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説明員(土生
滋久君) それでは、郵政省における従来の団体交渉の経緯及び当事者能力の問題についての
考え方について御説明をいたします。
団体交渉でありますが、十一月の下旬に組合から、十一月以降の賃金引き上げの
要求が出たわけであります。その後三月九日まで団体交渉は六回やったわけですが、その内容は、組合の
要求の理由といたしましては、組合によって若干の違いはありますけれども、大体共通していることは、昨年の仲裁裁定の六・二五%のアップ程度では非常に不満であるということ、それから、その後の物価上昇等を
考えても、
相当ベースアップする必要があるというのが、まあその辺が
中心であります。で、私のほうといたしましては、やはり先ほど
労政局長さんからもお話がありましたわけですが、賃金に対するものの
考え方といたしましては、
給与特例法で原則的なことが規定されているわけでありまして、結局公務員の
給与でありますとか
民間賃金でありますとか、そういうものを主として、その他の
事情も勘案してきめると、こういうことになっているわけです。したがって、その
要求に対しましては、十二月の下旬に文書で回答してもらいたいということでありましたので、とりあえず結論的なことについて、昭和四十年度の仲裁裁定を実施したばかりであって、その後年度内に再度の賃金改定を必要とするほどの
事情変更が生ずるとは
考えられないので、それは応じられないというのが一点。次に、四十一年四月以降につきましては、
民間賃金の推移を見きわめてから回答するという回答をいたしました。その後、一月以降、その回答をめぐって五回団体交渉をやったわけですが、結局組合の主張されるのは、
民間賃金の
あとを追っかけるようなそういう賃金のきめ方は困る、日本の
労働者──
民間賃金そのものも日本の場合は低いのであるから、われわれもやはり
民間の
労働組合と一緒になって日本の賃金水準をよくしようという
考えに立っているわけであるから、そういう
立場で受け取ってもらいたいということが非常に強く主張されるわけであります。そういうふうになりますと、私どもは、やはりこういった国営事業という性格から
考えましても、そういう形での
検討ということは非常に問題がありますし、また、いまの
給与特例法の精神からいいましても、どうもそれは少しはずれやしないかという解釈を持っておりますので、四月以降については、やはり
民間賃金の動きを見てからでないと回答ができない、だからその回答は待ってもらいたいということが結局論議の一番大きな対立点であったわけです。結局待ってくれ、待てないということで、組合のほうから三月中旬に公労委に
調停申請をされたわけであります。その後、三月の下旬から昨日まででありますが、
調停一
委員会は三回開催されました。その
調停委員会において双方の
事情説明をしたわけでありますが、やはりどうしても根本問題が対立しておりまして、たとえば
民間賃金のどこと比較するか、そういったような具体的なデーターの話になかなか入らないわけです。組合は組合としてのある程度の
資料もお出しになりましたけれども、やはりどうしても根本問題がひっかかっているということで、今日まで双方の
態度にあまり変化がありません。ただ、先ほど豊原さんもおっしゃいましたように、ごく最近、
民間、公務員におきましても若干の動きがされております。これは経営者側の回答という段階でありまして、妥結したときまったというところはまだ比較的少ないようでありますけれども、いずれにしても動きがあらわれている。また待ってくれ、待てないということだけで、言うなれば玄関口でいつまでも対立を続けているということは、やはり
労使紛争の解決ということにとってはどうかということで、ある程度の
民間の動きが出たのを手がかりといたしまして、結局それによって今年の
民間の賃金の動きというようなものが見通せるかどうか。私どもは特定の産業、特定の企業にならうということでなくて、やはりこういう事業でありますから、
民間の全産業、百人未満の企業規模、百人未満のような小企業ははずしますけれども、少なくとも千人以上をも含めて、百人以上の全産業の動きというものを
一つのわれわれの場合の基準にしたほうが適当であろうと思っているわけですが、それがどうなるかという推定の手がかりとして最近における動きを見ているわけであります。そういう意味合いにおきまして、まだわれわれといたしましては、ほんとうに自信のある見通しというものはなかなか困難だと思いますけれども、しかし、おっしゃるように、
紛争をいつまでも続けていくということは好ましくないことでありますし、いろいろ他の公社、現業さん方と連絡協議いたしまして、ある程度自信の持てる見通しがつくならば、いわゆる有額回答というようなものもできないかということで、目下
検討しているわけであります。
次に、当事者能力の問題でありますが、当事者能力があるのかないのかということになりますと、これは当事者能力というのは何であるかということにもなるわけでありますが、われわれの意識といたしましては、当事者能力というものはあると思っております。ただ、つまり賃金がいかにあるべきかというようなこと、そういうことで組合と意見を交換して、自主的な判断そのものが言えるという意味においては、私どもは当事者能力はあると思っております。ただ、これを実施しようという段階になりますと、郵政省だけでは
給与総額の変更はできないという問題があるわけでありますし、また、資金上の問題もからんでくる場合もあるわけです。その場合は、やはりわれわれとして必要を認めれば、やはり政府内部で大いに努力して、
自分のところだけではできませんけれども、
関係の向きとも協議したりして、それが実現できるようにする義務がある、かように
考えているわけです。しかしながら、やはり現行法によりますれば、団体交渉あるいは
調停だけでは
給与総額の変更という手続は予算総則からいってもできない、最終的には国会の問題にまでいくということになっているわけでございます。これはやはりそういう制度にあるわけでして、そういう
状態にあるということは制度のとおりでありますから、実施の問題については条件つき当事者能力と言えるのではなかろうか、かように
考えている次第であります。