでは行なわれるかということが保険料を考える場合のきめ手になるわけでございますが、ところが、従来は各市町村が七割給付をやって定率四割の補助金を考える場合にも、補助金のこれは従来四割出ない場合には打ち切りでございますので、二割アップ分についての四分の三ということで打ち切りでございますので、その年度の医療費がどのようになるかという、ある程度の見込みを立てた上でやりますけれども、もしそれが多かった場合に、あと精算をしてもらえないというふうな、非常に不安定な要素もございますので、保険料算定がなかなかむずかしいという、非常に行政的にはまずい、何と申しますか、見込みがはっきりしないような計画のもとに運営されておるという点を、このたびの御審議いただいております法律を、定着四割ということになりますと財政計画がはっきりした見通しが立つわけでございますので、それに基づいて保険料幾らということをきめてくるわけでございます。ただ、その場合に、御指摘のように、いたずらに保険料を上げていくことが適当かどうかということについては、私どもも、もちろん十分慎重に考えていかなければならないと思います。ただ、やはり市町村としましては国保財政の健全化ということを主体にして考えておるわけでございますので、いたずらに国の財政調整等でもって補てんを仰ぐということではなしに、財政健全化政策として保険料をきめていくという考え方のもとに行なわれておると私ども信じておりますが、なお、御指摘の点もございますので、その点は今後とも十分指導に徹底を期してまいりたいと考えます。
  37. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと関連して一言。いま国保財政の健全化というお話が出たから聞いておきたいのですが、私は、地方の国保保険料が四十年度で六割も値上がりをした、そしてその六割も値上げしなければならぬ根拠、そしてなぜこんなにやらなくちゃならぬのだという疑問点は厚生省に出てこなかったか。単に値上げして健全化、要するに保険者、被保険者負担をさせての健全化、これは一番やさしい行政だと私は思う。しかし、二年間に六割も値上げをさせておいて健全化というようなことは、私は言えた義理じゃないと思う。物価の値上がりで困っていますよ、国民は。しかし、国保保険料だけで六割も二年間で値上げをするという、こんなことを、そのことには触れないで健全化という議論はあり得ない、私はそう思う。  それから、もう一つの点は、四十年度百億、三十九年度九十何億、その前の年八十億という一般会計からここにほうり込んで、この数字があとのところ違うなら正確な数字を言ってもらったらいいと思うが、地方の一般会計からこの財源にこれだけの金をほうり込んでおいて保険料は二年間に六割を値上げをして、そして国庫負担がどうのこうのというようなことよりか先に、国保財政の健全化、こういうものの考え方をどうお考えになっているのか。私は、国民皆保険を進めるということは、根本的にはどうしていくか。私は、最初出発して二割から二割五分に国庫負担が発展をして調整金がついて、そして皆保険は、たとえば均等割り五〇%、所得三〇%、それから資産割り二〇%というような出発をした。資産割りはどこかへ消えてしまっておるわけでありますが、国保全体を考えてみたときに、健保との関係で国保は谷間に落とされている。財政の苦しいということはわかります。しかし、そのめんどうはどこがみるか、地方自治体がみんなかわってめんどうみていく。だから一般会計の支出も、保険料にそんな無理な値上がりを押しつけたとは、私はそこまでは言いませんけれども、そういう状態を無関心でおって国庫負担を云々とか、国保財政の健全化をねらっているんだということは、少し国民に対して行政上酷じゃないか、私はそう思う。その点についてどう釈明されますか、大臣に意見を聞きたい。
  38. 熊崎正夫

  39. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 委員長から申し上げますが、大臣に対してのお尋ねですから、大臣に答弁していただいて、補足の点を熊崎局長からお願いいたします。
  40. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民健康保険財政健全化の問題につきまして、藤田さんから、全部被保険者なり、あるいは市町村団体の一般会計からの繰り入れなり、そういうようなことでやっていっているではないか、そういう意味の国保財政の健全化というようなことでは、これはほんとうの健全化ではない、全部しわを被保険者なり地方に寄せているではないか、こういうおしかりであります。しかし、政府におきましても、国民健康保険につきましては、先ほども大橋委員に御答弁申し上げましたように、被保険者農山漁村民、あるいは自由業者というようなたくさんの低所得者階層を含んだ比較的負担力の弱い方々で構成されております制度でございますので、政府におきましても、他の医療保険制度よりは、この国保に対しましては、従来からも財政的に特に配慮をいたしてまいったところでございます。私が就任いたしましてから、非常に微力ではありましたけれども、いま御指摘がありましたような保険財政国保財政ということを私も認識をいたしておるつもりでありまして、そういう面から昨年は四十億円の臨時財政調整補助金を計上し、さらに臨時国会にはこれの補正予算を二百六億計上をいたし、極力努力をいたしておるところであります。昭和四十一年度の予算におきましても千四百五十億円という負担を国庫でやるわけでございまして、こういう面につきましては、今回の御審議を願っております改正も、また国もできるだけの国保財政の健全化のために力を入れたい、こういう一つのあらわれ、そういう趣旨での改正になっておるわけでございます。  なお、一般会計からの繰り入れの問題につきましては、いろいろこの内容を分析いたしました場合には、事情が町村においてあるのでございます。昭和三十九年度におきまして八十九億円、昭和四十年度におきまして七十二億円、こういう一般会計からの繰り入れがございます。これは御指摘のとおりであります。しかし、この内容を分析いたしてまいりますと、その中には法定の給付以上の給付をおやりになっておる市町村、この面についての一般会計からの繰り入れということは、これは法定以上の給付をおやりになっておるのでありますから、その部分について一般会計からこれをみるということはやむを得ざる措置ではないか、こう思うわけでございます。  それから保険税、保険料の収納率が低い、これは私は必ずしも行政努力が足らないとは申しませんけれども、いろいろな事情で、当初入るべき保険税、保険料が十分入っていない、他の町村に比べて入っていない、そういう収納率が低いための財政欠陥、こういうものを一般会計から繰り入れをする、あるいは、また、一般住民に対する公衆衛生、環境衛生等々の、そういう福祉行政のために当然一般会計でみるべきものを保険特別会計でみておるという町村も中にはあるわけでありまして、そういう場合に一般会計からの繰り入れをしていただいておる、いろいろそこに三十九年度の八十九億なり四十年度の七十二億なりの一般会計からの繰り入れの中には、五十億以上のものがいま私が申し上げたような事由によって一般会計から繰り入れをしておるというものが相当あるわけでございます。かと申しまして、私は、保険財政の健全化というものを全部町村なり、あるいは被保険者でこれを負担すべきだという考えはごうまつも持っておりません。政府としても、これに対する国民健康保険という制度の本質、実態、そういうものを十分考えまして、これに対して国としてのできるだけの財政的な助成措置を講ずべきものである、特に低所得階層に対します保険料の軽減措置、また、それに伴うところの財政の欠陥に対する補てん、こういう面につきましては、十分政府においてこれを措置すべきものであると、かように考えておる次第であります。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は関連ですから、いずれあらためて議論をいたしますが、いま私は保険料の値上げと国庫負担の問題を言いましたけれども、しかし、一般会計から出せないところは膨大な赤字をかかえている市町村がたくさんある。単に一般会計から支出の集約だけを私はここで議論しようと思っていない。一般会計から出せない市町村はたくさんの赤字をかかえているということも現実なんです。だから、私は、なんぼ物価値上がりというても、二年間に六割も保険料を上げて健全化の方向なんというてみたところで、何でもっと行政上、国も負担するけれども、被保険者負担を軽減していく処置というもの──二年間にそれだけ所得がふえましたか。だから、そこらに行政の指導というものがあって、被保険者負担も順次段階的に国民の所得がふえるように、私は値上げはあまり賛成しませんけれども、やむを得ずその保険財政を維持するというならそういう負担の増徴もあるでしょう。そういうものに無関心でおって、そういう解明がされないで、保険の経済健全化ということだけで横すべり、これはあとで議論しますが、そういうことで保険の健全化とおっしゃる。これはやはりあまりにも行政のうまみがなさすぎはせぬかという感じを持つので、先ほどそういうお話がありましたから、一言申し上げてこれで終わりますが、いずれあらためて一つ聞きますけれども、私はそういう心がまえを、いま大臣は幾らかそれにお触れになりましたけれども、そのことを真剣に考えない限り、健全化ということは言えないはずだと、私はそう思う。
  42. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは別に藤田さんに私反論する意味で申し上げるのでございませんが、ただ、実態をちょっと御報告をして今後の御審議に資したいと思うのであります。  昭和四十年度の決算を見てまいりますと、三十九年度の決算よりは各町村団体国保決算内容はだいぶ改善をされております。それは御指摘のとおり、各町村でも相当の保険料引き上げをやっていただいた点もありますが、また、一面、政府としてもできるだけの努力をいたしたつりであります。そこで、四十年度の決算におきまして赤字が出ております団体が二百六十二団体ございます。その赤字は三十七億あるわけであります。その中で京都市が十一億、横浜が九億、名古屋が二億五千万、神戸が三億、こういうぐあいに二十五億近い。三十七億の赤字の中で、二十五億近いものがいま申し上げたような数市でそれだけの額に及んでおる。その他の市町村におきましては、全体で百四億円の黒字決算になっておる、こういう実態でございまして、したがいまして、今後私は、いま特に大きな赤字が出ております都市の財政健全化ということにつきましては、十分その都市の関係者の方々と厚生省が御相談にのりまして、具体的な財政再建の対策を講じたい、かように考えておるわけであります。
  43. 大橋和孝

    大橋和孝君 いま大臣の答弁の中にもありましたが、私は、この国保の診療にあたって、皆保険といいながら、まだ無医村、医者にかかるにもかかりにくいというところがあるわけであります。いま御指摘のように、大都市では非常に赤字で、数市でもって赤字が二十五億に達している、あとのところは赤字が少ない、健全だといわれますが、これは非常に医療機関の配置、あるいは、また、医者にかかりやすいという面からは、非常にマイナスがあるからしてかかれないで受診率が低い、こういうために赤字にならないで済んでいるという面があるわけです。これは私は、保険のたてまえ、国民健康保険のたてまえ、皆保険のたてまえから非常に間違っていると思うわけでありますが、そういうことがあって赤字にならないで、それでいいというわけじゃなくて、やはり皆保険の面からいえば、もっと診療所を十分にふやして、そうして病気になればすぐかかれるような適正な配置ということは行政指導上当然されるべきだと思うのでありますが、京都の例をとりましても、ちょっと郡部へいけば、もう医者にかかるのに五里も七里も、一時間も二時間も汽車に乗らなければ通えないというところがたくさんあるのであります。そうしてそこに診療所があっても、医者がいなくて診療所が開設できないような状態になっている。これが比較的積極的な意欲が用いられなかったならば非常に利用しにくい状態に置かれている。そういうためにそういう状態が生まれているということも考えるわけでありまして、私は、適正な診療所の配置、特に国民健康保険のたてまえから、もっとそういう点については配慮さるべきものだと思うのであります。その点についてはいかがですか。
  44. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御指摘の点は全くそのとおりでございます。国民皆保険の制度のもとにおきまして、しかも、特に国民健康保険制度農山漁村民等を中心にした制度でございますから、全国民が適正な医療の給付を受ける権利がある、また、政府としてはそれにこたえるだけの責任がある、私はそのように考えているのでありまして、その点は御指摘のとおり、私どもも大いに責任を感じているところであります。そういう意味合いから、できるだけ国保の診療所の整備の問題、あるいは医師、看護要員の確保の問題、そういう面につきましては地方の医師会等とも連絡をとり、御協力をいただきながらその確保に努力をいたしているところでありますが、これはただに待遇だけの問題ではなしに、子供さんの教育の問題でありますとか、あるいは、また、医学技術の進歩に、僻地にいるとおくれがちである、どうしても研究をしたい、さらに勉強をしたい、そういうような面等からいってお医者さんの確保が困難である、そういう面があるわけでありまして、そういう点につきましては、研修とか、あるいは海外に留学させる措置を講ずるとか、いろいろな修学資金の制度を設けるとか、いろいろな対策も考えているわけでありますけれども、即効的な効果がなかなか生まれないということに私どもも頭を悩ましているところであります。ただ、しかし、そういうむずかしい問題でもありますので、これを補います措置といたしまして、患者輸送車、あるいは巡回診療車等々の増強をはかるというような補完措置等も実は講じておるところでありまして、僻地の医療対策、適正な医療機関の配置をはかっていくという面につきましては、今後ともさらに努力を重ねていきたいと、かように思います。
  45. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから、たいへんいいお答えをいただきましたので、続きまして、国民健康保険の発生前から国保組合というのが誕生しておるわけでありますが、この国保組合のほうにおきましては、これはやはり非常に低所得者対象とした、ほとんど中小企業、零細企業の団体、五人未満の、五人に満たないところのものをも含めてこの国民健康保険組合ができておるわけでありますが、これに対しまして定率四割というものは、七割給付になっておりましてもしない、あるいは、一また、二割五分のままで据え置きされておるということは、どうも私は前の問題と同じように、やはりこれは配慮されるべきものだと思うわけであります。特に私は、この国民健康保険組合に対しましては、私はもっと組合を助成するように厚生省としては指導されておるのか、あるいは、また、ヘビのなま殺しのような補助等で、国民健康保険組合が非常に赤字のために、あるいは、また、状態が悪くなって、それが解体していく方向に進めていかれるのか、私はむしろそういうふうにまで言いたいのでありますが、もっとこの国保組合に対する積極的な援助、これが私は必要じゃないかと思いますが、この点についてひとつ。
  46. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民健康保険の制度の中に国保組合というものがあるわけでありますが、厚生省といたしましては、基本的にはこの国民保険団体としては、やはり市町村団体が現段階としては一番望ましい形ではないか。これは制度の根本的な改善策を検討いたします際に、国民健康保険の主体をどこにするか、国がいいのか、あるいは市町村団体がいいのか、そういう根本問題があると思うのでありますが、現在の段階といたしましては、私は、やはり市町村団体を中心とした制度としてこの国民健康保険の運営をやることが一番望ましい形ではないか、このように考えておるわけであります。しかし、かと申しましても、国保組合というのが現実に存在することであり、また、今日までいろいろな沿革、歴史を持って今日に至っておるわけでありますので、決してこれを阻害をするとか冷遇をするとか、そういうようなことをいたす考えは持っておりません。今回七割給付を実施いたしましたところの市町村に対しまして四割国庫定率の負担をやるが、国保組合にはしないという面につきまして、何かへんぱな扱いではないかというような印象を与えておると思うのでありますけれども、これは御承知のように、従来この家族七割給付をやっておりまする市町村団体に対しまして、その四分の三の補助を実はいたした、国保組合にはそれがいってなかったわけであります。それを今回定率化をした、こういうことであるわけでありまして、別段今回の四割定率化を機会に国保組合のほうを冷遇しようというような考えでやったものではないということを御理解いただきたいと思います。
  47. 大橋和孝

    大橋和孝君 この問題はまだ少し私は申し上げたいことがあるのでありますが、これはこのままにしておきまして、続けまして私お尋ねしたいのは、あの本会議質問でも申し上げて、十分な回答を得ていないわけでありますが、この中で、ことに国民健康保険が、皆保険とそういうふうな精神から考えて、普通の健保におきましても精神衛生法とか結核予防法で国庫負担をしておるわけでありますが、これは国保の中では、その五割の自己負担をしなければならぬ部分に対して、やはり二割とか三割を負担したままで、健康保険においては全額適用されれば自己負担がなくなるわけでありますが、国民健康保険だけにはまだそれが残っておる。これは私は片手落ちじゃないかと思う。同時に、また、そういう法の精神からいって、国保にもそのような方法がとられるべきじゃないかと思うのでありますが、その点いかがですか。
  48. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 御指摘のように、結核の場合につきましてそのようなことになっておることは、私どもも、これは法律のたてまえでそういうふうにならざるを得ないということで、これは確かに国保の被保険者につきましても、取り扱いにつきましては改善方向を検討する必要があるというふうに考えております。
  49. 大橋和孝

    大橋和孝君 特に私はまだその点でも非常に一つの問題が結核予防法なり精神衛生法にあるのに、これに対しての非常に取り扱い上の書類ですね、非常に多方面に出さなければならないということは、医療機関に対しては非常な圧迫じゃないかと思う。こういうものなんかはそんなめんどうな手続をしなくても、非常にいろいろ簡単しごくにできると思うのでありますが、こういうものに対してはもっと根本的な改正をこういう機会にするというような御意思があるかどうか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  50. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 先生の御指摘の点、まことにごもっともでございまして、私どもとしましても、各医療機関の方々が、現在の社会保険、あるいは公益負担、結核、精神、あるいは生活保護法、その他非常に雑多な様式に追われまして、たいへんお手数をわずらわしておることは私どもまことに申しわけないというふうに考えておりまして、何とかこの専務簡素化につきましては根本的にひとつ是正をしたいということで、現在検討いたしております。保険関係につきましては、支払い基金で関係各界の方々に御相談をいただきまして、根本的な検討を進めておりますと同時に、保険以外の諸法の取り扱いにつきましても非常に過大な御負担をかけておるというのが実情でございますので、根本的にこれを改めるということで十分検討を続けてまいる所存でございます。
  51. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう一点だけ。最後に一つお尋ねしたいのは、このようにこの国民健康保険団体に連合会があるわけでありますが、こういうものに対してもう少し助成金を出して、その団体としてのいろいろ経済的にも、あるいは、また、いろいろなところで差があるわけでありますが、そういうものに対しての健全な発達の意味において、この国保連合会というものに対してのもっと大きな補助をする意思があるのかないのか。
  52. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 連合会の補助金につきましては、四十年度三億の予算になっておりましたのを、四十一年度で五千万ふやしまして、三億五千万ということで、逐年補助金の額はふえてまいっておるわけでございます。ただ、御指摘のように、各県の国保連合会自体、審査の事務とか、その他非常に重要な仕事を担当いたしておりますので、私どもとしましても、この連合会を強化するということは焦眉の問題だと思いますし、また、そのために補助金の額をふやしていくということにつきましては、今後ともさらに努力を重ねて、その額がふえるように真剣にその措置を講じてまいりたいと思います。
  53. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  54. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) じゃ速記をつけてください。  他に御発言もなければ、本件に関する質問は、今日はこの程度にとどめておきます。  次回は十二日午前十時から開会することとしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会